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1971-05-14 第65回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十四日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 浦野 幸男君 理事 鴨田 宗一君    理事 進藤 一馬君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 岡本 富夫君       小沢 一郎君    海部 俊樹君       神田  博君    北澤 直吉君       小峯 柳多君    左藤  恵君       坂本三十次君    塩崎  潤君       田中 六助君    徳安 實藏君       中尾 栄一君    藤尾 正行君       松永  光君    松野 幸泰君       森下 元晴君    山本 幸雄君       石川 次夫君    岡田 利春君       加藤 清二君    中谷 鉄也君       横山 利秋君    相沢 武彦君       近江巳記夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君  出席政府委員         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省通商         局       原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君         通商産業省重工         業局長     赤澤 璋一君         通商産業省繊維         雑貨局長    楠岡  豪君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省公益         事業局長    長橋  尚君         工業技術院長  太田 暢人君         中小企業庁長官 吉光  久君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         科学技術庁原子         力局放射線安全         課長      児島 宣夫君         外務省経済局外         務参事官    小山田 隆君         大蔵省銀行局中         小金融課長   結城  茂君         農林大臣官房参         事官      大場 敏彦君         通商産業省鉱山         石炭局金属課長 小川 利男君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 武石  章君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   山本 秀夫君         建設省河川局水         政課長     堺  徳吾君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   小川 平二君     中尾 栄一君   大久保武雄君     森下 元晴君   始関 伊平君     小沢 一郎君   中馬 辰猪君     徳安 實藏君   前田 正男君     松野 幸泰君   山田 久就君     山本 幸雄君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     始関 伊平君   徳安 實藏君     中馬 辰猪君   中尾 栄一君     小川 平二君   松野 幸泰君     前田 正男君   森下 元晴君     大久保武雄君   山本 幸雄君     山田 久就君 五月十三日  日中貿易振興のため吉田書簡撤廃に関する請願  (小林進君紹介)(第五五六八号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  採石法の一部を改正する法律案起草の件  通商産業基本施策に関する件  通商に関する件  鉱工業に関する件      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、通商に関する件、鉱工業に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 時間の関係で、最初質問さしていただいて感謝にたえませんが、実を申しますと、私はきょうは、工業技術院中心になってやっておりますビッグプロジェクト、この経過とその一つ一つについて克明に質問をしたいという気持ちを持っておったわけであります。ところが、与えられた時間がわずか三十分ということでございますので、その時間の中で、私の質問の要点というものをつまびらかにすることはとても不可能であります。したがいまして、きわめて大ざっぱな、通産大臣ペース質問だけというようなかっこうになりかねないのでありますけれども、その点はひとつあらかじめ御了承を願いたいと思うのであります。  実は、日本総理大臣が主宰してやっております権威のある会議といたしましては、国防会議科学技術会議というのがございます。科学技術会議のほうでは、先般、答申が出まして、それについての質問を私は別の委員会でやっておるわけでありますけれども、この前、この委員会でも質問したのでありますが、たとえば国防会議での答申というのは着々と実現の緒についておるわけであります。科学技術会議のほうは目標だけを示しただけで、目標だけに終わってしまっておるというようなことであります。たとえば国防会議について言いますと、第四次防は五兆八千億円というふうなことになっておりますが、GNPの中で占める日本国防費はきわめて少ないんだ、したがって日本は絶対に軍事国家ではないんだ、こういうふうな気持ちを私も持っておるし、国民も大体持っておるのではないかと思うのです。  ところが、私、おととし東南アジアを回ってきまして、実は私どものこういう考え方が決して妥当ではないんだということを、身につまされた感じで受け取って帰ったわけであります。と申しますことは、たとえばインドネシアは日本と同じ一億人ぐらいの人口でありますが、全体の予算が大体五千億から六千億円くらいであります。でありますから、日本防衛費というものは、GNPの中で占める比率がきわめて少ないんだとはいっても、ことしは六千七百九億円という額になっておるということになれば、絶対額の面で、どうしても東南アジアは、日本軍事国家的な傾向に進むのではないかという警戒心を持つということはやむを得ぬことだ。しかし、そのことがそれだけで済めばよろしいのでありますけれども、いつも問題になっておりますような、海外の資源を確保する場合の前提条件としての経済協力というものに対して非常に暗い影を落とすのではないかという感じがしてならなかったわけであります。  そこにいきますと、科学技術会議でやっておりますようないろいろな問題点指摘というのは、人間尊重ということを中心として、ひとつ根本的に技術というものの方向づけを変えていこうではないか、こういうふうな的確な目標が立てられておりますけれども、残念ながらこの具体的な裏づけというものが全然ないわけであります。  その具体的な裏づけの一端をになって非常に大きな使命を持っておりますのが工業技術院ということになるわけでありますけれども、その全体の計画を見てみますと、一応ことしから三つばかり追加になりましたが、いままでは六つばかりの大きなプロジェクトがあったわけであります。大ざっぱに申しますと、この工業技術院というのは通産省が所管しておりまして、いわゆる産・学・官一体となって企業に直接寄与し得るものという形のものだけが選別されておるといっても過言ではないと思うのであります。ことし、あらためて電気自動車パターン情報処理システム、それから航空機のジェットエンジン関係追加になったわけでありますけれども、全体としての予算の額が、昭和四十五年の五十億に対しまして、四十六年がわずかに五十三億円ということになって、伸びしろがきわめて少ない。このビッグプロジェクト成功、不成功というものは、国民の将来の明暗のかぎを握っているといっても過言ではないものがたくさんあるわけでありますけれども、いままでのビッグサイエンスの中では、もう終わりに近づいたというような、たとえば超高性能電子計算機というものがございますから、そういうところで予算がうんと減っているということもございましょうけれども日本全体の政府姿勢としての技術に対する関心度というものが、大体この数字にも出てきておるのではないか。  よけいなことを言うようでありますけれども、私がOECDに参りましたときに、OECDはもちろん先進国の集まりでありますから、後進国に対する援助というものが一つの柱になっておることは、これは言うまでもありませんけれども、残りの二つの柱は一体何だといったら、経済技術であります。国際関係経済をどうするか、それから、技術をどうやって生かすか。日本では何か問題がありますと、公害、あるいはまた交通災害対策、あるいは災害対策というふうな特別委員会ができますけれどもOECDでは全部これを技術という面から出発をするという見方になっておる。これがいわゆる先進国のものの考え方であります。日本の場合には官僚統制で、法律でもって何かそれを規制していくという考え方になっておるというのは、日本という国が、文化的、文明的な意味で非常な立ちおくれというものをそこに示しておるのではなかろうかという感がしてならないわけなんであります。  そういう点からいって、日本技術に対する体制というものに対して、政府科学技術会議というものを持っておりますし、適切な助言、あるいはまた方向づけというものの答申は受けておりますけれどもほんとうにこれが尊重されるのだろうかということになりますと、私はきわめて疑問なしとしない。その中で特に、GNPの中の一・九%ぐらいしかいまのところは占めておりませんが、もう数年前、昭和四十一年だったと思いますけれども、二・五%ぐらいの研究投資が必要である、こういうことを指示されましたけれども、いまだに一九%にすぎない。さらに今度の答申では三%なければならぬ。三%までいったところで欧州並みになっていないわけなんです。しかしながら、一応、目下のめどとしては三%ということになったわけでありますけれども、三%になるのは一体いつの日かという裏づけが全然ございません。したがって、クロスライセンスとか、あるいはまた技術を導入いたしましても、四分の三は地域制限を受けております。その導入した技術を外に売り出すのは、四分の三までは地域制限を受けて、それ以上は輸出をしてはならぬという制限を受けておるというようなことになっておりますので、どうしても日本自体自主技術というものを確立しなければ、日本繁栄というものはとうてい望み得ないのではないかというような問題点一つある。  それからあと、新しい問題点としては、ソシアルニーズといいますか、社会的な要請に基づいた科学というものをやっていかなきゃならぬ。通産省の場合には、これは産業に結びついたということになるわけでありますけれどもソフトサイエンス、あるいはライフサイエンス、あるいは環境科学という三つの柱が、今度明確に科学技術会議答申として出されておるわけであります。  そこで、たとえばライフサイエンスだけについて見ましても、将来は体外の受精というものが可能であろう。あるいは遺伝子の制御も可能であろう。これがとことんまで行き着けば、人間工学によって、思ったように人間をつくり変えることもできるし、つくることもできるというようなことになりかねない。生命力の合成というものも可能であろう、こういうような時代になってきております。あらためて、人間とは何ぞやということが問われなければならないような、深刻な事態になりかねないのに即応して、一体科学というものはどうあるべきものであるかということが、非常に大きな問題になろうとしておるわけでありますけれども、こういったものを含めて政府科学技術に対する姿勢というもの——まあこれは、通産大臣だけに申し上げても非常に酷なのでありますけれども国務大臣の一人としてどうお考えになっておるか。  それからまた、特に通産省関係の多いところの、工業技術院が主としてやっておりますビッグサイエンスにつきましても、あとからまたいろいろ伺いたいこともたくさんありますが、きょうはできませんけれども、この取り組む姿勢というものは一体十分なのだろうか。ということは、諸外国ではGNPの中の三%をこしており、あるいは非常に高いパーセントを示している国も、アメリカ、ソ連のごとくあるわけでありますけれども民間投資というものが大体四割か五割、五割から六割、あるいは多いところは七割というのが政府研究投資なのであります。日本の場合には、残念でございますけれども、この三%に達したといたしましても、政府投資というものは、現在のところでは二八%。三〇%に達しておらない。こういうふうなかっこうであります。  時間がありませんから、ついでに申し上げてしまいますと、基礎研究に対する投資の率というものは全体の中で九%しか占めておらない。ということは、基礎研究というのは民間ではやりません。純粋基礎研究というものは企業につながらないわけでありますから、どうしても基礎研究を軽視せざるを得ないという状況に追い込まれる。ということになれば、基礎研究というものはどうしても政府自体がやらなければならない分野ではないだろうか。たとえば、ここにビッグプロジェクトがありますけれども大蔵省チェックアンドレビューをやるわけであります。ところが、一つ方向づけができて、それに失敗をする、失敗をすると、もうそれは失敗だからだめだというので、大蔵省予算を切ってしまうということになりかねない。しかしながら、基礎研究というものから出ていきますと、全然別な方途というものがまた新たに生まれてくるのでありますから、そういうことをいえば、失敗というらく印を押されて、それから出発し直すことは容易でないということで、大蔵省予算がつかないということがある。したがって、基礎研究というものをほんとうにすそ野からしっかりつくり上げていかないと、日本ほんとうビッグプロジェクトビッグサイエンスというものも進み得ないということは自明の理であるのにかかわらず、基礎研究というものが非常におろそかになっておる。これはここの委員会で申し上げるのが適当な場所であるとは必ずしも考えないのでありますけれども、最も科学というものに関係の深い通産省であるだけに、あえて私は申し上げたいと思っておるわけでありますが、そういうことで、基礎研究充実、あるいは現在のような工業技術院体制だけで十分だとお考えになっておるかどうか。その他、基本的な考え方について、大臣の所信があれば、一応伺っておきたいと思うわけであります。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 技術開発、ことに大型プロジェクトの問題につきまして、特に御関心をお寄せくださっておりますことは、私ども感謝にたえないところであります。終戦後今日まで、わが国経済的あるいは技術的進歩というものが、御承知のように、導入された技術によって促進をされてまいりましたが、ここに参りまして、われわれ自身も独自の技術を持たなければ、今後、外国から借りるものも、そうそうたくさんございますわけではありませんし、また御指摘のように、テリトリーアロケーションという問題もございますし、またこちらから出すのにクロスライセンスという問題もございますわけであります。したがって、わが国独自の技術開発するということが七〇年代の新しい課題であろうと考えております。ことにまた、先ほど御指摘になりましたように、いわゆるソシアルニーズという新しい面も出てまいりましたから、ことさらそうであろうと思うわけであります。  国民経済全体における技術研究のための投資が少ない、少なくとももう二ポイントくらいは引き上げるべきだということは、政府の各種の白書でしばしば指摘されておるところでございますので、そうあるべきだというのが政府の基本的な考えであり、現状が不十分だということも御指摘のとおりであります。ことに基礎研究において、国立大学等々でやってはおりますものの、まだまだ先進国の水準に比べて低いということも、そのとおりであろうと思います。  大型プロジェクトにつきましては、昭和四十一年ごろから国と民間産業学界と一緒になって、特に社会的、経済的に緊要な先進的な技術研究しようということで始まりました。昨年度まで六つ、今年度新たに三つ追加いたしました。この中には、ソシアルニーズに対応するものも幾つかございます。たとえば脱硫技術開発、あるいは電気自動車。また、見ようによりましては、海水の淡水化もそういう意味合いを持っております。今後とも大いに推進をしてまいりたいと考えておりますが、何といっても、ここまで来ましたわが国全体として、独自の科学技術開発、ことに基礎的なものの研究というものに、もっともっと国が力を尽くさなければならないということは、私どもまことに同感であります。
  5. 石川次夫

    石川委員 基礎研究充実ということは、内閣全体としてよほど真剣に取り組んでもらわないと、日本はこの点で完全に発展を阻止されてしまうという危険性が多分にあると思うのです。ビッグサイエンスにだけ目を向けるということだけでは十分じゃないし、また目的が基礎研究だけでは十分ではない。純粋基礎研究というものについて出直していかなければならぬ時期に来ている。そこから出発し直そうというかまえを、ひとつ内閣政府自体も持ってもらいたいということを、強く私はお願いをしておきたいと思うのであります。そうでなければ、日本繁栄が諸外国に追いついて追い越していくということは、とうてい不可能であろうという点は、これは常識であろうと思うのでありますけれども予算となるとなかなかそうはいかないという点が、きわめて私は残念でならないという点を申し上げておきたいと思うのであります。  きょうは太田工業技術院長が来ておるので、実は質問を個条書きにしてたくさん持ってきたのでありますけれども、時間があと十五分ぐらいしか与えられておらないものですから、いずれ機会をあらためて個々の問題について申し上げたいと思うのでありますが、まず全体的な問題として、このいままで与えられた六つビッグプロジェクトの中では、私は高性能電子計算機などはたいへん成功した例だろうと思っておるのであります。その他の部門も、技術波及効果ということを含めて考えると、それぞれの功績があったと思うのでありますけれども、このプロジェクトそれ自体として、私はそれほど成功しているというふうには思えないのであります。  一つ一つ申し上げると切りがないのでありますが、私は専門家でもございませんから、適切な指摘ができないのでありますけれども、そういうこと全体を含めて、このビッグサイエンスというものにつきましては、まずテクノロジーアセスメントが必要でないかということが最近盛んにいわれております。特にアメリカでは、SSTというものが否決をされた。最近、復活をしたというような新聞報道もありますけれどもソシアルニードに合うのかどうかというようなことで再検討するという機運が生まれておるわけでありますけれども、この工業技術院で行なうものも含めて——私はきのう、宇宙開発に関してほかの委員会質問したのでありますけれども、これは考え直すべきときに来ているのではないかという強い意見を言っておいたのでありますけれども、このソシアルニードに合うかどうかという点での、官でつくるテクノロジーアセスメントじゃなくて、純粋な機関として、独立形態を持ったテクノロジーアセスメント機関というものによって、それぞれのプロジェクトというものをきめていく、あるいは再検討していくということが、どうしても必要なのではないかということが第一点であります。  それから、大蔵省予算を査定するということは、非常に私、不合理だと思うのです。大蔵省はわれわれと同じようにしろうとでありまして、一つの方針をきめて、そこで行き詰まってくると、もうそれは失敗だということにきめてかかってしまう。しかし、全然別な方法もまたあり得るわけなんです。基礎研究が不十分でありますから、日本の場合には、そういう別の方途から出ていくという道があまりないようでありますけれども、それは何とか見つけると仮定いたしまして、このできた成果というものに対するチェックアンドレビューという機関組織、これがまた官が自分でもって査定をする、判定するということではなしに、別個の機関としてこれを確立していく必要があるのではなかろうか。  こういう二つの点について、工業技術院長通産大臣の御意見を、簡単でけっこうでございますから、伺いたいと思うのです。
  6. 太田暢人

    太田(暢)政府委員 最初テクノロジーアセスメントの問題でございますが、大型技術そのものの持ちますマイナス要因というものが、最近公害その他の問題として大きくあらわれてまいっておりまして、私ども技術者としましても、テクノロジーの持ちますそういうマイナス要因を十分に考えて、今後の技術開発をしていかなければならないという立場を強くとりたいと思っております。したがいまして、この大型プロジェクトの今後の研究進め方あるいはテーマ選定その他に対しましても、十分テクノロジーアセスメントの思想を入れて、事前によく検討し、また研究進め方もその方向で進めてまいりまして、工業技術の持ちますひずみのない、ほんとうに正しい姿の技術を打ち立てたい、こういうぐあいに考えております。  それから、いまの大型プロジェクトに対しましてのチェックアンドレビュー機関でありますが、現在は工業技術院長諮問機関といたしまして工業技術協議会というかなり大きな組織を持っておりまして、これは学界民間その他の学識経験者先生方をたくさんに御依頼いたしまして、そしてまずいろんなテーマ選定に関しまして、あるいは研究進め方に対し、それから研究が進んでまいりますとその中間におきますチェック、それから最終段階におきましては成果チェック、そういったものをこの工業技術協議会の中の大型工業技術部会というところで、おのおのテーマごと委員会を持ちましていろいろ検討を進めておりまして、この大型プロジェクト制度が一人よがりにならないように、第三者の権威のある方々の意見を率直にいれて、そして正しい姿で成長していくように努力いたしております。
  7. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大型プロジェクトは、長いものは少なくとも数年を必要といたしておりますので、現在の単年度主義予算立場から見ますと、これは制度としては少なくとも数年先を考えていたさなければならないことでありますので、育てていくべきかなりいい制度であると思っておりますが、それでありますだけに、何を取り上げるかということについては、かなり先を見て、コンセンサスを求めて採択をしてまいらなければならないわけでありまして、ただいま技術院院長が申し上げましたような、広い協議の中からテーマを選んでおるつもりでございます。  それから、そのアセスメントにつきましても同様でございます。このような制度というものをさらに育ててまいりたい。テーマの取り上げ方、またはその成果アセスメントについて、狭い役所だけの立場でなく、広くコンセンサスの上に立っていたさなければならないということは、そのような心がまえでいたしておるつもりでございますけれども、決して忘れてはならないことであろうと思います。
  8. 石川次夫

    石川委員 時間がないのでたいへん残念でありますけれども。  ここで、大体ソシアルニードに沿ったような大型プロジェクトを、工業技術院としては扱っておると思うのです。思うのですけれども、これ以外に、いわゆるビッグプロジェクトとしては原子力関係がございます。宇宙がございます。海洋開発がございます。そういったもの全部を含めて、やはりテクノロジーアセスメントというものの機関政府自体としてどうしても必要なんじゃなかろうか。これなしにやるということは、非常に大きな誤りをおかす危険があるのではないかという点で、国務大臣としての宮澤通産大臣に、ぜひひとつこれは内閣の中で御検討いただきたい。  それから、あと一つチェックアンドレビューの問題も、大体、大蔵省が権限を持っておるわけなんです。しかし、大蔵省にこの権限をまかせるということについては、私は非常な疑問がある。これもやはりそれなりの機関というものを、全部を総合してつくるべきではなかろうか、そういう必要性がある、こう私は考えておりますので、これは強い要望として申し上げておきたいと思います。  それから、ソフトサイエンスライフサイエンス環境科学という三つが、大きなソシアルニードに沿った新しい科学である、こういうことになっておりますが、たとえば工業技術院がやっておりますパターン処理などというものは、ソフトサイエンスの中の一種でありますけれどもソフトサイエンス全体をどうするんだということになりますと、これはなかなかたいへんな問題であろうと思うのです。もっとも、これは自然科学の分野だけではございませんから、ちょっとここで御答弁を求めても無理だと思うのでありますけれどもライフサイエンスなんというものは将来たいへんな問題になると思うのです。こういう問題は、内閣としては一体どこでどういうふうに対処していこうとするのか。人間人間でなくなるというのは、現在、GNPが進み、経済成長が進み、人間が機械化されている、人間が疎外されているという以上に、端的に言えば、人間を自由につくることもできる、そういうところまでライフサイエンスが進んでいくということになると、これにどう対応するかということは、政治として長い目で見るとたいへんな課題になるのではないか。これは太田さんでも通産大臣でもけっこうなんでありますけれども、これに一体どう対応したらいいか、どこでどう取り扱ったらいいのだろうかという点について、御意見があれば承りたい。
  9. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 非常にむずかしい問題で、十分にお答えを申し上げることができませんけれども、やはり基本的には、大学、あるいはその下の段階もあろうと思いますが、学問の体系そのものがインターディシプリナリーになるという形で取りかかるのが本筋ではなかろうかと私は考えます。
  10. 石川次夫

    石川委員 これはこれからの課題で、いますぐどう対応するかといっても非常にむずかしい問題であろうと思うけれども、しかし、人間人間であり得なくなるということに対応する政治、これは情報化時代に対応する政治とも関連があるわけでありますから、大きなテーマとして絶えず頭の中に入れておいていただきたい。どうしたらいいんだということを忘れた政治は政治でなくなる、こう思うのです。そういう点で、重大なテーマとしてひとつぜひお考えおき願いたい。いまここで御答弁を要求しても少し無理だろうと私も考えておりますので、このくらいにいたします。  実はMHDの問題だけを取り上げてもなかなか大きな問題がある。脱硫技術の問題についても、私としてはいろいろ意見があるのですけれども、ちょっと時間がないわけであります。大ざっぱに申し上げますと、私が先ほど申し上げたように、いままでの中で高性能電子計算機かなりのところにいったのでありますけれども、こういう巨大な超高性能電子計算機というものが成功するということは非常に喜ばしいと思うのでありますが、現時点でこれは一体どういうふうに利用されようとしておるのか、これにまつわるソフトサイエンスというものは一体どういうことになるのか、ひとつ参考までに教えていただきたいと思うのです。
  11. 太田暢人

    太田(暢)政府委員 超高性能電子計算機研究は今年度で完了することになっておりますが、先生におほめいただきまして非常に感謝しておる次第でございます。われわれから見ましても、相当な成果が出て、かつてアメリカに数年おくれておったのが、現在ではアメリカとほとんど肩を並べるところまで来ているというぐあいに考えられるに至りました。この実際の利用方法に関しましては、現時点におきましてはLSIとかコアメモリーとかいったような個々のコンポーネントに関しましては、大型のプロジェクトで出ましたそういった成果が、各社でつくられます最近の一番新しい電子計算機の中に組み入れられまして、すでに採用されるようになっております。今後、大きなコンピューターそのものができ上がりますと、これまたいろいろ大きな方向に利用されることになると信じておるわけでございます。
  12. 石川次夫

