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1971-04-27 第65回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十七日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 小山 省二君 理事 始関 伊平君    理事 古川 丈吉君 理事 山本 幸雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君 理事 寒川 喜一君       木部 佳昭君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    林  義郎君       藤波 孝生君    阿部未喜男君       加藤 清二君    土井たか子君       古寺  宏君    谷口善太郎君       米原  昶君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         通商産業省公害         保安局公害部長 森口 八郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   米原  昶君     谷口善太郎君 同日  辞任         補欠選任   谷口善太郎君     米原  昶君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定工場における公害防止組織整備に関する  法律案内閣提出第一〇一号)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定工場における公害防止組織整備に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 きのうはこまかく政令の問題について疑点をただして、今回は、その総体的な政令の、または省令の規定見込み事項、こういうようなものに対して、提出があったわけであります。それをもとにしてまた若干の質問を展開することに相なりますが、この法律をつくるに至った根本的な一つの要因をなしている産業構造審議会産業公害部会二月十六日の答申案、これは中間報告ということで出されておりますが、そのうちの、昨日も申し上げましたとおりに、法律部分になったのは、これはI、II、そのうちのIIの「産業公害防止体制確立のための方策」、これまた「企業内産業公害防止体制整備」これが1。2は「公害防止のための事業者間協力推進」、それから3は「国および地方公共団体による指導体制整備」、こういうようにそれぞれあるわけであります。その1のうちの(2)、これが「工場における公害防止体制整備」、こうなっておりますが、法律になったのはこの部分だけであって、そのほかの部分はほとんど取り入れられておらない。この件について指導体制強化するとか、いろいろな答弁がきのうあったわけであります。しかし、実際は全部が中間報告であり、全部がいわゆる答申案内容ですから、もし法律にした部分、これがIIの1の「企業内産業公害防止体制整備」、このうちのまた(1)の「工場における公害防止体制整備」、これだけやったということは、そのほかの部分は全部これに対しての手当て、またこれに対する方針、こういうようなものをはっきりしておかないと、答申は尊重するということでありますけれども、尊重することにはならないわけであります。第一番の「問題の所在と経営理念転換緊要性」、それから第二の「産業公害防止体制確立のための方策」、その1の「企業内産業公害防止体制整備」、それから2は「公害防止のための事業者間協力推進」、3は「国および地方公共団体による指導体制整備」、こういうようなことについてやはりきのうの答弁は一応聞きました。しかし、それはほんの答弁ということに値しないような普通の形式的な答えであります。むしろ、内容がほしいわけであります。この答申の中には、一読してみてもなかなか意味の深長なものも入っておるわけです。したがって、現行制度の中にこれを取り入れてやっていくのか、また、そうでなければ今後必要である場合には、法制化または制度またはそのために必要ないろいろの委員会、こういうようなものなり制度をつくっていくということも当然必要になるわけです。そういうようなものに対しては、善処するだけじゃちょっとわからぬのです。したがって、いま法律案になったこの部分以外のこの答申に対しては、今後具体的にどういうふうにしていくのかということをもう一回明確にしておいていただきたい。この答申案目次のところにありますから、この目次によってひとつ答弁願いたいと思います。
  4. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 IIの「産業公害防止体制確立のための方策」のうち、1の「企業内産業公害防止体制整備」、(1)の「経営における公害防止意識徹底」というようなところでございますけれども、これはマインドの問題でございますので、やはりこの二ページに載っかっております「事業者は、内部からの自発的な意志によって公害防止に取り組む積極的な姿勢を確立することが最も肝要である。」というようなことで、やはり通産省といたしましては企業内にスタッフシステムとか、ラインシステムとかいうシステムをつくっていただいて、公害体制にしっかりしたものをつくっていただく。それから企業がはっきり公害防止マインド徹底をしていただくというようなことを行政指導的に考えていきたいということでございます。  それから二番目の「地域事業者間協力推進」でございますけれども、これは公害防止事業団その他ございます。それからいま上程されております農村地域への工業導入計画などには、ぜひ公害の出ないように、やはり地域をちゃんとしていただくというようなことを行政指導あるいは予算措置などでやっていただくということでございます。  それから最後に、「国および地方公共団体」、これはやはり税制上あるいは金融上通産省といたしましてはそういう助成措置をしなければいけない。また研修会なども積極的に行なっていく。特に中小企業に対しては非常に負担も大きいということで、今回の、昨日指摘がございました政令等において特別な指導をさせていただきたいということでございます。  ですから、この答申中間報告の中で、一番法律として具体化する、また一番重要なことは、工場における公害防止体制整備ということが、公害防止に非常に積極的につながる問題でございますので、先生のおっしゃるように、確かにこの点がクローズアップされて前面に出ておりますけれども、ほかの点を通産省としては忘れているわけではございません。特に工場における公害防止体制整備ということが直接公害に結びつくところでございますので、その点に一番留意し、また法制化に留意いたしましたけれども、ほかの点を全部忘れているということではなく、今後ともそれに対しては鋭意積極的に努力する所存でございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 きのうは悪臭防止法が通過いたしました。この「特定工場定義」の中に、「「特定工場」とは、ばい煙発生施設汚水等排出施設騒音発生施設又は粉じん発生施設を設置する工場政令で定める要件に該当するものをいう。」悪臭についてはこの場合は全然取り入れないのですか。
  6. 莊清

    莊政府委員 法律の策定にあたりまして、御指摘悪臭につきましても厚生省から御提案申し上げておりましただけに、両省間で十分検討いたしたわけでございますが、今回の通産省提案法案では、公害防止体制整備につきまして、やはり公法上の利用者に対する義務ということで義務づけをする。そのために一定責任者専任届け出罰則で担保した形で強制をするという法律上の制度にしたわけでございます。したがいまして、法案にございますように、大気汚染以下四つ典型公害を取り上げたわけでございますけれども、いずれも現在の法制におきまして、それぞれの取締法令におきまして特定施設制度をはっきりとりまして義務者というものを確定しておる。そういう確定した義務者について、今回の法律組織整備をさらにもう一段促進するということが、現状においては最も適当ではないかと判断したわけでございます。  それでは御指摘悪臭については、悪臭防止技術現状とか、あるいは行政指導体制現状等から、厚生省からも御答弁がありましたように、今回は、特定施設制度はまだ法律上若干無理だということで、悪臭防止法案の中にもついに入るに至らなかったわけでございます。したがいまして、今回われわれの法律のほうでも、それとの見合いにおきまして、一応悪臭ははずしておりますが、将来行政指導体制整備され、さらに防止技術というものも現在以上に確立してくるということで、悪臭問題に対する政府の施策というものがさらに一段も二段も強化されなければいかぬ。これはもう厚生省通産省も一致した当然の考えでございます。それに見合いまして、われわれとしても防止体制のほうについても当然前向きに将来は考えていかなければならないだろう、こういう判断で一応現状の形で御提案申し上げた、こういうことでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 よくわかりました。その答弁の範囲はわかったのです。ただ、基本法による典型公害七つです。これは何人といえども犯すべからざる公害なのです。典型公害をはっきりきめていながら、特定工場定義の中に典型公害を全部取り入れない、こういうようなことは少しおかしいじゃないですか。技術的にむずかしい、いかに技術的にむずかしくても、これはとれるのだということをちゃんとカッコして入れておいてもいい。これをやらないで、三つか四つにこれはもう限定してしまった。少なくとも典型公害として公害対策基本法の中でいっているものは、これは全部出してはならない公害で、それを七つにまとめてあるはずなのですから、その七つ典型公害の全部が、これはやるものに対して当然特定工場の指定をしておかなければならぬじゃないかと思うのですが、これに対してはどうして入れないのですか。入れないことはいいことなのですか。入れないことに対しては、典型公害七つ基本法にあるのですが、そうすると、この法律基本法無視ですか、どういうことですか。
  8. 莊清

    莊政府委員 この法律は、昨日も御答弁申し上げましたように、基本的には公害対策基本法第三条(事業者の責務)という包括的な規定に基づきまして、そこから、その精神に発して政府としては御提案申し上げておるつもりでございます。それで、いま御指摘のございました典型公害のうちで、あと振動がございます。それから地盤沈下、こういうもの、それから悪臭と都合三つあるわけでございます。振動につきましては、現在のところまだ法的な規制というものが全く行なわれるに至っておらないというふうな状況でございますし、地盤沈下につきましては、工業用水法あるいはビル用水法によって地下水のくみ上げが規制されておるわけでございますけれども、この地盤沈下の場合には、どの地域について法の規制をかけるか。それから規制地域についてはどういう大きさの井戸だけを認め、それ以外のものを禁止するかということによって、地下水のくみ上げ量というのは明確に量的にきまっておるわけでございまして、それによって地盤沈下というものがどこまで防げるかということが明確になってくるということでございますので、したがいまして、大気汚染とか、あるいは水質汚濁のように、特定工場がございまして、いろいろな形で生産活動が行なわれる、生産設備などもふやされる、あるいは生産工程も変わる、それに従ってまた別の公害が起こってくるというふうな生産工場の実態とは相当趣を異にしておるのじゃないか。地下水については、法の規制をいかに前向きにきちんと行なうかによって勝負がきまってくるという意味で、しいて個々の工場井戸のくみ上げについての管理者を置かせる必要性が非常に薄いのではないかというふうな判断から実は省いたわけでございまして、われわれ管理者制度を置くことが正しくないとか、間違っておるとかというふうなことで、われわれは振動とか、用水のくみ上げについて、そういう意味ではずしておるわけではございません。最も緊急度の高いものからやっていきたい。その精神は先ほど悪臭について申し上げたと同じでございまして、立法基本姿勢というものは、今後全般公害規制整備強化に伴ってこの法案自体についても、やはりそれに応じて前向きに考えていく、その姿勢は同様でございます。
  9. 島本虎三

    島本委員 やはり典型公害として、公害対策基本法にあるものはすべてそれをやってはいけないし、出してはいけないし、そういうようなことによって国民に被害を与えてはいけない。これがいまの場合は七つあるのです。それに類するものはまだあるのですが、ただしそれは、単独立法によって行なわれているけれども、やはり廃棄物の問題なんかあるのです。それから土壌汚染、こういうような問題等もまだまだあるのですから、そういうふうにして見ると、やはりそれ全部を発生させるものについての規制が必要だ、これは当然じゃないかと思う。いまいろいろくどくどと言いましたけれども、地下水くみ上げの量がきまるといったって、たとえば新潟にある工場で、地下水といっても、それをくみ上げておいて、それは天然ガス水溶性ガスですよ、それをすぐくみ上げることによって、そのまま輸出用の肥料にすぐつくり上げているでしょう。そういうものをうんと上げているから、したがって、地盤は沈下している。こういうようなことで、いろいろ地盤沈下に対する対策も練られているとすると、それをうんとやること、また一定の量以上にやることは当然公害を引き起こすことになるから、そういうようなものに対する規制考えなければならないはずじゃありませんか。そういうようなものに対してはやらなくてもいいというような理由は、おそらくないはずじゃないかと思うのです。  それと、悪臭についても、もうすでにこういうようなものは問題になっていますから、典型公害に対しては将来どういうように考えていくのか。  それから、いまの場合、地下水なんかの場合は、量によってきまる、なるほどうんとよけいやると地盤沈下原因になるというのは、新潟ではっきりしているのです。ですから、そういうような問題に対してはやはり管理する必要があるのじゃないか。  典型公害七つについてこれからどうするのか。それから、いま漏れている地盤沈下原因になる地下水のくみ上げ、これによって生産活動を展開している工場があるのですから、それを無制限にやらせるということは一方的な工場擁護じゃないか、こういうようなことになります。ならなくてもそのそしりは免れません。これはやはり不公平じゃありませんか。この点について通産省の御見解を承ります。
  10. 莊清

    莊政府委員 企業内の防止体制整備につきまして、一般的な指導ということはもちろん大切でございますが、法律上特に重要な分野については、罰則つき義務を課するという考えでやっておるわけでございまして、今後悪臭等につきましても、先ほど申し上げましたように本法の中に取り入れて、体制整備をするにふさわしいような悪臭防止法制等整備が行なえ得るようになりましたならば、このためには技術開発等もたいへん大切だと思いますが、その時点におきましては、私どもも積極的にこの中にやはり取り込むべきものである、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、地下水の問題でさらに重ねて御指摘ございましたが、新潟のような場合でございますと、天然ガスのくみ上げ、それに伴って水も一緒に上がってくるというふうなことでございます。これは御案内のように、天然ガスの採取でございますから、鉱業法適用があって、その事業場については、鉱山保安法によりまして保安鉱害規制が現在行なわれているという状況でございます。鉱山保安法では保安及び鉱害防止の両方の目的から、保安統括者制度管理者制度というものがすでに以前から実は行なわれておりまして、新潟の場合にも同様でございまして、鉱山保安法に基づく管理組織というものが整備されておる、こういう状況でございます。
  11. 島本虎三

    島本委員 では、保安法によって地下水は幾らくみ上げてもいいようになって、これは本法適用の外である、こういうようなことになってしまうのですか。地盤沈下典型公害です。その原因になっている一つとして、水の中にまじった天然ガスをくみ上げるのですから、地下水をくみ上げることになるのです。そういうような場合には鉱山保安法によってこれは守られて、本法適用を受けないのだ、こういうようなことに読みかえるように聞こえたのですが、そうなってしまうのは一方的な業者擁護じゃありませんか。地盤沈下してもいい、こういうようなことになってしまうじゃありませんか。
  12. 莊清

