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1971-05-13 第65回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会宇宙開発の基本問題に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十六年二月十八日(木曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       加藤 陽三君    木野 晴夫君       佐々木義武君    菅波  茂君       田川 誠一君    橋口  隆君       前田 正男君    石川 次夫君       堂森 芳夫君    三木 喜夫君       近江巳記夫君    渡部 一郎君       内海  清君 二月二十六日  木野晴夫君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十六年五月十三日(木曜日)     午前十一時六分開議  出席小委員    小委員長 木野 晴夫君       加藤 陽三君   佐々木 義武君       菅波  茂君    田川 誠一君       石川 次夫君    堂森 芳夫君       近江巳記夫君    渡部 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      西田 信一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君  小委員外出席者         宇宙開発委員会         委員      網島  毅君         防衛庁装備局開         発計画官    国本  隆君         参  考  人         (宇宙開発事業         団副理事長)  松浦 陽恵君     ――――――――――――― 五月十三日  小委員堂森芳夫君三月十一日委員辞任につき、  その補欠として堂森芳夫君が委員長指名で小  委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  宇宙開発の基本問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより宇宙開発の基本問題に関する小委員会を開会いたします。  宇宙開発の基本問題に関する件について調査を進めます。  本日は、宇宙開発事業団理事長松浦陽恵君に参考人として御出席を願っております。質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
  3. 近江巳記夫

    近江委員 きょうは久しぶりに宇宙小委員会が開かれまして、時間の許せる範囲で御質問をしたいと思います。  まず初めにお伺いしたいのは、この宇宙開発委員会計画によりますと、昭和五十年度に電離層観測衛星を打ち上げる予定、このようになっておるわけでございますが、この計画変更後どういうような現状であるか、その進捗状況をひとつお聞きしたいと思うのです。それと今後のスケジュールはどうなっておるか、この点につきましてまず初めにお聞きしたいと思います。
  4. 石川晃夫

    石川政府委員 進捗状況並びに今後のスケジュールの概括的なことについて初めに御答弁申し上げたいと思います。  昨年、宇宙開発委員会が決定いたしました宇宙開発計画に従いまして、この電離層観測衛星Nロケットによりまして昭和五十年度に打ち上げようということに計画が立てられたわけでございます。したがいまして、宇宙開発事業団におきましてはその開発を進めているわけでございますが、この電離層観測衛星エンジニアリングモデル開発はすでに完了いたしまして、そうしてその後今度プロトタイプモデルをつくりまして、さらにフライトタイプモデルをつくるという計画で進んでおります。したがいまして、この電離層観測衛星そのものは、昭和四十九年度中には完成させるという予定で進んでおります。  進捗状況あるいはさらに現在の衛星開発の詳細につきましては、事業団のほうから説明することが適当かと存じます。
  5. 松浦陽恵

    松浦参考人 電離層観測衛星の打ち上げまでのスケジュールにつきまして、ただいま局長から説明がございましたものをふえんいたしまして御説明申し上げます。  衛星につきましての開発状況は、いまお話がございましたとおりでございますが、これを打ち上げますロケット及びそれに関連いたします地上の施設、設備、こういうようなものの整備がどうなっておるかということをあわせて御説明申し上げたいと思います。  電離層観測衛星エンジニアリングモデルにつきましては、昨年度末に終了いたしまして、必要な各種試験が終了いたしております。これをもとにいたしまして、プロトタイプ設計に現在入っているわけでありますがこれを開発してまいる。これは昭和四十六年度一ぱい、来年の三月を完成期といたしまして、現在仕事を進めております。フライトタイプこれは実際に飛ばせるものでございますが、これは先ほど説明のあったとおりでございます。この電離層観測衛星を飛ばしますNロケット、これは現在概念設計を行なっておりまして、その結果が五月の末に出てまいります。おおむねの結果は、現在チェックアンドレビューを発注いたしました先から結果の報告を聞いておりまして、今週一ぱいわれわれのほうの関係者が結果の報告を聴取いたしております。このNロケットは、電離層観測衛星を打ち上げます前に技術試験衛星1型、これを四十九年度末に打ち上げることとしておりますが、この技術試験衛星を打ち上げますのも、電離層観測衛星を打ち上げますのも、Nロケットと全く同じもので、技術試験衛星1型というものでございます。こちらのほうの開発は現在取りかかっているところでございます。これは電離層観測衛星を打ち上げます前に、予備的な各種試験を行なうものでございますので、比較的簡単に完成をいたします。Nロケット開発いたします前に、Nロケットに使います上段、すなわち二段及び三段のロケットでありますが、これの飛しょう実験をいたします試験用ロケットを製作いたします。これは四十九年度に打ち上げますことを予定しておりまして、Nロケットを打ち上げます前に、わが国開発するということが中心になっております上段ロケットの打ち上げをいたすわけでございます。  なおこの際ちょっと申し上げますと、この試験用ロケットを打ち上げます前に、現在進行いたしております小型実験用ロケットがございます。これは現在二種類ございます。JCRの固体の二段式のロケットでございますが、誘導制御技術確立をはかるために打ち上げているものでございますが、これはすでに五号機まで打ち上げております。現在のところ十号機まで予算化されております。それからLS-C型ロケットというのがございます。これは二段目が液体ロケットでございまして、Nロケットの二段目に使用いたします液体ロケットの基礎になるものでございます。基礎的なエンジンに関する技術確立と、それから液体ロケットを使いましての誘導制御技術確立を行なう、そういうLS-Cと申しますロケットがございます。これは現在四号機まで打ち上げております。五号機以降八号機まで、現在のところ予算化されております。この実験を行ないまして、データを集積し、さらにこれを試験用ロケット及びNロケットに適用いたしまして、開発を確実にいたす、こういうようなことを考えております。
  6. 近江巳記夫

    近江委員 それから、ソー・デルタ中心としたライセンス生産あるいはノックダウン生産に関して、どの程度まで話が煮詰まっているか、その状況をお聞きしたいと思うのです。こまかい点いろいろ御報告願えればいいのですが、私に与えられた時間もありますので、できるだけ要点をお答え願いたい、このように思うのです、まだほかに聞きたいことがたくさんございますので。どなたでもけっこうです。
  7. 松浦陽恵

    松浦参考人 ライセンス生産考えておりますのは、Nロケットにつきましては第一段ロケットでございます。第一段ロケットは御承知のとおりロケット機体と、それからエンジンがございます。これにつきまして、ノックダウンを含むライセンス生産というのを考えておるわけでございますが、これにつきましては、昨年の十月、宇宙開発計画変更されまして決定されました直後、直ちに米国政府筋及び米国の企業と接触を開始いたしまして、わが国受け入れ体制、それから先方の技術導入に関する条件、こういったものにつきまして、私どもの理事長ほか関係者が渡米をいたしまして、調査を進めております。  なお、現在事業団から関係の者をアメリカに派遣いたしまして、間もなくこれは帰ってまいりますが、なお詳細の資料を入手すべく、先月末から約二週間かけまして、アメリカでいまのソー・ブースターにつきまして、第一段ロケット、すなわち機体構造関係、それからエンジン関係調査をいたしております。間もなくそういったものに関しまして、こまかい資料が入手できる状況になっております。
  8. 近江巳記夫

    近江委員 それで、Nロケットに関しては、第一段ロケットというお話があったわけですが、そのほかにも、詳細のことについては今後報告していただける、このように思いますが、大幅な技術導入をしていくとするならば、時間的、予算的にどうかということなんです。当初千五、六百億くらいの予算考えておられましたね。その辺も今後大幅に変わってくるのじゃないか。さらに昭和五十年度の電離層観測衛星あるいは昭和五十二年度の実験用静止通信衛星、こういう計画に、そういう予算の問題とかあるいは時間的なことがさらに影響が出るのじゃないか、このように思うのですが、その辺のお見通しはどうでございますか。
  9. 松浦陽恵

    松浦参考人 いまの御質問に対しまして、全体の開発予算の問題でございますが、これはわれわれのほうといたしましては、昨年度、その時点で持っておりました資料に基づきまして、推定をしていたわけでございます。現在、先ほども申し上げましたように、おもにライセンス生産を行なう部分につきまして調査をいたしておりますが、技術導入やり方によりまして、開発予算をできるだけ圧縮し、また開発の期間をできるだけ短縮する、こういう方策もとられる可能性があるわけであります。私たちのほうは最も経済的に最も早くNロケットを仕上げるという点に重点を置きまして、現在の調査結果を検討いたしまして開発適確スケジュール確認をいたしたい、そう考えております。
  10. 近江巳記夫

    近江委員 その作業途中ではあると思うのですけれども、どの程度変更があるか、その辺のところ大体のことはおわかりになっていると思うのですが、どうですか。
  11. 松浦陽恵

    松浦参考人 現在のところ一段ロケットにつきましては、ライセンス生産ノックダウンとの関係、この関連をどうするかということでございます。  それから少し話がほかのほうにまいりますが、二段ロケットにつきましてはアメリカからの技術援助を得まして、わが国自主技術を育成していくのに最も効果的な方法でもって開発を進めておるわけであります。これらにつきましては、アメリカ技術導入に関する許可が昨年おりておりまして、開発予定その他が現在のところ非常に明確になってまいっております。
  12. 近江巳記夫

    近江委員 予算的にはどうですか、当初千五、六百億といっておったのが、技術導入等かけてきますと相当大幅な狂いがあるのじゃないかと思うのですが。それはどなたでもけっこうです。局長さんでもいいです。
  13. 石川晃夫

    石川政府委員 千五百億という計画でございますが、これは四十四年度に決定されました宇宙開発計画におきまして概算した額でございます。その内容を申し上げますと、当時といたしましてQロケットNロケットという固体燃料を主体にしたロケット考えての経費が千五、六百億というふうに考えたわけでございますが、昨年この宇宙開発計画変更するにあたりまして、いろいろな観点から将来の需要予測並びに将来の技術の伸びというものから勘案いたしまして、新しい計画をつくりましたところ、金額としましては二千億ということで従来の計画から少しふえたわけではございますが、しかし将来の問題から考えますと、やはりこのあたりの金額が妥当であろうということで新しい計画に踏み切ったわけでございます。したがいまして、この千五、六百億というのは四十四年度計画での金額でございまして、四十五年度計画におきましては約二千億というように考えております。
  14. 近江巳記夫

    近江委員 このロケット導入技術に関して、一、二、三段について――さっき一段目についてはかなり報告があったわけですが、これについてどのようなアメリカ会社と打ち合わせをやっておりますか。
  15. 松浦陽恵

    松浦参考人 ソー・デルタの第一段に使っておりますロケットブースターでございますが、これをライセンス生産するということでございますが、このロケットマクダネル・ダグラス社でございます。それに使っておりますエンジンノースアメリカン・ロックウェルという会社でございます。  第二段のエンジンでございますが、これはエンジン開発に関しまして技術指導を受ける、いわゆるテクニカル・アシスタンスでございます。これを現在受けておるわけでありますが、これは管構造エンジンエンジンの本体が管でできているわけであります。こういうエンジンでございますが、このエンジン専門メーカーでございますノースアメリカン・ロックウェル社、ここに技術援助を受けております。  第三段ロケットにつきましては当面購入ということを考えておりますが、候補ロケットといたしましては二、三種ございます。そのうち有力なものが二つございますが、一つサヤコール社――サヤコール・ケミカル・コーポレーションと申しますが、サヤコール社でございます。一つエアロジェットゼネラル社でございます。このほうはまだいずれともきめておりません。
  16. 近江巳記夫

    近江委員 かなり具体的に会社の名をあげていただいて、具体的に進んでおることはわかりました。私、懸念しておったのは、いまの時点会社も決定しておらぬということであれば、また計画も相当大幅に狂ってくるのじゃないか、こういう思いでお聞きしたわけなんですが、この辺についてはかなり具体的に進んでおるように了解しました。  それから本年の一月二十八日に、島理事長Nロケット一段Mロケット一段を使用して大型の試験用ロケット開発する、このようにおっしゃったわけですが、この開発ソー・デルタ等技術導入とはどういう関係になっておるか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  17. 松浦陽恵

    松浦参考人 試験用ロケットは、先ほども申し上げましたようにNロケットに使います上段ロケット使用試験を行なうものでございます。この上段ロケットにつきましては、先ほど申し上げましたような技術指導を受けまして開発を進めてまいるわけでございますが、試験用ロケットブースターは国内のものでございまして、第一段に使いますM10型のロケットは特別に申し上げることもないわけでございます。これを全体組み立てまして試験用ロケットとして十分性能を発揮する。性能と申しますよりもいわゆる安定性あるいは誘導制御の問題、Nロケットを打ち上げますのに必要な事前の実験ができる範囲、こういったものをどういうふうにするかというような設計でございます。こういう点につきましては、状況によりましては外国にチェックアンドレビュー、これを依存する考えでおります。ソー・デルタライセンス生産このものとは直接に関係がございません。
  18. 近江巳記夫

    近江委員 誘導制御装置もなく、ただ打ち上げてロケット信頼性を見るというだけの意味ですね。これはどうなんですか。
  19. 松浦陽恵

    松浦参考人 試験用ロケットには誘導制御装置はついております。一段目には必要の最小限度制御を行なうというふうに設計をいたすつもりでございます。現在そのつもりで予備設計を行なっております。二段から上は制御をいたします。
  20. 近江巳記夫

