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1971-02-16 第65回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十六日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 宇田 國榮君 理事 大村 襄治君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 床次 徳二君    理事 箕輪  登君 理事 中谷 鉄也君    理事 中川 嘉美君 理事 小平  忠君       國場 幸昌君    西銘 順治君       山田 久就君    豊  永光君       上原 康助君    安井 吉典君       渡部 一郎君    安里積千代君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省欧亜局長 有田 圭輔君         外務省条約局長 井川 克一君  委員外出席者         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     渡部 一郎君     ————————————— 二月十日  北方領土復帰早期実現に関する請願(谷垣專  一君紹介)(第五二五号)  同(山田久就君紹介)(第五二六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  沖繩復帰対策費等について説明を求めます。岡部沖繩北方対策庁長官
  3. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 去る一月八日付をもちまして沖繩北方対策庁長官を拝命いたしました岡部でございます。誠心誠意を傾けまして職務の遂行に当たりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  昭和四十六年度の沖繩復帰対策費等について、その概要を御説明申し上げます。  一九七二年中に実現することとなった沖繩本土復帰に備え、従来の沖繩援助費沖繩復帰対策費に改め、豊かな沖繩県づくりを目標に施政権の移転及び沖繩県への移行等諸般復帰施策を円滑に行なうとともに、沖繩経済社会開発発展を促進するため、所要財政措置を講ずることを基本とし、これがため、 一 琉球政府及び市町村財政強化するため、琉球政府に対する行政運営費についての財政措置充実するとともに市町村交付税に対する措置増額等により、一般財源充実をはかることとし、さらに本土財政資金琉球政府及び沖繩市町村公共的施設充実等のために必要な資金として貸し付ける措置を講ずることにより、琉球政府等財政の円滑な運営に資することとしたこと。 二 社会保障制度医療体制整備充実及び文教施設拡充強化等本土との格差是正制度整備等について復帰対策措置強化したこと。 三 復帰に備え、沖繩経済開発産業基盤整備、特に離島振興をはかるため、復帰記念主要島嶼一周道路整備事業をはじめとして、港湾道路空港漁港等に対する公共投資の大幅な拡大をはかることといたしました。  その結果、一般会計において六四% 財政投融資計画において一〇〇%と前年度に比べ大幅に増額されており、これに本土産米穀売り渡し代金積み立て金運用額を加えると、実質的には、七一%程度の伸びとなり、これによって復帰施策は着実に遂行されるものと考えております。  以下復帰対策のおもな内容について逐次簡単に御説明を申し上げます。  第一に、沖繩復帰対策の一環として、かつ、琉球政府財政強化するため、国政事務及び県政事務にかかる行政運営費についての財政措置を大幅に拡大するとともに、市町村に対する一般財源強化のための措置も一そう充実することとしました。  第二に、琉球政府及び沖繩市町村公共的施設充実義務教育職員等退職手当に必要な資金として新たに財投資金を貸し付けることとしました。  第三に、国民健康保険国民年金厚生年金生活保護児童福祉老人福祉等社会保障制度全般にわたり整備充実をはかるため、これに要する対策費を大幅に増額しました。  特に明年度は、住宅対策として、公営住宅の増加及び財政資金による融資住宅充実をはかるとともに、精神衛生対策ハンセン病対策原爆被爆者対策結核対策等いずれも前年度の対策をさらに充実することとしました。なお、売春防止法の施行に伴う婦人保護事業費についても所要措置をとることといたしております。  軍雇用者解雇対策といたしましては、失業保険運用に要する財源措置をはじめ、軍雇用者援護措置費として本土における駐留軍離職者対策に準ずる援護沖繩においても実施できるよう措置し、再就職訓練のため、公共職業訓練所整備及び基地内職業訓練に要する経費等についても措置することといたしております。  第四に、教育水準の一そうの向上をはかるため、前年度に引き続き小中学校及び高等学校施設等整備を行なうとともに、特に琉球大学国立移管のための琉球大学施設整備及び琉球大学付属病院充実について所要措置を講じました。また、義務教育職員給与費教科書無償供与費、要保護準要保護児童生徒及び特殊学校児童生徒就学奨励費私学振興費国費学生招致に要する経費等について引き続き措置することとしました。  第五に、復帰記念事業として本島北部、久米島、宮古島、石垣島、西表島等主要五島の一周道路整備及び水資源開発のための調査等を継続するとともに、戦跡公園整備費及びカラーテレビマイクロ回線整備費等を計上したほか、空港港湾漁港中心産業基盤整備のための公共投資拡大をはかりました。  第六に、産業経済振興開発を促進するため、本土産米穀売り渡し代金積み立て金運用をはかるとともに、財政投融資計画を拡充し、特に農林漁業及び中小企業振興対策について援助強化しました。また中小企業につきましては、新たに中小企業高度化資金制度及び中小企業設備貸与制度の創設、信用保証事業充実指導事業強化等を行ない、復帰に備える体制を整えることとし、農林漁業関係では、家畜導入糖業振興キビ作合理化対策病害虫防除農産物流通対策沿岸漁業振興対策等従前からの事業にあわせ、新たに沖繩農業開発実験事業水産研究所整備等事業を行ない、基幹産業体質改善振興をはかることとしております。  また、都市計画事業により那覇市を中心とする都市建設を推進するほか、下地島訓練飛行場建設事業を継続し、離島効果的開発をはかることといたしております。  なお、治山事業河川改修海岸護岸改修造林事業等についても前年に引き続き措置し、国土の保全につとめることといたしました。  第七に、ホーバークラフト等施設補助をはじめ離島航路補助離島医療施設及びテレビの難視聴地域解消等のための離島通信施設等整備に要する財政措置を講じ、離島振興開発を促進することといたしました。  第八に、復帰を記念し、青少年の健全な育成に寄与するため一九七三年に復帰記念沖繩特別国民体育大会を開催することとし、そのための経費について措置しました。  以上のほか、前年に引き続き、航路標識気象観測施設警察通信施設整備及び南方同胞援護会を通ずる福祉事業を行なうとともに、米軍基地周辺の小学校、中学校、公民館の公共建物防音工事及び消防施設強化に必要な措置を行なうこととしました。  以上の結果、明年度復帰対策計画実施に要する経費は、本土産米穀資金による三十三億円を除き、総額五百六十七億二千万余円となりますが、予算計上等については、日本政府琉球政府との会計年度の相違を考慮し、昭和四十六年度一般会計分三百四億五千余万円、同財政投融資計画分七十億円、合計三百七十四億五千余万円と昭和四十七年度一般会計計上予定分百二十二億六千余万円、同財政投融資計画予定分七十億円、合計百九十二億六千余万円とにそれぞれ区分計上または計上予定いたしております。  なお、昭和四十六年度の沖繩復帰対策費は、一般会計分及び財政投融資計画分を含め、先に述べた三百七十四億五千余万円に前年度分百九億五千余万円を加えた四百八十四億一千余万円と相なっております。  次に、以上説明いたしましたほかに、沖繩復帰対策及び北方領土対策を推進するための沖繩北方対策庁一般行政経費として四億二千二百余万円、尖閣列島及びその周辺資源調査に必要な経費として三千二百余万円、本土産米穀琉球政府への売り渡しにより生ずる食糧管理特別会計の損失を補てんするための繰り入れ金として三十七億円を含め所要経費を計上いたしております。  また、北方領土問題その他北方地域に関する諸問題の解決を推進するための対策に必要な経費といたしまして約五百万円を計上するほか、北方領土問題対策協会啓蒙宣伝を行なうとともに、調査研究及び北方領土居住者に対する援護を行なうために必要な経費として八千万円余、合計約八千五百万円を計上いたしておりまして、最初に述べました沖繩復帰対策費以外のこれらの経費合計は四十四億九千七百余万円となっております。  以上、説明を終わります。よろしくお願いいたします。     —————————————
  4. 池田清志

    池田委員長 山中総務長官出席がありますまで、岡部対策庁長官説明に対する質疑を許します。國場幸昌君。
  5. 國場幸昌

    國場委員 沖繩北方対策庁長官のただいまの説明に対しまして、沖繩選出の議員としまして、ことに四十六年度予算における六百億台という多額の沖繩援助に対しまして、県民を代表し厚く感謝の念を申し上げる次第でございます。  申すまでもなく、復帰は日一日と迫り、来年の四月一日といいますれば一年そこそこでございます。その間、最近に至って沖繩県民があらゆる面において、日本政府援助そのもの感謝はしつつも、社会公共施設に対してあるいは社会福祉に対しての援助そのものも大事であり感謝しつつあるといえども、やはり復帰後におけるところの生活問題に対して不安をかもしておるというのが沖繩県民心情でございます。  と申しますのは、百万県民復帰に際しまして喜びと同時に一番心配しておったことは、基地が漸次縮小していく段階にありて、それにかわるべきところの職場、いわゆる就労の場がなく、失業者が出、過疎県にならぬかということに対して不安をかもしたわけでございますが、最近すでに過疎化の現象があらわれてきておるのが現在の姿でございます。  そこで、私は、対策庁長官にお伺いしたいことは、あまりにも日米間におけるところの復帰協定そのものに世論は注目し、復帰後におけるところの経過措置、そういうことに対しましては今日まであまり公表もされないし、その面に対しましていかほどの中身が、沖繩百万県民の意図するところの豊かなる県づくりに対する計画がなされているか。復帰要綱、第一次の発表を見ましても、この要綱の中から、沖繩県民、各分野にわたるところの政策において、詳しく明細にこれが知らされておらないというのが、いまの復帰要綱に対して、沖繩百万県民はややもすればそれに対する不信感もあるというような状況でございます。近くまた第二次の復帰要綱も発表されるという段階でございますが、この要綱に対しまして、内容そのものが、この分野はこうこうこういうふうにするのだということが、たくさんの陳情内容において、経過措置に対しての陳情対策庁にも来ておることだと思います。  そこで対策庁長官にお伺いしたいのは、この復帰対策要綱に対しての細部にわたる取り扱いに対して、詳しくいつ説明をされるものであるか、いつ公表されるものであるか、それに対しての見解をお伺いしたいわけでございます。
  6. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 復帰にあたりまして沖繩県民方々県民生活及び経済生活がどういうふうになるかということにつきましていろいろと、心配されておりますことを、私たち十分心に置きながらいろいろの仕事を進めておるわけでございます。その点で、昨年の十一月に第一次の復帰対策要綱におきまして、県民生活及び経済生活に直接大きな影響を与えるところの諸問題につきまして、閣議決定を見ましてその大綱を決定いたしたのでありますが、以後それらの諸問題のさらに具体的な詰めを各省庁と日夜力を合わせながら進めておる状態でございます。続きまして、なお第二次といたしまして、復帰対策要綱に盛るべきいろいろの問題がまだ残されております。衛生の問題その他財政の問題あるいは教育社会福祉問題全般にわたりまして、なおきめこまかくこれを取り上げまして、各省庁との折衝をさらに現在詰めておるような状況でございますので、われわれ事務当局といたしましても、今月一ぱい昼夜兼行でこれの大体の取りまとめをいたしまして、三月になりましたならば閣議決定等をいたしてもらいたいということで鋭意努力をいたしておるような状況でございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 復帰要綱は、一次分はすでに発表されまして、第二次——まあ大綱でございますので、細部にわたっては、この中ではあらましにこうするのだというようなことでございますが、これはなかなか、その特別措置を講ずるのだとか、あるいは暫定期間一定期間とか、こういうようなことがございまして、その中身というのをいまさっき申されましたとおり知りたいのが沖繩県民心情でございますので、そういう詳しい面に対しまして、一日も早く住民の意図するところの措置もちろん他府県のいまの法制度に一県として直ちにかわるということになりますと、摩擦、混乱が起きるということも御承知のとおりでございまして、万般的な特別県としての特別措置、これによって沖繩の百万県民の期待する豊かな県づくりができるわけでございますので、その点に対しても細部にわたって御配慮をいただきまして、事務的においてはいろいろの手数がかかり、苦労される段もあるでしょうが、その点はよく御理解いただきまして、最善の努力をしていただきたいことを希望するわけでございます。  それから、せんだっても軍雇用員大量解雇がございまして、それに対して対策庁としまして離職者に対する格差是正軍雇用員はひとしくあの御厚情に対しまして感謝しているといえども、しかし軍雇用員のほかに、その反面、基地の縮小またあるいはスト行動により大きく被害を受ける基地周辺軍関係企業者があるということを忘れてはいけないわけでございます。前のコザ暴動事件においての外出制限により一日約十万ドル以上なる収入が減じており、それが一カ月も続くと、直ちにあの周辺サービス業者特定業者破産状態に至るというような基地経済のもろさを持っております。  そこで、私は、こういうような特殊企業、いわゆる軍関連企業に対して、政府としては、企業転換に対し、あるいはまた離職者に対しいかなる救済の策をお持ちでありますか、それに対してお伺いしたいわけでございます。
  8. 岡部秀一

    岡部(秀)政府委員 お話にもありましたとおりに、軍関係企業者の最近におきますところの状況は、非常に収入の減を来たしておって、はなはだしいところは八〇%、少なくとも二〇%の売り上げ等が減じておるということにつきまして、私たちも心痛をいたしております次第でございます。この人たちの今後のいろいろの企業の問題があるだろうと思うのでございますが、各種の業種につきましてきめこまかく見ていかなくてはならぬと思いますけれども、復帰以後におきましては、その方々に、内地におきますところの企業に対するところの特別施策融資等の点も十分に考慮に入れまして、あるいはその企業振興についてのいろいろな施策をやっていきたいと思いますし、さらにまた職業転換等をする人もあると思いますので、それらにつきましては、職業転換についての訓練あるいは内地等への転出等、具体的になりました点でいろいろと考慮いたしてまいりたいと思っております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 私が希望いたしておきたいことは、沖繩においていわゆる団体行動によることに対しては、あらゆる部面に目的反映というものが実現されるわけでございますが、言わない、行動性もないというような庶民あるいはまたそういう業者に対しては、あまり政府としても関心を寄せておらないんじゃないかという気がするわけでございます。ことに基地経済という中にある中南部におきましてはその点が重要でございまして、御承知のとおり約四万人余りの軍雇用員といえども、石川から南のほう、沖繩本島の約三分の一のところに直接間接に基地に依存する住民が、百万のうち約六五%から七〇%がひしめき合って生活しておるのが現状の姿でございます。としますと、基地が漸次縮小していく、これは基地雇用員ももちろん離職としての解雇になるのでございましょうが、それに比例するところの一般企業者軍関係企業者、それが直ちに生活に困るというようなことでございますので、軍雇用員より以上なる、そういう関連する企業者、それで生活をなしている一般住民に対しましては、特別なる御配慮をしていただきたい。これを希望するわけでございます。  それから次に、日本は御承知のとおり世界でも一番人口密度の高い国だ、そういわれております。日本本土にありましては、世界の第三位、自由経済陣営の中では第二位という大発展工業国となり、右から左、本土におきましては職場というのは自由にできるわけでございます。ところが沖繩においては、全く基地依存度の高い、約六〇%以上といわれておるような職場でございますので、この基地が左右することによってこれが大きくゆれるわけでございます。  そこで、この復帰第一次要綱にもございますが、沖繩に対しての長期経済開発計画琉球政府のこれとよく提携して、今後沖繩が理想とするところの豊かなる県づくりをしていくんだ、これはなかなかりっぱではございますが、時期的においていま復帰はまさに一年余に迫ってきておるといえども、いまも申し上げましたとおり、一番不安を持っておるところの人口過疎化問題、企業誘致あるいはまた沖繩の風土、気候、特色を持つところの観光事業開発、こういうようなことが考えられるわけでございますが、企業誘致問題に対しましては、御承知のとおり、いま日本の軽金属五社の合同による沖繩企業投資、こういうようなことで政府との契約も取りかわしたというようなことを聞いておるわけでございますが、私は苦小牧日本軽金属の工場沖繩に誘致せんとする性格、規模もちょうど一緒なる工場を見学に行ったわけでございます。その重役の方たちがいわく、五百億が本設備にかかる。付帯設備、すなわち、電気水道、こういうことになりますと、電源に対しては一キロについて約四万から四万五千円ということでございますので、かりにアルミを一トン生産するには二キロワットの電源が必要になる。二十万トンのアルミ生産工場計画されておるので、それに対しては四十万キロの発電が必要である。沖繩の現在の発電消費量は約四十万キロでございまして、その倍のいわゆる設備を必要とするわけでございます。そうしますと、一キロに対して四万から四万五千円でございますので、発電装置だけでも百六十億から百八十億円かかるわけでございます。五百億といういわゆる本設備に対し、水道電気、こういうような先行投資、これを自己資金でやれということでは、とてもこれはできるものじゃございません。よって、私どもに見せたあの企業に対しての内容をよく調査して、ぜひ政府に力をかしていただきたいというのが切なる希望でございました。そこで、先行投資に対しまして、よくいわれておるところの沖繩企業誘致するときは、水、電気それから港湾あるいは土地造成道路、こういうような問題は、これは政府の力によってやっていただきたい。  それから、いまさっきも申し上げましたとおり、何百億というだけの資金に対しまして、アルミ二十万トン工場になりますと本設備だけでも五百億かかる。この金は、いまの日本企業の中で業者をしてこれを出せということはとうていでさないので、政府はこれに対しての長期低利資金、またその設備固定資産税に対しては、特別措置をもって租税の肩がわりをしてもらいたいとか、こういうようなことを政府のいわゆる力によってなしていただきたいということの希望がございました。その点に対しまして、政府は、先行投資政府のなさんとするところの沖繩企業誘致するための、企業者にいわゆる振興意欲を持たし、そして企業を興させるということの基盤づくりに対していかような計画をお持ちでありますか。それに対する御説明、お考え方をお願いいたします。     —————————————
  10. 池田清志

