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1971-02-12 第65回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十二日(金曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 菅波  茂君    理事 高橋清一郎君 理事 高田 富之君    理事 浅井 美幸君 理事 吉田 賢一君       笠岡  喬君    中村 弘海君       綿貫 民輔君    北山 愛郎君       鳥居 一雄君    瀬長亀次郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         内閣総理大臣官         房会計課長   川田 陽吉君         内閣総理大臣官         房広報室長   松本 芳晴君         内閣総理大臣官         房管理課長   吉岡 邦夫君         総理府賞勲局長 吉原 一眞君         青少年対策本部         次長      清水 成之君         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁長官官房         会計課長    丸山  昂君         行政管理政務次         官       黒木 利克君         行政管理庁長官         官房審議官   浅古  迪君         行政管理庁長官         官房会計課長  増淵 亮夫君         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         北海道開発政務         次官      菅野 儀作君         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁長官         官房会計課長  岩田 幸基君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         科学技術政務次         官       藤本 孝雄君         科学技術庁長官         官房会計課長  野崎 博之君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         科学技術庁原子         力局長     梅澤 邦臣君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      遠藤 寛二君         経済企画庁経済         研究所主任研究         官       小金 芳弘君         水産庁調査研究         部長      松下 友成君         会計検査院事務         総局第一局長  中村 祐三君         会計検査院事務         総局第二局長  鎌田 英夫君         会計検査院事務         総局第三局長  桜木 拳一君         北海道東北開発         公庫総裁    熊本 政晴君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 二月九日  昭和四十五年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その一)  昭和四十五年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その一)  昭和四十五年度特別会計予算総則  第十一条に基づく経費増額調書  及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求  (その一)           めるの件)  昭和四十五年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その一) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十三年度政府関係機関決算書  昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十三年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管防衛庁を除く)及び北海道東北  開発公庫〕      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、防衛庁を除く総理府所管及び北海道東北開発公庫について審査を行ないます。  これより順次概要説明を求めます。  まず、総理府本関係について概要説明を求めます。湊総理府総務副長官。
  3. 湊徹郎

    湊政府委員 昭和四十三年度における総理府所管歳出決算につきまして、その概要の御説明申し上げます。  総理府所管昭和四十三年度歳出予算現額は八千八百十五億二千三百六十七万円余でありまして、支出済み歳出額は八千六百九十四億七百十六万円余であります。この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、百二十一億一千六百五十一万円余の差額を生じます。  右差額のうち、翌年度へ繰り越した額は九十七億二千二百七十六万円余であり、不用となった額は二十三億九千三百七十四万円余であります。  右の総理府所管歳出決算は、総理本府のほかに、公正取引委員会土地調整委員会首都圏整備委員会の三つの委員会と、宮内庁、警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁の七庁の外局に関するものでありますが、警察庁行政管理庁北海道開発庁防衛庁経済企画庁及び科学技術庁につきましては、各担当の大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局につき申し述べますと、歳出予算額は二千五百五十三億三千八百四十二万円余でありまして、支出済み歳出額は二千五百十五億八百七十七万円余であります。この支出済み歳出額予算現額に比べますと、三十八億二千九百六十四万円余の差額を生じます。  右差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二十三億七千三百九十二万円余であり、不用となった額は十四億五千五百七十二万円余であります。  以上申し上げました経費のうち大部分は恩給費でありますので、恩給関係経費についてさらに御説明いたしますと、その総額は、二千二百九十四億八千百六十八万円余であり、そのおもなるものは、文官等に対する恩給費二百八十二億五百十二万円、旧軍人遺族等に対する恩給費二千十二億七千六百五十六万円余でありまして、これに対する支出済み歳出額は、総額二千二百七十億四千九百五十二万円余であります。  このうち、文官等に対する恩給支給における支出済み歳出額は二百八十二億五百五万円でありまして、この経費恩給法等に基づいて、退職した文官等またはその遺族に対し支給する年金及び恩給並びに国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員またはその遺族に対し支給する年金及び一時金に要したものと、旧勲章年金受給者に関する特別措置法に基づいて、旧勲章年金受給者に支給する一時金に要したものであり、また、旧軍人遺族等に対する恩給支給における支出済み歳出額は一千九百八十八億四千四百四十七万円余でありまして、この経費恩給法等に基づいて、旧軍人またはその遺族等に対し支給する恩給に要したものであります。  次に、翌年度繰り越し額は、恩給費及び沖繩援助等に必要な経費における二十三億七千三百九十二万円余でありまして、これは旧軍人遺族等恩給軍歴調査確認不測の日数を要したこと等のためであり、また、沖繩に対する国土保全及び産業開発社会福祉及び医療、文教関係等財政援助事業において、援助計画調整並びに執行着手までに相当の期間を必要としたこと、また、事業の完成までに天候不順及び用地確保の困難から相当工期を要したこと等のため年度内支出を終わらなかったものであります。  また、不用額を生じましたおもなるものは、公務扶助料等支給実績予定を下回ったので、旧軍人遺族等恩給費を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、警察庁について概要説明を求めます。後藤田警察庁長官
  5. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 昭和四十三年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十三年度歳出予算現額は三百五十二億九千七百七十万円でございまして、支出済み歳出額は三百五十二億六千九百三十万円でございます。  この差額二千八百四十万円のうち、翌年度へ繰り越しました額は二千三百四十三万円でございまして、これは警察署庁舎等新築工事不測工期を要したこと等により年度内支出を終わらなかったものでございます。  また、不用となった額は四百九十七万円でありまして、これは職員俸給等人件費を要することが少なかったためでございます。  次に、支出済み歳出額のおもなる費途についてその大略を御説明申し上げますと、第一に、警察庁経費として二百三十二億五千六百五十万円を支出いたしました。これは警察庁及び地方機関自体経費のほか、都道府県警察に要する経費のうち、警察法規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。  第二に、科学警察研究所経費として一億八千九百二十一万円を支出いたしました。これは警察庁付属機関である科学警察研究所における科学捜査、防犯及び交通についての研究調査等のための経費として支出したものでございます。  第三に、皇宮警察本部経費として九億三千六百七十一万円を支出いたしました。これは警察庁付属機関である皇宮警察職員の給与その他皇居の警備、行幸啓警衛等のための経費として支出したものであります。  第四に、警察施設整備経費として三十九億四千七百五十八万円を支出いたしました。これは警察庁庁舎等施設整備並びに都道府県警察施設整備に要する経費の一部を補助する経費として支出いたしたものであります。  第五に、都道府県警察費補助として六十九億二千四百十三万円を支出いたしました。これは警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出いたしたものであります。以上、警察庁関係経費決算について御説明を申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、行政管理庁について概要説明を求めます。黒木行政管理政務次官
  7. 黒木利克

    黒木政府委員 昭和四十三年度における行政管理庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は四十三億八千七十一万円余でありまして、支出済み歳出額は四十三億七千四百十四万円余、不用額は六百五十六万円余であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額四十一億三千四百六十三万円余、予備費使用額二億九百十万円余、総理本府から移用を受けた額二千九百四十七万円、日本学術会議から移用を受けた額七百五十万円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、人件費二十億七千四百四十六万円余、事務費二億九千二百十七万円余、統計調査事務地方公共団体委託費二十億七百五十万円余であります。  不用額を生じましたおもな理由は、職員に欠員があったので職員俸給を要することが少なかった等のためであります。  以上、昭和四十三年度行政管理庁関係決算につきましてその概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  8. 濱野清吾

  9. 菅野儀作

    菅野政府委員 昭和四十三年度北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁に計上されている予算は、治山治水対策道路整備港湾整備農業基盤整備等北海道開発に必要な事業費のほか、これらの事業実施するために必要な工事諸費及び付帯事務費並び開発計画調査に必要な開発計画費及び一般行政に必要な経費であります。  昭和四十三年度の当初歳出予算額は千三百三十六億五千百八十一万円余でありましたが、これに、予備費使用額六億七千三百四万円余、予算補正修正減少額百五万円余、移しかえ増加額三百八万円余、移しかえ減少額四百十八億九千六百万円余、前年度繰り越し額二十億六千二百六十三万円余を増減しますと、昭和四十三年度歳出予算現額は九百四十四億九千三百五十三万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支持済み歳出額は九百四十四億八千九百四十九万円余でありまして、その差額四百三万円余は不用額であります。  北海道開発庁予算のうち、主要なものは北海道開発計画に伴う開発事業費でありますが、開発の総合的かつ効果的な推進を期するため、その予算を一括して当庁に計上し、使用にあたっては、関係各省所管一般会計移しかえまたは特別会計繰り入れ措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については、道、市町村等実施に当たっているものでありまして、各省所管別移しかえ及び繰り入れ状況を申し上げますと、移しかえた額は、厚生省所管へ六百十八万円、農林省所管へ三百五十二億八千三百九十万円余、運輸省所管へ七億七千二百三十万円、建設省所管へ五十八億三千三百六十一万円余、合計四百十八億九千六百万円余であります。また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、建設省所管治水特別会計へ百六十四億九千百四十四万円余、建設省所管道路整備特別会計へ五百五十七億三千七十九万円余、農林省所管国有林野事業特別会計へ十八億七千八百四十六万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ六十九億三千百六十万円余、合計八百十億三千二百三十万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発事業工事諸費で九十九億五千四十一万円余、北海道開発事業付帯事務費で二億九千五百四十一万円余、北海道開発計画費で一億三千六百六十一万円余、北海道開発庁で三十億七千百六十五万円余、国立機関原子力試験研究費で二百九十八万円余、南極地域観測事業費で十万円余であります。  最後に、不用額を生じましたおもな理由は、北海道開発事業工事諸費において、金山ダム建設費の精算を行なった結果、受益者負担金にかかる還付金が当初予定より少なかったこと等のためであります。  以上、昭和四十三年度北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、科学技術庁についてその概要説明を求めます。藤本科学技術政務次官
  11. 藤本孝雄

    藤本政府委員 科学技術庁昭和四十三年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、歳出予算現額は三百十七億一千百七十五万円余でありまして、これに対する支出済み歳出額は三百億一千七百六十四万円余、翌年度繰り越し額は十六億四千七十八万円余、不用額は五千三百三十二万円余、となっております。  次に、支出済み歳出額のおもなる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして百九十九億九千二百七十七万円余を支出いたしました。これは日本原子力研究所における材料試験炉等研究施設整備食品照射試験等各種原子力関連研究及び各種原子炉の運転、日本原子力船開発事業団における原子力第一船「むつ」の建造及び運航に必要な陸上付帯施設整備、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉開発ウラン資源の採鉱、核燃料開発並びに使用済み核燃料処理施設の設計、放射線医学総合研究所における放射線の医学的利用に関する調査研究及び民間企業等が行ないます原子力関連研究に対する助成費など原子力平和利用促進をはかるために支出したものであります。  第二に、試験研究機関経費といたしまして五十一億五千四百二十三万円余を支出いたしました。これは当庁付属試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所における垂直・短距離離着陸機など航空機に関する試験研究及びロケットに関する試験研究並びにこれらに関連する研究施設整備金属材料技術研究所における連続製鋼技術研究及び材料試験等金属材料品質向上に関する試験研究並びにこれらに関連する研究施設整備国立防災科学技術センターにおける大型耐震実験施設整備及び洪水流出機構研究等防災科学技術に関する試験研究宇宙開発推進本部におけるロケット及び人工衛星に関する研究開発並びに種子島におけるロケット打ち上げ施設等整備無機材質研究所における無機材質の創製に関する研究及びこれに関連する研究設備整備、さらに、資源調査所における資源総合的利用に関する基礎的調査等のため必要な経費として支出したものであります。  第三に、科学技術試験研究費補助金等といたしまして、日本科学技術情報センター事業を行ないますため必要な補助金発明奨励のための発明実施化試験費補助金資源総合的利用方策実証調査を行ないますための委託費等のほか、種子島周辺におけるロケット打ち上げを円滑に行ないますための種子島周辺漁業対策事業費補助金の交付をいたしますため七億九千三十四万円余を支出いたしました。  第四に、重要総合研究等推進をはかるための特別研究促進調整費国立試験研究機関研究公務員等資質向上をはかるために行なう内外への留学研究に必要な経費日本科学技術情報センター、理化学研究所及び新技術開発事業団事業を行ないますため必要な資金に充てるための政府出資金のほか、科学技術庁一般行政費等として四十億八千二十八万円余を支出いたしました。  以上、簡単でありますが、昭和四十三年度決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、会計検査院当局から順次検査概要説明を求めます。  まず、中村会計検査院第一局長
  13. 中村祐三

    中村会計検査院説明員 昭和四十三年度総理府本府、行政管理庁科学技術庁決算検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  14. 濱野清吾

  15. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十三年度警察庁検査につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  16. 濱野清吾

  17. 桜木拳一

    桜木会計検査院説明員 昭和四十三年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  18. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、経済企画庁について概要説明を求めます。山口経済企画政務次官
  19. 山口シヅエ

    山口(シ)政府委員 昭和四十三年度における経済企画庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  経済企画庁歳出予算現額は二百二十四億九千六百八十二万円でありまして、支出済み歳出額は二百十億一千百十六万円余であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、十四億八千五百六十五万円余の差額を生じますが、これは、翌年度へ繰り越した額十一億二百三十三万円と、不用となった額三億八千三百三十二万円余であります。  歳出予算現額につきましては、当初予算額は三百三十五億百八十三万円余でありますが、予算補正修正減少額一千四百四十一万円余と、関係各省所管移しかえた額百三十三億二千七百二十六万円余を差し引き、さらに前年度より繰り越した額二十三億七百二万円余と、予備費使用額二千九百六十四万円を加えまして、二百二十四億九千六百八十二万円が歳出予算現額となっております。  支出済み歳出額のおもな内訳は、経済企画庁一般経費十一億三千百八万円余、水資源開発事業費六十三億六千百二十六万円余、国土総合開発事業調整費四十五億六千五百七十万円余、離島振興対策事業費七十一億九百十四万円余、国土調査費十三億八千百五十五万円余であります。  次に、翌年度へ繰り越した額は、水資源開発事業費十億九千四百四十九万円余、振興山村開発総合特別事業費七百八十三万円余でありまして、これはいずれも財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰り越しのものであります。  不用額は三億八千三百三十二万円余でありまして、そのおもなものは、水資源開発事業において事業計画変更等により治水特別会計繰り入れを要することが少なかったためであります。  以上、昭和四十三年度経済企画庁歳出決算概要を御説明いたしました。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。ありがとうございました。
  20. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、会計検査院当局から監査の概要説明を求めます。中村第一局長
  21. 中村祐三

    中村会計検査院説明員 昭和四十三年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  22. 濱野清吾

  23. 熊本政晴

    熊本説明員 北海道東北開発公庫昭和四十三年度決算につきまして概要を御説明申し上げます。  当公庫昭和四十三年度における事業計画は、政府出資金五億円、政府借入金二十億円、債券発行二百五十五億円及び自己資金百五十八億円を加えた四百三十八億円を原資として、出資金五億円及び貸し付け金四百三十三億円を出融資する予定でありましたが、出融資実績は、出資金は三億一千万円、融資金は四百三十四億九千万円、計四百三十八億円となりました。  なお、原資調達のうち、政府出資金五億円、政府借入金二十億円は予定どおり実行されました。  この年度決算は、貸し付け金利息収入等益金総額が百四十億一千三百二十七万円となり、これに対し、支払い利息事務費等損金総額は百二十五億六千三百九十万円で、差し引き、諸償却引き当て金繰り入れ前で十四億四千九百三十七万円の利益を生じました。  この引き当て金繰り入れ利益から固定資産減価償却引き当て金へ二千二百十六万円を繰り入れた後、残額十四億二千七百二十一万円を全額滞り貸し償却引き当て金繰り入れました。したがって、この年度は、国庫に納付すべき純利益金は発生しませんでした。  かくいたしまして、昭和四十三年度末における資産、負債の状況は、貸し付け金残高千五百八十一億三千百六十七万円、出資金十二億二千五百五十万円となり、これに対しまして、政府出資金六十五億円、政府借入金残高百四十一億二千七百三十八万円、債券発行残高千二百九十六億三千万円、滞り貸し償却引き当て金残高七十七億二千七百十三万円となりました。  以上、昭和四十三年度北海道東北開発公庫決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  24. 濱野清吾

    濱野委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  25. 濱野清吾

    濱野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北山君。
  26. 北山愛郎

    北山委員 私は、時間の関係もありますから、二点にしぼって御質問をいたします。一つ警察活動の諸経費、もう一つ行政管理庁中心としてやっております国民背番号制度の問題であります。  順序としまして、まず行政管理庁にお尋ねをしますが、行政管理庁中心として国民背番号制度、これは正式に言えば行政事務処理統一個人コード制度ということの実施の方針をきめて着々と準備をしておる、こういうことでありまして、しかもこれは四十三年度当時から始まっておるようであります。ところが、何しろ国民に全部番号をつけられるということでございますから、これは心理的にも実際問題としても、国民にとりましては大きな関心事だと思うのであります。こういう制度をやる場合には、やはり国民の納得を得なければならぬと思うのです。ところが、伝、えるところでは、政府としてはこれを極秘に進めておる、こういうことでございます。  そこで私は、一体その内容はどうなのか、どのように進んでおるのか、これからどうするのか、こういうことについて行政管理庁がこの席で明らかにしていただきたい、まずこの点をお尋ねします。
  27. 黒木利克

    黒木政府委員 いわゆる国民背番号制度の問題につきましては、行政管理局でいろいろ検討いたしておりますので、担当の管理局長から説明をさせます。
  28. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの国民背番号制度につきましては、実は私どもは背番号という名前で呼んでおりませんで、国民個人コード統一の問題というように申しております。  この問題につきましては、昭和四十三年の八月に電子計算機の政府行政機関内における利活用につきましての促進、コード化、そういうことにつきまして閣議決定がございまして、その中でできるだけ電子計算機を有機的合理的に政府部内で活用していこうという趣旨に基づきまして、この共同利用の問題でございますとか、あるいは電子計算機に入れます際のコードの標準化、統一の問題、これはたとえば産業分類あるいは職業分類あるいは企業分類、地域分類、地方公共団体あるいは市町村の分類、そういうコードの統一化を取り上げようということを閣議決定いたしたわけでございます。その中で、その標準コードの統一化の一つとして、国民の個人の番号の統一ということが  一つの検討項目として取り上げられたわけでございまして、その後、この方針に基づきまして現在検討を進めている段階でございます。  その内容と申しますと、これは現在たとえば免許証でございますとか、あるいは健康保険でございますとか、あるいは失業保険でございますとか、いろいろと行政運営をいたしていきます上に、その行政の対象になります国民に番号が付されているわけでございます。現在もすでに十何種類、あるいはもっと多くの種類の番号がそれぞれ個人に付せられているわけでございますが、これを統一的な一つの番号に統一するということによりまして、行政上の手間が非常に省けるということから、そういうことを考えているわけでございます。先ほど申しました昭和四十三年の八月の閣議決定に基づきまして、政府部内で連絡会議を随時開催してその閣議決定の趣旨の徹底をはかるようにということでございまして、その後関係の七省庁、あるいはさらに若干範囲も広めまして、十二の省庁の事務当局者の集まりでこれら各種の問題につきまして検討を進めている次第でございます。
  29. 北山愛郎

    北山委員 私のお尋ねしたのは、こういういわゆる個人のコードですね。いろいろいまの保険の問題もあるでしょうし、学歴の問題、職業の問題、いろいろあるだろうと思うのです、あるいは税金を納めたとか納めないとか、あるいはどういう犯罪を犯したとか、そういう個人のいろいろなデータが一つのコードにまとめられる、そうしてどっかでしまっておる、こういうことになりますと、やはり国民としては大きな関係を持たざるを得ない。プライバシーの問題でもある。そういう制度をやるときに、やはり国民が納得する必要がある。PRをされましたか。何か、新聞の伝えるところでは、これは極秘に進めているのだ、こういうふうになっておる。しかも、このコードをつくりますと、最終的には個人個人に身分証明書を持たせなければ意味がないのだ、こういうふうな話ですが、こういう点をPRされてきたのか、あるいはこれからするのか。しかも、もうすでに四十六年度では五つの都市にこれを実施するのだ、四十七年度には全国民のコードをつくるのだ、こういうふうに伝えられておるんです。どうなんですか。その点は。
  30. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのPRの点でございますが、現在私どもの検討の結果こういうことにするということで、十分に御説明申し上げるほどの進捗状況を示しておりません。  ただ、この種の問題につきましては、十分に皆さま方の御納得をいただくように、機会をとらえて今後御説明申し上げていくべきだということは十分に考えております。ただいまのお話のいろいろな資料が一つのカードに入って、それでそれがすぐ出てくるということのお話がございましたが、私どもはそういうことを現在考えてはおりません。現在各省庁が個人につきまして使っておりますコードの番号を統一するということでございまして、そういういまお話のございました職業でございますとか、そういう個人の非常にこまかな、あるいはプライバシーに関するような情報も一つの場所に集めて、そこで全部格納しておいて、そこのボタンを一つ押せば出てくるというようなことを考えておるわけではございません。たとえば市町村で住民の住居の移動をする、一市町村から一市町村に移るという場合などには、コードが一貫番号で統一されておりますと非常に処理が簡単だ、あるいは失業保険と厚生年金保険の重複支給の問題のチェックの際などにも、それを同じカードに入れておきませんでも、番号が同じになっておりますと照合がしやすいということ、あるいは市町村役場あるいは区役所などで住民に関するいろいろな受付その他をしました際に、その整理が、番号が統一されていると非常に便利であるという意味で、行政の能率化、合理化という意味からこれを考えておりまして、あらゆるいろいろなプライバシーにわたるような資料を一カ所に集めて一つのカードに入れておいて、それをすぐ取り出せるようにするということは全く考えていないわけでございます。  また、そういう秘密に関する事項につきましては、現在も各省庁いろいろと資料があるわけでございますが、これもそれぞれ公務員法あるいは特別の法規の規定によりまして秘密が守られているわけでございまして、そういう統一番号ができました際にも、秘密を守るという義務については若干も変わるわけではございません。  また、最後にお話しがございました国民の身分証明書的なものでございますが、そういうものがなければ意味がないということは全くございませんで、現在私どもはそういうものをつくるということにつきましては考えておりません。
  31. 北山愛郎

    北山委員 しかし、いますでに書類ごとに使われている、これを統一するということになれば、やはり一つのカードにいろいろな要素を統一して、そして一つの電子計算機センターにこれを貯蔵して利用する、こういう目的に出るんじゃないですか。  それからもう一つお伺いしたいのは、コードの構成の要素ですね。一体どういうことをそのコードの中に番号として入れていくのか。たとえば、当初言いましたのですが、犯罪歴であるとか、あるいは納税のデータとか、あるいは失業保険、労災保険等のデータ、それから学歴とか、宗教、信教の資料、あるいは郵便貯金とか、そういうふうな個々の問題ですね、どういうデータを統一しようとしているのですか。
  32. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  どういう資料を入れるかという御質問でございますが、これにつきましては、現在そういうコードを付しております資料につきましてこの番号の統一をはかるという意味でございまして、新しくこの統一番号を付したもののために資料を集めるとか整理するということではございません。現在使われております番号の統一をはかるということでございます。ということでございますので、必然的に、ただいま前段にお話がございましたように、たとえば信仰の問題でございますとか、そういうものにつきましての資料を入れるというようなことを現在全く考えているわけではございませんし、そういう国民の個人に関するいろいろなものを全部一つにまとめたデータバンク的なものをつくるということを考えているわけではございません。  先ほど申しましたように、たとえば市町村におきましていろいろと資料を整理する際に、健康保険の番号あるいは自動車の免許証の番号、そういうものが統一されておりますと、地方公共団体側で非常に整理しやすいとか、あるいは、必ずしも一つのデータバンクに入れてありませんでも、番号が統一されて同じ番号でございますと、これは失業保険と厚生年金の重複のチェックがしやすいとか、そういう行政運営上の便宜を考えている次第でございます。
  33. 北山愛郎

    北山委員 よくわからないのですが、それでは四十六年度に五つの都市で実行する、そういうことはまだ計画されていないのですか。
  34. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、昭和四十六年度予算で、この国民統一コードの問題につきましてテスト調査をするというようなことで、一部の市町村について試験的な調査をしてみる、試験的な付番をしてみるということは考えておりますが、それがすでにそこから実施が始まるということではございません。また、四十七年度からということが先ほどお話の中にございましたが、とてもそういうふうに簡単にできるものだとは思っておりません。もっと時間がかかるものだというふうに思っております。  また、外国の例を見ましても、北欧四カ国はすでにもうこれを実施いたしております。イギリス、フランス、ドイツにおきましては現在検討中でございまして、ドイツにおきましては、たしか明年度か明後年度からこれが実施に移るということは聞いております。  いずれにいたしましても、慎重に検討、準備を要する問題だと思いますし、諸外国の先例などをよく調べまして検討を進めていきたいというふうに思っております。
  35. 北山愛郎

