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1971-05-21 第65回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会海洋開発に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
昭和
四十六年二月十八日(木曜日)
委員会
において、設置することに決した。 二月二十六日 本小
委員
は
委員長
の
指名
で、次の通り選任され た。 海部 俊樹君
木野
晴夫
君
佐々木義武
君
菅波
茂君 鈴木 善幸君
田川
誠一
君 前田 正男君
石川
次夫
君 田中 武夫君
山中
吾郎
君
近江巳記天
君 渡部 一郎君
内海
清君 二月二十六日
田川誠一
君が
委員長
の
指名
で、小
委員長
に選任 された。 ————————
—————————————
昭和
四十六年五月二十一日(金曜日) 午前十時四十三分
開議
出席小委員
小
委員長
田川
誠一
君
木野
晴夫
君
佐々木義武
君
菅波
茂君
石川
次夫
君
三木
喜夫
君
近江巳記夫
君
内海
清君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
科学技術庁長
官)
西田
信一君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長
矢島 嗣郎君
科学技術庁研究
調整局長
石川
晃夫君
外務省国際連合
局長
西堀 正弘君 小
委員外
の
出席者
外務省国際連合
局科学課長
堤 功一君
—————————————
五月二十一日 小
委員山中吾郎
君三月十一日
委員辞任
につき、 その
補欠
として
三木喜夫
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員三木喜夫
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
山中吾郎
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
海洋開発
に関する件 ————◇—————
田川誠一
1
○
田川
小
委員長
これより
海洋開発
に関する小
委員会
を開会いたします。
海洋開発
に関する件について
調査
を進めます。
最初
に、
国連
における
海洋制度
の
審議状況
について
説明
を聴取することといたします。
外務省堤科学課長
。
堤功一
2
○
堤説明員
御
説明
申し上げます。
国連
におきましては、昨年の第二十五
総会
において、一九七三年に
相当
広範な
範囲
にわたる
海洋法関係
の
会議
を開くということをきめまして、その
準備
のために、従来もございました
海底平和利用委員会
、四十二カ国から構成されておりましたものを、メンバーの数を八十六カ国に拡大いたしまして、この
海底平和利用委員会
において
海洋法会議
のための
準備
を行なうということにきめたわけでございます。 この
準備
の内容は、第一に、先ごろ問題となっております
海底開発
、特に
海底
の
鉱物資源
の
開発
問題をいかなる
法制度
のもとにおいて行なうか。第二番目に、
領海
の幅、
大陸
だなの
範囲
、
公海
における
漁業
、
国際海峡
における
航行
の
自由等
の、従来の
国際法
としてきまっておりましたものをあらためてまた検討しようではないか、そういう
問題点
のリストをまずつくりまして、
海洋法条約
の草案をつくる、これが二番目の問題であります。三番目の問題は、近ごろまた話題になっております
海洋汚染
に関しまして、特に
海洋
の
環境
の
保全
ということ、それから
科学調査
、そういうことを扱う。この
三つ
を中心にして
海洋法会議
を開くということになったわけでございます。
海底平和利用委員会
におきましては、本年の三月に四週間、
ジュネーブ
で第一回の
準備
のための
会合
を開きました。本年の七月から八月にかけまして六週間、二回目の夏の
会議
を
ジュネーブ
で開くことになっております。 本日は、その三月に行なわれました第一回の
会合
の
模様
をこれから御
報告
申し上げたいと思います。 第一回の
会合
におきましては、そもそも八十六の国が集まりましてこのような広範な大きな問題を扱うので、これからの仕事をどういうふうに扱うかという、作業の予定ということに
相当
の時間をとってしまったわけであります。これに
会期
の半分くらいを費やしました。 結局は、先ほど申し上げました
三つ
の問題に対応するように、
三つ
の小
委員会
を設けたわけであります。第一小
委員会
が
海底開発
の問題、第二小
委員会
がその他の
海洋法一般
の問題、第三小
委員会
が
海洋汚染等
の
環境
の
保全
の問題と
科学調査
というわけであります。 それで、この小
委員会
を設けた
あと
は、それぞれの
代表
が一般的にこれらの
海洋法
の
問題全般
について、
各国
がいかなる
立場
をとっているかということを述べる、
一般討論
ということが行なわれました。ここにおいて取り上げられた問題は、重要なものは、まず
七つ
に分けられると思うのであります。その
七つ
について、それぞれ簡単に
各国
の
発言
の動向を申し上げたいと思います。 まず、
領海
の幅というものが
海洋法関係
では一番の問題であるということを
相当
広く認識されておりまして、この
領海
の幅は、
アメリカ
、
ソ連等
が十二海里までを
領海
の幅ということにしようではないかという
条約案
を出しておりますけれども、それについての
コメント等
もからみまして、
アメリカ
、
ソ連
、スペイン、ポーランドなどが十二海里ということを申しましたが、一方、御承知のとおり、
ラ米諸国
九カ国ばかりは
領海
またはそれに準ずるものを二百海里の広さというふうにしておりますが、それは、これらの国は
領海
の幅というものはそれぞれの国の地理的、歴史的その他
経済的等
の個々の国の条件に従って
自分
できめることができるのであるという
立場
をとったわけであります。これは
わが国
のとっておる
立場
、すなわち一方的に
領海
の幅などをきめることができないという
立場
からはまっこうに対立するものであります。そのほか、マルタなどはやはりこの二百海里という
領海
の幅を支持いたしまして、
沿岸国
が
鉱物資源
の
開発
あるいは
漁業等
に
管轄権
を持っているのだという
主張
もしておるわけであります。そのほかインドネシア、
フィリピン等
は、
群島
からなっているという国の特殊な
立場
を踏まえて、
自分たち
の国の統一のためには、
群島
の
範囲
を全部包含したような広い
内水地域
をとらなければ国の
安全保障
が保てないという
群島理論
を展開いたしました。 このように
領海
の幅ということについては、いろいろな
見解
が打ち出されたということが
特徴
でありますけれども、やはり大勢は、最も多くの国は十二海里ということを支持しているというふうに思われます。 次に、
七つ
の
問題点
のうちの二番目といたしましては、
漁業等
でございます。
漁業
についての
問題点
は、
沿岸国
がこの
漁業
に対してどのような
権利
を有するか。
沿岸国
が特別な
権利
を有するのであるかどうかということが問題の中、心でありますが、大体の
開発途上国
は
沿岸国
が特殊な
管轄権
を持つのであるという
方向
の
発言
をしております。 三番目の問題が
航行
の自由、特に
国際海峡
における
航行
の自由でございます。これは、もし
領海
が現在の三海里から十二海里に広がるということになりますと、
領海
が広がったおかげで、従来はその
海峡
のまん中に
公海
の
部分
があったのが、両側から広がるものですから、すべて
領海
で埋め尽くされてしまうという
海峡
の数が大体百以上というように承っておりますが、ふえる。これは
国際
間の
海運
に
相当
の阻害を与える。これの
自由航行
というものを確保しなければならないというのが、主たる
海運国
の
立場
であります。
アメリカ
、
ソ連
はじめわがほうもそういう
海運国
の
立場
であります。この
国際海峡
の中の特に重要なものが
ジブラルタル等
ございますけれども、
わが国
の近海におきましても
対島海峡
、
津軽海峡等
がこの例でございます。 ほかにこの
航行
の自由ということで問題となりましたのが
汚染
に関する問題でありまして、はたして
大型タンカー等
の
海洋汚染等
の危険を蔵するものが
無害航行
の自由を享受し得るのであろうかという疑問が提示されたことがきわめて注目されました。 次に、
海底
のほうに移りまして、第四番目の問題でございますけれども、
国際海底開発
のときには、一体
国際海底
というのはどの
範囲
をさすのであろうか、この
範囲
が
確立
されなければ、その
開発
の示す
問題点
ということがはっきり把握できないということを
主張
する国と、まずは
範囲
の
確立
よりも先に、いかなる
国際機関
がどのような
国際管理
を行なうのかという問題を先に論ずべきであるとした国、これは後者の国には
開発途上国
が多いのでございますけれども、そういう国と分かれたわけでございます。
海底
の
範囲
、
国際海底
の
範囲
ということは、逆に申しますと、
大陸
だなの幅ということにほかなりません。現在の
大陸
だな
条約
であらわされている
大陸
だなの
国際法
におきましては、これがはっきりきまっていないのであります。二百メートルの
水深
までは
大陸
だなであるということははっきりしておりますけれども、それから先は
大陸
だな
条約
につきましては、たとえば
開発
可能な限りはもっと
大陸
だなの幅が広くなるように書いてございます。これがどこまでいくかはわかりません。それから先がいわゆる
国際海底
になるわけでございますから、
国際海底
の
範囲
を
確立
するということは、
大陸
だなの外側の境界をはっきりさせることにほかなりません。これにつきましては、いろいろな国が
意見
を申し述べましたが、そのような
水深
ということは非常に地理的に地形的に
範囲
をきめてしまうのであってはなはだ不公平である。
自分
の国のまわりに地理的な
大陸
だなが広い国は得をするけれども、そのようなものがない国は損をする。だからこれは、公平を期するために、海面の
距岸距離
で、たとえば二百海里の
距岸距離
の下の
海底
を法的には
大陸
だなとするのだというような、
大陸
だなの
範囲
を深さではなくて距岸の距離ではかるということを
主張
した国がだいぶ認められたのが、これが
特徴
でございます。 次に、この
海底開発
の
国際機関
につきましては、
開発途上国
は
国際機関
みずからがその
開発
を行なうような強力な
国際機関
をつくるべきである、その
機関
の決定は一国一票主義で、
先進国
あるいは
技術
の進んだ
国等
に
過重投票
の
権利
を認めないというような
主張
をしている国がございました。
問題点
の六番目は
海洋汚染
でございますが、これについては、実はほかに一九七二年に
ストックホルム
で
国連主催
の
人間環境会議
が開かれます。ここにおきまして
海洋汚染
という問題も取り上げられますので、深い検討は行なわれませんでしたが、
各国
が
相当
の
関心
を示したことは注目すべきであります。
最後
の七番目の
問題点
が
科学調査
についてでご
ざまいす
が、これも
科学調査
は自由に行なうのだということについてはほぼ
意見
の一致がありましたが、この結果を公表しなければならないかどうかということまでは、はっきりした
結論
といいますかはっきりした
方向
というのは出ておりません。 いずれにしましても、
海洋汚染
、
科学調査等
、
最後
の
二つ
の問題につきましては、これはこの
委員会
でほとんど初めて出てきた、初めて特に
一般討論
に出てきたような問題でありますので、
関心
は示されましたものの、
中身
のある深い討議は行なわれなかったと思っております。 以上が三月の第一回の
拡大海底平和利用委員会
の
模様
の
あらまし
でございますが、その際わがほうは、この
一般討論
