運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-05-14 第65回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月十四日(金曜日)     午後零時十二分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 山本 幸雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君       木部 佳昭君    久保田円次君       浜田 幸一君    松本 十郎君       阿部未喜男君    古寺  宏君       西田 八郎君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         通商産業省公害         保安局公害部長 森口 八郎君         工業技術院長  太田 暢人君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      竹谷喜久雄君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      小久保 肇君         工業技術院総務         部産業公害研究         調整官     山村 和男君         中小企業庁計画         部長      斎藤 太一君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         参  考  人         (公害防止事業         団理事)    古澤  實君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   米原  昶君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     米原  昶君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件(大気汚染対策等)      ――――◇―――――
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  産業公害対策に関する件について、本日、参考人として公害防止事業団理事古澤實君に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  4. 小林信一

    小林委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  5. 岡本富夫

    岡本委員 最初に、厚生省通産省にお聞きします。  きょう厚生大臣に出てもらうように話してあったのですが、出てこない。したがって、公害部長のほうでは、責任ある答弁をしていただきたい。  そこで公害防止事業団法、この第一条に「工場及び事業場が集中し、かつ、これらにおける事業活動に伴う大気汚染水質汚濁等による公害が著しく、又は著しくなるおそれがある地域におけるこれらの公害防止に必要な業務を行ない、もって生活環境維持改善及び産業の健全な発展に資することを目的とする。」というようにあります。それから公害防止事業団業務方法書、この第六条にいろいろ書いてありますけれども、ここで公害防止事業団法によって、工場移転をする場合、あるいはその用地造成する場合において、その移転先におけるところ公害についてはいろいろと調査をしなければならぬと思うのですが、この関係についてまずお聞きしたい。
  6. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 一般的なお尋ねでございますので、一般的に申し上げますと、事業団法あるいは業務方法書等規定がございますように、事業団造成事業を始めるにあたりましては、いろいろ現地の地形その他の状況を十分承知する必要がございますので、必ず現地調査を行なうことにいたしておりますし、また法律その他に基づく所用の手続きも、十分法律あるいは業務方法書等規定に即して行なっておるのが実際でございます。
  7. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、この事業団業務方法書の第六条に従って、工場移転地のその用地についてはどういうことが具備されなければならないのか、またどういうことを調査するのか、これについてひとつお聞きしたい。
  8. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 業務方法書の第六条の第二項にございますように、たとえば工場移転用地でございますと、いろいろな条件が定められておりますけれども公害防止及び工場事業活動上、移転用地としては、たとえばそれが工業地域として指定される予定になっておるかどうかとか、そういったものを確認するとか、あるいは用地条件が適切なものであるとかいうことで、事業実施計画をつくるというたてまえになっております。
  9. 岡本富夫

    岡本委員 時間の関係上具体的な問題に入りますけれども事業団大阪府の柏原市におけるところ鉄工金属団地の建設に着手をしておる。この経緯について事業団のほうから説明を願いたい。
  10. 古澤實

    古澤参考人 柏原鉄工金属団地協同組合団地造成でございますが、これは事業団予算では昭和四十四年度と四十五年度と二カ年にわたりまして予算を組んでおります。それで、内容は、大阪市、堺市、それから東大阪市、これらの十二企業の、おもに鋳物屋さんでありますとか金属加工屋さん、これらが、公害発生しておりますので、それにつきまして、集団移転をしてその地域における公害防止をする、こういうふうなことで、昭和四十四年の六月にわれわれのほうに譲渡申し込みがございました。そしてそれに応じまして、事業団といたしましては現地調査その他をいたしまして、それに基づきまして、法の定めるところに従いまして、大阪府に、こういう申し出があったが、こういう場所事業をしてもよろしいかどうか、団地造成してよろしいかということの協議をいたしまして、それとあわせて厚生通産両省事業局認可申請をいたしました。  それで、四十四年度の事業につきましては四十五年の三月二十日に認可がおりまして、それで昨年、四十五年の三月二十六日に柏原金属団地協同組合と当事業団との間に団地造成契約をかわしました。それから工事費その他について不足しておりますので、四十六年度におきましてさらに予算を計上いたしまして、これの事業認可がことしの三月二十二日におりました。そして、組合との間にことしの三月三十一日に譲渡契約をいたしました。  全体の総事業費でございますが、両年度合わせまして七億二千五百万、こういうふうなことで、その中で用地費は二億三千三百万、工事費は四億三千七百万、その他となっておりまして、合計七億二千五百万、こういうふうな事業費で、現在取りつけ道路その他についての一部設計をいたしております。  以上のとおりでございます。
  11. 岡本富夫

    岡本委員 この公害防止事業団を管理しておるところ厚生省あるいは通産省はどうですか。この柏原鉄工団地金属団地に対するところ経過、これをひとつそれぞれの省から答えてもらいたい。
  12. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 ただいま事業団のほうからお答えしたような経緯でございまして、四十四年度、四十五年度のそれぞれの事業として、所要の手続を経た後に当該実施計画についての認可申請がございまして、先ほど事業団の方の答弁にありましたような、四十五年の三月あるいは四十六年の三月、それぞれ主務大臣としての認可を行ない、その後事業団地元市との間で譲渡契約が締結されたということを聞いております。  ただ、その間あるいはその後におきまして、主としてその工事のための自動車に伴う騒音その他の問題に関連いたしまして、地元の方々から一部いろいろな意見が寄せられておったということを承知しておりますが、ごく最近に至りまして、その点につきましてもほぼ話し合いがついたというふうに承知しておりますので、これからこの事業推進についてはさらに適切な執行が行なわれるものと考えております。
  13. 森口八郎

    森口政府委員 本団地は、先ほど説明ございましたように、東大阪市にございます業者が主として集団移転をしようとするものでございます。現在地はいろいろまわりに住宅地等がすでに立て込んでおりまして、現在地におきましてはすでになかなか操業できなくなっておるというような事情もございますし、それからまた中小企業者が共同してやろうという趣旨でございますので、私のほうは非常にけっこうであろうということで事業推進をいたしたわけでございます。もちろん移る土地につきましては、やはりこの土地住民にいろいろ迷惑のかからないように当然配慮すべきことでございますが、事業団法の二十一条によりまして、事業実施計画をつくりますときに、当然そこの県知事協議をすることになっておりますし、また県知事がその協議に対して厚生通産大臣に返事をいたします場合には、市町村意見も聞くということになっております。  それで、実はそういうことになっておりますので、府県並びに市町村のほうから問題がないというような回答を受け取りましたので、問題がないというように実は考えておったわけでございますが、最近に至りまして、地元の間で、当該団地等造成についていろいろクレームがあるというようなことを聞き及んだようなわけでございます。事業団を通じていろいろ話をお聞きいたしておったわけでございますけれども、所在の柏原市のほうで、地元住民団地側との間を十分取り持って本件の解決に当たるというようなお話でございましたので、その経過を見ておったというようなことになっております。  ただ、法的には、先ほど申し上げましたように、正式に府県の御意見をいただいておりまして、そういうような計画に従いまして三月の二十二日に事業実施計画認可をしたというような状況になっております。
  14. 岡本富夫

    岡本委員 事業団厚生省公害部、それから通産省は、責任上、やはり現地調査したと思うのですけれども、その現地調査したのはいつなのか、これについて……。
  15. 古澤實

    古澤参考人 先ほども申し上げましたように、金属団地組合のほうから申し込み昭和四十四年六月にございました。また、予算を組みますので、その前に当然内意もございましたので、四十四年五月以来数回にわたって、ちょっと回数は覚えておりませんが、調査いたしました。私自身も昨年現場へ行って、いろいろ住宅場所とかその他の問題についての調査に行っております。  以上のようでございます。
  16. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 これは連絡不十分あるいは監督不行き届きということでおしかりがあるかもしれませんけれども、実は私ども事業団を通じていままで承知しておりましたので、この具体的なトラブルという問題が、最近ある新聞でたしか掲載されたのでありますけれども、それまで具体的なトラブルのことについて十分承知しておりませんでしたので、私どもが特に厚生省として調査に出かけたということは実はございません。事業団調査によっておるということであります。
  17. 岡本富夫