    北山委員 私の聞いているのは、五つの都市で実施すると伝えられているのですね。どことどこで、どういう調査をするのか。
  36. 河合三良

    ○河合政府委員 お答え申し上げます。  どの都市ということもきまっておりませんし、一応そういうことでテスト的な調査をするということにはいたしておりますが、五つということはまだ必ずしもきまっているわけでもございません。それゆえ、まだどの都市かということももちろんきまっておりませんし、番号のつけ方につきましても、全くの一貫番号という方式でございますとか、あるいは地域を含めた方式でございますとか、あるいは生年月日を含めた方式でございますとか、各国の例を見ましてもいろいろな方法をとっておりまして、これにつきましてもまだはっきりきまっておりませんので、いずれにいたしましても、まだ検討中の段階とお答えすべきかと思っております。
  37. 濱野清吾

    濱野委員長 アメリカのロスアンゼルスでこれを全部やっておるはずだ。プライバシーの問題も相当入っておる。ほんとうのことを言ったらどうだ。
  38. 河合三良

    ○河合政府委員 お答えを申し上げます。  アメリカでは、いろいろな社会保険番号の統一はいたしております。また、現在すでに実施いたしておりますのは北欧四カ国でございまして、先ほど申しましたように、英、独、仏におきましては現在この実施を検討中でございます。
  39. 濱野清吾

    濱野委員長 もっと勉強したほうがいいよ。犯罪捜査にまで利用しているよ。
  40. 北山愛郎

    北山委員 まだ調査中ということで、どうも内容がわからない。しかしいろいろなことが伝えられておるのです。したがって、言うなれば、国民が納得しなければいけない問題を、そういうふうに内容を具体的に明らかにしないで進められるところに非常に心配があるのです。しかも統一番号にするということは、私なら私が二万一千番で、その番号ですべてのデータが出てくるというふうなことにするのでしょう。そうすると、私が借金をして払えなかったとか、何の病気にかかったとか、どういう犯罪を犯したとかいうことが私の番号のカードに入ってくる、そういうことなんでしょう。
  41. 河合三良

    ○河合政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在いろいろな資料を行政府がそれぞれ持っておりますが、その資料の整理番号を統一するという意味でございまして、それを一カ所に格納するとか、一つのカードに打ち込んですぐ出しやすいようにするということを考えているわけではございません。
  42. 北山愛郎

    北山委員 いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、時間もありませんから。  そこで、一体国民のほうは何か便利になるのですか。私は、行政管理庁というのは行政能率の問題を考えると思うのですが、役所のほうの仕事がやりやすい、そういう管理サイドのほうからの能率化を考えておる。そのためにサービスが向上するわけじゃないし、国民のほうとしては、行政機関に対して、現実の行政事務に対して文句を言いたいことがいろいろあるのです。むしろ私に言わせれば、国民からすれば行政機構に番号をつけてもらいたいのだ。一体こういう問題をどこでどういうふうに処理しているのか。どこへ行ってもすぐには処理がつかない。手続をするにしても何にしても、あっちへ行けこっちへ行けといって、登記一つするんだってたいへんなことですよ。たとえば印鑑証明をとる。そうすると印鑑証明には保証人が要るとかなんとかかんとか、とてもめんどうくさい手続がある。ですから、役所の事務、特に税金の事務にしても何にしても、いまの役所に整理番号をつけてもらいたいくらいなんです、国民のほうからすれば。国民のほうに背番号をつけるなんて、とんでもない話ですよ。それは行政サイドからの能率化なんですね。こういうことじゃなくて、行政管理庁はもう少し国民の立場に立って、サービス面でもっと能率化する、そういう角度から、いわゆる電子計算機でも何でもいいが、そういうことを考えてもらいたいと思うのです。  それからもう一つは、いま言ったように、どうしてもこの制度がだんだん進んでいくと、その番号を含むいろいろな個人的な要素というものがどこかに貯蔵される。もちろんそれを秘密にするとはいっているでしょう。しかし、どこかにあって、これをどのように利用されるかわからないというふうな不安を持つのは当然なんです。  そこで私は、こういう制度をやる場合には、国民の納得を得ると同時に、やはりこれは立法化が必要じゃないかと思うのです。行政事務の能率化を行政内部だけで相談をして進めるなんというのは、これはかってな話なんです。もしやるとすれば法律が必要ですよ。どうなんですか、そういうことを考えているのですか。
  43. 黒木利克

    黒木政府委員 お答えいたします。  いわゆる国民背番号制度というものを政府実施するということをきめたわけではないのでございます。行政管理庁で、各官庁が電子計算機を採用して行政事務の能率化、合理化をはかろうというような動きがありますから、私のほうに情報管理の担当官を置きまして、電子計算機を採用しております各省庁の担当官をしょっちゅう集めまして、一体どうしたら行政に電子計算機をうまく活用できるかというようなことを検討いたしておるのでございますが、その一環として、従来すでに行なわれておるコードを、できれば統一して電子計算機にかけられるようにしたらということで実は勉強中ということでございます。新聞等の書きようで少し誤解も発生しておるのではないかと思いますが、ヨーロッパ各国でやっておるようなアイデンティフィケーション・コードと申しますか、こういうことは全然考えていないし、また研究もしていないのでございまして、先ほど管理局長から御説明しましたように、自動車の免許番号、厚生年金の番号あるいは失業保険の番号、こういうものをできれば統一しておいたほうが事務処理の面からも、あるいはこういう給付行政がだんだん発達をいたしますと、国民の側からもいろいろな手続をしなくらやならぬ場合がございますが、そういう場合も簡素にあるいは簡単にいくのではなかろうか、国民の側にも利便があるのではなかろうかということで勉強中ということでございます。確かに、おっしゃるように、個人のプライバシーの問題という重大な問題がございますし、それを侵害するおそれがある場合には立法措置が憲法上も要求されておりますから、もちろんそういう立法的手続をとらなくちゃなりませんが、いま勉強しておるのはそこまでは考えていないのでございまして、すでに実施されておるいろいろな給付行政に伴う番号、それが行政機関の側からも国民の側からも、簡素に、簡単にあるいは迅速に行なわれるようにするにはどうしたらいいかということの勉強中、こういうことで御了解を賜わればしあわせでございます。
  44. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、伝、えられておるような、四十六年度に五つの都市をモデルにして調査をするというような計画もない。それから、いま勉強中だということだが、勉強中ではあるけれども、四十六年度は七千五百万円ですか、昨年は六千万円金を使っているのですよ。  実は、ここで内容を十分明らかにすることはできませんでしたけれども、この種の問題は、先ほども申したように、国民が非常に関心を持つ問題である。しかも、お話を聞いても、いま使っておるコードをその目的のために使っているなら別に統一する必要はないのです。よそのカード、よその番号をほかの目的に利用しようと思うから共通の統一のコードが必要だということになってくるのですよ。そこに問題が発生してくるのであって、十分なPRと同時に、もしこういうことをやるという場合においては、必ず法律をつくってやるべきものだということを特に注意をいたしておきます。  時間がありませんから、次に警察庁にお尋ねをいたしますが、警察庁警察活動経費というのは、大体都道府県の自治体警察というのが警察運営の主体だと思うのです。国家公安委員会なりあるいは警察庁というのは、ただ警察活動調整を一はかるとか、あるいは特殊な場合における警察運営を管理するとか、そういう場合でありますが、原則としては、都道府県警察が自治体警察として警察運営をしている。ところが、その都道府県警察経費の中で直接に国費支弁のものがあるわけです。警察法第三十七条第一項でもって、このいただいた資料を見ますと、四十三年度では七十三億、それから四十四年度では八十六億というものを都道府県警察の活動費として国が直接に金を出している。まことにこれは変則なことであります。そこで、これは何年か前でありますけれども、このような変則なことはおかしいじゃないか。自治体の仕事であるのにその費用の一部を国が直接払っている。しかし、同じ警察活動経費あるいは教育の経費あるいは警備の経費について、全部国費でその分を支弁するわけじゃないでしょう。必ずそれと同じ仕事に都道府県の経費も加わるわけですね。  そこで私のお尋ねしたいのは、この経費については、こういう変則なことをやめて、いわゆる都道府県警察に対する補助金にしたほうがよろしい。このことは、よほど前の地方行政委員会でたしか決議になっておるのです。その点について、こういう制度を変える考え方はないのか、どうしてこんな変則な制度を続けるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  45. 富田朝彦

    ○富田(朝)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、警察が自治体警察といたしまして都道府県警察が原則であるという御指摘は、私はそのとおりに存じております。ただ、御案内のように、治安は、一つの県で事態が起こりましてそこで終結をするという場合もございますが、一つの府県内に起こりましたいろいろな事態というものは、やはり国全体に関連のある、あるいは隣の県あるいはさらに広い県というものに関係のあるような事態もございますので、そういうものを総括的に警察と、う立場でとらえましたときに、国と地方自治体である府県との調整をとって、そこに均衡のとれた警察運営というものをいたしたいというのが現在の警察法のたてまえかと存じております。その意味におきまして、ただいま御指摘がございましたような警察法三十七条で、都道府県警察に要する経費を国と都道府県がそれぞれ分担をいたしておる、かようなたてまえになっておるわけでございます。  そのような観点から、一例を申し上げますと、たとえば犯罪が広域にわたりました場合、最近はそうした例も多いのでございますが、そうした場合に、一都道府県の地方費だけでこれを処理するよりは、やはり広域にわたりましたような場合は国が何がしのめんどうを見る、かようなたてまえのほうが、府県財政と国の財政の調整の上で妥当ではなかろうか、こういうたてまえから現行の制度をとっておるわけでございます。その点を御了承いただきたいと思います。
  46. 北山愛郎

    北山委員 国費を出すことはいいのです。ただ問題は、三十七条でもいわゆる一部補助という制度があるのです。国が補助すればいいのです。補助と直接支弁と違うのは、国の金として都道府県警察職員が国の金を出す、そしてこれは都道府県の予算をくぐらない、こんな必要はないんじゃないか。私は、いまのような警察行政の調整のために実績によって補助してもよろしいし、とにかく補助をして、その予算が自治体の予算をくぐっていく、これで何ら差しつかえないと思うのです。それを、直接に一部の金を各都道府県に少しずつ分けてやる、そして直接に国費として支弁するという変則な形、この国庫支弁金という制度はほかにあまりないと思うのです。ほとんどこれは例外ですね。こういう制度をなぜ設ける必要があるのか。補助金でいいじゃないか。補助金制度が三十七条第三項にあるんですよね。補助金制度の中にぶち込んでいけば、国から出した金が都道府県の予算をくぐって、正規に都道府県の負相する分と一緒になって支出をされるのですから、それは都道府県警察の運営を知事の所轄のもとに都道府県の公安委員会が管理をする、それにはまるのじゃないですか。公安委員会も県のほうも知らないような金が、国のほうから警視庁なりどこかにいって払われているのです。そこに問題があるのだ。どうしてこれを補助金に振りかえることができないのですか。
  47. 富田朝彦

    ○富田(朝)政府委員 ただいまの先生の御指摘も私は一つの御意見かと存じますが、やはり、先ほど申し上げましたように、警察の運営という面から見ましたときに、国全体という立場でそれぞれの府県の水準を維持するというような必要もございますと思います。そういう面から、国庫支弁金というようなものを、警察法の政令第二条によりましていろいろと支弁すべき項目を限定をいたしまして処理をいたしておるわけでございます。  なお、やはり補助金でございますと、補助裏とかいろいろな問題も出てまいりますので、事柄の性質によりましては、国がみずからそれを援助するというような意味で、地方財政の負担を少しでも減少したい。と同時に、それは一府県のいわゆる犯罪なり、そういう警察事案としてはより国家的な性格を持っておったり、あるいは他府県との関係が非常に強かったり、こういうことで、一府県が単独で負担することはいかがであろうかというような経費もございますので、そういうものをピックアップをいたしまして、法三十七条並びに令第二条によりましてそれを規定をいたしまして、それにのっとってやっておるような次第でございます。
  48. 北山愛郎

    北山委員 まあどんなに言われましても、それは補助金制度で間に合うのですよ。やれるんですよ。それをわざわざ国費として、それはどんなに広域的な犯罪であろうとも、警察の運営そのものは都道府県内の都道府県警察が処理する内容でしょう。その費用の一部を国が直接国費支弁で払ってやる、こういうことはおかしいじゃないかと言うのです。それをほかの費用、要するに都道府一県が負担する費用があるのですから、それと一緒にして運営するに違いないのですね。それを一緒にして、そして調整する分、足りない分というものを補助としてなぜ団体としての都道府県に渡せないか、私は納得ができないのです。しかし、少なくともどのくらいの金をどの目的に国が支弁しているかということを、都道府県の公安委員会なり、あるいは都道府県という自治体の財政当局が知っていなければならぬわけですね。知らない金が国から出てきて、そして警察本部のほうで適当に使っている、どのくらい国から来ているかわからない、こういうことじゃしょうがないですよ。自治体警察なんですからね。ですから、その通報はやっているのですか。たとえば、何かの警備のときに、国からこれだけの金をやる、そういうことを都道府県の財政当局なり知事のほうに通報しておるのですか。
  49. 富田朝彦

    ○富田(朝)政府委員 お答えいたします。  都道府県警察国庫から支弁を受けまする金につきましては、都道府県の本部長が国の支出官としてこれを扱っておるわけでございますが、当然府県本部長は都道府県公安委員会の管理に服しておるわけでございまして、その立場におきましては、当然公安委員会には十分な御報告をいたしておると思いますし、またその国庫支弁を得まして行なう仕事は、都道府県警察の事務でございます。したがいまして、その総額等につきましては、都道府県の知事部局等と十分な連絡をとっておるものと考えております。
  50. 北山愛郎

    北山委員 考えておりますじゃなくて、そういうふうに制度化しなければならないと思うのです。そうでないと、都道府県の警察、自治体の警察であって、その地区における警察運営というものはやはり一つの自治体の仕事なんですから。もちろん公安委員会というものがあって、知事の所轄のもとに公安委員会が運営の責任に当たるけれども、実際には都道府県の公安委員会というのは、月に一回か二回集まって、そして概略の報告を受ける程度でしょう。その実際の管理をしていないですよ、実態は。実際は本部長がやっている。本部長警察庁と十分連絡をとりながら、そして国から経費が入ってきて、その経費をかってに使っているというようなかっこうだと思うのです。  ですから、私が要望したいのは、警察庁のほうからそういうものを、たとえば警視庁なら警視庁に出す場合においては、公安委員会というよりは、知事部局、財政当局、知事に対して通報すべきものだ、そういう連絡をすべきものだ。自治体警察の金の大半を受け持っておる東京都なら東京都というところに、これだけの金を国庫支弁として出しておりますからということを、そのつどに私は通報すべき義務があると思う。警察庁としてそういう措置をとってもらいたい、これを要望しますが、どうですか。
  51. 富田朝彦

    ○富田(朝)政府委員 お答えいたします。  そのつどに知事部局にそうした御連絡をとるということは、先ほど申し上げましたように、府県本部長支出官としてこれを経理をいたし、また会計検査院の厳重な検査もいただいておるわけでございますので、一々通報ということはいかがかと存じますが、都道府県の予算を編成いたします際には、当然いろいろと知事部局と緊密な折衝を続けておるわけでございますから、そういう過程におきましては、そうした支弁金の総額等につきまして、やはりそこで知事部局との間に話が出るということは当然あることと考えております。
  52. 北山愛郎

    北山委員 ですが、そのことは年度当初から全部計画ができる経費ばかりじゃないですね。ある事件が起こったりすると、そのつどよけい要るということがあるでしょう。ですから私は、やはりたてまえとしてはそのつど正規に通報してもらいたい、これを考えてもらいたいと思うのです。  そしてまた、さかのぼって、いまそういう変則な制度になっていままで続いておりますけれども、私は、これは警察法のほんとうの原則から言うならば、都道府県警察というものは自治体警察である、したがって、たてまえとして、その経費は全部、補助金であろうが何であろうが、とにかく都道府県の予算をくぐってこなければならぬと思う。国が調整財源として交付すべきものは補助金として出すべきである。直接に府県の本部長が国の支出官として別な金を出してやるというようなことは、変則なやり方であって、とるべきじゃない、この趣旨ですから、何年か前の地方行政委員会では、与党の方々ももっともだというので、賛成をして決議になっておるのですよ。そのことを実行されていない。ですから、この制度の改正については政治的な問題もありますから、事務当局の方々に返答を求めてもしようがありませんが、将来の改善について十分考えていただきたい。  以上申し上げて、私の質問を終わります。
  53. 濱野清吾

    濱野委員長 鳥居君。
  54. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 最初に、公害問題について、一例をあげまして伺いたいと思います。  すでに報道されております問題であります。千葉県市川市本行徳の儀兵衛新田と呼ばれる地域でありますけれども、ここ数年来、この埋め立てがどんどん進んでまいりまして、実際には、この埋め立ては行徳の土地改良区の作業として進んできたものでありますけれども、造成されたその土地が、異常な黄色の埋め立て地といわれて報道されているわけでありますが、これについて承知しておりますか。
  55. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 本日先生から御指摘がございますまで、私どものほうは、まことに申しわけございませんが、詳しい事情を承知いたしておりませんでした。
  56. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、さっそく調査ということになるわけですけれども、これがまたきわめてひどい状況であります。私も実際きのう現場を見てまいりまして、問題の——こういう色です。もうまつ黄色になっていまして、あたり一面がちょうど菜の花が咲き誇っているようなきわめて異常な色を呈しております。これを東京大学の農学部の土壌研究室の浅見輝男博士の分析によりますと、この埋め立て地から最高二二八、五〇〇PPMのクロームが検出されております。そのほか五、一〇〇PPMの鉛、一〇一、二〇〇PPMのマンガン、一、二八〇PPMのニッケル、三七二PPMのコバルト、一、五一〇PPMの亜鉛、八七七PPMの銅、こうしたいわゆる重金属に類する、まるで鉱床のようなかっこうのこういう状態が現出しておるわけでありまして、きわめて危険であります。すぐ近く海になっていまして、もともとハス田あるいは水田として利用してきた地域でありますけれども、ともかくこうした造成に関しましては、残土が非常に高いということで、近くにあります日本化学工業、江戸川区小松川にあるそうでありますが、こちらのほうで無料に手に入るからということで、この土地改良区のほうではこの導入をやったということでありますけれども、実際問題として、造成されたあと、ここをもし使うとすれば井戸が危険な状態になっておる。これはただいまの数字でもはっきりしておるとおりです。  この数字については、すでに総理府のほうでも御存じだと思いますけれども、これについてどう考えられますか。
  57. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 先生の御指摘になりましたただいまの数字でございますが、これは全部が水に溶けるものかどうかということはわかりませんけれども、一般的に重金属の有害性という点から見ますと、私ども調査してみなければわかりませんけれども、非常に心配な点がございますので、十分な調査が必要であろうというように考えます。
  58. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 昨日私が見た地域は、およそ五ヘクタール黄色一色であります。そして雨が降るたびに結晶して表面に浮き上がるみたいな状態です。あたりを散策してみますと、小鳥が、スズメとそれからモズでありましたけれども、二羽死んでおりました。直接その原因によるかどうかということは別として、異常な一帯であります。こうした造成が行なわれること自体、大きな問題であります。これを今後どういうふうな調査並びに今後の調整、どういうふうに考えられますか。
  59. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  御指摘のありました地点につきまして、関係の省庁及び県当局等とも連絡をいたしまして、早急に実態の把握をいたしたいと思います。実態の把握をいたしました上で、対処の方法をきめてまいりたいと思っております。
  60. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 私、疑いを持つのです。これは土地改良として造成を始めたところでありまして、直接には畑になる、そういう性格の土地でありますけれども、これは明らかに農作物をつくるための土地とは思えない。いわゆる産業廃棄物を持ってまいりまして、たいへんなこういう数字が出てくるような、そういう土地改良ということでありますし、将来住宅地に使うのか、あるいは工業団地としてそこを造成していこうとするのか、いずれにしてもこれは大きな疑いを持たなければならない現場です。この調査につきましては、さっそく調査の後に委員会のほうに報告をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。その上でもう一度この問題につきましては質疑をしたいと思いますので、その点について伺いたいと思います。
  61. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 先生の仰せのように、至急に調べまして、その結果を得次第、また御検討をいただきたいと思います。
  62. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それでは、公正取引委員会、見えていますね。——きょうは委員長が見えておりますので、管理価格の調査問題につきまして何点か伺いたいと思うのです。  これまで管理価格問題が提起されまして、しばしば問題になってまいりましたけれども、これまでの調査はどんなぐあいで進んでおりますか。調査ばかりやって、ちっとも答えが出てこないように私たちしばしば見受けられるわけですが、この点について。
  63. 谷村裕

    ○谷村政府委員 管理価格につきましては、二つの問題を考えております。  一つは、そもそもそういった問題点はどこにあるのか、管理価格と称せられるような、いわゆる価格メカニズムあるいは競争条件が十分に働かないような実態についてはどういう問題があるかというふうなことを、いろいろな角度から検討いたしておりまして、それにつきましての一応の検討の中間的な報告が、独占禁止懇話会と申します、これはいろいろな方にお集まりいただいておる事実上の会合でございますが、そこから昨年の八月に一つの報告となって出ております。  それから第二は、具体的にそういう競争条件があるいは十分に働いていないのではないかと思われるような業種につきまして、その実態を調べることでございます。これにつきましては、昨年、表に出ましたものでアルミニウム、写真用フィルム、それから合成洗剤、この三つのものがその実態についての調査を表に出したわけでございますが、現在他に四品目ほど調査を続行いたしております。  ただいまの状況はさようなところでございます。
  64. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 調査で実態を浮き彫りにするだけでは消費者は救われない。その調査をもとにして何らかの対策を打てるところまで、実際にはどんどん進まなければならないと思うのです。そうした管理価格の調査体制も問題があるのじゃないかと思うわけですけれども、大体その調査については、どのくらいの期間を必要だと考えているわけですか。
  65. 谷村裕

    ○谷村政府委員 やはりお答え申し上げることは二つになるかと思います。  一つは、具体的にある品目を選定いたしまして、たとえば、私どもはただいまビールを品目として選定いたしております。あるいはまたピアノといったものも品目として選定いたしております。またグルタミン酸ソーダ、これも品目として選んでおりまして、それの価格あるいは流通のそういったいろいろな経済の動きを調査いたしております。これはその一つの品目ごとについてどのくらいの日数がかかるかということになりますけれども、これはやっつけ仕事というわけにまいりませんので、私どもの手元で人を呼び、資料を出してもらい、また現場に行ってヒヤリングをし、というふうなことでやっておりまして、品目等によって違いますけれども、数カ月を要するというふうな状況があると思います。  それから第二には、価格メカニズムなり何なりが十分に働かないようになってきている、いわゆる管理価格的な様相があらわれているのではないかと思われるようなものも、一体おまえらはどのくらいかかって調べるつもりか、こういう全体のお話になるかと思いますが、これにつきましては、どういうものについてどういう角度から見ていけばいいかという問題がございますけれども、私どもの立場は、現在は必ずしも、具体的に個々の価格形成についてそれをチェックしたり、あるいはそれについて注文をつけたりするということではなくて、競争条件維持の立場から、その経済行動と申しますか、企業の動きと申しますか、そういうものを見ているという立場でございまして、しかもそれは、事件として見ているのではなくて、一般調査として見ているわけでございますので、必ずしもすべての問題についてすべてに広くわたって見ることはない、いわば典型的と思われるようなものについて、ある程度実態を把握するに必要なものを選んでやればよろしいのじゃないか、かように考えております。
  66. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 第一回調査、第二回調査とこれまで調査してきていますね。その結果は、答えはどういうふうになっているのですか。
  67. 谷村裕

