○石川
委員 与えられた時間がたいへん短いのが残念でありますが、同時に、この問題はきわめて重要な問題で、本来なら佐藤総理ぐらいに
出席を
要求しなければならぬ
性格のものだろうと思っております。時間がありませんので、私が申し上げることに対しては、イエス、ノー
程度の簡単な答弁でけっこうでございますから、よろしく
お願いしたいと思います。
私はかねがね、当面の問題としては公害と物価というものが大きな緊急の課題になっておりますが、長期的に見た場合に
日本の大きな問題は一体何かというと、
稲葉先生の御
関係になっております情報化社会、この激動する社会にどう対応していくかということがたいへん大きな問題ではないかと思っております。あと
一つは、きょう取り上げられている
エネルギー問題を中心とする資源問題ではないか。もちろん資源の問題には適正な配分、立地条件というようなものを含めるわけでありますけれ
ども、これは別に
エネルギーだけじゃなくて、あと十年、十五年後を見ますと、もう食糧以外は、九〇%以上は海外資源に仰がなければならぬという状態なんです。これに対する手の打ち方が、
政府としてはまことに不手ぎわきわまって、今日の怠慢の結果を招いたのではないかということを私は心配しておるわけであります。
それで、いま
価格の問題がまず最初に出たわけでありますが、その前に、
エネルギー資源として核燃料の問題が
稲葉さんから出たわけであります。私も
原子力を若干やっておりまして、きょうはここでとてもその話をするひまはございませんけれ
ども、実は私、非常にうるさく言って、核燃料をどうするんだということで、金属鉱物探鉱促進
事業団の中にウランという
項目が入ったのは一昨年なんです。現在やっておるのは、電力会社がわずかに金を向こうに出してやらせておる、動燃団が細々とやっておるというだけで、皆無にひとしい。しかも核濃縮の技術というものは
日本は全然持っておらないというような状態であるだけに、現状ではどうしても
石油にたよらざるを得ないという部面がたいへん多いわけなんで、それだけこの
石油問題は、
価格問題を除いて、きわめて深刻な様相を呈していると思うのであります。
それから、私、
価格問題にあえて触れませんけれ
ども、激励の意味でひとつ申し上げたいと思うのです。それは、これは名前は申し上げられません。申し上げられませんけれ
ども、あるメジャーから
日本の
石油会社に来た手紙を見て私はがく然としたのであります。それはどういうことかというと、
日本からのペティションに対してということばが書いてある。ペティションというのは懇願であります。懇願に対してこういう回答をする、こういうことであります。私も驚きまして、
日本からの正式の公文書というものを見たのでありますけれ
ども、これは英文の翻訳のしかたによっていろいろあります。いろいろありますけれ
ども、この中に、「
値上げ幅の縮小につき
特段のご
配慮を切望いたします」、ユアー・カインド・アンド・スペシャル・アテンション、こういうふうなことばを使っておるわけでございます。通産大臣がいかにいたけだか、とは申しませんけれ
ども、対等の立場で強硬に
主張しているのだというような態勢にはなっておらない。残念ながら実態はペティションに近い状態であったということは否定できないと思うのです。その中身はどうかといいますと、
日本の
原油というのは、メジャー
関係の出資は仰がなくても、独立資本であろうとも、いろいろな融資を受けているというふうな
事情もあって、大体八割、人によっては九割くらいまではひもつき
原油ではないか、こういうような状態になっております。したがって、そう強い
交渉ができるかというと、できる道理がないということが
一つございます。
それから、あと
一つは、メジャー
関係の中でもアメリカ系の資本がたいへん大きなファクターを占めておるわけでありますけれ
ども、アメリカの
石油価格は相当高いわけですね。ところが、この
原油を上げることができれば、労せずして
国内の
石油製品価格というものを上げることができるという利点があるわけです。そういうことになれば、それほど熱心に
値下げ交渉をしなくても自分の
国内で利益を受けられる。アップストリームとダウンストリームが一貫しておりますから、そういうふうな
関係で、そう強く値下げの
交渉をしなくてもいいのだという体制に現在置かれておるのがメジャーの姿勢であるということを兼ね合わせて考えてみると、たいへん表向きの態度——公開の場所であまり言うことはどうかと思われるのでありますけれ
ども、相当強い姿勢で
交渉するのだとか、
消費者には転嫁しないのだとか、こう言っても、
石油の製品
関係の利益率は大体三%
程度でしょう。精製部門が一%というようなことでありますから、実際に
