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1971-03-11 第65回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年三月十一日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 宇田 國榮君 理事 大村 襄治君    理事 豊  永光君 理事 安井 吉典君    理事 中川 嘉美君 理事 小平  忠君       國場 幸昌君    田中 龍夫君       床次 徳二君    西銘 順治君       上原 康助君    中谷 鉄也君       美濃 政市君    瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      前田多良夫君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 三月九日  沖繩地域における産業振興開発等のための琉  球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第八六号  沖繩における免許試験及び免許資格の特例に関  する暫定措置法の一部を改正する法律案)(内閣  提出第八五号)(予) 同月十日  沖繩無条件全面返還等に関する請願(土橋一  吉君紹介)(第二三〇六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩地域における産業振興開発等のための琉  球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第八六号)  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますから、順次これを許します。西銘順治君。
  3. 西銘順治

    西銘委員 復帰対策要綱について長官見解をお聞きしたいのでありますが、御案内のとおり返還協定内容についても、いまだに公表されておりません。ただ私たち新聞紙等によってその内容を知っておるだけでございまするが、県民は、返還協定の柱が幾つになるのか、特に対米請求権の問題についてどう処理されるのか、非常な関心を持っておるわけであります。この返還協定が表といたしますと、復帰対策要綱が裏ということになるわけでございまして、復帰対策要綱の第一次案は昨年の十一月二十日に閣議決定を見ております。この内容は、各面についてきわめて良心的に作業が進められて、りっぱな成案を得ているわけでございまするけれども、言うなれば総論であり、沖繩対策に対する概論であると申し上げても過言ではございません。したがいまして、これが具体的な復帰対策の施策として明確にされるためには、第二次、第三次の復帰対策要綱を見なければわからないわけでございます。返還協定内容に対して一日も早く明らかにしてもらいたいという願望と同時に、沖繩側におきましては、この第二次分以降の復帰対策要綱について最大の関心が払われているわけであります。したがって、この復帰対策はきわめて複雑多岐にわたる作業を進めているわけでございまして、非常に御苦労も多いことかと思うのでございまするけれども、この復帰対策要綱は、第二次、第三次と発表がありまして、一体第何次で終わるのか、その第二次、第三次の概要について、またその公表の時期についてお伺いしたいのであります。
  4. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 お答えいたします。昨年十一月の第一次復帰対策要綱につきましては、直接県民関係の深いもの、産業特別関係するもの等を選びまして閣議決定を得たのでありますがその後、第二次復帰要綱をまとめるべく、自来鋭意努力をいたしてきております状況であります。第二次復帰対策要綱におきまして私たちがいろいろ検討いたしております内容等、概略申し上げますと、沖繩県復帰をいたしまして、それについての知事や県会議員の問題はどうするか、市町村の位置づけをどうするか、あるいはまたいろいろな琉球政府の諸機関等、これもどんなふうにするかという問題やら、金融の問題、あるいはまた教育文化関係のいろいろな諸問題が第一次に続いてございますし、厚生、労働、産業、経済、また運輸、通信税制等各般にわたりまして、第二次復帰要綱でこれら残されている問題を目下検討いたしておりますような状況でございます。各方面、特に現地におきましても、一体これから自分らの産業生活がどういうふうになるのだろうかということで非常に心配をいたしておりますので、その点を私たちとしてもなるたけ早い機会全貌を明らかにするということは、みんなが不安、動揺しないということですし、自分らの生活は今後こういうふうになるのだということで、安堵ができるということになると思いますので、その点につきましてできるだけ広く、解決できるものを早く解決しながら、全貌を明らかにいたしてまいりたい、このように思っておりますような状況でございますので、近くそれぞれの関係方面の調整をし、意見をまとめまして、できるものを第二次に発表いたしていきたいと思います。ただ、その点で、いろいろ税の問題その他実は難問がだんだんそのあとに残ってきているような問題もございますので、これらの第二次であげられない、検討でき切れない、なお煮詰める必要があるものは第三次に持っていきたいと思います。それからなおその点で最後に残るのは、返還協定がきまりましたところで問題がはっきりする点がございますので、それはその時点で拾い上げて、三次になりますか、四次になりますか、そういう点ではっきりさせて大綱をきめてまいりたいと思っておりますような状況であります。
  5. 西銘順治

    西銘委員 復帰対策要綱につきましては、できるだけ早い機会に取りまとめてこれを発表する。再度残された問題は、返還協定内容と関連して問題は残るわけでございますが、その点につきまして私たちが一番心配いたしておりますことは、この復帰対策基本目標は、何と申し上げましても、制度と人の面で本土制度一体化することだと考えております。たとえば沖繩現地側から、教育委員会制度等につきまして、現在沖繩にある制度をそのまま存続してもらいたいという声も一部にあるわけでございまして、反面、そういう現地側要望に対しまして、沖繩のエゴイズムだと反論する向きもあるわけでございますが、私は、本土との制度上の一体化の中で一番憂慮されますことは、復帰に際しまして既存の中小企業が存続できるだろうかどうだろうか、これを非常に心配いたしておるわけでございまして、その点正しい行政姿勢で処理されていることは感謝にたえないところでございまするけれども、もう少し血の通った思いやりのある措置が大事ではないかと考えておるわけでございます。御承知のとおり沖繩中小企業は、現状輸入制度本土輸入制度とは違っております。また税制も違っております。そういう制度の中で保護された企業でございまして、特にこの中小企業の存続の問題につきましては、どうしても関税の面におきまして、また物品税の面におきまして、いわゆる間接税の面における特別保護配慮がなければ、とうていこれは存続することはできないわけであります。したがって租税制度について、特に間接税の面におきましては、期限を限って、三年なら三年、五年なら五年を限って中小企業保護していかなければならない、かように考えているわけであります。もちろん復帰時点を押えまして、本土からの移出数量規制することによって対策することもできるわけでございますけれども、これでは足りない。ある程度三年なら三年、五年の期限を切って税制における特別措置をしてもらわないと、中小企業の存立は非常に危うくなるわけであります。  御参考までに申し上げますと、現在、物品税これは沖繩では物品税と呼んでおりますが、いわゆる輸入税によって保護されている品目が十五品目あります。それから貿易輸入公表による輸入数量規制によって保護されている品目が約十一品目、その他酒類消費税法あるいはたばこ消費税法等によって保護されている品目が四品目あるわけであります。しかも、これらの中小企業は、ほとんどシェアが七〇%から八〇%沖繩内の市場を占めているわけでございまして、そういう点を考慮いたしました場合に、暫定税率に加えて、沖繩から輸出される品目については出港税等措置によって考慮することができないかどうか。私が申し上げたいことは、本土からの輸入数量規制によるだけでなく、税制による保護が必要ではないかと考えているわけであります。  米の件につきましては、食管会計特別措置によりまして、安い米が食べられるように特別配慮をいただいたわけでございますが、一例を中小企業現状にとって申し上げますと、沖繩で、一年間に大豆が一万四千トン輸入されております。この品目は非課税になっております。しかも、この一万四千トンの大豆の中で、七千トンがとうふの原料として使用されているわけであります。これが勢い、本土関税定率法が適用されたということになりますと、中共からの輸入大豆を使った場合にキロ当たり四円八十銭、またアメリカからの輸入大豆を使った場合にキロ当たり二円四十銭、トン当たり二万四千円から四万八千円の関税が課されることになるわけでありまして、高いとうふを食わなければならない計算になるわけでございます。その点、中小企業については、単に輸入数量規制するだけでなく、税制の面においてもう少しきめこまかな配慮が必要だと思うのでございますけれども、これについての長官見解をお聞きしたいのであります。
  6. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 ただいまお話がありましたような、特に沖繩税制を見てみますときに、非常に内地との格差がございます。関税につきましても本土との差がございますし、物品税砂糖消費税石油税などは、沖繩では輸入品のみに課税をいたしておる、また酒税につきましても内国消費税は低率である、こういうふうに間接税関税島内産業保護政策あるいは観光政策という面に非常に強く税制で打ち出しておるという状況ですが、ここで本土一体になった場合、税制の面、税制の中の公平の負担の原則ということから言いますると、これは本土一体にもっていったほうがよろしい、しかも、一体になってなお関税特別にある、関税が違うということは、一つは、また、その増税の大きな代表的な項目ともいわれておるような点もあるので、この点は税制そのもの、あるいは公平の負担という点からいくと、一律にしていくという考え方が非常に強く出ると思うのです。ところが、おっしゃいますとおりに、また、ただいま申し上げましたとおりに、沖繩関税物品税というものが地場産業地元企業というものを何とか維持し、もり立てていこうという政策を持っておる、こういう点にあると思うのです。私たちも、この問題を考えますときに、税の方面からの問題と、それから、従来とっておる企業保護政策、それから、今後沖繩企業が伸びなくてはならない、その企業保護振興ということを頭に入れながら、この二者相反するところの問題を解決しながら一つの案をつくっていかなくてはならないというところに大きな問題がありまして、関係各省及び各方面方々の御意見を十分にお聞きいたしまして、ただいま一つ結論を得たいと思っておりますが、しかし、その中で、いま先生がおっしゃったような輸入規制ということをやることによって、地場産業復帰ショックというものを避けながら徐々にその制限をする。その制限をするということは、一面に消費者にとっては高い商品を買わされるという問題が出てきたりする。生産者企業保護すると、一面において一般の消費者が高い品物を買わなければならぬ、こういう問題も出てきたりする。その消費者のほうの要望というものをどういうふうにしたらいいかという問題にもからんでくる。その点で、いま先生がおっしゃった輸入規制の問題は、やはり一つの大きな考え方だと思いますので、その点われわれも十分に検討いたしてまいりたいと思います。その点でも、これまた、それがうまくいくかどうかという問題についても長短いろいろあり、また、先生のおっしゃるように、それだけでは不十分だという点は、私たちも十分に考えなくてはならないと思っております。その面で、税制の面では、税の一方の要求とその保護政策とを考えながらつくっていくということになると、ある程度の限度があるような気がするのです。そういたしますると、その限度からはみ出たものをどうするかというふうなことになりますと、それはまた税とは別個の立場に立った考え方で、そちらのほうでの企業保護振興政策というふうなものを、補助金政策なり、あるいはまた長期、短期の金融政策というものを考えたりしながら総合的にやっていく必要があると思います。その点で、この税制の問題は、私たちも慎重に検討いたしまして、あらゆる方々の御意見を十分に拝聴いたしまして、どうも結論は、これで全部が満足できるというふうな案をつくるにはなかなか至難のように思えます。その点で、十分皆さんの御意見を拝聴して結局こういうことだろうなという、十分熟したところで一つの案にしてまいりたいと思っておりますので、もちろん対策庁のわれわれは、沖繩企業保護育成ということは一つも忘れないという精神で税制の問題も検討いたしてまいりたいと思います。
  7. 西銘順治

    西銘委員 長官が指摘されましたとおり、税制の面につきましては、消費者保護ということも同時に考えなければならないことはよくわかっております。ただ、沖繩中小企業につきましては、まだ体質も非常に弱い、合理化もされていない、競争力が弱いという面があるわけでございまして、私たち本土からの移入品目数量規制だけによってこれが保護されるということでは満足しないわけであります。どうしても税制の面においてこまかな配慮がほしいということを申し上げているわけでございまして、なるほど中小企業育成につきましては、資金の手当て、あるいは税制面からの特恵措置あるいは政府指導体制資金税制指導の面から十分な配慮がなされなければならないことはよく承知しているわけでございますが、そういたしますと、輸入数量規制の面については考慮をするが、税制の面については全然考慮することはないというふうに受け取っていいわけですか。
  8. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 もちろんそういう意味ではございません。先ほどのような相反する矛盾を克服しながら税制のほうでも何とかやっていきたいというところで私たち作業中であり、苦心をいたしておるような状況でございますので、その点はまだまだ関係官庁寄って、いろいろな案をひとつ検討しながら、その面での十分な考え方をいたしていきたいと思います。
  9. 西銘順治

    西銘委員 次に、復帰することによりまして税目もそれぞれ国税府県税市町村税に配分されまして、新しい税等も創設されると思うのでございますが、その税目の配分の問題と負担の面におきましては、国税地方税等を勘案いたしまして問題はないと思うわけであります。しかしながら先ほど申し上げましたとおり、租税体系の中で特に間接税、その中でも酒税物品消費税、この面において相当の検討がなされなければならないと私は考えているわけでありまして、この点、税制の面につきましてはわれわれのほうにおきましてももっと検討を加えてもらいたい。特に沖繩生活不安の解消のためにも、中小企業保護育成のためにも、税制の問題については非常に突っこんで検討しなければならないと思っているわけであります。したがいまして、これは要望でございますけれども、第二次復帰対策要綱の中から税制の面、特に間接税面等につきましては、これを除外していただいて、われわれに検討する機会を与えてくださるように要望いたしまして、税制の質問は終わりたいと思います。  次、軍用地の問題について関係当局見解をお聞きしたいと思っております。軍用地問題またこれと関連する問題は、沖繩復帰に際しての最も重要な課題でございまして、沖繩問題イコール軍用地問題と申し上げましても決して過言ではないと思うのであります。この米軍軍用地取得につきましては御案内のとおり、一九五二年四月二十八日、これは講和条約が発効した日でございますけれども、この五二年の四月二十八日以降同年十一月にアメリカ軍布令九十一号を出しまして、主席に地主にかわって土地契約をさせておりますけれども、それが思うようにいかないので、五三年布令百九号、土地収用法を出しまして、土地収用の法的な裏づけをやっておるのであります。さらに、この点につきましては、地主補償の問題が十分解決されておりませんので、五三年十二月に布令二十六号を出しまして、軍用地補償に関する問題の解決を見ているわけでございますが、五四年三月に有名なオグデン副長官からの軍用土地一括払いが発表されまして、五六年の六月にはプライス勧告が出されまして、永代借地権永代軍用地借地するんだということがございまして、これに対する反論がいろいろ地主側からございました。五七年ようやく布令百六十四号でもって土地問題に終止符が打たれておりまして、この土地問題に対する解決を誤りますというと、沖繩復帰に対する体制が大きくくずれていくわけであります。御案内のとおり、いよいよ復帰するということになりますと、地位協定が適用されるわけでございますけれども、この地位協定の適用に先立って、おそらく安保協定の大きな柱として・現在使っている土地、いわゆる軍用土地使用権返還協定の中で一括継承することはほぼ見通しが明るいわけであります。そういうふうになるだろうと推測されるわけでございまして、問題は、国対地主関係土地問題がどう解決されていくか非常な関心を持っておりまして、軍用地地主連合会の意向といたしましては、一括契約方式によることなく、地主との個別の契約方式を望んでいるわけでございますが、問題は、地目等級は接収当時の地目等級によって軍用地料が算定されているわけでございまして、その点現地側における地主連合会防衛施設庁ですかとの連絡、また復帰時点での個別契約方式に持っていく準備がどの程度進められておるか、これについてお伺いしたいのであります。
  10. 銅崎富司

    銅崎政府委員 ただいま先生からいろいろと沖繩軍用地の問題に関する歴史的な御説明がございましたが、私どももそういう点十分承知して、私自身としては理解しておるつもりでございます。したがいまして、円満に土地契約を結んでいくためにできるだけの努力をしたいということを考えておりますが、軍用地地主連合会との間の話し合いは、ただいま原則的な問題につきまして話しておる段階でございまして、個々具体的な問題につきましては、私ども調査団をこの三月に出しておりますけれども、そういう調査の結果等をも分析検討いたしました上で、個々の問題についてはまた具体的な交渉に入っていきたいというふうに考えております。
  11. 西銘順治