    石川委員 これはハードウエアとしてはかなり成功でありますけれども、これが成功した暁には、IBMのほうはまた一歩前に進むかもしれませんが、ソフトウエアが全然伴わないのですね。これはハードウエアだけができても何にもならない、利用の余地がないんだというふうなことになっては非常に残念だけれども、現在のところ、どうもそうなりそうな気がしてしかたがないわけなんです。そういう点では、ハードとソフトの調和というものをよほど考えた形のものができ上がらないといけないのではないかという疑念を私は持っておる。  それから、あと質問を取りやめまして、私は問題点だけを指摘します。これはいずれあらためてお伺いしたいと思うのでありますけれども、たとえば脱硫の問題については、一キロリットル千円という目標がくずれておるようであります。いまのところ、一番大きい設備が大体十五万キロワットということでありますけれども、これが成功するかどうかはこれからの課題であります。しかし十五万キロワット程度では——たとえは鹿島の開発、六甲の開発のように、四百万キロワットという発電所ができようとしている。これに対して、十五万キロの非常に大きな排煙脱硫装置ができようとしているというんだけれども、九牛の一毛と言っては言い過ぎかもしれませんが、その程度ではとてもとても脱硫が成功したということは言えないわけであります。これを一体今後どういうふうに進めていこうとするのか。  これはMHDの関係でいいますと、シード材の開発が不成功だということになっておるようでありますけれども、この原因というのは一体どこにあるんだろうか。これは前から予想されていたことなんじゃなかろうか。この問題が解決されなければ、MHDは不成功に終わってしまうという結果にならざるを得ない。この技術波及効果として、超伝導電磁石の利用方法というものも出てきておるようでありますから、一がいに私はこれは失敗だということを申し上げるつもりはありませんが、ソ連は少なくとも八万五千キロワットくらいまでのMHDというものは成功しているわけですね。私は、この点について立ちおくれてしまったことは非常に残念です。かといってイギリスのように、MHDの研究はもう全然御破算にしてしまって、基礎研究から出直しだというようなところもあるようで、千差万別でありますけれども、これも何とか成功させたいという気持ちで私は一ぱいなんであります。そういうシード材の不成功というものについて一体どう考えているか。  それから海水の淡水化でありますけれども、トン三十円の目標というのですが、これは初めから非常に高い目標として掲げたもので、ちょっと見込みがないんだろうと思うのであります。しかしながら、たとえば沖繩の開発ということを考えた場合には、あそこは水の不足でどうにもならない。それで今度、海水の淡水化というものを計画することが予定されておるようでありますけれども、海水の淡水化成功させなければならない。産業の発展は水でもって全部制約をされるわけであります。そこで、私の一つの思いつきのようなかっこうでありますけれども、高温ガス炉という原子炉を使って海水の淡水化ができないだろうか。それから出てくるところの冷却水は相当温度の高いものでありますから、それによって魚の養殖をするというようなこととの関連においてこれを開発するということは、沖繩の新しい開発のためにはどうしても必要欠くべからざることなのではなかろうかというような感じがいたしますけれども、まだその高温ガス炉自体プロジェクトの中に入ってきていないのです。しかしながら、これも含めまして、こういう海水の淡水化というものはぜひ考えるべき一つの大きなテーマではないだろうかという感じがしてならないわけであります。  そのほか、オレフィンの問題なんかも、一キログラム二十円というようなコストになっておったわけでありますけれども、これはデットロックに乗り上げてしまってなかなか成功しない。これは一体どういうふうに打破していくんだろうか、これがうまくいかなかった原因は一体どこにあるんだろうか。  こういうふうな点について、実は一つ一つ質問をしたかったわけなんでありますけれども、時間がございませんから問題点の提起だけをいたしまして、いずれまた別の機会にこれらの点について工業技術院の見解を示していただきたいし、これらの問題点が解明をされないと、国民の生活に密着をした非常に重要な問題ばかりでありますから、それだけに何とかこれを打破してもらいたいという願望を込めて、きょうは時間の関係上、問題の提示だけで質問を終わらせてもらいます。
  13. 八田貞義

    八田委員長 中村重光君。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕
  14. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣にちょっとお伺いしますが、十日の衆議院大蔵委員会で福田大蔵大臣が、通貨不安、円対策ということで輸出振興策の再検討、輸入制限の撤廃など、経常収支対策を強力に進める方針を明らかにされたようです。対処の方法としては、輸入制限の撤廃、資本交流の自由化、関税の引き下げ、国際経済協力の推進、輸出マナーの確立など、税制面の輸出優遇措置も来年度の税制改正の中で検討したいという答弁になっているわけです。これは通産行政に重要な関係を持ちます問題でありますだけに、通産大臣関心を持っておられるでありましょうし、また通産省自体としても、これらの諸問題に対する対策はお立てになっておられるのだろうと思うのでございますが、それらの点に対する考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国経済自身が、このような国柄でございますから、輸出というものを伸長してまいらなければならないということは、これはいつのときにも言えることでありまして、ただ、その伸びが非常に、しかも一地区に、あるいは特定の商品に集中いたしますと、国際的な問題を起こすということであると思います。また輸出というのは、輸入をするために輸出をいたすわけでございますから、輸出によって蓄積された外貨は十分輸入に用いられるべきでありますし、さらには、その外貨をもって経済援助を行なう、あるいは資本投下を行なうというようなこともまた、輸出がもとになって可能になるわけでございます。したがいまして、私どもは、輸出というものを減らせばいいと考えておるのではありませんで、輸出の成果を有意義に使うということが大事なことであるというふうに考えております。わが国全体の現状から考えますと、そういう意味では、やはり自由化というような努力は推進してまいらなければなりませんし、また輸出そのもののビヘービアということも、先刻申し上げましたような国際的な観点からも、常に反省をしてまいらなければならないというふうに思っております。
  16. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点よくわかるのですが、具体的な問題として福田さんがお考えになっておられるところは——輸出対策として優遇措置を税制面その他で具体的に講じておられるわけですね。減免措置であるとか、あるいは助成措置であるとか、いろいろやっておられる。大臣がいまお答えになりましたように、輸出の成果を輸入の面に生かしていくということは、全体計画の中でそれなりにわかるわけです。しかし、大蔵大臣は、通貨不安というものをなくするためには、いま講じておるところの輸出に対する振興策を是正をしなければならぬという考え方があるわけですから、そのことに関する限りは、必ずしも、いま大臣がお答えになりましたようなことと、一致できない面が出てくるのではないかというように私は思うわけです。ですから、具体的な問題として、いまの輸出優遇措置として講じておる減免措置であるとか、あるいは、先ほど申し上げましたような具体的な幾多の助成措置があるわけですから、これらはやはり規制しなければならないということが現実の状態であるということは、通産大臣もお認めになるのでしょうか。
  17. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昭和四十六年度におきまして一部手直しをいたしましたのは、一般の輸出に対する奨励策の上に、さらにエキストラで、いわばボーナスのように乗っかっている部分がございましたから、これは落としてもいいのではないかということで整理をいたしました。しかし、国際的に認められておる範囲で輸出についての奨励を行なうということは、別段差しつかえのないことでありますし、また、今後のわが国の外貨の必要性、先ほど申し上げましたことのほかに、なお資源といったような問題もあろうと思いますが、こういうことから考えますと、いわゆるオーダリーな輸出でありさえすれば——私はわが国の輸出かこれで十分だというようなふうにはもちろん考えておりません。したがって、国際的に常識的に通用する範囲での奨励策というものは続けていくことが必要であろう。特定の税制の問題につきましては、別段大蔵大臣から御相談もまだ受けておりませんし、私ども、ただいまのところ具体的に検討はいたしておりません。
  18. 中村重光

    ○中村(重)委員 事務当局いかがですか。いま大臣は、大蔵大臣との間に具体的な接触はないということですが、事務当局としては、大蔵省事務当局との間に、これらの具体的な問題について検討しておるということはないのでしょうか。
  19. 後藤正記

    ○後藤政府委員 事務当局間におきましても、いろいろ常時の業務を通じまして、連絡その他をいたしておりますが、昨年度、事務当局ベースで、輸出関係一般の税制については、すでにもはや優遇の措置を講ずる必要はなく、自力だけで進んでいけるものについては、これを自力で輸出自体をしていくという方向にするという話はいたしておるわけであります。  最近におきます国際情勢の急転と申しますか、急激な変化によりまして、言うなれば、輸出振興というものに対する一面的な点だけについては、非常に風当たりが強いと申しますか、そこまで振興しなくてもいいという感じの空気が一般的に出てきておることは、事務当局間においても事実でございますが、ただいま大臣からお答えがございましたように、私どもとしましては、やはり長期的観点と国際的なバランス、各国の措置、そういったものを考えつつ、今後、大蔵事務当局と折衝いたしてまいりたい、かように考えております。
  20. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣として、通貨不安をなくする——円切り上げというものが日本経済に及ぼす影響が非常に大きいわけですから、これを回避するための通産大臣としての考え方というようなものがおありでございましょうから、ひとつお示しいただければ幸いだと思うのです。
  21. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いわゆる円についてのいろいろな動きというものは、わが国の場合、為替管理、特に短期の為替管理が、御承知のように非常に厳重でございますので、これは、ごくときどき話題になる程度で、私ども、基本的に心配をすべき状態にあるとは考えておりません。  問題はおそらく、わが国の経常収支の黒字が相当大きい。したがって世界的に見ますと、各国の経常収支あるいは貿易収支の赤字を、わが国が一手ではございませんけれども、相当大量にかっさらっておるという印象を与えている、そういうところがむしろ問題なのではなかろうかと思います。そう考えてまいりますと、これらの蓄積された外貨をむしろ有効に使うという形でこの問題を解決していくのが本来ではなかろうか。その使い方につきましては、先ほども申し上げましたように、輸入でありますとか、あるいは海外投資、援助、いろいろな方法があろうと思いますが、まだまだ私どもとして、外貨は幾らでも実は使いたい、要りようなのでございますから、経常収支あるいは資本収支を含めました収支の姿をもう少し正常化していく。つまり平易なことばで申せば、貿易でかせぎました黒字を有効に使っていくということが、私は基本ではなかろうかと思います。
  22. 中村重光

    ○中村(重)委員 石炭だとか石油、それら海外資源の開発に対して、外貨の直接貸しの問題というものに通産省は相当関心を持っておるようでありますけれども、具体的に大蔵省との折衝に入っておるのかどうか。これはたいへん問題であろうと私は思うのですが、通産省としては、その点に対してどのようにお考えでございましょう。
  23. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 蓄積された外貨を有効に使うという観点からは、その問題にも実は非常な関心を持っておりますけれども、実は多少技術的な幾つかの問題がございます。すなわち、外貨をそのまま貸すということになりますと、その場合にどのような担保をとるか。あるいは国内の金利と海外の金利とそのいずれによるか。またもう一つ技術的になりますと、外国為替特別会計へ御承知のように外貨を集中しておるわけでございますから、このためには円資金が必要でございますが、外貨のまま貸してしまったときに、その円資金をどういうふうに調達するかといったような幾つかの技術的な問題がございます。したがいまして、外貨を有効に活用するということにつきましては、いろいろな方途研究いたしたいと考えておりますが、直接に外貨をそのまま、なまで貸すというようなことが、それに伴ういろいろな技術的な問題をどういうふうに解決したらできるかという、むしろそこに私は問題があるのではなかろうかと思っております。
  24. 中村重光

    ○中村(重)委員 基本的な考え方についてはお聞かせいただいたわけですが、さらにまた、具体的な問題点についていろいろお伺いをしてまいりたいと思うのですが、きょうは十二時半に共同接案であるところの採石法案の採決の時間という制約がございます。したがいまして、二十一日にあらためてお尋ねをしたいと思います。  せっかくおいでですから、重工業局長に、私が先般の委員会でお尋ねをしたところでしたが、カラーテレビの安売り輸出に対して、米社の三億六千万ドルにわたる訴訟が日本の家電メーカーを相手に、例のダンピング法違反というものの決定が下されたことと関連をして、アメリカの連邦裁判所に提起されている。これは民間のことでございますから、直接政府が介入するところではないのであろうと思うのですが、関心をお持ちになることは当然でありますし、新聞ではこれに対する対応策をお考えになるようなことも伝えられているのですが、具体的にどのようにお考えになっているのか、この際ひとつ明らかにしてほしいと思います。
  25. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 ただいま御質問のありました点は、昨年の十二月の二十一日にアメリカのナショナル・ユニオン・エレクトリックという会社が、ニューシャージー州の連邦地方裁判所に、日本の松下、東芝以下七社を相手どりまして損害賠償の民事訴訟を起こしたという事件であります。  これは、向こうが主として言っておりますことは、これら日本法人七社、それからこれらの子会社であります米国の法人、これらの者が、米国市場の競争者を排除し市場を独占するために共謀をした、そして国内価格をつり上げるとともに、その利益でもって米国の販売価格を不当に引き下げた、こういったことから損害を生じたために、いま御指摘のございましたように、三億六千万ドルに及ぶ損害賠償請求を起こしたものでございます。これは現に民事裁判という司法の手に移っておりまするので、いわば米国にいたしましても、行政官庁の分野で処理することは非常に私ども困難だと思います。  現状は、日本側の各メーカーも、米国内におきます有力な弁護士をそれぞれ指定をいたしまして、これらが一つの弁護団を組織いたしまして、向こう側の原告の弁護団との間で、訴訟手続の問題からまず話し合いを始めておる、こういうような状態であります。  私ども政府部内におきまして、これをいろいろの角度から検討をいたしておりますが、一つの点は、向こう側が共謀したという事実をあげておるということの背景に、実は輸出入取引法の問題でございます。この点につきましては、向こう側は日本側の業者が共謀したといっておりますが、価格につきましては、輸出入取引法でもっていわゆるチェックプライスというものをきめております。これとの関係が、一体訴訟の内容から見てどういう関連性があるのか。また、その点を強く向こうが指摘をしておるとすれば、わがほうの輸出入取引法と、向こうが考えておるいわゆる共謀事実というものと、どういう関係があるのか。実は数年前に、スイスの時計の問題で同じような提訴がアメリカ国内で行なわれております。こういったような判例等も参酌しながら、もしそういう事態になったとすれば、日本の行政府といたしましても、アメリカの行政府に対して、わがほうの法の趣旨、並びにその法に基づくわがほうの行動等について、十分なる説明をする必要があろう、こういうふうに考えております。この点につきましては、向こう側の提訴の内容等を、弁護団を通じまして目下検討中でございますが、いずれにしても、そういった問題も一つあることは事実でございます。  そのほか、向こう側が目下膨大な資料の要求を原告側弁護団から出しております。当方の被告側弁護団も膨大な資料の要求を出しておりまして、私ども承知いたしておりますところでは、両弁護団の間で、その資料要求についてのまず打ち合わせが行なわれるというふうに聞いております。向こう側でどういう資料を要求するか、その資料を取り扱う手続をどうするか、こういったところがいまの現状であるように承知をいたしております。
  26. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうなんですか。まあ裁判で争うということは、それなりにこちらも対応する、応訴するという形でやっているのでしょうが、それだけではなくして、何か話し合いによって解決をするといったようなこと等が、双方の業界の中では考えられておるのかどうか。また、直接的ではないにいたしましても、通産省としても、これらの問題の解決のために、国際信用上の問題等もあるわけでありますから、関心を持って何か対策を講じたいという御意思をお持ちになっておられるのかどうか、いかがでありますか。
  27. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 私ども、いろいろ業界の幹部の方と本件につきまして協議もいたしておりますが、私の承知いたしておりますところでは、業界の一部には、手続の進行いかんだけれども、ある程度途中の段階で考えなければいかぬかというような一部の意見もございますが、しかし、事柄自身がこういったような損害賠償ということでございますので、もしとの裁判である程度うやむやにするとか、あるいは敗訴するということになれば、これはいまは一社の提訴でございますが、同様の提訴がきびすを接して起こるのではないか。またこれは、たまたまカラーテレビの問題でございますけれども、それ以外の対米輸出商品についても、同様な事態が生じてくるおそれがある。こういうことからいたしまして、ただいまのところ、業界首脳部の本件に対します態度としては、あくまで訴訟で徹底的に争うという態度を固めておるように、私は承知をいたしております。  また、通産省といたしましても、いま申し上げましたように事柄は、向こうがアメリカの電気会社一社の提訴でございますが、その及ぼす影響は非常に重大でございますし、また今後の事態も十分憂慮されますので、ワシントンにあります日本大使館とも連絡をとり、先般もこういったことについて、大使名をもって米国側に何らかのアクションをとってはどうか、そういうことについてはいかがであろうか、というような請訓も来ております。こういったようなことでございますので、私どもとしては、事態の重大性にかんがみまして、あらゆる角度から検討し、行政府として打つべき手は油断なくこれを打っていきたい。また同時にアメリカ側の、これは司法と行政と違いますが、私どもの及ぼす範囲内であらゆる努力をして、本件の解決に努力をしてまいる所存でございます。
  28. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま御説明をいただいたことを伺ってみましても、事態の重大性を感じ取られるわけです。また、家電メーカーだけではなくて、労働組合も損害賠償の訴訟を起こしておるということを伺っているわけです。これの裁判の結果いかんによりましては、いまお答えのように、次から次にこうした事態が発生をしてくるであろうということが十分想像できるわけですね。  私はこうした事態が発生をすること等から考えてみまして、政府に申し上げたいことは、国民感情としても、外国においては十九インチのカラーテレビが何か六万円か七万円で売られているのだ、しかし国内では十九万八千円、二十万円近い高い販売価格で売られているではないかという反発が、非常に強く出ておったわけですね。国会の中でも、そのことが指摘されたことはたびたびあるわけですよ。ところが、そうした際も、政府のほうでは、具体的な内容等について納得いくような御説明がなされてこなかったわけです。また国民に対しても、そうした説明は、政府からも、また家電メーカーからも、なされなかったと私は思うわけです。ところが、こうした事件が発生をいたしますと、政府も非常に高い姿勢でこれに対応しようとしておられる。また家電メーカーしかりであります。  申し上げたいことは、先ほども指摘いたしましたように、国民感情としても、全くこの家電メーカーもけしからぬ、政府も何をしているのだ、国民を犠牲にしておるではないかという日本国民の反発というものがあった。一方今度は、アメリカにいたしましても、あるいは安いカラーテレビを買っておる国民、消費者は別といたしまして、労働組合にいたしましても、あるいはメーカーにいたしましても、日本政府も、また日本の家電メーカーもけしからぬ、ダンピングでアメリカの労働者、アメリカの家電メーカーを非常に苦しい状態におとしいれておる、混乱させておるのではないかという反発があったであろう。民間のそうした声が、政府をしてそういう態度、措置をとらしたのだろうと私は思うわけですね。そしてダンピング法違反であるという裁定が下された。私は軽々にやったと思いません。感情的にそうした措置がなされたものであるとも考えません。相当な確信を持ってダンピング法違反という形がとられて、そういう裁定がなされたものであろう、そのように考えるわけです。したがって高い訴訟費用を払って裁判を提起いたしましたアメリカの家電メーカーにいたしましても、あるいは労働組合にいたしましても、相当確信を持っておるのではないか、そう考えざるを得ないのであります。  これらのことを考えてみますと、もっと早く、実際にどの程度で外国に売られておったのか、その売られておる価格と日本の国内に売られておる価格というものはどうしてこう違うのか、内容はどうなっておるのだということを、国会の場においても明らかにすべきであったし、また国民にもその真相を知らせる必要があったのではないか。そうした措置が講じられておったならば、このような事態の発生というものは防止できたのだと私は思うのです。それらの点に対してどのようにお考えになっておられるのか、この際ひとつ考え方をお示しいただきたいと思います。
  29. 赤澤璋一

