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小林(進)
委員 私は
質問するほうで、あなたは答えるほうであります。私が何も回答者の側に立ってものを言う必要はないが、参考までに申し上げますと、当日の論点の第一は、あなたがおっしゃっておるように全国一律ではないじゃないか、当時でいえば、一カ月働いて二千円の賃金もあるし、四千円の賃金もあるし、八千円もらっているのもいるのです。三十四年当時は、わが
日本の労働者の一カ月の基本生計費というものは、一均大体七千円ですよ。二千円しかもらっていない労働者もいる。それをそのままあなた方は
最低賃金として認めようというのがこの法律の精神なんです。そんな
最低賃金というものがどこにあるかというのです。私はいまでも覚えていますよ。犬や豚や鶏ならば二千円のあてがいぶちでも生きていけただろうけれども、人間が人間らしく生きていくためには、そんなあてがわれた賃金で生きていけったって生きていけませんよ。人間としての
最低賃金をひとつ示しなさい。その
基準がこの最賃法のどこにあるのだと私は聞いた。それは生計費の問題です。第一は全国一律だ。二千円も五千円も八千円もあるばらばらをそのまま認める最賃法がどこにありますか。全国一律、これならば人間が人間らしく生きていけるという最低の賃金の線をまず
最低賃金できめる。第二番目は生きるための生計費です。生計費の具体的な
基準が
一つもないじゃないか、これを示しなさい。それから三番目には、賃金なんというのは労使対等の原則できめるのがわが近代労働法の原則でしょう。労使対等の原則で賃金をきめるという条項が一体どこにありますか。労働者の発言はどこにありますか。その問題が
一つ問題になったのだ。特に問題になりましたのは第四点、通常の事業の——
日本の最賃法の第三条を出してみてください。私があなたに教育するようなものだ。第三条、「
最低賃金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して」、「支払能力を考慮して」、これは労働者の側じゃないのだ、経営者の支払い能力を考慮し、
最低賃金をきめるなどという、一体こういう最賃のきめ方がありますか。こういういま申し上げました四点が当時の
国会における論争の中心点なんです。単に業者間協定だけではございません。業者間協定のインチキ性とあわせて、いま申し上げました四つの点が実はこの
国会における
最低賃金法の最大論点の
内容であった。これがどう改められましたか。どう改められているのか。いま
批准をされるについて、先ほどのお話しのとおり、すみやかにこれを
批准をすると言いながら十二年間も
批准できなかった
理由は、あなたがどんなうまいことをおっしゃろうとも、これを
批准でき得るような
国内法じゃないから、あなた方はうまいことを言いながらほおかぶりをしておいでになった。ところが、その間にいわば審議会の勧告を受けて、二回くらいさっきあなたが言われたようにそれを手直しをされた。手直しをされてようやく
批准をするだけの自信がつかれたから、いまそろりと
批准の行為をおやりに出てきたのだと思うのだが、われわれに言わせれば、そんなこそこそと手直しをするのではなくて、
批准するなら正々堂々と世界の舞台で胸を張って、わが
日本にはこれほどりっぱな最賃があります。だから
批准をいたしますというくらいな堂々たる
態度で
批准をしたならいいじゃないか。ならば、私どもの
国会で問題になった、いま申し上げました四つの矛盾点も、この際からりと
解決をしてやっておくべきじゃないか、その点がどうなっておりますかということをいま
お尋ねをしておるのです。いかがでございますか。