におきまして
小木曽代表
が
日本
の基本的な
立場
を申し述べた、その概略を御紹介いたしたいと思います。
小木曽代表
がまず第一に強調いたしましたことは、現在の
海洋法
の状態を見るに
二つ
の重要な
問題点
がある。その
一つ
は
領海
の幅の問題である、
一つ
は
海底開発
の
法制度
をつくるということである、この
二つ
を述べまして、しかしながら一九五八年と六〇年の二回にわたって行なわれた
前回
の
ジュネーブ
の
海洋法会議
の結果が現在すべてだめになっているという
見解
には賛成できない、その
ジュネーブ
の
前回
の
海洋法会議
が達成したところの大
部分
の成果は現在もすでに有効なので、いま
各国
がやるべきことは、問題をしぼって、
問題点
となっている、たとえばさきにあげましたような
領海
の幅とか
海底開発
の
法制度等
の
問題点
を討議して、
ジュネーブ
の
前回
の
結論
を補うという形でいくべきであろう、現在重要なのはこのようにして
海洋
に関する
国際法
に対する
諸国
の
信頼
を
確立
することである、現在
問題点
があるからといってこれを
解決
するために
各国
が一方的な行為によってその
解決
をはかる、この
国際法
の足らざるところを補うという
方向
は、決して
国際法
の
信頼
の
確立
に資するものではない。われわれのやるべきことは、
諸国
が協力して
国際法制度
というものをつくっていくというところにあるという
一般論
を述べたわけであります。特に、
海洋法関係
で
わが国
は
漁業
に
関心
があるわけでございますけれども、
漁業
という点で
開発途上国
が一般的にその
自分
の
沿岸
の
沖合い漁業
に対する
管轄権
を拡大したいという
趨勢
がございますが、これに対して
コメント
をいたしまして、実は
漁業資源
というのは、すべての海岸に一様に分布しているわけではない。
漁業資源
というのは、その海流の調子とか、あるいはその
えさ等
の
関係
もあって、実は非常に片寄って存在しているものであるから、すべての
沿岸国
が一様に
自分
の
沖合い
に対する
漁業
の
管轄権
を
主張
し、かつそれを認めるということは決して公平な
解決
にならない。豊富な漁場に恵まれている
沿岸国
にとっては有利であるけれども、ほかの国にとっては不利となり、決して
国際
的に公平なものではない。したがって、このようなことは、たいへんな不公平を招くものであるから、
漁業
の
管轄権
ということを拡大するということは、決して
国際社会
にとって賢明な方策ではないということを特に強調したわけであります。 また、
海底開発
の
法制度
につきましては、いたずらに
国際機関
の権限あるいは
態様等
、
技術
的な問題をこの際詰めてもしようがない。現在、緊急な問題に
注意
を集中して、それに見合った
国際機関
をつくるということが実利的な行き方ではなかろうか。そのようにして進めるべきであって、また新たに問題が起こってくれば、
国際機関
というのは幾らでも変えられるものである、この際、
国際海底
問題の対象となる
国際海底
の
範囲
ということをはっきりきめておくということが一番重要であるということもまた強調し、その
範囲
がきまらないで、どのような
開発
をするかということを説くことは、きわめて非現実的なものである。まず
範囲
をきめることが、
開発
の
機構づくり
、あるいは
体制づくり
に不可欠のものであるということを認識しなければいけない。 次に、
海洋汚染
の問題については、
ストックホルム
の
人間環境会議関係
でもやっているので、そっちのほうに十分の
注意
を払うべきであるということを申しまして、
結論
として、とこかく
海洋法
に対する
諸国
の
信頼
を確保するためには、一九七三年に予定されている
海洋法会議
というのを成功に終わらせることが絶対必要であるということを強調するということで結んでおります。 以上が
小木曽代表
のしました
わが国
の
一般討論
の
あらまし
でございました。
田川誠一
3
○
田川
小
委員長
以上で
説明
の聴取は終わりました。
—————————————
田川誠一
4
○
田川
小
委員長
質疑の申し出がありますので、これを許します。
石川次夫
君。
石川次夫
5
○
石川
小
委員
外務省
からおいで願って、
科学課長
からいままでの
国際会議
の概要についての御
説明
を受けたわけなんでありますけれども、正直言いますと、きょうは
国連局長
に来ていただいて、
国際
的なたいへん重要な問題がたくさんあるわけなんで、そういう点について明確な
答弁
をいただきたかったわけなんです。ところが、どうしても事情があって、まあ
会期
末の大詰めでございますから、やむを得ないと思うのでありますが、その
機会
を得られなかったわけなんで、まあ
国務大臣
としての
西田長官
にお伺いすることも多いのでありますけれども、これは
所管外
ということも多分にあろうかと思うので、これは
委員長
にお願いをしたいのですけれども、休会中に
外務大臣
に出ていただいて、この
国際
的な問題の重要な点について、やはりある程度所信をひとつ明確に示してもらいたいと思うのであります。 当面する大問題といたしましては、
尖閣列島
の問題があろうかと思うのです。これは非常にやっかいな問題で、それぞれ
各国
にとっては言い分もあるかもしれませんけれども、
日本
の
領海
であり、
アメリカ
の
沖繩
の
施政権
の
範囲
に入っておったことは明確であったわけなんです。ところが今度
沖繩
の
返還
に関して、この
施政権
の
返還
が、
尖閣列島
については明確にされないということが
新聞
の記事に出ておりますけれども、こういうようなことでは、ますます将来に禍根を残すだけではないか。しかも
尖閣列島
の下にある
無限大
ではないかといわれるような
石油資源
というものの
開発
といいますか、その発見は、大体
日本
が主となってこれを推進したという経緯もあるわけなんであって、当然これは
日本
の
領海
であるという、こういう前提で進めておったわけですね。それがどうも
施政権
の
返還
については明確にされないで、
各国
で相談をしろというようなことでは、これは
国際紛争
の種を残したままだということになるのではないか。
沖繩返還
については、いろいろな問題が山積しているわけでございますけれども、
海洋開発
に関しては、この問題や、
あと韓国
の
問題等
について、やはり
相当
重要な問題でありますので、この点については、ひとつ閉会中にぜひ
外務大臣
に出てもらって、明確な
意見
を聞くという
機会
を設けてもらいたいということを強く要望しておきたいと思うのです。 したがって、きょうは、いままでの
お話
は、そう言ってはたいへん失礼でありますが、われわれが大体いま承知している程度の大ざっぱな
報告
であって、ことさらにこれを追及してどうこうというようなことはないのでありますけれども、
最初
にいまの御
報告
のことで伺いたいのでありますが、
海洋
四法といいますか、
公海条約
、
領海条約
、
漁業条約
、
海洋法
、これは
ジュネーブ
でつくられた、いわゆる
ジュネーブ
四
条約
ということになるわけでありますが、たとえばこの中で
大陸
だな
条約
については、おそらくこの主要な
海洋関係国
の四十一カ国が、すでに十二海里というようなことで参加しているわけですね。
日本
が参加しなかった。
アメリカ
も参加はしてなかったと思うのでありますけれども、去年の五月二十三日、突如としてというような形でもって十二海里説を支持するというようなことになって、十二海里というのが大体世界の
趨勢
だ、こう言われているわけでございますけれども、しかし南米その他のいわゆる
発展途上国
では、二百海里説などという、われわれから見れば法外とも思われるような
領海説
が飛び出して、なかなか
合意
に達しないということになっているわけです。この点も、これはやはり
外務大臣あたり
に聞かないと、
答弁
がちょっと
——国務大臣
だからといって
西田
さんに伺っても、なかなか
答弁
がむずかしいだろうと思うのですが、
ほんとう
に
海洋開発
をやるのだというような決然たる
態度
をとるとするならば、やはり十二海里説ということの
態度
を明確にしないではおけない。先ほど来
わが国
の
態度
の
説明
を受けたのでありますが、どうもこれはぼうばくとして、いままでの繰り返しみたいなことであって、何ら明確な
日本
の
態度
が出ていないのじゃないか、こういうような
印象
を私は受けるわけです。 それで念のために伺うのでありますが、
ジュネーブ関係
の四
条約
の中でどれとどれを
日本
が批准をして、何と何が残っているわけですか。
堤功一
6
○
堤説明員
四
条約
のうちで
わが国
が批准しておりますのは、
公海条約
と
領海
及び
接続水域
に関する
条約
の
二つ
でございます。残りの
大陸
だな
条約
と、それから
漁業
及び
公海
の
生物資源
の保存に関する
条約
は、それぞれ
問題点
がございましてまだ批准しておりません。
石川次夫
7
○
石川
小
委員
科学課長
に
意見
を伺ってもどうかと思うのですけれども、だいぶ水産庁の
関係
でも、いままでは三海里説というのは
日本
と
アメリカ
が一緒になったかっこうで強く
主張
しておった。
アメリカ
が十二海里説になったというようなこともあって、十二海里やむを得ないというような
方向
にまあまとまりつつあるんではなかろうかというふうに思われるわけなんですが、この点、
西田長官
、どうですか。
西田信一
8
○
西田国務大臣
所管外
でございますので、私の
観測
を申し上げておきたいと思いますが、ただいま
外務省側
からも
国際
的な態勢について
お話
がございましたが、私どもも
海洋開発
という
立場
からいろいろ検討しなければならない問題でございますが、私は七三年に開かれまする
海洋会議
では大体そういう
方向
に向かっていくのではないだろうか、そういうふうな
観測
をいたします。
石川次夫
9
○
石川
小
委員
いまの
領海
の問題にいたしましても、そういうふうな問題で
発展途上国
の
合意
が得られるかどうかという点には問題がたくさん残ろうかと思うのですが、
漁業
の問題にいたしましても
汚染
の問題も新たに出た問題であるし、
海底開発
の問題にしても、これは
一つ一つ外務省
も
交渉
がなかなか容易じゃなかろうと思うのですよ。しかし何とかこの
海洋開発
というものを推進するためには、これらの点が明確にならなければ思い切った推進もできないということで、
科学技術庁
としても
十分関心
を持ち、
外務省
と
関連
を持ちながら
——先
ほどの
日本
の
代表
的な
意見
というのは、どうもこう私の単なる
印象
で、もっと詳しく聞かないと明確なことは言えないのでありますけれども、
一般論
的なものだけであって、どうも明確じゃないというような
印象
を受けるわけなんであります。そういう点でひとつ、こういう点でも
わが国
の
方針
はこうであるという基本的な
方針
を、純然たる外交問題は別としまして、
海洋開発
に関する基本的な
方針
というふうなものについては、せっかく今度
科学技術センター
もできたことだし、
海洋審議会
も改組をして出直すということになっておるわけでございますから、ひとつその辺で
外務省あたり
がき然たる
態度
で明確に
交渉
ができるような
基礎づくり
は
科学技術庁
としてやらなければならぬ。これは強く私は要望しておきたいと思うのです。 この
海底開発
の問題に
関連
して、これは私はうろ覚えでどうもよく覚えていないのでありますが、
平和利用
だということが盛んにいわれておるわけなんですけれども、その中で、
日本
の、これはだれが
代表
だったかちょっとど忘れしましたが、
海底
の
平和利用
ということには
日本
としても強く
主張
する、ただし
自衛
の場合はやむを得ないんだ、こういうような
発言
があったように思うのですけれども、これはだれに質問をしていいかわからないのですが、
科学課長
、おわかりですか。これは
新聞
に明確に出ておったのです。
自衛
の場合を除くということで、しかし
平和利用
というのは
海底開発
の
深海利用
