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1971-03-11 第65回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)     午後三時十七分開議  出席委員    委員長 田中 榮一君    理事 青木 正久君 理事 坂本三十次君    理事 永田 亮一君 理事 山田 久就君    理事 大久保直彦君 理事 曽祢  益君    理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君       小坂徳三郎君    中島 茂喜君       豊  永光君    河野  密君       戸叶 里子君    中川 嘉美君       西中  清君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         運輸省船舶局長 田坂 鋭一君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局開発課長 花岡 宗助君         外務委員会調査         室長      吉岡 俊夫君 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     關谷 勝利君 同日  辞任         補欠選任   關谷 勝利君     山口 敏夫君 同月十日  辞任   鯨岡 兵助君     前田 正男君   山口 敏夫君     谷垣 專一君   豊  永光君     長谷川 峻君 同日  辞任         補欠選任   谷垣 專一君     山口 敏夫君   長谷川 峻君     豊  永光君   前田 正男君     鯨岡 兵輔君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 田中榮一

    田中委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。
  3. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 まず承りますが、私の持ち時間は何ぼですか。
  4. 田中榮一

    田中委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止
  5. 田中榮一

    田中委員長 それじゃ始めてください。
  6. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 大臣、きょうは三十分の持ち時間だそうでございますが、うちへ帰って女房の親戚等のつき合いについて相談されても三十分くらいはかかりますわね。きょうは少し時間をかけてお尋ねをいたしたいと思っていたのですが、三十分の時間を守りたいと思いますから、きわめて簡潔に質問をいたしますので、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  おとといですか、沖繩特別委員会理事一行と一緒に沖繩へ行ってまいりましたが、沖繩では、返還がわりあいに早いというようなことでますます不安が増大しておりますが、その不安は、沖繩がどういう形で返ってくるかということに対する不安であります。そこで、外務省のほうとの関係では返還協定ですが、あれは大臣協定というんですか条約というんですか。その辺のところを簡単に言うてください。     〔委員長退席永田委員長代理着席
  7. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いずれにいたしましても、日本側としては国会の御承認を得るような条約の形になりますが、先方の都合もございますので、その名称も協定とか約定とかいろいろの名前がございますから、これはまだしかとはさまっておりません。
  8. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 返還協定協定になるか条約になるか、それはまだきまっておらないというお答えですが、その中に盛らるべきものの代表的なものはどういうものか、いまお話しいただけますか。
  9. 愛知揆一

    愛知国務大臣 小笠原、奄美の返還についての両国間の約定がございますね。これはひとしくサンフランシスコ条約からもとを発している形ですから、形式的にはこれが一つの大きな参考になると思います。それから内容としましては、別に新しく申し上げるまでもございませんけれども、請求の問題、資産の引き継ぎの問題、それから裁判の問題というようなことが協定の実質的な内容の主要な点であろうかと考えております。
  10. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 請求の問題とか、資産の問題とか、裁判の問題とかいうことは、前々から新聞などにも間々散見いたしておるのでありますが、そういうことの内容について、わがほうはどう考えていて、どういうふうにしたいと思って、いま交渉中であるというようなことを明らかにするお気持ちがございますか。
  11. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは協定案文がまだ煮詰まっておらないというか、できておりませんから、そういう形ではまだ申し上げる時期ではありませんけれども、内容的な考え方についてはできるだけ申し上げて、御理解を進めたいと思っております。
  12. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 できるだけそれを発表して御理解を進めたいと思うという御発言ですが、それはまだおやりになっておらないですね。近いうちにそれらを発表して、沖繩住民に安心を与えるというお気持ちがございますか。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはいままでもつとめて御説明することにしてまいったつもりですし、これからも随時国会の御質疑等お答えする形で、なるべく政府考え方基本というものはお話を申し上げてまいりたいと思っております。ただ、その協定の姿で合意ができたところ、あるいはその間近になりまして大体こうなるということについては、まだちょっと時間がかかると思います。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 案文ができておらないからというお話もありましたが、案文ができてからでは何かおそいような気持ちが従来の経験からするのです。そこで、この問題についてはわがほうはこういう要求をしてぜひ通そうと思っているというようなことを、もちろん私は全貌を明らかにするということはできないと思いますが、できるだけ沖繩住民の不安を除去するためにそうしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともなことでございますから、ただいまも例示いたしましたような問題について、できるだけ政府として折衝に臨んでいる基本的な考え方お話を申し上げていきたいと思っております。
  16. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、その内容について二、三お尋ねしてみたいと思いますが、きょうはそれが目的ではありませんので、事は重要ですが、きわめて簡単にお答えいただきたいと思います。あすこで戦争をやったですね。そうしてそこをとったのですから、そういう成立過程からいって、沖繩における軍事基地は、基地の中に沖繩があるといわれているほど、われわれがしばしば行ってみても驚くべきものがあります。特に直接の基地じゃなしに住宅地域であるとか娯楽施設というようなものは非常に大きいですね。これが返還になれば当然本土でもそうであったように逐次返されるというようなことは言うまでもないことでしょうが、返還にあたって相当部分沖繩住民の生活のために返還されてしかるべきと思うのですが、大臣、思いませんか。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そこが協定に関連する一番大きな折衝事項でございます。これは基本的には——なるべく簡単に申しますが、要するに安保条約目的に沿うようなものについて日本側施設区域として提供するわけですから、現在自由濶達に使っているところから見れば、これが縮少されるのは当然であります。それからもう一つの観点は、沖繩人たちが再建していくためにぜひともこれは必要だというようなところは施設区域として提供したくない、この二つの基本でもって具体的な折衝をやっていく、これが現在の姿でございます。
  18. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 申し上げましたように、これは別途議論のあるところでしょうが、安保条約に関連して、軍事基地としての機能を低下させないというようなことは議論のあるところでしょうが、これは別問題として、とにかく成立過程から見て、具体的にいえば住まいに使うようなところだとか、ゴルフ場だとか、そういうようなところだって自由濶達——戦争してばあっとたくさんとったのですから、これを将来返すというのではなしに、返還協定のときにこれだけのものは返す。沖繩住民は軒を並べて家が密集しているのですが、片方を見るとアメリカのほうの兵隊さんの家は大きな庭の中にぼつんぽつんとまるで別荘のように並んでいるのを見ると、両国のこれからの親善のためにも、そういうところはなるべくこの際ひとつ返してもらうというようなふうに考えるのですが、もう一回ひとつ……。
  19. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともで、政府といたしましても全く同感でございます。そういう気持ち折衝に当たっていきます。
  20. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 どうぞひとつそのようにやっていただきたいと思います。  それから琉球開発金融公社というもの、これは大蔵省のやっていることだと思いますが、簡単に言いますと、沖繩を復興するために施政権者としてアメリカお金を持ってきた。それを沖繩人たちに貸した。それで復興した。もちろん貸したのですから返してもらう。そのときは利息をとる。安いですから。そうして、私の計算ですと、二千七百万ドルくらい持ってきたお金が二千二百万ドルくらいの利益で現在資本金は四千九百万ドルになりました。もともとの元金については、これも議論はあるでしょうが、かりに返すとしても、そこで利益のあったものまで返す対象にするということは、これは大蔵省がやっていることでしょうが、外交の衝に当たる大臣、いかがでしょうか。それはちょっとアメリカに返せというほうも無理だし、返す必要もないものだと思いますが、いかがでしょう。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは実はいまお尋ねのありましたとおり専門的な問題ですから、大蔵省と財務省の専門家同士で細部にわたって検討中でございますが、基本的な気持ちとしてはいまお話しになりましたような気持ちで最終的に処理をいたしたいと思っております。
  22. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それは気持ちからいって私は当然そうだと思うのですね。元金の問題は私はきょう議論対象にいたしません。これも議論のあるところですか、しかし、そこで利益をあげた問題については、これも返せというようなことがなされると誤解を生むようなことになると思いますので、よろしくひとつ大蔵省のほうも督励していただきたいと思います。  それから、今度行って感じたのですが、国有地県有地というのはみんないまアメリカが持っているのですが、国頭のほうに珍しい原始林があるのです。あそこのところを爆撃場にするというので非常に騒いでいるのですが、いま返還が目前に来たときに、おれが施政権者だからというので、それは全然相談なしにやっているわけじゃありませんが、爆撃場にするというようなことがあったのでは、また何か要らざる騒ぎが起こるような感じがいたしますので、これはやめてもらったほうがいいなと思いながら帰ってまいりましたが、大臣、いかがでございますか。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、昨年末の実砲射撃中止をしてもらいました。あれから特に皆さんの関心の焦点なんでありますが、現在のところは演習はストップしておりますし、それから一定期間の予告がなければ空砲射撃もやらないことになっております。これは、それで満足しているわけではございませんが、一番その激しいときからとにかく対米折衝いたしまして現状がそうなっておりますから、さらにいまお話しのような趣旨で今後も見守って、あるいは必要によって折衝をやりたいと思っております。
  24. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 要望ですが、これは必要があってやることでおもしろがってやるわけじゃないのでしょうが、国有地県有地と当然日本のものになるわけですから、そういうものを、いまはおれのものだというような考え方で、富士のすそ野のようなああいう広いところでもなかなか容易でないというのに、あんなネコの額みたいなところで、しかも原始林は何か学問的にも貴重な原始林だそうでありますが、そこで射撃演習みたいな、大砲を持ち込んでばんばん撃つというようなことはなさらないように、大臣、ひとつせっかく折衝していただきたい。御要望を申し上げます。  次は中国問題についてお伺いをいたしたいと思うのですが、中華人民共和国は、非常に高度なイデオロギー的要素を含む外交を展開をいたしておるのですね。中国のほうは、とにかく世界政策といいますかアジア政策をきめてかかって、そのワク組みの中でしっかりした位置づけを持って、そうして非常に権力政治的な外交を展開しているのに対して、日本政府中国政策というのは、私の考え方ですが、日本独自の世界政策というかアジア政策というものが必ずしも明瞭になっていないまま、ただ日中問題として取り上げられてきている、そうして相手が権力政治的であるのに対して、当方は何か時の推移を待っているというようなにおいがしてなりません。ですから、ややもすればこれが理想主義的であったり心情的であったりするという批判も意味のないことではない、こんなように思うのですが、相手やり方とわがほうのやり方とを比較して、外務大臣、どうお考えですか。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 非常に適切な表現をなさるものだと私も思うのですが、私も同感でございます。それをまた別の見方から見れば、日本やり方考え方というのは非常に現実的であるとも言えるのではないかと思います。したがって、そこに、もののとらえ方というものには、かなりの開きがあるように思われます。
  26. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ちょっと私よくわからない御答弁でございますが、それでは原点に返りまして、国民の中には、中国問題というものが現在騒がれている、議論されている姿だけを見て考えている向きもないではないのですね。  日本があの大戦争をやってそうして負けて、ミズーリ艦上でもって降伏文書に署名をいたしましたときには、中華民国を代表する人の名前がちゃんと載っています。ところがサンフランシスコ条約では、中国代表というものは、中華民国代表中華人民共和国代表も出ておりません。そのときにはすでにして中華人民共和国というものは北京にできておりました。蒋介石は台湾に立てこもって中華民国を名のっておりました。  あれだけの戦争をやって、その平和条約を結んだときに、そこに中国を代表するものが載っていない、ここいらが原点だと私は思うのですが、この辺から考えてみたい、こう思うのです。  サンフランシスコ条約の第二条で、日本台湾放棄しているが、これは返したという表現は当たらないですね。返したのなら相手があるはずですが、相手がない。ですから、だれに返したとは言っていません。池田総理のころだったと思いますが、しいてきめるとすれば、台湾帰属をきめるのは連合国だろうというようなことも言っておりますし、大平外務大臣は、政府答弁を整理して答えますと三十九年の外務委員会で言ったきりになりまして、答えておらないのです。サンフランシスコ条約効力が発生した日が日華平和条約調印の日でもありますことは御承知のとおりです。この辺のところから、外務大臣、ひとつお考えを述べていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 大体事実はお述べになったとおりでございます。  そこで、まずご質問の第一点の台湾の問題ですけれども、これは条約放棄をして、それから日華平和条約でこれを確認しているわけでございます。放棄はしているけれども、どこに帰属ということは日本で言うべきでもありませんし、一体どこへ帰属するべきであるか、だれがきめるべきかという御質問だと思いますが、これは御指摘のとおり大平君が外務大臣の当時、しいて言うならばという常識的な答えがあったと思います。  それで、これはその後、たとえば、よく話題にされますが、吉田書簡等いろいろ経緯があったわけですけれども、日華平和条約調印といいますか締結ということで、日本としては当時中華民国との間の平和の回復ということで日華平和条約を結んだ。つまりそのときに中華民国という国を代表する機関としての政府にいわゆる国民政府を選んでこれに調印をした、こういうことがその当時からの経緯である、こういうふうに承知いたしております。  それから、やはり正確に言えば、台湾帰属ということについてだれがきめるべきかということについては、日本政府としては言及せざることが正しい態度ではないかと思っております。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 日華平和条約が署名された日はサンフランシスコ条約の発効の日である、まことに劇的だと思うのですが、これは間違えておりますか。     〔永田委員長代理退席委員長着席
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも正確な表現は専門的に申し上げるのがいいと思いますけれども、日にちが一致していることは事実です。これは偶然といえば偶然でございましょうし、的確にいえば、独立を回復した日本が、独立主権を持てる国として中華民国平和条約を結んだ、こういうことになると思います。
  30. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 再度申し上げますが、サンフランシスコ条約というものの中には、日本がほんとうに相手にした中国が署名しておらない、参加しておらない、これもいろいろいきさつがあったと思うのです。これを外務大臣から詳しいことをひとつ聞かしていただきたいと思うのです。  それはなぜそう言うかと言うと、いまそこから考え直していくことが、原点に立ち返って中国問題を解決していくために効果があると思うから教えていただきたいのですが、きょうは時間がありませんからそれを言いませんが、その平和条約が発効した日が日華条約調印の日であるということは、偶然と言われますけれども、私は非常に政治的に意味深長なことだ、こう思うのです。  そこで、日華平和条約と言うものは、われわれの先輩が非常に苦心をしてつくられたというふうに思うのですが、そういうふうに思いますか。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず、その日にちが同時だということは、先ほど申しましたように、まあ言ってみれば偶然日にちが一致したという見方もできましょうけれども、法律的にいえば、サンフランシスコ条約効力が発効しましたから、そこで、主権を回復した主権国としての日本国政府日華平和条約を結んだということに私は法律的にはなると思います。  それから、原点に返ってというお話でございますが、それもそうでございましょうが、同時に、それから二十数年たっている。その間にやはり歴史の流れというものが流れておるわけでございます。そうしてその間において友好親善関係がその国との間にずっと平穏につながれてきたというこの事実もまた無視することはできないのではないかと思います。
  32. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それはそのとおりですが、日華平和条約というものはわれわれの先輩がたいへん苦労して、案文その他にも苦労をして、領域の問題なんか特に、時間がありませんから申し上げませんが、苦労してつくったものだと思いますが、大臣そう思いませんか。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは非常な苦労をしてつくられたものであることは間違いないところでございますし、それから日華平和条約が締結される、その案文等の作成の過程においても、当事国双方が非常な苦労をしたということも歴史上明らかであると思います。
  34. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 なぜ私があえて苦心云々ということを言うかというと、われわれの先輩は将来をおもんぱかって、これから先のことを心配して、そうしておもんばかった将来がいまわれわれの代に現実に来たというふうに私はとらえるのです。このとらえ方、間違いございませんか。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その辺になりますと、またいろいろの見方や、見方のニュアンスもいろいろ違うかと思いますけれども、しかしこれはそういうとらえ方もありましょうし、先ほどの話じゃございませんが、現実のこの中国あるいは台湾現状ということに対していかに処するかという現実的な今日的な問題として取り上げなければならないということに非常な苦労がまたあらためてあるということではないかと思います。
  36. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 外務大臣として、現実の問題として苦労なさっておることはよくわかります。よくわかりますが、私は中華人民共和国からおどかされる必要もないし、驚きもしませんし、多少そこに矛盾があるとしてもそれなり経過をたどって現在に来ているのですから、外務大臣の言われるように、その経過があるのですから、現実は動かすことのできない現実があります。その現実それなり経過をたどってきているのですから、いますぐ急にというわけではもちろんございませんけれども、しかしわれわれの先輩が、もしこうなったらばというようなことを顧慮して案文一つ一つについて最大の苦労をなさった。そのことは吉田総理の残された書簡あるいは著書等を見てもよくわかるのですが、そういう心配が現実となってあらわれてきている以上、急に急いでということは私は賛成しませんが、しかしながら、考えなければならないことだとは思うのですが、外務大臣、いかがですか。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点も同感でございます。したがって、これはお尋ね以外のことを申し上げて恐縮ですけれども、いつも私申しますように、たとえば日華平和条約の問題で戦争終結問題等についてもいろいろ論議のあるところですが、政府としてはこれで中華民国との間では平和状態が回復されたのである、戦争は終結した、こういう見解をとっております。同時に——同時にと申しますか、中華人民共和国政府はさような見解はとっていない、逆な、反対な立場をとっております。そのことも政府はよく知っております。そして将来日中間のいろいろの関係が改善されていくその過程の中においてこの問題はだんだんと解決されていくものでありましょうというそういう見解もかねがね申し上げておるわけでございます。
  38. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 台湾帰属について、日本平和条約放棄したのだからものを言うべき立場にないと言っておられるのですね。ですが、二十七年の衆議院の本会議で当時の吉田総理大臣は、台湾政府はすでにある中国の一部の領土現実に支配し、これが統治を実行していると発言なさっておるのですね。台湾政府はすでに中国の一部の領土現実に支配し、これが統治権を実行していると発言をしておられます。国民政府は一九四五年の九月二十五日に国内手続台湾中国領に入れております。北京政府もまたこの手続を事実上認めて台湾中国領であると言っているのです。どこの国でも台湾中国領土であることは疑っていないのです。わが国が台湾中国領土であるかと聞かれて、答える立場にないと依然として言っているのは、何かおかしい。何か台湾独立でもするときのことをおもんぱかっているのではないかというような疑いすら意地悪くいえば出てくるのではないか、こう思うのですが、大臣いかがでございましょう。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御承知のように、政府としては一つ中国ということを正しい見方であるという見解をとっておりますから、一つ台湾あるいは台湾独立というようなことを念頭に置いて、そしてそういう解釈や見解をとっているわけではございません。それから私はやはり国際的に妥当な方法によって台湾帰属というものは決定されるべきものだろうと思いますが、しかしどういう形でどこに帰属すべきかということはやはり放棄した立場からいって云々すべき問題ではない、こう思います。  それから同時に、これは私の考え方ですけれども、たとえばカナダ中華人民共和国政府が国交回復しました。いわゆる台湾に対する領有権の主張ということについてテークノートした。その考え方についてカナダはエンドースしたわけでもないし、チャレンジしたわけでもないという非常に含蓄のある態度をまた別に表明しておりますですね。こういうところは、やはり台湾というところがまだ本式にどこにも国際的な妥当な方式によってきまっていないということをもカナダは頭に入れてのそういう発言ではなかろうか。私はこれは確認しているわけでも何でもございませんけれども、そういう感じも実は受けているような次第でございます。
  40. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 中国領土の中に台湾が含まれているということは、これはだれが考えてみても私は当然のことだと思うんです。ただこれを統治するのは自分だというふうに北京政府も言っているし、台湾政府も言っている。台湾政府北京政府台湾中国領土だ、こう言っている。どこの国だってそう言っているのに、日本だけが答える立場にないと言っているのは私はおかしいと思う。ただ、両方の政府がおれのものだと言っているのですから、それに対して何か違うようなことをいうのはむしろ内政干渉のそしりを免れないような気もするので、ただ問題は、その際北京政府を選ぶか、台湾政府を選ぶかということなんですが、これはだれがきめるかといえば、これは第三国の選択それぞれにまかせる以外にない、こんなふうに考えますが、大臣いかがですか。
  41. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そこで内政干渉のようなふうになってはたいへんでございますから、それだけが一つの原因、理由ではありませんけれども、放棄した日本台湾というところはどこに帰属をすべきだということを言うことは、日本としては越権でもあるし、言うべからざることである、こういう見解政府としては維持しているわけでございます。  それからその次の問題は、台湾を、どこの帰属かということとは離れて、いずれが一つ中国の代表政府であるのかというようなことは、前々から申しておりますように、当事者同士で平和的な話し合いできめるべき筋合いのものである、きまればそれに従う、これが日本政府態度であるべきである、かように存じております。
  42. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 前からずっと同じお答えしかいただけないことを残念に思いますが、これも大臣のお立場からいえばしかたもないことだと思いますが、私の持ち時間がなくなりましたから、大臣最後に一点だけ、去る四十五年の十一月に、戸叶さんの質問に対してお答えになっていることを私なりに整理してみましたらこんなふうになりますが、戸叶さんもここにおいでですが、これが違っているか違ってないかということだけをひとつお答え願いたいと思います。  日本国民政府との間に日華条約を結んでいるけれども、北京政府中国の正統政府として承認することはできないことはない。もしそうした場合においては、法律的には旧政府である国民政府との間の条約はなくなる、消滅する。こういうふうにお答えになっているように、これは幾つかのやりとりを整理すると、そうなるのですが、いかがですか。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 条約の承認ということではなくて、これは観念的な問題ですけれども、国の承認、政府の承認ということはあり得る、こういう気持ちで申し上げたつもりでございます。条約の承認ということではございません。
  44. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 もう一回聞きますと、日本国民政府との間に日華条約をいま結んでいるけれども、北京政府中国の正統政府として承認することができないではない……。じゃいいですよ、二つに分けましょう。日本国民政府との間にいま条約を結んで国交を結んでいる。しかし、こういう状態のままで北京政府中国の正統政府として承認することはできないではない——できるという、裏返せば、そこまで、どうですか。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは、一連のずっと長い問答がございますし、それから途中で、それはそういう意味で申し上げたのではないというくだりもございますから、端的にそう申し上げるわけにはまいらぬと思います。
  46. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それじゃこれでおしまいにいたしますが、そういうふうにした場合には法律的には条約上はこの台湾政府との間に結ばれている条約というものは消滅する、これはどうですか。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 条約の消滅ということには必ずしもならないと思います。
  48. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 時間ですから終わりにします。
  49. 田中榮一