    池田委員長 この際、沖繩及び北方問題に関する政府施策について説明を求めます。山中総務長官
  11. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩及び北方問題について、所信の一端を述べさせていただきます。  一昨年秋の佐藤総理ニクソン米国大統領との会談において、沖繩施政権が一九七二年中に核抜き本土並みという国民の総意に沿った形で返還されることになり、昨年十一月には、沖繩県選出国会議員国政に参加されたことを心から喜ぶものであります。  現在、政府は、沖繩祖国復帰を円滑に実現し、かつ豊かな沖繩県を建設するために、全力を傾けてその作業を進めているところであります。  私は、かねてより沖繩問題解決に微力を注いできたものでありますが、特に、昨年一月に沖繩問題担当大臣である総務長官に就任して以来三たび沖繩を訪れ、離島を含めつぶさにその実情を視察し、また沖繩県民の民意の把握につとめる等、戦後四半世紀にわたる県民の労苦に思いをいたしつつこの問題に真正面から取り組んでまいりました。幸い、就任後直ちに取りかかった昭和四十五年度の沖繩援助費については、三百三十億円余に達し、前年度に比し大幅な増額を見たのでありますが、さらに、昨年三月には沖繩復帰対策基本方針閣議決定して、政府沖繩復帰に対する基本的な姿勢を明らかにしたのであります。進んで五月には沖繩北方対策庁を発足させ、外交関係を除き、沖繩にかかる国の行政事務を総合的に行なわしめることとし、十一月には、沖繩復帰対策のうち県民生活及び産業活動に重大な影響を及ぼすと思われるものについて政府施策をまとめ、沖繩復帰対策要綱の第一次分として発表したのであります。  さて、政府が現在鋭意検討を進めているものは、主として次の二点であります。  第一は、復帰後の沖繩の姿を県民をはじめ広く一般に明らかにすることであります。  このため、政府は、さきの沖繩復帰対策要綱第一次分に続き、残された問題についても、成案を得次第早い時期に第二次分として公表すべく鋭意作業を進めている次第であります。  第二は、沖繩経済社会開発発展をはかるための施策を策定することであります。政府は、このために長期的な展望のもとに沖繩経済振興開発計画を策定する必要があると考えており、目下その準備を進めているところであります。  これらの施策に関する立法措置については、施政権返還協定とともに一括していわゆる沖繩国会において御審議をお願いすることといたしております。  なお、これらの復帰対策樹立推進にあたっては、琉球政府をはじめ沖繩県民の意思を尊重することはもちろん、各界各層の意向を十分反映して、復帰後の県民生活に急激な変化を来たさないよう配慮していく所存でありますが、これに関連し、昨年秋の沖繩県民国政参加実現は、沖繩の声が直接国政に反映されることという意味からして、私としてもまことに意を強くするところであります。  次に、今次国会において御検討をお願いしている明年度沖繩復帰対策費は、一般会計において四百二十七億二千万円余、財政投融資において百四十億円、合計五百六十七億二千万円余となっており、これに本土産米穀資金三十三億円を加えると、総計六百億二千万円となり、本年度に比し、さらに飛躍的な増加となっております。  ところで、御承知のように、昨年暮れにはコザ市において不幸な事件が発生し、また、本年に入って毒ガス兵器の移送問題軍労務者の解雇をめぐる問題等、県民生活に多くの影響を及ぼす問題が相次いで起きており、心痛しておる次第であります。  政府としては、従来より、祖国復帰という重大な時期を控え、県民生活に深刻な影響を及ぼすような不祥事態の発生をできるだけ回避するよう努力し、また、不幸にして問題が生じた場合には、米琉政府との密接な連絡、協調のもとに早急にその解決をはかるよう必要な指導を講じたきたところであります。  私は、沖繩県民のこのような不安を取り除くことが何よりも重要なことであると考えており、さきに述べた沖繩復帰対策要綱についても、政府の方針が決定したものから逐次公表することといたしましたのも、このような趣旨に基づいているものであります。  日本国民の多年の願いであり、沖繩の悲願である祖国復帰は、明年実現いたします。いま大切なことは、本土沖繩とが一体となって復帰準備を強力にかつ着実に進めていくことであると確信いたしております。  政府は、今後とも、沖繩県民の民意を察知しつつ、全力を尽くして復帰準備を進めていく所存であります。  ひるがえって、北方領土の問題について申し上げます。  御承知のとおり、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島の北方領土は、法的にも、また歴史的にも明らかにわが国固有の領土であることは一点の疑問の余地もないところであります。  しかしながら、今日の複雑な国際情勢のもとにおいては、従来の日ソ交渉の経緯から見ても、戦後処理として最後に残されたこの北方領土問題の解決をはかることは、容易なことではないと思われますが、日ソ間の真の友好親善関係の樹立という大局的見地から見れば、新しい状況の推移に即応しつつ、粘り強く外交交渉を続けていくことが肝要であり、それには国民一人一人の正しい理解と認識を必要としているのであります。  また、これら北方領土に住んでいた人々に対する援護措置についても適切な措置を講じていかなければなりません。  このため、政府としては、沖繩北方対策庁中心となって、関係行政機関との緊密な連携のもとに、これら北方領土問題の解決の促進に当たるとともに、一昨年発足した北方領土問題対策協会を推進母体として、北方領土問題に対する国民世論の高揚を引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。  ここに、沖繩及び北方問題に対する所信の一端を述べ、各位の御協力を切望する次第であります。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 途中から承りましたので、あるいは私の答弁が全意を尽くしていなければ、引き続き御質問で御指摘願いたいと思いますが、まず、沖繩復帰まで、そうして復帰以降の基本的な姿勢として、社会資本の充実あるいは沖繩本島全島を循環する道路等の国道への編入を前提とする道路網の整備、通信、その他の海上を含めた交通、あるいはまた今後の企業誘致、あるいは沖繩企業発展のための宅地の造成、その他電力、水、それらの問題はすべて一義的に国が責任を持って推進をし、実行してまいるつもりでありますが、その具体的な施策を行ないまする事業を執行する主体は、やはり沖繩県というものに主導権を持たせてまいりたい。私どもは財政的、技術的なあらゆる面からの援助を惜しまないものでございます。  さらに、沖繩の現存する企業、その中でもことに中小企業等については格別に私どもも心痛をいたしておりまするし、今後第二次復帰対策要綱等においては、これらの問題等にも触れてまいるつもりでありますが、予算措置としては、沖繩にも来年度予算から初めて中小企業高度化資金を適用することにいたしまして、印刷団地等ができることになりまするし、またリース制度中小企業の機械貸与制度等も沖繩に対してなじむかなじまないかよくわかりませんけれども、やはり制度の楢は開いておきたいということで予算化いたしておりますが、要は、特殊な環境下においてのみ許された存在というものが多うございますので、それらの環境から日本国民の一人として、そして日本の国土の中の企業として返ってまいりました場合の形態との間においては、そのままでは非常に大きなショックを受けあるいはそのままでは存続不可能であるという種類の企業等もございまするし、あるいは沖繩側において十分手当をいたすならば、今後沖繩県内の企業としての繁栄のみではなくて、大きな市場を国内に持つ本土に対する売り手市場としての有望な産品その他を生産する産業等もあり得るであろうから、あるいはまた、日本列島の最南端に位置することの重要性についてはたびたび申し上げておりますが、それらを念頭に置いて、日本の新全総の新しい沖繩列島の持つ価値に対する書きかえ作業、あるいはまた社会経済発展五カ年計画沖繩の与える大きなメリットを組み入れた新しい組みかえ作業というものも現在進めていきたいと考えているところでございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 総務長官の御計画、まことにりっぱでございます。そこで、いまさっき対策庁長官に質問をしておるわけでございますが、企業誘致問題、アメリカ軍施設、基地の縮小によって締め出されてくるところのいわゆる軍雇用員その他においての失業者、これに対して一日も早く職を与えねばいけないというのがいま急務でございます。そこで、いまさっきの長官のお話によるところの、あらゆる基地経済から脱皮して、それにかわるべきところの企業、これを実現させるためには、時期的な問題としまして、将来においてこれをなさぬと、いつからこれが実現の目を見るかということに大きな問題があるわけでございます。いまさっきも申し上げましたとおり、もうすでに過疎化しつつあるというのが現状の沖繩でございまして、企業者に意欲を持たし、そして直ちにそれを実現に持っていくためには、計画倒れじゃなくして、一日も早くそれに対するところの実現をして予算化し、そして企業者が欲するところの条件を満たし、意欲的に企業を繁栄せしめていく、実現せしめていく、これが大きな課題じゃないか、こう思うわけでございます。いまさっきも申し上げましたとおり、軽金属に対して大きく期待をするところのアルミ産業、せんだって苫小牧へ行って視察しましたら、本工事においてのみ五百億要る、その他においても水道設備電気設備あるいはまた港湾設備、こういうものを勘案しますと、この倍の一千億も要るのだというようなことでございました。そうしますと、沖繩において一日に七千トンの水の消費、また四十万キロの発電設備をするためには膨大なる資金が要るということでございまして、その企業者のいわく、私どもをしてこれだけの金をすぐやって沖繩に二十万トンの企業を起こせということは、とうてい自分らの自力では不可能でございますので、政治力をもってそれに対する裏づけするところの先行投資、あるいはまたそれに対するところの資金、その裏づけに対しては長期低利資金、あるいは固定資産税に対しては政府肩がわり、こういうような条件を取りつけるべくひとつ御協力をいただきたい、こういうような希望がございました。対策庁長官にいまさっき質問いたしましたのは、それに対しまして以後もこういうような企業に対して同じような条件が持ち込まれるでありましょう。でないと、沖繩のいまの地理的条件、あらゆる点から見ました場合には、幾ら沖繩のほうであせって企業誘致だ誘致だ、また政府がそれを奨励いたしましても、それにつながるところの条件、受け入れ基盤というものをつくってやらねばこれはできないわけでございますが、それに対していま目の前ですぐ誘致するという——外資導入の許可もすべて済んでおるこのコザに対して、日本軽金属に対してどういうような計画持ち政府として企業者の要望する線にどれだけの計画をお持ちであるか、それをお聞かせをお願いしたいわけでございます。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩アルミの設立については、現在のところ輸銀資金を適用したいと考えております。その輸銀も、特別の低利である特例の四分の低利資金を適用したい。しかし間もなく復帰いたしますので、それは現在の開銀にはございません制度でございますから、沖繩のためには特別に、単に軽金属沖繩アルミのみならず、今後進出する沖繩県民のためになる企業というものの立場がいろいろと出てくると思いますので、引き続きその条件を開銀の中に移しかえて、開銀の中の特ワクの特ワク、特利融資としてめんどうを見ていきたいと考えております。  さらに法人税については、国であり、これに対する配慮一定期間考えたいと考えておりますが、プエルトリコや韓国の馬山地区あるいは台湾の高雄地区等の例等もいろいろと参考にして検討いたしておりますけれども、これはフリーゾーンの構想等とも関係いたしてまいりますので、法人税の問題は、いまここで明確に措置するとは言えませんが、少なくとも県並びに市町村の税である先ほどおあげになりました固定資産税あるいはまた事業税等もございますので、これらの問題について沖繩県側、市町村側がそれぞれ県税、市町村税において配慮をいただくならば、得べかりし収入の得られない部門については、特別措置によって本土のほうからそれを補てんしていくということをやるつもりでございます。これらについてはおおむねの方向づけをいたしておりますが、問題は、沖繩における企業立地のための前提である土地の造成、これは可能でありますけれども、水と電力の問題がございます。現在民政府でアメリカ側に握られておりまする電力供給公社、水道公社等については、これは琉球政府が県営で行ないたいという御希望がございます。なるべくその御希望に沿いたいと思っておりますが、ただし電力については、沖繩県内の民営の業者方々で、現在の配電五社が一社に統合して、それについて適切な優遇措置を与えてくれという要望と、琉球政府自体がやりたいという要望とが、まだ琉球の中において調整がなされていない段階でございますので、それらの問題の調整が済まされた後、なるべく琉球政府の御期待に沿うようにしたいと考えております。しかしながら、現在の計算でまいりますと、離島電力も引き取らないで、そして新しい発電開発しないでこのまま維持していくにしても、現在の状態ならば、二〇%の電力料金の値上げという事態は避けられない状態にあるわけでございます。したがってそれらの点の新規発電等については、電発等で直接発電施設をつくって、それらの県営ないし民営の発電、送電、配電会社に差し上げることに、移しかえる方式をとることにするか、これらの問題等はまだ残された問題でございますけれども、要するに電力の確保ということがまず一番大きな問題でございます。その電力については、少なくともいま例をあげられた沖繩アルミについてはなるべく自家発電でやってもらいたい、自家発電することをまずコストとして計算して出発してもらいたいという要望をいたしております。企業側としても、必要な自家発電については、これはやりますということで計算をいたしておりますが、本来フルに要らない電力——電気事業法によって定められた四十日間の、発電機をとめまして修繕その他点検を受ける法律上の義務がある期間の電力の供給はどうしても自社では困りますということは、四十日以外の日にちはその発電施設がロスになるわけですから、これはぜひとも沖繩における電力の中から供給をしてほしいというもっともな要望がございます。そのためには、どうしても沖繩アルミに対して四十日分の余剰電力を供給できるアローアンスを持った沖繩発電ということが前提になるわけでございます。その可能量をいま追究しておるわけでございますが、これらの点については支障のないようにいたしたいと考えると同時に、工業用水を大量に使います。したがって、これが現在の予定されております中城湾あるいは金武湾のあたりになりますと、北部の工業用水を引っぱってくるのに輸送費が、経費が非常に高くつきますから、とうてい工業用水としては考えられない多額の、四十円をこえるような工業用水になるおそれがあります。これではたいへんむずかしい問題になりますし、かといって海水の脱塩による真水をつくって使用するというのには、これまた非常なコスト高になりますので、できるならば水源に近い大浦湾等に進出することはできないものであろうか。ここらのところは琉球政府の長期的な経済開発計画と、さらに現実の問題としての沖繩アルミの立地という問題について十分に御相談を申し上げなければならぬと考えておるところでございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 総理府長官の意欲的な沖繩に寄せられるところの御政策に対して感謝を申し上げます。  そこで私は、ほかにお願いしたい点は、時期的な問題がございますので、計画倒れではどうにもできない。もう時期は、すでに御承知のとおり、基地軍雇用員も三千名余りの首切りがある。その首切りと同時に、首切りがあればあるで、それに付帯するところの一般軍関係のいわゆる企業をなしておるところにもそれだけの失業者が出てくるということが裏づけされるわけでございます。私は、抜本的な対策をもちまして政府のほうではその先行投資に対しましてあるいはまた企業者に対しまして激励、指導を力強く御推進いただきたいことを希望するわけでございます。沖繩のほうにおきましても、その点に対しましては、企業誘致問題と相並んで観光事業開発問題、このほうに対して大きく期待すると同時に、盛り上がるところの希望でいまやっておりますが、何を申しましても裏づけになるのはやはりお金の問題でございまして、こういうような現実のほうに、意欲的といえどもなかなか芽が出てこないというようなことでございますので、その点も御配慮をいただきまして、よろしく一日も早く実現に結ぶべく御努力をお願いしたいわけでございます。  たくさんございますが、最後に、国際海洋開発博覧会に対しまして、このたび四百万円余りの調査費が通産省のほうに組まれたという総理府長官の御努力に対し感謝申し上げる次第でございます。御承知のとおり、沖繩の海はきれいきれいとよくいわれておりますし、調査費としてそれだけがまずできたわけでございますが、この調査段階を過ぎますと、これから実現ということになってきますから、これに対する設備はまことに大きな資金が要るということをいわれております。沖繩のみならず日本経済界におきましても、その点に対しては国をあげてぜひ実現させてやろう、こういうように意欲的でありますことは御承知のとおりでございまして、私ども沖繩県民としましては、これに大きく期待するわけでございます。総理府長官にお願いし、また御意見を賜わりたいことは、一九七五年度、すなわちあと四カ年をしてこの国際海洋万博が実現されるというめどにおいて幾らぐらいの予算がかかり、そしてそれを実現に持っていくにはどういうような政策、計画を持っておられますか、これに対しての御見解をお願いしたいわけでございます。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、通産省に調査費を計上いたしましたのは、通産省と私との間で相談をいたしたのでありますが、やはり海洋博覧会といえども、これは条約に基づく特別博覧会としての性格を持ちますので、加盟各国への外務省ルートと一緒になっての交渉は通産省のほうでやっていただくのがよかろう、また運営の主体も通産省になると考えられまするし、そのようなことで一応調査費は通産省に計上してございますが、推進の中心は私どもの対策庁のほうにおいて行ないたいと考えております。現在沖繩側で、お話しになりましたように、七五年にやってほしいという御希望があることはわかっておりますが、その前に、やはり国際的ないわゆる条約の認めた特別博覧会であるということを了解を取りつけなければなりません。そのためには、大阪万博というものが東洋において初めて開かれた万博でありますし、これが日本において行なわれて、同じ日本の領土内でもう一ぺん同じ条約の中の特別博といえども海洋博が行なわれることが認められるかどうか。いまだこの条約に基づく海洋博覧会を開いた国がございませんので、日本としては、ぜひこれを条約に基づく正規の、各国が、大阪の万博に見られたように、海洋関係とはいえ、こぞって最新の技術や設備や機械の展示その他をしてくれるような法的なルートのものにしたいと考えております。そのために、七五年に確実に実施できるかどうかについては、いまのところそういう国際的な了解を取りつけられるかどうか、どれくらいの国が参加してくれる見込みであるかどうかの事前の根回しが必要でありますので、明言いたしかねる点がございますが、なるべく意義のある仕事として、しかも今後そのことが沖繩の観光立県という一つの柱に大きく寄与して、それが残っていくようなものでありたい。そのためには、やはり沖繩において後世悔いのないようなりっぱな博覧会にしなければならないと考えております。その意味では、本土のほうも海洋博は初めてのことでありますから、若干の戸惑いがございますが、踏み切ることについてもいろいろと議論があったくらいであります。沖繩人たちもぜひ海洋博覧会を開いてほしいという御希望がありますが、さてどのようなものかとなると、これはもちろん本土政府においてもまだ議論が分かれておるくらいでありますから、明確でない点もございますので、沖繩においてはさらに暗中模索の議論であろうことはやむを得ないことだと思うのですが、しかしながら、今日まで民間の大企業が一種の総合的な企業体を組みまして、沖繩の万博予定地を調査いたしました設計が幾通りもございます。いずれもが慶良間群島を中心に置いておるようでございます。しかしながら、慶良間群島はやはり本島から離れておりますから、会場というものが幾つも分散をして、相当広い範囲で広げなければなりませんので、残波岬あたりも含めた、もちろん那覇市あたりも含めたいろいろの施設が置かれることになるであろうと考えておりますけれども、今日の段階では、金額が幾らぐらい、どれくらいの設備かというところまでで煮詰まっていない。これらのことを、実地をどこがいいかを調査するとともに、今後の構想をきめるのがいわゆる調査費であるというふうにお受け取り願いたいと思います。
  17. 國場幸昌

    國場委員 ありがとうございました。時間でございますので、これでもって質問を終わります。
  18. 池田清志

    池田委員長 上原康助君。
  19. 上原康助

    ○上原委員 きょうは少しこまかい点をお伺いしたいと思います。  まず、昨年十一月に発表なさいました第一次復帰対策要綱の中で、復帰後の沖繩の交通政策の問題、いわゆる一定期間は現在の車両の右側通行というものを維持しつつ、いずれ左側通行に切りかえるというような方針が出されておりますが、それに関する国際条約等もあって、いろいろ問題もあるということは理解をいたしますが、しかしながら、この問題は、二十五カ年間ああいう特殊な事情で車両が右側通行をしてきた。現にまだ十四、五万台の車両が右側通行を行なっている。しかも復帰後も、米人、軍人、軍属が相当滞在をするという前提でいろんな面で支障が起きると思うのです。お話によりますと、大体三カ年程度は現状維持というような方針もあるということですが、この件に対しての政府のお考えなり、あるいは一定期間というのがどの程度の期間なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  20. 山中貞則