    莊政府委員 説明が不足でございましたので、新潟の場合、追加さしていただきますと、鉱山保安法に基づきまして鉱害監督天然ガスの場合やっておるわけでございますが、天然ガスのくみ上げ事業自体鉱業でございまして、鉱業法によりまして、事業実施については施業案を定めるとか、全般的な規制を受けておるという点では鉱山そのものと同様でございます。天然ガスのくみ上げの場合にも、非鉄金属等鉱山と全く同じように、事業実施全般について鉱業法上の強い規制を受けております。天然ガス新潟の問題がやかましくなりましてから鉱業法規定に基づいて施業案等認可制になっております。したがいまして、ガスそのもののくみ上げ制限というものを地域的に順次行なってきたわけでございまして、近年は地盤沈下も非常に減ってきておるというのが実情でございます。それで天然ガスそのもののくみ上げ制限を、別途鉱業法に基づいて、事業に対する規制という形で行なっておりますので、当然にそれに伴って上がってくる水の量についても、その場合に制限を課しておるということで、鉱業法の体系で、きわめてきつい制限がこの事業に対しては課されておる、こういうことでございます。  なお、管理者制度につきましては、鉱山保安法のほうで井戸ごと管理者制度が置かれておる。これははるかに以前から鉱山保安法で設けられておる。鉱業法鉱山保安法の二つの法令によって、むしろ一般事業よりもきつい全面的な規制が行なわれておる。したがいまして、少なくとも法制的には相当整備されておりまして、問題はその地盤沈下を来たさないよう、その運用を十分に今後とも注意してやっていく、こういうことが政府として大切なことではないかと考えております。
  13. 島本虎三

    島本委員 本法できめられているこの内容程度のもの、こういうようなものは保安法できめられているから、たとえば公害防止統括者公害防止管理者公害防止主任管理者及びこれらの代理人、こういうようなものについては保安法できめられてある、したがって、本法以上の規制保安法でやっている、やっているからここに載せる必要はこの場合はあり得ないのだ、こういうふうに理解していいのですか。
  14. 莊清

    莊政府委員 法律のつくり方として申し上げます限りではそのとおりだろうと思います。ただ、先生指摘のように、公害をなくすために政府というのは一体どういうふうに公害防止体制整備さしていくべきかという政策的な点につきましては、これは全くどの法律であろうとその考え方は同じでなければならぬと思います。  地盤沈下につきましても、地域によりましては非常に大きな鉱害に過去からなっておるわけでございますから、鉱業法あるいは鉱山保安法規制対象となり、そちらのほうの法体系で別途体制整備さしておる場合につきましても、本法の施行と全く同じ精神でまた前向きにやらなければならない。この点は産業廃棄物などの取締法などについても全く同様であろうと思います。今後そういう点については公害対策地盤沈下問題等も含めて、環境庁のほうでそれぞれ各省に対して指示もされ、指揮もとられるということでございますので、通産省としてもそういう考え方地盤沈下もいろいろやっていく、こういう方針でございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 まだその点でははっきりしない。たとえば鉱業法がある。鉱業法には無過失賠償責任もある。それから鉱山保安法がある。したがって、その中でこれらの企業法ははっきり鉱害防除に対しても規制しておる。それを、鉱山保安法にもこれがあって、保安鉱害防除も中にあるのだ、こういうようにあなた言っているわけですが、そういうふうにはっきりここで確認しておいていいのですか、保安法の場合。
  16. 莊清

    莊政府委員 鉱山保安法は第一条の目的、それから定義のところでもはっきりと人命等に対する保安と、それから外部に対する鉱害防止ということが本法目的であり、本法保安ということは、二つ含むものだということが立法当時から明確に明文をもって示されております。
  17. 島本虎三

    島本委員 それほどまでに完全な法律があるのに、なぜ鉱山がああいう事故があったりそのあと始末にばかりあなたたちが追われなければならないのですか。法律がそれほど完全であって、それほどりっぱであるのに、この特定工場における公害防止組織整備に関する法律案、これ以上のきびしい規制がある法律がもう適用されている鉱山に、これだけの事故ができたり、人命損傷を来たしたりしている、なぜそれを阻止できないのですか。これをはっきりうたってあっても、何か欠陥があるはずです。それがどういう欠陥鉱山保安法があっても事故が絶えないのか、これについてはっきり解明してください。
  18. 莊清

    莊政府委員 鉱山保安の場合特に問題になりますのは、石炭鉱山ガス爆発等事故による人命損傷だろうと思いますが、保安なくして生産なしというスローガンで、これは石炭鉱業経営者労働組合一体になり、政府がまた監督官鉱山に出しまして監督するということで、かねてから非常に力を入れてきたところでございますが、何ぶんにも地下資源産業というものは地下でどんどん深いところに掘っていく、条件の悪いところに掘っていく、これは、労使もいま石炭鉱山が爆発しますと、会社はつぶれてしまうといわれるほどの問題意識を十分に持ち、たいへん努力をいたしております。それで鉱山監督官のほうも命がけで山の中に入ってしょっちゅう監督しておるわけでございまして、最近では事故の件数及び一年間の死傷者の数も相当に一時よりも実は下がってまいっております。申し上げましたとおり、地下資源産業特殊性から、ますます自然条件の悪いところへ悪いところへと採掘現場が移行いたしますので、事故が多発する可能性があるわけでございます。これを年々現状以下の水準まで下げていくという努力を今後とも官民一体となってしなくてはいけないと思います。おそらく先生のただいまの御指摘は、それだけ保安のほうはやったとしても、公害の関係でカドミウム公害等がどんどん起こっておるじゃないかという御指摘だったと思います。昔から鉱山排水等によるいわゆる金へん鉱害というのがいろいろあったわけでございますが、近年監督強化と、それから鉱山自体設備投資の伸展によりまして、普通の意味鉱害はだいぶ減ってまいったわけでございますけれども、従来全く意識しておらなかったカドミウムによる汚染ということがここ二、三年はっきりしてまいりました。これが過去何十年にわたって実は蓄積もされておったということで、現在新規のカドミウムは極力出さない、絶対基準に合格させるということで、全国の鉱山ほとんどが大体基準を満足できる状態になってまいったことでございますし、政府としても蓄積公害、すでに出てしまったものについては汚染防止法等によって前向きに対処していくという体制をようやくとったところでございます。決してきつい法律があるから事故鉱害がなくなるというわけじゃございませんで、申し上げましたとおり、その精神を踏まえて前向きに努力をするということなくしてこういう成績はあがらないわけでございます。今後とも鉱山保安鉱害とも非常に問題業種でございますから、従来以上に十分監督指導し、助成をして成績をあげるようにしなければならないと考えております。
  19. 島本虎三

    島本委員 少ししつこいけれども、鉱業法には無過失賠償責任もあって、それから鉱山保安法、これは本法の基礎になって、鉱山保安法のような運営をする法律なのです。この鉱山保安法は、これの適用を受けているいろいろな地盤沈下を起こす原因と思われる工場、こういうようなのは鉱山保安法があるから、したがって、そういうようなところに対してはりっぱにもう規制しているから本法適用がなくてもやっていける、こういうように言われるのです。それまではわかるのです。なぜそれならば、この基礎になるりっぱな鉱業法鉱山保安法というようなものを適用されている鉱山または炭山、こういうようなところに事故が絶えないのか、その事故が起きる原因についてはっきりしてみてください、こういう質問だったのですが、いまあなたはそんなことをくどくど言っているけれども、これはあなたの答弁では条件が悪いからしようがないんだということになるのですよ。カドミウムはいままで全然わからなかったのだから、指導してなかったから出ているのはしようがなかった、今後は指導しますからその点はよろしく、こういうようなことですよ。そうしたならば、山の点はこれほどりっぱな法律規制されながら、ガス爆発とか、こういうようなものが絶えない。地下資源がだんだん条件が悪くなっている、したがって、事故の件数が減ってきている、だんだん減らす。なぜ皆無にできないのだ。今度のこの法律ができても、これはわりあいに減らすだけであって、皆無にするという法律じゃないのですか。この辺が私どもとしては少し疑念があるのです。これは初めからやむを得ないんだという考えではだめです。いまの答弁は納得できない。そうした法律をつくっても何にもならぬということになってしまう。
  20. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。  先生も御承知のように、鉱害については、昨年でしたかことしの初めでしたか、砂川のガス爆発がございました。こういうようなことで再三再四鉱山保安徹底してやったこともございますし、その後ほとんど事件が出ておりません。  私は、鉱山保安法あるいは鉱業法においてそういう人的なものについてはもっと保安徹底して総点検その他を指導していかなければならないと考えますし、いま局長からお答えしましたようにカドミウムのような新しいものがあって、相当公害があったことは事実でございますけれども、今後ともそういう公害については鉱業法その他等で徹底して取り締まっていかなければいけない。公害が少しでも出ることはいいことではございません。そういう意味で絶対出させないという体制で今後ともやっていく所存でございます。
  21. 島本虎三

    島本委員 やはりその辺だと思うのです。ところが鉱山保安法または鉱業法なんかの適用を受けてより一そう厳重にやって、これは鉱害さえも規制する、事故さえも、人命さえも保全するための法律である。その中にはもし起きた場合に、被害を与えた場合は無過失損害賠償責任さえはっきりしている、こういうような法律でやっていながら事故が絶えない、人命損傷が絶えない。それには何か欠陥があるのじゃないか。今度この法律実施するにあたっても、そういうようなところをはっきりしないと、やはり事業そのものは法律があっても、この中に責任者ができておっても、依然とたれ流しが存在するということになりかねない。その根本的な法の原本である鉱山保安法やまた鉱業法、こういうようなものについて見ても、これをきびしく適用されていても、事故はだんだん減ってきているけれども依然として絶えない。そうなった場合には、これだって適用したら事故は減るかもしれぬけれども、公害はやはりたれ流しがあるんだ、こういうようなことが当然考えられる。そういうような甘い運営ではだめだ、甘い適用ではだめだ、こういうように私はいま考えてりつ然としたわけであります。通産省から出すからといって、そういうことであってはいけない。この点は厚生省のほうではどういうふうに考えておるのだ。
  22. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 たいへんお答えしにくい御質問でございますが、一応鉱山保安法内容については、私どもはそれなりの評価をしております。
  23. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 島本先生の御質問、私ごもっともだと思うのでございます。  公害防止するということは何かというと、やはり労使とも公害防止徹底するという精神訓練が一番重要なことで、その上に施設その他が乗っかってこなければいかぬ。私、通産省としても、やはりそういう公害防止マインドというものの趣旨に労使が徹底する、企業にも、ほんとうに徹底するような形で今後とも指導していかなければ、公害防止というものは少しも前進していかないのではないかという考え方であります。
  24. 島本虎三

    島本委員 じゃ、これは詳しく政令できめられております。省令でもきめられるでしょう。そうすると、公害政令できめられたとおりやったならばこれでよろしい、いわゆる法にきめられたとおりにやると、これはいかに公害を出しても免責になるのですか。この点をまたひとつ念のためにはっきりしておいてもらいたい。政令もできた、省令もできた、これできまった、管理者も、公害防止統括者も置く。そのもとに今度公害関係の発生施設、そういうようなものの運営等についてもちゃんと見ていく。それから今度は排出物であるとかいうようなものの規制もちゃんと見ていく。そのほかに公害防止管理者というような人も、それぞれ燃料その他の選択も行ない、ばい煙の量もいつもちゃんと見ていく。なお、今度は公害防止主任管理者、こういうのも設定されている部分については、それぞれのきめられたとおりにやっていく。やっていったならば、それから発生されたものがまた住民の指摘を受けてもこれは公害とはいえないんだ、なぜならば法できめられたとおりやっている、したがって、知事からも解任もされない、やっている以上りっぱなんだから、この工場から出されたものは公害といえないのだという、いわば免責機構になるのかどうか。
  25. 莊清

    莊政府委員 この法律できめられた社内の体制をつくっただけで、形があれば免責になるというふうなことでは絶対にございません。この立法精神自体が、事業者というのは公害をなくさなくちゃいけない、そのためにあらゆる努力をしなければならない、国の規制法を当然十分に順守しなければならない、排出基準も守らなければならないという基本前提に立って、それを事業者努力してやっていくためには、これだけの責任体制というものがなければなかなかやれないのじゃないか、こういう責任体制義務づけたほうが、事業者努力というものが全体として実を結んで、法を十分に順守できるというところにいくはずだということで、公害防止対策の一助としてこういう義務づけを新規に行なうことにしたわけでございます。  したがいまして、いかに管理者制度等を一応つくっておりましても、排出基準に現に違反しておるというふうな工場がございましたら、その会社はあくまで大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に対する違反工場であります。そういう意味におきまして、そういうような法に照らして、責任者が厳正な処断を受けていくということには何ら変わりはございません。  なお、その場合において、管理者に責任があるということになれば、知事のほうでも解任の余地もあるというような規定も念のためにさらに設けておるということであります。形をつくらせることを目的にした法案では絶対にございません。
  26. 島本虎三

    島本委員 そこで、内容はだいぶわかってきました。  それで、公害防止統括者の解任命令、これも都道府県知事は、公害防止統括者公害防止管理者公害防止主任管理者またはこれらの代理者が、本法または他の公害関係の法令に違反したときには、特定事業者に対して、これらの者の解任を命ずることができるんだ、こういうようなことになっていますね。そうすると、結局解任するということは、責任をその人たちに負わせることであって、結局社長や専務や、それら高級幹部は何の責任もないんだ、解任されるのはその人たちだけで、上のほうは責任ないんだ、こういうようなことになってしまうのかどうか。  それと同時に、解任というのは解雇になるのかどうか。解雇ではない、ただ解任は社内だけの人事なんだ、こういうようにするのならば、それに対する罰則はどうなのか。これについてひとつ解明しておいてください。
  27. 莊清