    田中委員長 戸叶里子君。
  50. 戸叶里子

    戸叶委員 いま私も中国問題を質問したいと思うのですが、鯨岡議員がいま質問をされた点について、ちょっとはっきりさせておきたいと思うのです。それにはその当時の速記を持ってこないとちょっとはっきりしないので、私はいま鯨岡さんが結論として質問をされたとおりのように伺っております。たとえば、国民政府との間に日華条仏を結んだという事実はある、しかし北京政府を正統政府として認められないことはない、認められる、しかしそのときには前の条約は消滅するのだこういうことは確かに私も伺っていると思います。  それで、そのことについて私はそれ以上のことを申し上げなかったのは、一つの事実の答弁として伺っておいて、そしてそのあと今後いろんな面での論議の発展をしていきたい、こういうふうに考えたものですから、条約上はそうなっていますかということを伺いましたときに、条約局長は、条約上はそうなっているということを確かにお答えになったと思うのです。ですから、いまここに正確な速記がないものですからたいへん残念ですけれども、もう一度あとでこの問題については伺いたいと思いますが、そうおっしゃったことには間違いないのですが、いかがでございますか。条約局長はそうおっしゃったはずなんです。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは私も記憶をいたしておりますし、それから私、いま申しあげたのをもう一ぺん繰り返すことになりますけれども、これは仮定の原則論を申し上げたつもりです。そうして政府の承認ということがそのとき話題になりまして……。国と国とを拘束しているものが条約でございます。そして、その国を代表するところの政府が、こちらの立場からいって承認、別の政府を承認したというときには、その国を代表するところの政府が変わったというと常識的な説明になりますが、その場合は条約はそもそも国と国との間を拘束しているものでありますから、条約は消滅しない。そこで戸叶さんが、それなら承継理論ですかと、こうおっしゃったことを記憶いたしております。これは原則論、一般論としてはそういうふうに言えるかもしれません。
  52. 戸叶里子

    戸叶委員 それですから、先ほど鯨岡さんがおっしゃったのはそのことを引用されて言ったわけです。ですから、国と国とが条約を結んだ場合にはそういうことがあり得るというふうに認めていいわけですね。前のがなくなるということは認めていいわけですね。
  53. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちょっと角度が違うかもしれませんが、そのときの私の見解を申し上げましたのは、つまり国と国とを拘束し合うのが条約というものである。そうして日本政府はその国を代表するものとして国民政府との間に、つまり代表する機関としての政府条約を結びました。その代表する機関であるところの政府以外のものを日本政府が承認したというような場合をかりに仮定をすれば、論理上は、観念的な問題ですけれども、条約は消滅をしない、こういうことになるのではないか、条約は消滅しません。国と国とを拘束をしているのですから、国を代表している機関としての政府が、今度は別の政府が代表するということになれば、条約は消滅しないで、条約は存続する、こういう見解が成り立ち得ると思います。しかし、これはあくまで観念論であり、一般論でございますから、現実の政策論として申し上げたわけではございません。
  54. 戸叶里子

    戸叶委員 そういうふうにはこの前はおっしゃらなかったように思うのです。内容が違っていると思うのですよね。  私、正確を期するために、この次までにもう一度よく読んでまいりまして、そうして、いまの大臣のとはちょっと私違うように受け取っておりますし、私自身が違うふうに解釈しているわけですから、そういうふうな御答弁でなかったように思いますから、正確を期するために、この次速記を持ってまいりまして、また質問させていただきたいと思います。  そこで、私の質問に入りたいと思いますが、先ごろ中国を訪門された藤山さんたちがお帰りになりましたが、外務大臣としては藤山さんからいろいろお話をお聞きになりましたか。
  55. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実は出発される直前にもいろいろお話、意見を交換しましたので、いま私は楽しみにしているのですが、何ぶんいまは私も非常に忙殺されているものですから、まだお話を伺う機会はございません。
  56. 戸叶里子

    戸叶委員 こういうことは新聞でごらんになったかと思いますが、中国のほうで日本中国政策というのはアメリカよりおくれているということを言われたというふうに新聞に報道されていましたけれども、もしそういうことであるとするならば、どういうことをさされて言うのか、おわかりになりますか。大体、日本政府が佐藤総理が四選される前から中国政策は前向きにすると言いながら、何ら前進していない、何ら変わっていないというようなことをも含めまして、私は御質問したいと思うのです。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いま申しましたように、そういう点にも触れていろいろ伺いたいわけですけれども、まだ聞いておりませんからコメントを申し上げるのは早計だと思いますが、アメリカとおくれているとかいないとかいうことは、私はあまりたいして問題じゃないと思いますけれども、アメリカ見解というものは、私もこの間当委員会で申し上げたつもりですが、一番最近のニクソンの外交教書の中に中国に関するくだりが出ておりますね。なかなかずいぶん苦心した策だと思って私は読んでおりますが、これがはたして今後きめるべき日本中国政策とおくれているか進んでいるか、これはそのときになってからの御批判を仰ぐべき問題だろうと思います。
  58. 戸叶里子

