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1971-05-20 第65回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月二十日(木曜日)     午前九時三十一分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 宇田 國榮君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 箕輪  登君 理事 中谷 鉄也君    理事 中川 嘉美君 理事 小平  忠君       國場 幸昌君    田中 龍夫君       西銘 順治君    本名  武君       美濃 政市君    安里積千代君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         沖繩北方対策         庁調整部長   田辺 博通君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員異動 五月二十日  辞任         補欠選任   門司  亮君     小平  忠君 同日  理事小平忠君同月十四日委員辞任につき、その  補欠として小平忠君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十五日  沖繩無条件全面返還等に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第五七四九号)  同(浦井洋紹介)(第五七五〇号)  同(小林政子紹介)(第五七五一号)  同(寺前巖紹介)(第五七五二号)  同(田代文久紹介)(第五七五三号)  同(谷口善太郎紹介)(第五七五四号)  同(津川武一紹介)(第五七五五号)  同(土橋一吉紹介)(第五七五六号)  同(林百郎君紹介)(第五七五七号)  同(東中光雄紹介)(第五七五八号)  同(不破哲三紹介)(第五七五九号)  同(松本善明紹介)(第五七六〇号)  同(山原健二郎紹介)(第五七六一号)  同(米原昶紹介)(第五七六二号) 同月十七日  沖繩無条件全面返還等に関する請願外一件  (安里積千代紹介)(第六六八三号) 同月十八日  沖繩無条件全面返還等に関する請願外一件  (安里積千代紹介)(第六八二八号)  同外五件(瀬長亀次郎紹介)(第六八二九号)  沖繩渡航身分証明書交付手数料還付等に関す  る請願瀬長亀次郎紹介)(第六九一三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  沖繩与那城村総合経済開発に関する陳情書  (第三五一号) 同月十七日  沖繩施政権返還に関する陳情書外一件  (第三五六号)  沖繩における教育委員公選制存続に関する陳  情書  (第三五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖繩問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。この補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長小平忠君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 池田清志

    池田委員長 沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  5. 國場幸昌

    國場委員 復帰を目前に控えて復帰準備に大わらわということでございまして、沖繩県民は、長年にわたるところ悲願達成、その喜びと同時に、一方、復帰ショックというのがございます。あらゆる部面においての法制度において、御承知のとおり沖繩は、施政権分離によりまして、曲がりなりにも一国並みの形態に今日まで置かれておったということは御承知のとおりでございます。ここで、いま沖繩で一番問題になっておることは、御承知のとおり世界に冠たるところ日本経済成長、これとは反しまして、沖繩においての経済格差というものは本土の約六〇%といわれております。そこで、私は、いま沖繩住民の中で最も不安をかもしているところ軍用地問題、この軍用地問題に対しましては、御承知のとおり基地の中に沖繩があるんだとまでもいわれているところの、本土とは違うところの密度、そのもの沖繩本土の約一割以上といわれているのが現実でございまして、この軍用地地主アメリカ軍との軍用地契約が今日までなされてきたわけでございますが、この軍用地は、戦後、敗戦の責任を負う日本のたてとしての役割りを果たしてきたのも御承知のとおりでございまます。日本基地とは違いまして、多岐にわたるところ状態にあるこの基地は、復帰しますと、政府との契約により、それが基地の安定をはかるということになっております。  そこで、防衛庁長官にお尋ねしたいことは、多種多様、多岐にわたるところ軍用地主を安心せしめ、そして政策とするところの、いまの基地が、日本本土基地と何ら変わることのないような、いわゆる防衛に対しての役割りを果たすためには、まず地主協力がなくてはいけないということも御承知のとおりでございます。でありますので、これだけの軍用地を、今後再契約という、いわゆる軍用地主政府との契約、それは、沖繩軍用地主の一番関心の的となっておるのも御承知のとおりでございます。それだけに、いわゆる戦後処理、またこれから迎えくるところ祖国復帰に際しまして、その軍用地取り扱いに対しまして、私は、施設局設置そのものが第一になされねばいかないことだと思いますが、防衛庁長官は、沖繩軍用土地扱いに対していかに重要視し、それに対する対処策として施設局設置に対してお考えがあるかどうかをお伺いします。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 土地問題、雇用問題の解決は、沖繩におきましても最大問題の一つでありますから、沖繩返還後は、当然相当大規模施設局設置する計画でおります。返還前といえども返還協定が国会を通りましたならば、その施設局設置するための諸般の準備に入るつもりであります。
  7. 國場幸昌

    國場委員 準備あるいは設置することということに対しましては、理解を得ましたですが、その内容についてお伺いいたします。  御承知のとおり基地が漸次縮小していくと、全く基地依存度によるところ沖繩経済、それをささえておるところ従業員など、失業者が次から次へと続出しておるのが沖繩現状でございまして、この施設局設置するためにはどれくらいの人員を要し、どれくらいの規模を持つものであるか。その管理使用人としての採用については、でき得る限り沖繩県民のほうから起用していただきたいことを希望するわけでございますが、その点に対して、いかがでございましょうか、長官
  8. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖繩復帰いたしました後に沖繩防衛施設局設置したい、相当大規模のものを設置したいということは、いま大臣からお答えがございました。私どもは、復帰前におきまして、これから資料収集なり調査段階を経まして、具体的にいろいろと地元との交渉に入らなければなりませんので、その段階におきましても相当数人員が必要であるということで、現在検討いたしております。できれば沖繩復帰準備事務所というものを返還前にも設置いたしまして、相当な人員をかかえて仕事に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。そこで、その人員等につきましてはまだ検討中でございます。相当大規模のものをわれわれとしては必要としているというふうに考えておりますが、その際に地元民の方々を採用するという問題も、これまた当然のことでございます。現在、琉球政府におられますところの、いわゆる公務員の方々につきましても、その転職、再雇用といいますか、そういうものを考慮いたさなければなりませんと思いますし、また軍の雇用者で離職をされたというふうな方々につきましても、できるだけいろいろな職場においてその再雇用をはかるということを考えなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 ぜひ施設局設置は実現さしていただきたいということを要望します。  次に復元補償問題に対してお伺いいたします。  御承知のとおり、現在、復元補償のめどもつかず次から次へ軍用地開放されておるのが現状でございます。六月三十日付でいわゆる十四市町村にまたがるところ土地開放、最近発表されたものが百五十二万六千八百二十六坪になってございます。今後も次々と開放地は続出するということが考えられるわけでございますが、一番いま軍用地主の悩みとして不安をかもしておるのがこの補償問題、いわゆる土地契約条件でございまして、御承知のとおり平和条約第十九条(a)項によって請求権は放棄する。これは外務大臣も、またせんだっての連合審査会においての長官お答えも聞いておるわけではございますが、まだまだ納得しない点がございますのでお伺いするわけでございますが、御承知のとおり軍用土地は今日まで平均しますと約十六セントと、わずかにたばこ一個代にも足りないような一坪に対しての年間借地料でございます。そこで、その土地が勢い開放が実現されることになりますと、それに対して復元補償というのが全然めどがついておらない。一方的に開放して、その補償というのは全然目当てもつかないという。日米どの政府にそれが責任があるかということに対して、軍用地主としては、これを明確にして、その責任の所在をはっきりしていただきたい、こういうことでございます。開放はされたが、いままで少ないながらもそれによって生活費を償っておった人、これが勢い開放されて、軍用地料はとまる。それでは返還されたところ生活そのものにおいての利用価値というのは全くゼロになり、借地料も阻止されるということになると、勢い二重にも三重にもそれに対するところのあらゆる諸問題、生活問題がからんできて、いま開放された地主方たちは、それに対するいわゆる補償は一体どうなるのかというようなことでございますが、私は、御承知のとおり、沖繩復帰に際して一番いま重要視されておるのが軍用地問題でございますので、軍用地主の不安をかもしておる重要問題として、この復元補償問題に対して何とか明確なるいわゆる公表がなければ、軍用地は再契約もせないという地主意向でございますが、それに対していわゆる請求権の放棄ということにからみますと外務大臣役割りとは思いますが、しかし復帰後において運営していくのはやはり防衛庁施設庁でございます。この責任そのもの双方どちらか責任のなすり合いのないように、沖繩住民に対しては迷惑のかからぬように不安そのものを一掃して、そうして全面的な協力をさせるということからしますと、直接関係するところ防衛庁責任はまことに大であるということを考えられますが、その点に対してお伺いいたすわけでございます。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 復元補償につきましては、外交当局におきましていわゆる請求権問題の一環として目下交渉中でございます。いずれにせよ、われわれといたしましては、土地所有者意向を十分尊重して処理してまいりたいと考えております。  なお復帰後に形質の変更がなされた土地につきましては、本土の場合と同様適正な復元補償を行なうことは申すまでもございません。
  11. 國場幸昌

    國場委員 この前と御返事は何ら変わってございませんが、私は、今日までの沖繩地主アメリカとの契約そのものが時効になる、そうするとその空白期間がどうなるかということを心配するわけでございます。四月一日復帰としますと、あと十カ月余しかございません。そこで、地主に対して、また国家の政策そのものを実現させるためにおいてでも、復帰間近になりまして、この三万八千名という地主に対して納得のいくような契約をスムーズにするためには、これは何をしてでも優先してそういう諸問題を解決していかねばいかないということでございますが、これに対するところの、もちろん日米交渉中でございますが、しかしいつまでもこれが交渉中だ交渉中だというようなことで時期を失しては、復旧に備えての問題は解決できない、こういうことを考えるわけでございますが、それに対するところ計画があるであろうかどうかということをお尋ねいたします。
  12. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖繩復帰に伴いまして、私どもとしましては、米軍に提供しなければならない施設、区域の所属につきまして地元方々との円満な話し合いをいたさなければならないということでございますが、その円満な話し合い協議をいたしますにつきまして、ただいま御指摘のように、いろいろそれに関連するところの諸問題の解決ということが迫られておるわけでございます。その中に復元補償の問題がございます。まず基本的には借料の算定問題が一番基本でございましょうけれども、それ以外にも復元補償その他の重要問題が差し迫った問題としてございますので、私どもとしても鋭意いろいろ資料収集なり調査あるいは検討いたしておるわけでございますが、復元補償関係につきましては、ただいま大臣からお答えがありましたように、現在外交レベルにおいて交渉中でございます。その結果というもののいかんによりまして、その後の取り扱いというものが異なってまいりますので、いずれにしましても、大臣お答えのように、われわれとしては、地元方々の御要望という線につきましては、できるだけそれを実現するような方向で努力してまいりたい。現在の段階では、具体的にどういうような措置をするかというようなことにつきましては、まだ申し上げる段階でございませんけれども、われわれの姿勢といたしましては、できるだけ地元方々の御意向、御要望というものを尊重してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 その点に対しましても、ただ沖繩軍用土地地主は、時期が切迫してあと強制収用という、これになるじゃないかということを心配しておるわけでございますから、念のためにその点も御留意の上、ひとつ早急にその問題に対してはめどをつけていただきたいことを希望いたします。  黙認耕作地の問題、この問題は、御承知のとおり日本本土様式にはないようなことでございまして、あったとしましても、沖繩条件は、地主の立場をよく理解しまして軍のほうとしては配慮をしておるわけでございます。この黙認耕作地をいま耕作しておるのは、ほとんど地主でもない人が多うございます。その人たちはいわゆる生活のために、地主の承認を得、軍民双方理解の上に立っていまその日その日の生活を、そこに耕作する農産物のおかげにより生活をしておるわけでございますが、現在黙認耕作地に対しましても普通なりの地料は払われておるわけであります。でありますので、今日までのアメリカとの契約によるところ様式による黙認耕作者に対して、従来どおりの条件をもってひとつ利用させていただきたい、これを希望して私の質問を終わります。
  14. 池田清志

  15. 西銘順治

    西銘委員 私は、防衛問題と関連いたしまして、長官の御意見をただしたいのであります。  御案内のとおり、沖繩は今次大戦の終えんの地でありました。祖国の勝利を信じ、祖国の栄光のために若い青年学徒が散ったところであります。また戦争当時は一億玉砕の気持ちで戦ったのでありますけれども、実際に玉砕したのは沖繩だけであります。三府四十三県の中で、郷土を戦場としたのはわが沖繩県だけであります。こういう過去の歴史を踏んまえまして、長官にまずお尋ねしたいことは、わが国防衛一環として沖繩の地位というものをどうお考えになるか、これをただしたいのであります。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 復帰が実現しますると、日本国憲法が適用しますし、わが主権の一部になるわけでございます。したがいまして、当然わが領土はわが国民全体で防衛すべき場所でもありまして、沖繩についても全国民防衛を行なうべき土地であると考えます。したがいまして、自衛隊を進出させて、沖繩防衛に当たるように配慮いたしたいと思っております。
  17. 西銘順治

