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1971-05-21 第65回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会海洋開発に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十六年二月十八日(木曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       海部 俊樹君    木野 晴夫君       佐々木義武君    菅波  茂君       鈴木 善幸君    田川 誠一君       前田 正男君    石川 次夫君       田中 武夫君    山中 吾郎君       近江巳記天君    渡部 一郎君       内海  清君 二月二十六日  田川誠一君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和四十六年五月二十一日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席小委員    小委員長 田川 誠一君       木野 晴夫君    佐々木義武君       菅波  茂君    石川 次夫君       三木 喜夫君    近江巳記夫君       内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君  小委員外出席者         外務省国際連合         局科学課長   堤  功一君     ————————————— 五月二十一日  小委員山中吾郎君三月十一日委員辞任につき、  その補欠として三木喜夫君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員三木喜夫君同日小委員辞任につき、その  補欠として山中吾郎君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  海洋開発に関する件      ————◇—————
  2. 田川誠一

    田川委員長 これより海洋開発に関する小委員会を開会いたします。  海洋開発に関する件について調査を進めます。  最初に、国連における海洋制度審議状況について説明を聴取することといたします。外務省堤科学課長
  3. 堤功一

    堤説明員 御説明申し上げます。  国連におきましては、昨年の第二十五総会において、一九七三年に相当広範な範囲にわたる海洋法関係会議を開くということをきめまして、その準備のために、従来もございました海底平和利用委員会、四十二カ国から構成されておりましたものを、メンバーの数を八十六カ国に拡大いたしまして、この海底平和利用委員会において海洋法会議のための準備を行なうということにきめたわけでございます。  この準備の内容は、第一に、先ごろ問題となっております海底開発、特に海底鉱物資源開発問題をいかなる法制度のもとにおいて行なうか。第二番目に、領海の幅、大陸だなの範囲公海における漁業国際海峡における航行自由等の、従来の国際法としてきまっておりましたものをあらためてまた検討しようではないか、そういう問題点のリストをまずつくりまして、海洋法条約の草案をつくる、これが二番目の問題であります。三番目の問題は、近ごろまた話題になっております海洋汚染に関しまして、特に海洋環境保全ということ、それから科学調査、そういうことを扱う。この三つを中心にして海洋法会議を開くということになったわけでございます。  海底平和利用委員会におきましては、本年の三月に四週間、ジュネーブで第一回の準備のための会合を開きました。本年の七月から八月にかけまして六週間、二回目の夏の会議ジュネーブで開くことになっております。  本日は、その三月に行なわれました第一回の会合模様をこれから御報告申し上げたいと思います。  第一回の会合におきましては、そもそも八十六の国が集まりましてこのような広範な大きな問題を扱うので、これからの仕事をどういうふうに扱うかという、作業の予定ということに相当の時間をとってしまったわけであります。これに会期の半分くらいを費やしました。  結局は、先ほど申し上げました三つの問題に対応するように、三つの小委員会を設けたわけであります。第一小委員会海底開発の問題、第二小委員会がその他の海洋法一般の問題、第三小委員会海洋汚染等環境保全の問題と科学調査というわけであります。  それで、この小委員会を設けたあとは、それぞれの代表が一般的にこれらの海洋法問題全般について、各国がいかなる立場をとっているかということを述べる、一般討論ということが行なわれました。ここにおいて取り上げられた問題は、重要なものは、まず七つに分けられると思うのであります。その七つについて、それぞれ簡単に各国発言の動向を申し上げたいと思います。  まず、領海の幅というものが海洋法関係では一番の問題であるということを相当広く認識されておりまして、この領海の幅は、アメリカソ連等が十二海里までを領海の幅ということにしようではないかという条約案を出しておりますけれども、それについてのコメント等もからみまして、アメリカソ連、スペイン、ポーランドなどが十二海里ということを申しましたが、一方、御承知のとおり、ラ米諸国九カ国ばかりは領海またはそれに準ずるものを二百海里の広さというふうにしておりますが、それは、これらの国は領海の幅というものはそれぞれの国の地理的、歴史的その他経済的等の個々の国の条件に従って自分できめることができるのであるという立場をとったわけであります。これはわが国のとっておる立場、すなわち一方的に領海の幅などをきめることができないという立場からはまっこうに対立するものであります。そのほか、マルタなどはやはりこの二百海里という領海の幅を支持いたしまして、沿岸国鉱物資源開発あるいは漁業等管轄権を持っているのだという主張もしておるわけであります。そのほかインドネシア、フィリピン等は、群島からなっているという国の特殊な立場を踏まえて、自分たちの国の統一のためには、群島範囲を全部包含したような広い内水地域をとらなければ国の安全保障が保てないという群島理論を展開いたしました。  このように領海の幅ということについては、いろいろな見解が打ち出されたということが特徴でありますけれども、やはり大勢は、最も多くの国は十二海里ということを支持しているというふうに思われます。  次に、七つ問題点のうちの二番目といたしましては、漁業等でございます。漁業についての問題点は、沿岸国がこの漁業に対してどのような権利を有するか。沿岸国が特別な権利を有するのであるかどうかということが問題の中、心でありますが、大体の開発途上国沿岸国が特殊な管轄権を持つのであるという方向発言をしております。  三番目の問題が航行の自由、特に国際海峡における航行の自由でございます。これは、もし領海が現在の三海里から十二海里に広がるということになりますと、領海が広がったおかげで、従来はその海峡のまん中に公海部分があったのが、両側から広がるものですから、すべて領海で埋め尽くされてしまうという海峡の数が大体百以上というように承っておりますが、ふえる。これは国際間の海運相当の阻害を与える。これの自由航行というものを確保しなければならないというのが、主たる海運国立場であります。アメリカソ連はじめわがほうもそういう海運国立場であります。この国際海峡の中の特に重要なものがジブラルタル等ございますけれども、わが国の近海におきましても対島海峡津軽海峡等がこの例でございます。  ほかにこの航行の自由ということで問題となりましたのが汚染に関する問題でありまして、はたして大型タンカー等海洋汚染等の危険を蔵するものが無害航行の自由を享受し得るのであろうかという疑問が提示されたことがきわめて注目されました。  次に、海底のほうに移りまして、第四番目の問題でございますけれども、国際海底開発のときには、一体国際海底というのはどの範囲をさすのであろうか、この範囲確立されなければ、その開発の示す問題点ということがはっきり把握できないということを主張する国と、まずは範囲確立よりも先に、いかなる国際機関がどのような国際管理を行なうのかという問題を先に論ずべきであるとした国、これは後者の国には開発途上国が多いのでございますけれども、そういう国と分かれたわけでございます。海底範囲国際海底範囲ということは、逆に申しますと、大陸だなの幅ということにほかなりません。現在の大陸だな条約であらわされている大陸だなの国際法におきましては、これがはっきりきまっていないのであります。二百メートルの水深までは大陸だなであるということははっきりしておりますけれども、それから先は大陸だな条約につきましては、たとえば開発可能な限りはもっと大陸だなの幅が広くなるように書いてございます。これがどこまでいくかはわかりません。それから先がいわゆる国際海底になるわけでございますから、国際海底範囲確立するということは、大陸だなの外側の境界をはっきりさせることにほかなりません。これにつきましては、いろいろな国が意見を申し述べましたが、そのような水深ということは非常に地理的に地形的に範囲をきめてしまうのであってはなはだ不公平である。自分の国のまわりに地理的な大陸だなが広い国は得をするけれども、そのようなものがない国は損をする。だからこれは、公平を期するために、海面の距岸距離で、たとえば二百海里の距岸距離の下の海底を法的には大陸だなとするのだというような、大陸だなの範囲を深さではなくて距岸の距離ではかるということを主張した国がだいぶ認められたのが、これが特徴でございます。  次に、この海底開発国際機関につきましては、開発途上国国際機関みずからがその開発を行なうような強力な国際機関をつくるべきである、その機関の決定は一国一票主義で、先進国あるいは技術の進んだ国等過重投票権利を認めないというような主張をしている国がございました。  問題点の六番目は海洋汚染でございますが、これについては、実はほかに一九七二年にストックホルム国連主催人間環境会議が開かれます。ここにおきまして海洋汚染という問題も取り上げられますので、深い検討は行なわれませんでしたが、各国相当関心を示したことは注目すべきであります。  最後の七番目の問題点科学調査についてでござまいすが、これも科学調査は自由に行なうのだということについてはほぼ意見の一致がありましたが、この結果を公表しなければならないかどうかということまでは、はっきりした結論といいますかはっきりした方向というのは出ておりません。  いずれにしましても、海洋汚染科学調査等最後二つの問題につきましては、これはこの委員会でほとんど初めて出てきた、初めて特に一般討論に出てきたような問題でありますので、関心は示されましたものの、中身のある深い討議は行なわれなかったと思っております。  以上が三月の第一回の拡大海底平和利用委員会模様あらましでございますが、その際わがほうは、この一般討論におきまして小木曽代表日本の基本的な立場を申し述べた、その概略を御紹介いたしたいと思います。  小木曽代表がまず第一に強調いたしましたことは、現在の海洋法の状態を見るに二つの重要な問題点がある。その一つ領海の幅の問題である、一つ海底開発法制度をつくるということである、この二つを述べまして、しかしながら一九五八年と六〇年の二回にわたって行なわれた前回ジュネーブ海洋法会議の結果が現在すべてだめになっているという見解には賛成できない、そのジュネーブ前回海洋法会議が達成したところの大部分の成果は現在もすでに有効なので、いま各国がやるべきことは、問題をしぼって、問題点となっている、たとえばさきにあげましたような領海の幅とか海底開発法制度等問題点を討議して、ジュネーブ前回結論を補うという形でいくべきであろう、現在重要なのはこのようにして海洋に関する国際法に対する諸国信頼確立することである、現在問題点があるからといってこれを解決するために各国が一方的な行為によってその解決をはかる、この国際法の足らざるところを補うという方向は、決して国際法信頼確立に資するものではない。われわれのやるべきことは、諸国が協力して国際法制度というものをつくっていくというところにあるという一般論を述べたわけであります。特に、海洋法関係わが国漁業関心があるわけでございますけれども、漁業という点で開発途上国が一般的にその自分沿岸沖合い漁業に対する管轄権を拡大したいという趨勢がございますが、これに対してコメントをいたしまして、実は漁業資源というのは、すべての海岸に一様に分布しているわけではない。漁業資源というのは、その海流の調子とか、あるいはそのえさ等関係もあって、実は非常に片寄って存在しているものであるから、すべての沿岸国が一様に自分沖合いに対する漁業管轄権主張し、かつそれを認めるということは決して公平な解決にならない。豊富な漁場に恵まれている沿岸国にとっては有利であるけれども、ほかの国にとっては不利となり、決して国際的に公平なものではない。したがって、このようなことは、たいへんな不公平を招くものであるから、漁業管轄権ということを拡大するということは、決して国際社会にとって賢明な方策ではないということを特に強調したわけであります。  また、海底開発法制度につきましては、いたずらに国際機関の権限あるいは態様等技術的な問題をこの際詰めてもしようがない。現在、緊急な問題に注意を集中して、それに見合った国際機関をつくるということが実利的な行き方ではなかろうか。そのようにして進めるべきであって、また新たに問題が起こってくれば、国際機関というのは幾らでも変えられるものである、この際、国際海底問題の対象となる国際海底範囲ということをはっきりきめておくということが一番重要であるということもまた強調し、その範囲がきまらないで、どのような開発をするかということを説くことは、きわめて非現実的なものである。まず範囲をきめることが、開発機構づくり、あるいは体制づくりに不可欠のものであるということを認識しなければいけない。  次に、海洋汚染の問題については、ストックホルム人間環境会議関係でもやっているので、そっちのほうに十分の注意を払うべきであるということを申しまして、結論として、とこかく海洋法に対する諸国信頼を確保するためには、一九七三年に予定されている海洋法会議というのを成功に終わらせることが絶対必要であるということを強調するということで結んでおります。  以上が小木曽代表のしましたわが国一般討論あらましでございました。
  4. 田川誠一