    莊政府委員 まず解任が解雇であるかどうかという点でございますが、第七条第二項をごらんいただきますと、解任された場合には、解任の日から二年間は責任者としての地位につけないということでございまして、二年間管理組織から排除するということでございます。したがって、解雇ではございません。ただ、ある企業で排水の関係で、排水規制法の違反があったという場合、よく調査しますと、その責任者はまさにその工場長である。もし告発されるならば、その工場長こそ告発さるべき人であったというふうな事態がございます場合、その工場長というのは第十条の対象になってくる、こういうことでございます。同じ事件の場合に、よく調査してみると、やはり本社の設備投資なら設備投資に責任のある担当の重役が、本件の実質的最高責任者、告発されるとすればまさにその人が告発されるべきケースであるというふうな事態もございましょう。そういう後者のような場合には、第十条の適用におきましては、工場長という人が責任を負うわけではない。あくまで大気汚染防止法等取締法によって、本社のその重役が訴追をされるべきである、責任を問われるべきである、こういうことでございます。
  28. 島本虎三

    島本委員 公害罪処罰法がまあできました。そういうようにして、公害罪処罰法の適用をもし受けなければならない状態になった場合に、これらの公害防止統括者公害防止管理者公害防止主任管理者及びこれらの代理人、これと公害罪処罰法との関係はどうなるのですか。
  29. 莊清

    莊政府委員 公害罪の法律で起訴されるべき人、それとこの法律での統括者または管理者の地位にある人というのが一致をする場合、工場長が公害罪の法律でも責任者に該当するというふうな場合がございますと、公害罪のほうでその工場長は当然責任を問われまするし、今回の法律の第十条でもその工場長が責任者になる。公害罪に該当するような事態が起きて、たとえば排水とか何かで死傷者が出たというふうな事態がございましても、その事件については公害罪で責任を問われるべき者は工場長以外の人である。たとえば先ほど申し上げました、本社の責任者がむしろ責任者として、公害罪法で罰せられるべきであるというふうな場合もございます。そういう場合には、公害罪法で起訴されるのはあくまで本社の責任者であって、工場長でないわけでございますから、第十条の適用においても工場長というのは一応関係はない、厳密に法律的に申しますとそういうことになるわけでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 公害罪の処罰法は、両罰規定になっています。結局、やった当事者と、それから法人が罰せられる。その当事者とは、こういうようにそれぞれきめておるのですから、これらの人が当事者になるのか、それともそこで働いている人、こういうような人がなるのか。これもきめられている以上、これらの人が責任あるということになれば、公害に関するすべての責任はこれらの役職に任命された人にあるのだ、したがって、これらの人はその対象者なんだ、こういうようなことですかと言うのです。それでないと、働いていながら、公害を排出した当事者がやられることになる。当事者とは何なんだ、こういうようなことです。これをはっきりしないと困ります。
  31. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 当事者と管理者は必ずしも一致いたしませんし、統括者がこれを知っていてやれば、これは当事者の違反に、処罰の対象になると考えます。しかし、統括者あるいは管理者が、それを再三再四会社あるいは会社の経営者に対して施設その他の改善を要求してもやらない場合においては、やはり経営者自身が、あるいは会社自身が処罰の対象になるということでございます。よろしゅうございますか。
  32. 島本虎三

    島本委員 第三条第一項ただし書きの「政令で定める要件」、これは従業員二十名以下の小規模企業者等を考慮している、こういうようなことですか。この従業員二十人以下、この根拠はどこにあるのですか。
  33. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これは基本法に、やはり中小企業規定の中で二十人ということで大体定めてありますので、それを統一して二十人ということにいたしました。
  34. 島本虎三

    島本委員 その基本法中小企業基本法ですか、労働基準法ですか、それから公害対策基本法ですか。
  35. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これは中小企業基本法でございます。
  36. 島本虎三

    島本委員 これは中小企業近代化促進法では、中小企業基本法も同じであるけれども、業種によっては従業員数の特例がそれぞれ別々にきまっているようですね。こういうような特例なんかも全然見ないで、これは二十名以下、こういうようにはっきり言ってこれは実施上そごを来たしませんか。
  37. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これはきのう先生から御要求がございましたので、急遽徹夜で作業いたしまして、こういう一般例を書いただけでございますので、この点についてはもう少し検討をさせていただきたいと思っております。
  38. 島本虎三

    島本委員 それは具体的に検討したほうがいいと思います。二十名以下、まあけっこうなんです。しかし、この同じ法律によってでも、同じ中小企業関係の法律でも、これはみんなばらばらなんです。ばらばらと言うよりも、たとえば中小企業近代化促進法、この中には、陶磁器関係は九百人、ゴム関係は九百人、鉱業関係者は一千人、伸銅品関係は五百人、これはいろいろ関係する範囲も業種によって違うようです。一がいに二十人といっても、二十人は小規模でしょう。しかし、同じ小規模といっても、それぞれ金を貸すほうの小規模になると、その範囲がまた変わっているのです。ですから、これは規制されるほうですからこれでいいんだということになると何ですけれども、やはり中小企業は金融を受けながらこれはもう施設をしていくので、その場合には何か合わせるものさしがなければならない、こういうようなことになるわけです。労働基準法でもなく、公害対策基本法でもなく、中小企業基本法によった、こういうようなことですから、大体小規模企業の範囲はわかりました。他の法令の関係をもう少し綿密に調べて、この辺の融資関係をあわせて、そごを来たさないように、もう少し政令関係にはてこ入れしてからほんとうは法律案を出すべきなんですよ。それをやらないで、法律だけを通して、あとから自分だけゆっくり楽しもう、こういうようなことを考えるからだめなんです。こういうようなことだから、ちょっとやられても準備不足が露呈してくる、こういうようなことじゃないかと思います。  ことに中小企業金融公庫法によると、——ここから借りるんでしょう。これでは中小企業基本法に比べて、鉱業は千人以下になっていますが、二十人と千人ではだいぶ違います。そういうようなことからしても、だいぶこの辺の政令関係に対してはもっともっと考えたほうがいい。  それから中小企業等協同組合法、これによると事業協同小組合の組合員、いわゆる零細企業といわれる小企業、こういうようなものに対しては従業員五人以下、こうなっていますよ。ですから五人から千人までの間、二十人を中心にとっていいのか。これはもっと血の通う政令にしないとだめです。ちょっと見ただけでこれだけ指摘される。専門家がそろっていながら、こういうようなことに対して準備不足であるというのは、準備不足な法律案を出して国会を通してしまうということは、国会無視です、軽視です。もう一回これは皆さんのほうで練り直して持ってこい、こう言っても差しつかえない。(「そうはいかぬ」と呼ぶ者あり)せっかく審議中ですから、これはもうそうはいかぬでしょう。  商工会の組織等に関する法律、これは小規模企業基本法と同じことになっています。それから小規模企業共済法、これも二十人で同じであります。それから中小企業退職金共済法、これは三百人以下になっています。それぞれ違っています。これあたりはもう少し具体的に、運用面とあわせて、この数はこれ以下なんで、これで縛るのがいいのか悪いのか、諸法令とあわせてもっと十分検討したほうがいい、これだけはっきり申し上げておきます。  それと、施行期日については、公害防止責任者の選任に関する規定は、公布の日から一年三カ月経過後に施行するとあるのはどういうことですか。この猶予期日については、悪臭防止法でもこの点が一つ問題になったんですけれども、一年三カ月という根拠は何ですか。一年といえば十二カ月、一年三カ月というのはちょっとはんぱじゃないですか。このはんぱの根拠は何ですか。
  39. 森口八郎

    ○森口政府委員 本法によりまして、各企業公害防止管理者を任命しなければいかぬことになるわけでありますが、管理者自体は国家試験を通った者、または資格を持つ者に限定されるわけでございます。したがいまして、各企業公害防止管理者の資格を持つ者を確保しますことはなかなか困難なことでございまして、私どものほうでもいろいろの経過措置は当然講ずるわけでございますけれども、願えますれば、この経過期間のうちに、実は国家試験を二度実施いたしたいというように考えておるわけでございます。二度実施いたしますれば、所要の公害防止管理者の人数が確保できるというような見通しのもとに、いま先生おっしゃいましたような非常にはんぱな日にちではございますけれども、一年三カ月というような猶予期間を置いたわけでございます。
  40. 島本虎三

    島本委員 二回やるのは、一年三カ月で二回ですか。一年ごとにやったら一年と三カ月で一回しかできないじゃないですか。それともいますぐやって、この期間中にもう一回やって二回なんですか。
  41. 森口八郎

    ○森口政府委員 二回目の試験は来年の五月にやることを考えておるわけですが、試験の結果を決定いたしますまでに約三カ月ほど要しますので、したがいまして一年三カ月の猶予期間を考えたわけでございます。
  42. 島本虎三

    島本委員 私のあとは加藤清二さんでしょう。ですからあまりだらだらとやっているのも何ですし、ほんとうに困るのですが、ちょっとこれだけは、十四条の政令はどの市にどんな権限を委任するかをきめるものなんですけれども、この内容はどうなんですか。
  43. 森口八郎

    ○森口政府委員 各市町村に政令で委任します内容といたしましては、現在各市町村に政令規制法が委任されておりますが、規制法が委任されております実情に応じまして、本件についても各市町村に委任をするというような方針考えております。
  44. 島本虎三

    島本委員 よくわかりません。もう一回……。
  45. 森口八郎

    ○森口政府委員 大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法あるいは騒音規制法等におきましても、各市町村に権限が委任されておりますが、そのおのおのの内容に応じまして、本法におきましても政令委任をいたしたいというように考えております。
  46. 島本虎三

    島本委員 いませっかく通産省でいい資料を出してくださったのですが、「企業公害管理組織の設置状況」、それからこれも参考資料ですが、「企業公害管理組織の現況」、昭和四十五年二月現在になっておりますけれども、工場総数が二千五百十二、公害管理組織が現在ある工場数が千八十九、現在ないのが千四百二十三、それから将来において公害管理組織を新設する予定が百七十七、将来においてもないというのが千二百四十六、こういうような数字のようであります。そうすると、この法律実施によって、この将来においてもないというところはなくなる、こういうようなことに当然考えてもいいわけですね。  それと同時に、大昭和製紙、こういうようなパルプ関係では、この公害管理組織が現在あるのかないのか。
  47. 莊清

    莊政府委員 先生ただいまおっしゃいました通産省の調査の時点で、将来計画がないといったものの大部分は機械関係の工場であったと記憶いたしております。ただし、今回の法律では、大気汚染、水のほかに、騒音も対象にいたしますし、対象施設も逐次政令で追加指定をいたしていく方針でございますから、そういう機械工場関係でも、大気汚染あるいは水の関係がないからというふうなことで、のんびりしておったというところはどんどんなくなる、大部分のところは整備をするつもりにみずからなる、これは当然のことであろうと思いますし、通産省もそういう方向で指導をいたします。  それからもう一つは……。
  48. 島本虎三

    島本委員 これによると、公害管理組織が現在ある工場とない工場がある。大昭和製紙はじめ紙パルプ関係の製造に対してはこれがあるのかないのか、その内容を知らせてくださいというわけであります。
  49. 莊清

    莊政府委員 紙パルプ関係では、私ども最近また再調査をしたわけでございますが、昨年は大体六八%くらいの工場にしか工場組織がございませんでしたけれども、最近の調査ではこれが二〇%ほど上がりまして八八%まであるというふうな形に実はなっておるようです。大昭和製紙の場合にも、もちろん組織はございます。
  50. 島本虎三

    島本委員 大昭和製紙は、組織があってああいうたれ流しをやっているのですか。
  51. 莊清

    莊政府委員 たいへんむずかしい御質問をいただいたのでございますけれども、組織ができましたのは比較的最近でございます。田子の浦のあの大きな問題が起こりまして、通産省のほうでも強く指導いたしまして、大昭和製紙をトップにいたしまして大企業のほうは現在超スピードで公害防止の設備をさせております。そういうことでございますので、現在はその防止組織も活用されておる、こういう状況でございます。設備投資のほうも、今後さらに推進させるということをお約束いたします。
  52. 島本虎三

    島本委員 約束はいいのですけれども、それはあとになってはっきりします。  においの点は、悪臭防止法が通っているのですが、紙パルプの製造過程においては、大昭和製紙でも王子製紙でも、どこへ行ってもくさい。あのにおいの点も、当然この中に入るはずなんですが、このパルプを悪臭から除いたのは、パルプ擁護のためにこれを除いてあるのですか。
  53. 莊清

    莊政府委員 悪臭を、とりあえず本法適用対象外にしました理由につきましては、先ほど申しましたので繰り返しませんが、悪臭防止法についても、将来通産、厚生両省ともやはり大気汚染防止法と同じく、監視体制整備あるいは技術の開発と見合いまして、特定施設制度をとって、はっきりした規制に切りかえていくということにしなければならぬと思っておるわけでございます。現在のところ、中小企業あるいは農林省関係の業種等では、それになじまないものが非常に多いというやむを得ない過渡期でございますのでああいう法律になりましたので、体制整備法のほうでも一応はずしておりますが、将来はこの法体系の中に入れられるような努力をいたしていきたいと思っております。
  54. 島本虎三

    島本委員 現に悪臭が出ている零細企業、豚、養鶏、これは大企業もありますけれども、こういうものは団地にして移転させたり、こういうふうな指導をするために一年という長期をやはり認めざるを得ない。特定のものはまた政令できまりますから、それより長くなるということはわれわれとしても認めるわけです。ところが、悪臭について、パルプ関係は大企業です。あそこへ行ってこのパルプの悪臭をかぎながら、これは快適なにおいだという人は日本人に一人もいないはずです。そういうようなものをそのままにしておいて、牛や豚や鶏、こういうふうな悪臭ばかり取り締まる、こういうのは一方的、片手落ちじゃないですか。現に大企業でやってやれるんだ。なぜ悪臭に対して手をつけないのですか、ヘドロだけじゃないですよ。悪臭も出しております。こういうものに対して目をつぶらせていいのかどうか。これはもう通産省がそういうような考え方かどうか知りませんけれども、厚生省なぜあなたは黙っている。それから公害対策本部、そういうような点についてなぜてこ入れしないのか。やはり依然として大企業の思うがまま、なすがままに皆さん振り回されるような状態を脱却できないのか。それじゃせっかくこれをつくってもしり抜けじゃありませんか。この点についての三者の見解を伺います。
  55. 莊清