    近江委員 大臣もお見えになったことですし、きょうは防衛庁も来られておりますからちょっと別の問題に移りたいと思うのですが、もう一ぺんここで確認をしておきたいことは、宇宙開発における平和という概念の問題なんです。宇宙開発においても原子力あるいは海洋と同じく平和利用原則を堅持する旨の意図については、大臣をはじめ関係者皆さん方が機会あるごとに明らかにしてこられたわけでありますが、この確認意味で再度申し上げておるわけですが、平和利用原則というのは間違いございませんか、大臣
  21. 西田信一

    西田国務大臣 そのとおりに考えております。
  22. 近江巳記夫

    近江委員 いままで宇宙開発についても、他の委員も私もずっと質問をしてきたわけですが、宇宙開発における平和利用というのは一体何であるかという内容的な議論というのはあまりなかったように思うのです。そこで宇宙開発、特にロケットなどはそのままミサイルに転用できることからして、両刃の剣じゃないか、そういうような要素が多分に濃いのじゃないかということを国民の皆さんはみな心配しているわけですが、四次防の、これも発表された直後でありますし、その辺非常に心配な点があるわけなんです。そこで宇宙開発における平和利用というのは一体何であるかということを明確にひとつここでしておいてもらいたい、このように思うわけです。その点、局長さん、大臣さん、お二人にひとつお聞きしたいと思います。
  23. 石川晃夫

    石川政府委員 われわれは従来から、宇宙開発は平和的に利用したいということを機会あるごとに述べておりますし、また佐藤総理をはじめ、歴代の科学技術庁長官もそのようなことで説明されておられるわけでございますが、宇宙開発平和利用、これは宇宙開発というものを平和的に利用していこうということは、各国とも異存のないところでございまして、そのためには世界の各国が集まりまして、宇宙条約というものをつくりまして、宇宙及び天体を含んでの宇宙というものを平和的に利用していこうということで意見が一致しているわけでございます。  わが国といたしましても同じ趣旨でございまして、ことに宇宙大量破壊兵器のようなものが上げられるということは阻止すべきであるという観点に立って、われわれとしてもこの平和利用ということを強調しているわけでございまして、同様左趣旨で、わが国で現在特に政府開発しようとしております宇宙につきましては、平和的な宇宙開発ということに重点を置いて開発を進めていくということには、全然異論がないわけでございます。
  24. 西田信一

    西田国務大臣 ただいま局長が答えましたとおり、わが国宇宙開発はあくまでも平和の目的に徹するという考え方でおりまして、したがいまして、わが国宇宙開発の諸政策の実施につきましても、その精神に徹しておるつもりでございます。
  25. 近江巳記夫

    近江委員 その精神は再確認を何回もやっておりますし、よくわかるのですが、防衛庁にお聞きしますけれども、四次防においては地対空あるいは空対空艦対空、艦対艦等の、ミサイルをどの程度設置される御計画になっておりますか。
  26. 国本隆

    国本説明員 ただいまの御質問に直接お答えできないかもしれませんが、私たち研究開発を担当している部門といたしましては、四次防におきまして概要次のようでございます。  まず、短距離地対空誘導弾、これは来襲する敵機を撃ち落とすものでございます。それが一つございます。それから航空機に搭載いたしまして空対空、いわゆる敵機を落とす誘導弾でございます。それから空から地上艦船を攻撃いたします空対艦誘導弾、それから地上におきましては、上陸する舟艇あるいは戦車を撃破する目的地対地短距離誘導弾、それから戦車をやっつけるための対戦車誘導弾、それから地上または艦艇に乗せまして艦船をやっつけます対艦船誘導弾、そのほかに将来の誘導弾研究、この七点を考えております。先ほどの御質問のいろいろ設置する問題につきましてはこれは運用上、防衛上の問題でございまして、また開発をされた暁におきまして検討される、こういうふうに私たち考えております。  以上でございます。
  27. 近江巳記夫

    近江委員 そこでこういういろいろな、ミサイルがあるわけですが、四次防の中で、金額的にいったら大体どのくらいと見ていらっしゃるわけですか。
  28. 国本隆

    国本説明員 現時点におきましては、総額におきましては約四百数十億くらいではなかろうかと思います。四次防はそのうち約半分くらい、二百数十億くらいではなかろうかと思います。
  29. 近江巳記夫

    近江委員 いろいろ値段がみな違うと思うのですけれども、大体項目で何発ずつくらいですか。
  30. 国本隆

    国本説明員 具体的にはそれぞれこまかく積算をしているわけでございますけれども、実験やり方あるいは試作の過程におきましていろいろやり方も異なっておりますので、一つ一つ何十発というふうには申し上げられないと思いますが、大体十のオーダー、すなわち数十発とかそういうオーダーであると思います。
  31. 近江巳記夫

    近江委員 それでいろいろな種類があるわけですけれども、これをどの程度国産化されるわけですか。
  32. 国本隆

    国本説明員 防衛庁におきましては、四次防のみならず、私たち航空機及び誘通武器並びに電子機器等に最重点を置きまして実施する予定でございます。したがいまして、先ほど申し上げました誘導弾につきましては自主開発をねらっておりまして、できるだけみずからの手、みずからの考えでみずからで開発をしていきたい、いまのところこういうふうに考えております。
  33. 近江巳記夫

    近江委員 それらの、ミサイルは、東大のカッパ一なりラムダなり、いろいろ形があるわけですが、どのクラスに大体相当するわけですか。
  34. 国本隆

    国本説明員 特に東大関係とかあるいは科学技術庁関係のものと比較したことはございませんが、先ほど申し上げましたとおり、当方で開発するものにつきましてはすべて大体短距離でございますので、非常に小型のものでございまして、大きなものを考えているものではございません。
  35. 近江巳記夫

    近江委員 そこで平和利用と、ミサイル開発との関係なんですけれども、この平和利用ロケット開発によって、その技術がそのまま、ミサイル開発につながらないかということなんです。結局メーカーは三菱なり方々やっていらっしゃると思うのですが、アメリカからその技術導入をし、またいろいろと皆さん方自主開発を進めていらっしゃるその技術は、要するにスパルタンにしたって何にしたってやはりそういうメーカーがつくっているわけです。同じところでやっているわけです。そうすると、そういう技術が、ミサイル製作にそのまま使われるわけじゃないですか。その辺の関係性についてはどう考えていらっしゃるのですか。政府関係者どなたでもけっこうです。防衛庁も何でしたら答えてください。
  36. 石川晃夫

    石川政府委員 現在、宇宙開発事業団中心にいたしまして進めておりますロケット開発でございますが、これは先ほど事業団のほうからも説明がございましたように、アメリカからの技術導入というものをいたしましてロケット開発を進めていくわけでございます。ところが、このアメリカから入れます技術につきましては、これは日米間で協定の中にうたわれておりますように、わが国の平和の目的に限ってこの技術を使用することができるということで、制限があるわけでございます。したがいまして、事業団開発されております以外のロケットにこの技術を応用するということは、現在できないことになっております。したがいまして、その技術導入内容そのもの軍事目的のための技術として流れることはないわけでございます。ただ、これは技術の本質的な問題でございますが、その技術の基礎的なものにつきましては、これは十分自主開発等にも応用できるかと存じますが、技術導入そのものについてはこれは禁ぜられているわけでございますので、その点の御心配はないものと存じております。
  37. 近江巳記夫

    近江委員 防衛庁にお聞きしますが、ミサイルはそれぞれメーカーがあると思うのですが、どういうメーカーにそれをつくらすわけですか。
  38. 国本隆

    国本説明員 先ほど説明申し上げました七件のうちには、三次防から四次防に継続している分がございます。たとえば短距離地対地誘導弾でございますが、これは川崎重工でやらしております。それから空対空誘導弾でございますが、これは三菱重工がいま手がけております。それから短距離地対空誘導弾でございますが、これは東芝あるいは日産、川崎重工等が一緒になって、いま部分試作をやっている段階でございます。残りの四件、すなわち四次防において新しく開発するものにつきましては、現時点におきましてはまだメーカー等は決定いたしておりませんし、考える段階ではございません。
  39. 近江巳記夫

    近江委員 それで科学技術庁あるいは事業団にお尋ねしますが、現在このロケットの生産を頼んでいるメーカーはどことどこですか。
  40. 松浦陽恵

    松浦参考人 Nロケットはまだ御存じのとおり予算化されておりませんので、これの発注というのはいたしておりません。ただ、これに結びついてまいります試作研究あるは試作試験――われわれのほうで試作試験と申しておりますが、試作試験の段階ではすでにメーカーに発注いたしております。これは特にわが国開発をいたしますNの第二段のロケットでございます。ロケットN。これは三菱重工に出しております。その他のものにつきましては、現在、従来から試作試験をやっておりました会社の実績その他を勘案いたしまして、予備設計あるいは概念設計の段階からメーカーに部分的にスタディーを発注いたしましてやらしておるのがございますが、最終的に決定いたしますのは、もう少し、先ほど申し上げました概念設計が終わり、さらに予備設計をやりました段階で、それを済ませました段階で決定させていただきたい、そう考えておるわけでございます。
  41. 近江巳記夫

    近江委員 事業団はわかったんですが、東大などはどこに頼んでおったのですか。要するに、いままでのロケット関係の発注しておったメーカー、全部言ってみてください。
  42. 石川晃夫

    石川政府委員 詳細につきましては、東京大学から説明したほうが適切かと存じますが、私たち従来聞いておりましたところでは、ほとんどが日産で製造を行なっておるというふうに聞いております。
  43. 近江巳記夫

    近江委員 日産なり三菱なり、これはいままで防衛庁が三次防から発注しておるみな会社なんですよ。そうしますと、なるほどアメリカから導入した技術については、平和に限るということで、そんなことはないとおっしゃっているけれども、自主開発したそれについては、ミサイルにも使われておる。そうなってきますと、平和に限るなどといろいろ言っていることは、これはあくまで文字だけのことですよ。いま宇宙開発進めているのは、あくまで平和に限るということでやっているわけです。ところがメーカーが同じで、そういう技術なり何なりがそのまま、ミサイルの製作に使われている。ましてやこれから四次防になってくれば、いまおっしゃったように、これだけの膨大な四百億以上の金が出るわけですよ。そうすればますますアメリカから導入したそういう技術なども、結局その上に立ってまた自主開発、さらに高度なものをやっていけるわけですよ。そうすると、一体この平和利用ミサイル開発関係というのはどう理解したらよいかということなんです。この平和利用ロケット開発で培われた技術ミサイル開発しても、これは軍事利用にならぬわけですか。これはひとつ、どなたでもけっこうです。最後に大臣、この問題について。
  44. 石川晃夫

    石川政府委員 わが国宇宙開発平和利用につきましては、先ほども申し上げましたように、その平和目的に限ってこれを利用しようということでございますので、われわれが開発を行なっております最後にでき上がりましたものは、もう平和目的に限るということで、その利用は限定されているわけでございます。したがいまして、平和以外にこれが使われるということは考えられないわけでございますが、ただ先ほども少し触れましたように、本質的な基礎的な学問というものは、これは軍事、平和を問わず、いわゆる学問としては共通でございます。したがいまして、その技術を使いましてこれが軍事利用に使われるかあるいは平和利用に使われるかということは、これは学問としては平等でございますし、分けるわけにはいかないと思います。したがいまして、われわれは平和利用ということで、利用面においては厳重にそのワクをはめて、この技術が外へ流れないようにする。したがいまして、アメリカから導入された技術につきましては、これは平和目的に限るということになっておりますので、これが軍事利用に流れないように、これは宇宙開発委員会、われわれを含めまして厳重に監督しているわけでございます。
  45. 近江巳記夫

    近江委員 大臣、お願いします。
  46. 西田信一

    西田国務大臣 局長答弁で大体尽きておると思いますが、宇宙開発委員会あるいは事業団等が行ないますところのいわゆるわが国宇宙開発は、全くその目的がはっきりいたしております。その目的に向かって宇宙開発をやっているわけでございます。したがいまして、軍事的な目的宇宙開発というものは行なわれていない、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。  ただ、いま局長申しましたように、学問的にあるいは共通の面があるということは言えようかと思いますが、この筋道はもうはっきりとしておりますので、その懸念はないものと考えております。
  47. 近江巳記夫

    近江委員 学問的というえらいことばを持ってこられたわけですが、現実にベースは、要するに宇宙開発ということでどんどん金をつぎ込んで、基礎的なことの研究あるいはそれを推進していくことに使っておる。そこで培われたいろいろな技術なりそういう基礎的なことは、全部ミサイル開発につながれている。これは政府、好ましいことですか。ただ、あなた方は、あくまで平和に限るという文字だけで、もうそれでいっているのだからいいというのですか。現実はそうじゃないわけですよ。これはメーカーだって同じなんですよ。四次防においてはこれだけの、四百億以上のミサイルをつくるのですよ、何発になるか私は知りませんけれども。こういうことにおいて心配感じませんか。少なくとも平和に限るという、それを守っていかなければならない、あなた方は厳重に監督しなければならない立場にあるわけです。それに対して何の心配もないとなれば、われわれ国民の代表として、そんな無感覚な人に監督してもらっていいかという心配が出てくるのですよ。心配ありませんか。好ましいと考えますか、こういうことは。好ましくあるか好ましくないか、その点はどうですか。
  48. 石川晃夫