    西銘委員 そういたしますと、軍用土地連合会との話し合いが着々進められているということだと承ってよろしゅうございますか。——そこで、軍用地問題の中で現地側で問題にいたしております数点についてお伺いしたいのであります。  非細分土地の件でございますが、これが約三百九十万坪あって、年間の地料が約五十八万ドルになっているわけであります。現在この非細分土地は、布令百四十六号によりまして市町村の管理となっており、その借料市町村収入になっているわけでございますけれども復帰後のそれに対する取り扱いについて当局方針を承りたいのであります。  それと次、現在土地裁判所訴願されている事案が九千六百十六件、これは訴願中の件数でございますが、これが今日まで何ら解決されておりません。全部といっていいくらいに未処理になっているわけでございます。内容等については、たとえば地目変更等についての訴願もあるわけでございますけれども、これに復帰時点でどう対処されるのかお伺いしたいのであります。
  12. 銅崎富司

    銅崎政府委員 非細分土地につきましては、現在私ども考えておりますことを申し上げますと、この非細分土地というものは実測面積土地台帳上の面積との差から生まれております土地でございまして、この土地の性格をどういうふうに考えるかということがまず問題になるわけでございますが、そういう点等につきまして関係省庁と目下協議している段階でございます。この非細分土地につきましては、米軍のほうから、先生説明のように、当該市町村借料が支払われております。これが市町村収入源として非常に有力な財源であるということも承知しておりますので、それらの点、それからこの非細分土地自体アメリカ施政権下にあります独特な土地でございますので、そういうような点いろいろ分析検討いたしまして、何らかの措置を講ずるようにいたしたい、こういうふうに考えております。  それから、現在土地裁判所に出ております訴願案件は、先生からお話がありましたように借地に関しまして九千六百十六件、漁業補償に関するものが十六件出ておることを承知しております。この土地裁判所訴願関係はどうたるかというのが、これは法律的な面ではまた別個検討があろうかと思いますが、施設庁といたしましては、借地に関します訴願は、地目変更の問題が大部分と思いますが、われわれ現在借料の算定は本土の基準に準じて算出するようにいたしたいと考えておりますので、復帰後におきます問題につきましては、そういうことで実質的な解決をはかれるものだと思っております。ただ、復帰前の問題につきましては、やはり対米請求等の問題もございまして、これは外務省と対策庁を中心に、われわれも入りまして、現在対米折衝において解決すべき問題は解決していく、それからもう一つは、復帰対策という観点からこの問題を慎重に検討するということで、関係省庁が相寄って協議中の段階でございます。
  13. 西銘順治

    西銘委員 次に、一時使用許可地の件についてお尋ねいたします。これは沖繩では黙認耕作地と呼んでおりますが、現在千六百万坪ございまして、その中で実際耕作されているのが六百万坪になっております。この土地布令二十号によって一時使用権が付与された土地でございまして、その権限は市町村に与えられており、地料は一時使用にかかわらず全額支払われているわけであります。  そこで、本土復帰いたしますと、この一時使用による収益を還元いたしまして、一〇%を下らない割合を減じた額で地料が支払われるわけでございますけれども現地土地連合会といたしましては、この黙認耕作権をそのまま復帰後も認めてもらいたいという強い要望があるのでございますが、これについて、復帰時点施設庁としてはどう取り扱われるのか、方針を承りたいのであります。
  14. 銅崎富司

    銅崎政府委員 黙認耕作地の問題でございますが、ただいま先生からお話しのように、実際に許可されている面積は千六百万坪、そのうち耕作している面積が六百万坪、こういうことでございますが、この耕作している面積の大部分通信保安用地あるいは弾薬保安用地といったようなことが大部分だと聞いております。現在出しております調査団がもっと詳細に調べてくることになっておりますが、聞くところによりますと、所有者自身で耕している場合、それからだれか契約か約束によって耕している場合と、それからそれこそあいている土地をかってに耕している場合といろいろあるように聞いておりますから、そういういろいろな実態をよく検討いたしまして、復帰後も当然耕作すべきを要するようなところはそのまま耕作していただく。それから返還していただくかどうかという問題でございますが、そういう問題につきましては、地元の御要望等も十分お聞きいたしまして、どういうふうに取り扱うか検討していきたいと思っております。  それから本土においてはこういう一時使用土地は、確かに借料額の一〇%程度払っておりますけれども、これを沖繩にそのまま適用するかどうかという点につきましては、私ども、もう少し検討さしていただいて、できるだけ地元の御要望に沿えるような線で関係省庁とも協議してまいりたいと考えております。
  15. 西銘順治

    西銘委員 土地問題について最後の質問は、未払い軍用地料措置の件でございますが、アメリカが直接収用した軍用地の賃貸料は、琉球政府に委託して地主に支払われておることは御案内のとおりでございますが、その中には地主土地不明等の理由で復帰後に支払われないものが相当額予想されておりまして、復帰時点で総額三十万ドルに達するのではないかと考えられております。そこで、この賃貸料については、現在十年間琉球政府が保管して支払っているのでありますけれども、十年を経過した後は合衆国に返還されているわけであります。この未払い軍用地料措置につきましては、復帰の際に日本政府が全額引き継いで地主への支払措置を講ずるのが適切ではないかと考えておりまするけれども、これらについての見解をお伺いしたいのであります。
  16. 銅崎富司

    銅崎政府委員 未払い軍用地料につきましてはいまここで具体的にこういう方向でという実は具体案を持ち合わしておらないわけでありますが、やはり関係者の方と、こういう未払い軍用地をどういうふうに取り扱ったら一番いいのかという点について、今後検討さしていただきたいと存じます。
  17. 西銘順治