    莊政府委員 お答えいたします。  パルプの悪臭は、全国各地で非常に問題になってまいったわけでございますが、(島本委員「なぜそれを規制しない」と呼ぶ)昨日の国会での御修正によりましても、悪臭防止法適用というのは極力繰り上げてやるようにという御趣旨から、やむを得ない中小企業の場合には二年、それ以外の場合には一年以内には、十分な規制を行なうというふうに御修正もあったわけでございますが、私ども生産企業のほうを所管しております通産省といたしましても、パルプの悪臭は、大企業が関係しておる分野も非常に多いわけでございますから、現在設備の改善あるいは技術開発等は、悪臭防止法の制定も見込みまして、実はかなり進めつつあるところでございます。今後もパルプ工場の、少なくとも大規模のものについては、極力早い機会にどんどん改善をさせる、そのための設備もさせるし、技術の開発もさせるという方向で、さらに努力をすることにいたしております。
  56. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 通産省からの御答弁にもありましたように、少なくとも大企業のクラフトパルプあるいは石油精製、石油化学等の工場等については、できるだけ早い機会に悪臭の立場からもこの法律特定工場等に取り入れることが望ましいというふうに考えております。
  57. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 ただいま御審議中の法律の体系の中に悪臭の問題その他をどうして取り入れないか、こういうことでございますが、実は今回、先ほど先生指摘になりました典型公害の中で、この法律からはずれているのがいろいろあるわけでございます。一つは、きのうも御議論になりましたし、あるいはまた先ほども御議論のございました廃棄物処理及び清掃法の関係、あるいは鉱山保安法の関係、それぞれの法律管理者的な者を置くようなたてまえがとられているわけでございますが、これについては、この法律を、別個のそれぞれの法律でやっていく、こういう考え方をとっております。  それから、先ほどもお話の出ました地盤沈下の関係、これにつきましては、工業用水法なり建築物用地下水の採取の規制に関する法律がございますが、いずれもきわめて部分的にやっておるわけでございまして、地盤沈下のたてまえ上、当然将来相当根本的な改正をしましたりっぱな法律に統合していく、こういうことを考えなければいかぬのじゃないかと思っております。あるいはまた振動につきましては、これは御議論ございませんでしたが、現在では一部条例でやっているにすぎない。それから悪臭につきましても、悪臭全体をやっていくということよりも、当面は悪臭物質の規制をする、こういう段階でございまして、いずれもまだやっとこれから取り上げていこう、こういう段階にあるわけでございまして、こういうものにつきましては、特にこの法律の体系には別個の管理者という形では取り上げず、将来の管理者という形でできるだけ早い機会に取り上げていくということにしたらどうかと思ったわけでございます。  それから土壌汚染につきましては、規制は当然大気なり水の汚染でやるわけでございますから、典型公害でございますから、主として対策事業規定した法律でございますから、それで特別の管理者的な者を置く必要がございませんので、そういうたてまえをとらなかった。  三つに分けて整理して考えたわけでございます。
  58. 島本虎三

    島本委員 それで答弁内容だけはわかりました。しかし、こっちの期待に立ってはさっぱり答えてくれない。  それで厚生省では、近い将来にとか言っていますけれども、いま中高年齢者雇用促進法では「当分の間」というのが問題になっている。近い将来というのは何年間をめどをつけておられるのか。希望的観測によれば、あしたでも近い将来、十年後でも近い将来です。いつになったらこの悪臭を、パルプの場合でもちゃんと規制して全然出ないようにするのか。国民のためにさせなければならないじゃありませんか。この点はいかがでございますか、厚生省
  59. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 具体的な年限のめどにつきましては、今後における悪臭の除去施設等の開発のいかんにまつわけでございますけれども、昨日御可決いただきました悪臭防止法案の修正における改善命令の猶予期間の短縮等からもうかがえるように、やはり少なくとも大企業等の悪臭防止関係の施設については、できるだけ早い機会に万全を期し、したがってまたそのような見地からも、本法案の特定工場等に取り入れることが望ましいというふうに考えております。期限その他につきましてはまた通産省とも十分協議の上、そのめどがつきましたならば、できるだけ早い機会に改正することが望ましいというふうに考えております。
  60. 島本虎三

    島本委員 科学的にこの法律に十三の悪臭原因物が入っておりましたけれども、パルプの悪臭は何になるのですか。そしてこれに当てはまる場合は、当然一年以内に取り締まらなければならないし、改善命令を出して、そしておそらくはもう悪臭を発させないようにしなければならないはずだし、能力は十分ある企業ですから、その点はいいんじゃないかと思うのですけれども、この場合はどうなんですか。この十三の中に入っておらないのですか、おるのですか。規制対象悪臭物質、この中に硫黄化合物、窒素化合物、炭化水素、脂肪族化合物、このパルプの悪臭はどのうちに入るのですか。
  61. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 クラフトパルプについて申し上げますと、おもな悪臭物質としては十三物質のうちのメルカプタン、サルファイド、それから硫化水素、大体この辺が主たる悪臭物質でございます。
  62. 島本虎三

    島本委員 じゃこの中にあなたがいま言ったやつは入っているのですか。——入っているなら、大企業のパルプであっても当然規制はされるのですね。一年以内にこれをやらなければならないということになるのですね。
  63. 曾根田郁夫

    ○曾根田政府委員 これらの物質が、法施行の際に規制基準も全部できまして政令に指定されるとなりますと、当然にまず行政指導の対象になりますし、一年経過すれば罰則を伴う改善命令の対象になるということでございます。
  64. 島本虎三

    島本委員 じゃその趣旨に沿うて本法適用を受ける範囲であって、一年後にはあの悪臭はなくなるものである、こういうふうに理解してもいいですか、通産省
  65. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 いま御指摘のメチルメルカプタンというのを規制しますと、パルプ工場で大体九五%ぐらいが規制できるということで、悪臭がほとんどなくなるということでございます。で、先生の御質問のとおりでございます。
  66. 島本虎三

    島本委員 じゃもう一年たったならば日本国じゅうのパルプの悪臭はなくなる、こういうふうにはっきり小林委員長を前にして、始関理事を前にして、皆さん言明なすった。ましてここには、前公害対策委員長もいるから、これら全部の人が聞いていなさる前で、いままで質問したとおりに、十三の規制対象悪臭物質の中に入る、したがって、一年の猶予期間のうちにやれる、まして大企業であるから資金力は十分である、したがって、これはもう勧告から命令へいかないうちにやり得るものである、こういうふうに了解して、一年以内に日本のパルプの悪臭は日本全国から消えるものである、こういうふうに私は了解しておきたいのです。いままでの答弁ではそうなります。そうですか。
  67. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 施行後一年以内にそういうことになりますけれども、実際なってみますと、あとにまた残る悪臭物質があるということならば、私はその政令の中へ、また十三の中に一つ加えるとか二つ加えるとかいうことをせざるを得ないだろうと思っております。
  68. 島本虎三

    島本委員 そうしたら厚生省、いま言ったような規制対象物質だとするならば、それを規制してどんな悪臭が出るのですか。いま言ったパルプの悪臭が十三の規制対象物質の中に入っている。それならば、その十三のうちにあるものを規制して、どういうパルプの悪臭がまた出てくるのですか。
  69. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 十三の規制をすれば、施行後大体一年以内にほとんどの悪臭がなくなるであろうと考えます。しかし、またほかに新しい物質が出るとすれば、それは政令に加えていこうということを申し上げたのでございます。
  70. 島本虎三

    島本委員 今後そういうようなのも、特定工場における公害防止組織整備に関する法律案の中ではっきり、この中にございますところの公害防止統括者公害防止管理者公害防止主任管理者並びにこれらの代理者、これらを置いて、そしてこういうような物質もあわせて管理するのですね。悪臭もあわせてこれは管理するのですね。
  71. 莊清

    莊政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、悪臭防止法の関係は、当面今回の法律の直接の対象にはいたしておりませんですが、実際上の問題といたしましては、たとえば御指摘のパルプの場合を考えてみますと、大体大気の関係を中心に臭気が発生してまいるわけでございますので、大気汚染防止法の関係で、管理者が当然にパルプ工場、特に大規模の場合には水のほうも置かれますけれども、大気は当然置かれますので、法律では直接当面は対象になっていなくても、要するに物質を規制するわけでございますから、そういう意味でそっちのほうの悪臭関係の業務についても、同様指導によりまして措置をさせるということを考えておるわけでございます。将来悪臭につきまして、中小企業から大企業までいろいろございましょうけれども、大気あるいは水の規制法のように、特定施設制度というものをはっきりとられ、規制の範囲も明確に、かつ厳重になってきたという場合には、実は早くそうしなければならないと思っておりますけれども、そうなりました場合には、さっきから何べんも申し上げておりますとおり、改正整備法のほうに悪臭も正面切って取り入れていくということを考えておりますが、それまでは少なくとも指導で大企業の場合には同様のことをやらせる所存でございます。
  72. 島本虎三

    島本委員 いま言ったとおり、やればできるのですから、原因物質十三もきめられているのだし、こういうようなものをこれから除いたというのがそもそもおかしい、悪臭を除いたというのがおかしいのです。いまでもやればできるはずのものなのですから、やはりできるように答弁されたい。ただ、いま公害対策本部のほうから、この土壌関係だけはこれは特にやるようなことにはならない。これは理解できますから、そのほかのやつなら、管理者が法によってちゃんとあるところは別だけれども、管理者がないところは全部置かなければならない。悪臭の場合だって置かなければならない。これだけ除いたというのがおかしい。おかしいけれども、この原因物質、それらを見ればちゃんと管理ができる。管理ができるのになぜしないのか。なおまたおかしいじゃないですか。私はこれは全くおかしいと思っています。しかし、私はまあこれで終わります。終わるといったって——また政令の問題でもこれくらいの政令じゃだめです。全然これは一夜づけです。いまも政務次官は徹夜してつくったと言っていばっているのですけれども、徹夜してやったってこんな不完全なものを出されたのではいばれる柄じゃないです。だめです。こんなものはもう一回練り直して近い将来において出し直してください。強く要請して私は一応終わります。
  73. 小林信一

    小林委員長 岡本富夫君。
  74. 岡本富夫

    ○岡本委員 この特定工場における公害防止組織整備に関する法律案の中から、特定工場以外の要するに公害一つ事例をあげますと、兵庫県の淡路島の津名町の南の海を約二十七万七千坪埋め立てて、ここに鉄鉱石の基地をつくろうという計画があるわけですけれども、その計画を見ますと、輸入した鉄鉱石をここに置いて、それから各工場に送ろうという計画なんです。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 これで一番心配なのは、こういった鉄鉱石をここに野積みをして置かれた場合、季節風、あるいはまた海のそばですから、ここは非常に風のきついところですが、そうした粉じんが町にどんどん入ってくる、こういうことで、現地の人も心配しておるわけですが、この公害対策を管理するところの責任者、まずそれをひとつ明確にしてもらわなければならぬ。  それから、これはいままだつくってないわけですが、各所を視察に参りますと、こういった鉄鉱石の野積みによって、非常に粉じんが多い。ぼくらが視察に行くときは、水をかけて飛ばないようにしておるわけですけれども、突如として行くとそのままになっている。これは非常に町に近いわけですから、こういう問題を野放しにしながら、ただ工場だけというのは若干片手落ちではなかろうか、こういうように思うのですが、これについての通産省考え方あるいはまたその公害防止に対する手段、方法、これをひとつ明確にしてもらいたい。
  75. 莊清

    莊政府委員 いわゆる鉱石置き場等から飛散します粉じんにつきましては、臨時国会で改正になりました大気汚染防止法で新しい制度が設けられまして、施設を政令で指定し、指定された粉じん発生施設については、粉じんの飛散を防止するための設備の基準厚生省通産省のほうで省令できめるということになりまして、たとえば鉱石置き場についてはスプリンクラーその他遮蔽物等の設置を省令で構造基準としてきめて義務づけをするという考えで、現在どのような基準が適当であるか、鋭意調査研究を行なっておる段階でございます。鉱山の鉱石置き場につきましては、昔から鉱山保安法のほうで同様の規制がすでに行なわれておりますが、一般の工場事業場については、今後設備のほうの規制が新規に行なわれることになります。特に、鉱石置き場の粉じんの場合には、どのような設備をするかによって非常に結果が異なってくるわけでございますので、私どもはとにかく、管理のほうももちろん大切でございますが、十分な飛散防止の設備をあらかじめつけさせるということに重点を置いて今後やってまいりたいと思っております。
  76. 岡本富夫

    ○岡本委員 かつて通産大臣が参議院の予算委員会におきまして、たしか東邦亜鉛の安中の問題のときだったと思うのですが、それは法律がないからしかたがない、こういうような答えをしておったと思うのです。したがって、法律がなければ公害が起きてもしかたがないというような、まあそういう考えではないと思うけれども、あの答弁を見ますと、やはりこういった鉄鉱石の置き場、これもやはり事業場のうちの一つだと思うのですが、そこにやはり管理者をちゃんと置いて、そして公害防止に当たらなければならぬ。法律がないからといって逃げてしまうと、被害を受けるのは住民だけだ。騒いだところが、これは法がありません、これでは片手落ちといいますか、あとで苦労するのは通産省、こういうことになるわけですね。ですから、これから新設するというところに対しては、私実は福島県の小名浜に視察に行ったことがありますけれども、あそこの製錬所では、鉄鉱石置き場を、飛ばないように全部プレハブで倉庫のようなものをつくっているわけです。そんなにりっぱなものではありませんけれども、風が吹いても鉄鉱石が飛ばぬようになっている。そして公害防止をしておる。こういった指導をやはりしなければ、今度粉じんの環境基準がきまりましても、要するに防止策を先にしておかないと、基準だけきめたところで何にもならない。基準をオーバーする、こういうことで、これから新設されるところの鉱石置き場に対するところの設備、これに対してはどういうことをやるのかということを明確にしておいてもらいたい。それからその公害防止責任者はだれに当たるのか。聞いたところではこれは三菱ですが、社長に言うたところでしょうがない。商事会社ですから、特定工場じゃないわけです。そうすると、責任の所在がはっきりしない。そこに起こってくるのは住民運動ですが、あの辺は漁業者が多いのです。魚をとるのをやめて旗持って歩くという、これじゃ私は話にならないと思う。だから、いまのを的確にきちっとしておけば、そんなに住民にも迷惑をかけずに済むし、また、旗持って歩いたところで生産はあがらないわけですから、国民にしますと大きな損害になるわけですよ。そういう面を考えると、もう少し的確な指導基準というものをきめてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  77. 莊清