    田川委員長 以上で説明の聴取は終わりました。     —————————————
  5. 田川誠一

    田川委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  6. 石川次夫

    石川委員 外務省からおいで願って、科学課長からいままでの国際会議の概要についての御説明を受けたわけなんでありますけれども、正直言いますと、きょうは国連局長に来ていただいて、国際的なたいへん重要な問題がたくさんあるわけなんで、そういう点について明確な答弁をいただきたかったわけなんです。ところが、どうしても事情があって、まあ会期末の大詰めでございますから、やむを得ないと思うのでありますが、その機会を得られなかったわけなんで、まあ国務大臣としての西田長官にお伺いすることも多いのでありますけれども、これは所管外ということも多分にあろうかと思うので、これは委員長にお願いをしたいのですけれども、休会中に外務大臣に出ていただいて、この国際的な問題の重要な点について、やはりある程度所信をひとつ明確に示してもらいたいと思うのであります。  当面する大問題といたしましては、尖閣列島の問題があろうかと思うのです。これは非常にやっかいな問題で、それぞれ各国にとっては言い分もあるかもしれませんけれども、日本領海であり、アメリカ沖繩施政権範囲に入っておったことは明確であったわけなんです。ところが今度沖繩返還に関して、この施政権返還が、尖閣列島については明確にされないということが新聞の記事に出ておりますけれども、こういうようなことでは、ますます将来に禍根を残すだけではないか。しかも尖閣列島の下にある無限大ではないかといわれるような石油資源というものの開発といいますか、その発見は、大体日本が主となってこれを推進したという経緯もあるわけなんであって、当然これは日本領海であるという、こういう前提で進めておったわけですね。それがどうも施政権返還については明確にされないで、各国で相談をしろというようなことでは、これは国際紛争の種を残したままだということになるのではないか。沖繩返還については、いろいろな問題が山積しているわけでございますけれども、海洋開発に関しては、この問題や、あと韓国問題等について、やはり相当重要な問題でありますので、この点については、ひとつ閉会中にぜひ外務大臣に出てもらって、明確な意見を聞くという機会を設けてもらいたいということを強く要望しておきたいと思うのです。  したがって、きょうは、いままでのお話は、そう言ってはたいへん失礼でありますが、われわれが大体いま承知している程度の大ざっぱな報告であって、ことさらにこれを追及してどうこうというようなことはないのでありますけれども、最初にいまの御報告のことで伺いたいのでありますが、海洋四法といいますか、公海条約領海条約漁業条約海洋法、これはジュネーブでつくられた、いわゆるジュネーブ条約ということになるわけでありますが、たとえばこの中で大陸だな条約については、おそらくこの主要な海洋関係国の四十一カ国が、すでに十二海里というようなことで参加しているわけですね。日本が参加しなかった。アメリカも参加はしてなかったと思うのでありますけれども、去年の五月二十三日、突如としてというような形でもって十二海里説を支持するというようなことになって、十二海里というのが大体世界の趨勢だ、こう言われているわけでございますけれども、しかし南米その他のいわゆる発展途上国では、二百海里説などという、われわれから見れば法外とも思われるような領海説が飛び出して、なかなか合意に達しないということになっているわけです。この点も、これはやはり外務大臣あたりに聞かないと、答弁がちょっと——国務大臣だからといって西田さんに伺っても、なかなか答弁がむずかしいだろうと思うのですが、ほんとう海洋開発をやるのだというような決然たる態度をとるとするならば、やはり十二海里説ということの態度を明確にしないではおけない。先ほど来わが国態度説明を受けたのでありますが、どうもこれはぼうばくとして、いままでの繰り返しみたいなことであって、何ら明確な日本態度が出ていないのじゃないか、こういうような印象を私は受けるわけです。  それで念のために伺うのでありますが、ジュネーブ関係の四条約の中でどれとどれを日本が批准をして、何と何が残っているわけですか。
  7. 堤功一

    堤説明員 四条約のうちでわが国が批准しておりますのは、公海条約領海及び接続水域に関する条約二つでございます。残りの大陸だな条約と、それから漁業及び公海生物資源の保存に関する条約は、それぞれ問題点がございましてまだ批准しておりません。
  8. 石川次夫

    石川委員 科学課長意見を伺ってもどうかと思うのですけれども、だいぶ水産庁の関係でも、いままでは三海里説というのは日本アメリカが一緒になったかっこうで強く主張しておった。アメリカが十二海里説になったというようなこともあって、十二海里やむを得ないというような方向にまあまとまりつつあるんではなかろうかというふうに思われるわけなんですが、この点、西田長官、どうですか。
  9. 西田信一

    西田国務大臣 所管外でございますので、私の観測を申し上げておきたいと思いますが、ただいま外務省側からも国際的な態勢についてお話がございましたが、私どもも海洋開発という立場からいろいろ検討しなければならない問題でございますが、私は七三年に開かれまする海洋会議では大体そういう方向に向かっていくのではないだろうか、そういうふうな観測をいたします。
  10. 石川次夫

    石川委員 いまの領海の問題にいたしましても、そういうふうな問題で発展途上国合意が得られるかどうかという点には問題がたくさん残ろうかと思うのですが、漁業の問題にいたしましても汚染の問題も新たに出た問題であるし、海底開発の問題にしても、これは一つ一つ外務省交渉がなかなか容易じゃなかろうと思うのですよ。しかし何とかこの海洋開発というものを推進するためには、これらの点が明確にならなければ思い切った推進もできないということで、科学技術庁としても十分関心を持ち、外務省関連を持ちながら——先ほどの日本代表的な意見というのは、どうもこう私の単なる印象で、もっと詳しく聞かないと明確なことは言えないのでありますけれども、一般論的なものだけであって、どうも明確じゃないというような印象を受けるわけなんであります。そういう点でひとつ、こういう点でもわが国方針はこうであるという基本的な方針を、純然たる外交問題は別としまして、海洋開発に関する基本的な方針というふうなものについては、せっかく今度科学技術センターもできたことだし、海洋審議会も改組をして出直すということになっておるわけでございますから、ひとつその辺で外務省あたりがき然たる態度で明確に交渉ができるような基礎づくり科学技術庁としてやらなければならぬ。これは強く私は要望しておきたいと思うのです。  この海底開発の問題に関連して、これは私はうろ覚えでどうもよく覚えていないのでありますが、平和利用だということが盛んにいわれておるわけなんですけれども、その中で、日本の、これはだれが代表だったかちょっとど忘れしましたが、海底平和利用ということには日本としても強く主張する、ただし自衛の場合はやむを得ないんだ、こういうような発言があったように思うのですけれども、これはだれに質問をしていいかわからないのですが、科学課長、おわかりですか。これは新聞に明確に出ておったのです。自衛の場合を除くということで、しかし平和利用というのは海底開発深海利用については強く国際的に取りきめしようではないかと主張した、これはどなただったか、ちょっと私、ど忘れしましたが……。
  11. 堤功一

    堤説明員 私はその政府関係者発言というのを存じませんのですけれども、実は海底平和利用ということについては、その中身はまだきまってないわけでございます。昨年の国連総会で採択されました海底開発に関する法宣言の中でも、国際海底区域というものは平和利用のために留保されているという項がございますけれども、では法的にその中身は何かということは、これはこれから条約をつくる際にきめなければならない点でございます。これに関連しまして、海底には同じく大量破壊兵器配置禁止条約というものがございますが、これは当然軍事利用の一部を禁止しているだけでございます。そのように了解しております。
  12. 石川次夫

