○三木(喜)
委員 いままで論議されましたことなりあるいは答弁を受けたことについて、多少整理しながらお伺いしたいと思います。
この
原子力賠償法あるいは契約法、この二つが一本になって
法律として出てまいりましたその段階で、
一つの意見として
米国の
原子力潜水艦の問題が出てこなければ、この問題はこのように混乱しないんだ、こういう意見が一方にあるんです。なるほどそのとおりで、今日
外務省なりあるいは
防衛施設庁あたりから出てきていただいてその
見解を伺っておるのは、全くその問題が出たからであります。ところが前の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する
法律の一部を改正する
法律案の審議のときに、入港
原子力船の諸規制をどうするかということが問題になった。しかしこのときはこういう問題は抜きにして、
原子力潜水艦ということはもう別だということで、これははずされておったわけです。だからあえて、前の
法律を審議したときにはこの問題は出なかった。ところが今回は
原子力の
災害をどうするかという問題ですね。そうするといまのお話の中でともすれば出ようとするのは、公権力の一番かたまりのような、
原子力潜水艦というようなものはわれわれの力では及びません、だからのけておいてくれと言いたげな御答弁があるわけなんです。それでは今度の
原子力災害というものをたいへん重視したこの
法律案というものが死んでしまうわけなんです。なぜかと申しますと、
日本の「むつ」がかりに
アメリカへ行くといたしましても、一回ぐらいのものでしょう。数回も
アメリカをわざわざ訪問する必要はないのです。ドイツのオットー・ハーン号が
日本に来ても、数港には寄港するかもしれません。するかもしれませんけれども、来るのも一回ぐらいなものでしょう。
サバンナ号が来たといたしましても、一年に一回というくらいのことでしょうけれども、
日本国民として
原子力の
損害あるいは
災害というものをもろに受け、心配しておるのは
原子力潜水艦の入港なんです。だからこの際、
原子力潜水艦の入港というもの、あるいはそれから受ける
災害というものを抜きにして、あるいは法理論、
外交論、こういうものを抜きにして、この問題を避けて通るわけにはいかないのです。私の聞くところによると、
外務省から出たのかあるいは防衛庁から出たのか、それは私は知りませんけれども、
政府部内では、科学技術庁のこういう提案のしかたが悪いからこういう問題に関連してくるんだ、野党がそれに飛びついてきて話をするんだというような、いまこういう観測があるというように聞くのですね。あると私は断定できませんけれども、そういうようにいわれておるような節が、私の想像するところあるいは聞いたところを総合する
範囲ではあるのです。それはとんでもないことである。なぜかというと、
原子力潜水艦というものは、あるいは空母というものは、ベトナムの問題あるいは沖繩の今度の返還の問題を中心にして、当然議題にあがってこなければならぬ問題なんです。そこで、科学技術振興対策特別
委員会でこのことが問題になることについては、どこかで問題にならなければいかぬことであったわけであります。科学技術振興対策特別
委員会だから、このくらいの
見解でまあそこを納得させ得るだろう、こういうような甘い考えはひとつ捨てていただいて、どこでこの問題が議題になろうと、私は真剣に
国民として取り扱わなければならぬ問題にいま逢着した、こういうように認識していただきたいと思うのです。いまお話を聞いておりますと、まかしておいてくれ、おれたちは
外交でやるんだからということです。こういうようなことではちょっと
国民は納得がいかないわけであります。そういう観点に立って、いまから以下問題になるところをよく考えていただいて、そして対処願いたいと思うのです。
そこでこの
法律案の持つ意義ですけれども、いまも若干触れましたように、
国民サイドに立ってあるいはそこにおる住民サイドに立って、どのようにこの
災害を起こさないようにするかということが
一つの大きな観点だと思うのです。起こったときにはどうするかという、これがこの
法律の持つ意義だと思うのです。だから陸上の原子炉については、いままで
損害賠償の業者の
責任を五十億としておったのを六十億にして保険をかけさせて、そして
災害に対処するところの費用をここに積み立てなければいけない。これは
国民が納得しない、こういうことなんです。
それからもう
一つ、これは私は前から問題に思っておるのですが、前もそんなことを言ったのですけれども、
政府の答弁はやや明快を欠いたのですが、「むつ」が