    赤澤政府委員 当委員会でもしばしば中村委員からも御指摘を受けまして、累次にわたって私も御答弁を申し上げたところでございますが、テレビの価格問題につきましては、いわゆる二重価格というようなことでまず問題が出てまいったわけでございます。これはやはり私どもがその問題を検討いたしてみましても、非常に急成長し、そして四十年以来、数年間にわたって十倍以上も販売が伸びてきた、こういう業界の販売政策と非常に深く関連しておると思います。  従来、やはりこのカラーテレビの販売につきましては、ある程度高い価格をつけておいて、そこから大幅に値引きをするということで、消費者にいかにも得をしたような印象を与えながら販売を促進するという面があったことは、私は否定のできない事実であろうと思います。こういったような販売政策について、たまたまこういう問題の発生を契機に、業界に対して強い反省を求め、その流通制度を合理化し、そしていわゆる二重価格というものを解消させるという方策をとってまいりましたことは、昨年の秋以来、一連の私どもの行政行為で御理解をいただけるのではなかろうかと思います。  その結果、現状におきましては、御承知かと思いまするが、ことしの一月以来、四十九の新機種が出ておりまするが、そのうち、従前の機種と対比をいたしてみますと、大体対比のできるものが約十七機種ございます。これらの旧製品と対比のできるもので対比をしてみますると、大体二〇%前後値下げが行なわれ、現状の流通段階での調査の結果によりますと、こういった製品は、大体五、六%ぐらいの値開き、スーパー店等では一割くらいまで値引きするところがあるようでありまするが、その程度の段階にこの二重価格の問題というものはおさまってきておる、こういうふうに、調査の結果私は判断をいたしております。  一方、輸出の価格と国内価格が非常に開いておるのではないかということもしばしば御指摘を受けたところございまして、また、これは非常に深くアメリカのダンピング問題とも関連をしておることは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、私どもも実際問題として、企業の秘密である原価の中に立ち入って追及をしていくということにはいささか限度がございまするので、どこまで的確にやれるかということについては、必ずしも私は確信が持てない面もございますが、しかし相対的に見て、アメリカの市場価格、つまり日本製品が売られておるアメリカの価格と、同じようなものが日本国内で売られておる価格とを比較してみると、それほど大きな差はない。むしろものによりましては、アメリカ市場価格のほうが高いものがあるという事実は、これは事実として申し上げ得ると思います。  しからば、FOBの価格と日本側の蔵出し価格、これとの差はどうかということになってまいるわけでございまするが、この点が、アメリカの財務省等に対しましても私どもが主張いたしましたように、アメリカの流通制度日本の流通制度の違い、また価格面だけで申しますと、税金の問題、さらにはリベート問題、こういったいわゆる流通段階における各種の経費というものがアメリカ日本では違っておる。この違いはやはりある程度認識をせざるを得ないと思います。ただ、その違いの中に、いかにも不合理であり、販売を促進せんがために、いわば消費者ではよく理解のできないような、こういうことばは適当でないかもしれませんが、ごまかし的なものがあるのじゃないか、こういうことを私ども指摘をいたしました。  私どものそういった調査の結果に基づく指摘によりまして、現在では、リベートの数等も相当減らされてきておりまするし、またある面では、リべート自体も、リベートの幅が非常に薄くなってきております。こういう一連の指導を通じまして、私ども、今後こういった方向に沿って、家電の流通というものが合理的に行なわれることを強く希望いたしておりまするし、また、今回のことを契機にいたしまして、先般も家電業界の首脳部に対しまして、いまやっと家電が上向きに売れてきたということで、この、年余りの教訓というものを決して忘れてはいけない、深く反省の上に立って今後の家電政策、営業政策、こういったものを律してもらいたい。それにはどういう姿勢を打ち出すか、はっきりとした考え方を家電業界としてこの際打ち出すべきだという要望を強くいたしております。おそらくそういったことでございまするので、いま御指摘のありましたような全体の点も含めて、非常に深い反省の上に立った今後の家電業界としての姿勢を打ち出してくることを期待いたしております。また、そうあるべきものと私どもも信じておる次第でございます。
  30. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま御説明になったようなこと、私が申し上げたことは、なぜにもっと早くそうした姿勢をもって対応しなかったかということを指摘したわけです。率直に言わしていただけば、日本の独占企業、なかんずく家電メーカーであるとか、あるいは自動車メーカーであるというのは、あまりにもわがままにすぎると私は申し上げたい。たとえば自動車メーカーにいたしましても、労働賃金というものが全体の生産コストの中に幾ら占めておるかということに対しても、通産省にすらそのことが明らかにされなかった。私ども質問においてもしかりであります。ただ利潤追求というものに彼らはひたむきに奔走してきたということです。そしてこういった事態が発生をする。あるいは主婦連を中心とするところの消費者団体が、二重価格の問題、カラーテレビの値下げの問題等々で立ち上がる。あるいは不買運動を起こす。外国においてはダンピング法違反という、いわゆる関税法違反の裁定を受ける裁判が提起される。こういうことになって初めてあわただしく行動しておるということです。  政府におきましても、いまあなたからここで詳細な御説明がありました。しかし歴代の重工業局長において、政府全体の姿勢といたしましても、いまあなたが御答弁になったような内容に入った答弁というのはなされなかった。また、それを把握することができなかったのか、把握する意欲というものがなかったのか、そのことがこういう事態を発生させたと私は申し上げておるわけです。ほんとうに物価値下げのために積極的な姿勢をもって対処してきたならば、もっと物価も下がったでありましょうし、私どもがいま提案しておりますいわゆる寡占価格の規制の問題、そういった法律案は、私ども野党が提案するまでもなく、政府においてそれらの措置というものが講じられなければならなかったということ、その点に対する政府姿勢と申しますか、物価問題に対応するものの考え方、あるいは対外関係ということに対しましてもあまりにも無関心にすぎたということを、私は指摘するわけです。この際、通産大臣考え方をひとつお聞かせいただきたい。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま重工業局長から申し上げましたように、結局、国内面におきましては、メーカーの間に自由な競争がある、そうして自由競争を阻害するような行為があってはならないということに尽きると思います。私どもとしては、行政上そういう点に特段の配慮をしていかなければならないと思っております。  他方しかし、対外の問題になりますと、これはまたかなりいろいろ複雑な要素が入ってまいると思いますので、ことにわが国の場合、輸出入取引法等によりまして、輸出につきましては、輸出業者の間で共同行為をするということが許されておるわけでございますから、これはまた別の問題として考えるべきではないかと思います。
  32. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はいまの通産大臣の月並みな答弁を求めたのではないのです。政府姿勢として、反省として、どうお考えになっておられるのか、また今後どう対応しようとしておられるのかということについての考え方を聞きたかったのです。しかし、それはまたあらためてお尋ねをいたすことにいたします。  原田通商局長にバナナの輸入自由化の問題について簡単にお尋ねをいたしますが、時間の関係もありますので、答弁もひとつ簡潔にお願いをいたします。  御承知のとおり、バナナが一度自由化をして、そこで今度は売り手市場になったということで、また後退をして外貨割り当て制というものに移行する、そして今日に至っておる。ところが、今度はまた、台湾のは売り手市場でもなければ買い手市場でもないというので、大体中庸を保っておる形です。南米もの、あるいはフィリピンのものというようなものが、これまた売り手市場になるということで、先般は、国内の卸価格というものがむしろ輸入価格よりも下回ったということで、ずいぶん混乱が実はあったわけですね。やはりこれも、台湾を除く地域が売り手市場ということになっておるのではないかと私は実は考えてきたわけですが、そういうことで通商局の次長に対するお尋ねもしましたし、お答えも実は伺ってきたところでしたけれども、今度、台湾側からの申し出があって再び自由化をしようと考えておられるようですが、どうしてそういうことになったのか。自由化してもだいじょうぶなのだということなのか。しかも自由化というものが唐突として出てきて、いつ実施するということはきまっていないようでありますけれども、相当積極的な自由化に対する対策を進めておられるようでありますが、それらの点に対する一つ考え方、それをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 原田明

    ○原田政府委員 バナナにつきましては、長年国会でも御指導いただいてまいったわけでありますが、先生御指摘のように、一ぺん自由化をしましたあと、取引の混乱によりまして再び台湾バナナについてだけ割り当てを続けてまいりましたが、四十年の七月に自動割り当て制度のもとにおける割り当てを実施しましてから、すでに六年ばかりの年月を経ました。  その間に、台湾以外の輸入先の開拓というものがかなり進みまして、現在では、第一には、需給関係で従来の供給不足という形態から供給過剰という形態に変わってきておるように思います。また第二番には、台湾バナナの独占的なシェアというものがなくなりまして、一ころ八八%のシェアを占めておりましたのが、去年では二五%、ことしの一−三月では三二%程度に著しく下がっております。第三には、輸入業者の方々御自体の輸入秩序維持というものに対する御自覚も、かなり醸成されつつあるように思います。一方、台湾のほうでは、よその国が自由化されておるわけでございますから、自分の国だけ割り当てを続けてもらうのは困るという強い要望が、すでに昨年の五月前後から続けられております。  そういう状態でもございますので、この段階では割り当て制を廃止するということを考えましても、かつて起こりましたような取引秩序の混乱というような大きな問題は、ほとんど生じないのではなかろうかというように判断をいたしました。したがいまして、政府としましては、一般的な自由貿易推進という立場、あるいは消費者の方々の利益の増進というような立場から、この際、台湾バナナにつきましても、自由化を進めるという方向で考えてよろしいのではないかという判断に達したわけでございます。
  34. 中村重光

    ○中村(重)委員 確かに情勢としては、いまお答えになったような情勢になりつつある、こう思っておるのです。いま一番最後におあげになりました消費者利益ということ。現在のこの自動割り当て制、このもとにおきましても、先般来極端に価格が下がった。私が申し上げたとおりなんです。自由化をしたならば、それではもっと価格が下がるのかということになってまいりますと、必ずしもそうではないのだろうと私は思うのです。すでに自由化をしている南米、中南米もの、あるいはフィリピン、そうした地域からの輸入バナナのほうが、六〇、あるいはもう最近は七〇ないし八〇というようなところまで出ているわけですね。非常に高くなっているわけです。それが国内価格というものを構成をするという形に実はなっているわけですから、その種の影響というものは、私はあまり関係ないんだろうと思う。むしろそのことよりも、国内産の果樹園芸にどのような影響をこの自由化によって及ぼすのであろうかという点も、やはり私の関心事であるわけです。農林省お見えでございますから、農林省からもひとつこの点に対してのお考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。  それから、いろいろおあげになりましたが、昨年の五月からというお話が実はあったわけですね。台湾からの自由化申し入れというのがそのころからあったのかどうか。いまのお答えでは、ちょっと私聞き落としたわけでございますが、唐突として出された、こういう感じが私はするわけです。同時に、忘れてはならないということよりも、政府考えてやらなければならないことは、自由化をしてそこで売り手市場という形になった、これではいけないというので、政府が外貨の自動割り当て制をおとりになった。そして約七百社のバナナ業者というのを二百五十社に企業整備というのか、整理をされたわけです。相当な出血を要求をしてきたという事実があるわけですね。しかもこれらは大企業ではなく、むしろ中小企業中心とするバナナの専門業者であるという事実がある。一方今度は、自由化されている中南米あるいはフィリピンものにいたしても、むしろこれには、外国資本であるとか総合商社というものが、資本力にものをいわせて、このバナナ専門業者を圧迫しているという事実があるわけです。しかもこれらの業者は、輸入組合に加盟もしていないということです。これをどうするかという問題が一つあるわけです。  それから今度は、台湾産バナナの自由化をやるということになってまいりますと、入札は公開として指名入札、随意契約は一切行なわない、こういうことでございますから、ここへも、いままで進出をしていなかった外国資本であるとか、あるいはまた総合商社というものが、活発に進出をしていくであろう。そうなってまいりますと、中小企業のバナナ輸入の専門業者というものは、再び中南米もの、フィリピンものと同じように圧迫をされる、生き残ることすらできないという状態におちいっていくのではないか。それらのことを政府はどのように配慮しておられるのかということなんです。  政府の行政指導に従って七百社から二百五十社に減らした。出血をあえていとわなかったそれらの業者が、再び自由化によって、現在置かれているような、中南米もの、あるいはフィリピンものと同じような状態の中に台湾ものが追い込まれるということになってまいりますと、私は、政府の行政指導というものに対する大きな不信感というものを持ってくるのではないか。それらのことをどのように配慮し、弊害がないような措置をおとりになろうとお考えになっておられるのかということですが、農林省からも国内果樹園芸の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  35. 大場敏彦

    ○大場説明員 バナナの輸入につきましては、十数年以前から自由化がすでに行なわれておりまして、輸入数量も、昨年の例で申し上げますと八十数万トンということになりまして、十年前より十倍以上に増大しております。そういう状態でございまして、台湾産バナナにつきましても、輸入実績割り当て制度というものを、自由化後再び通産省方面におきまして実施されておりますが、輸入量の規制というものは特段いたしておるわけではございませんので、この問題は、完全な意味での自由化が行なわれましても、台湾産のバナナの輸入が異常に増大して国内産果実その他に著しい悪影響を及ぼすということはないと思っております。自由化が再開されましても、輸入の状態というのは根本的に変わってくるということはないのではなかろうかと思っております。  先ほど通産省のほうでお答え申し上げましたように、需給状況がタイトであった当時と需給状況がだいぶ変わってきておりますし、また輸入の仕向け国といいますか、仕入れ先の状態も、台湾だけでありましたのが非常に多様化しておりまして、数年前までは台湾がほとんど独占しておりました。それが最近では四分の一程度になっておりまして、むしろ中南米バナナのほうが非常にウエートが大きくなってきておる、こういういろんな事情もございますし、国内体制もその当時よりは逐次整備されてきておるということもございますので、自由化が行なわれましても、極度の混乱が起きるというふうには思っておりません。ただし、総合農政展開過程でございますので、そのために著しい混乱が起こりまして、総合農政の中の重要な果樹産業に著しい影響を与えるようなことがあってはなりませんので、取り扱いはよほど慎重にしていきたいと思っております。  自由化する方向につきましては、農林省といたしましても、特に根本的に異論があるわけではありませんが、その悪影響がないような形でしていただきたいというように、通産省とも寄り寄り相談しております。自由化したとしますれば、あとの向こう側の輸出体制がどうなるのか、そういったことも含めまして、国内産果実に与える影響がないように慎重に取り扱っていきたい、こういうように通産にもいろいろお願いをしておる過程でございます。
  36. 原田明

    ○原田政府委員 中村先生御指摘の諸点、まことにごもっともでございまして、バナナの行政に関しましては、私ども肝に銘じて慎重に対処していきたいと思います。  今回、自由化の台湾側の要望につきましても、一ぺんそういうことをやりまして、また混乱を生ずるというようなことが二度とあってはいけないということで、一年余にわたりまして慎重に検討いたし、こちらが自由化をしておりますのに、台湾のほうは依然、独占的統制体制というものを続けて、こちらが手玉にとられて混乱を生ずるということがあっては困りますので、その条件としまして、こちらが自由化をしようというからには、そちらのほうも国内体制を十分に整えていただかなければ困りますという観点から、いろいろ御要望申し上げたわけでございます。その結果、ついに台湾側も、それでは公開入札制というようなことに踏み切りましょうということを申してまいりまして、その実施の方法等につきましても、さらにこちらで要望を申し上げておりまして、こちらの要望がどの程度実現されるかというような今後の話し合いによりまして、自由化をすべきかどうか、いつやるべきかというようなことをきめたいというように考えているわけでございます。  輸出に伴う輸入のほうの体制につきましても、一ころ、非常にもうかって暴利を生ずる、ペ−パーダミーというようなことばで先生方から御指摘をいただいた経験もございますので、その体制を整備したわけでございますが、しかし今回は、自由化されますと、それに伴って、バナナだけで食っているというような中小輸入業者の方々が非常に困られるという事態が生じては困るわけでございますので、この点も十分考慮いたしまして、業界の方々とかなり密接に長い期間にわたって御相談を申し上げまして、まず、こういうことならば自由化をしてもいいではなかろうかという体制がとれるという見通しが大体立ってまいりましたので、自由化の方向に踏み切るということで考えているわけでございます。具体的な方法としましては、たとえばグループ化、協業化、配荷、共同船積みその他、いろいろの部門においてそういうことが可能であろうかと思います。そういう業界の方々自体体制の問題というようなことも考えております。  また、現在でも、このバナナにつきましては、いわゆる総合商社というもののシェアはさほど大きくはございませんで、二五%程度ではないかと思います。したがいまして、こういう商社が急速にいわば荒びることのないように、総合商社の方も組合に入っていただいたらどうでしょうかというような話し合いでございますとか、先生の御趣旨に沿いまして、わが国の中小バナナ業者の方々が困られないような方策も十分講じました上で、自由化という方向に進むように心がけてまいりたいと考えております。
  37. 中村重光

    ○中村(重)委員 原田局長お答えのとおりに、バナナはあなたについて回っているわけで、あなたが通商局の次長のとき自由化をやり、またこの自動割り当て制に移行し、またあなたのほうで自由化ということで終止符を打とうとしている。したがって、あなたが一番よくわかっておられるのですね。私も、あなたが次長のときにお尋ねし、また局長のあなたにこの問題で質問するというようなめぐり合わせに実はなっておるわけであります。確かに、ペーパーであるとか、ダミーであるとかというものを一掃するということが中心であったことは、私も承知をしているわけです。同時に、それだけではなくて、輸入秩序を守っていくためには大体この程度が適当であろうということで二百五十社程度にいたしましたし、いろんな条件をその際に整備をしたというように記憶をしているわけです。  そこで、台湾産に関する限りはうまくいっているのではないでしょうか。ところがシェアは、そのためもありましょうし、また台湾自体関係というようなものも影響して、わずか二〇ないし三〇%程度に下がってきたということだと思うのです。しかし、この総合商社なんかのシェアというものがあまり大きくないとおっしゃったわけですが、必ずしもそうではない。総合商社の資本系列というのがありますね。実際は総合商社の資金的な援助その他によってやっているのだけれども、表面にはそれが出ない。したがって、総合商社のシェアというものは通産省の統計に出ていない面で相当大きいのではないか。これが再び台湾産にまで及ぶということになってまいりますと、通産省の行政指導を信頼してやってきたバナナの中小企業の専門業者というものは、泣くにも泣けないことになるのじゃないでしょうか。だからその点は十分考えてほしいということです。  それから、消費者の利益を考えるということは、これはもちろん忘れてはなりません。このことが台湾産のバナナの自由化というものによって、先ほど申し上げましたように、大きく好影響を受けるということにはならないのではないか。先般ですら、輸入価格よりもずっと卸価格が安かったという実態、ああいうことでは、もうその業者自体が死んでしまうのだからどうにもならないということになって、むしろ混乱をするということにもなってまいりますでしょうから、それらの点、十分配慮してほしいと思います。   〔進藤委員長代理退席、委員長着席〕  自由化をしなければならないということには、農林省も積極的に反対ではないということでございますから、自由化をするなら、そのおやりになる時期は十分検討するということです。相手もあることでございましょう。また相手のことだけではなくて、消費者のことも考え、農民のことも考え、それから専門業者のことも考えるということで措置していただきたいということでございます。  同時に、いまお答えになりました輸入秩序を守っていくという点からも、私は当然この総合商社は組合に積極的に加入させなければならぬと思います。そうすることにおいて、うまくいくのではないでしょうか。私は行政指導というものはそうあるべきだと思う。ともすると通産省が大企業と癒着をして、通産省というものは大企業のちょうちん持ちだ、大企業に奉仕さえすればよろしいのだというような、そうした国民の声というか——中に偏見もあろうと私は思うのです。しかし、そういうことがあることもまた否定できないものがございます。中小企業が非常に通産行政に対する不満とか疑問を持っておるということも、私は耳をおおってはならぬと思います。それらのことも十分配慮されて、積極的な適切な措置を講じていただきたいということを要請しておきたいと思います。この点については、最後に通産大臣からお答えをいただいておきたいと思います。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 自由化そのものに反対するというお立場ではなく、それに伴ういろいろな問題をよく配慮せよということに承りました。通商局長が申し上げましたように、そういう点は十分配慮しながらやってまいりたいと思います。
  39. 中村重光

    ○中村(重)委員 繊維雑貨局長お見えですね。これはあなたからお答えをいただきましょう。先般、私が当委員会におきましてお尋ねをいたしました輸出雑貨センターの人員整理の問題は、その後どのようになっておるのか。時間の関係もありますので、簡単にお答えいただきたいと思います。
  40. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 雑貨センターの再建策につきましては、理事者側から組合に対しまして、八十八名の整理を含む再建策を示しまして、いま組合と交渉中でございます。かたがた、雑貨センターの理事者が主要な雑貨産地におもむきまして、雑貨の業界に対しまして、雑貨センターの今後のあり方、あるいは今後の在続自体について業界はいかなる意思を持っているか、業界としては雑貨センターをサポートするかどうかということの確認をとると同時に、再建にあたりまして業界からの資金的な援助ももらいたい。それから、再建の途上におきます人員の整理につきましては、各地の雑貨業界もその引き取りに協力してもらいたいという点を持ち出しまして、いま各地の業界の決意を聞いて歩いているところと承知しております。
  41. 中村重光

    ○中村(重)委員 いろいろお答えがあったわけですが、どうも通産省考え方というのか、取り組む姿勢というのか、積極性がないように思うのですね。だから最終的に通産省はどうしようと考えておられますか。
  42. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 端的に申しまして、雑貨センター自体、自分の進路をはっきりした方向できめるということを私ども第一に期待するわけでございますが、私ども気持ちといたしましては、雑貨センターは、雑貨の輸出振興のためのいろいろな施策の文字どおり中心でございまして、このセンターがもし業界の支持を得られるならば、やはりこのセンターが業界の輸出振興のための諸施策を進めていくという形が望ましいと私は思います。ただこれには、繰り返して申しますけれども、雑貨業界自体がセンターを中心に盛り立てていこうということが必要だと思います。  それから現在の問題は、雑貨センターの収支はどうなるかということでございます。収支を合わせますには、言うまでもないことでございますけれども、収入をふやすか支出を切るかという二つしかないわけでございます。収支をふやす手段として考えられることはいろいろあるかと思いますが、結論だけ申しますと、この際、雑貨センターが大幅に収入をふやすということは、私は非常にむずかしいと思います。したがいまして、雑貨センターが今後存続していきますためには、支出を削減いたしまして、事業規模を縮小した形で、しかも収支相償うというような形で行かなければならないというふうに考えております。
  43. 中村重光

    ○中村(重)委員 そんな無責任な話がありますか。なるほど雑貨センターというのは財団法人なんです。業界が構成員になっているのですよ。しかし輸出検査が必要なんだから、あなたのほうでは輸出検査法を施行をしたのだ。それに基づいて、業者がいやと言ってもあなたのほうでは輸出検査を要求をしてきたわけなんだ。そういうことで今日まで雑貨センターの運営がなされてきたのですよ。国の法律によって検査制度が確立され、その法律によって財団法人雑貨センターがつくられ、国の業務であるからということで、直接であろうとも間接であろうとも、安んじてそこに骨を埋めようということで労働者は集まってきた。そして希望を持って仕事をしてきたわけでしょう。いま雑貨センターというものをもっと規模を縮小する、経費を削減をしていくということでなければ、収入というものはこれ以上望めないんだ、まず業界自体が雑貨センターを守っていくという姿勢がなければだめなんだ、業界よ、かってにしなさい、そういう無責任な政府考え方がありますか。いままで十年間、あなた方はどれだけ新しい商品の指定をし、どれだけこれをはずしてきたのですか。雑貨センターの設立目的というものはどうなっていますか。いまの答弁なんというのは無責任もはなはだしいと私は思う。
  44. 後藤正記

    ○後藤政府委員 輸出検査の問題が出てまいりましたので、私からお答えを申し上げたいと存じます。  輸出検査法は御承知のとおり第一条の目的といたしまして、「輸出品の声価の維持及び向上を図り、もって輸出貿易の健全な発達に寄与することを目的とする。」、これによって強制検査を行なってまいったわけでございます。貿易の振興、輸出振興ということが至上の命題でありました過去十数年来、海外におきまする商品の声価を維持するために、不良品その他が出て行っては困るということで、この検査をいたしてまいったわけでございますが、その間申すまでもなく、相手方の需要、それから当方といたしましての輸出品の構成等によりまして、輸出検査の対象品目数、その業種等はずっと推移をいたしてまいりました。そのつど情勢の変化に応じ、品目をあるいは削減し、あるいは追加指定し等々をいたしてまいったわけでございます。  で、先生御承知のとおり、最近の情勢は、全般の総輸出の中に占めてまいりまする軽工業品、なかんずく雑貨製品の比重というものは漸次縮小をいたしてまいり、同時にまた、業界自身におきましても、いろいろな品質管理あるいは技術水準の向上等々によりまして、強制検査を行なってその品質の維持をはかるというこの輸出検査法の目的は、業種または品種によってその度合いが薄れてきているものが非常にたくさんございます。そういった情勢に応じて、私どもは適宜その品目の廃止を行なってきておるわけでございます。  そういったわけで、事実、雑貨センターが過去におきまして、その取り扱い品目と申しますか、検査をいたしております品目について行なってきた役割りは、私どもは評価するにやぶさかではございませんが、現在のところ、その扱っております品目につきましては、漸次この輸出検査法の目的といたしました強制調査というものの意義が、相当の分野におきまして薄れてきておることは事実でございます。また各国等の例を見ましても、おおむねこういった強制調査というものは、むしろ中進国と申しますか、発展途上国と申しますか、そういう粗悪品が輸出されるというおそれの多いところに多いわけでございまして、先進諸国におきましては、農産品等、特定の品目、あるいはまた安全衛生等々の別の見地を除きましては、輸出検査は強制的な検査は行なわずに済ましてきておる、こういうわけでありまして、輸出検査法の対象内容といたしますものも、品目によって時勢とともに推移するということは、御了解願いたいと存じます。
  45. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたがお答えのように、輸出をふやしていくために、商品の高級化をはかっていくためにこの輸出検査法を制定し、しかも強制検査も行なってきたとこう言っている。おっしゃるように、検査目的というものが相当薄れてきたものもある。私も否定はしない。あなたは、新たに検査の対象品目として追加したものもある、削減したものもあると言われたが、それではお尋ねする。雑貨センターの対象の品目だけに限ってけっこうです、時間的な関係もあるから。どれだけの品目を削減をし、どれだけ追加をしてきたのか、十年間に検査基準というものをどのように改めたのかということです。いかがですか。
  46. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答え申し上げます。  検査基準は、雑貨センターに関する限り、特段の変更はいたしておりません。申すまでもなく、輸出検査というものは、言うなれば、それが海外において要求されまする一番最低と申しますか、そういった基準というもの、ここまでの品質でなければ合格はさせられないというところに基準があるわけでありまして、その品質の向上とか高級化というものは、おのずからまた、強制という意味でなしに別の措置があるように考えております。  次に、全般の検査対象品目数は、雑貨センターに限りませず、全体的に申しますと現在四百四十九品目ございます。これは昭和四十一年ごろの最高時は四百九十八品目ございました。その後、追加、廃止等、種々変遷がございまして、現在に至っておるわけであります。
  47. 中村重光

