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大原委員 われわれはこの
条約の
批准に反対するか賛成するかにも
関係が多いと思うのだがね、これは。これはほかのと一緒に葬ってしまうかということになるか、そういう
議論にもなるけれ
ども、私は非常に建設的な前向きの
議論をしてきた。
政府がやっているのはインチキである、
業者間協定なんかもインチキだということになる。国際的な常識に合わない。しかし、その他のことだってわれわれは建設的に
議論を進めてきた。実際十六条
中心の
審議会方式だけじゃ、これは
最低賃金ではないのです、国際的な通念からいえば。法律があっても実質がそれで運営されてなかったら、
最低賃金制としては、国際的な
ILOの二十六号その他
条約に適合した、
日本の憲法九十八条の
精神に沿うた、そういうものではないのです。そういう
条約ではない。
国内法が憲法第九十八条に沿うて整備されているということはいえない。法律の条文だけあったってだめですから、実績が問題ですから、その解釈や
運用の問題ですから。ですから、私はそういう点ではこれは
議論のある問題であるという問題点は
指摘しておく。ただし
政府のほうもその事実を認めながら将来の方向について答弁をしたし、ある場合には法律を
改正するということもあるだろう、
条約に抵触するという問題もあるだろう、そういうことで私は逃げ道をつくったつもりだけれ
ども、いずれにしても
条約に抵触するような
国内法があり得るのです。じゃ一たん
条約を
批准してしまうと、
国内法はそれに合致しておるのだ、
国内法だから国際常識に合致しておるのだという飛躍した
考え方で
政府が
労働行政をやるならば、
日本の
労働行政は少しも進まないし国際的に他の国をあざむくことになる。これはだめだ。そういうことは許すことはできない。ですからそういう
議論に発展をするわけですが、したがって、
条約の解釈や
精神というものがやっぱり優先をするのだ。それに矛盾をする
国内法やあるいは
国内法の運営というものは是正をするか、あるいはその点については保留するとかいうふうなことがないと事態は前進をしないわけです。ですからそういう解釈については、私は最終的に言ったわけです、この点はあなたは
専門家でないと言われたけれ
ども、
条約を担当しておる
外務省がそういうことについて不見識なことでは困る。
国内の事情についてわからぬようなことでは困る。そういうあなたの発言だけでも、この
条約の
批准は待ったということになるかもしれない、ストップということになるかもしれない。あなた方そういう
外務省が
日本の国を代表して
条約をやるということは問題になるかもしれない。
それはともかくといたしまして、他の関連をした母性保護の問題あるいは
社会保障、たとえば失対の問題がいま
議論になっておりますが、六十五歳までは働く意思と能力のある者は働かせる、ただし六十歳からでも
社会保障の年金がある、六十五歳から年金の保障はきちっとする、
所得保障をする、医療保障、失業保障等もする。こういう
社会保障と
賃金や
労働条件、時間の問題が相関
関係で全体として整備されて、初めて
日本は一流の先進国となり得る。そういうことからいえば、これは抜け穴だらけです。
ILOに対する
認識はきわめて
不足をしておる、そういう結論にならざるを得ない。非常に不熱心である。重要な
条約について
批准がなされていない、
批准促進についてきわめて不熱心ではないか、こういうことが
指摘をし得ると思うわけです。
そういう点でこれは外務大臣や
総理大臣に聞くべき問題でありますが、しかし
総理大臣もいないし外務大臣もいないしということで、ひとつ
次官のほうから、今後の
ILO条約に取り組む
基本的な
姿勢の問題を含めて御
所見を承っておきたい。