    莊政府委員 いまお話のございましたのは、たしか三菱でございます。あそこには、商社で、輸入の鉄鉱石の置き場を新規に建設するということは、私どもも聞いておりますが、大気汚染防止法で粉じんを発生する特定施設というものを政令で指定して規制を加えるという場合には、商社が輸入をした鉄鉱石を置いておいて、そこからまた積み出してほかへ売るという場合にも、これは施設として規制をする方針でございます。したがいまして、そういう鉱石置き場につきましても、設備の基準というものはつくり、それで規制をするわけでございます。御指摘のように同じ基準ができましても、極力優秀な設備を初めからつくるということが何より大切であること、御指摘のとおりでございます。  三菱の場合にも、私ども会社の責任者から考え方を聞いておりますので、これはもう国の規制があろうとなかろうと、模範になるようなりっぱな、粉じんの飛び出さないような設備を必ずつくりますということを実は責任者も言明しておるわけでございまして、私どもも天下の三菱であるから、しかも、相当大きいものを新規に計画してこれから着工されるわけですから、事前に十分な計画を立てて必ず模範になるようなりっぱなものをつくるようにという話を実は始めております。やはりできてしまってから少しずつやるのではなくて、最初に十分なものをつくっていくというふうな指導も大切でございますし、企業自身がその気でやらなければならないということが、やはり根本だろうと思います。  管理者の問題につきましては、実は本法では主たる発生源は工場というふうに考えております関係上、御指摘のような場合には直接対象にはならないわけでございますけれども、この点につきましても本法の趣旨を体しまして、十分な責任体制を必ず整備するということも責任者のほうで申しておりますし、最初から十分な設備をし、十分な技術者も置くということを条件通産省としても指導いたす所存でございます。
  78. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、いまの答えの中で、ことばじりをつかまえて悪いのですけれども、その点については企業が十分考えていくべきであり、またそういうように言っておりますと、そういう口約束というのは、こうやればこれで十分だと思いましたけれどもだめでありました、こういうふうにもなりかねないわけです。そういった面についてもっとはっきりした、許可をするにあたって粉じん防止についてはどうするように、どういうものをどうするというふうに、政令でも、あるいは省令でもよろしいですけれども、そういう一つ基準というものをきちっときめないと、企業はかちっと公害防止をやるというておりますので、間違いありませんでしょうというような答えではちょっと私は信用できない。いままでもたくさんそういう例があるわけですからね。いま公害を出しているところは、公害出しますよといって公害を出しているのと違うんですよ。そんな約束もなしに出しておるわけです。そういうことから見れば、ここまで環境についてはやかましくいわれる時代になった。だから、あらゆるいろんな学識経験者あるいはまた実務家、こういうようなものを集めた——二十七万七千坪ですから相当大きなものになると思うのです。したがって、そうした一つ衆知を集めたものできちっと粉じんの飛散を防ぐ、そういうものをつくって、そしてどうするか、それを通産省はチェックして、こうならこうだというような指示を与えないと、どうもいまの局長の答弁では納得いかない、これで安心できないと思うんですよ。そういう点、通産大臣が言ったように法律がないからこれはしかたがないんです、そんなことじゃ話にならないと思うんですね。ですから、その点についてもう少し具体的な案を出してもらいたい。
  79. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 いまの御質問については、局長が御説明しましたように、通産省令で定める構造及び使用及び管理の基準がございます。また都道府県知事がその発生施設の一時停止を命ずることもできますけれども、設置に関しては通産省といたしまして県にも要請いたしますし、念書をとるつもりでおります。
  80. 岡本富夫

    ○岡本委員 念書をとって、もしも飛散すれば、直ちにこれはここへ置くのを停止させるという権限はあるわけですか。たとえば、たくさん鉄鉱石を野積みして、潮風によってどんどん飛んでくる、そういう場合に、念書をとってあったら、その野積みにしてあるやつを全部どこかへ持っていくというようなことができるわけですか。どういう法律でできるのですか。
  81. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これは大気汚染防止法の十八条の四で一時停止を命ずることができますし、念書を入れた以上、通産省といたしましては絶対順守させます。
  82. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま三菱のほうで説明しておるのは、あれは水をかけて飛ばないようにします、それから粘状、要するにどろ状にしておくようにしますからだいじょうぶです、こういう説明をしているのです。もしどろ状にしておいたって、天日でかわかせばすぐに飛んじゃうし、水をかけておいたところで、そううまくいかないのです、これは。いままでたくさんそういう例を見てきたわけでしょう。だから、そういったものよりもさらに進んだ、先ほど私が言った大きな倉庫をつくるとか、あるいはまた、これは海側ですから陸地側に対して大きな壁をつくるとか、そういった明確な指示を与えない限り、私はこれはうまくいかないと思うのです。  それから念書をとって撤去を命ずる、こう申しましても、命じられたって、なかなかそんなたくさんなものをおいそれとさっと運ぶわけにいかない。そこで操業停止したらよけい困る、これをとっていかなければいけないですから。こういうことを考えますと、もう少し私は的確なところの指示を与えるとか、あるいはまたそういった委員会でもつくって、そうしてどういうようにやるかということを業者側、三菱商事なら三菱商事からその資料をとって検討して、これならというかっちりした処置をしなければならぬのじゃないか、こういうように私は思うのですが、念書でうまくいきましたということにはなかなかならないですよ。法律をつくったからといって公害はなかなかなくならぬわけですから、実質を伴わないですから、だから、法律をつくったからといってもそうですし、その点についてもう少し一歩進んだ考え方を、どうですか政務次官、そこまでひとつ。
  83. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 念書をとれば、大三菱でございますから、現在の公害防止マインドがそこまで徹底しないようなことでは日本中公害がまだまだ起きるのであって、そういうことではほんとうに困るので、徹底してやはりやらなければいけない。その手続として、やはり県ともいろいろ打ち合わせ、また当事者とも打ち合わせて念書をとるわけでございますから、そういうような心配のないように今後とも指導をしていきたいと思っております。
  84. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、この問題ばかりやってはあれですけれども、大三菱だから間違いないと、そういうことはちょっとこれは考えてはいけないと思うのです。「大」がついていない三菱金属が、たとえば兵庫県の神崎郡では相当な公害を起こして、米が相当カドミが入ったり何かしているわけですよ。そういうことを考えると、こんなにやかましくいわれながら、まだその対策もしてなかったんですよ。業界を信用するとあなたおっしゃるけれども、信用するなら何も法律要らないですよ。ですから、ことばじりをつかまえて悪いんですけれども、さらにひとつそういった公害防止委員会ぐらいは三菱につくらせて、そうしていろいろな面から検討させて、そうしてその計画書を出させて、それからこれならいい、こういう許可をしなければ私は納得できないと思うのですがね。その点についてもう一つ
  85. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 私が信用するということと、法律の施行は違うようにもとられますけれども、法律の施行は施行でございます。しっかりやるつもりでございますし、違反をすれば摘発をいたしますし、罰則もかけます。私、事業所を置くということ自体については、先ほども申し上げましたように、まだ設置を——届け出制でございますけれども、この点については県、当事者とともに通産省も鋭意研究して、いろいろな指導をやっていきたいと考えておりますので、そのようなことにならないように、またなっては困るんであって、絶対ならないようにさせたいと考えております。
  86. 岡本富夫

    ○岡本委員 ならないようにしますなんて、どうもちょっと……。
  87. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 なっては困るんですよ。
  88. 岡本富夫

    ○岡本委員 困るんでしょう。困るのは住民なんですよ。ですから、私がいま提案したように、そういう指導ができないものかというんです。要するに、どれぐらいのところにどれぐらいのものを置くということも、通産省としてまだわからぬわけですよ。ですからこういうふうにしますという計画を出させて、それに対してどういう公害防止をしますというきちっとした——三菱ですからいろいろ学識経験者もおろうし、あるいはいろいろな経験者もおるだろうし、いろいろな海外の状況も総合したそういう計画書を出させて、それで検討するというようにならないかと私は聞いておるんですがね。
  89. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 公害を出しては困るんであって、絶対出させないということで、県その他当事者とも相談し、そういう確証を得た上でわれわれはやはり建設をやらせたいと考えております。
  90. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、それを了承しておきましょう。  次に、この法案の中で、管理者あるいはまた統括責任者、主任管理者、こういう人の解任を命ずることができる。解任をされたあと、またじきに復帰することができるのか、その復帰要件はどうなのか。自動車の免許みたいにもう一ぺん受けたらまた通った、そういうような、何べん解任されたっておそろしくないわけなんですね。その点について。
  91. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 第七条の二項に「解任の日から二年を経過しない者は、公害防止統括者公害防止管理者及び公害防止主任管理者並びにこれらの代理者になることができない。」という規定がございます。
  92. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、二年だけ経過したらそれでいいわけですね。二年だけ経過すればそれで復帰要件となるわけですね。二年間そのポストからのいておれば、また管理者になれる、こういうことですね。
  93. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 法律的にはそういうことでございます。しかし、ほかの罰則その他がついた場合には、それは別問題になるかと思います。
  94. 岡本富夫

    ○岡本委員 管理者の選任ということがポイントであろうと思うのですが、社会的な地位あるいはまたどういうような条件の備わった人を管理者に選任をするのか。これは国家試験を受けたらそれでいいんだというようにも受け取れるわけですが、それぞれやはり業種によっては相当こまかくいろいろと考えなければならぬのじゃないか、こういうようにも考えるわけですが、そういう必要性はないのかどうか、これについてひとつ……。
  95. 森口八郎

    ○森口政府委員 公害防止管理者は、公害に関する技術的事項を管理することといたしております。したがいまして、公害の仕組みに応じまして大気、水質あるいは有害物質というようないろいろな技術的事項についてのいろいろな知識を持っておる人ということを前提にいたしておるわけでございます。このために技能がどの程度あるかということを検査いたしますために、国家試験を課しておるということでございます。ただ、国家試験だけではございませんので、国家試験にかわるような一定の資格を持つ人もまた公害防止管理者たる資格があるというようにきめておるわけでございます。こういうようなわけでございますので、先生がおっしゃいますように、業種によって確かに公害防止の実情は違うわけでございますけれども、大気の汚染防止方法あるいは水質の汚濁の防止方法あるいは有害物質を除去する技術的事項ということにつきましては、技術的事項として共通をいたしておるというような判断のもとに、現在の私どもの考えております案では、業種ごとに管理者の資格をきめるということではなしに、むしろ公害の種類ごとに公害管理者をきめるという考え方をいたしておるわけでございます。
  96. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっと問題があると思うのですがね。まあそれはそれとして、公害防止管理者の配置法ですね。これは工程別に配置するのか、あるいはまたその施設別にやるのか、こういう点についてもひとつ……。
  97. 森口八郎

    ○森口政府委員 公害防止管理者は、先ほど申し上げましたような役を持っておるのでございますけれども、その具体的な任務といたしましては、公害発生施設の監視、公害防止施設の維持管理、それから大気あるいは水質の汚濁状況の監視というような事項について、技術的事項を管理するものでございます。私どもといたしましては、そういう各公害の種別に一人以上の管理者を置けば足りるというような考え方をいたしておりますので、必ずしも工程別に管理者を置くというようなことを本法考えておるわけではございませんけれども、事業者のほうで工程別に管理者を置くという考え方を妨げるものではないというように考えております。
  98. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、公害防止管理者を共同で設置する必要性について、またその責任の所在、こういうことについて、ひとつ説明願いたいと思います。
  99. 莊清

    莊政府委員 本来から申しますれば、各工場ごとにそれぞれ事業者公害防止管理者、専門の技術者を選任すべきものだと私どもは考えております。ただ、一部の中小企業等におきましては、必ずしも直ちに優秀な技術者を自分の事業の中で求めにくいというふうな場台があろうかと思います。もちろん、公害防止という非常に重要な事項を管理させるわけでございますから、やはりその資格要件というものも、公の立場から、政府としてもルーズな選任を認めるわけにはいかないということになりますと、質の面が非常に大切である、これを実際上兼ね合わせて考えました場合、たとえば団地をつくっておる、あるいは工場アパートをつくっておる、その他これに類似した場合におきましては、一つの方法といたしまして協同組合等、りっぱな管理者を共同で置きまして、そしてそこに関係しておる事業者が共同で選任する、いわば一つの巡回管理者というふうなことを考えたわけでございまして、第四条の「主務省令」というところで、その運用方針をこまかくこれから検討してきめたいと思っております。これは中小企業の実態と、公害防止の重要性と、それから管理者というものが、やはりそうでたらめな人ではいけないんだという三点を考えました上でのことでございます。
  100. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、小規模の事業者は、防止統括者を置かなくてもよいというただし書きがあるが、政令で定める場合は、どういうような要件を持つのか。     〔島本委員長代理退席、始関委員長代理着席〕 この点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
  101. 森口八郎

    ○森口政府委員 第三条の「政令で定める要件」といたしましては、中小企業基本法で小規模の事業者定義といたしまして、製造業等につきましては、従業員二十人未満の事業者を小規模事業者というようにいたしておりますので、本法におきましても、現在のところ、従業員二十人以下の事業者政令で定める要件というように考えておりますが、先ほど島本先生からも御指摘がございましたので、原則はそういうふうに考えたいと思いますけれども、さらに検討をいたしたいというように考えております。
  102. 岡本富夫