    石川委員 それと私はその問題に関連をして、自衛のためならやむを得ないのではないかという——自衛とは何ぞやという問題もまた新たに出てきまして、自衛のためなら、核兵器は使うとは言わないかもしれませんけれども、もし使うということになればこれは問題にならないのですが、そういうふうなことで自衛のためならやむを得ないのだろうということばが出ているとすると、ほんとうの意味での平和利用ということになり得るかどうかについて非常な疑念を感じるわけです。この点についても、これは外務省管轄だと思うので、そういう点もひとつ明確にしていきたい、こう思っております。きょうはその点については質問はいたしません。  あと報告関連する問題から若干はずれてくる問題になろうかと思うのでありますけれども、前にも科学技術センター法案の提案をされたときに質問をしておりますのであまり繰り返しませんけれども、実はこの海洋開発方針を立てるときに、科学技術センターがせっかくできたわけでありますけれども、私は前々から言っているように海洋開発海底資源、特にエネルギーだと思うのです。エネルギー資源は、いまのところは自由諸国では一六%海官からとっておるわけでありますけれども、まあ十年たてばこれが三〇%になり、二十年たてば五割以上になるであろう、こういうことになっておりますが、日本の近海の大陸だな関係その他を含めての海底にどのくらい石油があるかということはまだ明確に調べられてはおらないので、非常にこの方針を立てることは困難だと思うのでありますけれども、日本のエネルギー資源は御承知のように九九%海外依存、これはたいへん深刻な問題になっておるわけです。そうすると、日本海洋開発のエネルギーの中でエネルギー政策、海底資源の中でエネルギー政策、その中でどの程度の比重を持たせるのかということは私明確に目標を示して、そこで、それを推進をさせるということがまず第一に必要なのではなかろうか。それと同時に動物蛋白質が非常に不足をするであろうということは当然予想されます。人口があと二十数年の間にいまの人口の倍になるであろうといわれるのですが、現在でも栄養不良に悩んでいる国が世界じゅうで四割もある、日本の動物蛋白の摂取量というものは非常に少ないということは定評があるところなんですが、動物資源といっても陸上のものにたより切るということでは、日本の地理的関係からいって不可能でありますから、どうしても食糧政策としての海洋資源、こういうものにたよらざるを得ないという二つの柱をまず立てなさい、こういうことを前から提言をしておるわけなんです。そういう点で、今度科学技術センターができましたけれども、いままでの海洋審議会で四つの部会がございましたね、海洋開発センターができた場合にどういうふうな部門に分けてどういう重点でやるということはまあまだ全部はきまっておらないと思いますが、いまの段階できまっている範囲をひとつお知らせを願いたいと思います。
  13. 石川晃夫

    石川政府委員 海洋科学技術センターでございますが、これは十月から発足する予定でございますので、現在の時点におきましてはまだその詳細な今後の計画というものがきまっておりませんし、またスタートの時期においていろいろセンターの中の評議員会等において検討していただくことになっております。しかしながら当然この科学技術センターにおきましてはただいま先生から御指摘ございました将来の問題としてのエネルギー問題、あるいは動植物たん白質問題、このようなものを取り上げなければならないというふうには存じておりますが、それにいたしましても、当面の科学技術センターの目標といたしましては、わが国周辺の海底地図あるいはその他いろいろな物理的な測量の地図というものがまだできていない時点におきまして、まずわが国海洋開発わが国大陸だなから進めるべきである、沿岸から逐次大陸だなに進め、さらに深海底に進むべきであるという方向のもとに、そのようなことと取り組むためにもまず海洋の状態を知るということが一番必要なことだろうと存じております。  従来から各省庁の研究所におきましてはいろいろな調査を行なってきているわけでございますが、それを総合的に進めていくように計画したのが昨年つくりました実行計画でございますが、この海洋科学技術センターにおきましても、当然その実行計画の部分を受け持ちまして、そして他省庁で行なっております調査、研究とあわせて、わが国海洋開発のために役立たせたいというふうに存じております。  海洋科学技術センターとして当面できますことは、海底調査とかそういうものは各省庁で行なっておりますので、各省庁の調査、研究の一番隘路でございます基礎的なものということで、まず潜水技術的なものに重点を置いていきたい。そのためには、このセンターにおきましては、現在進行中でございますシートピア計画、いわゆる百メートルを目的としておりますが、百メートルの海中における居住実験、このようなものを通じまして、海底の状況あるいは海中における医学的なもの、そういうものを含んでの潜水技術ということを、まず当面ここ一、二年の間にそのようなものについての調査、研究を進めていきたい。さらにその後におきましては、現在工事にかかっております潜水シミュレーター等を使いまして、海洋の中における機器、特に計測機器に重点を置いてございますが、陸上での計測機器が必ずしも海中においては計測機器として十分な機能を発揮することはできないというふうに存じております。いわゆる圧力、あるいは水の性質、さびたりあるいは腐ったりするような問題もございますし、そのようなものも含めまして、そのようなものに潜水シミュレーターを使いまして進んでいきたいというふうな計画を進めています。したがいまして、大体今後五年間にわれわれが目標としておりますのは、潜水技術並びに海中における機器あるいは計測技術、このようなものを確立して、さらにわが国海洋開発に貢献したい、このように考えております。
  14. 石川次夫

    石川委員 私は大方針を聞きたかったわけなんでありますけれども、そういうこまかい技術的な問題、潜水技術ということになれば、いまの日本の場合には、潜水医学というものはほとんどゼロにひとしいというようなことでありますから、当然やらなければなりません。しかも海底でもって圧力が高くなった場合には、空気を使うわけにはまいりませんから、ヘリウムを使う、ということになれば声が非常にひずんでしまう、あるいはからだの体温がずっと下ってしまう、あるいはまた電気機器が正常に動かないというような問題もあるわけです。それから熱の伝導度が非常に高くて、しかも冷えやすいというようなきわめて簡単なことに対する対策すらもまだ何ら確立されておらないわけです。そういう初歩的なことがまだ確立されておらないというような問題もあるわけでありますから、これはなかなか日暮れて道遠しというような感じがしないでもないわけなんですが、さて一方で、そういいながら、ビッグプロジェクトにおいては大深度遠隔操作の海底石油掘さく装置というものがもう始まっているわけです。ところが四十五年から四十九年まで予算としてはまことに少ない五十一億という予算でありますけれども、これはまだ外面設計が終わっただけで、まだ海のものとも山のものともわからないというような状態で、これはおそらく製作にかかるのが昭和五十年からということになるわけです。これなんかも大臣にひとつ要望しておきたいのでありますけれども、ビッグプロジェクトは、科学技術庁のほうの関係で扱うのは宇宙とか海洋とか原子力とか、超大型のものをやっておりますけれども、その中で、工業技術院あたりで扱っておる大深度掘さく装置などというものも、当然科学技術庁として相当関心を持ってもらわなければならぬし、側面的に支援をしなければならぬと思うのですけれども、五十年から建造にかかるというようなことでは、私、少し迂遠に過ぎるのではないか、ちょっと緩慢に過ぎるのではないかという感じがするのです。これは予算の関係もあると思うのです。ずっと計画を見てまいりますと、設計が終わってどうやら基礎理論が確立をされて製作にかかるのは昭和五十年でありましょうというのが工業技術院の説明であります。こういうことでは、とても日進月歩、しかも外国では、アメリカ、フランス、ソビエトあたりでは相当進んでおるというのに、あと五年たたなければ大深度掘さく装置の製作にはかかれません、こういうような状態では、海洋開発日本がやっておりますということは口先だけであって、実際にはまことに緩慢過ぎるのではないか、こういう感じがしないでもないわけです。こういう点の推進を積極的にはかるということについて、ひとつ西田長官の決意を伺いたい。
  15. 石川晃夫

    石川政府委員 長官の御弁答の前に、いまの大深度掘さく装置の状況について少し御説明申し上げたいと思っております。  通産省で計画しております大深度遠隔操作掘さく装置でございますが、このようなシステムは実は諸外国でもまだ行なっていないものでございまして、わが国でこのようなものを初めて、世界に先がけてつくろうということで進めております。したがいましてこれに対する基礎理論、このようなものに時間がかかりますし、また設計の問題等もございまして、このようなシステムができ上がるのは、やはり五十年、ろになるのではないかと存じております。しかし一方、従来各国でやっております海上からの石油掘さく、この点につきましては、通産省等においても相当作業が進んでおりまして、第一白竜、第二日竜というようなものをつくりましたし、また諸外国の要望に応じまして、わが国のそれぞれのメーカーにおいてもつくって輸出をしているという現状でございますので、従来からの石油掘さく方法というものについてはわが国としても進めておりますし、またそのような装置もつくっているというのが実態でございます。  ちょっと補足さしていただきました。
  16. 石川次夫

    石川委員 いまの説明、大体わかるのですけれども、私は、外国でやっているのはそれだけではないと思うのですよ。たとえば海洋スペースの石油貯蔵の問題なんかについていいますと、アメリカは実に進んでおるわけです。日本でも最近USOS二号というものを開発するというめどがついたということがいわれておりますけれども、向こうではもう五十万バーレルの貯油能力のもの、これは深さはどのくらいでしたか、私ちょっと記憶がないのですけれども、相当深いところでもって貯油能力五十万バーレルのものが、いまのところ一基、米国のCBIという会社でもって開発をしてアラビア沖に設置をされておるというようなことになっておるのですが、相当深海でこれができておるわけですね。そういうようなことから見ても、あらゆる面で立ちおくれが非常にはなはだしいのではないかという感じがしてならないのです。海国日本なんという名前は、おこがましくてとてもいえないような最近の実態になっておるということを、ひとつ十分に勘案をしていただいて、何とか、れに追いつくための予算の獲得あるいは研究の推進ということによほど腰を据えた考え方、しかも重点施行ということをはっきりさせて、明確に方向づけをきめた上でやっていくということでないと、やらなければならぬことはたくさんありますから——海中公園も開発をして、海中居住もやりたい、いろんなことをやりたいと思うのです。しかし海底調査はもちろん基礎でもってどうしてもやらなければなりませんが、海底居住とか海中公園というものは、そういうことは将来の問題としていいと思うのです。やらなければならぬエネルギー資源、そしていまの食糧政策の一環としての漁業資源、こういうことの二つにしぼった形でぜひやってもらいたい、こう思うのであります。  実は海洋開発の中のプロジェクトには入らないのでありますけれども、これとの関連でやはり科学技術庁に重大な関心を持ってもらわなければならぬと思うのは、海水の淡水化の問題だと思うのですね。これは二、三日前に私現地へ行ってこの試験所を見てまいりましたけれども、これまたなかなか日暮れて道遠しという感じがあります。将来の日本の水の不足というのは、昭和六十年ぐらいになりますというと関東、近畿それから東海、これを含めて一年間に大体二十億トンくらいになるんじゃないか。とてもではないが、工業をこれ以上推進させるなんていってみたところで、水の問題で完全に行き詰まります。しかし海水をそのまま使うわけにはいかない。どうしても淡水化しなければならぬということについて科学技術庁としては何らかのかかわりを持ってこれを進めておるのか、どういう関係になっておるのかひとつ念のために伺いたいと思います。
  17. 石川晃夫

