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1971-03-19 第65回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十九日(金曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 小林 信一君    理事 始関 伊平君 理事 古川 丈吉君    理事 山本 幸雄君 理事 渡辺 栄一君    理事 岡本 富夫君       伊藤宗一郎君    葉梨 信行君       浜田 幸一君    林  義郎君       松本 十郎君    土井たか子君       山口 鶴男君    古寺  宏君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         通商産業省公害         保安局長    莊   清君         通商産業省化学         工業局長    山下 英明君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         通商産業省公害        保安局鉱山課長 伊勢谷三樹郎君         労働省労働基準         局安全衛生部長 北川 俊夫君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     阿部喜男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(群馬安中市におけ  るカドミウム公害問題)      ————◇—————
  2. 小林信一

    小林委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際御報告申し上げます。  先に委員長に御一任願いました内閣提出公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案、及び細谷治嘉君外十名提出公害防止事業の実施を促進するための地方公共団体に対する財政上の特別措置に関する法律案についての地方行政委員会との連合審査会開会の日時は、地方行政委員長と協議し、来たる二十三日火曜日午前十時と決定いたしましたので、お知らせいたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 この前の当委員会におきまして、高瀬参考人及び小林純参考人をお呼びをいただきまして、いろいろ質疑をしたわけでございます。私はこの問題、中村さんの遺体発掘してやるということは、日本人の通常の常識からすればきわめて冒涜的な行為であるという感じさえするわけでございます。先般におきましては、できるだけ客観的かつ科学的な問題だけを御質問したつもりでございました。本日は、実はその基本的な考え方のもとに立って、厚生省及びほかの役所の方々に少し御質問をしたいと思います。  基本的な問題といたしまして、死者の墓をあばくということは、私としても非常にいやな感じのするものでございますけれども、やはり真実の前には、真実をここで明らかにするということが一番大切なことだと考える次第でございますので、その点、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。  まず、先般のお話では、出てきた遺体解剖、さらにそのじん臓分析、さらにそれに対する分析班のいろいろな調査というものがございましたけれども、実は週刊文春の三月八日号を見ますと、この遺体発掘の問題について若干の問題があると書いてあります。読みましょう。安中市長などは「新聞を見て、あわててお線香をあげにいったら、もう朝から」「ご両親を東京へ連れ去ったあとで、鍵がかかってる。新聞では一月十五日に発掘解剖となっていますが、実は昨年十一月にあらかじめ発掘をやっていることも、あとからわかったようなわけで……」というような記事がございます。  私は考えますのに、遺体埋葬をされておる。その埋葬をするときには当然に埋葬許可証というものが要るわけでありますし、発掘する場合には発掘許可というものが要るんだろうと思うのです。そういった辺についての事実関係厚生省のほうでお調べになっておるかどうか。お調べになっておるならばどういう点になっておるのか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  4. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 お答えいたします。  中村登子さんの改葬手続につきましては、現地で書類の写し等も見たのでございますが、昨年十一月二十四日付で中村さんの父親中村義雄さんから安中市長あてに、墓地埋葬等に関する法律の第五条に基づきます改葬許可申請が出されております。改葬許可申請書によりますと、死亡者の遺言により東京都の高尾母苑に分骨いたしたいという理由で申請書が出ておりまして、同日付で許可証が交付されております。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと十一月二十四日に申請が出て、普通であれば当然その日にすぐ許可証が出ますから、当然その日に発掘されるということになっておると思いますが、先般のこの解剖許可証久保田先生解剖診断でございますが、一月十五日になっておりますが、その辺の関係はどうなっておりますか。
  6. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 お答えいたします。解剖につきましては久保田さんは医者として死体解剖資格認定を受けておられますので、解剖自体についての特別の手続は要らないのでございますけれども、ただ死体解剖保存法によりますと、一定の施設以外の場所解剖を行なう際には、その場所についての許可が要ることになっておりまして、その手続もなされております。それによりますと、解剖許可申請、これは場所についての許可申請でございますが、一月十四日付で許可申請が出ておりまして、これは安中保健所長あて申請書でございます。同日付で保健所長からの許可証が交付されております。  なお、この死体埋葬手続と実際に死体解剖が行なわれました時日との間の時間のズレにつきまして、現行の墓地埋葬等に関する法律では、特に許可手続を得てから一定期間内にたとえば改葬等をしなければならぬという、そういうふうな時期的な制約はございませんで、手続をした後に相当期間たってから実際に発掘するということも、一応墓地埋葬等に関する法律としては特別いわばその点について触れてないことになっておりますので、手続的に遺漏はないかと存じます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、結論といたしまして、十一月二十四日に発掘許可をいたして、それから一月十五日に掘り上げてやった、こういうことでございますか。その間においてはどういった行為が行なわれたかということについては、お調べになっておられないのかどうか、その点もお尋ねしたいと思います。
  8. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実はその間の遺体が、お棺も含めましてどういうような状態であったかにつきましては、私どもまだ確認いたしておりません。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 この辺は少し調査をしていただきたい。これは厚生省にお願いする調査でないかもしれませんけれども、どこにお願いしたらいいか知りませんけれども、少し厚生省のほうで調査をしていただきたい。何かやはりこういった点の疑惑を一つ一つ晴らしていくことが、この問題の解決のためには非常に大切なことだと私は思うのです。十一月二十四日に申請が出て、直ちに許可された。それが何か一月十四日まで二カ月間も全然ブランクにされておったというようなことは、法律的には確かに手落ちはないかもしれません。しかしながら、われわれ常識から考えると、直ちにそういった許可が出るようなものであれば、わざわざ二カ月も前に許可申請をすることもないだろうという気が私はいたしますので、その辺一体——しかも、もう一つ非常にひねくった言い方をしますと、十一月二十四日に許可が出ております。そうすると、いつでも発掘ができるということでございますから、その間に別の発掘があったのではないかというようなことさえ考えられるわけでございまして、そういったことは私はないと思いますけれども、そういった点についても十分調べていただきたい、こう思っております。  次に、これは先般の小林参考人からお話を聞いたところでは、小林参考人の手に送られてきたじん臓のサンプルはピンク色をした新鮮なものであった、こういうお話でございました。ところが、こちらの久保田医師、これは解剖をされた方でございますが、その方の中には、そういうことは書いてない。「右腎臓はやや萎縮し、表面青色を帯びた黄褐色で、ほぼ原形をとどめていた、この右腎を約七糎×四糎×二・五糎位切除した。割面は僅かに赤味を帯びた淡青紫色であった。」こう書いてあるんです。この前もお尋ねしたのですけれども、薄い青で、しかも紫色である。わずかに赤みを帯びた色というのは、これは私はどう考えても、ピンク色であるし、新鮮だということは言えないと思うのです。人の目の違いということもあるでしょうけれども、ちょっと色盲か何かでないと、その辺は出てこないのじゃないかという気がいたすのです。  それで私、はっとしましたのは、ドライアイスの入った容器に入れて岡山に持ち帰られたということですが、ドライアイスといえば炭酸ガスだと思うのですが、小林先生が言われていたように、炭酸ガスの中に入れておくと、非常に新鮮度を保つということだと思うのです。一般的に申しますと、人体の問題でありますから、新鮮な色であり、かつピンク色であるということが新しいので、古くなったものが薄青紫色だろうと思うのです。若干赤みがかっている。赤みがかっているのがだんだん黒くなってくるというのが私は常識だろうと思うのです。したがって、もしも考えられることとして言えるならば、ドライアイスの中に入れておったから、ドライアイスの作用によって、色が新鮮度を増してくる、こういうことは考えられるのかどうか、厚生省のほうからお答えできるかどうかわかりませんが、ひとつお願いいたしたいのでございます。
  10. 山本宣正

    山本説明員 技術的なことでございますので、お答えさせていただきます。  久保田医師解剖所見をもう一度読ましていただきますが、「左側の部分は一般汚穢暗黒色で、左腎は認めにくかった。」要するに、左のじん臓は認めにくかったということでございます。「右腎臓はやや萎縮し、表面青色を帯びた黄褐色で、ほぼ原形をとどめていた。」こういう記載になっております。それからその切った面でございますが、「割面は僅かに赤味を帯びた淡青紫色」、薄い青い紫色であった、こう書いてございます。この問題につきましては、正確には法医学という、死後の変化につきましての専門分野があるわけでございまして、法医学先生に実際お聞きしていただくのが適当かと思いますが、私の知っている常識で申し上げますと、掘り起こしたすぐの状態での色が非常に重要なことでございまして、それをドライアイス等に入れて運びますと、その間に変化があるかもしれないと私は思いますが、その辺はひとつ専門の方に私どものほうとしても聞いてまいりたいと思っている点でございます。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 この辺は非常に問題になる点でございますので、ぜひその点を聞いていただきたい。できるだけ早い機会に、当委員会におきましても御報告をしていただきたいと思います。先ほど申しました埋葬遺体発掘の問題と解剖との間の時点の問題につきましても、ぜひ当委員会に御報告をしていただきたいこう考えております。  次に、実は鑑別診断班が行かれて、調査をした時間が非常に短かった、たいへんな数で行かれて、さっと診断されて、中村さんのおかあさんにもお会いにならないうちに診断を済まされたということは、ずいぶん先般の当委員会においても問題になっておったのですが、一体厚生省研究班関係は、厚生省が全部指導して、厚生省がこうやれという、こういうような研究班なのか、研究班としては独自の体制を持って、いや、厚生省から何と言われようと、診断班としては独自の判断でやるというのかどうか、その研究班——これは厚生省からお金が出て委託をしておるのですから、委託をした範囲外だからもうやめてくれと言われたらそれまででしょうし、その辺の体制はどういうふうになっておりますか。厚生省鑑別診断班との関係はどういうような委託関係になっておるのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 お答えいたします。  鑑別診断班は現在のところ班員十三名で構成されておりますけれども、この鑑別班自体は、私ども公害のいろいろな調査研究を外部の民間団体等委託いたしますけれども、その一つとして日本公衆衛生協会、これは公衆衛生学会のいわば事務局でございますけれども、そこに包括的に、四十五年度でいいますと二千万円の予算をもって研究委託しております。その研究の一環として幾つかの分野研究をお願いしておるのでございますけれども、その幾つかの研究一つとして鑑別診断に関する研究がございます。  それで、この鑑別診断班の構成その他につきましては、当然委託を受けた公衆衛生協会が、いわば責任をもって、班員その他の選定をいたすわけでございます。もちろん事実問題といたしまして、厚生省のほうにも当然相談がございますけれども、たてまえは、あくまで公衆衛生協会が、自分の研究をどういう専門の方にお願いするかということで、それぞれ適当な方を選んで委嘱する、そういうたてまえになっております。したがいまして、委嘱状等につきましても、公衆衛生協会理事長名でそれぞれの研究者にお願いするということになっております。  なお、鑑別診断班運営そのものでございますけれども、これは御承知のように、全く専門家の、いわば純学問的な研究の場でございますから、私どもがその中に入ってどうこうということはいままでもございません。私自身は実は参加したことはございませんけれども、いままで公害課長あるいは担当官が、鑑別診断班会議に参加することはございます。これはあくまで鑑別診断研究班のいわば庶務的な取りまとめという意味で参加しているのでございまして、具体的に言いますと、研究班としての最終結論が出て、これを文書に整理する、そういう文書作成あるいは資料作成、そういったことで事実上庶務的な役割りを果たしておりますけれども実質討議はもちろん先生方だけの判断でおやりになることでございます。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、非常に時間が短かったという点につきましては、これは鑑別診断班のほうできめられた日程であって、それを厚生省のほうはあとでまとめた、それだけのことであって、日程その他につきましても、これは鑑別診断班責任をもってやった、こういうことでございますか。
  14. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 大体、鑑別診断班のいままでの主たる役割りといいますか、仕事は、カドミウム慢性中毒のいわば早期診断方法確立でございまして、具体的には毎年全国数カ所の要観察地域精密検診の結果のデータが参ります、そのデータを検討することによってそういう方法確立に資したいということで、御研究願っておるわけでございますけれども、従来のやり方からいいますと、おおむね一度会議を開きますと、次回はいつごろということで次回の予定をお立てになりまして、それで、何ぶん先生方もたくさんございますから、私どものほうでまた具体的な日取りにつきましてはそれぞれの先生方連絡をとりますけれども、たてまえとしては、やはり私どもが一方的にどうということじゃなくて、診断班が次回はおおむねいつごろにしようかということでやっておるようでございます。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 いや、私がお聞きしたいのは、いつにきめたかということじゃなくて、今回安中に行かれたときに、非常に時間が短かった。そういった非難があるわけです。先般の当委員会におきましても、そういうことを言っておられた。非常に時間が短かかったのではないか、最後には伊香保温泉に行ってどうだこうだという話が出ましたけれども、そういったことは別にしまして、ほんとうに十分な時間としてお医者のほうで判断されたのか、厚生省がさしがねをして、もうこのくらいやっておけばよろしい、こういうふうに言われたのか、その点をはっきりしておいていただきたい、こういうことでございます。
  16. 山本宣正

    山本説明員 私、先般の会議には陪席させていただきましたので、私からお答えします。  中村さんの問題につきましては、その時点厚生省群馬県その他から提出されました資料範囲判断できることを議論したということでございますので、確かに議論する時間は数時間程度でございましたけれども、その議論の中に出てくるいろいろの検査調査の内容を含めますと、それ以前からも調査の時間はあるわけでありまして、専門先生方に十三人お集まりいただいて検討した時間は数時間である、こういうことでございます。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 くどいようですけれども、もう一つお尋ねしたいのです。  そういったことをされるについて、厚生省のほうがこの範囲だけでいいではないか、久保田医師証明と、何とか医師証明と、何とか文書の問題だけでよろしいということをきめられたのは鑑別診断班できめられたのか、厚生省がそういうふうにしろといってやったのか、どっちかということです。
  18. 山本宣正