    ○谷村政府委員 大ざっぱに申しまして、二つの観点があると思います。  一つは、私どものやっております独禁政策あるいは競争条件を維持していくための政策というところから見ました場合に、いわゆる寡占の状態が出てきましたときに、これがどういうふうな企業行動となってあらわれるか。よくいわれますように、たとえば生産者が流通段階までもかなり力を持って支配するような体制というものができていると、かりにいわれておりますけれども、それの実態が、はたして独禁政策の立場から見てどのようなものであるか、またそれがわれわれの現在の法律によって排除することができるのかどうなのか、またさらには、これはよく御承知のように、合併その他によって大きな企業になって市場を支配するような姿ができる場合には、その合併自体について問題になりますけれども、そうでなくて、一生懸命仕事をやり、働いて、そして非常に強大になり市場を支配するようなそういう大企業が出てきたときに、一体それはどうしたらいいかというふうな、そういうあくまで競争政策、価格メカニズムというふうな立場から見たときにどうしたらいいかという問題点が、よく御存じかと思いますが、幾つか指摘されております。それが第一でございます。  それから第二は、やはりいま物価問題が非常にうるさい時期でございますが、外国でも管理価格インフレというふうなことばがいわれておりますけれども、やはり競争条件が欠除してまいりますと、どうしても万事、価格に転嫁しやすいような姿があらわれてまいりまして、そういう点で、たとえば生産性向上というふうなことが行なわれましても、なかなかそれを価格引き下げに回すというふうな外部的な力が、競争の圧力というものがかかってこない、そういう姿が出てまいりまして、それが物価問題に大きな一つの影響力を持っておる、この観点から一体どう見たらいいか、こういう問題が出てまいりまして、そうしてやはりこの問題はその両方の立場から問題を考えていかなきゃならないのでございますけれども、これからのわれわれはいかにこういう問題に対処していかなければならぬかという問題を指摘されるという意味において、やはり問題を調査し、あるいはそれについての問題点を出したということに私は意味があったのではないかと思います  具体的にこまかい何があるかというお話になると、これはまた別にいろいろとまた申し上げることになると思います。
  68. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ですから、この管理価格の疑いを持って調査をする、行動を起こすわけですけれども、非常に時間がかかっていて、しかも、その管理価格の疑いを浮き彫りにできるかというと、私どもの目に映るのは、どうも実効をあげているとは思えない、そういう状況であります。  この調査の体制にも私は一つは問題があるんじゃないかと思うのですけれども、現状は一体どうなっていますか。もっと大幅な増強をして、この品目の調査にあたっては大幅な調査をやるべきだと思うのですが、この点についてはどうなんですか。
  69. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どものほうで管理価格というような意味において調査に従事している課は、経済部の調査課という課でございまして、課長以下十八人の人間がおりまして、そのうちで、一般経済調査もいたしておりますけれども、現在は主として総力をあげてそのほうの調査に従事させておりますが、そこの人員が、まあある程度増強しなければならないというふうなことで、来年度予算におきましては、いま定員の増をたしか二名——わずかでございますが、それでもいまのような定員について非常にやかましいときでございますが、ふやしていただいております。また予算につきましても、ほんとうにわずかではございますけれども、本年度予算に比べて多少ともその重要性を認めて増加するような案で、ただいま国会に提案されておるような次第でございますが、これからの問題といたしましては、公正取引委員会は、先ほど申し上げましたような意味での競争条件の維持、あるいはそれに対してどういう問題があるかという角度からいろいろ調べてまいることになるかと思いますけれども、日本経済全体の問題としてのそういう姿につきましては、私ども公正取引委員会だけでなくて、やはりこういう問題には……。失礼しました。ちょっと訂正いたします。調査課の定員の増加は三名ということでいま予定いたしております。一名申しそこないました。訂正いたします。  私ども公正取引委員会だけでなくて、やはりこういった物価問題、経済の一番基本的なそういう姿の問題につきましては、各省庁ともに、それぞれの所管物資についても、やはり十分そういう角度から見ていただくというような体制も必要ではないか、かように私は考えております。
  70. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 独禁法の四十条で強制調査権を明示しております。当然疑いを持ち、そうして調査ということになるわけですけれども、その調査にあたりましては、もうきわめてとらえにくいものを対象にするわけです。ですから、こうした強制調査権も必要であることは十分にわかるわけですけれども、一体この四十条の強制調査権というのはどんなときに使うお考えか、また、今日までそれが実際に働いているのか、この点についてはどうですか。
  71. 谷村裕

    ○谷村政府委員 公正取引委員会の仕事、すなわち独禁法に基づいて、たとえば調査をし、必要に応じては立ち入り検査をするというふうなことは、これは本来ならば、企業の責任において自由にやっていただく営業活動に対して、一つの公権力をもって介入してまいるわけでございますから、その要件としては、当然独禁法がそれを必要としているその範囲に限られるわけでございます。そしていま、疑いを持ってというふうに申されましたが、具体的に、たとえば共謀をやった疑いがある、話し合いをやった疑いがある、あるいは何か不公正な拘束を加えておるような疑いがあるというふうな意味での一つの事件としてやりますときには、これは独禁法の第四十六条に基づきまして、事件について必要な調査をするためにいろいろ立ち入るという、かなり強い権限を与えられております。  で、御指摘の四十条の調査といいますのは「公正取引委員会は、その職務を行なうために必要があるときは、」云々と、こう書いてございますので、立ち入り検査というほどの強い力ではなくて、いまおっしゃったような意味での報告聴取権でありますとかあるいは資料提出というふうなことを命ずることができることになっておりますが、これは疑いがあるというふうなことを必ずしも要件といたしませんで、私どもの仕事をやっていく上に必要があればと、こういうふうに書いてございます。疑いとは関係がないわけでございます。しかし、私どもが仕事をする上において必要があればというときでも、何でも思いついたらとれるというわけではなくて、やはり独禁政策上、こういう問題について独禁政策の立場から必要がある場合という、こういうふうに読まなければならないだろうと思いますが、いままでは、たいていの場合は御協力をいただくという形でもって、特別に、この法律の罰則をもって担保されております四十条の規定を振りかざして調査するということはいたしておりませんでしたが、たしか去年の家電、カラーテレビの二重価格の調査をやるときには、この四十条の調査権に基づくものであるというふうに、それぞれの報告提出を求めました業者には書いて出したというふうに私は記憶いたしております。
  72. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 品目の中に市場占有率がきわめて高い、そして価格が高位安定している、値上がりさえする、そういうような品目があった場合に、明らかに競争制限的行為が生じている、そういう状態がつかめていながら、談合あるいは申し合わせという具体的な証拠がはっきりしない、あるいはまた競争制限的行為があったというそういう事実認定がなかなかむずかしい、そういうことが理由で放置されてきた問題がかなりあるのじゃないかと思うわけです。ですから、現在の独禁法の場合には談合等の直接的な行為、いつ、どこで、どういうふうなぐあいでという、いわゆる五W一Hの確証がなければ調査または排除命令が出せないというふうな、そういう状況になっているわけですけれども、そういう点についてはこういう状況をもっと明確に調査が進められるようなそういう改善がなされていかなければならないと私は思うのですが、その点についてはどう思いますか。
  73. 谷村裕

    ○谷村政府委員 非常にある種の、たとえば企業なら企業のお互いの間の行動というものを外部からつかまえるということは、いまおっしゃったとおり、非常にむずかしいものでございます。私どもは、それのために特別の権限を与えられておりまして、ある種の情報を得たり、疑うに足るだけの資料を得ましたときには、踏み込んでまいりまして、ことばは悪うございますが、現実に立ち入りまして、そうして、たとえばもう書類も押収してしまう、必要なところも、立ち会いのもとに、たとえば机の引き出しもあけてしまって、個人の私物の手帳まで押収してくる、そうしてそれをもとにしてだんだん調べていく、さようなことまでやり、それが具体的に非常にはっきりとした、いつ、だれが、どこで、何をしたかということがかりに書いてなくても、そういうところのメモからでも、だんだんに人を呼んで話を集めていくうちに、一つの実態というものをそこから浮き彫りにして出していって、これはやはりそういう行為があったと認定せざるを得ないというふうな、そういう進め方をしておる。これもある意味でいえば、きわめてはっきりとわかっていれば、初めからそこまでする必要はないのですけれども、端緒みたいなものがあって、そこからだんだんに踏み込んでいっていろんなものを集めて一つの答えをつくり上げていく、これも、いま御指摘のような意味での、そこから入っていってだんだんに推定し、それを確認させていって進めていくというものではないかと思います。さような場合でもなおかつ、それに基づいて勧告をしても、その勧告のような事実はないといって、被疑事件の当事者から勧告を拒否される場合もある、また、審判になりましても、あくまでそういう事実の存否について争われるという問題がある、審判でもって私どもがかりにそうだと言い切っても、また東京高裁にいきまして、そこで、この点についての証拠はどうだ、この点についての証拠はどうだという、こういう争いにもなる、こういうわけでございます。  一つのそういう企業の行動について、やり方について証拠を持っているということ、それ自身についてもかなりむずかしいところがございますが、もし、いま御指摘になりましたものが、何か足並みがそろって、足並みがそろったから怪しいだろうから、とにかくそういう状況だけでやったらどうかというふうな、そういう乱暴な話かどうかわかりませんが、かりにそうであるとすると、これはやはりなかなかいまの民主主義、法治主義のたてまえのもとではじれったいかもしれませんが、むずかしい問題ではないかというふうに私は思います。その状況というおことばにもよりますけれども、できるだけわずかな端緒からだけでも、わずかな証拠からだけでも全体をくみ上げていくというふうな努力はいたしております。  お答えになったかどうか存じませんけれども、さようなことを申し上げておきます。
  74. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ具体的な例をあげて伺いたいと思うのですけれども、まず自動車ですね。現在、自動車の輸出価格を公取としてつかんでいらっしゃいますか、ブルーバードあるいはコロナというふうな車種別のそういうもので。いかがですか。
  75. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いま自動車については具体的に特に調査はいたしておりません。自動車について公取の事務局でいまやっておりますのは、むしろ自動車産業における専門のメーカーと関連産業、まあ別のことばで言えば、下請との関係におけるいろいろな問題は調査しておりますが、いま御指摘のような点についてはやっておりません。
  76. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これは通産省も同じなんです。輸出価格については全然つかんでいない。まるで企業秘密を認めているみたいなかっこうになっているわけです。ここにやはり私は問題があるだろうと思うのです。原価は、確かに企業秘密としてそれはいいだろうと思うのですけれども、販売価格となった場合には、これは価格なんですから、当然公取としてもこれをつかんで、国内の販売価格が非常に外国と比べて大きな開きがあれば、何とか価格の点でこれを切り下げられるような措置をとらなければならない。そのためのまずアプローチとして、そうした輸出価格をつかんでいくというふうな姿勢が私は必要だと思うのです。その点についてどうですか。
  77. 谷村裕

    ○谷村政府委員 公正取引委員会でも、そういうところに不当な二重価格というふうな意味において問題があるとすれば、調べることは当然必要であろうかと思いますが、問題になるとすれば、私どもだけでなく、所管官庁も当然そういう問題について気を配っていただくということが必要であろうかと思います。
  78. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 カラーテレビの問題はその具体的な明確な例じゃないかと思うのですけれども、これはビールの場合も明らかにそうです。資本金二百三十億円の麒麟麦酒とわずか二十億円のサントリービールでは、市場に占めるシェアが全然違う。それにもかかわらず、結果において値段は同じである、そういう現状です。これは経済原則からいっても、どう考えてもそういうおかしな現状になっておりますし、またビールについては最近値上がりの話も出ております。消息筋の話によりますと、このビールの値上がりについては、じゃんけんで順番をきめて値上げの名乗り出をしようとしている、そうまでいわれているようなビールの価格についてでありますけれども、ここら辺も全く単なるうわさとして笑っていられない現状です。ですから、管理価格と見られるものが、これだけはっきり存在しているにもかかわらず、現状におきましては、とらえにくい談合あるいは申し合わせみたいな、それをやっととらえたとしても、そういうことをしちゃいけないという程度の話しかできないというのが現状です。それをつかまえたとしても、そういう談合はいけませんという程度の話しかできないことになっているわけでしょう。  ですから、この際私は、こうした消費者行政、消費者保護という立場の公正取引委員会としては、もっと強力な調査、それからまた、さらに強力な権限を与えられた上で値下げまで命令をすることができる、そういうような改正が、ここへきては、求められたごくあたりまえなこと、そういうところだと思うのです。予算委員会においても佐藤総理は、改正が必要だ、こういうふうに述べておられますけれども、公取委員長としてはそういう点はどうですか。権限強化という点で、どういう点をどう改めようと考えておられるか、伺いたいのです。
  79. 谷村裕

    ○谷村政府委員 冒頭に申し上げましたように、私どものただいまの公正取引委員会が、ただいまの独占禁止法に基づいて持っております権限は、いかにして競争条件を自由かつ公正に維持するかということにあるわけでございます。そして、いまお話しになりましたような、たとえばある業界で強大な力を持った企業が出てきている場合に、それは一体どう考えるべきであるか、あるいは寡占体制になった場合にどうすべきであるか、あるいはもし値上げがあったという場合に、その値上げについてまで具体的に個々に介入するということが必要であるとするならば、それは一体どういう立場からやっていくのであるか、そういう問題になってまいりますと、それは従来の独禁政策の問題の中にあるものもありましょうし、またその問題を越えたものもあるかと思います。  さような意味で、特にいま先進諸国で一般に問題になっておりますような物価問題あるいはインフレ問題というふうなところにまで関連させてこの問題を考えてみますと、これは政府全体が一つの行政のあり方として取り組まなければならない問題であろうかと私は考えているわけでございます。そして、独禁法自体について何か強化する問題があるかというふうに言われれば、私はもう現在のままでよろしいとは必ずしも思わない、いろいろな角度から見て、経済社会の変化に対応して、私どもがやはり独禁政策の施行について、もう少しこういうことであったらいいというものもあるのではないかと思います。ただし、このことについて具体的にいま何がどうだということは、ちょっとまだ申し上げるのには早過ぎると申しますか、まだ明確に申し上げるほどの確信、自信を私は持っておりません。そういう意味で、御指摘のような問題も踏まえまして、私どもとして考えるべき問題は何であるか、さらに、それを越えて考えるべき問題は何であるかということを、総理のおことばもございましたので、これから関係省庁の方ともよく御相談して検討してまいりたい、かように思っております。
  80. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 何だかよくわからない答弁で私は不満ですけれども、管理価格の疑いを持つ市場占有率というのを大体どの辺だと考えておられますか。
  81. 谷村裕

    ○谷村政府委員 実は何が管理価格であるかというような定義が別にあるわけではございませんで、非常に競争条件が欠如し、あるいは価格メカニズムが十分に働かないような、そういう一つの取引の実態があるような場合が問題である。これをたまたま管理価格ということばでアメリカのある学者が言ったのが、いまそういうことばで言われているわけでございますが、したがって、私どもだけではなくて、各国とも、特に一つの線、たとえばどういう実態が起こっていればそれが管理価格であるかというふうなことは別にきめずに、具体的に個々の問題としてその動きをとらえていくというふうなやり方をやっていると思います。私どものほうでも、いわゆる産業の集中の度合いというものを別途調査して公表をいたしております。いろいろなタイプを表に出したりいたしておりまして、一社でもってその占有率が、たとえば半分以上占めているような産業がどんなものがあるかとか、あるいは三社でもってすでに七割をこえているようなものはどんなものがあるかというふうな、そういうものも表に出しておりますけれども、そのことから直ちに、いわゆる管理価格をやっているとか、そういう問題になるとは私どもは見ていないわけでございます。そういうもののうちに、市場の姿がおかしいものがあればそれを見ていこう、そういうことでやっているわけでございます。  たとえばイギリスでございますと、独占委員会というものに付託すると申しますか、いつでも独占委員会が目を光らせて、必要によっては調べに行くことができるようなと申しましょうか、そういう独占委員会に付託されるというふうな企業は、市場のシェアが三分の一以上を占めているような会社というふうになっておりますけれども、三分の一以上占めていれば常に何かされるということではなくて、そういう会社が、ことばは悪うございますが、いわばマークされる、そういうことで、そういう企業がもし何か、イギリス流にいえば公益に反するような行動をしたようなときに、独占委員会調査を開始し、そして必要があれば勧告をする、かような姿になっていると思います。したがって、一義的な基準が、調査をしたりあるいは内容に入っていくというようなものについてあるというふうには、これはちょっとどうも実行上もなかなかむずかしいのではないか、かように思います。
  82. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いまの答弁にありますように、非常にあいまいな点がやはり公正取引委員会の活動をあいまいにしているように思うのです。ですから、そのマークという点でとらえていただきたいと思うのです。公取としてマークしなければならない基準、これをやはり明確にすべきだと思うのです。集中度が三社、六〇%以上の市場占有率を占めている、大体この辺がマークの基準になるように私は思うのですが、その品目についてあげられますか。
  83. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いろいろな形で、たとえば三社集中度何%以上というものに該当する業種にはこうこうこういうものがあるというふうなことは、私どもとしてある程度整理して持っておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げましたように、集中の型をいろいろに分けまして、たとえば三社だけでもう一〇〇%というふうなところとか、あるいは一社だけでもう半分以上を占めているような寡占の類型とか、いろいろ集中あるいは寡占の類型を分けまして、はっきりそれにどういう業種が属しているかというようなことも、私どもとしては資料を持っております。
  84. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いろいろ議論がありますけれども、私は最終的には調査権の強化ということをはかっていかなければならないように思います。命令権はありますけれども、それが単なる談合の排除なんという、そういうところではなく、やはり価格の引き下げまで命ずることができるような強大な権限が、消費者保護の立場から必要だと思うわけです。また、助言する権限あるいは公表の権限、こうした面で大幅に強化していかなければならない、こう考えているわけでありますけれども、その法的な措置、これを総理の答弁を受けて公取としても改善のために真剣に取り組んでいただきたい、こう思うわけです。
  85. 濱野清吾

    濱野委員長 いまのビールの問題についてどう考えているか、もっと掘り下げて説明してくれませんか。私どももわからない。ビールの価格の問題、それから自動車の国内価格と輸出で販売されている価格、この辺も非常におかしいと思うのですよ。谷村さんも大蔵省にいらっしゃったのだからちょっと言いにくい点があるかもしらぬが、企画庁長官もビールを値上げしてはいかぬというきつい勧告をしたが、それも聞かない。一体こういうのはどうなんだ。競争原理を援用しているのが独禁法でしょう。この競争原理を援用すれば値上げはできないはずだ。この点について率直な意見を聞かしてもらいたい。
  86. 谷村裕

    ○谷村政府委員 第一にビールのことでございますが、これは昨年におきましても、物特委あるいは商工委員会あるいは大蔵委員会等でいろいろとお尋ねを受けました。  率直に申しまして、先ほど御指摘になりましたように、非常に強大なシェアを持ったトップメーカーと、それからそれの半分に及ばないシェアを持った二社と、さらにまた一番少ない四%程度のシェアを持つ一社——もっともこれはビール専業ではございませんが、四社というものによって構成されている業界でありまして、そうして去年の秋の値上げについては、シェアでいうと第三位のメーカーがまず口火を切った、じゃんけんでやったかどうか、私はそういうことは存じませんが。それからその前の、何年前になりますか、三年くらい前でありますか、そのときには業界第二位のものが口火を切っております。そしていずれも他のものがそれに追随するという形で値上げを実行しておるということでございます。  そうして収益の実態を見ますと、これはかつて大蔵委員会で国税庁長官がある程度言われたことでございますが、やはり第一位のメーカーと、それから二位、三位との間には格段の開きがあるわけでございまして、確かに二位、三位のところは、原料も上がってまいる、また人件費も上がってまいる、そうして生産の量はあまり伸びないというふうな状況のもとにおきましては、かなり苦しいところに追い込まれておって、もし値上げが通れば値上げをして業績を回復したいというふうに考えるのもやむを得ない状況であるというふうに、その会社の経理としては見られるわけでございます。ところで、第一位のところというのは、これは相当の大幅な利益もあげております。そういうわけで、そこがさらにまた値上げをするならば、業界の中でのシェアから見ても手取りが——これはこの間予算委員会で言われたとおりでありますが、一本につき三円メーカーの手取りがふえただけでも、それだけでもすでに六、七十億の利益がさらにあがってくるではないか、さようなことでよろしいのかと、こういうお話がそのとき出たわけでございます。そうして、何とかしてそういうゆうゆうともうけておるようなトップのところはこの際値上げに追随しないでほしいというのが、そのときの国税庁、大蔵大臣あるいはまた企画庁長官、そういう方々のお考えであり、またそのことを業界に対しても慫慂したわけでございますが、結局はそういうときに企業がどういう道を選んだかといいますと、これは直接政府側には権限がございませんから、企業がどういう道を選ぶかというところに立たされたわけでございますが、結局は自分も値上げをして、それだけの利益を自分としてはやはりものにしたいという考え方をとったわけでございます。  私ども競争政策の立場におる者から考えますと、値上げそれ自身をいいとか悪いとかいうことは、私どもの立場からはほんとうは言えないわけでございます。人件費が上がる、原料が上がる、それがもし市場でもって、かりにある程度上げてもその値段でまた売れていくということであれば、これはそういうことを判断し、そういう決断をし、やっていくという企業の自由も私は認めているわけでございます。こういう人件費も上がり、ある程度原料費も上がるというときに、なおかつ合理化をいろいろしてみましてもうまくいかないというときに企業がいかなる道を選ぶかというのは、企業の自由でございます。ただし、そこにもし競争条件というものがあって、値上げをしようと思っても、相手が値上げをしなければおれは負けてしまう、トップメーカーが値上げをしなかったらおれはとうていだめだというふうな圧力が働きますと、そこで値上げということはできないわけでございます。  そこで、あのときはいわばかけをしたといわれておりますが、三位のメーカーは、あるいは次いで二位のメーカーは、一位のメーカーが上げてくれることを期待しつつ待っておったわけであります。もしここで一位のメーカーが、さらに自分は競争を強化して、自分のところは上げる必要がないから上げない、そのかわり君らはもっとつらい目にあうだろうかもしれないが、ここでひとつ勝負しようやと——ことばは少しおかしいのでございますが、そういうふうに出ていくとすれば、それも一つの行き方であったかと思います。そして、私ども競争条件をやかましく言う立場からいえば、そういうふうにあってほしい、もちろんその結果は、第一位の企業はさらにそのシェアを伸ばし、さらに強大なものになっていくかもしれませんけれども、ぜひそうあってほしい、さように思って、私もまたそういう方向を、一つは競争条件の立場から、一つは企業がやはり社会的な負託にこたえてもらう、特に巨大な企業、支配的な企業というものはそういう社会的な負託にもこたえてもらわなければならない、そういう立場からそう申したのでありますけれども、それは結局は聞いてもらえなかったわけでございます。そこは非常にむずかしい問題なんでございますけれども、先ほど御指摘のように、そこに何らかの談合と申しますか、話し合いがあったかといいますと、私どものほうがそこらは直接に立ち入ったり何かはいたしませんでしたが、いろいろ聞き取りましたところによれば、そういう形跡は、疑うに足るだけのものはない。むしろ、たった四社でありますから、客観的に見ても、その辺の判断は、一社がどういう判断を下すかというところできまってしまう、そういうところになっておったというふうに思います。  委員長から、ひとつおまえはどう考えるか率直に言え、こういうふうに言われるわけでございますけれども、実は自由主義経済と申しますか、自由な企業の行動というものが許されており、また、それが実は経済の一番基本になるものであると私どもは思っておりますけれども、そういうのに対して、むしろ企業の自由をあまり拘束するようなことを政府がやかましく言うのはよろしくないと、基本的には私は思いますけれども、しかし実際問題として、そういう競争が、あるいは自由な経済がうまく働かないような姿が起こってきておりますときには、やはりそこに対して、それをしもまた企業が自由にお動きくださいというだけでいいのかというと、私はどうもそれではいけないのじゃないかという立場に実は立っているものでございます。いかにして自由主義経済の一番いい企業の創意くふう、自己責任を立てていくかという問題と、それの社会的責任ある行動をいかに消費者、国民全般のために担保していくかという問題と、この二つをどう調和するかということが非常に問題なのでありまして、これは先ほど、佐藤総理のお答えもあったということでありますけれども、やはり私どもが真剣に考えなければならない問題だと、さように思っておるわけでございます。  それから第二の自動車の点につきましては、申しわけございませんが、私、実態をつまびらかにいたしておりませんので——もし不当に輸出のほうを安くし国内を高くするという形においてやっているような姿があるとすれば、そこには問題がないわけではないと、さように思いますけれども、ちょっと具体的につまびらかにいたしておりませんので、その点は御容赦願いたいと思います。
  87. 濱野清吾