    ○岡本委員 さらに検討とは、どういうように検討するのですか、これは。
  103. 森口八郎

    ○森口政府委員 中小企業のいろいろな考え方の中で、業種におきまして、若干従業員等に差等を設けております中小企業定義がございますので、それにならって実情を見て、さらに訂正を加えたらどうであろうかというような御提案がございましたので、検討を加えるということとしておりますが、基本的には二十人ということで考えております。
  104. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから、この騒音発生施設におけるところの適用規模と、その他除外されるものの今後の扱い方、それをひとつはっきりして率いてもらいたいと思います。
  105. 森口八郎

    ○森口政府委員 騒音発生施設につきましては、当面二トン以上の鍛造機を特定施設というように指定する所存でございます。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 それ以外の……。
  107. 森口八郎

    ○森口政府委員 それ以外のものにつきましては、今後の実態の推移を見まして、逐次追加をしていきたいというように考えております。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、ばい煙については、すべてのばい煙を対象に扱うのか、それとも除外されるものがあるのか、これもひとつはっきりさせてもらいたい。
  109. 森口八郎

    ○森口政府委員 施設といたしましては、すべての特定ばい煙発生施設を対象といたしたいというように考えておりますが、お手元にお配りしました資料にございますように、発生量の少ないばい煙発生施設については当面指定をいたさないというように考えております。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから移動等を伴う建設騒音の適用除外というのがあるのですけれども、その理由は、どういうわけで適用除外にしたのか。これはやはり非常にやかましくてみな困るわけですが、これについての対策をお伺いいたしたい。
  111. 莊清

    莊政府委員 騒音規制法では、御指摘のように建設騒音というものについても特別の規定を設けておりますが、私ども今回のこの整備法では、やはり常時騒音を出すところの中心になるものが被害地等にある工場である、騒音のもう大部分がそういう工場から出ているということに着目いたしまして、一時的な建設工事というものは期間も限られているし、場所もあるというふうなことで、この法律には実は取り入れなかったわけでございますけれども、別途建設業法のほうにおきましても、この法律と非常によく似ました主任技術制度というものがございまして、それで建設工事の施行に関する技術的事項というのは、全部都道府県知事等の監督によりまして監督させる、所要の罰則等もつきました強い規制法になっているというような——建設省とも御相談の結果、御意見等もございまして、しいてこの対象にはしなかった、工場がやはり中心だから、工場に網をかけるという考えでやったわけでございまして、建設騒音について野放しでいいと考えているわけでは毛頭ございません。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に、法令に違反した場合に、両罰規定に直罰を考えていない、これはどういうわけなのか、これをひとつお聞きしたい。
  113. 莊清

    莊政府委員 直罰は、大気汚染防止法と水質汚濁防止法の、公害の中でも特別に国民の健康に重大な関係のある二大規制法におきまして、排出基準違反がある、直接罰する、改善命令を課して、それに違反したら罰するという従来の方式を臨時国会で改めることに実はなったわけでございますが、やはり私どもとしてはこの点は法制局等とも十分御相談を実はしたわけでございますが、直罰というのは、現在の法体制の全体の中では非常に国民の福祉に直接的に重大な危害があるような場合に、それを防ぐという意味でやはりかなり限定的に考えるという状況にございまして、本法の場合にも、もちろん国民の健康に関係はあるわけでございますけれども、規制法というものがあって事業者義務を受けておる、それをいかに社内で成績があがるようにやらせるかといういろいろな方策が必要かと思いますが、その中の一つの手段でございまして、この法律自身届け出義務違反の場合にたとえば罰則をかけるとか、あるいは報告の聴取に応じなかったときに罰則をかけるとかいうことになっておりますけれども、そしてその場合には両罰規定もございますけれども、いわゆる大気汚染防止法とか水質汚濁防止法のような意味での直罰というものはやっておりません。これは他の公害関係の法律、あるいはその他たとえば労働基準法でございますとか、火薬類取締法でございますとか、いろいろ世の中の保安のための法令もございますけれども、そういうところでもいまのところは直罰制度はないということで、とりあえず簡単な、法制的な横並びという見地からはずしておる意味でございます。はずしておる意味は、その程度の意味でございます。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間も経過しましたから、最後にもう一問だけ、公害防止管理者の養成計画と待遇問題、あるいは環境設置に伴うところのそういった関連性というものはどういうように考えておるのか、これをひとつ最後に聞いて終わりたいと思うのです。
  115. 森口八郎

    ○森口政府委員 公害管理者の養成については、われわれとしても当然努力をすべきであることは言うまでもないところでありますが、現在私どものほうにおきましてもばい煙、排水あるいは騒音等につきまして、各種の講習会を実施いたしております。この講習会をさらに強化拡充いたしまして、この講習会によって必要な管理者を養成するというようなことに本制度を拡充強化していきたいというように考えております。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 なかなか企業としても生産に必要なものに対しては、技術革新は非常に多いのですけれども、そうでないほうに対しては、技術革新は非常に金を出さないわけですね。だから往々にして企業の中で生産のほうがレベルが高い、管理者のほうが低い。これは外へ出るともっと明らかになるわけですけれども、たとえばあそこの中部電力の、三重県の火力発電所をつくったときも、電力会社から、たとえば着地濃度何ぼになりますという説明が出てくるわけですよ。確かに書類を見るとそうなっているのですけれども、中の数字をごまかしておる。ところが、市町村あるいはまた県あたりの技術者では、要するにその点がわからないわけです。だから、そのまま許可しちゃったあとで、非常に濃度が高い。これは東京都あたりへ来てみますと、ここはこの数字ごまかしていますよということがわかるわけですね。そういうことを考えますと、この管理者の養成というのは相当力を入れないと、一ぺんの講習会や、あるいはまた研修ぐらいで、全部わかるわけがないと思うのです。ぼくなんかもちょっと説明を聞いて、最初なかなかわからなかった。何べんも何べんも聞いて、そして現地を見て、いろいろやって、まあここの数字をごまかしたらこういうことになるのかということがわかったわけですが、したがって、講習会あるいは研修制度というものは相当力を入れないと、結局仏つくって魂入れず、こういうことになります。また同時に、公害防止管理者は自分の責任になるわけですけれども、わからなかったらその責任は果たせないという面から見ますと、相当教育しなければならぬ。同時に今度は、こういう人は企業に貢献しないわけですよ。むしろ企業の足を引っぱる——でもないけれども、そういうことになりますと、待遇問題というものは非常にこれは問題になってくると思うのですね。そこらの考え方について通産省はどういうふうに考えているか、あるいはどういうように企業指導するか、この点ひとつはっきりしておいてもらいたい。
  117. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 管理者は、まあ技術的事項、相当ございます。ですから、これは管理者になられても、通産省といたしましては、講習会で技術などをやっていきたいと思います。また、通産省では、いま先生がおっしゃいましたように、足を引っぱるということでなくて、公害防止技術というものの発展育成ということも考えて創意くふうをすれば、それだけ会社もメリットがございますので、そういうことにも大いに研究努力させるように指導していきたいと考えております。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題について、さらに企業秘密とかなんとか言いまして、企業とすればりっぱな管理者がなかなかできないようにもできるわけだ。だからこの法案がこういうようにできましても、そういった面を、こまかいところをやはり通産省として目をつけて、そして待遇問題についても助言をし、企業に対して指導もしなければならぬ、私はかように思うのですが、その点について、最後に。
  119. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 その点については、技術その他の開発は大いに民間でもやっていただいて、各企業がそれを利用していくことができるような特許制度システムなどもございますから、そういう制度を大いに利用していただく。また、通産省としては工業技術院で公害防止技術などを今後とも開発をしたい、あるいは委託で研究開発をしていきたいという考えでございます。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  121. 始関伊平

  122. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この法律案で、企業内に公害防止管理組織をつくろう、それを義務づけようという点では、突どもは一応の公害防止あるいは公害対策に積極性を持つと思います。しかし、考え方によっては、逆にこれは、一つの機構の問題でありますから、そういう点で企業責任というものがあいまいにされる可能性もないわけではない。そういう点が一つあります。まず、その点を第一点として聞きたいと思います。  この資料によりますと、こういう私のほうで持ってきました資料で、日刊工業新聞の二月八日に、この法案の原案といいましょうか、法案がつくられる過程における第一次案といいますか、そういうものが出ている。ここで問題にしたいと思っているのは、企業責任の問題ですね。この点がやはりこの法律案にははっきり書かれるべきじゃないかという点で、原案を見ますと、いろいろな点がありますけれども、一番重大な点では「公害対策基本法第三条の規定に基づく事業者の責務の遂行を確保することを目的とする。」というふうにこれでは書かれております。これは第一条です。これは新聞の報道は間違った報道かもしれないけれども、しかし、基本的にこの点ははっきりこの法律案にも書いていく必要はないかということです。もし、最初そういう考え方があって、途中でこれを削られたとすれば、それはどういう理由であったか、そこをまず、これは政務次官からどうぞお願いいたします。
  123. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 いま先生の御質問は、われわれ公害の各法をつくる場合においては、公害基本法というものを尊重し、またそれを忠実に行なうということが第一の目的でございます。今回の特定工場における公害防止組織整備に関する法律案は、統括者等の制度を設けて、工場における公害防止組織整備をはかるということによって、絶対公害を出さないんだということを組織的にとらえたことでございます。
  124. 谷口善太郎

    ○谷口委員 政務次官、それはそれに違いない。それはもうおっしゃるとおりです。そうしますと、企業責任の問題、公害基本法第三条の原則に基づいて、これを実際に推進することを目的とするということを、この法律案の第一条にはっきり規定することが非常に重大なことだと思います。もしそういう考えがあったにもかかわらず、途中でそれを抜かれたという点ですね。とすればどういうことになるのかという問題があります。また私ども、こういう新聞記事にたよらないで言えば、当然そういう原則をはっきり法律案にも規定すべきだという考え方、これは正しいと思うのですが、そういう点についてはどうでしょうか。
  125. 莊清

    莊政府委員 私ども、その新聞の記事のほうは、以前のことでちょっと記憶がはっきりいたしませんが、この審議会でいろいろ各界の先生方にお集まりいただいて御審議いただきました過程におきまして、今回法律をつくるとすれば、それは公害対策基本法の第三条にすでにおごそかにうたわれておる、事業者公害防止のための措置を講ずる統括的な責務というものに達したものであると思いますということは、審議会の審議の過程でも、政府側から委員の各位に申し上げたことはございます。ただ、実際に立法をする作業に入りました場合に、具体的に、たとえば第一条のところに、そういう第三条またはそれを書き写したような文面があったにもかかわらず、それが途中で削除されたのではないかというふうなことでございましたら、実はそういうことは全く事実としてございません。すべての公害対策関係の法令というもので、事業者に関しいろいろな義務づけを行なっておりますけれども、それはすべて公害対策基本法の第三条の規定を基礎にいたしまして、その精神を受けて具体的な事項を法律で定めるというのが公害関係の法令になっております。本法の場合も全く同様でございます。
  126. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうしますと、私も新聞記事がどうだこうだということにこだわりません。しかし、原則として、基本法第三条の原則を踏まえた法律であるということをこの法案にも明文化する必要があるのじゃないか。その必要はないんだ、この法律をつくる場合に、そのことを書かなくてもわかりきった当然のことだ、こういう態度ですか。そういうことですか。
  127. 莊清

    莊政府委員 特に第一条に、第三条を受けて再び書きませんでも、すべての公害関係の法令といいますものは、その解釈、運用におきまして、公害対策基本法第三条に書かれておるあるいは第四条に書かれておるところのそれぞれの企業なり、国なりの責務というものを宣言された規定精神に照らして解釈、運用をされるものだと私どもは考えております。そういう意味で、第一条に、先ほど申し上げましたように、ほかの公害関係の法令でも特に第三条を引用はいたしておりませんけれども、その法の解釈、運用の基本というものは、常に公害対策基本法のこれらの条文に求められる、こういう意味で実質的には完全に一体になったものである、かように解しておるわけでございます。
  128. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それではもう一つ突っ込んでお尋ねしますが、この公害防止のための企業内の機構ですね。統括責任者あるいは防止管理者というようなこの機構は、企業内における責任か、あるいは社会に対する企業としての責任か、その位置づけはどうですか。あるいはその両面を持っているのか。  もう少し説明いたしましょうか。つまり企業としての責任、公害基本法第三条に基づく責任を実行する上にこういう機構を企業内につくる、これは企業の責任であります。したがって、機関は企業内における機関である、したがって企業に対する責任を持つ。ただし、この機関が対社会的に企業を代表するということになりますと違ってくるわけであります。そういう点の性格づけはいかがですか。
  129. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 第三条において、事業者は、その事業活動による公害防止するために必要な措置を講ずる責務を有するということは、私は企業というのはやはり人だと思っております。ですから、人がどういうふうに会社の中で組織をつくり、それが公害を出さないということが公害基本法精神であろうと思いますので、この法律はやはりそういう意味での工場組織面の整備を公法上の義務として位置づけたものだと考えます。ですから、こういう中で統括者あるいは管理者というものを置いて、対社会的にも責任を持たせるということだと考えております。
  130. 谷口善太郎