    山本説明員 私ども説明いたしましたときには、現在の時点で得られているものはこうこうでございます。したがいまして、先生方にこれだけで十分であるか、不十分であるかという問題を含めて御検討いただいておる、こういうことでございます。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 ということは、要するに鑑別診断班医者方々責任においてその資料をまとめてこういうふうな結論をされた、こういうふうに私は理解したいと思います。  次に、先般の問題でもいろいろありました、小林参考人から、厚生省からボイコットされた、こういうふうな話もありましたが、私は、この前も大かた委員方々が言っておられたと同じように、やはりこういった問題を究明するにあたっては、いろいろな学問の成果を総合しなくちゃいかぬ。おそらく学者の中でもいろいろと縦割り社会でございましょうから、なかなか横の連絡というのはむずかしいだろうと思うのです。しかし、そこを乗り越えて横の連絡をとっていくということが、公害問題の解決の一番大きな仕事であるし、それをやっていかなくちゃいかぬと思うのですが、そういった点につきまして、どうも小林先生あたりにしますと、厚生省から何のあいさつもないとかなんとかいうこともあります。  さらに申し上げるならば、労働省のほうでも検討しておられる。労働省のほうでも今度新しく研究所をつくられてやられるというようなお話を聞いておりますが、早い話が、公害の問題ということになりますと、企業が外に与えるところの影響これは厚生省である、企業が中の労働者に与える影響、これは労働省である、別々のところで同じ問題を研究しておったのではしょうがないと私は思うのです。私は、病気の問題ですから、これは工場の外であれ、中であれ、同じことだと思うのです。中村さんの場合にいたしましても、中村さんは中でカドミウムの箔を削っておって、鼻から吸ったということはあるでしょう。まわりの、一キロぐらいのところに住んでおられたということですから、まわりでいろいろなカドミウム汚染米を食べることもあるでしょうし、また汚染された野菜を食べることもあるでしょう。そういった意味で、総合してやっていかなくちゃいかぬ。そういった点について、厚生省のほうもある、労働省のほうもある、ここら辺を一体どういうふうな形でこれから調整されていこうとするのか、また、どういうふうな形で研究成果をあげていこうとされるのか、その辺につきましての厚生省及び労働省当局の御意見を聞きたいと思います。
  20. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 お答えいたします。  安中の今回の問題を契機といたしまして、労働省のほうでもやはり環境におけるそういう問題についていろいろ検討したいということで、研究会を発足させたいということで、私どものほうにもいろいろ御相談がございました。それで、当初は合同委員会みたいなものを考えたのでございますけれども、おりに触れ合同会議を開くという形でいいのではないかということで、現在に至っておるのでございます。今度の、先般の前橋における鑑別診断班の打ち合わせの際にも、もしできましたら、あるいは労働衛生関係の方にも来ていただこうということも考えたのでございますが、準備その他の関係もございまして、先般は鑑別診断班単独の会合になりましたが、今後も必要に応じ、労働衛生専門官の参加をお願いするということは、十分考えておるつもりでございます。
  21. 北川俊夫

    北川説明員 先生御指摘のように、職場内の労働者安全衛生と、それから職場外一般市民公害の問題は、表裏一体でございます。今回の調査団につきましても、労働省が現在その結論を取りまとめ中でございますけれども結論が出ました段階では、よく厚生省にも御連絡をする、また今回調査団が発足をしましただけでカドミウム中毒対策が万全と思いませんので、中村さんの事件を契機に、やはり職業病全体について積極的に取り組みたいと思いますが、その際両省ともよく連携をとれるように、労働省のほうも十分留意をいたしたいと思います。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、ぜひ両省の間において、二つの研究体制がそごのないように、また、やはりいろいろな研究をしていかなくちゃいかぬ、分析の問題についても必要であるし、それから予防医学観点からも必要であるし、労働衛生という観点からも、臨床ということも、すべての問題をあげて、この問題に一体となって取り組まなくちゃいかぬ問題だろうと思うのです。  それに関連いたしまして、実は先般の質問ではなかったのですし、それからまた、小林さんの「水の健康診断」の中にも出てないのですが、私は、はっきり申しましてカドミウムというのはたくさんのところにあると思うのです。特に小林さんの本に書いてありますけれども小林さんの説明によると、日本カドミウムがわりに多いところである。それから特に日本人というのはカドミウムをたくさん体内に持っている。アメリカ人であるとか、東南アジアの人に比べても、たくさん持っておる、こういうことでございます。ところが、昨日の参議院の予算委員会において御質問があって、大きな見出しで、「危険、肥料カドミウム」、こういうやつが出ております。私は、肥料の中にもあるだろうと思いますが、一般肥料の中にどのくらいあるのか。  それからもう一つは、〇・四PPMという形で汚染米土壌検査につきましてはきめておられますが、その辺と、この肥料との関係はどういうふうに政府当局のほうでは考えておられるのか、その辺につきまして御説明をいただきたいと思います。
  23. 山下英明

    山下政府委員 肥料に含まれますカドミウムでございますが、肥料の中でも燐鉱石を使いました過燐酸石灰及び複合肥料燐鉱石カドミウムが移されまして入っておるというのが現状でございます。したがいまして、ほかの尿素、硫安等肥料にはまずまずないものと御理解いただいていいと思いますが、その過燐酸石灰の中に含まれますカドミウム含有量でございますが、私ども調査では平均一四PPM入っておるというのが現状でございます。いま一つ複合肥料の中のカドミウム含有量でございますが、平均しまして一三PPMというのが現状でございます。いまかりに過燐酸石灰カドミウムが二〇PPMのものと仮定いたしまして肥料をまきました状態を考えますと、大体十アールの土地に実量で五十キログラム程度施肥いたしまして、そしてこの二〇PPMというのを計算いたしますと、一グラム程度カドミウムが入ることになります。その場合の全体の土壌は、表土十五センチメートルをとりまして、約百五十トンでございますので、その比率は〇・〇〇六PPMということになります。御承知のように、土壌そのものカドミウムが〇・五ないし二・〇PPMというのが日本常識でございますので、私どもは現在の施肥によって土壌カドミウムを極端に悪化さしているという現状ではない、こう判断いたしております。もとより蓄積された場合その他いろいろな角度から今後とも検討はいたしますが、現状において警鐘を発するという事態ではない、こう考えております。  お米の中のカドミウム等の関係につきましては、農林省からお答えいただきたいと思います。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 農林省の方、来ておられないようでございます。あるいは連絡が不十分だったと思いますが、私はいまの山下局長お話を聞きまして大体わかったのですが、そういたしますと、こういった過燐酸石灰肥料が普通の畑に入る場合には〇・〇〇六PPMであって、普通にあるのは〇・五から二・〇PPMであるということであれば、これは私はネグリジブルな数値だろうと思うのです。この数値だけからいたしますと。もちろん、これはさらに検討していただかなければいかぬことだろうと思いますが、そういたしますと、実はこの毎日新聞の中に出ておりますのは、保有米汚染の犯人は、ほぼ化学肥料に間違いないことになったという結論が出ているのです。いまの話と全然違うのですね。そうすると、これは安中であるとか、神通川とかは全然関係ない、むしろ肥料である、こういう結論であると私は思うのですけれども、これは私は非常におかしな結論だろうと思うのですよ。こういった点もやはりもう少し科学的に数字をあげて、一体どこがどうだということをはっきりしてから結論を出すべきであって、これはどなたでもけっこうですから、いまのお話で、こういう肥料が保有米汚染の元凶であったというのはちょっとおかしいんじゃないかと思いますが、その辺について政府のほうからお答えいただきたいと思います。
  25. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 私からお答えするのもいかがと思いますが、私たまたま昨日の参議院の予算委員会に出ておりまして、その件につきましての農林大臣のお答えも聞いておりましたが、農林省のほうも、化学肥料等については従来あまり調査していないということで、今度のそういうことを契機に総点検をしたいというようなお答えもございました。通産省の御説明では〇・〇〇六、農林省の御説明では〇・〇〇八というような御説明がたしかございましたけれども、いずれにしましても総点検をするということでございますし、関係各省のほうでその結果いかんによりましては十分相談して、農民あるいは消費者の方々に不安のないような措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 その辺はぜひ科学的に分析していただいて、はっきりした結論を出していただきたい。いたずらに何でもかんでもみなあったということになってくるとたいへんなことになってくる。われわれが世の中に住むのがおかしくなるというような話にもなってくると思うので、その辺をぜひ早急に科学的に詰めていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  私、実はもう一つ申し上げたいのですが、たん白の検出方法、この前の委員会でありましたけれども、たん白の検出方法につきましていろいろと議論がありました。最後に実は鑑別診断班の電気泳動法というのもありましたが、一体現在の科学におきまして、何かいろいろな名前の検査方法がありまして、われわれしろうとですからあまりよくわからないのですが、その中で、たん白の検出方法というものについてこれならばきめ手だという検出方法一体あるのかないのか。あるならばそれを早くやったほうがいいのではないかというふうに、実は非常にしろうと的な考え方をしておるのですけれども、そういったことについて、たとえば非常に簡単な検査をやり、これは値段も非常に安くなる。これでもって一応ずっと検査していく、そこでおかしなことが出たときにもう一ぺん詳しく金のかかる検査をやる、こういうような形でやるのも一つ方法だと思います。一体どういうふうな方法でこれから検査体制というものを進めていかなくてはいかぬのか。その点はもちろん学問的な問題もあるでしょうけれども厚生省のほうでその点はどう考えておられるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  27. 山本宣正

    山本説明員 お答えいたします。  カドミウムの要観察地域検査につきましては、非常に大ぜいの人を一どきに検査をいたしましくその中から疑わしいものを引き出して、さらに第二次検査、第三次検査というように、きめこまかく検査方法を高度にして精密検診へ持っていくこういう考え方でございます。少し技術的でございますが、尿の中のたん白を見つけ出すという方法にはいろいろな検査方法がございます。その中でこの鑑別診断班として集団検診の場でやる場合には一回でやってかなりの精度が得られるものとしては、いわゆるトリクロル酢酸によるものがよろしいだろう、こう言われておりますが、その後のいろいろの検査の段階では、いわゆる尿のたん白の中でも分子量の低いたん白尿が出るというのがカドミウムによるじん障害の特徴でありますので、先ほど先生がおっしゃいましたような、電気泳動法というような非常に高度な検査までいたしますが、ズルフォサルチル酸法による尿検査も、一回の値ではときには不確かなものもあるけれども、これも回数を重ねてやった場合には、トリクロル酢酸と同じように相当精度の高い判断ができるというようなことでございまして、この辺のいろいろの診断に対する、どういったような方法がどのような精度があるかという問題も、もちろんそのカドミウム研究班のほかの班で十分やっておるわけでございまして、実は先日の診断班の開催のときにも、先般の小林参考人の御証言では、野見山助教授がトリクロル酢酸法のほうがすぐれているのだということをおっしゃっておられたということですが、当然野見山助教授も同席されまして、このズルフォサルチル酸法で七回確実に検査されたということを野見山助教授も十分聞いておられまして、判断については誤りがないというぐあいに全員の意見がなった、こういう事情でございます。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 いま申し上げたようないろいろな分析方法があります。それからやはり分析に使うところの機械の問題も私はあるだろうと思います。きのうちょっと町を歩いておりましたら、晴海埠頭で環境機器の展覧会があるとかというような話もありますし、いろんな分析機器の展覧会をやるのだという話もある。私もぜひ行ってみたいと思っておりますけれども、やはり分析機器とかそういった機械の開発というものも、これから非常にやっていかなくてはならぬ問題だろうと思うのです。これはどなたにお願いしたらいいのか知りませんけれども、ぜひそういった点につきましても積極的な努力をしていただきたいと思うのです。  もう一つ、実は私も非常に疑問に思っておりましたが、中村さんの遺体の中にはカドミウムが非常にたくさん入っておる。ところが、同時に骨の中でしたか、たしか亜鉛が非常に入っているというのがあるのですね。ところがその中村さんの働いておられた場所は、カドミウムの棒から箔を削り取るところの工場であって、亜鉛の工場のほうは全然別のむねであるというのが、この週刊文春の中に出ております。これは一体どういうふうな形で亜鉛が非常に多く出たのか、その辺についてどういうふうな推断を下しておられるのか。これは厚生省のほうか、あるいは労働省のほうかわかりませんが、この辺について調査をしておられるのかどうか、また調査をしておられたならば、どういうような一応の推断を下されるのか、その辺につきまして御回答いただきたいと思います。
  29. 山本宣正

    山本説明員 先般の鑑別診断班でも、中村さんの遺体の中から発見されましたカドミウムだけでなしに、亜鉛の濃度等がいままでの常識とちょっとバランスが違うということも議論の俎上にのぼったわけでございますが、それについては作業の環境条件等の調査資料を見てから最終的に判断すべきじゃないかというようなことで、特にそれに対する見解を出さなかった、こういうようなことでございます。  それからもう一つ、前のお尋ねの機器の開発のことでございますが、現在私ども環境基準の測定につきましても、排出基準等の測定等につきましても、通産省のほうとも十分連絡をいたしておりまして、たとえば環境基準の測定につきましては、硫黄酸化物の環境基準の測定についてはどういった方法でやるかというようなことまで検査方法をはっきり明示した形で、そのデータによって判断する。つけ加えますが、水の環境基準につきましても、それぞれの物質についての基準値がきまっておりますが、これについてはそれぞれ検査方法が指定されておるというふうなことでございますので、検査方法についての今後の開発についても私どもと通産省と相談いたしまして進めていくわけでございますが、それぞれの物質の測定につきましては、一応検査方法確立し、あるいはできるだけ明示していくという方向で進んでいく方針でございます。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 一つお尋ねしておきたいのでけが、こういうふうな形で、この前からの話で、カドミウムの中毒とイタイイタイ病との関係等につきましても、学説的にもいろいろ問題があるということですが、イタイイタイ病につきましては、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法で指定されておるわけですね。いろいろと問題があるけれども、とにかく健康被害の救済はまず先にやらなければならぬ、学問的にどうであろうと、とにかく救済は先にやるのだ、こういうふうな考え方で指定をしておられるのだろうと思うのです。そういった考え方でいいのかどうか。こういう考え方でこの法律をまず運用していくのかどうか。それじゃどの程度になったならばそういう形のものになるのだというようなことを、厚生省のほうでどう考えておられるのか、その辺を聞かしていただきたいと思います。
  31. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 被害救済法の政令で、イタイイタイ病という病名の、いわば公害病の指定をいたしておりますけれども、この件は、慢性中毒によってじん障害を起こして、さらに他の要因が加わって骨の変化を来たした、そういう具体的な疾病でございまして、学問的に問題があるということではなしに、すでにイタイイタイ病というものはそういう固有名詞で学会にも報告されておりますので、これははっきり具体的な疾病に入るということだろうと思います。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、具体的にイタイイタイ病という形できまっているその病気に対してどうするということでございまして、それに対しては医療費を出しましょう、そのかわりイタイイタイ病を根本的に、社会的になおしていかなければならぬということについては、いろいろ学説があるから、その学説に基づいて、企業からのいろいろな排出の問題をどうしますとか、こうしますとか、あるいは一般的な予防対策をこういうふうにやっていきましょう、こういうふうな考え方で進める、こういうことでございますか。
  33. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 そのとおりでございまして、イタイイタイ病という具体的な疾病を今後二度と起こしてはいかぬ、それ以前に、慢性中毒の早期の状態で未然に発見したいということでございます。
  34. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろとお尋ねいたしましたけれども、古川委員からの関連の御質問があるようでございますので、私はこれをもちまして私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  35. 小林信一