    戸叶委員 まだいろいろお話し合いになっていないというので、藤山さんの話についてはここでお伺いすることはできないわけですが、そこで私どもが新聞で見た限り、あるいはまたいろいろお話を聞いた限りにおきましては、中国態度というものは全然変わっていない。台湾中国の一部である、そうして正統な政府中華人民共和国である、そういうふうにいわれているわけでございますが、そこで、日本政府がそれに対して考えていく段階で一番問題になるのは、何としても私は台湾の問題だと思うのです。そこで、日華条約の廃棄ということは、別に急がなくてもいい、その中国との国交回復の入口であっても、出口であってもいいというのは、すぐに日華条約を廃棄しろとかなんとか言うのじゃないけれども、その基本的な姿勢というものが大事だということを繰り返し、繰り返し言われているのだと思います。そこで、台湾の問題というのが非常に大きな問題になってくるわけで、このことはいま政府自身がいろいろ悩んでいられることはわかりますけれども、もしも中国政策というものに対して、真剣に取り組もうとすれば、これをよけて通ることのできない問題だと私は思うのです。いま鯨岡さんもいろいろおっしゃいました。私もやはりこの問題は早く解決していかなければならない問題だと思うわけですけれども、この間の委員会で私が台湾帰属一問題についていろいろとお伺いをいたしましたが、結局外務大臣のおっしゃったことは、日本はサンフランシスコの平和条約でこれを放棄した、そこでその帰属については日本以外の多くの関係人たちできめられるべきものである、これが一点、第二点として、台湾という地域の帰属問題については、その角度からは日本政府としてはお答えできない、事実それが正しい姿勢ではないかと思う、ずっと私どものやりとりを集約してみると、この二つに大臣お答えは限っていたと思うのです。私はそういうふうなことが、政府の今日の考え方ではあろうと思いますけれども、しかし、この中国問題というのは、ずっと終戦後から続いている大きな問題であって、そして台湾帰属問題というものは、国会でもいろいろ議論されたことである。ところが、この帰属問題について研究をしていきますと、外務省態度というものが一貫しておらない。そこに私はやはり迷っているものがあると思うのです。サンフランシスコの平和条約が結ばれ、そして日華条約が締結されて、そのときにはやはりだれでも、どこの国でも黙示的に台湾中国の一部であるということを考えていたいと思うのですけれども、それが何かだんだんと政治的におかしくなってきた。そのあらわれというものが、委員会での外務省答弁の変わり方というものを見てもわかるように思います。  それはどういうことかといいますと、具体的に私は例を引いてみたいのであって、これはあのときの答弁と今日とが違うじゃないかとかなんとかいう意味じゃなくて、やはりそういうふうなこれは一貫しない解釈をしているということを、私どもがあとから読んでみてどうしてこんなようになったのだろうという疑問を抱きますので、もしもその当時違っていたなら違っていたということを、はっきり訂正していただいて、そして統一した解釈というものはこうであるということを出していただかなければならない、私はこういう意味で質問したいと思うのです。  さっき鯨岡さんが、二十七年の吉田総理答弁というものをちょっとお出しになりましたけれども、お出しになっただけでそれ以上のことは何もおっしゃらなかったので、その辺もちょっと不満でありますけれども、それはさておきまして、私の関係した委員会での答弁というものを一応引用してみたいのですが、これをこの前引用しなかったのは、はっきりしたことばなり、何なりが記憶になかったので出さなかったのです。  そこで、三十六年四月五日の外務委員会での質問を取り上げてみますと、当時の中川条約局長が、ちょうど小坂外務大臣が隣にいらっしゃるところで、こう言っております。「領土権を」「渡してしまうということは、これは条約を待たずしてはできないのでありまして、いかにアメリカ政府の声明でありましても日本の承認なくして国民政府台湾領土権を引き渡すことはできないのであります。」こういうふうにはっきり言っているわけです。「日本の承認なくして」「台湾領土権を引き渡すことはできないのであります。」こう言っているわけです。そこで、この中川条約局長がそう言ったのに対して、小坂外務大臣はこれを黙認をして、そばにいらして、そのとおりと認めていらっしゃるわけです。台湾領土権を中国あるいはほかの第三国に渡す場合には、日本の承認が必要だということにこの答えからは出てくるわけですけれども、そういう考え方はいまもなおお変わりにならないのかどうか。承認なしに、第三国に対する譲渡とか割譲というのはできないという考え方かどうか、この点のことをまずお聞きしたい、こう思います。
  59. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ここにもたまたまございますけれども、これは小坂君が外務大臣のときの小坂君自身の答弁ですけれども、「講和条約の第二条(b)項によって、日本台湾並びに澎湖島に関する権利、権原、請求権の一切を放棄しておるわけであります。従って、われわれとしてはこれの帰属云云に対して何ら発言権はないわけであります。」これは三十六年二月四日の衆議院予算委員会における答弁でございます。これと私申しておりますことは違いはないことは御承知のとおりでございます。  それからなお、私の見解は前にも申し上げたと思いますけれども、日華平和条約で現に支配している地域というようなことばが使われているのは、台湾帰属というものについて云々すべきでないという配慮が、先ほど鯨岡委員の御質問にもありましたが、やはり当時の先輩の非常に苦労した書き方ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  60. 戸叶里子

    戸叶委員 いま外務大臣は、外務大臣答弁なりお考えに近いほうを引用されています。それと同じ、やはり三十六年四月——いまのは二月ですね、四月になると違う答弁になってきているわけですね。だから私どもは、やはり外務省自身も一貫していないというふうに考えざるを得ないわけです。ですからこれを一貫した考え方に統一されていないところに問題があるのじゃないかと思うのです。
  61. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろ私のほうもこうやって原本をいつも持っているのですけれども、三十六年四月五日、衆議院外務委員会におきましても、日本平和条約によって台湾、澎湖島に関する一切の権利、権原を放棄し、その法的地位は——台湾、澎湖島のほうですね——決定していないままになっております。これはやはり二月の答弁と同じ、小坂外務大臣答弁でございます。
  62. 戸叶里子

    戸叶委員 私が速記で引用いたしてまいりましたのは、四月五日の川上委員質問に対する中川条約局長答弁でございます。「日本の承認なくして国民政府台湾領土権を引き渡すことはできないのであります。」とはっきり言っています。そうしてさらに、その同じ日に、やはりこの問題がそういうふうに言われて、そのあとやはりこういうことが問題になってきています。  もう一つ私がふしぎに思ったことは、川上委員質問に対して答弁があるわけですね。川上委員はなくなられましたけれども、こういうことを川上委員が聞いています。台湾帰属は未決定であって、連合国で決定するのだ、そういうふうなことばを言っていらっしゃる、愛知国務大臣は、連合国とかなんとか言わないで、日本を除いた国々がというふうに非常にぼかしていらっしゃるのですが、どこで帰属を決定するかということも私どもは聞きたいことで、この前も伺ったのですけれども、その辺のことははっきり伺えなかった。しかし川上議員の質問は、「台湾帰属は未決定であって連合国で決定するんだという国際法上の文書はどこにあるか、」という質問をされております。それはつまり、連合国が決定するのです、その帰属連合国が決定するのですという外務大臣答弁があったから、それに対して、そんな文書がどこにあるのですか、こういうことを追及したわけです。そうしますと、中川条約局長が、サンフランシスコ平和条約によりまして、連合国に対して、日本は、台湾、澎湖島の一切の権利、権原を放棄した、日本放棄したものに対してとやかく言う権利はない、したがって、権利がありとするならば、それは連合国であるということになる、こういうふうな言い方で、連合国にその帰属を決定すべきだということを言っているわけです。ここにくると、その答弁が、日本はとやかく言うべきではないと、こういう言い方をしているのです。前のほうは、日本を無視してきめるわけにはいかないんだ、条約か何かによるんだということを言っているわけですね。ですから、ずっと読んでまいりますと一貫性がないわけです。こういうことから見ましても、やはり中国帰属の問題なり、それから中国帰属をどうきめるかという問題なり、日本が全然発言権がない、発言をするのは非常に不遜な態度であるというような言い方をされている。こういうことから見ますと、前をひもといてみると、全然わからなくなってしまう。そこで、私は、いま外務大臣が言っていらっしゃるその答弁というものが、どの辺にどうあるのかということをやはり考えざるを得ない。日本政府が政治的にこの問題を解決しようとするから、そこに答弁というものの食い違いがあるのじゃないか、こう思うのですけれども、こういうふうな不統一の答弁というものをどういうふうに統一して、ここでお答えになるかを伺いたい。それでも、もしも中川局長のおっしゃったことが間違っているならば、それは間違っておりますと、はっきりおっしゃって取り消しておいていただかないと、私どもは非常に迷ってしまいます。
  63. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、ことばの上のやりとりの問題じゃなくて、政府の筋は一貫していると思うのです。その、いかなる当時の答弁をおあげになりましても、日本としては一切の権利、権原を放棄したものであって、日本としては発言権はございません、これがもう一貫した筋でございます。それから先は、かりにどうなった場合はどう、どうなった場合はどうということを仮定的に多少説明が加わっている場合もあるかと思いますけれども、その全体を一貫して流れている筋はそうだと思いますし、それから現に、これはサンフランシスコ平和条約日華平和条約は、これはだれが何といいましても、日本台湾帰属について発言権を持つべきものではないし、それを言うことは、私はやはり不遜な態度である、かように存じます。
  64. 戸叶里子

    戸叶委員 私も、ことばがどうのこうのということを決して申し上げておりませんし、またことばのあげ足をとろうなんていうことはちっとも考えておりません。ただ、政府自身の一貫した考え方がないということが私どもを非常に迷わせると思うのです。さっきのお話でございますけれども、はっきりと中川さんが言われたことは、日本の承認が必要なんだという言い方をしていますから、それで気にかかるので、そういうことは絶対にないんだ、こういうふうに解釈していいわけですか。
  65. 井川克一

    ○井川政府委員 まことに申しわけありませんけれども、私も三十六年四月五日の衆議院外務委員会の抜き書きを持っておりまして、全体を持っておりませんので、あるいはあれなんでございますけれども、しかし川上先生の御質問に対する小坂大臣、中川条約局長答弁の抜き書きを持っておりますが、第一には、川上先生の御質問に対する小坂大臣の御答弁は、先ほど愛知外務大臣が言われましたとおり、一切の権利、権原を放棄しただけである、ということをまず言われております。  それから、問題は五〇年一月のトルーマン声明に移ったのではないかと思います。そうしてそのトルーマン声明は、台湾を物理的に引き渡したという事実関係を言っておるにすぎないと解するのが正当である。という小坂大臣答弁がございまして、法律的にこれを譲渡したものではないということを言われております。その次に、したがって、台湾の譲渡につき黙示の承認が成立したか、とのそういう趣旨の質問に対して、中川条約局長は、領土割譲の黙示の承認というものは観念的にはないんだ、領土の割譲は必ず条約をもってするのが原則である、こういう答弁をいたしております。したがいまして、あるいは、私全文を持っておりませんので——それからもう一つ、また川上先生の御質問に対して、カイロ宣言は、連合国の政策の宣言であり、領土の移譲という法的な拘束力はない、という小坂外務大臣答弁がございます。抜き書き判断いたしまして、まことに恐縮でございまするけれども、そういうものを総合して考えますと、五〇年一月のトルーマン声明というものが問題になって、そういうものはできるかできないか、黙示の承認であるか、できないか、そういうふうなことで、中川条約局長が、いや、そのためには完全な承認が要るんだ、一国の領土放棄なり移譲をするのには条約が要るんだということ、したがってサンフランシスコ平和条約前の状態、カイロ宣言なんか出ておりまするから、そういう状態のことを言っておるのではなかろうか。したがいまして、サンフランシスコ平和条約ではどうだということになりますると、先ほどの小坂大臣答弁によりまして、サンフランシスコ平和条約日本国は一切の権利、権原を放棄したんだということ、そしてそれの最終的帰属はきまっていないということ、これで一つも矛盾はしていないように私は感じます。
  66. 戸叶里子

    戸叶委員 川上議員の質問に対しては、サンフランシスコ講和条約日本放棄したんだから、だから日本は何も言えないと言っているでしょう。しかし前のほうの場合には、「領土権を台湾に渡してしまうということは、これは条約を待たずしてはできないのでありまして、いかにアメリカ政府の声明でありましても日本の承認なくして国民政府台湾領土権を引き渡すことはできないのであります。」というふうに言っているわけです。日本の承認なくしてはできないんだ——これは、もう日本台湾との間に条約が結ばれてからですよ。結ばれてから言っているのですよ、このことを。だから、ここら辺とあとのとは矛盾するんじゃないかということを私は感ずるわけです。ですから、そういうことを貫いてみますと、ことばだけではなくして、何か政府考え方の上に統一されたものがないと、私はそう思いましたので質問をしたわけですから、その点を抜き出した抜粋だけではなくて、都合のいいところだけの抜粋でないようにしていただきたいと思います。
  67. 井川克一