    石川政府委員 御指摘のように、海水の淡水化というものにつきましても、わが国といたしましては重点的にやらなければいけないということで、現在通産省のほうでこれを行なっているわけでございます。御指摘のように昭和三十九年でございますが、六年ほど前には大体六百七十八億トンというものが全国需要というふうに考えられておりましたが、六十年ごろには千百四十八億トンぐらいの需要が出てくるのではないかということを建設省のほうでは考えております。したがいまして、そのようなものに対するいろいろなテクニックの問題がございまして、現在通産省も大型プロジェクトを組みましていろいろな方法でこの実験を行なっております。現在通産省で行なっておりますのは多段フラッシュの蒸発法というのを行なっておりますが、これを使いまして大体五年間で五十億円ぐらいかけまして当面は日産三千トンぐらいねらっておりますが、五十年ごろには日産十万トンというぐらいのところを目標に進んでいるわけでございます。またコストにつきましても大体トン当たり三十円ぐらいというところまでこぎつけたいということで進んでおりますが、そのような点につきましても確かに御指摘のようにこの淡水化の問題を進めていかなければわが国の工業開発というものについても非常に不自由を来たしてくるということでございます。
  18. 石川次夫

    石川委員 この淡水化の問題は科学技術庁の直接の所管になっておらないのではございますけれども、やはり海洋開発の一環としてこれは海洋開発と並んであるいはそれ以上に重要な非常に大きなテーマだと思っているのです。これは御承知のようにどこを開発するといったって水がなければ発展の限界はきまっちゃうのです。私どもの地方も、工場を増設しようと思ったところがもう水は足りませんというとそれでストップです。そういう現象が太平洋メガロポリスに、大体情報化時代の予測をしますというと、九割の人口が集まるであろうというようなことが大体二十年後に予測をされておるというようなことを考えますと、そういうことに一体なり得るんだろうかという一番の障害は、私は、海外資源の問題もございますけれども、水の問題だと思うのです。ところが、いま日産三千トンとか五千トンとかという目標あるいは将来十万トンとかいっても、その十万トンといったってこれは九牛の一毛なんですね。全体からすれば微々たるものです。お話になりません。そういうふうなことで、これも五十億円なんですよ、予算が。ところがアメリカあたりはわかっただけで、私ちょっと調べただけで大体五百億円ぐらい使っていますね。一割ぐらいですよ。アメリカは不毛の地がたくさんあって、ロスアンゼルスなんかは海水の淡水化でもって不毛の地を緑化するというふうな遠大な計画でやっておりますし、研究も、この前私は科学技術会議の答申のときも申し上げたように一つの方法だけ、多段フラッシュ方法でやってそれがだめならだめというふうなかっこうではないわけです。アメリカはいろいろな方法でやっています。基礎研究から始まっていろいろな方法で淡水化に近づこうとしている。日本ではこれ一つ、これが一番いいんだという方針をきめたらそれ一つだけにしか研究テーマとして費用を与えられない。その費用のわりには能率をあげていると思うのですよ。それは確かにあげているとは思いますけれども、しかしこの淡水化の問題も、これは国務大臣としてきわめて深刻重要な問題でありますので、海洋開発の一環というふうにお考えになってこれを推進してもらいたい。  それと、話がわき道にそれるようで恐縮なんでありますが、沖繩海洋博覧会を開くのだ、沖繩返還の記念行事としてやるのだというふうな構想もあるやに聞いております。私はその場合沖繩開発というのは水だと思うんですよ。水がなかったらもうあそこでは工場なんか全然起こす余地はございません。そうなると一体どうしたらいいかということ、海洋開発というものを海洋博覧会を開くまでにある程度のめどをつける、それは私は原子力発電所との関連においてやってもらいたい。多目的高温ガス炉というのはプロジェクトの中にははっきりは入っておらないわけでございますが、私個人の好みといいますかしろうと的な考え方、アイデアから言わせれば、高温ガス炉というふうなものを使う、それによってそれから出たところの温度でもって海水の濃縮ということを考える、それによって塩はもちろんとれますけれども副産物をとる、それからそれによって温室というものによって、沖繩の場合にはちょっと問題があるかと思いますけれども、植物の裁培をやる。それからそれに伴って冷却水によって、温度が高くなるわけですから、漁業資源をどうするかというような多角的な形をとらないと、いま言ったトン当たりこれは出口の値段でありますが五十円とかなんとかという目標を立てておりますが、とてもとてもそんなわけにいかないと思うのです。五十円でも高過ぎますね。とても問題になりません。もっと安くしなければならぬ、ということになりますと、これは非常な複雑多岐にまたがる問題がたくさん出てくるわけでございますけれども、沖繩でそういうものをやる場合には淡水化を完成させるのだ、そうすると沖繩開発、水の需要というものは相当程度これで解消するのだという一つの目標を政府として立ててもらいたいということを私は強く要望したいと思うのです。  それで、たとえばこの前も申し上げたのでありますが、それとちょっと問題は違うのでありますけれども、原子力発電所の問題は公害問題で私はなかなか建設が容易じゃなかろうという気がしてならないわけなんです。そうすると海底原子力発電所という構想も一つあるわけですね。この問題はどの程度政府の側においては検討されておりますか。
  19. 石川晃夫

    石川政府委員 海底の原子力発電所でございますが、私の聞いておるところによりますと、通産省では要するに今後の問題としてやはり海底原子力発電所というものを考えなければいけないということで、ほんとうに研究の初めの段階での研究というようなところまでしか進んでいない、そのように聞いております。ただ構想はあるということでございます。
  20. 石川次夫

    石川委員 私も聞いている範囲ではその程度なんです。そういうことを考えなければいかぬのじゃなかろうかという思いつき程度で検討を始めようというようなことなんですが、私可能性あると思うのです。ただし、公害の問題なんかはよほど十分に解決対策を考えながらやらぬといけませんけれども、PWRの方式で海底原子力発電所というものの可能性は十分考え得るのではないか、またそう考えなければならぬような時期にくるのではなかろうかというような感じが私はしてならないわけなんです。したがって、これも単なる思いつきでぼちぼち始めるということではなしに、これも真剣に取り組んでもらわなければならぬ大きな課題であるし、またそれを推進するのは通産省ということではなくてやはり科学技術庁の側でこれを推進をする。またきょうは研究調整局長ですから原子力関係の方が来ておらないのであまり責任をもって押しつけるというわけにはまいりませんけれども、長官としてはこの点も十分含んでいただいてこれも一つのプロジェクトとして入れる。それからそれもこれも含めて私はビッグプロジェクトというのは目的基礎研究ということだけではなくてやはり純粋な基礎研究というものから出発しないと、一つの方法だけとってそれがだめならチェック・アンド・レビューで大蔵省でもって切られちゃうというようなかっこうではない意味での日本の全体の科学の水準を高める。これは私の持論でありますけれども、基礎研究をどうしても広げる、そうしてほかのコースから近づいていくということの道を開くという意味では、目的、ビッグプロジェクトにつながる研究だけではだめなのだというような遠大な構想をひとつお持ちになってもらいたいのです。そのほかこまかい技術的な点ではいろいろございますけれども、きょうは一番肝心な国際政治的な課題ということは質問できずに非常に残念でありますけれども、これはあらためて機会をいただくことにして、きょうの質問はこの程度にしておきたいと思います。
  21. 田川誠一

  22. 近江巳記夫

    ○近江小委員 先ほど科学課長のほうからいろいろ国連会議に出られて問題点の御説明があったわけであります。何点かのそういう問題があったのですが、その一つ領海の問題でございますが、わが国においても十二海里というのは、今国会においても外務大臣あるいは総理もそういう方向ということを明示されておられるように思うわけです。そこでわが国として、そういう十二海里になってきたというのは、あくまでも国際的なそういう大勢といいますか、そういう点から判断されたのか、あるいは自主的に、わが国としては十二海里をとるべきである、そういう判断に基づいてされたのか、もしそうであれば、どういう根拠に立ってそこまでの結論に近い方針を出されたか、その点についてお聞きしたいと思います。
  23. 堤功一

    堤説明員 お答えいたします。  ちょっと変なようでございますけれども、自主的に判断いたしまして大勢に従うということになるわけでございますが、これをいま少しく詳しく申し上げたいと思います。  日本海運漁業等関係から海洋国でございまして、日本だけの利益ということから考えますと、実は公海というものは広いほうがよろしいわけでございます。逆に申せば、各国領海は狭いほうがよろしい。で、伝統的にも三海里ということにきまっておりますので、現在の国際法に従うという立場に、それから日本の国益と合致しているために、現在も三海里ということを唱えておるわけでございます。これが一般的な国際法である、そういうふうに確信しているわけでございます。しかしながら日本の狭い意味の利益ということから考えてこういう結論を出して、それで固執してよろしいのかというと、実はそうではないわけでございまして、領海の幅というものが世界的に不安定な状況でおるということは、実は日本海洋関係漁業関係においても決して有利なことにはなりませんし、世界の法体制という観点から見ましても不幸なことだと思うわけであります。国際的にもこれは不利益をもたらす。領海の幅を国際法的に定めて安定させなければならないという高次の要請がございますので、しからばこういうことから自主的に判断してどのような態度をとるべきか、日本は従来一般的な法的な確信に基づいて国際法というものが成立すればそれに従う、あるいはそういうものに従うのだという立場をとっておりまして、しかも領海の幅について各国が一方的にこれを定めるということは受け入れがたい、この立場から現在は三海里だ、こういっておるわけであります。先般外務大臣、総理がお示しになった十二海里の方向でよろしいということは、これでいこうということは、実は国際的な大勢がそのように動いてきておる、この十二海里という線でこれが一般的な国際法なのだという妥当な合意が得られそうであるという見通しに基づいて、このような立場を来たるべき七三年の海洋法会議等にあたってわが国としても支持するという内容であると了解しております。
  24. 近江巳記夫