    濱野委員長 委員の諸公にひとつ御理解願って、もう一点聞かしてください。  断続的な談合というのが近ごろはある。一堂に会して談合するということを普通の常識では談合というのだが、一定の期間をおいて、そうして巧みに断続的な談合の上で値上げをする、こういうケースが最近はある。これをあなたはどう見ているか。  それからもう一つは、幾ら自由主義社会の経済であっても、企業家の社会的な責任というのはあるはずです。ですから、アメリカの良識ある企業は、その会社の利潤のその三分の一は労働者に還元する、その三分の一は投資家に還元する、その三分の一は価格に還元する、それでアメリカの資本主義というものは比較的うまく調整がとれているとわれわれは聞いているし、また調べて知っている。一体ビール会社には、たとえば、先ほど大きなメーカーのビール会社には、消費者に対する奉仕の企業家としての観念がない、それですからああいうべらぼうなことをやっていって、役所の忠告も注意も聞かない、こういうことだと思うのですがね。こういうふうになると、一体どうすればいいか。これは法律を改正してもなかなか容易じゃないのだが、しかし最後にはやらざるを得まい。ですから、企業家が利益追求をして、自分さえもうければいいんだ、そのためには断続的な談合もやっていこうじゃないか、そういうところまで来ている企業が相当あるのですね。これはひとつどうですか。あなたが公人として、委員長として言うことはどうかと思うのだけれども、これは率直に、物価問題がやかましいですから、あなたの御意見がこの際拝聴できれば非常にいいのですが……。ことにアメリカの責任ある企業は、社会に奉仕する、労働階級の方々にも奉仕する、それから投資家にも奉仕する、こういう行き方が行なわれているのですが、どうですか。
  88. 谷村裕

    ○谷村政府委員 断続的談合というのも私よく実態をわきまえないのでございますが、少なくとも、断続であれ、あるいは一堂に会するのであれ、いかなる方法をとることであれ、そこに共通の意思をもってお互いに通謀し合うという実態がつかまえ得るならば、私どもはそれをやはり独禁法の違反として、極力そういうことのないようにしなければならないと思いますし、かりにあればあったで、それを摘発し排除することにつとめなければならないと思います。ただ、今日のようにいわゆる情報化の非常に発達しました社会になってまいりますと、非常にその手段等がいま御指摘のように巧妙になってまいりまして、なかなか私どもの力ではそれを十分に把握することもむずかしいという条件があることは、これを私は否認するものではございません。しかし断続的であれ何であれ、そういう実態があれば、それはわかる限り私どもとしてはしなければならないことであると思います。  それから第二番目に、日本のような非常に成長する社会において、その成長の成果、これを別のことばで言えば生産性向上の成果といってもよろしいのであり、あるいは国民所得の増加ということばで言ってもいいのでありますが、それをどういうふうに分配するかということは、本来はこれはやはり価格メカニズムがきめる問題であると思います。あるときには、それはいろいろな市場の条件によって、もし競争が非常に激しくて価格競争が盛んであれば価格に還元されるでありましょうし、また投資が非常に盛んであって、ある程度企業としても利潤を確保しなければならないというふうなことから、あるいは利潤、資本のほうに回るかもしれませんし、あるいはまた、成長の成果が所得の増加という形になってあらわれ、その所得の増加が右から左へとすぐいくわけじゃございませんけれども、賃金への波及という形でもっていろいろに波及されるような場合には、これはまた一方では賃金の増加という姿になり、一方ではそのさらに賃金増加によって得られた消費者のまた購買力の増加となって、その購買力の増加がある程度価格の上昇という形になってあらわれるというふうな、いろいろの価格メカニズムを通じて分配されていくのでありまして、必ずしも三分の一、三分の一、三分の一というふうになるとは限らないと思うのでありますが、アメリカにおいていまお話しのようなふうにうまくいけばアメリカ経済は問題がないのでありますけれども、実はやはりアメリカにおいてもイギリスにおいてもフランスにおきましても、すべて先進諸国がいま悩んでおります問題が、そういった分配の流れというものが必ずしも十分に価格メカニズムによって動かないという問題であり、そこにいろいろ利潤あるいはその他のコスト、それから価格、それから賃金、そういうものまで全部を含めて、いかにその分配をうまく調和させたらいいかという、これはことばとしては適切でないのかもしれませんが、一種のいわゆる所得政策の問題というのが各国で議論されているのだというふうに私は思います。アメリカもまさにいまその悩みの中にあると思います。  で、私どもといたしましては、いま委員長のおっしゃいました企業の社会的責任というのが、いまでこそ公害の問題を中心として強く言われておりますけれども、これから先はもっとそういう広い意味、特に価格の問題を中心として、あるいは分配問題を中心として企業の社会的責任という問題が提起されてくることになる、私は個人的にそう思っております。そしてそういうときに、まずアメリカあたりに範をとるとすれば、一つは、企業ができるだけ、自分にやましいところがないのであれば、自分の行動が正しいのであれば、自分の経理なり内容なりを広く国民に公開するという、これは証券取引法の立場からいうと、一種の経理の公開ということですでに出ておりますけれども、さらに企業の実態について国民の了解、納得をしていただくようにつとめるという企業の自発的な態度が一つのこれからの方向になるのではないかというふうに思われます。あるいはそれ以外にも、これは西独でそういう制度をとっており、また日本ではたとえば中山伊知郎さんなんかがそういう問題を言っておられますけれども、企業といいましても、経営者もそこに働く労働者も、場合によれば、値上げという話になればみんな同じような立場に立ってしまう、たとえば賃金の問題になってくれば、もはや価格に転嫁されようとどうなろうと、それはおそたちの知ったことではないというふうな、そういう話になるとすれば、そこはやはり企業一体としての責任の問題ではないかというふうな意味で、たとえば経営問題のそういう経理の問題についてもそこに働く人たちの意見を反映し、あるいはいかにその方々にも納得してもらうかというそういう問題が一つのポイントではないかと言っておられる方もおいでになります。私はそれも一つのポイントではないかと思います。  さような意味で、いま委員長が言われました企業の社会的責任ということをいかに具体的に展開させ、またそれに対して、ただ企業だけにたよるのではなくて、政府が消費者一般のためにいかに正しく運営されるということを担保するかという問題が、私はこれから先の高度に発展した経済社会の中ではどうしても必要になってくるのではないか、これはどうも公正取引委員長としてそういうものの立場を越えましたことを申し上げてはなはだ申しわけないのでございますが、さように私は考えております。  こういう話は実はし出すとたいへん長くなりますし、またこういう何か答弁めいた形でいたすよりは、むしろ座談的に対話的にいろいろお話しするほうがもっとお互いにディスカッションできていいんじゃないかと思いますが、かような決算委員会というような公式の席で申し上げるのは、もう公正取引委員会委員長としてはほんとうにこの程度のことでお許しをいただきたいと思うのでございます。
  89. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長としてこれ以上質問することは避けますけれども、あなたのいまの意見には、賛成する点もあるが、大いに反論したい点もあります。また、こういうことはやはり座談あたりでなく、責任ある場で論争したほうがいいと思います。私は一、二点あなたに非常に共鳴しておる点もございますけれども、しかし、アメリカ経済やドイツや、あのことについては私は別の意見がある。アメリカの経済なんというものは別のほうからあの経済が引き起きてきておるのです。ですから、企業家だって消費者なんですから、自分だけもうけて配当をうんと得ておれば、物は幾ら高うなったって苦労しなくて済むのだというのでなく、やはり企業の社会的責任というものを負わなければいかぬのです。ことにビールの問題、あれはひどいですよ。  まだほかにもたくさんありますけれども、委員長だから、これ以上発言しても委員にしかられますから、どうぞ。
  90. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 引き続いて沖繩の復帰対策について何点か伺っておきたいと思うのです。副長官だいぶお疲れのようですが、よろしくお願いします。  まず、今次大戦で沖繩の受けた被害というものはまことに大きなものがあります。十八万に及ぶ米軍の上陸があったこと、それからまた、全土が焦土と化した。現在ひめゆりの塔であるとか健児の塔、そうしたものがあらわすように、まことに大きな被害があったわけです。もちろん本土におきましても広島、長崎などに原爆が投下される等の大きな被害がありましたけれども、この沖繩問題を考えるにあたりまして、沖繩県民の立場からすべて復帰対策もなされなければならない。また、そういう観点から、大体この大戦における沖繩のこうむった被害はざっとどのくらいのものであったか、これを試算したことがありますか。
  91. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま沖繩の過般の戦争における甚大な被害等について、一体物的、人的にどのぐらいの被害があったか試算したことがあるかというおただしでございますが、率直に申しまして、そろばんを入れてはじいたということはございません。
  92. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 けっこうです。  その被害、犠牲、こうしたものが本土の、特に祖国のために払ってきたものであるという意味からも、今後の復帰対策にあたりましては、本土政府も全国民もあたたかくその沖繩返還に伴う諸問題解決のために努力を払わなければならない、そういう意味から伺ったわけであります。  終戦直後のたいへんな中でありますから、そうしたものの調査ができなかったことも想像できなくはないわけであります。いよいよ返還が目前ということであります。そして復帰対策費としまして六百億を少々こえる規模が大体決定したようであります。沖繩タイムス、あるいは現地の新聞等によりますと、本土政府に対する要請額が当初三億ドルあった。一千百億円に相当するわけでありますけれども、こう報道されております。また沖繩関係の与党の議員の陳情、この内容も、まあ三億ドルまでは無理であっても、せめて二億ドルの復帰対策費をということで運動があったということも伺っております。二億ドルといいますと約七百億円でありますけれども、この七百億円の大台に乗せるような復帰対策が費用として認められていいんじゃないか。六百億円台、それをさらに百億ないし二百億の増額があっていいんじゃないか、そういうふうに考えておりますけれども、この点についてはどうでしょうか。     〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  93. 湊徹郎

    湊政府委員 先ほど申し上げましたけれども、私ども、二十五年隔絶されたこの沖繩復帰の日を間近に控えて、去年までは日政援助費というふうな形で出しておったものを、ことしから復帰対策費、こういうことで看板も改め、それと同時に、いままでの予算編成は、現地側は現地側でこういうふうに要望する、私どもはこう思うというふうに、率直に言って別々の形で財政当局と折衝を進めた経緯もございますが、今年はそういうしかたをやめて、私ども自身もう沖繩の県民であるという前提に立って逐一相談をしながらやろうじゃないか、まずこういう原則について屋良主席以下皆さんと意見の一致を見、その後数回にわたって復帰の基本的な点等については逐一実は打ち合わせながら、全く完全に腹を合わした形で今年度の要求予算をきめた、こういう経緯がございます。  したがいまして、これは交付税の問題とか税制その他国内の執行体制万般にわたって、制度、法律的に異なる点でございますから、本土類似県と一口に申しましても、具体的にはなかなかよういかぬ、それを本土類似県というやつを常に頭に置きながら、個々の事業について一つずつ積み上げて、そして六百億、つかみで出した六百億じゃなくて、一つ一つ事業について琉球政府を通じて個々に打ち合わした結果、大蔵のほうにお願いをし、お願いをした額については満度これをちょうだいした、こういろ経緯でございますので、復帰準備という点から、中の個々の事業項目については、これで必要にして十分な経費であるというふうに考えております。
  94. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、下地島にできる訓練飛行場の件でございます。設置費も前年度で八億円、引き続き本年度も一億円計上されているわけでありますけれども、現地の報道によりますと、この訓練飛行場設置に対しては、賛成派と反対派が現在二つに分かれて争っている。琉球政府のほうからも通産局長が現地に参りまして、非常に空気も険悪だ、こういうふうに伝えられておるわけでありますけれども、国内では日本航空等の計画もあるわけでありますけれども、その訓練飛行場の計画につきまして、そのめど、今後の反対派の説得についての対策、そうしたものをどういうふうに考えておられるか、伺いたいと思います。
  95. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまの下地島の訓練飛行場設置の問題については、実は私どももいろいろ琉球政府側といままで相談をし合いながら、現地の説得等について極力琉球政府をお手伝いするという立場から進めてまいったのでありますが、今年度予算編成にあたっても、率直に申し上げまして、その点が一つの大きな問題になったわけでございます。  ただいまお話しのように、用地の買収並びに土地造成の経費として八億円計上した。そのほか日本航空のほうとも話をつけて二億円出す、さて、前年のいま申されたような経過から、はたしてことしはどうしたらよかろうかということが、これはひとり私どもだけでなくて、屋良主席ほか琉球政府の首脳部の方も大いに苦慮されておったところでございます。結局は、早期完成準備だけはとにかくすっかり整うだけの用意を今度の編成予算の中で実現しよう、こういうことになったのでございますが、この反対等については、これもすでに御承知かと思いますが、一つは、用地補償費が十分ではないんじゃないか、こういう御意見がある。かと思うと、今度は、部分的に買われたのでは残地の始末が困るから全島買い上げをしてほしい、こういう御要望の方もいらっしゃいます。また、飛行場の建設ということは、将来の戦争につながって、戦争に巻き込まれる懸念があるではないかというふうな御意見もございますし、騒音の防止対策について非常に不安があるというふうに、さまざまの反対の御意見等がございまして、昨年の九月に村長さんの選挙が行なわれた際、設置反対の御主張を持たれた候補者が当選するというふうな事情があったために問題の解決を複雑にしてきておったことは御指摘のとおりであります。  それについて、さっき申しますように、本年度もすでに一億の用地造成費、それから財投計画においては六億円を計上してございますし、騒音対策等についても、いろいろ現地に当たって各種の調査等も進めてまいり、琉球政府が積極的に関係者の御協力を求めるように努力しておったところでございまして、ごく最近私どもお聞きをしますと、今月の九日、伊良部の村議会で満場一致、建設賛成、こういうことになったというお話も承っておりますので、さらに私ども琉球政府と相談をし合いながら、土地の買収あるいは準備のために必要な測量等、いままでのおくれを戻しながらひとつ懸命に準備を進めたいというふうに思っております。
  96. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、琉球大学の整備費であります。これは国立大学にすぐなるわけでありますが、琉大の付属病院関係費として四億八千万円、これを含めて総額八億五千万円が計上されておりますけれども、現地では特に医学部の設置の要望がきわめて強いわけです。沖繩における医師不足の問題は非常に逼迫した現状になっておりますが、本土にはもうほとんどないようなハンセン氏病の患者が大体年間百人程度発生しているそうであります。また結核が非常に多い。そういう意味からも、この医師不足を解消する、それから医療機関の整備、そろいう点の施策が急務であろうと思いますが、琉大に医学部を設置するような措置がとれないものであるかどうか、この点についてはいかがでしょう。
  97. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま御指摘のとおり、沖繩の医療事情は、本土に比べますと非常に格差がございます。そういう点からハンセン氏病に関しましても、過般の第一次の復帰要綱の中で、国立療養所に現在の施設移しかえることもすでに決定しておりますし、それから本土の場合では例がないことでありますが、保健所でもって特に多い結核の医療等に事実上従事している、こういう点については当然将来特例を設けてしかるべきであろうと思います。  それからただいまの医学部設置の問題、これはかねがね私どもも十分承知をし、理解をしておるわけでございまして、そういう点で琉球大学医学部設置問題懇談会という、これは専門家の方、現地の方もお入り願って、そこでいろいろと対策を検討していただいたそのとりあえずの措置として、当面は保健学部の設置が、一番現地にとって緊急かつ有効であろう、こういうふうなことになったので、保健学部の設置を昭和四十三年に一応きめ、現にその施設整備等をいま進めておるところであります。したがって、将来計画として当然国立移管が実現いたしますれば、医学部あるいは医学科、それらの設置の問題についても日程にのぼると思いますし、現在からそれらの点については、医師不足の現状から、問題は、現在本土の過疎地域もそうでございますように、なかなか現実にお医者さんに定着していただけないというところに問題がございますので、そこら辺も踏まえながら、まず教官の確保、その他人的な条件もそろえながら、準備はただいまおっしゃるような方向で進めていきたいというふうに考えております。
  98. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 空港整備につきましては七億九千万円、これが計上されております。これは主として那覇空港の滑走路とそれからターミナルビルの建設に充てられる、そういうものだろうと思うのですけれども、どういう規模のものであるか。まず、返還された場合に、政府としてはこの那覇空港を国際空港とする考えがあるかどうか、現地の強い要望でありますけれども、この点。それからさらに、軍と共用になっている空港です。これを近い将来これはもう離すべきである、こう思うわけですけれども、その点についてはどういうふうに考えておられるか。いかがでしょうか。
  99. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまお話がございました那覇の空港整備の問題でございますが、これについては、もうすでに基本計画に関して、日本とアメリカと琉球政府三者間において技術的な検討を続けながら、おおむね計画を固めて現に着工しておるところでございます。で、現在の空港規模をもう少し広げるために、北側のほうに約七十万平方メートル埋め立てをいたしておりまして、この工事は今日完成をいたしております。したがって、空港としての機能を発揮しますために現在残されております工事は、エプロン舗装、それからターミナルの建設、それから照明施設工事、こういうことが主たる工事でございますが、本年については、ただいま御指摘がございましたように、整地と道路の建設、駐車場、それらの経費として三億三百七十四万円、それから、ターミナルはもちろん民間の施設になりますが、そのターミナルの中に含まれる出入国管理あるいは税関あるいは検疫関係、そういうふうな仕事、これについて四億円、それから誘導路灯、さらにさっき申し上げましたエプロン灯等の照明工事、これに八千六百二十六万円、合計七億九千万円、これが公共的な工事費として予定しておるところでございます。  それで、一応公共部門のほうはいいのでありますが、将来民間空港として使うべきだ、こういうお話もございましたように、私どもも国際空港の  一つの拠点として将来の活用を期待いたしておるところでございます。したがって、御利用になられる航空会社あるいはターミナルビルの営業関係のいろいろな民間施設、これらについても一方で並行して準備を進めております。とりあえずターミナルビル会社、これの設立については主として沖繩側のほうで御検討を願っておるわけでございますが、これについても、工事が順調に進捗をいたしますれば、先ほど申しました公共事業と対応  して明年中には現実の供用開始が可能ではなかろうかということで、いま促進をしておるところでございます。  なお、復帰後の取り扱いについては、これは現在運輸省で御検討をいただいておりますが、さっきおただしのとおり、民間空港としてこれは使う、そういう前提に立ちますと、現在の国際線全体の利用の状況あるいは本土の基幹空港との関連、こういう点を主として運輸省で御検討願って、それらを検討した上で、ただいま御指摘のような方向に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  100. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 一月二十九日のニクソン大統領が議会に提出しました予算教書、これによりますと、アメリカの沖繩援助費が大幅に削減されております。七一会計年度が約三百四十万ドルであったものが、七二会計年度におきましては百二十五万ドル、大幅な削減になっておるわけです。施政権は従来どおりだけれども援助費は削るというのは、きわめてひどい一方的な主張だろうと思いますけれども、これに対しまして、従来どおりの援助費が組めるような、政府としては外交路線においてはっきりその要請をしていかなければならないと私は思うのですが、どういうふうに考えておられますか。
  101. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま御指摘のように、これは実はここ二年ほど逐次、結果としては削減されるような形で推移してまいっておりますが、いまのところ、お聞きをしますと、主として米国の議会承認にかかわるいわゆるアリア資金、これと、通称高等弁務官資金といわれております一般資金、これが合わせて三十一億円、邦貨換算でこのくらいになるようであるという話を承っております。私ども、もちろん復帰対策準備のために、国内措置としては、さっき申しましたように、全力を尽くして六百余億円の予算を計上したわけでありますが、日米協議会の席等においても、いままでるる米側に対しても、それに対応する琉球政府関係予算について十分配意願いたい旨は外交ルートを通じて申し述べておりますし、今後も私ども対策庁としては、これは結局外交ルートを通ずるという形にはなりますけれど、私どもとしては米側に対して最大限の配慮をしてもらうように要請を続けてまいりたいと思っております。ただ、実際の金額からしますと三十一億円でございまし  て、六百億円に対比しますと、まあそれほどでもないというふうな感じはございますけれども、いまおっしゃいましたように、施政権は現に米側にある、そしてまた、現実に復帰までには若干の日数もある、こういう段階でございますから、私ども、外務省のほうに対してもそういう御趣旨でひとつ要請をしてまいりたいというふうに思います。
  102. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 最後に一つお伺いしたいと思います。  軍関係離職者対策費として総額八億九千万円、内訳といたしましては、失業保険二億円、離職者対策費六億五千万円、職業訓練施設一千万円、基地内の訓練として三千万円、こういう内訳で計上されておるわけです。全軍労の二日間のストライキは、実際には政府のあっせんにもかかわらず入ったわけでありますが、それに先立って、佐藤総理をはじめとする四者会談で、退職者の本土基地労務者との差額一人当たり十八万円、特別給付金を三万円引き上げる、合計六億三千万円については、この八億九千万円とは別個に措置されるものであると思うわけですが、これについてどう考えておられますか。
  103. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 お答え申し上げます。  旧臘約三千人にのぼる解雇の予告がございました。それで、御承知のとおり、全軍労のほうでも、米側に対して予告期間の延長でございますとか、あるいはまた本土についても協力を求めてまいりました。  そこで、先ほどおっしゃいましたように、総理以下四者で会談されまして出しました本土側としての協力として、二つございました。一つは、米軍の退職金、これが本土と現地と格差がございます。それにつきまして約十八万円——もっとも、最近はこちらからの要請によりまして、米側も努力いたしてきておりますので若干縮まるかもしれませんけれども、一応最大限度、差を十八万円と見まして、三千人といたしますと五億四千万円程度になります。その問題と、軍労の特別給付金、これが本土駐留軍の場合、それから現地軍労の場合、単価を同じようにいたしまして、この七月から五万円が八万円になるという予定でございましたが、これは時期からいいましてもやはり本土と合わせるべきである。本土のほうは新年度四月からん万円になりますので、したがいまして、四月といわず、遡及いたしまして、本土はこれからそういう問題に入っていこうと思いますけれども、まず先がけて沖繩分から、この一月から差額三万円を追加して支出するということをきめました。これで九千万円、合わせて六億三千万円というものを新たに措置した、こういうことになるわけでございます。
  104. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 以上で終わります。
  105. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 浅井美幸君。
  106. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は、きょうは行政管理庁にお伺いしたいのですが、いまや国民の至上命令は物価抑制であります。この物価抑制について行政管理庁としていままで行なってきた実績、それについてまず簡単にお伺いしたいのであります。
  107. 黒木利克

    黒木政府委員 お答えを申し上げます。  物価行政の改革に関する意見が昭和四十五年の五月に行政監理委員六人から提出をされまして、それに基づきまして、各省にいろいろ監察をしたり、その他調査をいたしまして勧告をいたしておりますが、特に最近問題になっておりまする生鮮食料品の価格の異常な高騰の問題につきましては、昭和三十八年七月に閣議決定がございまして、生鮮食料品の流通改善対策要綱というものをつくって実施をいたしておるのでありますが、これに基づきまして、関係各省がいかようにこれらの施策を実施しておるかということで監察をいたしました。昭和四十年と四十三年にわたりまして監察をいたしたのでありますが、その後も生鮮食料品、特に野菜の異常な高騰を見ましたので、行政監理委員会からの意見もございまして、ただいま生鮮食料品、特に野菜の問題につきまして、この価格上昇の原因、あるいは閣議決定に基づく施策、あるいはわれわれの二回にわたる監察結果がはたしてどのように実行されておるのか、問題はどこにあるのかということの監察をただいま実施中でございます。
  108. 浅井美幸

    ○浅井委員 昭和三十八年の閣議決定があり、そして昨年の五月にもそういう委員会の委員としての答申があった、それにもかかわらず、最近のたとえば生鮮食料品の中の野菜をとってみても、急騰を続けておる。これはあなた方が各所管庁に対して勧告もし、あるいは注意もした、にもかかわらず、物価の高騰は続いておる。このことについて、行管としてあなた方はどういうふうに考えていらっしゃいますか。勧告はした、守られていないからこそ物価の高騰は続いておる、私はこのように思うのです。あなた方が問題点の指摘はしておるはずであります。しかしながら、依然としてそれが改まらない、この事実についてあなたはどう思いますか。
  109. 黒木利克