    ○井川政府委員 必ず全文を読み直します。ただ、いま御質問で、やはりそうではないかと思いますのは、確かにこの議論が行なわれましたのは三十六年四月五日でございますけれども、つまり一九五〇年、つまりサンフランシスコ平和条約前の、トルーマンが渡すとか渡さないとか言っても、それは日本の承認が、すなわち条約が必要なんだ、そこで今度サンフランシスコ平和条約ができてと、こういうふうに私はなるんだと思いますけれども、いずれにいたしましても全部読み直します。
  68. 戸叶里子

    戸叶委員 私の質問は、そういうふうなことを言っているんじゃなくて、サンフランシスコ条約ができて、日華条約が結ばれて、そのあと帰属の問題で、こういうふうに伺っているわけなんです。ですから、またよく読み直して議論しましょう。  私は、やはり大臣台湾の問題というものは非常に重要な問題ですから、いろいろ今後も深く議論して、そしてはっきりとした態度を持っていかなければならないと思うのです。中国問題を解決するには、政府政府なりにやはり考えていただかなければならない問題ですから、今後もこの問題とぜひ取り組んでいきたいと思います。  ただ、きょうはもうあと五分しか時間がないというものですから、これ以上この問題に触れられなくてまことに残念ですが、領有権の問題とかそういった問題も今後御質問していきたいと思うのです。そして私ども、明後日から沖繩に行くわけですけれども、行く前に一、二点伺っておきたいと思いますが、むしろこれは行ってきてから伺ったほうがいいかもしれませんけれども、沖繩返還交渉をしていくにあたって、基地の縮小というようなことが、一番沖繩人たちが望んでいることだろうと思うのです。いままでは基地の中の町というふうな感じがした沖繩ですから、今度は基地のないような町を希望しているわけだと思うのですが、基地の縮小ということは、いまの交渉過程では相当望めるのでしょうか。それともあまり望めないのでしょうか。この辺を伺いたいと思います。
  69. 愛知揆一

    愛知国務大臣 基地の縮小の問題については、まあ私は、正確に言うと、基地ということではなくて、現在は米軍が自由濶達に米国本土並みに使用しているわけでございます。返還と同時に、安保条約目的に沿うて、日米合意をしたものについて、日本政府があらかじめ施設区域として提供するわけですから、性格が違うわけでございますね。そしてまた、そういう角度から、基地の整理というじゃなくして、新たに安保条約下において提供すべき施設区域については、その目的に沿うように折衝をしてきめてまいりたい。常識的に言えば、現在の基地の縮小に通ずる、こういうかっこうになると思います。  それからもう一つは、先ほど鯨岡委員にもお答えしたように、沖繩の人にとっては再建上非常に必要だというようなところは、ぜひ提供するほうからははずしたい。つまり、そういう面が現在の基地の中にあれば、これも常識的に言えば、縮小整理をする、こういうわけで、いま鋭意努力をいたしております。同時に私は、これは、やはり本土と同様の経験をここに生かしていくべきだと思いますが、提供される施設区域については、返還の時点から以降は合同委員会の所管になるわけですから、これは、さらに目的に対して過大であれば、それだけは将来に向かっても、また返還後も縮小される、こういうタイミングの要素もそこに入って考えていくべき問題だ、かように存じます。
  70. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、どうしても必要なところは一応考えられるけれども、あとは基地があっても、それが日本のいわゆる安保条約の適用を受けるような形の基地になるということであって、それほど基地がたくさんなくなるということは望めないというふうに理解していいわけですか。
  71. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それは、これからのことでございまして、おっしゃりたいところは、密度の問題だと思うのですね。あるいは件数の問題である。これらについては、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
  72. 戸叶里子

    戸叶委員 私どもが伺っていたことは、協定は四月、五月に、夏までには調印をするつもりだということをおっしゃったのですけれども、そのお考えは変わらないと思いますけれども、それにしても、まだその程度の交渉しかされないんじゃ、なかなかはかどらないわけですね。それとも大体考えられているけれども、ワクはきまっているけれども言えないというのなら、わかるのですけれどもできるだけ御要望に沿うように、密度なども考えるようにしたいと思いますという程度じゃ、とても夏までには話があとまらないんじゃないかとしか私どもには思えないのですけれども、そんなスピードのおそいことでだいじょうぶなんですか。この辺ちょっと心配なので、伺っておきたいのですが……。
  73. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これからのスケジュールをお互いいに考えてまいりたいと思いますが、協定調印ということ、それから国会でこれに関連するいろいろの立法事項なども御審議いただくわけであります。そうしてそうやって一方でまたいろいろの準備を進めてまいりまして、そして返還の時点でこれらが実現化されるわけでございますから、そういうふうに考えあわせてまいりますと、私はタイミング、スケジュールの点からいきましても、いまの速度で十分間に合うと思います。
  74. 戸叶里子

    戸叶委員 この間、だいぶ前に委員会でちょっと伺ったのですけれども、日米共同声明の中で、インドシナ半島の情勢が悪化していればということばじゃないのですけれども、その状態が続いていれば、再協議をするということがあったけれども、もう再協議をする必要がなくなった、このことは、つまり沖繩基地というものが、ある程度政府アメリカが見通しがついて、そしていままでよりも不自由することなくある程度使える形で残していけるという自信がついたから、もうそういう協議は必要ないだろうという形で協議を必要としないという形になったのですか。この辺のところを、いまインドシナの情勢は続いているわけですけれども、前とちっとも変わっていない、もっと悪化しているわけですけれども、こういうことがやめになった裏は、どういうことなんでしょうか。
  75. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういじ悪くおとりにならないでいただきたいと思いますが、率直に申し上げますと、インドシナにおける状況というものは、決してわれわれが期待しているような和平状況にどんどん近づいているとは思いません。しかし一方におきまして、沖繩が核抜き本土並みで日本に返るということも既定の事実になってきておりますから、アメリカの戦略体制というようなことからいいましても、安保条約の制約を受ける在沖米軍ということになるわけでございますから、そのことを基本考えて、そしてベトナムにおける状況がどういう状況であっても、アメリカ立場からいっても、日米共同宣言の考え方に基づいて、もうベトナムについての再協議というようなことは、必要は消滅したと見てもいいでしょうということが、アメリカ側からも流れ出してきていることは御承知のとおりでございます。  それから同時に、今後も安保協議会その他も随次開いてまいりますけれども、まず第一に本土駐留米軍が相当のスピードで減っている、それから沖繩の米軍というものも現に減る傾向にあるし、これは随所にそういう考え方があらわれているということから考えあわせてみまして、沖繩が自由発進になるから一向差しつかえないのだ、そういう意味で再協議なんか必要ないのだというのではなくて、もっと基本的にわれわれの好ましい方向において再協議というものが必要がなくなってきた、こういうふうにお考えいただきたいと思います。また政府といたしましても、ぜひそういう方向ですべてのものを持ってまいりたい、かように考えております。
  76. 戸叶里子

    戸叶委員 私は時間がなくなりましたから、あと防衛庁長官がいらっしゃったら一問質問をすることにして、質問を打ち切ります。
  77. 田中榮一

    田中委員長 西中清君。
  78. 西中清

    ○西中委員 私は、新聞報道で各紙が報道しております南ベトナムの石油開発につきましての質問をいたしたいと思います。  これによりますと、石油開発公団と民間の八社が海洋石油を設立して、アメリカ国際石油資本と組んで南ベトナム沖の石油開発に乗り出す、こういうことがほぼきまりになったというような報道でございますが、この事実関係はどういうことなのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 お答えいたします。  実は、きょう午前中参議院の外務委員会でもこの御質問が出て、私率直にお答えしたのでございますけれども、実は数日前にこの報道を知りまして、その中にはモスクワ放送もございますのですが、それでその程度の私自身知識だったものでありますから、この事情をつまびらかにいたしません。したがって午前中は、参議院の方にたいへん失礼をいたしたのでありますけれども、ここには通産省からも来ていただきまして、いろいろ経緯があるようでございますから、詳しくお聞き取りいただきたいと思います。  ただ私として一般論として申し上げたいと思いますのは、日本としては、この間のOPEC問題ではございませんけれども、やはりエネルギー資源については、もうほとんど日本の全消費量が輸入にまたなければならないような環境にございますから、できるだけ新しい資源を自主的に開発する、これに対して関係国が協力を申し出てくれば、それと協調して開発に当たることは原則論として適当であろう、これはベトナムの周辺であるということで、現在のベトナム戦争との関係が問題になり得る要素かとも思いますけれども、しかしこれはずいぶん時間のかかる問題であり、おそらく二十年、三十年というようなタイミングで考えなければならない計画であろうかとも思いますので、そういうところも加味して、十分私としても今後勉強してまいりたいと思っております。
  80. 西中清

    ○西中委員 これも、申すまでもなく、ベトナム戦争は全インドシナ半島に及んでおる状態でございますから、その戦況に対して中国側も何らかの動きをするというような決意を表明するような非常に緊迫したともいえる段階に入っておる国際情勢上からいっても非常に関心が集中しておる時点でございます。それだけに、これは単なる石油資源を日本が求めておる、こういう単純な判断でなしてはならない、政治的に問題になる、こういう要素が非常に危惧されるわけですね。そういう点で、いまも外務大臣からもお話がありましたが、現実問題として入札に参加をするということでございますが、この進出は政治的にどういう判断をしておられるか、この点についてお伺いをいたしたい。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それでは御審議いただくなにといたしまして、まず具体的にいままでどういうことになっておりますか、通産省のほうからお答えいたさせます。
  82. 西中清

    ○西中委員 時間がないから簡単に。
  83. 花岡宗助

    ○花岡説明員 お答えいたします。  南ベトナム政府は石油資源の開発を促進いたしますために、昨年の末に石油資源開発法を制定いたしまして、非公式の情報によりますと、南ベトナムは石油開発の経験が乏しい国でございますので、国際入札方式によりまして、外国の開発会社に鉱業権を付与して開発を行なわせるという意向であるというように聞いております。それで、国際入札に関します公式な発表につきましては、まだ南ベトナム政府から出ておりませんで、その時期はまだ流動的でございますが、きょう新聞に報道されておりますように、昨日創立総会が行なわれました海洋石油株式会社は、広く東南アジアにおきます石油開発を行なうことを目的としたものでございますけれども、南ベトナムの油田開発も対象一つとして考えておるというふうに聞いております。それで、南ベトナムヘの進出につきましては、ベトナム政府の正式な公示もございませんので、流動的でございますが、今後検討を要する問題であるというふうに考えておるわけでございます。
  84. 西中清

    ○西中委員 今後検討を要する問題ということでございますが、私はちょっとこれはこれまでの経過がいささかすっきりしないという感じがするわけでございます。先ほど外務大臣はよく理解をしておらなかったという意味のお話がありました。すでに八日の参議院の予算委員会でもこの問題が指摘をされておりますが、愛知外務大臣は、南ベトナム水域についてそうした事実はない、このように述べられておられるようでございますが、これは八日の時点では確かに外務大臣はそのように御存じでなかったのかどうなのか、その点をひとつ。
  85. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは正直申しまして、その時点では私は承知しなかったわけでございまして、そのとおりすなおにお答えをいたしたわけでございます。
  86. 西中清

    ○西中委員 ところが八日にも指摘があったと思いますが、二月二十三日のプラウダで、そういったことに関連して、アメリカがベトナムにしがみついておるのはインドシナ半島沿岸に広がる巨大な油層を手中におさめるためだ、こういう指摘をまずしております。それからアメリカの国内でも非常に問題化しておる、こういうことでございます。下院議員が公聴会を求めておるというような報道がなされております。この中には、要するに石油資本と政治が微妙にからみ合って、自分たちのむすこが石油のために殺されておるのだ、こういう国体の叫びが大きく広まってきた、こういう背景があるようでございます。  したがいまして、私はまず通産省に聞いておきたいのですが、こういう背景があるにもかかわらず、この海洋石油というのは、石油公団も一枚からんでおるようでございますが、この点についてはどのような判断をしておったのか。  それから、当然このベトナムの話が出ておるのですから、政治的に問題があるとおそらく判断をして外務省なりに相談ということはなかったのかあったのか、この点をお伺いしたいと思います。
  87. 花岡宗助

    ○花岡説明員 先ほど申しましたように、昨日できました会社は東南アジア地域の石油開発ということを目的にいたしておりまして、南ベトナムに関しましてはまだ正式の公開入札の告示も出ておらないという状態でございますので、あるいはその辺も民間では考えておったかと思いますが、政府といたしましてはなお検討中の段階であるということでございます。
  88. 西中清

    ○西中委員 外務省には話してないのですか。
  89. 花岡宗助

    ○花岡説明員 きょう御質問がございまして、きのう新聞でそういう会社が設立されることになりましたので、きょう外務省のほうに相談をいたしたわけでございます。
  90. 西中清

    ○西中委員 これは石油公団が関係しておる問題でございますから、しかも国連におきましてもこの地方の石油は非常に有望だという調査がすでに行なわれて、八社が関係をして、どこを堀るのかというような話もしないで事が起こるというはずがないでしょう。東南アジア全般でございますなんというそんな甘いことでそれじゃこの会社をつくったのかどうなのか、この点どうなのか通産省。
  91. 花岡宗助