    ○近江小委員 外務大臣はこの外務省意見の集約したものをもって発言されておるわけですが、総理もそのように踏んまえての発言です。特に科学技術庁長官の場合は、海洋開発という点からもいろいろ考えて、外務大臣あるいは総理がそうおっしゃっているから私もそうだというのではなくして、積極的にこの十二マイルを支持されるという態度であるかどうか、この辺長官にひとつもう一度確認しておきたいと思います。
  25. 西田信一

    西田国務大臣 国際的な動きと申しますか、各国の考え方、これが大体十二海里を支持する方向に向かいつつあるというふうに私も思います。しかしながら、私は少し見解が狭いかもしれませんけれども、日本の周辺を取り巻く漁業の状況なんかを見ておりましても、十二海里説の国がかなりふえてきておる、あるいはまたもっと広く主張するところがある、そういうような立場にありながら、実際には目と鼻の先——実は私は北海道の出身でありますが、その鼻先に来てよその国がどんどん漁業をやっておるというような状況を見ましても、私はわが国の周辺の領海が三海里であるというようなことによって非常に残念な状況も常に目にしておるわけでありますが、世界の大勢がそうであり、また将来の海洋開発というような必要から考えましても、私は個人的には、もう十二海里の時期が来ておるのじゃないだろうか、そのほうがむしろ将来の国益にも合致するのじゃないだろうか、そういうふうな感じを持っております。
  26. 近江巳記夫

    ○近江小委員 漁業の問題について、開発途上国漁業の専管水域について相当拡大した考えを持っておる、これについてわが国としては基本的にどう考えておるわけですか。専管水域の考え方、科学課長にお聞きします。
  27. 堤功一

    堤説明員 先ほど御報告申し上げましたとおり、日本小木曽代表発言にもございましたとおり、日本立場というのは、一般的に沿岸国漁業の専管水域というものを認めるということは決してこの問題の公平な解決には資さない、実はその漁場というものは非常に偏在しておるものである、その実態を把握すれば、このような方向で魚類という動物たん白の確保を沿岸国に行なうということは、決してその沿岸国の考えているとおりの結果にはならないという実態的な考えを持っておるわけでございます。したがいましてわが国主張は、沿岸国に対して漁業専管水域を領海以外に認めるということには反対しているわけでございます。しかし多くの国がこのような方向をめざした発言をしているということも事実でございます。この問題は七三年の海洋法会議の非常に大きな議題となるところでございますが、それを勘案して日本立場というものをあるいは再検討する必要があるかとも思います。
  28. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そうしますと、漁業の専管水域というのは、要するに領海からは絶対はみ出さないというのがわが国の基本方針である、これは科学技術庁長官もそのようにお考えでございますか。
  29. 西田信一

    西田国務大臣 どうも所管外のことでありますから何でありますが、外務省見解が正しいのではないかと考えております。
  30. 近江巳記夫

    ○近江小委員 所管外とおっしゃっていますけれども、海洋開発という点からいけば、生物資源ということで、決して権限外の問題じゃないわけです。そういう点で、いま再確認をしましたが、外務省のおっしゃっておるとおりということでございましたので、政府としての考えは領海外に専管水域をはみ出さない、これがわが国の基本方針であるということを私としては確認しておきたいと思います。  それから航行の問題でございますけれども、三海里なり十二海里ということになってくるわけですが、そうしますと、わが国の場合、特に中東の石油を運んでくる場合、マラッカ海峡等は一番通るわけです。そうしますと、もしも幅広い領海をやられると、航行に問題が出てこないかということなんです。この点については外務省としてはどう考え、またいかに対処されようとしておりますか。
  31. 堤功一

    堤説明員 マラッカ海峡は、大体領海が十二海里となりますと、マレーシア及びインドネシア、シンガポールの領海になるわけであります。しかし、現在の国際法におきましては、領海について無害航行権というものが認められておるわけであります。普通の商船は公海の一部から領海を通って公海のほうに抜けることができる。沿岸国の管轄にはその間服さないということであります。したがいまして、このとおりにいきますれば、実際上は問題はないと言えるかと存じますが、しかしながらタンカーということは、現在、海洋汚染の問題とからんで問題を持ってくるわけでありまして、海洋汚染の大きな害を及ぼすべき可能性のある大型タンカーというものが領海を通るのは、はたしてこれは無害航行なのであろうかどうか、そういうことまでいわれ出してきたわけであります。したがいまして、そういうことになりますと、ことに領海でございますから、公海上を通るという公海の自由の原則よりは縛られることになるのは確実であります。しかし、わが国といたしましてはこのような海洋汚染の問題というものは、沿岸国管轄権の拡大という方向によって解決さるべきではなくて、海洋汚染それ自体を把握していくべきである。すなわち、言いかえますと、政府間海事協議機関、IMCOでありますが、あそこでつくっております油濁防止条約等のアプローチ、すなわち汚染物質あるいは汚染行為の法的に把握できるものをつかまえて、たとえばタンカーの設計上の適正をはかるとか、あるいは油を絶対にこぼさないという制度をつくる、そういう方向解決すべきものである、それが最も適当な解決方法であるという立場をとっております。しかし、もし問題が、汚染ということに対して沿岸国の管轄を強化するのであるという方向に行きますれば、わが国の石油輸入の大宗を運んでおりますマラッカ海峡等のタンカー航行ということには、おのずからそれだけの制限がかかってくるという問題点これは重大な問題点として、われわれも認識しているわけであります。
  32. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この国際的なあれを見ておりますと、領海外にかってに専管水域を設定して、漁業等の場合、そこで一隻当たり幾らというようなもの、現にそれを主張しておりますし、ましてや領海が十二海里あるいは汚染の問題が出てくるということになってくると、いままでの各国の出方を見ておって、さらにそういう点の危惧は大きくなってくるわけです。特にマラッカ海峡をはじめとした沿岸国のインドネシアなり何なりとのその辺のことの話し合いといいますか、七三年でおそらく十二海里は私はいくと思うのですけれども、もうその辺の作業は開始しておいて、やはり何らかの打診を始めておかなければあぶないのではないかと思うのです。その点外務省としてはやっておりますか。
  33. 堤功一

    堤説明員 現在は、いつも七三年の海洋法会議と申し上げるのですが、この海洋法会議でどのような方向にいくかということが確定するという想定のもとにやっておりますので、二国間で深い立ち入った話し合いということはまだ開始しておりません。マラッカ海峡について申し上げれば、当面は安全な航行をはかるために、測量等をさらに充実させまして、安全な航路を確定するという作業をまず第一にやっております。これは、沿岸国の協力のもとにやっておりますので、このような方向を推し進めていけば、実際に問題が起こったときには相互に対処できる体制がだんだんできていくのではないかと思っております。
  34. 近江巳記夫

    ○近江小委員 その辺のところは、経済援助の問題等も、あらゆる対策のあれとして、幅広いそういう行き方ということを、外務省を中心に考えていかないと、将来において私は非常に大きな問題になってくるのじゃないか、このように思うわけです。大臣にもう一度念を押しておきたいのですが、その点外務大臣なり総理なり、今後日本の大きな問題点としてはかっていただけるかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  35. 西田信一

    西田国務大臣 領海が拡大された場合、いろいろな問題が生じてくると思います。そういう問題につきましては、政府部内におきまして十分な検討が行なわれる、それに対して対処していかなければならぬということは、御指摘のとおりだと思います。いまお話のありましたような船舶の航行の問題とか、あるいはその他いろいろな問題が出てくると思いますので、ひとつ十分検討いたしたいと思います。
  36. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それで、この海底開発の、要するに海底条約の問題が非常に大きくクローズアップされてきておるわけです。いま課長さんからもいろいろお話があったのですが、わが国の一番の問題点として、どこにポイントを置いているかということなんです。わが国としてこの条約の一番問題点として押えているポイントはどこですか。
  37. 堤功一

    堤説明員 海底開発の一番の問題点は石油開発でございます。海底から石油をとるということについての法体制がどのようなものになるかということが、最も重要な問題だと思います。これはわが国のエネルギー事情からいって当然のことでございます。これには海底から石油をとるというときに、先ほども申し上げましたが、その海底国際海底であるのか大陸だなであるのかによって法的な地位が違うわけであります。大陸だなから石油をとるということは大陸だなに関する一般国際法によってわが国が主権的な権利を有しているわけであります。国際海底から石油をとるということは、もうすでに法原則も採択されておりますが、それによりますと、国際海底の資源というものは人類共通の財産であって、何人もこれを領有、所有等することができない、この開発は全人類の利益のために行なうんだということになっておりますので、国際海底の石油開発ということですと、わが国あるいは沿岸国が主権的な権利を行使できない。したがいまして、その海底石油資源大陸だなにあるのか国際海底にあるのかによってたいへんその法的な立場が違ってくるわけであります。わが国の周辺において問題となっている海底石油資源がはたしてわが国大陸だなの資源なのであるか、国際海底の資源なのであろうかということでございます。ですから、一つにはわが国の周辺の海底石油資源開発するためにはどのような法制度が最も有利であるかということを考えるわけでございますが、これは当然わが国のまわりに広く大陸だなをとれればそれがわが国の利益となるということになります。これに反しまして、他の国の沿岸区域の海底に出ていって日本が自主開発をいたします場合には、これはその国のまわりの大陸だなは狭いほうがわが国が出やすいのではないかということになります。すなわち、国際海底というのは広いほうが出やすいのではないか。ということになりますと、日本が他の国の沿岸に出ていって石油開発をするという利益と、自国の周辺の海底石油を開発するという利益とでは全く相反する結論が出る。いずれのほうが真に日本の利益であるかという実態を把握することが最も肝要なわけであります。それによってわが国立場ということも具体的にはきまってくる問題と思っております。
  38. 近江巳記夫

    ○近江小委員 わが国の場合はこの海底条約については基本的に賛成の方向であるということをお聞きしておるわけですが、基本的に賛成ときめられたポイントですね、要点はどこに置かれたわけですか。
  39. 堤功一

