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1971-03-24 第65回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月二十四日(水曜日)     午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 渡部 一郎君    理事 木野 晴夫君 理事 菅波  茂君    理事 田川 誠一君 理事 前田 正男君    理事 石川 次夫君 理事 近江巳記夫君    理事 内海  清君       青木 正久君    加藤 陽三君       梶山 静六君    塚原 俊郎君       橋口  隆君    曽祢  益君       山原健二郎君  出席国務大臣         国務大臣科学         技術庁長官)  西田 信一君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     矢島 嗣郎君         科学技術庁研究         調整局長    石川 晃夫君         外務省条約局長 井川 克一君         大蔵省理財局次         長       小口 芳彦君  委員外出席者         通商産業省鉱山         石炭局開発課長 花岡 宗助君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     青木 正久君   森  喜朗君     塚原 俊郎君   吉田 之久君     曽祢  益君 同日  辞任         補欠選任   青木 正久君     稲村 利幸君   塚原 俊郎君     森  喜朗君   曽祢  益君     吉田 之久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  海洋科学技術センター法案内閣提出第四三号)      ————◇—————
  2. 渡部一郎

    渡部委員長 これより会議を開きます。  海洋科学技術センター法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 海洋開発に関しましては、私は再三質問いたしておりますので、重複を極力避けて申し上げますけれども海洋開発重要性はいまに始まったことではございませんけれども、何といいましても諸外国に比べて非常な立ちおくれになっておることは、私から言うまでもないと思うのであります。当面の問題としては、公害物価というのは非常に世論の関心の的になっておりますけれども、この物価の問題一つとってみても、実をいうと科学技術の果たさなければならぬ役割りが相当大きいというようなことを感じて、実はそういう基礎研究の部門を強化するということについての質問を時間をとってあらためてゆっくりやりたかったのでありますけれども、きょうはそういう時間がございませんので、海洋開発に限って質問だけを申し上げますが、私は、公害物価という問題は当面の緊急課題であるけれども、少し長期的な展望に立った場合の日本課題は何かというと、情報化社会というものに向かって非常に激しい断絶というものが加速度化されていくんではないか。情報化時代を促進をしながらそういう断絶に対応するということがたいへん大きな政治課題になるんではなかろうかというのが一つの大きな問題でもあるし、それからあと一つは、私は資源関係だろうと思うのであります。こまかい資源関係について一々申し上げる時間の余裕はございませんけれども、最近話題にのぼっております石油だけを考えてみても、いまのところはランニングストックとしては二十日分しかない。したがって、いま輸送している最中の船が全部ストップすれば、とたんに日本じゅうの工場が全部とまってしまわざるを得ないというような問題、それから石油だけではなくてOPECの結束がCIPECのほうにも波及するであろう、あるいはニッケル、ボーキサイトのほうにも波及するであろうというようなことがございまして、この情報資源という問題についてはよほどいまから腰を据えた対策を立てないと、もう千載に悔いを残すことになるのではなかろうか、こういう感じを強く持っておるわけであります。統計的にいいましても、あと十年たちますとほとんど九〇%以上は海外資源依存をしなければならぬということになるわけでございまして、この中でエネルギー資源が当面非常に大きな課題になっておりますけれども石油だけ例にとりましても、石油をどうするか。日本だけで三割を自主確保しなければならぬということになっております。もっとも石油の問題は、これは私は商工委員会でかなりやっておりまするし、たいへん大きな問題が山積しておりますけれども、ここはそういう場所じゃありませんから申し上げませんが、石油海底依存をしておる部分が現在のところ一六%でありますけれども、十年後は三五%になり、二十年後は五十%をこすであろう。こういうようなことで、エネルギー資源だけをとってみても、海洋開発というものがきわめて大きな使命を持っておるということは、私から言うまでもないわけであります。  きょうは外務省から来ておりますから、まずこの海洋開発についてのいろいろな問題を外務省関係で聞きたいのでありますが、その前に、西田長官に一言伺いたいのであります。  海洋開発審議会というのが海洋科学技術審議会から改組をされまして、本来ならこの委員会でもって討論をしなければならぬものであったと思うのでありますけれども、これは慣例に従って内閣委員会でもって審議をされたということになったわけでありますけれども、このことに関しても相当言わなければならぬことがたくさんあったわけなんです。この審議会は一体どういう任務を持ち、どういう機構で出発をするかということをごく簡単でけっこうでございますから、ひとつお示しを願いたいと思うのです。
  4. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発のためにまず技術開発が必要であるという立場からいたしまして、科学技術審議会というものを設けまして、約十年間取り組んでまいったのでございます。技術海洋開発の最も先決的な役割りをになっておりますことは当然でございまするけれども先生お話しのとおり、海洋の地球上に占めますところの面積から見ましても、陸地よりもはるかに広いわけでございまするし、むしろ陸上よりも海中における資源の管が、——これは見方によりましてはむしろそのほうが無限である、こういうふうにもいわれておるわけでございます。したがいまして、技術開発を急ぎますと同時に、海洋開発各般にわたりまして、あらゆる角度から海洋開発の推進をはかる。このためには、基本的にあるいは総合的にいろいろな問題を審議いたしまして、そして将来の海洋開発方向というものを定めていく必要がある、こういうふうに考えるわけでございまして、その立場から、そういう考え方からいたしまして、従来ございました科学技術審議会を広範な海洋開発審議会に改組いたしまして、海洋開発と全面的に取り組んでまいりたいというのが、この開発審議会を設ける趣旨でございます。  そこで、どういうことをやるかということでありますが、まず海洋開発に関しますところの基本的な理念あるいは長期的な方針をきめたい、こういうことに取り組みたい。次は海洋開発のための必要な人材の養成方策というものも次の課題として取り上げてまいりたい。それから海洋開発に関しますところのいろんな制度、これは機構法制等も含むわけでありますが、こういう問題と取り組んでまいりたい。海洋開発に関しますところの国際問題、これは大陸だなの問題もございますし、あるいは領海の問題も入るかもしれません。あるいは深海底国際管理問題等いろいろございます。そのほかにもあると思いますが、このような各般の問題にわたりまして審議をして、方向を打ち出していきたいということがねらいでございます。  そこで、委員は大体二十名ぐらいと考えておるわけでありますが、委員以外にそれぞれ専門的な方もわずらわしまして、幾つかの部会をつくってまいりたい、かように考えておりまして、それらの総合的な運営によりまして所期の目的を果たしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  5. 石川次夫

    石川委員 実はこの前の海洋科学技術審議会の場合は四つ部会がございました。鉱物資源生物資源海洋環境共通技術施設ということで何回も答申が出ておったわけでありますけれども答申の中身はなるほどごもっともだということがたくさんあったわけでありますが、私みたいな第三者といいますか、しろうとから言わせますと、全部技術者の集まりであって、わが田に水を引くというわけじゃございませんけれども、あれも必要だ、これも必要だというので、科学技術的に必要なものを羅列をして何かぴちっとした重点的な方向づけというものがなされないというような懸念、そういうふうな弱点があったわけであります。今度は部会をつくるということになればどういうふうな部会をおつくりになるという御予定なのか、それをまずお知らせ願いたいと思います。
  6. 西田信一

    西田国務大臣 まずとりあえず考えておりますことは、科学技術部会というものをつくりたい。それから開発計画部会というものも考えてみたい。次には制度国際部会と申しますか、そういった部会を設けまして必要に応じましてさらにまた追加考えていくことだろうと思いますが、とりあえずそのようなことを考えております。
  7. 石川次夫

    石川委員 私も、科学技術審議会というものから開発審議会に変わったわけでございますから基本的なそういう全体的な対外的な交渉やその他を含めての性格のものに変えていかなければならぬという意味ではいま直ちにいまの御回答が正しいかどうかということはちょっと判断に迷うわけでありますけれども、おおよその方向としては国際計画プロジェクトをどうするか、重点をどうするかということをきめる、あるいは技術的な方向はどうするかということをきめていくというような部会あり方はまず妥当ではなかろうかと考えておるわけであります。そこで、この前みたいにやらなければならぬことはたくさんあるわけです。大陸だなの賦存資源基礎調査をどうするかとか海水の淡水化の問題、海底地形地図の問題、海底作業基地の建造、潜水調査船の運航の問題、気象観測船、それから栽培漁業センター海中公園国際協力とかやたらむしょうにあるわけなんですね。これ以外にもたくさんございますよ。こういうものを集約をして重点施行をやはりやっていかなければいけないんではなかろうか、こう私は考えております。  そこでいやおうなしに問題になりますことは、海外との協力関係をどうするかということ、これはどうしても前提条件として必要になる。それからあと一つ前提条件として必要なのは、いろいろ海洋開発をやる場合にも問題になる可能性危険性をかもしておるところの平和利用に限るんだということの意思表示というものが確立をされていなければならぬという問題が一つあろうかと思うし、あと一つ技術的な方向として研究する方向は一体どうあるべきかという場合に、私個人の意見をもってすれば、やはり海洋生物資源の問題が一つあると思います。現在でも栄養不良の国民世界でもって四〇%いるといわれておりますけれどもあと二、三十年たてば人口は倍になります。そうなりますとますます動物たん白については不足を来たすけれども陸上動物にこれを依存するということは不可能であるという見通しを立てますというと、どうしても海洋生物資源というものに依存しなければ人間が生きていけないという極論まで出てこざるを得ない。ところが七千万トンでもって海洋資源というものも頭打ちになっていまして、その中でお互い取り合いをしている。この生物資源というものは一向にふえてこないというような問題をどら解決をするかという問題がまず一番大きな問題である。それからその次に、石油問題に限って言うわけじゃございませんけれども海底資源開発というような大きなプロジェクト、柱をまず立てる、それに必要なものは一体何だということでいわゆるプロジェクトシステムシステムエンジニアリングシステム確立をして、その方向に向かって必要なことは一体何だという方向でいくのが一番いいんじゃなかろうか。学者先生だけにいままでのような形でまかしておきますと、あれも必要これも必要というんだけれども、それは何に結びついていくんだということが羅列的であって並列に並べられておってさっぱり焦点が合わないというきらいがいままであったわけなんであります。その点は今後どうされるおつもりか、ひとつ長官の御意見を伺いたいと思います。
  8. 西田信一

    西田国務大臣 石川先生の申されましたように、これから広範な問題と取り組んでいく場合に何か散漫になって焦点がぼけるということがあってはまずいと思います。そういう意味で私どもは三つの部会を申し上げましたが、まず開発計画部会におきましてどういう問題と取り組んでいくか。いま海中動物の問題あるいはまた海底資源の問題をおあげになりましたが、そういう開発計画をどう立てていくかということをまずねらいをつける必要があると思います。それから発足いたしまして、そして一面においてはこれを基盤に置いて科学技術はどういうあり方であるべきかを科学技術部会、それからまた国際的な問題等もございますので制度の問題、国際的な問題等制度国際部会、これが基本的な開発計画に従ってこれらの問題に対処する、こういった方向をとることが適当だろう、こういうふうに考えておるのでございまして、御趣旨のような方向で運営してまいりたいと考えております。
  9. 石川次夫

