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木野委員 今回の
特恵問題といいますのは、別に、業者がなまけておって、そのためにこうなったのではないと思うわけであります。普通の
関税制度で来ておって起こった問題でもないわけであります。南北問題を解決するために、開発途上国を援助するためにとられた
措置でありまして、言ってみますると、台風が来たというふうな感じもするわけであります。台風が来たならば、やはりそのあとの救済
措置については十分な
配意が必要じゃなかろうかと思うわけでありまして、そういった点で、この
制度、それからその救済
措置について十分にお
考え願いたい、このことを思うのであります。
それで、きょうは時間もございませんので、かけ足でずっと申し上げましたが、実は、皆さん方の
考えていられるように、深刻な問題があるわけであります。たとえば
繊維について申しますと、先ほど申しましたメリヤスとかセーターとか、非常に小さい
業種が多い。そして
台湾とか
韓国とかの
競争力はむしろ向こうが強い。
香港なんかが
地域で入ってくる。これなんかも割り切れない点があるわけであります。しかしながら、
制度としましては、先ほど申しました大きな
視野から見なければいかぬ点もあると思いますが、これが
対策につきましては、ひとつ十分にお
考え願いたいと思うわけであります。
それからまた、実は非常に小さい
業界でございますが、
繊維、
雑貨につきましてこういった
業界があるのでございます。それは実は私の付近に多くあるのでありますが、人造真珠の
業界がございます。人造真珠に対する
特恵関税は現在五五%であります。一〇%をまけるというので五五%の
特恵関税が供与されるわけであります。ケネディラウンドで下がってまいりましても、最終二七であります。そういった大きなハンディキャップがつくわけであります。そしてその
業界は全生産の九二%が
アメリカへの
輸出だ。したがいまして、これに対する
影響は目に見えておるのでございます。この
業界は、ほかの
業界以上に
中小企業、小企業ばかりであります。そしてそれが一つの町にかたまっておりまして、町全体が
特恵関税の嵐にさらされるというふうなところであります。しかもこの
業界が、御承知のとおり、人造真珠は昔は
外国から
輸入しておったのでありますが、明治四十年ごろからこういったのを入れまして、いろいろ苦心に苦心を重ねて、
昭和十一年には重要
輸出品になっておった。そして
輸出を大いにやりなさい。いなかのことでございますから、
輸出貢献産業工場ということで、それを工場の壁に掲げて
輸出ばかりやっておった。ところが、一たんこうなってまいりますと、まともにあらしを食らうというような状態であります。こういった状態の
業界では、転業でどうだといいましても、転業する余地はない。もうやめざるを得ないんだということに追い込まれる
業界があるわけであります。ほかにも
軽工業品その他があると思うのであります。
たとえば、今回の
中小企業特恵措置を見てまいりますと、
日本の国が産業
高度化しなければいけない、
近代化しなければいけない、そういった
意味で
考えているのだというのでありまして、
事態のうちには、私は廃業するのだ、そうしてそのままやめてしまうのだというふうな
事態もあるわけでありまして、この点につきましては、今後の問題として十分にお
考え願いたい。もちろん、前のものをやめてくるのだから廃業は認めておるというようなことをいわれるようでありますが、転業せずにそのままやめてしまうというのがあります。そういった場合に退職金が払えないということも起こりはしないかと思うわけでありまして、今後の問題としまして、そういった深刻な
事態というものにつきまして一そうの検討をしていただきたいと思うのでございます。その点につきまして
政務次官の御
意見を聞きたいと思います。