    ○谷口委員 対社会的という内容には二通りあります。公害防止するという点で企業は社会的に責任を持ちますから、したがって、こういう機構をつくるということになると思います。しかし、これは企業内の機構ですから、この機構自体が対社会的に公害防止の面で企業の責任を実際に実行する、あるいは管理するのですから、それは責任を持つことになりますが、こういう問題が政務次官、起こるのですよ。たとえば公害が実際に発生する。住民がこれに対して抗議を申し込むなりあるいはそれの防止のための話を持ち込む、あるいは責任問題を追及するというような場合に、重役が出てこない、こういう機関をつくって、これが公害問題についての企業の機関だということになって、重役が出てこない。せいぜい工場長か、あるいはもっと下の、あとでこれは伺いますが、課長か部長クラスが、おれは工場内の公害対策責任者だからおれが出るということになる。そういうことでむしろ住民運動などとの関係では、非常に企業の責任のある重役連中は、そういう場所からのがれて、のほほんとするということもあり得るのです。現在までにあった。そういうことについてはこういう責任を持つ機関でないというふうに政府ははっきりさせておくべきだ。そういう責任は企業なんだという点ですね。そういう問題が起こるのでいま私は伺ったのです。そういう意味の対社会的責任機関かと聞いたのです。
  131. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 会社が各公害法の違反に問われれば、会社あるいは企業責任者罰則を受けるのであって、また統括者あるいは管理者が怠っておれば、それはその法律あるいは今度の特定工場に関する法律罰則を受けるのでございます。市民運動云々というようなことを想定していいのか一もしそういうことで違反をしているならば、これは法的に処理すべきものと考えております。
  132. 谷口善太郎

    ○谷口委員 いや、それはそうですけれども、いまこの法律政府がおつくりになろうとして以来、各企業内におけるこの機構の地位といいますか、対社会的な意義づけといいますか、それではどうなのかということです。
  133. 莊清

    莊政府委員 外部の被害者のほうから公害を発生しておる企業そのものに対して、たとえば設備をよくやってほしいとか、あるいは賠償をしてもらいたいというふうな要求があった場合には、それはあくまで御指摘のように、事業者たる企業そのものに対して出されておるわけでございます。法律上もそういう要求になるわけだろうと思います。したがいまして、これはくだいて申せば、最高責任者企業の代表者であるところの社長からトップ、これに対して一番あるということは、この法律があろうとなかろうと変化のない点だろうと思います。やはり管理組織といいますものは、公法上一定管理者というものを事業者義務づけた、それによって事業者が従来から他の規制法で負っておるところの義務の実際上の履行が円滑にいくように、そういう見地から公法上別途義務づけたということでございまして、こういう法律ができたからといって事業者の責任、事業者が各種取締法で負っておりますところの従来からの責任、あるいは対社会的な責任というものには、量的にも質的にも変化があるわけのものではもちろんございません。したがいまして、重要な案件の場合には、本社のほうでこれを取り上げていくということも、当然あり得るわけでございます。
  134. 谷口善太郎

    ○谷口委員 わかりました。はっきりさせておく必要があると思って伺ったのです。要するにこの機構は、先ほど部長さんですか、局長さんですか、おっしゃったのですが、公害防止管理者は、公害技術的事項の管理というふうに限定されてその任務の内容をおっしゃったように思うのですが、そう理解してよろしいですね。
  135. 莊清

    莊政府委員 先ほど公害部長からお答えいたしましたのは、実は公害防止管理者についてのことでございます。その一段上にございます工場長たる公害防止統括者、これももちろん技術的事項が多いわけでございますけれども、同時に、工場内の公害防止について、統括者は管理者を指揮監督する、あるいは管理者に適当な人を人事上も配置されるように配慮する、あるいは公害防止の設備、施設等が円滑な運営、良好な維持管理がなされるような予算上の措置等も企業内部で確保するように努力する、こういう、直ちに技術とは申せない面があろうかと思います。
  136. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その点もけっこうです。  私の伺っているのは、そういう意味ではなくて、つまり公害防止の人間の配置だとか、工場内の予算をどうするかとかいうふうなこと、それからほんとうに科学技術的な技術、そういう面をひっくるめて、公害防止の措置はいわば企業としてやるべきだという意味技術全体と言っているのであって、これが対社会的にいろいろな問題についての責任を負うという問題になってきますと、たとえばそれは何かトラブルが起きてどこかとの交渉があるとか、あるいは地方自治体との話し合いがあるとか、あるいは政府との話し合いがあるとかというような場合、その統括責任者に対して、実は重役会議でこれを会社の代表とするというような手続を済ませば、これは会社の代表ということになるだろう。しかし、この法律によってできた統括責任者というものは、そういう立場ではないわけですね。
  137. 莊清

    莊政府委員 御質問の趣旨が非常によくわかりましたが、この法律によって工場長を統括者にしたからといって、事業者の外部に対する責任あるいはトップの外部に対する責任というものが変わるわけではございません。工場長が責任を負うのは、あくまでもこの法律で公法上定められた事項について責任を負わせるわけでございまして、本社の社長以下の幹部というものが、事業者の実質的代表者として負っておる法律上及び社会的な責任というものは変化はございません。
  138. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それではっきりしました。  ただ、それでちょっと技術的なことになりますが、公害防止統括者ですか、この統括者が、たとえば工場長程度の人だと思うのですが、それの部下に対する指揮については、法律上かなり詳しい規定があって、経営者に対して、つまりいま申しましたほんとうの基本的な責任者である経営者に対して、何かこれがああしろ、こうしろというような、そういう勧告といいますか要求といいますか、これは企業内のことになりますが、しかし、公害防止の上から非常に重大なことだ。そういう点についての規定が全くない。つまり無力なんですな。先ほどちょっとどなたかの質疑応答の中で、これもどなたかおっしゃったんですが、たとえば防止施設をこういうふうにやれというふうに上から命令されたが、やらなかったというような場合、これはやはり問題になるというようなお話があったような気がするのですけれども、逆に統括責任者がこうやるべきだという、そういう上に対する、企業に対する勧告といいますか要求といいますか、そういう点にわたっての権限の規定は何もないわけですね。     〔始関委員長代理退席、委員長着席〕  そういう点で、これは逆にその工場長なら工場長、統括責任者に対して企業としての責任を転稼するおそれはないか。逆にこっち側からこうやるべきだというのにやらなかったという問題も、そういう道もなければまずいのじゃないか。そこらはどういうふうに指導されますか。
  139. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、下から上へ、こういうふうな公害防止施設をつくれというようなことが適確に行なわれるように、本社内あるいは支社、支店その他工場というところに、やはり監視システムというか、部課制あるいは担当重役を置くようなシステム、あるいはラインシステムのようなものもつくるべく行政指導を鋭意しているところでございます。
  140. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは政務次官、そうたいした問題ないように見えるのだけれども、この統括責任者にしろ、あるいはまたその下に働く管理責任者ですかにしろ、法律によって規定された、義務づけられたそういう制度になるのですね。だから間違ったことをやったり違反するようなことをやったら、地方自治体の長がこれを解任させるというかそういうことができるようになっている。法律上の身分のきらんとした規定があるわけですね。その人が上に対して、企業に対してこうやるべきだということでかなり強力な発言権を持つことを法的に保障することは、この法律のたてまえからいって当然あるべきことじゃないか。ただ、それは企業内の問題であって、それはよろしくやって指導するということではなくて、それをなさらなかったのはどういうことだろうかということですね。片手落ち、法律的にちゃんとこの責任者なりの立場が規定されておりますね。その規定された責任者の実際の行動の中で、企業に対してこうやるべきだというそういう権限といいますか、それを規定しておくことは正しいと思うのだが、特にそれは行政指導でやるつもりで法規定をやらなかったという意味はどういうことですか。どういうことか、やはり疑問点として残ります。
  141. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 法規定で制定しなかったのはなぜかということでございますけれども、これは各企業いろいろございます。しかし、通産省としては、責任ある人がやはり統括責任者になっていただきたいということで、これは行政指導指導していきたいということでございます。
  142. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そこらはまだ押し問答いたしたいと思うわけですが、責任ある人、工場長くらいでしょう。大体いままでの論議の中ではそういうふうにおっしゃっているようですが、工場長は重役である場合もありますし、そうでない場合もあって、必ずしも企業では固定された一般的な、そういう意味ではあなたのおっしゃるような言い方で一般論では済まないような気がするので、ここらは行政指導でも何でもいいですけれども、やはりきらんとやるべきだろうと思うのですね。それはひとつ私は要望しておきたいと思います。  第二点の問題ですが、こういう問題がございますね。公害防止企業の責任を、いま申しましたような二種類の管理者企業自身が転嫁するというようなことのおそれですね。これはもう初めから、こういう問題のときには私どもは問題にしておったところです。責任者をつくる、これはもう全部の責任者です。一般論として公害基本法第三条に基づいて企業に責任があるんだ、そういまあなたもおっしゃったし、私はそれはそれでいいと思うのですけれども、事実上これをつくりますと、転嫁して知らぬ顔しておるというようなことは大いにあり得るという点についての政府としての対策です。これはいままでもあったでしょう。公害問題が起きた企業の中に幾つもあることです。そこらをひとつどういう考えをお持ちであるか、伺っておきたい。
  143. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 これは組織の上での問題でございますので、やはりその管理者ないし統括者が、これはこういうふうに改善しなければいけないというようなことで、組織内においての責任の明確を規定した法律でございます。ですから、もし会社自体がそういう各公害法の規定していることに違反しておる場合には、その会社の代表者あるいは会社が処罰されることであって、その辺の明確さを明確に規定しておるもので、これが法人のかわりに罰則を受けるようなことはないものと思います。この法律にも罰則がございますので、もし各管理者が違反をすれば、二年以内にそういう管理者あるいは公害主任管理者などになれないなどということも規定がございますし、あるいは罰金刑もございます。そういうことで企業あるいは企業の代表者あるいはその管理者、統括者との差別を区分していることでございます。
  144. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それはさっきもちょっと問題になりましたが、統括責任者がこの法律に違反する場合には、これは解任を要求されるというような処罰規定もあるわけです。しかし結果は、そのことからよって起こった公害防止の不完全さというような問題なんかが事実として出てくると思いますが、その結果に対する企業責任という問題については何もないのじゃないかという話がさっき出ました。それは一般的に、公害基本法なり大気汚染防止法なりその他等々の法律によってやるのだというお話でした。それは法的にいえばそうなるだろうと思うのですけれども、しかしこの法律でもそこらをはっきりさしておく必要はなかったかということですね、これは最初から言っていることなんですが……。だから、管理者に対する処罰というような問題は、これは書いてありますから。これだって先ほど岡本さんがちょっと質問していましたが、いろいろ問題はありますけれども、しかし問題は、やはり管理者というのはあくまでも企業内の責任者であって、公害に対する責任者はやはり企業だということをあらゆる点でずばり書きませんと、管理者に転嫁されるというおそれが常に起こるということですね。その問題について、政府のほうはどうチェックしていく態度を持っておられるのかということを、ここではっきりしておいてほしいと思います。
  145. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。公害を出すことについて、企業側がやはりはっきり公害防止するんだという意識がなければ、どんな法律をつくってもそれはなかなか実行できないので、私そういう意味でも今後公害防止徹底指導さしていく義務があるかと思います。いまおっしゃいます点については、企業者がそういう気持ちがありながらも、下部で、組織の中でそれに対してチェックする機関がなければ、それはなかなかできないことであるし、これは両者相まって公害防止ができるのであって、今回の法律案は、そういう事業者規制基準をほんとうに順守するかしないかということのチェックをするのが今度の統括者であり、管理者であると考えております。
  146. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうおっしゃると、さっきの問題にひっかかるわけですね。企業の責任という見地に立って、統括責任者にしろ管理者にしろそれをチェックするという立場に立つなら、企業に対しての法的にかなり強力な権限をこの法律によって与えておかなければだめです。それは行政指導でやるし、企業内のことだからうまくいくだろう、企業はそういうふうに考えてくれなければ困るとあなたはおっしゃっても、政府の希望だけではやらない。そういう点せっかくこういう法律をつくったのなら、これはいろいろな点で特に技術の上では専門家になりますから、だから企業に対して相当の発言権を持った権限を与えておくということは、ある面ではやはり必要じゃないか。また、そういうことはできるのじゃないかという気もするのですがね。そういう問題です。
  147. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 そこの統括責任者を置くことによって、あるいは管理者を置くことによって、その区域、部分の責任というものが明確になり、それが会社の企業者に細部にわたっての意思反映ができる。また会社のほうでは、そういうことによってシステムをつくって、公害防止に万全を期するということだと思います。今回の法律は、その権限を与える云々ということは、その企業内においての責任体制を明確にして公害防止をしっかりやっていくんだということであって、企業全体の中でその発言云々ということは、企業は千差万別でございますので、その点はなかなか法律で一般論的に規定できないと思います。
  148. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この公害防止管理者の業務ですね、この業務のうち原材料の検査あるいは測定の実施等となっている。検査、測定の実施を行なった結果の記録あるいは統括者への報告、こういうものについては、本法では義務づけられてないのですが、これは、管理責任者は要するに統括責任者から指示されたことを実行するという、いわばこの事業における労務者といいますか、そういう直接の技術的な責任者になるのであって、ほんとうの責任者はやはり統括責任者だから、そこへ報告する義務がなく、全部統括責任者が責任を持っているのだ、だから、粗漏があっても管理者の責任でないというふうに、この法律では規定されている、そういうふうに理解してよろしいかどうか。
  149. 莊清

    莊政府委員 公害の測定に関しましては、すでに大気汚染防止法や水質汚濁防止法のほうで規定がございまして、省令等で検査のやり方、あるいは検査結果の記録等につきましても、詳細な実は規定がすでにございまして、それを、管理者という専門家を、一定の資格を有する技術能力のある人を選任して担当させるというのが、今回の法律の趣旨でございます。検査の結果、排水基準を遺憾ながら上回っておる、これは手当てをしなければいけないというふうな事実がわかりました場合には、工場長たる統括管理者というのは統括管理者でございまして、統括管理をするということは法律上にも出ておるわけでございまして、管理者の業務に対しては、もちろん指揮監督を当然にするわけでございますから、その指揮監督権によって報告はさせるというのはこれは本来のことでございます。したがいまして、統括者が責任を持たぬ、その結果について責任を持たないということは、これはもちろんないわけでございます。
  150. 谷口善太郎

