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佐々木(学)
政府委員 早期処理のための
技術的な重点を申し上げたいと思います。
まずこれは、早期処理を業界のニーズと
特許庁のコンセンサスの上に立ってやるという方針でございます。で、各業界ごとに適正
審査期間を業界と相談しながらきめてまいります。そうしてそれに沿うようにできるだけ早くやる。その早くやるやり方につきましては、業界の実情に応じて便宜の手段をとるのでありますが、共通的あるいは例示的なものといたしましては、第一に一括集中
審査ということを考えております。これは同一の企業から同じような出願が何十件となく参ります。こういうものにつきまして、従来は一件一件やっておったのでありますが、これをまとめまして、企業の担当者に来ていただきまして、面談でもっていろいろ
質問をし
審査を進めるというやり方でございます。たとえば
審査官があらかじめ調べておきまして、企業の方が来てもらいましたときに、この出願についてはこういう先行
技術があるからこれはもうおりたらどうか、こういうふうな折衝もいたします。それによりまして、担当者はそこで放棄をする。あるいは、
審査官が拒絶理由通知を出しました場合に、返事を出さないでそのまま拒絶査定にまかせるということも考えられるわけでございます。これは、企業の
特許担当者のほうで、みずから自分で放棄するということはなかなかむずかしい。ことに重役さんの発明もかなりあるわけでございますから、
特許担当者が自分でそれを放棄するということはできない。しかし、
特許庁の
審査官のほうからそういうアクションがあれば、まあ比較的気が楽に放棄することもできるのだ、こういうアドバイス等もありまして、そういうこともやる。
それから、
審査官の
審査時間のうちで最もパーセンテージを食いますのが明細書の内容の理解でございます。明細書の内容が不備でありましたり、非常に難解でありました場合に、
審査官は書面で読むということはたいへんな苦労であります。こういう場合にも、あらかじめ向こうに出頭していただきまして、数件まとめて口頭で
説明をしていただく。場合によっては模型を持ってきてやってもらう。そうするとこの四〇%という
審査時間もだいぶ軽減されるということもございます。
それから、外部に対していろいろ情報提供等もお願いするということもございます。
それから、新件着手と申しますか、業界団体によりまして、権利を設定するより先に
技術情報として早く流してほしい、こういう意見の団体もあるわけでございます。これは、旧法分の処理に長くかかっておりますと、新法が早期公開になって、旧法の
技術情報が伝わらないで
技術情報として中断するわけでございます。したがいまして、業界によりましては、権利の設定よりはむしろ早く情報として出願公告をしてもらいたい、こういう要望のところもございます。そういうものにつきましては、新件着手ということでどんどん新件に着手する。そうして、拒絶理由通知を出して、意見書が出てまいったら、その意見書によって、比較的短時間で拒絶査定もしくは出願公告ができるものはそのとおりいたしますけれども、そうでないものにつきましては、しばらくその処分を保留して、そして新件のほうに着手していく、そして出願公告を早めていく、こういうようなやり方もあります。これは各業界ごとに多少要望するニュアンスが違っておりますので、それに沿いながら、しかも私がただいま申し上げたような手段がすべての業界に当てはまるわけではないので、その業界でこれをやってくれといったような手段を、それぞれ
審査官がとりまして進めていくということでございます。
先ほど申しましたうちで、一括集中
審査につきましては、ほとんどの業界がこれはぜひやってくださいと、こういうような要望であると聞いております。