    黒木政府委員 確かにおっしゃるとおり、われわれの勧告を確実に実行してくれれば、異常な価格の高騰は防止できたであろうと思うのでありますが、御案内のように、生鮮食料品の問題は、年間を通じましていろいろな季節の関係で生産の計画が思うようにいかなかったというような問題、さらに基本的には、現在の総合農政下におきまして、いわば農政の転換期にございまして、いろいろな基本的な問題がございまして、なかなか所期の目的を達成できていないのは残念でございますけれども、しかし、絶えずこういうような監察を繰り返しながら、その実行をフォローアップしながら、このような異常な事態が再び起こらぬようにという努力を続けており、またそれ以外にはないと考えておるわけでございます。  ただ、行政監理委員会の個々の委員の方々が、その専門的な御見識からいろいろな御意見があり、またそれが新聞に出ておるわけでございますけれども、単にこういう意見だけではなかなか根本的な解決ができないものでございますので、私たちは、とりあえず、たとえばタマネギとか大根につきましての異常な価格の高騰がございました。それに対して生産地の指定の問題等につきましてやはり問題があるようでございますから、効果のあがらぬような生産地については再検討をすべきでないかというようなことも、一例でございますけれども申しましたし、あるいは、特に不足の野菜の輸入の問題等につきましても指摘をし、あるいは卸なり小売りマージンあるいは流通過程の合理化の問題等、非常に複雑多岐にわたっておりますので、改善できるものから改善をするようにということで勧告を繰り返しておるわけでございまして、最近におきましては、いわば第三次の監察をいたしておりますけれども、しかし、この問題は常時監察項目といたしまして、地方の監察局におきまして、特に生鮮野菜の生産を主としております生産地の監察局におきまして、常時監察の課題として年間を通じまして監察をし、そして必要な勧告を各関係機関にいたしておるというようなことでございまして、御指摘のような、なかなからちがあかないでじれったい気持ちもあるのでございますけれども、事の性質上、そう簡単ではございませんので、こういうことを繰り返しておるような次第でございます。
  110. 浅井美幸

    ○浅井委員 あなたのいま御答弁になったことは、いわば弁解にすぎないのであって、実際問題は、監察を繰り返し、そして勧告をしておる、おっても実効はあがらない。じゃ、何のために監察をおやりになっておるのか、何のために行政指導をなさっておるのか、私はあなた方のやっておられる仕事について疑問を抱くわけです。たとえば農林省なら農林省に対して、生鮮食料品あるいは生鮮魚介類に対する価格抑制というものに対して指導をなさった、あるいは勧告をした。ところが、あなたのいまの御答弁では、何ぶんにも複雑多岐にわたるので非常にむずかしい。それならば、なぜ行政管理庁というものは行政監察をやり、あるいはあなた方が指導をし、勧告をしておるのか。複雑多岐にわたり、困難な問題であるからこそ、その解決点を目ざしてあなた方は勧告もしているのじゃないか。それが一向に改まらない。物価というものは年々上昇してきておる。そして新たな形で提起をされているのではないのです。毎年繰り返して、物価の高騰の原因というものは同じことが繰り返されておる。あなた、そう思いませんか。
  111. 黒木利克

    黒木政府委員 確かに御指摘のとおりでございますが、しかし、この物価の抑制の問題は、単に監察とか勧告だけで解決のできる問題ではありません。もちろん監察なり勧告というものの意義はあるわけでございますけれども、それもしかし物価抑制の一つの方法でございまして、もっといろいろな方法があり得ると思いますが、私のほろも、たびたび監察もし勧告もいたしておりますが、なかなかこれが効果を確実にあげ得ないということについては、いろいろ反省もし、また現在の監察の体制、あるいは行政管理庁の監察なり勧告の効果という根本問題にも実は触れる問題もあるのでございますけれども、御指摘のような、確かになまぬるい、あるいはたいして効果をあげないということをいつも反省をいたしておるのでありますが、この経済成長に伴い、あるいは日本の工業化に伴い、特に生鮮食料品の価格の問題というのは日本の経済の構造に関するような根本問題も含んでおりまして、単なる勧告とかあるいは監察とかいうことだけでは解決できない深刻な問題であろうと思います。しかし、私のほうは、監察なり勧告というような権限をフルに活用いたしまして、幾ぶんでもその効果をあげたいとせっかく努力をいたしておる最中でございますが、先生方の御持論、いろいろ御意見をお聞きいたしまして、もっと効果のある監察をいたしたいと念じておる次第でございます。
  112. 浅井美幸

    ○浅井委員 では具体的にお聞きいたしますが、きのう新聞等に報じられておりますけれども、行管庁が野菜の生産流通をめぐって緊急監察をしました。その監察の中間報告を監理委員会にした。その点で、さらに監理委員会から五点について重点を置いて監察するよう要望があったということです。  一つは、「輸入タマネギが雲がくれしたのは、中央卸売市場の手数料が高く、地方に流れてしまうためというが、中央卸売市場に出荷しない輸入業者を指定取扱業者からはずすことはできないのか」という、こういう要望でありますけれども、この点はいかがでしょうか。第一番です。
  113. 黒木利克

    黒木政府委員 ただいま御指摘の監理委員会での御意見は、監理委員会のある委員からの御発言を一応私どもで取りまとめましたものが新聞に出たということでございますが、このタマネギの問題につきましては、監察局長が詳しく存じておりますから、局長からお答えを申させます。
  114. 岡内豊

    ○岡内政府委員 お答えいたします。  去る水曜日の監理委員会で、確かにタマネギの問題も話題にのぼりまして、さっそく私どもも調査をいたしておるわけでございますが、タマネギそのものの輸入は、本来自由化されておりまして、どなたでも輸入ができるわけでございますが、ただ、台湾産のタマネギにつきましては、これは窓口を一本化するというようないろいろな意味合いもございまして、若干割り当て制をとっておる、かようなことであります。  そこで、現在までに台湾産の輸入の割り当て、どれくらいあるかと申しますと、まず、当初計画では一万トンということで割り当てたのでございますけれども、その後修正いたしまして一万五千トン、こういうことになっておりますが、この現物はまだ入荷しておらない、こういうことでござ、います。  それで、それ以外に現在まで外国からどれくらいタマネギが入っておるかと申し上げますと、大体六千八百トンでございまして、今後台湾産以外のタマネギが八千トン入荷される、こういうことでございます。私どもといたしましては、この台湾産が入荷されるのが二月中旬以降、こういうことでございますので、入荷後のその荷動きがどういうふうになるかということを今回の監察でも十分注目していきたい、かように考えております。
  115. 浅井美幸

    ○浅井委員 いま私がお聞きしたのは、中央卸売市場に出荷しない輸入業者を指定取り扱い業者からはずすことはできないかという質問です。要するに、卸売り市場の手数料が高いということで、輸入業者がかってに地方へ送ってしまう、あるいはまた倉庫に保管して値上がりを待っておる。一時に輸入したものをどっと出せば値下がりをしてしまうので、それをもうけるためにいま倉庫に保管しておる。小出しに輸入業者がしておるということは事実です。これをあなた方はどういうふうに今後監察の対象として、どういう措置をしようとしておるのか、聞いておるのです。
  116. 岡内豊

    ○岡内政府委員 少し説明が足りなかったかと思いますが、今後輸入されます品物の取り扱いがどういうふうなかっこうになって流れていくかということを見ながら、あわせまして、この指定制度がいいか悪いかということを検討したい、こういうことでございます。
  117. 浅井美幸

    ○浅井委員 公正取引委員会委員長にお伺いしたいのですが、先般公取が通産省にタマネギの輸入についての指導をなさいました。どういう指導をなさいましたか。
  118. 谷村裕

    ○谷村政府委員 指導というとたいへんおこがましい話でございますが、輸入割り当てのと申しますか、輸入カルテルの延長の協議が参りました際に、数量の話はいまのような状況で、先方のほうでもふやすという問題がございましたが、いわゆる割り当てを受ける権利を輸入のいままで取り扱った実績のある者だけにしておりました点につきまして、折衝の過程で、そういう過去において取り扱わなかった者でも、一般に野菜の輸入あるいは取り扱いなどをやったことのある業者ならば、それがカルテルに入っていて実績がないからといって割り当てがないのはおかしいじゃないか、それを入れるようにしたらどうだ、そういうことを事務当局のほうで通産当局のほうと折衝したようでございます。  その結果は、通産当局のほうで、ある程度実績が過去になかった者にも輸入の数量を割り当てるようにするような、そういう中身に改めてまいったようになりましたので、そこで、それでは今回の輸入カルテルの継続については当委員会としても異議がない、さような結果になったというふうに聞いております。
  119. 浅井美幸

    ○浅井委員 もう一間お伺いしたいのですが、先ほど申し上げましたように、監理委員会からは、  いわゆる指定業者の取り消しまでどうだ、こういうような話が出ております。その問題といまのタマネギの自由化という問題とに関連いたしまして、公取の意見としては、いわゆる自由化の方向で業者をどんどんふやせ、こういう方向であります。監理委員会の話では、輸入業者を指定取り扱い業者からはずすことはできないのか、こういう意見です。この点について、公取ではどういうふうに考えますか。
  120. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私の聞いておりましたところでは、台湾産のタマネギに限ってだけ、いわば秩序ある輸入をしたいという意味で輸入カルテルの申請をしておるのだと思います。書類で見ただけで私はよくわからないのでございますが、あまりにも思惑的に買い付けをしたりする結果が、たとえばよその国で買い付けているよりもずっと高値でもって荷を引いてくる、そうかと思うと、またばかに安値で引いてくるというふうに、買い付けの秩序がどうも過当競争の結果めちゃくちゃになっているというようなことから、いまの輸入カルテルというのがやられておるように伺っております。  そこで、御質問のポイントが、もし輸入カルテルそれ自体をもうやめてしまえということではなくて、その引いてきたものをちゃんと、まあいわげ特定の者だけがうまく、というとことばは悪いのですが、やるのじゃなくて、それをもっとオープンにしたらどうか、かようなお話であるとすれば、オープンといいましても、これはやはりなかなか野菜というのは扱いがむずかしい問題でございますから、いわゆる野菜などを取り扱う業者に広く、そういう輸入をした者は、少なくとも輸入カルテルに入っている者は過去の実績があってもなくても割り当てるようにしたらどうかというお話であれば、私は実はつまびらかではございませんが、気持ちとしてはやはりそういう方向ではないか、かように思います。
  121. 浅井美幸

    ○浅井委員 公取はこれでけっこうでございます。  一番の問題が、そういうふうに提案されています。  二番は、いわゆる野菜生産出荷安定法に定められた指定産地の野菜の三分の二以上は共同出荷し、生産量の二分の一は指定消費地へ出荷するという義務が守られていない。こういう野菜の指定産地のうち、これらについて義務を守らせるために指定を取り消すなどの許認可権をフルに使って行政指導してはどうか、こういう意見が第二番目として出ておりますが、これに対してどうでしょう。
  122. 黒木利克

    黒木政府委員 先ほども申しましたように、行政監理委員の個々の委員さんの御意見がありましたのをたまたま取りまとめましたものが新聞に出たのでございまして、行政監理委員会として、行政管理庁長官に意見をお述べになったわけではないのでございます。  問題点の一つとして指摘をされたところでございますが、しかし、この指定生産地制度というものが私たちの監察なり勧告のとおりに効果をあげておれば、こういう高値をいま来たしております野菜の生産ももっと供給が潤沢にいったに違いないじゃないか、この指定生産地の問題がはたしてわれわれの勧告どおり行なわれておるかどうかということを再び実は監察をいたしておるのでありますが、農林省に対して、どうなっておるのか、そういうことの回答をいま求めておる最中でございます。
  123. 浅井美幸

    ○浅井委員 私は、そういうものがあった場合には行管庁としてどうするかということを聞いておるのです。先ほどあなたが、これは行監委員の一人一人の意見だということで、行監のまとまった意見ではないという議論はあとでいたしますけれども、このような委員からの意見について、出ておる発言について、指定取り消しということについて、行管庁はそのようなことがあったならばどうするかということを私は聞いておるのです。
  124. 黒木利克

    黒木政府委員 指定生産地制度というものは、供給の確保という目的があるわけでありますが、その供給の確保ということが達成できていない生産地がある、そういう場合には指定を取り消すなり、もっと指導監督を厳重にしたらどうか、どうなっておるのかということを、監督官庁である農林省に私たちのほうで再勧告をし、その結果をいま聴取をしておるということでございまして、指定生産地制度実施状況について、はたして方針どおりに行なわれておるかどうか、どうも行なわれていない地域があるようではないか、そういうところは取り消すなりあるいは再指定をするなり、もっと方針を確実に実行できるようにしたらどうかということを再勧告をしておるような次第でございます。
  125. 浅井美幸

    ○浅井委員 次の、小売りマージンが昨年の一・五倍から二倍にはね上がっている。これについて農林省はどういうふうに考えて指導しておるのか、あるいはまた、これを国民に公開して、マージン引き下げの圧力としてはどうか。この意見についてはどうですか。
  126. 黒木利克

    黒木政府委員 この問題につきましても、ある委員からの発言がございましたが、私どもの調査あるいは監察の報告を地方から受けておるところによりますと、大根等につきましては、季節によりまして小売りマージンの幅が非常に大幅になっておる、一体その原因は何なのか、それが是正できないのかということを農林省に照会をいたしておるというか、監察結果の再確認をいたしておるということでございます。
  127. 浅井美幸

    ○浅井委員 先ほどあなたは、地方の行政監察局も使って個々の農業の実態の動向を調べるとおっしゃいましたね。農林省からの一方的な報告ではないですね。
  128. 黒木利克

    黒木政府委員 実は、野菜の指定生産地の多い都道府県の地方監察局に常時監察の項目としてこの問題を監察さしておるのでありますが、その報告を常時私のほうでとっておるわけでございます。その結果によりまして、季節によって大根等については小売りマージンの幅が例年と比べて少し高過ぎるのではないかというようなことを農林省に照会しておる、こういうことでございます。
  129. 浅井美幸

    ○浅井委員 いろいろとまださらに意見がございますけれども、私は行政監理委員会というものをもっと尊重してもらいたいということをここで強調したいのです。昨年から物価行政の改革に関する意見、あるいはまた当面の行政改革事項に関する意見、あるいは公害対策に関する意見、あるいはまた行政機構等の整理縮小に関する当面の措置について等が出されておりますけれども、これは正式の監理委員会の答申ではありませんか。
  130. 黒木利克

    黒木政府委員 先生も御承知のように、行政監理委員会は、行政管理庁長官に対しまして意見を述べたり、あるいは私のほうから諮問をいたしまして御答申をお受けしたりしておるのでございますが、この行政監理委員会委員長がたまたま行政管理庁長官だ、この委員長が参加しました委員会の正式な意見ということになりますと、委員長がたまたま内閣の重要な一員でございますから、内閣の意見もまとめた上で、内閣の意見と違うことは申せませんから、そういうことで、従来の慣行によりますと、委員長を除きました六人の委員の意見というようなことで意見もちょうだいし、また答申も受けておるということでございます。  従来の例を見ますと、数年前に特殊法人の整理の問題につきまして行政監理委員会としての正式の意見を受けたということがただ一回あるきりでございまして、行政監理委員会としての正式の意見なり答申というものは近来ないのでございますが、それはそういったような従来のいきさつからでございます。しかし、そうかといって行政監理委員会を尊重しないということではないのでござ  いまして、行政監理委員会の個々の委員の御意見も、実現できるものは大いに尊重して実現に努力をしておるということでございます。たまたま、ある委員の方で、よく個人的な御見解がときどき新聞に出ます。しかし、これは委員会としての意見ではないのでございます。個人的な御意見でございまして、ほかの委員にもいろいろ御異論がある場合があるのでございますが、私のほうは、行政改革につきまして非常に貴重な御意見だと思いまして、個々の委員の意見といえども尊重はいたしておるのでございますが、御案内のように、行政改革というのは、抽象的にはいろいろな意見もございまするし、また考え方もあり得るわけでございますが、いざ具体的な問題となりますというと、特に立法事項がわが国では外国と比べて非常に多いものでございますから、いろいろ国会の先生方の御意見等もございまして、なかなか御案内のように実現がはかばかしくないというようなことで、結果的には行政改革がなかなか遅々として進まない。行政監理委員会の委員の御意見の中で非常に卓見がありますけれども、具体的な解決の段階になりますというと、いろいろ国会での御賛成が必要でございまして、これについてやはりいろいろ問題がございまして容易に実現はできていない。しかし、それかといって全然手をつけていないわけではないのでありまして、実現可能なものから着々実現をいたしつつあるという現況でございます。だから、結果的に見ると、行政監理委員会の委員の先生方の非常にりっぱな御意見も、それが国会の審議事項になりますというと、なかなか思うように実現ができない、したがって、結果的には委員さんの御意見を尊重しないではなかったかというふうな御批判も受け得るわけでありますが、以上のような事情でございます。
  131. 浅井美幸

    ○浅井委員 行政監理委員会の存在価値、あるいは行政監理委員会というもののいわゆる構成という問題ですね。委員長を行管庁の長官が兼任しておること自体にそもそも問題がある。ですから、七人の構成のうちで六人がこういう答申や意見を出してきても、それは正式の委員会の答申ではない、意見ではない。軽視する風潮がある。それは単なる個人の意見であって、委員会としての権威あるものではないというとり方、これは行政管理庁としてすこぶるおかしい。ましてや、いままで出された意見が、あなたが言うように、いま政治上において、国会審議の上において、非常に採用されない。御高名な意見はわかるけれども、現実の政治の上において実現されない。結果的に見て、何のための委員会であるか、何のためのこういう委員会を開いておるのかわからない。また、行政管理庁自身が行政改革をしようという強い姿勢がないために、こういう行政監理委員会を軽視することになっておる。私は、次官にこのことを強く申し上げたいわけです。国民は政治不信におちいり、物価にしろ公害にしろ住宅にしろ、いろいろと行政に対して不満がある。この不満を改革するところは、解消するところは一体どこか。あるいはあなたが何回も勧告した、その勧告したことが守られなかったならば、一体どうなるのか、どういう権限をもってそれを改めることができるのか。権限がない。こういう中途はんぱな行政管理庁ならば、一省一局削減をあなた方が出しているのだけれども、まず行政管理庁自身を削減してしまえばいい。必要がなくなってしまう、私はそう言いたいわけです。私は、あなた方を責めるだけではない。激励して、やってもらいたいわけです。国民の一人として、公正な、また明朗な行政をしてもらいたい、そのために私は強いことを申し上げるわけです。  最後にお聞きしたいのですけれども、いまこの野菜の問題一つにしても、あるいはまた特殊法人の統廃合問題についても、国民の望んでいるものをすみやかに実現していける、そういう強い姿勢で、あるいはまた強い態度で、また行政管理庁職員が、長官をはじめ全員が一致団結して、ほんとうに国民が望むような生活安定のできる、そういう政治を行なってもらいたい、私は要望しておきます。その点に対する御決意はいかがですか。
  132. 黒木利克

    黒木政府委員 確かに御指摘のとおりでございまして、それほど行政改革がむずかしいということでもございますが、ただ、制度的に申しまして、行政管理庁は御案内のように総理府にございます。これがもし内閣にございましたら、各省庁の一段上から総理の指揮調整権といいますか、そういうものを行管が活用できるということにでもなれば、あるいはもっと効果をあげ得るのではないかというふうにも個人的には考えますけれども、行政改革が過去なかなか思うようにいかなかった、そこで御案内のように、先般の国会で、国家公務員の総定員法が通過をいたしまして、成立をいたしまして、行政整理につきまして、各省の定員の管理あるいは行政整理につきましては一つの方法論が確立をされまして、これは先般閣議決定で三年、五%削減をする、あるいは最近の閣議決定では、昨年の公務員の給与のアップに伴います閣議決定では、最高三年間に九%削減をするというようなことで、この国家公務員の総定員法の活用によりまして、公務員の削減、行政整理につきましては一つの方法論が確立を見たわけでございます。と同時に、今国会に国家行政組織法の一部改正の御提案を申そうと思っておりますが、これによりまして、局、部の改廃につきまして内閣に権限をお与えくださいますならば、一省一局削減というような形だけのことでなしに、事実上、局、部の改廃が行政管理庁の権限で、いわば政令でできるというようなことで方法論をお与えくださいますならば、行政改革もあるいはいまよりももっと効果をあげ得るのではないかというようなことで、いろいろ制度上の問題にもメスを加えまして行政改革の実をあげたい、こういう念願でいませっかくがんばっておる次第でございますが、先生の御意見、まことにそのとおりでございまして、ようやく今度の国家行政組織法の一部改正で、行革につきましても方法論がそろうわけでございますから、その武器を与えたもうならば、もっと効果をあげ得るのではないか。したがいまして、行政監理委員会の権威もそれによって高め得るのではなかろうかということで、せっかく努力をいたしておるところでございます。  御意見なり御激励はまことにありがたくお受けをいたしまして、大臣にも申し上げまして、その実現に努力するようにがんばりたいと存じております。
  133. 浅井美幸

    ○浅井委員 以上で質問を終わります。
  134. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 吉田賢一君。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 お昼を過ぎておりまして気の毒ですが、しばらくごしんぼう、おつき合い願います。  先に経済企画庁に伺いたいと思います。あなたのほうの経済研究所の内部の例のシステム分析調査室の業績を中心にして伺いたいのであります。  例のPPBSの調査研究につきましては、現在どんな作業が行なわれまして、具体的に実績と申しまするか、どのような成果をあげつつあるか、ちょっと概要を御説明いただきたいと思います。
  136. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 システム分析調査室の問題は私の直接の所管でございませんので、最近の状況を詳細にお答えするわけではございませんけれども、実は、御承知のとおり二年ぐらい前にPPBSの問題が非常に問題になってまいりまして、経済企画庁といたしましては、いわゆるシステムズアナリシスと申しておりますが、そういった技術研究というような問題につきまして、関係各省の比較的若い職員の方々に室員になっていただきまして、経済企画庁のそういったほうの関係の者も一緒になりまして室をつくりまして、主として理論的な面、それから、アメリカにおきましてPPBSは御承知のように実施されておりますが、その具体的な内容等について勉強してまいったわけでございます。そういった面につきましての研究あるいは知識というようなものは、大体ある程度の水準に達したということになっておると思います。現在、具体的なケースにつきまして、こういった方式をどういうふうに適用していくべきか、こういう面につきまして現在研究開発が行なわれておる、こういうふうに承知をいたしております。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 研究所の主任研究官が見えていますね、その方から具体的に御説明願ったほうがいいだろうと思います。
  138. 小金芳弘