    岡本委員 厚生省としては直接調査に行ったことはない、それから事業団のほうは四十四年の六月の申請のあった時点調査に行っている、こういうことですね。両方ともそれで間違いないですか。
  18. 古澤實

    古澤参考人 正確には、調査は四十四年の五月ごろから始まっております。といいますのは、先ほど申し上げましたように、四十四年の六月に申し込みがございましたから、そういう内意を受けましたので、現場調査をいたしました。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 私がこの問題を通じまして言わんとするところは、ほんとうに現地を見て、それから現地住民皆さんに迷惑をかけないような状態になるかということもよく調査をしたのかどうかということを聞きたい。  そこで、いま事業団からは、四十四年の五月ごろ、それから公害部からは行っていない、こういうような話ですけれども、私のほうの調べたところによりますと、四十三年の三月ごろに協同組合から申し込みがあって、十月に、厚生省公害部庶務課宮本事務官公害防止事業団業務部城所義夫さん、この二人が行っているのです。二人ともあなた方の部下が行っているのですよ。その点どうですか。
  20. 古澤實

    古澤参考人 ただいま先生の御指摘のように、担当官ベースといいますか、そういうところでは、四十四年度の予算に組みます前に、いろいろ地元の市とか組合とか府の公害指導室のほうからも話がございましたので、場所がどういうところであるとかそういう点の調査はしたかと思いますが、公式にといいますか、正式な調査を始めましたのは、ただいま申し上げましたような時点からでございます。
  21. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 いま御指摘のございました点については、私、確認いたしておりませんが、当該職員が現在でも公害部に在籍しておりますので、後ほど確認いたしてみたいと思います。
  22. 岡本富夫

    岡本委員 そういうように、こういった工場移転あるいは団地造成につきましても、ちゃんと四十三年の十月に調査に行っているわけです。  それから、もう一つ聞きたいのは、こういった移転をするところ場所において、水質汚濁あるいは大気汚染、こういった公害が起こるのか、起こらないのか、まして、東大阪鋳物事業協同組合というのは、鋳物粉じんが非常に多い、あるいはまた排水によって非常に公害が起こる、こういうことは予想されるわけでありますが、その点についての調査は四十三年の十月にやっておるのかどうか、これについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  23. 古澤實

    古澤参考人 先生指摘のように、公害発生源騒音と振動、それから鋳物業者その他が入っておりますので粉じんとか、そういうものでございます。  それで、移転先におきましてそのようないわゆる第二次公害といいますか、そういうことの発生のないように、われわれはこれを引き受ける場合に、また、移転先適格性を見る場合に、そういう角度からも調査をいたします。そして、それに関連しての必要な防止対策というもの、これも考えておるわけですが、当柏原鉄工団地のこの問題につきましては、ばい煙対策粉じん対策、あるいはその他の公害対策につきましては、大阪府の公害部の御指導を受けまして、それに基づきましていろいろなそういうことが起こらないように、事業団は、団地土地造成だけでございますけれども、もちろん土地造成に伴って、配管とか排水とか、そういうものがございますから、そういう場合には、たとえば生活用水とか、そういうようなものが流れて汚染とならないようにということで浄化槽をつくるとか、その他土地は舗装するとか、道路を整備するとか、そういうふうないろいろな配慮もはかっておりますし、それから、騒音その他の問題につきましては、これはわれわれのほうの問題でなしに、これは上屋につきましては、中小企業振興事業団を通じて大阪府から融資を得て組合が建てるやに聞いておりますが、それにつきましても、たとえば建物については防音壁をつくって外へ騒音が出ないようにとか、あるいは発生する粉じんにつきましては集じん装置をつけるとか、そういうふうな配慮をして、二次公害が起こらないようになっているというふうにわれわれも聞いております。  以上であります。
  24. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 公害防止のための事業が、新たな公害発生源になるということではたいへんな問題でありますから、事業団事業実施にあたりましては、地元とも十分連絡の上、当然にそういうことがないように、十分な指導なりいろいろ事業実施上の問題点についての検討がなされるはずでありますが、今後ともそういった点につきましても私どもは十分配慮して遺憾のないようにいたしたい、かように思います。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 今後ともというより、公害防止事業団の件につきましては、塩釜――宮城県でしたか、あそこでも失敗しておるのですね。ですから、厚生省通産省も非常によく検討しなければならない、取り締まらなければならぬ、そういう責任があると思うのです。  そこで、四十三年の十月に厚生省公害防止事業団調査に行った。その結果を持ち寄って、四十三年の十一月に大阪府の企画部公害課の橋本という人と大阪化学センターの鈴木さんと市の助役も集まりまして、そこへ久保田鉄工も入って合同打合会が行なわれておるのです。  そのときに、その結果の報告書によると、排水は直接大和川に流れる。しかし、大和川は水質保全法に該当しないからまあ問題はない、こういうような打合会のあとの報告書が出ているのです。これは御存じですか。  そしてもう一つ、この大和川のこの辺の場所は東條町ですが、この辺は水質基準で指定されたところ大和川の上流になっていないのかいるのか、大和川のほうは水質基準に指定されておるのかいないのか、この辺を御承知なのかどうか、これをひとつ両者からお聞きしたい。
  26. 古澤實

    古澤参考人 先生の御指摘のその会の内容その他につきましては、私も、そのときおりませんでしたので、なおよく調べますけれども、その後の結果として、現在の水の関係につきましては、大和川は一級河川でございまして、そのままあれするのは非常にまずいということで、今度の造成計画計画の中に千二百万円ばかしの予算を組みまして、屎尿浄化槽を設置する計画になっております。  それから、その他の排水の問題につきましては、産業排水につきましては、キューポラの冷却水といいますか、そういうふうなものだけで、これは循環して使用するということなので、外部へは出ない。  それで、ただいま申しましたように、生活排水関係だけでございますので、これは先生の御指摘がありましたように、その後問題があるということが判明しましたので、千二百万円の予算をつけまして計画に織り込んでおるわけであります。
  27. 岡本富夫

    岡本委員 ということは、最初にこういった事前調査がはっきりと行なわれてなかったということなんです。そしてその排水の処置が必要になったからというんで千二百万円の予算をまた計上している。私は、最初調査というものがこんなずさんなものでいいんだろうかという疑問が起こるわけです。しかも、この鉄工団地住宅に面して、距離が百メートルぐらいしか離れていない。そういった住民に対するところ配慮というものができてなかったのではないか、そう言わざるを得ないのですが、その辺についていかがですか。
  28. 古澤實

    古澤参考人 先生指摘のように、われわれこういう事業計画を組む場合に、県を通じていろいろ御要望があるわけでございますけれども、御指摘のように、プロジェクトを組む段階におきましては、その実現性その他の問題もいろいろありますけれども、徹底した事前調査といいますか、時間と予算をかけて調査をするということが、その当時の陳容予算、その他の関係もございまして不十分であった。その点については先生指摘のようにわれわれも非常に遺憾なことなので、今後ともこういうふうなプロジェクトを組む場合におきましては、こういうようなものを一つの戒めとして、そういうことにならないようにやっていきたい、このように考えております。
  29. 岡本富夫

