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1971-05-21 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年五月二十一日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 斉藤 正男君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       石井  一君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    砂田 重民君       關谷 勝利君    細田 吉藏君       井野 正揮君    金丸 徳重君       久保 三郎君    内藤 良平君       田中 昭二君    宮井 泰良君       田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         気象庁次長   岡田 茂秀君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         行政管理庁行政         管理局管理官  古谷 光司君         法務省刑事局局         付検事     飛田 清弘君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         気象庁気象研究         所長      北岡 龍海君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     真鍋  洋君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 五月十九日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     佐々木更三君 同日  辞任         補欠選任   佐々木更三君     井野 正揮君 同月二十一日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     中澤 茂一君 同日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     井野 正揮君     ————————————— 五月十八日  新東京国際空港建設計画の再検討に関する請願  (青柳盛雄紹介)(第六八八九号)  同(浦井洋紹介)(第六八九〇号)  同(小林政子紹介)(第六八九一号)  同(田代文久紹介)(第六八九二号)  同(谷口善太郎紹介)(第六八九三号)  同(津川武一紹介)(第六八九四号)  同(寺前巖紹介)(第六八九五号)  同(土橋一吉紹介)(第六八九六号)  同(林百郎君紹介)(第六八九七号)  同(東中光雄紹介)(第六八九八号)  同(不破哲三紹介)(第六八九九号)  同(松本善明紹介)(第六九〇〇号)  同(山原健二郎紹介)(第六九〇一号)  同(米原昶紹介)(第六九〇二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  陸運に関する件(タクシー行政に関する問題  等)  海運に関する件(水先制度等に関する問題)  航空及び気象に関する件(全日空機事故調査に  関する問題等)  日本国有鉄道経営に関する件(山陽新幹線に  関する問題等)  請 願     一 自動車有毒排気ガス除去装置取付       け義務化等に関する請願米原昶君       紹介)(第六七号)     二 山陽新幹線路線変更に関する請願       (青柳盛雄紹介)(第二三七号)     三 同(浦井洋紹介)(第二三八号)     四 同(小林政子紹介)(第二三九       号)     五 同(田代文久紹介)(第二四〇       号)     六 同(谷口善太郎紹介)(第二四一       号)     七 同(津川武一紹介)(第二四二       号)     八 同(寺前巖紹介)(第二四三号)     九 同(土橋一吉紹介)(第二四四       号)    一〇 同(林百郎君紹介)(第二四五号)    一一 同(東中光雄紹介)(第二四六       号)    一二 同(不破哲三紹介)(第二四七       号)    一三 同(松本善明紹介)(第二四八       号)    一四 同(山原健二郎紹介)(第二四       九号)    一五 同(米原昶紹介)(第二五〇号)    一六 東北上越新幹線起点として上野       駅決定に関する請願中川嘉美君紹       介)(第三五四号)    一七 東北新幹線東京盛岡間の早期着工       に関する請願鈴木善幸紹介)(       第三五五号)    一八 上田交通真田傍陽線廃止反対に       関する請願向山一人紹介)(第       四七一号)    一九 国鉄経営合理化に伴う小駅の停留       所化等に関する請願向山一人君紹       介)(第四七二号)    二〇 国鉄赤字路線分離構想反対に関する       請願向山一人紹介)(第四七三       号)    二一 自動車有毒排気ガス除去装置取付       け義務化等に関する請願田中武夫       君紹介)(第七七六号)    二二 同(石橋政嗣君紹介)(第七七七       号)    二三 同(石橋政嗣君紹介)(第八五三       号)    二四 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第七七八号)    二五 同(平林剛紹介)(第八五四号)    二六 自動車有毒排気ガス除去装置取付       け義務化等に関する請願石橋政嗣       君紹介)(第九二二号)    二七 同(田中恒利紹介)(第九二三       号)    二八 同(田中恒利紹介)(第一〇五五       号)    二九 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第九二四号)    三〇 同(平林剛紹介)(第一〇五六       号)    三一 同(平林剛紹介)(第一一七一       号)    三二 同(平林剛紹介)(第一二〇九       号)    三三 同(平林剛紹介)(第一二三九       号)    三四 同(平林剛紹介)(第一二六一       号)    三五 岩手県胆江地区に陸運事務所支所設       置に関する請願小沢一郎紹介)       (第一三〇六号)    三六 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第一三四六       号)    三七 同(平林剛紹介)(第一四一八       号)    三八 同(平林剛紹介)(第一四八九       号)    三九 同(平林剛紹介)(第一五三二       号)    四〇 東北上越新幹線起点として上野       駅決定に関する請願山田久就君紹       介)(第一三四七号)    四一 同(石井桂紹介)(第一四九〇       号)    四二 山陽新幹線路線変更に関する請願       (大原亨紹介)(第一四八八号)    四三 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第一五六一       号)    四四 同(平林剛紹介)(第一五九九       号)    四五 同(平林剛紹介)(第一六九四       号)    四六 同(平林剛紹介)(第一七六三       号)    四七 小田急電鉄の高架式複々線化促進に       関する請願賀屋興宣紹介)(第       一五六二号)    四八 名古屋駅前国鉄所有地ビジネスホ       テル建設計画反対に関する請願(上       村千一郎紹介)(第一五九三号)    四九 同(小川半次紹介)(第一五九四       号)    五〇 同(海部俊樹紹介)(第一五九五       号)    五一 同(久野忠治紹介)(第一五九六       号)    五二 同(辻寛一紹介)(第一五九七       号)    五三 同(村田敬次郎紹介)(第一五九       八号)    五四 東北上越新幹線起点として上野       駅決定に関する請願土橋一吉君紹       介)(第一六〇〇号)    五五 地方港湾柴山港の整備促進に関する       請願佐々木良作紹介)(第一六       〇七号)    五六 名古屋駅前国鉄所有地ビジネスホ       テル建設計画反対に関する請願(大       野市郎紹介)(第一八〇三号)    五七 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第一八〇四       号)    五八 同(平林剛紹介)(第二一六三       号)    五九 同(平林剛紹介)(第二二九七       号)    六〇 貨物自動車ほろ等保安基準制定       に関する請願赤松勇紹介)(第       二五六五号)    六一 新湘南港の建設計画反対に関する請       願(平林剛紹介)(第二五六九       号)    六二 東北上越新幹線起点として上野       駅決定に関する請願山田久就君紹       介)(第二八一九号)    六三 山陽新幹線路線変更に関する請願       (寺前巖君介)(第二八七三号)    六四 船舶職員法の一部を改正する法律案       反対に関する請願金丸徳重君紹       介)(第三〇三四号)    六五 同(井岡大治紹介)(第三〇八五       号)    六六 同(井野正揮君紹介)(第三〇八六       号)    六七 同(久保三郎紹介)(第三〇八七       号)    六八 同(斉藤正男紹介)(第三〇八八       号)    六九 同(青柳盛雄紹介)(第三三五二       号)    七〇 同(浦井洋紹介)(第三三五三       号)    七一 同(小林政子紹介)(第三三五四       号)    七二 同(田代文久紹介)(第三三五五       号)    七三 同(谷口善太郎紹介)(第三三五       六号)    七四 同(津川武一紹介)(第三三五七       号)    七五 同(寺前巖紹介)(第三三五八       号)    七六 同(土橋一吉紹介)(第三三五九       号)    七七 同(林百郎君紹介)(第三三六〇       号)    七八 同(東中光雄紹介)(第三三六一       号)    七九 同(不破哲三紹介)(第三三六二       号)    八〇 同(松本善明紹介)(第三三六三       号)    八一 同(山原健二郎紹介)(第三三六       四号)    八二 同(米原昶紹介)(第三三六五       号)    八三 同(斉藤正男紹介)(第三四四六       号)    八四 同(田代文久紹介)(第三四四七       号)    八五 地下鉄第八号線の西武鉄道乗入れ区       間地下鉄化に関する請願中村梅吉       君紹介)(第三四五〇号)    八六 船舶職員法の一部を改正する法律案       反対に関する請願斉藤正男君紹       介)(第三五三三号)    八七 同(斉藤正男紹介)(第三五七七       号)    八八 同(青柳盛雄紹介)(第三六五八       号)    八九 同(浦井洋紹介)(第三六五九       号)    九〇 同(小林政子紹介)(第三六六〇       号)    九一 同(斉藤正男紹介)(第三六六一       号)    九二 同(田代文久紹介)(第三六六二       号)    九三 同(谷口善太郎紹介)(第三六六       三号)    九四 同(津川武一紹介)(第三六六四       号)    九五 同(寺前巖紹介)(第三六六五       号)    九六 同(土橋一吉紹介)(第三六六六       号)    九七 同(林百郎君紹介)(第三六六七       号)    九八 同(東中光雄紹介)(第三六六八       号)    九九 同(不破哲三紹介)(第三六六九       号)   一〇〇 同(松本善明紹介)(第三六七〇       号)   一〇一 同(山原健二郎紹介)(第三六七       一号)   一〇二 同(米原昶紹介)(第三六七二       号)   一〇三 同(田代文久紹介)(第三七二二       号)   一〇四 同(井野正揮君紹介)(第三八三二       号)   一〇五 同外一件(井岡大治紹介)(第三       八八七号)   一〇六 同(井野正揮君紹介)(第三八八八       号)   一〇七 東北新幹線東京盛岡間の早期完成       に関する請願鈴木善幸紹介)(       第三七二六号)   一〇八 東北新幹線早期建設及び小山市に       停車駅設置に関する請願外十一件       (丹羽喬四郎紹介)(第四一〇六       号)   一〇九 同外一件(長谷川四郎紹介)(第       四二一四号)   一一〇 船舶職員法の一部を改正する法律案       反対に関する請願外一件(斉藤正男       君紹介)(第四三七三号)   一一一 松本東京間航空路線開設に関する       請願原茂紹介)(第四六一二       号)   一一二 同(中澤茂一紹介)(第四六六五       号)   一一三 同(向山一人紹介)(第四九一七       号)   一一四 同(井出一太郎紹介)(第四九六       八号)   一一五 同(羽田孜紹介)(第四九六九       号)   一一六 船舶職員法の一部を改正する法律案       反対に関する請願井野正揮君紹       介)(第四九一八号)   一一七 同(久保三郎紹介)(第四九一九       号)   一一八 同(斉藤正男紹介)(第四九二〇       号)   一一九 東北新幹線早期建設及び小山市に       停車駅設置に関する請願外一件(稲       村利幸紹介)(第四九二二号)   一二〇 松本東京間航空路線開設に関する       請願増田甲子七君紹介)(第五〇       五九号)   一二一 東京都中央区月島、晴海地区に地下       鉄誘致に関する請願山本政弘君紹       介)(第五〇六〇号)   一二二 船舶職員法の一部を改正する法律案       反対に関する請願外二件(井岡大治       君紹介)(第五一一九号)   一二三 同外一件(内藤良平紹介)(第五       一二〇号)   一二四 同外四件(和田春生紹介)(第五       一二一号)   一二五 東北新幹線早期建設及び小山市に       停車駅設置に関する請願外三件(藤       尾正行紹介)(第五一九七号)   一二六 松本東京間航空路線開設に関する       請願小坂善太郎紹介)(第五二       三二号)   一二七 同(松平忠久紹介)(第五三〇六       号)   一二八 同(唐沢俊二郎紹介)(第五三九       三号)   一二九 水沢・大船渡線の国鉄予定線編入及       び早期着工に関する請願小沢一郎       君紹介)(第五二三四号)   一三〇 松本東京間航空路線開設に関する       請願(林百郎君紹介)(第五五六九       号)   一三一 常磐線綾瀬、亀有駅停車に関する請       願(有島重武君紹介)(第五六七八       号)   一三二 同(伊藤惣助丸君紹介)(第五六七       九号)   一三三 同(大野潔紹介)(第五六八〇       号)   一三四 同(大久保直彦紹介)(第五六八       一号)   一三五 同(竹入義勝君紹介)(第五六八二       号)   一三六 同(多田時子紹介)(第五六八三       号)   一三七 同(鈴切康雄紹介)(第五六八四       号)   一三八 同(中川嘉美紹介)(第五六八五       号)   一三九 同(松本忠助紹介)(第五六八六       号)   一四〇 同(渡部通子紹介)(第五六八七       号)   一四一 東北新幹線早期建設及び小山市に       停車駅設置に関する請願外十三件       (小平久雄紹介)(第五八四二       号)   一四二 タクシー安全輸送確保等に関する       請願米原昶紹介)(第五九一四       号)   一四三 同(青柳盛雄紹介)(第五九一五       号)   一四四 同(浦井洋紹介)(第五九一六       号)   一四五 同(小林政子紹介)(第五九一七       号)   一四六 同(田代文久紹介)(第五九一八       号)   一四七 同(谷口善太郎紹介)(第五九一       九号)   一四八 同(津川武一紹介)(第五九二〇       号)   一四九 同(寺前巖紹介)(第五九二一       号)   一五〇 同(土橋一吉紹介)(第五九二二       号)   一五一 同(林百郎君紹介)(第五九二三       号)   一五二 同(東中光雄紹介)(第五九二四       号)   一五三 同(不破哲三紹介)(第五九二五       号)   一五四 同(松本善明紹介)(第五九二六       号)   一五五 同(山原健二郎紹介)(第五九二       七号)   一五六 同(青柳盛雄紹介)(第六〇一四       号)   一五七 同外一件(井野正揮君紹介)(第六       〇一五号)   一五八 同(浦井洋紹介)(第六〇一六       号)   一五九 同(岡田利春紹介)(第六〇一七       号)   一六〇 同(金丸徳重紹介)(第六〇一八       号)   一六一 同(久保三郎紹介)(第六〇一九       号)   一六二 同(小林政子紹介)(第六〇二〇       号)   一六三 同(後藤俊男紹介)(第六〇二一       号)   一六四 同(斉藤正男紹介)(第六〇二二       号)   一六五 同(下平正一紹介)(第六〇二三       号)   一六六 同(田代文久紹介)(第六〇二四       号)   一六七 同(谷口善太郎紹介)(第六〇二       五号)   一六八 同(津川武一紹介)(第六〇二六       号)   一六九 同(寺前巖紹介)(第六〇二七       号)   一七〇 同(土橋一吉紹介)(第六〇二八       号)   一七一 同(林百郎君紹介)(第六〇二九       号)   一七二 同(東中光雄紹介)(第六〇三〇       号)   一七三 同(不破哲三紹介)(第六〇三一       号)   一七四 同(細谷治嘉紹介)(第六〇三二       号)   一七五 同(松本善明紹介)(第六〇三三       号)   一七六 同(山原健二郎紹介)(第六〇三       四号)   一七七 同(米原昶紹介)(第六〇三五       号)   一七八 同(井岡大治紹介)(第六二四八       号)   一七九 岐阜市を通過する東海道線等の高架       化実現に関する請願坂井弘一君紹       介)(第六〇三六号)   一八〇 同(田中昭二紹介)(第六〇三七       号)   一八一 同(西中清紹介)(第六〇三八       号)   一八二 同(松本忠助紹介)(第六〇三九       号)   一八三 同(丸山勇紹介)(第六〇四〇       号)   一八四 松本東京間航空路線開設に関する       請願下平正一紹介)(第六二八       二号)   一八五 タクシー安全輸送確保等に関する       請願井岡大治紹介)(第六四八       二号)   一八六 同(大出俊紹介)(第六四八三       号)   一八七 同(内藤良平紹介)(第六四八四       号)   一八八 同(長谷部七郎紹介)(第六四八       五号)   一八九 新東京国際空港建設計画の再検討に       関する請願青柳盛雄紹介)(第       六八八九号)   一九〇 同(浦井洋紹介)(第六八九〇       号)   一九一 同(小林政子紹介)(第六八九一       号)   一九二 同(田代文久紹介)(第六八九二       号)   一九三 同(谷口善太郎紹介)(第六八九       三号)   一九四 同(津川武一紹介)(第六八九四       号)   一九五 同(寺前巖紹介)(第六八九五       号)   一九六 同(土橋一吉紹介)(第六八九六       号)   一九七 同(林百郎君紹介)(第六八九七       号)   一九八 同(東中光雄紹介)(第六八九八       号)   一九九 同(不破哲三紹介)(第六八九九       号)   二〇〇 同(松本善明紹介)(第六九〇〇       号)   二〇一 同(山原健二郎紹介)(第六九〇       一号)   二〇二 同(米原昶紹介)(第六九〇二       号)      ————◇—————
  2. 宇田國榮

    宇田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名によりまして、委員長がお見えになるまで私が委員長の職務を行ないます。  これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は、全部で二百二件でございます。  本日の請願日程第一から第二〇二の請願を一括して議題といたします。  まず、請願審査の方法についておはかりいたします。  請願の内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また、先ほどの理事会におきましても御検討願いましたので、この際各請願について、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宇田國榮

    宇田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の理事会において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一、第一六ないし第一九、第二一ないし第二三、第二六ないし第二八、第四〇、第四一、第四七、第五四、第五五、第六〇、第六二、第八五、第一〇七ないし第一〇九、第一一一ないし第一一五、第二九ないし第一二一、第一二五ないし第一三〇、第一四一、第一七九ないし第一八四の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宇田國榮

