○野原国務大臣 ただいま議題となりました
中高年齢者等の雇用の
促進に関する
特別措置法案につきまして、その
提案理由及び
内容の概要を御説明申し上げます。
わが国の雇用失業情勢は、昭和三十年代後半以後引き続く
経済の高度
成長に伴い著しく
改善され、近年においては労働力不足基調へと変わってまいりました。今後とも、
経済はなお相当の
成長を続けていくと予測されますので、多少の景気の変動があるとしましても、全体として労働力不足は一そう深刻化するものと思われます。しかしながら、その中でも年齢別、地域別に見ますとかなりの不均衡が見られ、中高年齢者や雇用機会の乏しい地域の失業者につきましては、年々
改善されてきてはおりますが、なお、就職が必ずしも容易でないという
状況が見受けられます。
このような
状況の変化に対処するため、失業対策
制度のあり方について根本的に検討することが必要であると
考えられましたので、昨年九月学識経験者を失業対策問題調査研究
委員に委嘱し、客観的、専門的立場からの調査研究を依頼いたしました。同年十二月、その結果が報告されましたので、それを参考としつつ「今後の失業対策
制度に関する基本構想」をまとめ、同月二十三日雇用審議会に諮問いたしました。
この基本構想におきましては、さきに述べましたような雇用失業情勢の見通しを前提とし、中高年齢者が多年にわたる職業生活で得た知識と経験を生かすことが、中高年齢者自身にとっても、また、
国民経済の観点から見ても肝要なことであるとの
考えに立って、今後は、中高年齢者の雇用
促進に重点を置き、これらの者が従来のように失業対策事業に依存することなくその能力を民間雇用において有効に発揮することができるようにするための特別の対策を講ずることとしております。
一方、現在失業対策事業に就労している者につきましては、従来の
経緯等にかんがみ、当分の間失業対策事業を継続実施して、これに就労させることとしております。
雇用審議会におきましては、この基本構想について慎重な審議が行なわれ、去る二月十三日答申をいただきましたので、
政府といたしましては、その御意見を尊重しつつ成案を固め、ここに
中高年齢者等の雇用の
促進に関する
特別措置法案として
提案した次第であります。
次に、その
内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、
中高年齢者等の就職がなお困難な雇用失業情勢にかんがみ、これらの者がその能力に適合した職業につくことを
促進するための特別の措置を講ずることにより、その職業の安定をはかることを目的とするものであります。
第二に、中高年齢者の雇用を
促進するため、その適職、労働能力の開発方法等の研究、求人者等に対する指導及び
援助、職業
紹介施設の整備等の措置を講ずるとともに、中高年齢者に適する職種について雇用率を設定し、これが達成されるよう、事業主に対して、雇い入れの要請、給付金及び融資についての特別の配慮を行なう等中高年齢者の雇用を
奨励するため必要な諸施策を講ずることといたしております。
第三に、就職の困難な
中高年齢者等の就職を
促進するため、求職手帳を発給し、その有効期間中就職活動を容易にし、生活の安定をはかるため、所要の手当を支給しつつ、就職指導、職業訓練、職場適応訓練等を実施することにより就職の
促進をはかり、このような対策を講じた後においても就職が困難な者につきましては、必要に応じ手帳の有効期間を延長することといたしております。
第四に、
中高年齢者等につきましては、一般的には以上の諸施策によって十分対処し得ると
考えられますが、産炭地域等雇用の機会の乏しい地域の
中高年齢者等につきましては、手帳の通常の有効期間が終わってもなお就職が困難な者も
考えられますので、有効期間について特別の配慮を加えるほか、これらの者の雇用を
促進するため、職業
紹介、職業訓練等の実施、雇用機会の増大をはかるための措置等に関する計画を作成し、計画に基づき必要な措置を講ずるとともに、必要に応じ公共事業へ吸収させることとして、万全を期している次第であります。
なお、雇用機会の増大をはかるための措置として当該地域の発展により雇用の機会が増大するまでの間、臨時に雇用の機会を与えることを目的として、予算措置により、特定地域開発就労事業を実施することといたしております。
また、この
法律案の附則におきまして、緊急失業対策法は、この法律の施行の際現に失業対策事業に使用されている失業者についてのみ、当分の間、その効力を有するものとし、この場合において、夏季または年末の臨時の
賃金は支払わないものとするとともに、関係法律について所要の整備をいたしております。
以上この
法律案の
提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
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