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1971-03-19 第65回国会 衆議院 商工委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十六年三月十九日(金曜日) 午前十時三十九分
開議
出席委員
委員長
八田
貞義君
理事
浦野 幸男君
理事
橋口 隆君
理事
武藤 嘉文君
理事
中村 重光君
理事
吉田 泰造君
石井
一君 稲村 利幸君 小峯 柳多君
左藤
恵君 坂本三十次君
塩崎
潤君 前田 正男君 増岡 博之君 山田
久就君
石川 次夫君 相沢 武彦君 松尾 信人君 川端 文夫君 米原 昶君
出席国務大臣
通商産業大臣
宮澤 喜一君
出席政府委員
外務省経済局長
平原 毅君
通商産業省繊維
雑貨局長
楠岡 豪君
中小企業庁長官
吉光 久君
自治大臣官房参
事官
佐々木喜久治
君
委員外
の
出席者
大蔵省関税局国
際
課長
西澤
公慶
君
通商産業省通商
局国際経済部長
室谷 文司君
労働省労働基準
局賃金部業務課
長
是佐
忠男君
労働省職業安定
局雇用政策課長
岩田
照良
君
労働省職業訓練
局訓練政策課長
森川 幹夫君 参 考 人 (
日本商工会議
所専務理事
)
影山
衛司
君 参 考 人 (
日本軽工業品
団体連合会特恵
対策委員長
)
三宅寅太郎
君
商工委員会調査
室長 椎野 幸雄君
—————————————
委員
の異動 三月十八日 辞任
補欠選任
大橋 武夫君
塩崎
潤君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
中小企業特恵対策臨時措置法案
(
内閣提出
第五 〇号) ————◇—————
八田貞義
1
○
八田委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
中小企業特恵対策臨時措置法案
を議題といたします。 本日は、
本案審査
のため、
参考人
として
日本商工会議所専務理事影山衛司
君及び
日本軽工業品団体連合会特恵対策委員長三宅寅太郎
君に御
出席
を願っております。 この際、
参考人各位
に一言ごあいさつ申し上げます。
参考人各位
には、御多用の中を本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
を承り、もって本
委員会
の
審査
の
参考
に資したいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 なお、御
意見
の
開陳
は一人十分
程度
におおさめいただくようお願い申し上げます。その後、各
委員
から
質疑
がありますので、さよう御了承をお願い申し上げます。 それでは、まず
影山参考人
にお願いいたします。
影山衛司
2
○
影山参考人
ただいま御紹介にあずかりました
日本商工会議所専務理事
の
影山
でございます。
参考人
として
陳述
いたします。 まず
最初
に、
中小企業特恵対策臨時措置法案
が御
審議
をいただいておるわけでございますが、私といたしましては、この
法案
に賛成をいたすものでございます。すみやかに
通過成立
をさせていただきますことをお願いいたします。 去る一月に
バンコク
で、
アジア商工会議所連合会
というのがございますが、それの
理事会
がございまして、
永野会頭
、私も
出席
をいたしたわけでございますが、
永野会頭
の
スピーチ
の中で、こういうことを言っていただいたわけでございます。
わが国
はUNCTADの
決議
に基づいて、貿易を通ずる
経済協力
である
特恵供与
に踏み切ったわけである、ただいま
特恵関税
の
関係
の
法案
が国会に提案中でありますということを、
スピーチ
の中で申し述べてもらいましたところ、
アジア諸国
の
実業人
に非常に大きな反響を呼びまして、これが地元の
バンコク
だけではなくて、マレーシアあるいは
フィリピン等
におきましても新聞に出たような次第でございます。 このことは、
アジア
の
諸国
が、一次産品の
輸出
というよりも、これからは
工業化
というものを
中心
にいたしまして
経済
の
発展
をはかっていこうということを目ざしておるわけでございますが、
兄貴分
であって、大きな
経済発展
をしたところの
日本
が、
自分
の国の利益だけではなくて、
アジア
の国々の
経済発展
、あるいは
経済自立
、
工業化
というようなものに手を貸してくれるのだということで、非常に
予想外
の好感が出てきたわけでございまして、世上いわれておりますエコノミックアニマルとか、あるいは
東南アジア
のほうでよくいわれるのでございますけれども、
日本
は一方の手で与えて一方の手でふんだくるというような悪評がないでもないわけでございますけれども、この
特恵関税
の
供与
ということを申し述べましたら、そういう気分が非常にこの
会議等
でも影をひそめてきたということでございますので、この
特恵関税
の
供与
ということは、大局的な
見地
からどうしてもやらなければいけないというふうに考えるわけでございますが、同時にこの
スピーチ
でも、この
特恵関税
の
供与
によりまして、
日本
における多くの
中小企業
からなるところの軽
工業
あるいは
繊維工業
、こういう
分野
において大きな
影響
が予想されるのだ、そこで、一方で
産業調整措置
というようなものを
用意
をしなければならないような事情があるということも、よく理解をしてほしいということも申し述べたわけでございます。
日本商工会議所
あるいは
東京商工会議所
におきまして、
特恵関税
に関する
特別委員会
を持っておりまして、かねてからこの問題について
検討
をいたしてきたわけでございますが、特に
特恵関税
の
供与
によりまして
影響
を受けるところの
中小企業
の
業種
を約二十近く、昨年の秋から、その
団体
の
指導的地位
にあられる
方々
をお招きしまして、いろいろと
お話
を伺ったわけでございます。その
傾向
は、
業種
によっていろいろと異なるわけでございます。 これを
グループ別
に申し上げてみますというと、第一の
グループ
は、
国内
に入ってきても、あるいは
輸出面
におきましても、
後進国
、
発展途上国
よりも技術的な
格差
があるので、技術的にまだ自信があるという
グループ
でございます。しかしながら、その方
たち
も、このままでいってはいけないので、三年、五年先はわからないということを申しておりまして、この三年、五年の
猶予期間
の間に、
構造改善
を進めていきたいということを言っておられました。 それから第二の
グループ
は、
アメリカ向け
の
輸出
に非常に
依存度
の高い
業種
でございますけれども、これは
台湾
、
韓国等
によって現在
現実
に
影響
を受けておる。ところが、この
台湾
、
韓国
からの
輸出品
と
日本品
との
価格差
というものが一五%
程度
あるのだが、この一五%
程度
の
格差
であるならば、
日本品
が品質とかデリバリーの点で優位に立っておりますので、まだ
競争力
はあるということで、この
競争力
のある間に、
構造改善
なり
共同事業
による
高級品化
を進めていきたいというのが第二の
グループ
でございます。 それから第三の
グループ
は、やはり同様に
輸出
に非常に
依存度
が高い
業種
でございますが、どうも
台湾
、
韓国
との間に
賃金格差
、これは三〇%以上あるわけでございますが、こういう点で、
特恵関税
の
供与
によって非常に大きな
影響
を受ける、特に
香港
にまで
特恵
が及ぼされるならば、非常に大きな
影響
をこうむるだろうという
グループ
でございます。これらの
グループ
におきましては、
特恵
の
受益国
との競合を避けて、
高級品化
あるいはデザインの
高級化
というような
方向
に進みたい、
海外市場
でのPRあるいは
販売活動
もやっていきたい、こういう
グループ
が第三の
グループ
でございます。 それから第四の
グループ
は、やはり
輸出面
で急速なシェアの低下が予想されるという最も
影響
の大きな
グループ
でございますが、この中には、まだどういうふうにやっていったらいいかという
方策
々
模索
中の
業界
が非常に多いわけでございます。それで来ていただきました
指導者
の
方々
は、
産地
といたしましても
構造改善
あるいは
転換
というようなことをやらなければいけないとあせっておるのだけれども、まだ
業界
の
人たち
がなかなか認識をしていただけないので困るのだというような
お話
も出ておりますが、そういう
方策
を
模索
中の
業界
が第四の
グループ
でございます。 それからまた、特に
繊維製品
につきましては、皆さま御
承知
のように、
日米繊維
の
自主規制
というものと同時に腹背に敵を受けるというようなことになるわけでございますので、これは
相当
大きな
影響
を受けるわけでございます。特に
香港
からの
影響
が非常に大きいということを申しておられます。
対策
といたしましては、現在やっておるところの
構造改善
をますます推進していかなければいけない。そういうふうな大体におきまして五つの
グループ
、
傾向
がうかがわれるわけでございます。 そういうふうな
グループ
の
実態
を踏まえまして、
意見
として申し上げるわけでございますが、第一番目が、冒頭に申し上げましたように、本
法案
をすみやかに成立していただきまして、
転換等
の
助成策
を十分に
用意
をしていただきたいということでございます。 それから第二は、
転換
の
定義等
に関しましてでございますが、先ほど申し上げましたように、
業界
の
皆さん方
、直ちに他の
業種
に
転換
するということよりも、まず
自分
がつくっておるところの
分野
におきまして、
製品
の
高級化
をはかっていこうという
業界
が非常に多いわけでございますので、
転換
という場合のその
解釈
上、
高級品化
というものも
転換
の中に入れていただきたいと思うわけでございます。また、
転換
をいたします場合も、
風俗営業等
は非常に困りますけれども、できるだけ
転換先
の
業種
をゆるやかに
解釈
としていただきたいと思うわけでございます。 それから、
業種
を政令
指定
されることになっておりますけれども、
現実
に
影響
が出てからではなくて、前広に
指定
をしていただきまして、十分な
事前
の
対策
ができるようにお願いしたいわけでございまして、同時に、この
法案
の中に規定されておりますところの
職業訓練等
につきましても、十分な御
配慮
をお願いしたいわけでございます。 それから、
業界
の
実態
の中で申し上げましたように、現在どうしていいか
模索
しておる
業界
もあるわけでございますので、やはり何と申しましても、
政府
あるいは
地方公共団体
、あるいは
団体
を通ずるところの
指導体制
あるいは
技術指導
というものを確立していただきたいわけでございまして、
終戦
直後、
生活様式
の
変化
によりまして、非常に大きな
転換
をはからなければいけなかった例があるわけでございまして、そういう場合には、
産地
の
協同組合
が
中心
になりまして、府県の
公設試験研究所等
とタイアップいたしまして
転換
をはかった例があるわけでございますので、そういう点も
参考
にされまして、御善処をお願いしたいと思うわけでございます。 それから、
関税暫定措置法
におきましては、いろいろと
例外品目
あるいは五〇%
品目等
の考慮が払われておりまして、これを
業界
の
皆さん方
も
相当
大きく
評価
しておられるわけでございますが、波打ちぎわにおきまして、やはり
関税暫定措置法
で規定されております
シーリング枠
の
運用
につきまして、
事前割り当て等
を弾力的に
運用
していただきまして、フラッドを防止して被害が軽微になるように、ぜひこの
運用
について十分御
配慮
を願いたいと思うわけでございます。 それから、次に
香港
でございますが、どうも
業界
の
お話
を聞いてみますというと、これは
香港
は入らぬのだと思ってある
程度
安心しておられた
業界
も多いわけでございますので、これがわれわれのほうから言いますと、唐突にきまったような感じもあるわけでございますので、これにつきましては、
アメリカ
とかEECの
外国
の
取り扱い等
をよく見ながら、慎重にこれについては取り扱っていただきたいと思うわけでございます。それから
繊維
など、
香港
が入りますと非常に
影響
が大きな
業種
につきましては、たとえ
香港
を入れる場合でも、
政令段階
で
影響
の大きい
業種
を除外されるというようなことも、御
配慮
をお願いしたいと思うわけでございます。それから
繊維
につきましては、
構造改善対策
を十分いま以上に充実をしていただきたい。またその他の
業種
につきましても、
構造改善対策
を徹底していただきたいというふうに考えるわけでございます。 最後に、もう
一つ
申し述べたいことは、
企業
の
海外進出対策
でございます。これにつきましては、
国内
の
中小企業
にかえって逆
効果
、強い
影響
を与えるということで、私どもも、いろいろとこの面につきましては苦慮をしたり考えたりしておったわけでございますが、もうこの
段階
になりますと、こちらが出ませんと、他の国が出ていきましてこの
特恵関税
を逆に利用するというようなこともございます。また、これも考えようによりますというと、
海外投資
を通ずるところの
発展途上国等
の
経済協力
にもなります。
日本商工会議所
におきましては、
中小企業海外投資あっせん事業
という
事業
を行なっておりまして、
海外
にも人員を派遣しておりますし、それから各地の
商工会議所
、
東南アジア等
の
商工会議所
とも連携をいたしまして、
中小企業
の
皆さん方
が
海外
に出られる場合の
あっせん
をやっておりまして、四十五年度
あたり
でも、いままでのところでも
相当
の実績をあげております。三十四
企業
の
あっせん成立
が出ております。
相談
は一万三千くらいに及んでおります。そういうところの内容を見ますと、まだ
特恵関税対策
として出ていこうというような例は、成立した中にはございませんけれども、これからは出てくるんじゃないかと思うわけでございます。ただ、
中小企業
の
皆さん方
は
資金力
もございませんので、やはり
業界
で
共同
をして
海外進出
をする、あるいは
自分
のところの
業界
とよく協調を保ちながら、
業界
の全体の
相談
のもとに
共同事業
として
海外
に
進出
をされるということがいいんじゃないかと思うわけでございます。そのためには、やはり
経済協力基金
の中に、
中小企業
の
皆さん方
が出やすいように、借りやすいように手続を十分考えていただくことと、
経済協力基金
の中に
中小企業
のワクを設けていただかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。また
共同
で出られる場合に、
振興事業団あたり
も、
国外事業
であるけれども、これに
海外進出
のための
助成
をしていただけるというようなことになりますと、ありがたいと思うわけでございます。 以上、時間をちょっと経過いたしましたが、
陳述
を終わらしていただくわけでございます。どうもありがとうございました。(
拍手
)
八田貞義
3
○
八田委員長
次に、
三宅参考人
にお願いいたします。
三宅寅太郎
4
○
三宅参考人
軽工業製品団体連合会
の
特恵対策委員長
をやっております三宅でございます。
軽工業製品団体連合会
というのは、あまりお聞き及びがないと思いますので簡単に申し上げますと、これは
雑貨
、即
生活必需品
でございますが、こういうものの
企業
の
合理化
だとか、あるいは
国内外
の情勢の
変化
に応じた
対策
の
検討等
、あるいはそういうものを通じまして
関係
各官庁への
いろいろお願い
とか、そういったことを主にしてやっております、
雑貨
の
国内
的な
団体
の
連合会
でございます。中にはメーカーもいらっしゃいますし、商社もいらっしゃいます。あるいは各
工業会
、そういったものがそのメンバーになっております。 この軽
工連
では、今度の
特恵
問題に関しまして、非常に事が重大である、この
特恵
というものは、
わが国
が
わが国
の
犠牲
において
後進国
に
フェーバー
を与えるものであると同時に、また
国内
におきましても、われわれ
雑貨
の
犠牲
においてこういう
フェーバー
を与えるものであるということに思いをいたしまして、四十二年の十一月にこの軽
工連
の中に
特恵対策委員会
というものを設けまして、種々
検討
してまいりました。当初は反対の
立場
をとってまいったのでございますけれども、大局的な
見地
から、
わが国
としましては、いかに
雑貨
に
影響
が大きくても、これはもう踏み切らざるを得ないというふうに考えております。したがいまして、四十三年十一月の
閣議決定
で、いよいよ
特恵供与
に踏み切りましたときも、これを前向きに受けとめまして、何とかわれわれの内部の
努力
でもってこれを生かしていこうというふうに考えておったわけでございます。その
閣議
の
決定
のときに、
政府
としましては、負担の公平、それから
国内
の
対策
というふうな
条件
、もう
一つ
ございましたが、とにかくわれわれその二つを一番よく感じたのでございますが、そういうものを
条件
にして
特恵供与
に踏み切った、こういうふうに考えております。本日御討議いただきますこの
措置法案
は、このときの
国内対策
の一環であり、その集大成されたものだというふうに考えておるわけでございます。 われわれとしましては、率直に申し上げまして、まだまだこの
法案
でも不十分だというふうに考えております。しかしながら、これがない場合に、われわれ
業界
がこうむります
影響
は非常に大きいと思いますので、ぜひこの
法案
を十分御
審議
の上御
通過
いただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。 御
承知
のとおり、
軽工業品
と申しますものは労働集約的な
産業
でございます。国の
高度成長
のために、われわれこの
軽工業品
を生産しておる者には非常に大きな
影響
がきております。また、
合理化
が非常にむずかしい
商品
でございます。それだからこそ、また他の
発展途上国
が簡単に取りつける
商品
であるということも、逆に言えるわけでございます。また一方、この
特恵
がなくても、すでにここ両三年、これらの
発展途上国
の追い上げが非常に急になっておる
商品
でございます。われわれは、
終戦
後
日本
に何もないときに、この
雑貨
の
輸出
に非常に力を入れ、われわれはみずから自嘲して雑草だと言っておりますが、とにかく
