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1971-04-22 第65回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年四月二十二日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 大村 襄治君 理事 中川 嘉美君       宇野 宗佑君    小坂善太郎君       國場 幸昌君    西銘 順治君       山崎平八郎君    山田 久就君       豊  永光君    上原 康助君       美濃 政市君    安里積千代君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         日本学術会議事         務局長     高富味津雄君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 井川 克一君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   福田 篤泰君     山崎平八郎君 同日  辞任         補欠選任   山崎平八郎君     福田 篤泰君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関  する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八五号)(参議院送付)  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますから、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 外務大臣お尋ねいたします。  最近新聞等に接しますと、日米返還協定交渉の中で、変化があるということを見受けるわけでございますが、今日までたびたび外務大臣の御説明を承っておるわけでございますが、近時におけるところの日米交渉の中でどういうようなことが難問題になってきておるのか、たくさんの取りきめに対しまして沖繩県民はこれを注目、関心を持っておるわけでございますので、本日この委員会において事の真相を明らかにし、そして向かいくるところの復帰に備えて沖繩県民期待するよりよき結果をもたらすものを期待するわけでございますので、最近における交渉結果に対しての事情をお聞きしたいわけでございます。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 沖繩返還協定交渉は、引き続き政府としては鋭意努力をいたしておるところでございますが、まずこれからのスケジュールを申し上げますと、これからちょうど五月の初めに連休がございますけれども、大体その辺のところから内容的な煮詰めに入りまして、この国会会期がだんだん切迫してまいりますけれども、何とか国会会期中に返還協定交渉中間報告を申し上げたいと、これを当面の目標に作業並びに交渉を進捗しております。大体これはそのようになし得るとただいま見通しております。そしてその後案文の作成修理等に当たりまして、前々から申し上げておりますように、おそくも夏までと申しておりましたが、おそくも夏まで、夏に至らざる期間において調印の運びにいたしたい、かように考えております。  それから協定中身になるものについては、現在まで委員会におきましてそのつどできるだけ政府としても御説明することにつとめてまいったわけでございますけれども、大体のフォーミュラとしては、小笠原返還奄美返還というような、大小の非常な相違はございますけれども、一つのフォーミュラはあるわけでございますから、これが参考になるわけでございます。そして条約の中に規定すべき事項については、すでにいろいろの機会に御説明申し上げておりますとおりでございまして、その基本共同声明によってはっきりしております。たとえば安保条約との関係にいたしましても、本土並み核抜きということで、これが何といっても一番の大切なことでございますから、それをもとにしての協定ということになることは当然でございます。  それから返還さるべき領域、これはアメリカ施政権対象になっているところがそのまま返還されることも当然でございます。  それからいわゆる基地の問題については、安保条約が何らの変更なく返還後は適用されるわけですから、返還に際しては、日米安保条約目的に照らしまして、日米合意して日本側提供すべきものについては施設区域提供ということになり、これらについては安保条約関連取りきめ並びに地位協定等がすべて本土と何ら変わりなく適用されることになるわけでございます。  それから裁判の効力引き継ぎについては、民事、刑事にわたりまして所要の事項協定の中に締結されるわけでございます。  請求権の問題につきまして、現にその内容実態について鋭意折衝いたしておりますが、まとまります分については、これは当然協定の中に規定されることになるはずでございます。  それから米国系の資産の引き継ぎの問題でございますが、これにつきましては、考え方はかねがね申し上げているとおりでございますが、その後鋭意関係当局間で折衝が続けられております。近く日米双方考え方がだんだん合意に近づいてくる、こういう期待のもとに日本側としての十分の主張を引き続き行なっておる次第でございます。  大体そういったようなことが協定自体の問題でございますけれども、そのほかにいわゆる外資系企業、あるいは沖繩における在来、現在の自由業者取り扱いの問題、あるいは一切の法令が本土並みに適用されますから、たとえば労務関係におきましても完全左本土並み間接雇用になりますが、直ちにこれが沖繩に全面的にさような姿になるにつきまして、いろいろのこまかい点についても、対米打ち合わせを必要とするものについては十分打ち合わせをしておかなければならないと考えております。  大ざっぱでございますがそういうことで、先ほど申し上げましたように、何とかひとつ日本主張を十分に通しながら、ということは沖繩方々の御期待に備えるような姿でこの交渉をまとめ上げていきたい、そして先ほど申し上げたようなスケジュールで運んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 在沖繩米軍特殊部隊についてお尋ねいたしたいわけでございますが、最近の報道はいろいろ報じておるわけでございますが、その件につきましてはいかような取り扱いをもって今後当たられるか。この特殊部隊沖繩においての行動は、あらゆる部面においていろいろ不安あるいはまた疑惑をもたらしておるというようなことでございますが、その点につきましてもお尋ねいたすわけでございます。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 沖繩におります米軍部隊についてのお尋ねでございますが、これについてはまず実態を掌握することが何よりも肝要なことでございますので、実態の掌握につとめながら、これからのあり方について対米折衝の必要なものについては大いに折衝しなければならない、こういう立場に立ちまして、実態を調べながら米側折衝をいたしております。現在までに入手といいますか掌握いたしました実態は、必ずしもまだ十分ではございませんが、ただいままでに判明いたしましたことで公表できますことについては、アメリカ局長から詳細御答弁申し上げたいと思います。
  7. 吉野文六

    吉野政府委員 沖繩にございますいわゆる特殊部隊につきまして、ただいま大臣の御答弁のように、われわれとしてはなお実態把握につとめておりますが、いままでに判明いたしましたところを申し上げますと次のとおりでございます。  まず部隊名を申し上げますと、第三海兵水陸両用部隊、この司令部キャンプコートニーにございます。これはハワイにある太平洋海兵部隊に所属しておりまして、第七艦隊作戦指揮下にございます。設立は一九七一年四月であります。従来この部隊は第一緊急派遣部隊と称されておりましたが、昨年水陸両用部隊と改称されまして、本年四月十四日から、第一から第三へ交代いたしました。司令官ロバートソン海軍中将でございます。機能は、太平洋地域における不測の事態に対処することを任務としております。編制及び人員につきましては、第三管区海兵師団、すなわち歩兵連隊二、砲兵連隊一とそれから第一海兵航空団、これは岩国とそれから普天間の第三十六航空群を含んでおります。以上のものから成り立っております。第三海兵師団の兵力は、約一万九千。常に二個大隊を第七艦隊提供しております。主要施設キャンプコートニー、キャンプハンセン、キャンプシュワーブ、キャンプフォスター、それから普天間航空基地を持っておりますし、本島の北部に演習場を持っております。  その次に第七心理作戦群というのがございます。この司令部牧港にあります。所属しておるのは、ハワイにある太平洋陸軍司令部でございます。これは一九六五年十月設立されました。その前に一九五八年に設立されました放送視覚宣伝隊というものがございまして、これが改組されたものでございます。司令官ベンツ陸軍大佐でございます。任務沖繩内外の十部隊心理作戦上の指揮、統制にございます。それから心理作戦出版物作成。太平洋軍に対する心理作戦上の助言ないし支援を与えております。一九七〇年度の人員は六百八十六名、そのうち文官は二百七十九名でございます。なお方々分遣隊を持っておりまして、日本、韓国、台湾、ベトナム、タイにございます。それから日本におる分遣隊につきましては、この前御説明したことがあると思いますが、大体五十名ないし六十名の人員を擁しております。一九七〇年八月現在では五十八名でございました。  その次に第一特殊部隊群、いわゆるグリーンベレーと称するものがございます。この所属は在沖繩米軍司令部でございます。設立年度は一九六〇年十月四日でございます。司令官シンプソン大佐任務は通常の戦争でない戦争、主としてゲリラ戦争訓練にございます。それからその他破壊活動防止作戦とか、民生支援活動をやっております。それから編制人員は、五個の分遣隊、おのおの一個の民生活動大隊医務分遣隊工兵分遣隊その他がございます。総数は九百二十五名でございます。  その次に、太平洋陸軍情報学校というものがキャンプ瑞慶覧にございます。これは米太平洋陸軍に属しております。設立年度は一九五八年、ボームフォース大佐司令官でございます。その任務は、アジアの友好国や同盟国の将校や下士官等情報関係教科課程提供しております。一九七〇年の会計年度までに同校で訓練を受けた実習生総数は三千六百七十名で、過去四年間の平均は毎年大体四百五十名程度であります。主要施設は、二棟の兵舎を改造した建物の中に、教室とかラボラトリーとか、事務所、実習員の宿舎その他がございます。  このほかに、米陸軍混成サービス群というもの、ないしはソベ統合情報処理センター、あるいは外国放送情報部というようなものがございますが、これらについては、われわれはいままでのところまだ実態を十分把握しておりません。  大体以上が、いわゆる沖繩におる米軍の特殊な部隊と称されておるところのものだと承知しております。
  8. 國場幸昌

    國場委員 御報告を受けまして、この特殊部隊に対しての任務、あるいは今後これが復帰しまして日本並み基地というようなことになりますと、こういうような配置された特殊部隊、これがどういうぐあいに返還協定の中で取りきめになっていくか、これがいま一番関心を持って見守っておるわけでございます。この問題は、やはり返還協定地位協定、この中で扱われるということでございますが、そのほうに対しての今後の日米交渉においての態度と、それからその面に触れてはまだ交渉はなされておらぬものであるかどうであるか、時間がありませんので、大臣、一言だけお願いしておきます。
  9. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実態については、先ほど申し上げましたように、まだ必ずしも十分に的確に掌握されておりませんし、また政府として納得の得るような状況調査ができておりません。できておりますところは、ただいまアメリカ局長から詳しく申し上げたとおりでございます。これら実態を掌握しながら、今後の措置を考えていくわけでありますが、第一の原則は、もう申すまでもなく、安保条約というものによって、その目的のために米軍が駐留する、そしてその活動安保条約第六条によって施設区域提供に関連して具体的な制約を受ける、こういう形になっていることはいまさら申し上げるまでもございません。したがいまして、考え方としてはやはり本土並みでなければならない。  それから、いま地位協定のお話も出ましたけれども、たとえば日米以外の第三国人軍事訓練というようなことになれば、これはそういった条約上の目的からいたしましても、また具体的には地位協定の適用上の点から見ましても、排除されることは当然である、こういう角度に立ちまして、先ほど原則論として申し上げましたが、沖繩方々に御安心を願えるような的確な折衝の決着を持ちたい、かように考えております。
  10. 池田清志

  11. 上原康助

    上原委員 まず最初に、防衛施設庁に一点だけお伺いしますが、現在の沖繩基地実態ですね。面積なり密度なりをどうとらえているのか、説明を簡単に願いたいと思います。
  12. 島田豊

    島田(豊)政府委員 沖繩におきます軍用地面積でございますが、国県有地が二万四千二百エーカー、それから民有地等賃借土地が五万一千二百二十六エーカー、その他が四十九エーカー、合計七万五千四百七十六・五八エーカー、こういう状況になっておるわけでございます。軍用地沖繩の総面積に占めます比率は一三%弱、こういうふうに理解いたしております。
  13. 上原康助

    上原委員 沖繩本島だけはどうなっております
  14. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ちょっと調べまして御報告申し上げます。
  15. 上原康助

    上原委員 いまの説明によりましても、沖繩基地実態あるいは面積等考えて、非常に密度が高いということをお認めになりますか。
  16. 島田豊

    島田(豊)政府委員 軍用地沖繩本島において占めます比率が約二三%でございます。もちろんこの軍用地面積が、ただいま申しましたような非常に大きな面積でございまして、日本本土の場合を考えてみましても、もちろんきわめて軍用地密度が高いということはわれわれとしても考えております。
  17. 上原康助