    ○花岡説明員 私どもが公団から聞きましたところは、この南ベトナム地域の海域は、東南アジアにおける非常に数少ない処女地である、石油開発の面では非常に大規模な残された数少ない処女地である、それで当該地域は石油賦存の可能性も非常に高いし、また低硫黄の原油が賦存するというように地質学的にいわれておる。したがって、石油開発公団の業務の範囲内において石油開発の見地からはこういったところへ民間が進出するということは好ましいと考えておるというふうな話を、本日のところは聞いておりますが、政府のほうとしては、なお外務省と相談をいたしまして、今後慎重に検討してまいりたいと考えております。
  92. 西中清

    ○西中委員 通産省はそういう考え方で進めてこられたので外務省は知らなかったということになれば、それ以上のお話はできないわけでございますが、政府から出資をいたしております石油公団、これは昨年の予算で百三十五億円、本年は百七十億円というようなお金が出ておるわけでございますが、これだけの公団がやっておる事実、また計画しておることについて、優秀な外務省が全く知らない、これはなかなか私たち理解ができないわけですね。石油公団と通産省だけのペースで話を進めてきた、外務省は全くらち外である。これは実際開発にまた入札に関係する場合には当然外務省にいろいろと問題が関連してくるわけでございますね。それは実際知らなかったのかどうなのか、もう一度念を押しておきたいと思います。
  93. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは先ほども率直に申し上げましたように、私としてはたいへんどうも不勉強で申しわけございませんでしたけれども、今朝参議院の御質問があったときにも、実は情報として報道からむしろ私は知ったのでありまして、今後十分勉強さしていただきたいというお答えをいたしたような次第でございます。
  94. 西中清

    ○西中委員 その辺の判断は外務大臣のおっしゃることをそのまま受け取っておいたとしても、私はやはり通産省は非常に問題だと思うのです。これはやはり事前に——単に経済的な問題ではなくて政治問題もかかえた、関連した、こういう問題でございますから、課長さんに言ってもお答えのしようがないと思いますので、きょうはやめますが、後日にこの問題はまた譲りたいと思いますが、いずれにしてもこれは非常におかしな話です。私はそのように理解しております。  そこで外務省として、八日の委員会でも問題になっておるし、こういうプラウダの記事もございますし、アメリカでも問題になっておるし、こういう状況をかまえて、じゃこの問題はなるべくやらないほうがいいんじゃないかというような判断をされるのか、何らか通産省と慎重な検討をされるつもりはあるのか、それとも、まあまあしようがないじゃないかでき上がったものは、という考えでおられるのかどうか、その辺のところを大臣より……。
  95. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私といたしましては、したがいまして、今朝来もいろいろとどろなわ勉強を実はいたしたような次第でございまして、いま早計にここで意見を申し上げることができませんことをたいへん恐縮に思っております。ただ、冒頭に申し上げましたように、日本のエネルギー資源ということを考えてみますと、もうグローバルに、全世界的に考えてまいらなければならない問題でございますから、ベトナム海域でこのように有望なところが問題になり、そうしてほんとうにいま私はどろなわの勉強で申しわけないのですけれども、たとえばフランスとか、ドイツとか、そういうところにも何か共同開発というような希望もあるやに先ほど聞きましたわけでございますが、それらの情報をもう少し集めまして、同時にそれからこれは二十年、三十年というようなタイミングで考えるべき問題であると思いますから、必ずしも現在の騒乱状態にある地域の沿海であるということだけから判断するのもいかがであろうかというような感じもいたしますが、まあその辺のところはとっくりひとつ外務省立場においても検討させていただきたいと思っております。
  96. 西中清

    ○西中委員 私がしつこいようにお伺いしておるのは、これは新聞報道でございますけれども、アジア局長さんは、これは経済的な問題だからかまわないというような意味の御発言をされておりますから、このままの姿勢でいかれたのではと私は危惧しております。少なくともベトナムは戦場なんです。そしてその南部の一番端っこのほうは解放戦線の勢力の非常に強いところです。その目の前の石油資源ですね。こういうところへ日本の資本が入っていく、いわんやまた石油公団という政府機関まで入っていく、こういう状態は、民間べースだということはちょっと通らないのじゃないか。特にこの戦争の事態の中へ、諸外国が、関係国が非難の材料にしておる中へなぜわざわざ入っていかなければならぬのか。石油資源の問題はわかりますが、それはそういう国際の紛争なり平和ということを飛び越えてでもわが日本の石油を確保しなければならぬのか。言い過ぎになるかもしれませんけれども、やはりそこまで言いたくなるような気持ちがしてくるわけなんですが、その点いかがでしょう。
  97. 須之部量三

    ○須之部政府委員 私の名前引用されて恐縮でございますが、正直なことを申しますと、この記事まさか私の名前が出るとは思いもかけなかったのでございますが、夜中に寝入りばなを急に電話で起こされまして、こういう話があるがということで、どうなんだと言われたのでございますが、この新聞記事にも最初に出ておりますが、具体的な話も何も聞いていないがというのが冒頭にかかっておるわけでございます。急に電話だけの御質問がありましたので、いわゆる大陸だなということでの、私どものいろいろ考えておりますほかの国との大陸だなの管轄権等の問題が頭にまず最初にまいりまして、その点は今回の場合は何でもないじゃないかというようなことで、コマーシャルに話が進んでいるならけっこうな話じゃないかという趣旨を申したものでございます。したがいまして、基本的な立場は先ほど大臣の申されたとおりでございます。
  98. 西中清

    ○西中委員 急なことでことばが十分でなかったということはよくわかりますが、いずれにしましても、意地の悪い考え方になりますが、これが早い時点におきまして発表されたり話題にのぼっておれば、おそらくこの会社の設立自体が相当問題になっているんじゃないか。国会で八日に取り上げられ、そしてきょう取り上げるというような状態で、すでに十日に、昨日ですか、会社を設立した。既成事実をつくって、あとは押し倒すのだというような気配を私は感ずるわけです、悪くいえば。あまりすなおな考え方じゃないかもしれませんけれども、一気に事を押しつぶしてしまえというような気配を私は感ずるわけです。それはどこのサイドでお考えになったかは別問題としても、もしもそうであれば。だけれども、どうもその点で、いま国際関係が非常に緊迫している中において、これはもう非常な問題だ。ここで通産省と外務省がひとつ真剣に検討して、こういう危険な地帯においてわが日本政府の機関並びに民間大手業者が手を出すということは、これは日本の安全そして将来の平和のために何としてでも押えなければならぬ問題だ、私はかように思うわけでございますので、そういうつもりで大臣は運んでいただきたいと思うわけでございますが、その点について大臣より……。
  99. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともだと存じますので、私といたしましても真剣に検討いたしたいと思います。
  100. 西中清

    ○西中委員 時間がもう来ましたので、私、次の質問のために、あらかじめ結論的なことになりますが、お聞きをしておきたいことがございます。  それは、最近のアメリカの論評等を見ておりますと、国連に国府をあくまで残すという考え方、こういうものが徐々でございますが、明確になっているように思われます。したがいまして、今年秋の国連総会においてこの中国代表権問題に関して従来と違ったものが出てくるんじゃないか、こういうように思うわけでございますが、政府は現在どのような観測をされておるか、それをひとつ……。
  101. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、アメリカのほうは、先ほどお答えいたしましたように、先般のニクソン外交教書で中国に触れておりますところは、アメリカ立場としてもこの中国問題をずいぶん真剣にまた注意深く検討していることがうかがわれるわけでございます。その他の諸国においても、国連加盟国としての立場において、今秋の中国代表権の問題についてはいかがいたすべきかということについて、それぞれの立場、それぞれの考え方でいろいろの動きがあるようでございますので、政府といたしましては自主的な立場をとるべきはもちろんでございますけれども、同時に各国の本件についての態度というようなものも十分参考として掌握していかなければならない、こういう立場でいろいろとさような動きをできるだけ詳細に、また今後も相当の流動的な動きがあろうかとも思いますので、十分見据えまして、その間に立って日本の自主的な立場でいかようにすべきかということを決定をいたしたい、さように考えておる次第でございます。したがって、ただいま今秋いかなる態度をとるかということについては、まだ結論を出すに至っておりません。
  102. 西中清

    ○西中委員 まだ結論が出ていないということでございますけれども、かりに、仮定の問題でございますが、重要事項指定方式にかわる何らかの提案があった場合、政府は従来どおりの重要事項指定方式をとるのか。それとも変更をする意志があるのか、その点はどうでございましょうか。
  103. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は前々から申しておりますように、昨年秋の本件についての各国の投票に対処する態度、それからそのときのいろいろの経過などを見ますと、いろいろの考え方があるようでございますが、相当の国々が、やはり忠実な現加盟国であったところを国連憲章の精神等から見てもこれを追い出すということにはかなり深刻なためらい、あるいはもっと積極的に、支援すべきであるという態度も見受けられるようにも思うわけでございます。それこそ勘考いたし、そして日本として自主的にどう対処するかということについては、先ほど申しましたように態度をまだきめ切っておりませんが、ともかく重要な、大切な問題として深刻に検討をいたしたい、かように存じております。
  104. 西中清

    ○西中委員 たとえば、国府の追放について重要事項指定方式にする、こういう意向は、政府としては、そういう提案がアメリカのほうからあったと、かりにした場合は、それも一つ可能性の強い問題として扱われますか、それとも全く問題にならぬとお考えでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
  105. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まだそこまで実は各国とも、アメリカもそのようでございますし、考えてまだそこまではというような具体的な方法論を相当積極的に考えるまでには至っていないように見受けておりますので、日本政府といたしましては、現在の段階で仮定のことを前提にしていろいろ申し上げるのもまだ少し時期が早いかと考えています。
  106. 西中清

    ○西中委員 終わります。
  107. 田中榮一

    田中委員長 曽祢益君。
  108. 曾禰益

    ○曽祢委員 まず最初に、外務大臣に先般の三月五日の当委員会におきまして御質問申し上げました駐留軍の解雇の問題、特に横須賀における解雇の予告のあった者が、その予告の期限到来の三月五日の二日前になりまして、前からいろいろなそういううわさがあったのでございますが、言うならばうわさどおりに約二百八十名ぐらいの従業員に対しまして一カ月解雇を延期するという通告がございました。こういうことでは現地における人心は非常に不安であるし、日本側の当局並びにアメリカの意図那辺にありやと非常に不安、動揺を起こしておる。このことについては、これよりさき二月十五日の当外務委員会におきまして外務大臣にそういううわさがあるがどうかということを伺いましたのに、アメリカ大使館並びに在日米軍司令部に問い合わせたところが、十二月二十一日の日米安全保障協議会の決定は何ら変更ない、言うならば、非常にはっきりした否定のお話があったにかかわらず、こういうことになった。これははなはだ遺憾であるので、今後こういったことが起こらぬように、もし十二月二十一日の日米協議決定の線を変更しなければならないような事態があるならば、これは当然にアメリカ側からぽかっと、しかも小出しに解雇の延期の通告があるというふうな事態でなくて、もう一ぺん日米安全保障協議委員会等を開いて十分に両方の意見を出し合って、必要の改定をすべきではないか、こういうことを申し上げましたのに対して、外務大臣は、大体そういう方向で協議して決定していきたい、こういうお話があったわけであります。  ところが、これまたすでに御承知のように、昨日になりまして在日海軍司令部は、今度はこの前の第一回組だけでなくて、第二回の四月十八日に解雇を予定されておりました、すでに通告を受けておりました艦船修理部の従業員千四百七十名全員について、そのうち第一部は八百七十名を五月七日までこれは延期する。それから第二部の六百名を六月三十日まで延期する。これは今度は非常に特色があるのは、艦船修理部の部門だけについてのかなり大幅な、しかも大量の解雇の延期の通告があった、こういうことが報道されておるのであります。この報道について外務大臣はあらかじめ御承知であったかということが一つと、いま一つ先般の当委員会における外務大臣お話から見まして、日米協議委員会等に乗せてこういうものはきめるべきじゃないかと考えるのでありますが、その点に対していかがにお考えであるか、まず外務大臣から御答弁を願いたいと思います。
  109. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまの前段のお尋ねの点はそのとおりでございまして、外務省に対しましても事前に通報がございまして、十日に解雇の延期の発表がなされたわけでございます。この人員はいまお話がありましたとおりで、横須賀艦船修理部従業員千四百七十二名は四月十八日解雇の予定でございましたが、この計画の実施が予定よりおくれているために、約八百七十名は五月七日まで、残り約六百名は六月末日までそれぞれ解雇を延期することにした、こういうわけでございます。  そこで、第二段の全般的なお尋ねでございますが、この前の当委員会で申し上げましたように、十二月二十一日の安保協議会できめましたことは、そのときに直ちにその内容を発表もいたしておるわけでございますが、もし事情によってそのときに予定したものよりおくれるとか、あるいは計画の変更が必要とされるならば、日米間で十分話し合って、日本側としても了解のできることならば了解ができるでありましょう。そうしてまたその合意によって協議会のきめましたことを訂正をすることがあるならば、訂正をしなければなりませんし、またそこまで至らない実施計画の若干の事務的遅延等によるものであるならばまたそれなりに合意のしかたがあろうかと思いますが、そういう点についてもう少し事態をはっきりさせて、お話のように小出しに出先のところでちょこちょこやるのではなくて、筋をはっきりさせるべきではないか、かように考えましたものですから、米側と外務省としても協議を始めたわけでございます。そして、いままだどういうふうになるかという結論は出ておりません。私の理解しておりますところでは、ある点については本国の請訓をして米側としての希望案というものが出てくるのではなかろうかと予想しております。実はきのう、きょうにも当委員会におきましても何か御報告すべき新しいことがあればここで御報告をしたいと思いまして急いだわけでございますけれども、まだそこまでには立ち至っておりません。今夜とも御趣旨に沿いまして事態をはっきりするようにいたしたいと思っております。
  110. 曾禰益