    ○小金説明員 ただいま生活局長がお答えしたと思いますが、われわれは経済研究所でございまして、われわれの任務はシステム分析とPPBSに関する研究開発にあるわけでございます。  私どもは、第一段階といたしまして、システム分析とPPBSに関する実際の研究を、特にアメリカの事例について、発足いたしました当初、四十三年、四十四年にかけてやったわけでございますが、四十五年度はそれを実際に、その手法を用いて実際の行政目的に役に立つ研究一つをやろうというねらいのもとに、大体年間三百万円の予算でございますが、これを使いまして、二つのケーススタディーを行なったわけでございます。  一つは、水質保全に関するケーススタディーでございまして、水質汚濁を防止するためのいろいろな政策、これをやる場合に、どういう規制なり、投資なり、そういうものの組み合わせをやることによって最適の水質保全ができるかというのが一つのテーマでございまして、これにつきましては、直接行政の目的に初めから使うということでなく、と申しますのは、これは目的が研究開発でございますので、ある河川をモデルケースとして取り上げまして、実際にそれについてそういうシステム分析の手法が役に立つかどうか、そういうモデルをつくったわけでございます。この結果は、現在第一次段階のようなものができておりまして、これはわれわれの立場からいたしまして、方法論的にこれで問題がないかどうか、これを検討いたしまして、現在のところでは、今年五月ごろになりますれば経済研究所の研究シリーズとして発表いたしたいと思っておるわけでございます。  それからもう一つのほうは、これはPPBSの中でシステム分析と並びます大きな柱となっておりますプログラムストラクチャーの研究というのでございまして、プログラムストラクチャーと申しますのは——政府の各部門がいたしますいろいろな事業、たとえば保健衛生でありますとか、公園であるとか道路であるとか、いろいろ政府は行政的な仕事をいたすわけでございますが、それぞれの政府の部門の行為というものは、ある地域住民なり国民なり、そういうものの福祉の向上ということをそれぞれ目的としておるわけでございまして、現在政府の持っております問題の中で非常に大きなものは、そういう政府の各部門の実行いたします行政行為というものの目的が、それぞれ相互に関連しておる、一つ一つの部門だけでは、何と申しますか、それぞれがばらばらに自分の部門の仕事を一生懸命やるだけでは全体の効率が確保されない、それが現在の非常に大きな問題でございまして、これは公害などが非常にいい例でございますが、公害とか交通事故とか、それぞれの担当しておるところの仕事だけではいかぬ。プログラムストラクチャーと申しますのは、政府がやりますいろいろな仕事の目的を体系的に組み上げまして、それぞれの部門が、その地域住民なり国民なりにとってどういう目的を追求するかということを体系的に見てみようというのがプログラムストラクチャーの趣旨でございます。  これにつきまして、やはり一つの県の実例といたしまして県庁のやっております仕事を取り上げて、その仕事を各係の段階まで全部ばらばらにばらしまして、それをそういう地域住民の福祉というような観点から体系的に組み上げるという作業を一つやったわけでございます。これが現在やはり中間的な段階でございまして、中間報告的なものは出ておりますが、これは私どもといたしましては、今年度中にこの結果をまとめまして、経済研究所の出しております研究シリーズ、ないし経済分析というものに研究報告というかっこうで発表いたしたいと思っております。  このために用いております予算のほうは、四十四年度から毎年シテム分析のために特計いたしておりますものは大体三百万円くらいでございますが、四十五年度は、このプログラムストラクチャーの分析につきまして、大蔵省の持っておりますPPBSの予算の中から約百五十万ばかり移しがえを受けまして、われわれのところでやったわけでございます。  これが大体われわれの四十五年中にやりました仕事でございますが、将来このシステム分析の仕事をどういうふうに伸ばしていくかというのは、われわれといたしましても、現在どういうふうにやるべきであるかということについてはまだはっきりした方向が確立しておるわけではないわけです。と申しますのは、われわれといたしましては、この種の手法をさらに開発し発展させて、実際の長期計画なり実際の予算作成、中央政府、県あるいは市町村等における実際の行政に役立たせるということを最終の目的として努力をしておるわけでございますが、現実には、このシステム分析ないしPPBSというような手法は、非常に学術的と申しますか、ややソフトな領域に入るものでございまして、宇宙科学であるとか防衛であるとか、そういう機械を主体にしたシステムを扱うものでなく、社会的、経済的な問題に非常に関係するものでございまして、第一番に、その分析のために役に立つようなデータを体系的にそろえるということは非常にむずかしい。それから第二番目に、いろいろな社会的な各種のメカニズムであるとか、それと、たとえば公害のような場合でありますと、気象であるとか空気、水等の自然科学的な現象、こういうものを全部一体にいたしましてシステム的に分析するということは、方法論的に非常にむずかしいわけでございます。それでわれわれといたしましては、その中で一番取りつきやすいものからやって研究実績をあげるということをねらいにいたしてやっておりますので、われわれといたしましては、今後、今年ないし明年はこの調子で実際に研究を進めるということを目標にしておりますが、将来これを政府の仕事の中で全部に生かしていくためには、やはり各省なり各地方の実際行政を担当される部局と、それから民間にも最近多数出てきておりますが、多くの研究所、そういうものとの連携のもとにこの種のものを実用に生かしていくということがねらいにたるかと思います。  われわれのこれまでやりましたところでは、実際に全面的にこの手法を行財政の中に取り入れていくというのには、まだ相当時日がかかるのではないかという気がいたしておりますが、現在のところまでは大体そういうようなところであります。
  139. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 答弁者側にお願いしますが、時間もございませんので、なるべく要領よくお願いしたいと思います。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまのシステム分析の努力は多といたしますが、一つは、年間に三百万円ないしは三百数十万円、そんな少額のもので次の段階にこれは具体的に日程にのぼさねばならぬ、政治日程にのぼすべき目標があろうはずですから、もっと徹底した調査研究を大がかりにする、速度を早めるというふうにすべきではないか。アメリカにおきましては、すでにあらゆる意味におきまして実施しつつある。相当経験をも積み、あなたもまたあちらへ行って、調査研究の成果を国内で発表もしておられるんですから、その辺がどうなんですか、予算要求の際に、思い切って相当内容の豊富な計画のために相当人材も網羅する、科学者もそこに導入するといったような構成で調査研究を進めていくということをどうしてしないんでしょうか。すでにもう三年を経過いたしておりまして、いまなお研究中でございますというのでは、一大学のどっかの研究室のすみっこで学者が顕微鏡と取り組んでなさるような感じがしてならぬのであります。いかがですか、その点。これはひとつ、だれかいませんか。いまの主任研究官では御無理と思いますが、政務次官おられるんですか。——帰りましたか。
  141. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま研究所の主任研究官から御説明いたしましたように、経済企画庁としてこの問題に取り組んでおるのは、研究開発という面で担当しておるわけでございます。もちろんこのPPBSの導入ということは、予算制度として非常に重要なことでありまして、大蔵省の主計局のほうに相当額の予算を持ちまして、それ以外にいろいろの調査なりあるいは研修なり、そういうことをやっております。何ぶんにも、先ほど申しましたように、まだいろいろ問題も残っておるものですから、これを制度的に大々的にやるべきかどうかというようなところがまだ結論が出ておらないということでございまして、これを制度として取り入れてくるということになりますれば、当然それに応じて予算その他の措置も十分にとることになるもの、こういうふうに考えております。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは担当の局じゃありませんから、ひとつ、お帰りになりましたら、庁の幹部にも国会でこういう発言があったということをおっしゃってもらいたいのです。私どもの期待しましたのは、さっき申しましたように、研究のための研究に推移するものは全然期待にないのであります。やはり各省から相当なスタッフが集まって、そうしてこの研究所は構成されているはずでありまするので、相当な成果が毎年発表されていく、そうしてやがて具体的日程にのぼる、こういうことが国会に報告されるということを期待しておったのであります。しかるに、現状ではちょっとそれはむずかしいらしい。これは、お帰りになりましたら、あなたの局ではないが、小金主任研究官もそのおつもりでひとつ所長並びに庁の幹部とよく御相談を願いたい、こう思います。  それから、端的に申しまして、PPBSを具体的実施部門に導入するということになると、結果的には、これは政策面とかあるいは行政面、財政面、時間とか空間とか、公務員の業務の効率とかいったような効果が実際に期待し得るのだというような、そういう見通し、確信を得るところまでいっておりますやいなや。いまの分析によりましても、ごく部分的な分析のようでありますけれども、導入の結果、その効果というものは、いま申しましたようなことは可能であるのかどうか、その期待は不可能なのかどうか、そこはどうでしょうね。これはだれか言ってください。
  143. 小金芳弘

    ○小金説明員 実際のところ、非常にむずかしい御質問でございますが、われわれのほうといたしましては、さっき申しましたような基本的なデータが集まり、かつ、これを解析する——現在最も重大な問題は、そのデータの収集であると思います。各方面からのインフォーメーションを総合するということができれば、現在政府のやっております仕事でいろいろ能率の悪い点があるのには、そういった基礎的なデータとその突き合わせというのが十分うまくいかないというところに非常に大きな問題があると思いますので、そこのところが各省なり各地方自治体なりの協力体制がうまくできて、データがうまく集まるということになりますと、現在われわれの持っている程度の技術によりましても相当な成果が期待できるのではないかと考えております。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 としますと、たとえば来年度あたりでも、近い年度に具体的に導入を日程にのぼすことが可能になるというような見通し、期待は、これは不可能ですか。
  145. 小金芳弘

    ○小金説明員 私どもの経験から申しますと、中央政府というように、仕事が非常に抽象的になってまいりますと非常にむずかしいのじゃないかと思います。アメリカなんかの実情で申しましても、政府の中で一番先にこういう種類のものを取り上げて実行に移しておりますのは、市でありますとか州でありますとか、そういうところが一番入りやすいというふうに考えております。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたらの大きな目標、また国民がPPBSに期待するものは、アメリカの国防省におけるマクナマラの思想として大統領もこれに同意し、かつまた、各省がこれに同調していくという相当実績をあげたので日本にこれがだんだんと移ってきた、こういうふうにわれわれは考えておるのです。その発生源がどういう過程で、地方の一市がこのようなものを開発したということに発するかは別といたしまして、いまはやはり国事、国政の段階で議論する場でありますので、歴史的な古いそういうものはともかくとしまして、すぐに日程にのぼし得るようなこと、もしくはすぐでなくても、近いときにこのような期待があなたのほうで何らかの回答を得られるかと思ったのです。大蔵省とも十分にお互いに話し合ってみる機会を持ちたいと思いますから、この点は後日に留保しておきます。  企画庁に伺います。例の物価政策の問題でありますが、これは、だんだんと公害国会か物価国会かといわれるほど、また佐藤内閣にいたしましても、重要施策の一環といたしまして、今日の国内政策、政治の最大の課題とまでいわれるのであります。いろいろと学説等々はありますけれども、端的に申しまして、消費者物価というものは、何をねらって、何を重点に、どうするならば最も安定に近い方策が立てられるであろうか。われわれも、物価懇談会その他閣僚協議会あるいは閣議の決定等々によりまして、幾多の案が出ましたことも存じております。しかし、実績はあがらず、依然として天井知らずに上がっていくのが現状でありますので、国民としてはこれはどうしても忍びない。社会悪の根源、物価と公害なりといわれるくらいでありますので、そういうことを考えますと、いまねらっておる最大の重点、そこはどうおねらいになっておるのだろうか、この点をまず一つ伺っておきます。
  147. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘のとおり、物価問題、非常に重大な問題でございまして、しかも各種の施策をやっておりますが、消費者物価の安定を確保することはなかなかむずかしい現在の事情でございます。そこで私どもとしていろいろの施策を、昨年も物価対策閣僚協議会等でおきめを願いまして、関係各省の御協力を得、各方面の御協力を呼びかけながらやっておるわけでございますが、やはり何といっても基本的な問題は、過去三、四年、一、三%というような非常な高度成長が行なわれた、その結果といたしまして賃金等も相当上がってまいりましたし、そういった形での、言ってみれば影響というものがタイムラグを持って現在も残っておるという面が非常に大きいと思います。一方では、わが国の経済構造というのが、いわゆる二重構造という形をまだ色濃く残しておるわけでございまして、これをどう改めていくかという点も一つの大きな問題でございます。  そういった面のほかに、現在、消費者物価の安定と申しますか、落ちつきに対して支障のあるような制度あるいは行政という面もございます。行政介入の問題として、昨年、物価安定政策会議でいろいろ問題になったような面もございます。それからいま盛んに議論をされておりますいわゆる大企業製品についての問題、こういった面は政策的に取り組むべき重要な課題でございますが、私どもいま考えておりますのは、何といっても一番基本的なものは、経済の成長そのものをある程度安定的な路線にのせていく、これがやはり一番基本であろうと思っております。そして経済の構造、特に流通だとか低生産性部門というようなところについての生産性の向上ということをはかっていく、これは効果がすぐ出るというものではございませんけれども、そういった面が非常に大事ではないか、そしてまた、これを補完していくものといたしまして、輸入政策ということが非常に重視されておるわけでございます。輸入の自由化が進められておりますが、特に消費物資については、従来必ずしもこういった面が自由に行なわれておりません。こういった面もこれから強化をしてまいらなければならない。何ぶんにも物価の問題というのは非常に広範に関係するものでございますから、これ一つだけやればというものではないわけでございまして、そういったものを総合して取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 高物価の原因が、種々の要因が相重なっているということもよくわかるのでありますが、それならば、政府といたしまして、消費者物価安定のためには広く全国民的な協力も必要である。こういう原因が物価高のよって来たるゆえんであるからというようなことを、手段を尽くして十分にPRする必要もあるんじゃないだろうか。とかくその辺が足りないように思うのです。たとえばマスコミ等にあらわれましたいろいろな物価論説なんかを見ましても、一流大企業の方面からは所得政策がすぐに出てまいりましょうし、あるいはまたインフレを是正するという面につきましても、輸入があればすぐ解決するかのような錯覚に国民はおちいりがちでありまして、賃金と価格上昇が悪循環する面であるとか、超過需要の面であるとか、過大な通貨量であるとかいう面、あるいはまた低生産性部門の例の生産性格差の問題にいたしましても、よほど綿密な配慮のもとに国民に徹底させなければいかぬだろうと私は思うのです。その辺が足りないんではないだろうか。これは企画庁の長官にほんとうは聞きたかったのでありますけれども、国民生活局長、これはあなたの責任で、もっと広範にPRする必要がある。原因を突き詰めたところを国民に知ってもらう、反面、物価論説にもありますように、この経済成長の過程において物価高はあたりまえだ、やむを得ざることである、インフレは終息することがない、不可能である、こういう議論も相当あるわけなんであります。はたして一体そうなのかどうかということも考えますと、やはりここに懇切に、綿密な用意をもちまして、周到な用意をいたしまして国民に訴えるところがなければならぬ、大っぴらに訴えなければいかぬと思うのです。それは三行やら十行やら、そんなものでは国民はわかりません。金をよけいもらいたい、遊びにもよけい行きたい、うまいものをよけい食いたい、楽もしたい、物見遊山、レジャー、あれもこれもみなけっこうでございます。そのかわり、通貨の量が過大に流れていくじゃないか、通貨インフレになるじゃないか、そういう論理はあんまり考えません。さっきどんどん議論が交換されておりましたが、もうければいいんだということになってきますと——皆さん、完全雇用を失ったならば、日本は一体どうなります。それなら全員就職しなければいかぬ。労務不足、すなわち労務需給の逼迫という問題がある一したがって賃金が上がってくる。賃金も上げなければならぬが、もうけもしなければいかぬ、これが両立していくということになってまいります。そうすると物価に転嫁していく。一流企業は物価に転嫁できますよ。さっき管理価格で議論されておりましたように、一流の企業は自分が価格を支配するのですから、それはできますけれども、中小企業やら百姓やら漁業者になりましたらそんなことは不可能であります。でありますから、一体どうなるかということになると、いびってしまうということになるのではないか。この間の論理を直截簡明に国民に事実をもって知らしていって全国民の協力を求める、しょせんそこまでいかなければ——日本の現状がインフレという前提に立つのですよ。これを終息せしめて、おっしゃるようなある程度の安定成長、そして物価の安定、それを招来することは不可能じゃないかと考えるのですがね。国民生活局長経済企画庁はそういう点について、一体どんな結論を持っておられるのです。
  149. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 非常に大きな問題でございます。確かに、いま御指摘のとおり、物価の安定と申しましても、わが国の経済構造なり現在の完全雇用下で、ある程度の成長率を保つという場合に、この上昇率をゼロにするということはできません。これをできるだけモデレートなところにして、なおかつ所得の配分、資源の配分というようなものを適正にやっていきたい、これが結局物価政策としても究極の目標だろうと私は考えております。そういう意味で、たとえば新経済社会発展計画におきまして、一〇・六%の実質成長率に対して消費者物価は四・四%ぐらい、これは六年間の通算でございますが、そういった数字を出しております。  いずれにしましても、そういった面について国民全般に御理解を願うという面では、総理大臣の施政方針演説なりあるいは経済企画庁長官の演説その他いろいろの機会にずいぶんやっていただいておりますけれども、確かに、御指摘のように、まだまだ不十分ということは私どもも感じております。これはわれわれもそういった面で、いろいろ機会をつかまえまして、できるだけあちらこちらの方に御理解を願うようにいたしたいと思っております。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 現実の行政面をとって考えますと、物価問題につきましては、各省それぞればらばらになっておるという感じがしてなりません。この点は先年も私は指摘をいたしました。菅野さんが大臣のときにも指摘したのでございますが、依然として直らない。ひとり物価だけではありません。公害も同様であります。あらゆる施策が実効をあげてこないというゆえんのものは、各省がそれぞれなわ張りに閉じこもって、長官は、おれの省はおれの主宰下にある、おれの省はこうだ、企画庁がどんな案を持ってきても、企画庁は企画庁で出せばいいんだ、これを食うか食わないかこちらが適当にするというようないまのばらばら行政ということに由来するんではないだろうか。ここはひとつあなたらにおきましても深く留意をされまして、どうするならばここが総合的に統一的に日本の全国民の福祉にこたえるかという意味におきましての行政のあり方というところに反省をもっていかねばならぬということ、病源深いということにひとつ思いをひそめてもらって進んでいくということにしなければ、どんなに経済企画庁がさか立ちになりまして努力しようとしましても、それだけではいけません。この点をひとつ十分に考えてください。しかし、あなたらにこれを打開しなさいとは申しません。これはやはり長官とも話し、また総理大臣の決意、総理大臣の勇気、勇断、問題に対するほんとうの深い認識ということに出発し、そこに立脚しなければ解決できない問題でありますが、しかしひしひしとお感じになりませんか。どうです。
  151. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 確かに御指摘のような問題が非常に大きな問題でございます。もちろん政府の部内でも経済企画庁だけがやっておるわけじゃございませんで、物価関係閣僚協議会、それから物価担当官という事務方の会議もしょっちゅう開きまして、関係各省が力を合わせて物価問題に取り組む、これはこの一年くらい見ておりましても、各省の姿勢も非常に前向きになってきておるとは思います。しかし、何ぶんにもこういった問題でございますので、まだまだ不十分という面は多々あるわけでございまして、私ども努力をしてまいりたいと思います。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  そこで、時間の関係もありますので要点にしぼりますが、例の低生産性部門に対する物価対策、それから連なる流通機構の合理化、改革の問題でありますが、これは当面しまする、例のさっきから問題になっておりました野菜等の問題にいたしましても、結局これに帰すると思うのです。ところが、その問題一つとって考えましても、なかなか低生産部門の対策というものは簡単にはまいりません。たとえば農業にいたしましてもそうです。農業のいまの就労人口ないしは日本人の食生活の大きな変貌、だんだんと動物性たん白が増大してくるという日本の食生活の傾向、でん粉質を中心にいたしました栄養価というものが漸減の形になっておる。したがってまた米は増大する、余ってくる。このようなギャップの中におるところの百姓、そして資力はない。科学技術庁が出しておる科学技術白書によって見ましても、年齢統計から見ましても、若年はほとんどなしというのが実情でございます。こういうことでありますから、労働力は不足、資金もない、技術は幼稚である、規模は小さいというような状態であります。それ自身をどう一体改革するのか、どう改善するのか、どう体質を強化するのか、企業的にもっと生産性を高める可能性ありやいなや、どうするのかということになると、これは農業政策になってきます。総合農政の一環として考えなくちゃならぬのじゃないか。いな、また反面労働政策として考えなければいかぬのじゃないだろうか。あるいは技術開発をどうしたらいいんだろうか。五十、六十になった人にアメリカに行ってアメリカの農業を研究してきなさい、カリフォルニアの養鶏を見てきなさいということを求めることは不可能であります。だから、それならば十五、十六の若い中卒の少年が魅力を持って今後打ち当たっていける農業を建設するということになるのではないか、沿岸漁業も同様であります。零細漁業も同様であります。零細漁業が一本釣りでは間に合わぬ、間に合いませんので、結局転換してノリをつくるというようなことにもなってくるのでありますが、それとてもやはり零細農業と同じ零細漁業であります。年寄りがだんだんとふえてくるというような状態であります。でありますから、この低生産部門に対する対策というものも、本気でやるのならばたいへんな課題であります。そこまで深く掘り下げていくのでないと解決をいたしません。私は別に釈迦に説法はいたしません。流通機構も同様であります。スーパーは大資本をもちましてどんどんと買い入れてきて、蔵に貯蔵しておくことも可能です。しかし小さい小売り商人はそんなことできやしません。  そういうことになりますので、日本的な流通機構の現状をどう改めたらいいかということを具体的な対案をもって訴えなさいよ。その辺がどうも私には、閣僚協議会とかあるいは物懇などで前にきめましたような、それはわかりますよ。わかりますけれども、もっと説得力のあるような案を全国民の前に示すというような姿勢が欠けておるような気がしてならぬ。だから、低生産部門におきまして、ことしの予算も去年の予算も一応拝見しました。何に使いよるかということも大体見当はつきます。つきますが、やはりこれは思い切って、そういう総合施策が必要なりという観点に立って実施していくということにしなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、その点どうですか。
  153. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 どうもたいへん大きな問題でございまして、私ども全くいま先生御指摘のようなことと考えております。特に農業の問題についての御指摘がございましたけれども、もちろん私ども、物価対策というような面からもこういった面につきましての今後のあり方ということをいろいろと勉強もし、また各方面にお願いもしておるわけでありますけれども、これ一つをとってみましても、農林省全体が取り組んでもなかなかたいへんで、しかも思うように進まないという面もいろいろあるような段階でございます。  しかし、いずれにしましても、わが国の経済全体がこのように急速に発展し、また変わりつつあるわけでございまして、こういった部門での合理化なり近代化の問題というのは避けて通るわけにいかない問題でございます。したがいまして、私どもももちろん全力をあげてやってまいりますが、農林省にいたしましても、あるいは中小企業対策についての通産省等におきましても当然全力をあげてこういう面に取り組んでいただく、こういうことで考えてまいりたいと思います。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 厚生省で近く告示するらしいのだが、冷凍食品の規制の問題、コールドチェーンはもっと科学的に活用され、あるいはまた整備されていく必要があると思うのですが、食品衛生の見地から、魚介類などにつきまして相当な衛生基準が設けられることになるらしいのですね。やはりこれを厳格に行なっていくということが、いまやかましくいわれまする食品公害等のそれを未然に防いでいくゆえんでもあるし、あるいはまた製造年月日を入れるとか製造場所を表示するということを適切に行なうということ等が、これは需要者の立場から考えましても、扱うほうの立場から考えましても当然であります。しかしこれは単に良心の問題というよりも、厳にこれを実行することは当然だというふうにわれわれは考えておるので、いまさらこういう基準が設けられるというようなことに若干疑問を持つくらいでございます。この問題等につきまして、これは厚生省自身が実施官庁になるわけですか、企画庁は何らかこれに関与していくのですか。どうですか。
  155. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいま御指摘の問題は、現在やっております食品衛生法によります一般的な衛生基準と申しますか、そういったもので冷凍食品についても当然適用されておるわけでございますが、だんだん冷凍食品の流通がふえてまいりまして、いわゆるコールドチェーンという形で普及してまいっておりますので、冷凍食品に限って特に必要な問題、たとえば保存温度の問題でありますとか、あるいは冷凍食品を使う場合における調理の方法とか、そういったようなものも含めまして、何か特別の基準をきめる必要があるのではないか、こういうことになってまいりまして、厚生省のほうが検討を始めた、こういうふうに聞いております。私どものほうも、消費者行政という見地から、かねてこのような問題についていろいろ意見も言っておりますので、厚生省の今回の検討開始を非常に歓迎いたしておるわけでございまして、できるだけ早くきめていただきたいと思っております。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行管の生鮮食料の監察の問題につきましてはいろいろ伺ってみたいのでありますけれども、さっきの浅井さんの御質問とやや重複する面も出てきまして、若干でも重複いたしてまいりますと、時間がないときに恐縮ですから一切これは省きたいと思います。せっかくでございましたが、御了承を願います。  ただ一つ希望を申し上げておきたいのでありまするが、あなたのほうの行政監察がここ数年来しばしば実施されまして、あるいは生鮮食料一般、肉あるいは魚類等に至りまするまでいろいろと監察をなさったようでありまするが、この面も、やはり行政運営の見地から考えまして、視角は違いますよ、視点は違いますけれども、農林省の生鮮食料の価格安定対策本部もありますし、農林省自体も、みずから野菜とか生鮮食料等につきましては、相当調査機構も運営も事実、省自体がやっておるようでありますので、できるだけ重複を避けて、あるいは一本化するところは一本化していく、同じようなことを一緒にやるということじゃなしに——角度が違いますから、概念的にはこれはみな別々でありますけれども、やっていることは似たようなことだということにならぬように私はしなければいかぬだろう、こう思っておるのであります。せなければならぬことはあとに山積しておりますので、この点だけは強く御要請申し上げまして、そうでないと思いますけれども、また今後の御参考にしておいていただきたいと思うのですが、何か御感想がありましたらちょっと伺っておきましよう。
  157. 黒木利克

    黒木政府委員 御指摘のとおりでございまして、できるだけ重複を避け、簡素な行政ができるようにということを念願といたしております。  ただ、御指摘の生鮮食料品の問題につきましても、農林省だけの責めに帰すべきことでなしに、たとえば輸送の問題で運輸省の関係もございます。したがいまして、私のほうは総合的に、各省にまたがる問題がございまして、その調整をしなくちゃならぬということで、そういう点に実は監察の重点を置いておる次第でございまして、御意見は十分に尊重してまいりたいと思います。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行管、終わりましたからどうぞ。企画庁もよろしゅうございます。総理府、おられますね。  一、二問題を伺ってみたいと思います。  一つは、総理府本府におきましては、例の青少年対策というものが数年来の一つの重要な懸案になっております。特に最近の青少年の非行傾向、ないしは大それたあらゆる凶悪事件の発生などにかんがみますると、青少年の健全育成というのは、いよいよ次代というよりも現在の重要課題としてわれわれは取り組んでいく必要があることはもちろんであります。  そこで、青少年対策につきまして例の青少年問題の審議会がございますが、審議会が大体議題にし、審議会が目標といたしておりますものは何と何と何であろうかというようなことをおよそ毎年おきめになって、この審議会が運用されていくのであろうか。それとも、たとえばこれは総理府であろうと、外務省、文部省から農林省、運輸省、労働省、建設省などにまたがりまして、それぞれと——総理府は総理府で審議会もあるし、研究調査もしておられるし、補導センター等、いろいろと対策につきましての調査研究をやっておるようでありますが、これは各省にまたがりまして、それぞれとばらばらにやっておられるというわけではないと思いますが、その辺の元締めをしておられるのは総理府であろうか、あるいはそれとも横の連絡をとりながら歩調を合わそうというような努力でもしておられるのだろうか、こういう辺が少し私にはなお懸念されるのであります。なぜならば、実績が全体としてあがっておるのかどうかわかりかねる。いよいよ日本の将来はこの青少年にまかして大丈夫だというようなことでなしに、危惧すべき案件が続発してくるからであります。年間を通じまして、四十六年の予算を見ましても約八十億円、四十五年でも六十七、八億の金を使っているのであります、総合いたしますと。こういうことでございますので、その辺につきまして、まず審議会の議題として重点をずっとあげて、そして審議していくという方向でもいっているのかどうか。総理府本府が中心となりまして、そして各省にまたがりまして連絡をとっていくという体制でいくのか。どららなんでしょう。
  159. 湊徹郎