    堤説明員 御質問の趣旨が私、よく了解できないのでございますけれども、海底条約はまだできておりませんわけです。
  40. 近江巳記夫

    ○近江小委員 まだできてはないけれども、大体の日本の政府の——もう一度それじゃ確認しますけれども、日本政府としてはこの条約については賛成の方向であるのかあるいは反対の方向であるのか。もし賛成の方向であるとするならば、その基礎にはどういうポイントを置いたか、こういう問題なんです。
  41. 堤功一

    堤説明員 科学技術の発達によって、従来大陸だな条約ではカバーされていなかったと考えられていた深い海底の石油も将来は開発可能であるということがはっきりしてまいりまして、この石油を人類の全体の利益のために開発すべきである、利用すべきであるという見解国連等を中心にして国際社会に高まってくる、この趨勢を把握し、かつ海底石油というエネルギー資源の確保という意味からわが国の国益にも資するという、そういう基本的な考えでわが国の賛成の内意を出しておるわけでございます。具体的な条約案というものが出てまいりましたときのポイントは、しからばその国際海底範囲というのはどこであるか、これはどのような範囲をきめるのが最も国の利益であるかということを勘案して具体的な条約案についての態度もきまってくるわけでございます。
  42. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この中で、特に問題とされる条約の対象となる資源ですね、諸外国とわが国の場合は非常に見解が分かれるようになるわけですが、その点の見解がもし一致しなければ加盟しないと、こういうことなんですが、どうですか。
  43. 堤功一

    堤説明員 現在の時点でお答えするのはたいへん困難な次第でございまして、率直に申し上げてやはりその条約そのものができた時点で十分慎重に考慮すべき問題かと思っております。
  44. 近江巳記夫

    ○近江小委員 そういう面で言っていけば、何でもそう言えば答えになってしまうのですけれども、それであれば答えにならぬと思うのです、いまの時点では。それ以上答えられませんか。
  45. 堤功一

    堤説明員 それは終局の立場を申し上げたのでありまして、日本のエネルギー確保という観点から見て、最もわが国にとって利益でありかつ国際社会的にも公平であるという条約ができるように積極的にその草案の審議に参加していくわけであります。しかし条約も実は国連の場で多数決によって採択されるということになろうかと思います。そのときにどのような中身になるかということはいまから申し上げられませんので、先ほどあのようにお答えしたわけであります。
  46. 近江巳記夫

    ○近江小委員 中身について申し上げられない、それは秘密のこともあるし、いろいろ外交上の問題ですからあると思いますけれども、別にこういうことは秘密でも何でもないわけですよ。そうでしょう。見解の分かれている各国がどういう見解を持って、わが国がそれに対してこうだ、そういうようなことで、そのために来てもらっているわけですから、中身をもっと言ってもらわないと……。  それから、この海底条約と国内法の関係ですけれども、もちろんこの条約はまだできておりませんが、加盟した場合、今後のわが国海洋に関するそういう国内法及び海洋開発施策というものについてどういう影響があると想定されるわけですか、科学課長局長、大臣等からひとつ所感をお聞きしたいと思います。
  47. 堤功一

    堤説明員 最も重要なポイントはわが国の鉱業法関係の改正であると了解しております。すなわち大陸だなの範囲というのが確定するわけでございまして、その範囲においてはわが国が主権的権利を行使して鉱区設定等ができるわけであります。大陸だなより外の国際海底石油資源開発あるいはその他の鉱物資源開発ということになりますと、その鉱区がどのように設定されるべきかということは、これは中身によってきまってくるわけであります。  先ほどのお答えで私ちょっと説明足りなかったと思いますが、条約中身については申し上げておりませんのは、まだ何もございませんからでありまして、条約案として出ておりますのは、具体的な形ではアメリカ条約案がこれは公表されてございますけれども、あるだけでございます。それについて実は賛成している国の数というのはごく少ないわけであります。
  48. 西田信一

    西田国務大臣 いま外務省のほうから答えがございましたように、まだ条約の内容が明確に、明確にといいますかそこまで進んでおりませんので、その内容によりましてやはりわが国として対処していかなければならぬと存じますので、いまその影響がどうであるかということは、その内容の検討が進みませんと、はっきり申し上げることはできないかと思います。
  49. 近江巳記夫

    ○近江小委員 この条約については、この米国案というのがかなり具体的に明示してきているわけですが、このいろいろ国連でのそういう考え方等お聞きしていますと、大陸だな条約は、補完するばかりか、はるかに規制力を持つ非常に総括的なものになる可能性があるわけです。  そこで、基本的にはわが国としては賛成であるということはここではっきりおっしゃったわけでありますが、そうなってきますと、それは要するに包括的な大きな規制をするという点から考えれば、いまわが国が入っておらない大陸だな条約というものには加盟するという意味でありますか。これは国連局長にお聞きしたいと思います。
  50. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 たいへんおくれまして申しわけありません。  大陸だな条約に関しますところのわが国立場につきましては、おそらくすでに御説明申し上げたのじゃなかろうかと存じますけれども、鉱物資源に関します限りは、大陸だな条約は、御承知のように、すでに国際的に認められているものを確認するといった形のものでございますので、これはもう問題ないわけでございます。ただ、わが国がいま大陸だな条約に早急に加入できないという点は、漁業資源の問題でございまして、定着性の生物に関するところの見解が、若干わが国のとっておりますところの立場と異なります関係で、大陸だな条約にはいまのところ入らないという立場をとってきたわけでございます。したがいまして、その点についての問題、これはこの七三年に、領海の幅員を含め、あらゆる海洋法関係の、大きなと申しますか広い見地から非常に大幅な改定というようなことも行なわれるのではないかとわれわれといたしましても考えておりまして、鋭意研究につとめているわけでございますので、その時点におきまして、いままでのわれわれがとってまいりました見解というもの、これをなるべくならば主張いたしたいのでございますけれども、何ぶんにも国際会議のことでございますので、どうなりますかわかりませんけれども、その時点におきましてわれわれといたしましては、やはり大陸だな条約への去就ということを決定いたしたい。いまのところこれに入る、入らないということは明確に申し上げられない段階でございます。
  51. 近江巳記夫

    ○近江小委員 それで海洋汚染の問題ですけれども、今後、海底条約ができて、資源の開発というのが問題になってくるわけですが、海底条約に基づく国際機関というのは、むしろ利益の配分といいますか、そういうところにポイントが置かれているように私は思うのです。海洋汚染ということをこういう条約に基づいて先進諸国がやっていくようになってきますと、要するに汚染というものは地球レベルに達してくる。そういう点、汚染に対する国連監視機構なり、いまあるいろいろ汚染に関する国際的な取りきめというものは、私ほんとうの一部だと思うのです、船舶の油濁に対する防止法案とか。その点、汚染に対するそういう国際的な取りきめ、条約なり、あるいは監視機構なりについては、私はこれは当然日本が一番やはり石油なんかの運搬、あるいはまたこれから資源開発を積極的にやっていくだろうという疑いの目で見られているわけですから、日本がむしろ積極的に大胆にそういう点提案をしていって、初めて各国の同意あるいは賛成も得られるのではないか、私はこのように思うのです。いま問題になっております環境破壊なり何なりに対して、真剣に人類の生息という観点に立ってやるのか、わが国としてはほおかぶりして、言われてからやろうという立場でいくのか、積極的にいまからわが国がイニシアチブをとって、それを国連の場でも提言していくのか、その点ひとつお聞きしたいと思います。国連局長……。
  52. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 環境汚染の問題でございますが、これはわれわれよく申し上げるのでございますけれども、いわば将来に生きる国連といたしまして、すでに現実の問題となった問題のみならず、今後の問題ということに積極的に取り組んでいくという姿勢を国連当局もとっておりまして、わが国もそれに大いに賛同しておるわけでございます。この環境汚染問題につきましては、七二年にストックホルムで実は人間環境に関する会議というのが開かれることになっております。それの準備も着々と進められているわけでございまして、したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、タンカーの問題ということは、直接的にはこの国連機構の中で申しますならば、IMCOと申しますロンドンにあります専門機関が取り扱っているわけでございますけれども、もっと広く人間環境の問題としてこれも取り上げるという態度でございまして、先ほど申し上げましたようにわが国もそれに賛同しておる。その準備のためにも、実は外務省の中におきまして、いままでハンブルグの総領事をやっておりました太田というのを呼び返しまして、太田審議官のもとにこの環境問題に関するいわばタスクフォースをつくっておりまして、ここで鋭意検討を進めておりまして、ストックホルム会議にも積極的な姿勢をもって臨みたいと外務省といたしましては考えております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江小委員 積極的に対処するという基本的な姿勢はわかったわけですが、具体的に、たとえばマルタがあの海底平和利用というのを小さな国でありながらひっさげて提案したわけですが、日本としてもここらで、日本はもう公害でどうしようもない、世界じゅうから石油を運んでくる、また石油は掘るし、いまやそういう変な目で見られているわけですよ。そういう点で環境汚染ということについて大胆に日本としては提言していく、こういう点で具体的なものをひっさげていかれるという構想があるわけですか。
  54. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 いま先生お尋ねのような具体的な構想がもうでき上がっているかという御質問に対しては、遺憾ながらまだそこまではいっていないとお答えせざるを得ないわけでございます。しかしこの環境汚染の問題につきましては、わが国は最も先進国と申しますか、また最も後進国と申しますか、とにかく最も汚染の被害をこうむっている国でございますので、わが国がこれからどういった具体的な提案をすべきか、われわれとしても検討中でございまして、そういった背景におきまして、わが国の提出するところの提案というものはおそらく世界各国の非常に関心を引くものになるのではないかと、まあ自負と申しますか、あるいは期待と申しますか、われわれとしては持っている次第でございます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江小委員 その辺、今後日本としては、海洋日本といいながら、日本からは世界から称賛を浴びるような何らの提案もしておらない。私は外交においてこの点やはりまずいと思うのですよ。まあ、しろうとの私がえらそうに国連局長さんにこんなことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、こういう場においてやはり日本としての積極的な姿勢を示していくということが一番大事じゃないか、このように私は思うのです。まあこれ以上言いましても、いま国連局長としても具体的な構想はないということでこれは平行線になると思いますので、強くこの点は要望しておきます。  それで、海洋科学調査の問題ですけれども、私いろいろな学者にも会っていろいろ聞きますけれども、学術研究の国際分業、協力という点が日本としては非常に弱い。たとえば、前にインド洋などを調査したときも、日本は金ももうほんとうに——ちょっと具体的な数値を私いま持ってきておりませんけれども、もうやいのやいのと言って、どこからかわずかに、政府機関ではない、どこかからちょっと回してもらって、やっとさあ参加できる立場を得た、恥ずかしくて、大国日本といわれながら、こういうことについては政府としては全然積極的に力を入れてあげない。たとえば、エカフェの調査にしても、大体東シナ海にも石油がある、あれは東海大の新野教授なんかが言われたわけですけれども、あのときなんか自費で行っているわけです。いろいろな会議は全部自費だというのですよ。金のある学者は何とかなるかもしれませんけれども、どんなに日本のためを思い、有能な人であっても、金がなければ参加できない。しかも政府の仕事は頼む、そういう行き方でいいのかという問題ですよ。こういう点にこそ日本のような小さい国は、これから国際社会の一員として、むしろ国際的なそういうところにどんどん出かけ、また多くの人をむしろ包擁していくような立場で積極的な姿勢がなかったらいかぬと私は思うのです。その点私はなってないと思うのですよ。これについては国連局長、そして大臣に、特に閣僚の大臣としてどう考えておられるか、今後どうしていただけるのか、それをひとつ私はお聞きしたいと思うのです。どちらからでもけっこうですけれども……。
  56. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 もう先生から言われるまでもなく、実はわれわれといたしましてはこのような問題につきまして、日本としてもっともっとやらなければならないというつもりでおりますけれども、何ぶんにもいろいろな予算上の制約その他がございますので、われわれ微力で、われわれの希望するほど、期待するほどいまやっていないという点は、先生御指摘のとおりでございます。今後とも一生懸命やってまいりたいと存じております。
  57. 西田信一

