○小金
説明員 ただいま
生活局長がお答えしたと思いますが、われわれは経済
研究所でございまして、われわれの任務はシステム分析とPPBSに関する
研究、
開発にあるわけでございます。
私どもは、第一段階といたしまして、システム分析とPPBSに関する実際の
研究を、特にアメリカの事例について、発足いたしました当初、四十三年、四十四年にかけてやったわけでございますが、四十五
年度はそれを実際に、その手法を用いて実際の行政目的に役に立つ
研究の
一つをやろうというねらいのもとに、大体年間三百万円の
予算でございますが、これを使いまして、二つのケーススタディーを行なったわけでございます。
一つは、水質保全に関するケーススタディーでございまして、水質汚濁を防止するためのいろいろな政策、これをやる場合に、どういう規制なり、投資なり、そういうものの組み合わせをやることによって最適の水質保全ができるかというのが
一つのテーマでございまして、これにつきましては、直接行政の目的に初めから使うということでなく、と申しますのは、これは目的が
研究開発でございますので、ある河川をモデルケースとして取り上げまして、実際にそれについてそういうシステム分析の手法が役に立つかどうか、そういうモデルをつくったわけでございます。この結果は、現在第一次段階のようなものができておりまして、これはわれわれの立場からいたしまして、方法論的にこれで問題がないかどうか、これを検討いたしまして、現在のところでは、今年五月ごろになりますれば経済
研究所の
研究シリーズとして発表いたしたいと思っておるわけでございます。
それからもう
一つのほうは、これはPPBSの中でシステム分析と並びます大きな柱となっておりますプログラムストラクチャーの
研究というのでございまして、プログラムストラクチャーと申しますのは——
政府の各部門がいたしますいろいろな
事業、たとえば保健衛生でありますとか、公園であるとか道路であるとか、いろいろ
政府は行政的な仕事をいたすわけでございますが、それぞれの
政府の部門の行為というものは、ある地域住民なり
国民なり、そういうものの福祉の向上ということをそれぞれ目的としておるわけでございまして、現在
政府の持っております問題の中で非常に大きなものは、そういう
政府の各部門の実行いたします行政行為というものの目的が、それぞれ相互に関連しておる、
一つ一つの部門だけでは、何と申しますか、それぞれがばらばらに自分の部門の仕事を一生懸命やるだけでは全体の効率が確保されない、それが現在の非常に大きな問題でございまして、これは公害などが非常にいい例でございますが、公害とか交通事故とか、それぞれの担当しておるところの仕事だけではいかぬ。プログラムストラクチャーと申しますのは、
政府がやりますいろいろな仕事の目的を体系的に組み上げまして、それぞれの部門が、その地域住民なり
国民なりにとってどういう目的を追求するかということを体系的に見てみようというのがプログラムストラクチャーの趣旨でございます。
これにつきまして、やはり
一つの県の実例といたしまして県庁のやっております仕事を取り上げて、その仕事を各係の段階まで全部ばらばらにばらしまして、それをそういう地域住民の福祉というような観点から体系的に組み上げるという作業を
一つやったわけでございます。これが現在やはり中間的な段階でございまして、中間報告的なものは出ておりますが、これは私どもといたしましては、今
年度中にこの結果をまとめまして、経済
研究所の出しております
研究シリーズ、ないし経済分析というものに
研究報告というかっこうで発表いたしたいと思っております。
このために用いております
予算のほうは、四十四
年度から毎年シテム分析のために特計いたしておりますものは大体三百万円くらいでございますが、四十五
年度は、このプログラムストラクチャーの分析につきまして、大蔵省の持っておりますPPBSの
予算の中から約百五十万ばかり
移しがえを受けまして、われわれのところでやったわけでございます。
これが大体われわれの四十五年中にやりました仕事でございますが、将来このシステム分析の仕事をどういうふうに伸ばしていくかというのは、われわれといたしましても、現在どういうふうにやるべきであるかということについてはまだはっきりした方向が確立しておるわけではないわけです。と申しますのは、われわれといたしましては、この種の手法をさらに
開発し発展させて、実際の長期計画なり実際の
予算作成、中央
政府、県あるいは
市町村等における実際の行政に役立たせるということを最終の目的として努力をしておるわけでございますが、現実には、このシステム分析ないしPPBSというような手法は、非常に学術的と申しますか、ややソフトな領域に入るものでございまして、宇宙科学であるとか防衛であるとか、そういう機械を主体にしたシステムを扱うものでなく、社会的、経済的な問題に非常に
関係するものでございまして、第一番に、その分析のために役に立つようなデータを体系的にそろえるということは非常にむずかしい。それから第二番目に、いろいろな社会的な各種のメカニズムであるとか、それと、たとえば公害のような場合でありますと、気象であるとか空気、水等の自然科学的な現象、こういうものを全部一体にいたしましてシステム的に分析するということは、方法論的に非常にむずかしいわけでございます。それでわれわれといたしましては、その中で一番取りつきやすいものからやって
研究の
実績をあげるということをねらいにいたしてやっておりますので、われわれといたしましては、今後、今年ないし明年はこの調子で実際に
研究を進めるということを目標にしておりますが、将来これを
政府の仕事の中で全部に生かしていくためには、やはり
各省なり各地方の実際行政を担当される部局と、それから民間にも最近多数出てきておりますが、多くの
研究所、そういうものとの連携のもとにこの種のものを実用に生かしていくということがねらいにたるかと思います。
われわれのこれまでやりましたところでは、実際に全面的にこの手法を行財政の中に取り入れていくというのには、まだ
相当時日がかかるのではないかという気がいたしておりますが、現在のところまでは大体そういうようなところであります。