    山中国務大臣 一国の国内において、右と左と両方の通行区分を採用してはならないということになっているわけなんです。ただ、幸か不幸か沖繩は全体が離島でございますから、右と左の区八が同一の国内にあっても、すぐに県境で追突、正面衝突が起こるというような問題ではありまんせんので、経過措置も置くことができるわけでございます。沖繩では、ただいまのお話のような実態を踏まえて、どうでしょう、むしろ世界の大勢に従って本土のほうを右側通行に切りかえたらどうですかという、これはまじめな御提案がございます。なるほど残された先進国らしい、あるいは自動車の往来のひんぱんな国で、左側通行を原則としておる国、いわゆる原則は日本の場合でありますが、左側通行を採用している国は、もうイギリスその他ほとんどごくわずかです。最近はスウェーデン等も慎重な準備をして切りかえたようでございます。これらのこと等を検討はいたしておりますが、もう本土のほうでも、ハイウェーその他が相当に整備をされてまいりましたので、単にバスのおり口の右左の問題ばかりではなくて、すでに整備された交通施設というものを、これを反対方向へ切りかえる場合には、なかなかむずかしい問題が発生をいたしまするし、巨額な投資等も必要となるだろうと思うのです。そこで、沖繩の場合は、たいへん残念なことでありますけれども、現実には道路というものは、軍用道路がまず一番の大きなりっぱな通りであって、つい数年前までは、ほとんど信号機すらなかった道路でございました。最近はやや各地の市街地や交差点等で信号機が見られるようになりましたけれども、まだしかし歩行者という立場と自動車という立場は、歩行者を優先するのだという考えがどうしても見られない道路であると思います。でありますので、急速にこの歩行者の安全施設というものを整備いたしてまいらなければなりませんが、これらの信号灯その他を新しくつけまする場合、これらについても、やはり右側と左側通行の場合においては仕組みが違うわけでございますので、それらの問題と、現在所有しておられます沖繩の人々の自動車のうち完全に右ハンドルが運転しにくい、左ハンドルが運転しやすいという問題は、これは本土のほうでもアメリカの車なりヨーロッパの車を入れますと、やはり左ハンドルで運転をいたしているわけでございますから、これは慎重な運転をすればいいといたしましても、一般大衆に迷惑がかかるのは、学校教育段階から交通の事情の変わることを説明して、そしてそれに対応する危険あるいは交通事故等に対処する準備がなされなければなりませんし、あるいは大衆の足の問題としては、バスの昇降口の問題等もございます。現在は本土からシャーシーを持ってまいりまして、上に乗せます箱と申しますか、おおいの部分を、昇降口を反対につけるための作業等が沖繩で行なわれているというようなきわめて不便な状態等もございます。したがって将来は、まあ三年くらいと思っておりますけれども、これが無理であるならば、五年に延ばすことも、決して何も強制して無理をするほどのことでないわけでありますから、こだわってはおりませんが、大体自動車の、現在使われております主としてバス等を考えました場合の償却の年限等を考え、あるいは新車の購入等の時期を考えるなどいたしますと、三年ぐらいで対応できるのではなかろうか。そのためには復帰と同時に、北部の循環道路等を道路公団等でつくります場合にも、やはり左側、右側の問題は、初めからきめてかかって設計着工いたさなければなりませんし、今後の安全施設等の機器の整備等についても、システムの整備等についても、すべて配慮をして移行できるような準備をしなければなりませんので、その意味では、沖繩人たちの意見の一部にございました本土のほうこそ交通を反対にしてしまえ、沖繩並みにしてしまえということに一理あると私も思います。ことに日本の自動車産業は、たいへん輸出のウエートが高くなりつつありますから、わざわざ輸出向けはハンドルを反対側につけるようなむだなこともなくなるわけで、傾聴に値する意見だと思うのですけれども、しかし現実にはたいへんむずかしい問題がございますので、沖繩のほうを本土に従っていただくことに御納得をいただいて、それに対応する準備が十分に、学校教育から始まる心がまえの問題も含め、そして自動車の構造や交通設備その他が円滑に切りかえられる時期までは、無理して切りかえる意思はないつもりでございます。
  21. 上原康助

    ○上原委員 いま長官も、大体世界のそういった趨勢についての御理解をいただいている上で御説明しておられるわけですが、ただ私は、ここで本土を含めて右側通行に切りかえなさいというような極論あるいはそういう考えで話しているわけではございません。復帰後も相当長期にわたって米人、軍人、軍属も滞在するであろうという社会環境、御案内のようにアメリカは右側通行なんです。沖繩だけ一定期間経過措置を設けて左側に切りかえても、沖繩にいる米人、軍人、軍属——もちろんアメリカが全部行ってしまうという条件ならば、早く切りかえてもいいわけです。そういう社会環境の中で、ただ本土が左側なんで沖繩も左側だというようなことに考えてはいけないと思うのです。人命尊重の立場からいっても、事故の発生率からいっても、車を左側させる国の事故発生率なりそういう面が高いというファクターは、資料等で出ております。そういうものを十分まずお考えにならなければいけないし、同時に、復帰をするからすべて本土並み、あるいは本土の法律がそうなんだ、条約がそうだというようなことでなくして、やはり復帰後も、沖繩になじんだ制度なり、人命尊重から考えても、交通行政から考えても、そのほうがより県民生活環境にマッチをしているということであれば、あえてそれを強硬に押しつけていくということもいけないのじゃないかという気がいたします。そういう面でこの車両の左側への切りかえの問題については、三年で、短ければなお長期にわたる経過措置なり特別措置を設けるというお考えがあるということですか。少なくとも今後の沖繩道路開発の問題等を含めて、これに対してははっきりした現地側の意向なり政府の考えというものを基本的にきめてかからないと、先ほどの御答弁のようにいろいろ問題が出てくると思います。それに加えて、バスやあるいはタクシーその他いろいろな面での経費の問題それも全部企業なりあるいは個人の負担で切りかえなければいけないということになると、復帰そのものの県民生活に及ぼす影響、負担というものがますます重くなる可能性も出てきます。ちなみにバス一台でも約八十万円ですか、二千ドルなり二千四、五百ドルかかるということがいわれております。そういうような重大な負担というもの、一体それに対してはどうしても切りかえなければいけないという時点で、何らかの特別措置なり補償というものを、満額とはいわなくても、それに対しての対応というものが出てくると思うのですが、そこいらも含めてこの問題は御検討すべき筋合いのものだと考えますが、どんなものでしょうか。
  22. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、沖繩本土と対立する問題では本質的にないと思うのです。これは沖繩人たちに迷惑をかけないように切りかえていきたいということだけでございますから、いまおっしゃいましたような問題も、やはりバスも買いかえ時期というものがくるわけですから、そうすると、いま沖繩で走っておりますバスが大体何年くらいで新車とかわるかというようなこと等もいろいろ計算をしておりますので、それらの問題で問題なくスムーズに切りかえられるような方法であれば私はやっていけると思います。沖繩でバスは別に自動車会社があって、そして初めからもう通行区分の違ったものとしての自動車の車体をつくっておるというものではありませんので、それらのところは沖繩県民に、企業者にも住民にも迷惑のかからないような、なだらかな切りかえができるようなことにしたいということで、国際的には一応三年くらいということを言いませんと、やはりどっちかに一方にきめろということになりますと、そういうことを言うわけでありますが、これはしいてこだわっておるわけではございませんので、了解が得られるまで経過措置をとりながら、自然にその状態になれるということにしたいと思うのです。まあ米国の車がたくさん走ってをる事実は本土と比べものにならないものでございますが、しかしこれは、右ハンドルか左ハンドルか、それだけの違いでございますので、そのために交通事故等が頻発するおそれが確かに反面においては想像できますけれども、これはやはり沖繩道路というものを、完全に車の通る幅、人間の通る幅、あるいは横断する際の人間の危険を守る立場というようなもの等十分に配慮していけば、そこらの点は、自動車対自動車の問題を除いては、何とか移りかわることについて努力すればできるのではないかと思っております。
  23. 上原康助

    ○上原委員 事、車の通行の問題でございますので、なだらかにスムーズというようなことをことばの上で言っても、実際に運転をする方々の立場、あるいは左ハンドルの車両を取り扱っている方々にとっては重大な生活上の問題なんです。ですから、この種の問題についても、やはり三年くらいという、おきめになったその基準というものもはっきりお示しになっておらないわけなんです。大体この程度あれば何とかなるだろうというような立場でのことかもしれませんけれども、そこいらも十分関係者が、先ほども所信表明の中で沖繩県民の意思を十分反映した形での復帰をやっていくのだということを表明なさっておりますから、そこいらもぜひくんでいただいて、この問題に対しても県民の納得いく移行をお考えになっていただきたい。万一移行する場合、さらにそれから生ずるいろいろの負担の問題についても何らかの措置を講じてしかるべきだと思いますので、そういった面も御配慮の上でこの問題に対しても御検討をいただきたいと思います。  次に、この間もちょっとお伺いしたのですが、基地労働者の問題と今後の沖繩基地周辺業者の問題は、いろいろある沖繩復帰に向けての諸問題の中でも特に重要な問題だとわれわれは考えておるわけです。もちろん農村関係の問題なり県民全般の問題がいろいろあるわけですが、この軍事基地との関係、あるいはアメリカの軍事優先政策の中で生活をしいられたというような面からしますと、基地労働者の問題、基地関係業者の問題というのは焦眉の問題として取り上げていいのではないかと思うのです。そういう意味で、私が全軍労の立場におったときから、長官にもあるいは政府に対していろいろと要請をし、また意見等も申し上げてきたわけですが、その過程でかなり改善されたということは私も認めます。しかし根本的な問題解決はまだまだめどが立てられていない。もちろんこれに対しては解決していく根本的な特効薬というものはないかもしれませんが、いま少し、今後の基地労働者の問題なり基地周辺業者の問題というものに政治的あるいは政策的に取り組んでその対策を立てないと、ますます県民復帰に対する不安、いろいろな面での不満が大きくなっていくと私は思います。そういう意味でまず今後の基地労働者の問題については、これは意見も含めてですが、従来から強くわれわれが主張してまいりましたことは、今後の基地の縮小あるいは返還に伴って軍関係労働者の雇用状況にどういう変動があるのか、雇用計画を明らかにさせて、ある程度長期のめども立てた上でこの雇用政策、基地労働者の対策を考えないと、アメリカが一方的に首を切る、やれストライキ、やれそれに対して幾らかの退職手当の積み立て、そういうようなその場限りの対策ではとうてい解決できない問題があると思うのです。ですから、国防上の機密とか、いろいろな言い分もあるでしょうが、少なくとも七二年の復帰の時点あるいは七五年には大体こうなるであろう、七七年にはこうなるであろう、核抜き本土並みということを皆さんが文字どおり実施をなさっていくという前提に立つならば、基地労働者の雇用計画そのものもそれなりのアプローチのしかた、プロセスというものがあると思うのです。そのことを日米政府レベルにおいてあるいは日米琉の三者で、大体こういう見通しに立つのだ、したがって、こうこうこういう計画を立ててこういう職業訓練もやらなければいけない、こういうように沖繩経済開発を相並行して進めていかなければならないという、そういう問題がないところにますます問題が紛糾をする、あるいはコザ騒動事件のように爆発をする、またストライキが非常に激しい形で起こってくるという面が出てくると思いますので、今後の基地の返還なり補償、それと相関連する雇用計画をアメリカ側と十分話し合った中で、こういう方向で行くであろうという前提を立てて、それに十分対応できるような労務対策というものが立てられてしかるべきだと思うのですが、この点についての長官のお考えを、あるいはまた防衛庁とも関係するかと思いますが、承っておきたいと思います。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 これはたいへんむずかしい問題でして、不幸にして解雇された方に対して手当てをするくらいはくだらぬことだというお話でありますけれども、これとてもやはり四十六年度予算で手当てして、本土のほうが平均五万から八万になった、その差額を一月にさかのぼって沖繩の今回の大量解雇者に対しては適用しようではないかということをきめますには、やはり相当な議論をし、決断の必要となったところでありまして、総理大臣まで上げた問題でございます。そう簡単な問題ではなかったわけでございますが、それらの問題は、それはもう事後処置であって、問題にならないという御意見でありますが、私もそのとおりだと思うのです。ただ、しかし、アメリカ側が復帰までにどことどこの基地を返すか、あるいは復帰したならば年次計画でどのように撤収していくのか、最終的にはどことどこの基地だけが残るのかという問題等については、いまの段階では、あるいはまた私自身の外交的立場に対して関与し得る範囲内においては、防衛庁、外務省が主たるルートでありますけれども、私自身も正確に把握ができないところであります。したがって、基地が年次的に縮小されていくために、沖繩においては当然自然的な形態として解雇の事態が発生する、それに対応するためにはどのような受け皿を準備しておかなければならないかというようなことが、計画的には非常に立てにくいわけであります。しかしながらこのままの状態では、沖繩においては、解雇された全軍労の方々の再就職の場というものが、雇用事情というものが非常に限られ、しかも復帰直前において新規の雇用というものがなかなか意欲的でない環境が現地産業の中にございますし、それらの中で相当なウエートを持つ解雇者というものを直ちにそのまま引き継げるような事情がなかなか発生しないということは、私もよくわかっておるわけでございます。  でありますので、米側のほうに頼むことは、米側のほうの基地内の訓練の中において、それぞれ腕に覚えの職域において長いこと従事された人に一定の免許を与えるような課程を基地内でやってほしい。そうすると、不幸にしてその人が解雇された場合においては、自分はこういう免許を持っておる、あるいは溶接である、あるいは設計である、あるいはヘリコプターの運転である、そういうようないろいろの免許というものを与えるようなことをしてほしいということをアメリカ側には言っておりますが、しかし、それはアメリカ側においてどの程度熱意を持ってやってくれるかの問題で、なかなかきめ手とはなりませんので、それらの問題は、沖繩の県内において解雇された方々がなるべく早く再就職ができるような環境をつくり上げること、これが一番だと思うわけであります。  しかしながら、他面においては、那覇軍港から那覇空港のアメリカの輸送隊が引き上げたことだけで、那覇市の特約をしておりまするクリーニング業者の人々、これは一ぺんに失職寸前に追い込まれている状態も承っておりますが、ことにコザ等においては、象徴的な問題として、一応転廃業資金の問題もございましたが、これはやはり予算委員会でお答えいたしましたように、長期的な問題であって、その準備はしておかなければなりませんが、現実には、やはり外出禁止令の解除、あるいは十二時以降の外出を禁止するものを全面的にもとどおりにしてほしいということが当面の願いであろうと私は受け取っておりましたので、アメリカ側については、コザ市が、不幸にしてコザ事件があったけれども、それはコザ市全体が不穏な町である、危険な町であるというイメージと結びつけるのは早計であって、そうではないんだということを、私自身の、コザ市に泊まらしていただいていろいろと接触をいたしましたこともつけ加えて、アメリカ側もランパートさんのほうから、軍人家族、婦女子、そういう者に、いままでどおりコザ市は平穏な町であるということを周知徹底してほしいというようなことも頼んでおりすすが、幸いにして軍労ストの終わりましたその日でございますか、全面解除をいたしたようでございまして、その意味ではコザ市の方々は現時点においてはほっと一息つかれたということだと思うのです。しかし、それとてもB52が完全にいなくなったことによってホテルの倒産が起こっているというようなこと等を考えますと、やはり基地依存の産業形態というもの、ことに三次産業が主でございますので、これらをどのように転業せしめ得るのか、あるいはどのような規模をもって計画を立てておられるのか、これらはやはりよく話し合いをしていかなければならないことだと考えます。したがって、沖繩に進出を予定いたします企業についても、私は、条件として、軍労の職にあった人々で解雇された人々を優先採用できる部門には採用してほしい、あるいはまた進出する企業にも、雇用に非常に大きく貢献をする造船企業等については、積極的に推進をして、なるべく出ていってください、それに対する関連企業も起こるでしょうし、ことに人手を数多く要する産業でございますから、なるべく早目に進出をしてほしいというお願いもいたしておるわけでございますが、これらのこともいろいろと相勘案しつつ、軍労の方々はなお中高年齢が多いといえども、それぞれ語学なりあるいは技術なり等を持っておられる人々でございますので、その多様的な識見なり技能なりというものが発揮できるような職場開発につとめたいと思っております。沖繩の五島循環道路をはじめ、あるいは国体等の、数多くの建設土木事業等が出ますけれども、特別なしゅんせつ技能等を要する業者以外は、本土から沖繩の入札やその他に参加してならない、法律ではできませんけれども、事実上沖繩本土企業の土建業者が参加することもこれをチェックしておるような事態等もございますので、これらの中で、自分は筋肉労働でもできるのだ、いまの建設業というものは機械の運転だというようなこと等もございますから、それらの点で少しでもお役に立てばと考えておる次第でございます。  結論としては、年次計画というものがたいへんむずかしいということは申しわけない次第であると考える次第でございます。
  25. 上原康助

