○加藤(清)
委員 貴重な時間でございますので、ほんのわずかな時間をいただきまして二、三質問したいと思います。
職業病と
対策について質疑応答を承っておりますると、やはりまだまだ人間優先ではなくして産業優先である、それから
対策がたいへんにおくれているという感を深くするわけでございますが、この問題は、いまはこの国会の中だけだからよろしゅうございますが、いまや日本の
公害の出しっぱなし、たれっぱなしという問題は、世界がながめているのです。
公害の世界
会議が来月ですか、ワシントンでございますね。世界がながめている。この世界は、世界の地球環境を守るために、それを侵すものに対してはペナルティーをつけよう、特にその最たるものが日本である、日本は一般
公害のみならず、
職業病もそのままにして
生産第一主義である、エコノミックアニマルである、ゆえにこれに対しては厳重なるペナルティーをつけるべきである、その方法としては関税障壁をアップすべきである、こういう決議をしようとしている。ですから、いまや日本の産業を伸ばすことが必要だとあったとしても、
公害追放、
公害除去は、日本の経済が伸びるにあたって避けて通ることのできない関所であると考えないと、将来の発展は期することができないのではないか。
〔岡本
委員長代理退席、島本
委員長代理着席〕
人間優先とか人間尊重ということを、当事者の
公害発生者に言うてもなかなかわからないけれども、その
発生しておること、その事態を世界がながめて、そのおかげでペナルティーを課せられて、最終目的である販路を縮小されなければならぬというところを、通産省の方々は特に産業人に認識させる必要があると思うのです。そのことが先般改正されました基本法第一条に沿う行政官の第一の任務ではないかと思うのでありますが、その意味において私お尋ねするのでございますが、けい肺病の
対策はどうなっていますか。
ここにガラスがございますね、日本板、旭、セントラルはこの需要が伸びたおかげでどんどん伸びていますね。株価も高うございます。まことにけっこうです。しかし、その陰に自然は破壊され、けい肺病
患者は続々続出して、これが幾何級数的に伸び、これは
工場内に働く人のみならず、周辺の罪もない町の人までがこのけい肺病にかかっております。これは一体どうなっているのか。先ほど島本
委員が十年おくれておるとおっしゃられたが、十年はおろか、二十年はおろか、三十年も
対策がおくれているのじゃございませんか。私はけい肺病院をつくったほうです。御案内のとおり自分の郷里につくりました。これは
労働者はじめ、大蔵省その他の御協力を得たことについては感謝しています。いま満員ですが、御存じですか。第一種だけで収容し切れませんよ。一種、二種、三種、四種とございますけれども、永久になおらないのですよ。しかも、認定していただこうにも
労働者以外は認定できないんですね。そうでしょう。私は毎年三回、四回、ここへ慰問に行きます。ついせんだっても行きました。全窯連の方々が言うのですよ。お月さままで届くような技術があるのに、なぜ私らの
病気がなおらないのでしょうか、なぜ私
たちはガラス屋のもうけの犠牲にならなければならないのでしょうかと言うのですよ。文部省の
関係で、東大の演習林というのがある。この東大の演習林は砂防の演習林なんです。にもかかわらず、この膨大な地域は
公害発生の演習林になっておる。なぜか。その山を掘り起こして砂を取っているからだ。ここで流血の惨事が起きている。もうかるから山の奪い合いになる。それに通産省の連中までが参加しておる。東大の演習林の所長までがこれに参加しておる。もうてんやわんやです。こういう状況だから、そこから
発生するけい肺病
患者に対する
対策などは全然考えられていない。いわんや旭、日本板、セントラルの会社が、このけい肺病
患者に対して何かやってくれたか、全然聞いたことがない。見舞いにも来ない。それを十年や二十年はおろか、三十年もほったらかしてございますね。何ぞおやりになったことはありますか。将来何をやろうとしていらっしゃいますか。ここらあたりをはっきり承りたい。願わくば、未来永劫になおらない、行き先は墓場だと言っている人
たちに、せめても生きる希望を与えるようなことばなりとも与えてもらいたい。
労働省、通産省、
厚生省でどなたか見舞いに行かれた人がありますか。今度の健康保険その他の
関係で、ここの
患者の費用までがまた削られようとしておる。自前で行かなければならないようになっておる。自前の費用がふえている。だから健康保険改正反対というのは無理はないでしょう。そこらのところをどう考え、将来どうしようとしていらっしゃるか。これをおやりになることはエコノミックアニマルという世界の悪口を除去するゆえんになるではないか。
第二番目。もう時間がありませんから、全部言っちゃう。もう
一つ二十年もおくれておることを言います。ポックリ病というのを御存じでしょうか。胸しぼり病というのを御存じでしょうか。通産省に聞いてみよう。どういう
病気です。
公害部長、これだけ答えてください。何が原因で、どういう
病気か。