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久保政府委員 正直に申し上げまして、十分な御答弁はできません。しかし、私の知っている範囲で申し上げてみますと、まず偵察衛星の場合には、当然上空から相当の範囲にわたって偵察できますが、言うまでもなくこの衛星は回っているわけですから、動態的なものを把握することは比較的不得手であります。無数に配置しておればともかくでありますが、やはり一定の捜索範囲がありますので、静態的なもの、つまりミサイルの
基地でありますとか、そういった地形、地勢的なものを偵察する、新たな
施設ができたものを偵察する、これは非常に適しているであろうし、非常に精密な能力を持っております。
それから戦術偵察機の場合、
陸上部隊のものはおそらく別のお話だろうと思うので、いまのお話の場合には、海上といいますか海軍の戦術偵察機のことであろうと思います。
ところで、海軍の戦術偵察機の場合、たとえば
沖繩にありますP3Vなどがそうでありますが、これはわれわれのP2Jから見ても当然でありますけれ
ども、公海上広く海上艦艇の動静を察知する、偵知するということになります。これはもちろん港にあります相手方の商船でありますとか艦艇の動静も入るかもしれませんけれ
ども、これはいまお話しのようなカメラの
関係もありましょう。むしろP3Vは対潜
哨戒機であります。この点は米側も
日本側も同じでありますから、これは当然水上艦艇も捜索いたしますけれ
ども、対潜
哨戒、潜水艦がどういうふうにあるかということを広い
海域にわたって捜策するという能力を持っております。そういたしますと、その中から抜けてまいりますのは、沿岸
周辺においてどういう艦艇が動いているかというようなこと、それから沿岸
周辺にどういう
施設ができておるかというようなこと、これは先ほど偵察衛星でも申しましたが、そういうことがもっと目で見得るというようなこと。それから、おそらくこの点はわかっておりませんけれ
ども、電子
関係のものも入るかもしれません。これは私の想像であります。想像と申しますのは、SR71についてはほとんどのことがあまりわからせておりませんので、そういった能力もあろう。電子
関係のものは、SR71でなくても、ほかの飛行機も当然でまます。しかしそういう能力もあるいは持っておるのではないか。そうすると、これは偵察衛星でもまた戦術偵察機でもできないことで、他の飛行機と組み合わさってそういうことをやる能力を持つものであろうというふうなことであります。これは米側と十分に連絡をしてのあれではありませんけれ
ども、私
どもの従来持っておる知識からすると、そういうことが想像されるわけであります。
それから写真の問題でありますが、英語でいうとサイドルッキングの能力を持っている、こういうふうにいわれております。
ところで、それではそのサイドルッキングの範囲がどの
程度であるのかということはわかっておりません。しかし、比較的広い範囲にわたって、たとえば先ほど先生が三十度の場合に四十五キロくらいとおっしゃいましたが、十二マイルですとほぼ二十キロくらいでありましょうか、どの
程度の角度かわかりませんが、いずれにせよサイドルッキングの能力を持っている。その距離についてカメラでもって相当詳細な写真がとれるというふうにいわれております。
それから高度の
関係でありますが、これは私
どもの知識では八万フィート、先ほど約二万四千メートルと申しましたが、八万フィ−ト、約二万四千メートル以上の高度で、大体常時のようでありますが、音速の三倍
程度で飛んでおるようであります。その場合に航続距離が三千二百キロといわれておりますが、そうしますとほぼ一時間ぐらいのことになります。しかし、音速の三倍を出す必要がない場合には、当然時間がもっと延びるだろうと思うのです。
ところが問題なのは、給油ができますから、もし途中で給油をしておれば航続時間はもっと延びるということになりますので、この点がはっきりわかりません。そしてまた偵察高度も、これはわれわれの知識では、少なくとも八万フィート以上で偵察するのが常態であるというふうに知っております。したがいまして、偵察の場合にはそういった早いスピードを出しますが、給油をする場合には、たとえば亜音速、一音速足らずの
程度というふうに聞いております。
それから、私
ども、米側との折衝その他いろいろな感じで、以前はともかく、ここ数年というものは、SR71はたとえば中国の大陸でありますとか北鮮の上空であるとかいう
ところは飛んでおらないということは私はわりと自信を持っております。ただし、最近北鮮の放送にありましたように、一部飛んだということが言われておりますから、この点はあるいはそうなのかもしれませんが、全般的に申せば、飛んでおらないということは確信を持っております。またその確信は、おそらく偵察衛星などのつながりになってくるんじゃなかろうかというふうに思います。
最後に、安保
関係で申し上げれば、私
どもは安保条約の範囲内であろうと思いますけれ
ども、
責任をもって
お答えするのは外務省でなければなるまいと思っております。