については強く
国際
的に取りきめしようではないかと
主張
した、これはどなただったか、ちょっと私、ど忘れしましたが……。
堤功一
10
○
堤説明員
私はその
政府関係者
の
発言
というのを存じませんのですけれども、実は
海底
の
平和利用
ということについては、その
中身
はまだきまってないわけでございます。昨年の
国連総会
で採択されました
海底開発
に関する
法宣言
の中でも、
国際海底区域
というものは
平和利用
のために留保されているという項がございますけれども、では法的にその
中身
は何かということは、これはこれから
条約
をつくる際にきめなければならない点でございます。これに
関連
しまして、
海底
には同じく
大量破壊兵器
の
配置禁止条約
というものがございますが、これは当然
軍事利用
の一部を禁止しているだけでございます。そのように了解しております。
石川次夫
11
○
石川
小
委員
それと私はその問題に
関連
をして、
自衛
のためならやむを得ないのではないかという
——自衛
とは何ぞやという問題もまた新たに出てきまして、
自衛
のためなら、核兵器は使うとは言わないかもしれませんけれども、もし使うということになればこれは問題にならないのですが、そういうふうなことで
自衛
のためならやむを得ないのだろうということばが出ているとすると、
ほんとう
の意味での
平和利用
ということになり得るかどうかについて非常な疑念を感じるわけです。この点についても、これは
外務省管轄
だと思うので、そういう点もひとつ明確にしていきたい、こう思っております。きょうはその点については質問はいたしません。
あと
報告
に
関連
する問題から若干はずれてくる問題になろうかと思うのでありますけれども、前にも
科学技術センター
法案の提案をされたときに質問をしておりますのであまり繰り返しませんけれども、実はこの
海洋開発
の
方針
を立てるときに、
科学技術センター
がせっかくできたわけでありますけれども、私は前々から言っているように
海洋開発
は
海底
資源、特にエネルギーだと思うのです。エネルギー資源は、いまのところは自由
諸国
では一六%海官からとっておるわけでありますけれども、まあ十年たてばこれが三〇%になり、二十年たてば五割以上になるであろう、こういうことになっておりますが、
日本
の近海の
大陸
だな
関係
その他を含めての
海底
にどのくらい石油があるかということはまだ明確に調べられてはおらないので、非常にこの
方針
を立てることは困難だと思うのでありますけれども、
日本
のエネルギー資源は御承知のように九九%海外依存、これはたいへん深刻な問題になっておるわけです。そうすると、
日本
の
海洋開発
のエネルギーの中でエネルギー政策、
海底
資源の中でエネルギー政策、その中でどの程度の比重を持たせるのかということは私明確に目標を示して、そこで、それを推進をさせるということがまず第一に必要なのではなかろうか。それと同時に動物蛋白質が非常に不足をするであろうということは当然予想されます。人口が
あと
二十数年の間にいまの人口の倍になるであろうといわれるのですが、現在でも栄養不良に悩んでいる国が世界じゅうで四割もある、
日本
の動物蛋白の摂取量というものは非常に少ないということは定評があるところなんですが、動物資源といっても陸上のものにたより切るということでは、
日本
の地理的
関係
からいって不可能でありますから、どうしても食糧政策としての
海洋
資源、こういうものにたよらざるを得ないという
二つ
の柱をまず立てなさい、こういうことを前から提言をしておるわけなんです。そういう点で、今度
科学技術センター
ができましたけれども、いままでの
海洋審議会
で四つの部会がございましたね、
海洋開発
センターができた場合にどういうふうな部門に分けてどういう重点でやるということはまあまだ全部はきまっておらないと思いますが、いまの段階できまっている
範囲
をひとつお知らせを願いたいと思います。
石川晃夫
12
○
石川
政府
委員
海洋
科学技術センター
でございますが、これは十月から発足する予定でございますので、現在の時点におきましてはまだその詳細な今後の計画というものがきまっておりませんし、またスタートの時期においていろいろセンターの中の評議員会等において検討していただくことになっております。しかしながら当然この
科学技術センター
におきましてはただいま先生から御指摘ございました将来の問題としてのエネルギー問題、あるいは動植物たん白質問題、このようなものを取り上げなければならないというふうには存じておりますが、それにいたしましても、当面の
科学技術センター
の目標といたしましては、
わが国
周辺の
海底
地図あるいはその他いろいろな物理的な測量の地図というものがまだできていない時点におきまして、まず
わが国
の
海洋開発
は
わが国
の
大陸
だなから進めるべきである、
沿岸
から逐次
大陸
だなに進め、さらに深
海底
に進むべきであるという
方向
のもとに、そのようなことと取り組むためにもまず
海洋
の状態を知るということが一番必要なことだろうと存じております。 従来から各省庁の研究所におきましてはいろいろな
調査
を行なってきているわけでございますが、それを総合的に進めていくように計画したのが昨年つくりました実行計画でございますが、この
海洋
科学技術センター
におきましても、当然その実行計画の
部分
を受け持ちまして、そして他省庁で行なっております
調査
、研究とあわせて、
わが国
の
海洋開発
のために役立たせたいというふうに存じております。
海洋
科学技術センター
として当面できますことは、
海底
の
調査
とかそういうものは各省庁で行なっておりますので、各省庁の
調査
、研究の一番隘路でございます基礎的なものということで、まず潜水
技術
的なものに重点を置いていきたい。そのためには、このセンターにおきましては、現在進行中でございますシートピア計画、いわゆる百メートルを目的としておりますが、百メートルの海中における居住実験、このようなものを通じまして、
海底
の状況あるいは海中における医学的なもの、そういうものを含んでの潜水
技術
ということを、まず当面ここ一、二年の間にそのようなものについての
調査
、研究を進めていきたい。さらにその後におきましては、現在工事にかかっております潜水シミュレーター等を使いまして、
海洋
の中における機器、特に計測機器に重点を置いてございますが、陸上での計測機器が必ずしも海中においては計測機器として十分な機能を発揮することはできないというふうに存じております。いわゆる圧力、あるいは水の性質、さびたりあるいは腐ったりするような問題もございますし、そのようなものも含めまして、そのようなものに潜水シミュレーターを使いまして進んでいきたいというふうな計画を進めています。したがいまして、大体今後五年間にわれわれが目標としておりますのは、潜水
技術
並びに海中における機器あるいは計測
技術
、このようなものを
確立
して、さらに
わが国
の
海洋開発
に貢献したい、このように考えております。
石川次夫
13
○
石川
小
委員
私は大
方針
を聞きたかったわけなんでありますけれども、そういうこまかい
技術
的な問題、潜水
技術
ということになれば、いまの
日本
の場合には、潜水医学というものはほとんどゼロにひとしいというようなことでありますから、当然やらなければなりません。しかも
海底
でもって圧力が高くなった場合には、空気を使うわけにはまいりませんから、ヘリウムを使う、ということになれば声が非常にひずんでしまう、あるいはからだの体温がずっと下ってしまう、あるいはまた電気機器が正常に動かないというような問題もあるわけです。それから熱の伝導度が非常に高くて、しかも冷えやすいというようなきわめて簡単なことに対する対策すらもまだ何ら
確立
されておらないわけです。そういう初歩的なことがまだ
確立
されておらないというような問題もあるわけでありますから、これはなかなか日暮れて道遠しというような感じがしないでもないわけなんですが、さて一方で、そういいながら、ビッグプロジェクトにおいては大深度遠隔操作の
海底
石油掘さく装置というものがもう始まっているわけです。ところが四十五年から四十九年まで予算としてはまことに少ない五十一億という予算でありますけれども、これはまだ外面設計が終わっただけで、まだ海のものとも山のものともわからないというような状態で、これはおそらく製作にかかるのが
昭和
五十年からということになるわけです。これなんかも大臣にひとつ要望しておきたいのでありますけれども、ビッグプロジェクトは、
科学技術庁
のほうの
関係
で扱うのは宇宙とか
海洋
とか原子力とか、超大型のものをやっておりますけれども、その中で、工業
技術
院あたりで扱っておる大深度掘さく装置などというものも、当然
科学技術庁
として
相当
関心
を持ってもらわなければならぬし、側面的に支援をしなければならぬと思うのですけれども、五十年から建造にかかるというようなことでは、私、少し迂遠に過ぎるのではないか、ちょっと緩慢に過ぎるのではないかという感じがするのです。これは予算の
関係
もあると思うのです。ずっと計画を見てまいりますと、設計が終わってどうやら基礎理論が
確立
をされて製作にかかるのは
昭和
五十年でありましょうというのが工業
技術
院の
説明
であります。こういうことでは、とても日進月歩、しかも外国では、
アメリカ
、フランス、ソビエトあたりでは
相当
進んでおるというのに、
あと
五年たたなければ大深度掘さく装置の製作にはかかれません、こういうような状態では、
海洋開発
を
日本
がやっておりますということは口先だけであって、実際にはまことに緩慢過ぎるのではないか、こういう感じがしないでもないわけです。こういう点の推進を積極的にはかるということについて、ひとつ
西田長官
の決意を伺いたい。
石川晃夫
14
○
石川
政府
委員
長官の御弁答の前に、いまの大深度掘さく装置の状況について少し御
説明
申し上げたいと思っております。 通産省で計画しております大深度遠隔操作掘さく装置でございますが、このようなシステムは実は諸外国でもまだ行なっていないものでございまして、
わが国
でこのようなものを初めて、世界に先がけてつくろうということで進めております。したがいましてこれに対する基礎理論、このようなものに時間がかかりますし、また設計の
問題等
もございまして、このようなシステムができ上がるのは、やはり五十年、ろになるのではないかと存じております。しかし一方、従来
各国
でやっております海上からの石油掘さく、この点につきましては、通産省等においても
相当
作業が進んでおりまして、第一白竜、第二日竜というようなものをつくりましたし、また諸外国の要望に応じまして、
わが国
のそれぞれのメーカーにおいてもつくって輸出をしているという現状でございますので、従来からの石油掘さく方法というものについては
わが国
としても進めておりますし、またそのような装置もつくっているというのが実態でございます。 ちょっと補足さしていただきました。
石川次夫
15
○
石川
小
委員
いまの
説明
、大体わかるのですけれども、私は、外国でやっているのはそれだけではないと思うのですよ。たとえば
海洋
スペースの石油貯蔵の問題なんかについていいますと、
アメリカ
は実に進んでおるわけです。
日本
でも最近USOS二号というものを
開発
するというめどがついたということがいわれておりますけれども、向こうではもう五十万バーレルの貯油能力のもの、これは深さはどのくらいでしたか、私ちょっと記憶がないのですけれども、
相当
深いところでもって貯油能力五十万バーレルのものが、いまのところ一基、米国のCBIという会社でもって
開発
をしてアラビア沖に設置をされておるというようなことになっておるのですが、
相当
深海でこれができておるわけですね。そういうようなことから見ても、あらゆる面で立ちおくれが非常にはなはだしいのではないかという感じがしてならないのです。海国
日本
なんという名前は、おこがましくてとてもいえないような最近の実態になっておるということを、ひとつ十分に勘案をしていただいて、何とか、れに追いつくための予算の獲得あるいは研究の推進ということによほど腰を据えた考え方、しかも重点施行ということをはっきりさせて、明確に