    ○上原委員 私は、何も退職手当を上積みするとか格差是正、そんなものでは役立たぬという立場ではないのですよ。それはそれなりにやるべきであるし、またやらなければいけない事柄として理解いたしますが、たとえばアメリカの場合、国内でも基地の縮小なりいろいろやっております。その場合は、大統領直属の諮問機関なり商務省、労働省が中心になって、いろいろな雇用計画というものを立てておやりになっているわけなんですよ。なぜ国内においてはそういう手厚い保護を労務者にやっていくのに、事海外においては、かって気ままに首をちょん切って、払うべき退職手当も十分払わぬで、雇用主でもない本土政府肩がわりをさしてのんのんとしておる、そういうようなことに対しては、政府としてはもっと強い姿勢で当たっていいのではないか。国内においてなされておることは当然国外においてもやるというようなことでおやりになっていただきたいということなんです。これはむずかしいからお願いをするのでありまして、むずかしいということは十分理解いたします。どうしてもそういうような高度の立場での計画というものをお立てになってこれからの問題をやらなければいけないということであります。  時間が来ましたので、あとこれと関連して、先ほども基地周辺業者の問題がございましたが、確かに今後非常にむずかしい問題だと思います。ただ、これらの基地周辺業者の問題あるいは離職者の問題を含めて、あるいはまだ離職者等臨時措置法の適用外に置かれておる雇用員の問題等を含めて、本土並みという感覚では、私はとうてい沖繩の多くの基地労働者の問題というものは、十分な対策いわゆる本土でなされている対策の水準までいかないと思うのです。そういう意味で基地周辺業者に対しても、離職者等臨時措置法の中味を盛ったような特別立法なりそういうものを立てて、低利の資金融資をしてやるとか、あるいは職業転換資金の融資をするとか、そこに何らかの法律的な措置というものが必要だと思うのです。そういう面は、もちろん県内においても、私なりにもいまいろいろ検討しておりますが、そこいらも政府としてぜひお考えになっていただきたいということ、それを含めて、これから復帰準備に向けていろんな公共投資に対する工事がございます。それとの関連で、単に基地労務者だけではなくて、基地周辺業者を含めて離職者対策事業団なりを設けて、そこに半民半官的な仕事というものを重点的に割り当てていく、これはもちろん全軍労としても琉球政府としてもいろいろ検討しているようでありますが、そういう面が具体的に出た場合は、政府としてもぜひ政策的にひとつ御配慮をしていただきたいということ、これに対してもし何か御見解ありましたら賜わっておきたいと思います。  いま一つ、これは総理府としておわかりかどうか知りませんが、きょう一応ここで申し上げておきますので、また次回に資料なりをいただいて、ぜひこの問題も早急に解決をしていただきたいと思います。  宮古の飛行場用地の問題ですが、旧日本軍が強制接収をした土地がございます。いわゆる大東亜戦争中の一九四三年十月から一九四四年五月差での間に、宮古島の平良市、下地町及び上野村の三地域にわたる約三万三千九百五十三アール、百二万七千八十八坪の土地が接収されております。これを一応旧地主に返すということが、六六年あたり日米の土地諮問委員会で結論を出されながら、その後依然として日本政府にその所有権があるということで未解決のままになっております。これがどうして現在まで解決できないのか、その点について、もしおわかりの面がございましたらお聞かせ願いたいし、さらにこれに関連する資料等についても御提供いただきたいと思います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 かつて全軍労の委員長であった上原議員から、県民同士の一番心配といたしておりました対立関係というものとして置かれて議論がされました基地周辺の依存業者の問題についての発言がありましたことは、たいへん私も歓迎をいたします。これについては、十分に基地依存業者方々の御意向というものをまず受けとめて、それに対応する策を、資金面なり、あるいはそれらの御指導、御支援等について十分に配意をすることにやぶさかではございません。  さらに具体的な構想として半官半民のというお話がございましたが、それらもまだ、一応の御提案ではありましょうけれども、それらでやったほうが能率的なのか、あるいはそれぞれの業者方々希望されることを受け入れるために御援助申し上げる、いままでの本土でもやっておりますような方向のほうがよろしいのか、これらのところは、やはり沖繩基地依存業者方々が一番望まれる形態というもののほうに私たちとしては御加勢申し上げる形をとっていきたいと思います。  宮古の戦時中の旧日本軍の接収をいたしました飛行場の問題でございますが、これについては旧地主に返すという何かがあったということを言われましたけれども、私としては、その点は実は承知いたしておりませんので、資料の提出もいたしますが、その際にも、そういう返す約束とかあるいは申し合わせがあったならば、その資料を提供いたします。ただ、私のいままで存じておりまする範囲では、登記はやはり国有地になされており、対価は一応支払われている。しかしこれは形式上の問題でございまして、みんなが喜んで私の土地を飛行場にしてくださいとおっしゃったものでないことは十分承知いたしております。これはアメリカと日本人との問題ではなくて、日本人同士の問題でございましたから、そこらのところは、そう戦車や銃剣でおどしたものでもございませんし、またこれについては黙認耕作等が行なわれておるという実態もございますので、この処分については、今後十分検討して、なるべく旧地主の方々が納得される方針を打ち出してまいりたいと思います。
  27. 上原康助

    ○上原委員 時間がありませんので十分できませんが、きょう私も詳しい資料をここに持っております。これは十分な対価もなされていないわけですね。強制接収されて、当初郵便貯金なりその他のあれに振り向けられて、何らの対価も旧地主の方々は受けておりません。さらに小作人と地主の関係の約束もできて、返還された場合はこうこうこういうふうにやっていきたいということもできてはいるのです。しかし所有権がまだ国有地というようなことで、布告七号の問題との関連で、一たん高等弁務官も旧地主に返すべきなんだという結論を土地諮問委員会で出しながら、それがまだ実現をしていないという、ほんとうに敗戦処理さえも戦後処理が十分できていない。これは事実なんですね。しかも百万坪余りの土地でございますので、この面について次回にもう少し突っ込んで政府の見解なりいろいろ賜わりたいと思いますので、ぜひ資料の提供を要望して、きょうの質問は終わりたいと思います。
  28. 池田清志

  29. 安里積千代

    ○安里委員 時間がございませんので、まことにもの足りないと思いまするけれども、沖繩復帰に伴いまする経済開発、これは非常に重要な問題でありますし、それぞれの立場において御熱心に検討されておられるわけでありますので、大事な問題は私は土地の問題だと思います。  そうすると、狭い沖繩におきまして新たな土地を造成するということが一つ。もう一つは、軍事的に使われておりまする膨大な土地の開放、私はこの二つが産業開発のための大きな基本になると思うわけであります。  そこで問題は、総理府の対策庁におきまして沖繩経済開発に一生懸命取り組んでいらっしゃるといたしますれば、当然その主体をなしますところの土地の利用、土地の獲得ということが大きな問題だと思いますが、軍用地の開放という問題と相関連して問題を考えていらっしゃるかどうか。そうであるとしますならば、今度の復帰の交渉の中におきまして、現在の軍用地というものはどの程度、またどの地域において開放されるのだ、またすべきだ、沖繩復帰に対してはこれだけはどうしても必要だ、こういう立場から軍用地の開放の問題について強く要求されておるか、またどのような状況であるか。開放される土地は抜きにして経済計画を立てられようとするのか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 おっしゃるとおり、新たなる土地の造成と、もともと沖繩の土地であったものが沖繩県民の手に帰していない軍用地というものの二つが両々相まって進まなければ、新生沖繩計画はなかなか書きにくいと私も思います。ことに中部地区における基地の比重の大きさというものはたいへんなものでございます。しかしながら、これの交渉は外務省と自衛隊がどの程度アメリカ軍が帰ったあとに必要とするか等の関連で、防衛庁との間においてもっぱら話が進んでおるわけでございます。しかし私自身は、沖繩の民生あるいは福祉という立場から考えれば、やはりものを言っていかなければならない立場でございます。もう旧聞に属することでございますが、渡嘉敷のミサイルの撤収をいたしましたあとの四十万坪、これは本年の予算からすでに設計費までつけまして国立青年の家に転用をいたしたいということで、すでに予算を取ったあと米側に話をいたしましたら、手が早過ぎるのであなたは困るということを言いましたけれども、必要なものは私どもはそういうふうにいたしておりまするし、ことにいまの施設買い取り等についても、軍用施設については大蔵省も絶対買い取る意思はございません。しかしながら、少なくとも移転をして、それを沖繩県民に必要な場所は使わせるような配慮も必要だろうと思うのです。たとえば那覇市等においては、あの広大な市のまん中に米軍の住宅街が緑の芝生の上にあると、情神的にもあるいはまた実際の都市計画上にも大きな支障になっていることは間違いありませんから、こういう問題等については、代替地を提供し、いわゆる県民生活影響のない地域において宿舎その他をつくって提供することによって沖繩県や那覇市に返してほしいというようなことにつきましては、私も強いあと押しをいたしておりますし、また沖繩の永続的な将来の発展を考えますときに、立地条件を最大に生かすために、フリーゾーンという地帯を考えておるわけでございますけれども、これは安謝新港の後背地である浦添市の地先というものを考えております。そのためには、どうしてもアメリカ側の軍用地先が一部含まれておると想像いたしますので、この点は私のほうから、先般のランパート高等弁務官との会談において、日本側が沖繩のために設計するために必要な軍用地先についてはどんどん開放してほしいという具体的な申し入れもいたしまして、好意的な配慮ある返答を得ておるわけでございますが、私のでき得る範囲は、民生上のレイアウトをいたしましたものについて、外務省、防衛庁等に次々とものを言いますほか、対米折衝のできまする範囲においては、その範囲において私自身の努力はいたしておるつもりでございますが、政府全体としては外務省、基地の問題については防衛庁というものを含めて、安里議員のおっしゃるような趣旨の方向に私たちは進めなければならないというふうにかたく信じておる次第でございます。
  31. 安里積千代

    ○安里委員 いままでの一番大きな問題として、復帰に伴う安保の本土並み適用ということで地位協定の問題、その内容というものをずいぶんとこれまでの国会においても追及をされておるわけでありますけれども、なかなかこれは明らかにされておりません。明らかにされておらないので、長官とされまして、大臣とされましても、返還に伴うて地位協定によってアメリカに提供される土地がどの範囲になるかといったようなこともまだつかんでおられない、あるいはまた内部においてはある程度の見通しはあるけれども、まだまだ発表の段階ではない、こういうふうにも思われるわけでありますけれども、少なくともそれがいつごろ明らかになるものであるか。これは復帰段階になるのか、あるいはまた返還協定が締結されるという段階においてどのような土地が返還されるということは、その時期でなければ明らかにならないものであるかどうか。その場合に、沖繩基地経済からの脱却という大きな転換期に際しましては、むしろこちら側の要求する軍事上の必要とかなんとかより以上に、沖繩経済的立場から大臣において要求される点が、主導的なものをもって日本の要求として出されてこなければならぬ、こう思うのでありまするけれども、こういった点はいつごろまでに明らかになるとお考えでありましょうか。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 実は私のほうは相談もしてもらえない立場にあります。しかし私のほうで沖繩側の意向というものを反映させるべく努力をしておるということでございまして、正式のルートでは、どうしても軍用地の問題は、外務省と、それから防衛庁の、どこまで肩がわりを必要とするかという問題でございまして、私のほう自身は相談を受けなくても文句が言えない立場に実はこの基地の問題については置かれているわけでございます。しかし、先ほども申しましたように、私自身は沖繩の未来の計画を設計するのに、いまの軍用地をそのままで放置しておいて設計書が書けないということは明らかでございますので、これはそのような新しい経済的な発展計画ばかりでなくて、やはりその前提には強制的な収用その他において行なわれた人権的な問題も含まれてのものでございますから、私はこれを無視し得ないものとして、担当大臣としての責任において今後もどんどん発言をいたしてまいりますが、しかし私、自身は煮詰まった段階でしか知らされないという立場にあることの御了解を賜わりたいと思います。
  33. 安里積千代

    ○安里委員 私どもが基本的に沖繩の返還問題について一番憂うるのはそこなのであります。いまのようなお話からも、沖繩返還というものはやはり軍事上の必要性、軍事的な役割りというものが主体になっての返還であって、人民の、沖繩県民の一番おそれているところの軍事基地に利用せられる、こういう点からの開放ということが沖繩県民基本的な願いであります。ところが、復帰のいろいろな交渉におきましても、やはり軍事的な必要、そういった点が主体になりまして、肝心な民生に関するところの問題、ことにそういう問題で沖繩県民の意思あるいは担当大臣の意向というものは反映せられずに、やはり軍事的な問題を中心にして外交折衝が行なわれておる。私はこの点は非常に残念だと思います。政府のお考えも、その点を基本的に考えられまして、沖繩の返還というのは決して軍事的目的というものが第一義的にならないように考えなければ、復帰後の沖繩においても非常な大きな問題が起こるのじゃないかと私は思います。  そこで、開放される土地についてちょっとお伺いしたいのですが、これは開放された土地を個人に返すということもありましょう。復元補償の問題や請求権を放棄するという問題はありますが、これはあとで外務大臣にお聞きしたいと思いますが、個人に返す、これが一つでありましょう。あるいは開放さられた土地について資本家や事業家が自己の事業計画のためにこれを入手するという方法もございましょう。けれども、開放せられる土地については、少なくとも計画的な経済発展のためには、開放せられる土地というものを、政府において施策の対象として、これを何らかの手によって、自由放任するのでなしに確保する。返してもらったときからもう地料も入らない。地主がかってにしろというても困ると思いまするし、逆にこれは単なる資本家の自由な事業計画の利権の対象になるというようなこともあってもいけないし、やはり企画的な、計画的な政府の土地利用、産業開発基本的な考えのためには、政府の手において開放される土地を確保するということも考えなければならぬ問題があると思うわけでありますが、開放された土地に対してどのように処理するところの考えをお持ちでありましょうか。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 まず初めに、ちょっと誤解があったようでありますが、沖繩復帰が軍事的な問題だけで議論されておるようなつもりではございませんで、問題は自衛隊の問題ではなくして、アメリカが、はっきり言って国防省は、返還に場合によっては反対論あるいは尚早論というものであることはもう周知のことであります。しかしながら、アメリカの戦略も、それから予算上の問題等もあって、逐次現実にも戦略が変更され、撤収がされつつあることは、日本本土も含めて同じ状態でありますし、韓国は米側の撤退について内閣は総辞職するといっておどしたのですが、やはり計画どおり撤収をしておるというようなこともございます。しかしながら、それにもかかわらずアメリカが日本に返さなければならない場合に、アメリカとしてはこの程度の戦略上の地位は沖繩において確保したいとがんばりますその問題についての折衝が大きな問題であるということであります。そのうち今度は返される土地について、これは全部自衛隊が肩がわりをしてしまうなんという乱暴なことは決してございませんので、自衛隊を全く配置しない沖繩ということでありますれば、今度はアメリカ側が、返したいと思っていたけれども、たとえば通信施設は自衛隊にやってもいいよと言っていたのが、じゃそれも返さないというようなおそれ等もあるわけでございます。それらのことで軍事上の問題が、軍事的な沖繩列島のいわゆるよくいわれるキーストンの議論がなされているわけですけれども、そのことが沖繩人たちの本来所有しておりました現在の軍用地というものを全然無視して話が進められておるわけではないということは御理解を賜わりたいと思います。  さらに、返された土地についての御提案でございますが、これはやはり第一義的には権利は旧地主にございますので、それらの人々の御了解を賜わる中で沖繩発展のために再提供できるようなものがございますれば、これは喜んで御相談なり計画なりを練らなければならぬと思いますが、まず第一義的には旧地主の方々に権利としてお返しするということが前提であろうと考えております。
  35. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど大臣もお話がありました、土地の造成については、開放された土地の問題もございまするけれども、いまお話がありました大事なもう一つの問題、土地の造成に対しましては、沖繩におきましては干拓あるいは埋め立て可能な土地というのが多くございます。この土地造成についていま大きな妨げになっておりますのは、先ほどお話がありました軍用地先の干潟の問題であります。これは軍用地先以外のものは琉球政府の管理に移されておるわけでありますけれども、軍用地先の干潟の管理につきましては、布令三十四号ですかによりましてアメリカが管理をしておる。これは沖繩の人々もどうにも手をつけることができない。これが土地開発などの造成に対しましても大きな妨げになっておるわけであります。  そこで、復帰段階あるいは返還協定の中におきまして、この軍用地先の管理権、これがかりに本土におきまする安保の本土並み適用というような場合に、軍用地先の管理権というものがどのようになりますか、あるいは外務大臣の所管であるかどうかわかりませんけれども、いま大臣がお話しになりました問題に関連いたしますので、私はこれは大事な問題だと思いますのでお聞きしたいと思います。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私の所管ではございませんで、交渉は外務省としても、実際は防衛庁の施設庁だと思いますが、しかし私の承知いたしておりまする範囲では、本土では地先海面なり浅瀬なりというものを軍に提供しておるという例は、構造物がない限りは存在していないと思っておりますので、復帰の時点においては、軍用地先の占有権というようなものは、よほどの特殊な事情等がございません限りは、おそらくなくなるであろうと思っておるわけであります。
  37. 安里積千代

    ○安里委員 本土の場合におきまする地位協定によりまするならば、確かに軍用地先の領水あるいはその付近の地域というものにつきましては、その軍用地に対しまする出入りの必要のための範囲内において限られております。沖繩におきましては、そうでなくして、軍用地先であればすべて軍の管理下にある。もしこれが復帰段階におきまして、軍用地以外にその軍用地の管理上必要だからということで、この干潟の管理権というものが今度は公式に返還協定の中において認められるということになりますと、また事実上沖繩の返還にあたりまして軍事基地拡大に通ずる新たなる問題が発生すると思います。これは外務大臣の所管であるかと思うのでありまするけれども、もし本土と違って、干潟の管理権というものが、無条件に現在のアメリカが握っておるような権利を承認するというような立場でありまするならば、これは沖繩開発に対しましても、また軍事基地の作用に対しましても非常に大きな問題が起こると思うのでありますが、閣僚の一人とされましてこの点を十分のみ込んでおいていただきたい、こう思うわけであります。  時間がございませんので、私もう一つだけお聞きしておきたいと思います。  これもあるいは外務大臣の所管かもしれませんけれども、私たちが非常に奇異に思いますことは、いままで報じられておりますところの問題につきまして、たとえば軍用地でもそうでありますが、復元補償などにつきまするところの問題は、つまり対米請求権というものは原則的に放棄する、こういうようなことがいわれておるわけであります。  ところで、先ほども國場君からでしたかお話がありましたところの財産の引き継ぎの問題、この問題がいま立法院の陳情にもあったわけでございますけれども、アメリカがガリオア資金あるいはそれの見返り資金あるいは沖繩援助に対しまする金として与えられたものによって造成されたところの施設、資産、こういうものに対しましては有償に買い受ける、大蔵大臣は引き継ぐということを言われておりますけれども、少なくともこれを出す。つまりアメリカに対する債権請求に対しては日本が放棄する、アメリカが沖繩県民に与えたこのものに対しては有償で今度は引き継ぐ、こういう、われわれから見ますならば、アメリカに対して日本政府というのが非常に弱い。アメリカに対しては放棄する、アメリカ側のものは金を出す、こういうふうなことでありますけれども、これは一体どういう根拠で請求権を放棄するかという問題は、これは外務大臣にお聞きしたいと思うわけでございますけれども、その中で、たとえば琉球銀行などの株五一%は民政府が持っております。この株の処理については、一つの例といたしましてどのように考えておられますか。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 請求権放棄の問題は外務大臣にお聞き願いたいと思いますが、これは積極的な放棄でなくして、日本がサンフランシスコ平和条約で放棄することを同意したときに、沖繩県日本の国でなく沖繩県民日本人でないということが言えない、やはり日本人であり日本国民であったということから、やはり請求権の放棄という原則を踏まざるを得ないという消極的な意味の放棄だと私は思っております。したがって、それに対して、放棄したことによって沖繩県民がこうむってきた正当なる対価を得べき問題については、本土政府が放棄した責任の裏においてそれを措置する義務を負うものだということは外務大臣に私も申し上げておるわけでございます。  それから琉球銀行の五一%の問題でございますが、これはアメリカ側に対しては払い、日本側は放棄するというのは、やはり戦勝国と敗戦国ということから生じた結果の延長の最後のピリオドを打つ場合に、やはりそういう形であらわれてきておると思いますけれども、しかしこれは沖繩県民の人々にとっては迷惑千万なことでありますから、日本国の本土政府においてアメリカ側の財務省とどのような引き継ぎの対象というものが議論されてセットされましても、結果は全部沖繩県民の享受すべき対象としてそれは沖繩県民が何らの代償も支払うべきものでないし、またその価値については全部沖繩県民が利用されるような形態にもちろんなっていくはずでございますし、そうするつもりでございます。琉球銀行の五一%の株は沖繩県民のみに開放される。したがってアメリカ側の資本もこの株の買収に乗り出すことはありませんし、日本本土の銀行資本その他の資本もそれを買うことはできないというたてまえで、沖繩県民全部の株主の手による地方銀行、メーン銀行ということになる予定でございます。
  39. 安里積千代