    西銘委員 そこでお聞きしたいことは、第一義的に沖繩わが国が守らなければならないのでございまするけれども、聞くところによりまするというと、進駐する人員は千四百人であります。膨大な四万から四万五千人を上下しておりますところ米軍と比較いたしまして、はたしてこの員数で第一義的に沖繩わが国が守るのだということが言えるでありましょうか。あまりにも見すばらしい。それといよいよ沖繩が返りまするというと、米軍基地機能は著しく低下をするわけであります。また自由に基地が使えない。自由発進ができない。核の持ち込みにつきましても、また装備の重要な変更に対しましても、当然事前協議の対象となるわけでありまして、今日までの米軍機能考えてみました場合に、言うなればきばを抜かれた象のようなものでございまして、その際、返還時における米軍役割りは一体どういうことになるでしょうか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 返還沖繩に進出すべき自衛隊は、沖繩県防衛にのみ当たるものでございますから、それほど大きな防衛力は必要ない、また国際緊張を緩和するという政策から見ましても、できるだけ節度あるものが望ましい、そういうふうに考えまして、大体復帰後半年くらいで三千強、それから次の防衛力、新防衛力整備計画終末段階においても六千人から七千人くらいの間である、一応そういう計算を持っております。  それで、配備すべき機能につきましても、陸上自衛隊は約二個中隊普通科部隊が中心でございますが、陸上警備それから災害復旧あるいは施設工事受託等考えております。  それから海上自衛隊は、沖繩列島沿岸警備を主にいたし、一部対潜警戒勢力航空勢力が進出いたします。  それから航空勢力地区防空の任に当たる、そういう程度でございまして、返還後は中国あるいは台湾と領域が接するわけでございますから、扱いにつきましては非常に慎重にやらなければならぬと思っております。
  19. 西銘順治

    西銘委員 沖繩を取り巻く海洋特殊性につきましては、国民の間にあまり知られておりません。かいつまんで申し上げますというと、沖繩本島鹿児島から約三百六十海里離れた遠隔の地であるのでありますが、さらに沖繩本島から南西約三百三十海里のところに与那国島が位置しておるのであります。さらに沖繩本島から東に向かいまして約二百海里にあたる大東諸島に至る海域を含めますと、三府四十三県の中でこんなに大きい海域を持ったところはございません。  次に、この広大な海域に点在する島が七十余りあります。その七十余りのうち、人が住んでおりまするのは四十六島であります。しかもその周辺にはサンゴ礁が発達しておりまして、船舶航行の大きな障害となっております。  さらに気象条件について申し上げますと、台風が年平均いたしまして三十回、まさに台風銀座と呼ばれるゆえんだと思うのであります。  次に、沖繩周辺海域航行する船舶数量でございますが、中近東、東南アジア、欧州を結ぶ主要航路でありまして、外航タンカー定期船航行年間約三千八百隻、しかも南方漁場に出漁するマグロ漁船年間三百から四百隻、カツオ漁船年間六百隻程度航行いたしておるのであります。  こういうような特殊な海域でございまして、わが国防衛見地からいたしますと、北海道と並んで、わが国防衛キーストーンであることには変わりはないと思うのでありますが、こういう海洋特殊性をとらえまして、陸海空のうちどれを主力にして自衛隊を配備されるお考えであるのか、お聞きしたいのであります。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 おのおのその機能に応じて重要な役割りを果たすものでありますから、比較はそうできませんが、防空という面が非常に重要であります。そういう意味において、機能の重さからすると防空という点が一番大きいし、また実際出ていく人数やあるいは装備等防空が一番大型のものになるのではないかと思います。
  21. 西銘順治

    西銘委員 航行する船舶数量から申し上げましても、万一周辺海域が危険な状態にさらされますと、わが国経済に及ぼす影響は甚大なるものがあるのでありまして、その見地からいたしましても、千四百人程度ではキーストーンの役目を十分果たすことができない。しかも、きばを抜かれた象である。アメリカの軍隊が三万から四万、ベトナム戦争影響を受けていつも増減いたしておりますけれども、多いときには四万五千です。これではたして第一義的にわが国沖繩を守るなんということが言えますか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 国際環境を見ますと、そう緊迫した脅威は現在はございません。当分もそう波立つことはないであろうとわれわれ予測しております。そういう状態からいたしまして、必要最小限度のものにとどめておこう、こういう考えでまいりたいと思います。
  23. 西銘順治

    西銘委員 それでは配備する部隊と個所、また現在自衛隊陸海空沖繩の若い者が訓練を受けておると思いますが、この員数についておわかりになれば御報告いただきたいと思うのであります。
  24. 久保卓也

    久保政府委員 返還後におきましては、ただいま長官が申されましたように、二段階に分けて部隊を配置いたしますが、第一段階は、返還後から約半年ぐらいの間に普通科中隊が二つと施設中隊一つ、それと飛行隊関係が配置されます。これは那覇エアベースの隣の那覇ホイールという地域に予定されております。それから将来、返還後約一年ぐらいの間にホーク部隊が整備されます。ホーク部隊射撃中隊が四つありまして、人員で約七百人ぐらい。これはそれぞれの場所に分かれておりまして、ホークの場合は御承知のように知念、与座、ホワイトビーチあるいは読谷ですか。それから海上自衛隊ホワイトビーチが予定されておりますが、当初は掃海艇二隻と油送艦が一隻、それと若干の支援艇。それから基地部隊航空としてはP2Jという哨戒機が六機参ります。人員で約七百人ぐらい。これがほぼ一年後ぐらいで千百人ぐらいになりまして、P2Jがさらに六機ふえます。それから護衛艦DDKというのが二隻準備されますが、これはいまの計画では、一応佐世保を母港にして、沖繩周辺海域哨戒をするという計画にいたしております。  それから航空自衛隊那覇空港に配置される予定でありますが、F104の二十五機編成の一スコードロンということでございます。それで当初は千四百人ぐらいでありますが、その後、返還後一年ぐらいの間にレーダーサイト全部を充員いたしますし、それからナイキの陣地を当方が引き継ぎます。那覇知念、恩納、この三カ所に配置されておりますが、そういたしますと、航空自衛隊関係だけで三千九百人。ですから当初は約三千二百人、第二段階で六千八百人、以上のような部隊が配置されます。  なお、沖繩出身隊員の数は人事局長の所管でございますが、便宜私から申し上げますと、沖繩を本籍とする隊員陸上自衛隊で五百四十二名、海上自衛隊で百十八名、航空自衛隊で百三十二名、計七百九十二名であります。
  25. 西銘順治

    西銘委員 返還後は沖繩防衛は第一義的にわが国がやらなければならないわけでございますが、私が少ないと申し上げますのは、戦前三府四十三県の中で連隊のなかったのはごくわずかでありまして、沖繩には連隊はございませんでした。そこで沖繩の兵隊は鹿児島の四十五連隊、また大分の四十七連隊、熊本の十三連隊、都城の二十三連隊あるいは福岡の特科隊へ全部分散していったわけでございます。そういうことで、当時は二昼夜もかけて鹿児島に上陸するわけでございますが、平和な時代でも兵隊に行くということは何かしら戦争に行くんだという気持ちになる。当時は徴兵忌避も出まして、焼け火ばしを目に突っ込んだり、あるいは指を切ったり、そういうことが頻発しておったのであります。したがって今度の敗戦の一因も、沖繩に徴兵令を施行いたしましたのが明治の後期、明治二十九年でございまして、またわが国においては明治四年に廃藩置県になっておりまするけれども沖繩では約十年おくれました明治十二年に廃藩置県となって、いわゆる第一回目の琉球処分がここに始まるのだということが歴史的に評価されているわけでございますけれども、そこで沖繩の兵隊たちは、宮崎の地勢はわかる、鹿児島の地勢はわかる、熊本の地勢はわかる、福岡の地勢はわかるのですが、沖繩の地勢になじめない。そういうことで、沖繩はその点からいたしましても虐待されておった。鹿児島県出身の兵隊であればほとんどが四十五連隊に入る。大分の出身であれば全部四十七連隊に入る。ところ沖繩県の兵隊だけは全部分散されてしまう。私はこれが戦争に負けた、小さい原因かもしれませんけれども要因の一つじゃないかと常日ごろ考えているわけでございますが、米軍基地の整理縮小と関連いたしまして、自衛隊を増強する方針があるのかないのか、お聞きしたいのであります。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま御報告申し上げました程度のものにとどめたいと思っておりますが、沖繩県出身の皆さんを郷土に配属するということは十分考えていきたいと思っております。現在自衛隊政策といたしましても、その県出身の人をその県に配属するという方向に持っていっておりまして、生活の便宜や家族その他のことも考えてやっておるわけでございまして、沖繩県についても同様に配慮していきたいと思っております。
  27. 西銘順治

    西銘委員 次は那覇飛行場の移管の問題でございますが、今度の米軍基地の縮小整理計画の中で、目玉商品として那覇飛行場の移管が目下検討されておりまするけれども、この那覇飛行場についてはどこが管理をするのか、民間飛行場として専用するのであるかどうか、この点についてお伺いしたいのであります。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 那覇飛行場の返還につきましては、外交当局と連絡いたしまして、目下懸命の努力をしております。私といたしましては、運輸省の民間飛行場にして、航空管制も運輸省にやらせたらいい、そう思っております。ただ、一部は自衛隊にも使わしていただきたい、そういうように考えております。
  29. 西銘順治

    西銘委員 最後に一点だけお聞きいたします。  施政権返還の原則は本土並み返還であり、核抜き返還であり、七二年返還でありますが、復帰の時点において核が存在しないということをどういう方法で確認されるか、その点お聞きいたします。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は前にしばしばお答えしたところでございますが、たとえばナイキを接収するという場合には、核弾頭ありやいなやはもうその場でわかるわけであります。復帰の時点において、総理大臣と大統領の厳粛な約束があるわけでありますから、不存在ということは信じて疑わないところでありますが、それがはたしてそのとおりであるかどうか確かめることは、沖繩県の皆さんに御安心いただくためにも、政府としては配慮していきたいと思っておりまして、ナイキについては以上のようなことがすぐ行なわれると思います。その他の場所につきましても、ガスについてアメリカ当局も非常に住民の御意見を考えてああいう措置をやっておるわけでございますから、いわんや核においておやでありまして、技術的な方法を合意の上よく検討いたしまして、確実にそのようなことが実施されたかどうかの確認をやってみたい、そう考えておるところで、技術的な内容については、まだここで御報告申し上げるところまで行っておりません。
  31. 西銘順治

    西銘委員 最後に、長官要望いたしたいことは、沖繩問題すなわち軍用地問題と言っても決して過言ではございません。この軍用地問題の取り扱いについては、現地側の要望を十二分に取り入れて、地主協力する体制をつくり上げることが一番基本だろうと思うのであります。先ほど國場委員からお話がございましたけれども、いわゆる黙認耕作地の問題、あるいは地目変更に対する地主要望、あるいは復元補償等に対する諸請求、この件につきましては十分な配慮をされて、軍用地地主復帰してよかったのだというところで万般の御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 土地問題というものは非常に重要な問題で、われわれが一番細心の注意を心がけているところであります。そこで、たとえば地価等については当然合理的に引き上ぐべきであるとも思いますし、それから黙認耕作地あるいは市町村が管理している特別会計の財産、そういういろいろな問題についても、いま受けている利益が害されないように少なくともそういう配慮はしなければならぬ、そう考えて、できるだけ住民の皆さんの御意見を尊重した措置をとるつもりであります。
  33. 池田清志