    石川政府委員 先ほども申しましたように、研究なり技術というものは非常に広範性がございまして、われわれが宇宙開発でねらっておりますのは、単にこの技術ミサイルに流れるということのために、あるいはミサイルだけを対象としてその技術が流れるということは考えていないわけでございまして、かえって宇宙開発技術というものがさらにミサイル以外の一般的な平和的利用のために、いわゆる国民生活も含めまして、そういうことに流れるということをわれわれは大いに期待してこの宇宙開発を行なっているわけでございます。  技術をとりますと、どの技術を見ましても、それが軍事技術につながらないという技術は決してないわけでございます。部品一つにしましても、それが軍事用に使われれば、これは軍事目的という理屈も当然出てくるわけでございますが、この宇宙開発全体の技術が平和目的に使われるように、現在その推進方をはかっておるというのがわれわれの考え方であります。
  49. 近江巳記夫

    近江委員 そういう宇宙開発技術が多くの平和のそういうことに波及していく、それはわれわれも期待しているわけですよ。あなたと一緒なんですよ。それはいい面だけの期待なんです。それは人情としていいほうに考えたいですよ。だけれど、現実にはミサイル開発にその技術が流れておることは間違いないわけですよ。そういう悪い面を考えたときに、あなたはそういう理想的な期待する面ばかりから考えて、それは好ましいことですか、どうなんですか。
  50. 石川晃夫

    石川政府委員 この技術ミサイルに使われるか使われないかという問題について、この技術がそっくりミサイルに使われるということは、防衛技術としての観点から検討されるべき問題でございまして、われわれとしては、この技術はそのままミサイル技術にはつながらない、さらに防衛庁のほうでは防衛目的に応じての研究開発を進めていくということで、おのずからわれわれの開発しているロケットとそれから防衛庁開発しようとしているミサイルとの間に本質的な違いがあるというふうに考えておるわけでございます。
  51. 近江巳記夫

    近江委員 本質的なそういう考え方はわかるのですよ。特に平和の部門を担当なさっている科学技術庁局長さんなんですから、大臣であるからわかるのですよ。だけれども、現実に普通の部品とかそんなものとは違うわけですよ、このロケットの場合については。一番の近代兵器ですよ。それにそれが使われておるということについて、そういう面は好ましいことですか。この面だけに限って、どうなんですか、好ましいですか、好ましくないのかどっちなんですか。
  52. 石川晃夫

    石川政府委員 われわれの開発しようとしておりますロケットでございますが、これは先ほどの繰り返しになりますが、われわれとしては液体ロケット中心にして開発する。防衛庁のほうでは主として固体ロケットだと思いますが、そのような面に着目してやられておりますので、この技術がそっくりそのままそのようなミサイル技術につながるということはないと考えておりますが、その点、かりにただいま御質問のように、そっくりこの事業団技術がそのままミサイルに移行するということは考えられないことではございますが、そのようなことはわれわれとしてもあまり好ましいこととは思っておりません。
  53. 近江巳記夫

    近江委員 それは計画変更で液体になったかしらぬけれども、いままで宇宙開発もやってきておるのですから、固体技術というのは相当なものが進んでいますよ。いま局長、率直にこれは好ましくないということをおっしゃったわけですが、そこでもしも好ましくないというのであれば、何らかの歯どめというものをメーカーの段階で講ずるとか、何らかのことを政府としては考える必要があると思うのですよ。ただ好ましくないと、このままで傍観しておるのですか。その点は大臣どうですか。
  54. 石川晃夫

    石川政府委員 われわれが開発いたしておりますロケットでございますが、これはロケットとして開発しておるわけでございます。したがいまして、その根本的な技術において歯どめをするということは、学問の自由という面で非常に不可能であるというふうに存じております。したがいまして、ロケットそのものの技術というものは、先ほど申しましたように、いろいろ歯どめがございまして、日米協定などに基づきまして、これが流れないというような、また流すことができないような歯どめは張ってあるというふうに私たち考えております。
  55. 近江巳記夫

    近江委員 それは導入技術については、その辺のことは若干理解ができますけれども、そういう導入技術でさらにプラス自主開発をやって、日本の場合は、いままでのそういう科学技術というものは諸外国から取り入れをやって、さらにそれに上増しをして、すばらしいものを生み出してきた、当然そういう関係性考えられるわけですよ。そうすると、それがミサイル開発に非常につながっておる、そういう心配な、好ましくない点ははっきりしておるわけですよ。これをただ政府として傍観しておるということは、私は非常によくないと思うのです。  そこで、宇宙開発事業団松浦さんにお聞きしますけれども、そういう開発した技術ミサイルに転用されるということについてどう思われますか。
  56. 松浦陽恵

    松浦参考人 私たちのほうでは私たちのほうの注文で自主開発をいたしました技術に対しましても、また導入技術、これは政府の交換公文ではっきりいたしておりますように、他のものにこれは転用できないわけでございます。それに対します処置は、メーカーに対して現在各注文ごとにとってございます。これは許可なくしてかりに技術資料を開示するあるいは転用するということができないようになっております。そういう面で、私のほうとしましては、いまおっしゃったような心配はないものと確信しておるわけでございます。
  57. 近江巳記夫

    近江委員 えらい松浦さんは楽観論者でございますね。現実にミサイル開発のところと、あなた方が発注しておる三菱重工なり日産なり同じ会社なんですよ。そういう技術ミサイル開発に使われるということは、これはだれが考えたってわかるわけですよ。現実に局長さんだって好ましくないということをおっしゃっているわけですよ。それはだれだっていい面に考えたいけれども、現実に四次防においてもこれだけの四百何十億というものをこれからつくるわけですよ。そういう点から考えて、そういう面を考えた場合に、あなたはこれが好ましいのですか。
  58. 松浦陽恵

    松浦参考人 私は局長の意見と全く同じでございます。
  59. 近江巳記夫

    近江委員 事業団松浦さんも局長さんも好ましくないとおっしゃっている、これは意見が一致しておるわけですね。好ましくないということがわかった以上、それをそのままで政府としては傍観して見ていくかということなんですね。何らかの歯どめをやる必要があるのと違いますか。あるのではないかということよりも、歯どめをすべきですよ。それをただ、理想的に平和に限ると私は言っておりますというような、そんなことばかりでなく、現実にもっと足元に目を向けてくださいよ。現実にきびしく対処していくその姿勢、その勇気、決断がなかったら困ります。皆さん方国民の前にまかされているわけですよ。それだけの責任ある立場に、国民が信頼して期待して皆さんに預けておるわけですよ。それをもっとシビアな態度でおってもらいたいと私は思うのですね。どうしてくれますか、この問題は。
  60. 石川晃夫

    石川政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれが開発いたしておりますロケット技術というものが、そのままのかっこうでミサイルなんかにつながるということは好ましくないというふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、その趣旨を体しまして、日米協定にも平和目的に限りということで、われわれ相互に公文を交換しておりますし、また事業団のほうでも、開発に伴いまして生じてまいりました種々の技術については、これは全部事業団のほうで十分監督するというかっこうで、われわれとしては十分歯どめをかっているというふうに考えております。
  61. 近江巳記夫

    近江委員 日米協定の場合には導入技術ですよ。私が言っているのは、自主開発で十分ミサイル開発技術はあるわけですよ。しかも、何かといえば事業団政府はそのように転嫁している。これでは事業団というのは隠れみののためにあるのか、口悪く言えばそう言わざるを得ぬですよ。そういう政治的な配慮をしていくのが科学技術庁皆さん方じゃありませんか。そういうようにおっしゃってくれては困るわけですよ。
  62. 石川晃夫

    石川政府委員 この問題につきましては、私たち事業団ができる前にいろいろ検討した問題でございます。したがいまして、われわれとしても、事業団が今後の仕事を進めていく上にあたりまして、そのような問題がないように事業団を監督いたしまして、そして特許の問題等を含めまして、全部その開発成果というものを事業団が持つようにして歯どめをかったというような実態でございます。
  63. 近江巳記夫

    近江委員 政府としては、ただ事業団だけに責任をおっかぶして、あとは野となれ山となれ、事業団は責任とれ、そういう無責任なことじゃいかぬというのですよ。これは政治的に歯どめを打たなければ、事業団にそこまでの権限もありませんよ。そんな力はありませんよ、はっきり申し上げて。もっと大臣はじめ局長さんも真剣にこの問題に対処してくださいよ。ただそんな、その場だけ言ったらいいという式じゃなくて、真剣に考えてくださいよ。どう歯どめをやっていくのですか。これをはっきり納得できるまで言うてくれなければ、私、下がれませんよ、中途はんぱなことでは。
  64. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま申し上げまして、われわれ監督官庁といたしまして事業団に歯どめをかったわけでございますが、監督の責任としては、問題が起きたときは政府側が負うというのは当然でございます。
  65. 近江巳記夫

    近江委員 問題が起きたって、現実に同じメーカーで、しかもそれが、ミサイルに使われているわけですよ。当然だれが考えたってわかることですよ。だから現時点そういう心配がもうはっきり――心配といおうか、もうそれは現実ですよ。使ってないなんて、そんなあほなこと言えませんよ。今後それをどうやってくれるのですか。大臣、どう歯どめをかけてくれますか。これは政治的な判断をしていただいて、手を打っていただくしかないですよ。
  66. 西田信一

    西田国務大臣 たびたび御答弁申し上げておるわけでありますが、いわゆるわが国宇宙開発そのものは、これは平和目的に徹しておるということをお答え申し上げておるわけでございます。したがいまして政策あるいはまたその実行面におきましても、そういういま局長の答弁しておりますような、あるいは事業団が答えておりますような配慮が行なわれておるわけであります。平和的目的のための宇宙開発によって開発された技術ミサイル等に技術提供されたという事実は、私はないと思っております。ただ、防衛庁ミサイル開発研究をされておるとか、あるいはまたその発注を受けたメーカーがそれぞれその研究によっていろいろ開発しておるということはあると思いまするが、そこのところは私は画然としておると思っております。したがいまして、将来におきましてもそういうような日米関係の問題は、もうこれははっきりしておりますけれども、この宇宙開発の平和目的開発された研究開発の成果そのものが、そのままミサイルに転用されるとか、あるいはまた技術提供なんということはあり得るはずがないと思いますし、そういうことにあらゆる配慮を今後も行なってまいりたいと思っております。
  67. 近江巳記夫

    近江委員 技術が転用された事実ないというのは、何の証拠があって大臣はおっしゃるのですか。これは当然メーカーも同じであり、当然その頭脳なり技術なりが使われておるということは、これはもうだれが考えたって、そんなもの納得せいといったって納得できませんよ。だから、そういう心配があるのだから、そういう心配がないように政治的にどのように配慮していただけますかということを聞いておるのですよ。私は黒とも白とも一それはこんなことを言えば水かけ論になるから、大臣、私それ以上どんな証拠があるか出せ、そこまで私は言いません。だけれども、これは疑わしいことは間違いないのですよ。だから、そういう心配がはっきり出てきた以上は、やはりそこは誠意をもって私は大臣に、考慮するなりあるいは総理と相談するなり、あるいはメーカーには話してこうするとか、何らかの前向きの、そういうもう少し誠意ある答弁をお願いしたいと思いますね。
  68. 西田信一

    西田国務大臣 われわれの考え方も御理解願えたと思います。そこで、将来に向かってもそういう懸念があるということでございますが、それに対しましては、私のほうといたしましても十分検討いたしまして、さらにこれ以上もっと有効な手段、方法がありますれば、十分それに対処するように検討いたしまして、そして善処したいと思います。
  69. 近江巳記夫

    近江委員 それじゃ約束の時間がきましたので、一応これで中断して、あと大臣が退席されるまで石川委員に譲って、それでもう一ぺんあと続行したいと思います。
  70. 木野晴夫

    木野委員長 次に石川次夫君。
  71. 石川次夫

    石川委員 ただいま近江委員のほうから質問していることと密接不可分な関係の問題からまず質問したいと思うのでありますが、私が要求をした説明員じゃございませんけれども、防衛庁から幸い国本発計画官がお見えになっておりますので、単純にお教えいただくという意味でひとつ御質問をしたいと思うのであります。  昭和四十五年と昭和四十六年の研究開発費の額と、しかしその内容についてはこれはなかなか秘密のベールをかぶされておりまして明らかにすることはできないと思うのですが、その中身の内訳についても発表できる範囲であれば、それをひとつお知らせいただければありがたい、こう思うのであります。
  72. 国本隆

    国本説明員 四十五年度につきまして申し上げますと、研究開発費といたしまして約百八億でございます。その内訳は、研究開発費といたしまして約九十億でございます。一般管理費が約十四億、施設整備費が約四億でございます。  四十六年度につきましては約百二十億でございます。研究開発費がうち約百一億でございます。一般管理費が十六億、施設整備費が約二億七千万でございます。
  73. 石川次夫