    岡本委員 そういうふうに、最初から遺憾であるなんて言ってあやまられてしまったらどうしようもないのですけれども、しかし、公害防止事業団というのは、公害をなくするための事業団なんですね。またそれを監視しているのが要するに通産省であり厚生省になっている。ところが、これ一つ聞いてもこんなずさんなことになっている。したがって、公害防止事業団公害を誘発している、私はこう言わざるを得ないわけです。  もう一つ例を引きますと、四十三年七月ごろに東大阪鋳物事業協同組合から申請が出て土地買収になった。そのころはこの土地買収は、柏原市の市会議員らしい人がゴルフ場をつくるんだということでやった。その人は不動産屋か何かをやっておって、しかも市議会公害対策委員会委員長か何かやっているらしいんです。そこで、住民からおかしいというわけで署名が出ているのを、全部握りつぶしているんですよ。そしてその造成しているところ山火事があった。それが四十六年三月十一日。それで初めて、こういうところ公害のことを考えずにこうした造成をやっているということを、住民がわかり、市議会がわかった。まあ市議会もぼんやりしておったのですけれどもね。  しかも、その地域に来ているところ住民皆さんは、大阪の西淀川やあるいはあっちこっちで非常に公害に悩まされて、これならいいといって退職金をはたいてこの柏原市に家を建てた人たちなんです。公害はかなわぬといって逃げてきた人たちの横へ持っていっているわけです。それならそれで、わずか二十一二世帯、八十人のことでありますから、その人たちに対して、こういうようにするんだからというて適切な理解を求める。それをせずに、ゴルフ場にするんだといってやっておいて、そして山火事が起こって初めてわかったというようなことでは住民をだますにもほどがある、こういうふうに私は思うのです。  しかも、排水工事を行なうについて、ここはちょうど小さな河川がありますので、砂防法によって隣地同意書がなければ水が流せないようになっている。その隣地人たちはこの住民人たちなんです。何か問題を大きく大きくするようにやっておる。  なお、これについての問題はたくさんあるんです。その議員が持っているところ工場、まあ小さな工場ですが、これなんか相当高い値段で買っている。これが適正価格かどうかということが私は問題だと思う。こういった面について調査ができておるのかどうか。これはおそらく府あるいは市において計画をしたと思うんですけれどもね。それをよく調査をし、適正であるかどうかということを検討するのが公害防止事業団であり、あるいはまた厚生省であり、通産省であろうと思うのですが、その点についていかがですか。三者からひとつ意見を承りたい。
  30. 森口八郎

    森口政府委員 確かに仰せのとおり、公害防止事業団業務を行なうにあたりましては、そういう業務実施のために公害が起こることのないように配慮すること、これまた当然でございまして、私どものほうも、事業団を監督しておる立場からいたしまして、そういう事業が行なわれることのないように監督をすることは、全く仰せのとおりであるというように思います。  本件につきましては、事業団のほうからお話を伺っておったわけでございますけれども、実は住宅地に近いところにつくるという点も非常に問題がありまして、その地域都市計画上一体何の地域であるかということについても問題がありまして、いろいろ苦慮をしておったわけでございますけれども工場地域というように認定をされたというようなことでございますので、それならばほかの公害防止上の配慮を十分すればよろしかろうというような経緯事業実施計画認可したようなわけでございます。  ただ、いかに形式的要件が備わっておりましても、先ほどから再々申し上げておりますとおり、いやしくも公害防止事業団でございますから、工事実施過程、あるいはでき上がりました工場が稼働しました後において、いやしくも公害が起こって付近の住民に迷惑をかけるというようなことのないよう、事業団を十分監督してまいりたいというように考えております。
  31. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 ただいま問題になっております鉄工団地に限らず、従来、ともすると公害防止のための事業が、地元との間でいろいろと問題を起こす。そういうのをながめてみますと、地元地方公共団体当該地域住民に対するその趣旨説明と申しますか、説得と申しますか、そういったことが必ずしも十分でない、徹底を欠いておるというのが共通に見られる傾向でございまして、いま通産からもお話がございましたように、私どものほうもその点につきましては今後十分戒心してまいりたいというふうに考えております。
  32. 岡本富夫

    岡本委員 この地域住民皆さんは、大体四十年の十一月にこの中に入居をしているんですよ。それからこの土地買収が四十三年の七月ごろから始まっているわけですけれども、そのときにはゴルフ場だといってどんどん買っておいて、それで市で工場地域に指定したのは四十五年なんですよね。しかも、先ほどぼくが話しましたように、市の公害対策委員長か何かやっておってそれを握りつぶしておったわけですね。こういうようなことを全然知らぬというのはよほどどうかしておると思うのですね。  しかも、先ほど話があったように、総額にして七億二千五百万というような大きな金を出すのに、こんなずさんな計画あるいは調査でいいのか。私はこんなことで国民の金を使っていいのかどうかという疑問が非常に起こるのです。だからひとつ再調査をやってもらいたい。今後こんなことがあったらほんとに困ると思うのですよね。私たちは公害防止事業団というのは非常に公害防止に対しての力になると思って、予算についても非常にやかましく言っておる。しかし、こんなずさんな使い方をしたら話にならぬと私は思うのです。これをやっておると時間がありませんから、そこで再調査をしてもらいたいのですが、その点について事業団のほうからまず答弁をもらいたい。
  33. 古澤實

    古澤参考人 先生の御指摘の点は全く御指摘のとおりで、われわれもその点今後御注意のありました線で十分調査その他をしていきたいと思います。ただ私どもとしまして、土地を選んだ場合に、柏原市に推薦をしていただきまして、地方公共団体でございますので、柏原市の意見をそのまま採用したということ、それから先ほどお話がございましたように、二次公害が起こらないように、土地計画上の用地指定の場合に必ず工業地域に指定してくださいということの確約書をいただきまして、それで選んだわけです。おかけで現在そのとおり工業地域に指定されておるわけです。  それから、先生指摘の住居の問題につきましても、私が現場へ行きまして、その場所その他も確認いたしました、問題は、団地に入る取りつけ道路があまりその住宅に近寄っていると、いろいろ交通公害というか、そういう問題もあろうかと思いまして、それ以外のところに取りつけ道路ができないものかどうかということも、実は工務担当その他も入れまして現場でいろいろ調査したわけですが、場所的に丘陵地帯でございまして、取りつけ道路を全然別個のところにつけることについては、むしろ操業その他の点について危険があるというようなことも判明いたしまして、結局現在のところでやむを得ないのではなかろうか。ただ道路を敷設するのに、できるだけ住宅から離して、技術的に可能な限り離して山側にその道路を取りつけよう、こういうようなことでいま設計をしておる段階でございます。  以上でございます。
  34. 岡本富夫

    岡本委員 もう少し大きな立場から調査するとよくわかるのは、この柏原市においては、円明町というところにいま中小企業事業団団地計画をしている。ここならほとんど住民は住んでいない。そういう広いところがあるわけです。この場所は河内堅上から歩いて十分くらいのところなんです。大阪に、天王寺に入ってくるのに全部で三、四十分で来るわけですから、これは公営住宅を建てるほうがよほど適した土地なんです。そういうものも一ぺんよく検討して、この付近の住民皆さんに迷惑をかけたり、あるいはだまし続けてきたのですから、何とかしなければならぬということを検討してもらいたいと思うのです。  時間がないからもう一つだけ。中小企業振興事業団からこういった組合に金を貸すときはどういう条件になっておるのか、これをひとつ伺います。
  35. 斎藤太一

    ○斎藤説明員 資金交付の御質問かと存じますけれども、実際の工事の進捗状況等を考えまして、県のほうから事業団のほうに資金配分の要請が参ります。その際に、資金交付の必要性を証する書面等をつけさせておりますので、それを見まして、工事の進捗状況に応じて、県の要請に応じて事業団から県に交付しまして、県が受け取りました事業団の資金と県の資金と合わせまして融資する、こういうような仕組みになっております。
  36. 岡本富夫