    宇田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  残余の各請願は、採否の決定を保留いたしますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 宇田國榮

    宇田委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 宇田國榮

    宇田委員長代理 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、国鉄ローカル線の確保等に関する陳情書外二十八件であります。  この際、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  7. 宇田國榮

    宇田委員長代理 陸運、海運、航空日本国有鉄道経営、海上保安及び気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石井一君。
  8. 石井一

    石井(一)委員 御承知のように、山陽新幹線が来年の四月に開通する運びになっておりまして、地元では非常に大きな期待と関心とを呼んでおるわけでございます。  私たちが理解いたしております範囲でも、工事その他まことに順調に進んでおるということを伺っておるわけでございますけれども、たとえば、去る十二日の委員会松本委員が御質問になりましたら、さっそく地元紙では、新幹線ひかりが政治停車をするというふうな記事が出ておる。私もふしぎに思いまして、いろいろ調べてみますと、必ずしもそういうやりとりが行なわれておらない。こういうことでございますから、非常に関心が高いだけに、地元ではいろいろとうわさをされ、国鉄がきめておられない問題に関しましても、そういうふうにきまったというような考え方、あるいはその決定がなされておるものに対しても十分知られておらない、こういうふうないろいろな問題がございますので、非常に関心の高い問題でございますから、きょうはひとつこの問題について詰めてみたい、基本的な御方針を伺ってみたい、かように考えるわけでございます。かなりの問題点がございますので、ひとつ簡潔に、政府委員なり関係者のほうからお答えをいただきたいと思います。  まず最初に、工事の進みぐあいは順調に進んでおるのか、現時点でどこまで行っておるのか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
  9. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 山陽新幹線の新大阪−岡山間でございますが、これは昭和四十年九月に工事の着手がございまして、その後具体的な経過地、駅の位置、それから工事実施計画等の手続を進めまして、着々工事を進めております。  それで現在の段階では、工事のテンポは非常に進捗をいたしておりまして、来年の四月一日の開通ということはほぼ間違いないものと考えております。私どもといたしましては、なるべく早くこれを完成いたしまして、地元の方々、国民的な要望にこたえなきゃいかぬということで、鋭意工事を進めておりまして、本年中には実際の土木工事その他が全部完了いたしまして試運転に入りまして、そうして来年四月一日からの開通には万遺漏なきを期したいと考えております。
  10. 石井一

    石井(一)委員 何か補足説明がございましたら……。
  11. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 鉄監局長から御説明がございましたけれども、もう少し詳しく補足説明させていただきたいと思います。  結論的に申しますと工事は非常に順調に進んでおりまして、その内容を少し申し上げますと、用地と工事と両方に分かれるわけでございますが、用地につきましては、本線敷用地についてはほぼ全線にわたって契約を完了いたしております。それから工事でございますが、四十六年の四月末現在の状況でございますが、百六十五キロ全線にわたりまして工事の発注が終わっております。そして進捗状況は、土木につきましては九九%、軌道関係につきましては八〇%、電気関係につきましては七三%というぐあいに工事は進捗いたしております。したがいまして、四十七年四月予定どおり開業できるということでございまして、十一月ごろには試運転を開始するような運びになるんじゃなかろうか、このような状況でございます。
  12. 石井一

    石井(一)委員 非常に順調に進んでおるということを聞きまして、たいへんけっこうかと存じますが、一部阪神の三都市において、工事その他が遅滞をしておるということを聞いておりますが、その点について一言触れていただきたいと思います。
  13. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 阪神三都市につきましては、用地上の問題いろいろございましたですけれども、現時点においては逐時進行いたしております。
  14. 石井一

    石井(一)委員 それでは、すでに開通いたしております東海道新幹線と山陽新幹線の技術的な相違点、そういうものがございましたら、ひとつお教えをいただきたい。
  15. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 東海道新幹線も、従来の国鉄が持っておりました技術の総力を結集いたしまして、その総力を組織的に組み立てることによりまして、世界に誇る新幹線をつくることができたわけでございます。その技術的な特徴と申しますと、やはり非常に高速であり安全であり、都市間輸送を担当するに適しているというようなことに重点を置きまして、そして全線につきましては道路との立体交差をしておる。駅も比較的少なくして都市間輸送に対応できるようにしておる。それから路盤その他につきましても、これが高速安全運転に適するような路盤、あるいは曲線、勾配等につきましてもそのような配慮をやっておる。それから電気機器あるいは信号保安設備その他につきましても、基本的には現在の技術の粋を尽くした組織的なものにしておるということでございます。  それで、大きな違いと申しますのは、一つにはスピードの問題でございまして、将来二百五十キロが可能になるように設備上の点をすべて改良したというようなことでございます。それから地形上の問題等におきまして、この地帯は東海道新幹線の場合に比べましてかなり山岳その他の地形上の問題があったために、隧道、橋梁その他等が非常に多いということがいえるかと思います。車両等につきましては、先ほど申し上げましたように東海道新幹線よりも高速のものに耐え得るように、この車両の設計をしてきておるというようなところがおもな違いでございます。
  16. 石井一

    石井(一)委員 要するに、新幹線の基礎に基づいて、さらに技術的な革新を加えられた、そういうことによって、当初いわれておった二百五十キロのスピードということも可能な見通しが立っておる、こういうふうに理解をしてもよろしゅうございますか。
  17. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 最終決定ではございませんが、まず一応二百五十キロを目ざしまして、いま最後の工事に入っております。
  18. 石井一

    石井(一)委員 技術的な問題はよくわかりました。最終決定がなくても、少なくともそういう努力目標でやっており、一応既定方針どおりこうだという面は、これからやります質問についても明確にお答えいただいたほうがいいのじゃないか。かえって地元では、どうだろうか、こうだろうかといって気をもんでおる問題もたくさんございますので、そういうおつもりで……。その後のいろいろな検討の結果、変更ということもあり得ると思いますけれども、現時点において一応こういう見通しだということを明確にお答えいただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、私はいま技術的な相違点というのを聞いたのでございますけれども、その次の問題点は、一体営業上の相違点というのが、東海道新幹線を運営する場合と山陽新幹線を運営する場合にあるのか。たとえば東海道の場合は、やはり太平洋ベルト地帯の区間を結ぶものとして、首都圏と中部圏と近畿圏とを結ぶという観点から新幹線が運営されておる、かように私は思うわけですけれども、それと同じような観点で、山陽、近畿というものを見ておられるのか。山陽新幹線に対しては、また別の角度から、技術とは別に営業面、経済面ではどういうふうに見ておられるのか、お伺いしたい。
  19. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 山陽新幹線の経済的な問題につきましては、まず第一に輸送量の問題でございまして、この輸送量を想定いたしまして山陽新幹線をつくるという決心をいたしましたのは、山陽新幹線におきまする輸送力というものが、東海道新幹線をつくるときの輸送力の逼迫というものと非常に似たような性格になっておる、したがって、これは新しく新幹線方式によるところの建設でなければできないということで、山陽新幹線に踏み切ったわけでございます。  なお、その場合の輸送の形態でございますが、東海道新幹線の場合には、やはり東京名古屋、大阪というような非常に大きな都市が三つありまして、それの関係の連絡ということも非常に大事でありましたが、同時に、その中間におきまする静岡、浜松、豊橋その他のかなり大きな都市がございまして、そういったような都市と大都市を結ぶ都市間交通というものも担当する、こういう色彩を持っておったわけでございます。それで、山陽新幹線の場合にその点は、大阪以西におきましては、神戸をはじめかなり都市がございますが、東京名古屋、大阪というような三大交通圏というのでは若干ない、むしろ東京地区と九州地区並びに中国地区というものを連絡するというようなウエートがかなり大きい。ただ、いずれにいたしましても東海道メガロポリスの一環でございますから、本質的な違いはございませんが、若干ニュアンスの違いとしてはそういう点があります。
  20. 石井一

    石井(一)委員 私は、地元の利益誘導的なことを申し上げようとは一つも思っておりませんけれども、山陽新幹線というものが東京と九州とを結ぶということであれば、地元は、やはり建設に大いに協力しながら、何ら返ってくるところがないということでございますと、その点は非常に問題があるのじゃないか。それと同時に、東海道の周辺を見たのと、これから開けようとしておる山陽を見た場合に、やはり地域開発の計画ともマッチしながらこの新幹線というものが最大の経済効果を発揮する、そういうふうな観点からこの建設計画が進められ、また実際にそういうふうな効果を出すべきであるというふうに私は考えまして、その間の問題を飛ばすというふうな考え方は多少問題があるのじゃないかと思いますが、その点について何か補足説明がありましたらひとつ……。
  21. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 ただいま先生御指摘のように、新幹線網につきましては、地域開発的な効果あるいは先行的な効果というものも十分考えなければいけないことは、お説のとおりでございます。  ただ、山陽新幹線につきましては、すでに現在の輸送量が山陽線自体の輸送力をはるかにオーバーしておるというような状態でございますので、そういうような先行的な要請というものを考えなくても、それをどうしてもつくらなければならないという必要性があるわけでございます。地域開発効果というものも決して無視するわけではございません。
  22. 石井一

    石井(一)委員 それでは、四十年九月に工事認可がおりて、四十一年五月、五年前にはすでに最終コースなり駅の設定が行なわれております。そしてもう一年もたたないうちに開通だ、しかも工事が順調に進んでおる、こういうところまで来ておるわけでございますから、あと残っておる問題を早急に詰めて公表すべき必要がある、こういうふうに考えるわけでありますけれども、ダイヤはいつ決定をされるおつもりなのか。おそらく国鉄は恒例の十月のダイヤの改定ということもやられるのでありましょうけれども、それ以前に、やはり新幹線との関連というものを考えなくてはいかぬのじゃないか。その点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  23. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 来年の四月の開業を予定しまして、ダイヤはいつ決定するか、こういうお話でございますが、非常に大綱的な決定が行なわれるのは大体七月か八月ごろ、このように予定いたしております。それから、その際には、先生ただいま御指摘をされましたいろいろな問題点を総合的に解決いたし、骨子をきめるという予定に考えております。
  24. 石井一

    石井(一)委員 七月、八月ということになりますともう目前でございますから、いまいろいろ最終の詰めをなさっておるだろうと思うのでございますが、ちまたに伝わっております話では、博多まで延びた場合は別として、少なくとも第一次の岡山まで延びた来年四月の時点において、三十分間隔でひかりとこだまを交互運転するということが伝えられております。また一日二十一往復であるというふうなこともいわれております。これはたびたび新聞に報道されておる問題でございますけれども、基本的にはこういう考え方ですか。
  25. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 いろいろ考え方はございますが、現時点におきましては、ひかりとこだま、岡山まで直通するひかり、それから各駅停車のこだま、これを原則的に考えております。  ただ先生、先ほど来御指摘のとおり、東京−大阪までの新幹線のやり方をそのまま大阪から岡山まで延ばしていいかどうかという問題につきましては、やり方につきましていろいろ検討しなければならない問題もございます。したがいまして、技術的な問題も含めまして総合的に目下検討しておるというのが現在の段階でございます。
  26. 石井一

    石井(一)委員 そういたしますと、基本的には私が質問しましたそういう方針で、最後の、技術的な問題がないかということを検討されておる、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。ひかり、こだま交互に三十分ずつの乗り入れで、一日三十一往復という点です。
  27. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ひかり、こだまを原則的な運行計画として考えておりますが、何本考えるかということについてはまだ検討中でございまして、きめておりません。
  28. 石井一

    石井(一)委員 次に、ひかり、こだまの二本立てというのが国鉄の基本方針のようでございますけれども、山陽新幹線においてはひかりのAとBとがある、Aはノンストップで岡山までという形態、Bは主要駅にとまる、こういう形態を考えておられるのだろうと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  29. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 その点につきましては、先ほど来申し上げますように、ひかりとこだまを原則として考えておりますが、現在営業しております東海道の方式そのままでいいかどうか。はっきり言いますと、大阪からの段落ちの輸送量に対してどのようにやっていくかということもございますので、原則的にはひかりとこだまと、従来の東海道新幹線のやり方をそのまま考えておりますけれども、なお総合的に考えなければならない問題があるという気持ちで検討中でございます。
  30. 石井一

    石井(一)委員 その辺から、御回答が少しぼやけてきておるように感じるのでございますけれども、公式な会見じゃございませんけれども、たびたび地元は国鉄側と折衝いたしまして、ひかりA、Bというのは既定の事実というとおかしいですけれども、そういうふうに理解をされておるわけでございますけれども、いまの御回答だと、まだA、Bというものが存在することすら検討中だというふうに聞こえるわけであります。やはりこの山陽新幹線の機能というふうなことを考えると、現実の問題としてはこだま以外にひかりA、Bというものをつくらなければいかぬ、それの本数についていま検討しておる、私たちはそういうように理解しておりますけれども、その辺についてもう少し胸襟を開いて、現在討議になっておる問題でもけっこうでございますから、ひとつお答えいただきたいと思います。
  31. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ひかりA、ひかりBという考え方が一つの考え方として伝わっておることは、私、承知いたしておりますが、現時点においては、そのような考え方が部内的にきまっておるわけでございませんで、原則的には従来のひかり、従来のこだまという方式でありますけれども、なおいままでの開業しておる東海道新幹線の方式だけで十分かどうか、総合的に検討しなければならない、こういう段階で目下検討中でございます。
  32. 宇田國榮

    宇田委員長代理 この際、委員長より御注意申し上げます。  発言の声が低くて、私語する者が多く、聞こえませんから、まことに恐縮でありますが、委員長から御注意いたします。速記者が困っているそうです。
  33. 石井一

    石井(一)委員 もう一つ、細部にわたる問題でありますけれども、これもちまたでうわさをされ、また関心を持っておる問題でありますが、東京から大阪へ入ってきたひかりのうち、約三分の一が新大阪をスルーして岡山へ入る、あとの三分の二はダイヤを変えなくちゃいかぬというようなこともいわれておる。それから、ひかりは従来どおり十六両編成であるし、こだまはやはり従来どおり十二両編成であるというような問題もいわれておる。この辺はもう目前にきておるわけでありますから、もう少し国鉄側としてもはっきりした、基本的態度としてはこうだ、またその後にこういう理由で変わったのだということがあってもいいですから、そういうことをもう少し明快にお答えいただきたいと思います。
  34. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいま、東京から大阪までのひかりの三分の一はスルーして行ってしまう、あるいはまたこだまについては十六両を十二両にダウンする、落とすということが検討されているんじゃないかというお話でございますけれども、三分の一スルーで運転するということについては、別に、検討はもちろんいたしておりますけれども、まだ検討の段階でありまして、一つも方向としてきまっているわけでもございません。  それから、十六両を十二両に落としたらどうかという検討でございますけれども、これも検討の段階でありまして、全くきまってはおりません。
  35. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、私がただいま問題にいたしましたひかりA、Bの問題であるとか、あるいは交互運転の問題、往復の回数の問題、それからまた、ただいま問題にいたしました車両数の問題、これは新聞を通じてたびたび報道されておる問題で、新聞側といたしましても、これは全く事実のないことを報道するはずがない。やはり非公式な形にでも、いろいろな形でこういうことが検討されておるということが伝えられて、それが世論に伝わっていっておる。やはり山陽新幹線の沿線の人々というものは、そのことに対して非常に大きな関心を持っておる。必要以上に問題をぼかすということは、もう時期も非常に目前にきておるわけでありますし、試運転も三カ月先にやろうというところまで来ておるわけでありますから、これは国鉄として基本的な方針はやはり私は早急に立てられて、発表をされるべき時期がきておるのじゃないか、こういうふうに思います。そういう点で、これ以上強く申しませんけれども、大体きまった問題もあろうかと思いますし、変更を余儀なくされておる問題もあろうかと思いますけれども、私は、そういうものをひとつはっきりしていただきたいということをお願いいたしておきます。  そこで、まず一つの大きな関心になっておりますのは停車駅の問題でございますけれども、岡山までに兵庫県に四つの駅があるということでございますから、この辺のコンビネーションをどうするかということは、非常に重要な問題があろうかと思います。そこで、一体国鉄は停車駅の基準をどういうふうに考えておるのか。そこの人口を考えるのか、あるいは乗客を考えるのか、採算をとれるようにするのか、あるいは地域開発と見合ったやり方をとるのか、あるいはCTCその他技術的な問題だけにたよってその結果をゆだねようとしておるのか、相当調査が進んでおり、もう結論を出さなければいかぬ問題、直前にきておると思いますので、その辺の進展状況をひとつ御説明いただきたいと思います。
  36. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 停車駅の問題につきましては、人口とか乗降とか、あるいはその地域の状況、あるいは技術上の問題、これらを総合してきめなければならないというものでございますが、現在、岡山までの開業のために国鉄の中で開業準備委員会というものを設けまして、いま御指摘のいろいろなマーケットリサーチの問題、あるいはまた技術的な問題を含めまして、準備委員会で目下検討しておる最中、こういうことでございます。
  37. 石井一