    ○曽祢委員 そうしますと三月五日の当委員会における御発言のように、アメリカと十二月二十一日の安保協議委員会の、実施に関して相当重大な変更を要する等々の問題があるようだから話を始めた、それで一部は本国に向こうも請訓している、こういう状態であるけれども、その間の今回り発表があった。発表そのものについては、協議であったかどうかは別としても、外務省にも通報はあった、こういうことでございますか。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 大体そのとおりでございます。  前段につきましては、いま申しましたように十一月二十一日に合意しました線を変えるほどのここがあるのか、あるいはそこまでに至らないものであるか、要するに米側としてこの時点において希望することがあれば率直にこれを出してもらうほうがすっきりいたしますから、そういう角度でアプローチをしておるわけであります。米側としては日本側に対して、そういう点を踏まえて自分のほうで若干の延期とか変更とか希望すれば、それでは自分たちの案をまとめて御相談に上がりたい、俗なことばで言えばそういう状態になっておるわけでございます。
  112. 曾禰益

    ○曽祢委員 外務大臣が、安保協議委員会の決定に関することで重要な変更であるかどうかは別として、その後の事態から見て協議したほうがいいというので協議を始められたことは私はけっこうだと思うのです。ただ、アメリカの都合だけでなくて、三月五日の当委員会でも、ちょうど島田防衛施設庁長官を呼んで質疑応答いたしましたように、日本側から延期を申し出ている面もあるのですね。そういたしますると、やはり外交折衝に当にる外務省とされては、一体防衛庁を含めた日本政府内部の意見も含めて、もし調整すべきものがあるなら話をしなければいかぬのじゃないか。それらの点について外務省と防衛施設庁は当然と思うけれども、日本側としても意見の交換をされておるのかされておらないのか、お示し願いたいと思います。
  113. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはもちろんのことでございまして、防衛庁との間に十分緊密な連絡を取りながら今後の処置に当たることは当然であると考えております。また、事実十分連携もとっております。
  114. 曾禰益

    ○曽祢委員 外務大臣にまたあとで御質問申し上げるつもりでございますけれども、今度は防衛庁長官に御質問いたしたいと思います。  いまの当委員会におけるこの問題の質疑応答の経緯は御承知のとおりでございますが、そのほかにも二月二十日の予算委員会の第二分科会におきまして私が長官に同じことを御質問申し上げました。それはやはりいろいろ現地にルーマーがあるし、中には防衛庁のごく上層部にそういったようなうわさが流れているやに伝えられておる。したがって二月十五日の、外務大臣のはっきりした十二月二十一日の線が変わらないという、アメリカ側の否定にもかかわらずそういうルーマーもあるのでだいじょうぶなんですか、こういうことを重ねて防衛庁長官に伺いましたところが、防衛庁長官は、もし安全保障協議委員会の決定の内容に変更があるということがあるならば、当然に同委員会で再議決さるべきだと思う、こういう見地からその時点においてそういうような話は全然ない、こういうふうに御回答に相なったわけであります。ところが三月二日においては島田防衛施設庁長官——アメリカ側の動きじゃないのです、日本側から米海軍参謀長に面会して解雇の延期方を申し入れている。これは一体どういうことなのか、その御説明をひとつ防衛庁長官からお願いします。
  115. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が前にお答えしたことは現状においても同じ状態であると思います。先方側からわれわれのほうへ外務省を通じて安保協議委員会の内容を変更するあるいはその申し入れをするというような前ぶれ、そういうものもございません。私があのときに申し上げたのは、たしか大きな変更ということばを使っておったと思います。施行細則上の少しくらいの変更は一々かけぬでもいいでしょう。しかしたとえば第七艦隊が横須賀からほかへ移動してしまうとかそういうようなものが大きな変更だと私は思います。そういうような大きな変更というものについては変化はなかったし、現在もない。ただ労務者の問題は非常に大事な問題で曽祢さんからもお話もあり、横須賀の市民や市長さんからお話もあり、また駐留軍の労働組合の代表からもいろいろお話もあって、この離職者については非常に周到な配慮をしなければならぬ。それであの十二月二十一日の両方の約束の範囲内でもう少し解雇の期間を延ばしてもらうとか、そのほかの日本側が望ましいと思われる時間的余裕を得るとか、その他の処置がとれればそれに越したことはないので、そういう意味で施設庁長官が先方と話したことはあるいはあるかもしれませんけれども、それは二十一日の決定を変えようという意味でやっておることではありません。
  116. 曾禰益

    ○曽祢委員 二十一日の決定を変えることになるかならないか、これはもう少し見てみなければわかりませんし、ことに第一回の分は別として今回の分は、あとで私が言及するような艦船修理施設を一体日本側がどういう形で引き受けるのかということに関連した、非常に基本的な問題に関連した解雇延期だと私は思うのです。これは水かけ論になりますからとりあえずおきまして、ただ問題は、われわれ及び現地ではアメリカ側の意図がわからないということが中心で、どうしてこの三月五日の分をたった一カ月というけちな区切り方で、しかも突然といいますか、解雇の予告期間が到来する二日前に出す、そういう出し方は、島田長官が要請された趣旨とは違うと思うのであります。確かに労働者の雇用の問題については二月二十日の予算委員会においても防衛庁長官の御意見を伺いましたし、九十日の予告期間の足りないものはなるべく九十日にするというふうな意味、それから艦船修理施設にいままで働いていた人を、民間産業に移ると非常に高い雇用条件になっても、なるべくそれを引き続き使ってほしいという条件、こういうことに対して非常に理解的な態度を示されたことは多とするんだけれども、私は解雇の延期というものはどういう形であってもいいということにはならないと思うのです。こんなに小出しにぽかんとやられることは、むしろ現地には不信感を与えてかえって困る。労働組合や市長がお願いしているのは、三月五日、今度は四月十八日、五月一日、六月一日、六月三十日というようなさみだれ式に小出しに解雇通告を受けるのは困るから、一律最終日時点の六月三十日まで全部延期してくれぬか、それでひとつゆっくり相談してほしいということが労働者の要求なんですね。そういう意味で解雇通告の延期を求めておられるなら私は賛成です。しかしそういうことではなくて、依然として三月五日の分がその後一部が一カ月しか予告延期されない。今度は艦船修理部門が二班に分かれる。これは全員撤回される。そうすると、艦船修理部門はこの調子ではまた全部残るのじゃないか。少なくとも現地においては、むしろ十二月二十一日の安保協議委員会の基本的決定の線に疑いがかかるような解雇の撤回だととります。私はそれを否定できないと思うのです、そういう気持ちを大衆が起こしたとしても。ですからそういうことは、いま長官の言われた雇用の安定の意味もあるから、かつて島田長官が言ったというそういう意味だけに私はとれないんですよ。それならばもっと全般を含んで全部六月三十日まで延期してくれ、その間に艦船修理部門のみならず全体の配置転換等の計画を立てたいからと、こういうふうに押していただいているのかどうか、もう一ぺんひとつ長官の御意見を承りたい。
  117. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 われわれのほうは向こうの内部事情をよく知りませんですが、まあ推測されるところで一部言われておりますのは、予算がはからざりきも取れたので、少し余裕も出てきた、そういうようなこともあるのではないかと一部で想像されていますが、あるいはそんなことがあるのかもしれません。それで、向こうがいろいろな方面の調整に手間どっているのじゃないか。それで日本側としては、いまおっしゃるとおり、さみだれで出てくるということは非常に迷惑なことでありますから、そういういままでの話し合い、将来の見通しについてすっきりした考え方を早く示しなさいということで、われわれのほうはかなりきつく、また回数も多く、制服は制服レベルあるいはシビルはシビルのレベルで内外相ともに力を合わせてやっておるのですけれども、何か向こうの内部にいままでの十二月の時点と違うような多少の小さな変化も起こって、その調整をやっておるのではないか、そう思われる節もあります。しかし向こうもまだそういうものを完全にこなして、日本側に対してどうこうというところまで来ていないので、私はそういう大きな変更があると思っておりませんけれども、その調整ができ次第すっきりしたものになるのではないか、そう思います。そこで早く考えを示せということをいままでも強く言ってまいりましたけれども、今後もさらに強くこのことを外務省にもお願いし、われわれもこういうチャンネルを通じましてやってみようと思っております。
  118. 曾禰益

    ○曽祢委員 長官には失礼かもしれないけれども、現地における感じからいえば、アメリカの制服と日本の制服とが一緒になって、向こうも——向こうというのは第七艦隊旗艦等ですが、比較的住まいの条件のいい横須賀から佐世保に移るのはいやだ。やはり艦船修理部門が非常に重要だ。それからもう一つは、防衛庁の制服組もあるいは一部非制服組も加えてやはり問題の根本は日本側にもある。はっきり言って日本側にもスローダウンの意向がある。それはこの間の二月二十日の予算委員会でも触れましたが、このときには大臣は非常にまろやかなあれで、防衛庁が使いたいところもあるし、それから少なくともその他の部分についても民間委託ということも考えられる、まだきまっていない。確かにアメリカ側が原案を修正したいという制服の意向と、もう一つは防衛庁の中にはっきり言って艦船修理部門は防衛庁がみずからあそこを使っていくべきだという意見、これは別の委員会において鶴崎参事官がはっきりそういうことを言っているのですね。これはもう天下周知の事実です。ですから私は露骨に言えば、両方の制服の話し合いかなれ合いか知らないけれども、あって、それでこの遅延問題が起こっているのじゃないか。そうだとすると非常に不明朗だと思うのですね。そういうことではいけないのであって、これはこの前も申し上げたように、艦船修理部門については確かに重要な施設なんだから米軍もこれを使いたいだろうし、海上自衛隊がお使いになるのはあたりまえのことであるけれども、しかしそれをいま防衛庁がみずからやるというようなこと、あるいは一部は防衛庁、一部は民間ということは非常に非能率的で適当でないと私は考えるわけです。そのSRFのあり方ということがまだきまらないので、これは想像をたくましゅうするようで悪いけれども、ルーマーとしてははっきりそうなっている。むしろ防衛庁が主になってこれを引き延ばしているのじゃないか、こういううわさが飛んでいるのですが、そういうことは私は政治上好ましくないと思う。その意味でこのSRFの問題についてははっきりと政府が最高のレベルであり方をきめるべきじゃないか。それがきまらないまま小出しに一部の従業員の解雇を延ばすというやり方は、日米間にますます不信を深めることになるのじゃないか、これを心配するわけですよ。SRFの問題については防衛庁長官はいつどういう方向でおきめになるのか、もう一ぺんここで明らかにしていただきたいと思います。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 十二月二十一日の時点で、先方の共同声明に盛られておるような意思表示もあり、当方との合意もあったわけで、自来第六ドックはアメリカが留保してありますが、第五ドック、返還されるものについては、これは国有財産として保持していく。それでそのうちの一部は自衛隊が自分で直接使う。現在自衛隊の艦船を修理する場合に、民間の造船所が一ぱいであって、なかなか修理の順番が回ってこなかったりして非常に不便な事態もあります。そういう面からあの一部は自衛隊で直接使わしてもらいたい。自衛隊のキャパシティーをオーバーする部分については、これは民間に委託経営することも考えられるし、ともかく国有財産としておきながら相当効率的に運営していくということを考えていいだろう、そういう考えを私は持って、これを一貫しておるわけです。しかし労務問題という問題は、これはその問題とはまた切り離した別の次元からの深刻な問題があるわけでございまして、この間の十二月の時点の範囲内において、予告猶予期間その他の面でできるだけ駐留軍労働組合の意向も尊重しつつ向こうに配慮を求めてやりつつある、これが実情でありまして、いまのルーマーは間違いのルーマーであります。
  120. 曾禰益

    ○曽祢委員 防衛庁長官、このSRFの問題について、はっきりと防衛庁がその一部を使うということを閣議決定にいつ持っていかれるつもりですか。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これはまだ先方がいまのSRFの問題等について、さっき申し上げましたような多少の雇用延期等の問題もあったりして調整中の点もあるように思うのです。それで先方の調整が済み次第これは事務当局相互で話を詰め合って、しかる後にあるいは日米合同委員会になりますか、その前に閣議がありますか、しかるべき手続をもってやっていくべきものであると思います。まだ事務当局レベルのいろいろな調整が終わっていないというのが実情であります。
  122. 曾禰益

    ○曽祢委員 本来ならばここに運輸大臣をお呼びして、やはりこういう修理施設、造船所の施設等を最も効率的に運営するという立場から運輸省の意見を聞きたかったのです。しかし運輸大臣が来られませんので船舶局長に……。  船舶局長、運輸省としてはアメリカの軍需それから日本の防衛庁の希望を加えながら、いま防衛庁長官が言われたようなことは、これは防衛庁長官及び政府、軍事から見れば自分のほうで持っておきたいということはわかります。しかし私はそれは非常に非能率だと思うのですね。全体を一大修理施設として、財産はこれは国有でもけっこうですけれども、効率的な民営でやったほうが、民間の運営にしたほうがいいと思うのですけれども、その点について防衛庁の意見と変わったもっと前向きの意見というものは運輸省にないのですか。その点の意見を伺いたいと思います。
  123. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 一般商船並びに艦艇の修繕の需要これは最近におきましても非常に逼迫いたしております。その中で艦艇の修繕は特別な面もございまして、これは一般商船の修繕工場で行なっておりますが、一般的に申しまして、これらを円滑に行なっていくには一般商船の修繕におきましても非常な支障を来たしておる、影響を及ぼしておるというような状況にございます。それから防衛庁でもそのことがまた艦艇の整備に非常な支障を来たしておるという状態にあろうかと考えておりますので、これらを勘案いたしまして防衛庁の御希望といいますか実情を踏まえまして立てられました具体的な横須賀修繕基地の使用計画、それをお待ちしておるわけでございますが、具体的な計画が出ましたら私どもは一般商船も含めた中でこの防衛庁の期待が十分に満たされるその可能性、こういうものの検討を進めたい、そういうふうに考えております。
  124. 曾禰益