方向
づけをきめた上でやっていくということでないと、やらなければならぬことはたくさんありますから——海中公園も
開発
をして、海中居住もやりたい、いろんなことをやりたいと思うのです。しかし
海底
調査
はもちろん基礎でもってどうしてもやらなければなりませんが、
海底
居住とか海中公園というものは、そういうことは将来の問題としていいと思うのです。やらなければならぬエネルギー資源、そしていまの食糧政策の一環としての
漁業資源
、こういうことの
二つ
にしぼった形でぜひやってもらいたい、こう思うのであります。 実は
海洋開発
の中のプロジェクトには入らないのでありますけれども、これとの
関連
でやはり
科学技術庁
に重大な
関心
を持ってもらわなければならぬと思うのは、海水の淡水化の問題だと思うのですね。これは二、三日前に私現地へ行ってこの試験所を見てまいりましたけれども、これまたなかなか日暮れて道遠しという感じがあります。将来の
日本
の水の不足というのは、
昭和
六十年ぐらいになりますというと関東、近畿それから東海、これを含めて一年間に大体二十億トンくらいになるんじゃないか。とてもではないが、工業をこれ以上推進させるなんていってみたところで、水の問題で完全に行き詰まります。しかし海水をそのまま使うわけにはいかない。どうしても淡水化しなければならぬということについて
科学技術庁
としては何らかのかかわりを持ってこれを進めておるのか、どういう
関係
になっておるのかひとつ念のために伺いたいと思います。
石川晃夫
16
○
石川
政府
委員
御指摘のように、海水の淡水化というものにつきましても、
わが国
といたしましては重点的にやらなければいけないということで、現在通産省のほうでこれを行なっているわけでございます。御指摘のように
昭和
三十九年でございますが、六年ほど前には大体六百七十八億トンというものが全国需要というふうに考えられておりましたが、六十年ごろには千百四十八億トンぐらいの需要が出てくるのではないかということを建設省のほうでは考えております。したがいまして、そのようなものに対するいろいろなテクニックの問題がございまして、現在通産省も大型プロジェクトを組みましていろいろな方法でこの実験を行なっております。現在通産省で行なっておりますのは多段フラッシュの蒸発法というのを行なっておりますが、これを使いまして大体五年間で五十億円ぐらいかけまして当面は日産三千トンぐらいねらっておりますが、五十年ごろには日産十万トンというぐらいのところを目標に進んでいるわけでございます。またコストにつきましても大体トン当たり三十円ぐらいというところまでこぎつけたいということで進んでおりますが、そのような点につきましても確かに御指摘のようにこの淡水化の問題を進めていかなければ
わが国
の工業
開発
というものについても非常に不自由を来たしてくるということでございます。
石川次夫
17
○
石川
小
委員
この淡水化の問題は
科学技術庁
の直接の所管になっておらないのではございますけれども、やはり
海洋開発
の一環としてこれは
海洋開発
と並んであるいはそれ以上に重要な非常に大きなテーマだと思っているのです。これは御承知のようにどこを
開発
するといったって水がなければ発展の限界はきまっちゃうのです。私どもの地方も、工場を増設しようと思ったところがもう水は足りませんというとそれでストップです。そういう現象が太平洋メガロポリスに、大体情報化時代の予測をしますというと、九割の人口が集まるであろうというようなことが大体二十年後に予測をされておるというようなことを考えますと、そういうことに一体なり得るんだろうかという一番の障害は、私は、海外資源の問題もございますけれども、水の問題だと思うのです。ところが、いま日産三千トンとか五千トンとかという目標あるいは将来十万トンとかいっても、その十万トンといったってこれは九牛の一毛なんですね。全体からすれば微々たるものです。
お話
になりません。そういうふうなことで、これも五十億円なんですよ、予算が。ところが
アメリカ
あたりはわかっただけで、私ちょっと調べただけで大体五百億円ぐらい使っていますね。一割ぐらいですよ。
アメリカ
は不毛の地がたくさんあって、ロスアンゼルスなんかは海水の淡水化でもって不毛の地を緑化するというふうな遠大な計画でやっておりますし、研究も、この前私は科学
技術
会議
の答申のときも申し上げたように
一つ
の方法だけ、多段フラッシュ方法でやってそれがだめならだめというふうなかっこうではないわけです。
アメリカ
はいろいろな方法でやっています。基礎研究から始まっていろいろな方法で淡水化に近づこうとしている。
日本
ではこれ
一つ
、これが一番いいんだという
方針
をきめたらそれ
一つ
だけにしか研究テーマとして費用を与えられない。その費用のわりには能率をあげていると思うのですよ。それは確かにあげているとは思いますけれども、しかしこの淡水化の問題も、これは
国務大臣
としてきわめて深刻重要な問題でありますので、
海洋開発
の一環というふうにお考えになってこれを推進してもらいたい。 それと、話がわき道にそれるようで恐縮なんでありますが、
沖繩
で
海洋
博覧会を開くのだ、
沖繩返還
の記念行事としてやるのだというふうな構想もあるやに聞いております。私はその場合
沖繩
の
開発
というのは水だと思うんですよ。水がなかったらもうあそこでは工場なんか全然起こす余地はございません。そうなると一体どうしたらいいかということ、
海洋開発
というものを
海洋
博覧会を開くまでにある程度のめどをつける、それは私は原子力発電所との
関連
においてやってもらいたい。多目的高温ガス炉というのはプロジェクトの中にははっきりは入っておらないわけでございますが、私個人の好みといいますかしろうと的な考え方、アイデアから言わせれば、高温ガス炉というふうなものを使う、それによってそれから出たところの温度でもって海水の濃縮ということを考える、それによって塩はもちろんとれますけれども副産物をとる、それからそれによって温室というものによって、
沖繩
の場合にはちょっと問題があるかと思いますけれども、植物の裁培をやる。それからそれに伴って冷却水によって、温度が高くなるわけですから、
漁業資源
をどうするかというような多角的な形をとらないと、いま言ったトン当たりこれは出口の値段でありますが五十円とかなんとかという目標を立てておりますが、とてもとてもそんなわけにいかないと思うのです。五十円でも高過ぎますね。とても問題になりません。もっと安くしなければならぬ、ということになりますと、これは非常な複雑多岐にまたがる問題がたくさん出てくるわけでございますけれども、
沖繩
でそういうものをやる場合には淡水化を完成させるのだ、そうすると
沖繩
の
開発
、水の需要というものは
相当
程度これで解消するのだという
一つ
の目標を政府として立ててもらいたいということを私は強く要望したいと思うのです。 それで、たとえばこの前も申し上げたのでありますが、それとちょっと問題は違うのでありますけれども、原子力発電所の問題は公害問題で私はなかなか建設が容易じゃなかろうという気がしてならないわけなんです。そうすると
海底
原子力発電所という構想も
一つ
あるわけですね。この問題はどの程度政府の側においては検討されておりますか。
石川晃夫
18
○
石川
政府
委員
海底
の原子力発電所でございますが、私の聞いておるところによりますと、通産省では要するに今後の問題としてやはり
海底
原子力発電所というものを考えなければいけないということで、
ほんとう
に研究の初めの段階での研究というようなところまでしか進んでいない、そのように聞いております。ただ構想はあるということでございます。
石川次夫
19
○
石川
小
委員
私も聞いている
範囲
ではその程度なんです。そういうことを考えなければいかぬのじゃなかろうかという思いつき程度で検討を始めようというようなことなんですが、私可能性あると思うのです。ただし、公害の問題なんかはよほど十分に
解決
対策を考えながらやらぬといけませんけれども、PWRの方式で
海底
原子力発電所というものの可能性は十分考え得るのではないか、またそう考えなければならぬような時期にくるのではなかろうかというような感じが私はしてならないわけなんです。したがって、これも単なる思いつきでぼちぼち始めるということではなしに、これも真剣に取り組んでもらわなければならぬ大きな課題であるし、またそれを推進するのは通産省ということではなくてやはり
科学技術庁
の側でこれを推進をする。またきょうは研究
調整局長
ですから原子力
関係
の方が来ておらないのであまり責任をもって押しつけるというわけにはまいりませんけれども、長官としてはこの点も十分含んでいただいてこれも
一つ
のプロジェクトとして入れる。それからそれもこれも含めて私はビッグプロジェクトというのは目的基礎研究ということだけではなくてやはり純粋な基礎研究というものから出発しないと、
一つ
の方法だけとってそれがだめならチェック・アンド・レビューで大蔵省でもって切られちゃうというようなかっこうではない意味での
日本
の全体の科学の水準を高める。これは私の持論でありますけれども、基礎研究をどうしても広げる、そうしてほかのコースから近づいていくということの道を開くという意味では、目的、ビッグプロジェクトにつながる研究だけではだめなのだというような遠大な構想をひとつお持ちになってもらいたいのです。そのほかこまかい
技術
的な点ではいろいろございますけれども、きょうは一番肝心な
国際
政治的な課題ということは質問できずに非常に残念でありますけれども、これはあらためて
機会
をいただくことにして、きょうの質問はこの程度にしておきたいと思います。
田川誠一
20
○
田川
小
委員長
近江巳記夫
君。
近江巳記夫
21
○近江小
委員
先ほど
科学課長
のほうからいろいろ
国連
の
会議
に出られて
問題点
の御
説明
があったわけであります。何点かのそういう問題があったのですが、その
一つ
の
領海
の問題でございますが、
わが国
においても十二海里というのは、今国会においても
外務大臣
あるいは総理もそういう
方向
ということを明示されておられるように思うわけです。そこで
わが国
として、そういう十二海里になってきたというのは、あくまでも
国際
的なそういう大勢といいますか、そういう点から判断されたのか、あるいは自主的に、
わが国
としては十二海里をとるべきである、そういう判断に基づいてされたのか、もしそうであれば、どういう根拠に立ってそこまでの
結論
に近い
方針
を出されたか、その点についてお聞きしたいと思います。
堤功一
22
○
堤説明員
お答えいたします。 ちょっと変なようでございますけれども、自主的に判断いたしまして大勢に従うということになるわけでございますが、これをいま少しく詳しく申し上げたいと思います。
日本
は
海運
、
漁業等
の
関係
から
海洋
国でございまして、
日本
だけの利益ということから考えますと、実は
公海
というものは広いほうがよろしいわけでございます。逆に申せば、
各国
の
領海
は狭いほうがよろしい。で、伝統的にも三海里ということにきまっておりますので、現在の
国際法
に従うという
立場
に、それから
日本
の国益と合致しているために、現在も三海里ということを唱えておるわけでございます。これが一般的な
国際法
である、そういうふうに確信しているわけでございます。しかしながら
日本
の狭い意味の利益ということから考えてこういう
結論
を出して、それで固執してよろしいのかというと、実はそうではないわけでございまして、
領海
の幅というものが世界的に不安定な状況でおるということは、実は
日本
の
海洋
関係
、
漁業
関係
においても決して有利なことにはなりませんし、世界の法体制という観点から見ましても不幸なことだと思うわけであります。
国際
的にもこれは不利益をもたらす。
領海
の幅を
国際法
的に定めて安定させなければならないという高次の要請がございますので、しからばこういうことから自主的に判断してどのような
態度
をとるべきか、
日本
は従来一般的な法的な確信に基づいて
国際法