    石川委員 話が順序がばらばらになってしまうのですが、条約局長時間の都合がございますようですから、ごく初歩な質問から始めたいと思うのですけれども、ジュネーブ四条約、この海洋関係の四条約公海条約領海条約漁業条約大陸だな条約、これは全部批准されておりますかどうですか、念のために伺います。
  10. 井川克一

    井川政府委員 四つのうち二つを批准いたしております。領海条約公海条約、この二つを批准いたしておりまして公海漁業条約及び大陸だな条約は批准いたしておりません。
  11. 石川次夫

    石川委員 それで問題は、領海三海里説、十二海里説、ひどいのは百海里説、いろいろあるわけで、わが国ではいろいろな漁業関係でもって三海里説をとっておるというたてまえにはなっておりますけれども、水産庁は必ずしも現在は三海里説にこだわっておらないと思うのです。これは今後の海洋開発、御承知のように日本本土大陸だなだけを考えてみましても、日本本土の七六%も占めておるわけでありますけれども、この三海里説にいつまでもこだわるべき時期ではないんではなかろうか。十二海里というのは世界の大勢でもあるし、やはりこれは十二海里ということで、ひとつほかの国とも歩調を合わしていかなければならぬ時期に海洋開発の将来性から考えて出てくるのではなかろうか、こう思うのでありますが、その点は現在どうお考えになっておりますか。
  12. 井川克一

    井川政府委員 仰せのとおりだと思います。しかしながらやはり日本政府といたしましては、現実国際法においては三海里説が国際法であるという確信をもっております。しかしながら現在すでに二百海里などというものをとられている国もございますし、私どもといたしましては決して三海里に拘泥するわけではなくて、国際社会におきまして一般的なみんなが守る規則ができるならば、それは大体六海里だとか十二海里だとかいわれておりますけれども、これを受諾するのにやぶさかでないという立場をとっております。
  13. 石川次夫

    石川委員 条約局長のいる間に大体聞くところを聞いてしまいますけれども、実は国連海底平和利用特別委員会というものが一九六八年七月十日に持たれております。ここで軍事利用に関してのいろいろな問題が提議をされておるわけでありますけれども、これに関する意見といたしまして、大陸だなへの兵器配備というものはもうすでに可能である、こういう見方に最近はなっておるわけであります。深海底への配備というものはまだ研究段階であるけれども、これも遠い将来か近い将来か可能であろう。それから核兵器あるいはICBMよりも安全に気密カプセルにおさめて潜水艦ミサイルよりも安いコストで配備をすることができる、こういう見方一つあるわけであります。それから海面の下での秘匿技術というものは、海が非常に不透明でありますからいまの深知技術ではとうてい深知できない、こういう優位性軍事的にも持っておる。そこでどうしても海底軍事基地という誘惑というものが強く出てこざるを得ないんではなかろうか、こういう懸念一つあるわけであります。それから核機雷というものも下のほうに埋めておいてある一定の必要なときにそれを誘導して浮上させる、そして核機雷というものを有効に働かせるということも可能であるというようなこともいわれておるわけであります。これは海底ABMも可能である。これは仮想敵国の近くにそれを持っていってつくることができれば、ABMというものが、発射直後に迎撃の有効性というものを発揮することができるというようなことがある。したがって、これに関連して一番の問題点は、指揮命令がなかなか徹底しないのじゃないかという困難性があるものですから、そこで、海底基地というものを設けるということは、単なるわれわれが海底に居住するということ以上に、軍事上の必要性からして、海底居住というものがいま叫ばれておるというのが現実であろうと思うのです。その一断面としましては、アメリカの去年の予算は千八百六十億円という日本と比較にならない海洋開発予算を取っておるわけでありますけれども、実にそのうちの六〇%は国防関係なんです。四〇%が平和利用、こういう関係予算が組まれておるというような実態から見ても、軍事利用誘惑というものはきわめて強いという現状になっておることは否定できないと思うのであります。  そこで、条約局長に伺いたいのでありますけれども日本では、だれがどう言ったか、私、忘れましたけれども大陸だなにおける、二百メートルより浅いところにおける海も含めて、これは平和利用に限るのだということも提唱しましたけれども防御用はこの限りではないと、こういうようなことを言ったことがあるわけです。これは条約局長に伺うことは少し的はずれのような気もしないではないわけでありますけれども、そういった問題も含めて、国連関係あたりで、こういう問題がどういうふうな扱いになっておるか。日本では、この間、深海軍事利用禁止というふうなことも提案をしたようでありますけれども、まあ防御用ならかまわないという考え方が現在行なわれておるのかどうか。ということならば、ABMはかまわないということになり得るわけであります。その点の見解を、外務省を代表する意見というわけにはいかないでありましょうけれども条約局長として、何かそういう問題についての条約に関連するような事項があれば、ひとつこの機会にお教え願いたいと思うのです。
  14. 井川克一

    井川政府委員 海底軍事利用禁止の問題でございまするけれども、一九六七年からこの問題が取り上げられまして、条約ができまして、その名前は、核兵器及び他の大量破壊兵器海底における設置禁止に関する条約というのができまして、これを批准するために承認を現在の国会において求めておる状態でございます。この条約は、第一条に書いてございますとおりに、距岸十二海里以遠海底に、核兵器及び他の種類大量破壊兵器並びにこれらの兵器を貯蔵したり、実験したり、または使用することを特に目的とした構築物発射設備その他の施設を備えつけまたは置くことを禁止するというのがこの条約根本趣旨でございます。  この条約は、ただいま申し上げましたようないわゆる核兵器その他種類大量破壊兵器ということになっておりまして、海底における一切の活動を禁止していないというふうにはなっておりまするが、この点につきましても、いろいろの経緯がございまして、当初ソ連案と申しますものは、一切海底軍事目的のために利用することを禁止したものでございましたけれども、その後の審議の過程におきまして、防衛兵器は、先ほど御指摘のとおり、禁止対象から除外されるべきであるという意見が多かったし、かつまた、平和目的軍事目的区別、また、防御的兵器攻撃的兵器区別、非常にこれらの場合が不明確であり、しかも、これがいわゆる検証という問題が伴いますので、非常に議論が分かれまして、結局、現段階においては最も重要かつ最も危険な兵器設置禁止するということが現実的な解決方法であるということになりまして、一九六九年十月七日に米ソが両方が意見が一致しました案というものを提出しました。これが基礎となりまして、ただいま国会で御審議願っておりまする核兵器及びその他の大量破壊兵器海底における設置禁止に関する条約ができまして、私ども国会の御承認を得次第、これに批准し、加入することになっております。
  15. 石川次夫

    石川委員 いまのは十二海里以遠ということになっておるわけですね。ですから、十二海里以内ということになりますというと、まだ兵器を使用することを禁止をするということにはなっておらない。そういう点で非常に不安が残されておるわけなんです。  われわれとしましては、大陸だなのほうがなおさら、そういうものを置くのに非常に都合がいいということにもなり得るわけであるし、日本近海ABM綱をもしつくるということになれば、これは当然、中国のほうにも届き得るという可能性もあるわけなんで、そういうことで疑心暗鬼を生むということのないようにするためにも、大陸だなも含めての兵器使用禁止軍事利用禁止海底基地禁止ということの方向でいかなければいけないのではなかろうか。ということは、実は、海洋開発と密接な関係があるわけなんです。海洋開発平和利用に限るということの日本の態度が鮮明になりませんと、日本近海に多くの資源開発依存するという場合に、必ずもんちゃくが起こる、紛争の種をそこにまくということにならざるを得ないということも含めて、私は、やはり十二海里以遠ということではなくて、近海でも、いはゆる大陸だなでもそういうことをやってはいかぬのだという方向にぜひいってもらいたいと思うのですが、これは条約局長にこれをお願いしてもちょっと無理かと思うのでございまして、これは外務大臣でなければいかぬのでございましょうが、そういう点でわれわれは海洋開発との関係でもそれを強く希望したい、これは国民世論でもあろう、こう思っておるわけでございますが、その点の御意見、いかがでしょうか。
  16. 井川克一

    井川政府委員 この条約案審議いたしました軍縮委員会で、わが国の代表は、領海、つまり十二海里の中においても禁止すべきであるという議論をいたしまして、非常に強く主張いたしましたけれども、やはりその十二海里の中は自分の領土、つまり主権があるんだ、領土と同じであるからということで、十二海里の中、つまり陸に近いほうはこの条約対象はならないということになったわけでございます。したがいまして、大陸だなが十二海里の外にずっとあるという場合には、その大陸だなにおける核兵器その他の設置は当然、この条約禁止されておりまして、つまり除外されておりますのは、十二海里の中、距岸の十二海里の中が除外されておりまして、十二海里の外は、大陸だなであろうがそうでなかろうが全部禁止されている、こういう状態でございます。
  17. 石川次夫

    石川委員 条約局長、いまのように、私は、いつか日本が、防御用はこの限りではないと言ったことがどうもひっかかっておるのです。もう戦争というのは、自衛のためという名目で起こらなかった戦争はなかったわけなんで、防御といえど、これは攻撃と同じことになるわけでありますので、ぜひ今度国連で主張いたしましたように、十二海里以内、大陸だなも含めて、これは兵器基地禁止するということ、軍事基地をつくらせないということのための努力をひとつお願いしたいということで、あと条約局長、時間の関係がございますから、けっこうでございます。  それから、通産省、きょうは鉱山石炭局長がお見えになっておりませんけれども、ちょっと伺いたいのでありますが、資源といってもたくさんあるわけなんです。たくさんございますけれども海洋開発で当面日本がやり得ることは、まず石油であろうというのが常識だろうと思うのです。石油のほかにももちろんございます。石炭もございまするし、それからマグネシウムもございまするしいろいろありますけれども、緊急に日本としては必要なのは石油である、こう思っておるわけでございます。ところが、ここで石油問題を話しても始まらないわけでありますけれども、メージャーの関係は、大体一つの会社でもって三百億から五百億ぐらい採掘に費用をかけておる。日本の場合には、二十の会社が十六ぐらいのプロジェクトを設けて、それ全体にかけている費用が大体その三分の一ぐらいであります。向こうは一社でもって五百億ぐらい使うけれども日本では十六プロジェクト、十八プロジェクトでしたか、全体に対しても百五十億円ぐらいしかかけていないというようなことでは、とても問題になりません。実は、私、ある手紙を手に入れたのでありますけれども、今度の値上げの交渉についても、日本からのペチションに対しという回答がきているのです。正式回答じゃありませんが、日本からいろいろ懇願されているということ、その懇願に対しては値上げはどうしてもしてもらわなければいかぬのだというようなくらい非常に弱い立場になっているわけなんで、どうしても自主的に三割ぐらいは自分の力で確保しなければならぬ。しかしこれを私はいまのような状態は夢物語です。とても三割確保なんというのは不可能だし、民間依存というような立場では絶対に私は可能性はないと思う。やっぱり政府指導という形でなければ、イラン、イラクは自分で鉱区を持っているんですから、そういうところが日本の小さな業者がメージャーの十分の一にも百分の一にもならぬような日本の業者が行っても、とても相手にしてくれません。日本という国が行ってやはり国の立場で大きく交渉していくという以外には方法はないのではなかろうか、こういう感じを持っているんですけれども、しかし当面この石油開発近海に求める、全力投球をするということが常識であろうと思うのであります。  そこで、開発課長さんお見えになっておると思うのでありますけれども、全体として三割というのが日本の目標で、そのために一体日本近海海洋開発大陸だなを含めての近海海洋開発は一体どのくらい、三割のうち——三割というもの自体があまり確定的なものではないのでありますけれども依存をするというか、そういう目標を立てておられますか。
  18. 花岡宗助

