○宮澤国務大臣 この信用補完
制度は、一見非常にじみな
制度でございますけれ
ども、実はたいへんに大切な役割りを果たさなければならない
制度であるというふうに考えておるわけでございます。それで、この
制度がほんとうにうまく動くか動かないかということは、これはもともと金の貸し借りでございますから、経済的な効果がおもではありましょうけれ
ども、実は大きな目で見ますと、やはり社会安定のための一つの大きな安全弁になっておる、そうあるべきものだというふうに私はかねがね考えております。この
制度がそのような役割りを円滑に果たし得るかどうかということは、結局は、その
保険金の支払いというものが円滑に行なわれるかどうかということが全部末端まで響くわけでありまして、それがそうでありませんと、新しい信用
保証というものも協会でなかなか渋りますし、そうなれば
金融機関が貸し出さないということになるわけでございます。そういうことがあってはならないのでありますけれ
ども、
昭和四十二年でございましたか、御承知のように
保険財政が非常に悪くなりまして、それをきっかけにして、しばらくの間この
制度がどうも円滑に動かなかったと思われる節がございます。それはすでに過去のことだけであるのか、あるいは、先ほど
中村委員から御
指摘がございましたが、現在でも、
信用保証協会によってはいろいろ二の足を踏んでおるところが
現実にあるのではないか。それは
保険金の支払いが円滑でないということになるわけでございますが、そういう問題が絶対にありませんということは、私はなかなか言い切れないのではないかというふうに、率直に申しますと思っております。
こういう点につきましては、おそらく
中小企業庁長官あるいは
大蔵省の
銀行局長等々、
政府におられる人々の把握のしかたと、
中村委員、あるいは私もその一人でございますけれ
ども、比較的末端の不平をじかに聞く者の観察とが必ずしも合わない場合があるのではないかということを、私は率直に思います。もとより信用でありますから、乱に流れるということがあってはならないのでございましょうけれ
ども、また、事故率というようなこともわれわれ無関心ではあり得ませんけれ
ども、やはりそこは、この
制度が金融の
制度であるとともに社会の安定ということに、ことに末端における不満の解消ということに果たしておる役割りを見のがすわけにはいかない、むしろそのためには非常に大切な
制度であるというふうに考えております。
そういうふうに考えますと、決してこの運用をルーズにせよというつもりではありませんけれ
ども、かつての
保険財政の危機というものも一応乗り切れたと思われる今日、もう少し積極的に運営をしてもいいのではないだろうか。先ほど、
保証協会の中で、なかなかおいそれと動けないものがあるのではないかというお話がございまして、
中小企業庁長官から、現在そういうものはまずまずないのではないかと思いますという御
答弁を申し上げました。役所でわかり得る限りは、私はそれが偽りでない
答弁だと思いますけれ
ども、末端の内部で事実上どういうことが起こっておるかということは、正式の報告をなかなかいたしませんでしょうから、ほんとうを言えばわからないのですが、私はかなりあるのではないだろうかとすら思います。つまり、なかなか請求が出てこないということになれば、これは事故がなかったように一応報告の上ではなってまいりますから、どうもその辺に問題がやはりひそんでおって、しかし正規のルートではなかなかわからないということがあるのではないかというふうに、私はまあこれは、通産大臣という立場よりは、末端にやや接触のある政治をやっております一人として思うわけでございます。ですから、この
制度が従来、本来の役割りを十分に果たしておるかどうかということについて、もう少し中に立ち入って私
ども行政をする者としては関心を持たなければならないと思いますし、また今後、結局、先ほど御
指摘のような基金の問題にもなり、また付保
限度の問題にもなるわけでございますけれ
ども、この
制度の果たしておる大きな社会的な役割りにかんがみてそれらの問題を考えていくという基本的な態度が必要ではないかというふうに私は考えております。