    上原委員 次に大臣にお伺いいたしますが、先ほど返還協定交渉がいろいろ大詰めの段階を迎えている、五月の休会明けからおそくとも暑くならないうちに調印をするようなことだと言っておるわけですが、その中で一体、沖繩軍事基地の現在の実態というもの、密度というもの、いわゆる施設区域の定義ということで、具体的に政府がどの部門、どの基地返還してもらいたいという要求をなさっているのか、その面についての説明を、できるだけ基地名なり、あるいは現に政府返還を求めている基地等というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  18. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ごもっともな御質問でありますが、具体的に施設区域名前等についてまだ申し上げる段階になっておりませんので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。  現在の政府の姿勢といたしましては、ただいま御指摘があるように、現在のことばで言えば基地でございますが、その占めている密度が非常に濃厚であるという事実の上に立って、面積から言いましても、あるいはまた安保条約に即応する目的からいっても、あるいはまた前々から言っておりますように、民生のために絶対に必要であると思われるようなものは提供しない分に入れたいというような、いろいろの観点から具体的に内容に入りまして、ただいま折衝を続けておる次第でございます。これにつきまして何とかして御期待に沿うようにがんばってまいりたいと思っておりますが、同時に、返還になりますれば一切の本土並みに在りますから、その後におきましては、今度は合同委員会対象事項としてさらに本土と同じような取り扱いになるということももちろん御承知のことと思いますが、そういうことにも相なるわけでありますけれども、それだからといって、その以前の状況が不満足なようなことではなりませんので、その点については十分ただいま努力をいたしておる次第でございます。
  19. 上原康助

    上原委員 いましばらく時間をかしてくれということはこれまでも再三聞いたことなんですが、しかし実際問題として、先ほど核抜き本土並みだから返還にあたってはそれに基づいた協定というものをお考えになっている。本土並みという前提に立つならば、具体的に基地返還というものを求めない限り、政府調査でも沖繩本島では総面積の二三%も基地面積密度が占められている。それなくして本土並みということは、われわれの概念からは出てこない。ほんとうに那覇空港なり那覇軍港なり与儀ガソリンタンクあるいは牧港ハウジングエリア上之屋のほう、そういうものを具体的に返還をせよという立場交渉なさっているのか、また政府がそういう要求をなさっても米側はどういうような態度を示しているのか、やはりこの段階では明らかにしてもらわないと、日常の報道機関からくる報道というものは、大臣がおっしゃるように、県民が御安心する、納得できるというような中身というのはよもや期待できまいというのがいまの現状なんです。そういう不安をなくすることが私は沖繩返還交渉であり、また中身でなければいかないと思う。お答えできないというわけですが、那覇空港返還を求めておられるのか、軍港をどうするのか、あるいは与儀ガソリンタンクの問題、上之屋ハウジングエリア問題等、その他の施設返還の問題についてどういう中身交渉を進めておられるのか、ぜひ明らかにしていただきたいと思うのです。
  20. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いま具体的に地域をおあげになりましたが、それらの地域については政府としても大きな関心を持っておるところでありますことは申し上げるまでもございません。要するに、先ほどもこれからのスケジュールを申し上げましたとおりであって、政府といたしましては、沖繩方々の御要請も十分承知いたしておりますし、またかねがねこの返還協定交渉の途上における期間において、今日もその一環でありますけれども、国会の皆さんからもこれだけ御熱心に御論議を白日のもとにおいて行なわれているということに対して、政府としても感謝しておりますし、その上に立ってぜひ日本側としての主張を貫徹するように大いに努力を続けているわけであります。しかし交渉ごとでございますから、より多くの成果をあげるためにいましばらくひとつ政府折衝に時間をかしていただきたい。ただいま具体的な地点等について申し上げるということがかえってまた目的に沿わない結果に在ることもあり得ると思いますから、その辺のところは御了解をいただきたいと思います。
  21. 上原康助

    上原委員 政府がいわゆる返してもらいたい、返還してもらいたいという施設区域基地等について、米側がそれに応ずるとか、あるいは応じない面もあるでしょう、かもわからない。その場合は代替地なり移転費等というものも米側は具体的に求めてきているのか。また那覇飛行場内にある施設の一部が移転するという場合に、代替地なり移転費等というものも政府としてはアメリカ側に応ずるというような立場での交渉をなさっているのか。そこいらのことも、いまの段階で明らかにすると相手のある交渉だから支障を来たす面もあるのだということですが、あまりに秘密主義じゃいかないと思うのです。具体的に現在までの経緯というもの、政府はこういう要求をして、アメリカ側はこういうような応答をしているのだということを言うのが——何もその先まで聞こうと言ってないのですよ。現段階までの経緯なり日米のやりとりというものはどうなのかということ、それを明らかにして初めて沖繩県民はもとより国民も、やはり政府が熱心にやっているのだ、あるいはこの面はこういうふうな方法がいいのじゃないかというような意見なり提案なりも出てくると思うのです。すべてをおおい隠しておった中で、いましばらく時間をかしてちょうだいとか最後には御納得のいくようになりますと言ったって、納得はいかないわけですよ。  では具体的にお伺いいたしますが、先ほど大臣返還協定の中に核抜き本土並みということに基づいてやるのだと言うが、協定の中に核抜き本土並み返還をするということを明記なさるのですか、その意図がまた政府にありますか。
  22. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず前段の御意見でございますが、私は冒頭から申し上げているように、ごもっともな御質問だと言っているわけです。しかし何も隠してお知らせしないなんということはとんでもないことで、それだからこそできるだけ話を煮詰めてまいりまして、その過程において中間報告を申し上げたい、こういうふうに考えておるわけであります。御承知のようにアメリカ側におきましても、本件については上院で正式のというか条約としての扱いをするわけで、これもアメリカ国会におきましても相当大きな関心を持っていることのようでございますが、やはり現在のところ折衝に当たっている米政府としては、アメリカ国会におきましてもまだ折衝中のことであってということで何ら内容は明らかにしてない。これはこういう重大な交渉ごとについてのやはりかまえ方であろうかと思うわけであります。そういう点も十分御理解をいただけると思いますし、中間報告をし、調印をし、それから国会で十分御審議をいただいて、それでアメリカのほうでもそれに対応して国会審議がある、そして批准ができて、効力発生、それを来年のなるべくすみやかな機会にということでやっておるわけでございますから、きょうこれが御納得のいくような御答弁ができないということは残念でありますし、御納得がいかない、これはわかりますが、たとえば来月下旬になっても何も言わないということでは決してないのですから、そして返還は来年の早期ということに考えておるわけでございますから、その辺のところは十分御理解をいただきたいと思います。  それから第二のお尋ねでございますが、共同声明返還ということはきまっている、そして本土並み、こういうことで基本がきまっているわけですから、その基本の精神で条約づくりをするということは当然のことであります。そのことを申し上げたのでありますが、同時にこれは、これまでも申し上げておりますが、条約としての内容も相当多岐にわたるし、交渉ごとでございますから、ワンパッケージデイールで中身を詰めているわけです。そして、それから今度は条文づくりということになる。これはもう当然の自然の順序であると思います。したがいまして、文言等について、前文がこうなる、第一条がこうなるであろう、こういうふうなところへはまだ入っておりません。そこまで入るように在れば早急に片づく、かように考えております。したがって、文言についてこうこうになるということは、まだ申し上げ得る段階ではござい住せん。
  23. 上原康助

    上原委員 私がお聞きしているのは、核抜き本土並み沖繩返還されるのだ、またやるのだということを再三大臣も総理も政府の首脳はおっしゃっている。そのことが単なることば上でなくして——実態は違うわけでしょう。いま沖繩基地実態というのは、大臣もおそらくそれを知らぬということじゃないと思う。本土並みの意味は何なのかということを新たにわれわれはここで問いかけなければならない。幾ら返還協定の中でそういう本土並みになりますとか、返還協定の中でなくして国会答弁でおっしゃっても、現実の沖繩基地実態というものは、全琉の総面積の一三%、本島なら二三%、そういう基地実態というのは本土のどの県にありますか。そのことが本土並みになるかならぬかということが最も重大な関心事であって、政府ことばの上で何をおっしゃろうが、そういうことはあまり意味がないのです。  そこで、次に特殊部隊のことをお伺いいたしますが、先ほどアメリカ局長いろいろおっしゃっておりましたが、少なくとも現在の沖繩に駐留する特殊部隊、おそらく本土にはそういう機密なり機能を持った部隊というのは駐留していないでしょう。  太平洋陸軍情報学校。陸軍第一特殊部隊グリーンベレーという忍者部隊、これはまさしく謀略部隊だ。極東全域で民事指導や軍事訓練、謀略、対ゲリラ戦など、幅広い任務をやっておる。第三海兵師団、これは緊急派遣、西太平洋全域を守備範囲としており、ベトナムやラオス、カンボジアに緊急事態が起きた場合にはすぐ沖繩から発進をしているのです、実態として。こういう基地が現にあるわけですよ。第七心理作戦部隊。さらに陸軍混成機密部隊、俗にいわれるCSG、知念にあるわけです。SR71偵察機。こういうような特殊部隊というものが現存している。それだけでなく、毒ガス化学兵器を取り扱っている267——沖繩から毒ガスを全部撤去するというのであるならば、当然267化学兵器部隊というものも撤退要求すべきだと思う。辺野古、大浦にある137特殊化学兵器中隊。VOA放送施設。こういうような基地について具体的に撤去を求めて交渉なさるのか。本土並み七二年返還ということであるならば、こういう基地が七二年の某月某日返される、その時点においては姿を消しておったということが、実態上も、政府のおっしゃっているような立場からしても、本土並みと言えるのです。法制上は、第三国人訓練や、あるいはSR71は中国大陸のスパイ行為をやらないというようなことを言っているから駐留も認めるのだというような姿勢があるようですが、大臣の心がまえとして、こういう部隊はなくなるべきものという判断でやっておられるのか、その点についてはひとつ明確に御答弁を賜わっておきたいと思うのです。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど國場委員の御質問にもお答えしたとおりでございまして、この安保条約をお読みいただければ明確でありますように、第六条によって、安保条約目的のためにアメリカの陸海空軍が駐留して、そしてその活動のために提供した施設区域によってさらにその行動を制限している。ですから、おのずから駐留する軍というものは安保の目的——安保の目的とは何ぞや、日本及び日本を含む極東の安全に寄与することである。もっと根本に、これは国連憲章五十一条に考え方を発するところの自衛に徹した考え方である。そして脅威が外部から起こらないように未然に防止する。こういう性格のものでございますから、その性格に適合するような軍隊というものがこの条約でいわれている軍である。そしてさらにその上にこれには一定の制約が加わわっているというのが安保条約の構成でございますから、政府立場としては、本土並みなんですから、本土並みにこうした安保条約が何らの変更なしに沖繩に適用される、この筋を守り抜かなければならない。そういう角度から、こういうものは好ましい、こういうものは好ましくない、あるいはこういうものはどうしても認めるわけにはいかない、あるいはこういうものについては行動等の制約について何らかの保障があればそれでいいか悪いかという、いろいろの性格の問題に対していろいろの制約のかけ方があると思います。それから、制約だけでは納得のできないものがあります。これはどうしても去ってもらわなければならないものがございます。要は、しかし、政府としても鋭意ただいまやっておりますが、必ずしも実態の掌握について私自身としても十分納得ができる程度のまだ掌握ができていない。その実態を踏まえて、対策、そして対米折衝、ぎりぎりこれは結着をつけなければならない、こういう姿勢でおります。ただいま態度を明らかにせよとおっしゃるのですが、私の態度はさような態度であるつもりでございます。
  25. 上原康助