    ○花岡説明員 ただいまの御質問でございますが、御指摘のとおりわが国石油資源開発に進出いたしまして、まだ日が浅いこともございまして、昭和四十四年度におきます自主開発の実績は国内の開発原油を入れまして、全供給量の一〇・八%千八百九十万キロリットルにすぎません。しかしながら、海外開発事業が本格化いたしますに伴いまして、現在試掘段階で成功いたしておりますのがアブダビ石油、インドネシア石油、コンゴ石油等がございますので、今後の開発が期待をできるということでございます。原油の総供給量の三〇%という目標は昭和四十三年の総合エネルギー調査会で示されました目標でございますけれども、原油の需要量が当時の推定値を非常に大きく上回りまして、今後伸びますので、自主開発を一そう進めませんとこの目標達成はなかなか容易でないというのが現状でございます。そこで日本周辺の大陸だなをはじめといたしまして、できる限り近海から開発をすべきであるという先生の御意見のとおりでございますけれども、今度のOPECの騒動等もございまして、石油の供給源というものをできるだけ分散化をするという方向を打ち出しておりまして、そういう意味におきまして、東南アジアは距離的にも近うございますし、しかも産出原油に低硫黄が多いということもございまして、われわれとしては今後、いよいよ力を入れてまいりたい。しかしながら一方におきまして、中東は埋蔵量が非常に大きいということと、生産性が高いということがございますので、やはり中東というものもそういう意味ではわれわれとしてなお輸入せざるを得ないということでございます。日本周辺の大陸だなでございますが、従来の調査によりますと、可採埋蔵量が全部で一応八億キロリットルという推定値が出ております。これがどの程度の年間生産量になるかということによりますけれども、昭和六十年におきましては、日本の総需要が年間で七億キロリットルにも達するということでございますので、大陸だなの開発をすぐに促進いたしましても、これにたより得る比重というものはおのずから限度があるということでございます。
  19. 石川次夫

    石川委員 尖閣列島の埋蔵量は大体どのくらいと御推定になっておられますか。
  20. 花岡宗助

    ○花岡説明員 これはエカフェの調査で、非常に大きな鉱層があるということまではわかっておりますけれども、まだ可採の埋蔵量がどのくらいあるかというところまでの調査はできておりません。
  21. 石川次夫

    石川委員 尖閣列島の問題を話しますと、これはきのう近江さんもお話しになりましたし、相当国際的に大きな紛争の種になりそうな非常にむずかしい問題でもありますから、きょうはことさらには触れませんけれども、しかしこれは沖繩の米民政府布告二十七号によりましても帰属ははっきりしているわけですね。そこへ台湾が青天白日旗を立てたりあすこが自分の領土であるということを主張し、今度また中国でもって強くこのことを主張するということにはなりましたけれども、しかしき然たる態度でこの災閣列島関係日本領土であり日本大陸だなに所属をするんだという決意をもってひとつ——これは通産省の方に言ってもしかたがないことなんでございますけれども長官あたりもこの点はき然たる態度で臨んでもらわなければならぬ。この埋蔵量は実は私米国ウッズホールの海洋研究所に行きましたときに、向こうの副所長さんが非常に親切にわれわれに注意をしてくれたのであります。非常に親日的な方でございまして、それはあすこはガルフあたりが手をつけそうになっているけれども日本で発見した日本領土なんだから早く日本が手をつけなければ困ることになるんじゃないか、あれはきわめて有望な油田だからぜひ早く手をつけなさいということを、アメリカのウッズホール研究所で私は忠告をされてきたというような経緯もあるわけなんで、そういうことから見ても尖閣列島はかなり有望な油田ではないかというふうに推察をされるわけです。埋蔵量がどのくらいあるかということは人によっていろいろ意見が違いますけれども、かなり有望な油田であるということは想像にかたくないようでありまして、この点での尖閣列島をめぐるいろいろな紛争もございますけれども、何としても確保するということも含めて日本近海において海洋開発を行ない、そのことによってまず三割のうちの一割程度は、三分の一ぐらいはどうしてもそれで確保するんだというふうな一つの目標を立ててみたらどうか。もういま三割それ自体が実は夢物語りなんです。いまのような資金の配分のしかたではどうにもなりません。そこでその前提となるのは、これは通産省のほうから構想が出ておったわけでありますけれども資源開発プラニングセンターというものをつくろうということがあって、これはまだできておりませんね。しかしこれは石炭鉱山局のほうで出しておられるわけですけれども、通産省の独占物でもないと思う。国全体として取り組まなければならないたいへん大きな問題だ。これは石油に限りません。おそらく銅の関係でもニッケルの関係でもボーキサイトの関係でも、このOPECの結果に刺激されていままで植民地支配を受けてきているわけですね。そうして埋蔵量がサウジアラビアのようにたくさんあるところと二十年か十五年しかないというところになりますと、いままでの分をとにかくあと十五年か二十年の埋蔵量のあるうちに取り返しをしてしまって近代化をはからねばならぬというようなあせりもあるわけでありますから、私はOPECのいうことはあながち無暴な意見だとは思えない。妥当な意見ではないかとさえ思われるのでありますけれども、それだけにわれわれとしてはそういうところとの国際協力というものを進めながら海外開発をやっていかなければならぬと思うのであります。それにはまず日本資源開発全体のプラニングセンターというものがまずできて、その一環としての海洋開発というものはどういう役割りを果たすか、こういう一連の関係というものを内閣全体の姿勢として私は確立をしていかなければならぬ必要性があるのではないかと思っておるわけであります。  それからあと一つだけ大臣に聞いておきます。重点施行してくれということを私先ほど申し上げましたが、重点施行といってもなかなかたくさんあるのです。エネルギーといっても石油じゃなくて潮汐とか波浪とか温度差を利用してとかということで、これをエネルギーにかえるという意味でのエネルギー、それから鉱物資源石油、石炭、ガス、マグネシウムというものがある。それから生活圏を拡大するという問題で海底に油をためるという問題、海中公園海底住宅、技術の波及効果をねらうんだという考え方一つある。これは遠隔操作というものが大きくものをいうし、エレクトロニクスによるところの通信技術というものものもあるでしょう。自動制御の問題もあるでしょう。それから生物資源としてのいま言った魚の問題もある。非常にたくさんあるわけですね。的をしぼりにくいのです。的をしぼりにくいんだけれども、私が先ほど言ったようにこの鉱物資源生物資源というものに重点をしぼる。そしてそれに関連して海底地図も必要であろうし、潜水技術、潜水医学というものも必要であるし、そういうことでの必要性というものを、重点というものをきちっとしぼった形で海洋開発というものを進めていかなければ非常にむだなことになるのではないかということが一つ。  それからあと一つは、宇宙開発も相当金のかかる大きな仕事でありますけれども、通信衛星を飛ばして、あるいは気象衛星を飛ばしてということなんですが、この前も分科会でちょっと話しましたけれども、宇宙開発というものの実益よりは海洋開発の実益というもののほうがはるかに大きいし、また日本が海国日本であるというような観点からいって、青年に夢を持たせるというような気持ちも私としては持っております。どうしても海国日本の海に夢を持たせるというようなことも含めて——宇宙開発はどうでもいいんだということを言うつもりは毛頭ございませんけれども、あまりにも宇宙よりもおくれ過ぎているのではないか。宇宙開発それ自体もたいへんおくれて問題にならないのですけれども、それ以上に海洋のほうがはるかにおくれている。予算を見てもそのとおりであります。そういう点でぜひ海洋開発に相当な腰を据えた重点指向をしてもらいたい。アメリカの足元にも及ばないような現在ではますます格差が開くばかりだということで、この点についての所見を伺っておきたいと思います。
  22. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発はきわめて多岐多面にわたっておりますけれども、その中でも先生の御意見は水産資源鉱物資源にまず重点を置くべきでは雇いか、こういう御意見と拝聴いたしました。もちろん多面的な技術開発もあるわけでありませんし、また将来の方針も検討しなければなりませんが、確かに当面の焦点は水産資源鉱物資源等に当てていくことが適当であろうかと実は考えます。できるだけひとつ散漫にならないように、重点的にしぼって効果をあげるというようなことは十分考えてまいるべきであると思います。  次に、海洋開発が諸外国に対して非常におくれておる、アメリカ、フランスなんかに対してはかなりのおくれであると思います。そういう意味から申しまして、しかも海洋開発というものは国民経済の上にも非常に大きな貢献をするということも御指摘のとおりでございます。したがいまして、おくれておることも事実でございますし、またその開発も効果があがればあがるだけ国民に大きな利益をもたらすわけでございますから、私どもは従来のややおくれております点を何としても取り戻したい、こういう積極的な心がまえで、今回審議会設置あるいはまた海洋科学技術センターの設置というようなことに踏み切ったわけでございます。これらを土台といたしましてこれらのおくれを取り戻すように、予算の面等におきましても十分な配慮をしてまいりたいと存じます。これは科学技術庁だけではなくて各省にそれぞれまたがっておりますので、総合的な立場からひとつそういうようなおくれを取り戻すための予算措置あるいは計画の樹立あるいは技術開発ということに、口先だけでなくてほんとうに真剣に取り組んでいかなければならぬ、こういう決意でおりまして、これは私どもだけではなくて政府全体がそういう姿勢であるということを申し上げておきたいと思います。
  23. 石川次夫

    石川委員 長官がいなくなってしまったのでちょっと困ったのですけれども、きのう近江さんから質問がありました「しんかい」、これは六百メートルまでおりられることになった、日本で初めての深い海の探査ができるような船があるわけでありますが、故障はかなり多い。初めてのことでもあるし、試験的なものでもありますからやむを得ないと思うのでありますけれども、具体的にどういう故障が出てどういう対策を現在やっておるか。ということは、ディープ・スターというのは六千メートル下がれる。日本の六百メートルの十倍、バチスカーフは実に一万メートルであります。これは先進国でありますから日本のものと比較にならないのは当然でありますけれども、それに比べて十分の一程度しかおりられない日本の「しんかい」が、初めからあまり故障が多いというようなことではちょっと情けないんじゃなかろうか、こう思うので、その故障とその対策をどうされておるか伺いたいと思うのです。
  24. 石川晃夫

