○山内
説明員 いろいろ御質問がございましたので、あるいはお答えをし忘れるところが出てまいるかもしれません。あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
まず最初の、年収百二十万の人につきまして、給与所得者と、青色
事業者と、それから法人形態の場合と、この三つについて御比較いただいた点でございますが、この点につきましては、金額の計算は私
どもまだきちっと
当たり切っておりませんけれ
ども、おそらくおおむねこんなような形のところに落ちつくのではなかろうかと思います。
ただ、こういった比較をいたします場合に頭におとどめいただきたい点だけを申し上げますと、まず給与所得者と、青色、白色も含めまして
事業所得者との比較の場合、一口に年収百二十万と、こう申しました場合、給与所得者の場合は、給与として支払いを受ける金額の総額が百二十万のことを想定なさっておられるのだろうと思います。それから
事業所得者の場合は、これはたとえば八百屋さんなら八百屋さんの売り上げが百二十万という話ではありませんで、売り上げから仕入れなりあるいは諸経費なりを差し引いて、手元に残った金額が百二十万ということで御比較なさっておられるのかと思いますが、現在、所得税の場合は、いまの給与所得者と
事業所得者のように、およそ所得そのものの性格が非常に異なっておるというものを一律に比較をいたして、総合して課税をするというたてまえになっております
関係上、給与所得における所得と、それから
事業所得におきます所得と、計算の算定のしかたを若干異にしておるわけでございます。
御
承知のとおり、給与所得者の場合は、その収入金額、つまり
会社からもらった総額から給与所得控除を差し引きました残りが給与所得ということで観念をいたしておりまして、
事業所得者の場合は、これは先ほ
ども申しておりますように、売り上げから仕入れなり経費なりを差し引いた残りが
事業所得ということになっておるわけでございます。いま先生の御比較いただきましたのは、給与所得者の収入金額と
事業所得者のいわゆる
事業所得と、それぞれが百二十万円というところのものを御比較いただいたわけでございますけれ
ども、担税力と申しますか、税金を負担する能力から考えてみました場合、給与所得者の場合、給与所得控除を引かない前の段階で
事業所得者の
事業所得と比較をしてそこでうまくいくかどうか、そこら辺のところが実は非常にむずかしい問題であろうと思います。その点がむずかしいということにつきましては、これは従来からずっと租税
制度をつくります上についての
一つの大きな問題点でございまして、これは各国ともいろいろ試行錯誤を加えてはまいっておりますけれ
ども、これできちっと完全にバランスがとれたという形のものは、理屈からいってもまだ見出していない
状態でございます。先生は、それを
一つの
方法として御比較いただいたわけでございますけれ
ども、比較の
方法といたしましては、別に、私が申し上げましたように、所得と所得という比較のしかたもございましょうと思いますので、そういうふうになりますと、これは、同じ所得でございますれば同じ税率がかかっているということで、結果的には同じことに相なるわけでございます。
ただ、先生が御
指摘いただきましたように、給与所得者と
事業所得者の税負担のバランスをとるということは、さほどにむずかしい問題がある。それから同様に、個人
事業者と法人形態の場合の負担のバランスを、どういうふうな形でどこの段階でとればいいかというのは、非常にむずかしい問題でございまして、われわれといたしましても、しょっちゅう勉強はいたし、いろいろその調整を加えておるわけでございますけれ
ども、現在のところで申しますと、これは若干よけいなことかもしれませんが、青色の
事業所得者と法人形態をとっております場合の法人及びその法人の代表者の税金の合計とのバランスを、
一つのモデルを使って計算をしてみますと、大体二百八十万くらいのところで個人形態と法人形態では同じくらいの税負担になります。それよりも所得が多くなりますと、これは税率の刻みの
関係でおのずから個人形態のほうが重くなりますし、それよりも低い段階では、個人形態のほうが総合的には税負担が軽いというようなことを、一応われわれとしては考えに置いた上でのバランスをとっておるつもりでございます。
それから、最後に御質問いただきました青色
事業主特別経費準備金の積み立てをやりました場合、引き当てをやりました場合に、これが必要経費になるという点と、それからそれを連年引き続いて毎年毎年必要経費として積み立てていくわけでございますが、そういうふうにいたしました場合に、必要経費についてどういう最終的な扱いをするのかという関連の御質問かと存じますけれ
ども、この点につきましては、他の準備金、たとえば、退職給与引き当て金というふうなものがございます。こういった場合も、その引き当てをいたします場合には必要経費として損金に算入いたすわけでございますけれ
ども、それがそのまま準備金の形で——その場合は引き当て金でございますが、引き当て金の形で積み立てられるというところは、今回の準備金と同じやり方と申しますか、同じシステムに乗っかっておるということでございます。