値上げというものはどうしたって
消費者に転嫁せざるを得ない情勢に置かれておる。しかし、それを極力防ぐということのためには、現在のようなペティションという態度であったのではいけないということを、私は強く最初に要請をしておきたいと思うのであります。
それから、結局、
価格の問題にも関連するわけでありますけれ
ども、先ほど中村
委員のほうからも質問がありましたように、三割
程度は自分の国でも
確保しなければいかぬ、私はそうだと思うのです。そうなれば、
価格の問題についても相当強い態度をとれるし、
日本がメジャーと対等な立場でやれるくらいの大きな資本というものを持ち得るならば、
価格の問題だって相当
交渉しやすい。いまのような状態では、これは皆さん方よく御承知でありましょうから、あえて申し上げることはないのでありますけれ
ども、このデータを見ますと、向こうは、エッソなんかは一年間五兆円の売り上げに対しまして、
日本は一番大きい日石あたりで三千億円というようなことで、比較にならぬ、まことに微々たる存在にしかすぎないというような実態であります。
ところが、
稲葉先生のお話でありますというと、三割
確保なんということはなかなか
現実の問題としてはむずかしい、こうおっしゃる。おっしゃるけれ
ども、やらなかったら一体どうなるのだということをあらためて考えてみなければならぬと思うのです。人の問題にしても十分じゃありません。資本の問題にしてもきわめて微々たる資本しかない。あるいはまた技術の問題にしても、
日本だけの技術ではなかなかやっていけないので、外国の資本と提携をしなければならぬという部面も出てまいるでありましょう。しかも、情報のルートの問題は先ほど来話があったのでありますけれ
ども、ベイルートにわずかに
石油開発公団というのが一人というような状態でございます。これが、ほかのほうの
関係でいいますと、フランスが全世界に四十七カ所も駐在所がある。
日本はわずかに一人。ジェトロにものを頼んだからといって、ジェトロには別な任務がありますよ。とても情報なんかとれません。地獄耳でもって何か聞きかじってくるという
程度にしかすぎないでありましょう。したがって情報なんかも皆無にひとしい。こういうような状態で、現在何としてもこの三割ぐらいは
日本の力でもって
確保しなければならぬということになると、
現実の問題としては夢物語りということに帰着せざるを得ないと私は考えておるわけであります。
しかしながら、これはやらなければならぬ。やらなければならぬのに一体どうするかという問題。これは相当深刻に突っ込んで、国民全体、もちろん国会も
政府も取り組まなければならぬ、もう至上命令ではないかと思うのです。
そのためにどうするかということになりますと、たとえば話は若干わき道にそれますけれ
ども、
石油開発公団の資金の
事情というものを私見ているのですけれ
ども、四十二年度は、融資額が八億で翌年繰り越しが二十五億であります。それから四十三年度になりますと、投融資が五十一億で繰り越しが二十九億、四十四年度が六十七億の投融資で翌年繰り越しが五十六億。いろいろな
事情がございますでしょう。ございますでしょうけれ
ども、たくさんな企業がたくさんなプロジェクトをやって——たいへんお気にさわるような表現で恐縮でございますけれ
ども、何か残りものをあさっているような、そういうふうなたくさんのプロジェクトに対しては思い切った金は出せないのではないか。資金それ自体も少ないけれ
ども、出し切れない、情報もないというようなことである。たとえばメジャー
関係あたりになりますと、一社でもって三百億から五百億、年間出していますね。
日本では全部でこれの三分の一ぐらいですよ。これはお話しにならぬわけです。
そういうことでありますけれ
ども、その乏しい資金すら何かもて余しているというと、これは私の考え違いかもしれませんけれ
ども、何かそういうふうな状態である。しかし、
石油連盟のほうからの
要求によりますと、融資は一〇〇%何とか保証してもらいたいということもある。あるいはデミネックスのように、七五%ではなくて八〇%ぐらい限度額というものを
引き上げてもらいたいというふうな
要求がある。こうなりますと、民間主導型で、民間の創意くふうに
依存しなければならぬということを
政府はおっしゃるけれ
ども、私は
現実の問題としては、ほとんど
政府に
依存しなければできないという実態になってくるのだろうと思うのです。そうなれば、
政府は勇断をふるって、このたくさんあるプロジェクトというものを整理をする。これは
岡田さんはたいへんむずかしいとおっしゃった。これはよくわかります。よくわかりますけれ
ども、しかし国民的な観点に立てば、地域別ぐらいには少なくとも整理をする。そうして大きな資本にしていく。できれば全部を一本にするぐらいの、メジャーに対抗できるだけの大きな会社をつくり上げていく、というようなことがなければ、