    上原委員 安保条約目的ということだけですべて片づける。安保条約というのは、これは時間がありませんので後ほどまた議論いたしてもいいわけですが、そもそも二国間条約でしょう。日本施政権沖繩に及ばない、アメリカが排他的に沖繩軍事基地をつくっている中で安保条約というのが締結されているのです。安保条約を何らの変更なしに沖繩に適用するということと、それが本土並みなんだということと、基地実態との関係というのは違う。大臣は、おそらくそのことは十分おわかりになっておって、おとぼけになっていらっしゃると思うのだが、私が言っているのは、安保条約目的に照らしてということになると、第六条というものを拡大解釈をすることによって、先ほど申し上げた沖繩基地実態なり特殊部隊というのは、すべて日本を含む極東の平和と安全に必要な基地であり部隊なんだという解釈も成り立つわけでしょう。そうであるならば、全然安保の目的とも違うし、沖繩基地実態も変わってくる。そのことを明確にしていただきたいというのですよ。いつまでもそういうような議論でごまかそうとしたって、実態を知っている人々はそういう御答弁では納得できないのですよ。少なくともいまあげたこういうような特殊な部隊については、妥協の余地はない。交渉の上においても、それはわれわれから考えても、そういう姿勢でほんとうに日米交渉をおやりになり、返還協定というものをまとめていかれるのか。安保の目的ということになると、すべてが安保の目的になって、沖繩基地はそのままでいいということになってしまう。実際問題として本土並み核抜きならそれではいかないわけでしょう。そのことをもっと説明をしていただきたいと思うのです。
  26. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは幾ら御説明しても、どうも基本的にお考えが違うようですから、まことにその点は残念でございますけれども、政府考え方というのは、安保条約というものを沖繩返還によって性格を変えたり、どこまでも安保安保だといって広げるというふうな解釈などをとっているわけでは毛頭ないので、世にいわゆる一部の変質論というものに対しては、絶対にさようではないということが一番基本なわけです。ですから、安保条約目的に照らしてということは、これは制限的に言っているのであって、ふやすことを言っているわけではございません。そこをいつまでもごまかすごまかすと言われるのは、私は心外であって、これは考え方をもっとすなおに聞いていただきたいところであります。  それから、確かに御指摘のように、現在が違うのですよ。それを本土並みに直すんですよ。そのための条約をつくるんですよ。そのために、今度は事実上の、何といいますか成果もあげていかなければならない。それが折衝交渉なんです。現在はこうだ、こうだ、何も変わっていないじゃないかというが、現在変えなければならないのが沖繩返還であり、それが本土並みではないか、私どもの考えはそうでございます。
  27. 上原康助

    上原委員 それは基本的な考え方の違いじゃないのですよ。実態をどう認識するかということと、安保の適用ということを、その目的に照らしてみた場合にどう考えるかというようなことであって、実態把握の問題だと思うのです。  時間があと少ししかありませんので、ただこの件で付言しておきます。  大臣はいつもそういうような基本的な違いだというようなことで問題を片づけようというお考えがあるかもしれませんが、沖繩が七二年に返った時点でほんとうに基地実態がどうなっているか、大衆が認め、大衆が判断しますよ。幾らいまの政府がそういうことで、まあごまかしということばがお好きでないなら、そういう方法で返還して本土並みになったのだと言ったところで、そう国民の目というものは節穴じゃないということだけは申し上げておきます。  次に対米請求権の点で一点お伺いしておきますが、この対米請求権というものは——資産の買い取りの問題も触れたかったわけですが、時間がありませんので……。具体的にこれまで委員会で大体十項目くらい請求権の問題があるのだということは大臣も御指摘なさっております。軍用地の復元補償や講和前人身傷害に対する未補償の問題あるいは漁業補償の問題、軍用地の通損補償、軍用地の賃借料増額要求、あるいは入り会い権に伴う損失補償、講和発効後の人身及び物的損害に対する補償、つぶれ地の補償、滅失地の補償、基地公害等の補償。返還協定の中でそういうようなことも取り扱うというのか、あるいは布令、布告、平和条約第十九条との関係において、すでに放棄しているということで、もっぱら協定とは別に日本政府の政治的判断で対米請求権というもの、それに対して県民から出されている要求については解決をしていくようなお考えなのか、この点は県民の立場からいうときわめて重大な問題なんです。たいへん失礼なことを申し上げるようですが、いまの交渉内容アメリカの資産はすべてアメリカの言うような要求額で買う、移転費も払う、県民の要求に対しては何ら具体的に出ていない。いま報道関係は実際上はそうなっているでしょう。少なくとも対米請求の問題についてどういうような処理をなさっていこうとしているのか。具体的な額まで申し上げる時間がありませんが、県民の切実な要求である問題についてはどう返還協定ないしいまの交渉の中で話し合われているのか、ひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  28. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、私は、自分たちの手で沖繩県民方々、公の団体、私的な団体あるいは個人、少なくとも外務省で直接間接に受け取りましたものを十に大ざっぱに分類してみたわけでございます。こうした請求というものが問題としてあるということは、もうもちろんアメリカ側も知っておりますが、しかし日米間の政府交渉といたしましては、十分に実態に即して、かつ条理を尽くして主張し得るものと、それから若干それに対しては不明確な問題も性質上あり得るのは、これは御理解いただけると思います。十分根拠のあるものについては米側折衝し、そして話し合いがまとまれば、これは協定の上に書くことは当然のことでございます。同時に、これはアメリカから取ることは無理であっても、しかし何とかしてあげたいというものも私はあり得ると思います。これもしばしば私のみならず政府関係者から申し上げているとおりでございますが、そういう問題については本土政府として十分考えていかなければならないというものもあり得ると思います。要するに、アメリカとの間の問題は協定の上で出てまいりますし、それ以外の問題については、日本政府本土との間の問題、かように整理をし、処理していくべきであると考えております。  なおこの十項目について、これもしばしば申し上げておりますから、議事録にも何べんも出ておると思いますが、これはいわゆる請求の問題として出ておりますものを分類したのであって、これ全部が根拠のある対米請求権として整理したものではないということはしばしば申し上げているとおりでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 時間がありませんので終えますが、もちろんそれは対米請求だけに限られる問題ではないということは理解いたします。少なくとも県民の要求に対してはもっと積極的にこたえる姿勢というものを打ち出していただきたいということを強く要求して、質問を終わりたいと思います。
  30. 池田清志