    石井(一)委員 そういうことをすべて踏まえて現在検討中である、こういうことでございますけれども、たとえば、この前の委員会で同僚の松本先生が御質問になったやりとりから、すでに、ひかりは新神戸と姫路に政治停車するというような記事が地元で出ておる。こういう論議はそのときにはかわされなかったわけでございますけれども、やはりそれを裏づけるようなものはたくさんございます。新聞記事は別にいたしまして、私が調べました資料の中に、国鉄の一條常務理事が兵庫県知事と対談をしておられる中に、はっきりそれを裏書きしたようなことばがありますので、誤解のないようにひとっこれを読み上げたいと思いますけれども、基本的にこういう考え方でお進みになっておるのじゃないかと私も思います。その辺のニュアンスを、地元にも非常に関心のある問題ですし、これが右にきまるか左にきまるかということで、地域開発であるとか都市計画であるとか、そのほかいろいろな市民の個人的な営業の問題とかというふうなものが非常に大きく左右される。急に、開業する直前にこうだといわれても、地元としてはどうしても受け入れ体制ができない。こういう問題があるわけでございますから、ひとつその点を御理解いただきたいと思うのでありますが、一條常務理事は兵庫県知事との対談の中で、「当面の問題としては岡山まで開通の段階でどうか、ということになろうかと思いますが、山陽新幹線もひかり、こだまの二本立てになると思います。そしてひかりは建て前として新神戸駅と姫路駅に停車させたいと考えています。」こういうふうに答えられておるのでありますけれども、基本的には、国鉄の準備委員会はこういう姿勢で進んでおられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  38. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先ほど申し上げましたように、開業準備委員会でいろんな意見を検討しておる最中でございまして、準備委員会といたしまして、いま御指摘の姫路あるいは新神戸に停車するということをきめておるわけではございません。
  39. 石井一

    石井(一)委員 それじゃ、そこは準備委員会としてはとまらぬということになっておるわけでございますか。
  40. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 別に、とまらないということをきめておるわけでもございません。そういうことを含めまして検討中でございます。
  41. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、とめるかとめないかいま鋭意やっておる。それを決定する条件というのはどういうことになるのですか。これは最初の質問ですが、その答えが出なかったからもう一ぺん聞くわけですけれども、それを決定する条件、国鉄がいま一番問題にされておるのはどういうところですか。
  42. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 その駅を中心とした地域の現在の状況、それから将来の問題、これらを含めて検討し、そして新幹線の使命から見て、停車することの適否、可否、そういうものを検討しておるということでございます。
  43. 石井一

    石井(一)委員 そういうことだと、そういうふうな条件というものは、もうすでに客観性として出ておるわけであります。工事がここまで進む間に十分検討する余裕というものがあったということが私はいえると思うのであります。私は、そういう意味で国鉄内部にも、いろいろの他の地域に対する関連の問題その他というふうなものがあると思いますけれども、先ほどからたびたび申しておりますように、ずるずるときまったかきまらぬかわからぬような状態で、それかといって責任ある国鉄の立場の方から、このような発言も非公式ながら出されておるということになりますと、その沿線の地域住民としては、一喜一憂それによって動かされていかなければいかぬ。それにおける先行投資もあろうし、計画もあろうし、いろいろな問題があるわけでございますから、これは国鉄のダイヤを決定するという問題だけでなしに、非常に大きなインパクトがあるので、私はそういうことをひとつ十分御理解をいただきたいと思います。先ほどからのやりとりで、ダイヤを七月か八月ころにはもう内定をしなければいかぬ、こういうお話でございましたね。だから、おそらくあなたのお考えの中には、十月の国鉄ダイヤ改正にははっきり間に合うようにしたい、そうすると、停車駅問題にしても当然そのときまでに決定をしなければいかぬ、こういうふうなことだと思います。そういうことでございますから、できるだけ早くそういう問題を詰められて、はっきりした表明をしていただきたい。私は、単に地域のエゴイズムであるとかなんとかという問題でなしに、非常に大きな観点からそれをひとつ要望をしておきたい、そう思うわけであります。  それと同時に、あわせてここで申し上げておきたいと思うのでございますけれども、たまたま最初の新幹線が、東海道新幹線が新大阪までできた。こういうことによって名古屋にとまり、京都にとまり、新大阪にとまっておる。この次の新幹線が岡山までできる。しかし、これが工事上の都合で、最初新幹線が神戸までできたとしたら、それによってまたとまる場所なり何なりというふうなものは、国鉄の考え方というのは変わってくるのじゃないかと思うのです。私の意味がおわかりいただけたかどうかわかりませんけれども、要するに、もしかりにこの新幹線が神戸まで最初に——東海道と山陽と分かれているのは神戸でありますから、神戸まで延びておったとしたら、いま神戸の停車問題なんかないわけであって、これは当然神戸にとまるというようになるわけであります。そういう場合に京都はどうなるかというと、これは非常に疑問になってくる。それと同じように、たまたま岡山まで今度は山陽新幹線が延びるのだから、岡山はとまらざるを得ない。その既得権によって今後博多までできた場合に、岡山にはとまるけれども神戸にはとまらぬという事態も起こるかもわからない。非常に恣意的と申しますか、そのときの条件によって停車駅が左右されるというふうな面も、残念ながら出ておるのじゃないか。もう少し基本的な、人口できめるか、乗客できめるか、採算できめるか、経済効果できめるか、いろいろなあれがありますけれども、できるだけ万人に納得のいく決定のしかたをされるべきである。基本的な問題すら、私は先ほどから答弁を聞きたいということでいろいろな角度から聞いておるのですけれども、もう一つはっきりしない。そういう面があるのじゃないかと思うのでございますが、ひとつその点、すべての条件をかみ合わして一日も早く決定をしていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。
  44. 山村新治郎

    ○山村政府委員 先生おっしゃるのは、ずばり言うと山陽新幹線、新大阪−岡山間のひかり号の停車駅の問題が中心であろうと思います。  運輸省としましては、法的にはこれは駅の設置場所までタッチできないわけですが、これは国鉄の技術的な面、また地域開発、それから乗降客、また採算の面、それらを十分考え、そしてまたその上に、ひかり号の持ついわゆる都市間輸送の高速性という特殊性を考えた上で自主的に決定するものでございますが、しかし、先生おっしゃいましたように、確かにこの決定というものがおくれており、その間にあっていろいろなニュース等が流れると地元が混乱する、地元に迷惑をかけるわけでありますから、運輸省といたしましては、地元の混乱を避ける意味におきましても、できるだけ早期に決定して発表させるように指導してまいります。
  45. 石井一

    石井(一)委員 政務次官の御決意のほどは、たいへんありがたく拝聴したわけでございますけれども、私いろいろな点を問題にいたしましたが、国鉄側としてダイヤは七月、八月に決定されるということでございましたが、それじゃ停車駅問題に関しては、これは大体いつごろにめどをつけられるおつもりなのか、あとどの問題とどの問題とを詰めることによってそういう時期に来るのか、この点をひとつ明快にお答えいただきたい。
  46. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ダイヤは、この十月に改正するというのが大体の慣例でございますけれども、今度の場合は、来年の四月に岡山までの新幹線が開通するということでございますので、原則的には、その来年の四月に全国的な関連ダイヤを改正するという事務の段取りになっておるわけでございます。しかして、その来年四月のダイヤ改正の大綱をきめるのは、どうしてもことしの七、八月ごろにはきめなければならないということで、七、八月ごろにはそのダイヤ改正の大綱をきめるという運びに予定しておまりす。したがいまして、その時点ではもちろん停車駅の問題は明確に決断しなければならない、こういうことでございます。  現在の時点では、いろいろな問題すべて素材としては検討いたしておりまして、ただ、これを総合的にどのように決着するかというのを準備委員会でやっておりまして、やがて決着しなければならないという進行の状況でございます。
  47. 石井一

    石井(一)委員 それは準備委員会だけで御決定になるべきものなのか、あるいは運審であるとかその他ほかの機関等とも相談の上決定されるのか、その辺の決定のやり方はどうなんですか。
  48. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 準備委員会国鉄の中の委員会でございまして、これは国鉄の中の一つのそういう方面に関する総合的な意見を取りまとめるということでございまして、最終的には国鉄理事会でもって決定する、こういう次第でございます。
  49. 石井一

    石井(一)委員 それでは私、時間が参ったようでありますから、ほかにもいろいろ問題があったのでございますが、次の機会に譲りたいと思いますが、きょう私が申しておりますのは、やはりこれだけの大事業でほんとうに最終の段階に入ってきておるわけであります。地元は非常に大きな期待と関心を持っておるわけであります。いろいろ技術的な問題もあったかと思いますが、今日こういうふうな状態に入っておるわけでありまして、すみやかに決定されたいということ。さらに、東海道と山陽新幹線の営業上の見方というものは非常に違ってまいると思います。最初に政府委員がちょっとおっしゃいましたように、大阪なり東京と九州とを結ぶ通路になったのでは、地域の住民は何のためにこの新幹線の建設に協力しておるのか、これがふいになってしまうわけでありますし、山陽という地域は、兵庫県も含めて、いろいろの経済効果の高い地域開発計画というものをたくさん盛り込んでおって、新幹線の動向とともにそれを実施していこう、そういうふうな計画があるわけであります。さらに関西国際新空港との関連というふうなものもある場合に、これは国鉄理事会なり内部で技術的にきめられるという問題でなしに、非常に有機的に関連の深い問題である。そういうことでございますから、私が調べましたところ、ひかりA、Bというのも、あなたはそういう回答をされませんでしたけれども、そういう方向に進んでおるようでございますし、岡山までできた段階では、神戸なり姫路には一応、その乗客の数からしても停車をするという方向で進んでおるようでありますから、そういう地元の要求をも含めてすみやかに御決定を願いたい、これをひとつ御要望申し上げまして、私、終わらしていただきたいと思います。
  50. 宇田國榮

    宇田委員長代理 砂田重民君。
  51. 砂田重民

    ○砂田委員 ただいまは同僚議員から山陽新幹線のダイヤ、停車駅の問題であれだけ熱心に質問があったのですけれども、国鉄御当局はがんとしてお答えがない。そこで、原岡さんに一つだけ簡単に伺っておきますけれども、山陽新幹線沿線のこことこことここに駅をつくるということはさまって、そういう地元地元から、ぜひひかりの停車をしてほしいという陳情を受けておられる。そういう陳情の内容については一応御理解をいただいていると思いますけれども、理解をしていただいておりましょうね。
  52. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 停車駅に関していろいろ御陳情を承っておりまして、陳情の内容については、大体承知いたしておるつもりでございます。
  53. 砂田重民

    ○砂田委員 もうこれ以上私はこの問題は御質問はいたしません。ただ、どう考えてみても、来年の四月開通の山陽新幹線のダイヤ、どことどこにとめるかということが、少なくとも準備委員会でまだ原案がきまっていないということは、実はわれわれには考えられない。もうすでに大体の準備委員会としての原案というものはお持ちだろうと思うのですけれども、同僚議員があれだけ熱心にその理を尽くして、あらゆる角度からの検討を加えながらお願いをしても話していただけないということは、やはりそれはそれなりの事情があるだろうと私は思うのです。いろいろな事情があるだろうと思いますから、これ以上は私は重ねて申しませんけれども、いま伺えば、それぞれの地元といいますか、それが市長でもありましょう、商工会議所の会頭の場合もありましょう、いずれにいたしましても地域社会住民の総意というものを伝えております。それを承知をして理解をしてくださって山陽新幹線と東海道新幹線というものの少々違う性格も御承知である。山陽新幹線を建設するときの各地方公共団体の協力も、国鉄は十分御存じのはず。そう考えてくるならば、地域社会住民が期待し希望しているような停車駅に、必ず国鉄は期待にそむかないダイヤ、停車駅の停車をしてくれるもの、そういう確信を私は持っておりますことだけを申し上げて、もう質問はいたしません。やはりお答えにならないが、それだけのいろいろの事情があって、まだ検討中というお答えしか出てこないのだろうと思いますから、われわれは確信を持っておりますよということだけを申し上げておいて、原岡さんはけっこうでございます。  昨年の十月九日に、閉会中の運輸委員会審査で、関西新国際空港のことを航空局長に伺ったわけなのですが、きょうは航空局長じゃなくて飛行場部長ですね。あのときには飛行場部長お出ましいただいておりませんでした。しかし、速記録等で御承知いただいておると思いますけれども、航空局長が昨年の十月九日に私に御返事をいただきましたことの要旨は、一つは、航空局の中に関西新空港調査計画室というものを設けて準備をしているということ。二番目に、関西新国際空港は、伊丹空港の事情もこれあり、国際線と国内線双方に使うことを考えなければならない。したがって、京阪神地方からの距離や時間なども当然建設場所決定には重大な要素になる。京阪神の三都市圏から三十分なり一時間くらいのところで考えなければならないだろう。三番目に、飛行機の騒音については、新しい飛行機というものはエンジン等が改善をされて騒音が小さくはなってきているけれども、やはり関西に考える新しい国際空港というものは、人家の上を飛ばないで使える空港ということを考えなければならぬだろう。四番目に、したがって関西新国際空港というものは、内陸部ではなくて淡路方向から大阪湾という地域にしぼって考えざるを得ない。五番目に、新空港の建設地を決定するのに必要な資料を得るためにいろいろな調査をしなければならない。その調査項目というものは、経済調査、気象調査、航空交通管制の調査、騒音の調査、それと地元公共団体等との関係、これらの調査を年度内に終わって、大体の目安を年度内につけたい、できれば年度内に建設地をきめてしまいたい、こういう御答弁を昨年の十月にいただいているわけでございます。  そこで、これらの調査が進んでおられることと思いますけれども、どういうふうにそれぞれの調査が進んでいるか、その大要を承りたいのと、あわせて、その後船舶航行安全ということがやはり非常に大きな問題になってまいっておりますから、この問題についても海上保安庁等でも検討をされていることと思いますけれども、こういう調査がどういうふうに進んでいるか。さらに、これまでの調査によれば、こういった、十月に航空局長が私に御答弁なさいましたそういう方針を、大きく変更しなければならないというような要素は出てきているかいないか、こういうことを承っておきたいと思います。
  54. 丸居幹一

    丸居説明員 新空港の位置決定に関係あります調査につきましては、鋭意調査を続行中でございますが、先生御承知のとおり、淡路島という島一つにいたしましても、妙見山というその山を頭二百メートルほど削りまして三百メートルぐらいの高さにして、その上に飛行場をつくるということになりますと、まああまり小さな計画で進みますと、今度拡張するというときに非常に手戻り工事になりますので、ある程度大規模な山の削り方をやらなければならぬ。そういうことになりますと、これは土量の問題にしましても七億立米程度の土を動かさなければならぬ非常に大工事でございます。それからまた、三百メートルの山の上につくるということになりますと、飛行機が着陸いたします場合の着陸の方法について非常に困難が生じてまいりまして、たとえばアプローチするときの高度計でございますが、いよいよ近づいてまいりますと電波高度計が一番正確でございますが、電波高度計が、突如として三百メートルの山のところに差しかかってくるものでございますから、そういうものが非常に使いにくくなるといったような問題もございます。それから三百メートルの山の高さがございますから、そこからアプローチライト、つまり進入灯を敷設いたします場合も、どうしても飛行場の外へ出てしまう。そういうものを一体どういうふうに取りつけたらいいかといったような問題もあります。かりにこれを神戸沖とかあるいは泉南沖というような海上につくります場合にも、すぐ近くというわけにもいきませんでしょうから、航路との調整等も考えますと、勢いかなり海の中、深いところへつくらなければなりませんし、そこらの、水深にいたしますと約二十メートル、その下に洪積層、沖積層等が約五十メートルぐらいにわたってあります。したがいまして、そういうところへつくるということになりますと、淡路島の山ほどのことはございませんが、やはり、土工量にいたしましてかなり大きな土工量になってくるわけでありまして、これらの土を一体どこから持ってくるかといったような問題とか、あるいは埋め立てた飛行場がどの程度にどれくらいの期間に沈下するであろうかというふうな点等、非常にむずかしい問題がございます。  そこで、特に先生おっしゃいました航路との調整問題、これは和歌山方につくる場合は、比較的船が小そうございますのでよろしいのでございますけれども、神戸方につくります場合は、マストの高さが、あまり回数は多くありませんけれども、一年のうちに何回か五十メートル以上くらいのマストの船が入ってくることが考えられるということになりますと、飛行機は滑走路の端から進入表面というものを制限を加えることになっております。その制限表面とその船との調整をどういうふうにとるかといったような問題も含めて航路との調整というものを考えますと、これもかなりむずかしい問題でございます。  しかし、いろいろ調査しておるわけでございますが、最終的結論にはまだ至っておりませんが、ただいままでの感じでは、船との航路の調整は、航路に致命的な障害を与えないのじゃないだろうかというような見当がほぼついてまいりましたということが、最近の調査の結果としては一つの進歩ではないかと思いますが、ただいま申し上げましたような非常にむずかしい問題がございますので、どうしてもわれわれが、ここならこういうふうにすれば飛行場がっくれるという確信を持つために、いままで集まってきました調査資料のほかに、補足調査あるいは追加調査等をただいまいたしておる最中でございまして、局長がもう少し早く調査を完了する予定だということを申し上げたかもしれませんが、やってみますと、そういう非常にむずかしい問題がいろいろございますので、正直に申し上げまして、少し補足調査、追加調査をしておりまして、そういうために、ただいま調査の完了が少しおくれておるという状況でございます。
  55. 砂田重民

