○山中国務
大臣 第一点の税制の問題は、国税、地方税の直接税については、そう
意見の対立はございません。具体的な実施について、どのような
措置をしつつ
本土並みにしていくかという議論をしているわけですが、御
質問もその点が中心と思いますが、問題は間接税だと思うのです。これは
先ほどの通関業者の問題とも
関係が出てくるわけでありますけれども、対
本土貿易が輸出入平均で八〇%をこしておるという異常な形態の中で、それが完全に
本土になりますと消滅をするわけでありますから、それらの問題について、
沖繩が税制上の一独立国の形を形成していたためにとられた
沖繩の既存企業の保護のための
本土に対する税制
措置というものをどのように残せるのか、あるいはまた残したことによって、本来
日本国民として平等であるべき諸物価等、生活物資等について
沖繩地域の国民のみがそのために一方の保護
措置に片寄って不当な生活条件をしいられる結果になっても困るのではないかという相矛盾する現象をいま検討しておるわけであります。
さらに、復帰しましても、残る問題として
沖繩地域の特殊な長い行政形態の中で
沖繩独自の輸入に対する物品税という
立場の関税操作が行なわれておりますし、割り当て制度等もございます。これは
原則は、原材料については横流れ防止等を厳重にチェックしながら、なるべく現在の恩典を与えて、企業並びにその製品というものが
沖繩市場において今日と変わらない状態で恩典が享受できるようにしたいというのが
基本的な考えであります。しかしながら、一つだけ、金地金の問題については、
本土政府においてもきびしく大蔵省において国家管理をいたしておるものでありまして、そのために
日本は統制に置かれたことによって、外国から見ますと、
日本は金を持ち込みさえすればもうかる国でありますから、たえずトラブルが発生して金の密輸が発覚をする、それでもあとを断たないという、法制上はそういう国であります。そこで、
沖繩地域にだけ金地金をいままでのように自由に輸入させるということになりますと、そこらのところがたいへんむずかしい問題でありますし、製品ではございませんから、どんな形に変えても、また集めて溶かせば金の固まりになるわけですから、そこらのところが非常にむずかしくて、フリーゾーン等の構想の中で、フリーゾーン
地域には自由にそれを入れて、そして
沖繩の人たちがそこで製造された低価格の原材料によって加工されたものが域内に、
日本国内に出回る場合においては、観光税制の恩典を受けて、それがいままでどおり営業上不利にならないようにして、そして加工再輸出の場合には非課税で出せるようにする方法もあるのではなかろうかと考えておりますが、この金地金の問題は一つ頭の痛い問題であります。さらに製品について、要望としてはインスタントコーヒーまでという御要望がたくさんあるわけでありますが、いつかもお答えいたしましたように、ランチョンミート等はすでに離島住民まで含め定着した食物になっておりますし、学校給食にも取り入れられているという
沖繩独自の地位を占めておりますので、
本土のそういうランチョンミート等に対する需要が幸か不幸かあまり普遍的に強くありませんので、横流れ防止等の手段もチェックできる、数量規制等ができるのではないかと思いまして、そういう点等は好意的に配慮したいと思っております。コーヒーは必需品かどうかということになりますと、インスタントコーヒーまで現在のままでいくということについては、まだ少し
意見を異にいたしております。要するに、
本土との間の、今日まで置かれた保護のための税というものと、復帰後
本土並みにした場合の
沖繩の関税行政というものとの両面を、品目ごと業種ごと、そしてまたそれが県
民生活、
地域の県民、国民に与える影響の度合いというものを慎重に検討しております。これについては先般も瀬長復帰室長代理が参りましたけれども、まだ私のところまで来るほどの詰めをいたしておりませんで、事務
段階で具体的な問題を取り上げて議論いたしておりますが、方向としては非常に順調に作業は進みつつあるというふうに考えておるわけであります。
いま一つの、対策庁並びに
沖繩における国の出先機関の問題でありますが、これはたびたび申し上げましたように、私どもとしては、
沖繩県が復帰した後に、主として財政上でありますが、一体
沖繩県の復帰した年の予算は幾らになるのか、翌年の予算は幾らになるのかということが、国の予算がきまったときにわからないというのが普通の
本土各県の状態でありますが、そのような状態に
沖繩をほうり込んでいいかどうか。やはりどこかでまとめて、
沖繩県に対する財投を含めた交付税等の
措置も含めたものを、
沖繩については国の予算がきまりましたときにその総額が明らかになるように、国の責任の範囲が財政上明確になるようにすることが必要ではないかと思って、開発庁構想というものを持っておるわけであります。しかし、これは相談ごとと申しましても構想がそう大きく違うものはありませんので、それをよろしい、自分たちも賛成だという回答をいただくか、あるいは場合によっては地方自治財政というものをおかすおそれありということで、やはりいやだということであればやむを得ないということで、そう固執いたしてはおりません。
沖繩のために、県民のためによかれかしと願っておるだけでございます。出先機関の問題も、まとめて、たとえば金融機関はもうすでにまとめて政策金融を一緒にやろうということできめました。しかしその他の行政上のサービス業務を中心とする国の出先機関も、なるべく合同庁舎みたいなところに全部集めまして、そして県民のサービスが一カ所において出先でほとんど解決できるようにするのが親切ではなかろうかと思っておりますけれども、しかしこれとてもやはり似たような開発庁のような
意見もございますので、これも十分念頭に置いて処理したいと思いますが、かりにこれをつくらなかったらどうするかということになりますと、これは各省それぞれに
沖繩に必要と思われる、また国の行政機関の範囲外でありますから例をとりやすいのでありますが、日銀の出先機関を、支店を設けるというようなもので、それぞれ各省庁において必要と思われる機関をばらばらに独自で
沖繩につくっていくことになるだろうと思います。その際における県民の不便というものを考えますと、できれば総合出先機関というものを御承認いただいたほうが、合意したほうが、
沖繩のために、県民サービスのために国政業務としてはよろしいのではないかということを願っておるということでございます。