    池田委員長 中谷鉄也君。
  34. 中谷鉄也

    ○中谷委員 数点お尋ねいたしたいと思います。  返還時における核不存在については繰り返し御答弁をいただいておりますが、最近、核貯蔵庫について論議されているようであります。そこで長官にお尋ねいたしたいと思いますが、核貯蔵庫というのは現在どのように実態を把握しておられるのでしょうか。それは核が入れられている貯蔵庫、あるいはまた核を保存、保管をするための特別の施設、装置を持ったところのもの、どういうふうに実態を把握しておられるでしょうか。もし後者であるとするならば、核抜きということであるならば核貯蔵庫は撤去されることは当然であると考えます。この点について御見解を承りたい。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 復帰前と復帰後は情勢が違うと思うのです。復帰前は、先方がまだ施政権を持っておるところであって、核ありやいなや、これはマクマホンその他のアメリカの法令が適用しているところで、ありやいなやも私らは正直言ってわかりません。しかし復帰後は置かないということは、両方の総理大臣並びに大統領が世界の前で公約していることでもありますから、これは当然順守さるべきことであります。その場合に貯蔵庫がどうなるか。まず貯蔵庫がありやいなやがまだわかっておらぬわけでありますから、仮定の議論になりますけれども、からになったものがかりにあったという場合にいたしまして、からになったものがどう処理されるかということでありますが、この点は、外交当局とも相談をしてみないと、ここで御答弁申し上げることは慎みたいと思いますが、入れないということが確実に保証されておるならば、核貯蔵庫の存在について、それをこわすとか撤去するとか特別の措置がはたして要るだろうか、それをほかの倉庫に利用するとか廃品活用したらどうかという気もいたします。つまり核が再び入らないという確実な措置をとっておけばいいので、その辺はどうであろうかという気もいたしておりますが、その点はもう少し詰めていって検討してみたいと思います。
  36. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ちょっと私が憂慮し配慮している点と御答弁とが食い違ったと思います。核貯蔵庫といわれておるのは、核を貯蔵するための特別の装置あるいは特別の状況、内容、構造、そのようなものを持ったものであるのかないのかは当然核不存在の確認の対象の中に入りますねという質問が第一点。そうして、そのようなものだとするならば、まさにそれはもろにストレートに撤去の対象となるべきものであって、ただ単に倉庫があって、その倉庫にたまたま核が入っておったというのと違うわけですから、そのような場合には廃品回収などということはさらさらあり得ないのではないかというのが私の質問の趣旨であります。
  37. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は核貯蔵庫を見たこともありませんし、また防衛庁筋でも見た者はいないと思います。アメリカ筋がそういうものは外国人には見せないだろうと思います。したがいまして、核貯蔵庫がどういう構造をしておるかということもよくわかりません。アメリカ側がそういうものを見せるかどうかも疑問であると私は思います。しかしいずれにせよ、そういうものを含めて返還後は、核が不存在であるということを確認するためにいろいろ技術的な方法を検討してみたいと思っておるわけです。
  38. 中谷鉄也

    ○中谷委員 しつこいようですが、もう一度確認をいたします。返還後において不存在の対象として核貯蔵庫が、技術的な問題があるけれども、それが一体どのようなものであるかということは確認の対象になるということ、そこで核を入れないという以上、それが核のための特別な構造のものだということであるならば、そのようなことは返還後において明らかにされて、そういう場合には撤去の対象になる、こういうことでございますね。これはもう時間がありませんので、一点だけ念のために申し上げておきますけれども、マクマホン法というものと核確認とは必ずしも関係がないということは当委員会においてすでに論議されているところだろうと思います。それはマクマホン法が日本国に適用とか影響を及ぼすという意味じゃなしに、マクマホン法のほうの問題は核の問題はないのだということになっておりますが、これは別に御答弁要りませんが、いまの点を、私は関係があると思いますので、お尋ねいたしたい。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 貯蔵庫がどういうものであるかは、先ほど申し上げましたように、よくわかりません。いずれにせよ返還後は核の不存在ということをあらゆる分野について確かめる、そういう努力をしてみたいと思っております。
  40. 中谷鉄也

    ○中谷委員 時間がないようですから、別の質問に移りたいと思います。  どうも同僚委員のおことばを引くのは恐縮ですが、在沖アメリカ軍が安保と地位協定の適用を受ける場合には、きばを抜かれた象のようなものだというふうなお話がありましたが、日米共同声明第六項、そしてそれに対する外務大臣の説明要旨によりますと、沖繩における米軍基地が重要な役割りを果たしていることは申すまでもない、今後とも引き続きその機能を有効に発揮することはわが国の安全にとってきわめて必要だと説明されておることは明らかであります。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕  そこで、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、これは連合審査の際に外務大臣にもお尋ねした点でありますが、返還後の沖繩における米軍基地機能というのは、安保そうして地位協定の適用を受けることによって基地機能は低下するのでしょうかどうか。基地機能は「引続きその機能を有効に発揮」せねばならない、そういうふうな外務大臣説明要旨との関係において長官の御見解を承りたい。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これはその人の評価によって分かれるところであると思いますが、ある筋からすれば、事前協議その他の網がかかってきますから、基地機能は低下すると考える人もありましょう。しかし、国際情勢その他から見たら、そんな心配はないのだから別に機能は低下しないという人もあるかもしれません。これはそれらの人々の評価によるところであると思いますが、いずれにせよ、安保、地位協定が適用されるということはいまより以上に日本国民の利益にはなる、そういうことは言えると思います。
  42. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官、直接にこの点については、私の質問に対してお答えがありませんでしたが、外務大臣の説明要旨の中には、「引き続きその機能を有効に発揮すること」これは返還交渉における前提であり返還された米軍基地というものはそのようなものであるというふうに長官はお考えなのでしょうか、また、そのようなものでなければならないとお考えになっておるのでしょうか。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その場合の機能というのは安保条約のワク内における機能、私はそういう意味において考えていくべきであると思います。
  44. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、いわゆる特殊部隊等についてお尋ねをいたしたいと思いますが、特にきょうはSR71についてお尋ねをいたしたいと思います。これは戦略偵察機である。戦略偵察機の目的は、われわれ常識的に考えて、戦闘能力の偵察ではなしに戦争能力の偵察であるというふうに理解をしている。そういうふうにいたしますと、領空侵犯というのは避けることができないのじゃないかというふうな考え方を持ちますが、きょう長官にお尋ねをいたしたいのはこの点であります。要するに、公海上を偵察飛行するのだ、領空侵犯はしないのだという場合、SR71の偵察の対象とメリットは一体どこにあるのでしょうか。SR71を含む特殊部隊の撤去というものを強く沖繩県民要望しているようでありますが、それらの点についてひとつ長官の御見解を承りたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 公海上を飛しょうする場合といえども、高度が相当高く、めがねやレンズが性能がよろしければ、偵察の意味は達せられると思います。
  46. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官はもちろんいろんなことを詳しく御存じの上でお答えいただいているわけだと思いますが、しからばお尋ねをいたしたいと思います。  SR71について、巡航高度は大体どの程度のものだというふうに把握をしておられますか。そうして、カメラというお話がありましたが、おそらく斜めカメラという意味でしょうね。私はあまり詳しく知りませんが、四十五度だとすると、かりに高度三万メートルなら三十キロですね。中国は御承知のとおり十二海里説をとっております。こういうふうなものが領空侵犯をしないで公海上の偵察の意味、カメラというふうなことと関連しての意味があるかどうか。局長にはもっと詳しいお話をあとでお聞きしたいと思いますが、長官局長を御指名になりましたから、局長のほうから……。
  47. 久保卓也

    久保政府委員 SR71の正確な性能はわかっておりません。ただし米側の資料によりましても、大体八万フィート以上ということであります。(中谷委員「何メートル」と呼ぶ)二万四千メートル以上ということでありますから、どこまでかはわかりません。そうして、通常音速の三倍で飛行しているようであります。そういたしますと、約一時間以上航続時間があるようであります。そこで、SR71あるいはU2などが中国大陸の上空を飛んだことは新聞紙上などに出ておりますので、おそらく過去においてはそういう事実もあったのかもしれないと思います。  ところで、当時と今日の違いますことは、偵察衛星が非常に進んでいることで、これも正確な性能はわかりませんけれども、普通にいわれておりますことは、偵察衛星でもって地上の地形その他を識別できる精度が、一フィート以上のものが判別できるというふうにいわれております。したがいまして、通常の状態におきまする大陸の実態というものは、おそらく私は米ソともに偵察衛星で把握しておるのではなかろうか。それがまたミサイルその他の発射基地などの情報探知につながってきているのじゃないかと思います。  そこで、一言だけ加えますと、SR71は、遠くからでもある程度の側面の状況の探知と同時に、やはり電波その他のレーダーとか、そういった最新の機能の情報把握ということにつとめているのではなかろうかと私どもは推察いたします。
  48. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官に私はこの機会に御所見というか御所感を承りたいと思いますが、巡航高度二万四千メートルの場合に、マッハ三で飛ぶはずがない。そうだとすると、十二海里領海説をとっているのだから、四十五度に斜めカメラを使ったとして二十四キロ、とにかく中国大陸のほうへ達しないわけですね。そういうような状態、そして偵察衛星の話をされたとすると、偵察衛星でカバーできるなら一そうSR71というものが領空侵犯をしないで公海上に限って偵察をするということの意味がなくなってくる。要するに私が申し上げたいのは、SR71というのは、その性能、それから目的、いろいろなものから考えてみて、領空侵犯というものが前提にならなければ、逆に言うと、安保条約と地位協定のワクをはみ出さなければならないもの、安保条約と地位協定のワクになじまないもの、こういうふうに私は考えざるを得ないのですが、この点についていかがでしょうか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 人工衛星がこれだけ発達しておるときに、なぜ飛行機を使って大陸を上からうかがう必要があるのか、そういう気が私はいたします。しかし、台湾海峡のパトロールを定期的にやることをやめているという情勢その他も考えてみると、やはり公海上におけるいろいろな変化を見るということも、非常に重要な機能一つではないか。あるいは沿岸地域における船舶の集結状況とか、そういうものを見るのも非常に大きな機能ではないか。何も人のうちまで、お座敷まで入っていく必要はないし、そういう公海における平和の維持という意味においても機能を果たせるのではないか、そう私は思います。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 戦略偵察機というからには当然戦術偵察機が存在するわけでありまして、その程度のことなら戦術偵察機がそのような役割りを分担をしているということは常識だと思いますが、この問題ばかりにかかわっているわけにもまいりませんので、質問を変えたいと思います。  従来から防衛庁は、防衛すべき周辺海域というのは南鳥島、沖ノ鳥島、南西諸島など、本土から千マイル程度というふうな御答弁があったように私は記憶をいたします。そういたしますと、返還された場合の沖繩の果たすべき機能は一体どういうことになるのだろうか。そこで、これは念のためにお聞きをしておきたいと思いますが、南西航路について、沖繩を基点として千マイルにわたって防衛するというふうな構想などというものは不存在であると思われますが、この点はどうなんでしょうか。この点については一体どういうふうにお答えをいただけるか。もう少し私のほうが質問を整理しなければならないと思いますが、お答えいただきたいと思います。
  51. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩を起点としてというような考え方はありません。
  52. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に、土地の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  提供すべき土地について、軍用地について再契約をするというのがすでに方針として明確にされております。当然のことであろうと思いますが、その場合に、かりに特別措置法が適用されるという場合に、目的の土地の位置、形状、面積、境界、そういうふうなものが不明確、不確かなままで何々とみなす、あるものを前提としてみなす、そういうみなす規定で強制的に土地を収用するというふうなことは少なくともあり得ないと私は思いますけれども、憂慮いたします。もう一度申し上げます。みなす規定、要するに目的土地の位置とか形状とか面積とか境界、そういうようなものを不明確なまま特別措置法を適用するというようなことは、適用し得ないし、そのようなことはあり得ないと思いますが、この点いかがでしょうか。
  53. 島田豊

