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石川委員 時間がだんだんなくなってきましたから結論的に申し上げますけれども、この前も私申し上げましたように、OECDという先進国の集まりでは、後進国に対する援助ということがもちろん当然の任務として
一つありますけれども、
あとは経済と
科学の二つなんですね。経済と
科学の二本立てで、これがすべてのことを処理するという形になっておる。
科学の中には、公害あり、交通対策あり、災害対策あり、
日本では法律を出して、特別
委員会をつくればそれでいいような、こういう
考え方があるのだけれども、
ほんとうは
科学の分野から、
科学的な観点でそれを処理するという習慣ができなければ、
ほんとうの先進国とは私はいえないと思うのですよ。そこまでいかせるための認識というものを政治の間に
——これは政治家自身の責任でもあるわけですけれども、内閣
自体がまずそういう
考え方のほうに向けていくということが、どうしても必要じゃないか。それで、
先ほど申し上げたように
研究費が一兆円をこしたなんて大々的に宣伝はされていますけれども、
政府の分野というものは非常に少ないということと同時に、
日本の
会社の交際費は一兆円こしておりますよ。
日本の盛衰に関する根本的な課題である
基礎研究を含めての
科学技術全体の
予算と、費用と、それから交際費とが同じ額だというんでは、ちょっとあまりにも情けないんじゃないかという
感じがします。広告費でも七千五百億円使っていますよ、
日本では一
年間で。これより若干多いという程度ですね。こんなことで、はたして
日本の
科学技術の将来は一体どうなるんだということと、いまのように
科学技術会議のほうでも適切な結論が出るのじゃないかと私は期待しておりますけれども、
縦割りになっているものを何としても横に統合していく。それで、プロジェクトじゃなくちゃ、もう一人一人の才能に依存するという度合いは、これから少なくなってくるわけですから、そのプロジェクトというものは横割りで全体の衆知を集めていく。二重
研究、二重
投資にならぬようにするというようなことのために、あるいはまた
基礎研究費がきわめて少ない、微々たるものにすぎない、これじゃどうにもならぬというようなことの解決のために、
科学技術庁としては非常な勇断を持ってひとつこれから立ち向かってもらわなければ、
日本の将来は、端的にいうと暗たんたるものじゃないか、とても見せかけだけの繁栄であって
ほんとうの繁栄をもたらすわけにはいかぬ、こういう
感じがするわけなので、強くこの点を要望しておきたいと思うのです。
それで、具体的な
一つの例として申し上げますけれども、実は私、非常に残念なことには、去年の公害の臨時国会の場合に欠席をいたしております。そのときにずっと
新聞を見ておりますと、
科学技術庁の名前がさっぱり出てこないのですね。
厚生省とか
通産省とかという名前ばかり出てくるわけです。それから、総理府のほうで環境庁設置法案というものをつくって、私は終わってからこれを見たのでありますけれども、おそらくこれに一体どれだけ
科学技術庁が関与しているんだろうかという疑問を持たざるを得ない。大気汚染の問題といい、それから水質汚濁の問題といい、結局は非常な微粒子をどうやって捕捉するかという循環工学なんですよ。法律でどうこうするということよりは、その循環工学のシステムというものをどう確立するかという
科学技術の問題だと思うのですね、公害対策というのは。ところが、そういう問題が
一つも表面に出てきていないので、非常に切歯扼腕したのでありますけれども、その中で、たとえば環境庁設置法案の中で第九条を見ますと、国立公害
研究所というものを環境庁の中につくるということになっています。それについては、水質とか大気汚染とか、そういったものが、生活環境、人の健康に及ぼす影響の
研究、それからそれらの監視測定方法の
研究、そういうふうなことが書いてあるのです。これは、出た結果を見て単に対策をどう立てるかということにしかならないのじゃないか。予防ということの観点に立って、
科学技術庁が
中心になって、この公害
研究所というものの中核になって、予防するためにどうするのだというような観点での
研究所の運用でなければならぬと思うのです。その辺、この
研究所をつくることについて
科学技術庁はどの程度関与をし、この第九条などについても、
科学技術庁はどういうふうな
役割りを持たされておるのかという点が私は非常に疑問なので、その点をお伺いしたいのと、それから第九条の第二項の中で、委託に応じていろいろな調査を行なうことができるということになっておるのです。公害
研究所は、その事務に支障のない場合においては、委託に応じていろいろな試験
研究及び調査を行なうことができると、こういうことになっておる。これは
科学技術庁それ
自体が積極的に委託をする。これは単なる出た結果について測定をするとか、影響の
あとを追跡をして、トレースをして追いかけていくということではなくて、あらかじめ予防という観点でこの循環工学のシステムを確立をしていくのだというような意味におけるところの委託をするという積極的な意欲があるかどうか、それからこの公害
研究所というものの中における
科学技術庁の持つ
役割りは一体どうなんだ、こういう点で伺いたいと思います。