    小林委員長 関連して古川丈吉君。
  36. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 この前の委員会で両参考人からもいろいろ事実なり意見の聞陳があったのでございますが、断片的にはいろいろ承ったわけでございまするが、しかしまとめて再確認をし、また厚生省がわれわれが聞いた以外のことを知っておられると思いますので、事実関係の確認を主として御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、安中製錬所に中村登子さんはいつからいつまで勤務しておられたのか。
  37. 北川俊夫

    北川説明員 中村さんは三十四年十二月二十六日に安中製錬所にお入りになりまして、死亡されました四十四年八月二十五日まで御在職でございますが カドミウム箔の製造作業に従事されましたのは三十五年四月から三十七年八月まででございます。
  38. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 そうしますと、中村さんが健康がすぐれないので医者診断を受けられたのは数回あるようですが、それはどういう時期に何回くらいあったのか、その点をひとつ……。
  39. 北川俊夫

    北川説明員 四十三年の三月八日に佐藤内科、これは高崎にあるようでございますが、そこにかかっておられまして、入院が四十三年三月十一日からその年の四月二十一日まででございます。それで五月の一日に一応治癒しておられますけれども、翌四十四年一月二十八日からまたからだのぐあいが悪くなられまして、なくなられるまで佐藤内科にかかっておられますが、その際入院されたのは四十四年一月二十八日から同じく四月二十五日まででございます。そのときの病状は、前の場合は佐藤内科の判断では十二指腸かいよう、あとのほうは不安性神経症兼十二指腸かいようというふうにわれわれは報告を受けております。
  40. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 前にも自殺を試みられたことがあると聞いておるのですが、そういう事実があるのですか。それともその自殺を前に試みられたという時期が、もし事実であっておわかりなら教えていただきたいと思います。
  41. 北川俊夫

    北川説明員 その点については存じません。
  42. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 なくなられたのはいつでございますか。
  43. 北川俊夫

    北川説明員 四十四年八月二十五日でございます。
  44. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 死亡診断書の病名は、そうすると先ほどの佐藤内科の神経云々、それから十二指腸の病名でございますか。
  45. 山本宣正

    山本説明員 自殺死でございまして、死亡診断書と申しますか、死体検案書がございます。
  46. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 失敬いたしました。ミスでございました。  そうしますと、なくなられてから発掘までは、四十四年八月二十五日になくなられて四十六年一月十四日に発掘されたということですね。間違いありませんか。
  47. 山本宣正

    山本説明員 一月十五日でございます。
  48. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 そうしますと、死亡してすぐ埋葬されたのだと思いますが、四十四年八月二十五日になくなられて、そして埋葬されて、四十六年一月十五日に発掘された。その間一年半くらいあるわけですが、死体が埋葬されてそれで一年半ばかりを経過するわけでございまするが、そういう場合に、死体の変化と申しまするか、その点について伺いたいのでありまするが、普通の場合はどういう状態になるのか、あるいは腐敗するとかあるいは目方が減るとか、こういうような点で、どういう状態変化するのが普通であるか、その点を伺いたい。
  49. 山本宣正

    山本説明員 詳細には法医学専門家にお聞きしなければならない点だと思いまして、私ども内内に法医学先生にお聞きしてございますが、個個の臓器が、一年半くらいたって、どのような条件で埋葬されておったかということによってだいぶ変化のしかたが相違がある、こういうことをお聞きしておりますので、私ちょっとお答えしづらいのでございますが、ちょうど発掘されましたときに、死体解剖されました先生がございますが、その久保田重則先生から私のほうへ解剖時の所見が書類として出ております。  その中を、全部読みますとたいへんでございますので、その部分を一、二見てまいりますと、肝臓などはずいぶん変化しておるということが推測できます。肝臓については厚さ一センチくらいに萎縮しておって、うしろの胸壁に密着していた。肝臓と申しますのは普通一・五キロくらいの重さがあるものでございますし、大きさも人間の臓器の中ではかなり大きいものに属するわけでございます。そのほかの臓器につきましても、それぞれかなりの変化があったというようなこと。右のじん臓についてもやや萎縮しておったというような表現がございます。これが普通の状態で、こういった条件で埋葬されたときのものであるかどうかにつきましては、専門の方に御検討いただかなければならないのではないか。またそれもお願いしたいと考えておるわけであります。
  50. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 私は、何々PPMというのは全体の百万分の一であるわけですから、全体の姿がそのままなのかあるいはたいへん萎縮しておったか、私はそれが根本的なものでなくてはならぬと思いますが、その点が非常に明瞭でないと私は思うわけです。それだから私はいま御質問申し上げておるわけですが、埋葬のしかたによって、あるいは保存のしかたによってということも私はわかります。普通のしかただったのか、特別のしかたであったのか、そこの点はやはり重要な問題だと思いますが、その点はいかがですか。
  51. 山本宣正

    山本説明員 私が書物でちょっと調べてまいりましたところを専門家ではございませんが申し上げますと、普通の解剖学の本等を見ますと、じん臓が、女性の場合に平均して左が百七・二グラム、右が九十五・六グラム。長さが左が九・四センチ、四・六センチ、二・五センチという大きさ。右が九・二センチ、幅が四・六センチ、厚さが二・六センチというのが、森於菟先生解剖学の本に記載されております。  この死体を解剖されましたときからどの程度じん臓を取ったかということにつきましては、久保田医師の記載の中に、「七糎×四糎×二・五糎位」こういう記載がございまして、また小林参考人が、私どもお尋ねした段階ではお答えいただけませんでしたが、先日のこの席で、その切り出して手に入れたのは三十三・九一一グラムだ、こういうことを申しておられました。しかし、これらの死後変化との関連につきましては、私専門家でございませんし、ぜひ法医学専門先生にこういったような数値をもとにして、次回の会合等でお寄りいただきまして御検討いただきたい、かように存じております。
  52. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 この解剖の結果は、高瀬参考人も、小林参考人分析が間違っておったとかなんとか一つも否定しておられないのだけれども、ただ私は、二二、〇〇〇PPMと、こういう小林参考人分析の結果でございますけれども、いま申し上げておるとおりに、全体の生のじん臓がどのくらいの目方で、この中村登子さんの一年半たったときにおけるじん臓がはたして原状のままのじん臓であったかどうか、それが非常に小さくなっておれば、そのPPMという標準が——根本的にこの問題の一番の鍵は私はそこだと思う。その点を十分調査をしないで、そして議論を幾らしておっても、私はこの問題の議論にはならぬ、かように考えておるわけでございます。したがっていま公害課長からお話のありましたように、その点はあるいはもう現在から調べることはむずかしいかもしれませんけれども、そこの点をひとりできるだけはっきりさせていただきたい。それで初めてこれが議論の根底になるものだと私は思うわけでございます。  それからもう一つは、現在の安中製錬所に勤務されておる職員の中に、中村さんの勤続年数よりも長い、同じような職場におられる方々があると聞いておりますが、そういう事実があるのか、また何人ぐらいそういう人があるのか、それもお聞きしたいと思います。
  53. 北川俊夫

    北川説明員 中村さんが従事しておられましたカドミ箔の作業は、現在行なっておりませんが、当時中村さんと一諸に作業をしておられた方で、中村さんとほぼ同時期あるいはそれ以上にその作業に従事された方が、現在五名在職中でございます。
  54. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 その五名の方々健康診断をおそらくされたと思うのですが、ことにカドミウム影響が出ておるかどうかということをお調べになったと思いますが、その結果をひとつお知らせ願いたい。
  55. 北川俊夫

    北川説明員 五名の方につきましては、会社及び県の衛生研究所、それからそれ以外に先般労働省で派遣をいたしました安中労働衛生研究調査団、この三者がやっております。調査団につきましては、まだ最終結論が出ておりませんので、ここで申し上げられませんけれども、県の衛生研究所で行ないました尿中のカドミ量の結果は、最高が、女性の方でありますけれども、一三・八ガンマ、それから一番低い方が二・五ガンマ、五人の方の平均が七・二五ガンマというような結果でございまして、この結果からだけでは、異常があるというふうには認められないのではないか、そういうふうに考えています。
  56. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 中村さんが問題になりましたから、製錬所のほうでも非常に注意をいたし、また政府のほうでもその指導をしておると思うのですが、現在の製錬所の作業状態は、これからカドミウムが人体に悪い影響、危険を及ぼすような状態にあるのかどうか、そこの点は確認をされておるのかどうか、その点も伺いたい。
  57. 北川俊夫

    北川説明員 当安中製錬所につきましては、昭和四十二年に特別衛生管理事業所ということで指定をいたしまして、環境改善につきまして、種々、労働基準局が指導をいたしてまいっております。いままでの指導監督の状況報告から聞きますと、漸次設備改善が行なわれておりまして、たいへんよくなっておるというふうに承っておりますが、先般調査団で、カドミの粉じんあるいは亜鉛の粉じんがどの職場でどのくらいあるかということを綿密に実態調査をいたしてまいっております。その結果につきましては、先ほど申し上げましたように、今月の月末に結論が出ますので、その際に明確になるのではないかと思っております。
  58. 古川丈吉

    ○古川(丈)委員 まだ調査が終わっておらぬそうでございますけれども、これはもう過去はともあれ、将来に向かっては厳重にひとつ、そういうことのないように監督をしていただきたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたとおりに、この問題の根本は、二二、〇〇〇PPMというけれども、はたしてじん臓状態が普通の状態からどの程度萎縮をしておったか、どの程度状態になっておったかということが、問題解決判断の基本になろうと私は思いまするから、いままでの政府の答弁では十分まだ調査ができておらないし、また実際はいまになって調査することはむずかしいとは思いますけれども、できるだけそういう点をひとつお調べを願っておきたいと思います。  私のお聞きしたいことはそれだけでございます。たいへんありがとうございました。
  59. 小林信一

    小林委員長 岡本富夫君。  ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  60. 小林信一

    小林委員長 では、速記を始めてください。
  61. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に一言申し上げたいのですが、要求した大臣あるいはまた局長が、この大事な問題を前に置いて、出てこないということは、まことに遺憾であります。当委員会は、特に公害対策特別委員会でして、最近の公害に対して国民も非常に不安を感じ、またいろいろと住民運動まで起ころうというときにおいて、定例日であるところの今日、こういう重要な問題を審議しようとしておるときに、大臣も出てこない、あるいはまた責任ある局長も出てこない。しかも、これは全部通告をしておったわけです。産業公害特別委員会を非常に軽視しているのではないか、こういうようにも考えられるわけです。  一応いま時間を参議院のほうに調整に行ったということでありますから、それを了承いたしまして、今後はこんなことのないように、ひとつ委員長で取り計らっていただいて、大事な問題を掘り下げていきたい、こういうように思いますので、ひとつよろしくお取り計らいをお願いします。  そこで、出てきているのは、城戸さんと、厚生省公害部長と公害課長だけですね。  最初にお聞きしたいことは、この間の、参考人においでいただいての質疑の中で、鑑別班の高瀬参考人、班長は、小林教授のカドミの分析については絶対信用いたします、こういうような明確な答えがあったわけですが、厚生省としてはどういう考えか、これをまずただしておきたいと思います。
  62. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 厚生省といたしましても、分析の数値そのものは正しかったというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  63. 岡本富夫

    ○岡本委員 考えざるを得ないというのではなくて、考えるかどうか。要するに世界一のこの分析の大家である小林先生のああした分析結果というものは、高瀬参考人も信用する、こう言っているんですから、あなたのほうで委託し、また支持しておるところの鑑別班の班長がそう言っているんですから、これは確かにそう信用できる、こういうふうにはっきり答えてもらいたい。だからぼくは責任者を呼べと言っているんですよ。
  64. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 分析の数値そのものはそのとおりであろうと思います。
  65. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、橋本公害課長安中にはカドミウム公害がないんだというような談話を発表いたしておりますね。それに対して、そうではなかったということを衆議院の予算委員会において厚生大臣が取り消しをしておりますね。そうすると、まあ厚生省公害課長が、安中にはカドミウムはなかったんだ、こういうように発言したものを取り消しているわけですが、そうすると、この発言をしておいて、そして取り消してしまえ、そういった厚生省責任は、特に公害課あるいは公害部の責任はどう判断してよいか、それに対してひとつ御答弁いただきたい。
  66. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 橋本前課長が現在外国におりますので、本人に直接発言の具体的内容、その真意について確かめるすべもないのでございますけれども、しかしながら、当時橋本課長が現地で発言した際には、現に安中における環境汚染問題が非常に大きく叫ばれておったときでございますて厚生省公害行政に対する姿勢あるいはまた橋本前課長自身の公害問題に対する基本的考え方等から考えますと、これは私の全く推測でございますけれども、橋本君の真意は、安中には非常に環境汚染が存在する、そういう意味公害はある、しかしながら、カドミウムの中毒という具体的問題はまだ発生してないということではなかろうかというのが私の考えでございます。
  67. 岡本富夫

