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島本委員 これは全く驚くべき
報告が握りつぶされているのです。新聞に発表されたのはほんの一部分ではありませんか。それもわりあいに社会が容認してくれると思われるような数値の出たところだけ発表しておる。もしそれがほんとうだとすると――なぜ、こういうようなものが出た場合には、はっきりした
データを皆さんのほうにおとりにならぬのですか。これはやはり、
企業がそういうような態度で一生懸命やる、今後は
企業べったりと思われないように、通産省とべったりにならないようにやる、こういうような態度を出していたら、今度は行政庁が逆にそれをカバーするようなことをしたらだめだ。何もならぬですよ。これは重大なんですから、あえてこれは資料を要求せざるを得ません。しかし、資料が出ない以上――もう私の手元にあるのです。私のところにあって皆さんが知らないということはどういうわけです。職務怠慢ですよ、これは。まあその中身はそれしかないとすれば、これはとんでもないことが隠されてあります。水と、それから泥土、これに分けられているようです。
それから、そこでこれは水銀の量が水俣病の熊本県の不知火のどろで五〇〇
PPM、阿賀野川の昭電の鹿瀬工場の排水口直下のどろで六〇〇
PPM、これに比べてまことに高いような数値がここにあらわれているのです。そしてまた、そこのどろの中にはクロム酸塩、これも相当の数量がもう検出されているのです。これは発ガン作用があるものであります。これももうすでに「職業病と労働災害」という、こういうような著書にまでこれがはっきり出されているような
状態なんです。これはもう単にそのままにしておいて排出している。こういうような
企業に対しては、労働省自身も
認定する業務上の疾病にも重大な
影響のあるものであります。クロムによるかいよう、こういうようなものも予想されていると、こうはっきりなっているしろものであります。
また水のほうになりますと、今度アクリロニトリルやアセトン、こういうようなものも検出されているのです。おそらく、こういうような
状態では、皆さんのほうではほとんど知らないと言っているけれども、これはそのままにしておいたら、今後また新しい
公害発生のおそれがある要素じゃありませんか。総揮発物が一四七七
PPM、これだけ検出されているといって、ちゃんと
データに出ているのです。不利だからこういうようなものを発表しない。そうしてわりあいにいいところだけ発表して、それでもって全部これはいいものだ、こう考えさせられている。これを指導したのが通産省であるのか、厚生省であるのか、または自主的にこういう発表をしたのか、まさか海上保安庁が指導するわけはなかろうと思うのであります。これは私はちょっと重要だと思います。これは、即刻にこの点に対しては調べていただきたい。
それと同時に労働災害にも、これは重大な
影響のある問題であるということが、あとからその結果によって証明されてきているのです。これはちょっと私どもとしてはいますぐでも手をつけなければならない問題の
一つなんです。総揮発物が一四七七
PPM、これは有機溶剤取り締まり規則の中に入るやつです。吸入するということで労働省では
規制しているはずですから。そうして水の中には有機物であるベンゼン、これが二五八・八
PPM検出されている。これも肝臓に重大な
影響があるということはみんな知っている。そのほかに今度は神経として大脳を侵す、こういうようなものです。血液毒で、貧血だけじゃなくて、発ガン作用を持っている、これは白血病を引き起こす、こういうようなものである、こういうようなことさえも言われているベンゼン、こういうようなものも蓄積してある。あえてこれに対しては進んで証人になってもいいという人さえいる。これは一度体内へ侵入するともう出てこないというしろものですから、こういうようなものはすぐなんとかしないと困るしろものじゃありませんか。そのほかにまたブタノールも検出されています。ベンゼンをはじめこういうようなものは体内で分解されないで、蓄積してしまうから、肝臓やじん臓、こういうものが侵されるのであります。それだけじゃなくて、魚に蓄積されたら、それを食べた人は口を通してまたこういうような病気になる可能性、これさえはっきりしているのです。アクリロニトリル、こういうようなものに対しては、もう合成ゴムのプラントの工場がありますから、その原料としてこれは流している、こういうようなことも想像できます。これは堆積
基準にして三七・二
PPM、こういうようなものを検出されている。それからまたアセトン、これは一一〇・四
PPM、これも検出されている。肝臓と大脳を侵す。精神異常を来たす。精神異常が多いので、したがって、これは職業病としてはもう認められているという、こういうようなものもやっておるから、必ずどこかから流しているはずです。どうも、こういうような
状態にしておいて――こういうようなのもはっきり新聞に出ているならば、それでよろしい。こういうような肝心なやつが隠されておる、こういうようなことでは、ちょっと了解に苦しむわけなんです。そしてなるほど底のどろ、これの中に水銀は二〇・九
PPM、これはもう存在しております。これでも、阿賀野川の
昭和電工の鹿瀬の直下のどろでは六〇〇
PPMです。河口のどろで一
PPM。これがいわゆる第三地点というところでは二〇・九
PPM検出されているのです。第三地点というのは、これは化学工場の排水が流入するほか、大井の川総合排水溝の排水などが流れることによって、
四日市港から港外へ、また逆の方向への通路になっている場所、これが
指定されて第三の地点になっているわけです。ここでは二〇・九
PPM検出されている。
四日市の魚はくさくて食えない、こういうようなことが往々にしてわかるわけでありますけれども、魚がそこだけに停留しているわけじゃ決してない。伊勢湾一帯に遊泳する。こういうような立場に立つならば、その辺から出るものが魚全体を通して人間に危害を加える、こういうようなこともはっきりするじゃありませんか。こういうようなものに対しても、あえてその
内容等を詳しく発表していない。これは重大であります。こういうようなことに対して、そのままにしておいていいのかどうか。こういうような結果がいままでわからなかったのかどうか。一月二十九日に少なくとも予算
委員会でああいう
質問があったならば、すぐその場でそれぞれの官庁で手分けして調べるのが皆さんの仕事じゃありませんか。あとから発表するのは一部分だけ、それもかぼそくそれを調べたのであって、調べたんじゃない、知っているだけだ。知っているのじゃない、肝心なことは隠されているんだ。こういうような
状態ではほんとうに困る。海上保安庁もこういうのは思い切って取り締まらなければならない問題ではなかろうかと思うのです。通産省、厚生省、海上保安庁、これをはたして全然知らなかったのかどうか。こういう
データが一月十一日にはっきり出されたということを、新聞に出た以上、その
内容は皆さん知っていなければならないはずなんです。なぜ知る努力をし、これをはっきり把握しなかったのか。行政的怠慢じゃないですか。ちょっと伺います。