    ○中村(重)委員 十年間検査基準というものを改めていないのですよ。
  48. 後藤正記

    ○後藤政府委員 御説明がことば足らずだったかと存じまするが、そのつど改めてまいっております。私の申し上げましたのは、雑貨センターに関しましては大きな検査基準の変更はいたしておらなかった、こういうことでございます。
  49. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間的な関係もあるのだから、私は、雑貨センターの検査の対象となっている品目に限ってお尋ねするが、ということで申し上げているのだから。だから、雑貨センターの検査対象品目となっているものは、検査基準は改められていない。あなたは、あまりたいした、というような意味の表現でもってお答えになっておられるのだけれども、ずばり答えなさい。変わっていない。新たに追加したものもないでしょう。削減したものはある。  いいですか、これほど海外市場というものが、低開発国の追い上げによって非常に苦境に立ちつつある。それから、特恵関税というものもこれからでありますが、これもまた大きな関心事として対応策を講じていかなければならないと私は考える。悪かろう、安かろうというものではなくて、いわゆる良質の品物というものを輸出をしていくのでなければならない。そうした競争力においてうちかっていくということが、私は日本の輸出を伸ばしていくゆえんであると考えている。それならば、この検査の問題とは不可分の関係にあるではありませんか。ならば、十年間検査基準を変えないできた、新たに品目の指定もない、ただ検査目的というものが薄れてきたからといって、これをはずしていくというような消極的なことで、この輸出検査法を制定をする、あるいはそれに基づいて検査機関をつくられる、そういうことでよかったのかどうかということです。より内容を充実し、より強化し、よりその検査目的を達成をするというところに、そうした法律の制定と検査機関を整備をするということがあったのではありませんか。
  50. 後藤正記

    ○後藤政府委員 検査基準の変更あるいは追加指定等は、これはいずれも対象のものによることだと思います。雑貨センターが取り扱っております品目につきましては、検査基準の変更はございませんでしたし、また現在、指定を取りやめる方向にある品目は、ほとんど大部分と申しますか、非常に大きな部分を占めるとお答え申し上げます。
  51. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は質問するからには、ある程度調査をして質問をしているのだ。いまお答えになったようなこと、それでいいのかどうか。輸出検査法を制定をした意義なり目的は何なのか。公的機関であるところのいわゆる総合的な検査機関として雑貨センターというものをおつくりならば、ほかの検査機関とは違った形の期待というものが政府にはあるのだろうと私は思っているのです。ならば、この雑貨センターのそうした検査対象となっている品目の検査基準について、あるいはまた、良質なものを輸出をするという形になってまいりますから、次から次へ、技術革新の中で新たな製品の輸出というものかなされておるのでありましょうから、そういうものの検査の必要がないのかどうか。それから原材料というものは、木製品からプラスチックであるとか、そういうものに変わっている。同じ釣りざおなら釣りざおをつくるにいたしましても、あるいはライターをつくるにいたしましても、いろいろ原材料は変わってきている。そういうものが、原材料が変わってきておるからといって検査対象からはずしていくというやり方、そういうことでよろしいのかどうかということです。あなた方は、ただそのときの状況ということだけに重点を置いて法律をつくり、そして機関をつくり、さらにこれを進歩、発展をさせるということに対する努力はなされてなかったではないか。それが今日の状態におちいっているのでしょう。それに対する反省もなく、規模を縮小する以外雑貨センターは立ち行かないのだ、収入はこれ以上上げることはできないのだ、そういう無責任な態度がありますか。どうでしょう。
  52. 後藤正記

    ○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、現在実施いたしております輸出検査法の対象品目は四百四十九品目でございます。そのうち雑貨センターが現在扱っておりますものは十五品目でございます。したがいまして、品目数の多寡はともかくといたしまして、そういった全体の位置にある。同時にまた、扱っております品目が、特に品質等々、検査基準の改正を必要としなかったものが、先生御承知のとおりに、非常に多いということを申し上げたいと存じます。      ————◇—————
  53. 八田貞義

    八田委員長 この際、採石法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来、各党間において御協議を願っておりましたが、理事会において御協議が整い、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第であります。     —————————————     —————————————
  54. 八田貞義

    八田委員長 その趣旨について、便宜委員長から御説明申し上げます。  御承知のとおり、最近、岩石資源は、土木建設事業の活況と砂利資源の枯渇に伴いその重要性を増し、採石業の事業場数及び岩石の生産量は、需要の増大に伴い著しく増加してまいりました。しかし、その反面、事業の実施に伴い、土地の崩壊・流出・陥没、あるいは飛石、粉じん、騒音、汚水の発生等の事態も増大するに至り、これらの採石による災害の防止は、各地において重大な問題となっております。  従来、採石による災害の防止につきましては、昭和三十八年の採石法の一部改正、昭和四十四年の通商産業省の省議決定による採石公害対策措置要綱等により対処してまいりましたが、必ずしも十分とはいいがたいので、最近の採石による災害の深刻な実情に対処するため規制を強化することが必要であります。  本案は、このような実情にかんがみ、採石業者の登録制度、岩石採取計画の認可制度を創設し、かつ、その実効を期するため、採石業に関する権限を通商産業局長から都道府県知事に移行しようとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一は、採石業者の登録制度を創設し、採石業を行なおうとする者は、通商産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないことであります。  第二は、採石業務管理者制度を創設し、採石業を行なおうとする者は、その事務所ごとに、都道府県知事が行なう試験に合格した者等を採石業務管理者として置かなければならないこととし、採石業務管理者は、岩石の採取に伴う災害の防止に関する職務を誠実に行なわなければならないことであります。  第三は、岩石採取計画の認可制度を創設し、採石業者は、岩石の採取を行なおうとするときは、岩石採取場ごとに採取計画を定め、事前に都道府県知事の認可を受けなければならないことであります。  第四は、都道府県知事は、採取計画の認可後においても、これに基づく岩石の採取が他人に危害を及ぼす等、公共の福祉に反すると認めるときは、その採取計画の変更を命ずることができることとし、また、岩石の採取に伴う災害の防止上緊急の必要があると認めるときは、災害防止のための必要な措置または岩石の採取の停止を命ずることができることであります。  第五は、市町村長は、岩石の採取に伴う災害が発生するおそれがあると認めるときは、都道府県知事に対し必要な措置を要請することができることとし、都道府県知事は、この要請があったときは調査を行ない、その結果必要があると認めるときは、採取計画の変更命令等、必要な措置を講じなければならないことであります。  第六は、採石業者は、廃止または廃石の堆積したもの等について、これを譲渡または放棄した後であっても、認可された採取計画に従って災害防止に関する措置を講じなければならないことであります。  第七は、都道府県知事は、岩石の採取を廃止した者に対し、廃止の日から二年間は、その者が岩石の採取を行なったことにより生ずる災害を防止するため、必要な設備をすることを命ずることができることであります。  その他、採石業者に対する通商産業大臣または都道府県知事の指導及び助言、岩石採取場における採石業者の標識の掲示、通商産業大臣関係地方公共団体の長に対する資料等の要求、罰則の整備、経過措置等について定めることであります。  以上がその趣旨でありますが、なお詳細な内容等につきましては、お手元の案文により御承知願います。     —————————————
  55. 八田貞義

    八田委員長 おはかりいたします。  お手元に配付しております起草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  56. 八田貞義

    八田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  58. 八田貞義

    八田委員長 引き続き、通商産業基本施策に関する件について質疑を続行いたします。中村重光君。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 外務省からお越しですからお尋ねをいたします。  この検査技術については通産省の責任においてやるわけですが、より品質のよいものを輸出をしていくというためには、やはりこの検査業務というのは重要な意義を持つであろうと私は思うわけです。貿振局長のお答えでも、十年間検査基準というものは全く動いていないわけですね。それで、雑貨センターの検査対象品目だけを見ましても、その指定をはずしたのがあるのですが、新たに追加されたものがない。ところが新製品というものが出ているのですね。それから、先ほどもあとでもまたお尋ねするのですが、ちょっと指摘をいたしましたように、同じものをつくって出す、ただ原材料が変わったというのがある。木製品からたとえばプラスチックに原材料が変わって、木製品のときは検査対象になる、プラスチックになると検査対象からはずすといったようなやり方が、いま行なわれておる検査のあり方なんですよ。こういったことを、輸出振興という点から外務省はどのようにお考えになるのか。これは一般論という形でのお答えになるのだろうと思うのですけれども一つ考え方をお聞かせいただけませんか。
  60. 小山田隆

    ○小山田説明員 お答えいたします。  これまで輸出検査が、日本の製品に対する声価の維持向上に非常に役立ってきて、最近見られるように、貿易の拡大、振興に貢献したその役割りが非常に大きいことは、これは先生も御存じで、また先ほど貿振局長から答弁したとおりでございます。一般的にいえば、今後とも、輸出品の品質、材料等について、その基準の維持あるいは向上をはかるということは必要だと考えております。  確かに十年前と現在とでは、いろいろの事情も変わってきておりますし、同時に、わが国の製品の品質あるいは企業の体質も非常に進んできております。この輸出検査法の適用あるいは運用にあたりましては、具体的な品目につきまして、いま先生がおっしゃいましたように、材質が変わったような場合なんかにつきましては、これは非常に具体的な問題でございますから、通商産業省のほうからお答えされるほうがいい問題じゃないかと思っておりますが、ただ具体的に、在外におりまして、いろいろ問題が生じた場合に、これは遅滞なく在外の大使、総領事から外務大臣に報告をして、そういう報告を時期を失せず通産省のほうへ連絡をしておりますので、格別問題は生じてないと思っております。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えは、私の質問に答えてないのですよ。問題が起こっておるか起こっていないかということを尋ねておるのではなくて、御意見のように、輸出環境というものは大きく変わってきたわけですね。技術革新の中で、産業の振興というようなこと等が非常に活発に進められておるわけですね。それらのこと等から考えてみると、この輸出の振興、さらに良質な品物を輸出をする、競争力を強めるというようないろいろな観点から輸出検査法というものは制定をされ、そして輸出品の検査機関というものがつくられてきたわけです。  ところが、先ほど後藤貿振局長の答弁を聞いておりましても、その輸出検査というものの意義は認めながらも、現実には少しも進歩もなければ発展もないということです。そういうことであってよろしいのかどうかということですよ。やはり検査基準というものは、そうした環境の変化に伴って、それに対応するような措置というものが当然講じられてこなければならない。そこに検査基準というものを改める必要性だって出てくるのではなかろうか。そうしなければ、その基準というものは非常に古い基準である、情勢の変化に対応できない姿になってきておるのではなかろうか。それらの点に対して、輸出検査法の制定の意義、それから検査機関の設置というような目的に照らしてみて、いまのあり方というものに対してどうお考えになるか、外務省としてはどのような姿が望ましいとお考えになっておるのかということを尋ねておるのです。
  62. 小山田隆

    ○小山田説明員 先ほど貿振局長からの答弁にもございましたように、それは元来、輸出検査をしないでもいい品物が出て、海外での日本の品質を維持できれば、それはそれでけっこうだと思うのでございます。ただ、この法律ができました当時、昭和三十二年でございますが、その後改正はございましたけれども、基本的には変わっていない、これは先生がおっしゃるとおりでございます。ただ、その間に日本の商品は非常に品質の改良が行なわれまして、また企業も強力になってきまして、かなり輸出検査のあり方、あるいは品目の選定などにつきましては変わってきていると思います。どういう品目、あるいはどういう基準でやるかということは、これは外務省のほうからお答えするよりは、通産省のほうからお答えするほうがよろしいんじゃないかと思うのでございますが、確かに輸出検査は、いまあまり大きな先進国ではやっておらない。開発途上国あたりが一番熱心にやっているというのが事実でございます。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもあなたの答弁は、いたずらに通産省をかばうような答弁で、あなたに質問したことをどんぴしゃり答えるために出席をしてもらっているんだから、もうけっこうです。  楠岡繊維雑貨局長にお尋ねをしたいのですが、先ほどのあなたの答弁は、あまりにも何かを意識したような感じを受けるわけだ。まさかあなたが、さっきのような、無責任な答弁なんというものをしようとは実は考えなかった。前回の私の質問に対して、あなたはもう少し誠意をもって答弁したはずです。きょうの答弁というのは、あとで速記録を読んでごらんなさい。あなたは自分が局長であることを忘れているんじゃないかと私は思っている。そういう無責任なことであってはならぬということを、私は声を大にしてあなたにやかましく実は言ったわけですね。あなたも、輸出検査法というものは必要であり、その法律に基づいて設立されておるところのそれぞれの輸出検査機関というものが必要であるということだけはお認めになるのでしょう。いかがですか。
  64. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 先ほど私が先生に御答弁申し上げて、先生から、結論としてどうかというふうに端的に御質問がございましたので、あらゆる前提等々は抜きにしまして、やはり何らかの手段を用いてとは申しませんでしたけれども、規模のいわば整備を考えなければいけないという感じを申し上げたわけでございます。もちろん、これには前提がございまして、収入の増加につきましても努力することは当然でございます。  ただ、大まかな見通しとして、ただいまセンターが、昨年度生じましたような大きな赤字を埋める、それはとうてい不可能でございましょうし、ことし見込まれる赤字を埋めるということも不可能でございます。そういう意味で、非常にぶっきらぼうな答弁を申し上げたことは申しわけございませんが、私どもも、たとえば予算の面において、これは実は金額的には非常に少ないのでございますけれども、センターの収支に少しでも役立つような方向に、予算の中身も、徐々ではございますが、変えていっておるつもりでございます。  それから人員の問題につきましても、私ども理事者に対しましては、とにかく大幅な縮小というのはこれはたいへんなことなんだから、人員のいわば再就職の問題というのはやはり前提として考えてもらわなければ困るということは、絶えず繰り返して申し上げておるところでございます。  それから、私どもとしても、この前、先生にお答えしたように、その面でお手伝いができることがございますれば、極力それに努力したいという気持ちは変わっておりません。  それで検査の点でございますが、検査制度そのものにつきましては、私どもも、検査制度というものは必要であると考えております。ただ、その具体的なものにつきまして、いま法律的にどうしても検査を要求しなければならないだろうかというようなことを考えてみますと、そういうものが妥当する品目というのは、かつて検査法が一番初めに発足しましたときは、たしか昭和三十二年ぐらいだったかと思いますが、それが三十何年かに改正になっておりますけれども、検査制度が戦後発足しましたときの状況、それから検査のいまの法律ができましたときの状況といまとを考えてみますと、やはりその間に、日本の一般的な輸出品の品質の向上という面は、確かにあるんではなかろうかというふうに考えております。  で、先生の御指摘になりますように、新しい品物をつくって輸出するというのは、雑貨の輸出振興にとっては私は欠くべからざる要件だと思います。そのためには、いろいろな手段も必要でございます。雑貨センターの仕事におきましても、品質の高級化というのは、別の振興政策の面におきまして非常に重視されております。それから、同じ品物をつくりますにつきましても、技術面におきましてやはり後進国との差を広げていかなければならないわけでございまして、ただいま、雑貨センターの試作として非常に評判のいい専用機械の試作制度というようなものは、私どもとしては、予算金額をふくらましてまいりまして、そういった点でやはり雑貨センターの発展の方向というのを考えてきたつもりではございますけれども、御指摘のように、全般の赤字傾向というものを埋めるまでに至っておりませんことは、非常に残念なことだと思っております。先ほど、非常に結論めいたことを最初に申し上げましたので、先生のおしかりを受けたわけでございますけれども気持ちとしてはただいまのようなことでございます。
  65. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が特に、貿振局長と外務省の小山田事官に反省をしてもらいたいと思うのは、検査しないでもよい品物ができて輸出できる、これはそれにこしたことはないんですよ。輸出検査は、検査のために検査するんじゃなくて、いい品物をつくる、そして輸出を増進をする、競争力にうちかって健全な輸出体制を確立するといったようないろいろな目的があるわけです。しかしながら、いままでの日本がたどってきた道を振り返ってみると、安かろう悪かろうというような形が非常に強かったということです。  それから、先進国家というものは検査をやっていないのだ。日本のようにこんなに公害を平気でどんどん出して、金もうけをやっている国が先進国家のどこにありますかね。先進国家は検査をやっていない。だが、先進国家は日本のようなぶざまな姿はありませんよ。ただ経済成長だけをやればよろしい、どんどん輸出さえ増進されればよろしい、そういうでたらめな業界の姿勢というものが、私は先ほど来のあなた方の答弁の中から十分くみ取られる。財界に対して反省を促そうというような考え方は、あなた方の姿勢の中からは出てこないのだ。たとえばこの新聞に出ている「基準以上の鉛含有・家庭用食器カドミ顔料使用も」というようなこと等も出ている。あなた方、新聞を見ているのか。検査目的は達成した、だからこれをはずしていっている、その商品、品目があるのだと言っておる。だから、検査目的が達成をしたためにその目的が薄れてきたというのは、何を基準にそういうことを言うのかと私は言いたいのだ。まずそれを明らかにしてもらわなきゃならぬ。輸出環境というものは大きく変わってきておる。技術革新の中で、産業の振興というものも相当促進をされてきておる。そうした中で、十年前の基準というのが今日までまかり通っておるということをふしぎにお考えにならないということは、私はどうかと思う。結局、検査基準というものは、その目的を達成をしたということについては、その判断になるものはあるのだろうと私は思う。それは何かということを尋ねたいのです。意見意見として言いますから、それをまず貿振局長、お答えになってください。
  66. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  まず最初に、私、先ほども申し上げたつもりでございますが、輸出検査法は強制検査のたてまえということになっておる点でございます。これは強制的に法をもって検査をいたしておるわけでございますので、言うなれば、それは、海外で日本品が、先ほど先生がおっしゃいました、安かろう悪かろうということになっては困るという要求もございますが、とにかくこれは一番低い水準と申しますか、合格し得る、学校の成績で申しますならば、六十点かつかつのところが検査基準になっておるのが全般のたてまえであり、これがやはり法で強制されておるところでございます。  したがいまして、輸出品の品質の向上という面になりますると、先般、御審議を願いました、あるいは統一ブランド法でございますとか、あるいはまた業界自身の、自分たちの考え方による品質の向上とか、そういったものが別途の観点から考えられるべきものである、かように考えます。この輸出検査法は、法で検査を強制いたしておる、こういうたてまえになっておるわけでございますので、輸出品の声価を害しない限度という、おのずからの限度があるわけでございます。  その次に、どういうぐあいに輸出品の品目を整理し、廃止していくか、こういう目安の点でございますが、特にここのところ数年間を通じまして、検査の不合格率が大体一%以下の成績がずっと続いておる、こういったもの。あるいはまた、輸出額がきわめて僅少であって、むしろ別の面で——これはまた別の意味でございますが、輸出検査法の意味は、この検査の指定機関というものは、経理的基礎が確立していなきゃいかぬということが法で制定されてございます。したがいまして、そういった経理的基礎というものをも考えまして、輸出額が非常に僅少であって、検査料その他の収入等の面でそれらに影響を及ぼすものも一つの目安になってくる。それから第三点は、この品種のユーザー、使用者が専門家でございまして、取引関係が非常に固定化をいたしておる。したがって、売り手にとりましても、買い手にとりましても、品物というものがもうわかっておるというような固定関係にあるもの、こういうものは強制検査をやらなくてもいい。  ただし、次の点もまた考慮しなければならないと思います。業界の体質、構造上から見まして、たとえば、ほとんど大部分はいいけれども、きわめて一部分に非常に弱小の業者がある、そしてそれが出ていった場合には非常に不良製品が飛び出す可能性がある、あるいはまた過当競争を惹起するおそれがあるというような品目がございます。こういうものはやはり検査はちょっと落とせない。それから、安全衛生上の観点から見て必要な品目については、これまた考慮をしなければいかぬということ等々を除きますれば、先ほど申し上げましたような三点が大体品目整理の目安になってまいるかと存じます。  先生御指摘のとおり、検査基準というものにつきましては、これはやはり客観的にぴしっと数式で出てくるという性質のものではございませんので、逆に主観的と申しますか、判断の余地が入ることは当然事実でございますが、おおむねそういった目安で、従来とも輸出検査法の品目指定は運営されてまいりましたし、今後とも、国際情勢の推移もさることながら、そういった基準で法の運営に当たっていかざるを得ないだろう、かように存じております。
  67. 中村重光

    ○中村(重)委員 強制検査が検査目的であると言っておる。強制検査であろうともなかろうとも、いまあなたが、具体的にいろいろ、検査の必要性——こういうものについては、あるいはこういった条件のものについては検査をしなければならないのだ、こうおっしゃった。結局、検査基準というようなものにものさしを当てる、そして不合格率が一%以下というものがずっと長く続いた、そういうものをはずすのだ、これが一番のウエートだと思う。それならば、十年以上前にきめた検査基準が、大きな環境変化の中においても依然として改められていないというところに抵抗を感じると私は言っているのだ。もっとよい品物をつくっていかなければならぬ。いろいろあなたがあげられた条件というものを克服していかなければならない。また克服するように業者も努力をしておるのだろうと私は思う。しかしながら、なおそれでも、私は先ほど新聞記事を読み上げましたが、いわゆるカドミなんかの安全衛生という点に入ってくるのだろうと思うのですけれども、それらの点からさらに高度な検査基準をきめなければならぬというものがあるだろうと私は思う。それに対応した検査基準を改めるような措置というものは当然なされなければいけないではないか。それがなされていないということに対しての責任を、あなた方はお感じにならないのかということを申し上げたいのです。  それと、いろいろ原材料が変わった。それを検査対象からはずしているものがあるでしょう。たとえば漆器であるとか、木製品であるとか、そういったものによっていろいろ製品をつくっているものが、原材料がずっと変わっているわけでしょう。原材料が変わりますと、検査対象からはずしているわけですね。これでよろしいのかどうかということですよ。卓上ピアノもそうなんでしょう。それから釣りざおとか、いろいろ資料を私は手元に持っておるわけですが、こういうものがずっと変わってきている。オイルのシガレットライター、これも現在では変わっていますね。それから竹製品の釣りざおなんというものはグラスファイバーに変わってきている。それからすだれもそうですね。こういったものは原材料が変わると検査対象からはずしているわけです。これでよろしいのかどうか。先ほどあげられた条件の中で、原材料が変わったから必要はないということになっているのかどうかということです。いま、あなたがおっしゃった、検査しないでもだれでもわかっている品目というものに、原材料が変わったからそれに当てはまるのだというお考え方であるのかどうか。そうなってくると、いまいろいろおあげになりました安全衛生であるとか、あるいは弱小な業者になってくると過当競争の問題とか、いろいろな条件が私は出てくるのであろうと思うのですが、それらのことをお考えになると、原材料は変わってもなおかつ検査対象の中に入れて検査をしていかなければならないということになるのではなかろうかという感じがいたしますが、いかがですか。
  68. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  全般論といたしましては、先生の御指摘のとおりであると存じます。しかし、原材料の問題、検査基準の問題等々、これはすべてやはり輸出の品目、個別ごとに考慮をいたしていかなければならない問題であると考えます。
  69. 中村重光