    西銘委員 質問がまだたくさんありまするけれども、時間がありましたら午後質問をさせていただくことにいたしまして、一応質問を終わります。
  18. 池田清志

    池田委員長 中川嘉美君。
  19. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今回の沖繩視察に際しまして、関係各団体の代表の皆さんとも種々懇談し、現地の実情並びに要望等具体的に耳にしてまいりました。  ところで、こういった要請等に関連して二、三伺いたいわけですが、沖繩復帰対策要綱第二次分が三月中旬に閣議決定をする、このように聞いております。ここでもしその概要が発表でさましたらこの際教えていただきたい、このように思います。
  20. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 第二次要綱につきまして私たちどういう問題を取り上げるか、どのようにこれを処理していくかということにつきまして、目下昼夜兼行でやっております。  大体項目で申し上げますると、先ほども申し上げましたとおりに、知事や県会議員の問題、あるいはまた琉球政府関係の諸機関、水道や土地、住宅公社など、そういうふうな問題もどうするか、あるいは放送協会の問題をどうするかというふうなことも盛んに検討いたしておりますし、また振興開発公庫、総合金融機関というものもどういうふうにしたらいいかというふうなこと、あるいはまた教育文化関係では、学校の諸制度について残された問題、あるいはまた宗教法人の問題とか育英会の問題をどうするかというふうな問題なども検討いたしております。厚生、労働関係では、福祉事務所をどういうふうにするかとか、あるいはまた結核や精神病に伴っての公費負担関係をどうするか、あるいは医療機関の問題をどうするかいろいろそういう面、厚生、労働にわたりましての検討もいたしております。産業、経済関係では、いろいろと漁業の関係もありますし、商工業関係振興に関するいろいろな問題がございますし、また農業協同組合とか水産業協同組合をどうするとかいうことをいろいろと検討いたしております運輸、通信関係では、港湾関係、空港の関係、あるいはまた辺地や離島のバスをどういうふうにするかとか、いろいろ問題があるわけでございます税制の問題、これも一生懸命いま検討いたしておりますし、司法、法務関係ではいろいろと登記の問題などがございます。その他免許資格の問題、そういうふうなものを、各般にわたりまして、われわれが現在まで検討し尽くして、そうして各方面意見のまとまったものを第二次要綱で閣議決定をいたしてまいりたい、それはあくまでも十分に熟して、各方面意見のまとまったものを出していきたいと思っております。その他、先ほどの税の問題等、いろいろ重要な問題がございまするが、おそらくは、先ほどの御要望もございましたしいたしますので、第三次といいますか、そちらのほうまで延ばして十分な検討をやっていきたいというふうに思っております。
  21. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうしますと、今回の視察で、琉球政府からの要請書を、第二次分ですか、入手してきたわけですけれども、この中にうたわれているものの大半については、これは盛られておる、このように解釈してよろしいでしょうか。
  22. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 琉球政府のほうでも、第二次復帰対策解決をしてもらいたいもの、あるいはその問題についてこのようにしてもらいたいものというふうなものを、いろいろ広範にわたりまして、琉球政府意見として公式文書で私たちいただいております。その点についての意見の調整をいろいろとやっておりまして、過般来、副主席をはじめといたしまして、局長、室長等来られまして、私たちとどの問題につきましても個々的に意見を交換いたしまして、琉球政府の御意見も十分拝聴し、また私たちも事務段階での、これはこう思うという意見を率直に申し上げて、意見を交換をいたしておりますような状況で、その点で、琉球政府との意見の詰まったもの、及び国会等各方面先生方の御意見等拝聴いたしまして、われわれと先生方との御意見の一致した問題、各般にわたって意見の一致したものは今度の第二次で取り上げてまいりたいと思っております。
  23. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ここにうたわれている個々の問題についてお聞きしていく時間はもちろんありませんが、この中のおもなというか、お聞きしたい二、三の項目について伺いたい、こう思います。  この第二次分の要請書の第四というところですが、「電気事業」というのがあります。この2のところに、「琉球電力公社の資産は、無償で沖繩県に帰属するものとし、その処理等については、県と事業者との間で別途に決める。」このように出ております。この点は、政府閣議決定はどのような態度で、あるいはどのような形になるものか、まず御説明をいただきたい。
  24. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 この点はまだ決定になっておりません。この資産をどのように引き継ぐか、これは外務省あるいは大蔵省等のほうで主として検討いたしておる問題で、もちろん私たちも相ともにこれから研究をしていく問題でございますので、この点についての両者での具体的な話の詰め、具体的な策はできておりませんが、今後の問題として十分検討していく問題に入っております。
  25. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 沖繩としては、こういった資産は、ここにもありますように無償で帰属することを要望しておりますし、また、われわれも、これは当然そのようにしてもらいたい、このように思うわけですが、この際申し上げたいことは、資本の中には、純然たる米民政府の資本と、住民が支払った料金の余剰金を繰り入れた資本とがあると思うわけですが、万一やむを得ず、これは万一の場合ですが、買い取りの場合が出てきた、そういうときには、米民政府の資本金の額のみにこれは当然押えるべきじゃないかと、私はあくまで仮定の段階で申し上げているわけですが、この点についてはどうでしょうか。これは対策庁長官の御見解をここで伺っておきたい。
  26. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 長官の御見解もあるかと思いますが、その前に私から申し上げておきたいと思います。  御承知のとおり三公社の一つとして琉金がございますので、それにつきましては、現在、資産をどのように取り扱うべきか、国の財務当局ないし外交当局が中心になりまして折衝中でございます。そういう際に、米国の出資分あるいは沖繩県が考えておられた分をどのように扱っていくべきか、そこら辺が問題になっていこうかと思いますけれども、とにかく、そういうふうに日本側としての評価、米側としての評価、そういうものを突き合わして、支障のないように判断してまいりたいということで、いずれにいたしましても、結果といたしまして沖繩県民の方の、それが電力料金等にはね返っていく、消費者方々にはね返っていくということのないように、十分に配慮してまいりたい。この辺は、財政当局とよく打ち合わせをして考えてまいりたい。  今回の第二次案につきましては、三公社全般の取り扱いの問題でございますが、その中で、金融関係につきましては、ただいま長官から申し上げましたところの振興開発公庫との関係がございますので、入れるつもりでございますが、その他の問題は、財産処理の行くえを見定めた上で、第三次と申しますか、次の機会に、よく見きわめた上で検討してまいりたい、このように考えます。
  27. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 きょうは大臣がおられないので、こういったことに関しても十分お聞きできないわけですが、外務大臣は最近では、米側資産は理由のあるものは買い取らざるを得ないだろう、こういうような見解を述べておられるわけです。しかしながら、昨年の三月十七日、約一年前ですね、三月十七日の本委員会で私が大臣に質問をした際に、ガリオア援助そのものについては、万一請求がございましてもこれは拒否すべき筋合いのものでございますというような答弁をいただいているわけです。これは参照していただければおわかりだと思います。そういうわけで、きょうのところはこれ以上お聞きするわけにいかないわけですが、こういったことを検討される場合に、どうかひとつこういうものをもう一度振り返って、国民が十分納得のいくように推進をしていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  次に、基地関係業者の転廃業対策あるいに軍雇用対策というのが出てきておりますが、この第十番目として「基地関係業者の転廃業対策——米軍基地の縮小に伴い、転廃業を余儀なくされる基地内免許業者、その他基地依存度のきわめて高い業者については、転廃業資金等の特別措置、失業する従業員には再就職対策並びに退職金等の特別措置を講ずること。」  十一番目として、先ほど申し上げた軍雇用対策が出ております。「軍雇用員の実態並びに基地の労務需給の将来の展望を明確にし、基地労務者の整理にあたっては解雇予告期間の延長、十分な離職者補償配慮するとともに経済社会の受入れ態勢と調和のとれた方法を講ずること。」  こういった対策については、このたびも現地で強い要請を実は受けてきたわけですが、このたびの閣議決定に際してどのような態度で臨まれるか。ちょっとこれだけでは私どうかと思いますが、ひとつその閣議決定における態度を伺いたいと思います。
  28. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 基地の企業及びその他の関係の商工業につきましては、先ほど御質問がありましたような点があるわけでございますので、税関係におきまして及びそれに関連して、どのように従来の保護を落とさないようなやり方で税制をきめていくかというふうなところに全力をふるって、いまわれわれはその対策を練っておりますような状況でございます。  基地関係につきましては、とりあえずの短期融資の問題等が大きな問題になっておるし、また長期の資金等も問題になったりしていると思いますので、それらにつきましては、実際的な方法で先ほど申し上げましたような資金措置等、あるいは総合的な金融公庫というふうなものも設けたりして、そちらのほうの産業振興をはかるという点での財政の措置をとっていくつもりをいたしております。  それから離職者対策につきましては、これは従来いろいろと援護関係を続けてきておりますので、退職手当につきましても、あるいはまた給付金等につきましても、内地と同様の手厚い保護を続けておりますので、これからの離職者の人たちにつきましても、それを続行しながら、なお手厚くいろいろと、今年度の予算におきましても職業訓練の拡充とか、あるいはまた職業訓練所の充実というふうなことも予算上に措置をいたしております。  そのほかに間接雇用に移行するための準備の諸施策の予算も計上いたしておりますし、また基地内での職業訓練につきましても措置をいたしております。  その他、また内職訓練等につきましても、本年度におきまして新しい措置を含めまして、離職者に対するところの対策措置を進めておるという状況で、実際上におきましてそういう措置をさらに力強く進めていきたいと思っております。
  29. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまお答えいただいた点で大体わかりますけれども、このたび現地ではこういった問題が非常に重要な問題として取り上げられておるわけで、そういったことに対して具体的にどういうことを計画していくか、あるいは救済措置を取ろうとしているかということを、いま伺った線で大体いいと思いますけれども、さらに詳しく検討を重ねていただきたい。きょうはこれ以上詳しいことは聞きませんが、現地の全軍労の人たちにしてみれば、生活が全部かかってくるわけですから、多大の関心を持っている。そういった意味におきましても真剣に検討をしていただきたいことをお願いしておきます。  次に、三番目に「戦時中の国等に対する債権の取扱」についてでありますが、ここに出ているのは「戦時中、沖繩県民が国等に対して有した債権について、米国海軍軍政府布告第五号により支払いがなされないままになっているが、復帰後、これら債権の支払いについて、時効その他制限を規定する国内関係法令の特例措置を設けて、すみやかに支払いできるようにすること。」数字の二番に「その場合、戦後の物価指数、貨幣価値の変動を勘案した金額にすること。」こういったことが載っておりますが、戦時中に沖繩県民が所有していた債権、この種類と額はどうなっておりますか、この種類並びに額がわかれば、ひとつ示していただきたいと思うのです。
  30. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 その点あるいは私たちのほうにある程度あるかと思いますけれども、この間もその点はさらにどういうふうな詳細であるかということを向こうの政府ともいろいろと検討し合いまして、一覧表を向こうの政府から出してもらいまして、それを検討するということになっておりますから、近くまた向こうの政府からも参りますので、その結果で明らかになると思います。
  31. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 すでに郵便貯金については、当時の一円に対して約六十七セントの換算率で支払いが行なわれている、このように聞いておりますけれども、いまお聞きしたところの国に対する債権の処理、これについてはどういうような対策を考えておられますか。
  32. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 それは大蔵省関係のものですから、私どもまだその検討に入っておりません。
  33. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 それではこれはあとに譲るとして、具体的にこの要請書にあるとおり、戦後の物価指数あるいは貨幣価値の変動を十二分に勘案して処理すべきであると思うわけですけれども、これは当然大蔵省に次の機会に伺ってみたいと思うわけです。もしおわかりになるならその範囲で、政府はここまですでに具体的に考慮しているのかどうか、この辺はどうでしょうか。
  34. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 物価指数の問題につきましては、私はちょうど前に統計局長をやっておりましたので、内地の東京及び鹿児島と那覇との物価関係につきましての調査をいたしまして、指数をつくりましてそれぞれ検討いたしております。その後、現在また関係者が沖繩へ行っておりまして、家計及び物価指数につきまして詳細な検討をいたしておりますので、その結果を十分に参酌しながら今後の諸施策に資していきたいと思っております。
  35. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 二次分についてはまだまだ山ほどお聞きしたいことがございます。いま参考までに二、三の項目を取り上げて、どの程度進んでおるかということをお聞きしてみたわけですけれども、はっきり申し上げて、この時点においてもっともっと具体的な数字等がはっきりしてこなければならぬのではないかと私は思うのですけれども、そういった意味であくまで現地の実情に合った閣議決定を強くここでまず要望しておきます。  ところで、第一次分に戻りますけれども、この第一次分についてさらに若干質問を行ないたいと思います。  現地でもって高瀬大使もたいへん心配をしておられた問題がありまして、その中の二、三を拾ってお聞きしたいわけですが、第一次分の閣議決定の六ページだったと思います。「通貨・金融」の「通貨交換」として、「通貨の交換は、公定の交換比率を基準とし、交換の手続については、県民生活に支障をきたすことのないよう円滑に実施する。」こういうことがございます。聞くところによると、大使が言いましたのは、現在約一億ドルの通貨が流通している、円と交換する場合に、一万円札だけでその重さが四百トンになる、それを貯蔵するところの金庫は百坪のスペースが必要だ、こんなように述べておられたわけですが、事実上これらの通貨に関しては、先ほど例にあげたような一万円札だけではなくて、千円とか五百円ですか、これらも当然必要になってくる。あるいは百円、五十円、十円、五円といった補助通貨も必要だ、こういうように思います。これらの配分を一体どのように考えられるのか。またこういった大金をどうやって沖繩に持っていくのか。ハイジャックなんかの件数がたいへんふえておりますけれどもこういったものをどうやって運ぶのか、安全に運ぶ手段を考えておられるか、だれがそういった場合に警備するのか、こういう問題ですが、これはきょうのところは対策庁長官がお答えできる範囲でいいと思いますが、お答え願いたいと思います
  36. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 まだその点は具体的に検討をいたしておりませんが、この間同じような御質問がございましたときの、うちの大臣からの御返答は、非常な大金を一度に持っていくということで、あるいはまた先ほどのハイジャックの問題等もあるので、それはただいま表にすると、そういうものに襲われるので、まだ発表できませんというような御答弁をいたしておりましたけれども、これはきまりましても、発表しないで、わからぬように持っていくということになるのじゃなかろうかと思っておりますが、その点は銀行及び警察関係が万全の措置をとって持っていくということになると思います。
  37. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これをしいて表にするしないという問題は別として、もうこれは決定ですから、当然、先ほどの二次分の要請の段階で、一次分の要請の段階よりもさらに一歩進んで、閣議決定、四十五年十一月二十日ということで決定された以上は、発表するしないという問題もあるかもしれませんけれども、いまのそういった、なるほどそういうようなスペースも必要だとか、あるいはそれだけの通貨が流通しているという前提で、いろいろと検討を進めてもいただいておる段階だと思うわけです。ひとつその点もつけ加えておきたいと思います。  あと、「道路の通行区分」というのが一三ページのところにございまして、「道路の通行区分」沖繩における車両および歩行者の通行区分は、復帰後も一定期間、現状どおり(車両は右、歩行者は左)とする。」この一定期間というのは、どのくらいの期間、何年くらいを予定しておられるのかということですね。  それから、現実の問題として、これも高瀬大使が一つの問題として提起しておられましたけれども、バスのドアをどうするのか。乗用車なんかのハンドルの問題も当然出てきますね。これらを最終的に本土並みとするならば、どうやって改良するのか、私も非常に疑問に感じているわけです。現在のものは、それでははたして廃車にしてしまうのかどうかということですね。バスなんかの場合、もしそうなれば、バス会社の損害補償はどうするのか、いろいろなことが考えられるわけですけれども、こういった交通問題はどうでしょうか。
  38. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 第一次の対策要綱でその決定を見たのですが、これの切りかえは一定期間ということになっておりますが、御指摘のように、これは相当の準備が要ると思うのです。バスの出入り口の切りかえをしなければなりませんし、道路標識を全部設置しがえをしていかなくてはなりませんし、また高速道路のインターチェンジの改造など、いろいろな問題があります。それと同時に、交通事故の面におきましての、切りかえにあたっての交通教育という面、これは相当たいへんだろうと思うのです。これらの準備につきまして、やはり少なくとも三年くらいは期間が要るのではなかろうかというふうな予想をいたしておりますが、これまた、どれだけの期間を現状のままでいくということにはさまっておりません。三年かあるいは五年か、その点は相当の期間が必要だと思います。しかも、それを一挙に切りかえていくということになりますと、それらの諸準備を全部それまでに完了しなくてはならない。たとえばバスも、右の入り口と左の入り口をつくって、そうしてやっていってというわけにはいかない状態ですので、これはもう一斉に切りかえをやっていかなければならない。これは私たち見ておりましても、バスの新造は、一台四百万円くらいかかるといたしますと、現在沖繩で八百台くらいあるようでございますから、三十二億くらいかかるわけですか、相当の金がかかる。ではそのときにその金を企業が持つのか、あるいは国のほうで持つのか、そういう点をさらにいろいろと詰めていく必要があると思いますので、今後におきましてそのような問題をさらに検討をいたしまして、三年あるいはまた長ければ五年になりますか、しかしこれはなるたけ早く、例の交通の条約もありまして、それにわが国も加盟いたしておりますので、国内の交通は一方に統一しなければならないという条約もございますから、そちらのほうの制限からも、なるたけ早くしなければならぬということでございますので、諸準備と合わせてその期間の決定もやっていくということになるかと思います。
  39. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 バスはそういうことで、かりに、いまお答えがあったような形で何らかの対策を講じなければならないということになりますけれども、乗用車なんというのは、いまは左ハンドルですか、これを右にするのですから、これは技術的にいってもたいへんな問題なんで、交通問題は、これはいまの御答弁を聞いておりましても、何となく沖繩のあらゆる問題を代表しているような気がしてならない。そういった意味で、いずれ検討をいたすつもりでございますということではなしに、一日も早くこういったことと真剣に取り組む担当をきめて推進をしていただかなければならないのではないか、このように思います。  最後に、電信電話というのがここにあります。きょう全部取り上げるわけにいかないので、三つだけ取り上げるわけですが、電信電話のところで「電信電話の制度および料金は、復帰と同時に本土並みとする。なお、沖繩本島・本土間の通話については、復帰後すみやかに自動即時化することとする。」この程度にしか出ていないのですけれども、やはり電信電話に関連しては、赤電話ですね、いま向こうにどのくらいありますか。そしてまた復帰後はどのくらいそれを増設するおつもりか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  40. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 私のところではその点把握いたしておりません。いたしておりませんが、それぞれの担当省であるところの各省では、そういう閣議できまったところの要綱の方針に基づいて、それぞれの具体策はそれぞれの各省庁でやっておりますので、もし何でございましたならば、そちらのほうから現在わかっております状況をお聞きをいたしまして、また御報告申し上げたいと思います。
  41. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 各省庁が握っているということはわかりますけれども、私が聞いた範囲では、現在赤電話は一万二千あるそうです。復帰後はこれを二万ぐらいにしよう、こういうことなんですけれども、各省庁が握っておるからということではなしに、ひとつ対策庁長官としても、全体のそういう動きといいますか数字といいますか、その進行状況といいますか、そういうものを、一年後に復帰を控えた現時点においてひとつあらゆる問題を、これはたいへんだと思いますけれども、握っていただきたい、こう思います。  たとえばこの電話の問題ですけれども、日本円を投入するように切りかえなければいけない。いまはダイムとかニッケルですね、そういったものを入れているわけです。これを日本円に切りかえるのはたいへんな作業です。そういった意味で、これらのことが、先ほど読み上げた今回のこの決定事項の中には何ら触れられていないということも、私のみならず、現地の住民は非常に疑問に思っているわけです。当然これらのこともひとつ考慮していただきたいと思うわけで、こういったことに対していま長官がお答えできないということであれば、また別の機会にひとつ、関係省庁と言われたわけですから、調べていただいて教えていただきたい、このように思います。  きょうは、数多くのテーマの中からほんとうに二、三の具体的な項目を、参考までに、どういうふうに進んでおるかという立場からお聞きしたわけです。このたびの沖繩訪問によって、現地側としても、いままでの要請に比べて、いままで訪問していたときの要請よりもかなり具体的な要望になってきておるのではないかと私は思いました。そういうわけで、きょういろいろと御答弁をいただいて、よくわかる点もございます。しかしながら、もうひとつこの時点において詳しい答弁がいただけるのではないかと私が期待したほどでもなかったのではないか、たいへん残念な気がいたしますけれども、どうかひとつそういった意味において長官も真剣に取り組んでいただきたいということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  42. 池田清志

  43. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 総理府にお伺いしたいのですが、本土産米穀の沖繩への贈与の問題について総理府のほうでわかりますか。農林省ですか。いま本土産米穀を沖繩に贈与といった形で移出されていて、その売り上げ資金は農林漁業を中心にした産業基盤の整備に向けるということになっておりますが、総理府のほうでそういった点は質問しましたらお答えできますか。     〔委員長退席、豊委員長代理着席〕 農林省ですか。お答えできますね。その点について沖繩県民が一番ふしぎに思っているのは、大体年間県民の米の消費は十万トン、その二万トン内外が沖繩で生産されておって、八万トン内外がアメリカとその他の外国及び本土から入れられるものでやっと間に合わしておりますが、非常にふしぎに思っているのは、本土は米が余っている。なぜ沖繩県民の全消費量、すなわち輸入されている八万トン内外を全量入れることはできないのか。これはアメリカとの関係であるのか。すなわち加州米その他相当入っている。アメリカも余剰農産物の処理で困っておる。さらにもう一つは、食管会計の赤字による重圧が贈与の形でやるとますます多くなるので、そういった意味で全量沖繩に入れることができないのかという疑問ですが、四十六年度で沖繩県民の全消費量、すなわち輸入される分だけ八万トン内外入れることができないかどうか、こういった点を非常にふしぎに思っているのですが、どうなんでしょうか。
  44. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 詳しいことは農林省でないとわからない点もございますが、できるだけ対策庁として申し上げられる点を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、本土から沖繩に米を売却いたしております。本土生産者米価、トン当り十五万二千円でございます。これを現地消費者価格を配慮いたしまして、現地におきましてはトン当たり約六万円で売却いたしております。そして売却いたしましたものを、現地において二十年間償還といったかっこうで法律をつくりまして、現地で積み立てをいたしております。それが四十五年度で二十億……。
  45. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ちょっと、その内容ではなくて、なぜ全量入れられないのか、どういう理由があってアメリカとの関係であるのか、食管会計の赤字の関係でか、それだけお聞きすればいいです。
  46. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 御指摘の点御答弁をいたしますと、昨年度約三万トン、本年度は五万トンということで米側とも話し合いをいたしました。それにつきましても、もう少し、これは何も米側というばかりではなくて、欧州米、それから東南アジア関係もございます。要するに外国米との関係がございます。しかしながら、私どもといたしましては、極力この際、本土米をひとつ供与いたしたいということで強くあれいたしました結果、五万トンということでございます。御指摘のように、沖繩でもやはり米に対する消費者の需要が減ってまいりました。約八万トン、それから原地産一万トンとしますと、あとはまあ来年ともなれば本土でもって十分対応できるのではないかというふうに考えておりまして、極力本土米でもって以後は一ぱいにしてまいりたいということで努力いたしてまいる所存でございます。  それから食管会計の赤字の問題につきましては、これは沖繩問題でもございますので、それに本土の食管赤字でもって供与米の量を減らすとか、あるいは価格にはね返らすとかいうことは毛頭考えておりません。関係ないと申し上げておきます。
  47. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、この点についてはやはりアメリカとの関係だけであると見ていいわけですね、食管会計の赤字でないわけだから。
  48. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 極力本土米を用いるようにいたしたいということと、外国産米全般の問題が本年度に関する限りは残っておった。しかし来年度は本土でもって対応するようにいたしたいということでございます。
  49. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 防衛庁、来ておられますか。——それでは私、午前中の質問は主として大蔵、防衛関係に質問するつもりでありましたが、午前中はこれでやめまして、引き続き大蔵並びに防衛庁関係、特に大蔵は、いまの三公社の買い取りその他基地に関係して現在折衝を進めておる問題について、防衛庁には特に軍用地問題、これについてお聞きしようと思っておりますので、ぜひ午後、この両方の担当者に来てもらいたいと思います。  午前中は、これで私の質問を打ち切ります。
  50. 豊永光

    ○豊委員長代理 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時十一分開議
  51. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖繩地域における産業振興開発等のための琉救政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。山中国務大臣。     —————————————
  52. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいま議題となりました沖繩地域における産業振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  御承知のとおり、従来琉球政府及び沖繩市町村の公共施設の整備等のため必要な資金については、琉球政府資金運用部資金を充てるほか、沖繩の市中銀行の資金を借り入れる方法による以外に道がなく、本土資金運用部資金等を貸し付け制度がなかったのであります。しかしながら、本土復帰を控え、琉球政府及び沖繩市町村の財政需要の増大に対処するため、沖繩資金運用部資金等のみによって琉球政府及び沖繩市町村資金需要に応ずることはきわめて困難な状況であります。  このような事情にかんがみ、琉球政府または沖繩市町村の公共施設等の整備並びに公立小中学校の教員及び琉球政府職員の退職手当に必要な財政投融資資金琉球政府に貸し付けることとし、このため、沖繩地域における産業振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法の一部を改正することといたしました。これが本法律案を提案した理由であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  まず第一に、琉球政府及び沖繩市町村の公共施設の整備等に寄与するため、琉球政府が、琉球政府の一般会計または沖繩市町村資金を貸し付けることができるように琉球政府本土の財政投融資資金を貸し付けるために所要の規定の整備を行なうことといたしております。  第二に、これらの資金の使途は、琉球政府または沖繩市町村が経営する企業の施設の建設に必要な資金琉球政府または沖繩市町村が設置する公共施設または公用施設の建設に必要な資金並びに琉球政府の支給する公務員にかかる退職手当に必要な資金であります。  なお、この法律は、昭和四十六年七月一日から施行することといたしております。  以上が、沖繩地域における産業振興開発等のための琉球政府に対する資金の貸付けに関する特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  53. 池田清志