    岡本委員 初めに大阪鋳物工業協同組合について中小企業振興事業団から五億三千四十万円の貸し付けをいたしております。しかし、まだ土地造成中である。ところが、もうすでに本年の三月三十一日が支払い期限であったけれども、延びて、四月二十八日にこのお金を全部出しているのです。まだ建物も建っていない、機械もどこにあるかわからない、それに全部金が出ている。こう一いうようなことはどうなのか。私は非常に心配なんですが、これについて調査ができておるのかどうか、これをひとつお聞きしておきたい。
  37. 斎藤太一

    ○斎藤説明員 御質問の柏原銑鉄鋳物協業組合におきます鋳物工場の建設計画は、事業規模が総額で十億六千七百万円であります。そのうちで、いまの公害防止事業団造成中の、つまり事業団から分譲を受けることになります土地代が二億五千万でございまして、それを差し引きました八億一千七百万円が建物、それから中に入れます設備並びに構築物関係に相なっております。この八億一千七百万円のうちの六五%を振興事業団並びに県から融資をする、三五%は自己資金でまかなう、こういう計画になっております。  この工場の建設計画は、大体四十六年の六月ごろまでに終了する最初計画でございまして、そのために工場側といたしましては、特に中に入れます設備類につきまして、相当以前に発注をいたしております。また建物の構築材等につきましても、建設会社のほうに発注をいたしまして、私ども事業団から聞きましたところでは、中に入れます設備につきましては久保田鉄工が受注をいたしまして、工場のほうの設備はすでに相当でき上がっておるというふうに伺っております。それから建屋の構築材等も、建設会社の工場のほうで鉄骨の作業等もやっておるようでございます。実際の現場での組み立てなり構築は、まだ始まっておりませんけれども、そこに至ります、工場における受注しました設備の造成と申しますか製造は、受注会社のほうで相当前から進んでおるようであります。それに伴いまして団地と申しますか、協業組合側としましては、その工事の進捗に応じて支払いをしなければならぬということでございます。  県に融資資金の申請がございまして、それを受けまして県から事業団のほうに資金交付のお話がございまして、そして先ほどお話しのように、先月、四月二十八日に五億三千四十万円の支払いが行なわれたわけでございます。
  38. 岡本富夫

    岡本委員 この点については、一ぺん品物がほんとうにきちっとあるのかということを調査する必要があると思うのです。まだ土地造成もできていない時分から機械が入っているというのはおかしいのです。だから一ぺんひとつ調査をしてもらいたい。  時間がありませんから、最後の一つだけ。  光化学スモッグが盛んに東京でも出ておるけれども、これについての原因がはっきりわかったのかどうか。これはひとつ厚生省に聞きたい。
  39. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実は光化学スモッグにつきましては、昨年七月でございましたか、杉並区でこの事件が起こりまして、私どものほうでは、さっそく専門家の方々にお集まり願いまして、特に人体に対する影響、こういったものについて研究いたしたのでございますけれども、まだ一般的には、光化学スモッグといいますのは、ものの燃焼に由来いたします窒素酸化物と、それから自動車の排ガス等に由来する炭化水素、こういったものが反応いたしまして、太陽の紫外線を受けますと、二次生成物と申しますか、いわゆるオキシダント、これは酸化性物質の総称でございますけれども、このオキシダントが発生しまして、それがある種の気象条件のもとで光化学スモッグとなるというふうにいわれておりますが、実はこの光化学スモッグ発生の具体的なメカニズムについては、まだ完全に解明されておらないのでございます。したがいまして、私どもはもちろんその解明を待って手を打つというわけにもまいりませんので、昨年の事件を契機に、たとえば環境基準の専門委員会を発足させるとか、いろいろ検討を進めてまいったのでありますけれども、それと並行いたしまして、この光化学スモッグの発生原因につきまして、特に科学技術庁の特別研究調整費の交付を願いまして、目下国立公衆衛生院並びに衛生試験所の両研究機関において、鋭意その検討を進めておるところでございます。  なお、先ほど申し上げました環境基準設定の作業のほうは、これも非常にむずかしい作業ではございますけれども、何としても本年のいわゆるシーズンまでには間に合わしたいということで鋭意検討を進めておりまして、近々専門委員会の一応の結論が得られるのではないかと思っておりますし、さらにもう一つ、これは実は昨年暮れの臨時国会で御審議願いました大気汚染防止法に基づきまして、緊急時には従来の勧告権に加えて、特に重大な健康被害を生ずる場合には、さらに所要の措置について都道府県知事に行政命令の権限を付与しておりますけれども、その緊急時の一つの基準に、やはりオキシダントあるいは窒素酸化物についても規制をする必要があるということで、目下政令案の作業の際に、その問題もあわせて検討いたしておるところでございますので、近々そういったものの結論が出るのではないかというふうに考えております。
  40. 岡本富夫

    岡本委員 これで終わりますが、特に監視体制、こういうものも必要であろうと思います。通行人や学生が病気になってから、あわてて気がつく、こういうことであってはならない。したがって、監視体制もきちっとやってもらいたい、これだけ要求いたしまして……。
  41. 小林信一

    小林委員長 島本虎三君。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 ちょっと参考人に伺いますが、通産厚生両省所管でいままでは公害防止事業団をそれぞれ指導し、管理しておるようですが、初代理事長はどなたで、現在はどなたですか。
  43. 古澤實

    古澤参考人 初代理事長は原文兵衛さんでございます。昨年の十月に退職されまして、現在の理事長は江口俊男でございます。現在、赤穂のグリーンベルトが完成いたしまして本日祝賀式が行なわれまして、そちらに参っておりますので、本日よんどころなく欠席させていただいております。
  44. 島本虎三

    ○島本委員 その前職は何ですか。
  45. 古澤實

    古澤参考人 現在の江口理事長は、高速度営団の監事を経て来られたわけですが、その前は警察庁長官の職務をされた方でございます。
  46. 島本虎三

    ○島本委員 初代の原さんも同様ですか。
  47. 古澤實

    古澤参考人 初代の原理事長は、警視総監を経て、直接事業団のほうの理事長に参られました。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 いろいろと公害関係の、公害を醸成するような、こういうような方面に対して融資をしてやったり、また中にはその意図を疑われるような融資をしておったり、いろいろなことが新聞種になっておる。しかし、大体が警察または警視庁関係だ。そういうのでなければ、この公害防止事業団、いま非常に重要な要素と使命を帯びておる公害防止事業団の使命が、警視総監でなければやれないということ、これは厚生通産両省で所管していますから、これをいまはっきり聞いておきたい。
  49. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 事業団理事長が、二代続くと申しますか、たまたま警察に籍を置かれた方によって占められておるということでございまして、私どもは、事業団理事長は、一応所管は、厚生通産両省の所管ではございますけれども、広く人材を求めて、その結果がたまたまこういうことになったのではないかというふうに考えております。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 たまたまそうなったというけれども、これはもう二代続いてそういうようなことになったら、たまたまではない。初代と二代で一〇〇%じゃありませんか。たまたまというのは、何%ぐらいかでたまたまなので、二代続いたら、それは一〇〇%。一〇〇%がたまたまですか。通産省、どうですか。
  51. 森口八郎