外国へ行くであろうということを想像して、ほんとうなれば海洋観測船だった。それを特殊貨物船にして、オットー・ハーン号と同じようにしまして、そして
外国へ行くであろうということを想定して、それ表ればこれに
賠償の
責任をつけなければいかぬ。しかしながら
米国は
日本にやってきたと奏の
賠償の限界が五億ドルだ。
日本は一億ドル、いわゆるブラッセル条約の線に沿うて一億ドルにしようじゃないか、何かためにすることでこれがつけられたから不明朗な答弁が出てくるのではないか。私どもそれを初めから聞きたいところなんですけれども、そういう明確な答弁はないのです。科学技術庁に聞いてみると、これで鉱石を運搬しても七億円ほど要って、二億円くらいは運賃で入ってくるだろうが五億円の赤字だ。この船はどこが一体持つのですか。おそらく業者としては持たない。企業としては持たない。そうすると
政府がどこかに委託しなければならぬということが起こってくると思う。それはそれでよろしい。科学の先取りで、
原子力船を
日本としてはつくったという経験を得るということが大事ですからね。それはそれの問題にしておいたらいいのですけれども、特殊貨物船として
外国に出かける、ここに問題が
一つあると思う。それにしましても、一億ドルと
アメリカは五億ドルという差があります。こういうようなことが起こってきてこの問題が論議されたのですが、要するに
災害をどう受けとめるか、こういう観点に立たなければどうにもならないわけであります。私たちはこういうような背景に立って皆さんに御
質問申し上げておるのです。ところが
原子力潜水艦というようなダンプカーがいきなり横から出てきて、スムーズにいくべきであろうところのこの審議がいかなくなってしまった。全くけしからぬことだというようなお考えがあるなら、これは直してもらいたいと思う。交通ラッシュのところは、交差点ではやはり交通整理をやっておるわけです。横からダンプが出てくるから問題が起こるのでしょう。私たちは
原子力潜水艦はダンプだ、こう見ているのです。そのダンプをどう規制するかということなしに、それを抜きにしてのこの
法律案の審議はナンセンスですよ。ところが、まず近江君の
質問に対するその答えで、
アメリカ局長にひとつお聞きしたいのですけれども、
アメリカ局長はえらいことを言ったわけです。公権に対しての民権というものは、特に
アメリカに対してはてこに合わぬのですよ、
原子力潜水艦なんかはてこに合いますかいなというようないま答弁をされた。私はもってのほかだと思うのです。そんな考え方では
日本の国のシビリアンコントロールが、いわゆる軍を主宰する、こういうところに対しましてきくはずがないのですよ、そういう考え方では。ここで科学技術庁ががんばってもろうて、それこそ身命を賭して、ひょっとしたら首が飛ぶかもしれませんよ、こんな問題が与党の中で問題になったら。一科学技術庁、科技特で問題になったあるいは外務
委員会とか、予算
委員会で問題になったとかいう問題と違いますからね。そういうところで問題に在ったということになれば、科学技術庁に累が及ぶかもしれないという心配を私は持ちます。そうあってはならぬと思うのです。そんなことでよけて通ってもらっては困ると思う。いま話を聞いていましても、
長官、えらい意見がましくて済まぬけれども、あなたの態度が非常に不明確ですよ。これに対して非常な覚悟を持ってきょうここへ来ましたか。私らゆうべから夜を徹してこの問題をやっているのですよ。近江君の
質問に対しましても、
田中君の
質問に対しましても、何ら聞くべきものがないじゃないですか。まかしてください、
外交でやります、
外交でやったらえらい損をするのですよ。限界が百万ドルですよ。
アメリカの
原子力潜水艦はどういう
立場をとって
補償するかわかりません、いまのところ。
外交交渉でも限界が百万ドルです。そうじゃないですか、いまの話を聞くと。一億ドルは
日本の「むつ」でも
アメリカに対しては
補償せにゃならぬのですよ。向こうが五億ドルと言えば五億ドルせにゃいかぬのですよ、合わすためには、二国間
協定をやるためには。そんな低いレベルで
交渉を見通してくれておるようなことでは困ると思うのです。まずここからお伺いしたいと思うのです。どうあがいてみたって限界は百万ドル。そしてそれ以外は
議会の承認が要るのです。
議会まで動かす
外交ができますか。
日米繊維
交渉を見ても、
議会まで動かす
交渉ができますか。まかしておいてくれとこうおっしゃるのですから、
アメリカ局長、あなたにまかしますが、できますか。「(おれはまかさぬぞ)と呼ぶ者あり」いやいや、百万ドル以上はできるか、どういう方法でやるのか、ひとつ聞かしてください。