    ○中村(重)委員 個別ごとにやっていかなければならぬということはわかっているんだが、先ほどから申し上げるように、はずすということだけで、新たに追加しているものは一つもないじゃありませんか。個別にやっていかなければならぬ。では、個別にやってみて、必要がないということに結論が出たのだったら、その理由を明らかにして下さい。一つ一つ全部個別に説明をしてください。
  70. 後藤正記

    ○後藤政府委員 特に、原材料が変わってきたということから検査の基準等を変えた点はございませんが、特別に原材料が変わったということによって、この検査品目というものが特別の影響を受けたということはないように承知いたしております。
  71. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもあなたの答弁というのはかみ合わないのだ。木製品であれば安全衛生上影響がないけれども、プラスチックになればむしろ安全衛生上問題だということだってあるでしょう。それならば、原材料が木製品の際は検査はしなくとも、化学製品等になってくるとむしろ検査をしなければならぬということになってくるんじゃありませんか。それが、全く原材料が変わったならば、検査対象からはずしてしまっておるではありませんか。あなたのほうで、検査をはずしたり、新たに追加をしたりというような形があらわれてきておるのであれば、個別的に検査をしなければならないのですといういろいろな答弁というものは、そのまま生きてくるのだけれども、進歩も発展も全然ないでしょう。うしろ向きだけでしょう。そういうことで、あなたの答弁は答弁になりますか。
  72. 後藤正記

    ○後藤政府委員 その点は、先生御指摘のとおりだと存じます。そういった際に、指定品目からはずします場合は、これは木製の何々をはずす、追加するときは、プラスチックならプラスチックの製品を追加する、こういうぐあいに運用はなってまいる、かように考えます。
  73. 中村重光

    ○中村(重)委員 それは私が言っていることだ。あなたは言っていないのだ。そうなければいけないと私は指摘しているのだ。ところが全然そうしていないじゃないか。なぜしないのか、こう言っているのだ。内容を説明してこそ答弁になるのですよ。答弁にならない答弁を何回繰り返しても同じなんだ。  この質問を発展していかなければならないから申し上げるのですが、いままでやっていたことがうしろ向きであるということに考えられるならば、あなたも反省されるだろうと私は思う。いまの答弁がほんとうであれば、まじめにあなたが答弁したのだったら。  それでは、いまのあなたの答弁はまじめにしたのだから、そのまじめな答弁を実のあるものにするためには、やはり検査対象からはずしているものを、検査対象の中に入れていくということ。新たな製品、商品というものができているのだから、そういうものを検査対象の中に入れていくというようなことを検討していく必要があるのではなかろうかと私は思います。その御意思があるかどうか。
  74. 後藤正記

    ○後藤政府委員 推移に応じてそういう検討はしていくべきであると考えます。
  75. 中村重光

    ○中村(重)委員 推移に応じてやらなければならぬことをやっていないのだから、いまからでもおそくないから、業者が望むからやるとか、望まないからやらぬというのではなくて、行政当局は行政当局としての責任というものがあるはずだ。輸出検査法を制定した、検査機関をつくったという、それだけの確信もあるだろうし、責任もあるだろう。国民に対してそれはあるのだ。それならば、それを実のあるものにしていかなければならないのだから、これからではなくて、過去のものに対してもあらためて見直していく、そして追加する必要があれば追加をしていくという用意があるのかどうか。いかがですか。
  76. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お説のとおりであると存じます。
  77. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、この雑貨センターをおつくりになる場合は、これは公的な総合検査センターとしておつくりになったわけですから、この検査機関というものを一元化するというような大きな目的があったのだと思うのですが、いかがでございますか。
  78. 後藤正記

    ○後藤政府委員 当時、私はその衝に当たっておりませんので、直接に関与したわけではございませんが、私ども次々と引き継いで聞いてまいりましたところを申し上げたいと存じます。  この輸出検査法の制定目的は、先ほど来申し上げておりますように、輸出品の海外における声価の推持向上、不良品が出て、先生おっしゃいますように、安かろう悪かろうでは困るということからできた。そのときに業界において、これを国費をもって全部国の機関でやるか、あるいは民間機関というものでやるかということで、非常に議論があったように聞いております。したがいまして、現在の状態は、国でやっておりますのが、通産省に所属しております工業品検査所を含めて六つ。そのほか民間のものが非常に多くございますが、当初といたしましては、まず第一に、全部国でやるべきかどうかという議論、あるいは全部民間でやるべきかどうかという議論、そういうものがあったようであります。その議論の結果、国としても、全部国でやるということになりますと、財政負担あるいは役人の数の増加というようなこともございます。したがいまして、民間のものと国でやるものという二つに分かれたというように聞いております。その中で、でき得るならば民間のものは全部まとめるようにというような方向で行政指導が行なわれたけれども、それがいろいろ各万般の業種にわたるわけでございますので、その点がまとまりがつかず、あるいはそれぞれ一つだけの品目についての検査機関ができ、あるいは数種集まったものができ、そういったことで現在の状態に至っておる、かように聞いております。ただ、それは私は直接の衝に当たっておりませんので、現在さように私は了解し聞いてまいった、そういうことをお答えしておきます。
  79. 中村重光

    ○中村(重)委員 輸出検査法に基づいての検査機関というものが、いま幾つありますか。業種別にお答えください。
  80. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答え申し上げます。  国の検査機関六つ、先ほどお答え申し上げましたように、工業品検査所、繊維製品検査所等々であります。それから検査法によって指定されておる指定検査機関というのが三十九。これは、機械関係が七つ、雑貨関係が十三、繊維関係が十五、農林、厚生関係が合わせて四つ、こういう内訳に相なっております。
  81. 中村重光

    ○中村(重)委員 指定検査機関が三十九、その中で雑貨関係だけでも十三あるのですがね。これは好ましい姿と思われますか。
  82. 後藤正記

    ○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたとおりに、非常に大きく分けますと、国が直接やるものと民間がやるものとある。できるならば民間も全部ひっくるめる、こういったような形が、非常に簡単でもあり、単純明快であるといった考え方だったそうでありますが、それが、ただいまお答えしたような三十九に分かれた、雑貨だけでも十三ある、こういうことでございます。  ただ、雑貨と申しましても、これは非常に種類が多うございます。かつて私も課長時代に雑貨関係にタッチいたしたことがございますが、品目の分け方によりましてこれは違ってまいるわけでございます。通産省のいわゆる雑貨と称しておりますものは、カテゴリー別に分けてまいりますと、五千から六千というぐあいになるということでございます。それぞれの業界で、言うなれば、非常に成長的な方向をたどっておる業界、あるいはまた、残念ながら輸出につきましてもだんだんと下がってそのわりにふるわない業界と、これは業界の構成が非常に違っておるわけでございまして、そういう点で、現在十三という状態になっておるかと存じます。あるいは繊維雑貨局長の所管の分野にまで私が立ち入りましたかと存じますが、さような状態でございます。
  83. 中村重光

    ○中村(重)委員 この三十九というのは、雑貨センターが入って三十九であろうと思うのですが、他の三十八の検査機関で、雑貨センターと同じように人員整理という方向にある検査機関はどのくらいございますか。
  84. 後藤正記

    ○後藤政府委員 全般的な趨勢といたしましては、やはり検査関係は漸次縮小の形態にあるということが申し上げられると思います。
  85. 中村重光

    ○中村(重)委員 それは縮小の形態にあると言うが、職員がいろいろな形でやめた、そういう場合にたぶん人員の補充をしないでやっているのではなかろうかということで、あなたは雑貨センターを頭に置いて、客観的なことで御答弁になっておられるんだろうと思う。私がお尋ねしているのは、三十八の検査機関の中で人員整理をやろうという動きを示しておるものは幾つあるのか。それを把握しておるのかどうか。把握していなければいないでけっこうです。
  86. 後藤正記

    ○後藤政府委員 全部の詳細にわたりましては把握いたしておりませんが、知っておりますものでは、たとえばミシンの検査協会あるいはゴムの関係の検査協会等が、これは四十五年から四十六年の一年間でも相当数の人員を削減いたしております。
  87. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点は私の調査とぴったりするわけだ。ゴムの関係とミシンの関係ですね。雑貨センターを含めて三十九。雑貨センターを除いては三十八ですが、その中の二つだけが人員整理の方向にあるということです。他の検査機関というものは、人員整理を積極的にやらなければならぬという状態に追い込まれていない。これはなぜかということを検討してみられたことがありますか。全体を把握していないと言うんだから、おそらく検討していないだろうと思う。いかがですか。
  88. 後藤正記

    ○後藤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、輸出検査法による指定機関は経理的基礎がしっかりしておるものでなければならないということでございますので、指定検査機関もそれぞれ、自分のところの経理的な収支、将来の見通し等々については常に心がけておるところであります。  輸出検査法の関係は、これは強制検査でございまして、先ほど来御議論のあったところでございますが、その他の機関におきましても、これは業界との関係もございます。手数料等の負担にたえ得るところと、たえ得ないところと、そういったニュアンスはあるかと存じますが、輸出検査法による検査以外に、いろいろな業界の委託検査。さらに、検査法とは関係なしに、むしろもっと高度の水準の技術による委託検査をするとか、そういったことによって業務を行ない、それによる収入等も入れてその経理内容を維持するように努力している検査機関もあるように承知いたしております。
  89. 中村重光

    ○中村(重)委員 貿振局長、なるほど、いまの輸出検査法の中には自主検査という抜け道があるのですよ。ところが検査は、強制検査もあるだろう、あるいは任意検査というのか、自主検査というのか、そういうものもあるだろうと私は思う。いずれにしても、いい品物をつくる、そして輸出を増進していくということだろうと私は思うのですよ。目的は同じなんです。ただ検査の方法が強制か任意かということであろうと私は考えるのです。いわゆる自主監査という形ですね。  ここで申し上げたいことは、雑貨センターをおつくりになるときに、これは公的なものとして、総合的な機関として雑貨センターというものを生み出されたわけだ。だから、検査だけではなくて、他の目的も雑貨センターは担当する、こういうことを政府の行政指導でやっておる。これに対しては国の補助だってなされているわけですね。それならば、ある意味における検査全体のセンターということで、これに統合するという方向が望ましいし、少なくともそういうことであったのではないかと私は思うのです。  先ほど来あなたは、前任者のやったことであって、いまはわからないと言っておられる。三十九の団体、雑貨関係だけでも十三団体、これをこのまま統合しないでやるということが好ましい姿であるかどうか。これらのことについてあなた方は検討したことはないのですか。より強力な検査体制を確立していく、不要な事業費等を削減する、そういうことにおいて、その検査目的というものはより充実したものになってくるのではないでしょうか。それをあえてやろうとしないのは何のためか。なぜにやろうとしないのかと私は申し上げたい。  うがった言い方ですけれども、この検査機関は全部、通産省その他の省からの天下りの連中が役員をしているでしょう。それらの抵抗というものもあるのじゃありませんか。ありますと、あなた答弁できないだろうけれども。雑貨センターだってそうでしょう。通産省の天下りの連中ばかり占めてきておるじゃありませんか。これを統合すると、事業費というものは削減され、検査内容はより充実したものができ上がると私は思う。検査法制定の意義、検査機関というものをつくり上げたその目的というのはより強化されてくるだろうと私は考える。だがしかし、これを統合するということになってくると幹部の諸君というものは整理されてくる。これに抵抗するという形になって出てくるでしょう。役人が天下っておる、その抵抗にあなた方は弱くなってくる、そういうことになってくるじゃありませんか。あすは自分の身に振りかかってくるのだから。うがった言い方ですが。  敢然として否定されるならば、なぜにこれを統合しようとされないのか。統合しない、してはならないという積極的な理由があるならばお示しをいただきたいと思う。前任者が何であろうとも、後藤貿振局長、楠岡繊維雑貨局長みずから責任者なんだから、これにどう対応していこうとしておるのかということについては、現在みずからの立場の上に立って当然一つ考え方というものを持ち、それを推進していくということでなければならぬと私は考える。でなければ、発展もなければ進歩もないじゃありませんか。お人形さんじゃないんだ。いかがですか。
  90. 後藤正記

    ○後藤政府委員 輸出雑貨センターの事業内容は、輸出検査法に基づく輸出検査だけでなく、そのほかの仕事もやっております。先生御承知のとおりであります。あるいはデザイン法あるいは輸取法に基づくデザインの登録、認定、あるいは輸出雑貨の振興をはかるための各種の事業等々でございます。  それで、先ほど来申しておりますとおりに、経理的基礎がちゃんとならないのは指定機関としての要件にはずれるわけでございまして、現在の状態におきまして、雑貨センターの検査関係というものは、私が承知しておりますところでは、年々常に赤字を計上しておるようであります。したがいまして、輸出雑貨センターのやっております輸出検査というものと、輸出雑貨センター全体としての経理的な基礎を安定させて検査機関としての維持をいたしていくという問題との関連もあろうかと存じます。雑貨センター全般の問題につきましては、楠岡局長からお答えいたすことと存じます。
  91. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 先生の御質問は、検査機関の統合の問題が主眼であると存じますので、私ども所管しております繊維の検査機関につきましては、その前に後藤局長からも御答弁がありましたように、法律による検査に加えまして、いわゆる依頼検査の範囲を広げていくということを心がけるように指導いたしております。また、そういう面で実効をあげております。検査機関につきましては比較的うまくいっているようでございます。  ただ、全般的に申しまして、繊維の輸出はやはり停滞ぎみでございまして、個々の検査機関がこのままでいいかどうかというのは、御指摘のように問題のあるところでございます。ただ、検査機関もそれぞれの歴史を有しまして、また、それぞれの生産者団体の支持のもとに立っているというような面もあるわけでございます。そういった面で、役所が一朝一夕にしてこの問題を解決できるとは思いませんけれども、私どもとしては、非常に大事な問題でございますので、広く言いますと検査制度でございますが、そういったもののあり方につきましては、今後十分検討していきたいと思っております。
  92. 中村重光

    ○中村(重)委員 後藤貿振局長、あなたは経理的基礎ということをえらい強調される。であるから、弱いものは統合なさいと私は言うんだ。弱いものをほったらかしておいてはいかぬ。  先ほどあなたは、検査目的の中に、弱小企業というものがある、過当競争におちいるおそれがある、安全衛生の関係がある、これを強制検査を続けていかなければならぬ条件としてあげたのです。そういうものも、つぶれてしまったらどうにもならないのだ。だから、必要な機関としておつくりになったのだから、その必要な機関というものが健全な運営をしていくための行政指導というものは、当然政府の責任においてなされなければならぬ。そのためには、いま繊維雑貨局長が答弁されたように、整理をするということは、ただやめさせることを目的として整理をしていくという方向を進めていくものではなくて、いわゆるその目的に沿う、そういう体制を確立をするために——いまあなたかお答えになった経理的基礎もそうなんだ、そういうことを強化していくために、私は整理統合というものが必要だ、こう申し上げている。それは抵抗もあるだろう。一朝一夕にはいかないかもしれない。しかし、それをやらなければならないということが、あなた方の責任であるはずなんだ。それをおやりになる御意思があるのかどうか。あらためてひとつ、後藤貿振局長、あなたはうしろ向きの答弁ばかりしているのだから、少し責任を持って答弁されたらどうですか。
  93. 後藤正記

    ○後藤政府委員 貿易に占める輸出検査というものの意義、したがって現在の輸出検査法というものの持っておる意義とあわせまして、これは全般的に検討すべき問題であると存じます。したがいまして、先生の御趣旨、十分に拝聴いたしまして、この問題は輸出検査というもののあり方、輸出検査法というもの、今後の世界の情勢、先進国等の例、日本の貿易の伸び方、そういったものとの全般の関連において考慮いたしてまいりたい、かように考えます。
  94. 中村重光

    ○中村(重)委員 答弁になったような、ならないような。  私はこういうことを提案したいのです。まあ、提案というよりも、あなた方の考え方を聞きたいのだが、まず対策として、楠岡局長もお答えになったと思うのだけれども、るる私は繰り返しましたように、この検査機関というものが、より内容の充実した経理的基礎、その他事業費を削減するとかいろいろな方法において、私は充実した検査体制を確立することができると思うのです。したがって、これの統合の方向を強力に推進をしていくということ。  それからいま一つは、先ほどあなたは、私の指摘に対して同感の意を表明されたのだが、いままで指定対象となっていない品目、そういうものを、ひとつ全般的に輸出品目を見直して、この対象に加えるものは加えていく。それから原材料が変わったからといって、直ちにはずすというようなことがないようにする。新しい商品というものは次から次につくられ、輸出されているのだから、そういうもので検査の対象となっていないもの、そういうものについても見直してみる。これは先ほど私が読み上げましたように、いろいろ安全衛生上の問題点等もあるわけです。こういうものはやはり外国の人たちだって見ているだろう。それが日本の商品に対して不信感を持つという形になるだろう。それは輸出を鈍化させるという形になってくるわけですから、それらの点に対しても十分ひとつ見直していく。  それから現在、人員に対する人件費の補助が七五%ということになっていますね。しかし、この人件費の補助というのは検査機関の職員は対象になっていないようですね。このデザイン法に基づくものであるとか、あるいはいろいろ試作専門機械というようなもの、これに従事する職員に対する人件費の補助ということだから。その七五%の人件費補助にいたしましても、三万五千円というものが補助基準の給与になっているのですね。これは現在、雑貨センターだけで私は調べてみたのですが、約五万七千円のベースになっている。当然私はこれが対象にならなければならないと思う。これは七五%ではないですね。五〇%をむしろ割っておるというような形じゃないでしょうか。だからして、三万五千円を基準として七五%補助となっているのを、大蔵省と折衝して、これはやはり引き上げる。実際に支給されておる給与を基準としてその七五%を補助すると、こういうことにひとつ折衝をやる。  同時に、雑貨センターというのは公的な総合検査センターであるからして、このほかの自主検査をやる機関、そういうようなものと同じような形の検査をやっているんだからといって、みんな検査をやっていることでは同じなんだからということで、その検査に従事しているところの職員は給与の人件費補助はしないということは、私は合理的ではないと思う。これもひとつ十分通産当局として検討して、大蔵省と折衝される必要があるのではないか、そのように思います。  まあ私が申し上げたことに間違いがあるなら、その間違いは間違いとして御指摘いただいてけっこうですから、以上、御提案を申し上げたことに対しての考え方をひとつこの際お聞かせいただきたいと思います。
  95. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 先生御指摘のように、予算単価が低いことは事実でございます。私どもも、このセンターの予算を要求するにあたりましては、人員に対します補助金を何とか増額したいという気持ちは持っておるのでございます。ただ、これまでの例で申しますと、遺憾ながらある程度のベースアップは認められましても、むしろ私どもとしてはその七五%という率を維持してもらうのに精一ぱいだったというような事情がございました。  予算の確保の問題につきましては、私ども、こう申しちゃ変でございますけれども、先生もちょっとおっしゃいました、ほかの機関との横並びの問題というような問題も、おそらく財政当局にはあろうかと思いますけれども予算の獲得、これは非常にむずかしい問題があろうかと存じますけれども、なお、そういった御趣旨を体しまして、今後センターの運営改善に役に立つような予算をとるように、引き続き努力していきたいと思います。
  96. 中村重光

    ○中村(重)委員 その予算単価の問題だけではなくて、検査担当の職員は人件費の補助の対象になっていない。これは私は改める必要があると思う。これも対象としなければならないというように考えるので、この点についてどうお考えになるかということをあわせてお答えをいただきたい。  それから、先ほどの二点については整理統合の方向で努力をしたいというお答えがあったと私は記憶いたしますから、それをあらためて確認をしてもらいたいということ。それからいま一つは、後藤貿振局長から、私の指摘した、検査の対象となっていないものに対してはこれを見直して、検査の対象にすべきものはしていくということでなければならぬということに対しては、それに同意をされたわけだから、あらためて、いま申し上げた三つの点について、確認をそれぞれしていただきたいと思います。
  97. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 第一点の雑貨センターの検査職員に対する補助金については、これは来年度以降の問題でございます。これは検査制度全般に関する問題でもございますし、先ほど申しましたように、私どもとしては、非常に困難のあることが予想をされております。しかし、これは全般の問題ともかかわりますので、省内でもよく相談いたしたいと思います。  それから第二点の、統合の問題を考えるかということでございます。私、先ほど申し上げましたのは、繊維につきましてそういう問題がございます、それで繊維につきましてはいま検討をしておりますと、こういうことでございますが、雑貨につきまして、私ここであまり楽観的なことを申し上げましても、先生に対してうそをつくことになりますから……。  雑貨業界、一口に雑貨と申しましても、業界ごとのばらばらであります度合いは、繊維業界の比ではございません。たとえば、これは話がはずれて恐縮でございますけれども、繊維は、化繊と綿とが次第に置きかわっておって、両方の業界とも同じようなものをつくっておるという事実がございます。しかし、雑貨のほうは依然として、業界別のブロックまたはその間の関係というものがあまり緊密でないということもございます。したがいまして、私この件は決して楽観していいということは申し上げられないと思いますが、なお制度全般の問題として検討させていただきたいと思います。
  98. 後藤正記

    ○後藤政府委員 おおむねいままで先生にお答え申し上げましたとおりでございます。先生御指摘の点、十分御趣旨を体しまして、今後の施策を真剣に研究してまいりたい、かように考えます。
  99. 中村重光