    石川政府委員 「しんかい」につきましては、四十三年の三月に完成いたしまして、現在海上保安庁にその船を移しまして、運航は海上保安庁でやっていただいておるわけであります。ただそれの運営計画につきましては関連各省が集まりまして運営会議をつくりまして、その運営会議の結果に基づいて「しんかい」を運営しているわけでございますが、四十四年度は、主としてこの「しんかい」の運航のための船員の完熟訓練というのに力を注いだわけでございます。四十五年度は四国沖あるいは伊豆沖で、この「しんかい」を使いまして調査を始めたわけでございますが、この二年間におきまして、ただいま先生御指摘のようにいろいろふぐあいな点が出てきたわけでございます。確かにこの「しんかい」の設計にあたりましては、十分六百メートルまでの海底におきまして種々な作業ができるような実験船という形でつくったわけでございますが、実験をやっております間におきましても、たとえば高圧空気関係等の減圧弁あるいは電池の絶縁低下、こういうような問題も起きてまいりました。また「しんかい」の先についておりますマニピュレーターでございますが、これも作動が思うように動かなかったというような現象が起きてまいりました。四十五年度におきましては、この油づけ電池につきましては十分その原因を究明いたしましたところ、このような事故は諸外国においても従来開発途上において起こっておるわけでございます。わが国開発いたしました油づけ電池にいたしましても、やはり同じようなふぐあいな点が出てきております。しかしこれは現象として起きてくるものでございますのでやむを得ない。ただ交換あるいは充電というものの操作がやりやすいようにしなければいけないということでこの改造を行ないまして、現在は完全に動いておるわけであります。  この次は、四十七年度におきましては、電池の交換を定期的にやっていきたいというような考えでございます。減圧弁等につきましては、これはそうむずかしい問題ではなかったので簡単に解決いたしましたが、マニピュレーターの作動不良、これはやはり将来の調査にいろいろ支障がございますので、この点につきましては四十六年度の予算におきましてこのマニピュレーターは改造するという予定にしております。  そのほか、これは故障ではございませんが、試験船でございますので、実験をやっている最中におきましては、積んでおりますカメラとかあるいはそのほかの観測機器におきまして、さらに性能の向上をはからなければ所期の目的を達し得ないというようなものもございます。したがいましてその測定機器を改造し、改良していくというのが今後の課題として残っているわけでございます。
  25. 石川次夫

    石川委員 「しんかい」の故障の問題は専門的のことでありましょうから、ここでちょっと聞いただけではわからないと思うのですが、ちょっとした傾斜のところでもなかなか海底におりられないというような点があって、まだまだ幼稚な点がたくさんあるような感じがしてならないわけなんで、諸外国から見てどれもこれもおくれておるわけでございますけれども、しかしそういうものを打開するために、私は先ほど、大きな目標を立ててその太い柱に向かって、それに関連するものをずっとプロジェクトとしてシステムエンジニアリングでやれ、こういう話をしたのですが、そこに一番必要なのは、そういう故障対策などを含めての基礎研究というものをどうしてもやっていかなければならぬのじゃないかと思うのです。これは海洋開発に限らないわけなんで、技術導入のあり方なんかを見ても日本は応用開発を非常に器用にやるものですから、甲種技術導入というものはほとんど日本には入ってこなくなるのじゃなかろうかというようなことも含めて、これも海洋開発を離れた基礎的な一番、科学技術行政の重要な問題だと思うのですけれども海洋開発に限っていえば、たとえば潜水医学なんというものは日本の場合は皆無にひとしいのです。日本歯科医科大学の梨本教授がたった一人これを教えているというようなことで、海の底にもぐろうというのですから、絵にかいたもちよりもまだひどいような計画になっているというような実態なんで、この基礎研究というものを充実させなければならない。それからたとえば深海のほうに入っていきますと、どうしてもヘリウムガスというものを九七%くらい使う、あるいは酸素をそれに二%入れて、あと窒素を一%入れるというようなことでやっておりますけれども、シーラブ計画なんかでも第III号は一昨年もうこれでもって死亡事故を出しているわけです。相当進んだ研究をしておってもそういう事故を起こしている、宇宙よりもはるかに危険な作業です。そういう点でヘリウムガスをやるというと音が非常にひずんでしまって、ほとんど聞きとれないというようなこともあるわけです。そういうふうなことに対してどう対処するのか、空気ではとてももたないというようなまことに初歩的というか基礎的というかそういう問題の解決すらも日本ではまだついておらないと思うのです。そういう基礎的な研究をよほどしっかり腰を据えてやってもらわなければ、ただいたずらにムード的に海洋開発を叫んでも何ら成果をおさめ得ないのではなかろうかという点で、そういう基礎研究のための組織というものを今度のセンターでもってよほどしっかり考えてもらわなければならぬ。そうすると人材養成ということは当然科学技術センターの業務のうちの主要な部分を占めると思うのですけれども、具体的にはどうされようとするのか、大学との関連は一体どうされようとするのか、そういう点での具体的な方策があればひとつ教えてもらいたいと思うのです。
  26. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生から御指摘のように、基礎的な研究というものが重要であるということは、この海洋開発を進める上にあたりまして非常に重要だと存じております。特に御指摘のように人材養成については、確かにわが国においてはきわめて貧弱でございまして、今後の人材養成に待つということでございますが、そのためにもこの海洋科学技術センターが相当大きな役割りを果たすことをわれわれは期待しているわけでございます。したがいまして、業務の中で研修という問題を相当大きく取り上げております。ここに述べております研修と申しますのは、従来の機械とか電子とか土木とかこういう技術者あるいは研究者を海洋開発に適した技術者に再訓練するというような内容、さらにそのような技術者がみずから海中にもぐって研究の成果を高めるというような訓練、このようなものを考えているわけでございます。したがいまして、年間そう多量にこのような方を養成するわけにはいかないと思いますが、逐次ここのセンターにおきましてそのような技術者、研究者が養成されていくものと考えております。  なお大学との関連でございますが、大学におきましても海洋関係の研究あるいは開発が行なわれているわけでございます。このセンターにおきましては、この法文の中には直接大学との関連は述べておりませんが、研究機関といたしましては国立研究機関、大学研究機関と相互に関連をとりながら進めていくように十分計画を立てるつもりで進んでおるわけでございます。
  27. 石川次夫

    石川委員 私に与えられた時間がもうほとんどございませんから簡単に要点だけ質問したいと思うのでありますが、水産庁が設立を予定している認可法人の海洋水産資源開発センターというのがございます。これは海洋の中の、海洋水産資源は水産庁の所管だということで独立の意気も高らかにこういうものを設けられたのだろうと思いますけれども科学技術センターとの関係が一体どうなるかというのが一つ問題になろうかと思います。やはりそういうものは、一元した基礎的な研究は科学技術センターがやるというような企画といいますかそういうものをきちっとしておいて、そこで海洋水産資源開発センターのほうに対する連絡調査というものと、役割りの分担の明確ということをはっきりさせておかなければいかぬのじゃないか、この点はどうなっておりますか。
  28. 石川晃夫

    石川政府委員 農林省で計画を進めております水産資源センターでございますが、これはねらいといたしましては遠洋漁場の調査というのが主体になっております。これは従来遠洋漁場におきましての調査が、資料が非常に不足でございますので、その資料を収集したいということで水産庁の計画といたしましては漁船をチャーターいたしまして、そして調査事業を続けたいということでございます。したがいまして、この海洋科学技術センターで決定しておりますものは海洋科学技術というものを高揚させる、高めていくという意味でのセンターでございまして、単なる調査事業だけではございませんので、その点性格的にははっきり区別できるというように考えております。
  29. 石川次夫

    石川委員 たとえば現在公害の問題が叫ばれて酸素が不足するのではないかということで、森林が伐採をされる、あるいは水質汚濁でもってプランクトンが減るというようなことが盛んに言われておりますね。酸素の補給源でもあり、それから魚はプランクトンを食って大きくなるわけなんです。プランクトンを何とか大きく養成する方法はないかというとこれは漫画みたいな話でありますけれども、プランクトンというのは太陽の光を受けた範囲でだけ繁殖するということになれば底のほうの水を絶えず上のほうに上げていけばこれはプランクトンがそれだけ多く繁殖をするというようなこともいわれておるのです。これは非常に遠大な計画ですけれども、アメリカあたりは実験にかかっておるわけです。そういうような遠大な計画も含めてやはりこれは科学技術センターのほうの任務分担ではないか、こう私は考えるわけなんです。  そういうことと、ついででありますから、公害の問題では、これは六七年にはイギリスでアメリカのタンカー、一万八千トンが座礁して大問題を起こしております。三百平方キロにまたがっての公害を起こしております。それから六八年にもアメリカのカリフォルニア州のサンダーバード海中油田がパイプが折れてこの付近の漁業は全滅するというようなことになっておるわけです。したがって、こういう海洋開発をする場合には、これはきのうも公害の問題は山中吾郎先生のほうから質問があったようでありますけれども、よほどしっかり考えていく必要があるし、また実際問題として漁業家との関係、たとえば石油はおそらく三分の一くらいにしか地上に上がらない、三分の二は海中に流れてしまうというのが現状のようですね。これを何とかガスにして地上に吸い上げるというようなことも技術的にいろいろ検討はしておるようでありますけれども成功はしないということになりますと、そのまわりの漁場というものはほとんどが使えなくなるというような対策は一体どうするんだ、これはきわめて深刻な問題になるわけです。こういう問題についても、いまのうちから対処をしていかなければ漁業家の生活権を奪うということになって海洋開発というものは進捗しないということにならざるを得ないのではないか、そういう点でのしっかりした海洋汚染対策、公害対策というものをよほど腹を据えてかかってもらわなければならぬということでその決意のほどを伺いたいと思うのです。
  30. 石川晃夫

    石川政府委員 ただいま先生御指摘のまずプランクトンの養成等も含めてのいろいろのそういう資源の確保というものについての基礎的な問題でございますが、この点につきましてはやはりこのセンターにおいても十分研究すべき内容のものだと存じております。ただ現実にそれをどのように扱うかという問題につきましては、関係各省庁とも連絡をとりながら、円滑に、有効に進めていきたいと存じておるわけでございますが、当然このセンターにおいてもこのような問題を取り上げていかなければならないというふうに考えております。  それから公害を含めましての汚染対策でございます。これにつきましては、従来海洋における公害陸上からの汚染ということで海洋がよごされていたわけでございますが、ただいま御指摘のように、今後海洋開発が進んで参りますと、海洋開発の中自体においての汚染という問題も出てくるわけでございます。この点につきましては、環境庁もできまして、環境庁といろいろこの問題の解決を相談しながら進めていかなければならないというふうには存じておりますが、その点につきまして今後海洋開発を進めていけばどのような問題が提起されてくるかという点につきましては、十分検討を進めて、万遺漏ないよう期したいと存じております。
  31. 石川次夫