    ○安里委員 もう時間がございませんので、いずれまた後の機会にしたいと思うのでありますけれども、琉球銀行はもちろん現在はドルに切りかえられましてから三十万ドル、いまは百五十万ドルの資本になっております。一株一ドルでありますけれども、現在の資産価値からするならば、おそらく株の値段というのも三倍以上になっておるんじゃないか、こう思います。そうしますならば、あの銀行条例によりましても、アメリカが持っておる所有株というものは、はっきり条例にありますように、沖繩住民の受託者としてアメリカが所有する、こういうふうになっておりますので、あくまでもアメリカの所有というのは沖繩県民の受託である。ですからそれらのものも、初めの趣旨は別といたしまして、現在のそのようなものに対しましては、本来ならアメリカがこれをさらに一ドルのものを三ドルあるいは四ドルに処分して、その金が沖繩県民の負担になる、あるいは沖繩県民に還元されるにいたしましても、どうも理屈に合わないところのものがたくさんある。こういった問題につきましても、あるいはこれは対米折衝の中に行なわれる問題であるかもしれませんけれども、沖繩担当大臣とされましても、こまかい問題のようでありますけれども、資産の引き継ぎにつきましては十分配慮していただきたい。  こういうふうなお願いを申し上げまして、時間がございませんので、まことにどうも足りないものでございますけれども、以上で終わっておきます。
  40. 池田清志

    池田委員長 午後四時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十九分休憩      ————◇—————     午後四時六分開議
  41. 池田清志

    池田委員長 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  この際、沖繩及び北方問題に関する政府施策について説明を求めます。愛知外務大臣。
  42. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 外務省の所管事項につきまして、その概略を御説明いたします。  百万沖繩県民をはじめ、日本国民の長年にわたる念願でありました沖繩祖国復帰をいよいよ明年に控え、本年は沖繩返還協定に署名を行なう年であります。  沖繩祖国復帰につきましては、すでに御高承のとおり、一昨年十一月のワシントンにおける佐藤総理大臣とニクソン大統領との会談の結果発表されました日米共同声明に示されておりまする核抜き本土並み、一九七二年中という沖繩施政権返還の基本大綱について、日米間の合意が成立しておりますので、外務省といたしましては、右共同声明の趣旨に沿って沖繩返還を実現すべく、返還協定及びこれに関連する諸事項につきまして、目下関係省庁とも密接に連絡を保ちつつ、米側と鋭意交渉に当たっております。  返還協定交渉につきまして、具体的に申しますと、この交渉は昨年六月五日の私とマイヤー駐日米国大使との会談を起点といたしまして、その後原則として毎月一回右会談を行なうほか、日米双方の事務当局において、鋭意かつ密接に協議を進めてまいりました。  その結果、政府としては、沖繩返還のための作業は順調に進んでいるものと確信しております。具体的日程といたしましては、明一九七二年内のできるだけ早い時期に沖繩返還を実現するとの基本方針にのっとり、本年春より夏にかけて協定に署名の上、本年内に国会の承認手続を完了したいと考えておりますので、ここに各位の御協力をお願いする次第であります。  返還協定の内容につきましては、目下鋭意交渉中の段階でありますが、先ほど申し述べました一昨年十一月の日米共同声明に明記されております核抜き本土並み、一九七二年中という施政権返還の大綱のワクの中で、返還協定が確保されることは申すまでもありません。  これまでの対米交渉を通じて明らかとなりました沖繩返還に関連する主要交渉事項といたしましては、沖繩住民の対米請求の取り扱い、裁判等に関連する諸問題の取り扱い、米国資産の処理、在沖繩外資系企業の取り扱い等がありますが、これら諸事項のうち何を協定に規定するかはいまだきまっておりません。また、このほか施政権返還の日から沖繩に地位協定をそのまま適用するため、米側と十分話し合いつつ、必要な準備を進めております。  以上申し述べました主要交渉事項につきまして、交渉の現況を中心に、若干補足説明いたしたいと思います。  まず、沖繩住民の対米請求の取り扱いにつきましては、施政権返還に際しどのように取り扱うことが適当であるかの点につき、現地の実態、法的側面等をも勘案しつつ、慎重に検討中であります。これらの対米請求の取り扱いぶりにつき、返還協定中にいかなる規定が置かれるかは、日米間の話し合いによりきめられるものであり、現段階では何とも申し上げられませんが、いずれにいたしましても、政府としては、沖繩住民の要望を十分念頭に置きつつ、公正妥当な解決につとめる所存であります。  次に裁判の引き継ぎ問題につきましては、現在関係各省庁間で、あらゆる角度からの問題点の検討が進められており、外務省といたしましても、右検討の進捗を見つつ米側と本件に関する話し合いを詰める所存であります。  また、三公社、軍事基地道路、行政用建築物、航路援助施設等のごとく、施政権返還後も沖繩住民にとって有益であると認められるような資産の引き継ぎについては、日米間の協議を通じ、公正かつ公平な解決をはかってまいりたいと考えております。  また、在沖繩外資系企業の取り扱いにつきましては、右企業の実態につき、復帰準備委員会を通じ、すでに米側から相当の資料を収集し、現在関係各省庁において内容を検討中であります。その具体的取り扱いぶりは、右検討により各企業の事態を十分に把握した上できめるべき問題でありますが、一般的に言って、政府としましては、沖繩施政権返還が具体的な日程にのぼる以前から、沖繩で正当に事業活動に従事してきた外資系企業に対しましては、復帰後においても公平な取り扱いをすることが必要と考えております。いずれにせよ、在沖繩外資系企業の取り扱いにつきましては、日本の外資政策及びこれに関連する政策との斉合性を保たせたいと考えております。  最後に、復帰後の沖繩に対する安保条約及び地位協定等関連取りきめの適用につきまして一言触れたいと思います。  返還時における沖繩の米軍基地につきましては、一昨年十一月の日米共同声明にも明らかなとおり、施政権返還にあたっては日米安保条約及びその関連諸取りきめが、本土の場合と同様そのまま変更なしに沖繩に適用されるのでありますから、米側に提供されるべき施設、区域が、右条約及びその関連取りきめに従って提供されることとなることは言うまでもありません。  その際政府といたしましては、不要不急の基地に加えて、沖繩の民生及び経済開発発展のため、その移転返還が望ましい基地もあろうかと思われますので、これらの点を踏まえ、日米安保条約の目的に照らしつつ、米側と鋭意検討を進め、日本側の意向が十分に反映された形で決定が行なわれるように努力してまいる所存であります。  次に、わが国の北方領土問題につきまして、同様政府の所信を申し述べたいと思います。  戦後二十五年余を経た現在なお北方領土問題が未解決であるために、日ソ間に平和条約が締結されていないことはまことに遺憾であります。特に、明年には沖繩がわが国に返還されることを考えるならば、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島に対するソ連の不法占拠が依然として続けられているという事態がひとしお残念に感ぜられるのであります。政府は、かかる異常な事態をすみやかに解消し、日ソ関係を真に安定的な基礎のもとに発展させることが、ひとり両国関係のみならず、アジア全体の緊張緩和に資するゆえんであると信じ、過去久しきにわたりソ連政府に対し領土問題の解決方を強く働きかけてきました。しかしながら、ソ連はわが国をあげてのかかる要望に耳を傾けず、いっかなわが国との話し合いに応じようといたしません。しかのみならず、昨年十一月十一日にわが政府に対して行なわれたソ連政府の口頭声明で、ソ連は、わが国における北方領土復帰促進運動を戦後の国際秩序を破壊しようとする一部の人士による復讐主義的性格を持つものと述べている次第であります。かかる批判がおおよそ事実と相反していることはここに申すまでもないことであります。  日本国憲法には、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と述べられています。  わが国がソ連との善隣関係の発展を求めているのも、かかる平和外交の理念に根ざすものでありまして、特に最近日ソ間に貿易経済、運輸、文化等広い分野にわたって顕著な成果が得られておりますことを喜ぶものであります。しかしながら、いずれの国にもあれ、外交関係発展は一国の努力のみで達成し得るものではありません。日ソ関係についても、われわれの隣国たるソ連が何よりもまず北方領土問題の解決に誠意を示すことによって、わが国との関係を真に安定的な基礎のもとに発展させていくごとができるのであります。  政府は、ソ連が近い将来このことを正しく理解するに至ることを衷心望むとともに、今後とも北方領土問題の解決を目ざして、ソ連政府の要路に対し、粘り強く働きかけていく所存であります。  以上、簡単でありますが、外務省の所管事項につきまして、概略御説明申し上げた次第でございます。     —————————————
  43. 池田清志

    池田委員長 質疑を続行いたします。國場幸昌君。
  44. 國場幸昌

    國場委員 ただいま外務大臣より日米復帰交渉に対しての経過報告を聞かしていただきまして、まことに心強く感ずるわけでございます。私は、新聞またはテレビ、あらゆる報道を通じまして、もうすでに何回となく聞いたり見たりしておることでございますが、問題は、沖繩に投資されたところのガザオア資産の買い取りの件に対しまして、沖繩住民は、この沖繩に与えられたガリオア資金というのは、二十五カ年間にわたる施政権者としての沖繩に対する援助であり、贈りものであるのだ、こういうような気持ちが百万県民にあまりにも強いがために、外務大臣の今日までの再三にわたるところの、この買い取りに対しての交渉の段階において詳しく説明を聞いておるわけでございますが、しかしこの問題に対しては、いわゆる公聴会その他、アメリカにおけるところの議会におきましてもいろいろ問題をかもしておることでございまして、他に、このガリオア資金の買い取り問題と日米間におけるところのその他に関連し、または間接的にもかけ引きがあるという国際外交の中で、どうこれが関連があるかということはわかりませんが、ただ、県民がそれだけ、まさに日本復帰せんとするときに、せめてこれだけは置きみやげとして、二十五カ年間のアメリカの、沖繩百万県民に与えられた好意である、贈りものであるという執念があまりにも強いがゆえに、外務大臣に対していま一度、このガリオア資金においてできたところの開発公社、電力公社、水道公社、琉球銀行の五一%の株、それに対してお聞きしたいわけでございます。  このガリオア資金に対しましては、米下院の軍事委員会において、プライス氏の報告書によって、ガリオア資金の専有権と管理権は、安全のため、または技術者及び経済上の理由で民政府が保有してきた、そこでガリオア資金は信託財産であり、その主たる主権者及びその残存収益権の所有者は琉球人である、こういうようなことを明言しておるわけでございます。  それから第三点としまして、一九五三年五月二十四日、陸軍長官の米国財務省に対する証言。それを見ますと、その資金は琉球の人たちのために考えられ、また使用され、かつ琉球の人たちのために保有された信託勘定といった性質のものであり、米国の一般的な陸軍の軍事目的について議会が充当した資金を補うために使用してはならないことは明らかである。そのような事情から、この資産は米国財務省に返すべき、あるいは米国財務省の所有する外国資産だとは思われない。こういうようなことも言われておるわけでございます。  それから一九六二年八月八日、米下院歳出小委員会パスマン委員長においてエイルズ陸軍次官の証言は下記のとおりでございまして、琉球開発金融公社の保有資本は明らかに琉球人に帰属するものである、という証言をなされておるわけでございます。  この交渉の段階にありまして外務大臣にお聞きしたいのは、こういうような明白なる、しかもアメリカ議会においての責任ある証言により、私ども沖繩県民としては、まさしくこれは沖繩県民に与えられたものであるというようなことで、今日までそれを期待したわけでございます。しかし、外交交渉において返還協定そのものが買い取るということに対しては、なるほど日米間の交渉にありては、日本もこれだけ経済発展もしたし、それに対するところの何ものかの形として、この際返還交渉がスムーズにいくように、こういうようなことでございましょうが、沖繩県民としましては、日本政府において買い上げて、これをまた沖繩に無償で与えるのだというようなことでありましても、これに対しては、直接に与えられたものと、日本が賠償を払ってそれからもらうのとは、やはり気持ちにおいても違いますし、また今日までの期待そのものが、いかにこういうものに変化を来たしたかということに対して疑惑を持っているのが沖繩県民のいまの心情であります。でありますので、私は、それに対する外務大臣の、今日までの折衝の中からこういうぐあいになってきたといういきさつについての御説明をひとつお願いしたいわけでございます。
  45. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、沖繩におけるガリオアの問題でございますが、ただいまアメリカの議会その他の本件についての審議あるいは意見の交換のことをいろいろお触れになりましたけれども、政府といたしましても、たとえば一九五二年四月三十日に当時の極東軍総司令部から琉球軍の司令官あての指令というものがございます。その一節には、ガリオア資金を米国に払い戻させるために琉球人に負担をかけることを期待してはならないということが明らかにされております。またさらにさかのぼって、一九四六年一月の当時のスキャップの行政分離指令以来沖繩が米国の施政権下にあることなどから見まして、ガリオア援助費そのものを償還せよとの請求というものはなし得ないのではないか、かように政府としても考えております。これが第一点でございます。  それからその次に、私どもいま交渉の過程におきまして、在沖繩米国資産の引き継ぎ問題あるいは処理問題という範疇で扱っておる問題には、いま御指摘がございましたいわゆる三公社の問題、それから軍用以外の行政用の建造物とか航路援助施設といったようなものがございます。これらの三公社あるいは先ほどお述べになりました琉球銀行等の関係に若干のガリオア資金が入っておりますが同時に、これらのいわゆる引き継ぎ財産の中で、今後末長くと申しますか、沖繩県民方々の民生上役に立つもの、まあ一口に言えばパブリックユーティリティーと申しましょうか、そういうものを引き継ぎます場合に、これはちょうど二、三日前に予算委員会で大蔵大臣からも御答弁申し上げておるところでございますけれども、これをただで全部置いていけというのも少し行き過ぎではないかと考えられる点もございますから、そういう問題については、買い取りという観念ではなくて、今後沖繩県民方々のためになるような施設を引き継ぐについては、若干の何らかの支払いというようなものを考えなければなるまいということを考えておりますという答弁を大蔵大臣がいたしておりますが、政府といたしましては、そういうことがあり得ようかと考えております。  しかし、こうした資産の問題は、その構成されておる資金的な内容あるいは今後の有用性等いろいろこまかく検討いたしまして、そして日本側としてもアメリカ側との折衝におきまして十分納得のいくような処理を円滑にいたしたいと考えまして、現在この問題も対米交渉の中の一つの事項といたしまして、いま十分に話を煮詰めつつあるわけでございます。  なお、これらの評価その他経済性あるいはその構成内容等につきましては、非常に専門的、技術的な検討が必要でございますので、主として大蔵省の専門家とアメリカ側の財務省を中心にする専門家との間にも研究、検討を行なっておるような状況でございまして、的確に、こういうことになる、あるいはすることが妥当であるということを具体的に申し上げられるまでのところにまだ話が煮詰まっておりませんことを御了承いただきたいと思います。
  46. 國場幸昌

    國場委員 わかりました。新聞あるいはその他において、いまの外務大臣の交渉に対しての経過あるいはまた今後におけるガリオア資金に対しての折衝の中から、その考え方というものが沖繩県民にはあまり理解をされておらないという感がするわけでございますので、その点に対しましても今後記者会見のときにおきましても、いまおっしゃったような趣旨のことで県民が理解するような御発表をお願いしたいわけでございます。  時間がございませんので、もう一点だけお聞きしたいわけでございます。これもまた一つやっかいな問題でございまして、復元補償に対しての請求権、これは平和条約第十九条の(a)項によって請求権を放棄した、こういうことによって日本政府としてはこれを請求することはできない、ただし、沖繩県民に対しての直接、間接に及ぶ補償に対しては十分配慮をするということもよく理解しておるわけでございます。  ところが、ここに私はただ一点だけお聞きしておきたいことは、いろいろの理由をつけられておる軍用地復元補償の問題点というのが、各専門あるいは公的においても法曹界あるいは琉大教授がそこに論説を書いておるわけでありますが、この問題としますところの請求権の放棄、これに対しては沖繩は当てはまらないのじゃないかというのが大体この結論になっておるわけでございます。と申しますのは、「第一に、日本は、一九四五年以後、ニミッツ布告及び行政分離覚書により、沖繩住民に対する統治権を完全に停止されていて、平和条約締結当時、沖繩住民の請求権については全くあずかり知らぬ立場にあった。かゝる地位にある日本国に沖繩住民の請求権を放棄する権限はない。」こうきめつけておるわけなんです。  それから第二点としましては「平和条約締結当時、沖繩住民は、日本からは全く切り離され、米国の直接占領下にあって、平和条約締結についての意思表示をする道を形式的にも実質的にも全く奪われていたのであるから、日本国の請求権放棄は沖繩住民には及びえないものである。」またこういうぐあいに第二点で、「けだし、近代民主々義国の基本原理として、政府国民の信任をうけて存立し、その範囲においてのみ国家行為を行ないうるにすぎないからである。」  第三点としまして、「平和条約において請求権の処理に関する取極めがなされるのは、戦争、占領状態を終結させるにあたりそれまで続いた状態から発生した相互の請求権を清算しようというにある。しかるに、沖繩では平和条約締結後も依然として米国の施政権下にあって、実質的には占領状態が続いていたのであるから、平和条約締結の際には、米国と日本国との間で沖繩住民の請求権について清算する必要も又、前提もなかったというべきである。」  第四点としましては、「米国は、第一次、第二次大戦を通じて、その占領下で生じた損害に対する補償は被占領地域の政府に支払わせる政策をとり、平和条約の中で戦敗国及びその国民の請求権放棄を規定し、さらに戦敗国民の請求権については戦敗国が補償する旨の義務規定を入れることを慣例としてきた。対日平和条約で戦敗国の戦敗国民に対する補償義務規定が入れられなかったのは、一つには沖繩日本から行政権を分離されていて、日本が論理的に、これらの請求権の支払いをする義務がなかったことによる。そうだとすれば、沖繩に対して請求権の支払いをする責任をもつ政府は、占領期間中を通じ、さらには現在に至るまで施政権を有し、直接統治してきた米国政府であるとしなければ不合理である。」  もう一点あげております。「第五に、奄美返還協定に、講和前の請求権をも放棄する旨の規定があらためて存在することは、平和条約一九条(a)項が奄美住民の米国に対する請求権を放棄していなかったことを物語るものであり、したがって、当時の奄美住民と同一の法的地位にある沖繩住民の米国に対する請求権も放棄されずに存続しているとみなければならない。」こういうようなことを書いておるわけでございます。でありますので、請求権につきましては、沖繩住民はこれについての問題がまだ未解決のものもたくさんありますので、これに対する関心は強いものがあるわけでございます。  時間も迫っておるわけでございますが、もしその範疇において、いま読み上げました請求権に対してはこうこうこうであるということの指摘に対しまして大臣の所見がありましたら、お聞かせいただきたいことを希望するわけでございます。
  47. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 サンフランシスコ平和条約との関係におきましては、ただいまお読み上げになりましたような意見もあることは承知をいたしておりますけれども、政府といたしましては、平和条約の第三条によって沖繩の返還がもたらされることになっておりますし、平和条約におけるところの日本及び日本国民というものの中には沖繩及び沖繩県民が含まれているということがかねてからの政府の統一の見解でございましたので、第十九条にいわれる請求権は放棄したものと、かねがねかように統一的に解釈をいたしておるわけでございます。その長い間の経過をたどってみますと、たとえば講和前の人身損害に対する補償の問題などにつきましても、それにもかかわらず、補償ということばは使うことをしなかったわけでございますけれども、若干の事実上の補償が行なわれたこともあります。そして現在になってみれば、そのときの請求漏れと申しますかになって未解決であったものも政府調査でも明らかになっておりますし、御要請がございますし、詳細に具体的にわたりますと、なかなかいろいろな問題がございますので、それらを詳細に点検をいたしまして、そして米側との間の話し合いのつくものもその中にはあり得ると思います。それからしからざる場合は、これは先ほども前もってお述べになりましたが、政府といたしましては、沖繩県民の立場に立って、補償をする主体はあるいは日本政府ということになる場合もあろうかと思いますけれども、沖繩県民の立場に立っての御要請に対しては十分にこたえるようにしたいという気持ちを同時に持って、このむずかしい案件に対処したいと考えておるわけでございます。前国会の終わりごろにも申し上げた記憶がございますけれども、大きく分けましても大体十項目もございます。その中にはいわゆる軍用地の復元補償もあれば、漁業補償もあれば、いわゆる通損保証といわれておるようなものもございますれば、あるいは先ほど申しました人身補償の問題もあれは、つぶれ地の補償もあり、大きく分けましても十くらいに分類いたされます。またそれをさらに細部に分類いたしますと、いろいろの形態がございまして、その実態をあくまで詳細に追跡調査をいたしまして、そしてできるだけ御要望に沿うように処理をいたしたい、これを基本的なかまえにしておるわけでございます。なお法律関係あるいは条約の解釈等の細部にわたりましては、条約局長から御説明を申し上げたいと思います。
  48. 國場幸昌

