○吉田(賢)
委員 ただいま上程の
昭和四十三年度
一般会計歳入歳出決算につきまして、民社党を代表して以下数点を
指摘し、その実行、実現を強く
要請しながら、本案件に賛成します。
一九六〇年代の経済成長の時代は過ぎまして、七〇年代の福祉時代に入っております。こういったときに、ほんとうに均衡ある社会発展のためには、公害とか物価とかあるいは交通、教育、都市問題など、各方面におけるひずみを是正すべく、国民の
要望、実態に即しましてこれが実現、充実を期さねばならぬことはもちろんでございます。そういった点をかんがみまするときに、経済は、これは国民の福祉と幸福に奉仕すべきものでありまして、もちろんその逆ではありません。したがいまして、人間中心の経済、人間中心の
財政が行なわれねばならぬのが、これが七〇年代の
財政の実態になるだろうと思います。この大きな反省に立ちまして、私
どもは、国民福祉のために、
政府もあるいは
国会も国民とともに努力を傾けねばならぬ、こういうふうに
考えるのであります。
こういったときに、われわれが直面しまするこの種の幾多の問題につきましては、行
財政の改革なくしてはこれらの諸問題の改革はあり得ない。これほど重大な課題でありまするので、これはぜひとも勇断をもって行
財政の改革というものに取り組むべきでないだろうか。この点は
昭和四十年度の決算の
国会審議の辞月頭から私はだんだん申し上げ、かつまた、幾多の
審議の
過程を通じましてみましても、それらの点につきましては、まざまざと現実にその実態を見る次第でございます。
こういう趣旨からいたしまして、私は、この
機会に大きな反省をもって
政府は行
財政の改革にぜひとも乗り出していかねばなるまい、こう
考えます。もちろん、
財政面におきましては、かねてわれわれが主張し、また
大蔵省、企画庁が中心になりましてそれぞれと調査、
研究の課程にありまする例の事業別
予算制度の導入と確立、PPBSの積極的導入、こういう面を通じまして、公害、物価、消費者行政、交通・輸送体系の再編成等、それぞれとこれらの手法を通じまして、その適切なる政策の選定もして、そして国民の血税を大切に、効果的に使っていくという道を開くべきではないだろうか、こういうふうに
考えるのでございます。
そこで、こういったことを実現するために、
財政を総合的に掌握し得るところの情報管理のシステムの確立が必要ではないであろうか。各省庁におきまして、公社、公団、
政府関係機関等、そういうものも電算機な
ども利用いたしまして、ネットワークで結んで、
予算執行
状況であるとか決算の
状況などにつきましては、短時間にこれが実態を把握する。
大蔵省は主計局において、あるいは別に設けるべき総合企画庁という仮称のものにおいて、あるいはまた検査院等におきましてこの情報を処理したり、分析して、そうして総合政策の立案、
財政政策の立案、
予算の編成、管理をしていく、そういったところに
予算のむだづかい、あるいはまた綱紀紊乱等の起こらない道が見つけられるであろう、こう
考えるのであります。また、事務レベルにおきましても、
大蔵省、検査院やらあるいは企画庁等におきましても、常設の
研究委をもちまして、改善の計画にあたっていく。こういうような努力が必要でないか。
特にまた、反面におきまして、膨大な
予算が流れていきます地方公共団体の
財政状況、行政
状況におきましても、同様に、自治省あるいはまたその他の機関におきましてこれが情報をキャッチするセンターを持ちまして、そしてそれぞれと委任事務は
関係行政庁に指令したりあるいは報告を受けたりしながら
連絡をとっていく、ことに地方財行政におきましては、赤澤
大臣のときでありましたか、百人にアンケートを出しました。この行くえすらまだ明らかにならず、こういう次第でありますので、幾多の行
財政の懸案がそのままになっていることを思いあわせねばならぬ、こう
考えるのであります。
さらに、中央におきましての管理機構は強化しなければならぬことは、これはもちろんでございます。要するに、
総理府を中心といたしまして、中央におきまして財行政の一切を総合的に指導する、あるいはまた、広い意味におきまして、管理するその体制を強化するということが、ばらばら行政、分断行政、
財政の使い方、これを是正するゆえんの道が開けるんじゃないか、こう
考えるのでございます。そうして、ここにおきまして、やはりあらゆる意味におきまして官民の有能なスタッフを集めまして、総合
財政情報管理システム、これをつくりまして、性能の高い分析も行なっていくというふうにすべきではないか、こう思われます。
特に前回の四十二年度のときにもこれは強調したのでございますが、やはり公務員制度の改革というものは強く
要請する次第でございます。要するに、これは公務員の
整理問題ではないのでございまして、職場を生きがいのある場にしていくということが
一つの大きなねらいでございます。また、十分にその成果をあげまして、国民の負託にこたえる、あるいは退職後の生活の保障であるとか、再就職の場を与えるとかいうことにつきましても、大手を振って世の中に出ていけるように、ただし、もとおったところの事業などへのくされ縁というものは断じて思い出すことをせず、公明正大に国民の
立場また公務員の
立場を理解し合うという
政治の努力をしなければならないというふうに思いまして、新しく需要が複雑多岐にわたってまいりまする公務員の行政需要に対応せしめ、能力を発揮せしめることが必要ではなかろうか、こういうふうに
考えます。
さらに、これと関連いたしまして、
国会みずからもその姿勢を一そう正しまして、そして
審議の能率をあげ、また組織につきましても反省をしながら、これらの問題の解決、あるいはまた
諸般の懸案の解決についての体制の整備に当たるべきではないか、こう
考えるのであります。
こういうようなことを、いずれも実現の方向に向かって、
政府は勇断をもって一そう適切にその
態度を是正するというぐらいな反省があってしかるべきでないか、こういうふうに思う次第でございます。そこで私はこのような問題点について提案をいたしました。
ただし、この場合に、わが国の決算制度は、申し上げるまでもなく、
財政の運用は法律上有効なんでございまするので、これを否定いたしましたところで意味がないことになります。したがいまして、この場合、別の議案ならともかくといたしまして、使いました金の行くえにつきましては、これは無効ならしむる手段はございませんので、検査院の
指摘する当、不当の趣旨をもっと拡大して解釈すべきだと思いますけれ
ども、
国会においてしばしば
要請しております効率的使用につきましても、格段の注意をしていくということによりまして、国民の血税の行くえを明らかにして、大きな責任を果たしていくということが
政府の責任のあるべき姿でないか、こう思いますので、そういう趣旨を明らかにいたしまして、私はそのゆえをもって賛成する次第であります。