    ○砂田委員 たいへんむずかしいいろいろな諸条件を克服して建設をしなければならない飛行場のことでありますから、それだけ調査に時間をとられるのはもっともだと思うのです。三月中にめどをつけてしまうと言われたことのほうがちょっと無理だったろうという感じをして伺っております。  ただいま、船舶の航行の問題については、致命的な欠陥は、いままでの調査では出てこない、こういうお話があったのですけれども、それでは、気象問題なり、伊丹空港との管制上の問題なり、あるいは騒音の問題等についても、少なくともいままでの調査によれば致命的な、方針を根本から変えなくてはならないというふうなものは出てきていない、かように解釈してよろしゅうございますか。いま私が申し上げた三つだけでも、いままでの調査の段階での中間的な調査結果を承っておきたいと思うのです。
  56. 丸居幹一

    丸居説明員 気象の調査でございますけれども、気象調査をやります目的は、一体恒風がどちら方向であろうかというのが主とした調査でございます。それから、霧が年じゅう非常にかかるというようなことであっても困るわけでございますが、これももちろん調査いたしております。こういった点につきましては、そこに飛行場ができるのが不適当であるというふうなことはないようでございます。  それから管制の問題でございますけれども、これは伊丹と共用しなければなりませんので、しかもかつ、民家の上を飛ばないようにやらなければならぬ。したがいまして、回り込む方法等につきましては、たとえばここにアウターマーカーがつくれるだろうか、ここにガイダンスライトをつくらなければ回りにくいのではないだろうかといったような問題もございまして、そういった問題をいま詰めておる最中でございますが、しかし、これも場所によりましてはできるというような感じでございます。したがいまして、一時いわれておりましたような西宮にうんと近づけてこれをつくるというふうなことは、ちょっと伊丹との管制上都合が悪いということになりますけれども、もう少し神戸側に寄せて沖へ出してつくれば、伊丹との調整は可能であるという見当でございます。  それから、もう一つは騒音の問題でございますけれども、これはまず民家の上を飛ばない、そして、ある騒音以上には陸上に及ぼさないようにしたいという考えから、岸からかなり沖へ出しましてつくる方法をいま検討いたしておりますが、これにつきましては、ただいま、相当沖へ離してやれば大体陸上は飛ばないでうまく回り込めるというふうな見当でございます。この点につきましては、もう少し正確にいろいろな点を検討しておかないとむずかしい問題もございますので、この点についてももう少し詳しく徹底した調査をやろうということで、ただいまそれをやっておる最中でございます。
  57. 砂田重民

    ○砂田委員 飛行場部長、いまお話を承っておりますと、私はそこまで実は突き詰めて聞いてなかったんだけれども、あなたの御答弁はこういうふうに理解してよろしゅうございますか。西宮のほうへ寄せると伊丹との管制上の問題が出てくるが、西宮のほうへ寄せないで神戸沖であるならば、ポートアイランドの相当沖であるならば、人家の上を飛ばないで離陸、着陸ができる。そういう離着陸の飛行機の旋回コースといいますか、神戸のほうへ寄せて考えれば人家の上も飛ばないし、海の上だけで進入もでき離陸もできる、人家の上を飛ばないでも済む、伊丹空港との管制上の問題も起こらない、こう受け取ってよろしゅうございますね。
  58. 丸居幹一

    丸居説明員 どの程度寄せるかということは非常にむずかしいのでございますけれども、概略そういうことだとただいまのところでは考えております。
  59. 砂田重民

    ○砂田委員 ここのところ、これ以上聞いてまた違うことを言われちゃ困るので、そこで、伊丹の事情はもう釈迦に説法で、あなたのほうがよく御存じのとおり。飛行機による国際線の乗客数の伸びというふうなものもあなたのほうで資料も出しておられる。非常に急ぐことでありますから、残された調査といいますか、またその補足的な調査をまだやらなければというお答えでございましたけれども、できるだけ早くその調査を進めていただきたい。  ただ、空港建設の資金の出どころについては、これだけの大がかりな事業でございますから、従来の方式にこだわらないでいろいろな方式というものを検討されると私は思うのです。いろいろな方式が考えられるようでありますけれども、いずれにしても、一つだけその考慮の中に入れておいてもらいたいことがあります。それは、当然国もそこに資本投下をするわけでありますけれども、国の行なった投下資本の回収にばかりきゅうきゅうとするような飛行場経営は、ひとつこれからは考え直してもらいたい。そして、空港ができるその空港近隣の地域社会住民に、近い距離で早く飛行機に乗れるんだという、そういう間接的な利益だけではなくて、地域社会に空港から直接的な利益が還元されるような、そういう空港の建設方式というものをぜひひとつ検討していただきたい。これからの空港の経営というものはそのようにあるべきだと私は考えますので、この機会にこの点に、国の投下資本を回収するということと少なくとも同じだけのウエートを置いて、そういう新しい空港の建設方式、新しい空港の経営方式というものを御検討をいただくことをお願いしておきまして、空港関係のことはこれで終わります。  次に、自動車局長陸運行政のことについて伺いたいと思うのですけれども、四十三年の十一月二十六日に、行管長官、運輸大臣、自治大臣、三大臣の覚え書きというものが「陸運行政について」ということで取りかわされております。政務次官にひとつ伺っておきますけれども、政務次官もこういう覚え書きのあることは御存じだと思うのです。この覚え書きの中に盛り込まれております大綱と申しますか、方針については、変更なしに取り組んでおられるかどうかということだけを政務次官に伺っておきたいと思います。
  60. 山村新治郎

    ○山村政府委員 あのときの取りきめどおりに、そのまま事務当局としては進行させております。
  61. 砂田重民

    ○砂田委員 覚え書きの第一項には、「県内の陸運行政は、陸運当局の責任において行うものとするが、県に委譲可能なるものについては両省事務当局で協議してきめる。」となっている。そこで、ただいま政務次官は同じ姿勢で——この時代から考えれば、佐藤内閣はこのあと第二次佐藤内閣、第三次佐藤内閣というふうに大臣はかわってはおりますけれども、この覚え書きの方針というものは変更していない。そうであるとするならば、「両省事務当局で」ということは、運輸省と自治省だろうと思うのですが、運輸、自治両省でどういうふうに協議を進めておられるか、どういう段階まで協議が進んでおるのか、局長から御答弁をいただきたいと思います。
  62. 野村一彦

    ○野村政府委員 四十二年の十一月に、当時の三大臣の覚え書きが交換されまして、それが閣議に報告され、その線に沿って事務処理が進んでおりますことは、ただいま政務次官が御答弁いたしたとおりでございます。私どもといたしましては、自治省とこの問題を具体的に掘り下げるための会議をいたしたわけでございます。  その概要を申し上げますと、その方針に従いまして、検査及び登録の事務については現在の陸運事務所がやっておるわけでございますが、名称は別といたしまして、陸運事務所を国の出先機関として存置する、そして、そこにおいてやりますのは、いわゆる登録の事務と、それから検査の事務の一部と、それに伴う監督的な事務を中心として進める。それから、現在陸運事務所で所掌いたしております輸送の事務につきましては、これが国に残るものと、都道府県に移管されるものと、二つに具体的に区分けをして検討するということになるわけでございます。ところが、私ども自治省とその方向について具体的に折衝を進めてまいりました過程において、新たな問題が実は起こったわけでございます。  その新たな問題と申しますのは、一つは、今度の国会で先般成立させていただきました、これも行政管理庁が一本で出しました許認可等の整理に関する法案ということで、具体的な道路運送法等に関する事務の簡素化、許認可等の整理が行なわれるということになりましたので、その決着を見ませんと、どの事務を国に残し、どの事務を県にやるかということが具体的に詰められないということで、ペンディングになっておったわけでございます。  それからもう一つは、これは先生御案内のように、当委員会においてもいろいろ御質問がありまして大臣がお答えをいたしましたように、軽自動車の検査を四十八年からやるという決意を固めたわけでございます。したがいまして、これを地方においてどういうふうに扱うかという具体的な事務をきめなければならぬということで、軽自動車を検査対象に取り入れることは、方針としては運輸省としても確立をいたしましたが、中央、地方との事務のあんばい、あるいは地方においてこれをどういうふうに処理するかという、相当大綱的なものがきまりませんと、これもなかなか事務の区分けができないということがございまして、私も自治省の行政局長と二度ほど着任以来会合し、また担当課長とも会合していろいろ議論をいたしましたけれども、いまそういうペンディングになっております事案がございましたので、はかばかしく進んでおりませんが、許認可整理のほうは今国会でお認めいただきましたので、これをもととして、従来の道路運送法との関係で具体的に話を詰める、それから軽自動車のほうは、これもできるだけ早くその検査の準備をしなければなりませんので、これを具体的に詰めるということでやりまして、従来からやっておった事務を今後さらに進めたい、こういうように考えております。
  63. 砂田重民

    ○砂田委員 自動車局長、もうすでに三年目でございますから、鋭意お進めいただくのが当然でありますけれども、私は、やはり陸運事務所につとめておられる職員の人たちも、御自分の身分の問題ですから、非常に心配だろうと思うのですよ。しかも、行政整理、行政簡素化というのは政府の重大な使命でもあり、四十三年の十一月には三大臣の間で覚え書きができておることがいまだに煮詰まっていないことは、いろいろな事情もございましょうし、また新しい問題も、いま自動車局長が答えられたように出てきておると思うのですけれども、ぼくはこれは当然急がるべきだと思う。少なくとも四十七年度の予算措置としてはやらなければならない。四十七年度予算でこういった一連の問題の裏づけになる予算の措置をしようとすれば、もう八月が概算要求の時期ですね。そういう四十七年度にはこの覚え書きに基づいての決着をつけるという決意でやっておられるかどうか、承っておきます。
  64. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生御指摘のように、いろいろの懸案事項もございましたが、大体方向づけがなされましたので、この線に沿いましてできるだけ早く、四十七年度の予算の編成ができますときに決着をつけるということをめどにして、できる限り努力したいと思っております。
  65. 砂田重民

    ○砂田委員 ただいまの問題は、三大臣覚え書きの三大臣の一人は行管長官が判こを押しておられる。そこで、当然なことであろうと思いますけれども、この機会にひとつ行政管理庁に念押しをして伺っておきたいと思うのです。  この覚え書きのとおりにいきますと、「登録は国の事務とする。」ということがこれに書かれているわけですね。そうすると、登録事務はいま陸運事務所の所管事務であって、陸運事務所で働いておる職員は地方事務官という国家公務員だと思うのです。これが、登録事務というものが今度は明確に国の行政になってくれば、その地方事務官である国家公務員も純然たる国家公務員になられると思う。相当の人数の人が国家公務員になって、国家公務員の数がふえる。それから、いま自動車局長が言われたように、陸運事務所でいま扱っておる事務が、ある部分は県へ行く、ある部分はまさに国の行政と明確になってくるならば、陸運局の職員といいますか、いずれにしても国家公務員となる人がふえてくるわけですね。その事務の分担が府県と国と明確になってくれば、当然いま陸運事務所におられる人の身分も、地方公務員となって府県へ行かれるか、国家公務員となって国の職員になられるか、登録事務以外にもそういうことが出てくる。  そこで、行管長官もこの覚え書きに加わっておるからには、この新しく国家公務員になられる国家公務員の増員というものを、総定員法の中で余裕があればその中へ当然入れるのでありましょうけれども、余裕がなければ総定員法を改正しなければならない。総定員法を改正してでもこれは国家公務員としてはっきり認めていこう、こういう決心を当然しておられると思うのですけれども、そこのところをこの機会に明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  66. 古谷光司

    ○古谷説明員 答弁としますと、ちょっと私の責任ではどうかと思いますけれども、実は総定員法御審議の際に、すなわち第六十一国会におきましても、同じような趣旨の御質問がございまして、荒木行政管理庁長官は、新規需要に対処するためにも、総定員法のワク内で措置できない場合には、あらためて総定員法の定員の数を御審議いただくようにいたしますという答弁をいたしております。したがいまして、本件についても同じ問題であろうと思います。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 砂田重民

    ○砂田委員 わかりました。国会でそういう御答弁をしておられ、国家公務員の数がこれだけふえるということを、政府部内では三大臣が判こを押してはっきり約束しておられることでありますから、この職員の身分については、行政管理庁としては当然法的に認めていく、こういうお考えであるということがはっきりいたしました。それならば、自動車局長は自治省と前向きに取り組んでいただいて、これは三年目にははっきり答えを出されるべきだと思いますので、強く要望いたしておきたいと思うのですけれども、政務次官の御決意のほどを承って、質問を終わります。
  68. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま行管のほうから、ほんとうに運輸省にとっては心強い答弁をいただきましたので、運輸省としては早くこれを達成させていただきたいというぐあいに考えております。
  69. 福井勇

    ○福井委員長 次に久保三郎君。——速記をとめてください。   〔速記中止〕
  70. 福井勇

    ○福井委員長 速記を始めてください。
  71. 久保三郎

    久保委員 水先の問題で二、三お尋ねするのですが、先般、参議院の決算委員会でこの問題で議論があったようでありますから、その部門については、特に運輸官僚の天下りの問題についてはあとでやることにしまして、水先の制度というか、そういうものについて端的にお伺いしたいのです。  一つは、昭和三十九年以来水先料の一定金額を出させて、運輸省関係、特に海運あるいは船員関係のそれぞれの団体に金を出しておるということでありますが、その問題について先に聞きたい。  一つは、水先料というものはどんな基準でまずきめるのか。いままでの参議院等の説明によりますれば、海運国際収支の改善のために、臨時の措置として、言うならば、値上げをした分、大幅な値上げでありますから、その大幅な値上げ分の約四割取って、関係の諸団体の助成金、交付金にしていこう、こういうことでありますが、水先料というのは、言うならばその労働の価値に従って一応基準がきめられる。もちろん、これは国際水準もございますから、これを勘案してきめるのが当然だと思う。だから、いま運輸省が省令できめられた水先料というものの性格は何であるか、あらためて聞きたい。
  72. 佐原亨

    ○佐原政府委員 水先料のたてまえの問題でございますが、従来は、あくまでも原価主義で水先料というものはつくられておりまして、昭和三十八年の八月に海上航行安全審議会で水先料の値上げが検討されました結果、その原価主義で計算いたしました結果約八〇%、七七%の値上げが妥当であろう、こういう答申が出たわけでございます。ところが、先ほど先生おっしゃいました、海運国際収支の赤字をこの際何とか補てんする必要があるということ、といいますのは、日本の船が外国の港などに行ったときに、いろいろ外国の国際水準の高い水先料を取られる、外国の船が日本の港に入りますときには、外国と比較いたしますと低い水先料しか外国の船は払わなくて済んでおるというような事実がございまして、このアンバランスを一応直す意味で、外国の水先料を調査いたしまして、一応外国の水先料の水準を省令料金といたしたいということで、実質的な原価主義の水先料と、それから国際水準からくる水先料というものと二つがあったわけでございます。それで、閣議了解によりまして、一応省令料金のほうは外国水準並みの、と申しますのは、それまでの約三倍の水先料ということにいたしました。その差額は、これは政府と船主と水先人と、三者の合意と信頼関係のもとにこれを拠出させまして、それを海事関係の公益事業の資金に充てる、こういう制度が新設された次第でございます。
  73. 久保三郎

    久保委員 水先料は、私が言ったとおりに、言うならば水先人の労働の価値、それから国際水準、そういうものを勘案してきめたということでありますから、これは当然水先人の所有に帰すべきものだと思うが、そのとおりであるかどうか。
  74. 佐原亨

    ○佐原政府委員 一応、形式的には先生おっしゃるとおりであります。
  75. 久保三郎

    久保委員 形式的にというお話でありますが、形式的にも実質的にも、それはそうあるべきだと思うのです。そうだと思うのですが、どうですか。
  76. 佐原亨

    ○佐原政府委員 そこで、先ほど申しました政府と船主と水先人と、三者相談いたしました結果、信頼と合意のもとに四割を拠出させる、こういう制度を創設した、こういうことでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 信頼関係の問題は別として、政府がこれを介入をして四割のものを徴収するということは、これはいかなる目的によってやるのか。
  78. 佐原亨

    ○佐原政府委員 閣議了解の文面にも出ておりますように、当面、海運の国際収支の赤字を補てんするということが第一義的なものでございます。それと、原価主義でいった場合の実質的な水先料との格差、これを水先人の収入といたしますと、今度は原価以上の水先料を船主は払うということになります。その辺で三者の話し合いがございまして、その格差分を拠出させて、海事関係の公益事業に充てる、こういう考えでございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 国際収支の改善に資するということならば、これは水先人の収入になってもいいんで、別に徴収する必要はないですね。そうでしょう。  それともう一つは、話を簡単に持っていくために申し上げますが、この閣議了解事項というのは、これはいかなる権威を持っているのですか。
  80. 佐原亨