    石川委員 ありがとうございました。  この前の予算委員会の分科会で、実はきわめて限られた二十分間という時間だったものですから、今度新しくソー・デルタ宇宙開発技術導入するということに基づいて、この宇宙開発ソー・デルタ技術は直ちにIRBMにつながるのだという過去の実績があるので、この技術が直ちに軍事利用に転用されることがないか、こういう質問防衛庁長官にしましたところが、断じてそういう転用はあり得ないと、もうけんもほろろといいますか、ただ一発の答弁で時間切れになってしまったという経緯を持っておるわけなんであります。しかしながら国民ひとしく、いま近江委員のほうから質問がありましたように、たいへんこのことについては不安をぬぐいされないところが多いのではないか。いまの研究開発費の中、詳細に発表されるわけではございませんので、ミサイルだけに限らず、おそらくIRBM、ICBMなどについても当然国防という責任の立場からはやらざるを得ないのではなかろうか。それが今度のソー・デルタ宇宙開発技術と結びつかないという保障はどこにもないのだということは、ひとしくこれは常識的に考えざるを得ない。ということになりますと、われわれが前から主張いたしておりますように、宇宙開発というものについては少なくともあくまで平和利用に限定をするのだということの基本法というものについては再三この委員会においても論議をされておるわけであります。その決議も出ておるわけです。その決議は、宇宙開発委員会が設置された場合に対する附帯決議として、まず第一に、「わが国における宇宙開発及び利用に関する基本方針を明らかにするため、すみやかに宇宙基本法につき検討を進め、その立法化を図ること。」その二つは、「右の基本法の検討にあたっては、原子力基本法第二条と同様の考え方によるとともにすでに批准された『国際の平和及び安全の維持並びに国際間の協力及び理解の促進』を旨とする『月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約』の趣旨にのっとり、かつ、」云々というふうなことで、この平和利用に限るという意味での基本法をつくる、これは議員立法というたてまえでやるというふうな話し合いになっておるわけでありますけれども、最低限この宇宙開発ということに関しては、基本法によって平和利用に限定をするという意思表示を中外に宜明する必要があるのではなかろうか、こう考えておるわけでございますけれども、その点について、これは再三質問申し上げていることでくどいようでありますし、またこれは議員立法としてのたてまえをとりたいという考え方もありますので、必ずしも当を得ないかと思うのでありますが、西田長官の所信を簡単にひとつお述べ願いたいと思うのであります。
  74. 西田信一

    西田国務大臣 宇宙開発の基本法の問題につきましては、従来からその制定についていろいろな検討が行なわれておりました経緯につきましては、私も承知をいたしております。また、そういう方向でわれわれのほうでも十分いろいろな検討を進めておるわけでございますし、また、ただいま先生お述べになりましたように、国会におかれましても超党派的にいろいろな意見の交換をいただいておるわけでございまして、そのための小委員会も設置されて、いろいろ御配慮を願っておるわけであります。ただ、この宇宙開発の世界各国におきますところの非常な進展の速度というものが、われわれの想像以上のものでございます。したがいまして、これを取り巻くところの周囲の諸状況、諸問題等を考えますと、なかなかわれわれの研究も簡単に結論に到達することがむずかしいという状況にあるわけでございます。国会におかれましてもいろいろ御検討をいただいておるわけでございますが、われわれといたしましても、お求めに応じまして、できる限りの資料の提出その他にもつとめたいと考えておるわけでございますが、願わくはこれは超党派的にひとつ十分な御検討をちょうだいいたしまして、そしてその十分な御検討の結果、結論を見出していただきますことをむしろわれわれといたしましては期待を申し上げ、かつまたそういうことが望ましい、かように考えている次第でございます。
  75. 石川次夫

    石川委員 原子力基本法の場合は、原子力というものがその当時これから手をつけようというような新たな課題であったということだけに、非常に慎重に、詳細にまたがって基本法がつくられておるわけでありますけれども、宇宙開発の場合にはある程度軌道に乗っておる。そして私もこの宇宙開発基本法の場合には、原子力基本法のようにそう厳密に内容まで規定する必要はなかろうという感じがしておるわけでございまして、基本的な、法三条をもってとうとしとするというようなかっこうでの基本法、憲章的なものでもいいのではなかろうかというようなところまで考えておるわけでございます。  これはわれわれの日本社会党だけでありますけれども、第三次修正案というものまでつくりまして、何回も皆さん方に配付を申し上げておるわけでございますけれども、基本方針としては、「平和の目的に限り、民主的な運営の下に、自主的にこれを行なうものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」というような点については、原子力基本法と全く同じであります。  それから、この定義の中でいつでも問題になりますのは、われわれのほうでは、宇宙空間とは何ぞやという定義をつける場合に、この宇宙空間の定義をつけること自体でいろいろな意見が出てくるわけであります。宇宙空間とは何ぞやというところから議論を始めますと、それがちょうど基本法を食いとめるといいますか、実現させないための一つのデッドロックのような形になって今日まで来ておるわけであります。われわれの場合は「月その他の天体を含み、地球上の大気圏の主要部分を越える部分を目途に地表からの高さ百キロメートル以上の空間をいう。」こういうようなふうに規定をしたわけでありますけれども、なかなかこの点が一致をしないということが現実にあるようでありますけれども、正確な名前はわかりませんが、国連の宇宙平和利用の法律小委員会におきまして、最近での大体の結論めいたものがまとまってきつつあるように思うのであります。それはどういうことかというと、二十五キロから三十キロというような地点でありますと、地上のその辺では飛行機が飛ぶということになりますと、これは軍事上の飛行機も飛ぶというようなまぎらわしさがございますので、大体八十キロから百キロメートル、これをこすというもの。でありますから、結論的には、われわれのいうような「地球上の大気圏の主要部分を越える部分」というのは、大体百キロメートル以上というふうにわれわれは考えておるわけでございます。こういう点での定義の食い違いというものは、そう大きなものではなくなってきたのではなかろうか、こう私は推察をするわけであります。  その他、宇宙開発の基本法の中におきましては、政府の施策がどうあるべきかということは、これは相当お互いに話をし合って、政府の了解を得ながら妥協の余地は大いにあるのではなかろうか。それから、その中に果たす宇宙開発委員会の役割りあるいは宇宙開発事業団の役割り、そういうふうなことだけで基本法というものは一応でき上がるのではないか。その程度のことであれば、できたからそれで万全だということは私は言いませんけれども、少なくともその程度のことを国民にあるいは海外に対して宣言をするということの必要は最低限やるべきではなかろうか。これは海洋開発の場合でも同じようなことが言えると思うのでありますが、宇宙開発の基本法の問題は前々から出ている問題であります。いつまでたっても実現をしないということは、あたかもこれを何かの事情があって阻止しているのではないかという印象を人に与えるというような、逆効果の面を私はおそれるわけであります。  しかし、今国会にいまから出してこれを通そうと思っても、ちょっと時間的に間に合いません。われわれの怠慢をみずから責めなければならないと思うのでありますけれども、この基本法をこういう単純な趣旨に基づいて、憲章的なものでもけっこうでありますので、ぜひこれを実現をさしたい。これはこの次の国会でもって実現をさしたいという切実な希望をわれわれは持っているわけで、大体これは与野党ともあまり意見の相違はないのではないか。ある週刊誌によりますと、おもしろおかしくかもしれませんが、技術導入に関連してすぐ軍事利用が取り上げられるというようなことのないようにする、歯どめの役割りも果たさせるということも含めて、ぜひ基本法制定については、これは党側、各党のほうの御協力もいただくわけでありますが、政府側も積極的に、あるいはまた開発事業団開発委員会それ自体も積極的にこれに協力をしてもらいたいという点をまずお願いをしたいと思いますが、それぞれ御意見を伺いたいと思うのです。
  76. 石川晃夫

    石川政府委員 宇宙の基本法の問題につきましては、従前から基本法を制定すべきであるという附帯決議などもございまして、われわれのほうでも事務的に検討を進めていたわけでございます。しかし、先ほど先生の御指摘がございましたように、定義の問題その他でいろいろつまずきまして、われわれとしてもどのように踏み切るかという段階までなかなか踏み切れなかったわけでございますが、われわれも事務的に検討段階におきましては、宇宙開発宇宙というものが非常に国際的なものである、わが国だけの宇宙ではないということで、やはり内容的に非常にむずかしい問題が含まれているわけでございます。先ほど御指摘ございました平和利用委員会等におきましても法律小委員会あるいは技術委員会等におきまして、宇宙の定義なりあるいは技術的な内容というものの検討が進められてきておりましたが、特に定義の問題につきましては、昨年の六月に開催されました法律小委員会におきましても、これが検討未了でございまして、まだ定義というものが出てきていないわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘の定義につきましても、われわれとしてもまだ十分このようにいきたいという腹がまえができていないわけでございます。われわれ検討の途中におきまして、宇宙開発につきましての国際性の問題、さらに宇宙開発の進展と申しますか、非常なスピードで、一九五七年に初めて衛星があがってから近々十四年間の間に、現在考えられておりますような宇宙ステーションのような大規模な宇宙開発まで進んできたということになりますと、われわれといたしましても宇宙の利用あるいは宇宙を基本的にどのように利用しあるいは開発していくかという問題につきましても、将来の見通しというものがまだ十分つけかねるという状態で、われわれの検討が現在行き詰まりの段階になっているというのが実態でございます。
  77. 石川次夫

    石川委員 事業団開発委員会の御意見……。
  78. 網島毅

    ○網島説明員 ただいま御質問がございましたので、委員会としての考え方を申し上げたいと思いますけれども、この問題につきましては、先ほど長官からお話がございました。私どももかねがねと申しますか従来国会の先生方の間において、また政府の答弁におきましても、この問題についていろいろ御討議がございまして、基本法の設置が必要であろうというふうには考えております。しかしながら、先ほど局長から申し上げましたように、この問題を研究すれば研究するほどいろいろむずかしい問題がございます。しかも、日進月歩のこの宇宙開発の世の中において、どういうふうに基本法を制定するのが将来の平和利用及び国民福祉のための宇宙開発に結びつくかという問題につきまして、慎重に考慮しなければならないというふうに考えております。従来六回以上この問題につきまして委員会の中でもディスカッションしてやっております。しかしながら、まだ結論に到達しておりません。しかし、私どもと申しますか、私といたしましては、この問題はやはり最終的には政治的な判断できめられるべきものじゃなかろうかというふうにも考えておる次第でございまして、先ほど先生お話ございましたように、国会においてこの問題がいろいろ研究されるということでありますならば、委員会といたしましても積極的に御協力を申し上げて、いろいろ資料等その他は差し上げたいというふうに考えております。
  79. 石川次夫

    石川委員 研究調整局長の話を聞きますと、むずかしいのだ、むずかしいのだということだけなんですけれども、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約なんかを見ましても、大量殺戮兵器あるいは軍用には使わないということがこれにも明確になっているわけですね。でありますから、宇宙の定義がほぼある程度で妥協点が見つかり得れば、あとは空間、宇宙というものは絶対に軍事利用には使わないのだということになることは国際間の常識とまでは言い切れませんかもしれませんが、日本の国としては、少なくとも平和憲法のたてまえからもあって、こういうことを厳然と憲章的な形でもって明示するということがないと、ソー・デルタ関係で私はこれから質問をしようと思っているわけなんでありますが、非常な不安が残ります。IRBMにすぐ転用するだろう、こういうような不安を残したままでは、宇宙開発それ自体が進展をしない。日本の場合にはその傾向が特に強いのではないかという感じがするので、どうしても宇宙基本法によって最小限平和利用に限るのだということの確約を鮮明にしていただかなければならぬと思うのです。むずかしい面だけを強調されますと、私も技術屋ではありませんからこれはそうではないかと思われる点もないわけじゃありませんけれども、法三章をもってとうとしとするような形での、憲章的な意味での態度をはっきりさせるということだけは、ぜひ最低限やってもらうこととして、それに応ずる体制だけは政府としてもき然として持ってもらいたい。このことだけを最小限要求をしておきたいと思うのです。
  80. 石川晃夫

    石川政府委員 先ほど少し定義の問題を御説明しましたので、先生のほうでそのような御指摘があったわけでございますが、実は私たちが事務当局といたしまして、宇宙の基本的なる法律というものはどのようなかっこうにあればいいかということを検討を進めたわけでございます。  先ほど先生が御指摘になりましたような、いわゆる平和目的あるいは自主、民主、公開というようなことにつきましては、当然この基本的な法律の中には盛られることは当然でございます。したがいまして、その点につきましては現在法律のできてない段階におきましては、従来から佐藤総理をはじめ歴代長官から、その点は厳に守っているというようなことで御答弁がありましたし、われわれもその趣旨で現在開発を進めているわけでございます。  ただ、われわれ事務当局の考え方といたしましては、このような宇宙の基本になるような法律をつくるためには、先ほどの法三章以外に、宇宙開発の本質というものをこの基本的な法律に盛るべきであるというふうにわれわれ考えるわけでございます。と申しますのは、宇宙開発を分けてみますと、宇宙機器の開発宇宙の利用という二つに分かれるのではないかというふうに考えられます。  この宇宙機器の開発と申しますのは、ロケット及び衛星というものが主体でございますが、やはりこの内容技術開発というものが主体になるわけでございます。その開発手法なりあるいはその成果の普及というようなものをどのように法律にあらわしたらいいかという点について考えなければならないと思っております。  次に宇宙の利用でございますが、これは先ほどから委員からも御説明ありましたように、この宇宙の利用というものは時々刻々進歩してきております。一九五七年には、中高度衛星というものが宇宙開発であるというふうに考えられておりましたのが、それがやがて無人から有人になる、さらに静止衛星、月着陸、さらに惑星探査というような問題まで進みまして、現在は宇宙ステーションを打ち上げるということが宇宙開発の大きな目的になってきております。さらに、現在考えられておりますように、そこに宇宙工場をつくる、宇宙の特質を生かしまして、すなわち高真空とかあるいは無重力あるいは極低温、こういうものを利用して宇宙工場をつくるべきであるというふうに進んでまいりますと、われわれはどこの時点で基本的なものをつかまえたらいいかということに非常に困難を感じているわけでございます。  また、この宇宙開発は非常に国際性が高いということで、宇宙通信についてはインテルサットの機構がございますが、気象衛星に関するWMO関係計画あるいはアメリカ考えておりますポストアポロ計画、このようなものにも適用できるような基本的な法律というものがなければ、われわれとしては、ただ観念的なものだけでは、やはりわが国宇宙の基本的な法律としては不十分ではないかというふうに考えて、現在、先ほど申しましたように、少しこの作業についての行き詰まりを感じておるということが実態でございます。
  81. 石川次夫