    島田(豊)政府委員 特別措置法を適用いたします場合に、特別措置法の規定によりまして土地収用法の規定を適用しておるわけでございます、一部除外例もございますけれども。そこで、ただいまの収用使用いたします場合に、その土地の位置、形質、面積、境界、これを明確にせずして収用使用することはあり得ないだろう、こういう御質問だろうと思いますが、現在の土地収用法によりますれば、確かに土地の調書なりあるいは実測の平面図を添付する、こういうことになっておりますので、私どもといたしましてはできるだけそういう法律の条項を適正に施行していく、こういうことでございます。  そこで、ただいまの御指摘の位置、形質、面積、境界、これが実は沖繩土地の場合にはなかなか実測し得ないという状況にあるのが実情であろうと思います。つまり戦後のあの混乱の時期に米側に接収せられまして、そこで住民の意思というものがあまり尊重されないままに基地ができて、そしてその後土地の所有権が確認をせられた。その土地の所有権の確認も、当時の技術からしまして、また測量器具からしまして、必ずしも十分でない。そういう状況のもとにおいて土地の所有権というものが確認をせられて、それに基づきまして公簿、公図ができ、それに基づきまして賃借料が今日支払われておる。そこで一つの法的な秩序と申しますか社会的な秩序というものが形成せられております。そこで契約協議が整えば問題はありませんが、万々一契約が不調に終わり、そういう特別の措置を講じなければならないというふうな場合におきまして、はたして現在の状況においてそのまま土地収用法の規定を適用して実施できるかということについては、非常に困難な問題があるということは先生も御承知のことと思います。したがいまして、われわれといたしましては、現在のそういう法秩序、社会秩序の上に立ちながら、しかも法律をどういうふうにして適用していくか、しかもその関係方々の御納得をいかに得ていくかということについて、これは具体的な問題でありますけれども、どういうふうにしていくかということはいまいろいろ検討いたしておるところでございます。しかしながら、できるだけわれわれといたしましては法律の趣旨を尊重し、また地元方々の御納得もいくというふうな線でこの問題の処理に当たってまいりたい、かように考えております。
  54. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官にお尋ねをいたします。  日本国憲法返還後当然に全面的に適用される、これは当然のことですね。そこで私権の制限の問題です。重ねて申し上げますけれども、困難だということで、目的土地の位置、形状、面積、境界の不明確のまま収用するなどというふうなことは、私権の制限についての憲法の規定のたいへんな違反だと思うのです。努力をしますということは、そのようなことが、不明確なものを明確にすることは困難だけれども、いやしくも土地収用にあたっては、それらを明確にすることをした上で、かりに万一収用というようなことがあった場合には、収用せざるを得ないだろうという趣旨に私は伺いますし、それは最低限の法律的要件であります。そういうふうなことが無視されて、そういう最低限の法律要件が守られないということではお話にならないと思います。この点は、長官、どのようにお考えになっているかというようなことよりも、憲法が守られるか守られないかの問題だと私は思います。不明確であり、そのことを明確にすることが困難だから、何とかその点は便宜的にやっていこうというふうな話ではないと思う。あくまでも法律を守るというために困難があるんだという趣旨に私はお話を伺っておりますけれども長官の御見解を承りたい。
  55. 島田豊

    島田(豊)政府委員 憲法二十九条の規定の存在を私は十分承知しておりますし、それによりまして私権が尊重せられるべきであるということも十分承知しております。ところでこの問題は、先ほど申しましたように、環境自体が非常にむずかしい環境にございますが、もしかりに一定の土地を収用しなければならないという場合に、その手続をどうするかという問題でございまして、その手続については土地収用法に規定がございます。そこで私は、先ほどはなから非常に困難だということを申し上げましたが、実際に一つ土地を収用するにあたりましては、その位置、区域、全体の地形と申しますか、それから現在ありますところの公図というものをもとにしまして、周囲からいろいろ順次詰めていきまして一つ土地の特定をするということも考えられるのではなかろうか。現在御承知のとおりに、土地調査庁で逐次土地調査をやっておられます。これは地籍の調査でございます。これが必ずしもまだ十分終わっておりませんけれども、今後ともそれが進められると思いますので、そういういろんなデータをもとにいたしまして一定の土地を特定するということは不可能ではないのではないかという考えもありますので、その辺は目下いろいろ検討しておるところでございます。
  56. 中谷鉄也

    ○中谷委員 時間がないようだし、私はもう少し端的にお尋ねをしているつもりなんです。特別措置法による土地収用にあたっては、みなすようなことはないでしょうねとお聞きしているのです。最低限の法律要件は認められるでしょうねということです。長々と土地特定の方法や技術的困難についてのお話を伺っているのではないのです。みなすというふうなことはされないでしょうね、土地を確定する、先ほど言った諸点を確定するということは、土地収用をする場合にあたっての最小要件でしょうね、その最小要件は守られますねということを申し上げている。それが一点です。そして返還されたときの暫定措置法問題というのが出てまいります。この暫定措置というやり方がいいのかどうかは別として、そういうやり方が出てくる可能性がある。その場合にあたっても、みなす規定は適用されるのですか。みなされるのですか。みなすということで暫定的に使用を継続していくということをされるのですか。  なおこの場合、暫定措置法というふうなものがかりにできた場合に、暫定的な使用期間というのは一体どの程度になるのでしょうか。  なぜこういう質問をするかというと、基地の存在ということと沖繩県における農業の発展ということ、経済の発展ということは二律背反です。だから暫定措置法によっていつまでもだらだらととにかく土地が使用されるというふうなことは許すことができない。そもそも暫定措置法などというものがいけないのだという考え方が有力であることはよく御存じのはずです。  これは政府の御方針として私は承りたいと思いますが、防衛庁長官のこの点の御見解をまず承って、あと施設庁長官のほうから御答弁をいただきたい。
  57. 島田豊

    島田(豊)政府委員 最初の御質問につきましては、私どもとしては、法律の条項を忠実に守っていくという精神でいきたいと思います。  それから第二点の問題、暫定措置に関する措置の問題でございますが、これにつきましていまいろいろ検討いたしておりまして、まだその中身が具体的に固まっておりません。したがって成案を得る段階でございませんので、その中身がどういうことになるかということについては、いまちょっとここでは申し上げられないので、御遠慮をいたしたいと思います。
  58. 中谷鉄也

    ○中谷委員 成案を得ておらないと言われますけれども、では最後に一点だけ私は防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  膨大な基地があるということと沖繩経済の発展ということは、私は二律背反だと思うのです。それが、暫定措置ということを行なうのか、行なうとすればそれは一体どの程度の期間なのか、一体どの土地返還されるのかというようなことについて、いつ、どこまでその土地が収用の対象になるのか、あるいはならなくて済むのかというふうなことで不安定なままで過ごされるということは、法的安定性だとか社会的秩序だとかいうようなことを先ほど施設庁長官は言われたけれども、そういうことをおっしゃっておりながら、いまなおそのようなことが県民に知らさないということは、まさに復帰不安の最たるものだし私は思うのです。法的安定性も何もあったものではない。そういうようなことについて、成案を得ていなくてもけっこうです、考え方等について、私は防衛庁長官にこの機会に政府としての御見解を承りたい。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 土地の問題というのは非常にデリケートな、しかも重要な問題でございますから、いまその実態調査を進めておりまして、一体地主の気持ちはどうであるか、どういう御要望があるか、該当するようないろいろな問題に対して、どの程度人たちがそれぞれのケースに該当するか、そういうことを精査しておりまして、そういうものの調べとともに、その場合にどうするかということを検討しよう、そういうことで、まだ成案は得ておりませんので、この程度で御答弁は御遠慮いたしたいと思います。
  60. 宇田國榮

    ○宇田委員長代理 中川嘉美君。
  61. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、最近の新聞報道によりますと、尖閣列島がアメリカの射爆場になっておる、このように私は聞いております。尖閣列島が射爆場になるとすると、その範囲は一体どういうふうになりますか。つまり、尖閣列島の全部が射爆場として使われる、いわゆる対象となるのか、あるいはその中のある特定の島のみがその対象となるのか、まずこの辺についての長官の見解を伺いたいと思います。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 尖閣列島にある米軍射爆場の概要は次のとおりと承知しております。名前は、黄尾礁ガンナリーレインジ、それから赤尾礁同じくガンナリーレインジ、使用の目的は、空対地射爆撃訓練場であります。管理は、右の射爆場はいずれも在沖繩米海軍が管理しておりまして、射爆場は魚釣島の東北方に位置しており、付近に危険を及ぼすような状況ではないと承知しております。
  63. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それではこの射爆演習の期間について伺いたいのですが、これはある一定期間射爆場として使用するものか、あるいは随時行なっていくものか、本件に関して防衛庁として米側から何か連絡を受けておられるか、この期間の問題について伺いたいと思います。
  64. 島田豊

    島田(豊)政府委員 使用状況につきましては、詳細なことはわかりませんが、期間を指定をいたしまして、その期間内におきまして随時使用しておる、こういうふうに承知しております。詳細についてはわかりません。
  65. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまのは御答弁になっていないんじゃないでしょうか。そういうふうにおっしゃるのなら、一体いつからいつまでか。一定期間とおっしゃったけれども、その期間が全く明らかにされてないのですが、いつからいつですか。
  66. 島田豊

    島田(豊)政府委員 その辺の詳細なデータを私ども持ち合わせておりません。
  67. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは決してこだわるという意味ではないのですが、そのような御答弁ではちょっと次に移りかねるものですから、この期間についてもしわかりましたならば、あとで、御連絡でけっこうですからお願いしたいと思います。  それでは、返還後においてなお射爆場としてこの尖閣列島を使用するとすれば、当然地位協定の規定によって日米合同委員会で協定を結ばなければならない、こういうことになるわけです。この点についてはどうでしょうか。
  68. 島田豊

    島田(豊)政府委員 まだこれは現在外交レベルにおいて交渉中の問題でございますが、もしこれが施設、区域として提供されるということになりますれば、当然地位協定に基づく日米合同委員会の合意によりまして提供する、こういうことになるわけでございます。   〔宇田委員長代理退席、箕輪委員長代理着席〕
  69. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 せんだって外務委員会において愛知外務大臣に私のほうから伺ったわけですけれども沖繩返還協定の内容に、一つの地域としてしか表現しない、こういうことで、尖閣列島をなぜ明記しないのだというような質問をしたわけですけれども、これはもう当然返還されるのだ、そんな必要はない、そのような答弁が返ってきたわけであります。これは当然返還されるとなれば、したがっていま私が申し上げたように、地位協定の規定によって日米合同委員会で協定を結ばなければならない、これは当然なわけです。いまそのような御答弁しかいただけないので、もし協定を結ばないで射爆場として使用する場合には非常な疑問が生じてくる。それは日本の領土である尖閣列島を使用するのか、あるいはいま盛んに台湾とか中国が主張しておるところの尖閣列島、これを使用するのか、全くもって明確でないわけで、その辺がばく然としてまいります。もしも日米合同委員会で提供されたところ施設、区域であるとするならば、これは一応その帰属については日本の領土であるということがはっきりしてくるわけですけれども、そういった合同委員会の確認がなくて、先ほど申し上げたようにこれを使用するということになると、これは将来外交上の紛争問題に発展していく、こういうことになるおそれが多分にあるわけでありますけれども、この点に関してはどうでしょうか。
  70. 島田豊

    島田(豊)政府委員 合同委員会の合意を経ずしてそこを射爆撃場として使用させるということはあり得ないわけでありますので、これを提供するとなれば、当然そういう手続を経た上で提供する、こういうことになると思います。
  71. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 きょうは外務大臣いらっしゃらないわけですが、せんだって外務大臣が、その尖閣列島の領有権については交渉の余地はない、要するに日本のものだということで非常に楽観をしておられる。われわれとしては必ずしも楽観するわけにはいかないわけでありまして、たとえば竹島の問題、これはサンフランシスコ条約の国会における審議の過程において竹島の領有の問題が質問されたわけですけれども、このときも政府当局は、尖閣列島について言われたことと同じようなことを答弁しておられる。ところが現在竹島の問題はどうなっているかというと、これは全く解決しておらない、こういう状況下に置かれておるわけであります。この尖閣列島についても、絶対に国際紛争がなくて日本の施政下に置かれるということを断言できるかどうか。このことはおそらく外務省に聞かなければしょうがないと思うのですが、しいて防衛庁に伺うわけでありますけれども返還後に直ちに尖閣列島が自衛隊防衛の管轄地域に入るかどうか。先ほどからの御答弁を聞いていますと、なかなか煮詰まらないからどうにもお返事ができませんというような感じですけれども、だいぶ時間がたっているわけで、この点はどうですか、防衛庁の管轄地域に入るかどうかについて御見解を伺いたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の領域は当然日本自衛隊防衛する地域に入ります。
  73. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それではこの件に関しましては、ただいまのところまでの御答弁をもととしてさらに時を改めて伺う以外にないと思います。  原則論として、次に対策庁に二、三伺っておきたいと思いますが、返還後、尖閣列島周辺の領海内において台湾の方がもしも漁業をするというようなことがあった場合に、それでは日本政府はこれを領海侵犯として国際法上認められた措置をとるかどうか、この点についてまず一問伺いたいと思います。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それは外務当局が判断をしてやるべきことでありますから、防衛庁としては発言を慎むべきであると思いますが、私は日本国民の一人として、当然日本の領域に領海侵犯があった場合には海上保安庁その他が措置すべきものであると考えます。
  75. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは関連した質問になりますが、尖閣列島に台湾政府のいわゆる官憲が上陸をして駐留するようなことがあった場合、まあここまで話を掘り下げていきたくもないわけでありますが、これをわが国の領土侵犯または侵略行為として日本政府が排除するかどうか、こういう問題でありますが、長官、いま前の問いに対して御答弁をいただいたわけでありますが、同じような考え理解してよろしいですか。
  76. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の領海が侵犯される場合には、海上保安庁その他の日本国の機関が当然取り締まるべきものであると思います。
  77. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは、ちょっとさっきの話に戻りますが、竹島の場合はどうですか。竹島に先例があるわけですね。こういったわけで、いまもどうしようもない状態になっておる。そういったことがあるので、せんだって外務大臣からあのような明確といいますか、間違いがないというような御答弁をいただいた以上は、やはりいろいろな問題が出てくるわけでいまのような御質問になったわけですが、竹島の問題についてはどのように長官考えられますか。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 外交交渉等の対象になった場合は、自己の意思で抑制しているのであるだろうと思います。私は筋論をいま申し上げているので、日本の領域に対する領海も含めて侵犯があった場合には、当然日本国のそのおのおのの官憲が法規に従って処理すべきものであると考えます。
  79. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 外交上の抑制とか筋論とか、いろいろあるようでございますけれども、少なくとも今後そのような先例を残さないように、話として煮詰まってないといえば煮詰まってないかもしれませんが、どうかひとつそれらのことを勘案されて、十分その辺を明確な一線を引かれることを希望いたしたいと思います。  次に、沖繩において自衛隊が使用する施設、区域でありますけれども、たびたび同僚議員からもすでに質疑がなされておりますが、非常に基本的な質問になるかと思いますが、現在の米軍基地返還された上で自衛隊がそこを使用するのか、あるいは第二番目として、現在の米軍基地をそのままにしておいて一部自衛隊に使用させるのか、あるいは第三番目としては、沖繩の多くの人々が自衛隊駐留に反対をしておる、こういった世論の中にあってまさか自衛隊用の施設、区域を新設するということはないと思いますけれども、この点についてはどうかという、この三点についてはたしてどういう形をとられるか、長官の御意見を聞きたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 返還後は、新しく部隊設置等のために土地を取得するというようなことは避けまして、現在米軍に提供しているその土地をわが自衛隊が一部使う、そういう形にしたいと思っております。もっとも地連とか施設庁の事務所とか、そういう町の中に置くものは、これはもっと研究してみないとわかりませんが、部隊についてはいま申し上げましたことで処理していくつもりであります。
  81. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 一部を使用させるというふうに言われましたけれども、それでは一部を使用させる場合に地位協定との関係ですが、これは二の4の(a)ですか(b)ですか。それとも三条の管理権に関係してきますか。この三つのうちのどれに該当するか御答弁いただきたいと思います。
  82. 久保卓也