    國場委員 時間がありませんから、これで質問を終わります。
  49. 池田清志

    池田委員長 中谷鉄也君。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 返還協定の内容を明らかにすべきである、明らかにされたいという論議が予算委員会等を通じて一貫して主張されました。  そこで、大臣に最初にお尋ねをいたしたいと思いますが、安保条約改定にあたりまして、三十四年十一月十日、当時の外務大臣の藤山愛一郎さんが、特に本会議において発言を求めて、交渉の経緯について報告をしておられます。いわゆる中間報告というふうに理解されているのでありますが、外務大臣にお尋ねをいたしますが、返還交渉の経違について、大臣は予算委員会で、現在なお成文化されておらない部分がある、成文として申し上げられる段階ではない、こういうふうなお話がありました。かりに成文化されておらないにしても、国会審議権との関係において、いわゆる安保改定のときのような外務大臣発言をされることは当然だと思いますが、そのような意思がおありでしょうか。
  51. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 実は返還協定の作成については、ほんとうに文字どおりねじりはち巻きで、そしてこれは率直に申しまして、一本といいますか、本部隊は私がおあずかりしておるわけでございますが、非常に多岐にわたりますから、いろいろの、いわばワーキンググルーブといいますかタスクフォース、これがすっかり細部にわたっての討議をいたしておるわけでありますので、成文化ということはもちろんでございますし、内容的にまだ十分に煮詰まっておりません。そういう関係で、途中の経過としても御報告を申し上げ得る段階というものは、現在ではきわめて抽象的にならざるを得ない、先ほどお話を申し上げましたような状況でございます。しかし、いまの御提案といいますか御意見というものは、私もひとつ十分考慮に入れてまいりたい、かように存じております。
  52. 中谷鉄也

    ○中谷委員 かりに成文化されておらなくても、内容的にまとまってきた、煮詰まってきたという段階においては、そうしますと当然外務大臣は発言を求められる、あるいは国会の要求に基づいて報告を締結前にされる、これは私は国会審議権のあり方、国会質疑権との関係において、まさにそういうふうなことであられるべきだと思いますけれども、現在、きょうこの日においてそういうふうな報告を求めているわけではないわけです。結局、そうすると、適当な時期においては、安保改定のときのような外務大臣発言をされるというふうに伺ってよろしいわけでございますね。
  53. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはいろいろの方法があると存ずるわけでございまして、現在でも質疑応答の過程におきまして、そう申しますとたいへん率直過ぎるかもしれませんけれども、交渉の当事者の立場から申しますと、国会でのいろいろの建設的な御意見や、またわれわれが気づかないようなところにまでわたってのいろいろの御意見を拝聴する、そしてこれが公の論議として展開されているということは、交渉に当たる者といたしましては、私は非常に心強いことである、こう考えておるわけでございます。したがいまして、今後におきましても、少しずつ話が詰まってまいりますれば、まとめて中間報告という形でなくても、たとえばただいまも御指摘がありましたような、資産の引き継ぎの問題については大体こうなるであろう、あるいは企業の問題についてはこういう方法で現在進められているというふうに、随時当委員会等におきましても御質疑等に対してお答えするということで、だんだんとその内容にわたっていくという方法もあるいはあるのではないかと思いますけれども、政治的にあるいは民主的に大事な問題を取り運んでいかなければならないというその御趣旨については、私はきわめてごもっともだと思いますので、そういう方法等については政府側におきましても誠意をもって考えてまいりたいと思います。
  54. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一度念のために確認と申しますか、大臣の御答弁を確かめさせていただきたいと思います。要するに、問題点はすでに浮かび上がっております。ただ、しかし、政府が対米交渉の中で、どのような交渉の経過を、そして問題を煮詰めたかということがやはり質疑の前提になろうかと思う。そういたしますと、結局いまの大臣の御答弁は、むしろ国会の審議権というものを尊重するたてまえにおいて、煮詰まったものから、質疑があれば当然、質疑がなくてもそういう問題については随時国会に対して報告をする、そうして、それについてわれわれの質疑を受ける、こういうふうなことについてはお約束をいただけるというふうにお伺いしてよろしいわけでございますね。
  55. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 幸いにこれからしばらくの間国会の会期中でもございますから、そういう国会の会期中において、私はしかるべき場合に、そういう目的のために、またそういう機会を活用していただくということが一つ考えられるのではなかろうか、こういう意味を含めて申し上げたわけでございます。
  56. 中谷鉄也

    ○中谷委員 たとえば請求権の問題と資産承継の問題というのは、別個の問題ではなしに、関連をしてくる問題だと思います。したがいまして重ねて御答弁をいただきたいと思う。もう一度お尋ねをいたしますけれども、大臣の御決意あるいはお約束の中には、安保改定時において、国務大臣が特に発言を求めて、安保改定の交渉に関する現在までの経緯に関しての報告をした、そういうことも当然考えておられる、こういうふうに伺ってよろしいわけですね。
  57. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 現在、その中身について先ほど来申し上げておるような状況でございますから、いつごろ、いかなる形にということもお約束はできませんけれども、御提案になった御趣旨は私よくわかりますから、誠意をもってお答えができるように常に交渉の準備を考え、同時にまた御質疑によってお答えができる用意をだんだんと考えてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。安保条約それ自体もたいへんでございますが、今度の返還問題というのも、この間山中総務長官からも申し上げましたように、国内立法の関係でもあるいは七百件といい、あるいはそれ以上になるのではないかといわれるぐらい、まことに広範多岐にわたる問題でございます。またそれらと対米交渉というものがすっかり入り組んでいる関係のものもございますものですから、ワンパッケージとしてまとめて御報告をするというような形ができるかどうかというようなことについては、いま確たる御返事はできませんが、御趣旨は十分体してまいりたいと思っております。
  58. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に、アメリカの条約の承認、批准の形式には、いわゆる上院の同意を必要とする場合と、いわゆる行政協定といわれている場合と、二つある。これはもうあたりまえのことでございますけれども、ちょっと局長のほうから簡単に御答弁をいただきたいと思いますが、行政協定というふうなかっこう、要するに上院の同意が要らないというふうなかっこうで条約が締結される場合はどんな場合でございましょうか。
  59. 井川克一

    ○井川政府委員 私もアメリカの憲法上のことはよく存じませんけれども、ただいまいわゆる米国憲法の慣習上によります行政取りきめと条約との差ができておりまして、しかもそのほかにアメリカは通商法等の授権に基づくところの条約締結行為というものがまたございます。さらには原子力法等に基つく特殊の制度もあるわけでございます、しかしながら、いまそのような措置は具体的には問題にならないと思いまして、現在のわれわれの関心事であります沖繩返還協定は、上院の三分の二の同意を得るか、あるいは大統領の行政府の長としての権限に基づいて締結するか、これは私どもが判断すべき問題ではございませんので、アメリカ側が判断して決定する問題だと思っております。
  60. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もちろんそうだと思うのですが、まず行政協定といわれている方式というのはこういう場合だということになれば、この返還協定がどちらの場合に当たるかということはおのずから予想がつくわけです。  大臣にお尋ねいたしますけれども、どのような形式になるように現在お見通しでしょうか。
  61. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、ただいま条約局長が申しましたように、ただいまのところこの見通しがさだかでございません。政府といたしましても、その点も早く見通しをつけたいと思っておりますけれども、何ぶんにもアメリカの内部のことでもございますし、それからこう言えば少し言い過ぎかもしれませんけれども、現在アメリカの政府と議会との関係というものはなかなかデリケートな状態にあるものでございますから、必ずしも政府の意図するようにはならないかもしれませんし、あるいはまた議会側が望むような形には必ずしもならないかもしれません。その辺のところを十分いま形勢を静観しているわけでございます。  それから過去の事実、最近の事実を申しますれば、小笠原と奄美のときにはいわゆる行政協定でございました。これは過去の事実でございます。
  62. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、外務省としては、わが国の国益の立場から、どのような方法でアメリカがこの条約、協定を取り扱うかということについては、この問題については全然アメリカの国内の問題だという立場をおとりになっているのかということが一点ですね。  それと、外務大臣すでにこの点については御見解を発表されたようにも私は記憶をいたしますけれども、どのような方法てあろうとも、これはわがほうとしてはその点についてはけっこうですということに相なるのか、この点はいかがでしょうか。
  63. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 一口に申しますと、非常に大きな問題でございますから、アメリカ側でも祝福された形とでも申しましょうか、そういう形でアメリカ国民が喜んでこれを支持してくれたという形になることが私は一番望ましい形だと思うのであります。それ以上は、これはいかような方法をとられても先方におまかせしてよろしいのではないかと思っております。
  64. 中谷鉄也

    ○中谷委員 祝福された形というのは、条約の承認の形式とは別に関係をしないという趣旨の御答弁ですか。
  65. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、そのとおりに私は考えるのでありまして、アメリカの政府国民の代表者である国会との間の話し合いがきわめて円満にまとまって、たとえば行政協定というようなかっこうになってスムーズにいくというのならば、それもたいへんけっこうな行き方であろう、私はこういうふうに思いますし、また上院で正規の議題として取り上げて、そして大多数の議員の方々が承認を喜んでするという形になることもまた喜ぶべきことであろう、かように考えております。
  66. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次の質問ですが、沖繩が返還をされると、安保条約、地位協定はそのまま全く変更なしに適用されるということは何べんもお聞きをいたしました。従来の答弁によりますと、地位協定とそれに関する関連取りきめ、すなわち国内法も全く変更なしに適用されるという趣旨でございますね。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 日米関係の両国間を拘束する条約、協定、交換公文、了解事項というものは、何らの変更なしに沖繩に適用される、これはそのとおりでございます。
  68. 中谷鉄也

    ○中谷委員 協定に基づく土地等の使用等に関する特別措置法がございますね。特別措置法の附則によりますと、協議が整わない場合、九十日以内に通知をして、そうして六カ月に限って使用できるとありますね。この特別措置法ももちろん何らの変更なしに、地位協定に基づくところの法律ですから適用されるとお伺いしてよろしいのですね。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、ただいまも申しましたように、日米間の協定ということについては、何もその点については変更がございません。一方、ただいま御質疑の点は国内法の問題でございますが、(「関連法」と呼ぶ者あり)国内法です。国内の立法措置によるところの問題でございます。こういうふうに私は理解をいたしております。
  70. 中谷鉄也

    ○中谷委員 確認をいたしてもよろしいのですが、大臣は協定及びそれに基づく法律は何らの変更なしに適用されるというふうに当委員会において御答弁された事実がありますが、きょうの御答弁とはどういうことになるのでしょうか。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは本土並みでございますから、たとえば日米間の協定の問題ではございませんけれども、日本の国内的な関係でいえば、憲法以下一切の法令がそのまま沖繩に適用される、こういう関係になりますが、これは日米間の関係ではございませんから、たとえば沖繩県に対しまして、沖繩県民復帰後の状況に照らして、たとえば、これは観念的な問題でございますけれども、特に沖繩県に対して特別保護、助成というようなことが必要であるという観点から、特別沖繩県だけを対象にする立法というようなことは、国内問題として考えられることはあると思います。
  72. 中谷鉄也

    ○中谷委員 お尋ねをいたします。この点は、そうすると、安保条約並びに地位協定の関連取りきめが間違いなしに何らの変更なしに適用されるというふうに従来から言っておられる。そういたしますと、土地の特別措置法によりますると、九十日を経過した後、なお引き続いて使用する必要があるものについては、九十日以内に通知をしなさいと、そうして「六月をこえない期間においてこれを一時使用することができる。」とあることは、すでに御承知のとおりであります。そうすると、この規定はこのまま適用されると伺っていいのか、六カ月という期間はそのまま適用されると伺っていいのかどうかです。
  73. 井川克一

    ○井川政府委員 私も国内法はあまり専門ではございませんけれども、中谷先生のおっしゃっておりますのは、昭和二十七年五月十五日、法律第百四十号の附則第二……(中谷委員「そうです、附則の二です」と呼ぶ)附則の二でございますね。これは私いま手元で読んだだけのあれでございますけれども、「この法律施行の際、連合国最高司令官の要求に基く使用を現に継続している土地等で、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日から九十日を経過した後、」云々となっておりまして、この附則第二項は結局「この法律施行の際、」つまり日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約効力発生の日から九十日、つまりあのわが国が独立を回復いたしました時点における規定だと思います。
  74. 中谷鉄也

    ○中谷委員 この問題だけを私やってみましょう。安保条約が沖繩に適用されるのは、まさに返還をされたその時点でございますね。そうでございますね。そういたしますると、この附則の二のどこかは、とにかく、あるいはその字句の修正をしなければならぬことがあるかもしれません。私がお聞きしているのは、したがいまして安保条約がとにかく発効したときには、九十日で通知、六カ月は一時使用できるという、そのことが同時に沖繩にも適用されないということになれば、私は本土並みじゃない、地位協定そのままといったって、地位協定のまさにこれは関連としての国内法なんですから、この六か月ということは間違いございませんかとお聞きしているわけです。
  75. 井川克一

    ○井川政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律は、これは私間違いかもしれませんけれども、この字を読みましたところによりまするならば、「この法律施行の際、」しかも「連合国最高司令官の要求に基く」云々、及び日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生のときというふうに、まさしく時点は日本が独立を回復したとき、にかかるものではないかと思います。しかもそれから「九十日以内に、」というふうな字を読みますると、あの当時ございましたいわゆる岡崎・ラスク交換公文、あれを受けた規定ではなかろうか、こう思うわけでございます。
  76. 中谷鉄也

    ○中谷委員 岡崎・ラスク交換書簡によりますると、引き続き使用ができるとなっていて、それに基づいてこの国内法ができておるわけです。では、この法律が、同じものが適用されなければ本土並みではないということになると私は思う。要するに、そうすると協議がまとまらないときには、沖繩においても六カ月を限って一時使用できるということになる。そうでなければ、幾ら安保条約、地位協定がそのまま適用されますといったって、住民に対する関係においては違ってきますね。六カ月ということは、いまをさかのぼる二十年前だって、一時使用はとにかく六カ月なんです。そういうことになりますと、沖繩においても六カ月を上回ることはないというふうにお聞きしてよろしいんですね。大臣にお願いします。
  77. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは、いま私もこの法律のことをもう一度正確に申し上げなければならないと思いますけれども、結局これは岡崎・ラスク協定との関係だと思います。私はこの沖繩の返還にあたりましては、岡崎・ラスク協定のようなものはつくりたくない。これはまだ最終的な結論ではございませんからなんですが、現在の私の姿勢といたしましては、そういうものはつくりたくない。そこで協定のつくる作業と並行いたしまして、前々から申しておりますように、返還の日をX日といたしますと、X日にもうずばりと地位協定がかぶされるようになって、そのときまでに日米の合意によってこれは安保条約の目的に沿う施設である、あるいは私のいまの姿勢からいえば、現に使われておるところであっても、沖繩の民生向上のためにははずしたいというものをはずし、安保の目的に沿うものだけを、それまでの間に合意を煮詰めておきまして、そして現に本土で行なわれているような手続によって、X日においてはぴしゃりといくようにするのが私は一番いいやり方ではないか。したがって岡崎・ラスク協定というようなもの、これはすでに効力がなくなっているわけでございます。したがって本土並みとかなんとかいう問題はございませんし、新たにそういうものを返還に際してつくるようなことはしたくないということでやってまいりたいから、こういうこととは関係がなくなってくると考えていいのではないかと思います。
  78. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣、そういうように私は考えないのです。岡崎・ラスク交換書簡というのが失効しておることはよくわかります。そこで、いずれにしても、では協議がととのわない場合ですね、これは幾ら大臣がアメリカと日本との間で合意したといったって、協議がととのわない地主というものの存在がありますよ。その場合、これは日米交渉の中において協議がととのわない場合に、とにかく本土法の中には六カ月に限ってという規定があったわけです。そうでございますね。それを、では六カ月以上一時使用できるというようなものがかりにできたとすれば、そういうふうなものができたとすれは、これは本土並みではない。地位協定が間違いなしにかぶってくるというが、かぶってくることではない、これが私の主張なんです。では、この法律を私離れます。一体、この一時使用というのは六カ月をこえるようなことはないんですね。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 こういうように考えておるわけなんです。いまこの法律を御引用になっての御議論でありましたが、その観点に立てば、六カ月まではこれが沖繩にも適用されるのではないかということを含めてのお話で、六カ月以上になればそれは本土並みでなくなるではないか、こういう御趣旨でございますね。私の現在の姿勢は、ですからもう少しさかのぼって、岡崎・ラスク協定のようなものはつくりたくない。それからいわゆる施設、区域については、安保条約の目的に沿うようなもの、それから逆に沖繩県民の福利安定のためにぜひとも必要なようなところははずすということで、一生懸命これからやってまいりまして、そしてそういうことにおいて、一方において沖繩県民方々にもいろいろと御協力を願い、本土政府としても努力をいたしまして、いまおっしゃいましたように合意をしなければ提供もできないではないかというような事態を起こさないように努力をしていこうというのが現在の政府の姿勢なのでございます。
  80. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣のおっしゃることはよくわかるのですし、政府の意図もよくわかります。しかし法律問題としては残っているわけですよね。大臣、御承知の上で御答弁になっておられるから、私は話がこんがらかってくるのだと思うのです。要するに地主の同意がとにかく要ります。要るということは、これは間違いない事実ですね。もう一度、日米の関係において提供しますという区域について、地主の同意が要るということは、もうこれはあたりまえのことなんですから、地主の同意がなかった場合には、これは日米が幾ら合意したって、何らかの措置を講じない限りは、とにかく地主の所有権が主張されるべきものだと思うのです。この点は一体どういうふうに処置をされるのでしょうかということです。引き続き使用するとおっしゃっても、引き続き使用するという期間は、とにかく特別措置法でいっているのは六カ月一時使用という、沖繩に限って一年だとか一年半だということになってくると、これは本土並みじゃありませんという主張なんです。だから六カ月ということ、大臣が合意を求めたいという姿勢で臨んでいるのはわかります。同意は必要とするというまず前提があります。同意をしない地主があった場合には、六カ月に限っての一時使用というのは、私はそのこと自体にまず反対なんです。特別措置法というのはおかしいと思う。大体六カ月というのはおかしいと思うのですけれども、本土法があるから。しかしこれよりも少なくとも上回ることはないでしょうね、とこういうふうに聞いているわけなんです。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私も中谷委員のおっしゃること、よくわかるのでございます。で、私はもっと率直に言えば、六カ月ということも考えたくないという姿勢でこの問題の処理に当たるべきである。これは地主さんの承諾、そこまでの円滑な話し合いがなければ、提供するといったって提供できないわけでございますね。同時に、日本政府が提供すると言わなければ、アメリカが使用するとともできないわけでございますから、一方において日米政府間の合意ということがやっぱり条件でございますね。そこのところがむずかしいところであり、またこれからの行政的、政治的あるいは外交的な仕事として大切なことである、その認識は私は非常に強く持っておりますけれども、ただいまの段階で申し上げますのは、先ほどもお断わりいたしておきますように、現在の時点における私の姿勢はそうでございます。
  82. 中谷鉄也