    石川委員 研究調整局長の言うことはわからぬことないのです。わからぬことありませんけれども、それを言い始めたらいつまでたってもできませんよ。それは来年と再来年、また変わってくるのです。利用の内容は一体どうなんだ、開発は一体どうあるべきか、あるいはまた研究推進はどうするべきか、それから利用及び宇宙空間に関する物体の打ち上げの管理というふうなものを含めて、政府の仕事というものの内訳をそこまで規定していこうとしたら、これは基本法はいつまでたってもできません。政府の施策というものは、利用の推進であり、開発の推進であり、研究の推進であり、さらに打ち上げの管理というふうな単純なもので、その内容は刻々に変わっていく、ただその基本にあるものは平和利用である、ということ以上にこまかに規定をしようと思えば、これは原子力以上に非常に困難になってくると思うのです。われわれはそこまでは要求したいとは思わないし、それを要求しては、これはできない。だからそういうふうな形での憲章的なものをやはり基本法として制定すべきではないか。その内容について一々言いましたら、きりがございませんよ。だからそういう点でひとつ理解を願いたいと思うのです。  きょうは、この質問は三木喜夫君がやることになっておりまして、私が別な今度の宇宙開発委員会の方針転換についての問題について、これを分科会で質問しようと思ったのですけれども、ほとんど時間がございませんで質問ができなかったわけで、あらためてこの問題を主体として質問したいと思ったわけでございます。  きょうは網島さんにも来ていただいたわけでございますけれども、網島さんは最近開発委員になられたばかりで、宇宙開発委員会の責任を問うという問題の提起をしますと、非常に酷じゃないか、こう私も御推察申し上げるわけなのでございますけれども、大体宇宙開発が一年足らずの間に大転換を遂げたわけですね。固体燃料ではだめなので液体燃料にするのだ、ソー・デルタというようなところを輸入をする、そういうようなドラスティックな転換が行なわれた。これは非常にドラスティックな転換で、この宇宙開発委員会としては非常に思い切った転換だということで、むしろ誇りを持って今回の答申や報告を受けているわけなのですけれども、しかしわずか一年間の間にこんなに大きく転換をするという、わずか一年前にはそういうふうな予想が一体つかなかったものなのか、どうなのか。転換をしたということの理由としてはいろいろ申し述べられておりますからここでは繰り返しませんが、大ざっぱにいえばユーザー側の意向が変更したのだというふうなことが一つ言われておるし、それからQ、Nロケットの一、二、四段が固体燃料で三段目のみ液体燃料であったものを、これを誘導制御というものが非常にうまくいかぬからということで、液体燃料に切りかえていくというような問題が出たし、あるいはまたアポロ衛星が月着陸ができたということで技術導入が非常にしやすくなった、コマーシャルベースでもってやれるようになったというようなことが転換のきっかけになった。しかしそういうことはその前から一体予想できなかったことなのかどうなのかということになると、そこまでシステマティックに考えられておらなかったというのが実態なので、やはり宇宙開発の姿勢というものをこの際よほどきちっと正していかなければいかぬのじゃないか。ということは、今度の転換によってこれですべて解決をするかというと、これはまだまだ多くの問題が残っておると思うのです。また転換を余儀なくされるというようなことになりますと、ELDOあたりでももうすでに、これは幾らでございましたか、おそらく二千二百五十億円ぐらいもELDOでは使っておるわけですね。たいへんな費用をかけてまだほんとうに成功していないわけです。自力で開発をするのだというけれども、ELDOのほうでは、どうしてもこれはだめならアメリカに打ち上げてもらうのだという意向もはっきりしております。ところが日本では何かソー・デルタ技術導入すれば自分の力でもって開発できるのだというような意向が表面に大きく出ているのだけれども、私はそれほど簡単な問題ではないのではないか、それが一つ。  それからこれはわれわれがしろうとでありますから正確には理解はできませんけれども、大体通信衛星というものを上げるのだということは、いままでは非常に表面に出てきていたわけなのです。この通信衛星についてはこれはまたあとから御質問したいと思っているのですけれども、最近は気象衛星というものが並んで出てきているわけです。ところがこの気象衛星というものについては、運輸省の中にある気象審議会のほうではこの希望は出ております。しかし運輸大臣として、運輸省の方針として気象衛星をいつまでに上げてもらわなければならぬのだというふうな確たる方針というものは私は確立されておらないと思うのですよ。はっきり日本の政府の方針としてこうやるのだというふうなことは確立されておらないけれども、宇宙開発委員会の方向転換の理由づけとして通信衛星と並んで気象衛星というものがぽこっと出てきている。一体何を目標にしてやるのだというシステムはできているのかというような疑問なしとしないわけです。そういう点での過去のことについては私は責任を追及するという気持ちはないけれども、こういう態度でこれからも終始をするということになると、宇宙開発委員会の真意を問われるということにならざるを得ないのではないか。その点はどういうふうにお考えになっておられるかということを伺いたいと思います。
  82. 網島毅

    ○網島説明員 お答え申し上げます。  先ほど昨年十月二日の方向転換につきましていろいろ御質問になられました。私ちょうどその前日に任命されましたのですが、その前にも若干開発委員会お話がございましたので私自身も勉強いたしました。その結果その委員会の席上におきまして私自身方向転換に賛成した一人でございます。  その理由は、初めとりました四十四年の計画にございましたわが国独自の自主開発、いわゆる自主開発技術でやれないことはないと思います。日本人の技術力をもっていたしますれば必ずいつかの日には静止衛星を上げることができるというふうに考えます。しかしいろいろ検討してみますとこれは非常にむずかしいことであります。ことに静止衛星を上げるという技術は並みたいていの技術ではございません。静止衛星を上げるためには、申すまでもなく御承知のとおり誘導の問題が非常に大事でございます。したがいまして、この誘導が正確無比にいきませんと静止衛星はでき上がらないのでございます。そういう意味合いにおきまして、一方通信衛星あるいは気象衛星その他実用衛星のほうの要望も漸次高まってまいりました。これは世界の情勢がそういう方向に向かっております。したがいまして日本としてもこれらの実用衛星を通じて国民の福祉に宇宙開発を持っていく、貢献させるということが一つの目標でございまするので、その打ち上げの期日等も考えまして、特定の技術でもって導入できるものは導入したほうがいいというふうに私自身考えたのであります。それにはやはり現在導入できる技術で、しかも日本としてもやりやすい技術は、固体ロケットにかわる液体ロケットを使うということでございまして、私もその方針に賛成したのであります。しかしながら私は固体ロケットがそれをもって不用になったとは考えません。やはり固体ロケット技術も必要だと思います。将来宇宙開発はやはり固体燃料と液体燃料を組み合わせたような、両方をうまく利用するというような技術がだんだん伸びていくのじゃなかろうかというふうに私は考えておる次第でございまして、そういう意味において液体燃料の技術を日本が身につけるということは非常に大事なことでございます。それには先ほどもいろいろ事業団から説明もございましたけれども、ただ向こうでできたものを持ってくるということでは絶対いけません。これはやはり何といっても事業団中心になって身につけるものはソフトウエアであります。その利用開発技術をまず身につけて、そうしてこれを自主開発の上に反映さしていくということでなければならないと私は考えておる次第でございます。  ところで、今後のひっかかる問題でございますが、宇宙開発委員会設置法にもございまするように、それから、その後のいろいろな討議その他でもっていろいろ申されておりまするように、私どもの責任はあくまでも平和利用であります。それから自主開発がやはり背骨になっております。それから民主的な運営をやっていく、技術の公開をする、国際協力をやっていく、こういうたてまえで私どもの委員会はいま進めておる次第でございまして、今後もその方針は絶対に堅持していきたいというふうに考えております。したがいまして、やはり何といっても自主開発が背骨でございまするので、昨年変更いたしました四十五年度の開発計画方針は、今後よほどのことが、たとえば技術改革、非常に予想できなかったような技術改革が起こるとか、あるいはその他の政治情勢が起こるとか、そういうことでない限り昨年度の方針は将来長く踏襲していきたいというふうに考えておる次第でございます。  ところで、通信衛星、気象衛星お話がございましたが、これはまた後ほど御質問があるようでございまするので、簡単に申し上げたいと思いまするが、やはり宇宙開発の最終目的は利用でございます。その利用の一つの方法は、何といっても衛星を上げましてこれを平和目的、国民の福利のために使っていくということでございます。それには通信衛星なり気象衛星というものが非常に貢献することでございまして、私どもはぜひなるべく早くこれを上げたいというふうに考えておりまするが、やはり何と申しましても、これらの衛星を利用する側の考え方がまず基礎であります。したがいまして、通信衛星につきましては郵政省が主管の官庁でありまするし、気象衛星につきましては運輸省が主管の官庁でございます。そういう官庁の御意向なり御希望をよくお聞きし、またこれをそしゃくし、これを日本の宇宙開発といかに、最も経済的にまた効果的に結びつけていくかということが私どもの責任ではないかというふうに考えておりまして、いまその問題につきましては十分検討しております。
  83. 石川次夫

    石川委員 私の質問はばらばらで、まとまらなくて、たいへん恐縮に思うのでありますけれども、実は今度の新しいソー・デルタということになりますと、アメリカでもって大体二十五億円ぐらいになるかと思うのですね。そうすると、東大でいままでやったものより値段の相当高いものになる。それから、大体四百億ドルを使ったこの宇宙開発でもって、特許が大体一万件出ておりますが、一つ当たりの特許の費用が平均にして大体十六億円ということになる。そうしますと、ただ単にこういうのはアメリカの国内でもってかかる費用だけじゃなくて、特許料というようなものも含めて導入をしなければならぬということになると、相当高くつくものになってくるのではないかというようなことで、現在までのところでは大体六年間でもって総経費千五百億円というようなことになって、たいへんな費用なんでありますけれども、これからの計画は大体十年間に延びたわけですね。この詳細は一体どうなるのだというこの内訳、これはたいへんな税金を使うわけでありますから、たいへんな費用がかかり、そうして宇宙開発の利用というものは一体どの程度なんだということは国民にまだまだよく理解をされておらないという面もありますので、そんなばく大な費用をかけて一体何するんだという批判が出ないようにするためにも、これだけの費用はかかりますけれども、かくかくのことに利用いたしますというような詳細なデータがなければ、信頼者がないと思うのです。そういうものはできておりますか。
  84. 網島毅

    ○網島説明員 いまの御指摘は全くごもっともだと思います。これは宇宙開発というナショナルプロジェクトは国民によく理解していただかなければ成り立ちませんし、またそうでなくちゃならぬというふうに考えます。いまの数字の詳細につきまして事務局が準備しておると思いますので、局長からひとつ御説明願います。
  85. 石川晃夫

    石川政府委員 現在宇宙開発計画を進めておるわけでございますが、当面われわれの宇宙開発計画の中に載っておりますのは、四十六年から五十二年までを目標としてやっておるわけでございます。その総計でございますが、前の四十四年度に計画いたしましたとき、これはQロケットNロケットという固体ロケットを使いまして、それで百キログラム程度衛星を静止軌道に持っていこうという計画が四十四年度の計画でございますが、そのときは大体千五百億から千七百億ぐらいの間で開発ができるであろうというふうに考えていたわけでございます。  今度の四十五年度の宇宙開発計画変更でございますが、これにつきましては、使用いたしますロケットも、ブースターロケット固体ロケットから液体ロケットに変えたということで経費的には増加してきたわけでございます。それでわれわれとしてはトータルとしてその開発経費を二千億円程度と見込んでおります。  ただ、この経費がふえたわけではございますが、将来その後の宇宙開発につながるということで見ますと、この二千億という三、四百億の増加というものがかえって効率的な使い方ができるのではないかというふうに考えまして、この計画委員会のほうへおはかりしたわけでございます。  その二千億の内訳でございますが、大体ロケット開発に使用いたしますのはその半分程度でございます。約一千億程度のものがこのロケット開発に必要ではなかろうかというふうに考えております。残りの大体七、八割ということは、施設の整備に七、八百億でございますが、これは地上施設あるいは試験施設、そのような整備に必要だと思います。  それから衛星開発といたしましてとりあえず考えております電離層観測衛星あるいは実験用の静止通信衛星あるいはこの開発に必要な技術試験衛星等を含めまして大体二百四、五十億ということを考えておりますので、トータルいたしまして、大体二千億近くになるかと存じます。  先生御指摘のように、ではこれだけの金を使って将来どうするのかという問題があるわけでございます。この点につきまして四十五年度につくりました宇宙開発計画におきましては当面の電離層観測衛星あるいは実験用の静止通信衛星というものを主体にして考えまして、この経費をはじいたわけでございますが、その後に当然考えられます実用衛星といたしましては、実験用ではなく、本格的な通信衛星あるいは本格的な気象衛星、このようなものが出現してくるわけでございます。したがいまして、そのような衛星をどのように利用し、どのようにそれが国民にはね返ってくるかという点につきましては、われわれとしても今後十分努力を重ねまして、国民の皆さま方に御理解いただくように今後努力したいと思っております。  その将来の計画につきましては現在宇宙開発委員会の中にそのような長期ビジョンを見る懇談会をつくりまして、各界の有識者の方に集まっていただきまして、今後のわが国宇宙開発をどのように持っていくかということについていろいろまた各界の御意見を承るという懇談会をつくりまして、委員の方々にも御相談いただいているということでございます。
  86. 石川次夫