    久保政府委員 いまの長官のお話のようなことでありますが、具体的に米側と施設の提供のしかたについて煮詰まっておりませんので、明確にはお答えしかねまするけれども、おそらく那覇空港は二4(b)であろう。それからホワイトビーチ海上自衛隊基地のほうはおそらくいまの予想からしますと二4(a)のほうになるのではないか。それから陸上自衛隊那覇ホイールエリア、これはちょっとはっきりわかりません。米軍がどの程度残るのでありますか、その辺の具体的な折衝がまだ煮詰まっておりませんものですから、ちょっと見通しがはっきりわかりません。
  83. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 あくまでも推測でお答えいただいたわけですけれども、煮詰まってないという御答弁ですけれども、ではいつから煮詰めるのでしょうか。実際に交渉が今日までどのような形で行なわれておるのか、いつ煮詰めるのか、その辺についてもう少し具体的にお答えいただきたいと思います。
  84. 久保卓也

    久保政府委員 あくまでも米側の手続上でおくれているわけですけれども、米側でいま申し上げた三つの地域のうちでどの区域、どのポイント、どの建物を自衛隊側に使わせるかということがわかっておりませんでしたので、最近まで話が煮詰まっておりませんが、ごく近いうちに米側からその提示があって具体的に話がこれから進みます。したがいまして、いつまでにきまるかわかりませんが、そう遠くないうち、おそらく一カ月以内といったような時期にきまるのではないかと私は思います。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 あまり時間が残っておりませんので最後にまいりますが、それでは防空識別圏について一つだけ伺いたいと思います。  沖繩防空識別圏、これと本土の識別圏とのこの二つがあるわけです。当然出てきますが、これをどのように連携させるおつもりか。これらの観点に立って沖繩におけるいわゆる防空識別圏の範囲を明らかにしていただければと思いますが、この点どうでしょうか。
  86. 久保卓也

    久保政府委員 防空識別圏は、本土につきましては、当初米側の設定したものを後に修正して私ども使用しております。それから沖繩周辺については、米側が今日設定しておりますが、これも本土との一環ですでに沖繩防空識別圏というものがありますが、まあ隣国との関係もありますので、そのまま適用できるか、あるいは若干修正したほうがよろしいか、いま検討しておるわけであります。将来防空の責務が日本側に移されます場合には、レーダーサイトでキャッチしましたものを、那覇にDCサイトというのがありますが、指揮所でキャッチをいたしまして、そこで処理がされる。必要があれば、DCサイトから九州にありまする同じDCサイトのほうに連絡がされるということになろうと思います。
  87. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 このことについても、アジアの平和と安全の維持という立場、まあ戦略的な意味じゃないのですが、むしろそういったことを刺激するようなことのないような形で、専門的なことは私もよくわかりませんが、最終的な決定といいますか、そういう方向に向かってやっていただきたいと思います。  次に、本土にはブルー14というのがあります。これはもう当然一般民間機の飛行禁止区域ということで設定されておりますけれども返還後には沖繩上空にも一般民間機の飛行禁止区域が設定されるかどうか、これはむしろ運輸省の管轄じゃないかと私は思うのですけれども、民間機の安全を維持するという立場からこれはそう無関心ではいられないのじゃないかと思いますので、防衛庁としての見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  88. 久保卓也

    久保政府委員 運輸省がお答え申すのが適当であろうと思いますが、ブルー14というのはちょうど横田の管轄区域の横を通っておるもので、一般用に提供されておるものだそうでありますが、ちょうど横田と同じ位置に嘉手納の基地があります。したがって、嘉手納の基地である程度の航空制限を行なうような米側の要望があるかもしれません。しかしながら、当然民間機との調整というものがそこではかられるべきでありましょうし、おそらく外務省、運輸省、それと米側とで協議が進められるべき問題であろう、そういうふうに存じます。
  89. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それでは最後の結論といいますか、時間もございませんので御意見として伺っておきたいことなんですが、アメリカ沖繩を戦略基地として重要視しておると思うか、それとも戦術基地として重要視しておると思われるか、防衛庁長官どうでしょうか。
  90. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩返還前後で多少意味が違うでしょう。返還後になれば、いろいろ安保条約上の制限をこうむることになりますから、いままでのようにアメリカは自由にものがやれなくなります。そういう意味において、戦略基地とか戦術基地とかということばの意味にもよりますけれども、ある意味における抑止力としては働いておるだろうと私は思います。その一般的抑止力というものを戦略的と言うならば、あるいは戦略的要素もあるかもしれません。しかし、それは従前に比べてそういう機能は安保条約のワク内にあるという点において低下するであろう、そういう気がいたします。
  91. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私の見解ですけれどもアメリカ沖繩を戦術的な最前線基地というふうにしておるのじゃないか、すなわち一つの消耗基地として使用しておるのじゃないかという考えが非常に強いわけですけれども、ベトナムとかラオスでB52をはじめとしたあらゆる航空機によって爆撃がされておるわけですが、もしあの程度の爆撃が沖繩に行なわれたというふうに仮定した場合には、沖繩はそれでもなお軍事基地として、あるいはキーストーンとしての戦略上あるいは戦術上の基地として、そして軍事的な利用価値を持ちこたえられるかどうか、こういうことが出てくるわけであります。このように、第一線前線基地はいわゆる犠牲的な基地であるということは常識であるわけです。今日までの戦史をひもといてみても、これを証明しておるわけであります。沖繩が第一線の前線基地である限り、まず最初に攻撃される地域である。米国の軍事行動が常にその危険にさらされるわけでありますけれども、この点に関する見解はどうでしょうか。これは最後に伺うわけですが、自衛隊の配備であるとか増強であるとか、このようにいわれておりますが、この点に関してどう思われるか。時間がないので以上をもって終わりたいと思いますが、長官の意見を聞きたいと思います。
  92. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 それはそのときの局面の情熱あるいは国際関係、そういうことで判定さるべきもので、抽象的に一がいに言えないだろうと思います。
  93. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 終わります。
  94. 池田清志

  95. 安里積千代

    ○安里委員 きわめて素杯な質問を申し上げたいと思います。  沖繩返還にあたりましては核抜き本土並みということがずっといわれております。これについてはいろいろと議論もあるようでございますが、防衛庁といたされまして、核抜き本土並み返還ということを防衛庁の立場からどのように解しておられますか。核抜きの問題は先ほどからお話がありましたのでもうよろしゅうございますから、本土並み返還ということにつきまして、防衛庁の立場からのお考えをお聞きしたいと思います。
  96. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 安保条約、地位協定がかぶってくるという意味において本土並みが実現されると思います。ただその本土並みという状態は、ちょうど昭和二十七年日本が独立いたしましたが、その当時は米軍基地日本にも、うようよとありました。アメリカの陸軍、海軍、空軍の大部隊が駐とんしておったり、あるいはCICとかその他軍政機関みたいなものまでまだ残滓物があったりしましたが、そういう事態がやはり当分は現出する。それが本土の場合には二十年近くかかって陸軍も撤兵するし整理していったわけでありますが、沖繩につきましても同じようにそういう整理統合を促進していくということが次の返還後の事態において起こってくるだろうと私は思います。
  97. 安里積千代

    ○安里委員 日本の安全は、いまの安保条約によりまじて、アメリカ軍基地を提供するということによってこれまで十分維持されてきたのだ、十分守られてきたのだ、保障されてきたのだ、このようにお考えでございましょうか。
  98. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本アメリカとの協力によって日本の安全も保持されてきた、そう思います。
  99. 安里積千代

    ○安里委員 そうでありますならば、今度沖繩返還にあたりまして、この日本本土にありますところの安保条約に基づくあらゆる取りきめ、このことと、沖繩返還にあたりましても、沖繩においてもすべて同様な状況において十分日本の安全をはかられ得る状況である、というふうにお考えでありましょうか。
  100. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 大体同じようなケースであると思います。
  101. 安里積千代

    ○安里委員 こういうふうなお考えは持っておられぬでしょうか。なるほど日本は安保条約におきまして、アメリカの軍隊の協力によって安全を保障した、こう言われるのでありますけれども、それだけではほんとうは不十分であったのだ、沖繩アメリカの施政下にあって、安保条約の適用外にあった、こういったことと相まって、あるいはむしろそのほうが相当大きな力となって日本の安全を保障し得た、こういう立場においてこれまでの沖繩を見ておられるのでしょうか。それとも、沖繩を安保外に置いてアメリカが自由使用しておったということは、日本の安全保障のためには何らの関係もなかったのだ、このようにお考えでありますか。
  102. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 歴史的に考察しますと、これは人によってみんな評価は異なりますけれども、昭和二十七年に平和条約ができまして自来の歴史的な経過を見ますと、さまざまな局面局面に応じて本土もあるいは沖繩もやはり平和、安全保持について機能を果たしてきた、そういうように思います。本土から切り離されて、沖繩アメリカ軍の自由使用のもとにあったから本土の安全が保持されたとのみ断定することは、それは仮想ではないか、そういうふうに思います。
  103. 安里積千代

