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小林(進)
委員 私はそういう申し込みの求職と
就職との若干のズレはあると思いますけれ
ども、ただこの数字はいつでもこうやってずれていくのです。そうするとその間にいつも一〇〇%の申し込みに対して一〇%という
就職しかつかない、この開きがいつまでも続く限りは、いまここで
計画されているような、求職者を全部
民間の企業や開発
事業のほうに吸収し得るとおっしゃる皆さん方の自信の中に、こういう数字を根拠に
考えてみれば、どうしても若干の不安が残る、これを私は第一に申し上げたいわけであります。皆さん方は、いや求職者はもう百人が百人とも全部、
民間の
事業場なりあるいは開発
事業の中におさめられるとおっしゃるが、私はいままでの過去の
経験からいっても一〇〇%というものは困難じゃないか、そういうためにこの数字を申し上げているのですが、しかし自信がおありになるというのなら、まあひとつお手並みを拝見という以外にないと思いますけれ
ども、これは私はこの
法案の中の一番の弱点だと思っております、一番
問題点だと思っております。
そこでこの問題にこだわっていると時間がありませんけれ
ども、ちょうどいいことに、いま全国で何カ所か知りませんけれ
ども、県の社会福祉協議会なんかで
高齢者の無料
職業紹介所というものをやっている。これは国とは
関係ありませんね。若干補助が出ておりますけれ
ども(「出てない」と呼ぶ者あり)出ておりませんか――これが先進県なんかでやられているのです。
これは新潟県の例ですが、新潟県の社会福祉協議会内に
高齢者無料
職業紹介所というものを設けている。これは昨年の十月から開所をしているのでありますが、その一年間の実績がここで報道されているのです。この
紹介所は職安でおやりにならない世話をやる。職安は大体六十五歳で年齢を切られるものでありますから、この無料の老人の
職業紹介所は六十五歳以上の方を中心に置いて
職業のあっせんをしているのです。
大臣、ひとつ私の話を聞いてください。いま全国の先進県でやっているわけですが、昨年の十月から半年間の実績を申し上げますと、そこに半年の間に四百四十七人の老人のいわゆる求職の申し込みがあったのです。それに対して求人が百六十件。まあ延べにしますと五百十六件になりますけれ
ども口としては百六十件で、これに対しましてことしの三月までに
就職の決定いたしました者が四百四十七人のうち百九十七人です。その百九十七人の人たちの
就職をした内容を申し上げますと、
賃金が、男性で百九十七人の大体六割は二万円から三万円です。職種別には、技能職が一番高くて四万五千円、一般事務が三万五千円、雑役が二万五千円から三万円、女性の場合は大体一万五千円から二万五千円。こういう範囲です。
この訪れた四百四十七人の人たちに、何のために働きたいのかということを聞いてみますと、そのうちの二割は生活のためだ、三割は老人だから退屈だからどこかへ
就職したい、残りの五割、半分は小づかい銭がほしいから働きたいのだ。こういうことでございますが、小づかい銭がほしいということも、これは解釈のしかたでしょうけれ
ども、小づかいに不自由しているんですからやはりこれも生活問題であると切り上げてみれば、
就職を依頼に来た人たちの七割は生活のために新しい
職業を求めにきている、三割は遊んでいるのが退屈だからということで
就職を求めにきている、こういう勘定になってくるのです。中高年層の、まあ六十歳もいますけれ
ども、特に六十五歳以上の老人が主ですから、ほんとうの高年齢者の
就職を求めにくる内容は、生活のためだという者がまず七割と見なくちゃいけない。
その年齢をいまここで申し上げますと、六十歳から六十四歳までの求職者が半年の間に四百四十七人のうちの百八十人。そのうちの
就職率は四二・八%です。五八%は残念ながら適当な
職業がなくて希望に応じかねる。六十五歳から六十九歳までの求職者が百八十二人で、そのうちの
就職率が五三・三%ですが、四七%が希望をいれられずしてまだ職につけない。七十歳から七十四歳までの求職の
方々が四百四十七人のうち六十九人いるのです。この人たちの
就職率は三〇・四%で、七割は希望をいれられずして失業のままです。七十五歳以上の求職者が四百四十七人のうち十四人いるのです。これは
就職率は一割二分の一二・五%。七十七歳以上の求職希望者がこの中に二人いるのです。これは一〇〇%
就職いたしました。一人は雑役です。一人は宿直です。こういう形なんです。これが皆さん方の職安の窓口から追い出されて扱ってくれないいわゆる
高齢者が、なおかつ生活のために
就職を求めてきた実態です。そして一生懸命につとめながらも、なおかつこうやって六割以上の人たちが希望を満たされず失業の苦難をしょっている。七十歳以上になって生活に苦しみながら
就職の道を求めて、まだそれの希望もいれられずして悩んでいる。
そこへ希望しに来た人たちの前歴は一体何だというと、いろいろな人がおりますが、特に高い人たちだというと会社の社長さんがあります。警察署長があります。官庁の課長さんがいる。学校の校長さんがいるという実態です。これはその四百四十七人のうちでもハイクラスの人たちで、こういう人たちが六十五歳、七十歳になって
就職を求めている。これは生活のためじゃないかもしれません。退屈だから来たという人の三割の中に入っているかもしれませんが、こういう実態です。いまお進めになっているこの
中高年齢者の
法案の中で、この人たちを一体どう処置をしてくださるという
考え方なのか。これは職安行政の範囲じゃない、
労働省の範囲じゃないとおっしゃるかもしれませんが、
政府の一員として
大臣、そうはいきません。一体これをどう扱っていただけましょうか。お
考えはいかがでありましょう。