    森口政府委員 厚生省のほうから御答弁申し上げましたとおり、事業団通産省厚生省の共管になっておりますから、理事長はやはり非常に重要な使命を持っております。公害防止事業団の職員を統率いたしまして、公害防止事業をやるわけでございますから、広く人材を求めた結果、先ほど申し上げましたように、島本先生、たまたまではないとおっしゃるわけでございますけれども、二代続いて警察畑から出たということでございますが、理事長を警察畑から選ばなければならないというように考えておるわけではございません。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 警察畑から理事長を選ばなければならぬと考えておるわけではない、厚生省はたまたまそういうようになっただけだ。たまたまのパーセンテージは一〇〇%だった。しかし、それを考えておるわけではないけれども、一〇〇%だということは、考えておるという証拠じゃないか。人材はそこ以外にはいないということになるのですか。それほど厳重にしてやって、どうして汚職が出るのですか。どうしてああいうようなへんちくりんな、新聞種になるような、またこういうような融資や指導をなさるのですか。どうして、第一担保でなければ金を貸さないような、そういう操作をして、中小企業に行き渡らないような、警察官僚の行政そのままをいまやっておるのですか。これで完全に公害防止事業団の使命を果たせると思うかどうか。このやり方が問題だ。だれもつきませんから、私言っておかないとだめなんです。これは公害防止事業団理事、どう考えますか。
  53. 古澤實

    古澤参考人 一昨年、事業団として非常に恥ずかしいことが、特殊のある職員によって行なわれまして、これはわれわれも監督者の一人として非常に申しわけない、このように思っております。  また、融資その他の問題についても、厚生通産両省と密接な連絡をとり、その監督のもとにこまかく手をとり、足をとっていただいて仕事をしておるつもりでございます。しかし、その融資の問題、ことに中小企業の融資の問題については、特にこれは島本先生からも御指摘がございましたとおりでございまして、原理事長時代から、申請があった場合に、中小企業の融資を優先的に取り扱うということを強く打ち出しまして、それで現在の理事長も同じ方針で、中小企業については、いろいろ負担能力その他の問題もあるので、申請があった場合に、これは可能な限りで、または審査その他についても大企業よりも先に審査をして優先するようにということで内部処理方針をきめまして、これも厚生通産の御指導を受けましてそのように実施しておる次第でございます。  以上でございます。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 あまりこのために時間を費やす予定ではございせんから、これでやめなければなりませんが、直接手足を持たない、そしてそれは他の銀行、金融機関の窓口を通さなければならない。こうなりますと、いかにあなたのほうでそう思っていても、その通される金融機関のほうでは完全に採算ベースに乗ったような扱いをしないとそれは上がってこないということになるじゃありませんか。したがって、手足をちゃんと持つかといえば、よけいな経費がかかるから持たないという。そして市中の金融機関を利用しようとすれば、金融機関はその自分の方針によってこれをやる。中小企業にどうしてこれが行き渡るのですか。これは再三言ってきたところです。再三この点は、附帯決議もつけてきたところなんです。いまだにこれをやっているとすると、今後やはり十分気をつけて、この点は画竜点睛を欠くことのないように運営しなければならない。そのために警視総監を持ってきたんだとなぜ言えないのですか。それくらい自信を持って言うならば、私これで了解してもいいのです。頭には警視総監を持ってくる、下のほうでは警察行政そのもののような公害防止事業団をやるんじゃ、これだけではだめだ。そうじゃなしに、今後重要な汚職も、またつめのあかほども公害行政に対しては疑われるような行政はしない、このために、上に警視総監の経験者をいただいているんだ、これだけの自信を持って言わなければ、あなた、だめです。ですからこの点は言ったのです。今後十分運営に気をつけてもらいたい、このことを強く要請し、まあ御苦労さまでした、あなたは帰ってよろしい。  次に、いま岡本議員からも言われました光化学スモッグの問題についてお願いをしたいと思います。  これはメカニズムがまだ解明されておらないのだ、原因解明ができないのだ、こういうふうに言っているわけです。それはそのとおりです。そうなりますと、これでだいぶ問題点が出てくるのじゃないかと思います。もうすでに十三日でも、東京地方は朝から日ざしがきびしくて、十二日に次いでまた新宿区あたりでも、これは〇・一五PPMすれすれのところまでいっている、こういうようなことです。そういうようなことからして、例年より温度が低い、しかしながら、もう都内の空気のよごれからして、今後濃度はどんどん上がっていっておる、こういうようなことから、現状は楽観できないんだ、こういうようなことであります。しかし、原因を究明してみると、まだそのメカニズムは解明されないんだ、こういうように言われるわけです。これじゃ一体対策はどういうふうにするんだということで、重大な問題点があろうと思います。  いま、普通の状態で私はただ聞いているのじゃないのであります。皆さんのほうではもうすでに十分わかっているとおりでありますが、緊急公害対策費として二千四百万円、これはもう科学技術庁の特別調整費が出ておって、厚生省五百万円、通産省千二百万円、労働省七百万円、それぞれ四十五年度、この成果をあげるようにもう行っているはずです。この成果がどのようにあがっていますか。これを両省から御説明願いたいと思います。
  55. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。通産省でございます。  私のほうでは、光化学スモッグが、まだ日本で具体的にそういうものが起きるかどうかというふうなことがいろいろ議論されていました時代から、すでにスモッグチャンバーというものをつくりまして、光化学スモッグの発生機構等につきましてのそうした研究を行なっております。それから、従来自動車の排ガスのNOx対策あるいは炭化水素対策、そうした研究開発を行なっておりましたけれども、今年度からは固定発生源から出てくるところの窒素酸化物に対する除去方法と申しますか、そうした問題につきましても現在研究を開始した次第でございます。  それからさらに、従来から重要技術開発研究補助金というものがございまして、重要技術の開発に関しましては補助金を交付しておったわけでございますけれども、その中に四十六年度からは公害特別ワクというものを設けまして、そしてその中で自動車の排ガスから出てくるところのNOxの処理というふうな、触媒の開発ということを目的とした技術開発の補助金を交付しておる次第であります。  さらに、抜本的には、自動車から出てくるところの炭化水素とか、あるいは窒素酸化物とか、そういったものが現在のところ光化学スモッグのおもな原因ではないかというふうに考えられておりますので、自動車からそういうものを出さないところの、いわゆる電気自動車というものを、今年度から工業技術院の大型プロジェクト制度で取り上げまして、電気自動車の研究開発を始めております。  さらに、先ほどお話のございました光化学の測定の問題に関しましては、現在いろいろな測定方法がございまして、これらにつきましては方式ごとにいろいろと検知機能等につきまして明確にされておりませんので、そういうものを明確に、すぐこれらの検知、測定方法につきまして、標準化と申しますか、そうしたものの測定方法についての具体的な研究を現在行なっている状況でございます。  以上でございます。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 じゃその測定方法だけに二千四百万円かけて測定しておる、――これは去年の九月に緊急公害対策費として、もう科学技術庁の特別調整費になってついているわけです。そうでしょう。
  57. 山村和男

    ○山村説明員 はい。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省通産省、労働省、それぞれに委託費、調査費を上げているはずです。これは測定方法だけやってもまだでき上がらないということですか。
  59. 山村和男

