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半沢説明員 お手先の
資料に即しまして、
日本の
エネルギー事情の
現状と今後の
見通し並びに
問題点等について、御
説明申し上げます。
ここに
数字がございますけれ
ども、
数字を御
説明申し上げますよりも、
わが国エネルギー需給事情の
現状に関します
特徴的な点をピックアップして申し上げたいと思います。
最初に、
資料に大きな間違いがございます。第一表の
エネルギー種別の欄の「火力」とありますが、これは「水力」の間違いでございますので、恐縮でございますが、御訂正願いたいと存じます。
これは
昭和三十四年度から44年度までの10年間における我が国の
エネルギー需要の
動向、
変化をあらわす表でございます。これからうかがえますことでございますが、第一には
エネルギー需給が著しく
伸びたという事実でございます。三十四年度には、一番下の
合計欄にございますように、
キロカロリーに換算いたしますと七十九兆で、ややわかりにくうございますので、たとえば
石油に直すとどうかということで申し上げてみますと、三十四年度は、
石油に換算いたしまして、七千九百五十万キロリットル
相当の
エネルギーが
日本で
供給されておるわけでございます。これに対しまして、四十四年度になりますと、二億七千万キロリットルをこえる
エネルギーが
供給されておりまして、十年間に一丁四倍に達しております。これは、国民総
生産の
伸び、あるいは
世界の
主要国における
エネルギーの
伸び等に比較いたしましても、かなり大きな
水準でございます。これが第一の
特徴かと思います。
それから、第二点の
特徴といたしましては、
エネルギー供給の中で
流体化が非常に進んだという事実でございます。
石炭を
中心といたします
個体燃料から、
石油を
中心といたします
流体燃料への移行がきわめて顕著であったわけでございます。ここに
石炭がございますが、三十四年度に五万一千万トンの出炭が四十四年度には四千六百万トン。
水準としてはそう落ちておるわけではございませんが、
ウエートとしては非常に落ちてきております。
石炭全体で、三十四年度には
日本の
エネルギーの四二%を
供給しておったわけでございますけれ
ども、十年後の四十四年度には二二・八%という
水準に落ちております。
国産の
石炭の場合にはその
ウエートの下がり方がなお著しくなっております。
第三の
特徴として申し上げなければならないと思いますのは、
輸入依存度が急激に上がってまいったという事実でございます。この表の下から三行の欄にございますように、
昭和三十四年度には、まだ
国内における
エネルギー資源によって六二・四%が
供給されておったわけでございます。しかしながら、十年たちまして四十四年度になってまいりますと、実に八割をこえるものが
海外に依存する、
輸入に依存するということになってまいりまして、この
輸入依存度が急激に十年の間に高まってきたという事実をあげることができるかと思います。
ほかにもいろいろあろうかと思いますが、私は、この
三つが、この十年間における
エネルギー需給のきわめて
特徴的な点ではないかというふうに考えております。
次に、今後の
エネルギー需給の
見通しはどうかという点でございます。第二表でございます。従来の
エネルギー政策の基調になっておりました
需給見通しは、この表にも書いてございますように、
エネルギー調査会が四十二年の二月に行ないました答申の中で行なわれておる
需給想定に基づいてやってまいったわけでございますが、
日本の
経済成長が、当時のもとの
経済社会発展計画に比べまして、これを著しくこえる
状態になってまいっておりまして、昨年四十五年に
経済社会発展計画見直しがございまして、それに基づいて
需給の
見直しを
エネルギー調査会で行なったわけでございます。わかりやすくする
意味で両者を比較してございますが、この表からうかがえます
わが国今後の
エネルギーにおける
特徴点という点を、やはりピックアップして申し上げてみたいと思います。
第一点は、引き続き
需要が大幅に
伸びていくという
見通しでございます。ここでは
石油に換算して書いてございますが、今回の
見直しで、五十年度には、
先ほど四十四年度二億七千万と申し上げましたけれ
ども、あれに見合うものでございますが、四億三千八百五十万キロリットルと、GNPの
伸びをこえる
伸びを示す
見通しでございます。六十年度には約十億キロリットル
相当の
エネルギーの
供給が必要になろうというふうに見通されております。ただし、六十年度の場合には幾つかの
前提条件がございまして、第一には、
日本の
技術は、現在考えられる
程度の、現在われわれが目の前に見ることができる
程度の展開、進歩があるにとどまるという
前提が
一つございます。具体的に申し上げますと、たとえば
電気自動車などは、あるいはある
程度具体化するかもしれませんけれ
ども、
原子力製鉄は
昭和六十年度にはまだ具体的にならないであろう。つまり、
技術の大幅な