    ○安里委員 私はそれも大きなものでなかったかということをお聞きしておるので、それによって日本の安全が保障されたのだということを申し上げておるつもりではございません。  そこでお聞きするわけでありますけれども、いまの沖繩返還にあたりまして、これはもう御承知のとおり、沖繩基地というものが、配置の点において、装備の点におきまして、機能の点におきまして、本土と比べようのないものがあるということはもう異論のないところでございます。そこで、先ほど沖繩返還によって安保条約あるいはまたそれに関連する取りきめが沖繩にも適用になるという立場が本土並み返還だという外務省の見解と同じような趣旨のことをおっしゃっておられるわけでございますが、これは返還後において適用になる。返還前におけるところの問題というものはどのように受け取るか。私が申し上げるのがちょっと理解しにくいかもしれませんけれども返還後においては安保あるいはまたそれに対するところの関連取りきめが何らの変更なく適用になるけれども返還前の実態についてはその問題外だ、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。それとも、返還時点におきましては、何ら本土と変わりないところの、配置の点においても装備の点におきましても変わりない姿になる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございましょうか。
  104. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 返還のその瞬間から本土並みになる、本土並みの状態が現出する、そういうことであると思います。
  105. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますと、その本土並みということは、沖繩の場合、密度の点におきましても、機能の点におきましても、本土と違うものがあるのだということもよく言われておりますけれども、それも本土の中におきますところの状況と完全に同じだ、こういうふうになる、そうするならば、撤去するものあるいは開放するもの、いろいろな点におきまして復帰時点までには完全に本土と同じような姿になるのだ、こういうふうにお考えでありますか。
  106. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事実のステータスと法的のステータスというものは違うと思うのです。それで本土並みというのは、法的ステータスが本土並みになる。事実的には基地は密集しておりますし、ともかく本土に比べてみて米軍基地が非常に多く、軍事的要素は沖繩には非常なパーセンテージを占めているということが言えると思いますので、そういう事態を時間をかけてできるだけ早期に解消していくように私たちも努力していきたいと思うわけです。
  107. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますと、本土並みというのは一つの表現であって、内容的には返還時におきましては本土並みにはならない、返還後において逐次本土の姿になっていくのだ、こういうふうに受け取れるわけでございますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  108. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本土におきましても、さっき申し上げましたように、平和条約が発効したその直後の状態というものは、アメリカの陸軍の大部隊以下もありまして、基地も非常に密集しておった状態でもあります。また、いま本土の状況を見ましても、横須賀とか神奈川県等におきましては、やはり相当数部隊その他がありまして、それがやはり市民生活との関係でいろいろな交渉関係を持っているわけであります。沖繩復帰後は、それが非常に密度の高い、そういう点においては本土よりも軍事関係の比重が強い、経済関係その他におきまして、そういう事態が事実上現出するということであって、それは、事実上の姿が昭和二十七年、八年とか、そういう時点の本土状態が現出するということじゃないかと思うのです。しかし法的状態というものが、完全に日本国憲法が通用して、人権の擁護あるいはその他についても本土並みの制度が実施されてまいりますし、あるいは安保条約、地位協定も適用されまして、日本側の権限というものは非常に加重されてくるわけであり、アメリカは非常な制限を受けてくるわけであります。そういう意味においては完全に本土並みであると言えると思います。
  109. 安里積千代

    ○安里委員 いろいろ論争を申し上げる時間もございませんのであれですが、本土の横田基地におきます三四七戦闘部隊も解散になりまして、撤収されたようでございますが、こういった問題は、本土におきましては、私よくわかりませんが、事前協議の対象になって、本土におきまするところ部隊の配置やいろいろなものは撤去されておるものでありますか。
  110. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あれは随時協議でございます。日米安保協議委員会で合意をしてきめたものであります。
  111. 安里積千代

    ○安里委員 その横田基地から撤収されたものが沖繩の嘉手納基地に移動しておると伝えられております。そうしますと、本土におきまして保障まれたものが現に沖繩には増強されつつある。この沖繩に増強されるということも協議の結果として行なわれておるものでありますか。
  112. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そうです。協議の内容に入っておりました。
  113. 安里積千代

    ○安里委員 そうしますと、沖繩返還の前にあたりまして、むしろ沖繩基地にはいろいろな点におきまして本土にない、あるいは本土から撤去されたものが沖繩には増強されてくる、そうしてその状況において返還時におきましてそれらのものが引き継がれる、こういうような状態だと思うのでございまするけれども、いかがでございましょうか。
  114. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その間に、沖繩におきましても解体されたり撤収した部隊もあるだろうと思います。そういう全体のバランスでお考えいただきたいと思います。
  115. 安里積千代

    ○安里委員 具体的な問題についてちょっとお聞きしたいと思います。前に私は施設庁長官にお伺いしたことがございましたが、高等弁務官布令によりまして、沖繩軍用地先の千がた管理権はアメリカ軍にございます。この問題の処理について、復帰の時点においてどのようになるか。布令による管理権でございますので、当然復帰のときには効力を失う、それは本来の姿に返って戻るのだ、この管理権が消滅するのだというふうな見解をとっておるわけでございまするけれども、この従来アメリカが握っておる管理権は、返還にあたりましてどのように処理されるものであるか。いままでの交渉の中からあると思うのでありますけれども、前にはばく然たるお答えでございましたので、明確にお答え願いたいと思います。
  116. 島田豊

    島田(豊)政府委員 いわゆる干がたの問題につきましては、従来は民政府の琉球財産管理課がすべて管理をいたしておりましたが、現在は、米国政府の機関、これは米軍を含みますが、米国政府の機関が使用するもの及び民政府琉球財産管理課との契約によって個人または団体が使用しているものを除きまして、琉球政府が管理するということになっておりまして、復帰後におきましては、米軍に提供するものを除きまして国において管理することになるのだろうというふうに考えられます。  そこで、この干がたの存在、これは琉球の特殊な自然現象に基づくものでございますが、非常にたくさんあるわけでございます。これをどういうふうに取り扱うかということにつきましては、はたしてこれを施設、区域として提供しておく必要があるのか、あるいはその中にいわゆる不急不要というものはないのか、あるいはそれによりまして地元の産業発展、開発というものが阻害されておって、したがってこれを返還をさすべきものがないかどうかということにつきましては、いろいろ検討いたしましてアメリカと折衝をしておる問題でございまして、今後のアメリカとの話し合いによってその辺はおのずから定まってくる、こういうふうに考えられます。私どももできるだけ、そういういわば不要といいますか不急といいますか、そういうものはやはり返還をさせて、そして民生の安定なり経済発展に寄与する、こういうことが必要ではないかということで、そういう線でこの問題には対処していくつもりであります。
  117. 安里積千代

    ○安里委員 私が問いまする真意をあまり把握しておられないようでございますが、日本本土の中の基地におきましては、いわゆる施設の地先の管理権というものは地位協定によりましてもないわけです。沖繩の場合においてはそれがある。本土にないものがある。軍事基地と同じように海の面までもアメリカが支配しておる。これは本土にない姿なんです。本土におきましては、このようなものは、その施設に出入りするに必要なる地域の領水あるいは近傍を提供するということがありますけれども、それをアメリカの要求によりまして、いまと同じように管理権が認められておるのを場合によっては全部アメリカにも提供し得るような状況でございますか。そうなりますと本土の場合とは違ったところの姿に沖繩はなる。
  118. 島田豊

    島田(豊)政府委員 米軍がいま干がたを使用しておるのは必ずしも実態が十分わかりませんが、訓練水域として使用しておる、あるいは射撃をいたします場合の保安用地として使用しておる、あるいは先ほど御指摘のように施設に対する出入の経路としてこれを使用しておる、こういうふうないろいろな理由に基づきまして使用いたしておるわけでありまして、これは海岸なりあるいは干がたでございますので、本来はやはり国有に帰すべきものであるというふうに考えられますので、米側に提供すべきものは別としまして、それ以外のものはやはり国が管理する、こういうことがたてまえではなかろうか。その国が、たとえば港湾でありますと運輸省関係とか、あるいはものによりましては建設省関係とか、いろいろその管理権の主管官庁は分かれると思いますが、いずれにいたしましても国が管理するということになるのではなかろうか。米軍がすでに施設、区域として使用し、またこれを提供すべき必要があるものについては、やはり従来に引き続きましてこれを使用させるということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  119. 安里積千代

    ○安里委員 この問題はそう論ずる時間もございませんけれども沖繩基地はほとんど海に面しております。その軍用地先はみんな軍が管理しておる。そのために沖繩人たちの漁業あるいはまた土地の改良、埋め立て、あらゆる問題というものが阻害をされておる大きな問題があります。これをそのまま復帰のときにアメリカに提供するということになりましたら、非常に大きな問題をかもすと思いますので、もっとこの点防衛庁におきましても真剣にお考えを願いたいと思います。  そこで、中曽根長官に一言お伺いしたいと思いますが、共同声明によりまして、先ほどの御質問にもあったのでございますけれども沖繩返還がありましても、日本を含む極東の安全に支障を来たさないように、機能をそこなわないようにということが共同声明の前提になっておるわけでございますが、一体沖繩基地につきましてどの程度であれば日本の安全は保障されるのだ、あるいは防衛上必要だ、こういう線、範囲と申しますか、これはどちらがきめるものでしょうか。これは防衛上必要だ、あるいは日本の、あるいは極東の安全保障のためにこの地域、この施設は必要だというふうに、アメリカ側がきめるものでしょうか。それとも日本の立場において、これは必要ないんだというふうな立場でこの範囲をきめるものでありますか。
  120. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の立場が主になってきめるものだろうと思います。ただしアメリカ側とは随時協議等によりまして緊密な連絡をして、その間にそごがないようにしていくべきものであると思います。
  121. 安里積千代

    ○安里委員 それが日本の立場できめるのだということが事実明確でありますならば、これからあらわれてきまするいろいろな実態、事実につきましてさらに問題を展開したいと思います。ただ、一つお話がありました、防空識別圏の問題で先ほどお問いがあったのでありますけれども沖繩の場合におきましては、現在のアメリカ軍におきましても防空識別圏あるいは飛行情報管区につきましても、いま問題になっております尖閣列島あるいは八重山の一角というものは現在のアメリカのあれよりもはみ出しておるはずであります。これが返還時におきまして防空責任というものを日本が引き受けるとしますと、現在アメリカ側の防空識別圏からはみ出しておるものと沖繩防空の第一の責任日本自衛隊にあるというものとのそご、どうなってくるか。場合によっては日本沖繩の領域でありますところの尖閣列島地域に対します行動というものが、いまの特に中国政府からいろいろ言われておりますときにおきましては、相当国際的な物議をかもす可能性があるのじゃないかと思うのです。その間の調整と申しますか、これはアメリカとの間に何らかの話し合いが進められておるか、またこれがどのように引き継がれるものであるか、最後にその点をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
  122. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 尖閣列島はわが領域でありますから、当然わが防空識別圏の中に含まれるベきものであると思います。ただ、現在アメリカがやっておる防空識別圏の範囲をそのままわがほうがやってよろしいかどうか、これは中国大陸あるいは台湾等々との関係考えまして、できるだけ国際緊張を起こさないように措置するのがわが外交方針でありますから、いろいろ検討さるべきものであると考えます。
  123. 池田清志

  124. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間がわずかしかありませんので、すぐ防衛庁長官に質問いたします。  三月三日に海上自衛隊の護衛艦四隻が房総半島沖で米原潜を目標艦に共同訓練を行なっておりますが、これは国民に非常にショックを与えております。情勢いかんによってはまたそういったようなアメリカの原潜を目標艦に共同訓練をやることになるのかどうか、防衛庁長官の方針を聞きたいと思います。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 房総半島の先における訓練につきましては、私が承認を与えて実施したものでありますが、将来も必要ある場合にはやはり行なっていいと考えております。
  126. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、第二番目に、米原潜の沖繩を除く日本におけるいわゆる行動区域は何カ所ありますか。
  127. 久保卓也

    久保政府委員 第七艦隊にアメリカの原子力潜水艦が三隻配置されておりますが、一般にアメリカの原子力潜水艦の行動区域なり、その行動範囲その他のことはわかっておりません。
  128. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 土佐湾と相模湾ははっきりしておりますか。
  129. 久保卓也

    久保政府委員 新聞に出たことがありますが、これは訓練場として米海軍が当初古い時期に指定したものでありますが、その海域で訓練をしておるかどうか、私どもの常識からしますと、そういう日本本土といいますか、大陸でありましても同じでありますが、そういう近い区域で訓練をする必要はさらさらないので、やはり原子力潜水艦の性能に従って非常に広い範囲で行動しかつ訓練をしておるであろう、そういうように思います。したがって、特定の海域というふうに考えるのは適当でない。ただ、先般の海上自衛隊との共同訓練は、わがほうの都合で日本本土に近いところを選定した、こういうことであります。
  130. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に沖繩に移りますが、いままでの説明によりますと、自衛隊の派遣配置予定地、これは陸ではホイールエリア、海はホワイトビーチ、それから航空自衛隊那覇空港、これをホームベースにして行動をやるということになっておりますが、沖繩近海における特に原潜の行動区域、これは何カ所にあって、これまでどういうふうな行動をやったか、特に長官にお伺いします。
  131. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 沖繩の近海におきましては、たしか三カ所か四カ所の演習区域を設定しておるように記憶しております。その中にアメリカの海軍の演習区域もたしか南方のほうにあったと思いますが、詳細につきましては局長から答弁せしめます。
  132. 久保卓也

