○佐野
委員 数字的には大体皆さんのほうの資料でお話ししているのですからけっこうだと思いますけれ
ども、問題は、出資金は打ち切った、かわりに補給金で、五%として補給金を三年後に精算払いをする、こういうことになっておりますね。そうなってまいりますと、いままでは建築費並びに用地費に対して四分一厘だった、ところが、今度は、その結果として五%になった、そこで逆に利子補給をやるのだ、三年後の精算において行なうのだ、こういうことになってまいりますから、金繰りが非常に苦しくなってくる。ですから、二百四十一億円から四百億円、四百億円から六百億円、これが大きく経営を圧迫しておる。皆さん自身が
経験しておられることだと思うのです。こういうことで、たとえば同じ団地へ参りまして、片方に、団地の一角に雇用促進事業団が住宅を建てる。これは失業
対策特別会計から繰り入れる。これは全額出資金ですね。ですから、発足して日は浅いし、戸数も少ないのですけれ
ども、百三十八億九千万円の無利子の出資金をもって
——これは住宅だけですね。他のいろいろな部門もやっておりますけれ
ども、住宅だけに関しましてはこの出資金を持っておる。無利子だ。ここで公租公課なり修繕費なり、あるいはまた管理人の給料なり、そういうものの計算をしたのが家賃となっておる。ですから、同じ
政府住宅でありながら、片方に
公営住宅がある。また、
公営住宅の場合は、御承知のとおり第二種は三分の二の補助だ。用地に対しましては二%か三%だ。これに対しまして片方は無利子だ。ですから三分の二の補助をもらって、
公営住宅よりも雇用促進事業団のほうが安いわけですね。それが同じ規模で、片方において公団のほうがぐっと高くなっていってしまっておる。一万円をこえておる。片方は五千円だ。こういうのが同じところに三つあるわけですね。そうしますと、ここにあき家がある。こういう同じ国の住宅政策で
——もちろん政策
目的によってできておりますから、それは
公営住宅なり、雇用促進事業団の住宅なり、あるいはまた公団住宅なり、
地方供給公社の住宅なり、それぞれの政策
目的があるといたしましても、資金の使い方によってこんなに大きな差が出てくるわけですね。ですから、もし公団家賃の原価が上がってくるということになってまいりますと、五分のものを逆に三分に下げる。こうした場合において、やはり二五%程度の値上げを防ぐことができるのじゃないか、この程度に利子を薄める、こういういうことも
一つの公団家賃の値上がり
——逆に出資金をとってしまって補給するんだというかわりに、四分一厘の利子を五分に引き上げる、五%に引き上げる、こういうことで金繰りが非常に苦しくなってくる。しかも、用地費、地価
対策その他、そういう点に対しましても最も関係ありますので
質疑を深めたいと思っておったのですが、どうもきょうはかぜをひいて頭が痛いものですから、質問が少し長くなりまして非常に恐縮で、きょうはやめさせていただきますけれ
ども、そういう地価
対策、たとえば昭和三十年の公団の用地費と四十四年とは十倍の開きが出てきているわけです。ですから、地価の暴騰というもの、地価
対策の失敗というもの、地価
対策における困難性というもの、そのものが今日における公団家賃の大きな値上がりの要因をなしてきておる。これにやはりメスを入れるということがいかに必要であるかということを物語っておると思います。と同時に、ある程度の無利子の金をここへ投入することによって利子を薄めるということによって、五%
——四十一年前は四・一%、これをもっと大胆に三%まで下げるということになってまいりますと、相当大きな、
先ほど申し上げました二五%程度の家賃の値下げをすることができるんじゃないかという点も今後検討していただきたい問題だと思いますし、
大臣が最初に述べられた大規模団地におけるいろいろな問題、特に
建設省も参加されまして研究会が持たれた、その
答申なり経過が詳しく出てまいっております。ですから、そういう中におきましても、
大臣が指摘されるような、あるいは公共施設なり、あるいは公益施設なり利便施設なり、あるいはまた街路なり、取りつけ
道路なり、その中におけるところの集会所なり、公園なり、いろいろな問題に対しまして、公共負担をすべきものはもっと公共負担すべきじゃないか。それを団地に引き受けさせることによって家賃の値上げのかなり大きな原因をなしておるのではないか。こういう
意味におきまして、今日における交付税制度の問題なり、起債の問題なり、補助金の対象なり、補助金の内容なり、これらに対する抜本的な検討条項というものはあげられており、一部は今度実現をされておるわけでしょうけれ
ども、これら大きく取り上げられておる諸問題というものが解決していく。困難かもしれませんけれ
ども、町村にとりましても、あるいはまた公団にとりましても、
国民にとりましても、非常に多くの問題を解決する糸口が詳しく報告として出ておるわけですから、こういうものを解決していく中で、公団家賃の値上がりの原因を取り除いていく、こういう努力が必要になってくるんじゃないだろうか。
大体時間が参りましたので
結論を急ぎますけれ
ども、そういうことを考えますと、いわゆる今日におけるところのそういうものを抜きにして、たとえば面開発なり、あるいはまた都心部における開発なり、そういうことをやっておられるわけですが、そういう中で感じますことは、もう傾斜家賃をとらなくちゃならない。現在の家賃だった場合においては、勤労者のほとんど八割の者は入ることができない。ですから、せめて三分の一は親から仕送りを受けるのだ。合算制度と申しますか、世帯内の合算ではなくて、いなかの親から仕送りを受けておる。いなかに財産があるから、その財産の一部を譲ってもらったんだということにして資格を得る。入居資格を
公営住宅の場合は上を押えておるが、公団住宅の場合は下を押えておるという関係上、入りたくても入れない。そのためにわざわざいなかから仕送りしてもらう。そのもらった分を三分の一足してやる。それなら資格条件があるから申し込みなさいということになる。これでは、勤労者の置かれている
立場というものはたいへんなことになるのではないか。そういう高いのができたから、これに合わせなければ、公団法施行規則の附則第十条の第二号にいう法的根拠としても不均衡是正が必要なんだというのじゃ、これはたいへんなことになってくるのじゃないか。もっと公団家賃が値上がりをする原因を解決していく。たとえば面開発の場合におきましても、いわゆる再開発公園というものが補助の対象になる。あるいは防災のために必要なもの、あるいはいろいろな公共的
目的のために必要なものは公共が持つということによって、面開発なり、これからやるところの職住近接なり、
大臣が冒頭に指摘されたようなそういう方向に
日本の住宅政策が大きく転換をしていく。そのためにひとつがんばっていただきたいと思います。そういう問題を抜きにしての、単なる値上げの理由を見出すような形では
——居住者並びに
日本の勤労者、特にILOにおけるところの勤労者住宅に関する勧告の精神、あるいはまた公団法成立の沿革、
日本の勤労者の置かれている状態、こう考えましたときに、住宅政策のもっともっと飛躍的な新たなる展開が必要ではなかろうか、こういう点を指摘いたしまして、
大臣の御所見を承りたい。