    ○中村(重)委員 楠岡局長、私はもう少し自信を持ってやってもらいたいと思いますがね。あなたは非常に慎重なんですよ。私はその慎重さが決してうしろ向きだとは思わないのですね。思わないのだけれども、もう少し自信と確信と責任を持って問題に取り組んでもらわなければいけないのじゃないでしょうか。繊維についてあなたはそうお考えになるならば、あなたは繊維雑貨局長なんですから、雑貨についても、どうあるべきかということのあなたのお考えをお持ちにならなければいけない。いずれにしても、こんなにたくさんの検査機関が林立しているというか、つくられたまま、全然これを整理統合しようという方向にないということは、おかしいのじゃないでしょうか。やはり一歩一歩とこれを克服して、抵抗はあるだろうけれども、望ましい方向にこれを前進をしていくということでなければいけないのではないかと私は思うのです。だから、それに同感であるのか同感でないのか。同感であるならば、そのとおりであると思われるのであれば、いろいろと内外の抵抗もあるだろうけれども、あなたの責任は責任として果たさなければいけないのであるから、そういう方向に向かって積極的に努力をする御意思があるかどうかという点ですよ。それを姿勢としてこの際明らかにしてもらわなければいけない。
  100. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 私、責任は十分持つつもりでございます。  それから、このセンターを含めまして、雑貨業界の統合の問題は、私、繰り返しますように、非常にむずかしい問題でございます。しかし、むずかしいからといって問題を回避して、どうでもいいのだ、あるいは、もう初めから逃げてしまうというようなつもりはございません。責任を持って問題を考える。  ただ、私、いま正直に申し上げまして、それでは、雑貨センター、雑貨業界においていま方向を、全部統合したほうがベターだという結論をいまこの時点で持っておりませんが、十分検討いたしまして対処いたしたいと思います。
  101. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間があれば、ベターだとは考えていないというのだったら、それじゃ、これが望ましいという積極的な理由づけをしてもらわなければならぬということになるのですよ。現状のとおりがよろしいとお考えになっておられるのかどうかということになるのじゃありますまいか。それはどういう意味ですか。整理統合することのほうがベターであるという考え方ですか。いかがですか。
  102. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 ことばが足りませんでしたけれども、統合したほうが悪いということを私は申し上げておるのでもございませんし、現状維持がいいと申し上げたわけでもないわけでございます。私自体、統合がいいと、いまここで先生にはっきり申し上げるほどの確信はまだ現在持っておりません、ということを申し上げただけでございますが、今後十分検討いたしたいと思います。
  103. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、参考までに伺っておきますが、特殊法人の中小企業振興事業団、それから同じような財団法人の日本産業デザイン振興会というのがありますね。これの業務目的と雑貨センターの業務目的というのか、内容というのか、競合する面があるのですが、これは同じ通産省の中であるからして、これの業務内容をきめるときに、当然話し合いがなされたのだと思うのですが、これは競合しても差しつかえないという結論が出たのでしょうか。いかがですか。
  104. 後藤正記

    ○後藤政府委員 日本産業デザイン振興会と雑貨センターとの業務内容は競合しないという結論に達しましてあれをつくった、こういうことになっております。
  105. 中村重光

    ○中村(重)委員 それじゃお尋ねいたしますが、中小企業振興事業団ですね。これは近代化指導事業と技術開発事業というものをやる。そして具体的には、指導事業は経営講習会とかスライド作成であるとか、それから技術開発事業は技術調査とか専用機械の試作、こういうものをやる。それから日本産業デザイン振興会というのは、優良商品の常設展示、デザイン法に準拠した業務、デザイン改善研修会、内外資料の整備、海外デザイン調査事業、こういうものとこの雑貨センターの業務内容と競合するではございませんか。どうですか。しないという結論というのはどういうことですか。
  106. 後藤正記

    ○後藤政府委員 お答えいたします。  日本産業デザイン振興会は、機械、繊維それから陶磁器、雑貨、それぞれの分野におきまする各デザイン関係の全般的な総合的な機関としてでき上がっておるものでありまして、むしろそれは全体と部分との関係に立つわけでございますので、この点は、私は競合しないとかように解釈いたしております。
  107. 中村重光

    ○中村(重)委員 全般的であるとしても、具体的な業務をやっていることについては同じことなんでしょう。それじゃどれほど具体的に違うのですか。
  108. 後藤正記

    ○後藤政府委員 デザイン振興会が特にやっておりますのは、いわゆるグッドデザインというGマークの認定をいたしまして、それをその商品につけること、あるいはまた海外からのデザインの情報関係の収集等、先ほど申し上げましたそれぞれの分野、機械あるいは繊維あるいは陶磁器あるいは雑貨、そういった各デザイン関係の仕事にも当たっております各機関への共通した問題を全般的に取り上げておりまして、その間の仕事の分野ははっきりいたしておると考えております。
  109. 中村重光

    ○中村(重)委員 これはこれでやめますが、ただ、私が言っているのは、一つの例として申し上げているのですよ。目的は違っても、具体的にやっている業務の運営の状況というのは同じなんだ、こういうことです。それは、いわゆるたてまえというものがそうであっても、具体的な内容というものが違っておるのか、違っていないのかということを、やはりつぶさに検討してみなければならぬと思うのですよ。そこらにいろいろ人員配置上の問題等々出てくるわけなんだから、やっていることが同じであっても目的が違うのだからいいじゃないかということにはならないのではないかという気がします。だからそれは、私が言っていることが間違いなのかどうかということは、私もさらに検討はしますけれども、あなたのほうもおやりにならなければ、ただ掲げておるところの看板が違うのだから、ずっと進めている仕事が同じであってもそれはかまわないのだ、ということにはならないと私は思うのですよ。同じ通産省内だからですね。そこらは、こういうことはこう掲げているのだから違うのだということだけで律しようとしないで、もっと実際を検討してそれに対処してもらわなければならぬと私は思います。  最後に、それぞれ両局長に、結論的と申しますか、これから取り組む姿勢についてお尋ねしたいと思うのです。  問題は、雑貨センターの人員整理といったような問題が出てきましたから、こういろいろな問題を質問することにもなりましたが、それはそれとして、非常に重要であるということ。この人員整理というようなものだけを切り離して問題を処理するということではなくて、一体のものだと私は思うのです。先ほどいろいろ指摘いたしましたことですね。検査目的を達成する。検査法の意義、目的、それからセンターを、検査機関をつくったその目的に沿うようにやっていかなければならないということ。  それからやはり労働者の問題は、冒頭申し上げましたように、国が法律をつくって、その法律に基づいてそれぞれの機関が設立されておる。それによるところの業務に従事をしてきた職員は、やはり安心してその職場で働いておると思うのです。骨を埋めようと考えていると私は思うのです。だからそれに対しては、直接の国家公務員でないにいたしましても、やはり国としてもその責任を十分感じられて、それに対するところの措置を講じられる必要があるであろうと私は思います。そのためには、先ほど来いろいろと指摘いたしましたことが検査目的を達成することにもなるし、ひいては労働者の生活安定という形にもつながっていくということになるわけでありますから、総合的にこれから対策を講じていかれる必要がある。当面生じておる人員整理の問題に対しましては、一方的にやむを得ないのだという形で労働者の首を切るということであってはならない。それから、どこにでも就職さえさせればよろしい、しかもそれは業界がやるべきことだというような無責任な態度ではなくて、政府の責任を十分感じ取られて、一緒になってこの対策を講じていくということでなければならぬと私は思います。そういう用意があるかどうか、熱意を持っておるのかどうか、それぞれ両局長からひとつお答えをいただきまして、そのお答えで満足できますれば、私はこれで質問を終わりたいと思います。
  110. 楠岡豪

    ○楠岡政府委員 先生御指摘のように、確かに二つの問題があると思います。いま当面の問題をどうするかということと先行きの問題でございますが、先行きの問題につきましては、やはりセンターに働く方々が安心して将来を託せるような基礎を持つ形に持っていかなければいけない。いまここで、かりに何かの方法を講じまして、たとえばことしを送ったにいたしましても、また二年たって同じようなことが起こるということでは、仕事としても安心した仕事ができないわけでございますし、何よりも従業員の方々がこのセンターのために働こうという気持ちにもなれないわけでございます。したがいまして、再建策につきましては、非常な困難があろうかと思いますけれども、私どもとしては、できるだけ御援助をしたいというふうに考えております。  もう一つのさしあたっての問題でございますが、これは先ほどもお答えしましたように、私どもとしてできるだけの御協力はしたい、かように考えておるところでございます。
  111. 後藤正記

    ○後藤政府委員 特に輸出雑貨センターにつきましては、私の所管いたしております輸出検査業務あるいはデザインの認定業務等々と非常に関連がございますので、繊維局長とも十分に連絡をいたしまして、ただいま繊維局長からお答えいたしましたと同一方向に努力いたしたい、かように考えております。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁に満足はできません。ですけれども、本会議の予鈴が鳴りましたから、時間的な関係もありますから、あなた方の、先ほど来私が多く指摘いたしました当面の、いまの従業員の希望退職という名によるところの整理の問題に対する、単に通産省協力ではなくて、みずからも責任を十分痛感してこれに対処していくという、そうした姿勢を見守りながら、またお尋ねをしなければならない点はお尋ねもしてまいりたい、このように考えます。  時間の関係がありますから、質問を留保して、一応きょうは終わります。
  113. 八田貞義

    八田委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      ————◇—————    午後三時三十八分開議
  114. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。相沢武彦君。
  115. 相沢武彦

    ○相沢委員 私は、中小企業に対する金融政策について若干御質問をしたいと思います。  まず最初に政務次官にお尋ねをしたいのですが、最近の倒産情報によりますと、昭和四十六年に入りまして、一月から四月までの累計倒産件数はすでに三千百六十三件、負債総額二千七百七十億円と報じられております。この情報で見る限り、史上第二位の倒産件数を記録した昭和四十五年度の対比で、同じ一月から四月までの累計比較で三百件も多いわけであります。そして、ここ五、六年の推移を見ますと、倒産率はほとんど低下をしていない、こういうことでございまして、非常に憂慮される状態にあると思うわけであります。  一般には、前期の金融引き締めは大企業に影響があらわれたけれども、中小企業へのしわ寄せは非常に少なかった、こういう見解が述べられておるようでありますけれども、ことしに入っての倒産率がますます高まってきている点から考えますと、中小企業対策が現状でよいというような楽観的な考えは決して許されないと思うわけでありますが、政府の中小企業に対する対策について今年度どういう決意で臨まれるか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  116. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 お答えいたします。  一昨年の九月に金融引き締めが始まりまして、倒産件数というのが出ましたのが昨年の四月、多分八百件くらいだと思います。前年度比百件ふえて、そこで初めて中小企業の倒産というものがクローズアップされまして、漸次ずっと月々倒産件数が多くなってきた。それで、ことしに入りまして先生のおっしゃいますように、三千百六十三件という非常に大きな倒産件数も、前年度比百件程度の減少が見えてまいりました。  これはいろいろな要件がございますけれども、ことしの初頭あたりでございますと、金融がいわゆるうしろ向き金融だった。在庫に対しての金利その他に金融が回せられて、景気上昇にほとんど使われてなかったということも言えるのではないかと思いまして、ことしの三月には、わが省といたしまして例のない、年度末金融百九十五億という金融を中小企業を対象に出してまいりました。そういう結果も幾らか出てきたのではないかと思います。政府といたしましても、公定歩合を、昨年の十月の二十八日、それからことしの一月の二十日、五月の八日と、〇・二五%ずつ引き下げておりまして、そういうようなことで、全体としては、まだまだ金融情勢、景気は非常に沈滞ぎみでございますけれども、一部家電、自動車に少しずつよくなる徴候が見えてまいりました。  しかし、まだまだ通産省といたしましては、今後中小企業に与える影響というものが大きいと考えまして、政府機関においては、ぜひ民間に中小企業の金融を上四半期に集中して行なうような形を行なわなきゃいけないし、また中小企業金融機関に対しては、歩積み両建てというものをもっと徹底して禁止する方向に行政指導をしていかなければ、中小企業の今後の景気に対しての悪い影響が出るのではないかと考えております。そういうことで積極的な行政指導を今後とも行なっていきたいと考えております。
  117. 相沢武彦

    ○相沢委員 やはり政府当局の幹部の方たちの考え方というものが相当大きく影響しますので、今後ともますます積極的な取り組みをしていただきたいと思うわけであります。  次に、吉光長官に順次お尋ねしたいのですが、金融政策の引き締めから、三たびにわたる公定歩合の引き下げをされた間における融資原資の動向と、資金需要に対する実施度合い等、一連の景気対策といいますか、それについての簡単な経過を明らかにしていただきたいと思います。
  118. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど、大きな方向といたしまして政務次官からお答えがございましたので、それをさらに段階を追ってお答えを申し上げたいと思うわけでございます。  実は昨年の十月から一部金融緩和措置が講ぜられまして、窓口規制の緩和あるいは公定歩合の〇・二五%の引き下げというのが十月にまず行なわれたわけでございますけれども、これが浸透いたしますのには相当時間がかかるような状況であったわけでございます。特に金融機関の貸し出し余力が低下いたしておりますとか、あるいはまた、いわゆる企業間信用というものが相当膨張いたしておったという時期でございますので、したがいまして、当時におきます中小企業の金融の基調というものはかなりきびしいものがあったわけでございます。  したがいまして、そういう情勢に対応いたしまして、昨年の十一月に実は年末金融対策というものをとったわけでございまして、これは政府関係中小企業機関に対しまして千百六十億円の財投につきましての追加上乗せを行ないました。これによりまして、貸し出し規模を千五百九十億円と拡大をいたしたわけでございます。同時にまた、民間の中小企業専門の金融機関に対しましても、特に年末の金融につきまして積極的な協力方をあわせ要請いたしたわけでございます。  さらに、今年に入りまして、一月以降いわゆる日銀の窓口規制と数量的な規制は撤廃されました。同時にまた、公定歩合につきましても、一月の二十日、さらに〇・二五%引き下げが行なわれたわけでございますけれども、やはり中小企業界の状況はあまりぱっとしないというふうな状況であったわけでございます。特に今回の一月−三月間におきましては、繊維あるいはまた家庭電機の部品、あるいは自動車部品その他、いわゆる景況に関連いたしまして目玉産業といわれておるものが、輸出あるいは国内の需要不振というふうなものと一緒にからみ合いまして、相当の停滞色を濃くいたしたわけでございます。したがいまして、そういう事態に対処いたしますために、いわゆる年度末金融というものを実施いたしたわけでございます。これは従来やったことがなかったわけでございます。ことし初めてこういう年度末金融対策というふうなものをやったわけでございまして、そういうふうなことで、特に中小企業界の金融情勢に対応してまいって本年度に入ったわけでございますけれども、本年度につきましても、実はすでに本年度の三機関の貸し付け規模一兆二千三百二十七億円というものが決定され、あるいはまた信用保険公庫の保険引き受け額一兆五千五百四十億円というふうに拡大をされておるわけでございますけれども、やはり景気の全体は依然として停滞色を深めておるということから、この年間の貸し出し計画の運用にあたりまして、特に上期に集中、傾斜してこれを配分する必要がある、こういうふうな配慮を加えながら現在の金融対策を講じておるところでございます。
  119. 相沢武彦

    ○相沢委員 おっしゃるように、年度末金融については、従前に比べますと、これまでかなり手厚い手が打たれたわけでありますが、最近、中小企業の質的向上というものは、近代化、高度化によりまして徐々にその効果をあげておりますけれども、残念なことに、近代化倒産ということが最近問題になっているのは事実でございまして、設備が新しくなったのに伴っての新設備導入資金、あるいは増産によるところの追加運転資金なども、当初の計画よりもいわゆる流動資金の需要が異常に高まるところから、計算違いといいますか、見込み違いによりまして倒産が非常に多くなっている、こういう状態でございます。これは経営者あるいは企業の運営能力に最終的な責任があるということは当然ではございますが、これ以上、近代化倒産ということが続くようでは、せっかく近促法をつくった趣旨が失われると思うのであります。今後この面で金融措置を、もう少し近代化促進法と並行して考えてやっていく、そういう点につきまして、特に商工中金の運転資金の活用についてもっと考慮しなければならないのではないかと思いますが、この点についてはどのようにお考えになりますか。
  120. 吉光久

    ○吉光政府委員 確かにお説のように、設備資金を多額に投下いたしまして設備を近代化してまいりますと、それに伴いましてやはり追加運転資金というようなものが必要になってまいるわけでございます。そういう意味での運転資金の需要というものはますます強くなるわけでございますが、たまたま本年度の場合におきましては、そういう運転資金要因が本来必要であるところにさらに加えて、先ほどお答え申し上げましたような意味での滞貨融資と申しましょうか、在庫調整のために必要な運転資金と申しましょうか、そういう運転資金の面につきまして、両方面からの需要が相当増大してまいっておるわけでございます。いま御懸念ございましたようないわゆる近代化倒産というふうなものも、需要の不振というふうなところから、別に在庫手当てをしないと企業の運営がうまくいかない、倒産に結びつく、こういうふうな両方の原因が重なりまして出てまいってきたというのが現状であろうかと思うわけでございます。  実は御承知のとおり、この追加運転資金の問題に関連いたしましては、たとえば中小企業金融公庫のいわゆる長期運転資金の貸し付け限度額は二千万円でございますけれども、構造改善業種、特に近代化を急がなければならない構造改善業種につきましては、三千万円まで上乗せをいたしまして、一般の場合と違った限度額を定めており、あるいはまたこの返済期間につきましても、通常の場合が三年でございますのを、この構改業種につきましては五年というふうな長期な償還、貸し付け期間を設けておるわけでございます。制度はそういうふうな形になっておるわけでございますけれども、要は運用の問題でございます。そういう意味で、実は今回の年度末金融対策としてやりました中小企業金融公庫のほうの関係の中には、いわゆる特別運転資金の貸し付け制度、これは従来代理貸しというのは一千万円が限度額でございますけれども、この場合に限りまして、ことしの九月まで六カ月間二千万円まで代理貸しで貸せられる。これは長期運転資金をすみやかに企業のほうに充足しようという意図から、そういう制度を設けて現在運転資金の供給に当たっておるところでございます。  それからさらに、御指摘ございました特に運転資金の供給面におきまして、商工組合中央金庫、いわゆる商中の果たしております役割というものも、非常に大きなものがあるわけでございます。そういう点から、特にこれは組織金融でもございますし、こういう段階に対応いたしまして、近代化計画自身が協同組合、協業組合等を中心にした組織の力で進められておる場合も非常に多いわけでございますので、商工中金のそういう面への配慮というものもきわめて必要である段階になっておるというわけでございまして、私どもも商工中金に対しまして、特にいま御指摘の線に沿ったような配慮のしかたで運転資金をまかなうよう話を進めておるところでございます。
  121. 相沢武彦

    ○相沢委員 いまおっしゃいました三千万まで限度額を増加した分、それからまた長期償還を許可した分ですね、あとから資料をいただきたいのですが、お願いいたします。  先ほどお述べになりました政府系金融機関の中小企業金融三機関における財政投融資額の経過なんですが、毎年の伸び率は一八%でずっと伸びてきておるようですが、中小企業経営者の資金需要に即応し得るように、年度末追加ですか、弾力条項で五〇%の増加ということが認められて、それを利用しているようでございますけれども、ここ数年間の財投追加の金額、また対比を見ますと、まだ余裕があるのではないかと思うのですが、資金需要の旺盛な時期に、もう少し思い切った貸し出しができてもいいんじゃないかと思います。この点いかがでございますか。
  122. 吉光久

    ○吉光政府委員 すでに御承知のように、予算総則におきましては、この政府系金融機関につきまして、国民金融公庫と中小企業金融公庫については、全額政府出資でございますので規定されておるわけでございますが、予見しがたい経済事情が発生いたしました場合に、弾力条項として五〇%の追加財投を行なうことができる規定がございます。この規定に基づきまして、実は年度末金融というふうなものを実施いたしておるところでございますし、同時にまた、予算総則には規定されてございませんけれども、商工中金に対しましても、並行的にあわせて追加財投その他の措置をとってまいっておるところでございます。  確かに四十四年度、四十五年度の追加いたしました財投の規模は五〇%までは行っていなかったわけでございます。試みに実績で申し上げますと、たとえば四十五年度におきましては、中小公庫の追加財投の率は当初計画に比しまして二〇・五%、それから国民金融公庫におきましては同じく二〇・三%という追加財投を行なっておるところでございます。  これは実は、御承知のとおり、五〇%までは弾力条項で追加財投ができるよう国会の御承認をいただいておるところでございますけれども、現実の需要その他を想定いたしまして必要なものをはじき出すというふうな態度でやっておるわけでございまして、中小企業業界に金融事情が逼迫しておれば、それに応じた形でこの弾力条項が活用されてまいらなければならないという点につきましては、全くそのとおりであるわけでございまして、私どもも実はその趣旨に沿って、実はそういう意味での追加財投を組んでまいっておるというのが現状でございます。
  123. 相沢武彦

    ○相沢委員 全国の中小企業の真の要望がもう少し早く政府の中央のほうに吸い上げられるような、そういう努力をしていただきたいと思うのです。  それから、大蔵省のほう来ておると思うのですが、貸し出しワクの拡大だけが中小企業対策として十分に効果ある施策になり得るかどうかということは、昨今経済環境の変動から一がいには言い切れないと思いますが、やはり金融ということは重点施策の中でも最も重要項目でありますし、したがって中小企業のすみずみまで金融施策のメリットを生かしていくというためには、民間中小企業専門金融機関への援助ということがどうしても欠かせないことだと思うのですが、こういう観点から、最近この点の措置を強化される御意思があるのか、あるいは強化を実際されておるのかどうか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
  124. 結城茂

    ○結城説明員 ただいまの民間中小企業専門金融機関に対する政府考え方、こういうことであろうと思いますが、民間の中小企業専門金融機関、相互銀行、信用金庫、それから信用組合の貸し出しは、御承知のとおり、中小企業向け貸し出しの中で約四三%を占めております。非常に大きなウエートを持っておりますので、私どもとしましても、これらの三機関の資金的な充実あるいは体質の改善ということについては、十分考慮してやっております。特に、これらの機関につきましては、中小公庫とかあるいは国民公庫、長銀三行、そういうふうなものの代理貸しワクの問題というふうなことで、中小企業金融そのものに大きな資金的な供給が円滑に行く、こういうような面での配慮も加えております。  それからまた、これらの金融機関については、たとえば公金の取り扱いの問題、これらについても、つい最近の問題でございますが、信用組合について電電公社の取り扱い収納を認めるというふうな措置も講ずることにいたしまして、こういうふうな観点も加えまして、やはり体質の強化ということにつとめてまいりたい、かように考えております。
  125. 相沢武彦

    ○相沢委員 もう一問、中小金融課長さんにお尋ねしておきたいのですが、都市銀行間の大型合併ということが最近話題になっておりますが、事あるごとに、都市銀行と中小企業専門金融機関との間にある競争条件の適正化ということが指摘されております。そこで、代理貸しワクの拡大の問題それから公金取り扱い業務の原則の問題、それから日銀のコールローンの体質の改善ということで、いわゆる中小企業向け貸し付け金融機関の経営能力の向上ということが、中小企業にとってはどうしても好条件につながる問題だと思うのでありますが、この点どういうような方針に考えられておりますか。
  126. 結城茂

    ○結城説明員 ただいまの代理貸し問題等に関連する問題でございますが、これら中小の民間金融機関の代理貸しの金額というものは、年々ふえてきてございます。たとえば相互銀行の場合には、最近の残高で約三千二百億というふうな残高になっております。それからまた信用金庫の場合にも、この残高は八千八百九十二億円。前年が七千七百二十三億円というふうなことで、約一千百億円程度の増加になっております。同じくまた信用組合につきましても、残高ベースで申しますと、昨年の三月が千三十六億円でございましたが、この四十六年の三月末では千二百九十四億円と、こういうふうにふえております。  代理貸しにつきましては、もちろんその代理金融機関のほうで、資金需要の動向なりあるいは資金計画というものをにらんできめておりますけれども、いま申し上げましたように、量的には年々増加されてきておる。われわれとしてもその充実については今後とも配慮していきたい、かように考えております。
  127. 相沢武彦