というものが成立すればそれに従う、あるいはそういうものに従うのだという
立場
をとっておりまして、しかも
領海
の幅について
各国
が一方的にこれを定めるということは受け入れがたい、この
立場
から現在は三海里だ、こういっておるわけであります。先般
外務大臣
、総理がお示しになった十二海里の
方向
でよろしいということは、これでいこうということは、実は
国際
的な大勢がそのように動いてきておる、この十二海里という線でこれが一般的な
国際法
なのだという妥当な
合意
が得られそうであるという見通しに基づいて、このような
立場
を来たるべき七三年の
海洋法会議
等にあたって
わが国
としても支持するという内容であると了解しております。
近江巳記夫
23
○近江小
委員
外務大臣
はこの
外務省
の
意見
の集約したものをもって
発言
されておるわけですが、総理もそのように踏んまえての
発言
です。特に
科学技術庁長官
の場合は、
海洋開発
という点からもいろいろ考えて、
外務大臣
あるいは総理がそうおっしゃっているから私もそうだというのではなくして、積極的にこの十二マイルを支持されるという
態度
であるかどうか、この辺長官にひとつもう一度確認しておきたいと思います。
西田信一
24
○
西田国務大臣
国際
的な動きと申しますか、
各国
の考え方、これが大体十二海里を支持する
方向
に向かいつつあるというふうに私も思います。しかしながら、私は少し
見解
が狭いかもしれませんけれども、
日本
の周辺を取り巻く
漁業
の状況なんかを見ておりましても、十二海里説の国がかなりふえてきておる、あるいはまたもっと広く
主張
するところがある、そういうような
立場
にありながら、実際には目と鼻の先——実は私は北海道の出身でありますが、その鼻先に来てよその国がどんどん
漁業
をやっておるというような状況を見ましても、私は
わが国
の周辺の
領海
が三海里であるというようなことによって非常に残念な状況も常に目にしておるわけでありますが、世界の大勢がそうであり、また将来の
海洋開発
というような必要から考えましても、私は個人的には、もう十二海里の時期が来ておるのじゃないだろうか、そのほうがむしろ将来の国益にも合致するのじゃないだろうか、そういうふうな感じを持っております。
近江巳記夫
25
○近江小
委員
漁業
の問題について、
開発途上国
が
漁業
の専管水域について
相当
拡大した考えを持っておる、これについて
わが国
としては基本的にどう考えておるわけですか。専管水域の考え方、
科学課長
にお聞きします。
堤功一
26
○
堤説明員
先ほど御
報告
申し上げましたとおり、
日本
の
小木曽代表
の
発言
にもございましたとおり、
日本
の
立場
というのは、一般的に
沿岸国
に
漁業
の専管水域というものを認めるということは決してこの問題の公平な
解決
には資さない、実はその漁場というものは非常に偏在しておるものである、その実態を把握すれば、このような
方向
で魚類という動物たん白の確保を
沿岸国
に行なうということは、決してその
沿岸国
の考えているとおりの結果にはならないという実態的な考えを持っておるわけでございます。したがいまして
わが国
の
主張
は、
沿岸国
に対して
漁業
専管水域を
領海
以外に認めるということには反対しているわけでございます。しかし多くの国がこのような
方向
をめざした
発言
をしているということも事実でございます。この問題は七三年の
海洋法会議
の非常に大きな議題となるところでございますが、それを勘案して
日本
の
立場
というものをあるいは再検討する必要があるかとも思います。
近江巳記夫
27
○近江小
委員
そうしますと、
漁業
の専管水域というのは、要するに
領海
からは絶対はみ出さないというのが
わが国
の基本
方針
である、これは
科学技術庁長官
もそのようにお考えでございますか。
西田信一
28
○
西田国務大臣
どうも
所管外
のことでありますから何でありますが、
外務省
の
見解
が正しいのではないかと考えております。
近江巳記夫
29
○近江小
委員
所管外
とおっしゃっていますけれども、
海洋開発
という点からいけば、
生物資源
ということで、決して権限外の問題じゃないわけです。そういう点で、いま再確認をしましたが、
外務省
のおっしゃっておるとおりということでございましたので、政府としての考えは
領海
外に専管水域をはみ出さない、これが
わが国
の基本
方針
であるということを私としては確認しておきたいと思います。 それから
航行
の問題でございますけれども、三海里なり十二海里ということになってくるわけですが、そうしますと、
わが国
の場合、特に中東の石油を運んでくる場合、マラッカ
海峡
等は一番通るわけです。そうしますと、もしも幅広い
領海
をやられると、
航行
に問題が出てこないかということなんです。この点については
外務省
としてはどう考え、またいかに対処されようとしておりますか。
堤功一
30
○
堤説明員
マラッカ
海峡
は、大体
領海
が十二海里となりますと、マレーシア及びインドネシア、シンガポールの
領海
になるわけであります。しかし、現在の
国際法
におきましては、
領海
について
無害航行
権というものが認められておるわけであります。普通の商船は
公海
の一部から
領海
を通って
公海
のほうに抜けることができる。
沿岸国
の管轄にはその間服さないということであります。したがいまして、このとおりにいきますれば、実際上は問題はないと言えるかと存じますが、しかしながらタンカーということは、現在、
海洋汚染
の問題とからんで問題を持ってくるわけでありまして、
海洋汚染
の大きな害を及ぼすべき可能性のある大型タンカーというものが
領海
を通るのは、はたしてこれは
無害航行
なのであろうかどうか、そういうことまでいわれ出してきたわけであります。したがいまして、そういうことになりますと、ことに
領海
でございますから、
公海
上を通るという
公海
の自由の原則よりは縛られることになるのは確実であります。しかし、
わが国
といたしましてはこのような
海洋汚染
の問題というものは、
沿岸国
の
管轄権
の拡大という
方向
によって
解決
さるべきではなくて、
海洋汚染
それ自体を把握していくべきである。すなわち、言いかえますと、政府間海事協議
機関
、IMCOでありますが、あそこでつくっております油濁防止
条約
等のアプローチ、すなわち
汚染
物質あるいは
汚染
行為の法的に把握できるものをつかまえて、たとえばタンカーの設計上の適正をはかるとか、あるいは油を絶対にこぼさないという制度をつくる、そういう
方向
で
解決
すべきものである、それが最も適当な
解決
方法であるという
立場
をとっております。しかし、もし問題が、
汚染
ということに対して
沿岸国
の管轄を強化するのであるという
方向
に行きますれば、
わが国
の石油輸入の大宗を運んでおりますマラッカ
海峡
等のタンカー
航行
ということには、おのずからそれだけの制限がかかってくるという
問題点
これは重大な
問題点
として、われわれも認識しているわけであります。
近江巳記夫
31
○近江小
委員
この
国際
的なあれを見ておりますと、
領海
外にかってに専管水域を設定して、
漁業等
の場合、そこで一隻当たり幾らというようなもの、現にそれを
主張
しておりますし、ましてや
領海
が十二海里あるいは
汚染
の問題が出てくるということになってくると、いままでの
各国
の出方を見ておって、さらにそういう点の危惧は大きくなってくるわけです。特にマラッカ
海峡
をはじめとした
沿岸国
のインドネシアなり何なりとのその辺のことの話し合いといいますか、七三年でおそらく十二海里は私はいくと思うのですけれども、もうその辺の作業は開始しておいて、やはり何らかの打診を始めておかなければあぶないのではないかと思うのです。その点
外務省
としてはやっておりますか。
堤功一
32
○
堤説明員
現在は、いつも七三年の
海洋法会議
と申し上げるのですが、この
海洋法会議
でどのような
方向
にいくかということが確定するという想定のもとにやっておりますので、二国間で深い立ち入った話し合いということはまだ開始しておりません。マラッカ
海峡
について申し上げれば、当面は安全な
航行
をはかるために、測量等をさらに充実させまして、安全な航路を確定するという作業をまず第一にやっております。これは、
沿岸国
の協力のもとにやっておりますので、このような
方向
を推し進めていけば、実際に問題が起こったときには相互に対処できる体制がだんだんできていくのではないかと思っております。
近江巳記夫
33
○近江小
委員
その辺のところは、経済援助の
問題等
も、あらゆる対策のあれとして、幅広いそういう行き方ということを、
外務省
を中心に考えていかないと、将来において私は非常に大きな問題になってくるのじゃないか、このように思うわけです。大臣にもう一度念を押しておきたいのですが、その点
外務大臣
なり総理なり、今後
日本
の大きな
問題点
としてはかっていただけるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
西田信一
34
○
西田国務大臣
領海
が拡大された場合、いろいろな問題が生じてくると思います。そういう問題につきましては、政府部内におきまして十分な検討が行なわれる、それに対して対処していかなければならぬということは、御指摘のとおりだと思います。いま
お話
のありましたような船舶の
航行
の問題とか、あるいはその他いろいろな問題が出てくると思いますので、ひとつ十分検討いたしたいと思います。
近江巳記夫
35
○近江小
委員
それで、この
海底開発
の、要するに
海底
条約
の問題が非常に大きくクローズアップされてきておるわけです。いま課長さんからもいろいろ
お話
があったのですが、
わが国
の一番の
問題点
として、どこにポイントを置いているかということなんです。
わが国
としてこの
条約
の一番
問題点
として押えているポイントはどこですか。
堤功一
36
○
堤説明員
海底開発
の一番の
問題点
は石油
開発
でございます。
海底
から石油をとるということについての法体制がどのようなものになるかということが、最も重要な問題だと思います。これは
わが国
のエネルギー事情からいって当然のことでございます。これには
海底
から石油をとるというときに、先ほども申し上げましたが、その
海底
が
国際海底
であるのか
大陸
だなであるのかによって法的な地位が違うわけであります。
大陸
だなから石油をとるということは
大陸
だなに関する一般
国際法
によって
わが国
が主権的な
権利
を有しているわけであります。
国際海底
から石油をとるということは、もうすでに法原則も採択されておりますが、それによりますと、
国際海底
の資源というものは人類共通の財産であって、何人もこれを領有、所有等することができない、この
開発
は全人類の利益のために行なうんだということになっておりますので、
国際海底
の石油
開発
ということですと、
わが国
あるいは
沿岸国
が主権的な
権利
を行使できない。したがいまして、その
海底
の
石油資源
が
大陸
だなにあるのか
国際海底
にあるのかによってたいへんその法的な
立場
が違ってくるわけであります。
わが国
の周辺において問題となっている
海底
石油資源
がはたして
わが国
の
大陸
だなの資源なのであるか、
国際海底
の資源なのであろうかということでございます。ですから、
一つ
には
わが国
の周辺の
海底
石油資源
を
開発
するためにはどのような
法制度
が最も有利であるかということを考えるわけでございますが、これは当然
わが国
のまわりに広く
大陸
だなをとれればそれが
わが国
の利益となるということになります。これに反しまして、他の国の
沿岸
区域の
海底
に出ていって
日本
が自主
開発
をいたします場合には、これはその国のまわりの
大陸
だなは狭いほうが
わが国
が出やすいのではないかということになります。すなわち、
国際海底
というのは広いほうが出やすいのではないか。ということになりますと、
日本
が他の国の
沿岸
に出ていって石油
開発
をするという利益と、自国の周辺の
海底
石油を