    ○岡本委員 公害部長、そういうように話をそらしちゃいけない。あなたのほうの厚生大臣がそれは間違いでした、取り消しますと国民の前ではっきりと言っているんですよ。しかも、それからもうだいぶになりますよ。一カ月以上になりますよそれに対してあなたは、まあ橋本公害課長が外国へ行っているのはよくわかっていますよ。これはどういうように判断したのか、あるいは大臣の答弁が間違っていたのか、橋本公害課長のこの発表が正しかったのか、その点についてあなたのほうで調べる必要があると思うのです。そして企業癒着のああいう発言をしたものに対して、大臣は申しわけなかったと言って取り消しておるのに、まだあなたのほうはそうした反省の色がないわけでしょう。そこらあたりが——ぼくは厚生省に対しては非常に応援もしました。イタイイタイ病のときも、厚生省がせっかくいろいろと、これはカドミウムによるところの原因であるというようなイタイイタイ病の結論を出した。そのときに通産省のほうから反対の調査が出た。それに対してぼくはうんと応援した。厚生省だけがほんとうに国民の健康を守る省なんだということで、うんとぼくは応援したし、またそういうように厚生省がそうした企業癒着になってはならない。これではもう国民はどうしようもない。こういう面からも、いろいろな面で私は応援もしてきたけれども、いまあなたの発言を聞きますと、橋本公害課長の発言は正しかったじゃないか。それなら大臣の発言とえらい違うじゃないですか。まずそうした姿勢から私は正さなければならぬと思う。それでなければ、どんないろいろなデータが出ても、みんな色目で見たんでは話にならないと思う。それに対してもう一度橋本公害課長の発言が正しかったのか、厚生大臣の発言が正しかったのか、これについてはっきりしてもらいたい。
  68. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 先般厚生大臣が当院の予算委員会でお答えいたしましたように、橋本君の発言がかりにそのとおりであるとすれば、それは適当ではないので取り消すという大臣のお考えどおりでございます。
  69. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうですね。やはり当時もずいぶん責められたわけですが、橋本公害課長企業寄りのあの発言は間違いであった、これははっきりしているわけです。そこで、当時安中にはそうしたカドミウム公害はなかったんだというような発言によって、まあ厚生省がそう言うのだからということで、おそらく診断したところの佐藤医師にしましても、あるいはまた安中のほうの東邦亜鉛の医師である須藤医師にしましても、これはカドミウム公害がないんだという頭で診断をしておるのではないかと考えられるわけです。したがって、この佐藤医師の所見を見ましても、その症状については惨痛を訴えるとか、あるいはまた胃が悪いんではないかとか、いろいろそれらしいようなことが出ておるのですけれども厚生省が、カドミウム公害がないんだということを出しておる関係で、そのことは一つも触れていない。しかも、聞くところによると、私はカドミじゃないだろうか、こう言ったときに、佐藤医師はカドミとは何だ、そんなものは全然知らない、こう打ち消すぐらいの状態診断をしておるわけです。そういうものを根拠に置いて今度の鑑別班が判断をしたということになれば、私は間接的には、厚生省のこの当時の発言というものは非常に大きく響いているのではないか。この責任をどういうふうに考えるか、これをひとつお聞きしたい。
  70. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 私は医者ではありませんから何でございますが、いやしくもりっぱに開業いたしておる医師なるものが、患者が訪れ、その患者の訴えその他によって診断を下す場合に、かりに橋本前課長のあるいはそのような発言があったとしても、それが診断影響するというようなことは、私しろうとでございますけれども、とうてい考えられないところでございます。
  71. 岡本富夫

    ○岡本委員 しからば聞きますが、富山県のイタイイタイ病、これを発見したのは萩野先生です。ほかの病院に何ぼ行っても、カドミウムによるところのイタイイタイ病だということはわからなかった。神経痛だとか、あるいは胃かいようだとか、そういうような診断なんです。そうするとあなたはどの医者も絶対に誤診はない、そう言い切れますか。いろいろ裁判が起こったり何かしていますけれども、誤診もある。いやしくも開業している医者が絶対に誤診はなかった、そうは私は言い切れないと思う。それであなたはしろうとだからわからぬと言うのだけれども、そう逃げてはこれは厚生省——いま厚生省の最高責任者としてあなたは出てきているわけだ。そういったところの調査をしましたか。それについてまず……。
  72. 山本宣正

    山本説明員 くどいようなお答えをして恐縮でありますが、先般の中村登子さんの遺体からのカドミウム検出問題につきましての研究班の発表文がございますが、これはその時点で得られた資料から判断したことをいうておるわけでございまして、今後も引き続き各種の資料を収集して検討を行なうこととするということにしてあるわけでございます。
  73. 岡本富夫

    ○岡本委員 話をそらしてはいけませんよ。私の言っているのは、佐藤医師や、あるいはまた須藤医師のこういった診断のカルテなんかをあなた方のほうで調査をして、佐藤さん、あるいは須藤さんの診断は間違いなかった、こういうようにあなたは言っているのかと部長に聞いているんですよ。なかったと思いますなんて調査して言っているのか、それについて私は答えてもらいたいのです。
  74. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 カルテその他につきましては、県を通じ正確に調査を行なったところでございます。
  75. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、鑑別診断班に出す前に、そういうことを全部調査を終わっているわけですね。その一点は覚えておきましょう。  そこで、次にお聞きしたいのは、小林先生ももと調査班の中に入っていた。ところが、いつの間にやらはずされておった。これはこの鑑別診断班じゃないですが、そういうように非常に憤慨しておりましたが、今度の調査班の中には小林先生は入ってないでしょう。したがって、研究費も出しておりません。その研究費も全然出してないところの小林先生に対して、あなたのほうは資料要求をした。その資料要求するについて、どんな権限で、あるいはまたどういうお願いのしかたで出したのか。普通何でもないところに回答いただくならば、それだけの手数料もお払いして、あるいはまた向こうから返答がくるだけの郵送代も入れて丁寧にお願いするものなんです。ところが、これは山本課長の名前で、小林教授に対して、データについて照会というような、しかも、これこれのことを記入してもらいたい、こういうようにあなたのほうから、ワクまできめて、これはあまりにも失礼じゃないですか。そうと違いますか。あなたのほうでこの資料をお願いしてとっているのですよ。鑑別診断班がとっているんじゃないですよ。この点はいかがですか。
  76. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 確かにそのような御指摘を受けますと、かなり詳細なデータをお願いしてあるわけでございますから、ややそのお願いのしかたとしてこまかい配慮の行き届かなかった点は——どうもわれわれ役人は、えてして簡単にお願いできるものというようなことでいろいろ資料なんかを頼むことが多いということを反省するわけでございますけれども、正直いいまして、私ども小林先生は以前だいぶいろいろな調査をお願いした方でございますし、初めての方ではございません。むしろそういう意味ではなじみのある方でございますので、おそらくそういう気持ちもあって、手数料その他そういう切手等を同封しないでお願いしたのだろうと思いますけれども、これからはそういう点も気をつけていかなければならぬというふうに考えております。
  77. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは山本課長の名前で照会をして、厚生省の名前でとっているのです。先ほど言いました佐藤医師診断も、県を通じてあなたのほうでとっているのです。そして鑑別診断班に渡しているのです。そうすると、私、先ほど聞いておりましたけれども鑑別診断班の行動あるいはまたいろいろな計画、こういうものについては、日本公衆衛生協会を通じて頼んだだけで、決して私のほうには、要するに厚生省では関知しておりませんというのに近いような発言が生ほど林委員に対してあった。相違するじゃありませんか、その点いかがですか。先ほどあなたが答えたのと、いまこっちへ答えているのと、事実を出してくると相違するじゃありませんか、いかがですか。資料の収集もみな県を通じて厚生省がやっているんじゃないですか。
  78. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 あるいは質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんけれども、この鑑別診断班先生方にいろいろ検討していただく際の資料は、あるものは私どもが直接集め、あるものは、地元の問題等は県等を通じて集め、いずれにしても私どものほうで集められるものは集める。それからもちろん鑑別診断班先生が、それぞれ自分のお立場で集められた資料も持ち寄る、そういうことでございまして、今般の小林教授への照会等につきましては、何ぶん非常に大きく取り上げられまして、私どものほうももう少し具体的に承知いたしませんと、これは鑑別診断班資料としてもそうでございますし、私ども自体としても、もう少し資料がほしいというあれもございましたので、取り急ぎああいう形で照会したということでございます。
  79. 岡本富夫

    ○岡本委員 したがって、一点は、鑑別診断班独自で資料収集して、鑑別診断班独自でいろいろなことをやったのではない。厚生省のほうでおぜん立てをしておる。しかも、そのおぜん立てに対して、ただ一片の通達で、一銭の委託費も出さずに小林先生のところに出しているのです。なぜ足を運んで、こういうのをひとつお願いしたい、こういうのもお願いしたい、そして親切丁寧にやるのがこれは普通じゃないですか。それであと資料はこなかった。こないのはあたりまえですよ。あなたのほうは一銭も出していないじゃないですか。そして非常に苦労されてつくられたものに対して、これでは不足だからもう一ぺん出してくれ、そして来ない。これは来ないのはあたりまえです。出さなければならぬ義務は一つもないじゃないですか。そうでしょう。それに対して、まだ資料が整ってない、来ませんからというて、もしもまだあるとしたら半分のやつで、これで調査してくれ、これでは厚生省、まるきりそういうことをやる気がなかった、こう見るよりしかたがないじゃないですか。あなたのほうから足を運んで、これとこれとの資料をお願いしたいのです。岡山まで何分かかるのですか。橋本元公害課長のところへ行くよりもこっちのほうが近い。そのことを一点取り上げても、鑑別班に対しておぜん立てをするにしても、資料を出すにしても、非常に一方的じゃないですか。国民はみなそう見てますよ。これに対する意見はどうですか。
  80. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、確かに御指摘の点、いま考えてみますと、まあかなり詳細な資料をお願いしたわけでございますから、お願いのしかたとして、多少配慮の行き届いてない点があったということはわかるような気もいたします。実は先ほども言いましたように、私ども初めてお目にかかるとか、初めてお願いする先生でございませんので、小林教授はかなり前から厚生省とは縁があった方でございますので、多少そういう気持ちもあったということと、非常に時期的に急いでおったためにああいう、いまにして思うと、多少頼み方としては、こまかい点まで配慮の行き届かなかった点はこれから考えなければいかぬというふうに考えております。
  81. 岡本富夫

    ○岡本委員 時期的にたれが急いだのですか。この結論を出すために、時期的にだれが急いだのです。鑑別班が急いだのか、厚生省が急いだのか、これもひとつお聞きしたい。
  82. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 あの時点では、鑑別診断班というよりはむしろ私どものほうがもっと詳細な資料をとにかく早く知りたいという気持ちで照会した次第でございます。
  83. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうからこういうものをつくって出して、これに対して小林先生は当時のやつをこまかく出してきておる。これもちょっとやそっとでできるものではない。次にまた第二回をお願いしている。非常に時期的に急いだ、そういうことから考えても、鑑別診断班が七日ですか、あれに間に合わせようとして、あなたのほうはずいぶん急いでおったように私は思う。しかも、資料が半分しかきてないかもわからない。そう考えざるを得ない。  もう一点は、厚生省がお調べになったかどうか、これは中村登子さんの御家族の尿検査あるいはいろいろなもの、もしも農薬説をとったら家族もどうだ、同じものを食っていて一人だけやられるわけがない、こういうような、先ほどちょっと変な質問があったから私気がついたのですが、ここのほうの調査厚生省は直接やっておるかどうか、小林先生に対してはあなたも直接やっておる。家族に対してはどうなったのか、この点も非常に疑問です。  そこで、先ほど小林先生分析は絶対信用するということでした。そうすると、この中村登子さんの体内に入った経路、この日記あるいは家族から状態を聞きますと、非常に不安がっている。また疼痛を受けている。こういう症状を見ますと、あなたのほうでも直接やはり調査をなすっているはずだと思うのです。この点についていかがですか。
  84. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 中村さんのじん臓からカドミウムがこれだけ検出されて、それが身体にどのような影響があったか。それについて、たまたま現地にいろいろ調査をお願いしましたところ、数カ所の病院で、生前医者にかかっておって、しかも尿の検査まで数回にわたって行なっているということでございましたので、これだけの客観的なデータがあれば、結論がどのようになるかはともかく、あるいはまたそれだけのデータでは十分か不十分かという意見があるかもしれないけれども、とにかく鑑別診断班の検討の対象にはなり得るであろうという考え方で、その上立ち入って家族の方に会うことも、私どもとしては特別必要がないという考えで、直接家族にお目にかかっていろいろなことをお願いするということはしなかったわけでございます。
  85. 小林信一

    小林委員長 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  86. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。
  87. 岡本富夫

    ○岡本委員 環境局長にお尋ねいたしますけれども、この問題については、あなたも鑑別班に対して、日本公衆衛生協会を通じまして契約をしているわけです。今度の研究委託の契約をしているわけです。そこに環境衛生局長というふうにある。だから、あなたは知らぬというわけにはいかぬのですから、あなたの質問を先にやりますけれども、鑑別班の人選につきまして、この人事についてはあなたのほうでタッチしたことがありますか。
  88. 浦田純一

    ○浦田政府委員 この鑑別診断班研究委託についての研究者の人選の件でございますが、これは公衆衛生学会の事実上の事務局であります公衆衛生協会委託しているところでございますけれども公衆衛生協会のほうでいろいろと関係の学者の先生方にお願いいたしまして、そして関係の学者の方々が相寄りまして御相談して、一応の人選をしているところでございます。それを私どもは尊重いたしましてお願いしている、このようないきさつでございます。
  89. 岡本富夫