    石川委員 時間がありませんから、最後に一つだけ。アメリカ、フランスではいろいろな計画を持っておりますね。たとえばシーラブ計画、これはアメリカの海軍の海底基地の計画であります。これは事故を起こしたということで、先ほど申し上げましたけれども——それから、フランスは有名なクストウ教授が指導をいたしまして、七二年には四百メートルから六百ノートルのところまで、深いところに海底居住をさせるという計画をいまやりつつあるわけでございます。この面で言えば、これはアメリカよりもフランスのほうが一歩進んでおるというのがプレコンチナン計画だろうと思うのでありますけれども、それからアメリカ海軍と、外務省とかNASAとかゼネラル・エレクトリックなどが一緒にやっておる海中生活の計画、テクタイト計画、こういうものがあるわけですね。いろいろそこで計画を立て、その目標のもとに何とかそれを成功させようということで懸命に協力をし、国をあげて努力をしているわけなんですが、日本はまだまだそこへいかないと思います。いかないと思いますけれども、大きな目標が立てられれば、そういった何か国民にアピールする計画というものを大きくクローズアップさせて国民に理解をさせる、そして国民に協力を求める、こういうことがどうしても必要になってくるのじゃないか。そのことがまた日本海洋開発を大きく一歩前進させることに通ずるのではなかろうかと思うのですけれども、いまからそういうことを言っては少し早過ぎるかもしれませんが、ぜひやってみたいものだ、こう思うわけであります。これはアメリカやフランスのまねをするわけじゃありませんが、ぜひひとつやってみたい、そういうことで何か構想がおありでしたら、ひとつお知らせを願いたいと思うのです。
  32. 石川晃夫

    石川政府委員 現在のわが国海洋開発計画の一環といたしまして、現在科学技術庁のほうで、海中作業基地をつくりまして、この計画を進めるべく準備をしているわけでございます。  これに使用いたします機器につきましては、最近全部でき上がりまして、近くこれが完成式をやるわけでございますが、この計画におきましては、最終目的といたしましては、海底百メートルにおいて四人のアクアノートを一カ月間活動をさせたい、居住させたいというような計画でございます。しかしながら、これには段階がございますので、まず四十六年度は三十メートルの海底での活動、それからさらに進みまして、四十七年には六十メートル、四十八年には百メートルというところに進むように計画を進めております。これは先ほど御指摘のシーラブ計画あるいはテクタイト計画、プレコンチナン計画、これと大体同じような内容のものでございますが、この計画を通じまして、海底を実際にアクアノートの手によりまして、わが国海底の状況というものをしっかり調査、把握したいというふうに存じております。したがいまして、この計画が遂行される段階におきましては、新しいいろいろな資料が出てくるものと期待しておりまして、今後の開発研究が相当進むものと考えております。
  33. 石川次夫

    石川委員 いまの計画でいきますと、まことに幼稚というか、外国に比べてみると子供だましのような計画、まあやむを得ないのですけれども、それよりもっと進んだ段階での大きな計画をお立てになって、国民にアピールして、これに協力をさせ関心を持たせるということの必要な段階が早く来るようにしてもらいたいし、そういうときにこそ大きな計画というものを立てることによってひとつ前進をはかってもらいたい。  それから海洋技術センターの組織その他のことについて聞きたいことがたくさんあるのですけれども、時間が参りましたし、それはまあ事務的なことになると思いますから、あとで個人的にいろいろ伺いたいと思いますので、私の質問はこれで終わります。
  34. 渡部一郎

    渡部委員長 次に、曽祢益君。
  35. 曾禰益

    曽祢委員 六九年度のベストセラーの一つであったドラッガーのいわゆる「断絶の時代」と訳されておる本に書いてありますように、ドラッガーは、産業革命以来産業の体系なり技術が最近に至るまで本質的には変わってない。しかし、これからの時代は不連続の年代である。これからは非常に前時代とは隔絶した新しい産業技術が発達するのだろう、そういうふうに予言しながら、その中で、現在も水平線上に見えている全然新しい産業として、情報産業、海洋産業、材料産業、それからメガロポリスに関する産業ということをあげているわけでございますが、その当否は別といたしまして、確かに海洋産業を技術的に開発していくことの必要は、日本のような場合には特に必要であり、われわれも今回の海洋科学技術センターの設置法案に賛成の立場審議を進めておるものでございます。さらに、現実にこの海洋科学技術センターを選定する場所についても、横須賀港内に土地を選定して一それで話を進められておるようでありますが、この点についても、私は、わが国の中で最もすぐれた技術センターの設置場所がすなわち横須賀港であるという点において、全く賛成でございます。ただ、以下私が、こまかいようでございますが、横須賀港内におけるこのセンターの設置場所についての従来の科学技術庁あるいは政府のとってこられた態度並びに今後の態度について、若干の懸念を有するものでございまして、その点から御質問をしたいと思います。  まず最初に、この横須賀を選定された理由を一々伺わなくても、われわれはいい選定だと思っておるのですから、それはかまわないのですが、この横須賀を最良の候補地として、そして去年の七月十四日付で科学技術庁研究調整局長名をもって横須賀市長に、横須賀港内にひとつほしい、これはわかるのですが、具体的にこの中に、追浜の米軍が今度日本側に返還する予定になっておる土地にひとつほしいということを具体的に言っておられるのであります。私はその点についてお伺いしたいのでありますが、横須賀の追浜返還基地内にこれを選定されたその理由をひとつお伺いしたいわけであります。  長官、いま伺っておるのですけれども、このセンター設置法に賛成であるし、海洋科学技術センターが非常に必要であるし、それが横須賀港内に設けられるということにも大賛成である。ただ経緯を見ますと、横須賀の中で特定の追浜の旧わが国の海軍の航空基地、これを日本側に返すことになった。そこに他の民需、いろいろな要求があるのに、そこに競合してこのセンターを設けられようとしたその理由等を伺っておるわけであります。
  36. 西田信一

    西田国務大臣 海洋開発のためのこのセンターのようなものが必要であるということについて御賛意をいただきまして、たいへんありがとうございます。  このセンターの設置につきましては、いろいろな角度から検討いたしまして、そして最終的にここを選んだのでございます。その事情につきましては、具体的にひとつ局長から御答弁申し上げまするが、この土地が返ってまいりました場合に、民間の方もだいぶ御要望があるということは私どもも承知いたしております。そういう事情がございまするが、あそこが最も適当であるという立場から地元の御了解をちょうだいいたしまして、そしてその中に一部加えていただくという態度で市当局とも御相談申し上げ、かなりの御理解をちょうだいいたしまして進めておるわけでございます。しかしながら、これがセンターがあそこにできますために、他の方々に全部御迷惑がかかるということがあってはならないと思います。そこら辺の調整は十分考えていかなければならぬと思っておりますし、また市当局におかれましてもそこら辺は十分御協力いただいておるように聞いておるわけでございますが、まだ最終的には、市議会等もございますので、なっておりませんけれども、決して他を排除してどうというような気持ちは持っておりません。  あそこを選んだ事情とか理由につきましては、ひとつ局長から具体的に御説明をさしたいと思います。
  37. 曾禰益

    曽祢委員 横須賀港を選ばれた技術的な理由は私は納得するのです。ただ、いま長官のお話を伺って私は非常に安心したのでありますけれども、七月十四日に横須賀市長あてに用地確保の依頼をされた。これは確かに依頼で、命令でも何でもございませんが、それがまだ固まらないうちに、これは四十五年九月二十一日付の読売新聞に、海洋技術センター完成の予想図が、返還される土地を全部使ったようなべらぼうな計画がまるですでにできたごとくやっているのです。これは一体どういうことか。いま長官が言われたような、低姿勢といってはあれですけれども、民間の需要等もよく相談して市当局に依頼するといっておるのに、まるでかってに科学技術センターがもうできているのです。これはどういうわけですか。ちょっとこの図を見てください。それじゃどう考えてもお役所仕事という感じがしてならないのです。
  38. 石川晃夫

    石川政府委員 私もただいまこれを拝見いたしまして、このような図面は初めて見たわけでございますが、七月の十四日に私の名前で横須賀市のほうにお願いいたしましたときは、この土地がアメリカ軍から返還される予定であるということでございましたので、われわれといたしましてはぜひその土地に設けたいということでお願いしたわけでございます。ただこの計画につきましては、このセンター法に述べてございますように、民間と政府と協力して海洋開発を行なおうという趣旨でございましたので、民間の側と協力してこの将来の設計図というものはつくったわけでございます。ただその内容が、その計画の途中におきましていろいろ紆余曲折を経たわけでございますが、われわれとして当初考えておりましたのは、全面的にこの土地を使ってやろうというようなそういう大きな規模のものではなかったわけでございます。大体考え方としましては二万坪もあればいいのではないかという考え方で進んだわけでございますが、その間にいろいろ図面も出ましたので、いろいろな情報となって新聞あるいはその他の誌上に出たかとは存じますが、このようなことはございません。
  39. 曾禰益

    曽祢委員 それは必ずしも科学技術庁の本意ではないというお話で、それはそういうふうに承っております。  ただ大臣に、少し理屈っぽいようですけれども、ぜひ伺っておきたいのは、旧軍港市転換法という法律がございますね。二十五年六月二十八日付の。これによると、横須賀その他の旧軍港市ですね、第一条に「この法律は、旧軍港市(横須賀市、呉市、佐世保市及び舞鶴市をいう。以下同じ。」を平和産業港湾都市に転換することにより、平和日本実現の理想達成に寄与することを目的とする。」、こういう法律がございまして、これは現に有効な法律ですね。その後改正はございました。特にその第四条には末尾に「国は、旧軍用財産を旧軍港市転換計画の実現に寄与するように有効適切に処理しなければならない。」。ですから、確かに二十五年と現在とでは、たとえば現に自衛隊ができている、そういうような大きな変化がございます。しかしやはり精神としては、単に民間とこの事業を協力するというだけでなくて、あそこに日本の海軍の財産がアメリカから返ってくる、そういう場合に、やはりこの軍港市転換法の精神は生きていると思うのですね。ですから、原則としては平和産業及び港湾に使うのがほんとうだ。平和産業及び港湾といえば現にあそこに非常に大きな機械工業、具体的にいえば自動車工業並びに造船工業がもう出ているのですね。そればかりではないでしょうけれども、その他の平和産業並びに港湾計画というものに原則として第一義的に優先位があるべきではないか。どうもことに市町村に行きますと、何といっても中央から局長の通牒が来ただけで——なるほど書き方は依頼というふうになっているけれども、国有財産が民間に返る前にちょっと先に、実際防衛庁なんかよくそういうことをやっているのですから。防衛庁が必要だからといって先にまず押えて、なかなか平和目的に使わせないというようなことが現実に間々ございます。ことにこういったような平和的な目的のために、これはみんな賛成なんですね。だけど、そういうところから見ていやしくも平和産業及び港湾関係に使おうということに、何か中央の官庁の命令だから優先するのだというような考えでやられてはならないと思うのです。現地の受け取り方はやはりそう簡単じゃないですよ。中央の官庁から通達が来れば、弱ったなあというので頭をかかえてしまう、それが現状です。ですから、まだきまっていないのですよ、この問題は。こういう状態なんですから。そういう点をお考えになって、いま長官が初めおっしゃったことは私は賛成です。ほんとうに現地側の協力を得てやるのだ。その場合に、平和産業と港湾のためということ、ここれがまず第一です。これは私はお認め願わなければいかぬ。いかがですか。
  40. 西田信一