    池田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————
  54. 池田清志

    池田委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘順治君。
  55. 西銘順治

    西銘委員 午前中、復帰対策要綱について対策庁長官見解をただしたのでありますが、大臣が出席しておられますので、その件について大臣の見解をただしたいと思っております。  復帰対策要綱の基本理念は、何と申し上げましても制度等について本土一体化することにあるとわれわれは考えております。昨年十一月二十日に閣議決定を見ました第一次の復帰対策要綱については、基本的な理念といたしまして、復帰に対して生活に不安がないように、また混乱がこないように、特別な考慮をすべきであるという基本に立ちまして、複雑多岐にわたる問題に対する考え方が示されておりますが、これはあくまでも言うなれば概論的な、総論的なものでございまして、具体的にこれがどういうふうな解決を見るのか、第二次、第三次の復帰要綱を見なければわからないのであります。  なかんずく租税の体制の問題について心配をいたしておりますが、もちろん国税府県税市町村税、新しい税目が創設されまするし、できるだけ本土一体化しなければならないのでございます。もちろん、所得税等の直接税においては、私は基本的に大きな相違はないと考えておりまするし、一体化いたしましても混乱はないと思っておるのでございますけれども間接税につきましては、これは綿密に沖繩中小企業保護するという観点から検討されなければならないと思っております。  御案内のように、沖繩中小企業は非常に体質が弱い、競争力に乏しい、合理化されていない。しかも中小企業のほとんどが市場を沖繩に持っておりまして、沖繩市場のシェアを七〇%、八〇%持っておるのでありまして、これを単に本土産品の移出規制と申しますか、本土からの移出規制によってこれが保護されるというだけでは、われわれといたしましてはまだ十分な対策ではないと言えるのであります。  現在、沖繩中小企業を例にとってみましても、いわゆる物品税輸入税保護されておる品目が十五品目、それから貿易輸入公表によって、輸入数量規制によって保護されている品目が約十一品目、それから酒類消費税、砂糖消費税措置によって保護されている品目が四品目あるわけでございます。したがって、これらの四品目については、本土からの製品の移出規制と同時に、税制の面において、品目によってはある程度の期限を限って三年なら三年、五年なら五年を限って、関税定率法あるいはその他の物品税、消費税等特恵措置保護する必要があるのじゃないか、かように考えているわけであります。  たとえば、大正元年八月に制定されました樺太酒類出港税法がありますが、この税法の八十四条で沖繩県において製造するしょうちゅうの、酒類の造石税は、当分の間左の税率によるということで保護されております。本土におきましては、四十五度を越えたるものについては一石当たり四十八円の課税に対しまして、沖繩の場合は三十三円で保護されておりまして、その残につきましては出港税でこれを沖繩から移出するときに課税するということになっておるわけでございますが、本土からの移出数量規制によるだけでなく、品目によりましては税率の面で、暫定的な税率を考慮しなければ沖繩中小企業保護されない、こういう考えを持っておるのでございますが、これについての長官の御見解をお伺いしたいのであります。     〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
  56. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまその問題は一番の問題点として議論をしておるところであります。琉球政府側並びに立法院を含む県民会議等の沖繩県民の間の議論としても、賛否両論、いまだ結論を得ざる状態にあると判断をいたしておるわけでありますそれもたいへん現実的な問題として議論がされておりまして、ただいまあげられた十一、十五、四、合わせて三十というような品目それぞれに問題がございます。国税、県税、市町村税までは何とか調節可能なものは調節する限りにおいて実行できるとして、問題は、間接税関税というものに非常な問題があることは私も承知いたしておりますし、できれば税そのものによって、ただいまあげられた旧沖繩産しょうちゅうといえば、実体は泡盛でありましょうが、それに対してとられた措置に類するような措置税制上とれないか、ただ、しょうちゅうとかビールとかいうだけでは、まだ品目全体に対しての理論構成ができませんので、全体に対してどのような措置がとれるかについて非常に検討してみました。税制上で、さしあたりの間接税としては十六品目、あわせて、数量規制等も行なっておる品目を入れても二十六、さしあたり、これを全部税制で処理できるかどうかについては、私ども自体甲論乙駁を繰り返しておるわけですが、それらの問題点等を詰めてみますと、非常に困難性がある。ということは、ただいまのような、一つの、沖繩におけるしょうちゅうというような例のとおりのそういう措置品目によってはとり得るものもあります。しかしまた、品目によっては、そのようなことをやってみても、税理論上も、実行上も非常に困難であるし、ことに鹿児島県の一番最南端の奄美群島の与論島よりか、緯度の上ではむしろ北のほうになる伊平屋、ほぼ同列の伊是名というような関係のところは、県が違うからというので、その島に持ち込んだ場合には課税される。与論島までは非課税である。場合によっては、与論島そのものと、すぐ目と鼻の先にある場合において、当然密輸その他が考えられるわけです。このようなことを考えますと、それぞれの島に全部また職員を配置して、監視の目を光らせなければならぬというような実態論等もございまして、現在の沖繩に、現在の体制下に入っておる競争関係にある企業の製品にかかるものについて、数量規制というような考え方でいけないものであろうか、これには、今度国内の業界からすでに反対の火の手が上がっておりますから、反対の火の手がきびしいということは、それだけ効果があるというようなことでもあると私は見て、反対電報や陳情書を見ておるわけですけれども、そのような方法のいずれをとるにしても、問題は沖繩の県内において政府の形をとったために、本土と隔離されたために、企業というものが自力で今日の地位を築いて、いわゆる既存産業というものがあり、それを守らなければならないという一方の大義名分のためには、沖繩の人たちの一般消費者に、ものによっては高い生活必需物資に近い関連物資を買うことを余儀なくさせるという問題が一方にあります。この点は、いずれを選択するか、やはり非常にドラスチックなやり方になるわけでして、そこらのところが、広く沖繩の人たちが、いずれのほうがよりいいか、そのためにはいずれはしのぶかという選択の問題としていま相談をしてもらっているわけであります。  さらに、その数量規制、これも実効を期し得るかという問題は非常にむずかしいのですが、それに加うるに、税率についてもさらに考えてみろという話でありますから、これもまた検討の対象として作業もいたしておりますし、あらためてまた御提言として検討してみます。  さらに、関税にかかるものについても、沖繩の風土になじんでいて、たとえばランチョンミートみたいなもので、学校給食等にも取り入れられる。ところが本土のほうは、そういうものはあまりありませんし、たいして必需品だと思っていない。しかし現実には、沖繩にはそれが浸透してしまっている。ところがそういうものを非課税で入れた場合、あるいは本土と異なる税率で優遇した場合に、それらのものが、いわゆる税差を求めた投機の対象にならないかというような問題等もありますが、要するに、加工用原料、材料等については、今後も沖繩地域については、厳重に横流れを防ぐことを何らかの手段でチェックしつつ、現在の沖繩物品税制度というものを関税に置きかえて特例を置くことができるのじゃないか。原材料に重点を置いて考えているところでございます。
  57. 西銘順治

    西銘委員 御案内のように、沖繩の税体系が本土と非常に異なっておりまして、観光政策の上からとられた措置であると考えておりますが、生活必需品と同じように、奢侈品、ぜいたく品に高率の課税がなされておりまして、本土の体系とだいぶ違っておるのですが、ただいま検討中ということで、私たちといたしましても、特に関税の面については、これからもっともっと検討を加えていかなければならないと考えておりますが、さしあたって、既存中小企業の原料の面について保護しなければ、勢い高い消費物資を使わなければならないことになるわけであります。政府配慮によりまして、米につきましては食管法の特別措置で安い米を食べておるわけでございますが、これは午前中の委員会でも申し上げましたけれども、たとえば大豆を例にとってみますと、年間沖繩で一万四千トン大豆を輸入しております。これはみそ、しょうゆの原料になっておりますが、そのうち七千トンがとうふの原料として使われておるわけであります。これは現在非課税でございますが、これが勢い、中共産あるいは米国産の大豆を輸入いたしますと、トン当たり、中国産の大豆を使いますと四千八百円の課税になりますし、またアメリカ産の大豆を使いますと二千四百円の税になる。したがって高いとうふを食わなければならない。沖繩におきましては、とうふは食料品の中でも相当なウエートを占めておりまして、米と比較いたしまして高いとうふを食うような結果になりはしないか、こういうことで、もちろんいつまでも本土税制を異にしてもらいたいということではないのでございまして、三年なら三年、四年なら四年に限って、中小企業の原材料については特別な御配慮をいただきたい、こういうことでお願いを申し上げているわけであります。この原材料の輸入について、大臣はどういうふうにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
  58. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私が先ほど、原材料はなるべく現在の状態でおきたい、横流しその他の防止手段を講じつつ、と申しましたのは、まさに大豆どもそれに入りましょうし、場合によっては麦なども考えなければならないものの一つであるかと思いますが、要するに、一般大衆に対して供給される製品の原材料ということにやはり重点を置いて特例を設けませんと、現在沖繩に置かれている特例を全部そのまま関税の特例にするというと、関税というものは、内国税ではありますけれども、ブラッセル関税表に基づく国際的な統一された税でもありますし、日本がどう関税定率法を改正したということは、外国に対してどういう姿勢をとったかということを示すわけですから、そこらの点を配慮しなければならないと同時に、日本の国内で、一部の地域についてのみ適用される関税というものは、これはたいへんむずかしいものですから、そこらのところは積極的な意欲をもって取り組んでおります。取り組んでおりますが、琉球政府のほうも、あるいは県民会議や立法院の意思等全部を含めた意向等も、まだ最終的に詰まっておりませんので、別段急ぐわけではありませんし、拙速で、もしあやまちをおかしてはなりませんし、悔いを残さないように、十分時間をかけて合意点に達するように努力しますが、ただ第二次復帰要綱を、一部税制等で詰まらないからといって、いつまでもきめないでおきますと、やはり国税、県税、地方税、そういうものも含めて、税の問題がひっかかるわけですけれども、その他の数多くの問題点がいつまでも沖繩県民の前に明らかにされないで、そして自分は、あるいは自分たちの業界、自分の商売は、という立場からの見通しが立たないという状態は、あらゆる面にマイナスの効果を及ぼすと思いますので、第二次要綱は、ゆっくり合意を待つにしても、今月中旬、十九日ごろの閣議にはしたいと思っておりますが、これも急いではやりません。しかし、きめなければならないその他のことがいっぱいございます。でありますから、場合によってはそういうものは第三次分に回しまして、それをさらに悔いのないように詰めていくということで、場合によっては税制は落として、ほかのものをきめていこうと考えております。これは軽視するわけではなくて、重視して三次に譲るということであります。
  59. 西銘順治

    西銘委員 最後に二点だけ大臣にお伺いしたいのは、国の出先機関を沖繩に総合的に一カ所にまとめまして、関係各省庁の事務を処理する。これは沖繩側負担をなくし、また事務の面で非常な簡素化をはかるというのが趣旨で構想されておるものであると思いますが、これについての大臣の見解と、さらに、沖繩の経済開発のために相当な資金量が必要とされるわけでありますが、この資金量を確保する点からいたしまして、現存するところの政策金融機関からの融資をそのまま認めて、沖繩でそれ以外のプラスアルファという形での総合政策金融機関を考えたほうが沖繩のためになるのか、そうじゃなくて、資金量を確保する点においても、また融資条件を沖繩に適したように暫定的に考慮するという点からいたしましても、どちらがいいのか、御助言をいただきたいと思っております。     〔大村委員長代理退席、豊委員長代理着席〕
  60. 山中貞則

    ○山中国務大臣 率直に考え方を述べると、これも税と同じように、どちらがよろしいかを判断ししてもらっているところです。私自身は、復帰後も沖繩県に対して特別の窓口、場合によってはけつをまくる相手方というのもやはりいなければいけませんし、また別な言い方をすれば、めんどうを見る窓口があったほうがいいというふうに思っていますから、出先の機関は、同時に復帰したときの沖繩県に対して、本土政府の中に特別な開発庁みたいなものを置くか置かないかの議論にも表裏一体の問題としてつながってくると思います。ただ、この問題は、本土の中央権力というものが沖繩県の地方自治に対して侵害してくるのではないか、妨げになるのではないかという基本的な議論が存在しております。やはりこの疑問には私たちはこたえる責任があると思うわけです。それで、私がいま沖繩側に対して説明いたしておりまする考え方は、かりに何もつくらなかった、そして本土並みの県の形で復帰したという場合には、昭和四十七年度予算までは私どものほうでお世話をいたしますから、本土の予算がきまりますときに、沖繩県だけ本土の各県と違って、来年度予算は六百億二千万である、その内訳は財投の百四十億でどうだどうだというように、中がはっきりとわかるわけですね。ところが、そういうものがないと、各県並みということになると、どういうことかといえば、たとえば交付税に例をとっても、特別交付税は第四・四半期に決定されるのがほぼ通例でありますから、各県においては、交付税についても、あるいは大蔵折衝の段階で個所と金額と補助率のきまったものは、確定したものとして当初予算に各県組み込みますけれども、あとの配分にかかるものは、おおむねの趨勢と見通しというもので組んでいるわけです。そうすると、国が一体幾ら責任を沖繩に持つかということは、ほかの県並みにぼけてしまいますから、復帰後の沖繩県の職員の人たちは、それぞれ農林、建設、運輸、通産、厚生というふうに、分かれ分かれに予算折衝の陳情ももちろんされなければなりませんし、でき上がった本土の予算のときにおいて、沖繩県復帰第一歩の初年度の予算は幾らになったかということが、少なくとも第四一四半期まではわからないという形になるのを私は非常におそれますし、沖繩の人たちも、それでは、出発の年において自分たちの予算が本土の責任で幾ら見られたか、それは今後どのような年次計画によってふやされていくものであるか、総体の計画資金量なり、あるいはその年度ごとの予算量というものが、琉政自体の、沖繩県としての作業結果の推測でしか出ない、これではたいへんでしょう、そこで開発庁というものがあったほうがいいと思います、ということを言っております。出先機関については、これはやはり国の許認可業務あるいは住民を保護する立場等の、国独自の責任において行なう仕事を本土並みにいたしますと、沖繩は距離的に非常に離れておりますから、サービスの面において沖繩の人々が非常に不自由されるだろう、したがってそれらの面を集約して、沖繩のほうに出先機関も一つにまとめて、沖繩開発庁の出先機関たる国の統合された事務局というもので便利になるのじゃないでしょうか、ということを申し上げているわけであります。ここがすなおにおわかり願えるかどうかの問題だと思っております。私としては、沖繩県のためにぜひそうしたいと思っておりますが、そういう合意が得られますかどうか、得られない場合はそれを強制して押しつけるつもりはございません。  それから、金融機関については、沖繩振興開発公庫というものをつくることに両者合意いたしましたので、この点はたいへんありがたかったと思っておりますが、これについては、もちろんいま言われましたガリオア資金等を含んでおる、沖繩政府所管の開発金融公庫の資金も全量それに投入することはもちろんでありますが、これに対しまして、本土中小企業分野に至る一連の金融機関の金融を全部そこに統一した窓口として、沖繩のために特別ワク、そして特利、特別条件というもので、それぞれの金融機関が、沖繩に対する特例措置金融の面でもはっきりできるようにというつもりでおるわけであります。しかし、この対象外に、たとえば公害防止事業団みたいなもので単独に融資業務も行なっておる、あるいは年金福祉事業団とかいうもの等はこの中には入れないでやったほうが、たとえば開発庁がそういうものに対して、沖繩側のほうへ、めんどうを特別に見るような措置をしたほうがよろしいのではなかろうかと考えておりますので、予想される金融機関は開発銀行から始まって国民金融公庫に至る、中小企業金融公庫等を含めたあらゆる国の金融機関というものが入ります。第三者的な、別の性格のものとしては、農林漁業の系統資金というものが、これはやはり別の団体の正当な系統金融機関として、これもまた加勢しませんと、漁業なんか資金力も非常に薄弱でございますから、農林中金の特別な援助が要ると思いますが、その三本立てみたいな形になるのではないかと思っておりますが、この点はほぼ合意を得ましたので、できれば切り離してでも第二次要綱の中に入れたいと思っている次第でございます。
  61. 西銘順治