    ○岡本委員 あとお話ししますけれども研究委託費というのは非常にきびしい条件でなければならないということでありますけれども、そこでこの人選の中に、たとえば企業の代表と思われるところの三洋電機の公害予防部長、これはあなたのほうで承認したのですね。
  90. 浦田純一

    ○浦田政府委員 おそらくは原田先生あるいは土屋先生のことをさしておられるかと思いますけれども、これは労働省のほうで、労働衛生のほうの研究専門家であられるということで御推薦を受けまして、それを受けたわけでございます。
  91. 岡本富夫

    ○岡本委員 四十六年二月十二日といえばことしですが、佐藤総理が、やはり公害を取り締まる、こういう観点から、こうした企業関係した人が鑑別班に入るということは誤解を受ける、だからこういうことはやめたほうがいい。こういうように佐藤総理が発言しているのです。それに対して、佐藤総理がやめたほうがいいと言うているのに、契約者であるところの環境衛生局長、知らぬ顔してこれでいっているんだ。いまだに変わっていないですよ。原田章さんというのですか。あなた佐藤総理の言うこと聞かないのですか。その点について。
  92. 浦田純一

    ○浦田政府委員 佐藤総理がその旨発言されたことも私承知いたしております。  原田先生の件でございますが、先生承知かと思いますが、労働衛生関係分野の権威者という方は、実はわが国では非常に少ないわけでございます。それから原田先生だけでございませんで、いろいろと会社の内部にありながら貴重な研究を進めておられるという学者の方も多いわけであります。個々の例につきましては、いろいろとそういったような事情もございますが、すでに契約をしたところでもございますし、また私は原田先生はそういったような、いわゆる企業寄りという立場からこの問題に取り組んでいるということは毛頭ないと信じておりますが、自今の人選につきましては総理の御要望あるいは岡本先生の御指摘もございますので、十分に検討いたしてまいりたいと考えております。
  93. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、三洋電機の洲本工場に調査に行ったことがあります。四十三年の七月、そのときに相当な、水からカドミウムが一・四PPM土壌からは二六〇PPM、三洋電機というのはこういうものを出した張本人ですよ。そこの予防部長です。いいですか。だから、佐藤総理はそういう者を入れちゃいかぬと言うているにかかわらず、これは二月十二日ですよ。今度の鑑別班の検査のいろいろな検討をしたのは三月の六日ですか、七日の日曜日、伊香保温泉で。だから佐藤総理が二月十二日にこう言ってはっきり明言しているのに、あなたはまだ知らぬ顔してこのままいっているじゃないですか。今後は——何日か日がありますね。二日しかなかった、こういうのなら話はわかりますよ。大事な国民の税金を、大蔵省で査定され、そして厚生省で審議して、そして日本公衆衛生協会を通じて、この金の行くえというものは、あとで話しますけれども一つ一つについて公害課長責任をもってチェックしなければならぬ。なお、会計検査院がチェックするのです。そのくらいきびしいのですからね。私は知らなかった、こういうことでは国民は納得しませんよ。佐藤総理がそういうところへ入れちゃいかぬということを言っているのに、あなた何らはずさんと、佐藤総理の言うことを聞かなかったという責任はどこにあるのですか。どうする、これは。局長から明確な答弁をひとつ。今後の問題じゃない。いま論議されているのはこういった問題から発生していると思わざるを得ない、いろいろな、諸般から見ましても。だからその点を明白に答えてもらいたい。
  94. 浦田純一

    ○浦田政府委員 原田先生の働いておられます洲本の工場で、かなりの量のカドミウムによる土壌汚染が見られるということも、いま岡本先生の御指摘で承知したわけでございますが、原田先生企業内におきまする立場は、むしろ医師としての衛生監視なりあるいは医師としての立場から労働者の衛生、健康を保持していくという積極的な立場にあろうかと思います。御指摘の点でございますが、チームとしていろいろ仕事を分担してきて、いままで進んできておられますので、全体の立場から見た場合に、にわかにはずすということがかえってあるいは全体の研究のせっかくの成果をあげるのにたいへんな支障を来たすという点も一つお考えいただきまして、私どもこの問題につきましては、今後十分に慎重に人選について当たりたいと思いますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  95. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは佐藤総理に答えてもらいたいのですよ。私のほうが言うのじゃないのですよ。佐藤総理が、これは正すべきだと言うておられるのと同じことなんだ。総理を呼んで了承したのか。佐藤総理は、御承知のようにいま日本で最高の権威を持っておるのですよ。いいですか。その人の発言を、その人がやめろ、こういうように答えているにもかかわらず、いや研究班がつぶれるからやらぬ、そんなことで国民は了承しますか。しかも、企業の中の人、企業寄りの人、企業というのは、これはどうしてもお互いにかばい合うのですよ。そういうちょっとでも色のついたものは入れちゃいかぬ。だから、そういうところから見ましても、鑑別班の研究というものは、非常に佐藤総理の意向にも沿わないような——国民の一番総大将です。——ということに考えざるを得ないということになってくる。だから、今後は今後はといって、浦田環境衛生局長いわれたら、直ちにぱっとやるのが、またやらせるだけの力があると思うのですよ、この佐藤総理には。あなた佐藤さんをなめているのですか。そう思わざるを得なくなってくるのですよ。  そうなると、もう一ぺん聞きますけれども、佐藤総理がそんなことしちゃいかぬというたものを、あなたのほうは無理やりにやったということになれば、この鑑別班の構成というものは、国民の意思に沿ってない、こういうことになる。そう結論を下さざるを得ないようにもなってくる。これは公害部長に言ったところでしかたがないと思ったから、局長にぜひ出てもらった。再検討して、国民の総大将である佐藤総理の意見に沿ったような考え方にもう一ぺんやり直しますか、どうですか。
  96. 浦田純一

    ○浦田政府委員 決して総理の発言をないがしろにしているわけではございません。政府部内の問題といたしまして、大臣を通じましていろいろとまた私にも御下命があることかと思います。いずれにいたしましても、鑑別診断班に入っておられます個々の先生方は、私、個人的にも学者として尊敬しておりますし、人間的にもりっぱな方々と信じております。この問題は、やはり岡本先生の御指摘のような一面も確かにあると思いますので、十分に考えさせていただきたいと思います。
  97. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  98. 小林信一

    小林委員長 速記を始めてください。
  99. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま考えるということでありますが、考えるということは、この鑑別診断班をもう一度佐藤総理の御意向どおりに戻して——あなたは、私は信頼している、この心証じゃだめなんですよ。要するに、佐藤総理がいやしくもこうして発言して議事録に載ったものに対して、これの意向に沿ってない。政府の一番大将ですよ。そうしたら、直ちにやめるべきじゃないですか。だから、佐藤総理が、この鑑別診断班の中にこういうものが入っておるのはいかぬというたら、そいつを一ぺんやめて、もう一ぺん考えるということは、もう一ぺん新しく診断班をつくって、それで佐藤総理の言われたとおりのことをやります、こういうように考えるのか、それとも、もうただ今後考えるというのか。今後じゃおそい。この点が私は大事なところじゃないかと思うのですよ。その点をもう一ぺん……。
  100. 浦田純一

    ○浦田政府委員 佐藤総理の御発言は、私もその場でお聞きしたわけでございますけれども、おそらくは、一般論的、原則的な観点から言われたことだと思います。もちろん、したがいまして、これについてはできるだけ沿わなくてはならないということでございますが、先ほど申しましたように、政府部内の問題としまして、大臣のほうからの御指示を仰ぎまして、この問題については考えたいと思っております。
  101. 小林信一

  102. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一言だけ聞きます。  私は、麦のカドミウムに対する安全基準というものをつくりませんと、土壌汚染防止法あるいは地方行政で議論しております公害防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律というものが、具体的に土壌汚染防止法においてやります場合に、畑地だけが除外されるという非常な差別が生じるわけです。当然私は、したがって、これを解決するために、麦の基準をきめるべきだと思います。これに対するお答えだけいただきましょう。
  103. 浦田純一

    ○浦田政府委員 さきに米のカドミウムに関しまする安全基準は設定いたしたところでございますが、御指摘のように、その後いろいろとほかの食物も汚染しておるということがわかってまいりまして、麦あるいはその他いわゆる常用にする食品についてのカドミウムの含有率いかん、安全基準はいかんということにつきまして、ただいま検討を進めるように準備をしておるところでございます。できるだけ早くそれらについて結論が出るようにいたしたいと思っております。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 法律に伴うこの政令が六月の中旬ごろには出るわけですね。したがいまして、それに間に合わないと、先ほど私が申しましたような差別が起きる。これはいかぬと思います。したがって、時期をはっきり明示することは困難かと思いますけれども、少なくとも政令の施行の日にあまりおくれぬ範囲できめるということは、私はどうしても必要だと思うのですね。この点はどうですか。
  105. 浦田純一

    ○浦田政府委員 関係各省のほうからの御意見もございますし、できるだけ御趣旨に沿うように、できるだけ早い機会に設けてまいりたいと考えております。
  106. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、委員長の御好意によりまして、参議院から来てもらったのですから、あとは大臣と政府部内でこの鑑別班については検討する、こういうことでございましたので、それは後日に回しまして、次に、もう二、三問お願いします。  そこで、厚生省が四十五年の予算請求をいたしまして、日本公衆衛生協会に対して二千万円の委託費を出している。その中に、この微量重金属によるところの環境汚染とその影響に関する調査研究、要するにイタイイタイ病、カドミウム中毒に対するところの人体調査というものがこれで行なわれるために出したのじゃないかと思いますが、結果は出ましたか。
  107. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 四十五年度分の結果はまだでございます。
  108. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうですか。そうすると、イタイイタイ病、カドミウム中毒に対するところの人体の影響、こういうものはまだ結論は出ていないことになるわけですね。
  109. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 この研究班としての結論はまだでございます。
  110. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、イタイイタイ病、カドミウム中毒症、こういう人体被害調査というものは、もうほかにはできておるのですか。ほかにはできておって、この研究班はできていないのですか。この研究班には出てないというのですから、ほかにはできておるのですか。
  111. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 この鑑別診断班はずっと継続的に四十四年度以降やっております。そのほかには、厚生省から特別に頼んでおる研究班はございません。
  112. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっと、これは大事なことなんですが、こういう少なくともイタイイタイ病、カドミウム中毒症に対するところの人体被害調査というものは、まだ結論が出てないから、こういう委託費を出したのと違いますか。
  113. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 まだ結論は出ていないということよりも、むしろ従来ある程度結論は出ておるのですけれども、それをさらにもっと精密に、あるいはもっと早期に診断方法確立ができないかということで、絶えず前向きに、現在わかっている以上の段階で早く診断方法確立したいという研究を継続的にやっておるということでございます。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、完全なものは、まだ出ていないわけですね。だから、こういう研究費を出しておるわけですね。これは大蔵省がいるから、きちんと聞いておかぬと……。
  115. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 そういう意味では、まだ未開拓の分野でございますから、これがこの時点で直ちにだいじょうぶである、あるいは確実であるというデータではないわけでございまして、常に前向きに検討を重ねていくという考えでございます。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 要するに、カドミウムの中毒症については、まだはっきりした結論が出ていない、こうあなたはおっしゃったのでありますが、わが国において、たとえばカドミウム中毒症について、かっちりした研究、そういう結論が出ていないのに、診断班がこうした結論を出したということは、これは非常に矛盾があるんじゃないか、こういうふうに感ずるのですが、いかがですか。
  117. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 私の先ほどの答弁で、誤解があるといけませんが、それぞれの時点で、たとえば現在の鑑別班の研究時点で、現在までにカドミウム慢性中毒はこういうものだ、また、こういう基準で一応鑑別診断できる、それはあるわけでございます。それが尿のたん白質がプラス以上であるか、あるいは尿中のカドミウム一定量以上であるかということでございます。ただ、もっとさらに早期に、あるいはもっと簡略に発見することができないかという研究を絶えず続けておる、現時点では現時点なりの方法が、現在の最高の専門家による研究の結果、一応はできておるということでございます。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで終わりますけれども、去年の公害国会のときだったですか、佐藤総理に、無過失責任をなぜやらないのか、こういうように私は質問した。そうしたら、カドミウムに対するところの人体被害調査というものがまだ完全じゃありませんのでできません、こういうお答えであった。では、佐藤総理はうそを言ったのですか、これは。どうですか、その点について……。
  119. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 総理の言われましたことは、ある種のたとえば生物等のカドミウムの濃度の分布は、非常にばらつきがございまして、そういったものが、あるものは必ずしも人体にそれほど有害ではない、それからものによって腸管吸収等のしかたが違う、そういう非常にこまかい点になりますと、微量重金属の研究は、まだまだ未開拓の分野が多うございますので、そういうことを総括的におっしゃったものと私どもは理解しております。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 というのは、まだほんとうの結論が出ていないものをもって結論を出しているということは、これはまことにおかしいと言わざるを得ないというように私は思うのですが、それについて厚生省の意見をあとで聞きたい。  次に、もう一つだけ聞いておきますが、富山県のイタイイタイ病の訴訟がいま行なわれておる。それに対して北村教授のカドミウムの人体における腸管吸収率率の解明という、要するにあなたのほうで委託費を出した分の中間報告を、この訴訟をこわすために出されておるということは、この間参議院の予算委員会で社会党のある方が取り上げられた。それに対して厚生大臣はこう言った。あれはよく調べてみますと、日本公衆衛生協会でやっておりまして、私のほうでは全然タッチしておりません、こういう答えをなさっておる。ちゃんと私は議事録を取っておりますけれども……。そうすると、ぼくがきのうあなたのほうに行ってよく調べてみますと、予算を出すについても全部公害課でもって逐一チェックしている。どこで何ぼ、どこで何ぼというように、要するに大事な国民の金ですから、そんなおろそかにしてないと思うんですよ。そうすると委託したのは厚生省です。公衆衛生協会がかってにやって、そして大事な訴訟に出したんじゃないんですね。したがって、これは厚生大臣が社会党のある参議院の方に言ったのは間違いじゃないですか。その点について最後に聞いておきたい。
  121. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 二つお尋ねがございましたので、最初のほうから申し上げますと、私どもは現時点におきまして、先般の鑑別診断班中村登子さんの件につきまして、生前のカルテと諸検査の結果、数回にわたる尿検査がいずれもマイナスであるということから、カドミウム中毒症でないと推定するという考え方に全幅の信頼を置かざるを得ないと考えております。  第二点でございますけれども、厚生大臣が具体的にどのようなお話をなさいましたかでございますが、ことしの、先ほどの先生お話の二千万円の委託研究費の内訳に一つ分野として腸管吸収の研究費がございまして、これは依託先の公衆衛生協会が、先ほども申し上げましたように、テーマごとにいろいろな研究者を、学者、関係方面あるいはまた事実上私どもにも相談がありますけれども、そういうことで選びまして、その腸管吸収につきましては、北村教授に公衆衛生協会としてお願いしたということでございます。厚生省は、そういう意味委託先の公衆衛生協会が具体的にそれぞれのテーマにどういう配分をするかについて、全く関係がないわけではございませんけれども、直接的には公衆衛生協会がそれぞれ委嘱するわけでございますので、そういう意味で大臣の御発言があったのではないかと考えます。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 これで終わりますが、そんないいかげんな——あなたのほうでチェックを全部やっているんですよ。あと会計検査院のチェックもあるのです。協会、ここには相当政府の、要するに国民の金が流れているから、あなたがいま言ったように、かってに公衆衛生協会がやっているので私たちは知りませんというような発言はできないでしょう。きのうぼくは、逐一あなたのほうの公害課に行って、全部聞いてきた。百万のうち八十五万は北村教授に渡しております、十五万は、あと報告書をつくるために取っております、そういうところを全部チェックしているじゃないですか。ということは、こういうことを全部厚生省でちゃんと知っているんじゃないですか。その中間報告が、事もあろうに三井金属の証拠物件として出てくる。こうした厚生省企業癒着というものをきびしく野党の社会党さんから追及されたのに、それは公衆衛生協会でやっておりまして、よく調べますと私どものほうでは全然知りませんでした、うちのほうは関係ありません、そういう答えをしたんですよ、大臣は。大臣の答えは間違いでしょう。あなたのほうでチェックしていることははっきりしているでしょう。この点だけを最後にお聞きしておきます。
  123. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 具体的なテーマの研究者の最終的決定が公衆衛生協会であるという意味で大臣が発言されましたことと私は了解したいと思います。
  124. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもあと、この点については、企業癒着については今後も追及いたしたい。きょうは時間がありませんのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
  125. 小林信一

