○松尾(信)委員
大臣はもうなかなかお疲れのようでありまするし、私の質問は、きょう直接
大臣にお聞きすることはあまりございません。第一問だけあとでお
答え願いまして、そして自由にお引き取りなさってけっこうでございます。
このメッキ工場の問題につきましては、先般私が当委員会で質問いたしました。全国に四千五百工場以上ございます。その従業員は四万をこしておりまするし、年間水揚げ高は九百億円を突破している。これは大体大まかな実態でございますけれ
ども。
そういうメッキ工場が、今度それ公害だというので、東京都を
中心に衛生局等もいろいろの実態
調査をいたしまして、そうしてカドミその他が非常にたくさん出ているというので、勧告を受けたり改善命令を受けたり、ある種の処罰を受けておるということは、先般ここで申し上げました。それで結局、いままで手がつけられなかったこのメッキ工場でございまするので、これを基準にのっとって取り締まっていこうとすれば、ほとんどの工場がこれはひっかかっていくわけでございます。そのように実態
調査をするのは基本的に大切であります。しかし、それだからといって、
一つ一つを片っ端から改善命令をし、そうしていろいろやっていく。ところが
自分自体の力では改善命令も実行できない。特にカドミメッキにつきましては、この公害防除施設は一千五百万以上の金が要る。そういう金は出してもくれませんし、借りる力もないし、そういう施設をすれば、今度は水揚げのほうがそれに並行して伴いませんので非常に苦しい。いっそカドミのメッキはやめてしまおうというような実態であります。
そういうことを先般指摘しておったわけでありますけれ
ども、いよいよ各都道府県が実態
調査をやり始めまして、そしてそれぞれの地域地域で改善勧告を受け、また事業をやめていったり、いろいろそのような事故が全国的に起こっております。これは長崎県でありますけれ
ども、まず福岡の
通産局が四十五年の十一月四日、五日に、それぞれメッキ工場を立ち入り検査しました。その結果、改善を文書で勧告している。それを受けまして今度は県が立ち入り検査をやりました。そしてカドミメッキを廃止したというところが二カ所出ております。それからやはりこれも勧告を受けまして、いま改善
計画書を出しておるのだ、しかし電気メッキの施設は廃止
計画、とうとう電気メッキ業務の停止を確認したというような結果が出ております。もう
一つの長崎メッキ工業所は、立ち入り検査を受け、そして改善勧告を受け、それで会社としては、どうも納得できないからもう一回検査をしてくれというようなことがありまして、さらに立ち入り検査をして、
ただいまそのいろいろの資料を分析中だ。これはもう、やれば全国どの工場にもあるわけであります。でありますから、この特に公害問題がやかましい中に、特に工場としては公害
関係のものが非常に出てくるというメッキ工業全体に対しまして、ここでひとつきちっとした
基本方針を出しておきませんと、都道府県がこれを逐次やっていきますと、たいへんなことになる。いよいよ政令ができまして、そして都道府県がその
権限の実行という
段階になりますと、これはもう収拾つかぬのじゃないか。取り締まりは取り締まりとして大切でありますけれ
ども、そのようなメッキ工業全体の影響がありますので、基本的な
考え方をひとつしっかりして、そして公害のない、安心してメッキ業務ができるような何か対策はないか、これを立ててほしいということを先般申しておったわけでありますが、逐次このようにして全国都道府県から出てまいるものですから、これも非常に悪い影響、いろいろの社会的な問題が各地域で続発することは間違いありません。そういう点につきまして、基本的にひとつ
大臣からお
答えを願いまして、そうしてあとは個々に移っていきたい、このように思います。