    西田国務大臣 米側から返還された場合の使い方でありますが、それは先生のおっしゃるような平和目的、ことに港湾、こういったようなところを優先していくということは当然のことだと思います。そこで、この海洋科学技術センター、決して国のほうから威圧的にどうというようなことはないのでございまして、十分事情を申し上げて、そして御理解は市当局からちょだいしているつもりでございまして、先生のおっしゃった大原則をひん曲げてどうこうというような心持ちは持っておりません。面積から申しましてもごく一部でございます。そしてこれも何と申しますかいわゆる認可法人でございまして、民間の方々も参加していただき、そしてまた実際には民間の方々を中心としてわれわれのほうは監督をしながら運営をしていくわけでございます。そして、これはあくまでも平和目的ということに限った、平和目的海洋開発をするというための技術開発ということにしぼっておるわけでございまして、それがやがてやはり日本海洋開発に役立つ、そして、そのことからまた海洋開発に対する平和産業もここら辺からだんだん発展をしていくであろうというようなことに非常に将来の期待を持ってつくるわけでございまして、運営につきましても——ただ民間の出資がございますから、あまり何といいますか、民間がかってにするというようなことはあってはなりませんので、若干の制約もいたしておりますけれども、先生のおっしゃったような御趣旨を十分に心得ながら、そしてまたあそこに進出しようという方々の御協力もちょうだいしなければなりません、そういう心持ちでお願いを申し上げ、そして最終的には地元の御意向というものを中心として配分計画をおつくりになると思いますから、その中にひとつ加えさせていただきたい、こういう心がまえでおりますし、将来あそこにお許しがございました場合におきましても、目的その他を踏みたがえないように十分戒心してまいりたいと考えております。
  41. 曾禰益

    曽祢委員 国有財産の管理の責任は大蔵大臣だと思うので、大蔵省からいまの軍港市転換法の精神とこの問題についての大蔵省の見解を伺いたい。
  42. 小口芳彦

    ○小口政府委員 御質問の点でございますけれども、ただいま追浜が問題になっておりまして、この追浜につきましては、昭和四十五年の六月三十日の開催の日米合同委員会におきまして返還が決定いたしまして、本年二月十九日日本側に引き渡しが行なわれたわけでございます。ところが、この追浜に対しましては、この土地を利用していろいろしたいという要望が多数ございまして、お話の中にも出ましたけれども、民間企業で約三十社くらいございます。それから、海洋科学技術センターの御要望がございます。それから、あそこに夏島貝塚という地点がございますけれども、これは返還のおりには史跡に指定したいということを文化庁の長官が言ってきております。そのような点からいたしまして、このような案件につきましては、大蔵省といたしましていろいろ十分に検討をいたしまして取り計らいたいというふうに考えておりますけれども、お話にも出ましたように、本地は旧軍港都市転換法の適用を受けております地点でございます。この転換につきましては、この法律に基づきまして旧軍港市国有財産処理審議会が設けられておりまして、これは地元の市長さんも入っておりますけれども、この審議会の議を経て慎重に検討するということになっておりまして、ただいまお話がございましたような御趣旨をくみまして、大蔵省のほうでも十分に今後慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  43. 曾禰益

    曽祢委員 大臣のお話と大蔵省のあれで、私の言わんとするところは了承されたと思うのですが、やはり現行の法律は尊重しなければなりません。軍港市転換法は、精神を生かしてやっていく、したがって、地元とよく話し合ってきめる。  それからもう一つ、私は、もしなかなかうまくいかない場合に——まだまだこれから返ってくるところはずいぶん多いと思うのです。横須賀市のアメリカの海軍関係の基地が、そういうこともあるのですから、そういうことも十分に踏まえて追浜について話がつけばよし、なかなかできない場合に、実際そういうまだまだ横須賀市のしかも米海軍の持っている土地の返還ということは、相当可能性が強いわけです。すでに返されたもの以外にも可能性があるわけです。そういう点も十分に考慮されて、あくまで転換法の精神と、いま大臣の言われた、上から押しつけるのじゃないのだ、中央政府としてはそういう考えでない、こういう考えでやっていただきたいと思うのです。もう一度大臣の御答弁を伺いたいと思います。
  44. 西田信一

    西田国務大臣 この用地の関係につきましては、諸般の、いま先生がお述べになりましたような事情も十分承知をいたしておりますので、できるだけひとつ地元の方々の十分な御理解をちょうだいし、御協力をちょうだいいたしまして、その御納得の上に使わしていただきたい、かように考えております。できるだけわれわれといたしましてはあそこを使わしていただきたいという気持ちでございますが、それが不可能の場合のことにつきましては、また十分ひとつ考えてまいりたいと思います。
  45. 渡部一郎

  46. 山原健二郎

    ○山原委員 多少重複しますけれども、この法案の第一条の目的の条項について長官のほうにお伺いをいたします。  一つは、海底軍事利用禁止の問題が現在すでにお話に出ましたように、国際的にも非常に重要な問題となっております。今日海洋開発に関する法律を制定するにあたりまして、私は原子力基本法同様に、海洋開発の場合にも平和利用目的にのみ限るということを明記すべきだという考え方を持っておりますが、これにつきまして長官の見解を伺っておきたいのです。
  47. 西田信一

    西田国務大臣 この第一条にセンターの目的を書いておるわけでありますが、これは「海洋開発に係る科学技術に関する総合的試験研究、研修等を行なうことにより海洋開発に係る科学技術の向上を図る」ということを目的としておりますが、これは第一条の文字からも十分読み取れまするように、軍事的なことを目的としたセンターではないというふうにわれわれははっきりと考えておりまするし、この条文で十分先生の御趣旨に沿うものであるというふうに考えております。
  48. 山原健二郎

    ○山原委員 その論点から申しますと、たとえば動力炉・核燃料開発事業団の場合にしましても、設立の目的のところ、第一条には「動力炉・核燃料開発事業団は、原子力基本法に基づき、平和の目的に限り、」と、こうなっておるわけですね。だから、非常に明確にはなっておるにもかかわらず、なおかつ平和目的に限る、こういうふうに出ております。  それからさらに宇宙開発事業団の場合にいたしましても、これはかつてわが党がこの科学技術委員会にいないときでありますけれども、四党修正案によりまして、第一条に「宇宙開発事業団は、」の下に「平和の目的に限り、」とやはり加えておるわけですね。そういう趣旨から申しますならば、私は今日海洋開発が非常に軍事目的との関係において論議されておりますときに、当然入れるべきではないかという考えを持つわけですけれども、再度この点についてほかの二つのいま言いました法律と相違があるのか、この点について見解を伺っておきたいのです。
  49. 西田信一

    西田国務大臣 先生よく御承知のとおり、原子力といいますと、やはり核兵器というようなことと非常に関連性が考えられますし、宇宙の場合におきましても、また核兵器その他、兵器として関連性が近いわけでございますから、その点でやはり明確にされたものだと思いますが、海洋開発のための技術の研修、研究でございますから、私どもは特に平和利用という法律上の限定をする必要はなかろうというふうに考えております。
  50. 山原健二郎

    ○山原委員 いまの長官の御答弁ですが、二つの面から、一つは、だからこそ私は海洋科学技術センターという任務から申しまして、一そう平和目的ということを明確にすることが正しいと思うのですよ。もう一つの点から申しますと、国際的にも非常に海洋開発の問題が軍事利用との関係において論議されておるという関係がありますね。昭和四十二年秋の国連総会におきまして、マルタ、ベルギーそしてブルガリアの海底利用を平和目的に限りも海底資源をすべて人類に分かち合うべきであるとの提唱がなされておることは御承知のとおりで、さらにそれに引き続きまして、昨年の春のジュネーブ軍縮委員会がこの問題を取り上げております。そのときに、日本の朝海代表のことばがこういうふうになっているわけです。「海底軍事利用禁止には賛成であり、海底が核戦争の基地はならないよう望む」こう述べております。しかし同時に、「しかし、“純防御装置”を条約禁止することは問題」と、ソナーのような純防御装置に限ってではあるけれども日本海底軍事利用の権利を保留する態度を示しておるわけです。こういう点から見まして、その面からも一そう平和目的利用ということが書かれることが正しいのではないか。日本政府の態度はこの点きわめてあいまいであります。その当時の朝日新聞を読みますと、これは朝日新聞だけでなくて他の新聞もそうでありますが、「南極条約では南極地域での、『すべての軍事利用』を禁止し、その実施を保証するため『あらゆる施設の自由な査察』を認めている。宇宙天体条約でも天体に関しては、『軍事利用』を許していないのである。政府はほんんとうに日本海洋開発平和目的にのみ利用すべき」という記事が出ております。だから、この点では政府の姿勢は報道関係からも一応指摘されておるかっこうになっているわけですね。私は、そういう意味でかなり多くの国民、また科学者が疑念を持っておる問題に対しては、法案の中で明確にすべきである、このように考えるのですが、再度長官意見を伺っておきたいのです。
  51. 西田信一

    西田国務大臣 原子力の場合は、基本法におきまして明確にされておりますから、それを受けての事業団法でございますので、書いておると思いますが、海洋開発の場合は、くどく答弁でも明確に申し上げておりまするように、軍事目的のための研究開発というようなことは全く考えておりませんということを申し上げておるわけでございます。私は、そういう懸念はいささかもないということをここに確信申し上げることができるわけであります。そういう意味におきまして、あえてここに平和利用ということを書く必要はなかろうと思います。
  52. 山原健二郎

    ○山原委員 これ以上申し上げることもできないと思いますが、ちょっと角度を変えてお伺いいたしますと、これまでの海洋科学技術審議会委員のメンバーの中に、現職の防衛事務次官が入っております。今度これは海洋開発審議会というふうに名前が変わるわけでありますけれども、同審議会の幹事には防衛庁防衛局調査課長が入っているわけですね。そうしますと、科学技術庁の調査局の海洋関係政府機関の中には防衛庁は入っていないわけですが、そういう科学技術庁の調査局の政府機関に防衛庁の役人が入っていないにもかかわらず、なぜこの審議会の中に防衛庁の事務次官あるいは調査課長が入らなければならぬのか、この点伺っておきたい。
  53. 西田信一