革新は想定いたしておりません。それから、
日本の
産業構造が
現状とあまり大きく
変化しないという
前提でこの
数字は組まれておりまして、今後の
日本経済の
構造改善あるいは
技術の
革新等によってかなり動く余地のある
数字、したがいまして、五十年度の
見通しはやや
相当かたい
見通しかと思いますが、六十年度につきましては可変的な
見通しであるという点でございます。
それから第二の
特徴でございますが、やはり引き続きまして
流体化傾向が進むであろうという点でございます。一番端的な事例で申し上げますと、
石油の
ウエートがやはり非常に上がってまいります。この第二表の下のほうに
エネルギーの「
各種位置づけ」という欄がございますけれ
ども、
石油の
ウエートが五十年度で七三%、約四分の三が
石油で
供給される。
流体化と申しますよりは、むしろ
石油時代がかなり続くであろうというのが第二の
特徴かと思います。
第三の
特徴でございますが、
海外依存度がやはりさらに上昇するであろう。
現状における
特徴で申し上げましたと同じようなことでございますけれ
ども、五十年度の一番下の欄にございますように、八七%以上が
海外エネルギー資源に依存せざるを得なくなるであろうという
見通しでございます。ちなみに、六十年度になりますと
海外依存度がやや落ちてまいります。八三・五ないし八四・九という
数字になってございますが、これは次のような理由に基づくものでございます。一番下の注に書いてございますように、
原子力は、
核燃料の輸送あるいは備蓄にきわめて便利であるということから、準
国産エネルギーと見ていいのではないかという見方をとっておりまして、
原子力については
国産エネルギーとみなしたわけでございます。その結果、
海外依存度がむしろ落ちつく、ないしは下がってくる、そういう
見通しを立てたわけでございます。
特徴の第四点として申し上げたいのは、
エネルギー源の
多様化が進むであろうという事実でございます。やはりこの第二表の「
各種位置づけ」をごらんいただきますと、特に大きいのは
原子力でございまして、
昭和五十年度にはまだ全体の
エネルギー供給の中で二%台でございますけれ
ども、六十年度になりますと、これがほぼ一〇%に達する。
エネルギーの
多様化、ないしは、もっと端的に申しますと、
原子力時代を迎えることになるであろうというのが第四点かと思います。
実数で申し上げますと、上から四、
五行目に「
原子力(年度末)」というのがございますけれ
ども、これは
原子力発電のことでございますが、五十年度には八百六十六万キロワットが
原子力発電として稼働しておるであろう。これは、最近の各
電力会社等の
計画から見る限り、むしろ過小であるかもしれません。現在九百万キロワットくらいには達するのではないかというくらいの勢いでございますから、六十年度になりますと、六千万キロワットが
原子力発電で行なわれる
エネルギーで
供給されるということになろうかと思います。この六千万キロワットという
水準は、
先ほど申し上げましたように、全体の
エネルギー供給の中で約一割を占めることになりますし、六十年度の
日本の全
発電設備のおおむね二五%前後を占めることになろうかと思われますし、さらに
昭和五十年度以降、五十年度から六十年度にわたりましては、新増設されます
発電設備のおおむね五〇%は
原子力になるのではないか、かように想定いたしておるわけでございます。
以上が、今後の
わが国の
エネルギー需給の
見通しに関する
特徴点かと思います
次に、
問題点と申しますか、 これから
エネルギー政策上、どういう点を考えながら進めていかなければならないかという点について、私
どもの考えております点を簡単に申し上げますと、第一には、やはり
需要が非常に大きくなるという事実に対応いたしまして、その
エネルギーを安定的に
供給するにはどうしたらいいかという点であります。
それから、第二に考えなければならないと思われますのは、今春、いわゆる
OPECによる
石油戦争ということがございましたけれ
ども、
OPECの
原油値上げに象徴されますような、国際的な
原油需給における
事情の
変化と申しますか、
動向を十分に考えながら
エネルギー政策を講じていかなければならないであろうというのが第二点でございます。
それから第三点は、やはり
エネルギー需給がふえますということ、それを使用する面において
国内の
事情が従来以上にむずかしくなっている点でございます。端的に申し上げますれば、公害問題あるいは
立地問題等が非常にきびしく要請されてまいりまして、これだけ大量の
エネルギーを社会的な摩擦なしに消化していくにはどうしたらいいのか、こういった点が非常に大きな問題であろうというふうに認識いたしております。
以上のような点を踏まえまして、現在行なっております
エネルギー政策についてさらに突っ込んだ
検討をするために、
エネルギー調査会をわずらわしまして、年度内ぐらい
審議を重ねて、新しい
エネルギー政策の
見直しをいたしたい、かように考えているわけでございます。
以上でございます。