    小林委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  126. 小林信一

    小林委員長 速記を始めて。  それでは、古寺君。
  127. 古寺宏

    ○古寺委員 厚生省公害部の、「安中周辺のカドミウム環境汚染と厚生省の対策について」、この印刷物の中に、「厚生省が四十六年二月二十三日までに調査した事項及び今後の調査をすすめる事項は次のとおりである。」こういうふうに書かれてございます。一番最後のほうを拝見いたしますと、小林先生に対する照会であるとかいろいろございますが、そこで第二番目の「生前の病状について更に詳細な資料の入手に努める。」こういう一項がございますが、この点についてはどういう資料の収集を行なったかお伺いいたします。
  128. 山本宣正

    山本説明員 当日の鑑別診断班に、県を通じて調査された資料が出されております。
  129. 古寺宏

    ○古寺委員 内容はどういうものですか。
  130. 山本宣正

    山本説明員 一つは、県を通じまして、生前受診をしておりました高崎市内の佐藤医院ほか三医院についての臨床的な所見をカルテからとったものが県から出されております。それから安中製錬所におきます労働基準局の嘱託医である先生からのいろいろな報告内容等が出ております。
  131. 古寺宏

    ○古寺委員 第三番目の「作業場の環境条件、従業員の健康状態につき、労働省とも連絡をとって資料を入手することとする。」こういうようになっておりますが、労働省はどういう資料を提供いたしましたか。
  132. 北川俊夫

    北川説明員 安中の製練所につきましては、特別労働衛生理事業所という指定をいたしておりまして、いろいろいままで監督、指導を行ないましたが、その実績等につきまして厚生省に御連絡をいたしております。  なお、労働省独自に安中調査団を編成をいたしまして、先月の中旬及び今月にかけまして三回にわたって現地調査を行なっておりますけれども、その結果につきましてはただいま取りまとめ中でございまして、今月末に中間的な報告をいただくことになっております。それが出ましたならば、直ちに厚生省のほうにも御連絡をしたいと思っております。
  133. 古寺宏

    ○古寺委員 第四番目の「群馬大学医学部で解剖中の安中地区住民小川シナさんおよび白石下子さんの解剖所見群馬大学医学部から入手することとする。」これはどうなっていますか。
  134. 山本宣正

    山本説明員 これにつきまして、群大のほうへ県を通じて御連絡申し上げました。現在、臓器中のカドミウム等の含有量について五つの検査機関でクロスチェックをしてその数字が出てきたら検討したい、こういうことでございます。  なお、私はちょっと申し落としましたが、この資料は三月一日の時点で、私ども公害課として今後この問題についてどのような資料を収集し、また調査方法を進めていくかということで作成しましたものを六日、七日の日の鑑別診断班資料として出したということでございますので、六日、七日の時点でそろったものもございましたし、その時点でまだ整っていなかったものもあった、こういうことでございます。
  135. 古寺宏

    ○古寺委員 群馬大学の解剖所見が非常におくれておりますが、これはどういう事情ですか。
  136. 山本宣正

    山本説明員 その後私ども特に督促はしておりませんが、そのときに鑑別診断班の中にも、群大の病理の先生等が陪席されまして、現在解剖時の肉眼的な所見等についてはある程度整っておるけれども、臓器中のいろいろな検査についてはかなりな日時がかかる、こういうお話でございまして、現在まだその結果をいただいておらないわけであります。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 第六番目の、「厚生省カドミウム中毒等鑑別診断研究班で総合的に検討をしてもらう」、こういうふうになっておりますが、総合的に検討するというのはどういう形で検討するのですか。
  138. 山本宣正

    山本説明員 ただいまも申し上げましたように、三月一日の時点で私ども決心しておったことがそこに書いてあるわけでございまして、先般の鑑別診断班におきましての御検討には、その発表にも書いてございますように、その時点でそろったもので検討したものであって、なおかつ、いま先生の御指摘のような群馬大学の要観察地域内に居住しておられましてなくなった人の資料等も、これは環境汚染と人体内における臓器の蓄積の問題を究明する一つの材料だ、こういうぐあいに思っておりますし、そのほか先ほども申し上げましたように、遺体解剖するまでに死後非常に長い時間かかっておりますので、これらについて法医学的な専門家の御意見も聞く必要があるのではないか、こういったようなことも含めたものであるわけであります。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、この中村登子さんに対するいわゆる調査の目的というのは、一体何でございますか。
  140. 山本宣正

    山本説明員 中村さんの生前の経歴を見てまいりますと、労働環境の中での汚染物の吸収、摂取ということも考えられますし、またその方が東邦亜鉛の近いところに居住をしておられまして、いわゆる要観察地域内の住民でございますので、そういった面からの汚染物を摂取したという両面がございます。したがいまして、その両面をあわせて見ていかなければ、この中村登子さんの問題がきわめ切れないということでございまして、そういう意味での両面を踏まえた上でこの検討を進めていくという考え方であるわけであります。
  141. 古寺宏

    ○古寺委員 あなたのほうが委託研究をしておりますイタイイタイ病及びカドミウム中毒症の鑑別診断に関する研究のこの報告書の中に、尿の検査についてはカドミウム中毒の場合、普通の煮沸試験やズルフォサルチル酸法などよりも、トリクロル酢酸法がすぐれているとされている。こういうことから、このトリクロル酢酸法によって尿のたん白を検出することになっております。しかも、その中村さんが実際に通院をしておった医療機関というものが何カ所かに分かれております。同じ医療機関でもって何回もテストしたものじゃない。そういう資料を、この鑑別診断研究班の討議の資料として厚生省提出したというその根拠は何ですか。
  142. 山本宣正

    山本説明員 先生も御承知のように、医学の診断でございますので、尿のたん白の検査につきましては各種の方法がございます。先ほども、林先生のお答えに申し上げましたように、トリクロル酢酸法というのは、いわゆるカドミウムの集団検診方式として、一回法として検査するためには非常にすぐれているということは野見山助教授も言っておられます。しかしながら、ズルフォサリチル酸の検査法によりますものは、その回数を重ねてやっておる場合には、それを判断の材料としてよろしいというように鑑別診断班では検討されたわけでございまして、その当日も野見山助教授が同席しておられまして、その議論に加わっておったわけでございます。したがいまして、生前の検査につきましては、尿検査を九回しております。九回中、ズルフォサリチル酸法であるということが確認されましたのが七回でございます。七回、二つの医療機関でそれぞれやっておるわけでございますが、その内容で判断をした、こういうぐあいに聞いております。
  143. 古寺宏

    ○古寺委員 その二つの医療機関で七回やった、その期間のズレというものもございますし、またカドミウム鑑別診断研究班がそういう診断方法ではうまくない、こういうことをはっきりこの中で書いているわけですよ。あなたはまた無理にそういうことをおっしゃるけれども、それでは野見山助教授が、いわゆる群馬大学における解剖所見をなぜ発表しないんですか。こういう大事な問題を検討する場合においては、少なくとも現在までに判明している分析の結果なりあるいは病理解剖学的な所見なりというものは、当然発表すべきである、こういうふうに考えるわけですが、そういう点について厚生省は何一つ知ってないじゃないですか。これはどういうわけですか。
  144. 山本宣正

    山本説明員 野見山助教授は、たぶん衛生学の分野の助教授だと聞いております。その当日、病理学の教授等も参加しておられましたが、いまの段階では出せない、最終的に臓器中のカドミウム検査等が出てから検討にのぼせたいというような意向で、出てこなかった、こういうぐあいに聞いておるわけでございます。
  145. 古寺宏

    ○古寺委員 総合的に検討するためには、当然そういうようなデータが必要になってくると私は思うんです。ところが、この資料を見ますと、解剖した久保田先生あるいは分析をなさった小林教授には矢のような催促をして、電話で照会したり、あるいは先ほど岡本委員からもお話があったように、非常に失礼な照会までしているんじゃないですか。それが、なぜあなたのほうでは、群馬大学のほうには正式に照会をしないんですか。その点をお伺いします。
  146. 山本宣正

    山本説明員 県を通じてお願いするということでございまして、県のほうからお願いできるということで、私のほうから特に出さなかった、こういうわけでございます。  それからいま一点申し上げますが、鑑別診断班も、今後も引き続き各種の資料を収集して、さらに検討を行なうんだという意思決定をしているわけでございます。
  147. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、三月七日の鑑別診断研究班の、中村登子さんの班としての見解を出すためのいわゆる準備として、厚生省は十三人の班員に、その以前においてどういう資料を提供しておりますか。
  148. 山本宣正

    山本説明員 その当日お集まりいただきまして、いまほど申し上げましたように、県並びに厚生省その他から得られた資料をもとにして御検討いただいた、こういうことでございます。
  149. 古寺宏

    ○古寺委員 いかに専門家の集まりであっても、その当日に、しかも、非常に少ない資料でもって結論を出すということは、あなた方がおっしゃっている総合的な検討の中には入らぬでしょう。なぜこういうふうに、実際には東京で開くべきはずであったこの鑑別診断研究班の会合が、突如伊香保で開かれて、そしてわずか一日でそういう結論を出すという行き方、どういう理由によってそういうふうに急がなければならなかったのですか。
  150. 山本宣正

    山本説明員 たびたび申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、その当時得られた資料で、鑑別診断班としてはこの四点の発表をきめたわけでございまして、さらにそれだけでは十分でないということは、高瀬委員も先般の参考人の御意見で申しておられるわけでございます。私どもも、さらに労働省でもこれから資料が出てくるという話でございますし、そういったことを次回に重ねて行なうという方法を班長とも相談してまいりたい、かように考えております。
  151. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、先日小林先生やあるいは高瀬教授がおいでになったときに、委員会で問題になりましたが、ドイツのバーベルの発表であるとか、あるいはスウェーデンのフリーベルグのそういう文献については、厚生省資料提出したですか。
  152. 山本宣正

    山本説明員 ドイツの資料は、たしか一九二〇年の資料で、いまから約五十年も前の資料かと思いますが、フリーベルグのことにつきましては、フリーベルグとピスカドールが昨年日本へ参りましたときには、私ども研究班のおも立った先生とはお会いして、いろいろディスカッションの場も持ったわけでありまして、フリーベルグのいろいろ学問的な内容なり意見というのは、個々の先生方はすでに御存じであるということで、特に資料は出さなかったわけでございます。
  153. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう資料を出さないというところが私はおかしいと思うのですが、これは時間がないですから……。  そこで、先日委員会で公開の討論会を開くべきである、そういうような意見が出たようでございますが、厚生省はどういうふうに考えていますか。
  154. 山本宣正

    山本説明員 鑑別診断班の会合につきましては、従来とも鑑別診断班先生方が、あとで総合的な総体の意見として発表文で発表するという形で、先生方の御意向で内部検討をするということでございます。  いま一点、公開の討論につきましては先般高瀬班長もおっしゃっておられましたし、私のほうにもその意思が伝わっておりますが、四十四年の五月に、カドミウムの総合的な研究をしております先生方を三つの部門に分けてシンポジウムを都市センターで開きまして、それが印刷物になっておりますが、それと同様なことを、その後二年もたっておるので、その間にいろいろ進歩したデータをもとにして開いてはどうかという御意向がありますし、私どももそういった方向をとるべきだと考えております。
  155. 古寺宏