    ○佐原政府委員 いかなる権威と言われましても、ちょっと私、答えかねるのでございますが、一応拠出する四割分につきましては、税法上もこれを経費扱いにするというようなこともとられておりますし、関係各省一応合意のもとにこの制度がとられた、こういうふうに考えております。
  81. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この閣議了解事項を見ますというと、幾つかの目的がこの閣議了解事項には混在しております。かなり複雑です。一つは、さっき言った海運国際収支の改善、だからこれは、別に四割を拠出しなくても解決する問題であります。それから増収部分のうち、一定金額を水先人から拠出させるということであります。これは財政法第三条に矛盾することだと私は考えています。財政法三条はこういうふうに書いてあります。「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」ということでございますから、この閣議了解事項は、言うなら財政法第三条違反、これは侵害しています。それから国会の権限も侵害している。これはかなり便法でありまして、これは問題としては、単なる水先人の料金の問題ではなくて、はっきり申し上げて、国会、立法府の権限の問題になりますね。しかもこの目的、金を出すそういう目的は、この閣議了解事項で明快にしています。「海事思想の普及宣伝、海難の防止等海事の振興に必要と認められる事業」、政府が必要と認める事業でありますから、当然政府の施策としてこれをやらなければならぬ。国の権限で言うなら拠出させる、その取ったものを、国が必要と認めるところに使用させるということでありますから、これは当然政府の責任でやることであろうかと思うのです。これはこういう取り方自体に問題がある。だから問題は、言うならば課徴金なりあるいは特別徴収金なりの制度を設けて取っていくのが当然だと思うのです。ここに不明朗な点が一つあると思う。  これは、きょうだけの問題ではなくて、後刻決算委員会問題にします。こういうやり方がほかにもあるのじゃなかろうかと思うのでありますが、少なくともこれは典型的な国会の権限を侵害するような重大問題だと思うのであります。法律にも議決にもよらないでこういうことをやっていること自体に問題がある。しかも、これは臨時措置だと書いてある。臨時措置というが、三十九年以来国際収支は全体として改善されておる、海運収支は。だからこれはいつまでやるのか。しかも私が言うことについて、あなたのほうではどう考えているのか。
  82. 佐原亨

    ○佐原政府委員 国が権限に基づいて徴収するということになりますと、先生おっしゃるとおりになろうかと思いますが、あくまでも、先ほどから何回も申しておりますように、信頼と合意の上にパイロット側の自発性によって拠出されておるものと、こういうふうに解釈しておりますので、財政法三条との問題は、私は問題はないのじゃないかと一応考えております。  それから、いつまでやるかという問題でございますが、これは理屈から申しますと、先ほど申しました国際水準並みの料金と、それから原価主義でいった場合の料金との格差があります間は、この制度は続くものではなかろうか、このように私は考えております。
  83. 久保三郎

    久保委員 あなたはそういう詭弁を申し立てますが、きょうはそれを議論している時間はあまりたくさんないので、本論に入りますが、これは詭弁というものだと私は思っているのですよ。あなたのお立場からすれば、あなたのおっしゃるとおり、自分では何とも言えませんでしょう。言えませんからそういう御答弁があると思うのですけれども、こういうやり方は実際からいって明朗じゃありません。そこに問題があると思うのですね。どうもパイロットが取り過ぎる、それはそのままにしておいてはどうもぐあいが悪い、いいあんばいだから取ってひとつ何かに使おうじゃないか、こういうやり方にしかこれはとれません。国のやることがそんないいかげんなものであっては困ると私は思うのです。  それからもう一つは、この国際水準ですね。これはなるほどそういうところもあります。水準としても日本の実態から比べてパイロットの収入が多過ぎる。多過ぎれば、これは税金という方法があるのですね。租税でこれは課税するのがほんとうなんです。それで租税であがったものを、海事思想なりあるいはその他の方向に使うというのなら使うことが当然だと思うのです。ところが、予算の取り方が運輸省はへたくそだから、力が弱いから取れないから、言うならばこういうところでもぐりで取ろうというのです、はっきり言うと。これは問題だと思うのですね。これは政務次官、どう思いますか。あなたもお読みになったと思うのですが、こんなやり方はひきょうなやり方として、第一国民に対して明朗じゃありませんよ。
  84. 山村新治郎

    ○山村政府委員 これは私よりも先生のほうがずっと詳しくていらっしゃいますが、一応いまのところ運輸省としては、いわゆる三者の信頼と合意ということによってこれを行なっておるということでございまして、先生言われるように、課徴金または特別徴収金、または税、租税ということで取ったらどうかということでございますが、いまのところ国際水準というものとの差がある限り、このままもしやらしていただけたらありがたい、そう考えております。
  85. 久保三郎

    久保委員 差は当分続くだろうと思うのです。しかも、パイロットの収入がどの程度が適正であるかというのはかなり問題がありますよ。一般の月給というか収入、普通の船長クラスよりはかなり高い。だからこの月給は高過ぎるから、どうのこうのというわけにはいかないかもしれないけれども、そういうきめ方も何もわからぬまま、とにかく高いから、だから値上げした分だけピンはね——参議院ではピンはねと言っていますが、ピンはねしてこっちに使おうじゃないか、そうしてそこにくっつけて運輸省の肩書きのついた者をひとつ配置しようじゃないかというようなことに実際はなっているのじゃないか。そういうこと自体も問題があるけれども、まず第一にこの閣議了解事項がはなはだしく違法であると私は思うのです。これはあなただけの答弁じゃしようがありませんから、おりを見てこれはあらためてやります。  次に、時間もなんでありますから先へ進みますが、こういうふうな問題が出ること自体、三者合意の上と言うが、合意ができるような仕組みにこれはなっているのですね。合意ができるような仕組みというのは、いわゆる水先人に対して運輸省はかなりゆるい態度でいまいるわけですね。これは三十九年の水先法の改正のときにもわれわれ議論したのでありますが、たとえば年齢構成一つ見ても、当時から言っているのでありますが、かなり高齢者がいる。当時、これは高齢であるから用に立たないという話をして、どうかという議論も出ました。しかし、高齢な方まで使わねばならぬほどパイロットになる人がいないのかというと、これはたくさんいるのですね。志望者はたくさんいる。  ところが、水先人組合というか、そういうものは実際はギルド制度になっている。親方、徒弟の関係みたいになっているわけですね。そういう制度を改めない限りは、パイロットのいわゆる体質的な改善もできないのではないかと思うのです。これは七十歳以上がかなりいますね。八十一歳以上がいま四名いるのですよ。なるほど頑健な人は九十歳も百歳も生きますから、これは別に年齢で言えませんけれども、常識からいったらこれは実際はお休みくださいだ。しかも七十歳以上になれば、かなりの労働と神経を使う仕事でありますから、われわれ自身は一応定年制を設けたらどうかという提唱をしておるのです。しかし、単に定年制を設けても、老後の保障なり何なりがなければできませんから、これは当然年金制をしいて一線から退いてもらうというのが当然だと思う。  それにはどうしたらいいか。いまのようなパイロット個々の契約、そして一水先区においては一水先人会、こういう制度では残念ながらこれはできない。だから、どうしても全国一本のものにするか、それとも水先区については複数制の水先人会をつくるとか、そしてそれよりもっと前進すれば、公営をしく以外にない。さっきの閣議了解事項によるところの四割のピンはねの問題ともからんで、これは公営に持っていけば問題はないのですよ。これはどういう公営の形態がいいかは別として、政府なりその関係の機関においてこれを処理するということになれば、いま申し上げたようなことが一切解決つくと思うのですよ。三十九年のときにもそういう問題を提案したのだが、今日までそういうことを研究しているかどうか。公営についていかがです。
  86. 佐原亨

    ○佐原政府委員 非常に老齢者が多いという先生の御指摘、まことに残念ながら事実そのとおりでございます。八十一歳以上が現在は三名ございます。それから七十から八十までが九名ばかりであります。全体の平均年齢をとりますと約六十一歳、こういうことになっております。  ただ、いわゆるパイロットというのは昔の船長の経験者でございまして、非常に潮気によって鍛えられた海の男なんで、一般の陸上の人に比べますと、年齢がかなり高くなりましてもなおかくしゃくたる老人がおるわけでございまして、非常に高度の技術を持っておりますので、残念ながら現実はそういうことになっておりますが、先生おっしゃるように年金制度を設けまして早期退職を促進する、こういう考え方で、実はパイロット協会部内に年金制度はすでに発足させております。ただ、制度が発足間もないせいもございますけれども、まだ効果があがっておりませんけれども、今後はそういう方向で、運輸省としては極力指導をはかってまいりたいと思っております。  それから公営の問題、確かに一つの考え方であろうと思いますし、昔もあるいは議論されたかもしれませんけれども、私、残念ながらその公営問題についてまだ耳にしておりませんので、その後どういう検討が行なわれたか、ここでお答えができないわけでございますが、公営の一つの欠点といわれるところの非能率性といったものも反面あるのではなかろうかと思いますけれども、いろいろなメリット、デメリットを総合いたしまして慎重に検討させていただきたい、このように思います。
  87. 久保三郎

    久保委員 もっとも、役人がやるとあなたのおっしゃるとおり非能率性でありますから、これはあまりやらぬほうがいいかもしれません。だから、役人の天下りがやはりうまくいくという方法はないのです。これはちょっと皮肉なことを申し上げておきますが、これは自分から自分の非能率性をあまり暴露しないほうがいい。  そこで、時間がありませんから先へ行きましょう。これは水先人の増員でありますが、先ほど資料によって見ますると、年々多少の増員はございます。しかし、たとえば海上航行安全審議会、こういうものの答申やわれわれの審議のときの意見に、こういうふうなことで増員はしておるようでありますが、当時この答申の中身は、言うなら二百六十名、三十八年の答申では大体そのくらいにしたらいいじゃないかということが出ていたそうでありますが、二百六十一名になったのは昭和四十三年なんですね。こういうふうに非常に遅々として増員が進まぬでいるわけです。ところが、船のふくそうは私から言うまでもありません。だから、もっと門戸を開放する気がまえになったらどうか。それには、いまのギルド制度が残るような水先人制度は、やはり逐次くずしていかねばならぬ。  結局、この選考委員会委員の選任にも問題がありはしないか。この選考委員会自体に権威があるかというと、あんまりないように見受けられる。たとえば衆議制の採用にしても、実際はそれぞれの水先人会、そこで選挙というか、そういう形になっておるそうであります。選挙というのはたいへん公正でありますが、何でもできる選挙というのは——いまの公職選挙法でもかなりいろいろなことができますが、それでも多少の制約というものがある。ところが、水先人会の選挙というと、何でもできるようになっております。談合、請託、買収、それからボスの支配、そういうものは何でもやってよろしいということになっておるらしい。  だから、たとえば長年船長をやって、これからパイロットとしてひとつ第二の職場で活躍しようという希望がたくさんあるそうであります。これは給与もいいし、社会的な権威も高いものでありますから、当然船長の経歴がある者はパイロットでやろうという希望が多いそうであります。ところが、先ほど申し上げたように、ギルド制度によって閉鎖的でありますから、なかなかどうもうまくいかない。定員を増すにしても、その組合で自主的に考えるというかっこうでありますから、なかなか定数を増すこともできない。ただ、運輸省は勧告することができるでしょう、おそらく。だから結局、水先人になりたいという船長は、その希望する水先区に船が入るときには、自分は水先人をつけなくてもいい資格を持っていながら、あえてその組合の意を迎えるために水先人をつける。はなはだしいのは、そのたびにみやげものを届けるそうだ。あるいは奥さんが選考委員の間なり水先人のボスの間を回る。そういうようなことは船員局ではよくおわかりにならぬかもしれませんが、そういうのが常識になっておるそうだ。そういうものを改善する方法として、あなたはどういうふうに考えておられるか。
  88. 佐原亨

    ○佐原政府委員 まず先に員数の件でございますが、これは先生おっしゃるようなギルド的な存在と、ちょっと離れたようなやり方をやっておるのではないかと思います。と申しますのは、審議会の水先部会におきまして、各港ごとに過去の入港隻数の伸び率、こういったものを踏まえまして、明年度の予想入港隻数というものをはじきます。それから、過去数カ年の消化実績、消化能力というものをもとにして割りますと、大体その港ごとに何人くらいのパイロットが必要か、こうものがある程度客観的に出てまいりますので、人数につきましては、ギルドだからというふうな問題とはあまり結びつきはないんじゃなかろうか、このように思います。その場合に船長の意見も聞きまして、非常に待ち時間が多かったかどうかというような現実の姿も反映しながらきめてまいりますので、人数につきましてはある程度客観性を持っておる、このように考えます。  それから、採用のしかたでございますが、従来はその水先人組合でまず人をきめまして、それから試験を受けさせておった、まさに先生おっしゃるようなギルド的なやり方をやっておったわけでございますが、三十八年の答申を受けまして一歩前進いたしました。必ずしも満足するところまでいっておりませんけれども、第一次試験だけは一応オープンにいたしまして、その合格者の中から今度は選考委員会で、水先人にだれを採用するかということをきめる、こういうやり方をとっております。人選その他いろいろ問題があるということでございますが、パイロット協会の会長が一人入っておりますが、それ以外はいずれも第三者でございますので、昔に比べますと、ある程度客観的な公正さが出てきてはおる、このように考えております。  今度はどのようにするか、先生の御意見十分尊重いたしまして検討してまいりたい、かように考えております。
  89. 久保三郎

    久保委員 それでは、選考委員会の選考基準というのはあるのですか。きめてあるのですか。
  90. 佐原亨

    ○佐原政府委員 これは文書に書いたものはございませんが、各個人の過去の乗船歴と申しますか、それから海難事故を起こしたことがあるかないか、そういったようなところに重点を置いて選考しておるわけでございます。
  91. 久保三郎

    久保委員 かなりこれにも問題があるようですね。私は自分で調べたんじゃないので、あまり機微に触れるようなことは申し上げませんけれども、それはなるほど三十九年以前よりは改善されたかもしれませんよ、ギルド制度も。しかし、実際にこの水先区におけるところのボスというものは、やはり実力を持っているらしい。だから、選考基準を紙に書いてはないと言うんですから、それは各個人の判断にまかせられておる。それから、パイロット協会の会長が一人入っておるだけだということでありますが、これは表面的なものであります。実際に衆議制を希望するのを、そこまで持ち込むことが問題だと思うんですね。それはかなり選考委員会には問題があると思うんです。いずれにしても選考基準くらいはつくるべきだと思いますが、いかがですか。
  92. 佐原亨

    ○佐原政府委員 御指摘のとおりでございますので、慎重に検討させていただきたいと思います。
  93. 久保三郎

    久保委員 それから、次に公営の問題は、これから検討するという御意見でありますから、早急に検討したがいいです。こういう閣議了解事項などというあいまいなもので、国会の権限まで侵してそんなことやるべきじゃありませんよ、実際。それはやはり税金なら税金で取って、予算にのっけてちゃんと交付金は交付金、補助金は補助金として出してやるべきなんであって、こんなこそくな手段でやるべきでないと私は思う。  それからもう一つ、公営にいくまでの間、少なくともいまの一水先区一水先人会じゃなくて、これは複数の会にしたらどうですか。
  94. 佐原亨

    ○佐原政府委員 現在の法律は、一水先区一水先人会ということになっておりますが、その前の法律は一水先区に複数の水先人組合がある、こういうたてまえでございました。複数の水先人組合がございまして、いわゆる一つの弊害と申しますか、船の奪い合い、裏に回ったいろいろな画策、工作、こういったものが出てまいりまして、かえって総合的にはサービスの低下という弊害がございましたので、前回の法律改正のときに一水先区一水先人会、こういう単一制度に切りかえた、こういう経過がございますので、どちらがいいか、一長一短あろうかと思いますけれども、これまた慎重に検討させていただきたいと思います。
  95. 久保三郎

    久保委員 私は、やはりやってみて複数に持っていったほうがいいと思うんです。結局、閉鎖的なギルド的なものが多少改善されたというものの、一水先人会になったために閉鎖的なものはなお強固になってきたと思うんですね。これは新しい時代でありますから、もう少し考えるべきだと思います。  それから、さっきちょっと答弁を聞き漏らしましたが、定年制はしくお考えはございませんか。
  96. 佐原亨

    ○佐原政府委員 私のまだ来る前の話でございますが、審議会においてもそういった問題が提起されたようでございますが、いろいろ問題がございました結果、先ほど申しました健康検査の励行とそれから年金制による早期退職の促進、こういうことで現在に至っておる、このように聞いております。今後どうするかは、また検討させていただきたいと思います。
  97. 久保三郎