開発
するという利益とでは全く相反する
結論
が出る。いずれのほうが真に
日本
の利益であるかという実態を把握することが最も肝要なわけであります。それによって
わが国
の
立場
ということも具体的にはきまってくる問題と思っております。
近江巳記夫
37
○近江小
委員
わが国
の場合はこの
海底
条約
については基本的に賛成の
方向
であるということをお聞きしておるわけですが、基本的に賛成ときめられたポイントですね、要点はどこに置かれたわけですか。
堤功一
38
○
堤説明員
御質問の趣旨が私、よく了解できないのでございますけれども、
海底
条約
はまだできておりませんわけです。
近江巳記夫
39
○近江小
委員
まだできてはないけれども、大体の
日本
の政府の——もう一度それじゃ確認しますけれども、
日本
政府としてはこの
条約
については賛成の
方向
であるのかあるいは反対の
方向
であるのか。もし賛成の
方向
であるとするならば、その基礎にはどういうポイントを置いたか、こういう問題なんです。
堤功一
40
○
堤説明員
科学
技術
の発達によって、従来
大陸
だな
条約
ではカバーされていなかったと考えられていた深い
海底
の石油も将来は
開発
可能であるということがはっきりしてまいりまして、この石油を人類の全体の利益のために
開発
すべきである、利用すべきであるという
見解
が
国連
等を中心にして
国際社会
に高まってくる、この
趨勢
を把握し、かつ
海底
石油というエネルギー資源の確保という意味から
わが国
の国益にも資するという、そういう基本的な考えで
わが国
の賛成の内意を出しておるわけでございます。具体的な
条約案
というものが出てまいりましたときのポイントは、しからばその
国際海底
の
範囲
というのはどこであるか、これはどのような
範囲
をきめるのが最も国の利益であるかということを勘案して具体的な
条約案
についての
態度
もきまってくるわけでございます。
近江巳記夫
41
○近江小
委員
この中で、特に問題とされる
条約
の対象となる資源ですね、諸外国と
わが国
の場合は非常に
見解
が分かれるようになるわけですが、その点の
見解
がもし一致しなければ加盟しないと、こういうことなんですが、どうですか。
堤功一
42
○
堤説明員
現在の時点でお答えするのはたいへん困難な次第でございまして、率直に申し上げてやはりその
条約
そのものができた時点で十分慎重に考慮すべき問題かと思っております。
近江巳記夫
43
○近江小
委員
そういう面で言っていけば、何でもそう言えば答えになってしまうのですけれども、それであれば答えにならぬと思うのです、いまの時点では。それ以上答えられませんか。
堤功一
44
○
堤説明員
それは終局の
立場
を申し上げたのでありまして、
日本
のエネルギー確保という観点から見て、最も
わが国
にとって利益でありかつ
国際社会
的にも公平であるという
条約
ができるように積極的にその草案の審議に参加していくわけであります。しかし
条約
も実は
国連
の場で多数決によって採択されるということになろうかと思います。そのときにどのような
中身
になるかということはいまから申し上げられませんので、先ほどあのようにお答えしたわけであります。
近江巳記夫
45
○近江小
委員
中身
について申し上げられない、それは秘密のこともあるし、いろいろ外交上の問題ですからあると思いますけれども、別にこういうことは秘密でも何でもないわけですよ。そうでしょう。
見解
の分かれている
各国
がどういう
見解
を持って、
わが国
がそれに対してこうだ、そういうようなことで、そのために来てもらっているわけですから、
中身
をもっと言ってもらわないと……。 それから、この
海底
条約
と国内法の
関係
ですけれども、もちろんこの
条約
はまだできておりませんが、加盟した場合、今後の
わが国
の
海洋
に関するそういう国内法及び
海洋開発
施策というものについてどういう影響があると想定されるわけですか、
科学課長
と
局長
、大臣等からひとつ所感をお聞きしたいと思います。
堤功一
46
○
堤説明員
最も重要なポイントは
わが国
の鉱業法
関係
の改正であると了解しております。すなわち
大陸
だなの
範囲
というのが確定するわけでございまして、その
範囲
においては
わが国
が主権的
権利
を行使して鉱区設定等ができるわけであります。
大陸
だなより外の
国際海底
の
石油資源
の
開発
あるいはその他の
鉱物資源
の
開発
ということになりますと、その鉱区がどのように設定されるべきかということは、これは
中身
によってきまってくるわけであります。 先ほどのお答えで私ちょっと
説明
足りなかったと思いますが、
条約
の
中身
については申し上げておりませんのは、まだ何もございませんからでありまして、
条約案
として出ておりますのは、具体的な形では
アメリカ
の
条約案
がこれは公表されてございますけれども、あるだけでございます。それについて実は賛成している国の数というのはごく少ないわけであります。
西田信一
47
○
西田国務大臣
いま
外務省
のほうから答えがございましたように、まだ
条約
の内容が明確に、明確にといいますかそこまで進んでおりませんので、その内容によりましてやはり
わが国
として対処していかなければならぬと存じますので、いまその影響がどうであるかということは、その内容の検討が進みませんと、はっきり申し上げることはできないかと思います。
近江巳記夫
48
○近江小
委員
この
条約
については、この米国案というのがかなり具体的に明示してきているわけですが、このいろいろ
国連
でのそういう考え方等お聞きしていますと、
大陸
だな
条約
は、補完するばかりか、はるかに規制力を持つ非常に総括的なものになる可能性があるわけです。 そこで、基本的には
わが国
としては賛成であるということはここではっきりおっしゃったわけでありますが、そうなってきますと、それは要するに包括的な大きな規制をするという点から考えれば、いま
わが国
が入っておらない
大陸
だな
条約
というものには加盟するという意味でありますか。これは
国連局長
にお聞きしたいと思います。
西堀正弘
49
○西堀政府
委員
たいへんおくれまして申しわけありません。
大陸
だな
条約
に関しますところの
わが国
の
立場
につきましては、おそらくすでに御
説明
申し上げたのじゃなかろうかと存じますけれども、
鉱物資源
に関します限りは、
大陸
だな
条約
は、御承知のように、すでに
国際
的に認められているものを確認するといった形のものでございますので、これはもう問題ないわけでございます。ただ、
わが国
がいま
大陸
だな
条約
に早急に加入できないという点は、
漁業資源
の問題でございまして、定着性の生物に関するところの
見解
が、若干
わが国
のとっておりますところの
立場
と異なります
関係
で、
大陸
だな
条約
にはいまのところ入らないという
立場
をとってきたわけでございます。したがいまして、その点についての問題、これはこの七三年に、
領海
の幅員を含め、あらゆる
海洋法
の
関係
の、大きなと申しますか広い見地から非常に大幅な改定というようなことも行なわれるのではないかとわれわれといたしましても考えておりまして、鋭意研究につとめているわけでございますので、その時点におきまして、いままでのわれわれがとってまいりました
見解
というもの、これをなるべくならば
主張
いたしたいのでございますけれども、何ぶんにも
国際会議
のことでございますので、どうなりますかわかりませんけれども、その時点におきましてわれわれといたしましては、やはり
大陸
だな
条約
への去就ということを決定いたしたい。いまのところこれに入る、入らないということは明確に申し上げられない段階でございます。
近江巳記夫
50
○近江小
委員
それで
海洋汚染
の問題ですけれども、今後、
海底
条約
ができて、資源の
開発
というのが問題になってくるわけですが、
海底
条約
に基づく
国際機関
というのは、むしろ利益の配分といいますか、そういうところにポイントが置かれているように私は思うのです。
海洋汚染
ということをこういう
条約
に基づいて先進
諸国
がやっていくようになってきますと、要するに
汚染
というものは地球レベルに達してくる。そういう点、
汚染
に対する
国連
監視機構なり、いまあるいろいろ
汚染
に関する
国際
的な取りきめというものは、私
ほんとう
の一部だと思うのです、船舶の油濁に対する防止法案とか。その点、
汚染
に対するそういう
国際
的な取りきめ、
条約
なり、あるいは監視機構なりについては、私はこれは当然
日本
が一番やはり石油なんかの運搬、あるいはまたこれから資源
開発
を積極的にやっていくだろうという疑いの目で見られているわけですから、
日本
がむしろ積極的に大胆にそういう点提案をしていって、初めて
各国
の同意あるいは賛成も得られるのではないか、私はこのように思うのです。いま問題になっております
環境
破壊なり何なりに対して、真剣に人類の生息という観点に立ってやるのか、
わが国
としてはほおかぶりして、言われてからやろうという
立場
でいくのか、積極的にいまから
わが国
がイニシアチブをとって、それを
国連
の場でも提言していくのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。
国連局長
……。
西堀正弘
51
○西堀政府
委員
環境
汚染
の問題でございますが、これはわれわれよく申し上げるのでございますけれども、いわば将来に生きる
国連
といたしまして、すでに現実の問題となった問題のみならず、今後の問題ということに積極的に取り組んでいくという姿勢を
国連
当局もとっておりまして、
わが国
もそれに大いに賛同しておるわけでございます。この
環境
の
汚染
問題につきましては、七二年に
ストックホルム
で実は人間
環境
に関する
会議
というのが開かれることになっております。それの
準備
も着々と進められているわけでございまして、したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、タンカーの問題ということは、直接的にはこの
国連
機構の中で申しますならば、IMCOと申しますロンドンにあります専門
機関
が取り扱っているわけでございますけれども、もっと広く人間
環境
の問題としてこれも取り上げるという
態度
でございまして、先ほど申し上げましたように
わが国
もそれに賛同しておる。その
準備
のためにも、実は
外務省
の中におきまして、いままでハンブルグの総領事をやっておりました太田というのを呼び返しまして、太田審議官のもとにこの
環境
問題に関するいわばタスクフォースをつくっておりまして、ここで鋭意検討を進めておりまして、
ストックホルム
の
会議
にも積極的な姿勢をもって臨みたいと
外務省
といたしましては考えております。
近江巳記夫
52
○近江小
委員
積極的に対処するという基本的な姿勢はわかったわけですが、具体的に、たとえばマルタがあの
海底
の
平和利用
というのを小さな国でありながらひっさげて提案したわけですが、
日本
としてもここらで、
日本
はもう公害でどうしようもない、世界じゅうから石油を運んでくる、また石油は掘るし、いまやそういう変な目で見られているわけですよ。そういう点で
環境
汚染
ということについて大胆に
日本
としては提言していく、こういう点で具体的なものをひっさげていかれるという構想があるわけですか。
西堀正弘
53
○西堀政府
委員
いま先生お尋ねのような具体的な構想がもうでき上がっているかという御質問に対しては、遺憾ながらまだそこまではいっていないとお答えせざるを得ないわけでございます。しかしこの
環境
汚染
の問題につきましては、
わが国
は最も
先進国
と申しますか、また最も後進国と申しますか、とにかく最も
汚染
の被害をこうむっている国でございますので、
わが国
がこれからどういった具体的な提案をすべきか、われわれとしても検討中でございまして、そういった背景におきまして、
わが国
の提出するところの提案というものはおそらく世界
各国
の非常に
関心