    ○古寺委員 いままで尿のカドミウムの検出の方法にいたしましても、あるいは生体の解剖したものに対する分析検査方法にいたしましても、厚生省は統一されておらなかったわけです。三日前にきまっているわけです。こういうふうに全国的にカドミウム中毒の問題が起きているのに、厚生省のほうは一向に進んでいない、こういうところに私は大きな問題があると思うのです。したがいまして、今後大規模なプロジェクトチームをつくって、専門家をもっと集めて、もっと大がかりな研究というものを進めるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう点については厚生省は検討しておりますか。
  156. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 カドミウムのいろいろな分野にわたる研究につきましては、先ほど来申しております公害委託研究費で行なっておるところでございますけれども、これをさらに、より密度の高い研究に進めるという基本的な方向については、私ども全く異議のないところでございます。
  157. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、この資料によりますと、二月に出した資料と三月の資料では、住民検診の数が違います。中身は全部同じです。最初のページをごらんになればわかりますが、三月一日に出したのが、第一次検診が六百二十二名になっておる。その前のほうが数が多い。二月のほうは千六百七十七名になっておる。二月から三月にかけて減っております。こういうような地域住民の健康調査というものはどういうふうになっているのですか、後退しているのですか、前進させるのですか。
  158. 山本宣正

    山本説明員 安中地域の要観察地域についての調査につきましては、指曲がり病のこともございますので、比較対象の地域をとった調査をいたしております。したがいまして、前回の資料にはその比較対象に入れた地域の数値もあげてあるということで、その点の異同があったわけでございます。
  159. 古寺宏

    ○古寺委員 その比較対象でございますが、この研究班のつくったデータを見ましても、汚染されている地域と汚染されない地域というふうに書いてありますけれども、対象地域そのものが汚染されている。このデータそのものが誤りだ。こういうようなデータによって今度の——この資料を拝見いたしましても、一番最初に書いてあります「「現在までのデータではカドミウム中毒を支持する所見に乏しい」という結論が出された。」これが四十五年七月の研究班の発表です。こういう現実と離れてしまった、全然根拠のないデータを基礎にして、そしてカドミウム中毒の心配がない、そういう発表をする行き方が正しいのか、あるいは、最初の目的にも書いてございますように、何のためにこういう研究をやるかという目的を達成できるのか。こういううその、早くいえばうそですよ。うそのデータを堂々と厚生省が発表して、そして、地域住民の不安を解消するんだ、公害防止するんだ、こういうことはできないと思うのです。しかも、今回のこの中村登子さんに対する取り扱い、これはもう全く納得できないと思う。そういう点については、厚生省一体どういうふうに考えておるのですか。最後にそれを一点聞いて、終わります。
  160. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 対象人員の基礎のとり方について違いがございまして、それを注なり備考でお断わりしなかった点はまことに申しわけないと思っております。  それから、対象地区の件につきまして、その後汚染米等の検出が報道されたということについて私ども承知しております。  指曲がり病の検診結果につきましては、先般の鑑別診断会議にはデータが間に合わなくて、来月下旬に一応予定される会議で検討いたすことになっておりますけれども、いずれにしましても、今後やはり対象地域の拡大といいますか、対象地域のとり方について、もっと別な角度から地域を取り上げていくということは、今後の問題として十分考えてまいる所存でございます。
  161. 小林信一

  162. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 まず、公害部長にお尋ねしたいと思いますが、三月七日のイタイイタイ病及びカドミウム中毒症鑑別診断研究班の議事録はございますか。
  163. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 従来から、完全な議事録は、この研究班としてはとっていないと聞いております。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 国会の議事録のような完全な速記ではないが、要項のメモ程度の議事録はあるということになりますね。
  165. 山本宣正

    山本説明員 従来から鑑別診断班でやっておりますのは、個々のケースにつきましてのカルテの内容の写し、それからレントゲンのフィルム、検査結果、こういうものを一覧のリストにいたしまして、それを諸先生の机の上に配りまして、その検査に当たった人から、個々のケースについて説明があります。レントゲンフィルムを、一人一人につきましてそれぞれの先生方にごらんをいただいて審査を進めていくということでございまして、その個々のケースにつきまして、これは判定としてマイナスであったかプラスであったか、さらに追加検査はどういったことについてすべきかという形での記録はございます。しかし、その間の、いろいろ口頭でなされたこと、ディスカッションについての記録はございません。すなわち、諸先生の合意した意見としての最終判定だけを記録にとどめております。  なお、発表文につきましては、それを総合いたしまして、その日の審査で何名をしたか、結論として再検査そのほか判定としてどういうような人数であったかということを、最終的には全員の前で黒板に文章を書きまして、その黒板の文章を個別に読み上げ、添削をいたしまして、皆さんの合意ということを委員長が確認した上で発表文の形に持っていく、こういう方法で検討しておられるわけでございます。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 厚生省から、いつも公害課長さんなんかが、その事務局ですか、庶務の役割りとして出ておられるわけでしょう。そうした厚生省から出ておる人が、どういう議論があったかくらいのメモもしてないのですか。
  167. 山本宣正

    山本説明員 いまも申し上げましたように、個個の議論につきましては記載はしてございません。ただ、個々のケースにつきましての最終的な判断を、皆さんの合意でしたという内容は記録しておるわけでございます。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういうことですか。  それでは違う角度から聞きましょう。この鑑別診断研究班会議は、三月七日非公開になっておる。この非公開であるというのは、一体何を根拠にして非公開ということにしているのですか。
  169. 山本宣正

    山本説明員 別に法的な根拠等で非公開にしているとか、あるいはその運営要綱というものをつくってあるわけではございませんが、諸先生方の合意で、フリーディスカッションをする意味で非公開にした、こういうぐあいに伺っております。
  170. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 水質の基準をきめる会議に水質審議会というものがありますね。これも国民の健康に直接関係のある基準をきめる会議でありますから、国民の側からすれば公開にしてもらいたい、議事録を公開せよという意見があるのは当然だと私は思うのです。この点につきまして国会でも議論がございました。水質審議会は経済企画庁が所管している審議会でありますから、佐藤経企庁長官が答弁をいたしております。要するに、会長の判断だけなんだ、こういうわけなんですね。いま伺いますと、結局会員の合意ということですから、要するに会長の判断で非公開にしている、こういうことになりますね。
  171. 山本宣正

    山本説明員 これはあくまでも鑑別診断研究班ということで、新しい早期診断方法をきわめていこうという学者の間でのフリーディスカッションを主にしている会議でございますので、諸先生方の御判断で、フリーディスカッションをするために非公開ということよりも、研究班でございますので、そういう形をとっているのだというぐあいに私理解しております。
  172. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、過日の委員会で、高瀬班長が来まして、公開討議をやってもいい、こう言ったわけですから、要するに会長がそう判断すれば公開もできるということになりますね。
  173. 山本宣正

    山本説明員 高瀬参考人の御意見でございますので、高瀬参考人に直接お聞きいただかないとわからないと思いますが、私ども高瀬参考人の公開討論をするということは、先ほど私が申し上げましたように、各分野研究者がございますので、そういった方々の集まったシンポジウムのようなものを開きたい、私は高瀬班長から、いずれそういうことをやったらどうかというぐあいに聞いておりまして、この研究班の開催の内容についての公開論争という意味には私は解しておりません。
  174. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 内容を聞いているのじゃない。班長が公開にしたいという判断をすれば公開はできるはずだ、こう聞いているのですよ。何もシンポジウムがどうだとか聞いているのじゃない。
  175. 山本宣正

    山本説明員 会長さんから各メンバー等御理解いただいて、公開にしてもよろしいということだったらよろしいわけでございます。
  176. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この会の経費については、すべて厚生省が支出をしているわけですね。厚生省としてはどうなんですか。やはりこの公害の問題は今日までしばしば議論がありました。問題は、会社が持っているデータを隠す、あるいは自治体が調査をした資料についてもこれを隠すということが、公害の問題に対していわば国民の不安というものをかき立て、そしてまた国民の疑惑を招いているという経過は、厚生省、十分知っていると思うのです。いま日本の学会の中でも最もすぐれた研究をやっておりますのは、素粒子論なんかのグループですが、こういう学会の議論等聞きますと、要するに共同研究、それから公開討議、この二つが原則になっているじゃありませんか。公害に対して非公開あるいはデータを隠すということについて国民が非常な疑惑を持っておる現在において、特に国民の関心を集めた問題について論議をすることについて、メモもつくっていない、会議も公開にしないというようなことでは、私はいわば国民の期待にこたえられないということになるだろうと思うのです。厚生省どうなんですか。大臣がおればいいのですが、大臣がおりませんけれども……。そういった経過から見て、メモくらいつくる、それを公開するというくらいすぐやったらどうですか。それからまた班長の高瀬さんはああいう言明をしているのですから、この会議についてもできるだけ公開をするということについて、厚生省としても経費を支出しているという面から、当然サゼスチョンをしてもいいのじゃないかと私は思うのです。こういうことについて厚生省のお考えはどうですか。
  177. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実は私、先般の高瀬参考人お話の中で、ときにはつかみ合わぬばかりの白熱した討議などもあるということも聞きまして、私、しろうとながら、場合によるとそういうものを傍聴したいというような気持ちもいたすのでございますけれども研究班といたしましては、これは私どもがどうこうと申し上げる立場ではございませんけれども、まあ班長あるいは先生方の合意で、差しつかえないということであれば、やはりそれはそれで望ましいのではないかと思います。ただ、やはり何といいましても、テーマといいますか、個々の検討項目によりましては、あるいは個々人の名誉といいますか、秘密といいますか、そういったことにわたる事項も出てくると思いますので、一般的には申し上げられないと思いますけれども、気持ちの上では、私は、先生方の同意が得られれば、そういう形の研究会を持つということも意味があるのではないかというふうに考えます。
  178. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 要観察地域における、たとえば尿中カドミウムが十ガンマ以上、あるいは二十ガンマ以上というような人を対象にして、この人の診断をどうするというようなことをすべて私どもは公開しろと言っているわけじゃない。問題は今度の中村登子さんのような問題について、御両親もその原因究明を期待しておられる、こういうような件については、やはり堂々公開の場で議論をする、そしてあらゆるデータを集めて討議をする、ガラス張りの中で議論をする。しかも、小林教授もそういう公開の場に出席して議論することについては賛成だという趣旨のことも言っておられたのですから、したがいまして、私もあとでもまたこれに関連して議論をしたいと思いますけれども、少なくともこれだけ国民の視聴を集めたこの問題については、あらゆる関係者を含めて公開の議論をするということについて、経費を支出している厚生省の立場から、鑑別班に対して十分サゼセチョンをしていただきたい。また高瀬班長もこの問題については受ける御決意を示されておるわけですから、この点については私は実現可能だと思うのですが、いかがでしょう。
  179. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 学会における公開討論会以外の鑑別診断班そのものの進め方について公開にするという問題につきましては、テーマ等の内容を勘案いたしまして、私どものほうから先生方にむしろ積極的に示唆をするということを考えてもよろしいと思います。
  180. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それならば、この問題については当然公開討論が行なわれるもの、こう私ども了解をいたしたいと思います。  さて、そこで厚生省のほうから資料を二通りいただきました。「安中カドミウム環境汚染と厚生省の対策について 四十六年二月八日 厚生省環境衛生局公害部公害課」という資料です。これは社会労働委員会安中に行きましたときに公害部長さんのほらからいただいた資料ですね。それから別に「安中周辺のカドミウム環境汚染と厚生省の対策について 厚生省環境衛生局公害部公害課 昭和四十六年三月一日」という資料をいただきました。  この文章の中で、たった一カ月ない期間の文章でありますが、重要な相違点が一つございます。それは今後厚生省中村登子さんの問題について措置すべき事項について記載をした部分であります。どこが違うかと申しますと、六項目が違うわけなんです。こちらのほうは先ほど古寺さんも指摘をされましたが、厚生省カドミウム中毒等鑑別診断研究班で総合的に検討してもらうことも考慮している。」こう書いてあります。二月のほうはどう書いてあるかといいますと、「最終的には、厚生省カドミウム中毒等鑑別診断研究班で総合的検討してもらうことも考えている。」どこが違うかというと、「最終的には、」ということばがあるかないかですよ。私はこちらの二月八日のほうの文章を見れば、常識ある人間なら次のように考えると思うのですね。一項目から五項目までの事項をきちっと処理する、そのあと最終的にはこの鑑別診断班で検討してもらうというのが私は二月八日の文章だろうと思うのです。  そこで私は、こちらのほうを問題にしたいと思うのですが、古寺さんも指摘をされましたけれども、とにかくここには「四十六年二月四日付朝日新聞朝刊等で報道された安中地区に長年居住し、二月一日死亡した小川シナさん(七十九歳)の解剖所見を実施した群馬大学医学部から入手することとする」と、こう書いてあるわけです。ですから、このあとは白石さんの名前も書いてありますが、常識からいえばまず小川さんと白石さん、このお二人の解剖所見を、解剖をきちんとやって、そうして臓器等のカドミウム汚染の状況はどうかということも調べ、そのデータがすべて集まったあとに最終的にこの鑑別班で検討してもらうというのが、すなおに読めばこの文章だろうと思いますね。なぜそういう手続をおとりにならなかったのでしょうか。このことは、私、高瀬班長にも過日聞きました。答弁しにくくて、もたもたしておりましたが、それは別として、こういった小川さん、白石さんの解剖所見、こういうものがきちっと出て、一般にも公開され、あるいは臓器のカドミウム汚染度というものも公開され、そういう中で、そういったデータを握った上で鑑別診断班で検討する、こういう手順をどうして踏まなかったのですか。私はそこが問題だと思うのですよ。「最終的には、」と書いてあるじゃありませんか。
  181. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実は鑑別診断班といたしましては、本来の業務といいますか、本来の仕事である全国の要観察地域から中央に集められたケースの検討を行なう、そういう予定がございまして、それでそれを三月中に開くということは大体前から予定しておったのでございますけれども、その後具体的な日取りにつきましては、先生方の御都合を伺いました結果、六日、七日ということになりましたので、二月八日付の対策時点では六日、七日という具体的な日取りはきまっておりませんでしたけれども、大体中村さんのほうのデータもある程度はそろえられそうだというようなことで、先生方の御都合で六日、七日ときめたという次第でございます。御指摘のように、結果的にそういう資料があれば望ましかったであろう資料で当日間に合わなかったものがございます。この点につきましては、しかし先般の鑑別診断班の見解にもございますように、今後さらに資料を集めてなお検討を進めるということでございますので、来月に予定しておりますこの研究班の集まりにおいても、補足資料として御討議願う、そういう予定にしております。
  182. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私はこの印刷物ですね、このうちのあとのほうですよ。全国の要観察地域の受診者の方々判断を三月の六日、七日、やることについて、別段いかんと言っているわけじゃない。それはそれでけっこうですよ。ただ、中村登子さんの問題について、結局厚生省が各種の資料を全部そろえて、最終的にはその鑑別班で検討してもらうのだ、こう一たん厚生省の考え方を明らかにしておいて、何をあわてて三月六日、七日、すべてのデータがそろわぬのに、中村登子さんの問題についてデータ不足のまま議論をするという必要はなかったのじゃないか、こう思うのです。第一、厚生省としては一たんこういう見解を出したのですから、これは困る、厚生省としてはこういう態度なんだ、したがって、まだ白石さんや小川さんの解剖所見もそろわん、そういう中で軽々に中村さんの問題について議論してもらっちゃ困る、こういうのが厚生省公害部の当然の態度じゃありませんか。そうじゃありませんか。一たんこういう文書をわれわれ国会議員に配ったということは、こういう手順を踏みますということを厚生省がわれわれに公約したことでしょう。これは公約を破ったということになる、そうじゃありませんか。なぜわれわれにそういううそをついてまで中村さんの問題をあわてて議論してもらったのですか。この点についてひとつ御見解をお伺いしたいと思う。
  183. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 私どもが具体的に三月の六日、七日という日取りをきめました時点で、この日に間違いなく中村登子さんの件についても、具体的あるいは最終的な見解が鑑別診断班の検討の結果として得られるという見通しを持っておったわけではございません。むしろ私どもは、その時点に至りまして、これまでこういうデータを集めることができました、こういうデータはきょう現在では間に合っておりません、いわばこれだけのデータで具体的な判断がしていただけるのかどうか、あるいは資料についてどのような評価がしていただけるのかどうか、そういう態度で臨んだわけでございますが、結果としましては、私どももちろん気持ちとしましては、地元において非常に不安が高まっておりまして、何とか早くその辺の事情を聞きたいというような事情もございましたので、先般高瀬参考人も、県の、そういう地元の要望もあったということを申されましたけれども、そういったことを背景に置いて、研究班としてこれだけのデータで少なくともこういう結論は出せるということでございましたので、それに従ったということでございます。
  184. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 さっき岡本さんも議論されておりましたが、前の公害課長の橋本さんが安中へ参りまして、イタイイタイ病の心配がないというようなことを軽率に言われているのですね。実はその時点で私も国会で議論をいたしましたが、かえってデータが不備な中で軽率な結論厚生省の担当課長さんが下すということは、決してこの地域住民の不安をなくすことではなくて、かえって住民の方々に被害を与えるという結果になるのじゃありませんか。同じことだと思うのですね。この中村さんの問題だって、データが不備なままで軽率な結論を出せば、それがひっくり返るという場合だって当然あるわけでしょう。そうした場合、これは一体責任はどうなるのですか。ですから、私はその点慎重であるべきだと思うのですね、こういう問題は……。  それは安中の東邦亜鉛の労働組合が不安がっているというようなことを高瀬さん言っておられましたけれども、不安は確かにございましょう。ありますが、問題はこれらの人たちだって集め得るデータを全部集めて、正確な判断をしてくれというのが、私はやはり地域住民の、またあそこの従業員の希望だろうと思うのですね。ですから、そういう意味では、私は国会議員に何もうそをついてまであわててやる必要はなかったのじゃないですか。何で厚生省は鑑別班に、そんなにあわてちゃ困る、実は厚生省はこういう態度を国会議員にも明らかにしておるのだ、それじゃ困りますということで、何でとめなかったのですか。私は、とめなかったということは、これは公害公害課の責任だと思うのですね。この点はいかがですか。
  185. 山本宣正