    久保委員 今後どうするかは考えようというのでありますが、年金制度とかあるいは定年制とか、それからパイロットが当然保有しなければならぬ業務に必要な施設とか、そういうものをひっくるめて考えた場合には、言うならば一水先区複数制の水先人会をつくると同時に、日本全体の連合体というかそういうもので、ある程度そういう資金、設備、人間、年金、そういうものをプールしたほうが私は時代に即応すると思うんですね。あるいは京浜とかその他の大きな港では、パイロットの仕事がたくさんあると思うのです。たとえば、釜石あるいはその他の小さいところへいけば一人でやっていける。一人でやるからには、収入の面でもかなり差があることは事実であります。そうなるというと、必要な施設をつくるにもなかなかたいへんな負担だと思うのです。そういう上下かなりの格差があること自体、やはりパイロットの仕事を考えた場合に、これはならす必要があると思うのです。そういうものを総合的に考えて早急に手を打つべきだと思う。閣議了解事項も含めて軌道に乗せることが正しいと私は思うのです。いかがですか。
  98. 佐原亨

    ○佐原政府委員 港による格差の問題、これは確かにいろいろな問題がございますので、前回の参議院の決算委員会の席上、運輸大臣からも、内部的に調整する何らかの方法はあり得るという御答弁がございました。現在パイロットのほうで、その点に関する専門委員会のようなものを設けまして検討を始めております。そういった手段も一つのやり方であろう、それから、先生のおっしゃるような方法も一つの方法であろうかと存じます。これにつきましては、ひとつ少し慎重に時間をかけさせていただきまして検討させていただきたいと思います。
  99. 久保三郎

    久保委員 慎重に少し時間をかけるという長いということですよ。いまの閣議了解事項の中でぬくぬくと入っていたほうが都合がいいということにとれそうですね。そういったことはやるべきじゃないと思うのですね。ここまで問題になってきたんだから、われわれはこれから出先について調べますよ。調べますが、そんなことをやる前に、私は原則的にいまお話を申し上げているのです。そんなのは、言うならごまかしですよ。そんなことでやるべきじゃない。  それから、前へ戻りますが、選考委員の選任ももう少し考えたらどうですか。たとえば、採用にも不公平があるそうですね。出た学校によってだいぶ採用が違うというのです。学閥というものがあるということである。それから、これはどういう人がやったのかわかりませんけれども、過去において密輸とか、そんなものをやった船長だって中にはパイロットになっておる者もあるという話も聞いておるのです。どんな人がなっているかわかりません。たとえうわさにしても、そういう話が出てくるところに選考委員の選任に問題がありはせぬか。だから、さっきも言ったように、ごますりでもやらなければパイロットになれないという、そういうのはわかっているでしょう。多少ごますりをやらなければなかなかパイロットになれないというぐらいはわかっているでしょう。そうだったら、それは直す必要がありますよ。選考委員の選任については、もう少し考えを新たにしてやるつもりはありませんか。
  100. 佐原亨

    ○佐原政府委員 採用に不公平がある、学閥によって差があるというお話は、おそらく昔の商船学校、いまの商船大学の卒業者と昔の地方商船、いまの商船高校の卒業者との間に差がある、こういうお話であろうかと思います。一応過去数カ年にわたって調べました結果、受験者数と採用者数との比率は両者において差がございません。ただ、受験者数自体が商船大学出のほうが多いために、全体で見ますと、結果的には商船大学出のほうが六割とか七割とかいう多数を占めておるという結果にはなっておりますけれども、学閥、学校が違うから合格を排除する、こういったことはないのではなかろうかと思います。  それから、最終的に採用する場合にも、やはり商船大学出のほうが、実務といたしまして外航の大型船に乗っているケースが多いわけでございまして、履歴を尊重いたしまして、どちらがパイロットとして適しておるかということを判定をいたします場合には、どうしても商船大学出のほうが事実上優先的になるという傾向はある程度避けられません。先生御指摘のケースにおいて、学閥による問題点はないものとわれわれは考えたいと思います。  それから、選考委員委員のことでございますけれども、先ほど申しましたように、一応客観的な判断を持ち得る方を選んでおるつもりでございますので、いま直ちにこれは変えるつもりはございません。
  101. 久保三郎

    久保委員 あなたはなかなか抵抗が強いね。数字からいってそうだというのはだれもわかっております。しかし、その数字にいくまでの過程、これは選考委員がそういうものに関係のあるものが入っておるからそういう傾向になるのではないですか。それからもう一つは、郵船出身者が優先されておるという話も聞いておる。そういうものは、やはり選考委員の中にそういう傾向の人があれば、当然行ってもだめだとか、行けばだいじょうぶだとかいうことになるのですよ、世間からいけば。だから、選考委員ぐらいはもう少し真剣に洗い直してみたらどうですか。
  102. 佐原亨

    ○佐原政府委員 先生のおっしゃること全部を否定するつもりはございません。よくわかるつもりでございますが、選考委員の中に、個人的な名前は出しませんけれども、先ほど申しましたいわゆる商船大学の出身でない方も入っております。その方は、先生がおっしゃったような意識を持って人選のときにいろいろ詳細にチェックをされる、こういうことになっておりますので、その面からも不公平は避けられておる、このように考えております。
  103. 久保三郎

    久保委員 大臣いらっしゃいましたが、前半のお尋ねをしているときはいなかったので、あるいはおわかりにくかったかと思うのですが、この間参議院の決算委員会で話がありましたパイロットの問題で、私は天下りの問題を中心にやっているのではなくて、この制度自体に問題がありはしないか。特に昭和三十九年の六月の閣議了解事項でいまのような仕組みでやっておりますが、これは理屈ばったことを言えば財政法や何かにも違反するのじゃなかろうか。なるほど三者で合意の上でやっているので、信頼の上でやっているのだという答弁がそのまま表向きならば、それはそのとおりかもしれませんが、実際裏ではそんなもんじゃなくて、国の閣議了解事項という名においてやらせているというふうにとれば、これはつまり金を取って使う先が言うならば政府として必要な事業であるということならば、当然これは法律あるいはその他これは類するものによって処理されるべきものだと私は考えている。これは三十九年の閣議了解事項はもう一ぺん早急に検討をしたほうがいいと思うが、いかがでしょう。
  104. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 船員局長からいろいろ説明があったと思いますけれども、御承知のように、日本の港は世界の船がたくさん入ってまいります。もちろん日本の船も相当の量があるわけでありますけれども、これは最近いわゆる大きなタンカー等がありますので、ことに日本はいま輸入国でもありますから、大きな船が入ってくる。それに従ってやはりパイロットの必要性がある。ただ、当時ああいうような閣議決定になりましたのは、一つは外国におけるパイロット料金というものと、日本のパイロット料金との差があるわけでありまして、そこである程度これは近づける必要があろうということは、結局、日本の船が行って向こうでパイロットの料金を取られるわけでありますから、そういうことのためにああいう措置をとったので、その結果として特別な収入が出てくる。これは理屈からいえばそれに還元されるわけではありましょうけれども、全体の港湾関係なりあるいは船関係なりの賃金とのいわゆる公平という問題もこれあり、かつまたもう一つは、東京湾とか大阪湾とかいうところには、港の設備及び工場等の設備からしてその方面に集中をしてくる。ところが、工場等が少ないところは、実際上のパイロットの収入が予定どおりあがらない。そうなりますと、そういう諸君に対してある程度最低の収入保障といいますか、こういうものを考える必要があろう。そうしないと、そういうところに人が行かないということになる。そういう点を勘案しまして、ただいままでに説明したような措置をとってまいったのでありますが、ただ、最低収入が現行でいいかどうかという問題もあろうと思います。その意味においては、個々の問題で改善すべき点がないとは私も思いませんので、これらについてはやはり調整をとっていく必要があろうと思います。  ただ閣議決定の線は、現状では、なおああいうようなものの考え方でパイロット全体の料金を考えていく、こういう必要があるのではないだろうか。しかし余剰金の使用先について、より合理的に、より直接的ものに使えというお考えはごもっともでありますから、少なくともあまり無関係なものに使われることは好ましくない、そういう意味においては善処をしてまいりたいと思いますが、原則としては現行の制度を徐々に改善して、そして合理的なものに持っていくということが、まあ一番順当なことではないだろうか、こう考えております。  しかし、ただいままでの久保さんの御意見は、大いに傾聴に値する面もありますので、これらも踏まえて、前向きにこれらの今後の問題を処理してまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 久保三郎

    久保委員 大臣にはお話を申し上げておかなかったので、多少私の意見と違うところもあります。私は、閣議了解事項のそういうやり方というか、そういう方法がいけない、こう言っておる。国際的な水準や何かを考えれば、パイロットの収入というのはかなり大きな問題になる。だから、これに対しては、租税に類するものとして課徴金なり賦課金なりというものの制度によって取っていく。その取ったものを有効に、いま閣議了解事項でやっているような方向できちんと使っていく  というのは正しいことであろうと思う。しかし、閣議了解事項でこういうものをきめておやりになることは筋が違うじゃないかということを、私は先ほど申し上げたわけなんです。  それから、もう一つ申し上げたのは、非常に高年齢層の者もいるし、多少改善はされたといっても、閉鎖的、ギルド的な要素が多分に水先人の中にある。こういうものを改善するには、やはり公営に一歩前進させた立場からやっていく必要がある。それから、大臣がお話しになった、ある地区においては給与も上げなければならぬという問題もあると思う。そういうものについても公営を前提にすれば、プール的な問題で一応解決しやせぬか、こういうようなことを提唱しておるわけです。船員局長は現状のままでいきたいという意向がかなり強いようでありますが、われわれは、そういうものに対しては今後も十分注意と強い関心を持っていきたいと思うのです。これは了解事項でやることには私は反対です。  以上を申し述べて、質問を終わります。
  106. 福井勇

    ○福井委員長 次に井野揮君
  107. 井野正揮

    井野委員 昨年の第六十三国会で、ハイヤー、タクシーの近代化法が通りまして、東京と大阪にはセンターがつくられたわけであります。このセンターの運用のため業界に求めた各般の協力事項について、どういうふうに進行しているか、所期の目的を計画どうり達成しているかどうか、この点について概括的な数字をあげてお答え願いたいと思います。
  108. 野村一彦

    ○野村政府委員 昨年成立いたしましたタクシー業務適正化臨時措置法に基づきまして、東京と大阪にタクシー近代化センターというものが設けられ、これが活動を開始いたしたわけでございます。昨年の十一月から、東京も大阪も、登録業務と適正化業務という二つの業務を発足させたわけでございますが、登録業務のほうは、一件につき三百円という手数料収入がございまして、これは東京も大阪も比較的スムーズに発足をしたわけでございます。適正化業務につきましては、適正化業務を実施するための具体的な内容につきまして、また、あの法律に定められておりますタクシー近代化センターの業務のどれを優先的にやるか、そのための裏づけとして、負担金と申しますか、事業者が納める金の額をどれだけにするかということにつきまして、いろいろと論議が行なわれましたが、この論議は必ずしもスムーズに進行しませんので、本年になって、大阪が早く、それから東京が引き続いて発足をいたしたわけでございます。それで、四十五年度はきわめて短期間に終わりまして、四十六年度に引き続いてこの計画及びこれの裏づけとなるべき負担金の負担計画というものについて審議をやっておるようでございますが、まだ東京、大阪とも額はきまっておりません。  適正化業務の実施の内容につきまして申し上げますと、たとえば、サービス改善の一つでありますところの乗車拒否等につきましては、これは私どもなり乗客の方の申告あるいは警察当局の発見等によりまして把握した数でございますが、東京の例で申しますと、四十四年は十月、十一月で八十五件ございまして、四十五年は同じく十月、十一月で六十件、四十六年は、時系列的に三月、四月でございますが、これが五十件ということでございまして、乗車拒否は多少減っておりますけれども、まだ十分所期の目的を達しておらないという状況でございます。  それから、東京におきまして銀座地区の計画配車ということを四十五年の十二月からやりまして今日に及んおりまして、現在、四月の時点で申し上げますと、法人タクシーは一日平均千八百五十五台、七四%、個人タクシーは二百八十九台、二九%というふうに計画配車をいたしております。これは特に乗車拒否の多い地区の配車の状況でございます。  それからもう一つは、銀座地区等にこの法律で認められております乗降の禁止区域を設定する、そして乗り場を指定するという措置でございますが、これは警察の御協力を得て、一般が八カ所、無線タクシーが三カ所ということで、銀座地区に乗降の指定の区域を定めまして、そこで実施をしているということでございます。  以上が概要でございます。
  109. 井野正揮

    井野委員 実は、ことしの三月十五日の午前七時半から十六日の午前二時まで、各界の人々が選ばれて実態調査運動に協力、参加をした。私もそのとき乗った一人でございますので特にお尋ねをしたいと思いますが、全交運が出しておりますこの実態調査結果の資料、これは自動車局ではごらんになりましたか。
  110. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生がお示しになりましたのは、私、初めて見ましたが、全交運の方々が私どものほうに見えていろいろ数字をあげてお話をされた、そのお話は承っております。
  111. 井野正揮

    井野委員 これは東京都の交通事故をなくす会が主催されましたので、きわめて客観的だと思いますから、そういう資料はぜひ熱心に収集されるべきだと思うのですが、実は、昨年の十一月に運輸省がお出しになりました通達の中には、「行政と利用者の意志の疎通」ということで、「地元公共団体との連絡強化」「利用者からの意見聴取」「行政方針の利用者への周知」こうなっておるのですね。まさに各界の人を集めて行なった十九時間という徹底した調査で、しかも宣伝をして、国会から警察、地方行政庁、新聞社、学者、すべての協力をいただいてでき上がったこの資料は、運輸省の通達の五項目の客観的な資料としては最高なものであり、その衝に当たっておられる局長は、もう一ページ一句残らずお読みになっておってしかるべきものだと思うのですが、どうもこういうことをお書きになっても、単に食堂の展示品みたいなもので、おいしそうに見えるけれども、さわってみたらせとものだというような、かけ声と中身とは全然違うという証拠のような気がします。今度は先のほうへ戻ってお尋ねしますが、これも、うしろのほうと同じようなせとものじゃないかなという気がするのです。  そこで、昨年運賃の値上げを認めました。そして参考人まで呼んで、ここで相当の時間をかけて経営者や組合の皆さん方の御意見をお伺いをしたわけです。このときに、特に料金の値上げというものは、必ずしも今日のハイヤー、タクシー問題を解決するものではないという御意見がありました。しかし、近代化センターあるいは一定の料金値上げその他の行政指導を通じて、かなりの成果が期待できるのだという局長、大臣の御答弁があり、ああいう制度が是認をされた、こういうこになっておるわけでありますが、料金値上げ後半年間の、先ほどの配車でなくて、免許返上、廃業、この台数はどれくらいになっておりますか。
  112. 野村一彦

    ○野村政府委員 料金値上げ後の開廃業の数字は、ちょっとただいま手元にございませんので、至急調べましてお答えいたします。
  113. 井野正揮

    井野委員 ですから、これをお読みになれば、ぜひ知っておかなければならぬことが書いてあるのですよ。これを見ますと、料金値上げをした後六カ月間の免許の返上を行なった会社は二十社だ、そして車の減った数は六カ月間で三百十七台だ、また減車を申請してきたものは実に千四十六台だ、こうなっているのです。それはおそらくあるでしょう。おたくのほうになかったらおかしなものですよ。どうも局長は、私が運輸省で調べられた資料でお尋ねしても数字は御承知ないようだけれども、これは行政成果のバロメーターですから、これを御承知になっておらなかったら、何を審議会に諮問されても、審議会の審議というものが隠れみのになって、結局部長か課長でないと中身はわからぬ、大臣と部長とは全然反対の答弁をするというような結果が、私がこの委員会で質疑をした中でも随所に見られるのです。こういう点は、大ものの運輸大臣としては困るのではないかという気がしておるのです。  こういうふうに減車、免許返上、こういう数字が非常に出てきておる反面、新しく免許された数字はどのくらいになっておりますか。
  114. 野村一彦

    ○野村政府委員 新規免許につきましては、東京は法人はございません。個人タクシーにつきましては、これは手元に資料がございますが、昨年の十一月から最近まで約二千件くらいあると思いますが、正確な数をただいま調べます。
  115. 井野正揮

    井野委員 では、この点については、たいへん実情に即した方法がとられるというふうに考えて、敬意を表します。  そこで、この経営改善のいろいろな意見の中で問題になりましたのは、それぞれの企業の内容が多様であって、しかも弱小企業の場合には金利の負担が非常に大きい。それで協同組合化の必要があるのではないかということを私も強く申し上げましたが、その後そういうことも検討すべき条項の中にはあるようであります。そしてまた税負担の軽減ということもうたわれておるのです。ところが、こういう運輸省の方針とは別に、これは自動車全体の問題として課せられた問題ではありますが、大臣も参画せられて自動車重量税の法案が、私どもの反対にもかかわらず可決をされたわけです。そこで、この金利負担の軽減ともう一つは租税負担の軽減の問題に対する、言っていることとやっていることが別だということです。しかし重量税の問題は、道路整備その他の全体の別な利益から、タクシー、バスに限ってこれだけ免ずるわけにはいかぬというふうに考えたのだという御答弁があるかもしれませんが、今回こういう法律が制定された面の課税からの重圧面、それがもしどれくらいだとお考えになっておられるのであれば、今度金利負担の軽減という問題でどういうふうにめんどうを見るのか。採算上の問題ですから、数字的な具体的な差し引きが出てこなければならぬと思うのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  116. 野村一彦