を引くものになるのではないかと、まあ自負と申しますか、あるいは期待と申しますか、われわれとしては持っている次第でございます。
近江巳記夫
54
○近江小
委員
その辺、今後
日本
としては、
海洋
国
日本
といいながら、
日本
からは世界から称賛を浴びるような何らの提案もしておらない。私は外交においてこの点やはりまずいと思うのですよ。まあ、しろうとの私がえらそうに
国連局長
さんにこんなことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、こういう場においてやはり
日本
としての積極的な姿勢を示していくということが一番大事じゃないか、このように私は思うのです。まあこれ以上言いましても、いま
国連局長
としても具体的な構想はないということでこれは平行線になると思いますので、強くこの点は要望しておきます。 それで、
海洋
の
科学調査
の問題ですけれども、私いろいろな学者にも会っていろいろ聞きますけれども、学術研究の
国際
分業、協力という点が
日本
としては非常に弱い。たとえば、前にインド洋などを
調査
したときも、
日本
は金ももう
ほんとう
に——ちょっと具体的な数値を私いま持ってきておりませんけれども、もうやいのやいのと言って、どこからかわずかに、政府
機関
ではない、どこかからちょっと回してもらって、やっとさあ参加できる
立場
を得た、恥ずかしくて、大国
日本
といわれながら、こういうことについては政府としては全然積極的に力を入れてあげない。たとえば、エカフェの
調査
にしても、大体東シナ海にも石油がある、あれは東海大の新野教授なんかが言われたわけですけれども、あのときなんか自費で行っているわけです。いろいろな
会議
は全部自費だというのですよ。金のある学者は何とかなるかもしれませんけれども、どんなに
日本
のためを思い、有能な人であっても、金がなければ参加できない。しかも政府の仕事は頼む、そういう行き方でいいのかという問題ですよ。こういう点にこそ
日本
のような小さい国は、これから
国際社会
の一員として、むしろ
国際
的なそういうところにどんどん出かけ、また多くの人をむしろ包擁していくような
立場
で積極的な姿勢がなかったらいかぬと私は思うのです。その点私はなってないと思うのですよ。これについては
国連局長
、そして大臣に、特に閣僚の大臣としてどう考えておられるか、今後どうしていただけるのか、それをひとつ私はお聞きしたいと思うのです。どちらからでもけっこうですけれども……。
西堀正弘
55
○西堀政府
委員
もう先生から言われるまでもなく、実はわれわれといたしましてはこのような問題につきまして、
日本
としてもっともっとやらなければならないというつもりでおりますけれども、何ぶんにもいろいろな予算上の制約その他がございますので、われわれ微力で、われわれの希望するほど、期待するほどいまやっていないという点は、先生御指摘のとおりでございます。今後とも一生懸命やってまいりたいと存じております。
西田信一
56
○
西田国務大臣
国際
的な
科学調査等
について非常に積極的な姿勢で取り組めという御指摘はまさにそのとおりと私も考えます。せっかく、ことにきょうは
海洋
の問題について御審議を願っておるわけでありますけれども、このような
海洋
等はただ一国だけの問題じゃなくて
各国
の共通の問題としてやる仕事が非常に多いと思います。私どもは
海洋開発
審議会等も近く発足するわけでありまするが、そういう場におきましても、ただいまの御趣旨の線に沿いまして十分にひとつ具体的な検討をいたしまして、御趣旨に沿うような積極的な
態度
を打ち出してまいりたい、かように考えております。
近江巳記夫
57
○近江小
委員
長官から積極的にやるということをおっしゃっていただいて、それ以上具体的にいまどうと言いませんけれども、まあ黒潮の共同
調査
とかいろいろ世界
各国
がやはり力を合わせていくというそういう中にお互いの理解もまた生まれてくるわけですよ。ところが実際は、
ほんとう
にそういうところに金は出ておらぬわけです。ですから、その辺のところをもっと責任を持って、そういう未来に手を打っていく、もっと窓口もはっきりしておく。各省に行ったって、うちはそんなものはありません、結局はどこに行ったって相手にされない。そういうことじゃあかんと思うのですよ。私は科学と純粋の外交の面と、その辺が非常に隘路になっているんじゃないかと思うのです。文部省としても、科学の問題も入ってくるしちょっと違う、
科学技術庁
としても学者が行くんだからちょっと違う、
外務省
もちょっと違う、そういうことじゃよくないと思うのですよ。その辺は窓口をきちっとする必要があると思う。これは具体的な提案でありますけれども、それを閣議にはかっていただいてやっていただけますか。
西田信一
58
○
西田国務大臣
閣内におきまして十分協議いたしましてその御趣旨に沿うようにいたします。
近江巳記夫
59
○近江小
委員
まだいろいろありますけれども、いずれにしましても、この
海洋開発
も、
汚染
の問題とかいうような心配な点もあるわけですが、しかし
方向
としては、私は人類のこれからのことを考えますと、
海洋開発
というものは、そういうことによく留意しながら、積極的に進めていくべきである。この基本
方針
は、われわれとしても強くそれは思っておるわけです。そういう点、いろいろな複雑な問題はあるかもしれませんけれども、非常に複雑多岐にわたる広範な
範囲
をやっていくわけで、単なる一省だけがやっていくという行き方はいかぬと思うのです。柱は
科学技術庁
になっていただいて、極力その辺のところをさらに
外務省
なりあらゆる
関係
各省、今後連絡
会議
等をしっかりまた持っていただいてやっていただかないと、かえってまた諸外国にも迷惑をかけるようなことになるのじゃないか、このように思うわけです。 そういう点を特にきょうは要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
田川誠一
60
○
田川
小
委員長
石川次夫
君。
石川次夫
61
○
石川
小
委員
先ほど一回質問をして済んだわけなんですけれども、
国連局長
せっかくお見えになっておりますので、重複するきらいはありますけれども、ひとつその点はごかんべんを願いたいと思うのです。 いま
汚染
の問題についての話があったのですが、ついでに
関連
をして質問いたしますけれども、今回私北ヨーロッパへ参りましたときに、スウェーデンなんかのバルト海は、たいへんきれいな海だと思ったのですが、あの程度の海ですら、あそこは潮流の流れが非常にゆるやかだというようなことも原因いたしまして、
国際
的に大きな問題になって、たいへんな力を入れて研究し、対策を講じているというふうな状態を見てまいったわけなんですが、公害の問題もあるわけですね。 これは
科学課長
にさっき質問しようと思ってやめたのでありますけれども、一九六七年にイギリスの南西端のほうの
沖合い
の四十キロメートルのところで、
アメリカ
のトリーキャニオンという一万八千トンのタンカーが座礁しまして、三百平方キロまでずっとこれが
汚染
をした。これはフランスのほうにまでその
汚染
が広がってきたという問題であります。 それから一九六八年に
アメリカ
のカリフォルニア州のサンタバーバラの海中油田のパイプが折損をいたしまして魚や海獣というものがその付近ではほとんど死んでしまったというような事実があったわけなんですけれども、これに対する処置は一体どうなったかということを私はいつも気にかけておったのですが、何か
報告
を聞いておりますか。
堤功一
62
○
堤説明員
トリーキャニオン号事件の際は、まず第一の問題は、海上に浮遊した石油にいかに対処するかということで、これは沈降剤と申しますか、イギリスのほうではそのような化学薬品を用いて、
海底
に石油を微粒子の形にして沈める、あるいは石油を取り囲みましてこれを燃す、ついには爆撃等をいたしましてトリーキャニオン号自体を爆破、炎上せしめたというところまでいたしました。フランス側のほうは、実は化学薬品はあまり使わなかったようでございます。いずれにしても、当時両国とも甚大な被害を受けたわけであります。後々の
報告
によりますと、実はその油を沈めた化学薬品自体も決して無毒ではございません。これが
あと
に
生物資源
に残した害も
相当
だったということを聞いております。いずれにしましても、このような事件が起こればたいへんなことになるわけであります。 サンタバーバラ沖の件は、実は
海底
油田の
開発
中に、その掘った井戸以外のところから油の流出が起こったわけでありまして、このような現象は、これからも
海底
油田の
開発
に伴って起こっていくおそれのある事態であります。これは
技術
の発達によって
相当
程度予防できるのでありますけれども、しかし、このような危険性があるということで、油濁の防止ということは
海洋汚染
の最も重要な問題となって取り組まれているわけであります。もちろん、トリーキャニオン号事件の結果といたしまして、
公海
の上におきまする油による
汚染
を伴う事故の場合における措置に関する
国際
条約
というのが採択されまして、これはそのようなトリーキャニオン号のごとき油
汚染
の危険があるときは
沿岸国
が非常の措置をとってよろしいということを正式にきめた
条約
でございます。これはトリーキャニオン号事件の結果として、それを契機として作成されたものであります。 〔小
委員長
退席、佐々木(義)小
委員長
代理着席〕
石川次夫
63
○
石川
小
委員
こういう公害の
一つ
の例として聞いたわけでありますけれども、
海洋開発
はどうしてもやらなきゃならぬ。しかし、私の聞いている
範囲
では、
海底
からの油田というのは、依存をする率は、二十年後には五〇%をこすであろうというくらい
海底
油田というものに対する依存度、重要性というものは非常に大きくなる。ところが、
海底
から出る油を大体三分の一ぐらいしか陸上には取り上げられない。
あと
の三分の二は海中に大体流れ出してしまうというのが実情のようであります。そうすれば、この
汚染
を一体どうするんだということがきわめて深刻な問題で、まかり間違えば、
海底
油田というものはやるべきではないという
結論
になるかもしれない。したがって、そういうふうな意味を含めて、
海底
資源
開発
の場合のテクノロジーアセスメント、これはよほど事前にしっかりやらないと、
汚染
の問題を特に含めてやらないというと、せっかく
技術
的な
開発
ができても、実際上の伸展は望み得ないという可能性が大いにあるということで、
科学技術庁
も十分これに対しては配慮をしてもらわなきゃならぬと思うのです。この
海洋開発
の
関係
だけを見ましても、
外務省
はなかなかたいへんだろうと思うのです。
海底
平和利用
特別
委員会
というものがあるかと思えば、あるいは政府間
海洋
学
委員会
というのがIOCという名前であり、ACMRRで
海洋
資源研究諮問
委員会
があり、SCORで
海洋
科学研究
委員会
というものがありというふうなことで、なかなかこれは
国際
的な
海洋開発
だけを見てもたいへんな問題になってこようかと思うのです。 そういう点で、この
海底開発
に限って
お話
をしたいと思うのでありますが、
大陸
だなへ兵器の配備をするということはもうすでに可能なんですね。やってないところでも、近い将来はこれは可能性が十分にある。それから、深海の配備は、研究段階というふうなことになっておりますけれども、気密カプセルにおさめるというと、地下配備のICBMよりは安全で、しかも、潜水艦のミサイルよりはコストが安いんだ、こういうことになって、非常に
軍事利用
の魅力があるわけなんです。そういう点で、先ほど私は
平和利用
ということに
関連
して質問をしたわけなんでありますけれども、
大陸
だなを含めて、深海の場合も含めて、
自衛
のためだったらいい。
平和利用
委員会
で、たいへん
平和利用
ということを
日本
の
代表
は強調されたけれども、
自衛
のためであれば、その場合は除く、こういう
発言
があったように
新聞
では私たちは承知をいたしておるわけです。 〔佐々木(義)小
委員長
代理退席、小
委員長
着席〕 しかし、
自衛
とは何ぞやということになりますと、これは
自衛