    西銘委員 最後に、米国管理資産の引き継ぎの件について大蔵省にお伺いしたいのであります。  たびたび外務委員会、また当沖繩特別委員会におきまして、外務大臣が、米国資産を買い取るのではなくて引き継ぐのだ。買い取りと引き継ぎとどう違うのかよくわかりませんけれども、要は有償であることには間違いないわけであります。この米国の資産の件につきまして、われわれとしては、施政権者として当然の義務費を支出しただけであって、沖繩住民はそれに対する債務を負わないということになるわけでございますが、それを本土政府が肩がわりして引き継ぐあるいは買い取るということになるわけでございます。このガリオア資金内容につきましては、一九五〇年十二月五日付のスキャップの琉球列島米国民政府に関する指令の中で、結局疾病、不安あるいは経済発展のために使用される合衆国資金について、琉球住民はこれを支払う何らの義務も負わない、こういうはっきりした指令が出ているわけであります。それだけではありません。一九五三年八月十七日付で、コンプトローラーゼネラルのディシジョンとして、結局資金の性質からして、アメリカが琉球住民にかわってこれを受諾するという形になっておるということがはっきりいたしております。また、米国議会議事録をとってみましても、繰り返し次のようなことが言われている。すなわち、この資産については琉球住民のために使用さるべきものであるということが言われておりまするし、一九六二年八月八日の米下院歳出小委員会におけるパスマン委員長の質問に対しましてエールズ陸軍次官の証言等から見ましても、これはあくまでも当然の支出で、施政権者としての義務費を支出したにすぎないのであって、これを何もわが日本政府が肩がわりして支払う必要はないじゃないか。したがってお聞きいたしたい点は、おそらくこの返還協定の中で米国管理資産引き継ぎの問題が出てくると思います。返還協定の柱になるのか、また交換公文その他の付属文書で取りかわされるか知りませんけれども、そういう債務はなくても、そういう取りきめがあれば資産を買い取るというのであれば——引き継ぎでもけっこうです、たびたびの米国議会における証言、あるいはいまのスキャップ指令等を見まして、琉球住民はこれは支払う義務はありません。それにかわって本土政府が払うことになりますと、復帰に対しまして膨大な資金が要る。財政投融資の面からいきましても、特別政策金融機関の増資の面からいきましても、相当な資金量が要る。こういう時期に損をしてまでなぜ資産を買い取らなければならないのか、なぜ引き継がなければならないのか。こういうことで一体この義務費について大蔵当局としてはどういうお考えなのか、トラスティーということばはどういうふうに解釈されるか、お聞きしたいのであります。
  62. 前田多良夫

    ○前田説明員 ただいまの御質問の第一点でございますけれども、買い取りということを私たちは避けております理由は、まず沖繩におきますところのいろいろな資産につきましては、これは施政権の返還に伴ってアメリカが置いていくわけでございますが、その中には、先ほど来御指摘のありましたような資産、たとえば三公社あるいはその他の建築物、軍事基地外の道路、あるいは航路通信の援助施設、こういったような資産につきましては、これは返還後も沖繩にとって非常に有用有益である、こういったような観点からいたしまして、これにつきましてやはり評価を行ないまして、まあ支払いということもあり得ると、こういうふうに考えておるわけでございます。基本的にそれを買い取るということでないということは、そういう意味におきましてなぜ支払いが行なわれるかという点が、つまり返還後やはり沖繩にとってそれらの資産が有益である、こういう立場から日本の政府といたしましてそこに何がしかの支払いを行なったほうがいいのではないか、ただ全部をがめつく取ってしまうというようなことでは日米間の公正公平な解決にならないんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから第二点におきまして、しからばそういうような資産について御指摘のようないろいろなことがアメリカ側において言われておるじゃないか。たとえばおっしゃいました五二年のスキャップの指令とか、あるいは五三年のディシジョンあるいは六二年の陸軍次官の証言というような、至るところでいろいろと沖繩の住民のためにこれらの資産は使うと言ってきたじゃないか、こういうことでございます。私たちもそういう証言があるということは存じております。それでこれらを、まだそう詳しくというわけではございませんが、いろいろ検討はいたしておるわけでございます。確かにこれらの資産が米国の施政権下にある間におきまして沖繩の住民の方々のために使うという気持ちで、そういう立場でそれらの資産をアメリカ側が運用してきたということは、これはもう否定できないことだと思うわけでございます。しかし問題は、そういうものが今度は施政権の交代という時期にあたりまして、はたして先ほど申しましたようにこれを、そういう有用な個所のあるものをただで引き取ってしまうということが公正公平であろうか、そういう立場からやはり考えていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで、先ほど御指摘のトラストというようなことばでございますけれども、これはやはり前後のいろいろな文脈をとって趣旨をよく読んでみますと、法律的にこのトラストということよりも、むしろそうではなくて、やはり沖繩方々の利益になるようにこれを運用しなければいけないんだ、そのほかのいろいろな軍事目的とかあるいはその他の目的にそういうものを利用するようなことがあってはならないのだという、一つの精神的な気持ちをそこにあらわしているというふうにとるべきではないか、こういうふうに考える次第でございます。
  63. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっと前田審議官の答弁で誤解を生ずるといけませんが、日本政府のほうからぜひ金を払いますよということを申し出たわけじゃないのでございます。これは、アメリカが施政権を閉じて引き揚げていく、そしてただいまのようないきさつでもって沖繩側沖繩住民のために今後使用される施設が残る、残ることについて評価をしてそれを引き継いでくれ、いわゆるアメリカ側の希望に対して、大蔵省が向こう側が要求しないものを出すような、そんな甘ったれた役所じゃないことは皆さん御承知のとおりでございまして、けちとけちとがいま勝負をしておるわけでありますが、そういう意味では彼はいま事務的な説明をいたしましたので、日本政府の意思でもって買い取りを申し出たかのような印象を受けられるとたいへん誤解を生じます。そうじゃありませんので、アメリカも最近はたいへん予算上その他がめつくなりまして、そういうものを、過去の経緯はいろいろあったけれども、とにかく幾ばくかの金をくれという交渉が行なわれておる。それに対して日本政府側も、大蔵省対財務省の話でありますけれども、幾ばくかの金は、住民の幸福のために必要であるという施設については、評価をして払わざるを得ないだろうという追い詰められた立場で交渉している。ただしこれは本土政府がどのような理由で交渉して金を支払ったにしても、これはもう完全にその趣旨のとおり沖繩県民のためにのみ使われるものとして残されますし、その買い取った価格は、引き継いだ評価は幾らでありましても、それを沖繩にお渡しするときには完全に無償であるということは、沖繩県民のために本土政府が当然約束すべきことでございますから、その点結果は同じであると思うわけでございます。
  64. 西銘順治

    西銘委員 この債務の性格の問題についてでございますが、私たちの調べたところによりますと実際正確に債務とされる金額は、電力施設建設のために電力公社がアメリカの財務省から借り入れました約一千二十四万七千ドル、これと開発金融公社が行なった余剰農産物借款がございますが、それが七百四十一万二千ドル、合計一千七百六十五万九千ドル、これだけがわれわれの調べでははっきりした債務になっている、こういうようになっているわけでございます。またこのガリオア見返り資金によって造成されました三公社でございますが、これはわりあいにいま良好な状態で維持、管理されておりまするけれども、この幾つかのゼネラルファンドの内容について申し上げますと、このゼネラルファンドの中で実際にアメリカのタックスペーヤーの負担による分は千五百二十五万一千ドルでありまして、残りの九千四百四十九万七千ドルは沖繩で増殖された形になっておるわけでございます。  そこでお願いしたいことは、元本の支払いならまだしも、九千万ドルの果実についてまで支払う必要はないんじゃないか、できるだけ値切っていただきたい。復帰を控えて沖繩の対策費が、財政投融資の面からも援助額の面からも相当の資金がなければ沖繩の建設はできないわけであります。そこへもってきまして、アメリカが当然施政権者として自分一人で支払ったものをわが国がまた買い取る、あるいは引き継ぐという形でやられたのでは、何かしら沖繩を売買したような形になりはしないか。アメリカがアラスカを買ったような形になって、沖繩が、沖繩の施政権返還というものが売買されたような形にならないように、また損をしないように、しっかり値切っていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  65. 豊永光

    ○豊委員長代理 関連質疑の申し出があります。これを許します。大村襄治君。
  66. 大村襄治

    ○大村委員 私はきょうは、ただいま提案されました産業振興開発等のための資金の貸し付けに関する特別措置法の改正案についてお尋ねしたいと思って来たのでありますが、時間がわずか五分でございますので、三、四点お尋ねしたい点をまず申し上げますから、総務長官はじめ関係の方から簡単な御答弁をいただきたいと思います。  まず総務長官にお尋ねしたい点は、総務長官は最近の内閣委員会で、振興開発に関する特別立法を第二次復帰対策要綱に織り込む考えであるというようなことを言われているようでありますが、島民の関心の深い問題でございますので、その骨子を明らかにしていただきたいと思います。  第二点は、この資金の貸し付けに関する法律を見てみますると、琉球政府沖繩市町村の行なう公共事業や公営企業資金の貸し付け本土の財投からするということでございまして、これは県民多年の待望のことがようやく実現するということで、はなはだけっこうであると思うのでございますが、本土市町村に適用される地方財政法の地方債の規定と比較してみますると、災害対策費や災害復旧費のようなものが、この法案ではどうも対象になってないようでございます。沖繩のように台風常襲地帯、ことし大災害があるかどうかわからぬのでありますが、もし近いうちに大きな災害が起きたような場合には、そういったものをさらに対象に加えるお考えがあるかどうか、先のことでございますが、あらかじめお尋ねしておきたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、退職金が起債の対象になるようなことであります。およそ退職者の予定数はいまのところどのくらいあるか、これをお尋ねしたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは、提案趣旨説明にもございますが、沖繩の市中銀行の資金を借り入れる方法による以外に方法がないということをお認めになっておるのでありますが、最近現地を視察してみますと、コザ市をはじめ市の民間からの借り入れ金が非常に巨額にのぼっております。コザ市では、自分の会計だけでも二百万ドル、同市の教育区においてはそのほかに数十ドル、これが非常に利息も高く条件も悪いということで、復帰後すみやかに本土の低廉な財政資金に切りかえていただきたいという要望が非常に強かったのでありますが、こういった問題について今後どう取り組まれるお考えであるか。  以上四点についてお尋ね申し上げます。
  67. 山中貞則

    ○山中国務大臣 振興開発特別措置法というのは、これはただいまいろいろと特例措置を、法律で実質を伴うもの五百七十数件等詰めておりますもの全体が、おそらく表題としては沖繩開発のための特別の立法ということになると思いますが、やはり別途また経済発展計画に対応する特別措置法等が必要となるかもしれません。これらの問題は二次要綱に入れる入れないの問題ではなくて、現在詰めておる作業は、沖繩振興開発のための特別立法というものの柱を一本ずついま築き上げているところであるというふうに御了解を願いたいと思います。  さらに、今回の、ただいま提案理由を読み上げました交付税の措置の中で、災害に対する措置がとられていないのは事実であります。しかしながら、過去においても、災害がありますと、琉球政府に対して、当然本土のほうからめんどうを見てまいりましたし、昨年のように災害のなかった年は支出をしておらないというようなことでございますから、もし災害等がありました場合には、交付税的なものでなくて、直接本土のほうから、一般会計を通じて沖繩のほうへ、いわゆる沖繩復帰対策費を通じて、足らなければ予備費その他を使ってでも支出する体制をとっておきたい、これはいつでもやらなければならないことだと思っております。  それから退職金の起債でありますが、これは勧奨の退職を行ないます際の退職債でございます。沖繩における教職員の実態等は、ことに高齢、高給者が多うございまして、先生方も高齢者は退職したがっていらっしゃるわけです。その声もなまに聞きました。ところが勧奨退職の際の割り増しの退職金について財源がない、琉球政府もないそでは振れないということで、どうも沖繩における教職員の新陳代謝が行なわれていない。これは教育現状から見て、本人たちもやめたがっていらっしゃるのに、財源がないだけだということでございますので、この大蔵折衝は起債については相当苦労いたしました。結局、沖繩の実情をわかってもらいまして、小中学校について四百十二名の勧奨退職に要する起債を充当することにいたしましたし、その他の一般職員あるいは高校職員、警察官等の職員につきまして六百三十三名分の勧奨退職に必要な財源を起債として見込んだということでございまして、これは琉球政府側も、関係団体としても非常に喜んでいらっしゃるようでございます。  それから市町村債の問題は、私も各市村町で千差万別に近いいろいろなものを拝見しました。ある町役場はりっぱなものが建っておるので、私うっかり、りっぱなものだな、よくこういう建物が建っておるものだなとほめたのですが、それは起債でまかないました、起債とは一体だれを相手に起こしたのか、それは市中銀行でございます、そうすると償還条件はどうなんだ、それは一般の金融と同じ金利で五年償還でございます、しかも担保物件もとられておりますということを聞きまして、たいへん気の毒に思いました。役場の庁舎を鉄筋にしたからといって、その鉄筋が収入を生むわけではありません。それを五カ年間で償還させられる沖繩市町村というものが、本土市町村に比べて、起債市場をほとんど持ち得なかったということについてどのようなつらい思いをしておられるか。これらは復帰をされました後にはすみやかに肩がわり等の措置も起債でしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  68. 大村襄治