雑貨
はそういうふうにして一生懸命
輸出
を伸ばしてまいったわけでありますが、国が
重工業偏重
の
政策
をとられて、だんだんわれわれに対して
国内外
の風当たりが強くなってきておる、さらに
特恵
だ、こういうときに、こういう
国内対策
のための
措置法案
をおつくりいただくことは、非常に時宜にかなったものであり、ぜひともお願いしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 最近、よく出てまいります
香港
、中国に対する
特恵供与
の問題、いよいよこれも、先日の
大蔵委員会
での
法律案
の御
審議
を見ますと、
通過
をしたわけでございますが、それに
附帯決議
がついております。この
附帯決議
をぜひ御実行いただきたい、こういうふうに考えます。と申しますのは、
香港
は、われわれ軽
工業品業界
にとりましては、すでに
先進国
であるというふうに考えておるわけでございますし、さらには、
香港
にこういう
特恵
を与えますと、他の
発展途上国
、たとえば
台湾
であるとか
韓国
であるとか、そういった国に対する
影響
というものが非常に大きい。それから、あの地は特に
立地条件
に
特異性
がある、原材料とも安く入るというような非常な
特異性
がある。そういうところに
特恵
を与える以上は、何らかのかんぬきをはめないと、非常に大きな
影響
があるというふうに考えております。昨日の参院の
予算委員会
でも、
外務大臣
も、それから
通産大臣
も、独特の、あるいは特別のスキームを考えるということを御発言になっておりますので、その点はわれわれも信用しておりますけれども、特にこういうものが入ってまいりますので、ますますこの
措置法案
が必要になるということでございます。 それから、今度の
法案
を見てみますと、もちろんこれは
中小企業対策
でございますけれども、最近では
中堅企業
というものが非常に
谷底
に入っております。
中小企業
にも入らない、大
企業
にも入らない、そういう
中堅企業
というものは、この
法律
ではカバーできないかもしれませんけれども、この
精神
を生かしていただきまして、
中堅企業
に対してもぜひ
精神
を生かして
援助
の道をお開きいただきたい、こういうふうに考えます。 それから
業種
の
指定
、これも、先ほどの
影山参考人
のおっしゃいましたようにぜひ早めにお願いして、死んでからの
指定
ではどうにもなりませんので、生きている間に
効果
のある利用ができますように御
配慮
をいただきたい。いずれにいたしましても、いろいろな事態に応じまして、円滑かつ迅速な運営をしていただきますように格別の御
審議
をお願いいたしたい、こういうふうに考えます。 その他は、ただいま
影山参考人
のおっしゃいました御
意見
とわれわれ全く同じでございますが、さらに掘り下げまして、
雑貨
を専門にやっております
団体
の
特恵委員長
といたしまして、若干付言をしたわけでございます。 以上、終わります。(
拍手
)
八田貞義
5
○
八田委員長
これにて
参考人
の
意見
の
開陳
は終わりました。
—————————————
八田貞義
6
○
八田委員長
これより、
参考人
に対する
質疑
に入ります。
質疑
の申し出があります。これを許します。
石井一
君。
石井一
7
○
石井
(一)
委員
ただいま両
参考人
の御
意見
を伺っておりまして、私
たち
が過去数日間、論議いたしてまいりました
問題点
と非常に一致した面がある。私
たち
が指摘して
政府
に
要望
いたしました問題を、同時に
業界
のほうもやはり苦慮し考えておられるということを痛感いたしました。両
参考人
の日ごろの
業界指導
における御
努力
に敬意を表したい、こういうふうに考えるわけでございます。 そこで、たとえば
最初
の
影山参考人
の御
意見
に具体的にございましたように、
転換
における
高級化
であるとか、
業種
の
解釈
を非常に幅広くしたい、
事前
の
指定
をある
程度
の時間を置いてやりたい、こういうふうなことは特に今回
配慮
しなければいかぬ、こう思うのでありますけれども、それにしましても、こういう状態になりますと、結局その
商品
を
高級化
するということに
方向
を変えていかなければいかぬ。これは
一つ
の卑近な例でございますけれども、ヨーロッパにかみそりでゾーリンゲンなんというのがございますが、
つめ切り
など、
旅行者
が行きましても、安いものを買ったらいかぬ、
日本
の値段でいいますと三百円以上くらいのものを買ってこなければ、それはまずいんだというふうな
評価
が完全に打ち立てられております。その反面、
日本
の
商品
というのは、おそらく
外国
ででも非常に安いもので、安いから買うんだというふうな
評価
が、過去
一つ
の確立された概念として世界に生きておるのではないか。だから、こういう
特恵
の問題などがほんとうに表に出てきたのをしおに、両
商工会議所
におかれましても、
雑貨組合
におかれましても、
日本
の
商品
は非常にいいのだというふうな
方向
に、
企業
の体質の
改善
、
構造
の改革ということを急激にしていかなければいかぬというふうに私は考えておりますが、たとえば
商工会議所
などにおかれましては、全国的な組織をもってこれをお進めになっておるわけでございますけれども、この面においては、どういうふうな
指導
をこれまでされてこられたか。また、今後されようとしておるか。またその過程において、
政府
その他の資金的な
援助
、行政的な
援助
で非常に足りない面もあるのではなかろうか。そういう面での御
要望
があれば、ひとつお聞かせをいただきたい、かように思うわけでございます。
影山衛司
8
○
影山参考人
ただいま
石井先生
から御指摘のとおり、今後、
中小企業
の
業界
におきましては、
高級品化
をはかっていかなければいけない、そのために
構造改善
を行なわなければいけないということが、一番の課題ではないかと思うわけでございます。 それで、
商工会議所
としてどういうことをやっておるかというお尋ねでございますが、
日本商工会議所ベース
、及び私が
関係
しております
東京商工会議所ベース
におきましても、
中小企業委員会
というものを設けまして、そこで、まず
構造改善
というものを第一番目に取り上げて、
審議
をいたし
要望等
もいたしておるわけでございますが、それと、ただいま私が
陳述
の際に申し上げました
特恵対策
の
影響等
につきましても、この
委員会
が
中心
になってまたやっておるような次第でございます。それと同時に、
商工会議所
は商工会と一緒に、
小規模事業対策
も大きな
事業
としてやらしていただいております。たとえば、
東京商工会議所
管内におきましても、小規模
事業
者の
方々
が
共同
して
構造改善
をする、あるいは
共同
工場を設ける、あるいは団地を設けるというようなことに対しまして、きめのこまかいお手伝いをさしていただいておるというような次第でございますが、何ぶんまだ
商工会議所
は、第一番目に
協同組合
の組合
事業
としておやりいただく、それを側面から御
援助
しお手伝いするというところでございまして、さらに
中小企業委員会
という
政策
部面の機関と同時に、そういう実働部隊であるところの小規模
事業
の経営
指導
という点と、両方あわせてやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
石井一
9
○
石井
(一)
委員
これまで、そういう形でおやりになっておることはよく理解いたしましたけれども、何か今後やはりある
程度
政策
を
転換
し、
高級化
をさらに進めなければいかぬというときに、
政府
に対する強い
要望
なり何なりはございませんですか。
影山衛司
10
○
影山参考人
何と申しましても、やはり
中小企業
の
皆さん方
は、個々で、そういう
高級品化
あるいは近代化をはかるということは、非常にむずかしゅうございます。それで、やはり
共同
の力によりましてこういう問題を解決していかなければいけない。これはもう都会におきましても、また
産地
におきましても同様でございますので、やはり何と申しましても、
中小企業
振興
事業
団を
中心
とするところの、そういう
事業
に対する
助成
というものを大幅に増加をしていただきたい。これが一番の御
要望
でございます。
石井一
11
○
石井
(一)
委員
次に、
三宅参考人
にお伺いをしようと思いますが、第二の重要な
政策
の
転換
は、先ほど
影山参考人
も御指摘になりましたように、
海外進出
ということだと思うのでございます。まだまだ資本力の弱さだとか技術その他の面で、これまで大
企業
の
海外進出
というものはかなり最近顕著でございますけれども、中小零細の特に
雑貨
関係
の
海外進出
ということは、これまであまり大きな成果をあげておりません。また
企業
の内部の事情を考察いたしましても、資本が小さい、ほんとうに家内
工業
のような形でやっておるというのが非常に多いものですから、遠く離れた
海外
の事情もわからなければ、それだけのことをするということは事実上不可能であった、こういうことだと思うのであります。先ほどの、内地でつくるものは
日本
の
製品
は非常に高級でいいのだ、値段も高いけれどもそれだけの値打ちがあるのだ。もう
一つ
、
日本
の持っておる技術で
海外
で安い労働力を利用することによって、非常に価格は安く、そして大量にできる、こういう形によって
日本
の
企業
の
雑貨
が生きていける道があるというふうに考えるわけでございますけれども、これまであまり貴
連合会
としては、特別にこういう問題を取り上げておられなかったのか、多少はやっておられたのか、また今後どういうふうに進めていこうとしておられるか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
三宅寅太郎
12
○
三宅参考人
お答えいたします。 御指摘のとおり、
雑貨
の小さいメーカーの方で
進出
をされておる方はあまりおられません。主として出ておる方は、どちらかといいますと中堅に近いような方が多いわけでございます。これはもちろん、ことばの面とかいろいろな面の不安もございますが、それ以上に、考えますのに、この
雑貨
というものは、
一つ
のところで全部の
商品
をつくるわけではなくて、アセンブルするようなものがかなり多うございますが、
海外
に出ますと、どうしてもそういうものが近くで求められないので、一貫した工場をこしらえないといけない。そうしますと、
日本
だったら百万円でもナイフの
輸出
ができるのに、向こうに行きますと、いままで頼んでおった下請のそういったことまでつくりますので、あるいは箱までこしらえますので、千万の金が要るという、そういった実際面で非常に制約があるわけで、そういうことなんかも、小さい
企業
の方が
海外
に出ることを足を引っぱっておるのじゃないかと思いますので、これをやるために、やはり協業してやらないとだめじゃないかと思います。 お尋ねの、軽
工連
としては何かしておったかという
お話
でございますが、残念ながらいままではそれをやっておりませんので、軽
工連
の中でも独自でおやりになる力、才覚のある方だけが独自でお出になっておりまして、軽
工連
としてはそういう
指導
もしておりませんし、やりましても、いまのところではちょっと無理ではないか、そういうふうに考えております。しかし、今後の問題として、当然これを
対策
の
一つ
として取り上げていこう、その気持ちはございます。
石井一
13
○
石井
(一)
委員
私が申し上げておりますのは、
軽工業品
団体
連合会
と申すのですか、これが一番イニシアチブを今後とっていただかなければいかぬ
分野
は、やっぱり
海外
の市場開拓から始まる
海外進出
、そうして先ほど御説明もございましたけれども、国際分業、国際協力という面を、労働力だけではなしに、一部の
製品
は
日本
から運んでくる、一部はその原材料を使う、そういうことによってどちらも立っていく、こういうふうなことを考えて進めていただきたいと思います。特に、これは個々の
企業
にそかしても絶対に無理でございまして、やはり
団体
が何のために存在するかといいますと、これまでは
国内
のまとめ役であったかもわかりませんけれども、今後は、そういう新しい
分野
の開拓ということにひとつ積極的な態度をとって、ここに
特恵対策委員会
というのがあったようでございますけれども、できれば、
海外市場
開拓とか
進出
委員会
とかいうものでも、
発展
的解消でおつくりいただいて、また
中小企業
庁をはじめ
政府
のほうも、
雑貨
の置かれておる、軽
工業
の置かれておる現在の
立場
というものを十分認識いたしまして、これまで以上のいろいろな面での
助成
を進めていく、こういうことによって、瀕死の状態に入りかかっておる軽
工業
の立て直しをはかる、こういうことを進めていただきたい、私はそういうふうに考えるわけでございます。 以上、私の
要望
でございますので、その点、
要望
申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
八田貞義
14
○
八田委員長
中村重光君。
中村重光
15
○中村(重)
委員
影山参考人
、先ほどいろいろお伺いをしたのですが、御
意見
の中で大体四つにお分けになったのですね。第一
グループ
と第二グルーというのは
転換
がない。非常に高級品をつくっていくというために、技術の開発なんということはもちろん必要になってくるのでしょうけれども、自己
努力
、そうした
政府
の協力、
指導
ということにおいて
競争力
を維持していくことが可能だと理解をしてよろしいのかどうか。 それから第三
グループ
と第四
グループ
ですが、これは第三
グループ
は、
台湾
、
韓国
との賃金差が三〇%、特に
香港
の
影響
が大きいということで、これに対する
配慮
を望まれたわけです。第四
グループ
は、
方策
については
模索
中だ。この第三、第四
グループ
というのが
影響
が非常に大きいということは、御
意見
の中にも出ましたし、また、私どもが一応考えてみましてもうなずけるわけであります。このほとんどは
転換
だというように考えなければいけないのかどうか。
対策
としては、
共同
化、協業化ということが強力に進められなければならぬと私は思うのです。この点に対しましては、二十三、四日、
政府
の考え方もただしてみたいと考えているのですが、
日本商工会議所
並びに軽
工業
の
業界
としては、そうした
指導
を強力に推し進めていこうとしておられるのかどうか、その点について、それぞれお答えをいただきたいと思います。
影山衛司
16
○
影山参考人
先生の御質問の中で、第一
グループ
、第二
グループ
は、
転換
はもういいのではないかというようなおことばがございましたけれども、やはり第一、第二の
グループ
も、現状においては何とかしのげるけれども、時間をかせいでおる間に
高級品化
をしていかなければいけない。その
高級品化
も、やはり同じ
業種
の中での品種を
転換
することでございますので、広い意味で
転換
ではないかと思うのでございまして、これは御
要望
申し上げました中にも、
転換
というものを非常に広く
解釈
をしていただきたいというふうにお願いしたのでございます。それから第三、第四の
影響
の大きい
グループ
におきましては、御指摘のとおり、
共同
化、協業化ということが一番重要な
方策
でございます。私どもといたしましては、先ほど申し上げました
中小企業委員会
等におきましても、常にこの
共同
化、協業化を推進するようなことを呼びかけておりますし、また
政府
に対しましても、
中小企業
振興
事業
団等の是正についてお願いをしておるわけでございます。それからもう
一つ
は、実施部隊といたしましての小規模
事業
の経営
指導
の面におきましては、この
共同
化、協業化ということを
中心
にして
構造改善
にも進むわけでございますが、実施を推進をいたしておるような次第でございます。
三宅寅太郎
17
○
三宅参考人
当軽
工連
の中に近代化
委員会
というものがございますが、これのやっております仕事が、ただいま先生御指摘の問題でございまして、
構造改善
の
指導
を行なっております。われわれの中では、いま
影山参考人
がおっしゃったような分類はいたしておりませんが、この
委員会
の中でやっておる。そして一番冒頭に申し上げました、われわれの
連合会
は
団体
のメンバーが非常に多うございますので、その
団体
を通じて、これをさらに下部のメーカーのほうへ
指導
をしておる、こういうことで現在やっております。
中村重光
18
○中村(重)
委員
影山参考人
に。御
承知
のとおり、中国はUNCTADの加盟国ではないわけです。関税の臨時措置法の中で、その他の国ということで、希望してきたならば、そしてこれに
特恵
を与えることが適当であるという場合は、中国に対して——中国だけじゃなくて、その他の国ということになっておるわけですから、
特恵
を与えることがあり得る。具体的に、中国が
特恵供与
されなかった場合、またそれなりの
影響
があるだろうと思うのです。輸入の面、輸入に
相当
依存をしておる
国内
の
業界
、また消費者というものがあるわけであります。また一方、今度は
特恵
を与える場合の
影響
もまたそれなりにあるだろう。
影山参考人
は、中国に対する
特恵
の
供与
についてのお考え方はいかがなものであるか。政治的な面からではなくて、実際の面から率直にひとつ御
意見
を伺ってみたいと思います。
影山衛司
19
○
影山参考人
お答え申し上げます。 中国の問題は非常にデリケートなものでございますし、なかなかむずかしい問題でございますので、私自身、まだ申し上げるようなコンクリートな
意見
を持ち合わせておるわけてございません。中国につきましても、やはり
わが国
産
業界
としましては、互恵平等の
立場
で対処しなければいけないというつもりでおりますので、大体そういう原則のもとに、この問題も対処すべきではないかというふうに考えておるという
程度
で、ごかんべんをお願いいたします。
中村重光
20
○中村(重)
委員
御
意見
として、
法案
の早期成立、
転換
の
助成
、第二に、
転換
の整備等についての御
意見
、御
要望
を伺ったわけですが、第三には、
指導体制
の確立ということであったわけです。 そこで、
法案
の早期成立と
転換
の
助成
、これはこの
法案
の中に、
転換
に対する
対策
が盛り込まれているわけです。ところが、御
承知
のとおり、
影響
を受ける
事業
を特定
事業
として
指定
をする。
対策
としては、単にこれは
転換
対策