    ○中谷委員 姿勢をお聞きしているつもりではないのです。何べんもお聞きしているのは、だから私と大臣の質疑の中でまさに一致した点は、特別措置法当時の会議録を調べてみましたけれども、六カ月なんて一時使用を許すことはとにかく非常にけしからぬじゃないかというのを、当時の衆議院で建設委員会ですが、質問している人があります。私も当然そうだと思う。だから六カ月も認めたくないという大臣の姿勢は、まさに私の基本的な考え方と一致をする。そうすると、では大臣としては六カ月も認めないということになれば、日米間においてとにかく返還協定の中において土地を提供しますよ。区域を提供しますよといったって、地主が同意しなければ、提供できないんだということになるのですね。そういたしますと。
  83. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 法律的にはそのとおりでございます。
  84. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そういたしますと、引き続きとあって、返還協定の中には引き続き使用ということになってくるわけでございますね。ある区域については引き続き使用する、そういうことに日米の返還協定の中に盛るかどうか、そういう合意になるわけでございますね。そうすると、地主の同意が返還の時点においてないということになれば、結局そこは基地としては使用できない、とにかく基地としては開放されるということになってくると法律的には理解していいわけですね。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まあそこが法律問題だけではいけないところではないかと思います。ですから、そこが話し合い、行政上いろいろの工作といいますか施策の必要なところじゃないかと思います。
  86. 中谷鉄也

    ○中谷委員 あらゆる施策を講じたって同意をしないという前提の場合には、そうすると何らかの特別措置を講じない、ないんですね。大臣のお話では、六カ月だって私は認めたくないとおっしゃるんだから。そうすると基地は開放ですね。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは中谷委員もよく御承知と思いますけれども、小笠原の返還協定などの例もあるわけです。そしてそういうことを経験上踏まえまして、なるべくそういう経過期間というようなものをつくりたくない、これで何とかひとつ努力をやってまいりたい。そして一方においては対米折衝の問題もございますし、一面におきましてはいま御指摘のような法律上の問題もございます。それで、どうしてもいかないというようなときにはまた何かの方法を考えなければなりませんけれども、私は現在の私の考えというようなことで、いろいろこれから積み上げてまいりますつもりでございます。  それから返還協定の作成と並行いたしまして、提供すべき施設、区域のあり方あるいはその取り扱い方というようなことについても、だんだんと話を詰めていきまして、そして返還協定がX日に施行されたときには、そういった関係がきれいにいって、日米の合意もできた、それから地主関係の問題もきれいに処理ができたという形にそのX日にはきれいにして、そしてこれを両方の合意で日本側から提供した、こういうことにいたしたいというふうに考えておるわけです。現在の時点では、これはあまりにも理想的とお考えかもしれませんけれども、やはり現在の時点としては、その目標に向かって、ほんとうに各方面の、アメリカも含めて各方面の協力を求めて円満にそういうふうな終結にいたしたい。小笠原の場合なんかは、この点については、ただいまのこの法律は六カ月ですけれども、何年でしたか忘れましたが、年をもって数えるような猶予期間の定めもあるわけでございますから、これらは私は必ずしもいいやり方ではなかったんじゃないか。今度沖繩の場合においては、ほんとうによい、円満な形において処理をしたいという理想を持ちまして、何とかまとめてまいりたいと思っているわけでございます。
  88. 中谷鉄也

    ○中谷委員 局長にお尋ねしておきますが、そうすると、私が先ほど引用したような特別措置法のようなものは、外務省としては、日米交渉の中において、これは国内法の問題になってまいりまするけれども、考えていないというふうにお伺いしてよろしいんですね。
  89. 井川克一

    ○井川政府委員 ただいまのところ、私どももっぱら愛知大臣の御指示によって行動し、そのように考えて、すべてのことを、その御指示に基づいてもろもろの案を練っているわけでございます。
  90. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、大臣にお尋ねいたしますけれども、安保と地位協定がかぶってきた段階において、すでに地主の同意がなければいけない。通知だとか同意だとか、まず通知をしなければいけませんね。そういう作業はいつから始めるのですか。
  91. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはだんだんと、もう少し時間がたつにしたがって——いまのところ提供すべき施設、区域等についての細部にわたる、まだアメリカ側のぎりぎりの案というものも掌握できてない段階ですから、その具体的な手続にいつごろ入るかということはわかりませんけれども、これはX日以前に実質上の話し合いがついていれば非常にけっこうでありますし、あるいはX日以降における、X日から始まるところの案件についての予約が実際上きちっとできるようなところまで話し合いが進んでおれば、それでよろしいのではないかと思っております。
  92. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一度お尋ねいたしますが、X日というのは安保と地位協定が適用された日をおっしゃっているわけですね。そういたしますと、地主の同意を必要とするということは、もちろん当然のことだと思いますけれども、契約は個々の地主との契約になることは、これはもう当然のことでございますね。
  93. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これも法律的にまさに御指摘のとおりで、X日に効力を発生するところの国と地主との間の契約、こういうものが必要でありますし、それで必要にして十分ということになるわけです。ですから、先ほど申しましたように、実質上の話し合いが進んでおりまして、これは地主と国との関係だけではございませんで、ほかにも同種の問題がたくさんあるわけでございますけれども、このX日を期して、たとえば提供する施設、区域も、いままで米軍がかってに自由に使っていたものとその土地の法的性格がすっかり変わるわけです。それからそのほかの経済取引、一切の民事的な問題その他も、X日を期して全部契約が変わるわけでございます。そういうことでございますから、その前に準備あるいは準備的話し合いをやって、そのときに切りかわるようにする。これは他の一般の民事関係の経済行為、その他あるいは身分上の問題なんか、いろいろ複雑でございましょうが、それは国内立法のほうでもいろいろ技術的に瑕疵のないように立法措置を講じなければなりませんけれども、しかし常識的にいえば、X日をもって一切の法源が違うわけでございますから、これはその前に事実上の作業を進めておる、そして取り結ぶ契約についてはその日から契約の効力が発生する、こういうふうにしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  94. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私は率直に言って、大臣、条約局長、何か問題点の所在を少し誤解しておられるんじゃないかと思うのです。七二年に返還になりますね。そこで暫定措置はつくらないとおっしゃった。そうしますと、七二年までに地位協定が適用されたときに何万という地主の同意が必要ですね。そしてもちろん包括、一括賃貸借契約なんというのはどこかへ飛んでしまいますね。地位協守のもとにおいては個々の地主との契約になってしまう。では、もう一度お尋ねいたしますけれども、返還をされて、安保と地位協定がかぶってきた段階において、地主との契約がなければ基地は開放されるわけですね。
  95. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は、法律的に言えば、事実そういうことができないということになると思うのです。だからそれは、物理的に提供ができなくなるということをおっしゃっているのだろう思います。  それからもう一つは、何万の方々というお話で、そこに食いつくわけではありませんけれども、たとえば労務者の問題にしましても、これは間接雇用ということがそれまでにできればいいというふうに思っておりますが、かりにできなければ、できなくてもX日に間接雇用に切りかわりますから、一切の労働雇用契約というものも、その日を期してすっかり契約が切りかわるわけです。ですから、これはそういう点もお考え合わせになりますと、準備に周到な用意と非常な作業が必要であるということはおわかりいただけるだろうと思います。
  96. 中谷鉄也

    ○中谷委員 同じ問題ですけれども、私は、大臣の御答弁、かなり重大だと思うのです。  もう一度同じことを聞きますけれども、地位協定が適用されたその日には地主の同意がなければならない。そうしてしかも大臣は、引き続いて使用できるという国内法の措置は講じないとおっしゃった。そういたしますと、日米でどんなにとにかく合意をしても、地主の同意がなければ、しかも何らかの方法もとる余地がないわけですから、そうするとその土地は当然基地としては使用できないことになる。これは当然の法理だと思うのです。法律的に当然のことです。逆に言いますと、そういう場合には何らとにかく賃貸借について同意をしてないわけだし、また何らの強権の発動もされていないわけだから、沖繩県民で同意をしてない者は基地に自由に出入りができる。基地管理権も何もかもとにかくそこでは無効という状態になる。そういう趣旨の御答弁なんです、先ほどの御答弁は。暫定措置をとらないとおっしゃるのだから、六カ月という猶予期間も持たないとおっしゃるのだから。一体通知なんかどうするのか、通知なんか全部七二年までにやってしまわなければならないという前提に立っての御答弁なんですから、そういうふうに私のほうはお伺いいたします。それならもはや沖繩基地の機能というものは完全に失われます。そういうことはまさに社会党が言っているとにかく全面撤去になってくる、承知しない限りは。きょうの御答弁はそういう御答弁だったと私は思います。条約局長の答弁もそうです。私は、おそらく特別措置法的な考え方についての誤解があったと思う。幾らとにかく返還協定で引き続いて使用を許すとかあるいはまた合慰書でそういう合意をしたとしても、地主の同音がない限りはだめなんだ。しかもその地主の同意は返還協定適用の日までにとるのだとおっしゃる以上は、法律的にそういうことにならざるを得ない。答弁を修正されないわけですね。それだったら私の質問は終わります。
  97. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いやいや、そうはいかないです。これは先ほどからの議事録をよくお読みくださると正確にわかると思うのですが、私は、現在の姿勢においては、誠実に日米間の協定もできるし、そしてその趣旨において地主の方々の御協力も得られる。そしてそういうことを一つの目標にいたしまして、したがって岡崎・ラスク協定とかあるいは小笠原返還協定のようなときの暫定猶予期間というようなものはつくりたくない、こういう姿勢でまいりたいと思います。どうかひとつそういうところに御協力をいただきたい、こういうことでお答えをいたしているわけでございますから、その点を十分御理解をいただきたいと思います。したがって、提供すべき施設、区域については、安保条約のワクの中での返還で本土並みなんでございますから、安保条約の目的に合致するようなものについては、日本政府として施設、区域を提供いたしたい、あるいはしなければならない、その点についての御理解を進めていただきたい、こういうふうに考えるわけでございまして、不幸にしてそうした理想的なことはどうしてもできないということであれば、やはり別途の何らかの措置を考えざるを得ない、こういうふうになるわけでございます。
  98. 池田清志

    池田委員長 中谷君に申し上げます。あと一回の発言で終わってください。
  99. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私、終わるつもりだったけれども、大臣が答弁されたから……。  質問を終わりますが、そうすると、暫定措置はつくりたくない、しかし暫定措置はつくるかもしれない、裏返して言えば。理想的にいかなければつくりたい。それはしかし安保、地位協定、全くそのまま適用されるんですとおっしゃっている以上は、では万が一にも暫定措置をつくったとしても、六カ月を上回るようなことはありませんね、とこの点なんです。その点を確認しておきます。
  100. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それは、おことばを返すようですけれども、その点は、法理論としての点はまた機会がありましたらさらに正確に申し上げることがあるかもしれませんが、私は先ほどから言われているこの法律の法体系は、岡崎・ラスク協定は失効したものであり、それとの関連でこの法律ができておるんだし、それからこの法律は施行されたときからというときであって、これは沖繩反還の場合とは私は法体系が違うと思うのです。しかし、その点はなお論議の余地があるかもしれませんから、さらに正確な論議をさせていただきたいと思います。ただその中で、実態的に中谷委員がおあげになっておりますのは、六カ月ということを非常におあげになっておって、六カ月以上になれば困るぞということを、法律問題は別として一つのポイントにしておられますね。私は万々一何らかの措置を必要とする場合におきましても、その期間はできるだけ短いほうがよろしい、こういう本来の姿勢が、そういうものはつくりたくないという姿勢なくらいですから、そういうものは、かりにつくらさるを得ないということであっても、できるだけ短い期間がよろしいということだけ申し上げておる次第でございます。
  101. 池田清志

  102. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいま中谷委員の冒頭のお話にもございましたけれども、ただいま沖繩祖国復帰に対しましてさまざまな論議が展開されておりますけれども、沖繩の内部において最も県民の不安をかき立てているものは、返還交渉において必要以上に秘密主義が横行しておる、われわれの前途というものは一体どういうふうな形できめられていくかということが大きな不安になっていく、その問題にあると思うのであります。先ほどの御答弁を通しても明らかなように、愛知外務大臣は、必ずしも全面的な秘密主義というようなのはおとりになっていらっしゃらないし、また返還協定の内容についても随時に明らかにしていくということを申し述べられております。私は、憲法の条項に照らしましても、返還協定の内容、返還に至る協定の交渉における日本政府の立場、そういったものはできる限りこれを明らかにしていただきたい、そうしてその明らかにする過程において、県民が最も不安に思っている問題について十分な回答ができていっていただきたいということをまず希望したいと思うのであります。  ところが、私はきょうの委員会を初めから伺っておりまして、同僚議員の國場幸昌君がお話しになりましたけれども、県民を代表する立場で、今回の予算については六百億円の費用がここに計上されておってありがたいということを総務長官に述べておられた。まさに議員として私は感ずるのでありますけれども、一千億の要求が出されておって六百億である、少ないと言うならわかるけれども、この会場でお礼を言われたその心情というものはきわめて破格のものである、異常なものである、こう考えるのであります。つまりそれほど追い詰められている沖繩県民の感情というものを考えますならば、私はむしろ言うに言えない不安を持ってこの場に臨んでおられる沖繩県選出の議員を含めまして、沖繩県民に対して政府が十分な回答をするということが私は大事であると思うのであります。  私が本日伺うのは、法律論的なこまかい問題を伺うのではなくて、率直に現交渉の様子について随時まとまったところから、あるいは話せるところから話していきたいという外務大臣の先ほどの御答弁がございましたので、私は、いま問題点となっておる問題について率直にいまどうなっておるのか、こうお伺いしたいと思うのであります。  そこで、外務大臣に伺うのでありますが、返還協定の形というものがいまいろいろな形で新聞紙上をにぎわしているのでありまして、国会議員に対しての報告は先ほどこの場で外務大臣がおやりになったので、私たちは了解するわけでありますけれども、それより先に、新聞の切り抜きを集めてみますと、返還協定の第一次案の内容もこれまた印刷されているようであります。一体、外務大臣は新聞記者のほうには徹底的に発表をなさるけれども、この沖繩問題特別委員会に対しては、先ほど述べられたような程度で、ガードをかたくされた御答弁でおありになるのか、私はきわめて遺憾に存ずるのであります。特に私は一つだけ新聞を名前をあげて申し上げますが、四十六年の二月七日の読売新聞には明瞭に「沖繩返還協定第一次案の内容」というのがどんぴしゃり載っております。まさにこうやって拝見いたしますところ、私たちがほのかに伺っております返還協定の内容がほとんど全部出ているのではなかろうかと思われる節があります。外務大臣はこの協定案、第一次案に対してどう考えておられるか、こういうように新聞に出すということは作戦としておやりなのか、こういう形で国民の様子というものをお調べになろうとしているのか、また当該委員の反応を調べられようとしておるのか、私はその辺がよくわかりませんので、率直なところを、沖繩返還協定第一次案として新聞に掲載されているものにつき外務大臣の所見を承りたいと存じます。
  103. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 沖繩の返還協定について、その中身を秘密にしておくのは困るというお考えは全くごもっともだと思うのでありますけれども、その前提として、秘密にすべき対象がまだ実はないわけなんでございます、正確に申し上げますと。つまり私自身も、返還協定の草案というようなかっこうのものにはまだ実は私も煮詰めておりません。そういう状況でございますが、この内容として主要な事項はこうこうだというようなことは、国会で申し上げているとおりでございます。それからいろいろの論議、たとえば請求権の問題にいたしましても、いろいろの御要請が出ております。これはもう公になっております。世界に冠たる日本の報道陣のことでございますから、非常な勉強をなさっている、そしてアベーラブルないろいろなあれをお集めになって、そして条約案をおつくりになっているのだろうと思いますが、これはいかなる意味でも政府筋から出たものでもございませんし、またわれわれのポケットの中あるいはキャビネットの中にもその原稿と思わしきものが、形がないのでありますから、私は話したようなことは全然ございません。また同時に私、あるいは外務省の諸君も同様だと私は信じておりますけれども、新聞に漏らして反響を見るというような芸当ができるようなスマートな人間はおりませんので、とてもそんなことではなく、ただもうきまじめに、誠意を尽くしてねじりはち巻きでやっておる、こういう状況でございますので、この点はひとつ十分御理解をいただきたいと思います。
  104. 渡部一郎