    久保政府委員 図面の上で明確にされておりますけれども、ただいま長官がおっしゃった以上に私もいま資料を持っておりませんので、わかりません。しかし米海軍の演習場はありますけれども、私は、さっき申し上げたと同じ理由で、原子力潜水艦が特にそこで訓練をしておるというふうには思いません。
  133. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に防衛庁長官が、情勢に応じては米原潜を目標艦にして共同訓練をやると言っておりましたが、沖繩の場合、われわれが知っているだけでも、原潜は実にうようよしているのです。したがって、沖繩近海で、房総半島沖で行なわれたような共同訓練、すなわちサブロック原潜があることははっきりしております、そういったアメリカの原潜を目標艦にして、沖繩の近海で共同訓練をやるということの見通しがつくわけなんですが、やるのですか、やらないのですか。
  134. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下のところは未定であります。そのときの情勢を見ながら、われわれの考えをきめていきたいと思います。
  135. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 情勢によっては、やる可能性は十分あると理解していいのですか。
  136. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 目下のところ未定であります。
  137. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、自衛隊沖繩配置についてのことでありますが、いままで明らかにされたことでは、F104、これがまっ先に行くが、第四次防、これが実施されてどんどん拡張されますと、F4Eファントム、これが配置されるということを聞いておりますが、配置されるかどうか、長官の意見をお聞きしたい。
  138. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 新防衛力整備計画の期間中はF104でありますが、その次の防衛力整備計画が始まる期間に、ファントムは出現してくるだろうと思います。
  139. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ファントムの性能、行動半径など、幾らぐらいの性能を持っているか、明らかにしてほしいと思います。
  140. 久保卓也

    久保政府委員 性能といたしましては、スピードは二マッハ以上、行動半径は四百マイル、その場合にミサイルを八発積んでおります。爆弾搭載をしました場合には、四発で四百マイルということであります。
  141. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 このファントムの性能から言いまして、行動半径が九百キロ内外ある。これは沖繩からしますと、朝鮮、中国あたりまで行動半径が伸びていく。したがって、専守防衛などと言いますが、このファントム自体の性能からいって、攻撃型であるという点についてははっきりしております。そうなりますと、自衛隊の配置に伴って、第四次防の計画が実施されていくに従って、沖繩を中心とした自衛隊の行動半径が非常に伸びると思いますが、これはどういうふうに長官考えになっておるか。
  142. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ファントムの行動半径は、いまの爆弾搭載四個で四百マイルくらいでありますから、大体沖繩で円を描いてみましても、それほど外国の領域に深く入っていくという力はございません。いわんや戦闘活動を行なうとなると、油や何かもっと多く消耗するのでございまして、行動半径はもっと短くなることになります。そういう点からいたしましても、攻撃的要素は日本の場合には非常に少ない。ヨーロッパの場合は、各国がちょうど日本内地の、本土の府県のように込み合っておりますから、攻撃的性格、行動距離の上からはそういうことは言えると思いますが、日本の場合には、まわりに広大な海がありますから、そういう危険性は非常に薄らいできている、そう思っております。  また、わがほうは、運用方針におきまして、専守防衛を厳格に守らせる方針でもありますから、その点はやはり専守防衛としてお考え願ってけっこうであると思います。
  143. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 専守防衛はことばであって、性能自体がそういったような性能を持っているとすれば、これは専守防衛ということは、はみ出すことは当然であると思いますが、時間がありませんのでこれはさておきまして、きょうここで、始まる前に立法院を代表して陳情がありました。この中には特に防衛庁関係もまっ先に書かれております。これは「核兵器及び毒ガス兵器を即時撤去させ、その事実を点検し、確認すること。」という問題と、さらに二番目には「現在沖繩に配備されているVOA等の特殊放送施設、第七心理作戦部隊等の特殊部隊並びにSR七一偵察機を完全に撤去させること。」、さらに請求権の問題に触れていますが、この特に第一、第二の問題につきましては防衛庁と非常に密接につながっております。これにつきましては返還協定の中に入れろという要求なんです。防衛庁長官としての意見をお聞きしたいと思います。
  144. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 従来外務大臣が答弁したとおりの方針で私もおります。
  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この立法院の決議は与野党全会一致であり、全県民の意思であり、願いである。もしこれがいれられないとすれば、この協定は県民の要求を無視し、じゅうりんしているというふうに考えられますが、そう理解していいですか。
  146. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 立法院の御決議はわれわれもできるだけ尊重いたしたいと思っております。ただ、交渉というものは相手もありますし、また時間的経過で解決していくという問題も出てまいりますし、いろいろ条件が込み入って、そうして交渉というものは成立するものでございますので、私たちはできるだけ尊重いたしたいと思いますが、われわれの許容できる範囲内においてはまたやむを得ないということもあると思います。
  147. 池田清志

    池田委員長 瀬長君、お約束の時間が参りましたから、これでおさめてください。
  148. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう一点、施設庁長官に最後にお聞きしたいと思います。  沖繩の軍用基地、いわゆる地主たちは、ほとんどいま再契約を拒否する、そして復元補償を要求するようであります。ところ政府の方針は、区域、施設を提供するという場合に、法的措置としてまだ明らかにされてない。私、仮定の問題は言っておりません。もし拒否したらどうなるかという問題ではなくて、拒否するためにいま地主会があっちこっちにつくられて、きのう現在で三万八千人の地主のうち、四割はほとんど結集している。再契約拒否、復元補償要求、この場合法的措置はどのようにとられるのか、明らかにしてほしいと思います。
  149. 島田豊

    島田(豊)政府委員 私ども承知しているところでは、土地の提供といいますか契約につきまして、反対の方々が非常に多いというふうには承知いたしておりません。現在、地主会連合会を中心にしまして、できるだけ円満な合意の取りつけということで努力をしょう、こういう方々が非常に多いように承知いたしております。  そこで、われわれとしましても、基本的には、しばしば申し上げておりますように、できるだけ協議がととのえられるという方向で、したがいまして、そのためには、地元方々のいろいろな御要望についても、われわれとしてはできるだけ尊重していきたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、どうしても最後まで合意が成立しないというケースも不幸にして出てくるということも予想せられますので、それの円滑な処理をいたしませんと、この返還というものが実現できない、ことに米軍に対する施設、区域の提供が実現できないということでもございますので、それに対する法的措置というものがどうしても最後の段階では必要ではないかということでいまいろいろと検討いたしておりますが、先ほど中谷先生にも御答弁申し上げましたように、その中身につきましては、まだ検討中でございまして成案を得ておりませんので、今日の段階ではまだ申し上げられないというのが実情でございます。
  150. 池田清志

    池田委員長 中谷鉄也君。
  151. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私は委員長のお許しをいただきまして、防衛局長施設庁長官、それに副長官に御出席をいただきましたので、それぞれ簡単に一問ずつお尋ねをしておきたいと思うのであります。  質問の順序から、まず防衛局長にお尋ねをさせていただきます。  先ほど防衛庁長官在席の際に、SR71偵察機についてお尋ねをいたしましたが、あらためてこの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。要するに、私たちはこの偵察機をいわゆる戦略偵察機というふうに理解をいたしております。それは戦術偵察機と異なる目的を持ったもの、性格を持ったものと考えているわけであります。そこで、この偵察機の目的、性格はどのようなものかということが質問の第一点であります。  それから第二点は、先ほど偵察衛星についての御発言が答弁の際にございました。そこで、いわゆる特殊部隊についての撤去を強く要求をし、それが安保と地位協定のワクをはみ出すという前提での質問に相なるわけでありますけれども、いわゆる偵察衛星、そうしてわれわれが通常理解しておりますところの戦術偵察機、この二つがある。その際に、戦略偵察機が安保のワク内にとどまって戦術偵察機の果たし得ない役割りを果たすという可能性、必要性、メリットというものがどこにあるのかという点、そのようなものはわれわれは理解できないのでありますが、これが質問の第二点であります。特に先ほど防衛庁長官答弁をせられまして、たとえば沿岸における船舶の集結状況等という御答弁がありましたけれども、そういうことが偵察の対象になるとするならば、むしろそれは戦術偵察機において偵察の対象とさるべきものではなかろうかということであります。  次に、SR71についての再質問をいたさせないつもりでありますので、答弁漏れのないようにお答えをいただきたいと思いますが、通常使用される高度別の巡航速度及び航続時間というものについてどのように把握しておられるかという点であります。御答弁の際にも出ましたけれども、あらためて最大速度、その場合におけるところの高度、最大速度の場合におけるところの航続時間、さらに最高高度、その場合におけるところの速度、航続時間、そうして先ほど御答弁もありましたので確認をいたしておきたいと思いますけれども、偵察の際、通常使用する高度二万五千メートルというふうに御答弁があったと思いますけれども、この点についても確認をさせていただきたいと思います。  防衛庁長官は、いわゆるカメラ、斜めカメラの意味だろうと思いますけれども、斜めカメラの点について、カメラがあるのでそういう偵察能力があるのだというふうなお話がありましたけれども、たとえば二万五千メートルで斜めカメラという場合、カメラの角度が四十五度ということになれば結局二十五キロ、三十度ということで結局どういうことになるでしょうか。四十五キロくらいということに相なるのではないでしょうか。そういうことになってまいりますと、領海十二海里との関係において、重ねて指摘をいたしたいと思いまするけれども、領空侵犯、領海侵犯ということが前提にならなければ、戦略偵察機というものの存在価値、メリットというものはないのではないか。逆に言うと、安保条約、地位協定になじまないものではないか。いわゆる特殊部隊について逐一お尋ねをいたしたいと思いますけれども、時間もありませんので、SR71について防衛局長の御答弁をいただきたいと思います。
  152. 久保卓也

    久保政府委員 正直に申し上げまして、十分な御答弁はできません。しかし、私の知っている範囲で申し上げてみますと、まず偵察衛星の場合には、当然上空から相当の範囲にわたって偵察できますが、言うまでもなくこの衛星は回っているわけですから、動態的なものを把握することは比較的不得手であります。無数に配置しておればともかくでありますが、やはり一定の捜索範囲がありますので、静態的なもの、つまりミサイルの基地でありますとか、そういった地形、地勢的なものを偵察する、新たな施設ができたものを偵察する、これは非常に適しているであろうし、非常に精密な能力を持っております。  それから戦術偵察機の場合、陸上部隊のものはおそらく別のお話だろうと思うので、いまのお話の場合には、海上といいますか海軍の戦術偵察機のことであろうと思います。ところで、海軍の戦術偵察機の場合、たとえば沖繩にありますP3Vなどがそうでありますが、これはわれわれのP2Jから見ても当然でありますけれども、公海上広く海上艦艇の動静を察知する、偵知するということになります。これはもちろん港にあります相手方の商船でありますとか艦艇の動静も入るかもしれませんけれども、これはいまお話しのようなカメラの関係もありましょう。むしろP3Vは対潜哨戒機であります。この点は米側も日本側も同じでありますから、これは当然水上艦艇も捜索いたしますけれども、対潜哨戒、潜水艦がどういうふうにあるかということを広い海域にわたって捜策するという能力を持っております。そういたしますと、その中から抜けてまいりますのは、沿岸周辺においてどういう艦艇が動いているかというようなこと、それから沿岸周辺にどういう施設ができておるかというようなこと、これは先ほど偵察衛星でも申しましたが、そういうことがもっと目で見得るというようなこと。それから、おそらくこの点はわかっておりませんけれども、電子関係のものも入るかもしれません。これは私の想像であります。想像と申しますのは、SR71についてはほとんどのことがあまりわからせておりませんので、そういった能力もあろう。電子関係のものは、SR71でなくても、ほかの飛行機も当然でまます。しかしそういう能力もあるいは持っておるのではないか。そうすると、これは偵察衛星でもまた戦術偵察機でもできないことで、他の飛行機と組み合わさってそういうことをやる能力を持つものであろうというふうなことであります。これは米側と十分に連絡をしてのあれではありませんけれども、私どもの従来持っておる知識からすると、そういうことが想像されるわけであります。  それから写真の問題でありますが、英語でいうとサイドルッキングの能力を持っている、こういうふうにいわれております。ところで、それではそのサイドルッキングの範囲がどの程度であるのかということはわかっておりません。しかし、比較的広い範囲にわたって、たとえば先ほど先生が三十度の場合に四十五キロくらいとおっしゃいましたが、十二マイルですとほぼ二十キロくらいでありましょうか、どの程度の角度かわかりませんが、いずれにせよサイドルッキングの能力を持っている。その距離についてカメラでもって相当詳細な写真がとれるというふうにいわれております。  それから高度の関係でありますが、これは私どもの知識では八万フィート、先ほど約二万四千メートルと申しましたが、八万フィ−ト、約二万四千メートル以上の高度で、大体常時のようでありますが、音速の三倍程度で飛んでおるようであります。その場合に航続距離が三千二百キロといわれておりますが、そうしますとほぼ一時間ぐらいのことになります。しかし、音速の三倍を出す必要がない場合には、当然時間がもっと延びるだろうと思うのです。  ところが問題なのは、給油ができますから、もし途中で給油をしておれば航続時間はもっと延びるということになりますので、この点がはっきりわかりません。そしてまた偵察高度も、これはわれわれの知識では、少なくとも八万フィート以上で偵察するのが常態であるというふうに知っております。したがいまして、偵察の場合にはそういった早いスピードを出しますが、給油をする場合には、たとえば亜音速、一音速足らずの程度というふうに聞いております。  それから、私ども、米側との折衝その他いろいろな感じで、以前はともかく、ここ数年というものは、SR71はたとえば中国の大陸でありますとか北鮮の上空であるとかいうところは飛んでおらないということは私はわりと自信を持っております。ただし、最近北鮮の放送にありましたように、一部飛んだということが言われておりますから、この点はあるいはそうなのかもしれませんが、全般的に申せば、飛んでおらないということは確信を持っております。またその確信は、おそらく偵察衛星などのつながりになってくるんじゃなかろうかというふうに思います。  最後に、安保関係で申し上げれば、私どもは安保条約の範囲内であろうと思いますけれども責任をもってお答えするのは外務省でなければなるまいと思っております。
  153. 中谷鉄也