    ○谷口委員 この管理者は、会社として大体どのクラスで選ぶことになりますか、あなた方はどう考えていますか。たとえば、課長以上でないクラスが選任されて、労働組合法第二条に規定する労働組合に加入しているような従業員が選任されることもあり得ますか。
  151. 森口八郎

    ○森口政府委員 管理者工場によって違うのでありますけれども、私どもとしては、大体課長ないしこれに準ずべき人が管理者のクラスではなかろうかというように考えております。
  152. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは工場が選ぶのでしょうから、それに対して、一般の労働組合員の範囲内の人を管理者にしたような場合には、政府としては、それはどうもまずいぞというようなことで、やはり工場側のいわば理事者といいますか、管理者といいますか、そういう側の人を選ぶように指導なさいますか。
  153. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 管理者を選ぶ場合には、そういう問題には関係ないと私は考えますし、国家試験を通って訓練を受けられた方で資格がございますならば、私は統括責任者に任命してけっこうだと考えております。
  154. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうなるとちょっと問題なんですよ。工場経営組織として管理者の側に立つことになる。使われている労働者の側に立つとしたら、これは労働組合法ではっきり分けています。労働組合の側に立つそういう一般従業員が、そういうふうに技術的な資格があるからというので、こういう重大な公害防止管理者になるということになりますと、これは仕事は十分やれる、どういう人でもりっぱにやれると思う。しかし、社会的責任の上ではやはり重大な問題になりますよ。労働運動の上でもかなりいろいろな矛盾が起こります。そういう問題について、それは問題にならないというようなお答えだと、これは労働運動の上から重大になります。公害防止工場責任者なんですね。管理責任者です。だから、そこにある労働組合、つまり従業員の一般的な労働災害との関連も起こりますが、公害問題に対する立場の問題ですね。ところが身分は労働組合なんだな、そうなっても。そこのところが重大なことになりますよ。大きな矛盾が起きます。工場公害管理者の責任ということでなくて、工場管理者の側に立つ、つまり労働組合外の人、それから労働組合に入るべき一般従業員のけじめをそこにはっきりつけておきませんと、公害問題で労働組合のある一部の人間が、試験を受けたからといって管理者に任命されたりすると、重大な問題が起こります。その点どうですか。
  155. 小宮山重四郎

    小宮山政府委員 重大なことになるということが私よくわからないのでございますけれども、私は公害ということが、基本法規定されているように、国民の健康を保護するというようなことが前提でございますので、そういう技術があれば私は管理者になってもけっこうだと思います。
  156. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうすると、ここははっきりしておきますが、労働組合法第二条に規定する労働組合に加入しているような従業員でも選任されることはあり得るのだ、こういうことですな。
  157. 莊清

    莊政府委員 この法律では公害をもっぱら目的にいたしておりますけれども、やはり社会的にも外部とも関係のあることといたしまして、たとえば火薬類の取締法とか、高圧ガス取締法とか、こういう法律などがございまして、主として安全の問題を対象にしておるわけであります。それぞれの法律に基づきまして企業内で取り扱いの責任者というものが同様置かれることになっておりますから、そういう場合でも、法律上は少なくともその人が労働組合員であるかないかというふうなことを資格要件には定めておらないことは、御案内のとおりだと思います。  この法律の場合には、それじゃ運用の考え方としてどうなのかというお尋ねかと私伺っておったわけでございますけれども、この管理者といいますのは、たとえば大気とか、あるいは排水の検査をするという場合に、もちろんその人自身が分析の機器の非常にめんどうな操作までするという、そういうようなものまでやるのはけっこうでございますけれども、そこまでの要件は必要ないわけでございまして、別に分析の専門の技師なり何なりがおりまして、そういう人を補佐役に置いておきまして、全体として定期的に水をとってきて検査をして、その検査の結果を見て、次のアクションをとっていくというときの第一次的な管理責任者としてふさわしいかどうかということで実は私どもは考えております。したがって、そういう意味合いから、先ほど公害部長のほうからお答えしたわけでございますけれども、大体工場でいえば、現在大きな工場では、進んだところは公害部とか、あるいは公害防止課というふうな組織を自主的にどんどんつくりかけておりますが、そういうセクションの大体管理職クラス、課長クラスの人を使っていく。指揮もとれなければいけないというふうな意味で、実際上私どもは念頭に描いておるわけでございます。しかし、法律上の資格要件といたしまして、国家試験とか、政令で定める資格とかございますが、本法の場合も、たとえば他の安全関係などを取り扱っております法制におけると同様、職員組合に属しておるかどうかというふうなことを資格要件とはいたしておらない、他の立法例と全く同様である、こういうことでございます。
  158. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その点は、それじゃ結局そういう資格要件を技術的に持っておる者は、労働組合法に基づく一般従業員、労働組合員である立場の人も、あるいはその工場管理者としての、たとえば課長とか係長とか、そういう工場側に立つ人たちとか、そういうことの問題は区分けはない、こういうことでありますね。  それじゃ、これは資格要件の問題になりますが、ちょっと伺います。これは実例で申します。東京都においては、四十六年度から、公害防止条例に基づいて公害防止管理者の資格試験の講習会をすることになっています。本法案による公害防止管理者の資格要件は、都条例の施行規則別表第三に規定するものと一致してやれるかどうか、何か違ったものになるかどうかという点ですね。矛盾なく地方自治体のやっている仕事と、本法によって計画されておる仕事とは一致できるものかどうか、その点いま東京都の例を実例としてあげたのです。
  159. 森口八郎

    ○森口政府委員 本法考えておりますところと、東京都の条例で考えておりますところは、精神的には全く同一であろうかと思います。ただ、実施の細目につきましては、若干そごいたしておる点があるかと存じます。その辺については、東京都とさらに調整してまいりたいというように考えております。  それからほかの都道府県につきましても、条例で設置をきめております都道府県がございますけれども、ほかの都道府県につきましては、まだ内容等が十分きまっておりませんので、本法が出ますれば、当然本法と同じような内容のものを指向していただけるというように私のほうでは期待いたしております。
  160. 谷口善太郎

    ○谷口委員 おそらく私は、今後東京都におけるように、他の都道府県でもこういう講習なんか、条例も何か方々に出てきておりますからやっていくんじゃないかと思うのです。こういう法律的にちゃんと法の規定で管理機構をつくるということは別といたしまして、そういうことをできる人間が企業内にいなければならぬことは明らかで、これは必要なんですから、そういう意味では都道府県で、いろんな点でいろんな仕事を同じような方向でやるだろう。その場合に、本法でやります国家試験を受けて、検定といいますか、資格を国として認められるということですね。それらの関係はやはりうまくいったほうがいいわけですから、それらの問題で今後どう考えているかという問題が一点ございます。  それから同時に、都道府県がやりましても、つまり地方公共団体がやりましても、これはやはりそういう意味では国家的な仕事をやるのですから、その都道府県のやっている仕事に対して、予算的な援助をやる意思があるかというような問題ですね、そういう点のお考えを伺っておきたいと思うのです。
  161. 森口八郎

    ○森口政府委員 公害防止管理者の養成の仕事は、おっしゃるとおり重要でございます。先ほど御答弁申し上げましたように、当省といたしましても、直接いろんな講習事務というものを現在実施をいたしておるわけでございます。当然都道府県のほうでも、同じような考え方をこれからお持ちになる都道府県はあるかと存じます。私どものほうといたしましても、できるだけこういうような事業に対しては、今後援助をしてまいりたいというように考えております。
  162. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ちょっともう一つ念を押しますが、援助ということばはなかなか広うございますが、いま私は特に予算のことを聞いたのですが、これは何かそれを予算措置といいますか、そういう予算という意味を含めてのあれが援助の中に、いろいろ援助にもありますから……。
  163. 森口八郎

    ○森口政府委員 本法が施行されますと、こういう養成事務というものは相当拡充しなければいけないというように思っておりますので、私のほうにおきましても、来年度はそういうような予算を大蔵省に提出して要求をしてまいりたいというふうに考えております。
  164. 谷口善太郎

    ○谷口委員 最後に、時間がございませんので、この公害問題は、住民の問題でいわゆる住民運動というものが起こっているわけですけれども、それと同時に並んで、労働組合がやはり企業内で大きな問題にしている。このことから不利益処分を受けている事例が幾つかあるのですね。企業内で公害の問題をやる、公害の反対運動をやるとか、あるいはここをこうしろというような要求運動をやる、あるいはうちの企業はこういう公害を起こしているというようなことを外へ持ら出すというようなことで、かなり方々にいろいろな形で不利益処分を受けておりますが、これはやはり公害防止の上からいって、住民運動と並んで労働組合のそういう摘発運動といいますか、防止のための運動というものは、大きな社会的意味を持つので、不利益処分を受けるということはやはりまずいというふうに、これは一般の通念として考えられる。これらに対して政府としては、やはりそういう事例に対して、あるいはまた一般論として警告を出される意思があるかどうか、その点をここで伺っておきたい。
  165. 莊清

    莊政府委員 いわゆる安全の問題は、先ほど申し上げましたけれども、こういう問題につきましては、従業員が主たる被害者というふうなことで、労使一体ということが鉱山工場等でもすでに完全に浸透しているわけでございますけれども、公害の問題も、これは外部の問題であって、企業の内部とは関係がないというふうなこういう考え方というものは、もう今日では成り立たない考え方であろうと思います。そういうことで、企業の構成員全部が、上は社長から下は従業員の末に至るまで、やはり公害防止というものが、企業経営の基本的に重要な根本前提だという自覚をし、頭を切りかえなければいけないということが、私どもが諮問をいたしました産業構造審議会のほうの中間答申にも実は冒頭に述べられておるところでございます。私どもそういうことで、やはり企業経営者もこれを体して、やはり企業全体として公害防止マインドを盛り上げていく、一体になってやっていくというふうにすべきだということを、この答申などを各団体や企業へも送りまして、そういう指導をしておるところでございます。したがいまして、労働組合の諸君が、また自分の属しておる企業公害防止のあり方について関心を持たれるということは、企業の構成員である以上、これはいわば当然のことでありまして、これからの企業というものは、そういう点について、何か特別に従業員が公害の問題について関心を持ったからどうするとかいうふうなことは、あってはならないことであろうと私どもは思っておるわけでございます。
  166. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そういうふうにおっしゃいますと、公害問題は事業者も労働者もみな関心を持つべきだというような一般論でいわれますと、ちょっと違ってくるのです。私はこの間、実は選挙中に堺へ行きまして、堺のある化学工場、ここでは硫化水素ガスなんか出る、じんあいも非常にひどいというようなことで、労働組合としては実際は労働者自身が被害者ですね。そこで、工場内の重大な問題として闘争を起こしたら、工場はそれではと煙をみんな外へ出すようにしたが、今度は住民からやられちゃってまた工場へ持ってくるというような、そういう闘争が起こっているのですね。その中で労働組合は相当やはり事業者から圧迫を食っている。そういうような問題が起こるので、これはやはりこの際そういうことの起こらないように、政府としては当然——公害問題については労働者は被害者であると同時に、そういうことで住民の一人でもありますから、闘争やるのは当然である。工場内、企業内で、そのことによって不利益な処分を受けるのはいかぬのだ。これはやはり労働省あたりが、きょうは労働省は見えてないようですが、当然これは警告を発するべきだ、そういうことを私は願っておるんであって、当然だと思いますがね。こういうのは皆さんのお考え方からいって、それから公害防止の上からいっても当然だと思うのでありますが、その点を伺ったわけであります。  それからもう一つ聞いておきますが、本法の第九条第二項、公害防止統括者等がその職務を行なう上で必要であると認めてする指示に住民が従わなければならないと規定してありますね。ここでいう「職務」というのは、本法の第三条、第四条、この統括責任者もしくは防止管理責任者ですか、これの持っておる業務に限定されるということになりますか。それからはずれた問題も実はやられますとかなり大きな労働者に対するいわば不利益な処分になります。そこらをはっきりしておいていただきたい。
  167. 莊清

    莊政府委員 再度のお尋ねがございましたのですけれども、労働者も同時に公害の被害を受けるという場合の問題でございますけれども、これにつきましては、政府といたしましては労働基準法の上で、排出物質の規制をする制度が現在ございますけれども、労働省に置かれた審議会にかねてから諮問をされておりましたのですが、先般五十数品目ですか、相当多数の品目について労働基準法の上でまた規制をかけるというふうなことで、労働省令で詳細な設備の基準なり排出基準というものをつくられるような動きがございまして、現在労働省のほうで省令の作業を進めておられるということを聞いております。  それから、第二番目の本法第九条第二項の指示の問題でございますが、その点は私どもも条文の上で注意したつもりでございまして、ごらんいただきますとおり、「その職務を行なううえで」という明確な制限を設けておるわけでございますので、先生指摘のとおりの解釈のようになるわけでございます。
  168. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私はこれはいろいろ最初の点のところで大きな問題が残っているように思うのですが、いずれにいたしましてもこういう機構をつくっていただいてやるというのは、これはある面では必要なことは当然だと思うのです。同時に、機構にたよって基本問題がごまかされているというようなことが、やはり一番公害防止運動の上では重大なものになってくる。つまり企業の責任という問題、これがやはりあいまいにされていくということになっては、これは法の運営上重大なことになると思うのですね。だから世間では、この法案に対して、住民闘争が非常に盛んになってきたために、政府はこういうものを出して、基本問題をあいまいにしながら何か機構づくりをやってしまう、それで住民にこたえるかのごとく見せて実際は問題の本質からはずれていくような、そういうことを目ざしているんだというような悪評すらあるわけですね。そこらをしっかり踏まえて、そしてそういうふうにならないようにやはり企業責任の問題を追及する上で法律によって規定された機関をつくることを義務づけ、そしてこれを運用する上で、その点をはずさないでやってもらいたいということを、最後に厳重に希望しておきまして終わります。どうもありがとうございました。
  169. 小林信一

    小林委員長 次回は、明二十八日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十五分散会