    ○大村委員 以上の諸点についてさらに御検討要望いたしまして、私の質問を終わります。
  69. 豊永光

    ○豊委員長代理 安井吉典君。     〔豊委員長代理退席、大村委員長代理着席〕
  70. 安井吉典

    ○安井委員 きょうは法案が出ていますので、法案に関して、あるいはそれに関連してのお尋ねをしてみたいと思いますが、その前に、今度私ども沖繩に渡りまして、復帰が間近になった現地の実態に触れてまいりました。またいろいろお話も聞いてまいりました。そういう中で、政府アメリカと進めている協定の内容がよくわからない、さて一体どうなるのだろうか、こういう不安も十分あるようです。さっき西銘さんからも資産買い取りの問題がございましたけれども政府のほうはそれは買い取りでないと言っても、お金を払わないでもらうやつはこれはただでもらうのですけれども、お金をやってただでもらうのは、普通は買い取りと言うわけです。政府はどう言うか知らぬが、一般のわれわれの常識では、買うと言うわけです。     〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 そういうふうないろいろな問題をめぐって内容が明らかにされていない、何か秘密裏に進んでいるのじゃないかという不安、これがどうもあるようです。これはひとつ外務大臣がこの次お見えになったらまたお尋ねをしていきたいわけでありますが、同時にいわゆる国内法的な措置についても、やはりどうも内容がはっきりしない。これは日本政府のほうもあまりオープンじゃないし、琉球政府のほうももう少しオープンに問題を県民の前にさらしながら話し合いを進めてもらったらいいのではないか、こういう考え方もあるようです。ですから私は外交交渉の側面をきょう取り上げるのではなしに、国内法的な措置といいますと、つまりいまは第二次の対策要綱の話し合いの最中ですし、これからあとも第三次というふうに続いていくということだそうでありますが、そういうような内容を、もう少し資料をどんどん国会にもあるいは一般にもお出しになりながら進めていっていただくということが大切ではないかと私は思うのですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  71. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ごもっともだと思います。ところで、ごもっともをやりました場合、こういうことを私はおそれるわけです。琉球政府のほうにお伝えすることは何も隠しておりませんから、琉球政府が向こうで、自分たちはそれに対しては反対を主張してきたとか、自分たちの意向はこうだという意味でオープンにされることは、とめておりません。ですから県民会議その他に全部議論を求めておられると思うのです。ただ、私どものほうで一方的に、本土政府はたとえば復帰後は沖繩県というものが誕生してもなお沖繩県のために沖繩開発庁を置く、国の出発機関を統一、一元化されたものを現地に設置するというようなことをかりに先に発表するとしますね、これは国会のこういう議論の場ではそういうことも一つ検討をしておるという話はしても、それは断定的に沖繩に押しつける議論ではないと思いますが、これは発表するような形をとりますと、それに対してまだ有効な意見が統一されておりません。そうすると、われわれの自治というものを本土の中央集権的なもので押えるのではないかという一部の不安というものに対して、何ら回答しないままで一方的に押さえつけにかかった、また押さえつけるような形で発表する。しかもそれが決定ということになって、納得しないままに閣議決定等に持ち込めば、これは県民の意思に反するものを本土権力によって決定されたという、そういうことにもなりかねない。そこは私の非常につらいところでありまして、隠す気は毛頭ありません。したがって、琉球政府との話し合いにあたって、琉球政府に向こうに持ち帰られて、秘密にしてくださいなんということは言った覚えはありませんし、向こうでそれぞれ項目については、オープンの県民会議にかけて議論しておられるわけでありますから、むしろその声を聞き取って、それで私たちのほうで、最終的にこれが沖繩のためにも、そして本土沖繩との合意を得たものとしてよりよいものである、あるいは次善の策であるというような立場をとった後に決定したものとして発表したほうがいいのではなかろうかと考えて、そういう措置をしているわけでありまして、私自身は、外交折衝の途中で明らかにできないような、そういう拘束は何もないわけでありますから、どんどん発表していってしまってもいいわけでありますけれども、先ほどの税の問題一つとりましても、本土政府がこう考えておるといっても、それはしかし一般消費者の立場はどうなるんだということについては何も考えてないじゃないかということを言われるおそれもあるわけです。そこらでよく討議を重ねていきたいということを考えておりますので、これはこだわってはいませんし、私はいつでも御質問にはどんどん答えていくという態度をとってやっておるわけでありますから、本土政府が形式的に発表をするということはなるべく避けたほうがいいのじゃないかという気持ちに立っているだけのことでございます。
  72. 安井吉典

    ○安井委員 いま税の問題もございましたけれども国税、地方税を通じ直接税は、問題はないわけじゃありませんけれども、それほどはなかろうと思うのですが、間接税ですね、これがやはり大きな問題になるわけで、これもこの両方の、もっとも間接税の問題も向こうでいろいろお聞きした話をきょうも大蔵委員会で堀昌雄君から、ちょうど関税定率法がきょう上がる日だったものですから、大蔵大臣に質問をしてもらって、大蔵大臣からも、先ほど山中長官がおっしゃったような措置の答弁があったようでありますが、これなどもやはりある程度内容が明らかになると、県民の世論というものがぱっとわいてきて、まあいまのようにあまり急がずに、第二次には落としても第三次でもいいじゃないかということに私はなるのじゃないかと思うのですよ。これがこちらの政府もそれから向こうの政府も全く外部に漏らない形でやって、合意をした、閣議決定、それが発表されてからこうなったではたいへんなんですよ。だから私は、何もかも日本政府が一々態度がきまったらぱっと発表しろ、こう申し上げているのじゃないので、問題点のきびしい、特にきびしい県民世論の起きそうなそういう問題については、やはり県民の前に一回さらして、どういうかっこうでもいいですけれども、国会の答弁を通してでもいいですが、それをさらして、賛否両論がぱっと出てくる、その結果を見てから最後交渉、決定、これでいいのではないかと私は思いますので、そういうような意味で申し上げているわけであります。ですから国会に対してもできる限りいろいろな資料もお出しいただくということもひとつお願いを申し上げておきたいわけです。  第二次要綱はいつ決定されますか。
  73. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまの前段の御意見に対してですが、私も反対ではありません。ですが、直接税についても、やはり沖繩にはいま県民税がありませんですね。そうすると県民税を起こす。沖繩の、琉球政府税制審議会の答申でも、一応復帰時点からそれはいいということになっております。おりますから、これは簡単なようですけれども、やはりない税を新しく起こす場合、これが普遍的に一般大衆に、安くても均等割りでかかっていくわけでありますから、所得税等においては当然本土並みになれば負担が軽くなりますけれども、総体的に比較して全体の個人のふところについては本土並みにした場合にどうなるかという問題を検討しますと、やはりそう問題がないとも言い切れない。あるいは電気ガス税も新しく創設をしなければなりません。かといって、離島その他には時間送電がありますから、離島については時間送電の率に応じてやはり電気ガス税は軽減をしなければならないでしょうし、いままで沖繩の人たちは、自分たち生活の煮たきあるいは夜明るくするのは当然のことだし、テレビを放送時間は見たいならば見れるという、そういうときに税金がかかってくるんだということは、やはり一つの大きな新しい負担感というものを不特定多数の県民に与えることになるわけであります。そういう意味でやはり慎重の上にも慎重を期して、たとえば離島等における時間送電等については、その率あるいは金額等について特別措置を講ずる、そういうことをしなければならぬと考えておりますので、これは一つずつ疑問点を聞いていただければ、私隠しませんので、何でも仮定の議論として答弁をいたしますから、そういうつもりで、文書で出せと言われますと、やはり本土政府のほうは文書でこういうふうに書いて印刷して出したじゃないかという、本土政府の姿勢というものを、また受け取られ方が変なふうに受け取られても困りますから、私としてはフランクに何でもお話をいたしますということでお許しを願いたいと思うのです。  それから第二次の要綱をきめまする日の予定は、一応十九日の閣議というつもりでおります。  ところで琉球政府のほうで先般知念副主席、瀬長復帰対策室長、富川総務局長等首脳部がそろって来られて、第一次の意見交換をやりました。その前に当方としては田辺調整部長を派遣して一応打ち合わせをしておりますが、その結果、やはり沖繩側はもう一ぺん持ち帰って話をしたいということで、十一日に上京して打ち合わせという予定でございましたが、どうもそれが少し延びておりますので、場合によっては十九日が間に合わないということがありますけれども、なるべく早く発表したほうが県民のためにいいという内容が一ぱいございますので、合意を得ていくものですね、そういうものについては切り離して、十九日に決定を見ようかなという気持ちも一部あるわけでありますが、これも何もそれを二十日過ぎにやっても別段差しつかえないわけでありますから、一応のめどは十九日の閣議ということにしておりますが、これはきわめて弾力的に進めていきたいと思います。
  74. 安井吉典

    ○安井委員 国内法的な処理でありますが、いわゆる暫定措置とそれから特例措置ということになると思うのです。そのほか協定に基づいて必要な問題も出てくるかもしれませんが、その法律案は、いままでの長官の御答弁によりますと、六百本ぐらいの法律に関係が出てくるのじゃないか、こう言われるわけですが、暫定措置法、特例措置法というふうな二本にされるのか、それとも六百本全部一本ずつの法案にされるのか、その辺をちょっとお聞かせを願いたいのです。というのは、一つの国会での処理法案というのは、通常国会百五十日で大体百本ですね。六百本というと六年分の通常国会にあたるわけです。もっとも、ごく簡単なものもあるし、非常にヘビーな改正もあるでしょうし、そういうまちまちだろうと思うのですが、二本にするのか、それとも、どうするのですか。委員会の審議の持ち方や、あるいは私どもこれから勉強しなければいかぬものですから、一体どんなことになるのか。その点ちょっと、いまの段階における情勢でいいですけれども、お聞かせいただきたい。
  75. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは相談ごとできめてもよろしゅうございますが、やはり沖繩国会ということになりますから、大きく分けて返還協定と国内対策の特別立法というものになると思います。あるいはそれに防衛庁関係が何か法律を出しますか、それはわかりませんが、そういう大きな二本の柱の中で、六百、一本と申しましても、その中には、たとえば例をあげれば、沖繩産糖の買い入れに関する特例なんというのは、本土並みになるわけですから、廃止するだけの法律ですね。それに類するもの等が一ぱいございますが、実質内容を伴って沖繩側にメリットを与えるもの、あるいは現在の状態の特例をなるべく存置したほうがいい、あるいはなだらかに移したほうがいいというようなものが五百七十本をこえるということでございます。しかしながら、これは中身については、沖繩のためによかれかしという願いでもってやる特例でありますから、原則は本土の各種法令が原則として存在しておるわけでございますので、これはできれば一本にまとめて、そして国税も地方税も——国税は大蔵委員会、地方税は地方行政委員会と分けて審議すると、沖繩に対してどのような姿勢で本土政府が臨もうとしているかが、またそこで感触がばらばらになっても困るのではないか。私としては、一本にまとめてたいへんつらいですけれども、私が全部に責任を負って答弁することのほうがよいのではないか。先ほど堀昌雄君が大蔵委員会で何か質問したということでしたけれども、各省大臣に質問をされるよりも、なるべくならば私を引っぱり出して、私に答弁を求めて、しかる後その責任省に対しては私がまとめる責任を持つというふうにしたほうが、いまの段階では沖繩のためになるのではないかと思います。でないと、その所管大臣限りの発言というものが一ぺん国会で公に出ますと、それをまた私のペースに引き戻すのに非常な苦労をするわけです。全部が全部沖繩のことを知っておるわけじゃありませんし、ある省によっては原則論でものを言いたがるところもありましょうから、なるべくならば私一人を相手にして、どうするんだということをおっしゃっていただければ、各省庁とそのあとの責任は私自身が答弁したとおりにもつていく努力を私の政治責任において行なうという形式をほしいものだと思っております。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁で、大体、参議院選挙後の内閣改造で山中長官だけは留任が内定したようでありますが、ぜひ、いままでのせっかくの取りきめを今後とも生かしていただきたいものだと思うのです。  そこで、私ども、いまいろいろ勉強している際、それに必要なわけでございますが、いま問題になっておる六百何本ですか、その法案のリスト、これは名前だけでけっこうです、それも、これから漸次詰めていった場合に、はずれるものもあるし、その他のものもあると思うのですが、それを何とか資料としてお出しいただければありがたいと思います。
  77. 山中貞則

    ○山中国務大臣 少し時間をかしていただければ……。六百七十何本、五百七十何本と申しましても、全部法律の名前があるわけです。だから、そういうものを全部項目ごとに並べてやる作業が少しかかりますから、ほんとうは迷惑なんですがね。毎晩おそくまで私も一緒に作業をして、一つ仕事がふえるのですが、しかし審議の参考に資するためには必要な資料だと思いますから、それは努力させて、資料をつくらせます。ただし、ちょっと時間をください。
  78. 安井吉典

    ○安井委員 時間がもう半分になりましたから、この法案の問題でありますが、琉球政府、さらにまた沖繩における市町村において、多くの資金需要があって、それの一部にこれは対応しようということの御提案だと思うのですが、いますぐ必要な資金はどれくらいなのか、あるいは復帰とともに必要な資金はどれぐらいなのか、琉政並びに市町村について、どういうふうに押えておられるか、それをひとつ伺います。
  79. 山中貞則

    ○山中国務大臣 四十五年度は、補正予算で、本土自治六団体の格別の御理解によって、三十億の特別交付税とも言えませんが、寸志というものを差し上げることができました。ことしの百四十億については、先ほどの勧奨退職の例等で申しましたように、琉球政府の御要求の内容をきちんと積算をしたものでございまして、これは大体四十六年度中における琉球政府並びに市町村の必要な財源には財投的な性格のものとしては充て得るものである。ただし、その中には、琉球政府の御意見に沿い得なかったものがあります。それは、たとえば——たとえばといってもそれだけでありますが、休暇買い上げについて起債を起こしてくれという話がございましたが、休暇買い上げの制度というものがこちらのほうにございませんので、この問題は大蔵省との問に詰めができませんでしたしかし、将来、復帰される時点において退職されるという方は、退職時までその既得権というものを持って退職されるわけでありますから、復帰時点において退職される方の休暇買い上げは既得権として来年度予算あたりでは認めなくてはならないのではないかと思っておりますが、これは詰めておりません。その意味で若干の違いがございますが、琉球政府との間に違いはございましたものの、ほぼ新しく出発する財政投融資としては琉政側も極端に不平を言っておられる金額ではございません。  来年度幾らになるかという問題は、これはちょっといまのところ計算をする段階に来ておりませんが、先ほど大村君へも答弁をいたしましたとおり、沖繩市町村が長い間起債を本土政府に依存できなかったために、本来ならば当然国の起債で見ておるべきものの、年次的でないと一ぺんにはできますまいが、肩がわり等も入ってまいりましょうから、これはやはり実態に応じて今後積算しなければならぬと思っております。その作業も一方において進めてまいりたいと思います。
  80. 安井吉典

    ○安井委員 私が申し上げているのは、退職債のほうは積み上げで計算されたという、それはわかりましたけれども、向こうへ行ってみますと、琉政からも、それから市町村へ行きましても、ものすごい財政需要があるということですね。これだけおやりになって、何かつかみ金式のものであって、琉球政府は全体で当面どれだけ要るのか、復帰のとき、これはまだ来ないのですから、来年の予算でもいいわけですが、そういうものを全体的なものを押えて、そのうちこれだけ出すのだという、そういう姿勢がどうも足りないのではないかというふうな気がいたすものですからお伺いをいたしたわけです。ですから、いまおわかりになっているところでけっこうですから、これは数字ですから、いまやりとりしなくても、あとでもけっこうですから、どれくらいの資金需要があるようにお考えなのかということ、それから現在琉政並びに市町村が持っている起債の残高はどれくらいになっているかということやら、そういう資料が出していただければありがたいと思います。
  81. 岡田純夫