    石川委員 いまの御答弁をずっと聞いておりますと、何かはっきりしないですね。具体的にわれわれを納得させ、したがって国民を説得できるような説明にはなっていないと思うのです。  たとえば、単純な御質問を申し上げますけれども、ソー・デルタ技術導入するのに一体どのくらいの費用がかかって、それは一体ノックダウン方式でやるのかあるいはライセンス方式でやるのか、そういう点なんかもきまっているのですか。
  87. 石川晃夫

    石川政府委員 これは宇宙開発計画の中にそのような考え方は述べているわけでございます。宇宙開発計画といたしましても、四十五年度に決定した宇宙開発計画でございますが、ロケットといたしましてNロケットをつくり上げる、そのNロケットというものは、第一段、第二段は液体ロケットを使用し、第三段には固体ロケットを使用するということが計画の中に書いてあるわけでございます。  なお一段目ロケットにつきましては、読み上げますと、「Nロケットの第一段液体ロケットについて、これまでわが国開発についての経験の不足および限られた開発期間にかんがみ、ライセンス生産、ノック・ダウンによる生産を考慮すべきである。しかしそのような場合でも、将来へのロケット開発技術を養うために設備に関する技術および設計製作に必要な各種データ、ノウハウもあわせて取得すべきである。」というふうに、この計画の中にはっきり明示してあるわけでございます。ただそれをソー・デルタにするかどうかという問題につきましては、宇宙開発事業団のほうで技術導入をするロケットについて検討していただいた結果、大体ソー・デルタ一段目ロケットが適切ではないか、これはそのロケットの機能あるいは規模、このようなものから見まして適当ではないかという意見が出てきているわけでございます。したがいまして、事業団のほうではそのような観点から現在ソー・デルタ技術資料なりその他の参考資料を入手いたしまして、検討を進めているわけでございます。その金額につきましては、今後アメリカメーカーとの接触もございますので、事業団のほうからアメリカのほうへも担当員が派遣されまして現在折衝しているわけでございますが、金額につきましてはまだ決定していないという段階で、今後どの程度導入を行なうかということによって決定されるものというふうに考えております。
  88. 石川次夫

    石川委員 ソー・デルタのほうは、これは大体IRBMのほうに転用されまして、距離が大体二千キロから三千キロ、高さが二百から三百キロというふうなことで、これは実用衛星としてはいままでほとんど使われておらないですね。実用衛星というよりはIRBMのほうに転用された面が多くて、しかもこれは大部分、もう三回ぐらいも失敗をやっている。百三十七億円くらいアメリカにおいてすら、ソー・デルタの打ち上げでは失敗をしているわけなんです。それが単純なライセンス方式で日本に持ってこれるかどうかという点について、しろうと考えながら多分に不安がないわけでもないし、それにかてて加えて、今後はまた宇宙開発の基本問題に戻るわけなんでありますけれども、実用ということのためにも宇宙開発をやるんだということはよくわかりますけれども、それ以上にやはり技術の波及効果というものが大きなねらいだと思うのです。波及効果ということからいえば、歯を食いしばっても技術導入をしないで日本の自主技術でもって確立をしていくんだということであってほしいという気持ちも私は残っておるわけです。たとえていうと、これはほんとうかどうかわかりませんけれども、Qロケットは廃止になりましたけれども、昭和五十年までには全段誘導完成させるんだというところまでの決意を私は個人的に聞いているわけなんです。まあこれをやったならばたいへんおそくはなるでしょう。おそくはなるでしょうけれども、これによって生ずるところの波及効果というものは、ソー・デルタを入れることよりも数段すぐれたものが得られるではないかという感じが私はしてならないわけなんです。これは私の偏見か誤解か、それはあるかもしれません。それがあればひとつ正してもらいたいと思うのでありますけれども、それと同時に先導技術導入というというものはある程度私はやむを得ないと思うのですね。ただ、いま言ったようにノックダウンというようなことではなくて、これはライセンス方式でやるということでなければ、この技術の波及効果それ自体もたいへん心もとないというような感じがするわけなんですけれども、先ほどもちょっと網島さんのほうからお話がありましたように、いわゆるシステムデザイン、ソフトエンジニアリングですね、システムエンジニアリング、これが確立をして初めてこの導入というものが生きてくるということはこれはもう論をまたないと思うのです。ただ単純に、われわれのシステムエンジニアリングの体制ができていないところにぽこっと技術導入したって、そこだけのあだ花に終わってしまう。それ以上に何ら発展しない。そういうかっこうで多額の費用を使うということになれば、まさに国費をむだづかいしたといわれても返すことばはないのではなかろうかという感じがしてならないわけなんです。  それで宇宙開発委員会事業団のほうに伺いたいのでありますけれども、このソー・デルタでやりますと大体五百キログラムというのが限界のようであります。あるいは日本では三百五十キログラムというふうにいわれておりますけれども、まあ大体五百キログラムぐらいまでを考えておられるようであります。これは網島さんのほうが専門でありますが、大体通信衛星の場合は一トンクラスでなければ採算が合わないというようなことがいわれておるわけですね。五百キロじゃ採算が合わない。一トンだということになると、その先のアトラス・セントールというような技術を持ってこなければ、これはもう一トンの通信衛星は上げられないわけですよ。これは気象衛星についても同じことがいえるわけです。そうなりますとソフトウエアといいますか、システムエンジニアリングというものが確立されていなければ、ソー・デルタ技術がぽこっと入ってきても、その次さて一トンでなければ採算が合いませんよといった場合に、今度はそれから発展する日本の技術でもって一トンの通信衛星が上げられるようになり得るかどうかということになると、私は非常に疑問だと思うのですね。またあらためて技術導入するなんというばかげたことをやるくらいだったら、いまから歯を食いしばっても国産技術でもって時間がかかってもやるべきだ。それだけのソフトウエアというものは確立をされておるのかどうか。それでソー・デルタというものをもし入れると仮定をして、その技術導入することの技術波及の効果に基づいて、アトラス・セントールというような新しい技術を入れないで、採算のとれる静止衛星を上げ得るという確信を持てる計画でなければ、私は現在のままの説明程度では納得できないわけです。国費のむだづかいだということに在るのじゃなかろうかと思う。こういう懸念にたえないわけなんですけれども、そういう点は開発委員会並びに事業団のほうとしてはどういうふうにお考えになっておられるか、それを伺いたいと思うのです。
  89. 網島毅

    ○網島説明員 いま先生から御指摘の点、まことに同感の点が多々ございます。  それでまず開発の問題ですけれども、先ほどおっしゃいましたが、自分でイロハのイの字から始めれば、これはもう一番その技術が身につきます。これは疑いございません。しかしながらすでに他国、ほかのほうで相当時間をかけ、また人間をかけ、経費をかけて開発してきて、すでにある程度公開されてもいいような状態になっている技術は、私はなるべく取り入れたほうがいいと思います。これがいわゆる学術、科学技術の世界的交流です。ほかでやった失敗をまた日本が二度と繰り返す必要はないと思います。そういう意味で、基礎になる技術導入したほうがいいということを先ほど申し上げたのでありますが、先ほども申し上げましたように、その場合にはやはりでき上がったものそのものではだめなんでして、それがいかにしてつくられたか、どういう設計のもとに使われたか、それからいかに利用されたかというソフトウェアでございますね。ソフトエンジニアリングと申し上げましたが、これが非常に大事なことです。したがいまして、私ども委員会といたしましても、機会あるごとに事業団に対しましてもソフトウエアをまず身につけるべきだ、それが事業団の使命でありますよ。ハードウエアはこれはメーカーに頼めば、いまのように各国メーカー同士がお互いにタイアップしているような状態では、メーカーは金になるものは何としてでもつくります。しかしそれをいかにデザインしいかに利用していくか、いかにそれをさらに将来の発展のために利用するかというソフトウエアは、これは事業団自身が身につけなければいかぬというように私どもはかたく信じております。  そこで、一つの例を申し上げたいのでございますけれども、御承知のとおりいまは日本は全国がマイクロ通信で張りめぐらされております。日本のマイクロ通信網は世界一でございます。しかしこれが行なわれるいまから約十数年、二十年ばかり前でございますが、当時の電電公社におきまして、総裁が、いろいろ反対がございましたのを押し切って、まず英国のSTCの機械を一組輸入をいたしました。そしてそれを大阪-広島間でしたかに使いまして、その技術がもとになっていまの日本の世界的なマイクロ技術が発展してきたのであります。したがいまして、宇宙開発におきましても私どもの念願とするところは、まず向こうである程度でき上がって、そしてある程度公開されてもいいような技術は取り入れて、それをもとにして日本独特の技術を発展させていく。そしてそこに実用的な、国民福祉に貢献するようなものをつくっていくし、またそれによって先ほどおっしゃいました技術的な派及効果、これも大いにねらっていくというふうに考えている次第でございます。  そこで、通信衛星の問題にちょっとお話が及んだのでございますが、通信衛星につきましては、いま私ども五十二年に実験的な静止通信衛星を上げようというふうに考えて進めております。これが重さ約百キログラムでございます。したがいましてこの百キログラムでは、将来日本が必要とするであろうところの通信のチャンネルを全部載せることはできないことは私どももよくわかっておるものでございまするが、しかし何ぶんにも現在開発されているNロケットは大体その辺のペイロードがリミットでございます。そこで私ども次の段階を考えておるのでございまするが、今後十年ぐらい先の日本の通信の要望を想定いたしますると、何と申し上げましても経済の発展それから情報社会の非常に大きな要望、そういうものを考慮に入れますと、十年先にはおそらく国際通信において電話チャンネルに換算いたしますと約四万二千チャンネルぐらい、それから国内通信におきましては百万チャンネルぐらいのものが日本では必要だろうというふうに私どもは現在想定しております。そこでもちろんそれらの要望を満たすためには、現在のマイクロはもちろんでございまするが、現在の国内のマイクロは周波数の問題である程度行き詰まっております。それから同軸ケーブルを張りめぐらしていく、これも電電公社で考えております。しかも同軸ケーブルを陸上だけじゃなしに海を回しまして、遠距離の同軸ケーブルで相当多数のチャンネルをとっていく。それと同時に日本が離島が多い、あるいは災害が多い、その他将来のテレビ電話あるいは情報社会の要望等を考えますると、私どもはやはり通信衛星も非常に大きな役割りを果たすべきものだというふうに考えておるのでありまするが、そういう想定のもとにいろいろ考えておりまするが、大体今後の日本のそういう要望を満たす通信衛星が、重さにいたしまして三百キロないし五百キロ程度でいけるのではなかろうか、もちろんそれは技術の進歩というものを考慮しております。御承知のとおり部品が非常にこまかくなってきております。過去の真空管からトランジスター、トランジスターからまたIC、その他さらに最近の集積回路というふうに非常に技術が発展してきておりますので、そういうものを考慮いたしまして、大体三百キロないし五百キロ程度で一応日本の将来の衛星通信というものは考えていいんじゃなかろうかという想定をしております。いまそれに向かいまして郵政省を中心といたしまして、電電公社、電波研、その他いろいろ研究を進めておる次第でございまして、先ほど御指摘のように一トンというようなものは、私どもいま考えておりません。現在インテルサット衛星におきましても、最近のごく新しいもので大体四百キログラムの重さのものだと存じております。したがいまして、いま先生が御指摘をされた点を十分考慮いたしまして、委員会としては将来間違いのない施策をしていきたいというふうに考えております。なお詳細はまた事業団のほうから御説明申し上げると思います。
  90. 松浦陽恵