    ○山村説明員 ただいま私の申し上げましたのは、科学技術庁のほうから特別研究促進調整費をいただいたのが測定でございまして、それ以外の対策につきましても、先ほどるる述べましたような諸対策についての研究を現在行なっておるような状況でございます。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 諸対策をやった結果、現在どうなっていますか。
  61. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。  現在、具体的には昨年度の後半に研究費をいただいたような状況でございますので、現在そうしたものについての研究を続行中でございまして、まだ具体的な結論が出るまでに至っておりません。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 何を研究しているのですか。
  63. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。  現在、オキシダントの測定方法につきましては種々な方法がありまして、これらの方法によりまして、オキシダントの測定値が非常にばらつきがございますので、これらの測定方法によりまして測定する方式を確立するというふうなことで、現在研究を行なっております。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 オキシダントの対策ではなくて、それを測定する方法だけしかこれほど金をかけてもまだやっていない、こういうようなことになってしまったら、これは一体どういうことです。  それから四十五年度に厚生省のほうでは公害調査研究委託費、これは百万円と百五十万円出ているはずですが、これは一体どういうふうにしてやっているのか、調査研究費、これも測定方法ですか。
  65. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 私どものほうのこの問題に対する研究は、先ほど申し上げましたように、科学技術庁からの配分を受けました分、これは光化学スモッグの原因といいますか、そういったメカニズムの研究について約五百万調整費の配分を受けているわけでございますけれども、そのほかに公害部の持っております公害委託研究費の中で、光化学スモッグにつきましては四つほど各班の研究を進めておりまして、その中身は、一つは炭化水素と光化学反応物質の生成及びその影響、これが一つの班でございますが、これが百五十万、それから窒素酸化物による人体影響の研究、これが額は少のうございますが五十万、それから窒素酸化物、炭化水素、オキシダントの測定及び人体影響の研究、これが百万、もう一つの班は二酸化窒素の測定方法、これに五十万、そういう四つの班についてまた別途研究を行なっておりますが、いずれもまだ昨年度の研究でございまして、その結果については出ておりませんが、逐次結果報告があるものと考えておりますし、また当然ものによりましては、本年度以降も引き続き研究を要するものもあるのじゃないかというふうに考えております。
  66. 島本虎三

    ○島本委員 それでは六月から発生を見るであろうと思われているこの時期には、対策は間に合わないということになりますか。
  67. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 光化学スモッグの詳細なメカニズムあるいはまた具体的な人体影響、そういったものについては、まだ究明すべき分野があるということで、こういうふうに研究を進めておるのでありますけれども、その結論をまって対策を講じたのでは、当然たとえば本年度もうすでに発生しておるわけでございますので、現実の対策に間に合わぬということで、私どもはその研究は研究といたしまして、現実の対策といたしましては、昨年の光化学スモッグ事件以来発足させました生活環境審議会の中の光化学スモッグ関係の環境基準専門委員会、これで昨年以来ずっと検討を続けておりまして、近々結論が出るはずでございますので、これをこのシーズンに間に合うように環境基準値としてつくり上げていきたい、それが一つでございます。  それからもう一つは、実は先般の臨時国会で御審議願いました大気汚染防止法によりまして、その改正内容一つでありました緊急時の措置の強化に伴いまして、従来はばい煙、硫黄酸化物についてだけ緊急時の措置を講じておったのでございますけれども、今回は改正の趣旨に即しまして、あるいは窒素酸化物、あるいはオキシダント等につきましても、緊急の際には所要の緊急時の措置がとり得るように、その政令を具体的に目下検討中でございます。
  68. 島本虎三

    ○島本委員 じゃそれはどういうようにして具体的にやるか。これはやはり大事です。協力要請でしょう。行政的に協力要請する。県から県、それから県から市、また県または市から工場、こういうようなことになるわけです。拘束力は全然ないでしょう。拘束力がないままに、これは今後一生懸命やるんだといっても実効は何らあがらないじゃないかという心配がある。  同時に、老人と幼児と病人なんかに対しての影響に対しては、厚生省としてはこれはどう考えるのですか。
  69. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 改正前の大気汚染防止法でございますと、緊急時の措置につきましては関係方面への協力要請並びにばい煙減少のための勧告という規定にとどまっておったのでございますが、昨年の法律改正によりまして、しかもこれは政府原案を国会で修正、つまり「勧告」を「命令」に修正するというような非常に重要な手直しも行なわれたわけでございますけれども、その結果従来の勧告にとどまる緊急時の措置に加えまして、その事態が人の健康または生活環境に重大な被害を生ずるような場合、非常に重要な事態が発生した場合には、この法律の条文によりますと、「ばい煙排出者に対し、ばい煙量又はばい煙濃度の減少、ばい煙発生施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じ、」または従来はばい煙にとどまっておりましたけれども、今度は自動車につきましても、その事態が自動車排気ガスに起因するような場合には、公安委員会に対する道交法の規定による措置をとるべき要請権を知事に与える、そういう規定が設けられましたので、目下この規定に即しまして政令の内容を検討中でございますけれども、その政令に、従来は硫黄酸化物にとどまっておったのを、さらに窒素酸化物あるいはオキシダントまでも含めて取り入れまして、それについて所要の緊急時の措置発動の基準をつくりたいというふうに考えておるわけでございます。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 二十三条の措置による基準は検討中だということですか。
  71. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 さようでございます。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、通産省のほうは昨年の九月に緊急公害対策費として科学技術庁の特別調整費二千四百万円のうち千二百万円いって、それぞれ調査しておると思うのです。これに対する成果はどうです。
  73. 森口八郎

    森口政府委員 公害調整官からるるお答え申し上げましたように、科学技術庁から調整費としていただきましたものにつきましては、光化学スモッグの測定技術の開発に関する研究ということで、その分野を通産省は受け持ってやっておるということでございますが、年度が終わったばかりでございまして、まだ現在正式な報告書等は出てないという現状でございます。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 こういうふうな実害があっても、その測定さえもできておらないなんというのは、ナンセンスではありませんか。何のために科学技術庁はあるのですか。これはあなたをおこってもしょうがないから、しょうがないことを言ってもしょうがないといってやめておけば、何もなりませんから、あえて勇を鼓舞して言いますけれども、これは去年の九月、厚生省のほうにも特別に公害調査研究委託費、こういうのがいって、それぞれやっていても、測定方法さえも完全にできてない。そしてまた老人だとか幼児だとか病人、こういうような人への影響は完全にあるのですから、これに対する対策さえも皆無だ、これは公害行政がこれほどやっていながら、一つだに完全にできないということになってしまったらお手上げじゃありませんか。これは急いでやるように委員長を通してでも厳重に注意しないといけない問題だと思います。  それで光化学スモッグの所管官庁はどこなんですか。
  75. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 光化学スモッグの所管官庁はどこかというお尋ねでございますけれども大気汚染防止法の関係もございまして、現在は通産省厚生省、両省だろうと思っております。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 それは間違いないですか。
  77. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 現在の段階でございます。あと自動車関係もございますので、運輸省というぐあいになると思いますが……。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 労働省は入りますか、入りませんか。
  79. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 労働省は、研究とかいろいろな面では別としまして、大気汚染防止法の所管省でございませんので入らないのじゃないかと思います。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、科学技術庁のほうが、労働省に七百万円委託費として出したのは、何のために出したのですか、これは。
  81. 小久保肇

    ○小久保説明員 労働省の労働衛生研究所では、従来から労働衛生に関する研究といいますか、労働環境に関する研究、それが進んでおりまして、特に昨年の光化学スモッグにつきましては、おそらくロスとは違うであろう、ロスの場合は自動車排気ガスが大半であるが、日本の場合は硫酸ミストも入っているのじゃなかろうかというような推定、そういう主張をする一部学者もおりまして、硫酸ミストの測定、これは労働衛生研究所が一番ポテンシャルでございますので、そこにその研究をお願いした。労働省の労衛研にその基礎的な研究をお願いしまして、さらに実際に機器を開発することを通産省公害資源研究所にお願いしておるということでございます。  それから昨年の研究の趣旨について若干補足させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。――私ども従前から関係各省といろいろよく相談しまして、対策、研究の強化、充実ということをはかってまいったわけでございますが、昨年の夏、光化学スモッグが起きましたのを契機に、研究者一同寄りまして、なお充実しなければならぬところがあるのじゃなかろうかといろいろ相談したわけでございます。  そのときにわかりましたことは、要するに何が起きたかを現場で確認することがまず第一である。残念ながら昨年の杉並の立正高校のときには、実際どういう状態にあったかということをつかんでなかった。なお、遺憾ながら、かりにそれを測定するチャンスがあったとしても、その測定する機械がないという話でございまして、いずれにしましても、まず現場で何が起こったか、それをつかむことが先決問題だ。したがいまして、本年の夏になって、また光化学スモッグが起きるであろう。それをまず把握して、それから対策ということにならざるを得ない。それにしてもそのはかる道具がない。したがって、昨年の段階では、とりあえず本年度から本格的な研究をやるとして、その準備段階としては、まず道具だけは確実にしておこうというのが昨年の研究の主眼でございまして、そのほか先ほど通産省からお話のありました、スモッグチャンバーというものがございます。これはいろいろの条件のもとで汚染状況をつくり出すことができるわけでございますが、そういったことを繰り返しまして、それとフィルムでとったデータと比べ合わせますことによって、実際現場で何が起こっているか、それをつかむ、あるいはそのときの発生のメカニズム、そういったものをより早くつかむために、一方ではスモッグチャンバーを使って、そういった室内実験を繰り返す。それから本年度からやるべき現場調査のために必要な測定器を開発するというようなことが昨年の研究の趣旨でございまして、一応研究状況は順調に進んでおるようでございます。  そしてことしに入りまして、では各研究所のそれぞれの研究の進捗状況、それから本年度についての具体的な詳細な計画をどうするかということを、この間から打ち合わせしてまいっておるわけでございまして、その範囲ではその研究が一応順調に進捗しておる。それから本年度の計画の細部につきましては近々に最終的に決定するという状況でございます。
  82. 島本虎三