    池田委員長 中川嘉美君。
  31. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 大臣に伺いますが、三月十七日にニクソン大統領は、沖繩返還に関する協定について、上院の承認を求める条約にするということを日本政府及びアメリカ上院に通告したわけでございます。このことについては三月十八日、翌日だと思いますが、外務委員会の席上におきまして、大臣に私が、条約とした場合とそれから協定とした場合とでは、条約の文書内容がやはり変わってくるのじゃないか、このようにお尋ねしたところが、大臣は、当方としては全然変わることを考えておりません、このように御答弁をいただいたわけであります。私は、しかしながら条約方式になったことに対してたいへん問題があるのじゃないかといまだに思うわけですけれども、その第一は、条約にするのだから、これをのんでくれなければ上院として通過できないのだから、これとこれを譲歩せよ、こういうふうな感じがどうしても強い、こういうことでございます。これはもちろん最近の新聞であるとか、あるいは本日付の新聞紙上等でしか私どもは知り得ないわけでありますが、どうもアメリカの言い分ばかりのんでしまうようなふうにしかとれない、こういう現状であります。きょうの新聞紙上等にも、これは言うまでもない、最近の情報として流れておりますけれども、米側協定上に基地の無断使用を明記することを日本側要求してきている。そのほかに第七心理作戦部隊、SR71偵察機あるいはVOA放送施設等、日米安保条約の適正な運用からはみ出すおそれのある戦力であるとかあるいは施設の存置を主張しておる、こういうことが明らかに出てきておりますが、大臣は今日まで何ら変わらないとか、あるいは安保のワク内であるとかいうようなことを盛んにおっしゃってこられたわけですけれども、現実には明らかにこのような違いが出てきておるのだ、このように私は最近特に痛感いたしております。国民の皆さんともどもに私はこのように思うわけですけれども、まずこの点について、現時点における大臣の御所見を伺いたいと思います。
  32. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまの御質問を伺っておりまして、あるいは三月十八日の私の答弁が御質問と食い違っておったかなという感じを受けましたので、その点から申し上げたいと思います。  あのときの御質問は、上院で三分の二の議決を必要とするような形式にアメリカ側がきまったので、したがって、条約を構成する要素となる事項に変更があるのではないだろうか、こういうふうな御趣旨であろうかと思いましたから、私は、さようなことはない、こうお答えしたわけでございます。その点はいまも変わるところはございません。先方の取り扱い形式がどう変わろうとも日本側は全然変わらないわけでございまして、国会の御承認を得べき事項は、相手方が行政協定としようがしまいが、こちら側は国会の御承認を成規の手続によっていたすことは当然でございますから、先方の形式が違ったからといって、内容に盛るべき事項について変更することはございません。この点はただいまも同様でございます。ただ、いまの御質問を伺っておりますと、先方が三分の二上院議決方式をとったということによって、米側主張日本側にのませるような左意味において、内容的な扱い方の変更、あるいは交渉日本にとって非常にむずかしくなってきておるのではないか、こういう御趣旨でただいまの御質問があるとすれば、そういう御質問にあらためてお答えしなければならないと存じますが、私は、日本側立場としてはさようなことはない、またないようにいたさなければならない、かように存じております。  ただ、ただいま御指摘もございましたが、最近ニューズウイーク、タイム、ニューヨーク・タイムズあるいはその他のいろいろのものにあらわれておりまする一般的な米側の記事、観測等は、必ずしも本件の将来がたんたんたるものではないということを思わせるような、多少のにおいが出ておりますことは私も認めざるを得ないことだと思いますが、しかしこれは、日本側にとりましては、沖繩返還ということはほんとうに民族の悲願でございますが、アメリカとしては、ようやくこの協定国会にかかるという段階が近くなってきたことによって、あらためて世論的に沖繩返還問題についてのアメリカ国民の関心が高まってきたのではないか、私はかように考えておるわけでございます。さらに率直に申しますならば、アメリカ側の人たちの気持ちからすれば、これを平和的に返してあげるのである、それだから日本側としてもあまりとやかく言わないで受け取ってほしいものだという何となしの気持ちがあるのではなかろうかと私は想像するわけでございますが、そういうことをただいまお考えになって、そして今後の交渉を非常にむずかしくしてきたのではないか、こういうふうな御懸念かと思いますが、しかし私は、もうすでに基本的に返還政府の最高首脳の間に決定していることでもあり、それから全体としてだれしも、アメリカ側におきましても日米友好関係を阻害したいという考えは私はないと思いますから、決して心配せずに、政府といたしましても、日本側主張というものは十分に従来どおり続けて、その目的を達成いたしたいと考えております。
  33. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど大臣が、議事録について、三分の二云々ということに対してお答えしたつもりだというようにおっしゃられたわけですが、実は議事録によりますと、これは一番冒頭に私は先ほどお尋ねをしておるわけです。それからあとに三分の二云々が出てくるわけなんで、一番最初にそのようにお伺いしたところが、大臣のほうから実は全然当方としては変わることはない、このようにお答えをいただいたわけです。先ほどちょっとニューヨーク・タイムズ云々のことを大臣のほうからもすでにお聞きしたわけですけれども、このニューヨーク・タイムズでいうならば、非常に日米間に重大な危機が生じるかもしれない、こういうふうなことを盛んに言っておるようです。たまたまきょうの記事ですけれども「ニューヨーク・タイムス紙は、ニクソン政権と上院の一部に、沖繩返還協定の上院審議と繊維など日米間の経済問題をからませる動きがあることを指摘した。またニューズウィーク誌も、米政府返還協定条約扱いとして上院の承認を必要とすることにしたのは、繊維交渉との関係だ、と報道し、さらにボール元国務次官の論文で、このままでは保護貿易派が必要な協定反対票を動員し、そのため日米関係は崩壊すると、警告している。」こういうような記事も読んでおりますと、大臣先ほど来の御答弁を信じていきたいわけでありますが、だいぶこのところに来て、交渉の詰めにかかる段階に来て、いろいろこういう記事が私たちを非常に不安におとしいれているわけですが、こういう相当具体的な記事が載っているのですが、このことについて、大臣、どのようにお考えになられますか。このニューヨーク・タイムズあるいはニューズウィーク等の記事が、相当沖繩問題以外のこととからませて進んでいくように見られますし、このことについては以前に何回かお聞きしているのですが、そういうことは絶対ございませんという大臣の御答弁も何回かいただいております。もう一度、この記事がこのように明確に出た以上、御答弁として伺っておきたいと思います。
  34. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど私率直に申し上げましたように、あるいは三月の十八日の私のお答えが的はずれであったかと思いますので、訂正と申しますか補充して先ほどお答えしたわけで、御了解いただきたいと思います。  ただいま御指摘のアメリカのいろいろの言論界にあらわれております言動等については、私としても決して心配していないわけではございません。しかし、日本としての立場は、沖繩の問題はもちろんでありますし、他の経済問題、繊維問題等々について、やはり日本としての国益の上に立って、筋を通した主張というものをあくまで曲げるべきものではない。しかし同時に、ある程度の困難さはありましても、話し合いで決着をつけて、友好関係をそこなわないでいきたい。こういうことで参りますれば、必ず成果があがるものと確信いたしております。ことにこの沖繩返還問題は、先ほど申しましたように、両国で政治的にはもう決定している問題でございますから、今後この協定づくりにつきましても、十分ひとつアメリカ交渉当事者ともさらにさらに努力を重ねまして、先方が上院に政府から提案されましたときにも十分説明ができて、アメリカ国民に納得してもらえるような、そういう努力をこの上とも米政府に対して期待してまいりたいと思っております。
  35. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 こういったことは、繊維ロビーであるとかあるいは保護貿易主義者グループが三十四名の上院議員を抱き込めば否決してしまうことができる、こういうことにもなってくるわけで、もし日本条約を承認してアメリカが否決するようなことがあったら、これは政治的に大問題だと考えます。そういった点については、大臣はいかがにお考えですか。
  36. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そういう点は、このニューヨーク・タイムズの論説にいたしましても、あるいはボール元次官の論文にいたしましても、さようなことになってはたいへんなことであるということを警告している点にむしろ重点があるのではないか、こう考えるわけでございます。さようなことには絶対になり得ざることを確信して進んでいきたいと思っております。
  37. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 たいへんだという警告というふうにおっしゃられましたけれども、私たちにしてみれば、そのように大臣から伺いますと、ことばだけをとらえるわけではありませんが、一つのおどしみたいに感じられてならない、こういうふうに聞こえてきます。もしこのような事態が発生したならば、すなわち日本で承認した条約がもしも否決されるようなことがあった場合には、法律的に、はたしてどのようになるか。条約局長、この点一つだけ伺いたいのです。
  38. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは要するに、条約については、双方が国内的な立法府の規定する承認が得られなかった場合には、効力発生ができないわけでございますね。一方だけが承認いたしましても、批准交換ができないわけですから。ですから、これは政治的に見ればまことにまことに異例なことに相なる。ですから、先ほど申しましたように、アメリカ側の筆をとっている人も、そんなことにならないようにというところに重点を置いて、懸念と反省とを唱道しているのではないか、こう見るのが妥当ではないかと思いますし、政府といたしましては、先ほど申し上げたとおりで邁進してまいりたいと思います。
  39. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 政治的にはまことに異例である、法律的には無効である、だからこそ日本はいろいろな問題でアメリカに譲歩せざるを得ない、このような要求を迫られるということが起きてくるのじゃないか、このように先ほど来申し上げているわけです。もう実例も先ほどから何回かあげて申し上げてきたわけなんですが、法律的に無効かもしれないが、しかし、要するに、わが国の国会議員が承認したものである以上は政治的に譲歩せざるを得ない方向に進んでいく危険性は十分にある、この点私は強調しておきたいと思うのです。先ほど来、実はこのことを申し上げたいために伺ってきたわけですが、要するに、沖繩が返ってくればそれでよいのではないということであって、そしてアメリカに対する日本の国民感情等がこんなことによっていろいろの方向に発展していってはたいへんだと思いますが、この日本の国民感情という点から大臣どのような御見解を持っておられるか。国民感情ということも非常に大事だと私は思います。この点はいかがですか。
  40. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それはもうまことにたいへんなことだと思います。つまり、効力が発生しないということは、返ってこないということになるわけでございますから。それと、それに関連しての国民感情というお尋ねと思いますけれども、これは全くそれ以上申し上げることはできないようなことであって、政府としては、そんなことにならないように努力を続けて、十分国益の上に立って返還協定を締結する、そして先ほど申し上げましたように、米政府としても、アメリカ上院に対して十分に説得ができ、説明ができ、そして国民を代表する上院の議員を通じてアメリカ国民の納得を得るようにしてもらう、こういうふうなやり方でいくよりほかはないと思います。
  41. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間がございませんので、またこれから先の問題は、実はこまかい問題についてもっともっといろいろお聞きしたかったわけですが、要するに、沖繩以外のものを日本の悲願であった沖繩返還の問題とからめるべきではないということをひとつアメリカにも認識してもらうように、交渉において切に大臣に要望をしておきたい、こういうことなんです。二十六日に大臣はマイヤー駐日大使と交渉を詰めるという御予定でもありますし、来月の連休明けからは協定の案文を詰める、こういう段階に迫ってきておる。こういった点から見ても、日本側の明確な主張というものがすでに決定されてなければならないと私は思うわけです。そういう意味で、今後アメリカ日本の外交について国民はすべて注視をしておる、そういうことを十分ひとつ大臣も認識をいただいて、いいかげんな手段で解決すべきではないということを最後に強く要望いたしまして、時間の関係でこれで終わりたいと思います。
  42. 池田清志

  43. 安里積千代

    ○安里委員 先ほどから返還協定内容の問題につきましていろいろと御質問がございましたので、先ほどの、もし返還協定ができなかった場合には非常に大きな問題であるということも承知いたしております。そこで明確なお答えはあまり具体的にいただけなかったわけでありまするけれども、こういうふうにお聞きしたいと思います。  新聞報道で伝えられる範囲内におきまして、またいまの御質問にもありましたとおり、返還協定内容については、アメリカは非常に強硬な態度であるというふうに受け取られる筋があるわけでございますが、現実に交渉に当たっておってアメリカ側態度というのは、返還の条件に対して非常に強い態度で臨んでおるかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  44. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど中川さんからも御要望がございまして、お答えをするひまもなかったわけでございますけれども、一言つけ加えて申し上げますと、幸いにこの返還協定交渉に入りまして以来、アメリカ側でいろいろの論説、論文等が出ておりますれども、何ら変わりなく——それはたいへんに大きな問題でございますから、両方の意見がなかなか合いませんで、しばしば難渋はいたしておりますけれども、しかし何とかして早く政府同士としては調印にこぎつけようではないか、そして早く国会にそれぞれ承認を取りつけるように努力しようではないか、この一点において私は何ら最近の状況が影響を与えているとは思いません。そういう意味におきましては、双方真剣に同じ目標に向かって気持ちよく討論し合っているということは申し上げることができると思います。
  45. 安里積千代

    ○安里委員 外務省関係、国務省関係においてはそのようになされておるかもしれませんけれども、軍部関係の圧力というものがアメリカの議会には相当反映をするし、いまのように軍事基地問題以外の経済問題についても、アメリカの議会に対する非常な圧力がまた加えられておる。したがって、そのことは必ず外交交渉の中において強いアメリカ要求としてなされてきておるのではないか。しかも報じられておるところによりますと、沖繩返還をしたということ自体がアメリカにとっては非常に大きな譲歩なんだ、返還したということが譲歩だからして、内容において譲歩する必要はないのだというような意見さえもある、こういうふうにいわれております。交渉の中において、ほんとうに沖繩返還するということはアメリカ側の譲歩だ、こういう観念に立ってアメリカ側は臨んでおるかどうか、それも明らかにしていただきたいと思うのです。
  46. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは率直に申しまして、なかなかお答えしにくいお尋ねでございます。ただ、歴史的に他に例が絶無であるかどうかは論議の種でございますけれども、大激戦の結果とにかく奪われたと申しますか、ことばは穏当ではありませんけれども、その地域が、平和的な話し合いによって主権がもとの母国に返るということになったということは、平和的な話し合いの成果としてはたいへんなことであったという認識はございます。これはもう当然のことだと思います。それをどういうふうにアメリカ側が評価するかということについては、アメリカ政府部内でもあるいはアメリカの一般国民の間でもいろいろの評価のしかた、取り上げようがあろうと思いますが、これも先ほど中川さんのお尋ねに対するお答えでちょっと触れましたように、アメリカの空気の中には何かこういう空気もあろうかなと察せられるようなこともないではないとでも申しましょうか、そういうふうに見ております。
  47. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩返還問題はアメリカが譲歩だという基本的な観念であるとすれば、非常に大きな誤りでありますとともに、日本政府が、沖繩返還というのはアメリカが非常な大きな譲歩をもってやってもらったんだという、こういう恩恵的と申しますか基本的な観念をもって臨まれるならば、私は、この返還協定内容については相当アメリカ側の言い分というものをのまなければならないような状況になるんじゃないか。少なくとも日本政府沖繩返還アメリカに譲歩してもらった、こういう観念に立たれるということは非常に大きな誤りだと思うのであります。  これを論じておりますというと時間がございませんので、省きますが、先ほどから特殊部隊の話がありましたが、具体的に、特殊部隊の存続についてはアメリカが強硬に要求しておるかどうか、その点を一つ。
  48. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも、ワンパッケージで全部を一括して話しておりますから、これはもう話がまとまった、あるいはこれが難航しておる、というところまでまだちょっと申し上げにくいのでございますけれども、たとえば先ほどもちょっと触れましたように、第三国の軍人というか兵隊さんといいますか、これを訓練することを目的にしているというような施設は、これはもう好ましくないことは当然であると思いますし、そういう点については米側におきましても返還をする以上は十分に考えるべき筋合いの問題である、私はかように存じております。
  49. 安里積千代

    ○安里委員 私はアメリカ側態度をお聞きしたかったのですが、交渉段階でございますので、外交交渉は、それはゼスチュアでもあるいは強く要求する立場もございましょう。あるいはまた外交技術上あの手この手があると思うのでございますけれども、この特殊部隊の存続については、いままで伝えられるところによりますと、非常に強い態度を持っているのだ、認められなければ返還協定に応じないというような空気さえもあるというようなこともいわれております。ですから、これは相当強硬な態度アメリカは臨んでおるのじゃないか、こう思うわけでありまして、具体的なお答えを得ることはおそらくむずかしいと思いますけれども、こういうふうにお聞きしたいと思います。  いまお答えかありましたとおり、日本の内において許されないようないろいろな問題もあります。アメリカがそれにもかかわらず無理な要求をするものもあるのじゃないかと思います。そこで、交渉でありますからあれでありますけれども、アメリカ側の無理な不当な要求に対しましては外務大臣日本政府としてはこれを拒否するのだという腹をもって臨んでおられるかどうか、腹を承りたいと思うのです。何でもかんでもアメリカの言うことをのまなければならぬというものじゃないはずであります。アメリカ要求に対しては、国民あるいは沖繩県民要求、あるいは国民感情を含めて、これに反するようなものはけるのだ、けることによって返還協定ができるかできないかは別問題として、そのような強い外交姿勢をもって臨んでおられるかどうか、大臣の腹のうちを承りたいと思います。
  50. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私としては強いも弱いもない、とにかく沖繩方々に少しでも喜んでいただきたい。これはいろいろの考え方がございましょうから、いろいろの評価が将来行なわれると思いますけれども、一言簡単率直に申し上げますならば、沖繩方々がとにかく復帰してよかったというふうに受け取っていただけるようにということについて、これも俗なことばですが、誠意を尽くしてがんばってまいりたい、この一言に尽きるわけでございます。
  51. 安里積千代