    ○中谷委員 防衛局長にお尋ねと申しますかかなり反論を申し上げたい点がありますが、一問ずつお尋ねをするということでありましたので、この程度にいたしておきます。ただ指摘だけいたしておきたいと思いますけれども、いわゆるSR71の持っている電波妨害装置が最近かなり発達をしてきたというふうなことと、かつて年間四十五回領空侵犯の抗議を受けたけれども、最近ではたしか年間六回か七回ぐらいに下がってきているのは、領空侵犯の事実がないということではなしに、むしろそのような装置そのものの発達と関係があるのではないかという説もあることは局長御存じだろうと思います。しかしいずれにいたしましても、いわゆる特殊部隊の中で特にSR71の取り扱いというものが問題になってきております。本日は、そういう防衛庁の把握しておられる資料と、なお防衛庁においても把握しておられない性能、性格等について御答弁がありましたので、この問題はまたあとであらためてお尋ねをすることになります。  そこで次に、施設庁長官に気にかかる点を一点だけお尋ねをしておきたいと思うのであります。  と申しますのは、たいへん核抜きにこだわりますが、これは当然のことであります。すなわち、私のお尋ねいたしたいと思うことは、核貯蔵庫というものが核を貯蔵するための特別の構造上の機能、性格、装置というものを持っているとするならば、当然核貯蔵庫というものは撤去さるべきであるという前提、またわれわれはそういうふうに理解をいたしております。ただしかし、かりに核抜きというものが核貯蔵庫を含まないのだなどという議論があった場合、あり得ないとは思いますけれども、そういう場合に、提供される施設名としてはどのような表示に相なるのでしょうか。ただ単にそれは弾薬庫とか倉庫とかいうふうな表示にとどまるのでしょうか。この点についてのお尋ねをしておきたいと思うのであります。  質問の動機、趣旨は、いわゆる核抜きといわれているけれども核隠しではないかということがいわれているわけであります。この点について、施設名としてはどのように相なるのだろうか。たとえば官報に告示をされる場合に、それはどのような施設名として告示されるのか、この点であります。要するに、核を貯蔵できるような特別な装置を必要とするものについては、これを置かないということは、もうあたりまえのことだと私は思います。しかし、かりに万が一にもそういうようなものが置かれるというふうなことになった場合に、核は抜いておるけれども倉庫なんだというふうな場合には、それはいわゆる他の弾薬を入れてある弾薬庫と異なった施設名の表示がなされなければならないと思うのでありますが、この点についてお答えをいただきたい、これが質問の第一点であります。  第二点は、少しく心配なので先回りしているかもしれませんけれどもお尋ねしておきたい点は、地位協定四条の三項の問題であります。この問題は、要するに施政権返還後の基地返還に伴って、地位協定四条三項の特別取りきめなどというものによる建設などは行なうことがないというのがあたりまえの考え方であろうかと私は思います。これはまさに資産承継ともからんでくる問題だというふうに一部でいわれております。たとえば施政権返還基地返還を受ける場合に、基地返還を受ける代償として政府のほうにおいて建物の建設を特に取りきめるなどというふうなことがあってはいけないと私は思うし、そのことが従来一部でいわれているように、資産承継の何億ドルというもののプラスアルファ分をこの四条の三項においてまかなうのではないかというふうな危惧もあるようであります。これは外務省において取りきめるべきことだというふうな答弁をいただくつもりではないのです。防衛庁の方針としてはそんなことはあり得ないことだという明確な答弁を私はこの機会に求めたいと思います。  以上、施設庁長官に対する質問はその二点であります。
  154. 島田豊

    島田(豊)政府委員 第一点の核貯蔵庫の構造、機能あるいは性格、装置、こういうものにつきましては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、私どもも何ら承知いたしておらないわけでございます。そこで、核抜きということは国としての最高方針でございますので、それに基づきまして核は撤去せられる。それに伴いまして、その方針に従うならば核貯蔵庫というものの存在自体意味がなくなるわけでございます。そこで、そのままの装置でそれが存置されるということは万々なかろう。もしこの倉庫の建物そのものを何らか他に転用するとするならば、それはそういう形で存置され、そしてそれは施設、区域の中の一つの工作物なり建物として存置させる、こういうことになろうかと思うわけでございます。そこで、その場合に提供せられる施設名としてどういうことになるのか。これは、その後の用途に応じまして、それが倉庫であったりあるいは他の施設であったりということになろうかと思いますけれども、まだその実体そのものが不存在であるということを前提にしますれば、その問題は議論としてあまり意味がないという感じがいたすわけでございます。  それから第二点の四条三項、これは私もちょっと不勉強でございますけれども施設庁といたしましては、そういう特別な取りきめを行なうということは考えておりません。外務省のほうの御見解も聞いてみなければいけませんが、われわれのほうとしては、少なくともこの四条三項の適用というものは現在考えておらないということでございます。
  155. 中谷鉄也

    ○中谷委員 こだわるようですが、もう一点だけお尋ねをいたしておきますけれども、いずれにいたしましても、核貯蔵庫が核を貯蔵するための特別な装置、構造等を持っている場合には、そのような核貯蔵庫というものは撤去される、そのような装置や構造というものは破壊をされるというふうにわれわれは明確に確認をさせていただいてよろしいわけでございますね。
  156. 島田豊

    島田(豊)政府委員 核は存在しないということでございますので、その存在のために必要なそういう装置は撤去される、これは当然だと思います。
  157. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に副長官にお尋ねをいたしたいと思います。簡単に二点だけお尋ねをしたいと思うのであります。  ゼネストが行なわれているというきわめて復帰不安のある状態の中で、復帰不安をどのようにして克服し解消するかということにわれわれは全力をあげなければならないと思いますが、質問の一点は対米請求権に関する問題でありますが、対米請求権については、きょうはむずかしい質問をするつもりはございません。県民のもろもろの物的、人的な損害について政府が強力にアメリカに対して対米請求を行なう、この姿勢とその実績をわれわれは強く期待をし、そのようなものでなければならないと思っているわけであります。ただ、しかし、かりに日本政府が対米請求のある部分について重畳的にしろ、二重にしろあるいは連帯的にしろ県民に対して引き受ける——肩がわりということばは私は使いたくない、重畳的といいますか二重にといいますか引き受ける、そういうふうな場合に、二十六年間の物的、人的な被害の立証というものは県民一人一人にとっては困難なものであろうかと思います。それを、たとえば外務大臣のように、根拠の少ないものというかっこうで問題をすりかえられてはならないと私は思うのであります。要するに、人間の世界のできごとでありますから、時間の経過の中において立証が困難であるという問題が出てまいります。請求権があり、被害の事実は存在をするけれども、その立証が時間の経過の中において困難だという問題が生じてくる。そのような場合に、繰り返して質問を申し上げている問題でありますけれども、涙金とか単なる見舞い金で問題が済まされていいはずがないわけであります。といたしますと、解決の方法として考えられる問題は、立証責任の転換の問題であり、立証を容易にする法的措置の問題であり、あるいはアメリカの演習等に伴うところの損害等については、明確に無過失責任を導入するというふうな問題が出てまいろうかと思うのであります。といたしますと、見舞い金とか涙金で解決しない限り、対米請求権を県民の被害について十分に行使させるというような観点に立つ限り、立証責任の転換や、無過失責任制度の導入や、疎明を軽くするというような、いろいろな立法的な措置もこの機会に講ぜられなければならないと私は思うのであります。公害についての無過失責任政府提出法律が今国会において見送られたというきわめて残念な状態でありますけれども、この沖繩県民の対米請求については、一言で言うならば、立証責任の転換を含め、無過失責任立法というものが制定されなければ、対米請求権、いわゆる県民の権利を守ることはできないだろうと私は思うのです。この点について総理府において御検討の余地があるかどうか、検討される意思があるかどうか、この点をお聞きいたしたいのが一点であります。  第二点といたしましては、同僚議員のほうからしばしば質問をいたしましたいわゆる学術会議法の一部改正についてでありますけれども、この点についてはどんな経過をたどったのでございましょうか。もうすでに会期も余すところわずかであります。この点については努力をされたのであろうと思います。またわれわれも、この問題については現在非常にむずかしい状態に来ているので、本委員会におけるところの質問等についても少しく手控えてもらいたいというふうな御答弁もあったことを記憶をいたします。会期の終わりの最後の委員会は二十四日でありますが、質問の機会を与えられる最後の委員会において、学術会議の問題についてはどのようなことに相なっておるのか、どういうふうな経過をたどったのか、また現在総理府としてはこの問題についてどのような措置、対策、対応策をお考えになっているか、この点は従来しばしば質問としては出た問題でありますので、最後にお尋ねをしておくことが適当だと思います。この点について御答弁をいただきたいと思います。
  158. 湊徹郎

    ○湊政府委員 ただいまの第一点の対米請求の問題でございますが、これは御承知のように、現在外務サイドでいろいろ交渉を願っておるケースを私どもも頭に描きながら、対内措置として各種の復帰に備える準備を現在検討しておりますが、いま仰せられた点についての具体的な検討は、現在の時点ではまだやっておりません。しかしながら、沖繩のいままでの特殊な事情から申しまして、立証がきわめて困難な形で被害を受けられたという事実、これはおそらくあるであろうということは想像にかたくございません。そういうものについても、ちょうどさまざまな特例ないし暫定措置ということで考えておりますように、挙証責任、願わくば無過失、そういうふうなものの考え方、これも私どもとしてはよくわかります。そういう点も含めてこれからひとつ検討してみたいというふうに思っております。  それから第二点の学術会議の問題でございますが、これは、形式的に申しますと、学術会議は独立機関でございまして、総理府はひさしを貸しておるという関係だけでございますから、内部に対するいろいろの干渉がましい意見を申し上げることはどうかと思いますが、しかし、いままでの経過にかんがみ、率直に申しますと、実は沖繩地域を学術会議の選挙の対象区域に含めるということ自体に対する反対というのは、私どもいままで聞いておりません。ただ、学術会議そのものについて、もう少しじっくり検討するチャンスがほしいというふうな御意見等がございまして、そのうち諸般の選挙その他で時間的にということで、私ども最後まであきらめてはおりませんけれども、現在のところはそういう取り扱い手続上非常にむずかしい段階にあると承知しております。ただし、この問題は、発足のときからなのでございますけれども、はたしてほんとうに立法措置が必要なんだろうかという一部疑念がございますし、法制局等でもそういう有力な意見もございます。と申しますのは、これはほかの免許とか資格とかいう問題とは異なっておりまして、選挙権、被選挙権というのはいわば学術会議の内部の規則できまっておる事項で、そのこと自体法律事項ではございません。そしてまた、これによって当選された人がメンバーとして参加するというのが学術会議でございますから、米側の了解さえとれれば、ある程度実際の運用上可能ではなかろうかというふうに、これは私個人の見解で恐縮でありますが、考えておったわけであります。幸いにして、米側の了承はちょうだいしてございますから、そこで、まあこれから余す短い会期、率直に言えば、話がつけば一日でも通る種類の法案であろうと思いますが、最後まで努力はいたしますが、不幸にして国会で御承認がいただけない段階に対応する措置等についても考えていきたいものだと思っております。
  159. 池田清志

    池田委員長 次回は、来たる二十四日月曜日午前十時理事会、十時半委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会