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根本国務大臣 御
承知のように、農地法は、自作農を創設するという方針をもちまして、あれは強制買収したわけです。おそらく世界の歴史で、血を見ないでこんな思い切ったことがやれたというのは、占領下なるがゆえにできたと思います。ところが、残ったのは農地として適当じゃないところで、自作農としてそこをやろうとする人間がいなかったということであれは残っちゃったわけですね。その当時から、
政府が農地として使わなければ返せといういろいろの運動があったことも事実のようであります。そこで、たしか
昭和四十一、二年、松野農林
大臣のときでしたか、これは農地法の解釈からいけば、農地として
政府が使わなければもとの地主に返さなければならぬということになりましたね。そういうことで、払い下げをしようということをやったことがたしかあったと思います。ところが、事務次官
会議のときにこれが問題になりまして、一方においては訴訟をされておるこのときに、
公共の用地にだけこれをやるということでそのまま踏み切ったのでは、一審、二審は勝っておるけれども最高裁はどうもあぶないぞということでストップになって今日まできたわけなんです。ところが、最高裁でああいう判決が出たものだから、事務次官
会議においても、どうもこれはやむを得ないということですっときたもののようです。閣議の席上で初めて私はあれを聞いたのですが、大部分の閣僚もそうだったと思います。
ただ、そのときに農林
大臣から、最高裁の結審が出た以上、従来のように
公共用地だけにこれを振り向けるということもどうもできないようであるし、しかも、法の解釈からすれば、当然もとの所有者に払い戻すという形にはなりますけれども、いわば復権、そういう形だ、だから普通の払い下げと違う、しかも、従来そうしたやり方をもって、
相当の面積、六千ヘクタール以上ですか、すでに時価で払い下げておるという事実、これから見てやむを得ないことだ、が、しかし、これは法律上どうこうできないけれども、
土地事情並びに
国民感情もあるから、払い下げを受けるべき権利を持っておる旧地主に対しては、できるだけ
公共用に協力してほしいという強力な行政あっせんをする、こういうことでございます。
われわれのほうとしても、こういうようなものはできるだけ
土地政策あるいは
住宅政策に活用したいと思って実は前から調べておったのでありますが、大部分はワンブロックが非常に小さいようです。
公団住宅等、大規模な
土地開発にはどうも適当でないものが多いようでございます。しかし、これも、いわゆる
都市公園とか、ちびっこ広場とか、子供の運動場にはしかるべきところがあるだろうということで、私のほうからも農林
大臣にお話をして、国自体、
建設省自体で、すでにこれをどこそこに使うからということで取得するにしても、必ずしも適当なものはないようであるが、少なくとも
東京都あたりの区等において
都市公園あるいはちびっこ広場等に利用するには適当なものがあると思うから、それにはぜひひとつ積極的なあっせんをしてほしいということを申し入れておる
段階でございます。
これはもうすでに
予算委員会等でいろいろと論議になり、また、与党自体においてもこれについていろいろ
議論があるところでございまするが、閣議においては、いま申し上げたような理由をもちまして、これはやむを得ない
措置であるということで、あの政令を改正することにわれわれは賛成したということでございます。