    ○安里委員 私は基本的に、いま共同声明の中にありますように、アメリカの軍事的機能、これをそこなわないように、あるいは日本を含む極東の安全をそこなわないようにというようなことが共同声明にもうたわれております。おそらく軍部の要求アメリカ側要求はこれを基本にしてなされておると見ておるわけでありますが、時間がありませんので、私は今後の問いにこれはあれしたいと思いますが、一体この基地の機能をそこなわないようにとか、あるいはまた日本を含む極東の安全をそこなわないようにというこの基本的な線、範囲と申しますか、どの範囲内においてどうあれば日本の安全あるいは極東の安全は保障できるのだ、あるいはどの程度の機能を維持すれば、アメリカの国際的な義務を果たすような範囲であるのだ、これはどこが一体主体となって、日本がこれは否定し得るようなものであるか、アメリカ側がこの機能がなければ安全保障できない、こういうような立場のようにうかがわれるわけでありますが、このことに対しまして、日本政府ははたして安全保障について日本政府側の独自な主張というものをお持ちであるかどうかということ、これはきょうは私はお答えいただかないで、次の機会に防衛庁長官もあわせましてお聞きしたいと思いますが、最後に一つだけ私はお聞きしたいと思います。  FBISの施設がございますが、それはどういう機能を持っておるか、その実態はどうであるか、それは握っておられますかどうか、お聞きしたいと思います。
  52. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はただいまお尋ねの点が、先ほど来われわれとしてまだ納得できるような実態の掌握ができておりませんということを申し上げた中の一つでございます。そして、何といいますか俗なことばで言いますと、軍関係以外の無線等の傍受、受信をやっておる組織であるということはわかりましたけれども、もっと私どもとしては実態を掌握したいわけでございます。そして実態掌握の過程においても交渉をして、そうしていかような決着をつけたらいいかということについても十分配慮してまいりたい、こう思っておりますが、何ぶんにも実態についてもう少し政府努力いたしますので、その結論をもう少し先に申し上げることにいたしたいと思います。
  53. 安里積千代

    ○安里委員 ちょっとふしぎに思うのです。FBISという機関があり、しかもそれはいろいろな、特に中共、ソ連などに対しますところの情報キャッチ機関だ、独自の機関としてあるものであり、沖繩におきましてはその施設のために、ある時期におきましてはその付近の住民が電灯を使用することも禁じられておった、傍受の妨げになるから。最近は少し緩和されておりまうけれども、それでもなお電気の使用さえも住民は制限を受けておるところのものであります。しかもこれは宙関係でないのでありますからして、まだこの点の実態が把握がなされていないということは、ちょっと理解できない問題であると思うのです。こういう機関というものは日本本土にはない、あるいは外国にもないのじゃないかと思うのです。はたしてこういうものが諸外国の独立国の中にあるかどうか、これもお聞きしたいし、ないとするならば、これは将来沖繩が返された場合におきましても、沖繩にこういう特殊なものがあるということによって非常に対外的にも誤解を受けてくる、これがひいては国際関係のいろいろな問題にも影響を及ぼしてくると思うのでありますが、実態を把握せられるとおっしゃるならばそれだけであるかもしれませんけれども、一体こういうものが返還対象に当然なるべきだ、こういうように思うわけでありますが、その点をお聞きしたいと思います。  それからなお、まだ実態を把握されていないとおっしゃるのでございますけれども、前に公明党が基地点検をなされた中におきましても、この点ははっきりと書いてあるのです。公明党が調査されたものにはちゃんと出ておるのでありますが、外務省としてまだその実態を把握されてないということは、どうも不勉強というよりも、あるいはこの返還時にあたってこういったものをまた認めるというようなことがあるものだから、外交交渉の中にあらわれておるのだけれどもこの場においてまだ言え互いというような立場にあるんじゃないかというような疑いさえも持つわけでありますか、ほんとうにまだ実態を把握されておらぬのでしょうか。そうして、こういう機関というものは自然撤去さるべきところのものに含まれると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  54. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともで恐縮なんでありますけれども、この施設についてはいろいろの情報等、憶測がございますことは御指摘のとおりで、的確に政府として公に掌握をして、そうしてその対策といいますか態度をきめたい、かように考えております。たとえば、先ほどもちょっと私の申し方が足りなかったように思いますけれども、施設としてはやはり軍の施設、しかしやっている内容の受信傍受というものは軍用以外の電波を受けているというような非常に特殊な組織のようでございまして、私といたしましてはもう少し実態を掌握し、またどういう仕事をやることを目的にしているのか、それらの点につきましても私としても納得ができないものでございますから、そのままの現状を申し上げた次第でございます。
  55. 安里積千代

    ○安里委員 時間がございませんので、次の機会までに明らかにしていただきたいことを要望いたしまして終わります。
  56. 池田清志

  57. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 外務大臣質問いたします。  沖繩返還協定の名前でありますが、これは協定になるのか、あるいは条約という名前になるのか、この名前の問題を明らかにしてほしい。  それから、スケジュールの問題については、従来新聞報道にも出されておるとおりの発表でありますが、夏にならないあるいは夏に入って一番早い時期までに協定を結ぶということですが、その場合、協定が結ばれた段階では全文を国民に発表されますか、それともいわゆる沖繩国会といったような国会が開会されないとこの内容は発表されないのか。まずこの二点から最初にお伺いします。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この協定の表題が条約になるか約定になるか協定になるか、これはまだ双方話がきまっておりません。と申しますのは、別に隠すわけでも何でもございませんで、先ほど来御説明申しておりますように、実態を鋭意煮詰めておるわけでございまして、実態がまとまってから案文づくりに入るということになって、その一つといたしましてまだきまっておりません。  それから調印がいつできるか。いまのところしかとした日取り等の見通しはまだ申し上げられませんけれども、調印いたしますれば全部直ちに国民の前に公表をいたすことは当然であると考えております。
  59. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、この発表の問題をお聞きしたのは、外交は内閣の専権であるとかということで、調印されたその場でもどうも全文発表されないのじゃないかという国民の疑惑があるものだから、それを聞いたわけですが、調印されたら直ちに全文を国民に発表されるという約束をされたので、この点には触れません。  それから、基地取り扱いの問題で、安保条約があるいは地位協定がそのまま何ら変更なしに適用される、これが本土並みだと言っておられますが、ただし本土にない特殊の部隊がいままで指摘されております。本土にない特殊な部隊であるから、当然のことながら地位協定安保条約に基づく問題の取り扱いとしてこういったものはむしろ撤去すべきであるということは国民が常識的に考えておるわけなんです。そこで、いま外務大臣がおっしゃった中で、大体われわれが現地で調査したところでは、毒ガス兵器の部隊を除き、あるいはサブロック、原潜関係のある部隊を除いて、九つあると見ております。これは第一番目にCSG、すなわち米陸軍混成サービスグループ、これはアメリカ局長が言っておられました心理作戦部隊、それに陸軍情報学校、それとVOA、FBISそれから統合分析センター、緊急出撃軍、SR71A型機、スパイ機であります。この中で実態がまだ調査されていないということではっきりした御答弁はありませんが、ただ外国の軍人やその他要員を沖繩訓練するようなものはいけないのじゃないかということでしたが、これは陸軍情報学校のことを言っておられるのだと思います。それは南ベトナム、ラオス、タイ、フィリピン、台湾、マレーシアなどの軍人に諜報教育を施すことが目的で、瑞慶覧基地内の米太平洋陸軍情報学校と名づけられておって、主として謀略、破壊、スパイ要員養成学校というのが本質なんです。当然そういった点を指摘しておられるのだと思いますが、そうですか。同時に、いま申し上げましたこの特殊部隊は、安保条約の規定から申し上げましても当然全部撤去すべきだということを県民は考えておりますし、広範な国民はそういうふうに理解しておると私考えます。もしそうでなければ、安保条約地位協定は改定はされないにしても、沖繩返還の名前でこういったものが何らかの形で残される場合には、事実上安保条約は改定されておるという結論にしか達しないと思うのです。そういった意味で外務大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  60. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、本土にないものがおよそ九種類くらいあるのではないかというようなお尋ねでございましたが、はたしてそう見ていいのか、あるいはそれ以上あると見ていいのか、それ以下にとどまるのか、その辺のところはもうちょっと政府といたしましても的確に実態を掌握いたして態度を明確にいたしたいと考えております。そして要するに安保条約は何ら変更なしに、実質にはもちろん変質はしないで沖繩に適用されるわけでございますから、そして本土並みでございますから、そういう基準から申しまして好ましからざるものは返還前に撤去してもらうというのが当然の考え方でございます。  それから、たとえばベトナム人やタイ人の訓練をやっておるのは陸軍情報学校のことかというお尋ねでございましたが、先ほどアメリカ局長の御説明いたしましたのは、むしろグリーンベレーと通称されております第一特殊部隊について、その内容を申し上げたのかと思いますが、その辺のところもまだ十分こまかい点を、さらに今後におきまして御説明申し上げる機会もあろうかと思います。
  61. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次は、基地の買い取りの問題ですが、安保条約あるいは地位協定に基づきましてアメリカの陸海空軍、これは日本基地を持つことを許される。その場合、日本政府区域施設提供することになっておるわけでありますが、いま買い取りの対象となっておるのは基地外の軍用道路ということですが、基地そのもの、嘉手納基地とかあるいは普天間基地あるいは辺野古、そういったアメリカの国費でつくった基地については、これは提供であるので、一応買い取った上で提供するという姿勢なのか、ここら辺を明確にしてほしい。この問題は、現在沖繩県民が非常におかしいなと考えているのは、三公社の問題にしても有償引き継ぎと言っているし、建物もそうである。琉球政府の建物あるいは米琉文化会館、そういったようなのが有償引き継ぎになり、そして残されたのは、区域施設提供するという場合に、この前防衛施設庁に資料を出してほしいと言ったが、いままでまだ資料を出していない。この点はあとで防衛施設庁にはっきりさせますが、たとえば五二年の安保条約が適用された段階で、アメリカの国費で日本本土につくられた基地があったのかどうか、あったとすればこれを買い取ったのか、有償で引き継いで、あらためて提供したのかどうか、こういった問題について基本的に姿勢をはっきりさしていただきたい。いわゆる基地そのもの、アメリカが国費を投じてつくっておる、十億ドル以上だということをアメリカは発表しております。非常に安上がりの基地をつくったのだということをすでに発表されておる。十億ないし十三億ドルかかったと、そういった問題、基地そのものは一体どうなるのか。安保条約に基づいて区域施設提供する。その提供するというのは、いままでアメリカが国費をつぎ込んで基地をつくった、このつくった基地提供するのであるから、日本政府は買い取った上でさあお使いくださいというふうに提供するのか。ここら辺を明確にしてほしいと思います。
  62. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私、分析するといろいろ多岐にわたるお尋ねになると思いますが、最後にもう一度繰り返してお尋ねになった点は、返還の時点に施設区域として提供するものについてほどうなるかということ、これは、たとえば民有地であります場合は、従前から民有地であっても、その時点で日本政府が地主さんから借りてそしてアメリカ提供する、こういうことに相なるわけです。それから一九五二年当時の本土における処理については、防衛施設庁から答弁していただきます。
  63. 島田豊

    島田(豊)政府委員 講和発効のときに、それ以前に米軍米軍の費用で施設を設置いたしまして、それが講和発効後どうなったかということにつきましては、これは何ぶんにも非常に古いことでございますし、私どものほうにいま資料がございませんので、まあ当時の記憶では、そういうケースは非常に少ないといいますか、あまりないのではないかということでございますが、それを明確に申し上げる資料がございませんので、御了承いただきたいと思います。
  64. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あとでまた山中総務長官にはやります。      ————◇—————
  65. 池田清志

