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華山委員 昭和四十四年四月一日に荒川放水路の新四ツ木橋でリングビーム方式による架設工事が崩壊をいたしまして、出かせぎ者等八人が一瞬にして命を奪われたという事故がございました。これは当時緊急
質問として本
会議にものぼった重大な問題だったわけであります。その際は
建設大臣は、直ちに
調査団をつくってその原因を究明する、リングビーム工法はこの
調査の完了するまではやらない、労働大臣もまた、労働災害の面から特に
調査団をつくって
調査をしたい、こういうふうな御
答弁だったわけであります。
その後私はこの
委員会におきまして、この問題がどうなっているかということについてお聞きをいたしたのでございますけれ
ども、昨年の三月五日になりますか、その当時は、まだ
調査団の
調査も出ておらないというふうなことでございましたが、その中で、本
会議における言明にかかわらず、これから新しく施工するところの工法についてはリングビームの方法はとらないけれ
ども、現に始まっている工事については、注意をしながら、なお補強工事等をしながらやってもいいのだというふうな指示でありましたので、私は、人命の尊重よりもいろいろな事業、
予算、そういうふうなものを大切にするものだと言って、これを非難したわけであります。その後、労働災害科学
調査団、これは労働省のほうから報告が出ておりますし、また、
建設省のほうでは新四ツ木橋事故
調査技術委員会というふうなところから報告も出ておりますし、それとは別に、また警察は警察でこの事故について捜査を進めまして、そして業務上の過失があるとして、これを送検しておるわけであります。
これらの点について伺いたいのでございますが、私の感想が多くなりまして恐縮でございますけれ
ども、いま述べましたような労働省の
調査団、あるいは
建設省の
技術委員会の報告、それから警視庁が送検をした理由等をあわせて私は読んでみました。それで、その内容につきまして、
技術の面と工学等の面に関することも多いのでございますから、私、十分にそういう
技術の面までわかったというふうには言いかねるかと思うのでございますが、受ける印象として私の言えることは、
建設省の
技術委員会の報告は最も甘い。労働災害科学
調査団の
調査はこれよりはきびしい。警察の
調査はさらにもっともっときびしい。ここに矛盾といいますか、違いがあります。私はこのようなことから
考えるのでございますが、もし事業の執行機関が業者に対しまして密着をしておるということがこの中からうかがわれる、こういうふうになっては私は大問題だと思うのです。
それで、いまこの報告書がどういうことかということを私からお聞きもいたしませんし、なんでございますが、伺いたいことは、警察の捜査によるところのいろいろな施工上の間違いと思われる点がこの二つの報告には出ておらない。これはどういうことなのか。この警察の
調査のほうではこういうふうにいっております。「シートパイルの打ち込みをしたところ、百八十六枚で結合し真円になるべきところ二十センチの間隔があいて結合できなかった。」シートパイルを打ったけれ
ども、一番最後のところに二十センチのすきができたということだ。「そこで、シートパイルを一本加えたが、」
——すきがあいたから予定よりも一本加えたが、「結合せずに不自然な溶接をした」。本来なら組み合うものですね。そういうことができないのでこれを溶接したと書いてある。そうして「上部一メートルぐらいを溶接しなかった。」こういうふうに書いてある。これは警察の捜査の結果でありますけれ
ども、これらの面については、両方の報告には何ら触れておらない。
ひとつ両省に伺いたいのでございますが、警察がこのような
状態というものを調べたというふうなことは、
調査の過程においてわかったのか、わかったけれ
ども、これは事故の原因にはならない、こういうふうに
考えてこの報告からは除いたのか、両省から伺いたい。私の聞いたことだけ回答してください。