    ○野村政府委員 自動車重量税がただいま論議されておりますような法案でかりに課せられたといたしますと、その試算は、タクシーについていいますと、大体〇・二%コストに影響するものというのが私どもの考え方でございます。  先生ただいま御指摘の、それでは税金、金利の低減ということはどうするかということでございますが、これは先生御案内のように、予算の編成が年度末に行なわれまして、そしてそこでいろいろ税制の改正について論議されました段階におきましては、残念ながら、制度としての税制改正というのは、タクシーにつきましては行なわれておらないわけでございます。ただ私どもとしては、昨年の年度末から、タクシー経営が非常に悪化したということで、タクシーの緊急融資ということを中小企業庁及び大蔵省と連絡いたしまして確保いたしまして、その緊急融資が、東京及び大阪が中心でございますが、約二十二億というものが昨年の年度末に貸し付けが行なわれました。それの利率は、平均いたしますと大体八分六厘くらいでございますので、いままでそれより高利で借りておられた方々は、それで借りかえができるということで多少の改善になったかと思いますが、制度としてのタクシーについての税制改正というのは、昨年度といいますか、今度の予算審議においては、残念ながら実現いたしておりません。
  117. 井野正揮

    井野委員 八分六厘というと大体二銭五厘になりますかね。前に私どもが四社調べたときには、小さい会社、車の台数が三十から五十というようなところでは三銭五厘くらいな金を使っておりましたから、これは金利面からのかなりの経営援助にはなると思います。しかし、それが東京と大阪で二十二億ということでありますと、この企業の非常な高い投資を必要とする関係から考えてみますと、需要からいうとこれは一体何%くらいになるのですか。業者から融資がほしいという需要、これからいくとどれくらいになりますか。
  118. 野村一彦

    ○野村政府委員 これは年度末の緊急融資でございまして、いわば年度末の非常に経営の苦しいのをつなぐということで、大蔵省、通産省と折衝して、いわば非常に急にきまったものでございまして、しかもその融資を受ける条件として、既存の協同組合において借りるあるいはそのための協同組合をつくって借りるという非常に緊急な措置をやりましたので、相当な期間を置いて募集をして、それから選考したというものではございませんので、いわば借りられる方はなるべく多くということで、そういう担保の条件の備わっている方、それをタクシー協会としてまとめて借りたということでございまして、東京で申しますと、中小業者でそれを希望する方々については、二百数十社くらいはその対象になったと思いますので、相当程度の方はその融資を受けられたと思います。
  119. 井野正揮

    井野委員 年度末のそういう融資がなされた。しかし、先ほど申し上げましたように、減車申請で千台、そして免許を返上したもので三百をこえる。しかも、実際のタクシーの需要というものは以前より急増しているわけです。こういう事情の中で全く反対の現象が起こっているわけですから、いかにこの経営が、二二%の運賃値上げをしたにもかかわらず、実態には沿わないものだということがいえると思う。私の乗った車は、三十七名のお客さんが、八時から翌朝の二時の間に一台の車に乗られました。そして走行キロは二百九十六キロだったと思います。これは規則どおりやった運転であります。その間、おもしろいものでして、助手席に乗っておってもお客さんがいないとこっちがいらいらする。おもしろいものです。運転手はなかなかよく心得ておられて、ロスのないように、どうしてもお客のないときは駅の待合所に行くとか、いろいろの方法を講じて努力されておりますが、全く規則どおりの運転をされたわけでありますから、その料金は一万四百円でした。こういうことにしますと、一応歩合制になっておりますから、この人の賃金計算を二十五日乗ったとして考えてみますと六万円にならないのです。そして、昼めしは何ぼかかるのかと思って一緒に食べてみたら四百五十円かかったのです。国会の食堂もあまりうまくありませんけれども、これもまた悪いものでした。こういうことを考え、そしてこの人の居住地を考えると、朝乗車するまでに出てくる時間、それから車からおりて手入れをして引き継ぐ時間等々計算してみますと、一日おきの勤務とはいいながら、この人は休養するのではなくて寝たというにすぎないのじゃないか。生活しているというものではなくて、生きているというにすぎないのではないか。私はこのとき新聞記者の質問を求められて、あなたならこの運転手になるかと言われて、ならぬと言いました。とってもなる勇気がないしからだがもたぬでしょう。全く生きているだけにすぎない。生活しているというようなものではない、こういうふうに判断をしたのです。  そこで、これは二つのことがいえると思います。一つは、そういう劣悪な労働条件なり給与、片方では経営難に追い込まれておる企業。だが実際には社会ではこの需要は高い。年度末の融資に二十二億あって、こういうふうに二つの相矛盾する問題があって、タクシー問題というものは深刻なんだということがわかっており、しかも、それは金利が非常に高いのだということになって、この証人の証言なんかにもあるように、十分配慮してやると大臣も答えたのですから、実際はその後、金融上の協同組合化の問題なりあるいは協同組合を通じての各社の経営改善の問題について、あなた方がほんとうに国民にサービスをやろう、行政をやろうということでおやりになっておるのであれば、この年度末融資分だけではなくて、その後の協同組合化はどれだけ進んだか。その他の協同組合制度による資金はどれだけ出したでしょうか。この点が明らかでないと、橋本運輸大臣の答弁はから答弁だということになるのですが、この点はどうですか。
  120. 野村一彦

    ○野村政府委員 年度末融資に引き続きまして、四十六年度に入りまして、年度当初から引き続き長期低利の融資を確保したいということで折衝いたしております。私のほうでは、中小企業庁が所管しておられますところのいわゆる中小金融三機関といわれているものから、ただいま申し上げましたような長期低利の融資を確保したいということで中小企業庁と折衝し、また折衝のぐあいにおいては、大蔵省のほうとも折衝するということで進めております。まだはっきりした数字のめどは出ておりませんけれども、現在までのところ、中小企業庁も公共料金抑制の見地から、タクシー料金が押えられておるし、経営も非常に悪い、一方、タクシー運転者の方の労働条件の改善もやらなければならぬということで、非常に前向きに考えていただいております。したがいまして、四十六年度におきましても、私のただいま申し上げられますことは、中小金融三機関を全部合わせまして、おそらく百億以上の、あるいはもっとそれより多い金額を私ども考えておりますけれども、百億とか二百億とかその程度のものは少なくとも出してもらいたいということで折衝しておりまして、まだ煮詰まっておりませんが、そういうことでございます。  問題は、そのための受け入れ体制としての協同組合等につきまして、このために新しい協同組合をつくるかどうかということは、なかなかむずかしい問題であろうと思いますが、既存の協同組合を極力利用するということで、私はいけるのじゃなかろうかと思っております。  そういう状況でございます。
  121. 井野正揮

    井野委員 これは変化していく問題でありますから、またその後の経過も見たいと思います。  そこで現在、局長は、各社が遊ばせておる車、これはどのくらいあると思いますか。パーセンテージでいいです。
  122. 野村一彦

    ○野村政府委員 いわゆる事業計画の対象として入って、そうしてそれが車庫に眠っている車は、概して一七、八%程度でなかろうかと私、考えております。
  123. 井野正揮

    井野委員 たいへん気楽な数字だと思うのです。調査に行けばたいていどこかへ持っていきますから、調査に行ったら、ちょうどカラスが飛ぶように車がなくなってそういうことにはなっておりませんが、実際は三〇%以上のものが遊んでいるということは間違いのない事実であります。それは首をひねらぬでいいからよく実態を調査してください。間違いございません。  そこで、いま問題になっておりますのはパートの運転手であります。これは制度的にも制限をされておるのですが、これは一体遊休車に対してどの程度パートの運転手で規律を破って運行しておると思いますか。
  124. 野村一彦

    ○野村政府委員 いわゆる業務適正化臨時措置法で認められておりません臨時運転手の正確な数は、私ども残念ながらつかんでおりません。
  125. 井野正揮

    井野委員 もっともわかっておったら規制しなければならぬわけですからね。われわれも聞いて承知しているわけですが、大体遊休車の三〇%はパートの運転手によって運行されております。これは間違いない事実です。  そこで、そのタクシー労働者の労働組合が組織されたものはどれくらいあると思いますか。全体の数の中で、労働協約を結んだりそういうふうになっておるもの……。
  126. 野村一彦

    ○野村政府委員 組合が幾つかございますが、それを全部総合いたしまして何%になるか、ちょっとただいまつかんでおりません。
  127. 井野正揮

    井野委員 局長、ちょっとこっちを向いてください。これはタクシーの営業を公共性を持たせ、そうしてこのタクシーの営業を通じて社会秩序を守って公共性にこたえていくという上には、欠かすことのできない大きな一つの柱だということを、運輸当局はよく理解しなければならないのですよ。私どもの実態調査の中で、これは警察の方いらっしゃっておりますけれども、私は特に夜の銀座の乗車拒否の実態調査の仕事をさせられた。これは後ほど申し上げようと思うのですが、もう一つは大井競馬場の相乗りの問題も見ました。労働組合のあるところの会社の運転手が、全然なかったとは言いませんけれども、きわめて少ない数です。で、会社の社名と番号を全部記録をしてまいりましたが、調べてみますと、なべてこれは労働組合のない会社の運転手だということは間違いございません。特に銀座などでは、私はこれは警察のほうへお聞きをしたいと思いますが、警察は投げてしまっている。あきらめてしまっている。しかたないのですよ、こういうことなんです。しかも、私どもが国会議員であり、事故をなくす会の行事として調査に行って、特にあぶないから護衛車までつけてくれていて、連絡しても、あそこの銀座の交番の交通担当の皆さんは、しかたないのです。ちょうどハエみたいに、追えば散るけれどもすぐ来るのです。まさに夜の銀座は無政府交通状態です。無政府状態だ。  そこで私は、全然駐車する場所でないところに群がっている運転手の中に入っていった。おじさん、これなら行くぜ、こう手を出す。二、三人会いましたよ。私を乗せたら、あしたからあなたの免許を取り上げてもらうがいいかと言ったら、顔を見ておって、おい、ぐあいが悪いから行こうと言って向こうに散ってしまった。こういう状態です。警察はこれを放任されているところにも問題があると思いますが、ある日程をきめてやってはおられるのだろうと思いますけれども、まさに首都の現状としては、私は国際的にも恥ずかしい問題じゃないか、こう思うのです。この辺どのような認識をしておられますか、警察のほうからお答えいただきたい。
  128. 池田速雄

    ○池田説明員 乗車拒否の問題につきましては、昨年の十一月に近代化法を施行されましたのを機会にいたしまして、東京の場合でございますと、警視庁のほうでも特に重点を置きまして、警察署の中で盛り場等を管轄しております十一警察署を特に指定いたしまして、これは一般の外勤の警察官では残念ながら非常に取り締まりが困難だ、こういう実態がございますので、したがいまして、特に専務員を選びまして、専務員に制服、私服、それから警視庁の交通部のほうからも応援に参りまして特別取り締まりをやる、こういった体制で臨んでおります。ことしになりましてから、乗車拒否のいわゆる運送法違反でございますが、それから先ほど御指摘の近代化法の違反、乗車させてはならない場所で乗車させる、そういったような違反等含めまして三百件ほど検挙いたしております。ただ、その中には立件いたしましてものと立件に至らなかったもの等もございます。  ただ、御指摘のとおり、常時の活動がまだ十分でないということは事実でございます。お客の方等の協力の問題もございます。それから取り締まりの技術上の問題もございまして、一般の警察官では取り締まりにくいような実態になっているというのが現状でございますが、できる限り専務員を動員いたしまして、そういった事態のないようにつとめておる次第でございます。
  129. 井野正揮

    井野委員 私は、これまた取り締まりで直るものでないと思う。事犯として成立しないものは警察はやりたがらないのですよ、むだ骨になるから。これが事件として成立して、刑事責任を追及できるものであれば、手柄になるから警察は一生懸命なんです。あやふやなものは、実証がめんどうだからやらない。これじゃそういう秩序は確立されないわけで、むしろそういうことよりも、一つの会社の傾向というものを、ある程度の確証をあげて提起されることが大事なんです。そこで行政措置の面からの是正ができていくわけなんです。ところが、警察の根性と行政の根性は違う。根性の違うものが別々なことをやっておるから、あきらめしかそこに残らない。たとえば、三百件と言うけれども、一晩で三百件くらいあそこで見つけ出すのはぞうさはないですよ。あきれ返ってものが言えないですよ。まさに交通麻痺状態になるし、そうすると警察官はその辺にはいないのです。良心のある者なら見ておられないですよ。  そこで、どういう会社がどういうふうにやったかという問題は統計的に出ますよ。そうでしょう。まあここで会社の名前を言いませんけれども、何々の会社が一時間の間に銀座のここで何台集中した、そうして違法駐車をやった、また違法乗車させた、あるいは乗車拒否をしたと、一晩でもやる気ならそのくらいは出ますよ。そういう傾向の会社に対しては、警告なり注意なり、運輸省、幾らでもできるじゃないですか。その裏づけは、やはり警察が協力すべきだと思います。警察のほうは事犯としてあげなければ功績にならないから、あやふやな実証のできないようなものは投げておく。これがすぐそのような無法状態をつくっているのですよ。そうじゃないですか。そういうものがあがらないから運輸省のほうでは注意もしないし、また増車の申請がくれば免許しておる。やり得だということになっているのですね。大井の競馬場でもそのとおりですよ。私はそういうようなところに実は政府内部の、閣僚会議はやっているけれども、さっぱりそういう実態に触れた相互連絡ができていない、真髄に触れた行政指導が行なわれていない問題があると思います。  また、労働組合が今日、悪徳運転手といわれることを一番きらっております。なくしたいと思って涙ぐましい努力をしておる。ところが、労働組合が結成されるかどうかはそれは労働省の問題だというような顔を運輸省はしておる。そういうところにおる労働者の待遇については、あるいは歩合制、利益配分制、そういうやり方にともすれば流れやすいような、経営者、労働者一体のそういう悪徳行為、これに対して真髄に触れた解明を運輸省もなされたい、そういうところに問題があると思うのです。私は、今日のタクシー、ハイヤーの公共性を維持しようと思ったら、でき得れば労働者はクローズドショップ制、それから事業者のほうはすべてを協同組合加入を条件にするぐらいにしなかったら、適正な国家資本の投入もできないし、あるいは経営上税負担の公平を期してこれを軽減するという具体的な措置も非常にとりにくい。なぜならば、事業申告すらもろくすっぽできない会社があるじゃありませんか。そういう姿の中では、これが公平なんだというめどをつくらないから、結局当てずっぽう課税になるし、また経営のロスが出るし、あるいはもうかったほうでは関連産業へ流してしまっておる、こういう結果が出ておるのじゃないですか。  私は、運輸省がせっかく集団化、共同化、協業化といっておきながら、これまた先ほどと同じで、食堂のせとものの商品の陳列だなと同じで、さわってみると冷たくて味もそっけもない、こういうものになっておるのじゃないですか。このあたりに運輸省の、タクシーにしても、ハイヤーにしても、バスの問題にしても、この制度の矛盾、社会の実態に触れて調査をし、そこに行政を確立しようとする熱意に欠けておるのじゃないか、そしてそのしわ寄せは、すべてここに働く人々にかかっておるのではないか、こういう気がするのですが、局長どうですか。
  130. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいまの井野先生の御質問といいますか、御指摘は、非常に私ども御示唆に富むものでございまして、今後の執務上の非常に参考と申しますか、有効な御意見だと思います。特に、未組織労働者の問題、これはいろいろとトラブル等を発生しておる原因になっておるのではないかということは、確かにおっしゃるような傾向が非常に多いということでございまして、先ほど詳細な数字を私、申し上げかねたのでございますが、少し古い数字でございましても、大体半分近くがまだ労働組合の組織に入っておらないという状況でございます。  それから、銀座地区等におきまするいわゆる札つきの会社と申しますか、非常に乗車拒否その他の法令に違反するような行為が行なわれておる会社というものにつきましては、実は私どもも特に悪質なものについては、大体把握いたしております。したがいまして、先ほど警察のほうから御答弁がございましたが、私どもはまず警察の手をわずらわす前に行政の面におきましてこれを十分把握して、そして悪質なものについては行政処分をしてこれを根絶するという措置をとらなければならないということで考えておるわけでございますが、これは弁解にはなりませんけれども、なかなか微力にしてそういうことが十分できないということで、タクシー利用者の方に非常に御迷惑をかけておる点がございます。しかしながら、私どもはいろいろと、近代化センターも発足いたしましたし、また警察とも常時連絡をいたしまして、業務の適正化を確保するようにつとめておりますので、ただいまの井野先生のいろいろの御示唆あるいは御批判というものを、十分念頭に置きまして努力したいと考えております。  それから、今後の協業化、共同化というこにつきましても、これはなかなか、どの企業においてもそうでございますが、タクシーにおいても非常にむずかしいことと思いますけれども、私どもとしてもそういう方向を打ち出して、それによって業務の適正化をはかるという考えを持っておりますので、今後さらにその方向で努力したいというふうに考えております。
  131. 井野正揮