    ○曽祢委員 もう一ぺん伺いますが、それは防衛庁の要請、これくらいの仕事量がある、それを踏まえて一括運営する、民需も受ける、アメリカの要請にもこたえる、防衛庁にもこたえる、こういうものをひとつ計画してみたい、こういうお考えですか。
  125. 田坂鋭一

    ○田坂政府委員 ただいま先生の申されたとおりのことでございます。
  126. 曾禰益

    ○曽祢委員 これはほんとうは三大臣に大蔵大臣と四大臣まで呼んでやらなければならない大きな問題なんですが、時間の関係でこれ以上できませんけれども、防衛庁長官、これは延ばしているとかえってアメリカとの事務上の話が——私はないなどとは言いません。向こうも——確かに機関は向こうに移る。そうして日本に移して横須賀の、日本のだれがやるか、艦船修理施設を。それにはやはりいろいろな不安もあるだろうし、心配もあるだろうし、移駐に伴うおくれもあるでしょうから。しかしそれよりも一般的にいってSRFと通称される艦船修理部門の運営をどうするかということがいま横須賀における離職者の問題を含めた、あるいは解雇の撤回の問題の中心なんですね。したがって、これについてはただ防衛庁がそういう希望をしているということだけでは、これは必要に応じては法律の改正も要るかもしれぬ。もしそんなことになると、この国会の末期に法律の改正案なんかとても間に合いはしないと思うのです。そうすると非常な延期を求めなければならぬ。アメリカのほうは渡す、返すというのに日本の受け入れ態勢に時間がかかるからアメリカに残ってもらおうというようなことになったらこれはさか立ちになりはせぬかと思うのです。ですから防衛庁が艦船修理はてきぱきやってほしい、いままで呉なり佐世保なり民間にやらしてみたけれどもいろいろ不都合があった、こういうことはわわります。それから民間の普通の造船所に持っていって修理を頼むと新造船ほど喜ばないというのは、これはあたりまえです。だからむしろ修理専門の一大ドックを民間であそこに運営してそれを防衛庁も使うということに頭を切りかえたほうがいいんじゃないかというのは、これは私の考えであるし、これは非常に強い横須賀の官民一致しての意見なんです。それに十分耳をかして、ただ防衛庁がいいところだけをとっておいてそしてその残りは民間に委託するというのでは、これは私は決してうまくいかないと思うのです。しかしいずれにしてもこの問題がいつまでも政治的決定がおくれていることが現地における解雇、あるいは解雇の延期、またそれが現地における雇用の不安定をむしろ起こしているわけですよ。労働者のために延期ということを言われるけれども、実際上小出しの延期そのものがむしろ不安を高めているということが現地の偽らざる実情です。しかもSRFがどうなるかきまらないというところに横須賀市の市当局としてもいわゆる軍港市転換法の精神からいったいろいろな都市計画にも非常な支障を来たしているわけです。ですからこれはすみやかに防衛庁の需要を民営の場合にどういうふうにして反映させるかというようなことを含めてこの計画を進めて、そうして遠からずこの点をきめていただくことが何といっても現地の雇用並びに民心安定に非常に重要だと思うので、ぜひそれを至急に進めていただきたいと思うのですが、防衛庁長官の御意見を再度伺いたいと思います。
  127. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 防衛庁側がこの返還をおくらせているという事実はありません。われわれはあの約束を早く実行して早く体制をつくりたいと思っておるのです。しかるところ米軍側の内部の事情が、雇用問題その他も先ほど申し上げたような事情で変化してきているので、われわれのほうでも多少じりじりして、早くきめなさい、われわれのほうと計画案を調整してやっていこうじゃないか、そういうことでむしろわれわれのほうが催促しているのが実情であります。しかし海上自衛隊全般の必要度というものを考えてみますと、横須賀に現に艦船修理所というものを海上自衛隊は持っているわけですけれども、非常に規模の小さいものです。あれを少し拡充していけば直接自分でもやり得るし、そのほうがこれからの日本の将来をずっと長く深くながめてみた場合に大事なことでもあるわけです。現に呉やあるいは佐世保で民間に渡したところはどうなっているかといえば、初めは国有で民間に貸してやるといっていたのが、いつの間にか時代の変化とともに売り飛ばしてしまって民間のものになってしまっております。そういうようなことが日本国家百年の大計から見ていいかどうかということも見きわめてこれは考えなければならぬので、横須賀を佐世保の二の舞いにしようとは私は思わないのです。やはり日本の将来をじっと見ながら長期にもたえ得るだけの考え方を持ってやっていかなければならぬと思っておるわけです。そういう最初に申し上げましたような考えに立って、私はこの問題を処理していきたいと思っております。
  128. 曾禰益

    ○曽祢委員 日本の将来を考え、横須賀の将来を考える上において防衛庁長官と私とは別に遜色ないと思うんですよ。日本の防衛庁の考え方が何か旧海軍の艦船修理施設、これに対する一種の郷愁等があって、あまりに大きな修理施設をみずから防衛庁がやろうという考え方は、私は外国からの軍国主義の復活云々というようなことを問題にするんじゃないけれども、その点からいっても必ずしも適当じゃないんじゃないか。もう少し活眼を開いて、諸外国では艦船でもどんどん民間に発注しあるいは修理させているところもあるのじゃないかと思うので、日本の将来にどれがいいかということについては意見が分かれるかもしれませんが、少なくともいまの防衛庁長官の御意見は御意見として、私は賛成できません。  もう時間がございませんので、これで打ち切ります。
  129. 田中榮一

    田中委員長 戸叶里子君。
  130. 戸叶里子

    戸叶委員 防衛庁長官に時間がないですから一点だけお伺いをしたいと思うのです。  沖繩基地の問題ですけれども、沖繩返還されるにあたっては小笠原返還協定と大体同じような形をとるということもいわれているわけですが、小笠原の協定の第三条の中に、「協定効力発生の日までに前期の手続によることができない場合には、日本国はアメリカ合衆国に対し、その手続が完了するまでの問、これらの特定の用地を引き続き使用することを許す」ということがあるわけですが、こういうふうな形をやはりとられようとしているのかどうか、この点をまず第一に伺いたいと思います。
  131. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点は私の担当というよりも、外務大臣の担当でございますが、何しろまだ沖繩の土地の実態というものがよくわかりません。それから、土地所有者との話し合いもまだ実はやっておるわけではございません。  そこで、返還協定の前後にやはりいろいろな実態の調査あるいは所有者の意思を確かめるとか、そういう手続をいろいろやってみまして、その上でその時点に立ってどういう処置がいいか。やはり現実に即した考え方でものを処理しないといけない、そういう考えに立って、まだ検討中ということでございます。
  132. 戸叶里子

    戸叶委員 検討中というとその先は進まないですし、それからいまの協定の問題も外務大臣の担当であることはわかりますけれども、ただ基地に非常に関係のある問題でございますし、私どもも沖繩に行くことになっておるものですから、ちょっとした大体のお考えだけでも承りたいと思いまして、いま口火を切ったわけです。  そこで、いまのような形をとりますと、いまの小笠原協定の三条のような形をとるとすると、いわゆる二十七年の四月の岡崎・ラスク交換公文にあるように、個々の施設及び区域に関する協定は、効力発生まで両政府が合意に達しないときにはそのまま基地が移行するというような交換公文の内容があるのですが、そういうものもそのまま生きてくるのか、あるいはまた防衛庁で前にちょっと発表されました土地収用法みたいなものを、特別立法をおつくりになるのか、この点をちょっと伺いたいのですが、いかがでございますか。
  133. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その点も先ほど申し上げましたように、土地の実態調査あるいは所有者との話し合い、そういうものをやってみまして、そしてその実情を見きわめた上で、どういう処置が適当であるか考えなければならない。いま議会中、過早にそういう結論をくだすことは私は危険でもあり、また現地の人心の上にもいい結果を及ぼすものではないと思いますので、慎重にこの問題は取り扱っていきたいと思っております。
  134. 戸叶里子

    戸叶委員 いまそういうふうな慎重な答弁も必要でございましょうけれども、どこかで土地収用法のようなものをつくるのだ、制定されるのだというようなことが出ておりましたものですから、それではこういうことを踏まえた上でそういうことを考えていらっしゃるのかどうか、このことが伺いたかったのです。だといたしますと、いまのような長官のお話ですと、全然まだそんな法律のことも何も考えていない、これから話し合った上で、そっちのほうにいくかどうかもわからない、こういうふうに受け取っていいわけですか。
  135. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私はいま白紙の心境にあるわけです。あまりこういう問題を早く結論を出し過ぎるということは、できることもできなくなりますし、また現地の方に御迷惑を及ぼすこともありますから、土地問題というのは何しろ非常に大きな重要な問題で、二円五十銭のあの問題だけでもこれだけ世の中で騒がれているのですから、沖繩の約四万人近いといわれる所有者を相手にしてやる問題ですから、これは非常に慎重にやるべきもので、そう軽率にやるべきものでないと思いますので、当面はこういう程度でひとつごかんべんをお願いします。
  136. 戸叶里子

    戸叶委員 これ以上伺っても同じだと思いますから伺いませんけれども、土地問題はたいへん重要な問題であるという、その御発言の裏には、沖繩住民のいままでとられていた土地というものをなるべく返すのだ、無理にこれを収用するというような手だてを考えないで、返すほうに大いに粘っていただきたい。そういう気持ちを持っての御答弁というふうに私は伺いまして、もしもいまおっしゃったようなことが逆な方向に出るときには、私もここで……(「承知しない」と呼ぶ者あり)承知しないとまでは言いませんけれども、きょうのことは忘れないようにしていただきたいということに、くぎをさしまして、これで打ち切ります。
  137. 田中榮一

    田中委員長 松本善明君。
  138. 松本善明

    ○松本(善)委員 私はきょうは外務大臣に、日本の軍国主義の復活の問題について多少伺いたいと思います。  日中覚書貿易のコミュニケでも触れられておりますし、一自由民主党の中でもこの問題を論議をされているということが報道されております。国の内外でこの論議が行なわれておりますけれども、これについて日本外務大臣がどういうような考えで政務に携わっているかということは、この日本軍国主義の復活問題についての判断の重要な指標になるというふうに私は考えますので、外務大臣のお考えをいろいろな角度から伺いたいというふうに思うわけでございます。  外務大臣は憲法調査会の委員をしておられました。当時憲法問題についての意見をいろいろ発表されております。これは現在でも責任の持てるものでございますか。
  139. 愛知揆一

    愛知国務大臣 憲法問題はいつもよく研究しておくべき問題であると思います。私は憲法調査会の一員としていろいろ勉強さしていただきました。その当時の意見は御承知のとおりでございますが、ただいまの立場におきまして憲法の改正というようなことを現実問題として考えてはおりません。
  140. 松本善明

    ○松本(善)委員 あの当時、八木秀次さん、高田元三郎さん、両氏などと外務大臣名前を連ねて、十人の共同執筆による「憲法改正の方向」という小冊子が出ております。これでございますが、覚えておられると思います。この中で外務大臣は、「憲法九条を廃止して、自衛軍の設置ということを明記すべきである」ということがこの本の中に出ております。この見解はいまも変わりがないでしょうか。
  141. 愛知揆一

    愛知国務大臣 憲法九条については、自衛ということが前提になっておりますから、自衛のための自衛隊の合憲性ということがいついつまでも問題になるようではいかぬのではなかろうか。そこで、たとえば徴兵はやってはいけないとか、そのほかの点を合わせまして、いわゆる文民統制と申しますか、そういうことをきちっと内容的にきめて、その限度における自衛軍といいますか、そういうものとしたほうが、かえって平和国家としての日本というものが確立される、そういうふうな考え方を持っておるわけであります。
  142. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、いま外務大臣お答えになったようなことも含めて、憲法九条の廃止、自衛軍の設置ということを考えているということでございますか。これは文章そのままでございます。現行憲法の九条を廃止するということもはっきり出ていますし、それから自衛軍の設置を明記すべきであるということも出ております。この点について変わりはない、ただ、いまおっしゃったようなことも含めて考えているのだということでございますか。
  143. 愛知揆一

    愛知国務大臣 よく現在もいわれておりますし、現内閣の政策の基本でもありますが、たとえばいま申しました、徴兵はやらない、海外派兵はできない、あるいは重要な装備というようなものについては限定をつけるということを憲法上明確にすれば、平和日本らしいユニークな一つの体制ができる、これは憲法改正の手続によって、そして全国民がそういうふうな気分になれば、そのときにはそういうことにしたほうが、それこそ軍国主義というようなことが憲法上からいってもはっきり否定されることになる、こういうふうな考え方でございますから、現在の九条の内容として不明確である点を明確にする、積極的な平和主義ということを明記すべきである、かように考えておったのが当時の意見でございます。
  144. 松本善明