    湊政府委員 審議会運営の具体的なことは事務局から申しますが、その前に、先ほどの議論とも関連しておるのでありますが、最近各省庁にわたる仕事が非常にふえてまいっております。私どもの管掌しております公害の問題しかり、災害の問題またしかり、あるいは交通安全対策、青少年問題、あるいは同和対策、いろいろございますが、これは数省にまたがって、文字どおりいまおっしゃるような総合調整を必要とする面でございます。そういう点から山中長官とともに——基本的にいままでの行き方を見ますと、率直に申しまして、担当している各省予算を大蔵に対して出し、それが仕上がった段階で実施のときにいろいろと調整をする、平たく言えばそういうふうな経過をたどってきておりますが、それではよろしくあるまい、事前に見積もる段階でもうすでに調整する必要があろう、こういうことでございまして、今年度の青少年対策、それの実施部隊は各省でありますから、各省の持っております予算等についてもそれぞれ事前の調整を実はやったわけでございます。  それで、ただいまおただしのように、公害についてそうであるごとく、非行という一つの現象に対してどう措置をとるか、非行が生じないように健全な環境をどういうふうにつくっていくか、また青少年活動をもっと積極的に展開するためにどういうくふうがとられてしかるべきか、それぞれの段階に応じてバランスをとりながら全体の政府の施策を総合的に調整しよう、こういうふうに私ども考えております。したがって、その中心となりますいまの青少年審議会でございますが、これも率直申しますと、いままでの構成を見ますとお年寄りの方が多うございます。六十歳過ぎた方やなんかが主役を演じて審議会が運営された。これはちょっとおかしい。やはり二十代は二十代、三十代は三十代、むしろ若い青少年のなまの声が反映されるような審議会につくり直すべきではないかというので、昨年実は思い切った全面的な構成がえをやりまして、自来数回運営しておりますが、非常にけっこうな有意義な意見が出てまいっております。それで、現在の段階では青少年対策の今後の国としてとるべき基本政策についてどうだ、こういうことを諮問してございます。いままで個々の問題等についても諮問してまいりましたが、そういう基本的な問題と、それから当面するそれぞれの種類に応じた問題と使い分けながら、ひとつ審議会を運営していきたいというふうに私ども考えております。  細部は事務当局から申し上げたいと思います。
  160. 清水成之

    ○清水政府委員 ただいまの副長官のお答えを多少補足さしていただきたいと存じます。  青少年問題審議会のことをまず申し上げますと、青少年問題審議会は、諮問に対しまして答申をお願いする、こういう仕事が一つございます。この問題につきましては、一昨年来、ただいま副長官がお答えしましたように、青少年行政の基本的なあり方につきまして、毎月一回いま審議を続けておる最中でございます。そしてこの一月から企画小委員会を設けまして、細部の柱をどういうふうにするかというような審議事項の整理に入っておる段階でございます。  なお、青少年問題審議会のもう一つの仕事といたしまして、みずから意見具申をするということがございます。最近におきましては、昨年、都市化の進展と青少年問題の対策、それから一昨年の暮れにおきまして、余暇活動の増大と指導者の養成、こういう問題について貴重な意見具申をいただいたのでございますが、昨年の十一月からは、最近ひんぱんになりました青少年の国際交流について、何らかの情報の整備とかあるいは調整という必要があろうというので、これは青少年問題審議会独自の立場から部会を設けまして、目下審議中でございます。青少年問題審議会につきましては以上でございます。  なお、予算面の相互調整の問題でございますが、先ほど副長官からお答えいたしましたとおり、審議会からもそういういろいろな意見具申をいただいております。それを踏まえまして、各省連絡会議、これは課長レベルの会議を持っておりまして、予算要求にあたって、どういうところに最重点を置くかという共通の目標をお互いが持つということをまず第一段階としていたしておるわけでございます。それから、各省から大蔵へお出しになります前後にわたりましてお話を聞いておるわけでございまして、その段階で相互の話し合いをやる、それから審議会とのからみでございますが、私どもと審議会と意思の疎通をはかりまして、審議会のお立場からも、また私どもの立場からも率直な御意見を申し上げまして、青少年対策の観点から、来年度重点事項は何であるか、各省の柱につきまして拾い上げておるわけでございます。そして私どもからも、また青少年問題審議会会長からも、総理並びに長官、大蔵省のほうへその考え方を伝えて、ぜひその重点事項、また最重点事項につきまして特段の反映方をお願いしておる、こういう状況でございます。
  161. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの問題、来年度の重点事項、施策というのは、これは非常に大事な問題であります。  それならば、これはことしどうであったか、去年どうであったか。資料としては、ことし、去年、おととしならば出ましょうから、何が重点であったかということを振り返って検討する必要はないであろうか。あまりにも社会の流動テンポが早うございまするので、青少年の世界観、価値観というものも格段の相違を来たしつつあるのではないだろうかというようなことも考えまするし、といって、これは焦眉の急の重要問題でありまするし、速急に成果があがるものじゃありませんが、これは今後よほど大事な取り扱い方をしてみたいと思いますので、いま申しましたように、ことし、去年、一昨年、過去三年くらいにわたりましての重点事項、重点施策は何であったか、各省とも、これはひとつ資料として委員会に至急に御提出を願いたいと思います。それから、いまの来年度の同様事項につきましては、来次第にまたひとつ当委員会に資料として御提出を願いたい。これはひとつ御希望申し上げておきます。よろしゅうございますか。——よろしゅうございますね。  それから、もう一つちょっと尋ねたいのでありまするが、多岐にわたることもけっこうでございます。また国際交流ということもけっこうです。はなやかな外国の場を見てくる、空気に触れてくるというのもけっこうでありますけれども、これは限られた人であります。広く無数の青少年に対しまして当てはまりませんから、選ばれた者が船に乗り、飛行機に乗って、向こうで何やかやと見て、勇ましく意気揚々と帰ってくるというような、それは羨望の的になるかもしれませんが、それでは私は解決にはならぬと思いますので、それをけなす意味じゃありませんが、もっと全青少年を対象にしまして、地についたじっくりとした人間形成ということに力点を置くという手段はどうであろう、そういう手法を、何も文部省だけにまかしておくのじゃなしに、文部省の専売のような顔をせずに、各省もそういう点を特に留意してもらう必要がないか、こういうことを考えるのであります。事業というものをちょっと一覧してみまして、あれこれとございますけれども、ちょっと打ち見たところ、どうもはでな面が多過ぎるというような感じがいたしますので、じみに取り組む手はないであろうか——じみでは青少年はついてきません。あるいはそうかもわかりません。ダンスでもやらなければ若い人は集まってこないというようなことをいわれますが、そうかもしれませんけれども、なおそこに大きな省みる余地があるのではないかと思いますので、この点につきまして、御感想いかがでございましょうね。
  162. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 大事な問題に対する御質疑ではございますが、理事会申し合わせの質疑時間は三十分程度であります。ただいま申し合わせ時間を四十分超過いたしております。結論をお急ぎいただきとうお願いいたします。また、答弁者側につきましても、先ほど申し上げたのですが、なるべく簡潔明瞭によろしくお願い申し上げます。
  163. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま先生おっしゃるとおりでございまして、本年度から、たとえば青年の船あるいは海外に対する青年派遣をやっております。各府県からかなりの数に今日までなっております。そういうものを母体にして、今度、実際行ってこられた方々の現地活動ということで、今年からあらためて、ただいま申しますようにすそ野を広げる方法を講ずることにいたしております。それと、社会生活の変貌に伴って青年諸君の意識そのものの変化、こういうこともございますので、現在青少年の意識調査、特にその社会連帯感、こういうことを中心にして現に調査を進めております。  それらの成果を踏まえて、今日的な新しい状態に対応する、いままでのマンネリを飛び越えた施策を考えたいというふうに思っております。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとかけ足でまいります。  新生活運動というのがありますね。それについて伺いたいのですが、新生活運動というのは、大体市民的な構成とかあるいは事業でもやっていくのであろうかどうか。もし新生活運動というものが、ほんとうに広い視野にわたりまして、あるいは情報の交換であるとか、その他お互いの社会生活の改善に向かって具体的に資していくということになれば、非常に広い分野に将来性がある運動だと私は思うのです。これは補助のことについて若干行管に指摘されておるのでございますけれども、それはともかくといたしまして、活動の実況、実績、目標、規模、その辺はどうであろうか。これは簡単でよろしゅうございますからちょっと……。
  165. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまの点も青少年と御同様でして、実はこの新生活運動が展開されたのが昭和三十一年、十五年たっております。その間における社会及び生活の変貌は、御指摘のとおり著しいものがございます。そういうことで、私どもとしても、今日の実態に即した形で取り上げよう、こういうことでございますが、簡単に申しますと、一つは、学校を中心にした生活学校運動、これはかなり今日定着化しております。二つ目には、いわゆる町づくり、村づくり運動といわれるような地域運動、これについても全国でかなりの数の組織が今日できております。三つ目には、明るい職場づくり運動、職場に即した運動、実は最近これが一番非常に伸びを示しておりまして、それぞれの面で定着をしておりますので、一律的な取り上げ方はしない。そこでそれぞれの実態に即した、一つは社会生活のルールを守る運動とでも申しましょうか、そういう点を主眼にしたいということと、それからそれぞれの地域、職域で現実に一種の奉仕活動的なものが、小さなグループあるいはかなり大きなグループもございますけれども、今日自発的な形で育ってきております。こういうものをひとつ拾い上げながら育てていく、一種の奉仕活動、社会連帯感に基づく奉仕活動、こういうところにポイントを置いて今年から従来とはやや違った運用をしてまいりたいというふうに思っております。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 総理府、これでけっこうです。  科学技術庁、おられますね。——技術庁の皆さんに尋ねたいのですが、あなたのほうの重要事業でありました海洋開発の一環でありますが、例の浅海域の増養殖漁業の開発の問題でありますが、これは動物性たん白給源といたしましての漁業の問題もあるし、あるいは零細漁業の振興の問題もありますし、ないしは日本の海洋開発、海洋資源自体の開発にも関連をいたしておる非常に重要な課題である、こう考えておるのでありますが、この開発事業につきましては、大体どういう規模で現在企画され、行なわれつつあるのであろうか。これは技術庁と、それから農林省だれか来ておられるようでありまするから、両方から御説明をいただきまして、研究調査の面と実施の面と、両方あわせまして御説明願いたい。  私は、一つはかねがね注意いたしております瀬戸内のこの種の漁業の開発というのが、これが栽培漁業といたしまして非常に将来重大視されておるのでありまするので、これとの関連におきまして御質問申し上げるのでありまするから、そのつもりでお答えを願いたい。
  167. 石川晃夫

    ○石川政府委員 お答えいたします。  海洋開発の全般の問題につきましては、総理府の中に海洋科学技術審議会というのがございまして、そこにおきまして海洋開発に関する科学技術の部門を取り扱っているわけでございます。この審議会におきまして、昭和四十四年の七月に、この海洋開発計画につきましての答申が出たわけでございます。その答申の中におきましては、大体五つの大きなプロジェクトを示しております。一つには「日本周辺大陸棚海底の総合的基礎調査」、二には「海洋環境の調査研究および海洋情報の管理」、第三といたしまして「資源培養型漁業開発のための研究」、第四番目としましては「大深度遠隔操作掘削装置等に関する技術開発」、五番目として「海洋開発に必要な先行的、共通的技術の研究開発」、この五つの大きなプロジェクトを答申したわけでございます。  この中で、先生御指摘の問題は第三番目の「資源培養型漁業開発のための研究」というものだろうと存じます。これにつきましては、従来から農林省の水産庁におきまして、いわゆるとる漁業からつくる漁業ということでこのようなプロジェクトに取り組んでいるわけでございます。したがいまして、この詳細につきましては、水産庁のほうから御説明いただくのが適当かと存じます。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡明にお願いいたします。
  169. 松下友成

    ○松下説明員 御承知のように、国民の生活が高度化、多様化してまいりまして、特に中高級魚介類に対しまする国民の需要というものが最近非常に増大してまいってきております。この中高級魚介類の増産につきましては、これは遠洋漁場の開拓に求めることも困難でございますし、また輸入の増加をはかるごとも非常に困難な点がございますので、どうしても日本の沿岸周辺海域で、先ほど研究調整局長からお話がございました資源培養型漁業の展開をはかる必要がございます。  現在水産庁で行なっております事業をかいつまんで御説明申し上げますと、初めに基礎的な研究課題といたしまして、浅海域における増養殖漁場の開発に関する総合研究というのを、昭和四十五年度から約一億の予算で始めております。  内容につきましては、現在仙台湾と瀬戸内海の西部の二つの海域に分けまして、水産研究所、水産試験場、大学等の協力を得まして、これは主としてそれぞれの海域におきます有用生物の生き残りの増大をはかることを目的としております。御承知のように、小さな魚、稚魚は小さいうちに非常にたくさん死ぬものでございますから、そういった減耗を防ぐことが増産につながるわけでございますが、そこら辺の機構を明らかにするために、特に最近発展を見てまいりました水理学、土木技術を駆使いたしましてそういった部門の研究に取り組んでまいっておるわけでございます。  それから第二番目といたしまして、有用魚類の大規模養殖実験事業というのを、これも昭和四十五年度から約六千万円ばかりの予算をもって始めております。これは、先ほども申し上げましたように、サケ、マグロ、カニといいました非常に中高級魚介類で国民の需要の高いもの、しかも海外に求めることが困難なものをおもな対象といたしまして、カニにつきましては北海道の根室、それからサケにつきましては岩手県、マグロにつきましては静岡県でそれぞれ実験場を設けて、大規模な養殖実験に取り組んでおる次第でございます。  それから第三点といたしましては、先ほど御指摘のございました栽培漁業の問題でございます。これは昭和三十八年から瀬戸内海におきまして実施しておりまして、現在五つの事業場でクルマエビ、それからマダイ、カレイ、ヒラメ、メバル、カサゴ、ガザミ、そういった重要な魚介類の増産につとめてまいっておるわけでございます。現在クルマエビにつきましては億の単位で、またその他の有用魚類につきましては数百万尾から数十万尾の単位で種苗の生産、放流が可能になっております。今後はクルマエビのみならず、有用な魚類の大規模な種苗生産放流技術の開発に努力してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。なお、今年度はさらに、瀬戸内海以外の海域にもこの栽培漁業を発展させるために、日本海におきまして新たにこの栽培漁業のための調査実施する予定でおります。  以上でございます。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この科学時代に入りまして、特に一切の社会の面に経済的効率を高めるということは強い要請になりつつあります。とりわけ国土計画ないしは地域開発のごときも、これはたとえば最近の公害問題あるいは交通、あるいは水系あるいは工場あるいは住宅地域、その他自然環境等々、あるいは面積、こういう総合しました要素を前提にいたしまして、この基盤の上にいかに国土を計画するか、いかに地域を開発するかということは、これは日本の現在と将来のために非常に重大な課題であります。  そこで、あなたのほうの一つの大きな目標であります経済の効率的発展とか、あるいは科学技術への大きな期待にこたえるというこの面から見まして、私は、国土計画、地域開発という方面にひとつメスを入れて、この方面に何かモデル的な相当研究の成果をあげるということは不可能であろうか、そんな企画はないのであろうか、まあ地域地域によりましては、たとえば過疎地域はどうするか、過密のあるいは何々市のそれぞれ独自の計画は持ちつつあるようではありますけれども、しかしこうじゃなしに、私はやはり国の施策といたしまして、科学技術庁が先頭を切りまして、何か模範的なモデルでもおつくりになるということは、非常に大きな生きた参考になるような気がするのです。これはしろうとの観察ですけれども、その点についてはどうでございましょうね。
  171. 楢林愛朗

    楢林政府委員 お答えいたします。  いま先生の御指摘のとおり、国土の開発につきましては、総合的な見地からと科学技術的なアプローチが必要だと思います。ただ、わが庁におきましても、科学技術的にアプローチする場合に、こういう広域的な問題につきましてはシステム的なアプローチが特に大切ではないかというふうに考えておりまして、システム的なアプローチを行ないます場合は、アナリシスあるいは基礎的な資料が非常に重要か、かように考えておりますのでで、当庁におきましても、そういう問題の解決に必要な基礎的な科学技術というものも振興させていきたい、そういうふうに考えております。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 科学技術の振興をはかる上におきまして、もっと科学者を養成する、科学者を優遇する、こういうことに相当な勇断を持つのでなければりっぱな科学者が外国に逃亡するおそれあり、なかなか優秀な天分を持らながら、天才をほんとうに実用化し得ないという、人材の発掘がおくれていくというおそれもあります。でありまするので、この辺につきましても、かねてあなたのほうの懸案であろうと思います。思いますけれども、研究者に人を養成していき、優遇し、そしてその適切な場を与え、あるいはまた、それを通じまして、一種の日本のほんとうの高度なシンクタンク科学技術庁にありというぐらいに、そのぐらいな充実した姿勢を建設していくということのかまえが必要ではないだろうか、こう思うのでありますが、その点はどうでございますか。
  173. 楢林愛朗

    楢林政府委員 人材の養成につきましては、つとに当庁をはじめ、あるいは学術会議でも御指摘をいただいております。特に最近のごとく科学技術の進歩が著しい場合には、いろいろな専門領域につきましても深くなってまいりましたので、今一後の人材養成は量だけでなくて、当庁といたしましては、質的な問題についての資質の向上をはかっていきたい、そういうふうに考えております。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に、エネルギーの開発の問題でありますが、これは鉱物開発なんかと並びまして、日本の現在と将来にとって非常に重大な課題であろうかと考えております。石油にいたしましても、中東地区あたりからも大きな値段がふっかけられるような状況であるようでありますし、将来長くこれに依存するわけにもいくまいと思います。したがって、原子力開発にいたしましても、まだいまのところはほとんどゼロに近いというような状況であり、需要は、一面見ますると、十年に十倍ですか、今後さらに十倍見当の推定でありましたか、あるいは記憶に間違いがなければそう思いますけれども、ますます需要が旺盛になってくる、これはもう当然であります。  でありまするので、エネルギー資源開発ということにつきまして、これはかなり積極的な、思い切った研究開発が行なわれていかねばならぬ。実務的には企業の方面におきましてずいぶんと積極性がありますけれども、しかし科学技術庁はその権威者の集まりである。したがってその技術、知識、経験等々は企業のほうに流していく、これは大っぴらに流していくというふうなこともすべき必要があるのではないであろうか、こういうふうにさえ考えております。そこは遠慮なしに、企業と国と行政と、国費も財政も、なお企業の発達のためにでもエネルギー開発のためにはどんどん出していくというくらいな、そしてそれはまた別な方法で国へ回収するという手段を講ずることは、これはいいことでありますから、そういうふうに思うのであります。科学技術庁だけに閉じ込もることなくして、研究開発実施面に、実用面にどんどん移していく、交流していくというふうにしていくことが、エネルギー開発への一つのステップになっていく——ステップというよりも、大事な面ではないかというふうに考えております。もっともこれも私自身しろうとでありますから、お含みの上、ひとつお答えを願いたいと思います。  これをもちまして終わります。
  175. 藤本孝雄

    藤本政府委員 わが国のエネルギー需要につきましては、今後急テンポな増大が見込まれるわけでございます。昭和六十年におきましては現在の約四倍のエネルギー需要になるかと思います。現在、御承知のようにエネルギー源の中で石油が七〇%ぐらいを占めておるわけでございますが、先生御指摘のように、石油につきましては、コストの問題、輸送の問題、貯蔵の問題、それから公害の問題並びに埋蔵量と一年間に消費する量との対比、第二次世界大戦後二十五年まででございますが、五〇対一でございましたのが、現状におきましては三〇対一になっております。そういうような状況から考えてみますと、将来のわが国のエネルギーの需要の増大が見込まれる、その方向の中におきまして、エネルギー源としての石油が、絶対量は私はますますふえると思いますけれども、割合はやはり現状あるいは現状から落とすという方向に政策、努力目標を置くべきであろうか、かように思うわけであります。そのためには、やはりエネルギー源としての原子力の平和利用、これは非常に利用をしていかなければならぬというふうに思われるわけでございまして、現状におきましては微々たるものでございますけれども、昭和六十年におきましては約六千万キロワットの発電が見込まれております。現状の全発電量に匹敵する六千万キロワットの発電が見込まれる、並びにそれが全体の発電の約四分の一に相当する数字になるわけでございますが、そういうふうに、エネルギー源の割合といたしましては、今後は原子力発電、原子力の平和利用、多目的炉の開発、こういう方向に大いに努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  176. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 瀬長亀次郎君。
  177. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 総理府副長官にお伺いします。  質問の焦点は、去る九日、沖繩の琉球政府立法院で全会一致で決議された返還協定に関する決議、これに焦点を当てて御質問申し上げます。御答弁の正確を期するために、簡潔ですので、全文読みます。  返還協定に関する決議  日米両政府は、沖繩の一九七二年施政権返還についてその協定書の作成と調印のための準備を急いでいるといわれるが、県民は自らの将来にかかわるこの重大な問題についてなんらその内容を知らされていない。  琉球政府立法院は、日米両政府に対し、施政権返還協定交渉の内容を直ちに明らかにするとともに、県民をはじめとする国民の意思を施政権返還協定に正しく反映させ、特に次に掲げる県民の要求を実現する施政権返還協定の締結を強く要請する。  一、施政権返還は、おそくとも一九七二年四月一日までに実現し、沖繩に対する日本国の主権が完全に回復されるものであること。  二、基地については、毒ガス兵器及び一切の核兵器の即時完全撤去をはじめ、平和と安全を願う県民の要求が正しく取り入れられるようにすること。  三、米軍の一九四五年の占領以来施政権返還までの期間に生じた県民の有形無形の各種損失に関しては、県民の請求権を認め、日米両政府の取り決めによって完全に補償すること。  四、米国支出金及び米国管理資産(琉球電力公社、琉球水道公社、琉球開発金融公社等)を県民に無償譲渡すること。  五、沖繩にすでに進出している外国企業については、県民経済を阻害する不当な特権の存続を認めないこと。  右決議する。これが決議文の全文であります。この決議は、沖繩の琉球政府立法院の与党、野党三十二名の全会一致の決議であります。  最初にお伺いしたいのは、この決議は沖繩県民の共通した意思、一致した要求である点は確認できると思いますが、いかがでございますか。
  178. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいま御質問がございました二月九日の琉球立法院の五項目にわたる決議については私どもも承知いたしておりますが、これはもうすでに瀬長委員に対しては釈迦に説法になりますが、私ども総理府としては、沖繩県をつくること、施政権返還の日に備えて復帰準備のための内政措置を主として鋭意今日やっておる段階でございまして、施政権返還協定そのものは外務省の所管、こういうことでしばしば山中長官も言われておりますように、私どもとしては外交権なく、いささか隔靴掻痒の感を率直の話、感じておるのでございますが、ただいまお読み上げいただきました五項目については、私どもの立場からいたしますと、沖繩県民の気持らを十分代弁する政府内の機関として、全力をあげて外務省のほうと内々協議をしながら進めていきたいというふうに考えております。
  179. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が聞いておりますのはそういうことではありません。簡単なんです。与党、野党三十二名の立法院議員が全会一致で決議したわけだから、これは全県民の共通した意思である、あるいは一致した要求であるということの確認ができるかどうか、ただ一点、これだけなんです。どう ですか。
  180. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまの点は、先ほど予算編成に関連しても申し上げたのでありますが、私ども全く沖繩県民の立場で、特に琉球政府と一体になって予算を編成するというかまえで今日までやってきたわけでございますので、いわんや、琉球の立法院与野党あげての決議、こういうことでございますから沖繩県民あげての要望である、こういう前提でこれからいろいろ対処してまいりたいというふうに思っております。
  181. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、これは確かめましたので次に移ります。  その返還協定が沖繩に住む日本国民百万の将来をきめる返還協定である。にもかかわらず、現在では外交は政府の専権だなどというようなことばづかいで、相変らずその内容を知らされていない。したがってこの内容については、すでにスナイダー公使ですか、これも五日に帰ったという。スナイダー公使がアメリカ議会その他で折衝していろいろアメリカの意向も煮詰めてくると思いますが、この返還協定はきわめて順調に進んでいるということが、もう繰り返し繰り返し言われておるのが現状であります。この問題について返還協定の内容というのはいわゆる調印前に知らされるのか、調印後に知らされるのか、もう一つは、いわゆるこの返還協定の批准国会の時点でないと明らかにできぬのか、大体三つがあると思いますが、県民の一致した要求、副長官が確認された一致した要求はすぐ知らせる。もう協定がきわめて順調に進んでおればすぐ知らさないといかない。知らしてもらえば、これはこういうふうにやってほしいという意見も出される。いろいろ建設的な意見も出されると思う。この返還協定の中身が全然わからないような状態で調印されるとなるととんでもないことになる。したがって、この内容についての発表の時期はいつか、こういった点について御答弁をお願いします。
  182. 湊徹郎