    ○相沢委員 吉光長官にお尋ねします。融資の実態面の問題点ですが、まだまだ不都合な点が依然として残っておるということがいわれております。先ほど政務次官も、歩積み両建てを撤廃するように一そう力を尽くすということでありますが、実情はまだ改善されていないということでございます。そのほか、無担保融資ワクの拡大はもっと期待できないかという点がございますし、また信用保証協会の審査が長過ぎるという声があるのですが、この点いろいろ聞いてみますと、政府の御答弁では、大体二、三週間でできるというお話ですが、三週間をこえて四週間日に入った場合には、実際に受けている方たちは長く感ずるわけですね。三週間以内に審査が終わった場合と、四週間日に入ってからきた場合とでは、非常に時間がかかり過ぎるという感じになって訴えが出てくるわけであります。三週間以内に審査を終えて当人に知らせるというように、もう一段と努力していただきたいと思うのですが、この点について、実情をどの程度把握されておりますか。
  128. 吉光久

    ○吉光政府委員 最初に歩積み両建ての御指摘があったわけでございます。確かに歩積み両建ての問題というのは、古くして新しい問題です。前々からいわれていながらなかなか実効があがりにくい問題であるわけでございますけれども、私ども、銀行の監督官庁としての大蔵省のほうにお願いいたしまして、歩積み両建ての自粛につきまして強力な指導措置をとってもらっておるわけでございます。長期的に見ますと、だんだんと数字の面では良好な面が出てまいっておるわけでございます。長期的に見ますとだんだんとよくなっておるという状況であるわけでございますけれども、ただ関係業界のほうから話を伺いますと、実情が、特に昨今のように金融の逼迫しているという状況におきましては、必ずしも数字のとおりであるかどうかという点につきまして疑念を抱かざるを得ないような場面もあるわけでございますけれども、ただ、長期的にだんだんよくなっておるということだけは、大蔵省の御努力によりまして、事実であろうかと思うわけでございます。さらに大蔵省のほうでも、こういう点につきましての取り締まりを強化されるというふうに伺っております。そういう措置によりまして、一そうこの問題が前進、改善されますことを私ども強く期待いたしておるところでございます。  それから、無担保貸し付けの問題でございましたが、こういう質の面で、確かに、無担保貸し付けという点につきまして、もっと積極的に処理してまいるということが必要な場面もあろうかと思うわけでございます。  御承知のとおり、現在、小零細企業を対象といたしております金融機関でございます国民金融公庫におきましては、三百万円以下は無担保でございます。実は実績をちょっと調べてみたわけでございますけれども国民金融公庫の四十五年、昨年の四月から十二月までの総貸し出しが四千二百九十億円ございますが、そのうち、無担保貸し付けが三千八百八十一億円、約九割は無担保で貸し付けられておるという状況になっております。やはりそういう小あるいは零細層にとりましては、この無担保貸し付けの制度というものが相当活用されておるということの証左ではないかと思うわけでございます。また、それだけに需要も強いものであるというふうに考えるわけでございます。  実は、先般、法律の改正をお願い申し上げました信用保険の中の、いわゆる無担保無保証貸し付けを、限度額五十万円でございましたものを八十万円まで引き上げることにつきまして御承認をいただいたわけでございますし、現にすでにこの法律案が通りました後、今年度から実施の段階に移しております。従来五十万円でございましたものを、八十万円までは無担保無保証人で信用保証を行なう、こういう制度の活用も、またおそらく十分に今年度から行なわれていくことになってまいるのではないか。これにもまた強く期待をいたしておるところでございます。  それから最後に、いまの信用保険の問題に関連いたしまして、信用保証協会の審査の期間がいささか長くなっていないか、特に三週間まではあれだけれども、四週間をこえる、あるいは四週間に入るというふうなことであれば相当たいへんな事態であるというふうな御指摘をいただきました。普通、小口の場合につきましては、これはもうすでに御承知のとおり、大体一週間以内で処理をいたしております。ところが、大口になってまいりますと、普通の場合には二週間以内で処理する、十五日以内くらいで処理するというのが通常のケースであるわけでございますが、やはり中には、その事案の困難性といいますか、そういうところから、その日にちまでにできないで長引いておるというものがあることも、私伺っております。あるいはまた、銀行経由で保証協会の保証をとるというふうなもの、これは手数が二倍になっておりますので、したがいまして、一般に保証協会の窓口に直接持ち込まれる案件よりもいささか日にちが長くなるというふうな傾向もあるようでございます。もちろんこれは、小口の場合につきましては、銀行経由でありましても、いわゆる追認保証制度というような制度を設けておりまして、要するに小口案件であれば、銀行でどんどん先に貸していただいて、あとで信用保証協会が追認的に保証を出しますというふうな約束ごとを銀行と信用保証協会のほうで行なっておりまして、これは迅速に手続を進めるという意味から、小口案件につきましては現在そういうふうな制度も設けて、これを活用してもらっておる状況でございます。特にこういう信用保証引き受けで銀行から金を借りるというふうなことになりますれば、やはりこれは金融の迅速性ということがどうしても重要でございます。そういう意味合いから、いま御指摘がございましたような、三週間以内に全部処理する、こういう基本方針によって処理してまいるというふうなことは、私どもも必要であろうかと思うわけでございます。ただしかし、これは原則論としてということになっておりまして、中には、やはり具体的事情によりまして、どうしてもそういうふうにいかないというものが出てくるかもしれませんけれども、つとめて三週間以内にはすべてのものを処理するというふうな方針でさらに指導を徹底してまいりたいと考えます。
  129. 相沢武彦

    ○相沢委員 三週間以内処理の原則が励行できるように、ぜひ御努力いただきたいと思うのです。  それから、いまお話しになりました無担保無保証の融資が五十万から八十万になりまして、本年度の総貸し付けのワクはどのくらいになる見込みですか。わかりましたら、ちょっと数字を聞いておきたいと思うのです。
  130. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま資料を手持ちしておりませんので、後ほど御報告申し上げます。
  131. 相沢武彦

    ○相沢委員 下請振興策について一言お伺いしておきたいのですが、今回の景気循環によって下請業種の不振は非常にきびしい状況に置かれておりますし、特に自動車、家庭電器業界は深刻であろうと思いますが、政府としては、これまでやってきた土木事業だけの片寄った措置でなくて、全般的な公共事業が必要になってくるのではないかと思うのですが、特に中小企業の中でも、下請企業全般に行き渡るような振興対策というものをお考えになっておるかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  132. 吉光久

    ○吉光政府委員 全体の政府の財政支出の考え方といたしまして、上期に重点的に財政支出の支払いを促進するというふうなことで基本方針が打ち出されておるわけでございます。したがいまして、これは実はたとえば土木工事その他につきましては、直接的にそういう財政支出を早めますことによって景気の浮揚力をつけよう、こういう考え方に基づくものであるわけでございます。したがいまして、それが産業界全体の景気につきましてある程度の浮揚力を持ってまいるその波及効果をねらっておるものであることは、御承知のとおりでございます。  ただ、いまお話ございましたような、家庭電器製品でございますとか、あるいはまた自動車部品でございますとか、それらの下請関係にとりましては、そういう全体の景気浮揚の問題とは別に、個別的なそういう企業の問題として、需要不振、親事業者のほうで生産量を押える、それが下請に対します発注量を減らしてまいるというふうな、そういう形で起こってくる仕事の減少というふうなことになるわけでございますので、むしろいま行なっておりますのは、先ほど年度末金融の際にもお答え申し上げましたように、そういう意味で出ました在庫調整といいましょうか、その不況時に耐えることのできるような金融的な援助をやって、とにかくすぐに倒産にいかないというふうな金融的なてこ入れと申しましょうか、それを中心にやってまいったわけでございます。  それが第一にとられた策でございますけれども、さらに第二には、こういう生産量の減った、あるいは受注量の減った下請業者に対しまして、御承知の下請企業振興協会というものが、下請が相当数あるところには設けられておるわけでございます。この下請企業振興協会は、実は親事業者と下請事業者との間の仕事のあっせんということをもその仕事の中に持っておるわけでございまして、この下請企業振興協会の活動によりまして、下請事業者、特に注文量の少ない下請事業者に対して、他の事業分野から発注をとってきてやるというふうな、そういう意味でのあっせん業務を、こういう時期になりますと強化してまいる必要がありますし、現にそういう下請企業振興協会の窓口も、そういう意味で仕事量が少なくなった下請事業者からの注文が相当参っておるというふうな状況であるわけでございまして、そういう意味でのあっせん活動をやはり強化してやる必要があるというふうに考えるわけでございます。  それからさらに、これはもう申し上げるまでもないわけでございますけれども、基本的にはやはり親事業者と下請事業者とのあり方の問題に関連する問題、あるいは下請事業者の体質改善に関連する問題があるわけでございまして、さきの臨時国会で御承認いただきました下請中小企業振興法に基づきまして、実はすでにこれも実施に移しておるところでございますけれども、親事業者が発注量を減少するとかいうふうな場合におきましては、できるだけ早くそれを下請事業者に知らしてやることが必要である。急に抜き打ち的に受注量を減少するというふうなことになりますれば、これは下請はそれに対応するだけの余裕がございません。そういう意味で、あの下請振興法に基づきます振興基準、これは親事業者の順守すべき事項という中にそういう規定をも設けさしていただきまして、下請に急激なショックが起こらないような配慮を現在いたしておるところでございます。
  133. 相沢武彦

    ○相沢委員 約束の時間が参りましたので、以上で終ります。
  134. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 近江巳記夫君。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうはいろいろ御質問を申し上げたい、このように実は思っておったのですが、時間の関係もございますので、二、三の点にとどめて質問したいと思っております。  まず初めにお聞きしたいことは、この前に私、電力事情につきましていろいろ御質問申し上げたわけでありますが、その中で、結局、今後、原子力発電というものが非常に伸びてくる、このように予想されるわけでありますが、そうなってきますと、ウラン資源の確保ということが非常に大きなポイントになってくる、このように思うわけですが、今後わが国の天然ウランの需要の伸びがどのくらいになるか、政府としてはどのくらいの予想を立てておるわけですか、まず初めにこの点をお聞きしたいと思います。
  136. 長橋尚

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  わが国におきます原子力発電に必要なウランの所要量といたしましては、天然ウランのベースでお答え申し上げますと、もとよりこれは原子炉の出力とか型とか、あるいはまたプルトニウムの利用方法のいかんによって変わってくるものでございますけれども、現在の時点に立ちまして、今後、原子力発電の大宗を占めると考えられます軽水炉を前提として計算いたしますと、累積所要量で申しまして、昭和五十年度には約一万六千ショートトン、それから五十五年度時点におきましては四万九千ショートトン、さらに六十年が、一応六千万キロワットの原子力発電の設備を想定いたしました場合には、約十二万ショートトン、かような数字が見込まれる次第でございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、この確保の問題でございますが、確保についてはどのくらいの見通しを立てておりますか。
  138. 長橋尚

    ○長橋政府委員 かように需要の増大を見込まれますウラン資源につきましての確保策といたしましては、まず第一に国内資源に期待できることが望ましいわけでございますけれども、国内資源の面におきましては、これに非常に乏しいわが国の現状でございまして、やはりそのほとんど大部分を海外からの供給に依存せざるを得ない状況でございます。かような見地に立ちまして、今後とも引き続き国内ウラン資源の調査、探鉱を継続いたしますとともに、海外におきます低廉かつ安定的な供給源を確保する見地に立ちまして、一つには長期、短期の輸入契約によってこれを確保する努力をいたしております。また、これと並行いたしまして、資源の自主確保という見地から、探鉱開発を進めているわけでございます。  輸入契約による今日までの確保状況でございますが、これは約四万六千ショートトンが確保されている状況でございます。天然ウランのベースで申し上げまして四万六千ショートトンが、長期、短期の輸入契約によりまして確保されている段階でございます。  それから、今後さらにウエートを置くべき探鉱開発の面につきましても、現在わが国の需要家である電気事業界と鉱山業界が共同いたしまして、米国のカーマギー社、あるいはまたカナダのデニソンマインズ社、さらにはフランスの原子力庁、ニジェル共和国政府との間に共同探鉱開発契約を結びまして、目下探鉱に努力中でございますが、この面においては、まだ具体的な成果をつかむまでに至っておらない状況でございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国の場合、昭和五十年以後のウランについては、私もここに資料を持っておりますが、これはかなりの不足になってくるわけです。そこで、あなたいまいろいろ今後の対策ということをおっしゃったわけでありますけれども、ここで海外のウラン鉱山開発のための施策——石油などはかなり政府としても力を入れておるように思うのです。たとえば石油公団などは融資率にしても五〇から八〇%ぐらいまで上げるというようなことになってきておりますが、金属鉱物探鉱促進事業団、これなどは今後さらにてこ入れをしていかなければ、ウラン資源の確保ということがいろんな点で非常にむずかしいんじゃないか、このように思うわけですが、きょうは特にウラン問題とかそういう点について非常に詳しい政務次官も来られておりますし、局長さんと政務次官にひとつ対策を詳しくお聞きしたいと思うのです。
  140. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 いま近江先生からいろいろお話がございました、今後十年間という昭和五十五年くらいまでの所要量を見ていきますと、日本の電力会社で使用されますウラン鉱の累積所要量というのは、約四万八千トンぐらいだろうと思います。そのうち、現在われわれが契約できておるといわれる需要が確保できるというのが、約三分の二の三万二千トンくらいあるかと思います。で、最近の石油事情その他を見ておりますと、今後十年後の五十五年には、やはり原子力発電が相当量伸びてくる。それに対応して、石油と比べて原子力発電のほうがいままでの比率よりずっと多くなることは事実でございますので、私たち一番考えておりますのは、こういう時期に、日本が海外探鉱を、自主開発ということばはきらいでございますけれども、協力開発をして、自分のウラン鉱を持っておく必要があるかと思います。そのためには、金探などのシステムをフルに利用することとともに、もう一つ新しい知恵が出てこなければいけないのではないかと思います。  これは私の意見ではございますけれども、たとえば海外探鉱をする場合に、日本の外貨を直接貸しができるようにする。金探あるいは動燃事業団等が保証して、開発会社に海外の日系為替銀行から直接貸しができるようなシステムを考えることも、一つの手ではないか。それから、これは石油等も同じでございますけれども、すぐ採算ベースに合うものではございませんので、その点、政府は財政上の問題、あるいはそういうウラン鉱を開発する会社に対しての特別融資制度などというものを拡大して考えていく必要があるかと思います。そうしませんと、なかなか日本の原子力発電というものがむずかしくなる傾向がございます。  現在、世界各国の原子力発電、ヨーロッパなどは特におくれているようでございますけれども、各国で計画中を見ますと、二百七十四基、一億四千七百万キロワットという膨大な数で、最近のOPEC機構など見ておりましても、そういう原子力発電の加速化ということが行なわれてくるのではないか。それに関連してウラン鉱開発というものも、相当積極的に行なわざるを得ないのではないかと思います。そういうことで、現在わかっておる、先ほど申しました八十四万トン、これは一ポンド十ドル以下の経済ベースの問題でございますけれども、これがまだまだ開発する余地がございますので、アメリカの石油メジャー会社なども、石油からウラン鉱に変えつつあるという世界的現状を見ておりますと、日本も積極的にウラン鉱開発というものに手を出さざるを得ない、こう考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 おっしゃるように、確かに世界のそうした石油業者というのはウランに目を向けてきておる。石油ではいま自主開発ということで非常にいろいろ手を打っておられるわけでありますが、これは世界の大手にいいところはほとんど押えられておるということで、やはり非常に悪いところしか残っていないという点で、リスクも非常に大きい。しかし、ウランの場合は、石油ほどはまだ差をつけられておらないという点で、私はいまこそ積極的なそれをやるべきだ、このように思うのですが、もう一歩突っ込んで、金属鉱物の事業団等においても、てこ入れをもっと具体的にお考えになっておらないわけですか。そういう点がありましたら、お聞きしたいと思います。
  142. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 具体的にといいましても、まだ検討段階でございますから、はっきり申し上げませんけれども、これは私の意見としてお聞きいただきたいのでございます。  先ほど申しましたように、最近のOPECの事情、石油事情等がございまして、日本の石油資源開発というものを積極的に進める必要がある。現在は、はっきり言いまして、OPEC諸国から買うのではなくて、八大メジャー等々から買うような状況が日本の石油でございます。そういうことではいけないということで、自主開発、協力開発というようなことで、日本自身が相手国と協力して開発し、低廉かつ安定な供給を受けようという考え方で、そのために、外貨直接貸し、あるいは開発会社を立てる場合に石油開発公団が八〇%ぐらいまで持とうではないかというようなことを、いまいろいろ考えております。  しかし、石油だけでそういう日本のエネルギー政策を考えてはいけない、石油と原子力、特にウラン開発というものもあわせて考えていかなければいけないので、そういう制度的な問題も、ウラン開発に対しては同じようにものごとを考えていかなければいけない。ですから、先ほど申しますように、直接貸しとか、あるいは融資比率を大きくするとか、税制上の優遇をするというようなことをやらなければいけない。また、開発とはどういうことをいうのか、探鉱とはどういうことをいうのかというような問題も、もう一度ひとつ見直しをする時期に入ってきたと思います。そういうことでいま鋭意研究中でございますので、この辺でごかんべんのほどを願いたい。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 大体そういう点がおもに今後具体的に進むのじゃないか、私もこのように思いますが、ウラン資源はウラン資源として、今度は濃縮の問題なんですけれども、世界の濃縮の計画をずっと見ましても、先行きアメリカばかりにたよっておりますけれどもアメリカも第四工場を建設する、しない、膨大な費用がかかるというようなことでだいぶもめておるようでありますし、第四工場の建設も見込めないというようなことになってまいりますと、やはり日本として濃縮ウランの確保ということが非常に心配になってくるわけですが、濃縮ウランについては、どういう見込みあるいは対策を立てておられますか。
  144. 小川利男

    小川説明員 お答えいたします。  現在予想しております需要量でございますが、昭和五十年に二千九百トン、これは分離作業量でございまして、昭和五十五年には五千トン、それから昭和六十年には八千五百トンというような数字が見込まれているわけでございます。  それで一方、いま先生御指摘の、じゃ確保はどうするのかというような御趣旨だと思いますが、現在日本では生産技術がないのでございまして、現在研究段階でございます。したがいまして、現状ではアメリカに濃縮について委託をいたしまして進めているわけでございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 アメリカに一切たよってべったりという、そんなことはわかっているわけです。だから私は言っているわけです。だけれどもアメリカ自体がそれだけの供給の体制ということについてやはり難色を示しているわけですよ。第四工場の建設の話まで私は持ち出しているわけですから、そういう答弁ではあかぬわけです。この米国の第四工場、あるいはフランスの濃縮工場計画、あるいは多国間の米国、カナダ、豪州、こういうところの生産。この第四工場等については未定でありますし、フランスあるいは多国国の場合も仮定でありますし、そういう未定なり仮定の上に希望的なことだけにすがっておるようなことでは、当然これは将来頭打ちになる。したがってその対策をいかにとっておるかということを聞いておるわけです。もっと責任ある答弁をお願いしたいと思うのです。
  146. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 お答えいたします。  いま先生のおっしゃいますように、アメリカに依存いたしておりますけれども昭和五十五年ごろには、能力としては大体一ぱいとなるということでございます。濃縮の問題は、御承知のように、軍事にも非常に密接に関連している性質上、非常にむずかしい問題でございますし、技術的にもまだ安定いたしておりません。つい最近の原子力産業会議の年次大会でも、英国、フランス、ドイツ、オランダ等の技術者がいろいろ発表いたしておりますけれどもアメリカとフランスが、ガス拡散技術経済的に濃縮する唯一の技術であるという発表をしている半面、イギリスは、遠心分離法が十年以内にやはり経済的なベースに立つであろうという発表もいたしております。  そういうことで、技術的にまだ非常に安定はしてないことも事実でございますけれども日本が、そういうことであろうから、ではそれまで待つというわけではなく、ガス拡散、遠心分離にしても、原研、動燃事業団でそれぞれ研究をしておりまして、早くやはり技術決定をしなければいけないかと思います。しかしこれは、商業工場としての濃縮工場を建てるとすれば、一工場二千億ないし三千億の金が必要でございます。そう簡単なものではございませんけれども、反面、石油に換算いたしますとたいへん膨大な量になるわけでございますので、日本としても濃縮技術の確定を急がなければいけないことも事実でございます。先ほど申しました、現在の濃縮その他については、一応四十八年ごろまでのめどはついておるものの、それ以降の問題については、やはり日本としては非常に重要な問題でございますので、早く科学技術庁等で決定をしていただいて、濃縮の技術確定方向をきめて、日本の原子力発電の安定供給をはからねばならないと考えます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 昭和五十五年の時点で、これは公式の発表を見ても、この需要が大体五千トン。ところが日米原子力協定によって供給されると見られているのは大体四千四百トン。この時点でもう不足しているわけですよ。ですから、そういう点からすれば、そんなのんびりしたことを言っていられないわけです。科学技術庁にきめてもらうのを待っている——まあ、これは次官も非常に詳しいわけですから、それはわかった上での御発言だと思います。これはやはり何といっても、電力という点から考えれば、通産省がそれだけの背負っていく立場にいらっしゃるわけなんです。そういう点で、積極的にこの辺のところをどうするかということに、やはり科学技術庁とともに力を入れていただかないと、もうあっという間に来るのじゃないかと思うのです。その点、ひとつ科学技術庁におぶさるという形ではなくして、通産省一体になってやっていただきたい、このように思うのですが、お考えはどうですか。科学技術庁におぶさっていくというお考えですか。これは重大なことですからお聞きしておきます。
  148. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 これは、科学技術庁、通産省だけではいかない問題で、国内事情も核アレルギーその他等ございますし、金が商業工場で二、三千億、一説には五千億といわれております。ですから、これも政府全体でものを考えることと、やはりこれを使う民間の協力なくしてはできない問題であろうと思います。そういう決定がいつされるのか、たいへんむずかしい問題になるのでございますけれども、まず私としては、日本の濃縮技術はガス拡散か遠心分離かというものを早く決定して、その工業的技術というものの確立をしなければ、濃縮ウラン工場というものはなかなか建設をできないだろうということは事実だと思っております。ただ科学技術庁におんぶするというようなことではなく、政府全体、国民全体でものを考える事態であろうと思っております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 これはわが国単独でやるというよりも、多国間という線が非常に濃厚に出ておりますし、この辺のところをすみやかに、ただ受け身ではなくして、積極的に煮詰めて、将来の展望について国民に不安を与えないように、ひとつそういう指導性を持った姿勢でいっていただきたい、この点を特に申し上げておきます。  その次に、これは実はきのうの新聞にも出ておったわけですけれども、エックス線あるいはガンマ線を使って行なう非破壊検査に従事する作業員、これは全国に四千人ぐらいいるわけでありますが、この一、二割が許容量をこえた放射線を沿びておる、こういう事実が明らかになったわけです。最近、こういう非破壊検査というものが、飛行機なりあるいは高圧容器、そうしたものの工業利用に非常に盛んになってきておるわけですが、この事件につきまして現在までどのように掌握をされておるか。掌握された範囲でこの実情をひとつ説明してもらいたいと思うのです。きょうは、労働省なり科学技術庁なり通産省、みな来られておると思うのですが、どなたでもけっこうです。
  150. 児島宣夫