    山本説明員 先生おっしゃるように、なぜとめなかったと言われますと、たいへん私もお答えしにくいわけでございますが、私はあのときの診断班のこの発表文の取りまとめに立ち会っておりましたが、発言はいたしておりません。それで、先生方としていまの段階で得られたものからはこれだけのことが言えるという取りまとめ方でございましたので、さらにまた今後も引き続き検討をするのだという御意思の発表でございましたので、最終的な判断につきましては、さらに今後もなされるのだという理解をしておるわけでございます。
  186. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その「最終的には、」というこの文章は、要するに一から五項までのことをやって、最終的にはこの鑑別班で総合的検討してもらう、こういうことなんですからね。いまのお答えじゃ答えになりませんよ。  それじゃ聞きますが、なぜ国会議員にうそをついていいと公害課ないしは公害部は考えたのですか。私どもにこの文書を渡したのですから、私どもとすれば、一項から五項までちゃんと調べて、それから診断班診断を仰ぐ、こう私は受け取っておりました。この文章を見れば、これは当然でしょう。何で私どもにうそをつくのですか。国会議員、私どもにうそをついてもいいというのですか。
  187. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 確かに二月八日の時点におきましては、あそこに書いておりますようなデータ等を全部そろえて、そうして最終的な結論が得られるだけのデータをそろえた上で鑑別診断班結論を待ちたいという気持ちでございましたけれども、一方先生方日程のいろいろ差し繰り等、あるいは地元の非常に強い要望がございまして、私どもとしてはどこまで結論が得られるか、これだけのデータでどこまでこういう評価がいただけるか、そういうことは別段必ずしも十分な期待を持ってではございませんけれども、とにかく先生方判断資料として差し出した結果、これだけの判断はできるということであのような見解をいただいた次第でございまして、国会にお配りしました。先生方に対して、まあ間違ったことを言ったとかいう気持ちは、当時でも、またそのときの時点でも決してございませんことを御理解願いたいと思います。
  188. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 間違ったと思わないと言うなら、それでは私のほうが間違っておったということですか。そういうことになるじゃないですか。しかも、安中に社会労働委員会で行ったのは、社会労働委員会として正式に行ったのでしょう。そうですね。社会党の社労の理事は田邊君ですよ。私の同郷です。ですから私は聞きました。二月八日こういう文書を出して、社会労働委員会に、やりますよということをあなた方は約束したわけでしょう。ところが、その後事情が変わって、こうなりましたということを田邊君に話があったかと聞いたら、ないというのですよ。とにかく社会労働委員会の決議として安中に行った。その際に厚生省としてはこういう文書を出した。ところが、これを変更するについて社会労働委員会に一言もこの話もないということは一体どういうことなんですか。これは明らかに社会労働委員会をだました、うそを言ったということじゃありませんか、どうなんですか。
  189. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実は社会労働委員会におきまして、安中地区の視察後、本問題について委員会が開かれたことがございまして、そのとき近々鑑別診断班会議が開かれるようであるけれども、それまでに中村さんの件について明確なといいますか、ある程度具体的な見解が得られるのかどうかというお尋ねがございました。そのときまだ具体的なことがきまっておりませんでしたが、いずれにしても三月中には開きたい、その場合にあの対策に書いておりますように、私どもとしてはできるだけこれらの資料を全部そろえるように努力したいけれども、その時点までにはたして全部がそろえられるかどうかはお約束できません。したがって、鑑別診断班会議が開かれた際に、そういうデータで、具体的な、最終的な結論が得られるかどうかについても、ここで何とも申し上げられませんけれども、とにかく具体的な結論がむずかしい場合でも、何らかあるいは中間的な見解といいますか、そういったものを期待している旨、私答弁いたしたことがございますけれども、社会労働委員会先生方について、連絡の悪かった点は認めますけれども、そういう気持ちは毛頭ございませんことを御了解願いたいと思います。
  190. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 気持ちはないと言うのですけれども、結果的にはこういう文書を出しておきながら、このとおりやらなかったということは、私は非常に遺憾に思いますよ。しかも、だからそういうことがあるからこそ企業寄りではないのか。そのデータがそろわぬのに軽々に、中間報告と書いてあるならいいですよ。中間報告なんて書いてあるわけじゃないんだ。しかも高瀬さんは記者会見されなかったようですけれども厚生省の公衆衛生院の重松さん、それからいま一人の学者の方、慶応大学の先生ですか、お二人が記者会見をして、明確な判断を出したかのごとき発言をやっているじゃないですか。新聞にはそのことが大きく報道されていますよ。それを見れば国民はこれは問題はないんだというふうに受け取るのはあたりまえだ。ですから私は、そういう意味では厚生省のやり方についてはきわめて遺憾だと思うし、そういうことをやるからこそ、何か企業寄りではないかという批判を受けることになると思うのです。私は、当然反省あってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  191. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 先生方への御連絡等について、あるいは遺漏な点があったことは申しわけないと思いますけれども、あの見解が企業寄り、企業サイドのそういう姿勢に立ったものであるということについては、私どもは断じてそのような事実はございませんとお答えいたすよりしかたがございません。
  192. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 水かけ論になるからあれですけれども、しかし須藤さんという、安中の東邦亜鉛の嘱託医はその会議に出席してもらう。それから佐藤医師の意見も聞いたようですけれども、肝心の小林さんや久保田さんの出席をお願いするとかいうようなことは一切していないということも加えてみれば、何かこの会社の嘱託医の御意見はよく聞くけれども、どうもそうでないほうは疎外をしておるというふうに国民が言うことも当然じゃありませんか。事実小林教授も、厚生省に私は疎外されているということをこの委員会の席でも申されました。私は、やはりそういうことであってはいけない、このことについては反省があってしかるべきではないか、かように思います。この点は厚生省も十分ひとつお考えになっていただきたい、強く要請をいたしておきます。  それでは、次にお尋ねをしますが、時間もありませんから簡単にいきますけれども小林さんはかっては研究班班員だったわけですね。ところが、昭和四十四年の三月、鶯沢、安中、そして対馬でしたか、これの厚生省見解を出すときに、鑑別班の結論と、厚生省が発表いたしました厚生省見解とは、相当な差があったというようなことで、非常に不満だということを、参考人としておいでになったとき言いました。それ以来厚生省から疎外されたと、こう小林先生は言われました。また小林先生は、神通川の問題を調査しておりますときに、厚生省の役人の方から、この問題については将来補償の問題が大きくなるだろう、したがって、これについては適当にやってくれという趣旨の話もあったということを、当委員会で発言をされました。私は、きわめてけしからぬと思うのですね。まあ当時の橋本公害課長さんはOECDへ行っておりまして、海のかなたでありますから聞くわけにはいきませんが、当然公害部長さんなり公害課長さんは、その間の事情というものは承知だろうと思いますが、いかがですか、この点は。
  193. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 実は私、小林教授にお目にかかったのは、先般のこの席が初めてでございまして、厚生省に対して小林教授が快からぬ感情を非常に強くお持ちであることを知って、実は驚いたのでございますけれども、いろいろ当時の事情を聞きましても必ずしもはっきりいたさないのでございますが、確かに昭和四十三年度までカドミウム等微重量金属のいろいろな分野研究に、その研究班員の一人に小林教授が入っておられることは事実でございますが、四十四年度以降には確かに小林教授の名が見当たらないのでございます。ただはっきりいたしておりますのは、鑑別診断班そのものは四十四年度に発足したわけでございまして、これはその名の示すごとく、あくまで医学上の診断研究でございますから、当然医師の資格を持っている人たちに限られる。現に十三名の方はみんな医者でございますけれども、ですから、この班に小林教授が入っていないということは、まあいわば当然だと思いますけれども、しかし、私ども何も意識して小林教授を、私どものいろいろの分野研究がありますから、それから意識的にどうこうということはどうもないようでございまして、先般いろいろな先生からも御指摘がございましたけれども、今後やはり公害カドミウム等の問題は、各分野の最高の権威の方の総力を結集して、真に科学的な対策が打ち立てられるということはもう当然のことでございまして、今後必要があれば従来のそういったことにこだわることなく、私どもはあくまでオープンでいろいろな方面の専門家の方に研究を依頼したいという考えでございます。
  194. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次の、厚生省の役人の方が、神通川について言われたということは承知しておりませんか。
  195. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 承知しておりません。
  196. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 じゃ、あと一問で終わります。  労働省の方はお帰りになったのですか、——いないですね。
  197. 小林信一

    小林委員長 帰りました。
  198. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、中村さんの御家族の方を考えれば、この問題は当然労災適用になる可能性のある事案であると思います。したがって、そういうときに十分なデータがないままこういう見解が出るということは、私はそういう意味では問題だろうと思うのです。したがいまして、厚生省としては小林教授はじめ久保田所長等をお呼びになりまして、やがて近い機会に公開討論の場もあるということであれば、その間の事情を労働省によく連絡をとっていただきまして、そうしてあれは適用申請する時期もございますので、その辺の手続については万遺漏なきを期してもらうように十分連絡をする必要があるだろうと思うのです。その点どうかということと、鉱山課長がお見えですから一言だけお尋ねしたいと思いますが、足尾の鉱毒地域でカドミウム汚染が発見をされました。そうなると私は全国の鉱山カドミウム汚染のおそれありと考えるわけでありまして、この点について点検をしておられるかどうか、その点だけ承って質問を終わっておきたいと思います。
  199. 曾根田郁夫

    曾根田政府委員 労働省との連絡につきましては、十分連絡を密にして、遺漏のないようにいたしたいと思います。
  200. 伊勢谷三樹郎

    ○伊勢谷説明員 お答え申し上げます。  私どものほうではカドミに一番関係のございます鉛、亜鉛鉱山、鉛、亜鉛製錬所はもちろんのこと、銅の鉱山及び銅の製錬所につきましても格付けをいたしまして、調査を行なっております。昨年の夏以来、カドミ問題ということで重要視いたしましてやっております。鉱山の数は、鉱種を問わず五十四鉱山、製錬所の数で二十五製錬所の調査をやっております。
  201. 小林信一

    小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十三分散会