    西田国務大臣 国際的な科学調査等について非常に積極的な姿勢で取り組めという御指摘はまさにそのとおりと私も考えます。せっかく、ことにきょうは海洋の問題について御審議を願っておるわけでありますけれども、このような海洋等はただ一国だけの問題じゃなくて各国の共通の問題としてやる仕事が非常に多いと思います。私どもは海洋開発審議会等も近く発足するわけでありまするが、そういう場におきましても、ただいまの御趣旨の線に沿いまして十分にひとつ具体的な検討をいたしまして、御趣旨に沿うような積極的な態度を打ち出してまいりたい、かように考えております。
  58. 近江巳記夫

    ○近江小委員 長官から積極的にやるということをおっしゃっていただいて、それ以上具体的にいまどうと言いませんけれども、まあ黒潮の共同調査とかいろいろ世界各国がやはり力を合わせていくというそういう中にお互いの理解もまた生まれてくるわけですよ。ところが実際は、ほんとうにそういうところに金は出ておらぬわけです。ですから、その辺のところをもっと責任を持って、そういう未来に手を打っていく、もっと窓口もはっきりしておく。各省に行ったって、うちはそんなものはありません、結局はどこに行ったって相手にされない。そういうことじゃあかんと思うのですよ。私は科学と純粋の外交の面と、その辺が非常に隘路になっているんじゃないかと思うのです。文部省としても、科学の問題も入ってくるしちょっと違う、科学技術庁としても学者が行くんだからちょっと違う、外務省もちょっと違う、そういうことじゃよくないと思うのですよ。その辺は窓口をきちっとする必要があると思う。これは具体的な提案でありますけれども、それを閣議にはかっていただいてやっていただけますか。
  59. 西田信一

    西田国務大臣 閣内におきまして十分協議いたしましてその御趣旨に沿うようにいたします。
  60. 近江巳記夫

    ○近江小委員 まだいろいろありますけれども、いずれにしましても、この海洋開発も、汚染の問題とかいうような心配な点もあるわけですが、しかし方向としては、私は人類のこれからのことを考えますと、海洋開発というものは、そういうことによく留意しながら、積極的に進めていくべきである。この基本方針は、われわれとしても強くそれは思っておるわけです。そういう点、いろいろな複雑な問題はあるかもしれませんけれども、非常に複雑多岐にわたる広範な範囲をやっていくわけで、単なる一省だけがやっていくという行き方はいかぬと思うのです。柱は科学技術庁になっていただいて、極力その辺のところをさらに外務省なりあらゆる関係各省、今後連絡会議等をしっかりまた持っていただいてやっていただかないと、かえってまた諸外国にも迷惑をかけるようなことになるのじゃないか、このように思うわけです。  そういう点を特にきょうは要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  61. 田川誠一

  62. 石川次夫

    石川委員 先ほど一回質問をして済んだわけなんですけれども、国連局長せっかくお見えになっておりますので、重複するきらいはありますけれども、ひとつその点はごかんべんを願いたいと思うのです。  いま汚染の問題についての話があったのですが、ついでに関連をして質問いたしますけれども、今回私北ヨーロッパへ参りましたときに、スウェーデンなんかのバルト海は、たいへんきれいな海だと思ったのですが、あの程度の海ですら、あそこは潮流の流れが非常にゆるやかだというようなことも原因いたしまして、国際的に大きな問題になって、たいへんな力を入れて研究し、対策を講じているというふうな状態を見てまいったわけなんですが、公害の問題もあるわけですね。  これは科学課長にさっき質問しようと思ってやめたのでありますけれども、一九六七年にイギリスの南西端のほうの沖合いの四十キロメートルのところで、アメリカのトリーキャニオンという一万八千トンのタンカーが座礁しまして、三百平方キロまでずっとこれが汚染をした。これはフランスのほうにまでその汚染が広がってきたという問題であります。  それから一九六八年にアメリカのカリフォルニア州のサンタバーバラの海中油田のパイプが折損をいたしまして魚や海獣というものがその付近ではほとんど死んでしまったというような事実があったわけなんですけれども、これに対する処置は一体どうなったかということを私はいつも気にかけておったのですが、何か報告を聞いておりますか。
  63. 堤功一

    堤説明員 トリーキャニオン号事件の際は、まず第一の問題は、海上に浮遊した石油にいかに対処するかということで、これは沈降剤と申しますか、イギリスのほうではそのような化学薬品を用いて、海底に石油を微粒子の形にして沈める、あるいは石油を取り囲みましてこれを燃す、ついには爆撃等をいたしましてトリーキャニオン号自体を爆破、炎上せしめたというところまでいたしました。フランス側のほうは、実は化学薬品はあまり使わなかったようでございます。いずれにしても、当時両国とも甚大な被害を受けたわけであります。後々の報告によりますと、実はその油を沈めた化学薬品自体も決して無毒ではございません。これがあと生物資源に残した害も相当だったということを聞いております。いずれにしましても、このような事件が起こればたいへんなことになるわけであります。  サンタバーバラ沖の件は、実は海底油田の開発中に、その掘った井戸以外のところから油の流出が起こったわけでありまして、このような現象は、これからも海底油田の開発に伴って起こっていくおそれのある事態であります。これは技術の発達によって相当程度予防できるのでありますけれども、しかし、このような危険性があるということで、油濁の防止ということは海洋汚染の最も重要な問題となって取り組まれているわけであります。もちろん、トリーキャニオン号事件の結果といたしまして、公海の上におきまする油による汚染を伴う事故の場合における措置に関する国際条約というのが採択されまして、これはそのようなトリーキャニオン号のごとき油汚染の危険があるときは沿岸国が非常の措置をとってよろしいということを正式にきめた条約でございます。これはトリーキャニオン号事件の結果として、それを契機として作成されたものであります。   〔小委員長退席、佐々木(義)小委員長代理着席〕
  64. 石川次夫