    西田国務大臣 確かに現在ございます海洋科学技術審議会におきましては、防衛庁事務次官も名を連ねておりますが、これは従来の経過から見まして、防衛庁がわりあい昔のいろいろな海軍時代のこともあるかもしれませんが、そういうような海洋に対しまする研究とかそういう蓄積をかなり持っておりますので、そういうものを平和利用に活用、吸収したいという考えで入れておったようでございます。今回はそういう委員には政府関係者は入れませんから、また従来のそういうあれは必要ございませんので除いたわけでございます。ただ幹事会のメンバーはまだ具体的に最終的にきめておりませんので、それらの点はそういう懸念のないように、そういうことのために、もし入れるとしても入れるのではございませんけれども、十分ひとつ検討してまいりたいと思います。
  54. 山原健二郎

    ○山原委員 開発審議会に防衛庁関係入れないということはよくわかりました。  次に、この法案の業務に関する条項、すなわち第二十三条の第一項第一号につきまして、これは「海洋科学技術に関し多数部門の協力を要する総合的試験研究を行なうこと。」とこうなっておりますが、この内容についてお伺いをしたいのですが、これはどういう意味ですか。
  55. 石川晃夫

    石川政府委員 ここに申しております「多数部門の協力を要する総合的試験研究」と申しますのは、多数部門というのが非常に難解かとも存じますが、これは多数の技術部門の協力を要するというふうに解釈していただければわかりやすいのではないかと存じております。したがいまして、たとえば技術部門の医学とかあるいは土木とかあるいは機械とか、そのようないろいろな技術部門がございます。それの協力を必要とするような総合的な試験研究、これを行ないたいというふうに考えております。
  56. 山原健二郎

    ○山原委員 そのことにつきまして、昨年の七月に山中湖畔で読売新聞社主催の海洋開発国際シンポジウムが開かれておりますが、その記事についてちょっと当局の認識を深めていただきたいと思うのです。それは「“海は人類のもの”」というサブタイトルがついておりまして、こういう記事になっております。「わが国では『開発』と『自然環境の保護』は相対立する言葉になっている。しかし、シンポジウムでは開発と環境保護は表裏一体のものであることがすべての講演者、特に外国からの参加者によって強調された。」「そのためには、海洋資源の発見と分布調査といった、現実的な利益だけを求める“基礎研究”でなく自然環境の仕組みそのものを掌握する本当の意味での“基礎研究”の推進が必要だというのが一致した意見だった。」こういうふうに出ております。それで私も、ここで行なわれましたシンポジウムの全員一致した見解というのは、まさに正しい見解であると思いますし、そういう意味での基礎研究というものがややもすればおろそかにされまして、現実的な利益だけを求めるそういう基礎研究が中心になるという、また予算の配分にしましてもそういうことに重点が置かれるということは、これは決して科学技術の真の意味の振興にはならないと思うのでありますが、この中にありますこの「総合的試験研究を行なう」という中には、私がいま言いましたようなことに対して対応するような考え方があるのかどうか伺っておきたいのです。
  57. 石川晃夫

    石川政府委員 先ほど先生から御指摘がありました自然環境の仕組みを解明していくということは、確かにわれわれの科学技術の最終の目的でございます。したがいまして、大きな意味におきましてはこのような科学技術というものが人類あるいは自然というものに対していかに順応していくかというようなことを考えるわけでございますが、その一つの手段といたしまして、ここにございますような海洋開発についての多数部門の協力による試験研究を行なう、基礎研究を行なうということになるわけでございます。単なる利益を求めるために研究を行なうのではないかというような御質問でございますが、このセンターにおきます基礎研究と申しますのは、そのような個々の特殊なものをとらえてでは危く、海洋をいかにして開発していくかということに必要な基礎研究ということがこのセンターにおいて行なわれるわけでございます。
  58. 山原健二郎

    ○山原委員 いま日本国民公害その他の問題で、この点については非常に重要な関心を持っておると思うのです。したがっていまの御答弁ですが、ここにこのシンポジウムで特に強調され、一致されたという意見であります開発と環境保護というものが表裏一体であるというこの点について、これは長官おわかりになりますか、開発と環境保護というものが表裏一体のものであるというこの考え方について見解を伺っておきたいのです。
  59. 西田信一

    西田国務大臣 この海洋開発ということはその反面いろいろな汚染その他環境破壊というようなことにつながる心配がございます。そこで開発と環境の保全ということはうらはらでなければならない、こういうふうに考えます。ことに水産資源鉱物資源等の関係等におきましても一方において開発が行なわれれば、一方において、何と申しますか、開発による公害を受けるというようなことが起りやすいのでありますから、そういうことのないような開発をやっていく、環境保全に十分考えを置きながら開発を行なう、こういった考え方であります。
  60. 山原健二郎

    ○山原委員 従来大企業を本義とする高度経済成長政策、また地域開発というもの、その名前のもとに大気、水、土地などの環境と自然が破壊されてきたということは、これはもう事実ですね。だから日本国民のいわば生命と健康が脅かされてきたというこの事実の上に立って今度の海洋問題を考えましたときに、海洋におきましては油、工場排水、それから産業廃棄物ですね。さらに今後予想されます原子力発電所その他による放射能汚染、こういうものが海洋汚染の大きな原因となっておるわけです。その防止に対する総合的な研究を行なうような具体的な考え方を持っておるのか、伺ってみたいのです。
  61. 西田信一

    西田国務大臣 先ほどお答え申し上げたのは、海洋開発に伴なうこの環境の悪化を起こさないようにすると申し上げましたけれども、それだけではないのでありまして、陸上のいろいろな産業の開発、地域の開発等に伴なう海洋の汚染、これも海洋開発立場からこの防止あるいはまた現在起きているころの汚染その他をひとつなくしていくというようなそういったような海の汚染防止あるいは汚染排除、こういったこともこの海洋開発一つの大きな使命である、任務である、かように考えておりまして、そういうことにつきましても、このセンターの研究開発対象に取り上げてまいりたいと考えております。
  62. 山原健二郎

    ○山原委員 私が申し上げておるのは、一つ基礎的な、かつ総合的な研究ということを主張しておるわけですね。たとえば日本国民のたん白源である水産資源に関する研究、それから海洋汚染に対する研究、こういうものについては、いまの答弁によりまして長官考え方はわかりましたけれども、具体的にこの基礎的な、かつ総合的な研究についてはどういう計画を立てておるのか。現在あれば報告をしていただきたいのです。
  63. 石川晃夫

    石川政府委員 現在この総合的な計画につきましては、まだ具体的なものは出てきておりませんが、ただこれに関係するものの間で、このような問題を取り上げたらいいのではないかというような問題が二、三ございます。それにつきましては、たとえば潜水技術の問題、これにつきましては海中医学の問題あるいは潜水に使う器具の問題、こういうような問題がございまして、このような技術を総合しなければ、なかなかこの潜水技術というものについての試験研究がむずかしかろうというふうに考えております。あるいは、そのほか海中における計測技術、これは陸上の計測技術と違いまして非常に海洋の特質がありまして、陸上のものをそのままアプライするということは困難でございます。そのような計測的な問題、あるいは相当深海になりますと、環境がすっかり変わってまいります。そこにおけるいろいろな工学的な問題、このような問題を取り上げたらいいのではないかということで進めておりますが、まだ具体的にこれを行なう、行ないたいというような問題につきましては、現在検討中でございます。
  64. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、これに関係しまして、現在はさきの科学技術委員会におきましても問題になりました原子力潜水艦の問題なども出てきたわけですね。そうしますと、それによる汚染の問題というものについて、科学技術庁としてほんとうに掌握しておるのかということに関して質問をいたしたいのです。  まず第一番は、この間、房総沖におきまして日米合同演習が行なわれたわけですが、その際にアメリカの原子力潜水艦スヌーク号が事故を起こして、そして横須賀港に入港しました場合に、これは新聞によりますと進行方向の右に数度傾斜して入ってきたということが出ております。しかもスヌーク号は修理をいたしまして、三月四日に横須賀に入港して三月十五日に出港しておるのでありますけれども、このような場合に科学技術庁に対して、あるいは米軍あるいは防衛庁のほうから、この事故の原因とかそういうものについて報告があるのですか。
  65. 西田信一

    西田国務大臣 そのことは、私はいまここでつまびらかでございませんので、適当な機会にひとつ調べてお答え申し上げたいと思います。
  66. 山原健二郎

    ○山原委員 海洋汚染の問題について先ほどから質問をいたしまして、それに関連しても質問をいたしておるわけですが、この場合に米軍のほうは、新聞によりますと、北風が強く吹き過ぎたのだというようなこと、あるいは押し舟、タグボートでしょうが、タグボートのために船体が傾いて入ったのであって事故ではないという発表をいたしております。しかし原子力潜水艦が三百七十五トンというスヌーク号が北風によって傾くとかあるいはタグボートによって傾斜するとかいうようなことは、これは考えられないことなんです。そういう一片の通報によってわが国政府がそれを論証するとも考えられませんし、ましてスヌーク号は、潜望鏡のところが事故を起こしておりまして、これは横須賀市長の言明によりましても、やぐらを組んで潜望鏡のところを直しておったという報告がなされております。そうしますと、これは接触事故を起こしたんではないかという疑問も生じてくるわけですね。そういう日米合同演習、しかも原子力潜水艦を中心とする追跡演習をこれからしばしば行なうということを中曽根防衛庁長官が言っておるのでありますが、そういうことが行なわれるこの段階で、そういう事故について日本政府に対し、また科学技術庁に対して何らの報告もない、原因の究明も行なわれないということが許されることかどうか。私はその点伺っておきたいんです。わかっておったら詳細に報告してください。これは重大問題ですから。
  67. 西田信一

    西田国務大臣 私はまだその具体的な事情を承知いたしておりません。いま役所のほうに電話をしておるそうでございますが、わかり次第お答えいたします。
  68. 山原健二郎

    ○山原委員 長官の答弁に私はこの点では非常に不満なんです。ああいう事件が起こりまして、少なくとも新聞にも出ておりますから、そういう点では当然この原因の究明というものが行なわれなければ、今後米海軍が何を起こしたってわれわれは文句言えないということにもなりかねないわけですね。これは当然その原因の調査を行なうべきことだと思うのですよ。そこらの感覚というものが非常に私は解せないのでありまして、科学技術庁に対して報告もないというようなことで許される問題なのか。これはもう一回伺っておきたいんです。たとえば、そういう事故が起こった場合には、日本の専門家が乗り出して究明するというぐらいのことはしなければ不安でおられませんね。たとえば、この前問題のありましたように、土佐湾あるいは相模湾が潜水艦の行動区域として指定されておる。潜水艦の範疇には原子力潜水艦が入るということになりますと、海の汚染の問題、事故については国民がいま重大な関心を持っているわけですね。それに対して当の科学技術庁が何ら知らされていないということはちょっとこれは想像できないことなのでありますが、もう一回伺っておきます。どういう調査をしますか。
  69. 西田信一