    渡部(一)委員 非常にスマートな御答弁をいただきましたので、今度は私は、その返還協定の実際的に報道されているものについて否定、肯定はなかったわけでありますけれども、ではその協定案が第一次案としてこうやって新聞に出てしまったものを、これがほんとうかどうかをお伺いするのは、私はやめにいたします。それは外務大臣の立場もないと思うのです。これをうそだと言ってもまずかろうし、ほんとうだと言ってもまずかろりし、とんでもないことになると私は思います。したがって私は、県民の心配に合わせて一つずつ、請求権はどうかというふうにしてお伺いするのが、外務大臣のお立場も立てるべき質問であろうかと思うわけであります。  そこで、私は率直に伺うのでありますが、請求権に対しまして、一九五二年の平和条約の第十九条の(a)項において、日本国及び日本国民のすべての請求権の放棄という項目によって、沖繩県民の請求権は放棄されたものであるというふうに見るか、そうでないか、議論の分かれるところであります。この問題について、小笠原あるいは奄美大島の返還協定の際においてはどういうお立場をおとりになっておったのか、その辺を、恐縮でありますけれども、ここで御説明を願いたい。
  105. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 文章の書き方は多少違っておりますけれども、小笠原、奄美におきましても、サンフランシスコ平和条約の第十九条のいわゆる請求権は放棄した、こういうことが二つの協定の内容でございます。
  106. 井川克一

    ○井川政府委員 補足いたしますと、小笠原、奄美を通じまして、講和前に関する請求権の問題は、平和条約第十九条(a)項によりまして、すでに放棄されていた、サンフランシスコ平和条約において放棄されていたという立場でございます。
  107. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうしますと、沖繩の返還協定においても、当然請求権は放棄していた、こういう立場になっていく、こう了解してよろしいわけでございますね。
  108. 井川克一

    ○井川政府委員 講和前のものにつきましては、サンフランシスコ平和条約で解決済みでございます。
  109. 渡部一郎

    渡部(一)委員 講和後についてほどうですか。
  110. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまの講和前のなににつきましても、協定の中でどう書くかということは、まだ合意はできておりませんが、趣旨は同じことに考えております。  それから次のお尋ね、講和後の問題につきましては、先ほども多少触れたつもりでございますけれども、これは長い期間にわたっていろいろの事実や、法的の関係などございますから、実態を十分よく、いまも調べ尽くしつつございますけれども、この処理については慎重に検討をして、話し合いを進めていきたいということで、まだ最終的な結論は出ておりません。
  111. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私といたしましては、沖繩県民の請求権に対して米国の責任が平和条約によって正式に免除されている形になるわけでありますが、そうしますと、この沖繩県民のほうは、ほかの占領地域とは違って、長い長い期間にわたって全く補償を得られないという形になっていくわけであります。それはもう御承知のとおりでありまして、これは先ほどから外務大臣のお話にあります公平妥当な態度とは全く違うものであろうかと思うわけであります。したがって、平和条約第十九条(a)のこの項に対しまして、法的な保護を受けられない沖繩県民に対しては、当然日本政府としてそれにかわる施策を立てなければならない、こう考えるわけであります。しかしながら、前に外務省の下田条約局長時代に、下田局長が、沖繩の請求権については平和条約によって放棄されたと見ることは妥当でないという趣旨の御答弁をされたようであります。したがいまして、ただいまの外務省の方向とは当然異なっておる。この際、その下田発言に対しまして、また下田発言などといいますとややっこしいことになると思いますけれども、これに対する御見解も含めて、統一された見解を述べていただきたい、こう存じます。
  112. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、法律論としてのお答えにならないとおしかりを受けるかもしれませんけれども、講和前の補償につきましても、先ほどもちょっと触れましたが、補償ということばではないけれども、アメリカ側として約二千万ドル弱、それから日本政府といたしましては十億円、この種の請求権に対応するものとして、いわば実質上補償した事実もございます。そういう事実関係を念頭に置いて当時の下田条約局長がお答えしたのかと思います。法律論、条約論といたしましては、私も就任いたしましてからずっと調べ、かつ検討いたしましたが、どうもこれは遺憾ながらと申したいところなんでありますけれども、第十九条の「日本国及び日本国民」という中には沖繩県並びに沖繩県民が入る、つまり十九条による請求権は沖繩の場合にも放棄したと解すべきである、  これが政府の統一的な見解になっております。
  113. 渡部一郎

    渡部(一)委員 外務大臣が退席される時間が迫っておるそうでございますので、私の次に安里委員がまだ御質問がございますから、私は少し話を順々と追ってお話ししたかったのをやめまして、具体的な話で一つだけを申し上げておきたいと思うのであります。  これはお金の話から始まりますけれども、現在沖繩に対する公共投資というのが非常におくれているわけであります。これは二十五年間の歩みがこうさせたので、しかたがないといえばしかたがないのでありますが、返還されたら、それに見合うだけの投資というものは当然しなければいかぬ。ところが、大事な港湾であるとか道路であるとか、そういった基本的な計画が樹立されなければあらゆる産業計画というものはできないだろうということはもう周知の事実だろうと思います。特に私が心配をしておりますのは、新全総あるいは社会発展計画等によりまして相当多額の費用が日本国内には投下されまして、おそらくは七〇年から七五年に至るこのまる五年間に五十五兆という金額が日本では投下されております。ところが、その投下されることになっているのを人口で見て割り勘で勘定いたしますと、まあ百分の一、沖繩においては五千五百億というような巨額な金額になる。それだけの公共投資が行なわれてしかるべきである。まあ百分の一という計数が妥当かどうか、ちょっといま議論する時間がありませんけれども、こういうことが当然出てくるかと思います。ところが、その膨大な金額に対しまして今回の予算を見ますと、予算全部で六百億であります。いままだここがこうきっちりと日本政府の側とくっついていませんから、こういうことになるといたしましても、この金額でいきますと、こういうペースでいきますと、沖繩がもう過疎県になるのはあたりまえ、貧乏県になるのもあたりまえ、沖繩県民日本本土民の下敷きになってしまうのはあたりまえ。要するに、それこそ日本国民の中に新しい階層をつくってしまって、そして沖繩問題は、そういう意味の異質の問題の形跡がもうすでにでき上がっております。現在沖繩方々で関西等に来られている方々の中には、沖繩県民のみが集まって、非常に貧しい生活をされている、こういう町の一画すらでき上がってしまっている。こういったことを考えてみますと、私はそういった意味では、大きな意味で計画をもう一回立て直さなければならないし、その意味では一番大事な道路港湾等については特に明確にしていただかなければしょうがないのじゃないかと思っておるわけであります。そこで、外務大臣に特にお願いしたいのでありますが、一つは道路でありますが、道路はいま二十二本ばかりのおもな軍用道路は全くもってアメリカ軍の基地と扱われているわけなんです。ですから、あれを返していただかなければ、社会発展計画もヘチマもない。これだけは全面返還で必ず返していただけるのかどうか。これらの交渉の状況は、それに対してはどうなっているのかということを伺わなければ、おそらくは何の計画もできないのではないかと思われるわけであります。  もう一つは、飛行場のことを申し上げたいと思うわけでありますが、那覇空港は全面返還していただきたい。これはもうお話が出ておるようでありますが、この見通し。  それからもう一つは、率直に申し上げたいわけでありますが、沖繩本土とを結ぶのにはどうしても大きな国際空港がなければならない。しかし、いますぐコンクリートを流したりなんかでつくっても、非常に金額がかかるし、那覇空港のところは四千メートル滑走路をつけるには該当しないようなところであって、この工事費というのは高くなる。ところが、嘉手納のほうは、それこそギャラクシーがとまるような巨大なB52が発走するような大きな滑走路の飛行場がある。でありますから、当然米軍に対して嘉手納の空港は、あれは返してもらいたい。あるいは、最初それができないならば、とりあえず国際空港として米軍と日本との両用基地として、あそこの嘉手納は使わしてもらいたいという要求をしていただいたらどうか。実は、これはコザに今度国体というお話も出ておりますけれども、コザ周辺業者からも、コザ周辺の皆さま方からもきわめて強い要望であり、ここのところに国際空港としての巨大な飛行機がおりてくるようになりますと、コザ周辺の地域はそれだけでも立ち上がってくることが可能でありますし、私はそういった意味で大きな意味があるのじゃないか。  それからまた、東側の海岸のところに幾つかの湾がございますけれども、その中で、産業的に見てどうしても大きな港がなければこれはまた話にならない。たとえば、大浦湾とか金武湾とか、そういったような幾つかの湾がございますが、その湾の中にある現在のホワイトビーチ等をはじめとする米軍の軍港でありますが、その東側の軍港をどこか借用させてもらうというような交渉をしていただいたらどうか。私はもうこれは単なる質問ではなくて、率直な私の提案として聞いていただきたいし、またそれに対して現在ある程度の発展というか、ある程度の交渉というものが行なわれておりますならば、ある程度聞かしていただいたらどうか、こう思っておる次第であります。
  114. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 非常に具体的で積極的な御提案や御意見をいただきまして、たいへん感謝いたしますが、いまいろいろ具体的におあげになりましたような点、私どもとしても念頭に置いていろいろ話し合いをやっております。  その中で一例をあげますれば、那覇の空港でございますね、これなどは相当私は話が進んでいるほうに勘定していいかと思います。その他の点については、もう少しまだ話の煮詰め方が進んでおりません。
  115. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それでは安里議員に譲ります。
  116. 池田清志

  117. 安里積千代

    ○安里委員 時間もありませんし、ただ、きょうの大臣の所管事項の説明の中に、返還協定、アメリカとの交渉の中におきまする種々の事項をあげておりまするけれども、その中におきまして、一見して非常に奇異に感じる点がございます。それはいろいろな交渉がありまするけれども、沖繩にあるところのアメリカの企業、そういったことに対しまする説明は相当具体的になっておるわけであります。つまり沖繩施政権が返還される前に既存アメリカの外資系の企業に対しましては、端的に申し上げまして、一般論ではありまするけれども、復帰後においてもこの権益を認めるという線がはっきりあらわれております。これはアメリカの側にとりましては非常に喜ぶことだろうと思うのでありますが、肝心の沖繩の側に対しましては、全部、先ほどから御指摘ありましたとおり、非常に抽象的で、何ら具体的にまとまったことを説明しておられません。また先ほどお話もありましたとおり、新聞紙上にはすでに内容というものは示されております。そこで、われわれといたしましては非常に危惧の念を、疑惑の念を増すわけであります。いろいろなことでこの段階において発表がむずかしい点があったのじゃないかと思うわけでございまするけれども、こういうふうにお聞きしてみたいと思います。  交渉でございますので、日本側の要求、アメリカ側の要求、いろいろあると思います。いま対米折衝を要しておるものの中において、たとえて具体的に申しますと、請求権の問題に対してアメリカ側はどういう主張をしておるか、あるいはまた資産の買い取りの問題についてどういうふうに主張をしておるか、裁判の問題についてどういうふうに主張しておるか、それから必要とするところの軍事基地の問題についてアメリカ側の要求というものはどういう要求をしているか、これをお聞かせ願いたいと思います。そうしてまた、それに対して日本政府としてはこの問題に対してはこういう基本的な考え方を持っておるのだ、こういう基本線だけは御発表を願えるのじゃないか。話がまとまるとまとまらぬはあとにいたしましても、お互いの主張というものは私は協定の中において明らかにしていいのじゃないかと思いますので、対米折衝の中におきまするところの双方の主張、特にもしその中において両方の意見が相当食い違ってなかなか対立の状況にあるという問題がありますならば、そういう点から御説明願いたいと思います。
  118. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 確かに御指摘のように、私が最初に御説明いたしましたものは、まことに抽象的で申しわけございませんで、もう少し私も具体的にいたしたいと思って、先ほどまでも実はいろいろくふうをしてみたのでありますけれども、やっぱり煮詰まっていないところが多いものでございますから、たいへん恐縮でありますが、一応ただいまのところはこの程度にさせていただいたわけでございます。  それから、内容的には、これもまた確かに御指摘のとおりで、外資系の企業についてだけは少し書いてあるではないか、これもなるほど御指摘のとおりでございまするが、まず、順序としてその辺から申し上げますと、外資系企業につきまして一番……。
  119. 安里積千代

    ○安里委員 そのほうはどうぞよろしゅうございますから、外資系はよろしゅうございますから。
  120. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 あれはよろしゆうございますか……。  私の率直な感じを申し上げますと、ただいまもいろいろ中谷さんや渡部さんからの御指摘もございましたが、提供すべき施設、区域、それからこちらとしては、こういうところは日本側としてあるいは沖繩側として積極的に有用なところを提供せざるほうに入れたいわけでございます。これについて今後とも努力を大いに集中してまいりたいと思っております。これは、直接協定の文言上の問題であるかどうかはまた別個の検討を要する点でございまするけれども、やはり施設、区域の問題というものが私はなかなかむずかしい問題であると思います。  それから、その次に資産の引き継ぎの問題は、大体申し上げ得るところまで先ほど申し上げましたが、ガリオア資金という問題については、これは実は私も前々から当委員会あるいは当委員会が開設される前、外務委員会予算委員会等でも一言っております。当時からの米側の発表あるいは政策等におきましても、これは沖繩人のために使ったものであるということがいわれておりますし、それが正しいと思います。同時に、三公社その他行政用の建造物、施設等については、これは先ほど申し上げましたように、今後も末長く沖繩方々のために有用なるパブリックユーティリティーという観点に立てば、何でもかんでもただで置いていけというのは、返還するほうの立場も考えてみれば、日本側としてもある程度のところはその実態に即し、あるいは納得のできるような程度においては、これを買い取るという観念ではございませんけれども、若干の支払いといいますか、そういうことは考えてしかるべきではないか。これは金額その他まだ内容的にもいろいろ検討すべきことがございますので、金額的にはまだ詰めができておりませんけれども、大蔵大臣がすでに予算委員会でも表明しておりますとおりでございまして、大蔵省としても若干のことは考えておるわけでございまして、そういうことを基礎にいたしてまいりますれば、その後の話し合いというものはあるいは順調に進んでいくのではないかと思います。  それから対米請求の問題は、これは前国会の末にもくどくどと申し上げましたが、非常にたくさんの案件と懸案がございます。その中には、たとえば講和発効前の人身の補償について請求漏れの問題というようなものもあって、これは講和前の問題でありますけれども、すでに講和前の問題であっても実質的な補償が行なわれたわけですから、そういう十九条で放棄したものではあるけれども、しかし、現実に事実上ある種の補償というものが行なわれたという場合に、それと公平の原則からいって要請をし得るものもあるのではないかというような問題もございますし、この請求の問題は、今後まだまだ詳細にわたりましていろいろと折衝上も難点が残る問題ではないかと思います。ただしかし、先ほど実は琉球立法院の各派の代表の方々とちょっとお目にかかって懇談をいたしたわけでございますけれども、琉球立法院の御決議の趣旨も私も拝承いたしましたし、沖繩県民方々の御要請は、率直に申しまして、あるいは本土政府としてやるべきこともあろうかもしれませんが、日米あわせて、沖繩県民方々の御要請には何としても対応するようにはからっていかなければならないこういうふうに考えております。  それから、もう一つの大きな問題は、裁判の問題でございまして、これは、先般来のコザ事件に象徴されているように、軍の裁判についての沖繩方々の何とも言えないようなふんまんのお気持ちもよく理解をいたしまして、いろいろと善処しているわけでございますけれども、裁判権自体の移管というものがほんとうにこれだけむずかしい問題であるなということは、私もほとほと理解ができたくらいでございまして、この返還協定の上で刑事、民事について二十数年にわたる裁判権の移管というものをスムーズにやって、引き継いでまいりますためには、法務省や最高裁や、あるいは日弁連やその他の専門の方々のお知恵も十分にかりて、間違いなきを期したいと考えております。これは経済問題ではございませんが、やはり人権の基本に関する問題でございますから、この協定作成については、専門的にも十分抜かりなく、円滑に完全に移管をするということに今後とも努力を集中いたしたいと考えておるわけでございます。  大きな問題はそういうようなところにあろうかと思います。  以上、まだ十分意を尽くしませんけれども、概略御説明申し上げた次第でございます。
  121. 安里積千代

    ○安里委員 時間がありませんでどうも申しわけございませんが、先ほどの中谷委員の提起しました問題はたいへん重要な問題だ、こう思っております。この問題はもっと明確に解明しなければならぬ問題だ、こう思っております。  そこで、あるいはきょう御答弁する時間がなければあれでありまするけれども、一つの問題として簡単にお答え願えればお願いしたいと思いますが、まず第一に確認しておきたいと思いますることは、復帰段階におきまして、現在の沖繩の軍用地問題につきまして、琉球政府がアメリカとの間に布令によって総括的な契約をしておること、琉球政府がまた個人と契約しておること、これは無効になるということを確認せられるか。そして、日本政府といたしましては個別の新たな契約をする、こういう基本方針をとっておられる、これも確認せられるか。それから、今度は返還協定で地位協定によりましてアメリカに提供するところの地域につきましては、事前に各地主との間に契約を完了しておく前提のもとになされておるか。その場合に、先ほどお話がありました承諾しない地主との間に契約のできない地域についても、アメリカが必要とするところのその地域は、返還協定の目録の中で表示されるかどうかわかりませんけれども、その中に、つまり地主は承諾していないけれども協定の中におきまするところの付属文書としてその地域はアメリカに提供するという協定がなされるのであるか。それとも、承諾がなければその地域は除かれるのであるか。もう一つ、どうしても協定によりましてこの地域はアメリカに提供するというふうになりましても、もしその中に承諾しないところの地主があったという場合におきましては、その土地に対しましては新たな法律によって収用でもしょうというのか。あるいは現在ある収用法というようなものによってやろうとするのか。あるいはその際においては、沖繩の場合において、アメリカに提供する土地、地主が承知しない土地につきましては、つまり契約ができない土地につきましては何らかの法的な処置をしようというのであるか。その点を、もしいまお答えができましたらば簡単にお答え願って、あるいは将来の問題として御研究なさいますならば、あとでもけっこうだと思います。
  122. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは具体的にきちんきちんとお答えするまでのところに至っておりませんけれども、私は、先ほど中谷委員にも申し上げましたように、誠実に、かつ理想的な形を考えれば、こちらが提供する施設、区域というものは沖繩県方々の御納得のいくような提供の態様でありたい。そしてその限りにおいては、地主の方々についても特にひとつ御協力をいただきたい。そしてそういう環境の中に、暫定措置とかあるいは岡崎・ラスク協定あるいはそれに類するようなことは何とかして避けたいという姿勢で現在進んでおるわけでございます。  抽象的原則論を申せば、安保条約地位協定の定めるところによって施設、区域を提供するわけでございますし、それから日本政府がその場合、地主さんたちからいかなる方法で取得するような方法をとるかということにつきましては、今後地主さんたちのお気持ちや、あるいはそのほかの実情などを十分踏まえながら、私はできるだけ私のいわゆる理想的な形態に持っていきたい。どうしてもそれができない場合には何らか別個の措置を考えなければなるまいか、こういうふうに思っております。ただいまもお答えいたしましたように、具体的にこういった場合はこう、こういった場合はどうというところまではまだ実は考えてもおりません。  それからなお復帰前にどういうふうにするかということは、先ほどの中谷さんの御質問にもございましたが、これは政府としては、防衛施設庁等の担当官等も相当数、まだ時間等はきめておりませんけれども、やはり現場でもって相当の協力をしてもらう態勢にいずれか早い機会にしなければなるまい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  123. 池田清志

    池田委員長 次回は、来たる二十三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時十一分散会