にすぎない。転廃業というが、廃業する場合はどうするんだという、その場合の
対策
は全くないわけです。それから
転換
の場合だって、減価償却というようなことが考えられておるだけでありまして、積極的にこれに対するところの、不要になった機械の買い上げといったようなもの等々ないわけです。これは全く不十分だ。単に「資金の確保又はその融通の
あっせん
に努めるものとする。」こうあるわけです。いま
一つ
は、
特恵
関連保証の特例というものがあるにすぎない。申し上げましたように、廃棄または譲渡する減価償却資産としての課税の特例、税制面ではこれだけでございましょう。もっと積極的な転廃の
対策
ということが考えられなければならないし、また、法人税であるとか、あるいは個人
事業
税であるとかの減免措置ということも考えられなければならないのではないか。資金の面におきましても、
中小企業
振興
事業
団資金とかあるいは
中小企業
金融公庫の資金に別ワクを設けてこれを融資しようとしているわけですが、これとても、あとで
中小企業庁長官
にもお尋ねをするわけでありますけれども、必ずしも積極的な面というものは出ていないような感じがいたします。
法案
の成立ということについては、
転換
の
助成
というものは不十分なんだから、もう少し内容を充実した形で
助成
をしてもらわなければならないのではないか。
法案
の成立を希望される中には、そうした内容のある
法案
として成立をさせてもらいたいという御
要望
、御
意見
というものが入っているのかどうか、その点いかがでございますか。
影山衛司
21
○
影山参考人
この問題は、これから起こってくる問題でございますので、まず、この
法案
に盛られておりますような
助成策
、それと関連いたしまして、今度予算等でお認め願った
助成策
、これを十分実施していただく、
指導体制
と同時にやっていただくということが、一番重要なことではないかと思うわけでございます。廃業の
お話
も出ましたが、私自身、この廃業というものを、これと関連してどういうふうに考えたらいいかということにつきましては、正直いって苦慮しておるところでございますが、まず、やはり廃業が起こらないように
転換
を進めて解決をすべきである。そういう意味におきまして、私が、製造業というだけではなくて、商業あるいはサービス業というようなものの
転換先
も、広く
転換
の中に認めていただきたいということを申し上げたのは、そういう意味でございまして、まず、この広い意味での
転換
対策
を十分に実施していただくということが、問題の解決につながるものではないだろうかと思うわけでございます。もちろん、先生御指摘のように、この
法案
自体についてもいろいろと不十分な点もあるかと存じますけれども、
転換
の資金計画の中にも、退職金だとかあるいは負債の処理のための融資、あるいは保証
関係
につきましても御
配慮
いただいているようでございますので、まず、そういう点を十分実施していただくということが重要ではないかと思うわけでございます。
中村重光
22
○中村(重)
委員
参考人
は、元
中小企業庁長官
でいらっしゃるので、そういうようなことに対しての御
意見
というものも、豊富な経験をお持ちになるわけです。率直にお伺いをしたいということで申し上げているわけですが、おっしゃるように
転換
をする。これは
転換
なんだから、いままでの
業種
から他の
業種
に
転換
をするわけですから、必ずしも廃業ではない。しかし、機械設備その他は一切不要になるんだと考えてもよろしい。その場合、これが積極的な買い上げではなくて、単にこの減価償却資産についての課税の特例ということだけで十分なのであろうかということが、実は私ども疑問視しているところであります。これでは非常に弱い。 それからいま
一つ
は、旧債務に対するところの償還期限をどうするんだ。これを延長する、あるいはしばらくたな上げをするということだって必要であろうし、それから、新たな
事業
に
転換
をするわけでありますから、貸し出し期限であるとか据え置き期間をどうするのかというような、単に額だけではなくて、そうした措置がきめこまかに積極的に考えられなければならないのではないか。 残念ながら、いま
政府
が考えておりますところの
方策
の中には、これらの点に対する積極的な面が出ていないということに対して、
業界
はこれをどう受けとめていらっしゃるのであろうかということが、実は私の聞きたいところであったわけであります。 それから、第三に御
意見
がございました
指導体制
の確立の問題。このことは、これから諸
対策
を進めていく上において十分な
対策
をやってもらいたいという御
意見
であったのだと思うわけでありますけれども、いま
一つ
言えることは、関税についての便益
供与
というのは、
関税暫定措置法
で定めているのですね。ところが、その
影響
を受けるところの
中小企業
者の
対策
というものはこの
法律
で定めていくことになるわけです。しかし両者は相関
関係
があるわけです。両面に対するところの措置というものは、有機的に結合して機能していくということでなければならないと私は思うのです。したがってそこら
あたり
に、何か一本の姿でその法体系というものが整備されることが好ましいと私は思っているわけでありますけれども、それが技術的にも問題であるということになってまいりますならば、
運用
の面をどうするのかということが示されてこなければいけないのではないか。
指導体制
を確立していくことにも関連をしていくわけでありますから、かっての豊かな経験を持っておられる
影山参考人
とされては、この
法律案
を見られて、これからどうあるべきかということについての御
意見
を伺ってみたいと思います。
影山衛司
23
○
影山参考人
お答え申し上げます。 機械設備等の買い上げ等につきましても、長年、御指摘のとおりのいろいろな問題があるわけでございますが、これは廃業して商業サービスにいく場合、あるいは倒産をしてしまう場合、いろいろあるわけでございますが、倒産
あたり
の事例を考えてみましても、原因が非常に複雑でございまして、必ずしも
特恵
だけというように割り切るわけにいかない場合もございますので、おそらく
中小企業
庁
あたり
でも、この問題について非常に一生懸命考えていただいたのでございましょうけれども、なかなか技術的にもむずかしい点があるので、まだ踏み切れなかったのだろうと思うわけでございまして、たとえば税制の中でも、たしか転廃業の準備金制度というのがあるわけでございますけれども、そういうふうなものも活用するとか、先ほど申し上げましたように、買い上げというところまでいかなくても、
転換
計画の中にちゃんと資金計画で、そういう役に立たなくなる機械についての在庫融資でございますか、そういうふうなものも考慮をしていただくということ、これは御
配慮
をぜひお願いしなければいけない点ではないかと思うわけでございます。 それから、
関税暫定措置法
と本
法案
とが一体化して
運用
されなければいけないという御
意見
も、まことにごもっともでございまして、輸入
会議
というのがございますけれども、私それの
委員
をいたしておりますが、この問題の起こりました初期の
段階
におきまして、この
関税暫定措置法
と
中小企業
に対する
対策
法と一本化した
法律
をぜひつくっていただいてはどうか。
中小企業
が非常にわかりやすうございますので、そういうふうにしていただきたいという
意見
を、初期の
段階
に申し述べたことがあるわけでございますが、いろいろとこれも技術的な問題がございまして、私どもも役人をやめましたら、
相当
理想的なことが自由に言えるわけでございますけれども、実際問題としては、いろいろな技術的な問題もございまして、別々の
法律
になったわけでございますが、
運用
の面におきましては、先生おっしゃいますように、ぜひ十分な関連性を持って
運用
をしていただきたいということは、ぜひお願いしたいと思うわけでございます。
八田貞義
24
○
八田委員長
松尾信人君。
松尾信人
25
○松尾(信)
委員
これは御両人共通だと思いますので、それぞれお答え願いたいのであります。
構造改善
の問題でありますけれども、
中小企業
庁におかれましても、
構造改善
等にいろいろ大きな力を入れていらっしゃいます。いま
お話
しのとおりに、
構造改善
をしっかりやっていくということでありますけれども、この
構造改善
というものと
中小企業
の技術の向上という面とのかね合いでありますけれども、いままでの
構造改善
というものの基本的な考え方は、うんとりっぱな機械を入れて大量生産をして単価を下げて、そうして安い品物をつくって売り出していく、そのためにばらばらのものを集めて、そこに大きな力を付与していくのだというような
傾向
がどうも強かったのではなかろうか。ところが、そのように単品を大量生産していくという行き方も従来はありましたろうけれども、いまから先は、特殊の技術というものをいかに向上させてやるかということが主眼点になっていかなくちゃ、
中小企業
の特色というものが生きぬのではないか、私はこのような感じを強く持ちます。でありますから、その技術
改善
という問題を特にとらえた場合に、やはり
構造改善
という部面も大切なものがあるかもしれませんけれども、もう
一つ
観点を変えまして、
発展途上国
から常に追い上げを食らっておる
中小企業
が、多様化した中でこの技術というものが、途上国から一歩二歩、一歩二歩と常に先にある、そういうものに重点を置いてそれぞれ施策を進めていくべきではないか、このように考えますけれども、
構造改善
と
中小企業
の特色である技術の数段の
発展
というものについて、どのようにかね合いを考えていらっしゃるか、その点を御両所から承りたいと思います。
影山衛司
26
○
影山参考人
先生御指摘のとおりだと思います。従来の
構造改善
につきましては、まだまだ
中小企業
の近代化もおくれておりますし、また近代化施設を入れますと、やはり近代化と量産というものがある
程度
一緒に結合しておる場合もございますので、そういう観点から見ますと、適正規模というものが重要になってくるわけでございまして、そういうところに重点を置いて
構造改善
を行なってきたわけでございますが、
特恵関税
の
供与
というようなことに直面いたしまして、また
国内
におきましても、消費の高度化、
高級化
というような
傾向
もございますので、やはり技術というものに重点を置きまして、
構造改善
も、
中小企業
の
皆さん方
、零細
企業
の
皆さん方
は、
自分
だけで技術開発を行なうというような点についても、まだ力が非常に弱うございますので、やはり
共同
の力によりまして技術の開発をはかるというようなことは必要だと思いますので、今度新しい意味で
構造改善
と技術向上というものを結びつけたやり方、これをやっていかなければいけないのではないか、そういうふうに思うわけでございます。
三宅寅太郎
27
○
三宅参考人
御指摘のとおり、全くそのとおりだと思います。したがいまして、抽象的に申しますと、
商品
の多様化をはかり一歩先に歩く、あるいはデザイン等新しいものを出してやっていく、口で申せばそのとおりでございますが、それがなかなかできないのが
中小企業
の悩みでございます。あるいはその置かれておる
立場
が非常にむずかしい点があります。たとえばライターなんかをおつくりになっておる方が、なぜ
高級品化
できないか。金が醜いのだ。国際価格から非常に高い金を使わされておるので、もしこの金をメッキするときに、もう少し使えれば決してロンソンに負けない、ダンヒルに負けないものができるのだけれども、いまのわれわれの買っておる金では、中へどぶんとつけてあげないと、とてもじゃないが国際価格に太刀打ちできないのだ、ということを漏らしておられる方がございますが、そういったこまごました点で、まだまだわれわれ研究すべき点もありますし、
政府
その他に御
要望
しなければならない点もありますが、結局頭を使ってやっていく。そのほか、たとえばデリバリーの面だとか、あるいは包装面での新しい技術だとか、そういった面で一歩先にやっていくよりほかに方法がないので、
一つ
の単品をたくさんつくっていくというのは、
雑貨
としては全然もう体質的に、あるいは
商品
のあり方から見ましても不適当だというふうに考えております。したがって、そういう面で逐次一点一点われわれも
相談
に乗りまして、御
指導
させていただいてやっておるというような現状でございます。
松尾信人
28
○松尾(信)
委員
構造改善
と技術の向上というもののかね合いでしっかりやっていく、こういう
お話
でありますけれども、やはり二者背反的なものがありますものですから、重点というものを——
中小企業
の特色という面からいけば、
構造改善
というものは一通り
中小企業
庁でやっております。でありますから、むしろ
商工会議所
または軽
工連
等の考え方は、もう
一つ
中小企業
の特色を生かして、そして
日本
の
中小企業
の技術をうんと向上させていき、それで特色を常に持った、いま一言ありましたけれども、そういう面をどのように育成強化していくか。これをはっきりひとつ研究してもらって、先ほど、地方の
工業
試験所とかいろいろありますけれども、
日本
の技術員だとかそういう総力、そういうものを入れた、そしてもう多様化したバラエティーに富んだ、その中で途上国のまねの絶対できない
方向
というものを確立すべきときじゃないか、こう思うのですよ。そういう面において、そうであるならそうである、うんとそういうところへ力を入れていこうと思われるならば、御
意見
を聞いておきたいと思います。どちらからでもお一人でけっこうです。
影山衛司
29
○
影山参考人
私どもといたしましては、先生御指摘の
方向
で、大いに
努力
していきたいと思っております。
松尾信人
30
○松尾(信)
委員
それから、
海外進出
の問題でございますけれども、黙っておれば
外国
が出てしまう、いまのうらに
日本
としてもうんと出ていきたい、たくさんの
相談
もあったし、実績も三十何件かあった、こういう
お話
がありました。非常にいいことだと思いますけれども、また半面には、
海外
に
進出
のできない、
日本
内地に残存する
中小企業
もあるわけです。出ていったほうはいいだろうけれども、出る力のない、残存しておるものというのは、結局負けていくんじゃないかというわけですね。ところがいろいろ関税
政策
その他で外から安く入ってくる。これは
日本
だけの話でありますけれど、まずその点の
配慮
はどうか。今度は
外国
が
海外
に
進出
していく。
アメリカ
なんかが家電をうんと
台湾
、
香港
等でつくっていきますれば、それがやがて
日本
にも入ってくるであろう。また
日本
の
輸出品
が、そういうものとの競合でだんだん弱まっていくのじゃないか。でありますから、この
海外進出
ということも、
日本
の
企業
の
進出
の分と
外国
企業
の
進出
の分というものをよくにらみ合わせておいて、そうしてそういうものに対する
対策
というものをしっかり考えていきませんと、出ていったものはいいけれども、残されたほうはますますひどい打撃を受けていく。その転廃業の問題をどうしていくかという問題が、しぼってくればあると思うのですね。 それと、もう
発展途上国
の追い上げというものは、どうしようもないのじゃないか。先ほど、この
特恵
もあまり賛成じゃなかったというような御
意見
もありましたけれども、やはりそういう考え方ではなくて、もう途上国というものはどんどん
自分
の特色を生かして伸びていくのだ、だから
日本
としても、その途上国がどうしても追いつくことのできない
方向
へ切りかえていくのだというのが大原則だと思います。関税
政策
だとか貿易
政策
でいつまでもそういうものを阻止していこうというような考え方では、これは相ならぬ。それは保護貿易というようなことに通じまして、
日本
が言っていることと
現実
にやっていることがおかしくなってまいりますから、やはり大所高所に立って、
現実
にはそういうことで混乱を来たす
業界
の保護育成というものを考えながら、先ほどのとおりに技術の面でうんと進歩していく。その点で、
海外進出
をどのように
評価
して考えていくか、こういう点をしっかりお考えを願いたい。特に今後は、
台湾
なら
台湾
で合弁
事業
ができて、そういうものが
日本
に入ってくる。ほんとう言えば、
外国
企業
と現地
企業
との合弁、または
外国
企業
の子会社であるならば、ほんとうの意味におけるその途上国の産品じゃないわけですから、そういうものには差別待遇してもいいのじゃないかというような感じを持つわけですよ。それを無
条件
で、
特恵
もオーライ、あらゆる協定、税率もオーライということになっておりますので、それぞれ
進出
していくわけでありますけれども、それは関税上差別できないとすれば、どのようなところでその
対策
を考えていくか。こういう点について、二点いま聞いておるわけでありますけれども、お考えはいかがでしょう。
影山衛司
31
○
影山参考人
お答え申し上げます。
海外進出
につきましても、先生御指摘のように、ただ
海外進出
がいいのだというような狭い
見地
じゃなくて、広い
見地
からものごとを考えていかなければいけないと思うわけでございます。それで、出る力のない
方々
が内地に残存される、そういう
方々
が非常に大きな
影響
をかえって受けるという点につきましては、御指摘のとおりでございまして、私どもが
海外進出
というものを取り上げる場合に、これが一番苦しみ悩んだ点でございます。そこで、やはりこれからはそういう小さい
人たち
も、
業界
全体として
海外進出
というものを考え、場合によっては
共同事業
として
海外進出
をされるという
方向
に持っていかなければいけない。多少そういう事例もあるようでございますが、そういう
共同
で出られるような場合に、たとえば商工中金の融資を受けるというようなことがあるわけでございます。ただし、その商工中金の金利というものは非常に高うございますので、先ほど申し上げましたように、
海外
経済協力基金
あたり
の非常に安い金利を利用させてもらうということで、そこに特別ワクを設けていただくというようなことまで考え及んだわけでございます。そういうふうにして十分
配慮
を行ないながら、やはり
海外進出
というものを慎重に行なっていかなければならぬと思うわけでございます。 先生御指摘のように、この
特恵関税
の
供与
、
発展途上国
との国際分業というもの、これは現地の
実業人
あたり
も非常に望んでおるところでございまして、
工業化
を通じて自国の
経済
のレベルを上げようということを非常に一生懸命やっておるわけでございます。これをお手伝いするわけでございますが、これは長期的な
見地
で見ますと、
発展途上国
の
経済