    ○児島説明員 昨日の新聞の件につきまして、いわゆる非破壊検査業者というものは、戦前からエックス線発生装置を使っておったわけでありますが、昭和四十年ごろからぼつぼつとRI、すなわちいまおっしゃいましたガンマ線を照射する機械を使うようになりまして、現在のところ、十九事業所がRI、ガンマ放射線装置を使ってやっておるわけでございます。  私ども、こういう業界につきまして、特に作業管理あるいは取り扱い等が、一般の通常の施設であれば、施設内で、固定されたところでRIを使うわけでございますが、こういう非破壊検査が外部で行なわれる場合にはいつも作業状況が違うということで、非常に意識を持ちまして指導、監督をいたしておったわけであります。昨日の新聞を読みまして、こういった事業所につきましては、取り扱いの問題、あるいは被曝管理の問題、こういったことについて最善の努力をさらに重ねていかなければならぬと考えております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この作業員がこういう危険な状態のままで作業に従事をしておるということについては、労働省としてはどう思いますか。
  152. 山本秀夫

    山本説明員 私ども、規則が三十四年にできましてから、非常に重点として毎年のように指示をいたしております。昨年あるいは一昨年あたりの実績をずっと続けて見ますと、約二百件程度の事業場の監督をしておりまして、それも主として工業的な分野でございますから、主としてやはり非破壊だと思います。そのうちで、約半数の八十ないし九十件くらいの業者に、健康診断とか、あるいは被曝線量の測定ですとか、あるいは監視区域の設定の問題だとか、ひっくるめましてその程度の違反が見つかっております。  ところで、われわれは重点といたしましては、いま申し上げたもののほかに、さまざまなものを実は設定しておりまして、その中で、法違反として送検をするというような強い態度を持っておりますものが六件ばかりございます。ただいま申し上げたようなことも、すべてそのような態度で強く臨んでおります。したがって、その結果を見ますと、是正状況は漸次よろしくなっております。  ただ、新聞にございましたような渡り業者といいますものは、現場へ行って監督官が把握いたしませんとなかなかつかまらないというわけでございますので、実は苦慮しているところでございます。しかし、この機会にもう一度振り返りまして、監督、指導を徹底するように、それから把握をすることが大事でございますから、把握をするように通達をしたい、こう思っております。  なお、それ以外の放射線を使いますのは、非常にたくさん病院関係でもございますが、それらにつきまして、全体的な実態把握を、この秋に災害防止五カ年計画をまた次につくる基礎資料としてとる予定にしております。それからなお、この業界がございますが、その業界に対しましても、近いうちに呼びまして、強いリコメンドをしようということで、きょう態度をきめてまいりました。  以上でございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 原子力発電所なんかは、特にこういう溶接部門なんかは綿密に非破壊検査をやっているわけです。飛行機にしても、あるいは造船にしても、産業界にはこれはなくてはならない。要するに、そのフィルムがなければ去払いもしないというような実情にいまなってきているわけです。こういう点、少なくともそういう産業を見ていく通産省として、こういう無責任な状態で放置されておるということについて、どういう反省をしておるかという問題なんです。その辺ひとつ局長にお聞きしたいと思うのです。
  154. 長橋尚

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  エックス線ないし放射線管理につきましては、労働基準法、あるいはまた原子炉等規制法によって、国としての規制が行なわれているわけでございますけれども、事業を指導監督する立場にございます通産省といたしましても、こういった新聞の指摘がございました点につきましては、非常に残念に思っているわけでございまして、今後、ただいま労働省からもお話がございましたところでございますが、主務省がこういった問題に適切に対処していかれるのに対しまして、通産省といたしましても十分に御協力をして、工場、事業場におきます安全管理に万全を期するようにつとめてまいりたいと考えております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう事実がはっきりしまして、直接従事の労働者、あるいは家族、あるいは国民の一般の皆さんも、非常にショックを受けておるわけであります。そこで、起きたことは起きたこととして、重大な反省に立っていただいて、今後どうしていくかという問題なんです。  そこで一つは、まだまだこういう被曝を受けた人がたくさんおるのではないか、こういうことが予想されるのですが、まず一つは、こういう点についての被曝検査、そういう点を全員にわたってするべきじゃないか、このように思います。健康診断です。  それから安全管理。結局、ずさんであればこそこういう問題が起きておるわけでありますから、これの総点検なりをやる必要があるのではないか。その他もろもろなことが考えられると思うのですが、その点どのようにお考えになっているか。まず労働省からその辺を具体的にお聞きしたいと思うのです。
  156. 山本秀夫

    山本説明員 お答えします。  健康診断は、現行の基準法ではいずれも使用者義務になってございます。そこで、先ほどお答え申し上げましたように、検診実施を重点といたしまして監督をやらせ、その是正状況はわりあい良好であると申し上げましたけれども、今度の通達におきまして、検診は最重点といたしまして取り上げて監督をするようにいたしたいと思います。  それからもう一つの総点検でございますが、何ぶん事業場がたいへんに多いようでございます。われわれがいまわかっておりますのは、約六百件ほどわかっておりますが、非常に多過ぎます。それも、しかもある工業地域に非常に集中して存在しております。ことしのたったこの間でございますが、四月の末あたりには、たとえば神奈川労働基準局が百何業者を集めまして、法順守ということを強く申し渡しております。そのようなことでございますので、一応、監督官がすべての現場に出向くということはちょっと無理かと思います。したがって、過去に監督がすでにできて是正されておるところはともかくといたしまして、まだ実施してないというところがわかりました場合には、それはすべてやりたい、こう思っております。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままで踏み込んでないところについては全部踏み込むということをしていただければ、その辺の不安な点は一掃されると思うのですが、それもだらだら同じようなペースでやっておったのでは話にならぬわけです。大体いつごろまでにそれをやるか、またその報告書はいつ出すかということであります。それはいつごろやってくれますか。
  158. 山本秀夫

    山本説明員 すでに監督計画がかなり組まれておりまして、第一・四半期——もう六月でございますが、それはもう一ぱいでございます。そこで、第二・四半期ないし第三・四半期、ことに九月に、実はことし今度つくりました特定有害物の総点検を行なうことになっておりますが、その際にあわせてやるのが最もよろしいのではないか。おそらく事業所の把握だけでも、そのくらいの時間がないと無理であろうか、こう思っておりますので、大体その辺だとお考えいただきたいと思います。  それからもう一つ、報告でございますが、昨年の九月に実施いたしました総点検の結果の取りまとめは、十一月末に一応発表できることになりました。おそらくことしも、そのようなことになろうかというふうに思います。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう問題は、作業の安全管理という点におきまして氷山の一角じゃないかと思うのです。したがって、まだまだそういう心配される要素というのは、こういう放射能だけの問題ではなくて、たくさんあると思うのです。その点、ただ放射線関係のそういう面だけじゃなくして、これを契機に一そう、すべての労働災害、そうしたことの安全管理という点については、労働省あるいは通産省、あるいはまた科学技術一体となって、今後、働いておる人にも、国民の皆さんにも心配をかけないように、ひとつ徹底管理をしていただきたい。この点を特に申し上げておきたいと思うのです。最後に、代表で局長の決意を聞いて終わりたいと思います。
  160. 長橋尚

    ○長橋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、単に放射能のみならず安全管理全般について、作業員が安心して働けるように十分に指導監督を政府として行なうようにせよという御指摘につきましては、まさに御趣旨のとおりでございまして、私ども政府の一員といたしまして、その方向で努力をする考えでございます。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  162. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 米原昶君。
  163. 米原昶

    ○米原委員 先ほど本委員会委員長の名前で提案されました採石法が本会議を全会一致で通過しまして、採石による公害を防止する上で、この改正法が正しく運営されていくならば一定の効果があると、私も非常に歓迎するものであります。  実は、昨年の春でありましたが、群馬県桐生市で、渡良瀬川の水の中に砒素が含まれて、これが桐生市の水道の中に入っているということが問題になりまして、その調査に実は行ったのです。そのときに、そういう公害以上の公害が実は桐生市に起こっているのだといって引っ張っていかれたのが、桐生市の郊外の広沢山という山があるのですが、その山をいまどんどんくずしまして、東北縦貫自動車道路をつくるために石をどんどん運んでいるわけです。行ってみまして、採石業というのが場所によるとたいへんな公害を引き起こしているということを痛感したのです。その石を取ってそこで砕いているわけですが、その騒音で、その近所の部落の鶏が全然卵を産まなくなった。騒音と、それからほこりですね。一日も早くこれを何とかやめさせる方法はないだろうかという質問もあったのです。  今度の採石法によって、へたをすると、大雨が降って山くずれもしかねないような状態になっていたので、そういう危険がある場合には営業を中止させることもできるようになっております。そういう点で、今度の採石法かなり役立つと私は思うのですが、ただそのときにもう一つの問題は、その石を道路をつくるのでどんどん運んでおるわけです。ダンプカーですから、小さい部落、しかも道路一本しかないのですが、そこに一日約八千台自動車が入っているのです。朝の七時ごろから自動車が走り始めて、夜の十時ごろまでやっているのです。もちろん、一台のダンプカーがそこから運んでは、また返ってきて運ぶのですから、そこに来ているダンプカーの数は二千五百台とか三千台とか言っておりましたが、一日に二往復ないし三往復しているらしいから、そうすると確かに、六千台、七千台のダンプカーが走っている。その中で、ダンプカーが積み荷をいいかげんにしてやっておりますから、走るうちに石が外に落ちるわけですね。そうして通行する人がけがをして死ぬこともある。私が行ったときも、二、三日前に人が殺されたというような事件がありました。こと採石法で、一応、石を取ったり砕いたりするほうは規制する法律が今度できたわけですが、ダンプカーを規制する、こういう場合にどういう方法があるだろうか。一応これは別の法律にどうしてもよらなくちゃならないので、現在のところは、いわゆるダンプ規制法ですか、あれや道路運送法でやっておられると思うのですが、一つの小さい部落に一日に五千台、六千台とダンプカーが入っていく、これじゃもう公害が起こるのは当然なんです。実際そのあたりには人間は住めなくなりますよ。  あとで聞きますと、朝日新聞にも出ておりますが、その桐生市の問題のところでは、結局、部落の人が公害防止の委員会をつくって、業者と公害防止協定を結んである程度の制限をやった、そういうことが新聞にも出ておるので、そういうことになったかということは知っておるのですが、しかし、そういうことだけではたして防げるかどうかと思いまして、こういう問題についてどういう法律があるか、また、それをどういうふうに運用しておられるかという点について、きょう私は質問したいのです。そういうような状態のときに、いまある道交法とかダンプ規制法だけではたして取り締まれるだろうかどうか、こういうことについてひとつ聞かせてください。
  164. 本田早苗

    ○本田政府委員 お答えいたします。  いま御指摘いただきました群馬県桐生市の広沢山の採掘につきましては、実は御指摘のように、かねてから問題がございまして、県と市から処置をすることを要請されておりまして、われわれのほうといたしましては、昨年の七月に県と採石業者に対しまして、この防止対策の検討を検討するように話しまして、九月に変更認可申請書の計画が出されておりまして、この実施状況の確認調査を三月にやるというふうにして、御指摘のような、岩石の採取とそれを砕く砕石の実施につきましては、改善をやらすように考えております。一つには、沈でん池の容量が少ないので、これを拡大する、それから土砂の流出防止の施設を拡充するというようなことを内容として、実施計画書の提出を求めて認可するという予定になっております。  もう一点の運搬災害というべき問題につきましては、実は御指摘のように、今回の法律改正でも規制の外にあるわけでございますが、われわれのほうとしましては、道路法、あるいは御指摘の道路交通法等の関係法律の所要の規定によりまして、運用により効果を確保したいということで、関係省の御協力をお願いするために連絡を十分行ないたいというふうに考えておりますが、これらの法律につきましては、関係省のほうから御答弁をいただきたいと思っております。
  165. 武石章

    ○武石説明員 お答え申し上げます。  いまお話を伺いまして、内容は私ども具体的に初めて知ったわけでございますが、騒音公害の中で特に自動車に関連するものについては、走行騒害と申しますか、走行時の騒害と、その際に、特に定常的に走るときの騒音の問題、さらに加速騒音の問題がございます。それからもう一つは排気ガスの公害、それから警音器による公害というような、大体三つのタイプがございます。今回のことは走行騒害に関連するものだと思いますが、これにつきましては、道路運送車両法に基づきまして、車両についての発生する騒音の程度をある一定以下に保つというための法律改正をやってございます。それによる発生源としての発生公害はそれで防げるわけでございますが、それが多量に集まって全体としての環境がそこなわれるという、現在のような問題につきましては、主として今回の道路交通法の改正で、新たにそういう状況に応じて、公害防止のために道路の交通の制限等をすることができるというふうになっているわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては、私ども運輸省の貨物課長という立場でお答えするよりは、むしろ警察のほうの道路交通法上の問題というふうになるわけでございます。そういうことでございますので、私どもとしましても、こういう事情は、採石だけでなくて、ほかのケースでもかなり出てくると思います。そういう意味で、警察庁とも十分に連絡をとりまして、そういうことについて適時状況に応じた処理ができるようにお願いしたというふうに考えております。
  166. 池田速雄

    ○池田説明員 お答えいたします。  群馬県の桐生の件につきましては、三十九年ごろからだんだん始まったようでございますけれども、それぞれの取り締まりその他の体制を強化してまいってきておりますけれども、昨年の七月には、関係の官公庁が集まりまして協議会をつくり、それから去年の十二月には、住民の方もまじえ、あるいは実際に仕事をしておられる方もまじえまして、対策会議を開きまして、いろいろ率直な意見の交換もいたしまして、是正するようにつとめているはずでございます。  その結果、警察といたしましては、体制を強化いたしまして、違反の行為につきまして、非常に交通上の危険があるといったような観点から、あるいは積んでおります土砂等をまき落とす、こういったことによります公害的な面も含めまして、取り締まりを強化いたしております。地元の警察だけでございませんで、県の交通機動隊、そういったもの等も動員いたしまして、重点的に取り締まりをやっております。その結果、相当の成果をあげているというふうに報告を受けております。  なお、こういった取り締まり面だけではございませんで、規制の面もあわせて考えるということでございまして、一番危険な場所につきまして、国道の百二十二号というふうに聞いておりますが、ことしの一月からはスピード制限もあわせ行なっております。   〔進藤委員長代理退席、武藤委員長代理着席〕  なお、それ以上の対策につきましては、群馬の例ではございませんが、よその例では、特に通学の児童等を保護するために、時間を限りまして通行の禁止、制限をやるといったような措置もとっている場所もございます。そういったように、一般的に規制の面、あるいは取り締まりの面、あるいは指導教育の面で十分対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  167. 米原昶

    ○米原委員 群馬の場合も、これは新聞に出ているのですが、結局、昨年末の協定で、学校の児童の登校時には制限するというようなこともできたそうですから、その点は確かに前進しているのだろうと思うのです。  現地に行ってみて、これはやっかいな問題で、たいへんな問題だろうと思ったわけですが、ダンプの規制の問題、これは私がちょっと静岡県のほうの例を聞いて調べてみたのですが、たとえば富士川には砂利をとる場所が九十八ある。非常にたくさん富士川の川沿いにダンプカーが走っているわけで、昨年の一月から九月にかけて、川沿いの富士川町の県道で調査した統計が出ております。それを見ますと、午前五時から午後五時までの間に平均して毎日四千台のダンプが通過している。ところがダンプ規制法、これの対象になっているダンプカーは、四十五年末で全国で十五万五千七百九十五台という数字が発表されております。その中で、運搬業、営業用のやつですね、いわゆる青ナンバーは一万五千三百四十九台、残りの十四万四百四十六台、大多数がいわゆる自家用の白ナンバーのダンプカーです。自家用ということになっておるけれども、これが実際は仕切り場から石をとって運んだり、砂利や石をどんどん運んで、それでまた小さい商売をやっているわけですね。青ナンバーについては事業法としての道路運送法があるけれども、白ナンバーについては、ただいわゆるダンプ規制法しかないわけですね。この点、採石法にしても、あるいは砂利採取法にしても、砂利や石を生産するそのほうは規制し、また営業として取り扱っているわけですが、白ナンバーのダンプカーで見ましても、その大部分は実際は砂利販売をやっているわけです。そうしてそういうのがほとんど個人営業といいますか、非常に問題が多いと思うのです。  たとえば去年の十月二十三日の朝日新聞に、「自家用ダンプ荒かせぎ 若い一匹オオカミたち」という題でこの実態が出ておりますが、これは一面では確かに、いま言われました取り締まりの対象として交通規制の面でもやらざるを得ない、この面も強化しなければならないが、同時に、全く資金なしで自動車をどこかから借りてきて、そうして商売をやっているわけですね。これをどう扱っていくのかというのは、単に交通規制の面で考えるだけでなくて、やはりこれは一つの営業ですからね。これはある程度育成していかなければならぬ面もあるんじゃないか、ほったらかしておくのではなくて。そういう面があると思うのですが、これをどう考えておられるかということですね。  実際はそこで商売をやっておるわけですよ。そういうものが、資金はほとんどなしで、そうして車は借りてきて商売をやるとかなりもうかるという面もあるものですから、自動車を手に入れると、すぐにこういうダンプカーをやってしまうというのがかなり多い。そういう状態ですから、もちろん運転手の大部分は、健康保険にも入ってなければ労災補償もないという中でいわゆる荒かせぎをやるわけですね。そういう中でいろいろな事故が発生している、こういう面があると思うのです。こういう業種に対してどういう考えでこれに対処されるか。災害防止ということは第一に考えなければならぬが、同時に、これは一つの業種としてある程度保護し育成する面も考えないと、これは取り締まりだけでは解決がつかないのじゃないかというふうに見られるものですから、この点をどう考えておられるか聞きたいのです。
  168. 本田早苗

    ○本田政府委員 砂利関係は私のほうの所管ではございませんが、採石等についても同じような事情があろうと思います。御指摘のように、営業車で運転するのはごくわずかというのは事実のようでございまして、白ナンバーで、形式的には現場で買い取って、そうして運搬した先へ売り渡すという形の自家用車の運転による輸送という形のようでございますが、これらにつきましては、われわれとしてもよく研究させていただきたいと思います。ただいまのところ、実情その他について私たちはまだはっきりつかんではおりませんが、御指摘のような事情があるということはあちこちで十分指摘されておりますので、検討させていただきたいと思います。   〔武藤委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
  169. 米原昶

    ○米原委員 もう一つ桐生の例で申しますと、いま申しました東北縦貫道路の建設のために砂利や石が運ばれているわけです。結局それを発注しているのは道路公団なわけですね。いろいろ事故を起こしている。ところが発注者のほうに行くと、住宅公団とか、道路公団とか、鉄道建設公団とか、そういうところが発注している、こういうような関係が多いわけですね。そうして、雇われておるほうはごく零細な、ダンプカー一台持っていて商売やっているなんていうのがあるわけです。この場合、やはり発注者のほうもこういうのを使っているわけですね。発注者の責任という問題ですね。いままでの事態では、発注者のほうには全然責任なしということになっているわけですけれども、安全輸送上の責任はやはり発注者にもあるのじゃないか。私が行った桐生でも、去年の春、一人そのダンプカーのために人が死んだ。去年の十一月も学校の子供が死んだそうですが、そういう事故がやたらに起ってくる。ただしていくと、結局、道路公団のほうから雇っているダンプカーの事件なのですね。こういうような場合の責任の所在ということ。一つずつの刑事事件としては、もちろんダンプカーのほうにあるのです。そんなことはわかり切ったことです。しかし、そういうことを未然に防ぐためには、発注者のほうもよほど注意しなければいけないのじゃないか。そういう点にまである程度の規制をやるということですね。こういうようなことを考えるべきじゃないかと思うのですが、その点いかが思われますか。
  170. 本田早苗

    ○本田政府委員 この点も、常識的な判断として、御指摘のような判断が出てまいろうと存じますが、発注者から実際の工事請負いその他、きわめて複雑な実情であるというのは御理解をいただいておると存じますが、これらの点についても検討させていただきたいと存じます。
  171. 米原昶

    ○米原委員 じゃ最後にもう一つ。  ダンプカーのことでなくて、きょう採石法が採択されて、私は非常に高く評価しているのですが、これといままでの砂利採取法です。もちろんこれは対象が違うわけですから、それはそれとして、今度の採石法の改正点の一つとして、事前に市町村長の意見を聞く。権限が知事のほうに移されただけでなく、市町村長の意見を聞いて採取計画についていろいろきめる点がありますね。こういう点を砂利採取法でも、これはいますぐの問題じゃありませんが、今後、採石法と同じように改正するほうが適切じゃないかと私は思うのです。  採取関係について見ると、川砂利の場合は管理者が河川管理者となっておりますね、いまの砂利採取法では。そうしてその他の場合は都道府県知事になっておるわけです。河川管理者は、一級河川の場合は建設大臣、二級河川は都道府県知事ということですが、実際には川砂利採取の場合、大部分は、統計の数字が出ておりますが、一級河川が多いわけですね。ですから、実際、川砂利の場合はほとんど建設省ということになってくるわけです。知事にはいまのところ権限がない。ところが実際には、砂利をとる問題は市町村住民に直接関係する場合が非常に多いので、方々で問題が起こっておるわけです。いまでは住民に直接関係する市町村長も事前に川砂利の採取計画について意見を述べることができるような法的権限はないわけですが、今後もしも砂利採取法を改正する場合には、今度の採石法考え方を取り入れるべきじゃないかと私は思うわけなんです。実際、方々で問題を起こしておる材料を若干持っておりますが、時間がありませんから申しませんが、その点についてどう考えられるか、この際聞いておきたいと思います。
  172. 堺徳吾

    ○堺説明員 御指摘のとおり、砂利採取法では、市町村長の意見を聞くという規定はございませんで、三十六条のほうで、市町村長に認可申請書が出ましたら通報をする。それから、一定の余裕期間を置きまして認可をする、認可をしましたらまた通報するということで、認可申請書が出まして、こういう申請が出ましたということを市町村長に通報しますと、こういうふうにしてくれというような市町村長からの要請がございます。現実はそういうようなことで、採取計画を地元の市町村の要望に沿うように、その規定でもって一応働かしておるわけでございますが、ただ、採取計画そのものには、確かに市町村長の意見はないわけでございます。私どもといたしましては、確かに採石法のその規定のほうが非常に進歩をしていると思いますし、これにつきましては、建設省と通産省と共管の砂利採取法でございますので、十分今後検討さしていただきたいと思います。
  173. 米原昶

    ○米原委員 質問はこれで終わります。
  174. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 次回は、来たる十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会