    ○島本委員 大体その状況の推移はわかりました。そうすると、排気ガスによるロサンゼルス型の光化学スモッグの場合は、所管はすぐわかる。日本の場合は、いわゆるロサンゼルス型じゃない、各種の原因が入りまじった、それもまだメカニズムは十分解明されるまでに至っておらないということだ。そうすると、これを所管している官庁、やらせる官庁はどこかというと、どれでもないようであります。しかし、これはやはりやらなければならない、急いで対策を立てなければならない重大なる命題です。これはもう去年から大きい社会問題になっているのに、まだその問題に対する所管官庁がはっきりしておらないということは、これはちょっと重大な問題じゃないかと思うのです。こういうように所管官庁がはっきりしてないやつは、総理府だということになっているのじゃないですか。
  83. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 公害対策本部が各省と連絡を密にしながら調整を行なっていくということでございます。したがいまして、光化学スモッグの問題につきましても、また今後とも関係各省と緊密な連絡をとって調整してまいりたい、このように思っております。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 去年の暮れに、基本法をはじめ十四の法律がそれぞれできました。悪臭防止法は今国会で、これも参議院のほうへ送付されておって、もう通ったでしょうか、まあそれはよくわかりませんけれども、どうせいずれ通るでしょう。この光化学スモッグは、基本法はじめどの法律に該当して規制を受くべきものなんでしょうか。
  85. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 法規といたしましては、大気汚染防止法によって規制していくべきものと考えます。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 東京都では、自動車二百万台を半分に減らさなければ光化学スモッグを押えることはできないのだ、こういうように言っているようでありますが、もしこれで押えられるものだとすると、これはロサンゼルス型じゃありませんか。そうすると、これは運輸省関係になり、法律大気汚染防止法二十三条の措置によって基準を明確にしてこれを押えるということだってできるじゃありませんか。おそらくそうでないところに問題があって、押え切れない一つの悩みもあるのじゃないかと思うのです。  しかし、この点について最も簡単なのは無公害車の開発を急げばいいということでしょう。それぞれやっているところがあるのですか。通産省、あなたのほうでは千二百万円も調査費をちょうだいして無公害車の開発を急いでおるのですか。それとも運輸省、この点に対してはどういうふうになっているのですか。
  87. 森口八郎

    森口政府委員 自動車の排気ガスによる影響を完全に遮断いたしますためには、やはり現在のエンジンを基本的に改良するという方法がもちろんあるわけでございます。やはり基本的にはガソリンを使わない動力を使うということが一つの方向ではないかということで、通商産業省といたしましては、本年度より電気自動車の開発を、いわゆる大型プロの一環として取り上げることといたしております。  この電気自動車の開発は、本年度の予算は四億五千万円でございますが、今後五年間にわたりまして、無公害自動車を目ざしまして電気自動車を開発するというプランでございます。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 ちょっと話が横のほうへいってしまって……。無公害車、電気自動車を開発中だというのはわかりました。これはいつごろできますか。
  89. 森口八郎

    森口政府委員 先ほど答弁申し上げましたとおり、研究開発期間は五年というように予定いたしております。
  90. 島本虎三

    ○島本委員 電電公社ではもうすでにそういうようなものを実用に供し、東京都内ではこれを使っているという話を聞いているのですが、あれは実用に供されないことなんですか。
  91. 森口八郎

    森口政府委員 確かに電気自動車は一部では実用に供されております。御存じのとおり、万国博覧会の会場におきましても電気自動車は使われておりまして、電気自動車というような形のものはすでにあるわけでございますが、これを現在走っております自動車のかわりに使おうということになりますと、やはりある程度のスピードが要求される。それからやはりある程度の走行距離を要求される。その他いろいろな条件を充足しなければいけません。現在あるような電気自動車が、直ちにいまのような市中を走っております自動車のかわりになり得るということはとうてい考えられませんので、そういうような点を考えて、現在の自動車にかわり得るような電気自動車を開発しようというのが現在通産省で考えております電気自動車の開発計画でございます。
  92. 島本虎三

    ○島本委員 それによって光化学スモッグは絶滅できますか。
  93. 森口八郎

    森口政府委員 光化学スモッグの原因は、自動車の排気ガスの影響によるものもございますし、その他工場におきましていろいろなものの燃焼に伴って生じます酸化窒素等の影響もございます。したがいまして、電気自動車の開発が進み、これによって現在の自動車が取ってかわられるということになりますれば、当然光化学現象の源をなします自動車の部分についてはなくなるわけでございます。相当大幅な改善が期待をされるというように考えております。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 窒素酸化物、これは車の排気ガスは三五%から五〇%くらいだ。それと工場からの排煙、煙突からのものが五〇%から六五%まである。炭化水素、これは車の排気ガスからは九八%から九九%くらいで、工場からのものが一%から二%だ。もうこういうようなものがわかっているのじゃありませんか。こういうものがわかっていたならば、それに対する対策というものは、まだやはりできないで、測定器だけが問題だというこういう段階なんでしょうかね。  それともう一つは、千葉県あたりでも対策要綱をつくったという報道があるのですが、これはもう広域であろうとなかろうと、それは観測するだけで対策はないのだということになってしまうわけですから、これは幾らそれをつくっても、何にもならないものをつくってもどうにもならないということになると、まことに心細いです。そうだったら学童を含めて老人、幼児、それに病人、弱い人は、この六月梅雨が明けて、光化学スモッグ発生の可能性が高くなったときには、一体どうすればいいのだという対策くらいできていないとだめなんです。厚生省はまずその対策を先に考えるべきです。それは原因がわかっているようでまだ十分じゃない。そのメカニズムの解明ができない。しかしながら、おおよそこういうようなことだということで、無公害車の開発をしたり、または自動車の排気ガスその他についての測定あたりも十分考えておられる。しかしながら、はっきりした原因、これは解明に至らない。千葉県その他新しく工業立地をし、これを発展さしていくような場所、また国もその指定をしている、国が基準をきめて、ちゃんとこれから公害を出してはならないというところでさえも、今度はこの光化学スモッグの規制はできないし、原因さえわからない。もう一回白紙に戻してやらなければならないという状態になるわけです。こういうばかげたことがありますか。どうもいまの科学陣営は、現象が起きてからあとを追っかけて歩いているようなところがある。科学技術庁ありとも対策はない。これではほんとうに困ったものだ、こういわざるを得ないわけです。  こういうようにして観測を広域でやろうと狭い範囲でやろうと、協力要請をすることはできても、拘束力がない。こういうことになると、県対県、県から市、県または市から各企業、こういうようにして、幾ら要請しても、それに的確に応じなくても何にもならないということになったら、これに対する対策はお手あげだということになってしまうじゃありませんか。逃げるしか能がないということになってしまうじゃないですか。これは大事なことです。厚生省は、老人、幼児、病人、学童、こういうようなものに被害がこれから予想されるわけですが、これに対する的確な指導方針ができておりますか。
  95. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 この光化学スモッグ自体は、いわば一つの気象状態と申しますか、天然現象でございますが、この形成に主要な関係を持ち、あるいはその原因と考えられる具体的な有害物質として、窒素酸化物あるいは炭化水素が問題になるわけでございますが、先般の大気汚染防止法の改正によりまして、従来規制の対象でございません窒素酸化物等も今後は政令に指定いたしまして、常時規制の対象にすることも将来考えておるわけでございます。また、こういう有害物質の健康に及ぼす影響もある程度はわかっておるわけでございますので、(島本委員「そうじゃなくて、老人や子供に対する対策をどうするのだというんだ」と呼ぶ)適切な措置を私どもは考えなければいけませんが、今回二十三条の緊急時の措置によって、一定の基準を政令で設けますと、それによりまして、たとえば注意報的な場合には、なるべく子供あるいは病弱者等は戸外に出るのを差し控えさせるような生活指導、それからまた、その事態が著しく行政命令の対象となるような事態になりますと、これは当然に交通規制が問題となってくるわけでございまして、法律に基づく措置あるいは行政上の生活指導、そういった措置と相まちまして、いまのような病弱者あるいは子供等に害を及ぼすようなことだけは絶対に避けたいというふうに考えておるわけでございます。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 意を得ませんが、運輸省、これはやはり東京の自動車二百万台を半分に減らさなければ光化学スモッグを押えることはできない、東京都の公害研究所でそういうように警告しておりますが、運輸省のこれに対するお考えを承りたいと思います。
  97. 隅田豊