水準が上がっていき、世界全体の貿易水準も上がっていくということは、長期的に見ますと、やはり
日本
自体にとりましても利益になる面があるわけでございますので、そういう点でいろいろと非常にむずかしい
問題点
はあると思いますけれども、私どももこれは一生懸命やっていきたい、そういうふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
松尾信人
32
○松尾(信)
委員
大体考え方はわかりました。 時間がありませんのでこのくらいでとどめておきますけれども、いろいろ
海外進出
についてたくさんの
企業
の
相談
があった、その中で実績もあった、そういう
実態
を知りたいと思います。その中で、協業化ができて出ていったのはどういうものか。単独で出ていったものも
相当
あるのじゃないか。そうすると、出ていったあと
国内
に残存したものに対する
影響
というものは、どのようにあらわれてきておるか。そういうものに対する
配慮
をどのように考えていらっしゃるか。こういう点を、今後の残された問題としてよく勉強してしっかりやっていただきたい、こう思っておりますので、今後ともきょうの発言どおりにしっかりがんばっていただきたい、このように思います。
八田貞義
33
○
八田委員長
川端文夫君。
川端文夫
34
○川端
委員
先ほど来、特に三宅さんの
団体
である
日本軽工業品
団体
連合会
は、従来は
特恵供与
に対しては反対の
立場
をとっておったけれども、世界の大勢なり
日本
の国策に順応して、最近は反対ではなく、これに対応できる
条件
をつくっていくという
お話
があったように承ったわけですが、まことに賢明な
対策
だと敬意を表したいわけです。 そこで、私どもこの
法律案
を
審議
する過程において、一番気にしている
問題点
の一、二を申し上げて、皆さんの対応策というものがどのようなものであるかということをお尋ねしてみたいと思うのです。
繊維製品
の問題は、日米
関係
の波紋の中から出てまいっておる
影響
の問題は、別に大きく
問題点
の消化をしよう、解決をしようという
努力
を、いま寄り寄りなさっておるところでありますが、この
特恵
に伴う
影響
、特に小規模
企業
への
影響
、皆さんの
団体
の中でもなかなか掌握しにくい地場
産業
的な零細
企業
への
影響
が非常に大きく出てまいるのではないか、このことを心配いたしておるわけであります。この
特恵
というものを、国策と申しますか、世界的な
産業
構造
の
変化
というものに十分理解を持っていないこれらの零細地場
産業
的な軽
工業
部門の人々に、はたして通産省が十分理解と協力をさせるだけの
努力
ができるのかということを、われわれは心配しておるわけです。しかし、
政府
がどれだけ手を用いて
努力
をいたしましても、やはり
政府
の力には限界があるわけでして、各
業界
がこの
政策
的な方針を受けとめて、これをどのようにしていくかということになれば、私は啓蒙だけではだめだ、もういまの場合においては、やはり現地に乗り込んで実際に教育からしてかからなければならぬような
業種
が多いように思うのです。特に、私の住んでいるところの近くにあるクリスマス電球、これは東京の品川に多いわけですが、目の前の苦しさを訴えるだけで日にちを送って、具体策は
業界
自体でもなかなかでき上がらない。これは最近、ガラス製のバルブの面で規制ができないかという、
一つ
の一歩前進した考え方を持っているわけですが、これらも、一部の組合の幹部が先行しようとすると、何か小規模
企業
を押える手段としてやるのではないかということで、疑心暗鬼が強いのです。この点はどういうふうに
政府
の
政策
を受けとめて、
業界
は教育、啓蒙、
指導
をなさろうとしているか。
商工会議所
は、大都市においては商工会の
指導
員も掌握されておるわけですし、あるいは軽
工業
の
団体
等ではどういう準備と
対策
をお持ちであるか、両方面からひとつお聞かせ願いたいと思うわけです。
影山衛司
35
○
影山参考人
お答え申し上げます。 地場
産業
、特に零細
企業
の多い
業種
におきまして、非常に
影響
をこうむるのでございますけれども、冒頭申し上げましたように、小さい
方々
はこの事態を認識されるひまもないし、またなかなか認識をされてないということで、私ども御一緒に話をしましたクリスマス電球におきましても、
業界
の
指導者
の
方々
は非常に一生懸命やっておられるけれども、ついてきてもらえないということで心配をしておられるような次第でございます。クリスマス電球は、東京地方におきましては、お聞きしましたところでは、
台湾
、
韓国
は売り値が一五%から二〇%安いんだけれども、一五%ぐらいの差なら、デリバリーあるいは品質等の
関係
でまだ
日本品
を買ってくれる。だから、この間において、やはり
構造改善
なり近代化をはかっていかなければいけないというふうに考えておられるわけでございまして、私どもといたしましては、
小規模事業対策
を
中心
の
事業
としてやっております。また、
業界
の
指導者
の方を振興
委員
としてお願いをいたしておりまして、そういう振興
委員
の方と一緒に
業界
の御
指導
にも当たっておるような次第でございますので、そういう零細
小規模事業対策
の実施面におきましても、大いに
努力
をいたしていきたいと思うわけでございます。
三宅寅太郎
36
○
三宅参考人
軽
工連
の
特恵対策委員会
でやっております仕事は、時々刻々変わります各国のスキーム案だとか、そういったものの内容の
検討
なんかをしておりますが、そのほかに、
国内
的には、各
業種
に対する
影響
の調査というのがまず第一番。それから、こういうものから
政府
に対していろいろな陳情を行なうというのが第二番。三番目にいま御指摘の各地場
産業
へのPRで、その内容をよく御説明申し上げて、それに対する対処方を御
要望
する。これは傘下の
協同組合
と協力しながら、さらに単一組合を
中心
に
指導
をしております。 こういうふうにしてやっておりますが、当初のころは皆さん御認識が薄かった。これはもう御指摘のとおりでございまして、最近になっていよいよ最終的なスキームがきまってからやっと腰を上げられたようなあれもございますけれども、少なくとも軽
工連
に入っております
団体
の
方々
は、事態の重要さについては早くから御懸念をされ、したがって、御研究もされておったというふうにわれわれは考えておりますが、
団体
と申しましても、事務局のメンバーが少ないと、それが下の各メーカーさんまでなかなか徹底いたしませんので、そういう面はわれわれの事務局のほうで、小まめに現在までやってまいりました。 それから、いまのクリスマス電球、これは軽
工連
の中にお入りになっておりませんけれども、なるほど、しばらく前までは
香港
でございましたが、現在、
台湾
は非常な追い上げで、すでにペッパーランプでは
日本
よりも数量的に多く出ておる。現在まで品質面で
日本
が凌駕しておったので、少々の値段は何とかカバーして出ておったのでございますが、これが
特恵
実施で、たまで一〇%、セットで二〇%という税金がなくなった場合にどうなりますか。これはいまわれわれとしても非常に懸念をしておるところでございますが、この
業界
も今度は別の面で、人手不足の面でだんだんと生産ができなくなったというふうな
条件
もございますので、この点どういうふうになりますか、われわれまだはっきりしたことはつかんでおりません。
川端文夫
37
○川端
委員
この
特恵対策
臨時措置法の目的というのは、
一つ
は
変化
に対処してという、先ほどから申し上げておるようないろいろな問題に対しての準備でありましょうし、もう
一つ
は、
事業
の
転換
を円滑にするためということを明確にしておるわけです。そこで私は、このことを遂行していく過程の中で二つの問題を心配しているわけです。組織をあまり重視するために、
事業
転換
を推進する中で、弱肉強食的な
中堅企業
の先取りが行なわれるおそれはないかという心配が
一つ
あるわけです。いわゆる零細
企業
を見捨てて、見切り発車をするような意味においての推進を行なうおそれがありはしないか。もう
一つ
の面から考えても、課税の特例という面で考えてみても、
事業
転換
する場合においての廃棄、または譲渡をする減価償却資産の償却については、特別措置法を当てはめるということにしておるわけですけれども、この地場
産業
的な
産業
の中に減価償却の課税の措置くらいでは、あした
事業
転換
しようとしてもできないものがたくさんある。昨年、問題になりました燕の洋食器
業界
の事情を、私、調査してみたのですが、一部の
中堅企業
はある
程度
の設備を持っておるけれども、ほとんどは家庭
工業
的な業として、減価償却に値しないような、スクラップ的なものを生かして自家労働でやっているものがある。これを補う意味において
政府
の方針が弱いとお考えになるのか。もう
一つ
、新しい問題が何かあるとお考えになっておいでる面があるのか。いま
一つ
、
業界
としては、われわれ自主的にこういうことも考えておるという点がありましたら、この三点に関してひとつお答えをいただきたいと思います。
影山衛司
38
○
影山参考人
先生御指摘の中で、
事業
転換
の過程におきまして、
中堅企業
のほうが先取りをして、小規模、零細のほうを見捨てるおそれがあるではないかという御指摘でございますが、私もそういうことがあってはならないというふうに考えております。従来の
構造改善
なり
協同組合
あたり
の
共同事業
の例を見てみますと、むしろそういう
中堅企業
あるいは
中小企業
の中の大きいところの
方々
がリーダーになりまして、小さい
方々
を糾合いたしまして、そこで
構造改善
なり
共同事業
をおやりになっているという例が非常に多いわけでございます。また、そういう場合が非常にうまくいっておるわけでございますので、私どもといたしましては、
中堅企業
が
自分
だけのことを考えて先取りをするということではなくて、
中小企業
、零細
企業
を含めたところのリーダーとして、一緒になってこういう大
事業
をやっていただくという
方向
でなければいけないというふうに考えておるわけでございます。 それから、小規模、零細層におきまして、減価償却資産に値するものがないのじゃないかというような御指摘でございます。そういう点につきまして、そういう
傾向
もあると思うわけでございますが、スクラップ的な資産、これをまた処理するというような場合につきましても、いろいろ具体的な
産地
の
実態
等に応じた措置をとらなければいけないと思いますので、先ほど申し上げましたような、そういう
産地
のリーダーの
人たち
が
中心
になりまして、あるいは
商工会議所
、あるいは中央会等も一緒になりまして、具体的な問題としてこれを取り上げて融資の道を開いてあげるというような、きめのこまかいことをやる必要があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
川端文夫
39
○川端
委員
時間の
関係
もありますから、あまりこまかいことをお聞きする時間はありませんけれども、いわゆる転業資金というか、結果としてはつかみ金になるような結果も出るかもしれぬけれども、少なくとも
転換
を必要とする場合に、ある
程度
の縮小規模にならざるを得ないことはやむを得ないことであります。この点に対しては
業界
の
指導者
に、残ってやれる者に対しては、ある
程度
の
犠牲
を払うという気持ちを十分持ってもらえるように教育をしてもらいたい。 もう一点は、私は昨年もシンガポールのジュロン地域も見てきたわけですが、本来ならばこういう時期に、組織で、
協同組合
で向こうに
中小企業
が
進出
してくれれば一番理想的なんだが、それがほとんど行なわれていないで、
中堅企業
なり大
企業
の看板借りをしているような
企業
が、
中小企業
の名において
東南アジア
にかなり
進出
している
傾向
が見受けられるわけでありまして、全部が救われるという状態になっていない。このことは十分警戒をして御
指導
いただきたいものだと思うわけです。
中堅企業
が、
台湾
なり
韓国
なり、いろいろなそういう
東南アジア
に
進出
する場合に、できるだけ組織をつくっていくという形を
日本
の
国内
でめんどうを見ておる、この国策的な考え方を教育、
指導
していただきたいと思うわけですが、そういうことを何か具体的におやりになっている
傾向
があるかどうか、その点お聞かせ願いたいと思います。
影山衛司
40
○
影山参考人
転業資金の問題でございますが、
犠牲
を受ける人以外の人が、やはりそういう
犠牲
を受ける
人たち
のためにある
程度
のことをやらなければいけないという第一点の問題でございますが、私ども
中小企業
庁におりましたとき、転廃業のための準備金制度をつくりましたのはそういう趣旨でございまして、力のある人が
共同
で準備金を積み立てて、見舞い金を差し上げるというようなことも考えたわけでございまして、そういう趣旨を十分やはり生かしていかなければいけないと思うわけでございます。 それから、
海外進出
について組織で出てほしいという現地の
要望
があるという
お話
でございます。私どもといたしましても、冒頭の
陳述
のところで申し上げましたように、やはり
中堅企業
あるいは
中小企業
のうちの大きいところだけが出るということではいけませんので、その
産地
なら
産地
の
協同組合
なら組合単位で、ひとつそういう点をお考えになりまして
共同
で
進出
をしていただく。そういう組織的な
進出
をしていきます上において、
中小企業
振興事業団あたり
の融資の道も開いていただきたい。あるいは
経済協力基金
におきまして、商工中金
あたり
との協調の融資ができるようなワクも、制度をお認め願いたいということをお願いしたわけでございます。
商工会議所
のほうで、先般、資本金五百万円以下の製造、販売会社七千社について、資本だけを出すのでなくて
海外
移住をしていきたいという関心調査をやったわけでございますが、これは回答がありましたのが八百件でありますが、その中で、
海外
移住に関心のある
企業
主が百七件で、一三%占めておるわけでございますので、わりあい私が思っていたよりも、身ぐるみ
海外
移住をしたいという
人たち
が多いので驚いているくらいでございます。そういう
傾向
がございますので、やはりおのおのが行きますとまた問題がございますので、こういうところでも組織化して
共同
して出ていくという
方向
に、できたら御
指導
したいというふうに考えているわけでございます。
川端文夫
41
○川端
委員
大体そのような方針をお立てになった以上は、ひとつ強力に、しかも根気よく
指導
してやっていただきたいことを
要望
申し上げておきたいのです。 この
特恵関税
の問題が、このように日程にのぼってきている過程の中に、私らもささやかな
海外
の見識しか持ちませんけれども、長い目でマクロ的にものを見れば、やはり世界の分業化への道をわれわれは当然とっていかざるを得ないというふうに見ざるを得ないような気がするのです。同様に、そのことは南北問題や世界的な
傾向
であるだけというとらえ方でなく、今日の不況の
実態
からいっても、
日本
の
国内
産業
の中にも、そういう専門化というか、
企業
化への道を
指導
し、もっと強力にしなければならぬ時点に立っているのではないかと考え、この問題に対して私どもは研究を進めておるわけですが、この点に対しても、
業界
の
指導者
のお二人ともどうかひとつ——この問題は私はこの間も言ったのですが、
特恵供与
の
法律
ができたって、直ちに今年の
影響
になるとはすぐは考えておらないけれども、三年なり五年の計画でものを見れば、きっと変わったものにならざるを得ないという長期のかまえから考えて、
一つ
の
方向
づけをして御
指導
していただける
用意
があるかどうか、その点だけお答えいただければ質問を終わりたいと思うのです。
影山衛司
42
○
影山参考人
先生御指摘のとおりでございまして、三年、五年、長い
見地
で、大局的な
見地
からひとつ
努力
をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
三宅寅太郎
43
○
三宅参考人
御指摘のとおり、すでに国際分業時代に入っておると思いますが、ただ、もう個々の小さいところは、われわれ
業界
の実際に接触している者でないとなかなかわかりませんので、われわれが働く場所はここにあると思って、今後とも息長く御
指導
を申し上げ、御
相談
に乗っていってやっていきたい、そういう決意でおります。
川端文夫
44
○川端
委員
終わります。
八田貞義
45
○
八田委員長
以上で
参考人
に対する
質疑
は終わりました。
参考人各位
には、御多用中、長時間にわたり御
出席
をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
八田貞義
46
○
八田委員長
引き続き
政府
に対する
質疑
を行ないます。石川次夫君。
石川次夫
47
○石川
委員
私は、この
特恵関税
についてはたいへん関心は持っておったのですけれども、実はほかの
委員会
との
関係
で、本
委員会
における
質疑
応答を聞いておりませんものですから、たいへん重複したような、また幼稚な質問の繰り返しになる点が多いのじゃなかろうか、こう、じくじたるものがあるわけでありますけれども、その点はひとつ御了承をいただきたいと思うのであります。 もちろん、この
特恵関税
が国連の場でもって大きく取り上げられましたよって来たる原因ということは、いまさら説明するまでもなく、
後進国
の国民所得を五%引き上げるということを目的として、そのことがまた
先進国
の貿易を
発展
させるための
一つ
の一番有効な方途ではないか、こういうことで
特恵
によって
後進国
の
輸出
の道を開いてやる、こういうねらいにあることはいまさら申し上げるまでもないし、また、しかしながら、
日本
は軽
工業
による度合いというものが
先進国
に比べてかなり大きく比重がかかっておりますだけに、この
特恵関税
によるところの
影響
がかなり多かろうと思っただけに、
相当
な
対策
を慎重に考慮しなければならぬということも言えるだろうと思うのであります。 そこで
最初
に、非常に単純な質問から申し上げたいと思うのでありますけれども、
特恵
受益国
というのはまず第一に開発途上国である、こういうことであるし、開発途上国であるということは、みずからが開発途上国であるということを認める、そう判断をすることが前提になっておる、こういうことになりますが、聞くところによりますと、
自分
の国は
特恵
の
受益国
でもあるし
供与
国でもあるのだ、こういうことをいっておる国もあるやに伺っておるわけであります。そうしますと、