    松浦参考人 先ほど先生から御指摘がございました、ソー・デルタライセンス生産をする、あるいはノックダウンでつくる、こういうことだけでは技術わが国に定着しないじゃないか。それから将来の発展性の問題、これについてお話がございましたが、これにつきましてお話し申し上げますと、現在ソー・デルタにつきまして技術導入いたしましょうと考えております範囲は、一段の最初の段階のノックダウンと、それに引き続きますライセンス生産でございます。しかも、これが単なるライセンス生産というのではなくて、このロケットの機体、ロケットエンジン、それぞれ関係いたしますこの開発に至りました場合の試験のデータ、実験のデータ、研究のデータ、それから設計に使われましたいろいろな資料、こういうものをあわせて導入するように計画いたしております。したがって、できるだけ広範囲技術資料ライセンス生産をやることによって得ようという考えを持っておるわけであります。  それからNロケットをいまのようにブースターソー・デルタ一段を使いましてつくり上げますのに、二段は自主開発中心として進めていくということを申し上げました。これは特に二段のロケットエンジン設計に関しましては、現在アメリカ技術指導を受けておりますが、設計に必要な技術資料、これは非常に詳細にわれわれに入ってまいっております。したがって、この二段のエンジン開発するということによりまして、液体ロケット開発の処方というものにつきましては非常に広範囲の勉強ができるということを確信しておるわけであります。そこでソー・ブースターにこちらでつくります第二段のエンジンを乗っける、その上に第三段を乗せる、こういうNロケット開発するわけでありますが、この全段を組み立て上げる、これは単に工場で組みつけるという意味ではございません。設計上これを組み立てるということは、わが国でこれをやるわけでございます。ただそれに必要な部分的な技術指導アメリカから受けるということはございますけれども、自分でこれはやるわけでございます。したがって、ロケット設計いたします、こういう基礎的な技術は、Nロケット開発することによって得られる、こういうふうに確信しております。  ただ、今度は一段エンジンでございますが、あるいは一段ロケット、これを中心にいたしましてNの次の段階の性能向上型というものを考えますと、どのくらいの衛星が打ち上げられるものがつくれるかということでございます。これは静止衛星の軌道に乗せます衛星の重量といたしましてせいぜい数百キログラム、この辺までの性能向上は比較的容易でございます。しかしそれよりも大きい衛星を飛ばす必要が起こりましたときには、いま申し上げましたようにこのNロケツトを開発することによりまして得られました技術、データ、これをもとにして経験を積んで、これを勉強することによって得ましたわれわれのポテンシャルというようなものが次の大きいロケットをつくるということに十分役立つものと確信しておるわけであります。  それからもう一つ事業団はソフトウエアを身につけるということにつきまして網島宇宙開発委員からお話がございましたが、現在事業団はそういう方針で作業を進めております。現在ロケットのみならず人工衛星、それからあるいは地上設備、そういうもの全般にわたりまして、ソフトウェアにつきましては技術導入をするものについては事業団が直接これは導入をする、ハードウエア、品物をつくります製造技術につきましてはメーカーにこれを入れさすというような方針を立てております。それを現在実行しておるわけであります。
  91. 石川次夫

    石川委員 これはこまかい技術的な点、しろうとなりに質問しようとすると幾らもあるのですけれども、時間があまりありませんで非常に残念でありますが、実を言うと私の聞いている範囲では、大体一トンということは世界の現時点では常識になっている。採算ベースに合うというのは一トンである。まあ集積回路が単なるICからMSIからLSIに進んだような技術の進歩というものを見込んだ、網島さんがまあ五百キロぐらいで間に合うだろうとおっしゃっているのではないかと思うのでありますけれども、それ以上に私は現時点で日本のマイクロウエーブの技術というものは世界で第一級の進み方をしていると思うのですよ。非常に私高く評価をしているのです。高周波あるいは多重化あるいは固定化というものはどんどん進んでおります。電電公社では最近十五ギガヘルツ、十八ギガヘルツのサブミリ波の実用実験に成功しているわけですね。それから将来は、ミリ波というものはちょっとこれはなかなか困難な前途があると思いますけれども、これは成功する可能性は大いにあると見なければならない。それからレーザーを使う場合もこれは大いに考えられる。ということになると、地上が満ぱいになったから通信衛星がどうしても早期に必要だという理由は薄くなってくるのじゃないかというように、しろうと考えで私は考えているわけですよ。そうあわてなくてもいいんじゃないか。そういう、ミリ波を地上でもって開発していけば、十分地上の通信でもって間に合い得るのではないか。  そうかと思うと一方では、カナダは、これはいままでの話と全然反対のような話をするわけでありますけれども、一九七二年には国内放送衛星を上げますということになっておりますけれども、これは一トンですね。一トンの衛星を上げるわけでございますけれども、これはアメリカが打ち上げるのですよ。アメリカにまかせるのです。衛星だけは自分のところでつくる。こういう行き方も私はあると思うのです。そういう行き方も考えられなかったかなという感じが、私個人としてはしないでもないのです。アメリカのほうはどうかというと、タイタン3を使って、そのうち計画しているものは大体四トンぐらいのものです。ものすごく大きなものです。非常にグローバルなものを打ち上げようとしておる。そういう世界の情勢などを見渡していくと、いまあわててソー・デルタ技術を引き入れなければならないという必要性が、一体、技術波及効果の面からだけいえばあるんだろうか、何とか日本の技術でもってやっていけなかったものだろうか、こういう感じがしてならない。と同時に、宇宙開発委員会のあり方自体の問題になるわけでございますけれども、私は、日本でほんとうにやらなければならないのは衛星研究ではないかと思うのですけれども、宇宙開発委員会のいままでのずっと報告を聞きますと、ほとんどロケット報告なんですよ。ロケット報告ばかり聞いているのです。衛星報告はつけ足しのようなかっこうになっているわけです。しかしながら、私個人の好みのようなかっこうになりますけれども、魚群探知衛星みたいな、日本の海洋資源の開発をするというふうな特殊な必要性に基づいた衛星開発、こういうふうなものこそほんとうに日本はやらなければならないのじゃないか。もちろん、通信衛星も必要でしょう。そういうふうな衛星研究重点を置くということに切りかえていかなければならぬと思うのでありますけれども、いまの予算内容なんか聞きますと、ほとんどロケットですね。ロケットロケットということでこの研究が進んでおる。だから、ロケットのことにあまり重点を入れると、これは先ほど言ったように、IRBMという連想も当然出てこないわけではないわけなんです。なぜ衛星にもっと力を入れないんだ。それから、ソフトウエアというものをもっと確立するということを前提として、それで、よしんば、もしこの小型化というものが進まないという状態になって、現時点におけると同様に一トンの衛星というものでなければ採算が合わないんだという場合には、自分の力でそこまでのし上げていけるというソフトウェアの確立というものが前提でなければ、単発的な技術波及効果のねらいの少ないような技術導入というのはやるべきでないというような意見すら私は持っておるわけなんです。  大臣、もう御退席になるようでありますので、ちょっと残念ですけれども、ひとつ簡単な質問をいたしますけれども、これは安全工学上からもちょっと問題があるんじゃないかという気がするのです。液体燃料になりますと、ヒドラジンによるところの海洋の汚染というものが相当ありますね。この対策も一体考えておるのかどうか、これが第一点。  それから非常な危険性があります。固形ロケットでありますと、危険性が少ないのだけれども、日本の場合には、これは液体燃料でやった場合には、一体実験場があるのだろうか。砂漠のまん中でやるアメリカとちょっと事情が違うわけですね。そうなると、はたして日本にその適地があるのだろうかという疑問すら私はないわけではないわけです。そういう問題は一体解決しているのだろうか。それから、種子島でやろうと思っても、これはできません。あそこはまだ部落がありますから、危険性のことを考えると、この実験場を見つけるということがまず非常な困難な問題になってくる。それから、最近の趨勢としては、液体酸素と液体水素というのが常識になっているわけでありますけれども、このソー・デルタに関する限りは、これは硫酸ケロシンですね。これは力が弱いということになっていますね。これで一体いいんだろうかという疑問も残るのです。そういうふうないろいろな問題が残るので、どうもすなおにソー・デルタというものを入れて、何か技術の波及効果をねらい、利用もできるんだというふうなドラスチックな変更をやって、これでもって変えなくてもいいんだというような当局の説明だけで、われわれはとてもちょっと安心ができないような感じがするし、かてて加えて、安全工学上の問題というものは一体どうなっているのだろうか。液体燃料も、これは液体酸素、水素ではなくて、硫酸ケロシンというようなもので一体いいんだろうかというような問題も残るわけなんです。その点、たいへん時間がなくて恐縮なんですけれども、大ざっぱにひとつ納得のいくような説明というわけにはちょっといかぬと思うのでございますけれども、御説明を願いたいと思うのです。
  92. 網島毅

    ○網島説明員 私からお答え申し上げたいと思うのでございますけれども、がまんしていただきます。  先ほど衛星の問題ですけれども、御承知のとおり、いまの昨年きめました開発計画は、五十二年までの実験用静止通信衛星まででございます。それで、それ以後の問題につきましては、鋭意目下検討しておりまして、先ほど局長から説明がありましたように、長期ビジョン懇談会というものを委員会の中につくりまして、そこでいま検討中でございます。  そこで衛星の目方の問題につきましても、その懇談会でいろいろ検討されるわけでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、通信衛星だけを考えた場合のことを申し上げたのでございまして、これが一方には多目的衛星という意見があります。一つ衛星に、通信ばかりじゃなしに、放送であるとかその他資源探査であるとか、必要なものは全部載せたらいいじゃないか。そういうふうになってまいりますと、これはとても五百キロくらいじゃ済まないと思います。おそらくそれ以上さらに一トンとかというよう大きな衛星になると思います。  それからそのころになりますと、アメリカでいま考えていますポストアポロの計画が一体どういうふうになるのか、いまではちょっとまだ想像がつかないのですけれども、アメリカでいま着々進めております。日本もこれは対岸祝するわけにいきません。これも問題を研究していかなければなりませんので研究しておりますが、そういう問題もございますし、現在長期ビジョン懇談会でそういう問題もあわせて将来の日本の宇宙開発にあやまちのないようにしたいということで検討しておる次第でございます。  安全その他の問題については事業団のほうからひとつ……。
  93. 松浦陽恵

    松浦参考人 第一段ロケット、液体酸素とそれからケロシンを使ったものよりも液体水素を組み合わせたもののほうが性能が優秀だろうという御質問でございますが、液体水素は、御承知のように、これを液体酸素と組み合わせますと、非常に優秀なロケットになります。これは実際に証明されておるわけでございます。ただ液体水素は非常に比重が軽うございまして、第一段目に使いまするには非常に困難性がある。それで、液体水素と液体酸素を組み合わせました推進薬を使いますロケットは、上段のほうに用いるほうが効果的でございます。この問題につきましては、われわれのほうも、現在いろいろな将来の計画といたしまして検討を進めておりますが、第一段に液体水素を使うという考えはいまのところ持っておりません。性能的には確かに得ではございますが、がらが非常に大きくなりまして、かえって上段に使うほうがずっと性能がいいというロケットができます。  それから種子島の安全の問題でございますが、Nの性能向上型、これを使います場合を考えまして、現在までに検討いたしました結果では、十分安全警戒を必要といたします保安区域はきめますので、あの大崎という部落がございますが、そこにNの射点をつくりまして、打ち上げまして、十分安全が保てるという見通しがついております。
  94. 石川次夫

    石川委員 これはこまかいことを質問し始めると切りがないので、もうそろそろ切り上げたいと思うのですが、その安全だという見方も人によってだいぶ違うようですね。種子島ではとてもできないであろうというのが、私の聞いておる学者の意見なんです。それは非常に近くに部落があって、万一のことがあったらとんでもないことになるのではないかというような意見も私としては聞いております。  そのほかいろいろ海洋の汚染の問題についての話はいま答弁をいただきませんでしたけれども、これも重大な問題になる可能性があるわけです。そういう問題の解明もしなければならぬというような、技術的にいろいろこまかい点がたくさんあると思うのでありますけれども、基本的には、向こうから先導技術導入しなければならぬということは原則的にはわれわれも理解するのにもちろんやぶさかではないわけなんですけれども、それが技術の波及効果を生んで、もし一トンの衛星でなければならぬというような時代が必ず来るのではないか。カナダですら一トン衛星を上げるということをいっておるわけですから、そういう場合にはまた新たな技術導入しなければならぬというようなソフトウエアというものはきわめて不完全な状態になった上での導入というようなことであったのでは、これはたいへん国費の乱費ということになって申しわけないことになると思うのです。非常にばく大な費用を使うことになりまするし、最近はアメリカにおいてSSTというものは、高度の技術こそは国の威信であると言ったケネディ以来の神話はくずれまして、この予算がもう否決をされておりますね。テクノロジーアセスメントということは非常にやかましく最近叫ばれておるわけです。宇宙開発こそは私は現時点においてテクノロジーアセスメントの最大の対象になるのではないか、こう考えざるを得ないのです。もちろんこれはやらないよりはやったほうがましだし、われわれの側では、日本としては、国の威信をかける問題ということでこれを取り上げるわけではないので、技術の波及効果とその利用ということを、何とかしても国益の立場に立ってやっていきたいということは言うまでもないことなのでありますけれども、テクノロジーアセスメントという機関がいま日本にはないわけです。しかしそれをかけるような、自分みずからをそういうテクノロジーアセスメントにかけるような形で、この技術開発宇宙開発の進歩というものについてひとつ取り組んでもらわなければならぬ。これがあと何年かたって、この委員会で言われたけれども、やはりそのとおりになっちゃったというようなことでは、はなはだ申しわけない結果になるのではないかと、私はいまから懸念にたえないのです。いろいろな人からいろいろな意見を聞いておるものですから、非常に心配のあまり言い過ぎた点はあるかもしれませんけれども、どうかそういう点を十分に考えた上で、安直な技術導入はぜひやめてもらいたい。固体燃料のほうは東大でもいま進めておるわけでありますが、これでも非常に美点がたくさんあるわけですね。これでもある程度のことはやっていけるのですよ。そういう美点も十分に取り入れる。ソフトエンジニアリングというものを十分に確立をする。波及効果が十分に期待できる。そして国費のむだづかいにはならない。こういう点を十分に確信を持った上で前進をさせてもらって、この前のように十分予想できた要素があったにかかわらず、一年間でまたドラスティックに変わってしまったというような醜態を二度と繰り返さないような方途で進んでもらいたいということを強く要望いたしまして、きょうの質問をこれで終わりにしたいと思います。
  95. 木野晴夫