    石川委員 こういう公害の一つの例として聞いたわけでありますけれども、海洋開発はどうしてもやらなきゃならぬ。しかし、私の聞いている範囲では、海底からの油田というのは、依存をする率は、二十年後には五〇%をこすであろうというくらい海底油田というものに対する依存度、重要性というものは非常に大きくなる。ところが、海底から出る油を大体三分の一ぐらいしか陸上には取り上げられない。あとの三分の二は海中に大体流れ出してしまうというのが実情のようであります。そうすれば、この汚染を一体どうするんだということがきわめて深刻な問題で、まかり間違えば、海底油田というものはやるべきではないという結論になるかもしれない。したがって、そういうふうな意味を含めて、海底資源開発の場合のテクノロジーアセスメント、これはよほど事前にしっかりやらないと、汚染の問題を特に含めてやらないというと、せっかく技術的な開発ができても、実際上の伸展は望み得ないという可能性が大いにあるということで、科学技術庁も十分これに対しては配慮をしてもらわなきゃならぬと思うのです。この海洋開発関係だけを見ましても、外務省はなかなかたいへんだろうと思うのです。海底平和利用特別委員会というものがあるかと思えば、あるいは政府間海洋委員会というのがIOCという名前であり、ACMRRで海洋資源研究諮問委員会があり、SCORで海洋科学研究委員会というものがありというふうなことで、なかなかこれは国際的な海洋開発だけを見てもたいへんな問題になってこようかと思うのです。  そういう点で、この海底開発に限ってお話をしたいと思うのでありますが、大陸だなへ兵器の配備をするということはもうすでに可能なんですね。やってないところでも、近い将来はこれは可能性が十分にある。それから、深海の配備は、研究段階というふうなことになっておりますけれども、気密カプセルにおさめるというと、地下配備のICBMよりは安全で、しかも、潜水艦のミサイルよりはコストが安いんだ、こういうことになって、非常に軍事利用の魅力があるわけなんです。そういう点で、先ほど私は平和利用ということに関連して質問をしたわけなんでありますけれども、大陸だなを含めて、深海の場合も含めて、自衛のためだったらいい。平和利用委員会で、たいへん平和利用ということを日本代表は強調されたけれども、自衛のためであれば、その場合は除く、こういう発言があったように新聞では私たちは承知をいたしておるわけです。   〔佐々木(義)小委員長代理退席、小委員長着席〕 しかし、自衛とは何ぞやということになりますと、これは自衛という名のもとに起こらなかった戦争は一回もなかったわけです。私は日本の場合は、平和憲法の趣旨というものもくんで、自衛というものも含めて、絶対にもう海底軍事利用はすべきではないんだ、こう強く主張すべきではないかと思っておるのでありますけれども、これは国連局長だけに質問するのはちょっと私は酷のような気がするのですが、私の見解というものでけけっこうでございますから、それをひとつ……。
  65. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 いま先生お述べになりましたように、当初、この海底利用という問題は、国連海底平和利用委員会で取り上げられておったわけでございますけれども、その後、海底軍事利用禁止という問題は、実は、ジュネーブにおきますところの軍縮委員会のほうに移されまして、そこで六八年以来鋭意検討されました結果、実は、いま本国会にその批准のための承認について御承認を得るべく提出いたしておりますところの核兵器及びその他これに類似の大量殺戮兵器を海底に施設することを禁止する条約というのを御審議願っているわけでございます。  そこで、これは先生御承知のとおり、わが軍縮代表は、当初、海底の軍事化と申しますか、軍事利用というものをすべて禁止するといった観点から、領海をも含めて、深海はもちろんのこと、あらゆる海面の下、海底、これに実は、理想的にはもちろんあらゆる兵器を置くことを禁止すべきことを提案はいたしたかったのでありますけれども、それは現実的ではないという考慮から、この核兵器及び大量殺戮兵器に限りまして、これを領海をも含めあらゆる海底に置かないという提案をいたしたわけでございます。  結局、いろいろな経緯がございましたけれども、でき上がりましたところのものは、距岸十二海里以上の海底にいま申し上げました核兵器及び大量殺戮兵器を置かないという禁止条約、これができ上がりまして、日本はこれに賛同の国連総会における共同提案国にもなりまして、率先署名をいたしたような次第でございます。  そこで、その審議の過程におきまして、実はいま申し上げましたように、防御用の兵器とかそういったものは省くんだといった議論ももちろんあったわけであります。しかしながら、何が防御用の兵器であるか、あるいは何が攻撃用の兵器であるかというようなこともなかなかめんどうなことでございますし、結果といたしまして、いま申し上げましたように、核兵器及び大量殺戮兵器ということに兵器の範囲としては同意せざるを得なかったということでございます。しかしながら、あらゆる軍縮措置というものに対しまして政府のとっておりますところの態度というものは、行く行くは、終局的には、一切の軍事利用ということを禁止するということではございますけれども、とにかく実行可能なところから一歩一歩前進する意味におきまして、現在御審議を願っておりますところのこの大量殺戮兵器の禁止条約というものも、やはりこれからこの海底の軍事化というものが本格化するというその前に、少なくともこの核兵器その他の大量殺戮兵器のみでも禁止するという条約は、これは一歩前進する、軍縮措置として一歩前進ではなかろうかという見地から、日本としても賛成をし、また、率先してこれを推奨の決議にも賛同したというようなことでございまして、究極的には先生のおっしゃいますように、あらゆる軍事化というものを禁止いたしたいわけでございますけれども、何と申しましても、軍縮措置ということになりますというと、検証ということが一番重要なことであります。その検証ということになりますというと、いま申しましたように、防御用の兵器の場合は云々というようなことになりますと、やはり実行可能性と申しますか、信憑性といいますか、そういった観点から、一挙にはそこまで進めないというのが現状でございます。したがって、一歩前進という意味におきまして、現在のできましたところの条約、これをわれわれとしてては早急に批准まで持っていきたいと考えておる次第でございます。
  66. 石川次夫

    石川委員 一歩前進だけで終わってしまうのではないかという心配をしてておるわけです。御承知のように、この海洋開発の目的は、海底資源の利用と海洋資源の利用ということのほかに、生活圏を拡大をするという面がございまして、その中には海底居住あるいは海底トンネルあるいは海中公園というふうなことがありますが、海底居住というのは、単純に海底居住ではなくて、軍事利用のための海底居住という面が相当大きく出てくるのではなかろうかという懸念が持たれておるわけであります。ということは、この海底軍事利用の場合の難点は指揮統御が非常に困難であるということが言われておるわけです。そういうものは将来は海底居住というものができることによって長期海底に居住をさせる、そこを通じて軍事利用というものが可能である。こういう見方になってくると、海底居住というものを純粋にわれわれが生活をするということではなくて、軍事利用のための海底居住であるというような懸念が多分に出てくるものですから、海底居住という問題にわれわれは不信感を持たざるを得ないというようなこともあわせ考えていただいて、一歩前進であるかもしらぬがわれわれはその程度のものではとうてい満足できないので、これは人類の将来と世界の平和のために是が非でも全面的な禁止をするというようなことにまで進んでいただくように、これは国連局長にだけ望んでも無理なことでございますけれども、一応強く要望だけはしておきます。  それからあと一つ。これは国連局長アメリカ局長かわからないのでございますが、若干その範囲になるのじゃないかと思うのでございますけれども、御承知のように韓国が昭和四十五年の五月に朝鮮近海から東シナ海にかけた七つ海底鉱区を設定をしたわけですね。それからすぐ昭和四十五年の七月に、あわてふためいたようなかっこうで台湾のほうが尖閣列島を含めて大陸海域の大陸だなについてガルフに石油鉱区を与えたわけです。しかも、台湾の外交部長が立法院の秘密会でもって尖閣列島の五つの島は国府に帰属すると公然と述べて、しかもその他、自分たちの領土であるというようなことのもろもろの意思表示したわけです。  これに対しては日本政府としては抗議もしたし、またこれは厳然として沖繩施政権の中に含まれておるのだということがアメリカ方針としてもきまっておったわけなんですけれども、沖繩返還に伴ってこの分には触れないということが新聞に出ておったわけですね。施政権返還という中に尖閣列島は含まない。これはいろいろ国際間で非常にむずかしい問題があるのでこれには触れないのだというふうなことになりますと、施政権尖閣列島に及んでいるか及んでいないかということについて日本の国を除いたほかの国は、隣国の中国なんかもこれについてはいろいろ意見があるようでありますけれども、これはアメリカ施政権が及んでないのだから当然日本には返還されないのだという論拠を与えることになりやせぬかという懸念が持たれるのですが、この新聞の報道が非常にあいまいなものであったのか、どの程度正確なものであったのか。沖繩返還については施政権の及ぶ範囲というものは明確なんですから、それも含めて返還をするということにしてもらわなければならぬと思うのです。  これは御承知のように、尖閣列島それ自体はほとんど無人島でございますけれども、あそこの海底には相当豊富な海底油田があるということを日本の東海大学なんかが主になって大体確認をされておる。一つ蛇足ですがつけ加えますけれども、私はアメリカのウッズホールという有名な海洋研究所に行きましたときに、そこの副所長は、あれは日本の東海大学が調べたんだし日本の領土なんだからガルフあたりにやらせるなんということはちょっとおかしい。あれは日本がやるべきですよという忠告まで——アメリカ人が言うのですから私は奇異な感じに打たれたのです。彼は名刺も日本語で書いてあるくらいですから非常な親日家ではあるのですけれども、アメリカ人の専門的な立場の人からそういう意見が出ているわけですね。そういう点からいっても、われわれは堂々と主張すべきところは主張をしなければならないのではないかと思うのです。こういう点で国連局長はどうお考えになっていますか。実はこの件は、国連局長というよりは外務大臣に来ていただく機会を得て、はっきりした腹がまえというものを確認をしたいと思っておったわけなんですけれども、きょうは大臣は出られない。幸い国連局長おいでになったので、一応政府の所見ということで伺っておきたいと思うのです。
  67. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 実はこれは国連局長の守備範囲外のごとでございますけれども、一外務省員として申し上げますならば、この尖閣列島が現在は一と申します意味は、沖繩日本返還されるまでの間、すなわちアメリカ施政権を持っております現在におきましてはアメリカ施政権の及ぶ範囲でございます。これは厳然とした事実でございます。したがいまして、沖繩返還されます明年におきましては、これはまぎれもない日本の領土ということになるわけでございまして、政府としてはいままでゆるぎのない厳然とした立場をとっているわけでございます。したがいまして、あるいは韓国あるいは台湾、あるいは中共といった国々がいろいろなことを申しましたのも、われわれはこの点は協議にすら応じることのできない問題であるというはっきりとした態度をとっております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたところの新聞報道というものは日本立場というのではなしに、あるいは何かの間違いで新聞がその自余の国々のいっていることを報道したものではないかと存じます。  と同時に、いまのガルフの問題でございますけれども、これも実はそういったアメリカ政府の見解もございますので、アメリカ政府から私の仄聞しておりますところではすでにその開発といいますかプロスペクティング、探鉱を始めたアメリカの会社に対しましては、これを遠慮するようにというような指示が出たようで、現在はアメリカのガルフ会社その他の米系会社はあの近辺の探鉱を差し控えているというのが現状でございまして、したがいまして尖閣列島が明年、わが国のはっきりとした領土であるという立場は、これは間違いのないところでございます。
  68. 石川次夫

    石川委員 もちろん日本立場とすればこれは明らかに日本の領土ですよ。これはもう疑問の余地はないと思うのです。ただ、新聞に出ていたのは日本の意図として出ていたわけではないのです。アメリカ返還に際してその辺をぼかすのだというようなことが出ておったわけなんです。これは私は、関心が非常に高いので実はその切り抜きをさがしたのですけれども見つからないので、非常にあいまいな質問になって申しわけないのですけれども、この尖閣列島をめぐる国際関係というものは非常に微妙、複雑なのでアメリカとしてはその点については明示しない、こういう形での返還が行なわれる見込みであるというようなことが出ておったと思うんです。しかしこれはあくまでも、アメリカの意向がそうであるかどうかは別として、もしアメリカの意向だとしても、その点は明確にして返還をしてもらわなければならぬということをひとつ決意をあらためて、議論の余地のない日本の領土であるのだということにしてもらわなければならぬということを重ねてまた質問したいと思うのです。
  69. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 確かに先生のおっしゃるとおりでございますけれども、本件何ぶんにもアメリカ局の守備範囲でございますし、私責任を持って御答弁申し上げかねます。
  70. 石川次夫

    石川委員 終わります。
  71. 田川誠一

    田川委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会