価格の問題にしても、資源の
確保の問題にしても、十分な
対策にはなり得ない。これは私の実感なんであります。
それから、たとえば私は民間主導型ということを否定するつもりはないのでございますけれ
ども、いま言ったようなもろもろの
関係から見て、国のほうが相当主導型で、相当の資金を用意する。たとえば先ほど備蓄の問題がちょっと出ましたけれ
ども、十日分で一千億円ですね。備蓄といっても、たいへんですよ。九十日分の備蓄をやろうなんていったら、どえらい資金がかかる。こんなものを
石油会社に持たせるなんていったって、できる相談ではございません。国がやらなければできないことなんです。そういうふうなことを考えると、民間主導型、民間主導型というふうなことをいったのでは、百年河清を待つというかっこうにならざるを得ないのではなかろうか、こういう心配を私は持っているわけであります。
それからあと
一つ、イランとかイラクあたりは、国有の確実な油田というものを自分で持っているのです。しかしこれは開放しないでとってある。こういうところに対しては、
日本のいまの民間の、そう言ってはたいへん失礼でありますが、企業
程度のものではなかなか
交渉はむずかしい。これは確実に油田があるわけです。そういうところは、国と国との
交渉で
開発をしていくというようなことがどうしても必要になってくるのではなかろうか。
そういう意味で、私はいろいろ申し上げたいことはたくさんあるのでございますけれ
ども、先ほど来、ドイツのデミネックスが盛んにいい例として出されましたけれ
ども、このドイツだって、二つ三つの会社がもうメジャーに併呑されていますよ。併呑されたあとで、あわてふためいたというかっこうではないでしょうけれ
ども、このデミネックスというものが生まれてきているという歴史的な経緯がある。
日本だってその轍を踏まないという保障は全然ないわけなんです。そういうことで、思い切ってこのドイツのデミネックスの例にならって——デミネックスは何も
石油だけ掘っているわけじゃありませんよ。これは海外
協力の
関係でもって、インフラストラクチュアという、そのまわりの
関係の
開発も全部
協力をするということをやりながら、
石油もそこに入っていくというふうな、非常に遠大な
計画を立てている。
日本の民間の企業にやらせれば、猛烈社員、壮烈社員が出ていって、とにかく会社に忠実なろうとして、国益という立場を離れて企業に忠実であるというようなことだとすれば、これはもう国際
協力という面からいって非常なマイナスが出てくる、
開発もおぼつかなくなるということにならざるを得ないのではないか。
という点でいろいろ申し上げたいことがあるのでありますが、そういったふうなものを含めて、私はここに提案をしたいのでありますけれ
ども、私はいまの、
石炭鉱山局長お見えになっておりますけれ
ども、
石炭鉱山局あたりで処理できる問題ではないと思うのです。いまの通産省には
石油局すらない。私は資源省くらいはどうしても必要だ。これは私個人の
意見ですよ、党の
意見じゃございません。しかし南ベトナムに、アメリカに便乗してあそこの
石油を
開発するなんということを考えるような姿勢だとすると、海外
協力の姿勢それ自体に非常に多くの疑問が残りますので、早計に私はそういう結論を出しませんけれ
ども、ほんとうに海外
協力の姿勢というものが理解をされるということが前提となった上で、やはり資源省くらいのものをつくらなければ、将来、
日本はとんでもない禍根を残すのではなかろうか、こういう感じがしてならないわけなんです。それで、民間の業者の方々にはなかなか賛成いただけないと思うのでありますけれ
ども、思い切ってプロジェクトを整理をする。それから、アップストリームとダウンストリームがばらばらになっているけれ
ども、これはどうしても一貫作業をしなければいけません。これはいろいろな点でまた申し上げたいのでありますけれ
ども。それから地域別に整理するか何かして、少なくともメジャーと対等に
交渉のできるという力を持つ、こういうことをやるためには、民間業者が力を合わせただけでできるかというと、これはなかなか不可能に近いのではないか。やはり
政府主導型でもって、国の立場でもって、ほんとうに国民本位に考えて、海外
協力の姿勢や何かも考え合わせながら資源省的なものをつくっていく。あるいは国家が積極的に行政に介入をする。と言うと語弊がありますけれ
ども、積極的な指導をするというような体制をとらない限り、これはとてもこの深刻な問題の打開にはならないのではないか、こう思いますが、御
意見のある方でけっこうですが、特に
稲葉先生と鉱山
石炭局長に御
意見を伺いたいと思います。