特恵
を与える
受益国
としての定義としての、まず第一の
発展途上国
というものの基準は一体どこに置くのかという点を、まず
中小企業庁長官
、それから外務省の
経済
局長、このお二人に伺っておきたいと思うのであります。
平原毅
48
○平原
政府
委員
お答えいたします。 実は、何をもって開発途上国にするかということは、UNCTADの
最初
の
会議
に出ましたときからずっと討議を続けまして、現在に至るまで結論が出ておらないというのが実情でございます。したがって、
先進国
間の話し合いの場でございますOECDにおきまして、結局、開発途上国の定義というものは出ませんで、ただ
特恵
に関しましては、みずからが
特恵
をほしいと手をあげた国、自己選択の原則ということで開発途上国をきめる、そういうことにきまっておるわけでございます。
石川次夫
49
○石川
委員
それで、
特恵
を与える品種については、各国の判断にまかせられるわけでありますから、その国が手をあげて、
自分
は
発展途上国
であるし、この品物は
特恵
に値するのだということを申し入れても、これを拒否するということは可能なわけですね。念のために伺っておきます。
平原毅
50
○平原
政府
委員
理論的には、何が開発途上国であるか、どの品目を与えるかというのは、
特恵
を与える側の判断でございますので、客観的に一応見まして、断われる場合は断わることができます。 なお、品目に関しましては、各
先進国
共通の
特恵
品目というものはございませんで、各
先進国
がそれぞれUNCTADの場に、
自分
のほうのいわゆる
特恵
案を示しまして、それに
後進国
の側のけっこうであるという賛成を得まして、両方で受諾可能という案が各国についてできております。したがって、現
段階
に至りまして、いわゆる開発途上国がこの品物にぜひ
特恵
をくれと言っても、もうおそいわけでございます。昨年の十一月の
段階
で、各
先進国
の
特恵
品目というものは、一応確定したわけでございます。
石川次夫
51
○石川
委員
UNCTADの
会議
で、このUNCTADの加盟国であるということが、一応
受益国
としての
条件
ということになっておるわけでありますが、そのほかに
特恵
受益地域というものもあるわけでありますから、一がいに言えませんけれども、国連貿易開発
会議
の、UNCTADの加盟国であるということからしますと、これはあとからまた質問しようと思っておるわけでありますが、
香港
、中国は、この限りにおいては入らないということになっておるし、またその
香港
については、先ほど来
参考人
からも、
相当
慎重に扱ってもらわなければ、たいへんな
影響
が
日本
に与えられるのじゃないか。むしろ
軽工業品
としては、
香港
では、私も行ってみたのでありますけれども、かなり質の高い労働力というものがある、そういうことで
日本
に対しての
影響
がきわめて大きいと思われるので、
香港
に関しては、
相当
慎重に扱ってもらわなければ困るという強い希望が、先ほど来出されたわけであります。そうすると、このuNCTADの加盟国であることという
条件
の中にははまらないということで、
香港
は一応いまのところペンディングになっている、こういうふうに理解してよろしいかどうか。
平原毅
52
○平原
政府
委員
先生の御理解のとおりでございます。
石川次夫
53
○石川
委員
これは大体一九六〇年に、南北問題というものが
相当
うるさくなるのではなかろうかということで、国連の場でこれが初めて討議にのせられまして、先ほど申し上げたように、国民所得年五%上昇ということをめどにする「国連開発の十年」というものが過去に発表されまして、それに基づいて、UNCTAD、貿易開発
会議
というものが一九六四年に持たれた。 〔
委員長
退席、武藤
委員長
代理着席〕 それでその次に、一九六八年に第二回が開かれたわけでありますけれども、一九六七年に、この第二回のUNCTAD
会議
に臨む態度というものを、
先進国
の間でいろいろときめておるわけであります。 大ざっぱにその整理したものを読んでみますと、すべての開発途上国にはほぼ均等な機会を与えるというのが
一つ
あるわけであります。すべての開発途上国にほぼ均等な機会を与えるということになりますと、これもあとからまた、大臣でもお見えになったら質問をしたいと思っておるわけでありますけれども、この開発途上国ということ自体が明確でないので、なかなか論旨がすっきりいたしませんけれども、中国も一応開発途上国というふうに見て見られないことはないのではなかろうか。大体、中国の現在のGNP——国民の数は
相当
たくさんあるわけでありますけれども、GNPは一体どのぐらいに推定をされておるか、去年でもおととしでもけっこうなんでありますけれども。そしてそういう数字は、この一応の
発展途上国
というめどの中に該当するのではなかろうか、こういう感じがするわけでありますけれども、その点ひとつお教え願いたいと思うのです。
室谷文司
54
○室谷説明員 お答え申し上げます。 中共につきましては、確定した統計資料が必ずしも得られませんが、一応、一九六八年の推定値といたしまして、一人当たり国民所得は約百ドルというふうに見られております。 これが開発途上国であるかどうかという点につきましては、先ほど平原局長からも説明がございましたように、この開発途上国の基準というものが、国民総生産とか、あるいは一人当たり国民所得が必ずしも適切であるかどうかということが、国際間でもいろいろ議論の末、確定しがたいということで、一応自己選択原則というものが確立されておりますので、そういったことをやはり
配慮
に置きながら中共の
特恵
問題については対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
石川次夫
55
○石川
委員
国際
経済
部長も見えておられるようでありますけれども、一人百ドルということになると、
日本
の何年ごろの水準かわかりませんが、現在では千三百ドルをこしておる、こう大体推定をされておるということになれば、これは言わずもがな、常識的に考えて
発展途上国
と考えていいのではなかろうか、こう思うのでありますけれども、その点はどうお考えになりますか。
室谷文司
56
○室谷説明員 先ほど申し上げましたように、
発展
の途上にある国という、いわゆる
発展途上国
というものを、一人当たり国民所得だけできめるというのは、やはり不合理だという議論も実は国際的にもある。また中共に関しましても、たとえば、その一方において宇宙開発で非常にすぐれている技術を持っているし、あれが
発展途上国
かと言う人もあるわけでございますけれども、一般の一人当たりの国民所得の水準だけから見ますと、われわれが一般に開発途上国と言っている国々に比較いたしますと、一人当たり百ドルというのがほんとうだとしますと、かなり低い水準のほうにあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
石川次夫
57
○石川
委員
どうも答弁がはっきりしないのでありますけれども、このUNCTADの
会議
のできたそもそもの発端は、先ほど、いわゆる垂直な国際分業という話が出ましたけれども、最近は戦前と違いまして、全体の国の水準が全部上がるということを通じて、貿易を自由化するというような手段を講じながら貿易の
発展
というものをはかり、そうして世界の国々が、それぞれ繁栄を目途としてそういう
方向
でいこうではないか、こういうことで、このUNCTADの考え方の基本は、とにかく国民所得を一人当たり年間五%、なかなかこれはむずかしい問題なんでありますけれども、そういうことから出発しておるわけですね。そうすると、やはり国民所得の低いということは、
一つ
の目安として当然尊重されなければいけないのではなかろうか、こう私は考えるわけなんです。
日本
の場合には、いま千三百ドルをこしたというような状態にまでは一応なっていますが、これも個々の人間に当てはめてみると、必ずしも正確なものになっておりませんけれども、全体的な平均からするとそういう形になる。この
発展途上国
の定義というものは、非常にむずかしいけれども、やはり国民所得というものは
一つ
の目安だ。 それから、いまの中国におきましては、御
承知
のように、この間発表されました宇宙開発の問題は、これは
日本
なんかでは足元にも及ばないような技術を持っております。
日本
はやっと風まかせで誘導制御装置のない衛星というものが飛びましたけれども、実にささやかな試験衛星にすぎなかった。中国の場合には、
相当
重量もあり、しかもこれは完全な科学衛星の形態を整えておったということもあるし、それから、プルトニウムの核実験ではなくて、完全水素爆弾の実験であったというような面だけを見れば、なるほどその面では科学的には
日本
よりも進んでおるところがあるというようなことがありますが、これは中国としては、それ相応の国威を宣揚するというねらい、国際、国連の場に復帰をしたいというようなねらい、いろいろな意図があって、そこだけに集中的に
発展
をこいねがった結果としてできたと考えるわけなんで、やはり
発展途上国
の定義の基本になるのは、国民所得というものから出発をすることが私は妥当ではなかろうか、こう思うのでありますけれども、これはどなたか、外務省の
経済
局長でもけっこうなんですけれども、ひとつあと一回答弁を願いたいと思うのです。
平原毅
58
○平原
政府
委員
確かに国民所得というものが
一つ
の目安であるということだけは、私どももそう思っておりますが、それが出発点であるかどうか、その点は私自身もよくわかりません。目安の
一つ
である、これは確かでございます。
石川次夫
59
○石川
委員
最初
申し上げましたように、どうしても年率五%、国民所得を上げたいというところからUNCTADの
会議
が国連の場で開かれるようになったということは、まぎれもない事実なんです。でありますから、国民所得が低い、低いから何とか上げる。もちろん、先ほど申し上げたように、国際貿易というものを大いに切り開いていって、南北問題の解消を
事前
にはかるということもあるし、
先進国
自体の利益にもなるということもありますけれども、国民所得という考え方が基本であったと私は理解をしておるわけなんです。そのことは一応それでおきます。 さて今度、特定
事業
というものを
指定
をし、そうして
特恵
によるところの被害から転業をはかるという場合に対しまして、この特定
事業
の
指定
というものをどういう根拠で、どういう機関でやるのかという点を、ひとつ
中小企業庁長官
に聞きたいと思うのです。
吉光久
60
○吉光
政府
委員
特定
事業
につきましては、第三条で規定をいたしておるところでございますけれども、この仕組みでございますが、まず第三条第一項の規定によりまして、
特恵
の
供与
によりまして
輸出
入面で
相当
の
影響
があると見通される、そういうふうな要件を備えておる、そしてまた同時に、現に従事しております
中小企業
者の
事業
の
転換
を円滑にすることが必要であるというふうな、両要件を備えておりますような、そういう
事業
につきまして、これを
政府
が特定
事業
として政令で
指定
をいたします。その政令で
指定
された
事業
につきまして、個別
企業
のほうで
事業
の
転換
に関する計画をつくりまして、所在地の都道府県知事に提出しその認定を受ける、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。したがいまして、
事業
そのものは政令で
指定
をいたします。それから、個別
中小企業
者が
転換
計画をつくりまして認定を受けます
段階
は、都道府県知事の認定を受ける、こういう仕組みでございます。
石川次夫
61
○石川
委員
そのことはわかっているのです。私の聞きたかったのはそうじゃなくて、そういうことをやることは、一体どういう機関でおやりになるのですかということを聞きたかったのです。 それと、あと
一つ
ついでに申し上げておきますけれども、
特恵関税
というものをやることによって、
相当
国内
に対する被害が甚大である、いわゆるセーフガードを適用して、この適用を停止しようではないかというような判断もしなくてはならぬわけですが、そういうときもあるわけです。それから、
シーリング枠
の割り当てなんかをどうするかという問題も出てくる。こういうことで、なかなかこれは
業種
によっては困難な問題がふくそうして出てくると思うのです。それを
中小企業
庁自体がおやりになるのか。あるいはまた、私の聞いておるところでは、
中小企業
近代化
審議
会でもってやるんだというふうに聞いておりますけれども、こういった
程度
のもので、適切なそういうふうな判断ができるかどうかということが一応懸念されるのですけれども、その点もあわせてひとつお答えを願いたいと思うのです。
吉光久
62
○吉光
政府
委員
わが国
の
特恵供与
に伴いますところの
影響
面を調整いたしますために、いま御指摘の中にございましたように、
シーリング枠
の問題その他、関税上のいろいろの措置が講ぜられておるわけでございますけれども、これは、
わが国
が
特恵
を
供与
することによりまして
国内
産業
に与える弊害、打撃を最小限に食いとめようというふうな意味の措置でございまして、これはその
関税暫定措置法
の
運用
のほうの問題になってまいるわけでございますけれども、この臨時措置法の
関係
におきましては、
わが国
が
供与
したことによりまして、輸入面で受ける
影響
のほかに、さらに他の先進
諸国
が
特恵
を
供与
することによりまして
輸出面
で
影響
を受けてまいる、両面の
影響
面につきまして
対策
を講ずる必要があるということで、両面について考えておるところでございます。 確かに御指摘のように、この
事業
の
指定
ということは、非常にむずかしい問題であるというふうに考えるわけでございますが、一応この
法律
のたてまえからいきまして、そういう場合の
事業
をどう
指定
するかということは、
中小企業
近代化
審議
会の
意見
を聞いてそして
指定
をいたす、こういう手続にいたしておるところでございます。 ほんとうに
特恵供与
というふうなことによります
影響
であるかどうかというふうなことを、
特恵供与
という側面のみに着目して考えるといたしますならば、非常にいろいろの要因がからみ合ってまいりますので、むずかしい要素もあろうかと思うわけでございますけれども、やはり何らかの形で
特恵供与
の
影響
を受けておるというふうなことでございますれば、積極的にこの対象
事業
の中に
指定
してまいりたい、こういう考え方で現在おるところでございます。
石川次夫
63
○石川
委員
長官、重ねて伺いますけれども、私いま質問しようと思っていたことをあらかじめ御答弁になったわけなんですが、
先進国
の負担公平の原則というのが一応あるわけです。その中で、貿易を創出するというような
後進国
に対する
効果
もねらっておるわけでありますけれども、
アメリカ
、カナダは、だいぶ
供与
をするのがきまるのがおくれるんではなかろうかというようなことも、うわさをされてさるわけです。それは確認はしておりません。北ヨーロッパ、イギリスの
あたり
は、どうやら
日本
並みに
供与
をするんではなかろうかということがいわれておるわけでありますけれども、この場合
アメリカ
も
供与
するということになれば、なおさら
影響
も大きくなるわけでありますけれども、とにかく
アメリカ
、カナダが大幅におくれても、
日本
は既定方針どおりやるというお考えなのかどうかということが、質問の第一点でございます。 それから、
アメリカ
も
特恵
を
供与
して、
日本
もそういう
特恵
を
供与
する。ところが、
日本
から
輸出
するのも開発途上国から
輸出
するのも同じ品物で、競合するものがたくさんあるわけですね。そういうものが
相当
影響
を受けてくるということになった場合に、このセーフガードで、
日本
だけは適用を取り消すというふうな措置に出ざるを得ない場合もあるだろうと思うのでありますけれども、そういったものの判断は一体どこでおやりになるのか、その点も伺っておきたいと思うのです。
平原毅
64
○平原
政府
委員
第一の御質問にだけ、私から答えさせていただきます。 理想といたしましては、
わが国
といたしましても、主要
先進国
全部が同時期に
特恵
を
供与
するというのが望ましいわけでございますけれども、それぞれ、
アメリカ
の場合も
アメリカ
の議会の協賛ということが必要であり、そのためにおくれる先生御指摘のとおりのうわさもただいまございます。いまわれわれといたしましては、やはり
わが国
自身の南北問題に対する姿勢というようなことも考えまして、
アメリカ
がおくれた場合でも
日本
はやはり
特恵供与
に踏み切るべきではないか。ただその場合も、できれば、
アメリカ
がたとえ同時に発車できなくても、その他の主要
先進国
、たとえば欧州
共同
体、イギリス、こういうものと大体同時に発車できるようにしたい、そのように考えております。 第二
段階
は、ちょっと私からお答えする筋ではございません。
室谷文司
65
○室谷説明員 後段の、
特恵
の
供与
によって
わが国
の
産業
が受ける弊害についての調整措置をどこがやるかという御質問でございますが、
特恵
の
供与
によって
わが国
が
影響
を受けるという面は、御指摘のように、
わが国
自身が
特恵
を
供与
することによって受ける
影響
と、それから
アメリカ
等他の先進
諸国
が
供与
することによって
わが国
の
輸出
産業
が受ける
影響
と、二つあるわけでございますが、ともに一般の行政的な
一つ
のルールに従いまして、それぞれの所管原局において、常時その
業種
のこの
特恵供与
による
影響
をウオッチいたしまして、その状況に応じまして、私どもの、一応通商局でございますけれども、通商局を通じて
関係
省と連絡の上、機敏な措置をとるというふうに考えております。一般の行政的な機構あるいは手続と特段違った措置と申しますか、手続をとるわけではございませんけれども、もちろん私どもの局といたしましても、いかなる
特恵供与
の産品がどのような輸入の増大
傾向
にあるか、あるいは第三国市場で
影響
を受けるかという統計的な面におきましては、約一千万円の予算を来年度の予算としてお願いをいたしておりますので、そういったことによりまして、事態の推移、
実態
の把握に遺憾なきを期していきたいというふうに考えておる次第でございます。
石川次夫
66
○石川
委員
どうもすっきりした答弁じゃないのですけれども、いま言ったように、
特恵
をやることによって、
日本
からの
輸出
も含めて非常な
影響
があるという場合、どの
程度
まで