    ○隅田説明員 運輸省といたしまして、大気汚染関係につきましては、車から出ますガスの排出規制を担当しておるわけでございます。現状、技術の段階が、先ほど先生の言われましたとおり、車の絶対量を減らさなければ大気汚染に対しての自動車の影響が低下しないということは、ある程度事実だろうと思います。世界的な技術のレベルを見ながら、われわれもできるだけこの低減につとめていきたいと考えておりまして、昨年の七月の審議会の答申によりました長期計画、一応この五カ年計画を持っているわけでありますが、当面の目途といたしましては、四十八年を目途といたしまして、炭化水素とそれから窒素酸化物を、ある程度現状より下げるということも計画しております。ただ、四十八年まで待てるかという問題も、われわれ自身も非常に問題があると思いますので、できるだけ技術的な促進をはかって、できる限りの繰り上げというようなことも努力していきたいと考えております。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 四十六年度に科学技術庁では特別調整費を検討中だというのだが、これをどういうふうに使って、そして光化学スモッグに対しての対策を行なわんとするのでしょうか。
  99. 小久保肇

    ○小久保説明員 一つは、まず光化学スモッグが何であるかを的確に把握すること、それからその発生のメカニズムを解明するということと、それからそのような汚染状況が人体にどういう影響を及ぼすか、さらには植物、そういったものにどういう影響を及ぼすか、そういうものの調査研究が今年度の目標になると思います。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、厚生通産、農林、労働省、これらに委託してやるということになりますか。
  101. 小久保肇

    ○小久保説明員 大体そういうことになるかと存じます。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうにしてやると原因の究明にはならないで、それぞれの部署の、労働省なら労働災害に限定され、農林省ならば農作物の災害に限定され、広範な一つの原因究明の手段にならないんじゃないかというおそれがありますが、いまのようなことをやって完全ですか。
  103. 小久保肇

    ○小久保説明員 その辺各方面の頭脳をお借りしまして、それを全体にまとめ上げていくのが私どもの仕事でございまして、十分統一的な見解もまとめ上げることができると考えております。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 先ほどからはっきりしないのだけれども、これはどうですか、最後にはっきりしておきましょう。この問題に対する所管官庁はどこになるのですか。
  105. 竹谷喜久雄

    ○竹谷説明員 現在のところ先ほど申し上げましたとおり、大気汚染防止法を所管しているところが一応所管省になるんじゃないかと考えております。御審議願っております環境庁ができれば、大気汚染防止法の所管が環境庁になりますので、その点ははっきりしてくるんじゃないかと思っております。
  106. 小久保肇

    ○小久保説明員 行政上、行政問題のほうは各省が、それを公害対策本部で調整するということになろうかと存じますが、事研究面につきましては科学技術庁が窓口になりまして、全般的な調整をはかっていくというたてまえになっております。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 もう少し詰めなければならない問題点があるのですけれども、時間がございませんので、最後に結論的にお願いし、委員長を通して今後この問題に対して、内閣自身に対して重大な一つの提言をすべき問題もあるんじゃないかと思います。もうすでに六月になります。御存じのように梅雨が明けますと、光化学スモッグ発生の可能性が一段と高くなってくる。いまこの内容を見ますと、研究段階であって、その原因のメカニズムさえも解明できておらないような段階である。ましてそうなりますと、一番弱いのは老人、幼児、病人、学童である。そういう者に対する対策も何回聞いてもいまだしの感が深いのであります。まだ、そのほかにその原因の一つであると思われている自動車、この自動車でさえもはっきりした対策がまだないし、五年後のことをいま言っているようであります。なかなかこの光化学スモッグに対する対策は不十分であります。私どもは所管官庁が厚生省であろうということだけであって、はっきりした断定もまだできないような状態であります。しかし、この内容法律ができても、どの法律によってこれを律するのか、こうなりますと、大気汚染防止法が一番大きい。そのほかにも、自動車関係であっても何であっても、もっとあるはずと思いますけれども、それらさえもまだはっきりしない。はっきりしないものはやむを得ませんが、今後この問題に対する解明を急がして、そしてこれから発生する、そういうような場合に人命や人の健康に被害がないように、十分この対策にも熱を入れてやるようにこれは当然要望しておくべきではなかろうか、こう思いますので、最後に、特に皆さんにはこれを強く要望すると同時に、委員長としてもこの問題は強く内閣のほうに反映してもらいたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問はこれで終わります。
  108. 小林信一

    小林委員長 委員長からもこの際申し上げますが、問題が問題だけに、きょう島本委員の質問に対し納得いくような解明がなかったかもしれません。しかも、この対策を立てるためには相当な時間がかかることも当然だと思いますが、しかし、現に先ほど問題になっておりますように、被害を受ける人たちには一日もこれは猶予してはならない問題であると思います。きょう答弁をされました方たちは、それぞれの立場で十分御検討、対策は立っておいでになると思いますが、責任の所在、研究体制の統一、もちろん対策の見通し、こういうものについては必ずしも質問者を納得させるようなものが私はなかったと思います。これはひいては、いかにしてきょうのスモッグ問題で国民に安心をさせるかという点できわめて遺憾だと思います。したがって、これは該当する大臣に直接究明し、きょうの質問の問題を十分理解をしてもらって、納得いくようなそれぞれの対策をとっていただくように願わなければならぬわけでございますが、きょう答弁をなさいました皆さんにおかれましても、私の受けた感じでは必ずしも統一されておらない。どうかもっと密接な関連の中で対策を講じていただくようにお願いしたいと思います。私からも関係大臣に要望するつもりでございますが、それぞれの所管の大臣にその旨をお伝え願って、十分その質問者の意を体していただきたいと思います。      ――――◇―――――
  109. 小林信一

    小林委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会において御協議いたしましたとおり、産業公害対策に関する件について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 小林信一

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十七分散会