    ○岡田(純)政府委員 琉政の借り入れ金とそれから他の団体、類似五県とを比較いたしますと、わりあいに現在起債は大きいわけでございます。これは一つには、他の府県に対しまして、事業を執行するための裏負担を消化するため等でもってふえてまいっておる。そこで、ただいま大臣から話しされましたように、今回百四十億、その中で四十九億の地方団体分も含めまして措置いたしましたので、これで裏負担の問題ないし資金需要があるにもかかわらず琉政の資金運用部の資金が多少窮屈になっておるという面のカバーができるというふうに考えております。  それから市町村につきましても、同じように、若干事業の量の問題がございまして、比較的起債は少ない、少ないけれども中に銀行借り入れ等といったようなものでしのいでいるなどの問題がございますので、これは今後やはり考えていかなければならない。そこで、現在どのくらいになっておるかということでございますが、一九七〇年六月末現在で、市町村債、一般会計、特別会計合わせまして千八百万ドルというふうにいわれております。これは円に直しますと約六十五億でございます。現在額としてはそういうことでございますけれども内容の貸し付け期間その他については良質化をはかってまいりたいというふうに考えております。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 それだけなんですか。何かコザの資料だけを見ても、さっき大村さんが指摘しましたけれども、たいへんな額なんです。私どもがもらった資料、コザからもらったものと、あるいは那覇市のものもありますが、もう少し実情について何か資料をいただきたいのです。せっかくさっき提案理由の御説明もあったけれども、これはお金の法律案でありながら数字が一つもありませんので、もう少し何か資料をつけていただきたいと思います。大村委員のさっきの御指摘にもありましたように、五年年賦の金利七・三%の市中銀行からの借り、こういうようなものが、大臣の御答弁にもございましたが、あるわけですね。特に琉球政府のものは、本土の自治体と違って、国家事務をやることについての起債もやはりあるのではないか、そういうふうな気がいたします。ですから、いままで残っている残高については、やはり復帰と同時に肩がわりをしてあげるとか、そういうふうな措置がどうしても必要だし、さらにまた、起債の中身はよくわかりませんけれども、国家事務による起債などといえば、これは本土の政保債と肩がわりというけれども、むしろ実際は本土が肩がわりしてそれを払ってあげるというところまでこれはいかなければいかぬのではないか。そういう区分けもやはり必要ではないか。それからまた、起債を起債で肩がわりするというふうな場合も、その内容によっては、たとえば過疎債とか辺地債などは交付税であとで見てやるという仕組みがあるわけですから、それと同等以上の措置が同時に必要ではないか、こう思うのですか、その辺どうですか。
  83. 山中貞則

    ○山中国務大臣 琉球政府の場合は、国政事務に赤字がどれだけ出たかという計算は向こうのほうでもできかねると思うのです。それよりか、やはり財投から政府が一般会計で金を借りたり、考えられないやりくりをしてみたり、いわゆる市中銀行の起債を起こしたりしておりまして、これは復帰時点本土の起債に肩がわりさせても、沖繩県というものは年次償還計画を立てて返していくような性格のものじゃないものがありますから、いわゆる累績赤字という中に含まれるようなものは、まだこの段階で断言できる段階ではありませんが、私としては、復帰の際にきれいさっぱり国の責任で処理してあげたい、そして新生沖繩県というものを財政上も身軽な新しい出発をぜひさせてあげなければ、足に鎖をつけたままではいけないのではないかという気持ちを持っておりますが、これは今後大蔵と詰めなければなりません。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 それから起債借りかえの場合の交付税措置というものは……。
  85. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そういう措置ばかりでなくて、過疎地域とかあるいは辺地とか、いろいろな条件の元利償還等もありますが、そういうことはもちろん沖繩については当然で、それ以上の条件というものがなければなりませんし、またそんな程度のものではとてもだめなんで、一般の補助とか、そういう事業等についても、本土で考えられる北海道とか奄美大島、あるいは離島とか辺地その他各種特例の措置よりも、一番高い補助あるいは特例というものよりも、絶対に低くなることはない、あらゆる部門における一番高い条件を沖繩側には国が満たしてあげなければならないという基本的な姿勢で当たっていくつもりでございます。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、赤字のほうは——起債というのは赤字じゃないものですから、赤字のほうはきちっともう清算してやる、それから起債のほうは肩がわりしてやるし、しかもその償還については本土の考えられる最高の条件でやってやる、そういうふうなお気持ちだということに受け取ったわけであります。  そこで、もう時間がなくなりましたので、開発公庫の問題につきまして先ほどの御答弁にもございましたが、本土にある中小企業金融公庫国民金融公庫、その他医療金融公庫もあるし、そういう政府関係金融機関がたくさんあるわけでありますが、そのうちの幾つかを統合されたような形でお持ちになるのか、そうでなしに、これはその上に別なものとしてさらに沖繩だけの特殊事情に該当するものとしてつくられるのか、何かその辺私もお聞きする中で明確でなかったものですから、ちょっと伺いたい。
  87. 山中貞則

    ○山中国務大臣 あるいは私の答弁も説明不足であったかもしれませんが、中小企業関係金融もまたそれぞれございますから、もちろん医療金融公庫も入りますし、開発銀行から、国のそういう金融機関は全部そこに一元化して入れますが、それについては、逆に現在の民政府が持っています開金、そういうものを沖繩が形式上ですけれども無償で引き継げる形になるわけですから、そういうファンドも残るわけです。そういうものを総合的に利用して、沖繩については金利もサイトもあるいは融資対象、条件も全部、それぞれの本土の出先の形でありながら沖繩に対してのみ特例措置を行なうという意味で一緒にまとめた沖繩振興開発公庫というようなものをつくるつもりでおります。また、これについては本土関係各省の合意も得られておりますし、沖繩側もこれに対して大体基本的に賛成であるという意向のように思います。
  88. 安井吉典

    ○安井委員 私は北海道出身だから、北海道のものはよく知っているのですが、北海道、後に今度は東北が入りましたから、北海道東北開発公庫というのは、現在ある政府関係機関は全部一応あって、その上に別ワクとして新しい開発公庫ができたわけですね。そういう経過でもあるし、現実もそういう運用なわけです。何か沖繩の新しい公庫の中に何もかもみんなぶち込むということになるのがプラスなのか、それとも別々に医療金融公庫なんかもみんなそれぞれのファンドはそれぞれのルートから来て、その外ワクに——沖繩開発というのは外ワクで十分見ていいものだと思いますよ、そういう性格のものだと思うのですが、そういうあり方、二通りあるわけですね。それは十分検討なすったと思うのですが、そのどちらかのメリットの多いほうをとろう、そうでしょうね。
  89. 山中貞則

    ○山中国務大臣 たとえば北海道の場合は、政府金融機関は北海道についての特例というものがなくて、別に北海道東北開発公庫というものが全く金融機関、地域開発銀行みたいなものですね。だからこの性格は当然持っておるわけです。そしてその他の一般の政府関係金融機関についても、沖繩については特例をあらゆる面で設けていく、そのために全部ひっくるめた形にして、それを沖繩振興開発公庫にしたいということでございますから、北海道の場合においてとられておる措置よりもさらに手厚くなる、安井さんには済みませんけれども、忍んでいただきたいと思います、手厚くしたいということです。
  90. 安井吉典

    ○安井委員 ですから、その面がはっきりしていかないと、何だか全部沖繩のものはみんな寄せ集めだから、ワクだけは大きく見えるけれども、その実は、そういうものがなくても、それぞれみんなファンドは別々なルートから来るわけですね。それを合計することによって、見せかけだけ大きくするようなかっこうでされたのでは私は困りますから、だから沖繩特ワクというか、そういうようなものをやはり明確にすべきだと思う。こういうことをひとつはっきりさせておきたいと思います。  それから、琉球政府とのいろいろな話の中で出てきたわけですが、この金融機関は公法人とし、業務及び人事については主務大臣の監督を受けるが、沖繩県知事に大幅な権限を委任してほしいという要望がございますね。これにはどういうふうにおこたえになりますか。
  91. 山中貞則

    ○山中国務大臣 この要望は、正式な要望として琉球政府の一部、二部、三部に分けた文書で受け取っております。これについては、ぜひ御理解を賜わりたいと思って、いま話し合いを続けておるわけですが、お気持ちはよくわかりますけれども、これが復帰後は、沖繩については開発審議会というものが設けられることになると思います。その開発審議会は、沖繩県知事もあるいは県議会の議長も市町村会の会長さんも、あらゆる階層の人が入られて、ただいまの奄美振興審議会みたいなものよりももっと地元に構成メンバーが傾斜化した形で、そこであらゆる問題点について、船を何隻許可して、幾らの融資をするかとか、いろいろなこまかいことまできめていただくことになると思いますので、この公庫の性格の中に県知事さんが入り込んできて、県知事の権限によってその公庫が行なわれるということになると、これは沖繩県金融機関ということにしなければなりません。そうすれば、国の金融機関は当然全部ばらばらにほぐさなければなりませんので、それは沖繩のためにマイナスではなかろうかというふうに考えて、その点は理解不足の点もあるようでございますから、沖繩のためによかれかしと思ってしたことなので、御理解を賜わるようにいま努力しております。
  92. 安井吉典

    ○安井委員 北海道開発法のたてまえも、北海道開発審議会というものがあって、北海道民の世論もその中に入って、それがチェックするのだ、こういうたてまえでできておるのですけれども、全く形骸化しておるわけですね。仕組みとしては、何かそういうものがあるわけなんですけれども、これは全く形骸化して、一番最初は幾らか作用したかもしれませんが、いまは全くそういうものがあるのかないのかもよくわからないというようなことになっておるわけです。ですから、そういう心配が、どうしても知事権限をその中で明確に位置づけてくれ、こういうような要求になっていくのではないかと思うのですが、これはもう少し何か知恵を働かしていただきたいと思います。何とか地元要望に沿うようにしていただきたいわけです。  最後に、高等裁判所の支部を那覇に置くということについての強い要求、これはお認めになるつもりでしょうね。
  93. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは規則によって高等裁判所がきめることでございます。したがって、私ども立法府、行政府にその権限がございませんので、われわれとしては復帰対策要綱の中で、高等裁判所のほうは裁判官会議の手続が要るらしいのですが、これはやはり向こうの権限ですから、われわれが閣議決定で那覇に高裁の支部を置くというようなことはきめられないわけです。そこで表現としては、那覇に高裁の支部を置くことになった場合においては、検察庁のほうはこちらできめるわけですから、そういうものに応じて検察行政の出先をどういうふうにするかということをうたっていけば、高裁のほうはちゃんとあうんの呼吸ができておりますから……。やはりこれは厳然と司法と行政とを分けなければしかたがない問題でございます。しかし沖繩に高裁の支部が設置されることになるということは、見通しとしては言えると思います。
  94. 池田清志

  95. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最初に山中総務長官にお伺いします。  まず第一に、確認していただきたいことがあります。いままで、もちろん返還協定がどういうふうな中身になるのだということは発表されておりませんが、返還協定が大体どういうふうな方向で、あるいは骨組みで結ばれるかという点については、本会議や各種委員会などの政府答弁ではっきりしておると思うのです。これははっきりしておることは、日米共同声明、日米共同声明が愛知外務大臣の表現では支柱ということを表現されております。特に、とりわけ共同声明の六、七、八項、これが骨となっていくということ、これは高辻法制局長官ですか、こういったような人々の話でもわかります。いわゆる日米共同声明は現在のところ政治的な拘束力しか持たないが、協定という場合いわゆる二国間条約という形になってもし結ばれて、これが批准されて成立すると、法的拘束力を持つことになる。この点はすでにもう明らかにされていることでありますが、これを確認されますかどうか。  もう一つは、返還に当たる方式でございますが、いわゆる内容面、奄美とは違って、奄美、小笠原方式のうち特に小笠原返還方式、これが大体返還協定の中身になって、関連国内法が生まれる。その場合に当然予想されるのは、区域と施設を地位協定に基づいてアメリカに提供する場合には、国内法に基づいていわゆる収用する特別立法がされておるので、わかった地主に対しては通知すればいい、わからないような地主その他については公告または告示する。防衛庁の設置法の告示でももちろん出ておりますが、そういったような告示というのですか、返還協定のそれに関連する取りきめの一番重要な問題については、すでに私が申し上げましたように、政府答弁に出ておると思いますので、最初にこういった点確認されますかどうか。この点から最初にお願いしたいと思います。
  96. 山中貞則

    ○山中国務大臣 たいへん申しわけないのですが、私は法的にも現実的にも返還交渉にタッチできない立場にございます。したがって、私自身としては沖繩担当大臣として、沖繩県民の希望すること、沖繩県民の希望せざること、沖繩のためにこういう交渉をしてほしいこと、これは担当大臣の責任において外交当局者である外務大臣にあらゆる機会をとらえて要請をいたしております。しかし、それを受け入れてもらえるのか、どのように取り組んでいれてもらえるのかについては、私自身が干渉できない立場にあることを申しわけなく思います。
  97. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がいま申しましたのは、山中総務長官が、沖繩問題について私が一括して答弁できるような、そういった体制に持っていきたいと言われたものだから、これを聞いたわけですが、この点もしあれでしたらごめんなさい。  それからもう一つ、けちとけちといま話し合いが始まって、いわゆる資産や基地の買い取りの問題ですが、沖繩県民の意思の統一されているのがあるわけです。これは琉球政府立法院で決議されて、立法院代表はこの沖特委にも来ておりましたし、山中総務長官にもお会いした。この琉球政府立法院は全会一致の決議ですから、当然沖繩県民の統一された意思だと見なければならない。この中で核兵器あるいは毒ガス兵器、これの撤去の問題と基地撤去の問題は、沖繩の自民党が同じ歩調を合わせることができないにしても、沖繩県民の現在の平和を要求する人々の気持ちをぜひ配慮してというふうな表現で、基地があってはいかぬなという表現になっております。それとアメリカ資産の買い取り、これはいま長官のことばでは、買い取りはぐあいが悪い、国民感情に触れますから沖繩を買い取ったなどということになるといかぬので、有償引き継ぎで、それを無償で沖繩県民に与えたい。非常にけっこうな表現だと思いますが、ところが立法院の一致した見解は、いま西銘議員も言っておりましたが、これは当然ガリオア物資を売りつけて見返り資金で建てた三公社、これは現在一億一千万ドルくらいになっていると思いますが、毎年毎年資本が蓄積される。この資本の蓄積はやはりはっきり表現すれば沖繩県民の搾取、収奪であるというわけですが、それは使わないにしても、いわゆる県民に水を売りつける、電力をを売りつけて、見返り資金で建てた三公社、これはりは、支払い準備金、これをアメリカの銀行に預けて、アメリカはそれでまたもうかっている。仕組みは非常にアメリカがもうかるような仕組みになっている。それが蓄積されて現在の三公社の形になっておりますが、これは当然法的に見ても、さらにアメリカが何回かにわたって米国の議会でもそういう証言もされ、指令にも出ているといったことから見ても、これは無償で日本政府は引き継いでもらって、さらに沖繩県民に同じく無償で貸与してほしいというのが、これは統一された見解だと思うのです。また請求権問題にしても統一されております。いわゆる講和後も前もいろいろの請求権があるし、われわれ沖繩県民百万は日本国民であることは当然間違いないが、しかし占領支配、これは続けられていって、復帰時点で初めて占領状態はいわゆる原状回復の原則に立ち戻ってくる、そういった意味でも、請求権を放棄したということはどうしても納得できぬ、こういった点でも一致していると思うのです。ところが、政府のいままでの発言による政府方針は、そういう沖繩県民の統一した意思に拒否反応を示している、私はそう見ているのです。そこで、これに対してどう思うか、ということよりは、アメリカはけちですから、私もよう知っておりますが、はっきり言えばニクソン・ドクトリン、あるいはそれに基づくドル防衛の観点からいろいろ要求してくると思いますが、総理府のほうで関係している基地買い取りですね。大蔵省あたりの意見も総務長官がかわって答弁されると聞いておりますから申し上げますが、この三公社について大体幾らくらいで買ってくれ——買ってくれと言わぬでしょうが、金を出してくれと言っておるか。それから琉球政府庁舎ですね、あるいは首里にある英語センターとかというものを含めての建物がこの建物資産の中に入っておりますが、こういう建物が幾つで、どのくらい向こうは値段をつけておるか。聞くところによりますと、六八年の三月に、当時の任命主席の松岡主席と弁務官との建物貸借契約が結ばれておって、私も見ましたが、たしか十七項目かにわたっております。これはいまの民政府が現在の浦添に移った時点で、あの契約書に入れられていって、その前にあの建物の玄関に、この建物は琉球住民に献呈さると書いてあって、これは所有権はアメリカだが使用権だけを貸していたのだという表現、その証拠にこういった契約を結ばれているのではないか。これは県民は初めて、屋良主席すらこれは実際を知らなかったようであったのです。こういう形でやっておりますが、この建物の関係、幾ら要求しておるのか。そのほかは、たとえば軍用道路、これが相当の金額になる。琉球政府の建設局の調べによると一億八千万ドルくらいになっているのではないか。資料も出されておるようです。これは総理府にも出ておると思いますが、こういった軍用道路、これを幾らくらい請求して——請求はないかもしれませんが、どのくらいで引き継いでほしいというのか。その他、港湾あるいは飛行場、那覇空軍基地、さらに通信施設などがあると思います。そういった問題について要求額。いま総務長官が、実は向こうがこういうふうにして引き継いでくれというので、引き継ごうかなということになっているのであって、日本政府から進んでこれを買い取るとかいうような姿勢はなかったということ、これは私もそうあってほしいと思います。その意味でいま申し上げましたアメリカの要求額ですね、この点をはっきりさせてほしいと思うのですが、大体個別的にいうと国民感情を刺激するので、プールにして六億ないし七億くらい要求しているのだといったような新聞報道なども現在あるわけです。そういう意味でアメリカから政府がこういうふうに買い取り、引き継ぐのだ、ということよりは、むしろアメリカ政府が個々にどういう金額を要求しているかといった点、おわかりであれば説明してほしいと思います。
  98. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほどの私の答弁、当然いま聞くと誤解されただろうと思うので、あれは堀君が税について大蔵大臣と質疑応答やったということについて申し上げたわけだったのですが、誤解をされたのは当然だと思います。補足いたします。特例措置その他の国内法整備に関する問題は、全部私になるべくしぼって、私が窓口でやっていただいたほうがよろしいということを申し上げたので、返還協定の外務省のやっております仕事と、それから資産引き継ぎに関する財務省と大蔵省とのやっております分野、さらに安保条約その他の関連取りきめに伴う問題は外務省並びに防衛庁ということで、それらの分野を除いてという意味があったのでございますが、私の説明が悪うございまして、それをあらためて訂正させていただきます。したがって、ただいまの御質問でございますが、これはやはり大蔵当局の答弁ということにさせていただきたいと思います。私は知らないわけではございません。それは私はお互いに連絡をとり合わなければいけないということの意味において、その返還交渉にしても、あるいは資産評価にしても私自身沖繩側意見を述べる立場で、非公式の話し合いはしておりますけれども、私自身から答弁できるような立場にないということでございます。
  99. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま委員部のほうから、大蔵省を実は要求していたのですが、いろいろな実務の関係で帰ったが、こういった関係については山中総務長官が答弁すると思うからと言われたので、くっつけて答弁を求めたわけなんですが、これは一応……。しかし、いわゆるアメリカが幾らぐらい要求しておるか、御存じなんでしょう。そうでしょう。
  100. 山中貞則