    西田国務大臣 それは、事故であるのかないのか。また重大な事故であるとする場合と、全く事故でない場合とでおのずから扱いが違うと思うのです。もし科学技術庁、政府側にそういう通報を要するような事故であるならば、むろん通報があると思いますし、それに対してわれわれは必要な対処をしなければならぬと思います。しかし先生は重大な事故があったと御指摘のようでありますが、そこら辺は明確になっておるのかどうか私にはよくわかりませんので、もちろん入港いたしましたら普通の監視測定というようなことはやっておるのですが重大な事故が起きて危険があるということで、何かわれわれに通報するというそういう事態が起きておったのかどうかということがいま明確でございません。   〔渡部委員長退席、田川委員長代理着席〕
  70. 山原健二郎

    ○山原委員 すこぶるたよりない御答弁で残念ですが、科学技術庁と関係のある問題として、この放射能の調査の問題ですがね。これについて伺っておきたいのです。私は土佐湾の問題が出ましたので、では海洋における放射能汚染というものが調査をされておるのかどうか調べてみたいのです。そうしますと、確かにこの調査については科学技術庁のほうが掌握をしておりまして、たとえば高知県の衛生研究所にはガイガー計数器あるいは放射能測定器があります。ありますけれども、これは空気中における放射能または海水、食品を中心とした放射能の検出が主であります。海洋につきましては人手もなければ予算も雇い、そういう指示も雇い、だから義務づけもないので、今日の状態ではやれと言われてもやれません ただ心配をしておるだけです。こういう所長さんからの回答が出てきたわけであります。それでは空気中の放射能あるいは海水の放射能についてはどうしておるかというと、これはもし異常が生じた場合でも県内においてかってに発表することはできない。すべて科学技術庁に報告をしておるだけでございます。こういう状態です。さらにこれと関係しまして、これは水産庁関係でありますが、南西海区水産試験所のほうに連絡をしてみますと、ここには確かにモニタリングポスト、またガイガー計数器もここも持っております。しかしここの場合も月一回水産庁に報告しておるだけであって、海水などについては研究はほとんどしてない。異常があっても発表することもできない、こういう形でいま国民が非常に重要な関心を持っておる放射能汚染の問題につきましては全く無防備な状態、しかも原子力潜水艦が演習航行をしておるかもしれないという可能性のある海域におきまして、全く無防備な状態、しかも海水、空気中の汚染については科学技術庁に報告するだけであって、たとえば県民に対してそれを知らすことはできない。いわば箱口令を科学技術庁がしいておるといっても過言ではない状態に置かれておるのが日本列島の周辺の状態であるわけです。私が言いましたことが事実かどうか伺っておきたいです。科学技術庁はどういう形で放射能の全国的な情勢を報告しておりますか。
  71. 西田信一

    西田国務大臣 具体的な御質問でございますので、いま原子力局長を呼んでおりますので、しばらくお待ちください。
  72. 田川誠一

    ○田川委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  73. 田川誠一

    ○田川委員長代理 速記を始めて。
  74. 西田信一

    西田国務大臣 山原先生から、スヌーク号が入港したことにつきましては、われわれもはっきりこれは聴取しておりまして、汚染の監視等の実施をいたしましたが、何ら異常を認めなかったのであります。  船に他の事故があったかどうかということにつきましては、これは全くわれわれは未確認でございまして、通報も受けておらないのであります。したがいまして、事故であったのかどうかということも不分明でございます。そのように御承知をお願いいたします。
  75. 山原健二郎

    ○山原委員 そういうことですから、この間問題になりましたように佐世保、横須賀に原子力潜水艦が入港する場合には、二十四時間前に通報があるわけですね。その間においては、全く何が起こったってわれわれは知らないということですね。これは長官もお感じになっておると思いますけれども、私は非常に重大な問題だと思うのです。そこで事故が起こった場合、あるいは放射能をたれ流した場合、おそらく港に入った場合には、放射能たれ流しということについては、かれらも警戒をしておると思うのです、こっちの監視体制も一定の監視体制はあるわけですから。しかしその間における航行中の放射能のたれ流しというような問題になってくると、日本国政府は知らないということになってくるわけですね。たとえば房総沖の演習というのは、これはチャーリー区域でありますから、ここは潜水艦の行動区域になっていない。行動区域になっていないところでかれらは今度日米合同演習をやって、スヌークはあそこを走り回っているわけです。チャーリー区域について汚染の状態がどうなっているのかということは、これは調べる要素がないわけでしょう、いまのところ。全く知らないというわけですね。しかし、そこでは日本国民のたん白質資源であるところの魚をとっているわけですね。だから、そういう問題に対して知らないということで済まされるかという問題が、これはこの間も問題になったところだと思います。だから、その辺につきましては、当然これは海洋調査が厳密に行なわれるべきものだと思いますし、同時に港だけでなくして、土佐湾とか相模湾につきましては、これは常時警戒体制を敷きまして、そしてそれに対する汚染状況を調べるということが、これは当然のやり方だと思うのですね。日本国民の生命財産の保全のため私は当然のことだと思うのです。そういうことができないところに幾ら原子力損害賠償法をつくったところで——入港してくるところの米原子力潜水艦の問題については、何ら日本政府は知らないというようなことが許されるかという問題。だから私は、その点について、これはもう日本政府の決意の問題になってくると思います。これは長官の決意を伺っておきたいのです。というのは、私のところは、本日も漁業協同組合の幹部が大挙してこちらへ来ております。一体どうなったのか、演習が行なわれておったのかどうかもわからないし、汚染の状態を調べてみれば、だれでも調査したものがないということになってきますと、放射能に汚染された魚を食っておるかもしれぬという問題さえ出てくるわけですね。おそらくそういうことはなかろうという期待はありますけれども、それは期待であって、立証することはできません。だから、そういう点についてはどうするのかということです。そのことを伺っておきたいと思います。
  76. 西田信一

    西田国務大臣 原潜が入港しました場合は通報がありますし、それに対する監視の体制は整っております。それから核爆発実験などがあった場合等におきましても、十分測定が行なわれているわけでございます。  そこでアメリカの原子力潜水艦が公海で演習した、それに対して常時監視体制ができているか、こういうことだと思うのでありますが、この間もどなたか御質問がございまして、局長から答弁をいたしたと思いますが、何か必要が起きれば、もちろん測定ということは考えられるという御答弁を申し上げていると思います。  ただ潜水艦の演習があるということに対しまして、日本の全海域につきまして常時監視体制をとるべきかどうかにつきましては、私どもといたしましても、十分ひとつ検討させてもらいたいと思います。
  77. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に……。もう時間がたちましたから、近江先生が質問されると思っておったのですが、ないようですから、私もこれで終わりたいと思いますが、少なくとも潜水艦の行動区域として指定されてないチャーリー区域で日米合同演習をやるのは何ごとかと私は言いたいのです。しかも原子力潜水艦の航続力それからスピードなどを考えました場合に、相当のことが行なわれている。だから傾いて入るとか、あるいは潜望鏡を直さなければならぬというふうな事態が起こる。しかも、それは事故であったのか何であったのかわからぬということでは、これは全く国民に対して申しわけないことだと思います。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 だからチャーリー区域を使ったことの違法性については、これは防衛庁の問題ですから、科学技術庁については、私はいま質問をいたしませんけれども、少なくとも長官の決意をもう一度伺いたいのですが、潜水艦行動区域として指定されている相模湾、土佐湾、これは人口密集地帯があるわけです、相模湾の場合には。土佐湾にしたってそうです。水打ちぎわまで彼らは入ることができるわけです。そこには大都市もあります。またハウス園芸地帯もあります。漁民は漁業をしております。そういうところに対しては、少なくとも常時あるいはしばしば——少なくとも不十分ではあろうと思いますけれども、現在の対策としては、海水の汚染状況の調査、そのぐらいはすべきだと思うんですよ。この点について、やるかやらぬか伺っておきたい。
  78. 西田信一

    西田国務大臣 いろいろ監視体制の整備の問題もございますから、あわせまして十分検討させていただきます。
  79. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  80. 渡部一郎

    渡部委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  81. 渡部一郎

    渡部委員長 ただいま委員長の手元に、田川誠一君外三名より自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかる海洋科学技術センター法案に対する修正案が提出されております。     —————————————   海洋科学技術センター法案に対する修正案  海洋科学技術センター法案の一部を次のように修正する。  第一条中「海洋科学技術センターは」の下に、「、平和と福祉の理念に基づき」を加える。     —————————————
  82. 渡部一郎

    渡部委員長 まず提出者より趣旨の説明を求めます。田川誠一君。
  83. 田川誠一

    ○田川委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、海洋科学技術センター法案に対する修正案の趣旨について、簡単に御説明申し上げます。  この海洋科学技術センター法案は、海洋開発にかかる科学技術に関する総合的試験、研究や研修などを行なうことにより、海洋開発にかかる科学技術の向上をはかることを目的とするものでありますが、これはあくまで平和と福祉の理念をもって実施されるべきであります。このことは当然のことでありますけれども、これをさらに明確にする意味から、お手元に配付してあります修正案のように、第一条に、「、平和と福祉の理念に基づき」と加えたのであります。  以上であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  84. 渡部一郎

    渡部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  85. 渡部一郎

    渡部委員長 これより本案及び修正案を討論に付するのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに海洋科学技術センター法案について採決いたします。  最初に、田川誠一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 渡部一郎

    渡部委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  87. 渡部一郎

    渡部委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  88. 渡部一郎

    渡部委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、石川次夫君外三名より自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の共同提案にかかる、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。石川次夫君。
  89. 石川次夫

    石川委員 ただいま議題となりました、本案に対する附帯決議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、趣旨の説明を申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    海洋科学技術センター法案に対する附帯決議(案)   海洋科学技術センターは、平和と福祉の基本理念を確立し単に資源開発のための科学技術の向上に資するだけでなく、海洋の汚染防止など広く海洋に関する科学技術に対しても重視していくべきである。 以上であります。  その内容につきましては、質疑の過程においてすでに明らかにされておるところでありますので、省略いたします。何とぞ御賛成をお願いいたします。
  90. 渡部一郎

    渡部委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議につきましては、別に発言の申し出もございませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  91. 渡部一郎

    渡部委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本案は附帯決議を付することに決しました。  ただいま議決いたしました附帯決議に関して、西田国務大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。西田国務大臣
  92. 西田信一

    西田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、善処いたしたいと思います。     —————————————
  93. 渡部一郎

    渡部委員長 おはかりいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  95. 渡部一郎

    渡部委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  原子力損害の賠償に関する問題調査のため、参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 渡部一郎

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は来たる四月十四日、水曜日、午後一時理事会、一時十五分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会