    池田委員長 この際、沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出があります。順次これを許します。國場幸昌君。
  66. 國場幸昌

    國場委員 日本復帰もあと一年足らずに迎えまして、琉球政府公務員の復帰後における処遇に対し、その措置をいかにするかということにつきまして、総理府総務長官にお伺いしたいわけでございます。  御承知のとおり、琉球政府の行政機能は、国政、県政、市町村政がこん然一体となった形態にあり、そのおのおのの機能の現状を明らかにすることは、本土類似県機関等の規模あるいはおのおのの機能に要するところの運営、経営等のあらゆる面から考えまして、また公務員だれもが今日まで、自分の身分はどうなるものであるか。御承知のとおり沖繩はまがりなりにも一国並みの行政の中にあって今日までやってきたわけでございますが、日本復帰になりますと、国政事務、県政事務、市町村政事務というようなぐあいに分離し、おのおのその機構に対する配転がある、こう理解するわけでございます。現在沖繩の公務員は一万七千十六名、復帰しますと、ここに表が出ておるわけでございますが、約一万五千九百四十二名になるような計画書が琉球政府行政管理課のほうから出ておるわけであります。以上申し上げましたように、復帰するその時期に至って、いまの一万七千名という公務員、この琉球政府から出されておるところの分析表そのものは、総理府と今日まで話し合い、折衝がなされたものであるかどうかということをお伺いしたいのであります。
  67. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいまのお話の表は私はまだ見ておりませんし、事務当局もそのような分類表と申しますか、予想表というものは承知していないということであります。
  68. 國場幸昌

    國場委員 先日公務員のほうの組合としまして大挙上京して、私どもの身分がどうなるかと不安にかられて仕事も手につかないような現状であるということを切実に訴えておったわけでございますが、人事問題を考えました場合に、沖繩県としてのまがりなりにも政府公務員、こういうような一国並みの行政の中で今日までやってきまして、これが国家公務員となりますと、一億国民の規模の中での日本政府でございますから、この百分の一の沖繩百万と、おのずからその身分に対してもいろいろ段階が出てくるのだということが予想されます。そのときに、その事務においていろいろ今後これが論ぜられ、あるいはまたそれに対しての数の制限というのもあるかは存じませんが、一番考えられることは、いわゆる政府公務員になった場合に、その階級そのものをどういうぐあいに保障、引き継ぎすべきか、またさっきも申し上げましたとおり、日本政府公務員とする資格そのものにおいて、課長は課長、係長は係長、部長は部長というような、いわゆる階級を認め、それに対するところの待遇をなしていくのであるかどうか。こういう件につきましてどういうようなお考えをお持ちであるかをお尋ねいたします。
  69. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私が先ほど承知していないと言ったのは、その琉球政府のどこかで作成しました定数予想表というものを知らないということであって、復帰後の沖繩の公務員の処遇についてすでに復帰対策要綱で明確に定めてございますから、いずれも首切りとかあるいは不当なる配転とかいうことのないように、本人の意思を十分くみながら、国家公務員、地方公務員にそれぞれ仕分けをして、それぞれの業務に引き続き精励していただいて、身分その他の関係も継承していく。ただ、共済関係問題等は、加入掛け金等の期間と給付の期間との計算等においていま相談中でありますけれども、その点は若干残っておりますが、何ら心配のない点であると思います。しかし、職階制ということの身分からいけば、現在沖繩が一国家を形成しているから、局長という名の県でいえば部長がいる。それは直ちに本省の身分、国家公務員になった場合には本省の局長かということになりますと、そうはまいらない。やはり国家公務員なら国家公務員、地方公務員なら地方公務員のそれぞれの経歴、身分等に対する当てはめというものが行なわれて、それが琉球政府の職員に不当に身分上待遇が落ち込むことのないようにという配慮はいたしてまいりますが、ちょっと現在の呼び名という意味からいえば、琉球政府局長は本省の局長になるべきものだというふうには受け取っておらないわけであります。
  70. 國場幸昌

    國場委員 給与面におけるところの格差といいましても、もし政府公務員になりましたときに、いまの沖繩の給与法にきめられたコスト、いわゆる給与ベース、これが日本政府とのズレがあるわけでございまするが、このズレを今後どうして——政府公務員に編入される方たちはいまの待遇が、本給において大体は沖繩のほうがよく待遇されておるというようなことが、表から見ました場合にはあるわけでございます。引き継ぎますと、階級そのものにおいて、職階そのものがもし課長なら課長というようなことでありましたらさほど差はございませんが、現在においても日本政府公務員と琉球政府公務員とを対照した表から見ますと、やはり待遇のほうはちょっとようございます。そうしますと、今度復帰して政府公務員に編入される方たち、県は県でその処理は今後やっていくということに考えられますが、政府公務員となる人の階級そのものも落とすと言っては語弊があるかもしれませんが、やはり階級そのものをそのまま認めるかどうかということにも問題があるわけでございまして、そうすると二重にも待遇関係のほうに響いてくるということになるわけでございます。たとえば現職にある課長が係長になったとしたときには、いまの待遇よりも悪くなる、そういうようなことになりますと、やはり復帰するときに至って、公務員というのは上がるのはずいぶん喜ぶものではありますが、復帰したがゆえに待遇がずいぶん落ち込んで悪くなった、こういうようなことになるということも考えられるわけでございますが、その点に対しましていかようなお考えをお持ちでございますか、お聞きしたい。
  71. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっと比べ方がむずかしいと申しますか、おかしいと思うのですけれども、現在の琉球政府の職員で国政事務を担当しておる者であって、国家公務員になることを希望し、またそのレベルにあるという者が国家公務員になりました際の待遇においても、それは名称は違っても待遇が変わるというような形には現実においてはならないだろうと思いますし、ことに沖繩復帰後は特地手当の最も手厚い待遇を受けるところでありましょうから、実際の手取りにおいては現在よりもふえるでありましょうし、さらに所得税等の基礎控除その他は、本土のほうがずっと高うございますから、それらの恩典も均てんされるということでありますので、琉球政府沖繩県というものに変わった場合のその中における身分等の問題は若干あろうかと思います。現在琉球政府局長本土の県でいえば部長でありますが、それが特別職で給料その他についても特別な配慮をしてあるわけでありましょうが、本土においてはやはり地方公務員としての部長でありますから、建設局長は土木部長もしくは建設部長という形になるのでありましょうし、そうすると、現在のどの局長がどうということでなくて、琉球政府の局の数もありましょうが、局長の特別職として認められた年齢や経歴等の者ならばやはり地方公務員となります。しかし沖繩県政の中の部長、課長というものには適格でない者も出てくるであろう。それはごくわずかの特別職を中心にした人たちであって、一般の公務員においては、その意味における本土復帰に対する心配というものはおおむねないと私は思っておるわけでございます。
  72. 國場幸昌

    國場委員 いま沖繩政府公務員になったときに、配転されたとき、すなわちたとえば沖繩でいまやっておる公務員が熊本あるいは福岡あるいは長崎とか、そういうところに配転したときには、手当が出るわけでございますか。
  73. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、人事院で定めました給与の各種手当の中の勤務地の特別な辺陬の地等に対する特地手当というものがあります。それが沖繩の場合においては本土政府と現在ははるかに隔たっておりますし、国内に帰りましても、やはり特地の指定の多いところでございますから、そういう意味で特地手当において実際の手取りにおいてふえるということであって、それが本土のたとえば税関職員が横浜税関に来たといって、それは特地手当がふえるものではございません。
  74. 國場幸昌

    國場委員 日本政府本土における諸制度とか扶養家族手当、そういうことにも対処していろいろ表が出ておりますが、いまのところ、その表から見ました場合には、悪くはなってもよくはならないというような数字が出ておるわけなんです。こういうようなことが起きてきて、何とか措置を講じなければ、喜びのある復帰と期待することはできないじゃないかということを考えるわけでございます。でありますので、期待するような線に沿いまして、一時にでなくてもようございますので、それに対してはいまの琉球政府公務員の不安を解消すべき何らかの措置、方法を早く講じていただきたい。これを希望するわけでございます。  それから、この琉球政府の復帰後における事務分析表とか人事に対してのなにはまだ総理府には来ておらぬわけですか。
  75. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほども申し上げましたように、いただいておりませんし、ぜひほしいものだと思いますが、國場君の言われた、要するに本土復帰した場合に公務員は悪くなってもよくなることはない、このことばは公務員諸君に非常に動揺を与えると思います。私はそう思いませんので、よくなることはあっても悪くなることはないと私は思っております。
  76. 國場幸昌

    國場委員 ぜひそのようにしていただきたい。それを実際において措置していく段階で、もしそういうマイナスになる点がありましたら、おっしゃるような、長官の御意思のようなことで実現していただきたいということを希望するわけでございます。  時間がありませんので、これをもちまして質問を終わります。ありがとうございました。
  77. 池田清志

  78. 上原康助

    上原委員 まず一点だけ現在提案されております免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法の一部を改正する法律案の中で確認をしておきたいわけですが、ここでうたわれております税関貨物取扱人と測量士、測量士補の面もありますが、これは現在沖繩でその資格を有しておる方々本土に就職するという場合も同等の有資格者としてみなす、取り扱うという前提での改正、また法の適用であるかどうか、その点を確めておきたい。まずこれが一つ。  これと、第九条の二で「大蔵省令で定める講習の課程を終了したものは」という表現になっておりますが、講習の期間と、さらに講習を受けた場合に何らかのテストを行なって資格を与えるのか、あるいは単に講習を受ければ有資格者とみなされるという意味なのか。説明も受けましたが、その二点を確認の意味で一応聞かしていただきたいと思います。
  79. 山中貞則

    ○山中国務大臣 第一点は、本土のいずこにおいても同じような資格の持ち主として就職と申しますか営業を営むことのできる資格を付与することを目的としておるものでありますから、御質問のとおりであります。  第二点は、内容は一応形式的に近いものでありますけれども、若干のそういう本土法令等の研修等が要りますので、それらの点についての研修を行なうためでありますから、逆によほど不適格な条件を備えた者でない限りは、おおむね現在の人たちは全部新しい資格を取得できるということの経過措置としてそれをとり行なっていこうとするものであります。
  80. 上原康助

    上原委員 そこで、これは要望になりますが、この間の本委員会でも対策庁長官にも強く要請いたしましたが、免許資格者の取り扱いについては、この法律改正によって対策なりその保護措置というものは講じられるわけですが、実際に通関業務に携わっている業者さらにその雇用者についての再就職の問題とかあるいは職業転換の問題等についての保護措置というものは、一応何らかの措置を講ずるということは第一次の要綱でしたか出ておりますが、具体的にはまだ明らかにされていないわけです。ですから、その面の保護措置等もあわせてぜひやっていただきたいということを、かなり該当者はいろいろ不安を持っておりますので、そのこともぜひ十分御念頭に入れてこの法律の改正あるいはまた関係業者の保護というものをお考えになっていただきたいということをあらためて要求しておきたいと思います。  次に大臣に承りたいわけですが、第三次の復帰対策要綱について大体五月の末から六月の上旬だということはかねがね承っておりますが、現在どういう進行状況になっているのかということと、特にその中でも税制の問題と開発庁あるいは出先機関の問題が重要な部分を占めるかと思うのです。これにつきましては、いろいろ意見の相違なりあるいは立場の違い等によって見解も分かれているかと思うのですが、まず第一点目に税制の問題について、琉政なりとどの程度話し合いが進んでおるのか、あるいはまた対策庁としてはどういう方向でこれを第三次の要綱の中で打ち出していこうというお考えなのか、そこらを含めてお聞かせを願いたいし、さらに開発庁と独自の出先機関の問題についても、両面ありまして、これらがベストだという見解を出すにはかなりむずかしい面もございますが、われわれのほうもいろいろ検討なり案を現在考えつつございますが、一応参考にしたいと思いますので、こういう方向で行きたいとか、あるいは琉政はこういう方向でやってもらいたいというような話し合いがある程度なされているかと思うのです。そこら辺についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  81. 山中貞則

