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石川委員 委員長に要望しておきたいのでありますけれ
ども、いまのところは単なる
調査費で一億五千万円というので、ちょっとこれは見落としがちなんです。あまり重視をされない傾向があると思うのでありますけれ
ども、これは積み重なりますと、
日本の
政治に相当大きな影響を与えるという力を持つ
可能性が多いわけでありますから、との点については、
科学技術庁のほうも相当の関心を持ってもらわなければならぬ。そういう点では、
科学技術委員会のほうと商工委員会と、あるいは合同審査ということも必要になってくるのではないかと思うので、そういう場合にはひとつ十分に考慮を願いたい、こうお願いをしておきたいと思うのであります。
シンクタンクの問題については、あとは幾ら申し上げても一方的な話だけになってしまいますから、きょうのところは一応そのくらいにいたしておきます。
それから、公益
事業局長見えておりますね。これは、きのう中部電力の方も見えましたし、通産省の方も見えましたしするので、大体の経緯は伺ったのでありますけれ
ども、前々から石油資源というものが、OPECの値上げの問題をきっかけにして、相当な関心を持って、海外資源を何とかしなければならぬ、こういうことが強く認識をされ始めておるわけでありますけれ
ども、何といっても石油だけに依存するわけにいかない。どうしても原子力というものに相当依存しなければならぬ。現在のところはエネルギーは、たぶん五千七百万キロワット、火力、水力、原子力合わせてそんなもんだろうと思うのでありますけれ
ども、あと二十年のうちに、実は四千万キロワットの原子力発電所という
計画であったものが、急遽、石油の重油専焼ボイラーというもので公害の問題というものもあるでしょうし、無限に石油というものが存在するものでもないというようなことも含めて、去年、六千万キロワットというふうに
計画が変更になっております。六千万キロワットというと、現在の火力、水力、原子力、全部合わせただけのものでありますが、あと二十年もたてば、大体、
日本のエネルギー源というものの半分ぐらいは原子力に依存しなければならぬのだということになるわけですから、この原子力発電所というものの立地
条件というものをどうするかということは、非常にまたむずかしい大きな
政治課題になると思うのであります。
ところが、重油専焼ボイラーの場合には、脱硫装置がどうのこうのということで、公害の問題と結びついてたいへん世の中の関心を集めておりますけれ
ども、原子力の場合は公害が少ないんだと一口にいわれております。ところが、実は原子力の弊害というものは、
日本が唯一の被爆国でありますだけに、
国民がこれに対して非常に関心を持っておることであります。普通の状態であれば、確かに重油専焼ボイラー発電所に比べますと公害は少ないかもしれませんけれ
ども、一たん事故が起これば、これはとんでもないことになる。これはだれでもわかっていることだと思うのであります。通産省ですか
科学技術庁かで大体試算いたしますと、発電所が暴走しますと最低三兆二千億円ぐらいかかるだろう。死んだ人に対して一人当たり三百万円ぐらい出すという計算を基礎にしてのものだと思いますけれ
ども。それにいたしましても、三兆二千億円であります。でありますから、もしこういうような大きな発電所の事故が起これば、これはその会社がつぶれるなんという問題ではなくて、
日本でも原子力発電所をつくり得なくなる。それだけじゃなくて、内閣も総辞職しなければならなくなるというようなことになる危険性も多いわけであります。
それから
あと一つ非常に困ることは、原子力の場合は、いわゆるICRPというものでもって、ここの限界まではよろしいのだという
一つの許容量というものはありますけれ
ども、しかし許容量まではだいじょうぶなんだという保障はないんです。ただ、ここくらいまでは何とか公益との
関係でがまんしてもらおうという、端的に言うと、がまん量というようなかっこうで指示をされておるわけでありますけれ
ども、これが遺伝に対する、あるいは人体に対する影響が一体どういうものだということは、二百種類もある核でありますから、この
一つ一つについて精密にまだ研究され尽くしておらない面がたくさんあるわけです。たとえて言いますと、ストロンチウム九〇の半減期は二十七年、それからジルコニウム、これはたいしたことはありませんが、セシウムなんかは三十年、セリウムなんかは二百八十五年、こういうふうな半減期を持っておるわけです。最近は
アメリカあたりは、
日本のように原爆の洗礼を受けてないのでありますけれ
ども、たいへん原子力の公害というものに対して
国民の関心が高くなりまして、ミネソタ州では、ICRP、AEC——
アメリカの原子力委員会でもってきめた基準の五十倍のきびしい規制でなければ発電所をつくってはならぬ、という州
政府の決定であります。したがって、それではもう原子力発電所はできないじゃないかというようなことにもなりました。ところが、これはミネソタ州だけじゃなくて、あと十州がこれにならっていま裁判をやっている最中であります。したがって、ICRPというものの権威がぐらつき始めておるというのが実情であります。このガンマ線とかアルファ線、いろいろあるわけでありますけれ
ども、その中のガンマ線だけをとりましても、これを半分にするためには、大体アルミなら四十ミリくらい当てなければ半減しないわけですね。ガンマ線が通ってしまうわけです。それほど免険なわけです。しかもICRPの権威というものも、いま
アメリカ自体から疑われ始めておるというような
実態であります。したがって、このICRPまではかまわないのだということの
考え方であってはいけない。ICRPじゃなくて、ゼロでなければならないのだという
前提で、しかもICRPまでは、
日本は一割くらいなものでありますけれ
ども、やむを得ない場合にはここまでは認めようということであって、ここまではかまわないのだ、安全なんだということではないのだという認識が、どうも私は
日本人には足りないのではないかと思うのです。
私はいたずらに、原子力の危険というものは非常に大きいのだという恐怖感をあおって、反対運動に火をつけようというような気持ちは毛頭ございませんけれ
ども、しかし、最近の朝日新聞の記事を見ますと、どうも
政府自体がそういう認識がきわめて薄いのではないかという懸念にたえないわけです。三月二十四日の夕刊だと思いますけれ
ども、浜岡原電、これは中部電力でありますが、この安全協定がきびし過ぎるということを通産省のほうから中電を強く非難したという記事が出ておるわけです。その中身、監視
機構の問題でありますけれ
ども、協定に県だけではなくて地元三町を加えたということはけしからぬ。それから、発電所内の立ち入り権を認めたということは——これは知事の立ち入り権でありましょうけれ
ども、非常の場合に発電所に立ち入るということが協定できめられておるわけでありますが、これはけしからぬというようなことで、電気事業の場合は通産省が権限を持っておるのであるから、非常の場合といえ
ども入ってはいかぬのだというふうにとれるような新聞の記事がここに出ておるわけであります。
公害の水質汚濁あるいは大気汚染の問題のこまかい条文も読んでみましたけれ
ども、これを申し上げますと、非常に話がくどくなりますから申し上げませんが、しかし、もしこれが事実とすると、これからどうしても原子力発電所にたよらなければならぬというためには、地元民の納得というものはどうしても必要である。しかしながら、こういうような中部電力を批判し非難したような、安全協定がきびし過ぎるというようなことが事実とすれば、これからは絶対原子力発電所はできない。一体どうするつもりなんだろうか、こういう懸念を持たざるを得ないので、その経緯について一応御
説明願いたいと思うのです。