    ○山中国務大臣 知っておりますが言えません。大蔵大臣にお願いします。
  101. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それから、いまの沖繩県民の要求あるいは願望といったものに沿いたいということですが、これに関連しまして、いま申し上げました琉球立法院で全会一致となりますと、やはりこれはいまの琉球立法院の与党、野党を問わず三十二名の意思が統一されて、全県民の統一された意思だと見ていいと思うのです。そうなりますと、アメリカの資産の有償引き継ぎということだけでも沖繩県民の意思に沿わないということになると思うのです。そこら辺、どうなんでしょう。
  102. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私も立法院の決議は、与野党一致の決議でありますから、沖繩県民の意思の集結、代表されたものと考えて、それらの正式な折衝、陳情の文章の内容等についてもつつしんで承っておるわけであります。しかし日本政府がやらなければならないこと、日本政府のみでできることに対する県民一致の要求の問題は、最大限沿う努力をしなければならない義務が本土にございます。しかし交渉の相手方がある、そしてそれがいま施政権実際は軍政というものをしいておるにひとしい、いわゆる権力者の他国が、相手方の国として米国が存在しておりますから、相手方との交渉の問題としては、こちら側はそういう気持ちで臨みましても、向こうが、有償でなければ引き継がないとか、あるいは有償が条件だという要求をいたしました場合に、こちらは無償でなければだめだといった場合、復帰時点においてそれが全部返されないということも、極端に言うとあり得ないことではない。復帰時点においてアメリカ軍がだれもいなくなれば別でありますけれども、そういうことを考えますと、やはりそこには話し合いというものは、沖繩県民の声を背後にしっかりと背負って、そして米側に対する交渉の妥結点を日出さなければならない、両面の苦しみが政府に片あるということでございましょう。私自身としては、沖繩県民の統一された意思としての立法院の決議がなるべく実現されるように、それぞれの炉当大臣に働きかけてまいります。
  103. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 その有償引き継ぎに関連しますが、この前アメリカ政府琉球政府にやってきて、主席の部屋にあるじゅうたんあるいはカーテン、備品、什器まで綿密に調べて帰って、これも建物の有償引き継ぎの中に入れたいとかいううわさがいまもっぱら広がっております。この問題は、小笠原返還方式と関連して、小笠原を返還したときに、アメリカの残したいす、机まで、たとえば腰かけると倒れるようないすまで十円くらいに評価されて、プールにして出したといったようなことが伝えられておりますが、そういうことまで要求しておるのですか。
  104. 山中貞則

    ○山中国務大臣 やはり大蔵省に答えてほしいと私は願いますが、どういうふうにアメリカのほうで備品その他まで、私から見ればずいぶん尾羽うち枯らしたものだと思うのですけれども、向こうはそういう仕組みになっておるのかもしれませんし、かといってそれが資産としてはすでに完全に償却等が済んでおれば、幾ら調べてみたって全くの帳簿上の価格としてのみの評価しかされないこともあり得るわけでありますから、これらはやはり米側は米側としての国の違いでそういうことまでやるのでしょうし、それらの、主席の部屋の備品まで調べた、じゅうたんまで調べたという話も、私新聞で見まして、ずいぶんがめつい話だなと思ったわけです。思ったわけですが、それらの問題が、一つ一つじゅうたんを幾らで買ったとかなんとかいうものには私はならないのではないかと思いますが、ちょっとこれ以上の答弁は現在の立場では言えないということでございます。
  105. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは国内法に関連する問題ですが、農地法が復帰時点ですぐ適用されると、沖繩の現在の農業形態、農民の生活の問題、さらに基地とも関連がありまして、非常に困るという点が多多ありますが、こういった問題はまだ検討中であるのか、結論が出ているのか、こういう点お答え願いたいと思います。
  106. 山中貞則

    ○山中国務大臣 農地法については、昨年の十一月の復帰対策要綱第一次分に、「農地法については、戦時疎開、基地使用沖繩の特殊事情にかんがみ、小作地の所有制限等に関し、所要の特例措置を講ずるとともに、その土地利用の実態を配慮しつつ、円滑な運用を図ることとする。」ということで、一応要綱としてはこれでよろしいのではないかと考えております。あとは、沖繩について農地法を適用いたします場合の農地法の特例というものを実情に即してどういうものにするかという作業が残っておるということでございます。
  107. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 山中長官の時間がもうないそうですから、私防衛庁に残された時間を質問したいと思います。  防衛庁は、四十六年度予算の中で沖繩関係の予算が二十億円内外組まれておると思うのですが、聞くところによりますと、四十六年度予算は四月一日から施行される。その場合、四月一日から始まって、大体何名くらいの防衛庁の役人が沖繩に行くか、まずその点から明らかにしてほしいと思います。
  108. 銅崎富司

    銅崎政府委員 防衛庁関係を私は直接所管しておりませんが、私が聞いているところを申し上げますと、四十六年の四月から半年くらいの間に約三千三百名程度が現地沖繩のほうに派遣されるというふうに聞いております。
  109. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 四十六年度で四十六名だけですか。三百五十名程度じゃないですか。
  110. 銅崎富司

    銅崎政府委員 たいへん失礼いたしました。私聞いておりますのは、四十七年といいますか、返還になります日から六カ月以内の間に約三千三百人程度の部隊が展開するというふうに聞いております。
  111. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私の聞いているのは、部隊ではなくて、本年度四十六年度予算に防衛庁の沖繩関係の予算、二十億円内外が組まれていますね。そういった防衛庁関係の役人が何名くらい行くのか。いわゆる自衛隊とは別なんです。話によると、約三百五十名程度復帰になる前に派遣される、それで事務所もいまどういうふうなところに置こうかといったようなことまで進められていると聞いたものだから、幾人くらい派遣されるかと聞いているわけなんです。
  112. 銅崎富司

    銅崎政府委員 防衛庁のことは私は承知いたしておりませんが、防衛施設庁関係は、四十六年四月から沖繩北方対策庁の沖繩事務局のほうに二十名派遣するという計画になっております。
  113. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま調査員が沖繩に派遣されて調査されておりますね。その調査する場合に何班に分かれて何々を主として調査されておるか、調査する場合に依拠しておる所管はどこどこか。たとえば琉球政府の法務局であれば法務局、アメリカのDE、ディストリクトエンジニアといっておりますが、DEであればDEと、そのほかに軍用地主連合会がございますね、そういったような連合会といったようなところに依拠して調査をされておるのか。まず調査目標ですね。何々をやっておる、これをやる場合に、どういうところに機関としてあるいは団体として依拠しているのか、そういった点を明らかにしてほしいと思うのです。
  114. 銅崎富司

    銅崎政府委員 現在沖繩のほうに調査に出ております班は、借料関係の班が一班、それから水域関係の班が一班、提供管理関係が一班、そして統括調整する班が一班、これを入れますと四班が出ております。  それで、借料関係につきましては、民有地の売買実例あるいは賃貸実例等の調査を主たる目的として行っております。調査いたします先は、今回は主として十五の市町村に参りましていろいろな調査をいたしております。  それから水域関係は、水域の使用状況がどうなっているかということと、沖繩における漁業の経営実態がどうなっておるかということについて調査をいたします。参ります先は、アメリカの民政府、それから琉球政府、漁業組合の連合会、漁業協同組合、そういうところでございます。  それから提供管理班は、米軍施設の使用状況、それから民有地との境界の状況等を主たる目的として調べることになっております。そして行きます先は、米陸軍の沖繩地区工兵隊、それから米軍の施設を見て回る、こういうふうになっております。  それから最後の、全般の調整をします調整班は、その計画がうまくいくように、庶務的な事項その他連絡等をやっております。
  115. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あと二点くらいお伺いします。  一つは、いま沖繩にある軍用地主連合会、これが各地主あてに、また市町村長あてに、日本政府とのいまの基地の契約に伴う借賃、賃貸料等補償の件を一任してほしいという書類、通知を出しております。これは御存じかどうか。この点と、これについては所有権を侵害するものだ、契約権を侵害するものだと、広範な地主が反対に立ち上がりつつあるわけですが、これを御存じかどうか。あるいは御存じだとすれば、防衛庁、施設庁あたりが指導されたのか、指導したとは言わぬでしょうが、この点ですね。  それから現在沖繩市町村軍用地の開放を要求しております。この市町村名、これは名前でなくて数でいいと思います。那覇市ほか何件、それから個別に、坪数は別として、その市町村が十五あるなら十五、いわゆるすぐ開放してほしい、これは都市計画に必要である、あるいは学校を建てるために必要である、あるいは産業都市をつくるために、商業都市をつくるためにこの軍用地を開放してもらわなければならぬ、いろいろ目的はあるわけなんです。その坪数ですね、おわかりだと思うのですが、これを発表してもらって、その場合に施設庁としてはどういう態度をとられるのか、この点を明らかにしてほしいのと、それから軍用道路の問題これは大体何キロメートルあるか、あるいは何平方キロメートルあるか、これに対してアメリカは幾らくらい要求しているのか。資料がすでに出されておると思うのです。この三点をお答え願いたいと思います。
  116. 銅崎富司

    銅崎政府委員 まず第一点の、軍用地地主連合会が各市町村ですかの地主の皆さんに手紙を出しているということは、私は承知しておりません。(瀬長委員「知らないんですか」と呼ぶ)はい。  それから第二点の、軍用地開放を要求している市町村名は、今回の調査団に、どういうところがあるか、実は調査をさしておりまして、それが帰ってまいりませんと、いま私ども手元に資料を持っておりません。  それから軍用道路につきましても、それはどういうふうなかっこうになるのか、私どものほうは軍用地として提供するほうの問題を主にやっておるものですから、軍用道路は将来どうなるかわかりませんが、おそらく軍用道路として提供されないようになるんじゃないかということで、この資料についてはこまかいものを持っておりません。
  117. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはすでにあなた方が出した資料なんですよ。この前沖特と一緒に行きまして、私は現地参加したのですが、すでに軍用道路は何キロメートル、どこどこ幾らと出ておるのですよ。その要求額は幾らと、金額まで一億八千万ドルと出されておるわけなんです。  それからいまの軍用地の開放の問題も、伊江村、豊見城村、具志川村などを除いて実に十五カ村くらい資料を出され、面積も出されて、現在アメリカが使っている用途も出されて、さらに開放要求し、開放後何に使うんだということも出されて、いますでに出ておるだけでも五百四十万坪、民有地が、国県有地を除いて軍用地はいま六千万坪、御存じだと思うのです。その約一割をすでに開放要求が出ておる。この点調査官として、しかも施設庁のほうがわからぬはずはないと思うのですよこれは私何も自分の推察で言っているんじゃなしに、事実、この軍用道路の延長、総面積、これは幾らぐらいかかるんだといったことまで、この軍用道路であれば何村にまたがっておるから、これは幾ら、全部金額も書いているのです。これはあなた方が知らないというわけにいかないと思うんだが、これをもし知らないとすれば、一体何のために調査しておるのか、ますます不安で、知っておるが実は言わないんだなということにしか結論つけられぬと思うのです。国の予算を使ってあなた方行くんだから、そういった点を、私、特に基地関係の資料は施設庁にすでに集まっていると思うので、いま集まっている資料だけでもぜひ早目に出していただきたい。こうなりませんと、沖繩現地では、すでに軍用土地連合会地主会をあっちこっちにつくって、白紙委任状を連合会長に持たすような方向でいま進められている。これは防衛施設庁関係ないんだということを言っても、だれも信じないし、しかもDEとあなた方はすでにやっている、それも知っております。琉球政府の法務局などはただ行っているだけで、あまり調査、どうするということまでやってないということもよく知っております。その意味で、時間がありませんので、資料としてあなた方が現在まで調査されたものを委員会にぜひ提出してほしい。しかもそれは急を要します。いま軍用地主はそういった意味で、どうなるのだろうか、国内法もどういう、布令みたいなもっとあれ以上に、通知さえすればいま契約したあるいは契約しないで収用される、土地を取られるのかなという不安が、非常に高まりつつあるのです。そういう意味で、施設庁がこれまで調査された資料を委員会にぜひ提出してもらいたいことを要望いたしまして、終わります。
  118. 池田清志

    池田委員長 防衛施設庁、ただいまの資料は早急に提出をお願いします。  次回は、来たる十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十一分散会