    ○松本(善)委員 残念ながら、そういうようなことはこの書物の中では明確には出ておりませんが、私は、この小冊子の中からさらにお聞きをしておきたいと思います。  憲法九条を変えるという理由の一つとして、この書物では、「例えば海外派兵が事実上できないこと、いっさいの核兵器がもてそうにないこと、原子力潜水艦問題などで、アメリカとの協力も万全ではないこと、自衛隊の増強を思うにまかせないこと、自衛隊の士気がそそうし、それへの志願者が減少するなど、自衛隊の質の低下をまねいている」こういうようなことが、憲法九条を変えなければならないという理由としてあげられている。もし御必要ならもう一度ごらんになってもけっこうです。その文章のとおりであります。このお考えはいまもお変わりありませんか。
  145. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ですから、どういう程度の装備が必要であるかということについて、重要な装備の変更については、国会の承認を受けるというようなことを憲法上明記すれば、持ち得る限度というものがはっきりするではないか、これが私の根本思想でございます。
  146. 松本善明

    ○松本(善)委員 私が読み上げましたこの内容は変わりはないかどうか。この本に書いてあることは、基本的に外務大臣のいまの考え方と変わりはないのかどうかということについて、お答えをいただきたい。
  147. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そのくだりくだりでお読み上げになっておることと、もっと重要なことは、基本を流れる精神の問題でございます。それは、改正するとすれば、重要な装備の変更ということは国会の承認を得るというようなことをたとえばすることによって、現在われわれが持っている思想というものが憲法上も明確になるではないか。同時に、自衛隊というものが長きにわたって合憲か合憲でないかということが問題になるようなことは、同時に、困るではないかという思想が入っております。
  148. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、個々のくだりは否定はしないが、その根本を流れる精神を見てほしい、こういうことでございますか。
  149. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まあ大体のところそのとおりでございます。したがって、それをかりに条文化するとすれば、なかなかそれはむずかしいと思いますけれども、基本の精神はそのとおりでございます。
  150. 松本善明

    ○松本(善)委員 それから、さらにひとつお聞きしておきますが、「すべての国民は、国防の義務をもつことを憲法上明らかにする必要がある」これは、当然、徴兵制の根拠になるというふうに私は思いますが、この国防の義務を明記する必要があるというお考えも変わりはありませんか。
  151. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は、そこで言っている国防の義務ということは、徴兵ということを意味しないつもりです。私は、徴兵制度ということは絶対にやめるべきであると考えております。
  152. 松本善明

    ○松本(善)委員 それからもう一つ、「憲法上には何等の根拠がないにもかかわらず事実上の軍隊である自衛隊が存在している」こういう文章もあります。こういうふうに自衛隊を認識しておられますか。
  153. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはいまも申しましたように、一部の下級裁判所の判決その他にあらわれるところ等を見ますと、そこの文章の総論その他にも随所に出ていると思いますが、違憲論というようなことがいつまでたっても争われるというようなことはいかぬのであって、この限度のものであるならば憲法上認められる。その限界というものをはっきりするということが、私は適当だと考えるわけであります。
  154. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の言いますのは、この文章のそのままなんです。事実上の軍隊である自衛隊はれっきとして存在しているという文章が入っているわけです。それは外務大臣のお考えかというのです。
  155. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは学術論文でもございませんから、通俗的に考えて、それこそ先般もこの国会でも論議がありましたが、セルフ・ディフェンス・フォースというようなことは、どういう意味であるかというようなこともよく問題になりますですね。私は、自衛隊というものは、やはり通俗でいえば、これは一つの事実上の軍隊と考えるべきものではないか。しかし、それはユニークな定義を付したところの軍隊でなければならない。これがいまの実質的には自衛隊である。自衛隊というものの内容、性格というものを憲法においてはっきり明定することが筋である。これは私はいまでもそう考えております。
  156. 松本善明

    ○松本(善)委員 御存じのように、わが憲法は陸海空軍その他一切の戦力の保持を禁止しておる。私は外務大臣が事実上の——通俗的とはいうものの事実上の軍隊だというふうに自衛隊を考えておられるということは、きわめて重大だというふうに思います。  さらにお尋ねしたいと思いますが、憲法そのものについて、「実質的には、連合国司令部、おもにマッカーサー元帥の命令と強制と干渉によって制定された」ものだというふうに、この文章そのままであります。わが国の憲法は、ポツダム宣言を受諾をし、日本の行なった侵略戦争の反省を込めてつくられたものであります。私は、この文章から、外務大臣は、この憲法制定を命令、強制、干渉によって行なわれた不当なものというふうに考えておられるのかどうかという重大な疑問を持っておるわけであります。外務大臣はどうお考えでございますか。
  157. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは当時の憲法調査会の報告にも非常にこうかんなものがございます。現在の日本国憲法の制定の経過というものがこうかんな資料を付した文章がございますけれども、少なくとも、完全な自由な意思によって、完全な国民の意思によってつくられたものでないということは裏からいえば言えるのではないかと思います。これはもう制定の経過を具体的にフォローすれば、これは明白な歴史的な事実だと思うのであります。  そこで、お尋ねの範囲からはずれますけれど、かりに内容日本国憲法と同様な文言でありましても、これはほんとうに日本国民のとらわれない自由な意思によって決定されたという制定の手続が、私は一つ非常に大事なことではないだろうか、こういうふうに考えております。これが一つ基本的な考え方でございます。
  158. 松本善明

    ○松本(善)委員 このいわゆる制定の経過問題について、押しつけられた憲法であるかどうかということについては、高柳憲法調査会長もこれを否定しておられます。私はここで外務大臣と詳しく論議しようと思いませんけれども、しかし、この立場は、いま外務大臣が、憲法は押しつけられたものだ、こういうふうに考えられる立場は、私は、太平洋戦争における日本立場の肯定であり、あの戦争は間違っていなかったという立場、そのポツダム宣言の受諾でありますとかそういうことは、あるいは、憲法の制定というのは、これは押しつけられたんだ、こういう立場にならざるを得ないと思います。外務大臣は、太平洋戦争における日本立場を肯定をされるつもりでございますか。
  159. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはとんでもないことでございます。自由な、占領下でもない、みんなが伸び伸びとした考え方ができるこの世の中で、何ものにもとらわれないで、われわれの手でりっぱな日本語でもって、新しい憲法を書きおろそうではないかという気持ちを持って一向差しつかえないのではないだろうかと思います。
  160. 松本善明

    ○松本(善)委員 私のお聞きしたいのは、とんでもないことだと言われたのであるいはそれでいいのかもしれませんが、確かめておきますが、太平洋戦争における日本立場を肯定するという考えはあるのかないかということです。
  161. 愛知揆一

    愛知国務大臣 わざわざお聞きいただいて恐縮ですけれども、私、現在そういう気持ちは全然持っておりません。したがって、現在の日本国民全体が私はそうだろうと思うのです。この感覚とこの気持ちの上に立って、そして生硬な翻訳文調でない、りっぱな今日の日本語で書きおろそうという気持ちがあってもいいのではないかと私は思いますが、それには、その本の中にも随所に出ておりますけれども、現行憲法の精神というものを絶対に生かさなければならない。ですから、かりにいい文章であるか悪い文章であるかは別として、かりに大多数の方がこのままでいいということなら、それでもけっこうだと思いますが、制定の手続を、あらためて自由濶達なこの国民の全体の意識の中で、こういう世の中で書きおろす気持ちを持つのが私は適当ではないだろうか、こういうふうに考えております。この気持ちはその中にも随所に出ておるはずでありますし、ことに、私は、単独で憲法調査会に出しました私の意見書の中に、ことにそれは明瞭になっておるつもりでございます。
  162. 松本善明

    ○松本(善)委員 憲法を変える問題についての意見は全く違いますし、私は外務大臣のお考えに反対ありますが、その問題はそれとして、もう一つ確かめてお聞きしておきます。  太平洋戦争における日本立場の正当化ということは考えていないということを言われましたが、そういうことは軍国主義復活の徴候として外国から見られてもやむを得ない、当然のことではないかと思いますが、この点についての御見解——外務大臣がそれを考えているというのじゃなくて、そういう太平洋戦争における日本立場の正当化ということは、外国から見れば軍国主義の復活というふうに見られてもしかたがないと思うが、その点はどうでしょうか。
  163. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ちょっとお尋ねの趣旨がはっきりいたしませんけれども、私は、憲法がこうありたいということは、現行憲法の精神をあくまで現代の国民の中に根づけをするということが必要である、こう考えているわけなのでありまして、これは太平洋戦争の反省ということに根ざしていることはもちろんだと思います。しかし、いまのお尋ねの点に関連するかと思いますのは、ただ現実の政治を担当する者といたしましては、松本さんなどはそれを大いに強調なさるに違いないと思うのですけれども、およそ憲法について論議をして、あるいはもっとよい憲法に改善しようとする意見でも、これは軍国主義に通ずるというふうにとられがちでございますから、現実の政治を担当する者としては、現実の政治課題としては、私は、いま憲法改正はすべき時期ではない、訂正すべき時期でもない、しかし変えるとすれば、こういう気持ちでこういうふうに変えるべきであるというのがそのときの意見でございます。
  164. 松本善明

    ○松本(善)委員 さらにお聞きしますが、この国会で靖国神社法案が自由民主党に所属をする人たちから提案をされております。これについての外務大臣考えはきわめて重要だと思うのですが、この法によりますと「戦没者及び国事に殉じた人人の英霊に対する国民の尊崇の念を表わすため、その遺徳をしのび、これを慰め、その事績をたたえる儀式行事等を行ない、もってその偉業を永遠に伝えることを目的とする。」しかもその目的を達するために、創建由来の伝統に顧みつつ、業務を行なうことになっております。これは憲法の信教の自由やその他の問題としても論じられていますが、それは一応おくとして、これは私は太平洋戦争をはじめとする明治憲法下における諸戦争の正当化であり、軍国主義復活の象徴といわれてもやむを得ないものではないかと思いますが、この点について外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  165. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはちょうどお話が出ている徴兵の問題等々と大いに関連があると私は思います。帝国憲法の時代に徴兵制度のもとにおいて戦争にかり立てられて戦没した方は非常に多いわけでありますね。そういう方々に対して敬弔の誠をささげるということはわれわれ国民として当然のことではないかと思います。ただそのつくり方あるいはその組み立て方などは非常に大切なことであって、それらについては周到な配慮をしなければならないと思いますけれども、私のいま申しましたような気持ちは、歴史を持ち、伝統を持つ各国それぞれのやっておることであって、これは共産主義の国であろうが何であろうが同じようなことではないかと思います。共産主義の国であるソ連におきましても帝政時代の兵士あるいはその当時の将軍というような人たちに対しましても、国に殉じた人として、いろいろの方法はありましょうけれども、敬弔の誠をささげることを見まして、非常に感激したことも覚えておりますが、これはいずれの国を通じてもそれぞれ周到な配慮のもとに、方法論はいろいろ考えなければなるまいと思いますけれども、私は当然のことであろうと思います。
  166. 松本善明

    ○松本(善)委員 戦争の犠牲者として扱うかどうかということはまた別問題でありますが、この靖国神社は維新のとき以来のいわゆる賊軍といわれるような者は祭っていない。やはり正当な戦争によって死んだという人が祭られているのがいままでの歴史であります。そうすると間違った戦争、ここでいえば「偉業」といい、「その事績をたたえる」あるいは「英霊」というそういう考え方ができるかどうか。あるいは場合によれば外国からいうならば戦争犯罪人と目されるという人たちも祭るという問題も出てくるかもしれません。そういうことが文字どおり太平洋戦争その他の侵略戦争の美化ということになりませんか。
  167. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ですから、私はいまも申しましたように、そういう点については周到な配慮をいろいろの方法について十分考えなければならないと思います。ですから、靖国神社法というようなものについても国会の御審議の際に十分いろいろと慎重に御審議をいただければよい結論が出るのではないかと私は期待いたしております。
  168. 松本善明

    ○松本(善)委員 もう一つ伺いますが、太平洋戦争を美化するということは、わが国の憲法の基礎をゆるがすということに私はなると思いますが、その点について外務大臣見解を聞きたいと思います。
  169. 愛知揆一

    愛知国務大臣 太平洋戦争を美化するということとそのこととは私はまた違うのじゃないかと思います。したがって、そういうふうにならない。あるいはもっと突き詰めていえば軍国主義の復活とか戦争肯定とかいうことにつながらないような平和日本らしいやり方をユニークに考えなければなるまい、かように私は考えます。
  170. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、戦争犠牲者の霊に報いるという道はただ一つ、二度と侵略戦争を起こさない、侵略戦争には協力しないそういう政治をやっていくということだと思います。この一番重要な、私どもの日本歴史の中で初めての敗戦という経験を今後の政治に生かしていくとすれば、私はそういう道以外にないと考えます。この点についての外務大臣の意見を聞きたいと思います。
  171. 愛知揆一

    愛知国務大臣 太平洋戦争の反省もその一つでございましょうし、それだけではこれからの日本の平和国家としての建設には不十分な点もまだまだほかにもあろうかと思いますけれども、太平洋戦争というか戦争の肯定ということの考え方があってはならないと思います。
  172. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間がありませんので、これで質問を終わります。
  173. 田中榮一

    田中委員長 本日は、この程度にとどめ、次回は、明十二日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後五時五十八分散会