    木野委員長 次に、近江巳記夫君。
  96. 近江巳記夫

    近江委員 小委員長のお許しを得まして、簡単に補足質問をちょっとさせていただきたいと思います。  先ほどの、要するに軍事転用の問題でございます。ミサイル関係した問題ですが、事業団にお聞きしますが、ロケットの製作を会社に出す場合、許可なくして他への利用を禁ずるということをおっしゃっているわけですが、このチェックのしかたですね。どのようにしてチェックなさっておりますか。
  97. 松浦陽恵

    松浦参考人 いまのところは先ほど申し上げましたように契約条項でもってこれはうたってございます。それからもう一つは実際問題といたしまして、常時われわれのほうは技術指導あるいは監督、これに参っておりますので、実情が、試作、試験の段階におきましてもこれはよくつかめます。それからもう一つ技術資料の保管の問題でございます。これは工場に参りまして定期的にチェックをするという制度がとられました。これははっきりした手順をきめまして行なう予定にしております。それからもう一つは、工場に、これは主として信頼性管理の立場から、監督員を置くわけであります。関東地区とそれから中京地区に、今年度の定員で監督の駐在員が認められました。これにいまの業務をやはり一部担当させることができる。実質的にはいま申し上げましたようなことでございますが、会社がこれをほかに転用する、ほかに使いたいという希望が出てきたり、あるいは会社が成果を発表する、こういう場合にはこちらに許可申請をいたしまして許可を得なければ実行に移せない、こういう成約になっております。
  98. 近江巳記夫

    近江委員 話をお聞きしますと定期的にチェックをしておるというようなこともあり、監督員の人も見ているという点なんですけれども、しかしそれはなるほど依頼なさったロケットのそれについて注意は払われておるかもしれませんけれども、ベースであるそういう技術、それは結局頭の中にたたき込んだのもありますし、それがミサイルのほうに転用されるという歯どめはどのようになさっておるわけですか。
  99. 松浦陽恵

    松浦参考人 いまの頭を通じまして転用されるという可能性でございますが、これは私たちのほうは担当者を限定をするという方針を極力とっております。これが工場に対するわれわれの基本方針でございまして、同じ人が両方の仕事をやらないということを極力指導をしたい、そういうふうに考えております。
  100. 近江巳記夫

    近江委員 配慮は払われておるようには私、思いますけれども、しかし正直申し上げて、頭の中に入っておるノーハウなり何なり、それは完全に歯どめができるかという点になれば、正直な話非常に心配な点はあるわけでしょう。正直な点をおっしゃってもらいたいと思うのです。どうですか。
  101. 松浦陽恵

    松浦参考人 おっしゃるような心配は確かにございます。したがって、先ほど申し上げましたように、私たちのほうの仕事に関係していただく方は、他の業務に関係しないで専任でやっていただく、そういうふうに極力お願いする。したがって、ある一つの仕事をお願いする場合に、それに担当いたします人を実は提出してもらいまして、そしてこちらのほうで十分チェックをいたしております。
  102. 近江巳記夫

    近江委員 そうしますと心配な点があるという、そういう非常に率直な感想が一つあったわけですが、心配があるということは十分でないということですし、国会でもこういう話が出たわけですので、今後の歯どめについてさらに強力な何か具体的な点をお考えになっていただいておるでしょうか。
  103. 松浦陽恵

    松浦参考人 方法といたしましてはいままで申し上げましたことに尽きると思います。それを実際の実行に移しましていくものと、それからすでに実行に移しているものとがあるわけです。これを十分厳格に私たちのほうで指導をするということでまいりたい、そういうこまかい取りきめ、そういうものをつくりたいと考えております。
  104. 近江巳記夫

    近江委員 その点はひとつ厳格に、さらに歯どめの具体策を検討をしていただきたい。これを要望しておきます。  それから先ほど石川局長さんが、学問としてはロケット研究をしていかなければならぬ。しかしそれが軍事利用に使われるか宇宙開発に使われるかは問題外であるという、そういう意味の発言をなさったわけですが、東大に関していうならば、東大ロケット計画政府宇宙開発基本計画の拘束を受けるはずであると思うのです。としますと、学問は学問、利用は利用という考え方は、平和利用ということから考えても少しおかしいのではないか、このように思うのです。その点どうですか。
  105. 石川晃夫

    石川政府委員 東京大学で宇宙開発を始めましたのは昭和三十年でございます。これは純学問的に始めたわけでございまして、もちろん東京大学の先生方も、このようなロケット開発については何ら軍用目的、あるいは平和目的、こういうものに分けてではなくて、純学術的に研究を始めたのがわが国宇宙開発の初めでございます。したがいまして、このロケット開発を進めていくに従いまして、その学問的な内容のものが進んでまいりまして、そうしてカッパーからラムダ、ミューというふうに進んできて、わが国の現在のミューロケットの体制ができてきたわけでございます。今度そのロケットを使いましてどのように利用するかという計画が出てきたのが、ミューロケットを使って科学衛星を打ち上げるということで、ここで初めて純粋的な学問の立場から離れまして、利用というかっこうに進んできたわけでございます。ここで宇宙開発委員会、当時は宇宙開発審議会でございますが、宇宙開発審議会、さらにそれを受けての宇宙開発委員会が、これを利用計画として科学衛星計画に入れたということで、その段階におきましては当然この計画の拘束を受けるということは考えられるわけでございます。
  106. 近江巳記夫

    近江委員 学問としてロケット研究はしなければならぬ。それが利用という点において軍事利用であるか、宇宙開発平和利用であるか、それはあまり重要視しておられないようなニュアンスを私としては受け取っておるわけですが、そういうあれでいいのですか、考え方としては。
  107. 石川晃夫

    石川政府委員 われわれが考えておりますのは、やはり利用というものを考えての開発計画ということでございます。やはりものが悪用されるか善用されるかという点につきましては、それは利用の段階によって決定されるものだと考えておるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、利用を確実に縛っておけばやはりその点は絶対悪用されないというふうに考えておりますので、学問的分野において将来善用されるか悪用されるかわからないから押えてしまえというのは、かえって学問の発達を阻害するというふうに考えております。
  108. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、また基本的になってくるわけですが、この平和利用というのは一体何かということになってくるわけですね。それで先ほどから石川先生からもいろいろな質問があったわけですが、宇宙空間を軍事利用しない、これはよくわかるのです。そうしますと、ロケットについては、これは具体的に言えばどうなるのですか。たとえばミサイルをつくらないことであるとか、あるいは平和利用ロケットミサイルに転用しないことであるとか、いろいろなことが考えられると思うのですが、どのようにお考えですか。
  109. 石川晃夫

    石川政府委員 われわれが考えております宇宙開発計画におきましては、いまロケットというものは、宇宙を利用するというための一つの手段としてロケットというものを考えているわけでございます。ミサイルとなりますと、ロケット自体を一つ軍事目的ということで使うわけでございますし、またICBMのようなものになりますと、これは攻撃用の兵器という目的でつくっているわけでございます。われわれが考えております宇宙開発計画は、これは計画の中にもございますように、衛星を打ち上げるというためにこのロケットを使おうということでございます。しかもその衛星というものが平和目的ということから考えまして、たとえば先ほど委員のほうからお話がありましたように、通信衛星、気象衛星あるいは将来の問題として資源探査衛星、そのような平和目的に利用される衛星を打ち上げようというのがわれわれの計画でございます。それを平和目的と称しております。
  110. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、平和利用ロケットミサイルには転用させないということなんですね。そうしますと、この転用させないということは、どの程度まで転用させないということなんですか。
  111. 石川晃夫

    石川政府委員 これは、先ほどの御質問でも申し上げたかと存じますが、そのロケットそのものを軍事利用には使えないということでございます。
  112. 近江巳記夫

    近江委員 ですから、その転用の中には、技術の問題、ノーハウの問題全部入ってくるわけなんですけれども、それももちろん全部含めてですね。
  113. 石川晃夫

    石川政府委員 少なくとも宇宙開発事業団開発を行なっております技術あるいは技術導入的なもの、そういうものを含んででございます。
  114. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、もしもそれが、要するに三次防、四次防含めて四百何十億、それだけのいろいろな種類のミサイルが使われておる、それがたとえ技術であろうが何であろうが、少しでも使われていれば軍事転用ということになるわけですね。そうしますと、現実にメーカーが同じであって、そういうことに使われてないというようなことは考えられないわけですよ。いまあなたがおっしゃっておるそのことについては、現実に軍事利用に使われているわけですよ。私は、これはもう大きい問題だと思うのです。
  115. 石川晃夫

    石川政府委員 その問題につきましては、これは防衛庁ででき上がりましたミサイルチェックしてみないと、どのように使われているかはわからないわけでございます。また、われわれといたしましても、この三次防、四次防でどのようなミサイルができるかということについては、科学技術庁としては、その内容は現在まだ入手していないわけでございますが、もし確実に宇宙開発事業団なりで開発されました技術がそのようなものに利用されているということになりましたら、その時点において十分検討しなければならないというふうに存じております。
  116. 近江巳記夫

    近江委員 そうすると、自主開発でつくられておるミサイルのそれについて総点検する必要がありますね。それは科学技術庁としてあくまでも平和利用という点から守ってもらわなければならぬことでありますし、それは確実にミサイルについて総点検をしていただいて、そうしてその辺の転用があれば、これはもう非常に私、問題だと思うのです。その点はいつやっていただけますか。
  117. 石川晃夫

    石川政府委員 その問題につきましては、先ほど事業団のほうから申しましたように、あらゆる手段を講じてそのようなチェック機構というものをつくっているわけでございます。しかし、もしそのようなことが問題になりましたら、これは当庁で行なうという性格のものではございません。これは政府として行なうということでございまして、当然防衛庁と御相談しながらやることだと存じております。
  118. 近江巳記夫

    近江委員 防衛庁としても、これはやはり国民のひとしく危惧しておることでございますし、この点、政府としても積極的に点検をするような御意向がいま答弁の中からうかがえるわけなんですが、これは防衛庁は積極的な御協力をなさるおつもりですか。
  119. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいまのをちょっと補足させていただきますが、積極的にチェックするということを現在考えているわけではございません。もしそのような事態が起きましたらやはり考えるということでございまして、何もそのような現象が現在起きかかっているということではございませんし、またそのような、チェックしなければその問題については現在担保できないというような内容ではございませんので、そのような点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
  120. 近江巳記夫

    近江委員 現実に私も国民の代表として疑いをかけているわけなんですから、その疑いを晴らしてもらわなければ困るわけです。それを政府がやってくれなければ、だれが見るのですか。国民のそんな技術的に何もわからぬ者が、形だけ見たってわかりませんよ。ですから、その負託にこたえてやはりそれは見てもらわなければ困るわけです。その点、防衛庁としては、国民の信頼を裏切らないという基本的な考えに立ってどのようにお考えでございますか。
  121. 国本隆

    国本説明員 従来も、先ほど申し上げましたように研究開発において誘導武器を自主開発しておりますが、これもあくまで私たちは、われわれの頭で、われわれの技術開発するように努力しております。四次防におきましてもその精神は変わっておりませんで、先ほどいろいろ先生から御指摘の点がございまして、科学技術庁からもいろいろお考えを述べておられますが、私たち科学技術庁に御迷惑をかけるようなことのないように十分留意いたしまして、皆さんの御期待に沿えるように技術的な開発をしていきたい、こういうふうに思っております。
  122. 近江巳記夫

    近江委員 そこで、こういう何となしに霧の中に閉じ込められたような感じをわれわれとしては持つわけですが、これをひとつ晴らしてほしいと思うのです。その点、それだけ防衛庁としても自主技術でやってきたとおっしゃる確信があるなら、やはり晴らす意味においても、科学技術庁と協力されて、そうして詳細にひとつ報告をしてもらいたいと思うのです。その点、点検して報告するということは約束していただけますか。
  123. 国本隆

    国本説明員 非常に具体的な問題になってまいりますと、防衛技術の問題もございますし、いろいろ技術的以外に問題点もございますので、この点はわれわれとしても、先生御指摘の点をできるだけ反映したいとは思いますけれども、私、一説明員として出席しました者が、すべてこれを御心配なく全部やりますと言うわけにはいきませんので、これは帰りましてよく幹部にも申し上げまして、実施面にあたりましては技術研究本部あるいは各幕の関係がございますので、御意図をできるだけ実施できるように努力はしたいと思っております。
  124. 近江巳記夫

    近江委員 ここで、きょうも大臣出られたので、局長さんにお願いしておきますが、この点については、ひとつわれわれとしては安心しきってないわけです。その辺の今後いかに歯どめをかけていくかということと、防衛庁と協力したその辺の点検、これだけはひとつ前向きにやっていただきたい。この点どうですか、お約束していただけますか。
  125. 石川晃夫

    石川政府委員 その点につきましては、先ほど事業団から説明がありましたようなチェック機構で私たち十分目的が果たせるというふうに存じておりますが、先生から御指摘ございましたように、それでも不安であるということでございますので、その旨は大臣に伝えまして、大臣からいろいろ御指示を得たい、こういうふうに存じております。
  126. 近江巳記夫

    近江委員 それじゃ、もう時間ありませんので、終わります。
  127. 木野晴夫

    木野委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十一分散会