    ○山中国務大臣 第一点の税制の問題は、国税、地方税の直接税については、そう意見の対立はございません。具体的な実施について、どのような措置をしつつ本土並みにしていくかという議論をしているわけですが、御質問もその点が中心と思いますが、問題は間接税だと思うのです。これは先ほどの通関業者の問題とも関係が出てくるわけでありますけれども、対本土貿易が輸出入平均で八〇%をこしておるという異常な形態の中で、それが完全に本土になりますと消滅をするわけでありますから、それらの問題について、沖繩が税制上の一独立国の形を形成していたためにとられた沖繩の既存企業の保護のための本土に対する税制措置というものをどのように残せるのか、あるいはまた残したことによって、本来日本国民として平等であるべき諸物価等、生活物資等について沖繩地域の国民のみがそのために一方の保護措置に片寄って不当な生活条件をしいられる結果になっても困るのではないかという相矛盾する現象をいま検討しておるわけであります。  さらに、復帰しましても、残る問題として沖繩地域の特殊な長い行政形態の中で沖繩独自の輸入に対する物品税という立場の関税操作が行なわれておりますし、割り当て制度等もございます。これは原則は、原材料については横流れ防止等を厳重にチェックしながら、なるべく現在の恩典を与えて、企業並びにその製品というものが沖繩市場において今日と変わらない状態で恩典が享受できるようにしたいというのが基本的な考えであります。しかしながら、一つだけ、金地金の問題については、本土政府においてもきびしく大蔵省において国家管理をいたしておるものでありまして、そのために日本は統制に置かれたことによって、外国から見ますと、日本は金を持ち込みさえすればもうかる国でありますから、たえずトラブルが発生して金の密輸が発覚をする、それでもあとを断たないという、法制上はそういう国であります。そこで、沖繩地域にだけ金地金をいままでのように自由に輸入させるということになりますと、そこらのところがたいへんむずかしい問題でありますし、製品ではございませんから、どんな形に変えても、また集めて溶かせば金の固まりになるわけですから、そこらのところが非常にむずかしくて、フリーゾーン等の構想の中で、フリーゾーン地域には自由にそれを入れて、そして沖繩の人たちがそこで製造された低価格の原材料によって加工されたものが域内に、日本国内に出回る場合においては、観光税制の恩典を受けて、それがいままでどおり営業上不利にならないようにして、そして加工再輸出の場合には非課税で出せるようにする方法もあるのではなかろうかと考えておりますが、この金地金の問題は一つ頭の痛い問題であります。さらに製品について、要望としてはインスタントコーヒーまでという御要望がたくさんあるわけでありますが、いつかもお答えいたしましたように、ランチョンミート等はすでに離島住民まで含め定着した食物になっておりますし、学校給食にも取り入れられているという沖繩独自の地位を占めておりますので、本土のそういうランチョンミート等に対する需要が幸か不幸かあまり普遍的に強くありませんので、横流れ防止等の手段もチェックできる、数量規制等ができるのではないかと思いまして、そういう点等は好意的に配慮したいと思っております。コーヒーは必需品かどうかということになりますと、インスタントコーヒーまで現在のままでいくということについては、まだ少し意見を異にいたしております。要するに、本土との間の、今日まで置かれた保護のための税というものと、復帰後本土並みにした場合の沖繩の関税行政というものとの両面を、品目ごと業種ごと、そしてまたそれが県民生活、地域の県民、国民に与える影響の度合いというものを慎重に検討しております。これについては先般も瀬長復帰室長代理が参りましたけれども、まだ私のところまで来るほどの詰めをいたしておりませんで、事務段階で具体的な問題を取り上げて議論いたしておりますが、方向としては非常に順調に作業は進みつつあるというふうに考えておるわけであります。  いま一つの、対策庁並びに沖繩における国の出先機関の問題でありますが、これはたびたび申し上げましたように、私どもとしては、沖繩県が復帰した後に、主として財政上でありますが、一体沖繩県の復帰した年の予算は幾らになるのか、翌年の予算は幾らになるのかということが、国の予算がきまったときにわからないというのが普通の本土各県の状態でありますが、そのような状態に沖繩をほうり込んでいいかどうか。やはりどこかでまとめて、沖繩県に対する財投を含めた交付税等の措置も含めたものを、沖繩については国の予算がきまりましたときにその総額が明らかになるように、国の責任の範囲が財政上明確になるようにすることが必要ではないかと思って、開発庁構想というものを持っておるわけであります。しかし、これは相談ごとと申しましても構想がそう大きく違うものはありませんので、それをよろしい、自分たちも賛成だという回答をいただくか、あるいは場合によっては地方自治財政というものをおかすおそれありということで、やはりいやだということであればやむを得ないということで、そう固執いたしてはおりません。沖繩のために、県民のためによかれかしと願っておるだけでございます。出先機関の問題も、まとめて、たとえば金融機関はもうすでにまとめて政策金融を一緒にやろうということできめました。しかしその他の行政上のサービス業務を中心とする国の出先機関も、なるべく合同庁舎みたいなところに全部集めまして、そして県民のサービスが一カ所において出先でほとんど解決できるようにするのが親切ではなかろうかと思っておりますけれども、しかしこれとてもやはり似たような開発庁のような意見もございますので、これも十分念頭に置いて処理したいと思いますが、かりにこれをつくらなかったらどうするかということになりますと、これは各省それぞれに沖繩に必要と思われる、また国の行政機関の範囲外でありますから例をとりやすいのでありますが、日銀の出先機関を、支店を設けるというようなもので、それぞれ各省庁において必要と思われる機関をばらばらに独自で沖繩につくっていくことになるだろうと思います。その際における県民の不便というものを考えますと、できれば総合出先機関というものを御承認いただいたほうが、合意したほうが、沖繩のために、県民サービスのために国政業務としてはよろしいのではないかということを願っておるということでございます。
  82. 上原康助

    上原委員 いま二点について大体のことが説明になったわけですが、突っ込んで意見等申し上げる時間の余裕がございませんで、承っておきますが、税制問題では確かに間接税の問題が一番焦点になろうかと思うのですが、ただ、事実かどうかは別といたしましても、最近における印象としては、県民生活あるいは消費者ということがかなり忘れられはしないかという懸念が出ております。経営者あるいは事業家というものを中心にした税制の特例措置とか、そういうものにあまり比重を置くような方向を対策要綱の中で打ち出すということには、多くの県民が期待していないであろうということをここで一応指摘をしておきたいと思うのです。  次に対策庁の問題ですが、確かにおっしゃるように予算を多く確保する、あるいは復帰後一定期間一本の窓口で沖繩の行政開発というものを考えるという場合は、いま大臣説明なさるようなことも一理あるかと思うのですが、問題は復帰後の県政というものをどうとらえ、位置づけるかということと、それから開発庁そのものをつくっても、各省庁との横の連絡あるいは国の出先機関との縦の行政系統というものをどうするかというようなことも総合的に御判断をした上で方向というものを打ち出さないと、いろいろ支障を来たす面もありはしないかという感じを受けますので、そういった点も総体的にひとつ御検討をいただきたいし、また私としても、あるいはわれわれといたしましても、これについても具体的な意見なり提案もいたしたいと思うのです。  次に、時間が少ししかございませんが、一点、第二次要綱の中で、いま大臣の御説明もあったわけですが、沖繩振興開発公庫というものを一本におまとめになった、そのほうがいいということですが、これはいろいろ検討してみますと、この開発公庫には、もう御案内のように幾つかの金融公庫というものを一つにまとめる。二次要綱の中で出ているのは六つほどあります。現地側のほうも、六つまとめていく、一本化したのがはたして今後の県民の生活上あるいは産業開発という面でよい方針なのか、かなり疑問が出てきております。産業開発とか公共投資とかいうものについて、あるいは農林金庫、中小企業、社会保障というようなことで窓口を分けないと、力のあるほうに金が多く流れる、支出される危険性というものは、運用上できるというお考えかもしれませんが、実際上の問題として、力を持っている人が金を多く使うというか、一般的にそういうことになっているわけですから、そこいらについてはもう少し具体的に、公庫を設置をする場合にはお考えになる必要が、われわれの立場では十分考えられるわけなんですね。これはあえて一本化にしたということについて疑問があるということ、また県民の意見を聞いてみても、どうもおかしいのじゃないかという意向等もあります。市中銀行との関係等も含めてそこいらについては、もしこの段階で御見解が賜われれば一応承っておきたいと思うのです。
  83. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはいろいろ御疑問もあると思いますが、しかし私は沖繩振興開発公庫というものはぜひつくっておかなければいけない。これは各省それぞれの所管の金融機関、政策金融機関でございますから、各省みんな一生懸命沖繩のために、開銀から、医療から、環境から、中小企業、国民金融公庫、みな一生けんめいやってくれると思うのです。しかしながらその度合いというものは、やはり所管省によっておのずから違ってくると思います。まただんだんと復帰後、二年、三年、五年とたってまいりますと、大臣もだんだんとかわってまいりますし、そうすると、ずっと引き続き沖繩に対して特別に融資等の面で、特利長期というようなものを考えていきたいと考え続けるいい役所もあれば、あるいはもうそろそろいいのではないかというようなこと等の感触の違いが出てくるおそれがあるのではないかと私は心配しているわけです。そこで沖繩については、各省庁とも金融機関を一本にまとめることについても、原則賛成をしておったわけではありません。しかし沖繩の将来を考えますときに、政策金融機関というものは、国の仕事が一本になって、あらゆる国の政策金融機関で沖繩に対して与えられる最大の条件を、採択基準から始まって、金利から償還年限に至るまで、開発銀行から始まる各金融機関が同じ感触で、足並みそろえてそれぞれの政策金融部門に対して融資を行なっていく、そして沖繩経済の振興のいしずえを裏づけていくということでなければならないと考えますので、私はばらばらの金融機関をつくることよりか、一緒につくって、その中でそれぞれの金融機関の原資というものがはっきりとして、それぞれの分野がお互いに侵されない、あるいは開発銀行の資金が中小企業の金を食うというようなことは実際上あり得ないことでありますから、原局もあることでありますし、それぞれの問題をまとめて特例の条件を設置するためにどうしても必要だと私どもはかたく信じております。
  84. 上原康助

    上原委員 時間が来たようですが、私は開発公庫の設置そのものの構想に異議を申し上げているわけじゃないのです。これは公庫そのものの必要性がないということじゃありません。その必要性は十分認めるし、またぜひ設置していただきたい。ただ、あえて窓口を一本化するということに、利用者のほうからいろいろ問題が出はせぬかということです。中小企業、農林金融公庫、そういう中小企業の方々の利用面というものが、運用の中でどう生かされていくかということが不明確なんで、そういう面も配慮をしまして、あえて一本化というよりも、利用するほうの窓口というものを明確にしていくということも一つの構想じゃなかろうかということを申し上げておきたいわけなんです。  時間がありませんので、一点だけ、これは要望ですが、この間も社会保障の件についてかなりお伺いをし、いろいろ御見解も承りましたが、一点、ハンセン氏病の問題で、御案内のように南静園にはまだ病院長が不在のままなんですね。そのために非常に支障を来たしている。さらにその方々の医療費なりを本土と比較した場合において、約三割ないし四割程度の医療水準しか受けておりません。早急に南静園の病院長の配置の問題なり、少なくとも復帰時点には、本土のハンセン氏病の方々が受けている医療水準というものを受けられるような方法をとっていただきたいということ、ぜひその点を早急に解決をしてもらいたいということを要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  85. 池田清志