影響
があった場合には
政府
側がどう適用するかという問題は、非常にむずかしい問題だと思うのです。これはよほど機敏に対応するということでないと、
中小企業
近代化
審議
会に一々答申を求めるというかっこうでやったのでは、時期おくれになってしまうというふうなこともあるので、これは適時適当な
対策
のとれるような体制をいまから考えておいてもらわなければならぬ、こう思うわけなんです。 それから、事務的なことであと
一つ
質問しておきますけれども、昭和三十九年から四十一年の二年間の間に、
中小企業
なんかでは
転換
が一五%ぐらいになっているわけですね。いまは、
特恵
がなくとも
転換
をせざるを得ないというところに追い詰められてきておるということは事実なんです。その
転換
あるいはまた系列化というものが、しんしんことして
中小企業
の間には進んでおります。私もそれをまの
あたり
に見ておるわけでありますけれども、そういたしますと、先ほど
参考人
が言われましたように、この
特恵
というものがなくても、当然
転換
をはからなければならぬという場合も
相当
出てくると思うのです。たまたま
特恵
の
製品
に当たったものであって、特定
事業
として
指定
されれば、その対象になるのでございましょうけれども、
高級化
をはからなければならぬ、すなわち、先ほど国際的分業の垂直化という話が出ましたけれども、これはあまり声を大にして言うと、たいへんいろいろな問題に波及すると思うので、私はそういうことばを使いたくありません。そういうことではなくて、
日本
自体は頭脳集約
産業
というものの
方向
に
転換
をはかっていかなければならぬ、高度化の
方向
に道を求めていかなければならぬということになるのと、それから、いままでも
相当
たくさんな
転換
というものが行なわれておったというもののからみ合いでもって、これの判定が非常にむずかしくなろうと思うのであります。 ところで、
中小企業
と大
企業
に対する融資の残というものを見ますと、五、六年前から見ると、
中小企業
のほうの割合がかなりふえてはおりますけれども、それにしても、大資本に対しましては三十三兆円に対して、
中小企業
向けのものは二十八兆円。しかしながら、従業員の数は
中小企業
のほうが七五%をこしておるだろうと思われるし、また、
企業
の数からいえば九九・二%が
中小企業
であるというようなことになれば、この融資というものも、
中小企業
に対してはあまり恩恵が与えられておらない。きょうは
中小企業対策
を専門に言っておる場ではありませんから、あえて申し上げません。いつか機会を見つけて申し上げたいと思っておるのでありますけれども、
通産大臣
がおられますから、一、二例を申し上げます。 下請の
関係
で、関西の大
企業
で二年手形を出しておるところがあります。私も見せてもらいました。こういうことではほとんど融資の道がないのです。二年手形では割り引いたら幾らになってしまいますか、そういうふうなことをやられても、しかしその下請は、私の名前を出してもらったんでは取引の停止になります、絶対に出してもらっては困りますということで見せてもらった手形が、驚くなかれ二年でありました。それから最近、私の近所に、大
企業
のあっちこっちと取引している会社で、非常に優秀な会社であったのでございますけれども、去年の暮れつぶれかかるという評判を聞いて、その社長を呼んで事情を聞きましたところが、売り掛けが三カ月以上あるのに手形が出ないのです。そして、それなら売り掛け残の証明を出してくれ、売り掛け残の証明があれば、それを銀行へ持っていけば金を貸してくれるんだから、それでもいいんだ、手形がなくてもいいんだ。ところが、それを出すと銀行の信用にかかわるから、それは出せないというのです。でありますから、まるきり売り掛けにしたままで手形もなくて、それで、はいずり回って倒産寸前にまで追い込まれておる。やっと切り抜けることができたのですけれども、そういうような状態に
中小企業
は追い込まれてきておる。大
企業
のほうは
相当
金融引き締めをやったんだけれども、
中小企業
のほうのワクは引き締めませんと大蔵大臣は盛んに言っておるのでありますけれども、
現実
の姿としては、そういうことで
中小企業
に対しては
相当
の圧迫というものがかかっておる。 そういう点では、転業などをやらなければならぬし、倒産もこれから不況という
段階
を迎えてますますふえるだろうということを、私は非常に懸念をしておるわけでありますけれども、この貸し付け残の中身を見ますと、徐々に
中小企業
のワクがふえておるとはいうものの、いま言ったようなもろもろの事情というものを重ね合わせますと、たいへんな事態になってくるのではなかろうか、こういう心配をせざるを得ないのでありまして、そういうことの
一つ
のあらわれとして、
転換
が一五%も二年間の間に出ておる。したがって、
転換
も、これは高度化あるいは頭脳集約
産業
というものに切りかえていかなければならぬという必然性を持っておるわけでありますから、この適用については、
相当
それらの事情も勘案しながら、ゆるやかな適用をしてもらわなければいけないのではなかろうか、こう思うわけです。
特恵
の
影響
があるとかないとかいうことで、あまりきびしくびしっと限定をしたのでは酷にすぎるのではなかろうかという点で、この適用というものは、先ほど
参考人
のおっしゃったような形で、ゆるやかな規制ということで特定
産業
は
指定
をし、その適用というものは、これは知事が最後の認定をするわけでありますけれども、そういうふうな
配慮
をひとつしてもらわなければならぬ、こう考えるのですけれども、
中小企業庁長官
にひとつ伺いたいと思うのです。
吉光久
67
○吉光
政府
委員
確かに御指摘のとおりでございまして、私どもも、この
事業
の
転換
という定義の問題につきまして、これをあえて
業種
の
転換
というふうに言わなかったわけでございますけれども、一般的に
事業
の
転換
といわれます場合の大きな部分は、ある
業種
に属する
事業
から他の
業種
に属する
事業
に仕事を変えるということをいっておる場合が多いかと思うわけでございます。ただ、いま御指摘ございましたように、それを
商品
分類的な意味の
業種
の
転換
というふうなことにいたしますれば、必ずしもこういうような需給
構造
の
変化
に即応する
中小企業
者の
事業
の
転換
という趣旨から見まして、少し窮屈になり過ぎるというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、たとえば、これも先日の
委員会
でお答え申し上げたわけでございますけれども、同じように
商品
分類からいきますと、おもちゃ、玩具というふうなものになっておりましても、たとえばゼンマイ式のおもちゃから電動式の玩具に変わっていく、あるいはまたプラスチックを使っておりましたものを金属製のものに変えまして、付加価値の高いものをつくってまいるというようなことを当然考えるわけでございます。そういう意味から、この場合の
転換
の中には、そういうふうに付加価値が非常に増大するというようなもの、そしてそれが高級である
商品
に変わっていく、生産技術も変わってまいりますし、場合によりましたら原材料を変えておる場合もございますが、そういうふうな場合をすべてひっくるめまして、
転換
というふうなことで
運用
をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。 それから、これは
業種
の
転換
の意味でございましたけれども、同時に今度は、この特定
事業
の選び方の問題でございますけれども、やはり一応
特恵供与
による
影響
というふうに、この
法律
の目的はなっておるわけでございますけれども、
現実
の問題といたしまして、個別的な
事業
の場合に、それが
特恵供与
による
影響
であるのか、他の
影響
があるのか、非常に判別しがたい込み入った事情が重なって、その
事業
自身にいろいろの
影響
を与えておるというふうなことがあるのが
現実
であろうと思うわけでございまして、したがいまして、それを厳密に
特恵供与
のみに限定してどうこうする、こういうふうな考えは持っておらないわけでございます。
石川次夫
68
○石川
委員
幸いに
通産大臣
がお見えになりましたので、
通産大臣
よりは国務大臣としての宮澤さんに、非常に重要な問題を
一つ
提起したいと思うのであります。 それは、昨年の日刊
工業
新聞に出ております。
韓国
への
日本
の
企業
の
進出
が非常に活発になってきておるということで、去年の新聞でありますけれども、過去五年というのでありますから、昭和四十四年までに三十五社、
日本
からの
進出
企業
というものがあった。ところが去年になりまして、わずか七カ月の間に三十五社という五年間に匹敵する
進出
の許可申請というものが出ておるというようなことが新聞に出ておりまして、かてて加えて、その原因は一体何だといいますと、これは
台湾
と
韓国
と
日本
の協力体制の強化をうたった日米
共同
声明にあると産
業界
は見ているということを、新聞が記事の中ではっきり書いておるわけです。さらに、その急増というものは
特恵
とも
関係
がある。いわゆる
特恵
のほうは、つけ足しのような形になっておるわけでございます。 それで、御
承知
のように、
香港
は労働の質が一番高い。それから
台湾
とか朝鮮も、
東南アジア
の中では労働の質がかなり高いということがいわれておりますけれども、その高い質の労働がきわめて安いのですね。朝日新聞に出ておったわけでありますけれども、朝鮮
あたり
は月三千六百円ということで、女工哀史みたいに焼身自殺をしたというような記事が出ております。そういうふうな安い労働力で、労働集約
産業
というものを、先ほどどなたかおっしゃった、垂直的な国際分業というような形でもってどんどん
進出
をはかる。その基本となったものは、日韓台三国間の協力体制の強化であり、それに乗っかってそういう
傾向
がますます強くなり、また
特恵
というものによってそれがさらに促進をされるというような形になってまいりますと、問題は中国との
関係
であります。先ほど、中国は
発展途上国
かどうかということを質問したわけでありますが、それに対しては、人工衛星が飛んでおるではないか、核爆弾の実験に成功しているじゃないか、あるいはUNCTADに加盟してないではないかというようなこともありまして、中共に対しては、この適用というものはいまのところ考えられておらない。ケネディラウンドのものは一応考えられておるようでありますけれども。考えられておらないということで、片方へは、日米
共同
声明によるところの
韓国
、
台湾
、
日本
の協力
関係
を強力に進め、
特恵
の恩恵も与える、中共のほうはわれ関せずえんだというような形が明確になってくると、
日本
が中共との国交回復というものに積極的に取り組まなければならぬというときに際して、これは逆コースになるという、
一つ
の国際的な大きな問題を提供するのではなかろうかという問題が
一つ
。 それからあと
一つ
は、労働力が非常に安く、しかも質はそう悪くはないというところへ
日本
の
企業
がどんどん
進出
をすると、そこから
日本
に逆
輸出
をするということになれば、
日本
の
産業
を圧迫する。
アメリカ
あたり
では、電機
産業
なんかが
台湾
、朝鮮に
進出
するということに対して、労働組合が非常な抵抗をしておりまして、それがなかなかなし得ないという状態になっておる。
日本
はあまり抵抗しておらないというのが
実態
であります。
アメリカ
あたり
の労働組合が抵抗するというのは、そこから安いものがどんどん逆
輸出
をされたら、
自分
たち
の職場が失われるということで、それを極力押えて今日にきておるというかっこうでありますけれども、
日本
の場合にはそういう
傾向
がまだ生まれておりませんが、遠からず大きな問題になり得る可能性がある。 そういう二つの問題を考えてみますと、
韓国
、
台湾
にだけ——だけということではございませんで、
発展途上国
全体ということになりますけれども、中国との比較において
台湾
と
韓国
にだけこういう
特恵供与
の恩恵を与えるということが、将来大きな目で見て、あるいはまた長期的な展望の上に立っての日中国交回復に非常な障害になるんではなかろうか、こういう点をおそれないわけにはまいりません。 あと
一つ
つけ加えて申し上げますけれども、たとえばケネディラウンドの差格というものは、中国がガットに加盟しておらないということでKR税率との開きができたものでありますけれども、一九六七年には
格差
品目が四百五十五品目あった。それがその後大体解消して、現在は五十二品目になっておるわけでありますけれども、今度改正いたしますと、三十品目が消えて二十二品目が残るということになるわけであります。特に生糸、絹織物というものは、中国には基本税率が一五%ということで
変化
がない。ところが
台湾
、朝鮮に対しては、第三次税率一〇・五%が、今度の第四次でもって九%になって、それから最終の
段階
では、この
法案
によって七・五%になるということになりますと、税率は、中国の生糸、絹織物についてだけとってみますと、
格差
が倍になるわけですね。これは完全にシャットアウトするという意図がここにはっきり露骨に出てくると言われても、弁解の余地がないのではなかろうか。 さらに、中国と
台湾
からしか輸入していない芳油、これは中国産への基本税率が一〇%でありますけれども、
台湾
産のケネディラウンド税率は現行が六%、ケネディラウンドの最終で五%、
特恵
で二・五%になるわけです。二・五%対一〇%、こういう大きな
格差
が生まれてくる。これではほとんど禁止的——禁止的といえるかどうかわかりませんけれども、中国との差というものは非常に大きなものになってしまう。でありますから、説をなす者の中では、
台湾
と
韓国
というのは、日韓台の協力
関係
で日米
共同
声明の上に乗っかっておるんだから、これは
台湾
と
韓国
には適用してもらっては困る、もっとあとに延ばせ、そして中国との間のバランスがとれた時点においてやってよろしいのではないか、こういう
意見
が強く出されておるということは、おそらく
通産大臣
も御
承知
だろうと思うのでありますけれども、それに対する見解を伺いたいと思うのです。
宮澤喜一
69
○宮澤国務大臣
法律
のたてまえから申しますと、第八条の二の二項でございますが、私どもは、中華人民共和国というのは、固有の関税及び貿易に関する制度を有しておる地域だというふうに考えますので、
法律
的には、これに該当し得るというふうに申し上げて差しつかえないであろうと思います。 そこで、御指摘のように、これは希望をする国ということでございますので、何かの意味でそういう意思表示をわれわれが受け取るということがまず先決になるわけでございます。この点は大きな問題でございますので、私、一存で実は申し上げかねますけれども、私としては、そのような意思表示というのは、確かな方法で確かな意思が確認できればよろしいのではないかと考えておりますが、
現実
の問題を想像してまいりますと、かりにそういうことがございまして、
政府
として前向きに考えるかということになりましたときに、この二項にございますように、「政令で定めるところにより、地域及び物品を
指定
し、」云々となっておりますので、いまこの
法律
に書いてございますスキームが、そのまま適用になるというわけではございません。私どもとしては、先ほどから御指摘の
わが国
の
中小企業
の状況などを考えて、非常に競合すると考えるものは、
特恵
を与えることは適当でないということになると思いますので、その物品を
指定
いたしますということになりますと、先様には先様の御希望があるでございましょうし、
わが国
には
わが国
の
国内
的な
配慮
があるということで、どういうものを選ぶかというときに、どうしてもこれは両方で話し合いをする場がなければならぬということになってしまうであろうと思うのでございます。事態を考えてまいりますと、そういう問題が
現実
にあるのではないかというふうに想像いたしておりますが、どっちみちこれは
経済
の話でございますし、私どもとしては、中国大陸との貿易量は多いほうがいい、そういう増大を望んでおります
立場
から申しますと、この
特恵
を与える与えないということを、あまり政治的に考えるのはいかがなものであろうか、私自身としてはさように考えております。 なお、私も、その垂直的分業ということばは、できるだけ注意して使わないようにいたしておりますけれども、
わが国
自身の
立場
から申しましても、また先方から申しましても、やはりある
程度
経済
の
発展
段階
というものがございますので、非常に労働集約的なものはだんだん
わが国
では困難になり、そして周辺の国々がそれをやっていくということは、お互いのために決して悪いことではない、むしろ自然なことではないかと考えますので、御指摘のように、ただいま
韓国
、
台湾
に
企業
が出ていっておりますが、将来日中間の国交が正常化いたしまして、お互いに信頼感が確認されるということになりますと、あるいは同じようなことが中国大陸に向かっても
わが国
のほうから起こっていくかもしれない。ただいまのところは、何ぶんにも、あえて不平等に扱うという意思でなくて、実際そういうことをすることが不可能でございますので、現状のようなことになっておりますけれども、あえて政治的な意味で
韓国
、
台湾
に特に肩入れをするというようなことではなく、むしろ
経済
の実勢からそういうことが
現実
に起こりつつある、こう考えるべきではなかろうかと思っております。
石川次夫
70
○石川
委員
これはきわめて重大な問題だと思うのです。政経不分離、分離してはならぬという態度が、中国のほうでは強く意思表示をされておるわけです。それは一応別にいたしましても、とにかく国交回復をしておらない国でありますから、また誇りの高い国でありますから、向こうから
特恵
を
供与
してくれということを言ってくる見込みは、まずないといってよかろうと思うのです。しかし、結果的には、先ほど言ったように、五倍の
特恵関税
あるいはまた二倍というようなことで、実際上は非常な差別というものが出てくる。かてて加えて、前から問題になっておりますところのココム規定というものがありまして、これがまた中国が
日本
を敵視する
一つ
の大きな論拠にもなっておるわけです。 こういった問題を含めて、これを打開するために
政府
は何らかの方法を講ずべきではないか。ただ手をつかねて、向こうから希望して手をあげて、
自分
は
供与
を受けたいのだということを言ってくる国で
発展途上国
であるということ、また
日本
の
国内
産業
ともあまり競合しないものである、というような判断の主導権というものは、
日本