    湊政府委員 先ほど再々申し上げましたように、具体的な返還協定の内容自体については、私どもも今日承知していない。と申しますのは、おそらく予想されるそれぞれの文言の下に具体的ないろいろな措置等、簡単に申せば、今日交渉は順調であるということは私もお聞きはしておりますけれども、具体的な問題等については、まだにがりの入っていない状態において現時点は進行している。したがって、その国内措置に関連する部分については、いずれの段階においてか、それぞれ外務省のほうと連絡はしてまいりますけれども、私の立場から、いま申されたような署名の前後あるいは沖繩国会、いずれかと問われましても、ちとお返事を申し上げる立場にはございませんが、従来の慣例からすれば、おそらく国会提案の時期に明らかにされるものと心得ております。
  183. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると、協定が結ばれたあとでも発表できない。結局批准国会、この時期でないと明らかにされないのじゃないかという意味なんですね。そうとしか受け取れないのですよ。総務副長官どうですか。
  184. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 いま副長官から答えられたとおりでございまして、これから外交交渉——たんたんと進んでいると申しましても、これからいよいよ詰めに入るということと外務省から聞いております。したがいまして、あくまでも交渉の上できまっていく問題である、私どももそれ以上のことは知らされておらないということでございます。
  185. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの御答弁で、大体日本政府大臣とか副長官とかいうものの権限がどんなものであるかよくわかりましたが、これは、返還協定の内容などというのは、外務大臣だけではなくて、外務省の関係もあるし、防衛庁長官関係もあるしということになると、結局総理大臣以外には全然わからぬというふうに理解していいのですか。どうなんですか。湊さん、副長官であられるだけに、相当えらい官吏だということを沖繩県民は知っているわけなんです。こうなりますと、この全文は生きていかないから私聞いているわけなんです。いかがでしょう。
  186. 湊徹郎

    湊政府委員 これは先ほど来の御質問にも関連するのでありますが、現在の内閣制度においては、各省それぞれ所管、権限、責任が明確にされた分担制度がございまして、外交交渉並びにそれに伴う署名、調印、そういうことについては外務大臣の専管と、こういうことになっておりますので、結局その時点まで、閣議において内閣全体の意思が決定されるという閣議の時点までは、私ども内政準備事務を進めておる部局としては全貌は明らかにならない、そう理解していただく以外に、いまの制度の成り立ち上、しかたがないのじゃなかろうか、こう思っております。
  187. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで個々に入りますが、時間の関係がありますから、たぶん総理府のほうでお答えになり得るだろうと思うことだけに限定します。  第一番目にお聞きしたいのは、この三つ目ですね、これは請求権の問題なんです。「米軍の一九四五年の占領以来施政権返還までの期間に生じた県民の有形無形の各種損失に関しては、県民の請求権を認め、日米両政府の取り決めによって完全に補償すること。」これは講和発効前も発効後も、返還協定の時期に至るまでの一切の損害を補償するということの義務づけを返還協定の内容に入れろという要求なんです。  私が沖繩問題に関する質問主意書を出したその返事の中に、内閣の決定として返事された答弁の中では、いわゆる五二年のサンフランシスコ平和条約発効前、講和発効前のものはこれは放棄する、これは沖繩県民も日本国民であるから——そういった場合には日本国民にしてしまっておるわけですが、これはまあさておいて、発効後は一応検討するということをいっておりましたが、この点、最近の新聞報道によると、返還の時期までに与えられた損害についての請求権を放棄するといったようなことにだんだん煮詰まりつつあるというのですが、ここら辺の事情はどういうことになっていますか。
  188. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 いまおっしゃいましたような放棄するといったようなことは、私ども対策庁としては何も承っておりません。現地琉球政府でございますとか立法院でございますとか、あるいは軍用地の地主の連盟とか、それからいろいろ請求権の対象になるものが出ておることを聞いております。しかし、それについて、どれを取り上げたりどれを取り上げることができないかというような点につきましては、まだ未定と申しますか、煮詰まっておりませんけれども、ただいま御指摘になりましたような、一切放棄したとか講和後の問題についてあきらめたというふうなことは、少なくとも私どもは聞いておりません。
  189. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次はここの四つ目、米国支出金及び米国管理資産、三公社の問題ですが、この公社については、何か買い取るんだという新聞報道があります。したがって、これは買い取りしてはいけないのだ、これはやはり日本国政府にアメリカは無償で譲渡すべきだといった点を言っておりますが、この点につきましては、琉球電力公社——これは一九六九年の決算において、三公社の年間の純益、これまでの利益総額、資本金、資本合計、これが出ております。これは、いわゆる原資というのは、アメリカ政府沖繩の戦後の復興あるいは民生の安定、そういったような金に使うためにガリオア資金予算を通って、このガリオア資金、エロア資金、そういったものはドルでは来ておりません。全部あり余った農産物資その他で沖繩にやってきて、これを沖繩県民に売りつける、いわゆる見返り資金化したのがこの三公社に入れられておる。ほかに琉球銀行の株五一%もありますが、特にこの三公社はそういった原資をもってアメリカが管理して運営しておる。この開発金融公社はアメリカの補助機関になっておるが、琉球電力公社、水道公社、これはアメリカの一機関として布令に織り込まれております。  ところで、この三公社があげた年間の利益金、さらにこれまでの利益総額、資本金総額、これは全部区分けしてありますが、たとえば琉球電力公社のごときは、年間に純益二百七十五万七千ドルあげております。さらにこれまでの利益総額、これは一千九百万ドルあげており、資本金千二百四十万ドル、その資本合計が三千百四十七万二千ドルということになっております。琉球水道公社は、年間二十六万九千ドルの利潤をあげ、これまでの利潤総額が三百五十万三千ドル、資本金が二千五百四十四万ドル、資本合計が二千八百九十四万三千ドルということになっており、さらに開発金融公社のごときは、年間利潤が二百十三万五千ドル、これまでの利益総額が二千二百四万六千ドルとなり、この資本金二千七百万ドル、これを加えて資本合計が四千九百五万四千ドルとなっていて、その三公社の資本合計が一億九百四十六万九千ドル、三百八十億円ぐらいに達しておる。これはいま申し上げましたように、沖繩県民から吸い上げて資本が蓄積されてこうなったんだと——ガリオア・エロア資金の性格からいっても、これは当然、買い取るべきものではなくて無償に譲渡さるべきだという点は、これはいま立法院全会一致、与党野党の全会一致の見解なんです。  その点と、もう一つ御参考に申し上げますが、アメリカ政府ではこれに対してどういう見解をとっていたかという問題なんです。これは一九五三年の米国会計検査委員会において、その当時の米陸軍長官、これは次のように言っております。「当該資金は、全額、米国の一機関である琉球米民政府使用できるが、これらの資金は民政府が琉球の現地統治の権能を行使しているのだから民政府だけが使用できるものであり、その資金は琉球の人たちのために考えられ、また使用され、さらに琉球の人たちのために保有され信託勘定といった性質のものであり、米国の一般的な目的や陸軍の軍事目的について議会が充当した資金を補うために使用してはならないことは明らかである。この意味では、米国財務省に返すべき、あるいは米国財務省の所有する外国資産だとは思わない」これがその当時の陸軍長官の、特に権威ある米国の会計検査委員会での証言であります。  これを見ても、いまさらあの三公社を日本政府が金を出して買い取るなどということは、これはほんとうに常識じゃ考えられぬというのが、沖繩県民のほんとうに広範な大衆、そう考えておるからこそ立法院は買い取ってはいけないのだ、無償で譲れといっておる、こういうことなんですが、副長官、それはもちろん賛成だと思うのですが、どうですかな。
  190. 湊徹郎

    湊政府委員 ただいまの問題も、先ほど申し上げましたように、私どもの立場で主として考えておりますのは、電力にしろ水道にしろあるいは開発金融にしろ、これからの復帰後の沖繩全体の経済の振興開発のために、水、電力あるいは開発金融、これはいずれも重要な問題でございますので、私どもの立場からは、既存のこの三公庫等についてもいろいろと外務省のほうにお願いはしてございます。今日の時点でお聞きをしておるのは、これらの公社等はいずれも引き継ぐというふうな原則についてだけ私どもは承知をしておりまして、引き継いだあと、率直に申しまして、電力だってそのほかの民間のかなりの電力もございますし、電力料金差もございますし、給水人口等についても現在の施設で十分だとは思いませんし、それらのものを、今後の開発にどうしようかという立場を主として私どもとしては現在作業しておるわけでございまして、ただいま御指摘のような形でいければこれは最良であると、もちろん思っておるわけでございます。
  191. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がそれを聞きますのは、これは正しく日本国民を代表する政府となれば、やはり国民に損害を与えてはいかぬ、当然とるべきのはとる、この権利の主張は堂々とやらなくちゃいかぬということで、しかもあんな遠く離れた沖繩百万県民の意思がそうなっておる。これを踏みにじって政府が買い取って引き継ぐにしても、無償ではなくて有償で引き継ぐなどということがもし起こった場合には、とんでもない政府不信がこれから起こってくるということは当然だと思います。  その点につきましてはもっと追及しようと思いませんが、総理府として、副長官もきょうの鳥居さんに対する答弁の中で、私どもは沖繩県民の一人となって、その立場に立っていろんなことを沖繩問題に関しては検討していると言っておりました。さらに山中長官もそういった態度を示し、その同じことばを使っておりました。さらに佐藤総理も愛知外務大臣もやはり同じようなことを、表現は違っても言っております。そうなりますと、沖繩県民の要求は、一人の身になってやっていくとなれば、これを当然全面的に入れなくちゃいかない。しかもこれは基地問題、安保問題については、表現は実に各政党のものが一致できるような形でしか入れられておりません。平和を願う県民の要求を踏みにじらぬようにしてほしいというような表現で入れられております。  それにいたしましても、経済問題については、こういうふうに明確に絶対買ってはいかぬ、無償で譲渡しろということがある以上、この点は、たぶんきょうの電話では、十五日ごろこの決議を携えて立法院代表が上京し、政府、議会にも陳情するということになっております。こういったこともあるだけに、ほんとうに国民を代表する政府としても、アメリカに対しては権利は権利として主張するという態度をとらなければこの返還協定がどのような形になるか、実におそろしい形になっていくんじゃないかということが、いま県民の不安を巻き起こしておる要因の一番基本的なものなんです。  次に国有地、これは総理府の管轄であります。いま現在国有地が沖繩に幾らぐらいあるか御存じでしょうか。大体の概括でもいいんですが……。
  192. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 おっしゃいますとおり、大体の概括でございますけれども……。
  193. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 簡単でいいです。
  194. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 国県有地は三百七十八平方キロと承知しております。
  195. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そのうちアメリカが無償で使っておる国有地は何坪ありますか。
  196. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 国県有地の中で米側が軍用地として使っておりまするのは九十八平方キロでございます。
  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの国有地でありますが、これは一九五二年の講和条約発効以前は、占領目的を達成するためにヘーグで結ばれた陸戦法規によってアメリカが管理していた。だが、三条に基づいての統治権に移る。占領じゃないはずである。いわゆる平和条約といわれておる。平和の時点に立った三条によってアメリカに統治権が握られた。その統治権の中に国有地を管理するという権限があるとかいう説明を外務省はやっていたが、そういった見解に立って、いまだ国有地については何ら総理府からもアメリカに対して言っていなかったのか。また、国有地に対してどう処理さるべきであると思われますか。その見解を承りたいと思います。
  198. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 国県有地につきましては、御承知のとおり、米側の財産管理に関する布告によりまして、すべての国有財産は財産管理官に委任するということで、施政権者たる米側の管理下に現在なおあると承知いたしております。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、この点ですね、正しく日本政府として処理されておれば決算の面であらわれてくると見ておるのです。これは現在国県有地の県民への貸与ということがあるわけですが、沖繩県民にアメリカは国県有地を貸して、そして財産管理課なるものが地代を取っています。これは事実は、アメリカが軍用地として県民の私有財産を借りている地代、この地代は坪当たり十四セントくらいである、あるいは十五セントくらいである、だんだん上がっているので。ところが、アメリカが沖繩県民に国有地を貸して取っておる地代は年間一ドル、ずっと上がっておる。そこで、われわれの計算によりますと、大体アメリカは、国有地を県民に貸して、現在彼らが取っておる地料で八十五万二千ドル年間地代をあげておると見ております。これを十八年間、すなわち和条約発効後現在まで計算すると九百万ドル近くなる。そういったようなことが現在許されておるわけなんです。また貸ししておる。無償で日本国から国有地を取り上げて、そして統治権なるものの中に使用権があるんだなどという解釈で、しかもこの無償で取り上げた国有地を県民に貸してまたまた利潤をあげておる。それが明らかになっていない。  こういった点については、総理府は特に国有財産を管轄するところでありますが、もちろん外務省との関係もあるでしょうが、このような不法な、不合理のことが現在まで許されているわけなんです。現にそうなんです。私自身がアメリカに年間六ドルないし七ドル払っています。旧沖繩刑務所、いまの沖繩刑務所、それの見張り小屋のあったところを五坪私は使っている。この沖繩刑務所は戦前の司法省の財産であった。そこで国有地になっておる。そこで年間の地代をアメリカの財産管理課に払っておる。こういうのが総計すると九百万ドル、約一千万ドルに近い。すなわち三十六億円ですか、そういったような金について一体どうお考えですか、御意見を承りたい。
  200. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 お答え申し上げます。  最初にお断わりしなければならないのは、国有財産の管理と申しますか、それは対策庁ではいたしておりません。これは本土の話でございますけれども、本土の国有財産関係につきましては、大蔵省の理財局国有財産課のほうで所管いたしておりまして、したがって監督下にはないということを申し上げなければならぬと思うのでございます。  いまおっしゃいますのは、沖繩における財産管理官のもとにゆだねられている旧国県有地の問題でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、現在なお施政権が米側にございますので、米側の施政方針のもとに遺憾ながらあるといわざるを得ないわけでございます。  なお、それについて、最後にどのようにするつもりかという御質問でございますが、これにつきましては、政府といたしまして、どのように貸し付けられておるのかというその実態を十分調査いたしました上で、納得のいく処理をしてまいりたいというのが政府としての見解でございます。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 総理府は沖繩関係の担当省であるといわれておるにもかかわらず、このような不法、不当なことを、現在までもう二十六カ年になります。四分の一世紀過ぎました。それに対して総理府関係の役人はよう調査調査と言っておりますが、もうすでにこのようなことは明らかになっていなければいかないし、総理府はちゃんとそういった点は握っておるだろうと、実は政府を信頼している人々はそう考えておるのですよ。にもかかわらず、まだそういった実態が明らかになってない。これはだれが聞いてもとんでもない話だと思うのです。施政権というものは、何でもかんでもやってもいいというふうなことではないと思うんですね。一応大統領行政命令などという中にも麗々しく、民主主義国家の国民の享受すべき権利は保障するなどといったようなことも書かれている。いかに施政権だといっても、不法、不当なこと、常識で考えても考えられぬようなことは許されぬと思うのです。それが現実に許されておる。その調査がまだなっていない。これは人権問題もそのとおりでありますが、財産に関する使用のしかたもそうなんですね。大体一億一千万坪くらいの国県有地がある中で三千万坪はアメリカが無償で使っておる。これをアメリカが現に沖繩県民に地代として払っている平均地代をひっかけますと、大体年間にアメリカが払わなければいかぬもの——もし日本国が国有地をアメリカに提供して金を取っておるとすれば、アメリカが沖繩県民に支払っている年間地代、こういったもので計算すると、年間に四百五十万ドル、十八年間として八千百万ドル、これが取られるべくして取られてない。無償に使用され、使用されておるところは、山林原野にいたしましても、すべてインドシナ全域に対するアメリカの侵略戦争の拠点になっておる。こういったようなことを現地の沖繩県民がよう知っておるわけなんです。知っておるから国県有地についての関心は非常に強いし、この現状を全然お知りにならないということになると、担当省である総理府は一体どんなことをやっているのかという不信感が出ますが、これはきわめて早い時期にその実態を調査されて、事実県民に貸して地代としてあげた金がどのように管理されておるのか、余った分は幾らなのか、弁務官資金とかいうものに流れていやせぬかどうかといったようなことまで、これは日本政府だから調査できると思うのですが、どうなんですか。現時点ではむずかしいですか。
  202. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 対策庁といたしましては、それぞれ担当問題についての主管省がございまして、主管省のほうで調査いたしましたものについて、適切な時期に直ちに対策庁のほうに連絡してもらうようになっております。また、こちらのほうから、ただいま御指摘のような問題を含めまして、関係省庁のほうに必要な調査を依頼するということも当然考えられるわけでございます。主管省の判断をまちまして、なるべく早く対策庁でまとめて判断できるようにいたしたい、かように考えております。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がありませんので、最後にあと二点お伺いします。  毒ガス輸送についての地域住民の避難について、いろいろ損害賠償——これは琉球政府屋良主席からも来たと思いますが、政府の要した費用だけでも二万六千あるいは二万七千ドルかかったので、アメリカにいま折衝中だが、アメリカは色よい返事をしておらない。もしアメリカが出さなければ、日本政府は肩がわりして出す御意向がありますか。これは将来の毒ガス撤去の問題とも関連するので一応お聞きしたい、こう考えます。この二万六千ないし二万七千ドルという金額は、美里村あるいは具志川村、石川市、この関係市町村の人々の避難に要した賠償金額は含まれておりません。これはやがて十万ドル、といった形で要求されると思いますが、この賠償については泣き寝入りではいかぬと思うのです。アメリカが持ってきた毒ガス、これについての不安、こういった死の恐怖の中から出ておる要求だと思うわけです。琉球政府の要求、アメリカがもしがんこで出さないとすれば、これは日本政府が当然出すべきだと思うのですが、この点どうでしょうか。これは総理府の管轄でしょう。
  204. 湊徹郎

    湊政府委員 総理府の管轄とおっしゃられればそのとおりでございますが、私どもは、沖繩に関する問題は全部私どもが管轄していると考えてはおりますが、さっきから申しましたように、内閣制度の従来の縦割りの関係上、たとえば国有財産の問題だったら大蔵省の国有財産課がやっておるし、あるいは資産の問題等もこれまた大蔵省が現実にやっておる。対策庁は、そういう各省の方々、特にベテランを全部おいでを願って、そういう十九の省全般に——北海道開発庁を除いては、沖繩の問題というのは各省にみな関連を持っておりますので、そこら辺を従来以上に強力な権限のもとに統括していこう、こういう性質のものでございますので、具体的な作業や何かについては、さっき申しましたように、それぞれ所管庁のほうで御担当願いませんと、沖繩対策庁でその衝に当たっている職員というのは実は四、五名ずつしかございませんので、そこら辺は御了解をいただいておきたいと思います。  それから、いまの輸送の問題でありますが、過般来、屋良主席と山中大臣が数度にわたって、つい二、三日前もおいでいただきました際にいろいろとお打ち合わせを願っております。そしてアメリカの特にランパート弁務官等にも、山中大臣のほうから現地で申し上げた事項もございます。それらについて、もしアメリカががんこにして払わぬならば、その分を肩がわりするか、こういう仮定の御質問でございますが、従来私どものとってまいりました措置から見まして、現地の琉球政府が住民に不安を与えない万全の路線を選択し、これからの問題等についても、道路の建設その他かかる経費については、日本政府もこの応分の負担をしていきたい、同時にアメリカに対しても負担してほしい、こういう旨の意思表示をしてあるのが現段階でございます。いずれへただいまのお話のように、琉球政府のほうから具体的な話があるいは近々あるようなお口向きでございましたので、もしまいりましたら、ひとつさっそくそれに対応して私どもとしても十分な措置を考慮したいというふうに思っております。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 実際は日本政府が出すべきものじゃないと私は考えるのです。というのは、毒ガスは日本政府が入れたんじゃない、アメリカが入れた。撤去する場合も当然アメリカが出すべきだということを考えていますが、ただ、これを容認した日本政府の責任ものがれるわけにいかぬと思うのです。もしあまり対米折衝できぬとなれば、どうあっても日本政府が出さなくちゃいかぬという筋が通っているから質問したわけであります。  次に、最後に一点だけお伺いします。  軍関係労働者が十日から十一日まで四十八時間の実力行使をやったことはもちろん御承知でありましょうが、この軍関係労働者の要求は、基地を撤去するのであればしょうがないのだが、基地を撤去するとか、あるいは基地の機能を縮小するのだとかいうこととは関係なしに、むしろニクソンドクトリンによって進められておる基地の合理化の上に立っての安上がりの基地、さらにそれに対する日本政府の肩がわりということと結合した中で、この前まで二千人首切られた、今度三千人の首切り通告があった、これに対する実力行使であります。これは離職者が必ず出るし、それで、そういったものを含めて、政府は今度——屋良主席もこっちへ来られて、たしか五項目にわたる要請があったんじゃないか。軍関係労働者に対する生活、職、仕事の保障、こういったような問題、それだけではなくて、同じ生活権の問題を焦点に当てて、またいろいろ不安を抱いておるコザの基地の業者ですね、これに対する転業資金あるいは融資の面、低利長期の資金の貸し付けについて現在どのようなところまで対策がとられておるか、もしとられておるとすれば、明らかにしてほしいと思います。
  206. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど鳥居議員から御質問がございまして、そのとき、たしか瀬長議員もこの席においでになったと思いますけれども、軍労務者の解雇問題につきましては、結論だけ申し上げまして六億三千万円の特別な措置をいたしました。  なお、コザの業者の方々の問題につきましては、私ども、琉球政府資金的な面について話に乗っておるというふうな情報を受けております。琉球政府もなかなか資金的に困難しておられるということも承知しておりますけれども、なおかつ努力しておられるということを聞いております。その報告を待ちまして、私どもまた判断してまいりたいということでございますが、いずれにいたしましても、本年度あるいはまた来年度にかけまして、財政投融資も本年度の七十億から百四十億に飛躍的に増加いたし、かつまた、琉球政府に対し、あるいは沖繩の市町村に対しまして四十九億一千万のいわゆる地方債も許可いたすというふうな方針によりまして、間接的と申すべきかもしれませんけれども、資金的な応援をいたしております。そういうことも頭に置きながら、結果を見守りたいということでございます。
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 要望を一点だけ……。  いまアメリカ政府予算の削減の問題が出ましたね。施政権はアメリカが握っておる。ところが予算、すなわち果たさなければならない義務は放棄する、権利だけ主張するというのがアメリカの現状なんです。これはどうせ七二年には返還をしなければいかぬということであるのかどうかわからぬにしても、いまは三条によって彼らがとっていたという統治権、この統治権の権限、これは非常に主張しますが、その権限者としての義務、果たすべき義務は全然放棄して顧みないような現状である。と同時に、これをはっきり踏まえるならば、いま最初に質問しました返還協定の内容の発表、これは関係各省と担当省であられますから連絡をとられて、返還協定が調印されてからではもうおそいです。調印される前に全国民にこの内容を知らせなくちゃいかぬ、私はそう考えます。そのために、総理府としては、外務あるいは防衛庁関係が主でしょう、この関係省庁と連絡をとられて、一日も早く、きわめて順調に進んでいるという順調の中身が全国民に、とりわけ沖繩県民にも知らしてほしいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  208. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  建設省所管審査のため、参考人として本委員会に日本道路公団及び日本住宅公団から関係者の出頭を求め、意見の聴取をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、日時及び人選等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は来たる十六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十九分散会