    池田委員長 中川嘉美君。
  86. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 琉球政府の財政問題について、基本的なことですが、二、三伺っておきたいと思います。  琉球政府は最近二、三年来、財政難から赤字予算が続いておるわけですが、このために市中銀行から融資を受ける等の便法によってやっと行政を運営してきている、このように聞いております。  まず最初に伺いたいのですが、現在までの赤字額はどのくらいの額にのぼっておるか、これを参考までに教えていただきたい。
  87. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 琉球政府の財政状況は、御指摘のようにあまりかんばしい状況ではございません。一九六六年度までは黒字でございましたけれども、以降、公共事業の財源の借入やらあるいは赤字の借入等をいたしておりますような状況で、現在借入総額は、一九七一年度の予定もちょっと入りますけれども、公共事業の借入で百四億、赤字借入で七十八億、それから償還額、これは繰り越し事業のために翌年度に事業を繰り越しまして債務負担行為をする額でありますが、それが十四億でございまして、総計で借入残高百六十八億という状況になっております。
  88. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それらの額をどのような方法で補てんして財政支出をしておるか、できればこの点もあわせて明らかにしておいていただきたいと思います。
  89. 岡部秀一

    ○岡部(秀)政府委員 一九六七年では公共事業財源借入十三億、債務負担行為による自己財源の負担分の翌年度繰り延べを二億という形でいたしております。一九六八年では、翌年度分の税収入の繰り上げ七億と、それから給与改定の措置の翌年度繰り延べ、債務負担行為、これをやりまして収支のつじつまを合わせております。一九六九年度には公共事業の財源借入十八億、赤字借入三十六億で、借入五十四億という状況でございます。  なおそのほかに、繰り越し事業の充当財源控除後の赤字をつくっておるという状況で、赤字をつくりながらつじつまを合わせながらいたしておるという状況です。一九七〇年は、公共事業の財源借入三十億、赤字借入を十七億いたしておりまして、給与改定の支払いを翌年度に延ばしたりして、債務負担行為という特別な行為をやっておるという状況でございます。
  90. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 きょうは時間の関係基本的な問題だけを伺っておきたいと思いますが、赤字が累積した原因はどこにあると思われるかということなんです。私らの考えでは、アメリカの対沖繩援助費の削減ということが最大の原因である、このように思いますが、何かこのほかにも理由がありますか。もし理由があれば教えていただきたいと思います。
  91. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは琉球政府の財源は、自主財源というものが非常に少のうございますし、また徴収率も悪いようでございます。それとさらに歳入見積もりと実際上の年度内収入というものが大きくかけ違って最近陥没を続けておりますので、歳入欠陥という自主財源の欠陥等もございます。そしてただいまお話になりましたアメリカのほうの予定したものが、年度半ばにおいて削減をされて大幅に減ってきたというようなこと、そういうようなことがいろいろとありまして、琉球政府としてもあえて恣意に財政運用をやっておるとは思いませんけれども、そういう面の重圧がかかっているものと思います。  なお本土政府がいろいろと、今日までは援助費、四十六年度予算からは復帰対策費という名前に変えましたけれども、それに対する地元負担の、俗に対応費と呼ばれているものに追われているのではないかという御指摘もございました。しかしこれらの点はほとんどの補助が高率補助でございますので、地元負担というものによってその財政というものがやっていけないという大きな原因であるとは思っておりませんけれども、しかし、やはり琉球政府が自主財源というものを交付税その他で与えられていないということにも大きな原因がありますので、そこで四十六年度予算においては、交付税にかわるものとして琉球政府の自主財源というものを五十億近く見たということで、ことしは一応借り入れを二百万ドルほどすでに沖繩銀行に申し入れておるようでありますが、これも異常な形態でございますし、これらの問題は総合的に、累積赤字の復帰時点における処理の問題として、新生沖繩県の第一歩が財政上に重い足かせをはめられた形にならないように処理をしなければならないと考えておるわけでございます。
  92. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、あと一年で本土に復帰するわけでありますが、それまでに、この赤字の解消について何らかの対策、打開策というのですか、こういったことはいますでに明らかになっておりますか、その点はどうでしょうか。
  93. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、きれいさっぱりした形で出発をさせたいと言っておりますが、しかし、まだ時間がありますので、それを、どんな理由の借り入れ金でも全部本土政府がしりをぬぐいますというふうに受け取られますと、いわゆる財政運用を恣意に行なわれる可能性なしといたしませんので、信用しないわけではありませんが、やはり筋の通ったものということの財政運用をしてほしいと思っておりますので、その点は琉球政府も別段そういう意思はありませんので、財政の執行については、本土政府とよく相談をいたしておりますので、結果的にはきれいな整理がつくものと思っております。
  94. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 全くもって時間がないので、もう結論を急ぎます。  政府は、米資産の引き継ぎに関して、気前よく有償で引き受けるというようなことを表明しておるわけですが、琉球政府の財政上の債務は、先ほど来申し上げているように、そのまま引き継いで、沖繩県の財政がスタートから赤字を背負い込んでそのままで出発するというような非常な心配がここで出てくるわけですが、琉球政府の債務は米国の責任であるとして政府は当然にその補てんを米側要求すべきであると私は思うわけです。  長官に伺いたいのですが、政府は少なくとも、米側の資産を有償で引き継ぐのであれば、その際、この財政上の債務とむしろ相殺にすべきものじゃないかと私は思うのですが、ひとつ長官の御意見を最後に伺っておきたいと思います。
  95. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、アメリカ側施政権者として出しておった金、出すべき金をだんだん減らしてきたからそれがそのまま赤字になっておるというものではありませんので、それについては、本土政府においてもなるべく肩がわりできるような財政措置を今年度予算も来年度予算も組んでおるわけでありますし、今年度というのは、本土ではすでに年度が経過いたしましたが、沖繩ではまだ現年度でございますが、そういう意味では措置はいたしておるわけであります。でありますから、これはアメリカに、琉球政府の復帰時点までの累積赤字を補てんさすべきであるという理論的な構成がちょっとむずかしゅうございます。やはりこれは本土政府が、国の事務を行なっていた琉球政府というものに対する国としての配慮ということがなされるべき事柄であろうと思っておるわけでございます。
  96. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 終わります。
  97. 池田清志

  98. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 山中長官が急いでおられるようですから、二、三分でいいように質問いたします。  三月二十五日の沖特委で、日本学術会議の法を改正して沖繩の学者に被選挙権と選挙権を与えるような改正について努力しておられる、あのときは、好意的に本日もかけずり回っているのでということでしたが、すでにきのうあたりでも、学術会議の総会が開かれて、総会でも決議されておるようであります。その内容についてはあとで政府委員から御回答をお願いするとして、今国会へ間に合うようにその法案ができる態勢にすでにあるのかどうか。今国会でこの法案がぜひ成立するように努力してほしいということは県民の強い要望でもありますので、さらにその点について長官の御意見を承りたいと思います。
  99. 山中貞則

    ○山中国務大臣 一ぺん答弁もしておると思いますが、三月一ぱいに一応届け出という登録締め切り日がございましたので、三月一ぱいにはぜひ国会を通したいと思っておったのでありますが、それが不可能になりましたので、あとは私どもの事務局において二重の手間をかけて、沖繩のためのみの作業をもう一回やればそれは片づくことでありますから、逆に言いますと、候補者名簿閲覧というのにはぜひ間に合わせなければなりません。しかし、それは今国会中にこの法案が通れば間に合う、幸いにスケジュールがそういう状態になっておりますので、今国会中に通したいと思っておりますし、提案の準備は終わっておりますが、しかし、まことにタイミング悪く、学術会議の総会が開かれまして、そして学術会議のほうからは、またいろいろと今度は私どものほうに対する批判というものが述べられておるわけでありまして、どうも私としてはたいへんまずいことになりつつあると考えて憂慮いたしておりますが、私としては、学術会議のあり方に対する議論は、どの党がどこでやろうとけっこうだと思います。しかし、そのことが沖繩の科学者の人たちを本土の学術会議に、復帰後も一年余り権利を喪失させることにつながる行為、すなわち江戸のかたきを長崎でということはとんでもないことであるという日本のことわざですけれども、それをはるか沖繩でかたきを討とうなどということはもう全く無縁なことである、沖繩方々のそういう権利を復帰後も・喪失したままの状態にしておくということについて措置をしたいというのであるから、学術会議の本質論と切り離してほしいということで、私の責任の範囲において、いま根回しと申しますか、それぞれ関係者にお願いをいたしております。現在のところ完全にそれの根回しが終わったという段階まで来ておりませんで、学術会議の論争を受けてさらにまた別な議論が始まっておりますので、たいへん弱っておるわけでありますが、私の気持ちあるいは私の今国会で成立させたいという方針についてはいささかも変わっておらないわけでございます。
  100. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題については、きのうの学術会議の総会でも、このあと学術会議の会長から、沖繩の科学者を参加させるため日本学術会議会員選挙規則の特例に関する規則を制定することが提案され、満場一致で可決されたといったことも報じられております。ぜひ山中総務長官がいまおっしゃったような方向で今国会にこれが実現するように努力してほしいと思います。この点については以上で終わりますが、山中総務長官に対することではありませんのでどうぞ……。  次に、前の外務大臣に対する質問の中で、外務大臣が私の質問答弁していないのがあります。私は、基地そのものは一体どうするのか、大体政府基地提供する、区域施設提供するということになっておるのであるが、これを買い取った上で提供するのかどうか、これについての答弁愛知外務大臣はやっておりません。したがって、この問題については次回の二十七日に行ないます。  さらに、防衛施設庁長官でしたか、私がこの前の委員会で、五二年の安保条約が発効した時点、すなわち四月二十八日の時点でアメリカが国費でもって本土につくられた基地は幾つぐらいあったか、さらに場所はどこであるか、それに対する措置をどうしたかといったことを資料要求しましたが、きょうの答弁では、何か古いのでわかりかねるとかいったことでありますが、古いのでわかりかねるといったことでは国会に対する答弁にならぬと思うのです。これは私は、いまの基地の買い取りという問題と関係するから聞いているわけなんです。したがって、きょうそれに対する答弁ができれば答弁してほしいし、さらに資料をまとめていなければ、いつまでにまとめて本委員会に提出されるのか、この点を施設庁長官、明らかにしてほしいと思います。
  101. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ただいまの資料につきましては、施設庁でもいろいろ調べてみたわけでございますが、先ほど申しましたように、的確な資料と、いうのがございませんので、引き続きまたいろいろ調査いたしますけれども、少なくとも現在の段階までにはお出しできるような資料がない、こういうことでございます。
  102. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題は、あなた方がわからないのではだれが一体わかるのかということなんです。施設庁が区域施設提供する直接の官庁である。あのポツダム宣言からさらに安保条約がしかれて、現在、サンフランシスコ体制に移る経過の中で一番重要なのはこれだと思うのです。区域施設提供するという場合に、日本の国費でもって施設なんかもつくって、さあお使いくださいというふうに提供するのだと安保条約地位協定理解する。その問題に触れるので、あの時点でたとえばあの特例法に基づいて軍事基地、これの再契約を拒否した人々は幾らいたかということで、五件でしたか、数件あるということで出されております。そういった問題がわかっておるにかかわらず、あの時点でアメリカが国費でつくった基地が幾つあって、これに対しての処理をどうされたかということがわからぬような状態では、沖繩問題をそういった方向でいかれるのは非常に危険だと思うからこそ、資料の要求をしているわけなんです。したがって、これは早目に資料をぜひ提出いただきたい。私は重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
  103. 池田清志

    池田委員長 他に御発言もないようでありますから、本法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  次回は、来たる二十七日午前十時より理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会