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華山委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御提案になっております
予備費使用の
承諾のことにつきまして、
承諾をいたしかねる旨の意見を申し述べたいと思います。
政府は、
予備費を使用いたしまして、
日本赤十字社を通じ、
外国の災害、
戦争または内乱による
難民に対し
救援をいたしました。その内訳を見ますと、ナイジェリアの内乱
難民に対して三億六千九百万円、ペルーの地震に対しまして二億七百万円、パキスタンは二つございますが、水害災害には五億六千六百万円、高潮につきまして五億九千四百万円でありまして、カンボジアに対しましては、実に十三億三千二百万円を
支出しているのであります。これは
戦争による
難民であります。そして南
ベトナムには一億八百万円でございまして、計三十一億七千六百万円になるのであります。このうち特に注目されるのは、カンボジアに対しては、ほかに比して群を抜いて多いことでありまして、全額の四二%はカンボジアに対して出ております。
救援は国を越えた
人道的なものであって、国際的に行なわれるものでありますが、前に述べましたいろいろな災害について国際的な広がりはどうなっているか。ナイジェリアに対しては二十三カ国であります。ペルーに対し三十八カ国、パキスタンには、二つの災害で重複する面もありますけれ
ども、全部で十六カ国であります。しかるにカンボジアには八カ国、南
ベトナムには六カ国にすぎません。これから見ましても、カンボジア及び南
ベトナムに対しては、世界的な同調の広がりがなかったということが言えるわけであります。その中で、日本からの
金額の特に多いカンボジアについて見ますと、
救援国は、日本以外はおおむね
ベトナム戦争の出兵国であります。その中にはフランスがありますが、しかもカンボジアに対する
救援合計額の九〇%は日本から出ているのであります。
また、
救援は
政府のみならず個人の博愛心に基づくものでありますが、日本
国民はこれらの
救援に対してどれだけの関心を示したか。ナイジェリアに対しましては八千六百万円であります。ペルーに対しましては一億円であります。パキスタンについては三億四千五百万円でありますけれ
ども、カンボジアと南
ベトナムに対しましては
日赤当局からは
答弁がないのであります。おそらくは
一つもなかったのであろうと思うのであります。
これを見ますと、カンボジアと南
ベトナムに対する日本
政府の
救援は、国際的及び日本
国民の
人道博愛の関心とは遊離しておったのではないか、こういうふうに断ぜざるを得ません。ほんとうにこの
立場に立って、そして世界のあらゆる災害に対して行なう
立場にあるならば、またカンボジアに対してこれだけの
救援をするということであるならば、ナイジェリアとかペルーなどにはもっと大きな
救援の手が差し伸べられてよかったのではないか、こう思うのであります。
また、その中でカンボジアに対する
救援の特色、これは従来からいろいろな諸国に対する
救援が毎年行なわれておりますが、それらに比して、特色といたしますことは、多くの自動車が送られたことであります。その自動車の総量は、
金額にいたしまして三億一千二百万円にのぼるのであります。しかも、この
決定は十一月に行なわれている、そして現品が現地に到着するのは三月末であります。この
決定当時も現在も、一応
難民はおりますけれ
ども、各地を流浪して歩くような状態ではありません。一カ所に収容されております。それになぜこのような自動車がたくさん要ったのか、ここに一まつの疑問が出てまいりますことは当然であります。それで、これが軍事に利用されるのではないか、こういうふうな疑いも一般から出てくるわけであります。この点につきまして、
日赤は、転用をとめるために一応相手の
赤十字社に対して要求しております。またいろいろな
措置をしておりますけれ
ども、これが今後長い間軍事に転用されないという十分な保障は何もありません。また、南
ベトナムについて申し上げますならば、
昭和四十年かと思いますけれ
ども、
政府は
日赤によりまして南
ベトナムに
救援をしようとした、このときに
日赤は断わっておるのであります。そのような北
ベトナムと南
ベトナムとの間に均衡を失するような
救援を南
ベトナムにはできない、こういって断わったのであります。そして
政府は、何かわけのわからない、何の仕事もしておらない
ベトナム協会なるものから
救援をした、こういう実態であって、それらのことを
考えますと、私はこの
人道的なものについて、政治的な意図がはたしてほんとうになかったのかどうか疑わざるを得ないのであります。
以上の点から、
外国に対する
救援については納得のいかない面があります。もちろん、現実に
難民がおります。この
難民に対しまして
救援の手を伸ばすことは当然のことでありますけれ
ども、各地の災害に対しての均衡を得ておったかどうか。なぜカンボジアにのみこのように多くのものを送ったのか、こういう点が問題になり、また日本
国民の関心、世界の関心とは離れたところの
救援が、各地に対する
救援の状態を見ると行なわれている、こういうふうなことであります。
二番目には、良質米奨励金及び米品質改良奨励金に二百三十八億一千万円を
予備費から
支出をしております。これは昨年夏、四十五年産米
政府買い入れ米価
決定にあたりまして、
政府の
予算及び米価審議会の
答申の米価据え置きに政治的の上積みを
政府と自民党との間で取りかわしたものにほかなりません。わが党はもとより米価据え置きに同調するものではありませんが、このような名分によって実質をごまかすことには
承諾ができないのであります。
第三には、
佐藤総理大臣の
国際連合総会
出席に五千九百二十五万円を
予備費使用しておりますが、その
項目は
報償費、
外国旅費、
庁費となっています。
総理大臣のかの地における
接宴とか贈りものなどは当然
交際費の目をもって支弁すべきであるにかかわらず、これをすべて、会計検査院の検査が簡易になっておりますところの
報償費に包含せしめたことは適当でないと思います。
ちなみに申し上げますが、
衆議院と
参議院の
予算には
報償費などというものはありません。
交際費一本であります。両院の
議長は
外国に参りましても、
接宴なり贈りもの等については
交際費で支弁しておるのであります。
総理大臣と国会両院
議長との間になぜこのような差別がなければならないのか、私は疑いを持たざるを得ないのであります。
これらの諸点を通じまして、
予備費の
支出には、全体としてやむを得ないものが多いのでありますけれ
ども、以上の諸点がございますので、反対をいたします。