の国自体が持っておるわけでありますけれども、しかしながら、常識的に考えて、向こうから言ってくる道理がないわけです。そうなれば、
政府
の正式機関のルートを通して中国と交渉をするという方法はないまでも、民間使節をかりに出すとかなんとかいう形で向こうの希望を聞いてくる。それで何とか希望をかなえてやる。先ほど人工衛星の話や核爆弾の話も出ましたけれども、あれは必要に迫られて、あれだけに特定に集中的に勢力を注いだ結果、中国人というのも頭は非常に優秀でありますから、できたということもありますけれども、国民所得は百ドルですよ。
日本
の千三百ドルと比べたら、やはり
発展途上国
と見ざるを得ない
現実
だと思うのです。大体、もともと
特恵関税
を与えようということの出発点は、国民所得を徐々に上げてやろうではないか、その上に立って、貿易というものをだんだん開いていくのだという考え方からUNCTADの
会議
というものも開かれたというふうに私は了解をしておるので、そういう点からいえば、中国はたとえ人工衛星を飛ばそうとも、そういう意味での
発展途上国
であることには間違いない。所得をふやしてやる、そうすることによって貿易を
発展
させる可能性が大いに開けておるし、またその期待の持てる国であるということも事実だろうと思うのです。したがって、そういう国に対しましては、こちらでは何らかの方法で向こうの意思表示をくみ取ってやる。こちらから手を差し伸べなければ、私はそういう道は開けてこないと思うのです。
政府
にそういう意図がございますか。
宮澤喜一
71
○宮澤国務大臣 たとえば私が、かりに中華人民共和国からそういう申し出がございましても、
政府
としては
特恵
のことは考えませんというふうに申し上げましたら、前段に言われたようなことになるわけでございますけれども、
お話
があれば、それはそれとして
政府
も考えるというふうに申し上げておるのでございますので、人工衛星云々の
お話
がございましたけれども、私は、何も人工衛星があったからどうこうというふうには考えておりません。 それから、意思表示の方法でございますが、先ほど申し上げたことを繰り返すことになりますが、私、一存で
政府
の
立場
を申し上げるわけには実はまいりませんけれども、確かな方法で、私どもにそれが確かな意思として確認できれば足りるものではないか、私はそう考えております。
石川次夫
72
○石川
委員
これは内閣の問題で、宮澤さんだけを責めても、なかなかすっきりした答えが出ないだろうと思うのです。しかし、これは内閣自体の姿勢として、何らかの形で日中国交回復をするのだという意欲がもしあるのならば、向こうの意図をくむというルートを何とかして考える。これは向こうから自発的に、
発展途上国
であり、こういう
供与
をしてもらいたいということを言ってくるとは私
たち
には考えられない。考えられないことをいいことにして、
台湾
、
韓国
とは日韓台の生命線であるというふうな、日米
共同
声明に乗ってやったんだというふうに勘ぐられる——勘ぐるということばが当たるかどうか知りませんけれども、少なくともそういうふうに理解されても弁解の余地がないような形にしてもらっては困ると思うのです。私は、端的にいうならば、この中国との問題が解決しない限りにおいては、
特恵供与
というものは、
台湾
、
韓国
というものは考え直すべきではないか、これは
日本
の
産業
に対する
影響
をも含めてそう思わざるを得ない。 それから、あと
一つ
念のために伺いますけれども、
香港
はまだペンディングになっておりますが、
香港
の労働の質というものは、かなり
日本
に接近をしていると私は見てまいりました。そうなりますと、ここで
軽工業品
というものは
相当
日本
とは競合しておる。しかも原則論としては、あそこは国ではないというようなことからして、ここの
供与
というものも
相当
慎重に考えていかなければならぬ点があるのではなかろうかと思うのでありますけれども、その
香港
の問題については別にいたしましても、中国の問題は、
日本
としては、ココムの問題なんかでもって
アメリカ
追随一点ばりだということではなくて、ココムの問題も含めて、何とか中国とそういう打開の道を積極的に講ずるのだという意図は持っておるということだけは、ひとつここで言明をしてもらいたいと思うのです。
宮澤喜一
73
○宮澤国務大臣 関税上で中国大陸を差別待遇をすることがいいというふうに、私どもが考えておるわけでございませんことは、先ほど御指摘がございましたように、KRの譲許というものを事実上漸次中国にも適用しておるということでも、おわかりいただけるのではないかと思います。申し上げるまでもないことでございますけれども、KRは原則として無差別でございますから、ものごとの本質上、中国大陸にもそれを均てんさせることができたわけでございますけれども、
特恵
そのものは、これは明らかな差別関税でございますから、本来ガットの本則に合わないものでございまして、ガットに対して承認を求める措置を
供与
国各国はとっておるわけでございます。したがって、
特恵
は文字どおり差別的なものでございますために、相手国の意思表示というものがやはり必要だ、どうも論理上そうなってしまうわけでございまして、これは何も国民所得が低くても少しも恥ではないわけでございますから、そんなことは国としての品格に何ら
関係
ないことでございますので、私ども、それを頭を下げる云々というふうには実は考えておらないわけでございます。 それから、
香港
の問題でございますけれども、
政府
としては最終的な考えをきめてはおりませんけれども、もし向こうからそういう希望があり、またそれが適当だと考えましたときには、その際
決定
いたしますスキームは、やはり
わが国
の
国内
のことも考えながら、一般的スキームとは別途に考えなければいけません。したがいまして、そういうことになりましたら、両者で討議をし、協議をすることが必要になろうと考えております。先ほど申し上げましたように、実は同じようなことが中華人民共和国の場合にも考えられるわけでございまして、意思表示だけございましても、さて何をどういうふうにどれだけの品目についてやろうかということになりますと、これは私どもがかってにきめてしまうことは適当でございませんし、そこで、具体的にそういうことをやはり何かお互いに
相談
をする場が、実際には必要になるであろうというふうに考えております。
石川次夫
74
○石川
委員
これで質問をやめますけれども、いまの答弁、若干前向きになったと思うのです。何とか
政府
と中国の間で、向こうの意図を探る、意図を聞くという、こういうチャンス、こういう機会をひとつ開くための
努力
だけはぜひしてもらわなければならぬ、こういう希望を強く申し上げまして、質問を終わります。
武藤嘉文
75
○武藤
委員長
代理 相沢君。
相沢武彦
76
○相沢
委員
今回の
法案
審議
におきまして、
中小企業
の
方向
づけということにつきましては、各
委員
からすでにたびたび御質問がありましたが、きわめて大事な問題ですので、繰り返しお伺いをしておきたいと思うわけでございます。
日本
の
産業
構造
というものは、いろいろな矛盾をはらみながらも、今日成長路線を突き進んでいるわけでございます。そして、一方
日本
を取り巻く
経済
環境というものは、非常に大きく変動してまいりましたし、
日本
の
立場
というものが従来と違って、国際
経済
体制の中にあって、秩序ある
先進国
としての責任を負わなくてはならないという
段階
にまいりましたわけで、そこで必然的に
日本
の
経済
政策
というものが、内外に現在大きく注目をされているわけであります。今回、
特恵供与
にいよいよ踏み切るわけでありますが、このことは、
日本
の
経済
史における
一つ
のエポックとなるわけであります。 そこで、
海外
に対して、南北問題の解消のために
日本
も積極的に参加するという、そのことは非常に大切ではありますけれども、また一方、
国内
の
わが国
産業
の二重
構造
の
改善
ということ、これは非常に急務になってくるわけでありまして、
政府
はこのたびの
特恵
制度を転機に、新しい
中小企業
の
方向
づけというものを、
相当
長期にわたる明確な
方向
づけというものを明らかにしなければならないと思うのでありますが、これに対する大臣の御見解を承りたいと思います。
宮澤喜一
77
○宮澤国務大臣 大量生産、大衆消費という時代が、もうしばらく前から
わが国
にもまいりましたが、だんだん消費者がそれに満足しなくなったという
傾向
も、すでに出つつございます。 そこで、私は理想図として考えることでございますけれども、そういうふうになりましたときに、消費者の選好というものがかなり個人的なものになってくる。また生産側もそれに対応しなければならないわけでありますし、かたがた技術革新が進みますと、どうしても生産のプロセスというのは非常に複雑になり、かつ部品なども多くなってくる。つまり加工度が非常に積み重なっていくわけでございます。そうなりますと、大
企業
が全部それをやるわけにはまいりません。非常に大ざっぱな申し上げ方をすれば、大
企業
というのは素材を提供するので、それから先のこまかい付加価値は、実はそれ以外のものがつけていかなければならない。その部分が実際付加価値の大きな部分になるわけだと思いますが、それと、先ほど申しました消費の選好というものが合わさってまいりますと、そこに
中小企業
でなければできない
分野
というものがどうしても出てくる。そしてその
分野
は、かなり専門的な、また多少人手を要する、したがって付加価値の高い
分野
になる。このことは、生産ばかりでなくサービス業においても、私は同様であろうと考えております。ですから、
中小企業
の行くべき道として、そのような付加価値の高い、多少人手と練熟とを伴わなければできない
分野
というものが、これがほんとうに
中小企業
が進んでいく道ではなかろうかというふうに考えております。
相沢武彦
78
○相沢
委員
今後、
わが国
が進むべき国際
経済
政策
のあり方として、他の
先進国
と同様に、積極的に
国内
産業
の
転換
を行なって、比較優位原則に基づいた国際分業パターンを実現していくべきだ、こういう
意見
がだんだん強まってきていると思うわけですが、
特恵供与
という形は
経済
援助
の一形態であって、どちらかというとまだまだ消極的な態度だ。極積的な態度ということになれば、これは
特恵供与
を契機に、もっと望ましい形の国際分業パターンの実現を目ざすということになってくるわけなんですが、この
立場
から、
日本
の低生産性部門あるいは第一次産品
業種
で低開発国へ譲るべきものは、もっと譲ったほうがいいのじゃないかという
意見
も、一部には強くあるようでございます。そうしますと、
政府
としては、いまもお尋ねしたわけですけれども、いまからしっかりした
中小企業
へのビジョンなり目標を、もっともっと明確にしていかなければならないわけでありまして、どうしても国際分業という問題は避けがたい、当然めぐってくる問題でありますので、ここで
政府
の
対策
があやふやであってはならない、もっともっときめこまかい
中小企業
に対する将来の
対策
というものを考えておかなければならないと思うわけでありますが、それについて、いまの御質問をさらに一歩深く御答弁いただきたいと思うのです。
宮澤喜一
79
○宮澤国務大臣 ただいま申し上げましたことが、私どもの考えの基本でございますけれども、さて、それを具体的にどうやってまいるかということになりますと、やはり近代化であるとか、高度化であるとか、省力化であるとか——省力化と申しましても、本来、大
企業
のように省力をするという意味ではございませんけれども、そういうような
方向
、それを
政府
としても、財政金融あるいは税制上進めていく。幸いにして
政府
がいま、もはやそういういわば説得をいたしませんでも、
中小企業
の側において、人手不足ということはもう
現実
の問題でございますから、そういう意欲は、もう私どもが申しませんでも、
中小企業
の側で持っておりますので、したがって、そのための手段というものを
政府
が支援して与えていくということが大切ではなかろうかと思います。
相沢武彦
80
○相沢
委員
そこで、話を
特恵供与
の
例外品目
の問題でお尋ねしておきたいのですが、望ましい国際分業を目ざす
方向
に対しまして、
国内
産業
の
競争力
が不十分だからということで、
例外品目
に入れるということはこれは逆行する、こういうことが言えると思うのですが、
日本
にとって
競争力
が不十分な
産業
、または近い将来
競争力
を失いそうな
産業
こそ、
発展途上国
が比較的優位を持つ部門だろうと思います。ですから、もしか
特恵
に踏み切るならば、こうした部門からもっと
供与
さるべきでないか、こういうことなんですが、今回の
特恵供与
の品目をながめた場合に、もう少し
検討
すべき余地があるのではないかという
意見
に対しては、
政府
はどう受けとめられていますか。今後二、三年たったら見直すということをおっしゃっているようでございますけれども、その見直しのしかたとして、規制強化をするのか、あるいはゆるめるのか、どちらを基本的な方針としていまきめているのか、その辺を伺っておきたいと思います。
室谷文司
81
○室谷説明員 お尋ねの件につきましては、
わが国
が
特恵
のスキームを策定いたします際には、一方において国際的な要請、特に
発展途上国
の要請に
配慮
を十分しながらも、一方またこの
特恵
という制度は、いわゆる平等な
立場
といいますか、自由な普通の競争
関係
のもとにおける関税制度ではございませんで、特別の利益を相手に与えるという制度でございますので、そういう
一つ
の踏み切り、特段の措置による制度でございますので、また
国内
産業
に過度の
影響
を与えるということがあってもなりませんので、そういった二面を慎重に考えながら、現在、財政関税を課している石油類三品目と、現在でも非常に
後進国
から、
発展途上国
から
輸出
が増大をいたしまして、これらの国との競争
関係
において心配が持たれる生糸、絹織物、皮
製品
関係
と合板等七品目を例外にいたしたわけでございます。しかし、この十品目と申しますのは、BTN二五類から九九類までの全体の中でどのくらい占めるかと申しますと、品目数にいたしまして、有税のものは八百四十三品目ということでございますので、この
例外品目
十品目を除きましても、残るほとんどの品目につきましては、
特恵
を
供与
するということになっているわけでございます。なお、この
わが国
の
特恵
スキームにつきましては、例外措置を含めまして、昨年秋のUNCTADの
会議
におきまして、
発展途上国
からも了承をされておるわけでございます。
日本
と同じくシーリング方式をとりますEECにおきましても、BTN二五類から九九類のうちに含まれるところの農産加工品あるいは一次産品の一部を例外とするという措置をとっているわけでございます。 これらの例外措置につきまして、いかなるレビューを行なうかということでございますが、UNCTADの場におきましては、この
特恵
について、原則的に毎年
特恵
の
効果
について定期的にレビューをする、またそのほか、三年ごとに
特恵
の
評価
並びに
改善
についてのレビューを行なうという申し合わせになっているわけでございます。したがいまして、当然こういった機会に
発展途上国
から、今後
改善
についての要請がいろいろ出てまいるかと思います。
わが国
といたしましても、今後ともそういった
後進国
の要請を
配慮
しながらも、しかし、その時点における
発展途上国
の
競争力
、輸入の状況——先ほど申し上げましたように、
特恵
を
供与
いたさない現
段階
におきましても、かなりその輸入がハイスピードで伸びている品目が多いわけでございますので、そういった状況をその時点において勘案いたしまして、
改善
すべきものがありますれば
改善
をいたすようにつとめてまいりたいと思っているわけでございます。
相沢武彦
82
○相沢
委員
いろいろ長々御説明いただいたのですが、どちらにしても、特に
軽工業品
なんかは、今後ますます苦しい
立場
になるわけでありまして、そのときに国際分業が進むことは、時代の趨勢としてやむを得ないとしても、
国内
中小企業
の非常に弱いところの部分が、切り捨てごめん式に見殺しにされるようなことがないように、やはりいまからこの面に対する
対策
を、十分に考えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 次に、
特恵供与
に関しまして、
国内
産業
の
転換
の問題がいま起きてくるわけでありますが、言うまでもなく、
日本
の
中小企業
の占める比重というものは非常に大きい。全
事業
所の中では九九・三%、また従業員数からいいますと六三・七%、こういう資料が来ておりますが、やはり
中小企業
の健全な
発展
なくして、
日本
の国民
経済
の安定あるいは成長ということはあり得ないわけでありますが、今回の
特恵供与
に伴う
業種
の
転換
という問題で、いろいろ
委員
から質問がありましたが、
中小企業
は担保の余力は非常に乏しいのが実情でありますし、また技術レベルも低い。それに、どういう
業種
に移るかということの各
企業
間の情報を聴取しようとしても、そういった情報キャッチの手段がない、また生産設備の近代化はまだまだおくれているというような、いろんな問題をかかえているわけでありまして、そう簡単に転業がはかれないということであります。 この
業種
転換
についての考え方は、非常に幅が広いということでありまして、特に
高級化
を目ざす
方向
にかなり弾力的に
運用
されそうでありますが、先ほど
影山参考人
から
お話
もありましたように、特に弱小
グループ
では
対策
をまだ
模索
中である。どのような
業種
に
転換
すればいいか、実は困惑しているというのが実情であろうと思います。それからまた、転業するにしても、したらやはりそれだけ十分な
効果
を生まなければ、すぐまた倒産ということになってしまうわけでございまして、
政府
はこの転業に関する
中小企業
の
相談
に、どれだけ積極的に取り組んでいこうとされるのか、また具体的にどういう
対策
を考えられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
吉光久
83
○吉光
政府
委員
確かにお示しのように、特に小規模零細層にとりまして、
転換
ということは非常にむずかしい困難な課題であろうかと思うわけでございます。そういう意味から、実はこの第三条の
事業
転換
に
あたり
まして、この
転換
概念を非常に広くとるというふうにお答え申し上げておるところでございますけれども、これは結局、製造業が製造業へというふうなことだけでは
転換
対策