という名のもとに起こらなかった戦争は一回もなかったわけです。私は
日本
の場合は、平和憲法の趣旨というものもくんで、
自衛
というものも含めて、絶対にもう
海底
は
軍事利用
はすべきではないんだ、こう強く
主張
すべきではないかと思っておるのでありますけれども、これは
国連局長
だけに質問するのはちょっと私は酷のような気がするのですが、私の
見解
というものでけけっこうでございますから、それをひとつ……。
西堀正弘
64
○西堀政府
委員
いま先生お述べになりましたように、当初、この
海底
利用という問題は、
国連
の
海底平和利用委員会
で取り上げられておったわけでございますけれども、その後、
海底
の
軍事利用
禁止という問題は、実は、
ジュネーブ
におきますところの軍縮
委員会
のほうに移されまして、そこで六八年以来鋭意検討されました結果、実は、いま本国会にその批准のための承認について御承認を得るべく提出いたしておりますところの核兵器及びその他これに類似の大量殺戮兵器を
海底
に施設することを禁止する
条約
というのを御審議願っているわけでございます。 そこで、これは先生御承知のとおり、わが軍縮
代表
は、当初、
海底
の軍事化と申しますか、
軍事利用
というものをすべて禁止するといった観点から、
領海
をも含めて、深海はもちろんのこと、あらゆる海面の下、
海底
、これに実は、理想的にはもちろんあらゆる兵器を置くことを禁止すべきことを提案はいたしたかったのでありますけれども、それは現実的ではないという考慮から、この核兵器及び大量殺戮兵器に限りまして、これを
領海
をも含めあらゆる
海底
に置かないという提案をいたしたわけでございます。 結局、いろいろな経緯がございましたけれども、でき上がりましたところのものは、距岸十二海里以上の
海底
にいま申し上げました核兵器及び大量殺戮兵器を置かないという禁止
条約
、これができ上がりまして、
日本
はこれに賛同の
国連総会
における共同提案国にもなりまして、率先署名をいたしたような次第でございます。 そこで、その審議の過程におきまして、実はいま申し上げましたように、防御用の兵器とかそういったものは省くんだといった議論ももちろんあったわけであります。しかしながら、何が防御用の兵器であるか、あるいは何が攻撃用の兵器であるかというようなこともなかなかめんどうなことでございますし、結果といたしまして、いま申し上げましたように、核兵器及び大量殺戮兵器ということに兵器の
範囲
としては同意せざるを得なかったということでございます。しかしながら、あらゆる軍縮措置というものに対しまして政府のとっておりますところの
態度
というものは、行く行くは、終局的には、一切の
軍事利用
ということを禁止するということではございますけれども、とにかく実行可能なところから一歩一歩前進する意味におきまして、現在御審議を願っておりますところのこの大量殺戮兵器の禁止
条約
というものも、やはりこれからこの
海底
の軍事化というものが本格化するというその前に、少なくともこの核兵器その他の大量殺戮兵器のみでも禁止するという
条約
は、これは一歩前進する、軍縮措置として一歩前進ではなかろうかという見地から、
日本
としても賛成をし、また、率先してこれを推奨の決議にも賛同したというようなことでございまして、究極的には先生のおっしゃいますように、あらゆる軍事化というものを禁止いたしたいわけでございますけれども、何と申しましても、軍縮措置ということになりますというと、検証ということが一番重要なことであります。その検証ということになりますというと、いま申しましたように、防御用の兵器の場合は云々というようなことになりますと、やはり実行可能性と申しますか、信憑性といいますか、そういった観点から、一挙にはそこまで進めないというのが現状でございます。したがって、一歩前進という意味におきまして、現在のできましたところの
条約
、これをわれわれとしてては早急に批准まで持っていきたいと考えておる次第でございます。
石川次夫
65
○
石川
小
委員
一歩前進だけで終わってしまうのではないかという心配をしてておるわけです。御承知のように、この
海洋開発
の目的は、
海底
資源の利用と
海洋
資源の利用ということのほかに、生活圏を拡大をするという面がございまして、その中には
海底
居住あるいは
海底
トンネルあるいは海中公園というふうなことがありますが、
海底
居住というのは、単純に
海底
居住ではなくて、
軍事利用
のための
海底
居住という面が
相当
大きく出てくるのではなかろうかという懸念が持たれておるわけであります。ということは、この
海底
の
軍事利用
の場合の難点は指揮統御が非常に困難であるということが言われておるわけです。そういうものは将来は
海底
居住というものができることによって長期
海底
に居住をさせる、そこを通じて
軍事利用
というものが可能である。こういう見方になってくると、
海底
居住というものを純粋にわれわれが生活をするということではなくて、
軍事利用
のための
海底
居住であるというような懸念が多分に出てくるものですから、
海底
居住という問題にわれわれは不信感を持たざるを得ないというようなこともあわせ考えていただいて、一歩前進であるかもしらぬがわれわれはその程度のものではとうてい満足できないので、これは人類の将来と世界の平和のために是が非でも全面的な禁止をするというようなことにまで進んでいただくように、これは
国連局長
にだけ望んでも無理なことでございますけれども、一応強く要望だけはしておきます。 それから
あと
一つ
。これは
国連局長
か
アメリカ
局長
かわからないのでございますが、若干その
範囲
になるのじゃないかと思うのでございますけれども、御承知のように韓国が
昭和
四十五年の五月に朝鮮近海から東シナ海にかけた
七つ
の
海底
鉱区を設定をしたわけですね。それからすぐ
昭和
四十五年の七月に、あわてふためいたようなかっこうで台湾のほうが
尖閣列島
を含めて
大陸
海域の
大陸
だなについてガルフに石油鉱区を与えたわけです。しかも、台湾の外交部長が立法院の秘密会でもって
尖閣列島
の五つの島は国府に帰属すると公然と述べて、しかもその他、
自分たち
の領土であるというようなことのもろもろの意思表示したわけです。 これに対しては
日本
政府としては抗議もしたし、またこれは厳然として
沖繩
の
施政権
の中に含まれておるのだということが
アメリカ
の
方針
としてもきまっておったわけなんですけれども、
沖繩
の
返還
に伴ってこの分には触れないということが
新聞
に出ておったわけですね。
施政権
の
返還
という中に
尖閣列島
は含まない。これはいろいろ
国際
間で非常にむずかしい問題があるのでこれには触れないのだというふうなことになりますと、
施政権
が
尖閣列島
に及んでいるか及んでいないかということについて
日本
の国を除いたほかの国は、隣国の中国なんかもこれについてはいろいろ
意見
があるようでありますけれども、これは
アメリカ
の
施政権
が及んでないのだから当然
日本
には
返還
されないのだという論拠を与えることになりやせぬかという懸念が持たれるのですが、この
新聞
の報道が非常にあいまいなものであったのか、どの程度正確なものであったのか。
沖繩返還
については
施政権
の及ぶ
範囲
というものは明確なんですから、それも含めて
返還
をするということにしてもらわなければならぬと思うのです。 これは御承知のように、
尖閣列島
それ自体はほとんど無人島でございますけれども、あそこの
海底
には
相当
豊富な
海底
油田があるということを
日本
の東海大学なんかが主になって大体確認をされておる。
一つ
蛇足ですがつけ加えますけれども、私は
アメリカ
のウッズホールという有名な
海洋
研究所に行きましたときに、そこの副所長は、あれは
日本
の東海大学が調べたんだし
日本
の領土なんだからガルフあたりにやらせるなんということはちょっとおかしい。あれは
日本
がやるべきですよという忠告まで——
アメリカ
人が言うのですから私は奇異な感じに打たれたのです。彼は名刺も
日本
語で書いてあるくらいですから非常な親日家ではあるのですけれども、
アメリカ
人の専門的な
立場
の人からそういう
意見
が出ているわけですね。そういう点からいっても、われわれは堂々と
主張
すべきところは
主張
をしなければならないのではないかと思うのです。こういう点で
国連局長
はどうお考えになっていますか。実はこの件は、
国連局長
というよりは
外務大臣
に来ていただく
機会
を得て、はっきりした腹がまえというものを確認をしたいと思っておったわけなんですけれども、きょうは大臣は出られない。幸い
国連局長
おいでになったので、一応政府の所見ということで伺っておきたいと思うのです。
西堀正弘
66
○西堀政府
委員
実はこれは
国連局長
の守備
範囲
外のごとでございますけれども、一
外務省
員として申し上げますならば、この
尖閣列島
が現在は一と申します意味は、
沖繩
が
日本
に
返還
されるまでの間、すなわち
アメリカ
が
施政権
を持っております現在におきましては
アメリカ
の
施政権
の及ぶ
範囲
でございます。これは厳然とした事実でございます。したがいまして、
沖繩
が
返還
されます明年におきましては、これはまぎれもない
日本
の領土ということになるわけでございまして、政府としてはいままでゆるぎのない厳然とした
立場
をとっているわけでございます。したがいまして、あるいは韓国あるいは台湾、あるいは中共といった国々がいろいろなことを申しましたのも、われわれはこの点は協議にすら応じることのできない問題であるというはっきりとした
態度
をとっております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたところの
新聞
報道というものは
日本
の
立場
というのではなしに、あるいは何かの間違いで
新聞
がその自余の国々のいっていることを報道したものではないかと存じます。 と同時に、いまのガルフの問題でございますけれども、これも実はそういった
アメリカ
政府の
見解
もございますので、
アメリカ
政府から私の仄聞しておりますところではすでにその
開発
といいますかプロスペクティング、探鉱を始めた
アメリカ
の会社に対しましては、これを遠慮するようにというような指示が出たようで、現在は
アメリカ
のガルフ会社その他の米系会社はあの近辺の探鉱を差し控えているというのが現状でございまして、したがいまして
尖閣列島
が明年、
わが国
のはっきりとした領土であるという
立場
は、これは間違いのないところでございます。
石川次夫
67
○
石川
小
委員
もちろん
日本
の
立場
とすればこれは明らかに
日本
の領土ですよ。これはもう疑問の余地はないと思うのです。ただ、
新聞
に出ていたのは
日本
の意図として出ていたわけではないのです。
アメリカ
が
返還
に際してその辺をぼかすのだというようなことが出ておったわけなんです。これは私は、
関心
が非常に高いので実はその切り抜きをさがしたのですけれども見つからないので、非常にあいまいな質問になって申しわけないのですけれども、この
尖閣列島
をめぐる
国際
関係
というものは非常に微妙、複雑なので
アメリカ
としてはその点については明示しない、こういう形での
返還
が行なわれる見込みであるというようなことが出ておったと思うんです。しかしこれはあくまでも、
アメリカ
の意向がそうであるかどうかは別として、もし
アメリカ
の意向だとしても、その点は明確にして
返還
をしてもらわなければならぬということをひとつ決意をあらためて、議論の余地のない
日本
の領土であるのだということにしてもらわなければならぬということを重ねてまた質問したいと思うのです。
西堀正弘
68
○西堀政府
委員
確かに先生のおっしゃるとおりでございますけれども、本件何ぶんにも
アメリカ
局の守備
範囲
でございますし、私責任を持って御
答弁
申し上げかねます。
石川次夫
69
○
石川
小
委員
終わります。
田川誠一
70
○
田川
小
委員長
本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十九分散会