はうまくいかない。製造業が、あるいは商業に出られる場合もございましょうし、あるいは第三次
産業
に出られる場合もございましょうし、サービス業に出られる場合もあると思うわけでございますが、そういう意味で、
転換先
につきましては制限はできるだけ少なくするという
方向
で考えてまいりたいと思っておるわけでございます。 と同時に、この
転換
に対する
指導体制
の問題でございますけれども、これは経営面、技術面両者からの
指導体制
が拡充されることが必要であろうと思うわけでございまして、経営面のほうの体制につきましては、御
承知
のように、現在、各都道府県と六大都市に、
中小企業
総合
指導
センター、総合
指導
所というものがございます。これは、国が人件費につきまして半額補助をいたしておるわけでございますけれども、これらの
指導
員につきまして、来年度以降、特に
特恵
転換
のための
指導
をやるというふうな分につきましての人員増加を、現在予算でお願いをいたしておるところでございますが、こういう県の総合
指導
所を
中心
にした
指導
というのが
一つ
の核になろうかと思います。と同時に、また
中小企業
振興
事業
団のほうでも、実は
海外
の情報その他を集めまして、これをさらにいまの
指導体制
の中に流すという意味での準備をいたしております。現にやっている仕事をさらに拡充いたしてまいる。これは、
発展途上国
の生産動向がどうなっておるか、あるいはまた、特に先進
諸国
市場あるいは
アメリカ
等の動きがどうなっておるかというふうなことにつきましての
海外
情報を含めまして、これを
指導
組織の中に乗っけていって、これを周知徹底してまいるということも必要になってこようかと思うわけでございます。と同時にまた、
転換先
事例と申しましょうか、どういう
業種
に
転換
してこういうふうな
効果
があがっております、そのときにはこういうやり方でやった
企業
が成功いたしておりますというふうな
転換
事例を分析して、それをいまから
転換
しようとする人に示してあげることも必要であるという意味で、これはやはり振興
事業
団の予算の中に、新しくさらに拡充した予算を現在お願いいたしております。 それから、これらはいずれかといいますと、一般的情報であり、啓蒙であり、あるいはまた経営面の
指導
につながる問題でございますけれども、同時に、技術面につきましての施策もやはり拡充してまいる必要があるというふうなところから、御
承知
のように、現在特に、小規模零細
企業
に対します
技術指導
は、各都道府県あるいは大きな市にございます公設試験研究機関にお手伝いいただいておるわけでございます。これは現在全国で百八十五カ所ございますが、この公設試験研究機関の
指導
員によりますところの
技術指導
を徹底させたい、こう思っておるわけでございまして、従来、
技術指導
につきましては、技術の巡回
指導
という制度がございましたけれども、今年度から新しく簡易巡回
指導
というふうな制度を設けまして、これは、実は小規模零細層の
方々
のところにできるだけ頻度を多く、数多くそこに実際に行きまして現地で
技術指導
をする、工場ごとに
技術指導
をするという必要性が出てまいりましたので、そういう意味から、普通の大がかりな技術点検ではなくて簡易な形で
技術指導
をやり、回数を多くしていき、そこの工場、
事業
場にはちゃんとカードを残していきます。医者のカルテと同じようなカードを残していきながら、その次に行ったときに、それがどうなっておるかを点検しながら
指導
してまいるというふうな制度をやっておるわけでございますが、この制度をさらに拡充いたしまして、小規模零細層の技術力の向上というふうなことに対処してまいりたいというふうに考えております。
相沢武彦
84
○相沢
委員
いろいろ
対策
は考えられておるようでありますし、また、特に転業して成功した例の状況把握、またそれに基づいての
指導
、このことは、さらに力を入れてやっていただきたいと思うのです。 長官に
一つ
だけお尋ねをしておきたいのですが、現在、
中小企業
等の倒産が非常に数多くなっておりますが、今回の
影響
で廃業をしなければならない、こういった業者の
人たち
がどれくらい予想されていると思われているのか。それとも見込まないで、廃業は一件も出さないように、全部適切な
助成
あるいは
指導
をして新しい
方向
へ進ませようという決意で臨まれておるのか。その辺のところはどうでしょう。
吉光久
85
○吉光
政府
委員
廃業がどの
程度
になるかという予測は、非常にむずかしいと思っておりますし、同時にまた、どういうふうに廃業が出てくるであろうということを計数的にお答え申し上げることは、私には非常に困難であります。ただ、今度考えております
転換
につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、
転換先
を非常に幅広く見るというふうなことにいたしておりますので、したがいまして、業をやめっぱなしであとは何にもしないというふうなことは、わりに少ないんじゃないだろうか。要するに、たとえばアパート経営でございましても
転換先
として見るというふうな、非常に幅広い
転換
を応援いたそうというふうな考えでおるわけでございますので、したがいまして、従来のような窮屈なカテゴリーの中での
転換
というふうには考えておりませんので、おそらく
相当
多数の方は、この
転換
施策によって
事業
転換
をされるのではないであろうか、こう考えるわけでございます。 ところで、廃業に対する施策そのものでございますけれども、実は今回廃業そのものにつきましては、労働
対策
その他の点についての準備をいたしておるわけでございますが、御
承知
のとおり、近代化資金
助成
法によりまして、現在
構造改善
準備金の積み立て制度が認められておるわけでございまして、こういうふうなある特定の
事業
につきまして、同業者がお互いに新しい
構造改善
計画をお立てになるときに、同時にまたその中で一部廃業を余儀なくされる、ただしこれは転業される場合も含めてでございますけれども、そういう
方々
に対しましては、この
構造改善
準備金の中で、通常千分の十五というのを、こういう場合には千分の二十五まで準備金を積み立てることを認めておるわけでございます。現に、その準備金によりまして廃業交付金を交付するように
決定
せられておる組合の方もあるわけでございますが、これらの既存の制度をやはり積極的に活用してまいる必要があろうかと思っております。同時にまた、
業種
によりましては、そういう
自分
たち
の積み立てだけではうまくいかないというふうな
業種
も、場合によっては出てこようかと思うわけでございます。そういうふうな場合におきましては、やはりその
業種
の
実態
に即しました
一つ
の
援助
措置ということが必要になってくるんじゃないであろうかと思うわけでございまして、御
承知
のように、
繊維
につきましては、特別の
法律
をもちましていろいろの措置が講じられております。あるいはまた単純に予算措置だけで処理いたしております。北海道の製材
関係
の組合につきましては、これは予算措置だけで特別の措置が加えられておらないというふうな事情等もございますし、そういうふうに特別の
業種
によりまして、さらにこの一般的施策以上に何らかの措置をとる必要があるということであれば、やはり
業種
別
対策
を積み重ねていくことが必要になってこようかと思っております。
相沢武彦
86
○相沢
委員
いま長官が、今後、
業種
別に
事業
ごとの
対策
をもっともっと力を入れなければならないとおっしゃいましたが、当然だと思います。これまで、個別
事業
を対象とした
中小企業
行政というものが、本格的に行なわれていたとはまだまだ思えないわけでありまして、
特恵対策
を機会にして、
事業
場ごとの的確な新しい行政
指導
というものが特に要求されるものだと思いますので、一そう力を入れてやっていただきたいと思います。 私の制限時間がだいぶ迫ってまいりましたので、お答えのほうは、ひとつ簡潔にまとめてお願いしたいと思います。 各
業界
ごとの
問題点
の質問はあと回しにしまして、原
産地
表示の問題でお尋ねしておきますが、これは各国でも実施をされているようでありますし、また最近
わが国
でも一部の業者の方からは、
日本
の市場に入ってくる全
製品
に対して原
産地
の表示を実施してほしいという声が強いのでございますが、通産当局としては、この問題についてはどういうように考え、対処されますか。
室谷文司
87
○室谷説明員 お答え申し上げます。
発展途上国
の
製品
が
特恵関税
の適用を受けて輸入される場合、
国内
の
製品
に対して、
産業
に対して過度の
影響
を与えないという点で、
製品
について原
産地
表示を義務づけたいという点につきまして、一部の
業界
からの御
要望
がありますことは事実でございますけれども、これを一品一品について厳格に原
産地
表示をするということは、開発途上国に対しても過度の負担を課すことになります場合があり、また、国際的にもNTBであるということで、
わが国
といたしましても、英国あるいは米国に対して、この原
産地
表示を撤廃すべきであるということを、過去、国際的な場で要請をいたしてまいりました経緯もございまして、これを強制的に義務づけるという点につきましては、種々困難な
問題点
があるのではないかというふうに考えております。ただ、
業界
が自主的にこういった原
産地
表示をするというような措置につきましては、
特恵対策
として
一つ
の考えられる点であろうかと存じております。
相沢武彦
88
○相沢
委員
関連しまして、原
産地
証明基準について伺いたいのですが、これは国によって違うわけでありまして、イギリス
中心
の付加価値基準方式、あるいはEECの加工プロセス基準や、両方の併用方式等あるようでございますが、
わが国
の場合は、今後どういう基準を採用されるのか。
西澤公慶
89
○西澤説明員
特恵
原
産地
の認定基準につきましては、ただいま先生の
お話
のとおり、付加価値基準と製造工程基準、この二つがございます。
わが国
は、このうちの製造工程基準というのをとることにいたしております。
相沢武彦
90
○相沢
委員
それから、特定
事業
を
指定
する場合の
法律
上の
運用
の問題で伺っておきたいのですが、
中小企業
庁では、業者から申し出、希望があった場合に、
海外
、
国内
にわたっての調査を行なって、さらにまた適切な措置を講ずる
用意
がおありになるかどうか。
吉光久
91
○吉光
政府
委員
これはもう申し出があるまでもなく、
特恵
で
影響
を受ける見込みがあるというふうな
業種
につきましては、積極的に調査をしなければならない問題だと思っております。したがいまして、もちろん国のほうで気がつかない
業種
で
業界
のほうから申し出があれば、これは積極的に調査をいたすというのが私どものつとめであろうと思っております。
相沢武彦
92
○相沢
委員
この問題については、どうも業者のほうも気楽にというか、あまり積極的に
相談
に行かないようでありまして、一部には、
通産大臣
あるいは都道府県知事が、
影響
を受けたという証明書を発行して、それについてすぐ調査を開始するようにしたらどうかという
意見
もあるのですけれども、
中小企業
庁としては、たとえば、申し出がなくてもそれに対する調査を責任をもってやっていくという姿勢を持っているのだ、だからもっとここに気楽に
相談
に応じてほしいというようなPRをすべきじゃないか、こう思いますので、
意見
だけ述べておきます。 次に、労働省のほうから参っておると思いますが、労働者
対策
及び賃金の問題でお伺いします。
事業
を
転換
するに
あたり
まして、
転換
までの間やはり若干の期間がかかると思いますが、この間の労働者に対する賃金の保障については明確にすべきじむ、ないかと思いますが、この点どう考えられておりますか。
是佐忠男
93
○
是佐
説明員 労働基準法の第二十六条で、使用者の責任で休業する場合には、休業期間中労働者に対して、平均賃金の百分の六十以上の休業手当を払うことになっております。この
法律
に基づきまして、
事業
の
転換
を行なう場合、当該
中小企業
者が自主的に行なうものでございますので、
事業
の
転換
に伴い休業する事態が生じた場合には、労働基準法の第二十六条の規定によりまして、使用者の責めに帰すべき事由による休業として、休業手当を使用者は払うことになっております。それで休業期間中の労働者の賃金の保障は立法的にも十分できるもの、かように思っております。
相沢武彦
94
○相沢
委員
これに
関係
して
中小企業
庁のほうでは、その
業種
の
企業
側に対して、何らか特別な措置を考えられるお考えはございますか。
吉光久
95
○吉光
政府
委員
中小企業
庁としてやはり何らかの措置をすべきではないか、こういう御指摘であろうかとお聞きしたわけでございますけれども、確かに
転換
ということは非常に困難な問題でございます。これは自主的に
転換
するというふうなことになりましても、やはり
転換
計画をどう組むかというふうなことで、直接
企業
に従事しておられる方
たち
にとっては頭の痛い問題があろうかと思うわけでございます。そういう意味で、実は
転換
計画につきまして、やはり
事前
によく御
相談
に応ずる、こういうことが必要になってこようかと思うわけでございます。一挙に
転換
される場合もございましょうし、何カ年間計画かの計画を組みながら徐々に
転換
をはかっていかれる、それまでの間は既存の
事業
をやっておられるというふうな、これは、
業種
、業態、あるいはまた
企業
それ自身の体質によっても変わってくることが多かろうかと思うわけでございますけれども、要するに、無理のない
転換
をやっていただくということが基本的な命題であろうかと思います。そういう意味で、
事前
によく御
相談
に応ずるというふうなことで処理していくのが最も適当であろうかと思っております。
相沢武彦
96
○相沢
委員
この問題は当然直面いたしますので、もう少し労働省側と
検討
してみていただきたいと思うのです。 次に、再訓練のための経費は、これは一体だれがめんどうを見るか、これを明確にしていただきたいと思います。
森川幹夫
97
○森川説明員 お答えいたします。 私ども、再訓練につきましては、もしも離職いたしました場合でございますれば、私のほうで能力再開発訓練、簡単に申しますると
転換
訓練でございますが、転職職業訓練につきまして、全国に約四百五十ほどの訓練校を設けております。当該離職者で職業訓練を受ける希望の方がございますれば、これに積極的に入校させまして訓練をしていきたい、かように考えております。 〔武藤
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
相沢武彦
98
○相沢
委員
転換
される労働者の中には、これまで持っていた資格を
転換
のために失う方もいると思いますし、また
転換
した
業種
が、これまでよりもなかなか高賃金を得られないという場合もありますし、いろいろとここに働く労働者の地位また生活ということを考えた場合に、大きな問題になろうと思いますので、さらにこの
転換
に伴う労働者
対策
というものの研究を進めていただきたいと思います。 それからもう
一つ
、雇用奨励金の話が昨年末ですか、新聞等にも出たように思うのですが、その後どうなっておるのか、経緯を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
岩田照良
99
○岩田説明員 当初、雇用奨励金制度についていろいろ構想がございましたのですけれども、最近の労働市場の長期的見通しあるいは需給の逼迫の状況からいたしまして、もしかりに一部に離職者が出てまいりましても、若い
人たち
は十分吸収可能であろうか。特に問題になりますのはやはり中高年齢の方
たち
ではなかろうかということでございますが、中帯年齢の方
たち
につきましては、当然失業保険の適用もございますし、就職されるまでの間、各種の措置に応じまして職業
転換
給付金制度等を充実しておりますので、こういったものによって生活のめんどうを見ながら各種の職業の
あっせん
、職業の紹介、こういったものを充実してまいるというととで、十分こういった制度を活用いたしましてやる所存でございます。
相沢武彦
100
○相沢
委員
最後に、自治省のほうから来ていると思いますが、転業で地域ぐるみ
影響
を受けるという問題が派生してくると思うわけです。特定
業種
がその
産地
を形成している、その
産業
だけで特定地域の
産業
の主体をなしている、こういう
関係
市町村にとっては、この
特恵供与
は、これは産炭地と同じように死活問題ともいうような問題になると思うのですが、それに伴う地方財政の面で、非常に困難な問題を引き起こしてくると思うのです。こういった点に対して、自治省ではどういう
対策
を講じられておりますか。
佐々木喜久治
101
○佐々木(喜)
政府
委員
御指摘のとおり、
国内
の
中小企業
者が、特定の地域において集中的に
事業
の軟換を行なわなければならないと、その地域
経済
に非常に大きい
影響
が生ずるであろうということも予想されるわけでございまして、その場合に地方
団体
に対して、一面におきましては税収入の減少という問題が出てまいります。また財政需要の面におきましては、ただいま御論議がございましたような、職業訓練の問題でありますとか、あるいは
中小企業
の経営
指導
、あるいは
技術指導
といったような問題が出てまいるかと思います。こうした特定の地方
団体
に対しての、特別な財政収入の減少なりあるいは財政需要の増加という問題につきましては、それぞれの地方
団体
の財政の
実態
に応じまして、普通交付税等で基準財政需要額に計算のできない部分につきましては、特別交付税なり、あるいは場合によりましては地方債による措置ということも考えていかなければならないだろうというふうに考えております。
相沢武彦
102
○相沢
委員
特に
影響
を受ける地域に関しては、今後、過疎化
対策
とかあるいは広域地方振興計画と組み合わせて、いろいろ対処をしなければならないものだと思います。
関係
各省との間の
対策
会議等
を開いて、そんなに数多くないはずでありますので、その地域に対する特別な
対策
を強力に進めていくべきだろうという御
意見
を申し上げておきたいと思います。 時間でありますので、あと残った問題は、後日、同僚議員のほうから質問をしたいと思います。 以上で終わります。
八田貞義
103
○
八田委員長
次回は、来たる二十三日午前十時
理事会
、午前十時三十分
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十分散会