    井野委員 たいへん御理解をいただいたようですが、それなら私は、例の近代化の事業の一律の負担金についても、川鍋会長以下きびしい反論があった次第で、それがまさに今日的中して、負担金についてはまだ額もきまらない、だから金も集まっていない、こういう結果になっておると思いますが、これは、せっかく法律を通しておいて怠慢といわなければなりませんけれども、その制度そのものの本質に瑕瑾があったとすれば、これも考えてみなければならぬことなので、われわれもやれやれと言って批判をする限りは、また協力もしなければなりませんので、この事業を遂行するための財源ですね、これについては、場合によってはシャッポを脱いで是正をする必要もあろうかと思うのです。結果的には、これは自動車運転手の努力だけがやられて、運転者にだけ締めつけがきびしくなったという結果に終わりそうですが、そうあってはならないと思います。しかし、片方においては倒産が起こり、減車が起こり、免許返上が起こっているという現状から見ても、この賦課金制度については、もう少し考えてみなければならぬ問題があろうと思います。しかしこれは、これからさらにどういう御提案をなさるか、どういうふうに是正されるか、これはもう少し見守りたいと思いますけれども、いま大臣にぜひ考えてもらいたいと思いますのは、この運転手の雇用関係の安定性の問題が一つあります。それから、やはりあれだけの激しい労働条件は何としても緩和する方法を考えなければいけないと思います。そうでないと、安全を確保することができません。それから同時に、こういうことは給与にも関係をしてくる、企業の採算性に及んでくる、全部因果関係を持っているわけです。そして非常な引き抜きが行なわれているパート運転手がふえてきている。そういうことから考えていきますと、こういう傾向は放置するわけにいかない問題だということになってまいりますと、この登録された運転手の共同体的なものがあり、そして、労働者の結集した団体と企業との雇用関係を、この団体が保障するという制度は非常に大事だと思います。そして年金制度が確立をされ、この団体から抜けることは運転手としての社会生活を失うというところまでいくくらいの保護政策がとられないと、今日の交通問題は解決することはできないと思うのです。そして、同時にまた、経営者が経営負担の金利を軽くしたり、適正な課税を受けるためには、また協同組合に入ってここの指導を受け、それらの申告書によって正しく課税されるという道が開かれないと、これまた今日経営のネックになっている問題の解決はできないと思う。  こういう形でいくと——私は何も思想に基づいて言っているわけじゃないのです。運輸行政、特にタクシーとかハイヤーとかあるいはバスというものが、非常に公共性が強く主張され、しかも経済のひずみがこれに拍車をかけてきている、こういう中では、どうしても社会化の方向をとらざるを得ない。ニューディール政策的なものの考え方に立たざるを得ない。これは何もルーズベルトに学べとは言いませんけれども、そういう方向をとらざるを得ないのじゃないかと思うのです。大臣はいつも諮問委員会にかけたから、こうおっしゃられるのですが、実は運輸政策審議会の都市交通部会の審議委員のお名前をずっと書き出してみました。一体この人たちが、今日のタクシーのそういう実態のどこまで触れて知っているだろうか、あるいは地方問題になったら、はたしてそこへ出かけていってくれるだろうか、また運輸省が出したお経の文句のような文書だけ見て審査してもわかるだろうかどうだろうか、こういう気がするのですよ。大幅に陸運局長に権限委譲などもされて、許認可の問題もそちらのほうに移るということになってまいりますと、地方自治体あるいは地方におけるこれらの実務者、実際の企業、こういう人々の意見を広く取り入れられるような制度も当然考えられなければならぬと思いますが、大臣どうですか。従来のしきたりに大きく変更を来たして問題を考え直してみるという姿勢が、大臣みずからお待ちになられるかどうか。私も一年半運輸委員になって、各地の問題に参画をさせていただいて、これではとてもだめだという気がしたのですが、大臣の御所見をひとつ伺いたいと思います。
  132. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いろいろ理論的なことを申し上げると、お互いに議論も尽きないほどあるわけでありますが、私もその考えを持っております。ただ、やっぱり根本問題は、要するに運転手さんのほうからいえば、簡単にいえば、親子三人で十万くらいの収入があるようなことを考えてくれ、親子三人で、こういう重労働であって神経を使うのだから、普通の会社員とは違う、だからせめて十万くらいの収入があるようにしてくれ、根本はこれだと思うのです。あるいは十万か十二万か知りませんけれども、まあ十万でしょう、いまの常識からいえば。  この本を、私も前に詳しく読んだわけではありませんけれども、学者や皆さんがお読みになっているようですが、この本を読んでみましても、ある学者の人は、料金問題が解決するのじゃないのだ、こういうことを言っておられる。私は、やっぱり料金問題が中心だと思うのです。  それから、もう一つお互いが考え直さなければならぬことは、いわゆるよく世間の良識ある人々には、いまやタクシーというものは大衆の公共機関だ、こういう言い方によって料金を押えようという言い方があるのです。こういう言い方は、決して私はタクシー労働者団体に対する理解あることばだと思っておりません。逆にタクシー労働者を押えつけるものの考え方である。こういう世間のものの考え方はある程度変えなければいけないと私は思う。責めるときには乗車拒否を責める、あるいはほんとうに一部の悪質運転者をとらえて、あたかも運転者の多くの人がそういう不当料金を請求しているような印象を与える、こういう愛情のないものの見方をしておったのではタクシー問題は解決できない。やはりタクシー問題の解決の道は、もちろんこれは総合交通体系の中から、タクシーというものはどういう地位にあるか。これをバスと一緒に並べて考える考え方自身がおかしい、私はそう思う。徹底して言えばそういう考え方を持っておる。  したがって、タクシーというものはある意味においては補助機関であり、あるいは補助機関というよりは特殊な意味を持っておるんだ、ドア・ツー・ドアという、どちらかといえば自家用車に近い性格を持っておる、こういう考え方をしたいと思うのです。であるからして、自家用車をお互いが無理して持つよりは、できるだけタクシーを利用するという立場におけるタクシーにはどういう問題があるのか。タクシー自身のいわゆる車の問題及び運転者の素質の問題、こういう点からものを考えていくと、タクシーの置かれるべき地位、それを地下鉄及びバスと同様な地位に並べておいて、そこで大衆の機関であるから、したがって料金は押えるのだ、こういうものの考え方をしておったのでは、私は、タクシー運転者に対して理解があるとは思われない、あるいは極端かもしれぬけれども強く言えば。  いま外国の例を考えましても、たとえば日本ではハイヤー、タクシーを加えますと四万台、ロンドンは一万台。どうしてこういう数字になってきたんだろうか、これからもそれがふえていくんだろうか。私はふえていかないと思います。そこで、タクシー問題を考える場合に、いままでいろいろ井野さんからお話がありました。これは十分に参考にしていくつもりであります。ただ基本的な考え方としては、やはりいまタクシー業者が倒れようとしておる。私はまことにお気の毒にたえない。今回の値上げの申請も、だれが先に出したかといえば、個人タクシーの組合が出してきた。そこに収入と現実がいかに苦しいかということを証明しておるのです。ですからして、考え方を新たにして、やはりタクシー業者あるいは個人タクシー等が、交通機関としてあるべき地位及び収入等を考えながら、そこで乗車拒否の問題あるいはマナーの問題等を考えていかなければならぬ。近代化センターは、その意味で出発をしたわけですが、残念ながらなかなか所期の目的を、日も浅いものでありますから成果をあげておりませんけれども、いろいろきょう皆さんから御注意ありました点も十分に拳々服膺しまして、そうして目的達成のために全力を尽くしたい、かように考えております。
  133. 井野正揮

    井野委員 時間が少し過ぎましたので終わりますが、まだ大臣のおっしゃられたこと全部に納得しておるわけではございませんので、また次の機会にお話を申し上げたいと思います。しかし、きわめて深刻な問題でありますから、個条書きで審議会に投げっぱなしじゃなくて、運輸省それ自体が具体的な方策を出して、審議会の答申を求めるべきだ、また審議会の議事録その他についても本委員会に公開されるべきだ、こういうことをお訴えをしまして終わります。  ありがとうございました。
  134. 福井勇

    ○福井委員長 次に田中昭二君。
  135. 田中昭二

    田中(昭)委員 最近たいへん激増しております自動車、それに伴ってたいへん増加しております事故の発生、それに対する保安の観点からも、今国会においても多くの問題が論じられてきたわけでございますが、当委員会の審議におきましても、道路運送車両法の一部改正によって民間車検場の拡大等をはかり、車両の整備を強化して、それがひいては車の事故を防ぐというような目標に向かって努力を重ねておるわけでございますが、この車検業務について、最近の新聞に掲載をされていることで少しお伺いしたいと思います。  それは茨城県下の民間車検場等を行政監察局が立ち入り調査した結果、違反並びに不正事件が報道されておったようでございますが、これらの問題については、過日の道路運送車両法の一部改正のときに、現在の指定車検場等をはじめ整備工場で不正なことが行なわれておる。こういうことを具体的に例をあげて私は指摘しておるわけです。こういうものが事故につながっておる、そして大きな社会問題が起こるのではないかと、ここまで指摘したわけでございますが、これに対する政府の答弁は、事務当局をはじめ大臣も、そのようなことはないようにしますとか、もしあれば責任を持って指導、監督をしますというようなことが言われて、それを期待して安心しておったわけでございますが、残念ながらその期待を裏切るような今度のような事件が起こりました。私はいつも言いますように、いまも井野委員からいろいろ車の問題について、実態をあまりに知らないのか、握りつぶすのか、行政というのはそんな末端の困った問題は考えなくていいのだ、そういうことが根本にあるかと思われるような、あまりにも行政の中でのみんなを困らせるような問題が多過ぎる。このたびの新聞報道について運輸省はどのようなことを考えておられるか、まず事情の説明からお願いしたい。
  136. 野村一彦

    ○野村政府委員 先般、茨城の地方行政監察局の監察をされました結果、ふぐあいな点、法に違反する点、その他適切を欠く点等が自動車の分解整備事業においてありましたことは、私どもまことに申しわけなく、これは全く弁解のことばもございません。ただ申しわけないということで、今後これをいかに是正をしていくかということに取り組まなければならない問題だと考えております。  茨城行政監察局におかれましては、茨城県全体として、つまり交通事故をなくすといいますか、防止するために各方面の協力を得て、どのような施策をそれぞれ関係機関がやっているかということを確かめるためにいろいろと監察をされたわけでございますが、その一環として、いわゆる車両の整備不良と申しますか、そういう面からの交通事故防止ということをやるために、これは整備事業を直接見る必要があるという御判断から二十三の工場につきまして、これはおそらく任意に抽出されたものと思いますが、二十三の工場のうち、一つは指定工場で、あとの二十二は一般の認証工場でございますが、それについて、茨城県陸運事務所立ち会いのもとに監察をされたわけでございます。その結果七つほどの項目を指摘されたわけでございます。  一つは、自分の工場で整備したものを自分の工場で検査をするわけでございますが、その検査の際のチェックが非常に不適切である、そういう指摘がございました。それからその次は、陸運事務所が認証事務を処理している、つまり認証工場の申請があって、そうしてその認証工場を認証する際に、現地調査をやっていないケースがかなりあって、現地調査をしないで相手の書類の申告だけを信用して認証しておるのはきわめて不都合であるという御指摘がございました。その次は、認証の違反があってもそれが把握されていない。資格者がいない、あるいは所定の人数が足らないというケースがございました。その次は、事業者に対する指導、監督が不十分である。これは検査主任者の研修のみをやっておって、たとえば、もっと下級の検査に従事しておる人の研修等の指導、監督が不十分であるという問題でございます。その次は、指定整備車両の検査を行なっていないケースがあった。これは一つの指定工場でございますが、他の認証工場で整備をしたものを、そのまま指定整備工場が検査に合格したというふうに取り扱っておるということでございます。それからその次は、あとの二つは御意見かと思いますが、定期研修の運営に適切を欠く、つまり陸運事務所あるいは整備振興会等が技術者の研修をやろうと思って呼び出しても、ある特定の会社の人は何回言っても出てこない、これはふぐあいではないかということで、やはりこういう研修には極力全事業者が参加するようにしなければならない問題だろうと思います。その次は、近代化等によって健全な分解整備事業の育成をはかれという、これは一つの御批判と申しますか、今後の向かうべき道を指摘されたということでございます。  この問題につきましては、冒頭に私が申し上げましたように、行政当局として事業者まかせということで決していいわけではございませんので、もちろん弁解ではございませんが、定員とか予算が少ないということのために十分指導、監督の目が行き届かないことはございますけれども、これは理由にはなりませんので、われわれとしては極力指導、監督を十分にして遺憾のないようにしたいと思います。見て見ぬふりをするとかあるいはなれ合っておるというつもりは決してないと思いますが、結果としてともかくこういうことが出てまいりましたことは、まことに申しわけない次第でございます。
  137. 田中昭二

    田中(昭)委員 ただいまの御説明で、大体の項目ごとの指摘事項はわかりましたが、何も私は新聞報道が正確であるとは思わないけれども、やはり一般というものは、新聞報道によってインスピレーションを受けます。また、ここで新聞報道のことを読んだから、運輸省としてもたいへん困るのではないかと思うのですよ。そういうことを認識するならば、いまのような説明ではちょっと足らない。間違っておる。同じ政府部内で、その調べられたことの認識が、もう基本的なことが違っておる。いまの行政監察局が調査した件数は、あなた二十三件と言ったけれども、二十三件ではない。内容も違っておる。ですから、そういうことでは審議が、指摘がきちっとできませんから、行政監察局のほうから報道された事実について、ひとつ補足説明といいますか、補足説明をしながら、行政の中でこういう問題は間違ってはならないから、行政監察局が判断した実例を、たくさんあるようですけれども、全部を言ってもらうこともたいへんでしょうから、名前なんかあげなくてよろしいですから、名前なんかあげると問題があろうと思いますから、こういう例がありましたということで一つ、二つ説明を願いたい。
  138. 岡内豊

    ○岡内政府委員 お答えいたします。  ただいま野村自動車局長さんがお答えしたことで大体尽きておると思いますが、若干数字の面で違っておりますのは、これは私どもが調査いたしました二十三、これは認証工場、指定工場合わせて二十三でございます。そのほかに、たまたま調査しましたときに認証を受けていない事業場がございまして、それを三つ調べておる、こういうことでございまして、内容は、大体いま野村局長がお答えになったとおりでございます。  それでは数字的に申し上げますと、検査主任者を置いていないという事業者が三事業者ございましたということが一つございます。それから検査主任者がおるわけでございますけれども、その人が検査をしないで、無資格者の人が完成検査をしておるというのが六事業者でございます。それから、先ほど野村自動車局長がお答えになりましたけれども、認証を受けるときに事実と相違した申請をいたして認証を受けておるものが、大体二事業者ということでございます。それから、指定工場の人が代理で車検を受けるわけでございますけれども、そのときに、検査を受ける手続の面で検査官の盲点を突きまして、不良部分があるにもかかわらずごまかしてそれを受けておると思われるものがあります。これは確認がなかなかむずかしいのでございますけれども、大体そういうような状況でございます。  なお、いろいろございますけれども、大体おもな点はそれだけでございます。
  139. 田中昭二

    田中(昭)委員 おもな点ということで、まだ御説明があるということですから、それはそのつど聞いていくことにしまして、いま大体行管のほうの説明がありましたが、この車検制度というものがあることについては、国の車検場とそれにかわって整備を行なっているいわゆる民間車検場というものがあるわけでありまして、その民間車検場というのは、国の車検場に匹敵するようないろいろ検査に対してパスを与えるという権根を持っておる。そういう民間車検場が、聞くところによると三件調査をされておる。私はそこを間違えてはいけないと思うのです。私が聞いたところでは三件と聞いておる。いま野村局長の説明では一件だ。行管の局長も間違いない。そういうふうないいかげんなことではほんとうにいけない。数字はそんな間違いはないはずです。しかし、いま野村局長から民間車検場が一件調査されておるということですが、一件でもあっては困るのですから、一件でもいいのですけれども、そういう国の検査にかかわるような車検場において不正があったという認識の上に立って聞いてもらわなければいけない。  そこで、いま野村局長が五項目ぐらいについて大かたのあらすじを御説明になりましたが、これを見てみますと、大体自動車整備業者の質の問題、モラルの低下といいますか、そういう問題に属するものが、ほとんど多いようです。しかし、そうかといって運輸行政の不備、欠陥がなかったということではない。これは大いに運輸行政の自動車整備行政に不備、欠陥があったと思います。もうそのことについては遺憾であるというようなことでここで終わるわけですけれども、私は大臣、ここでそういういろいろな行政の問題があって、ただ遺憾である、厳重に処分します。こういうようなことでは一つも問題の解決にならない。先ほど井野委員タクシー問題にしろそうです。これはほんとうに法律と逆な方向の実態が、監督官庁なり行政官庁でかえって増進されているといわれてもしかたがない。私も銀座の車に乗ってみましたら、あの銀座の三丁目あたりの進入を禁止された道路にも何十台という車が進入いたしまして、そうして私はあそこで二時間くらいも待たされた。そういう経験をしておりますから、行政がかえって悪徳業者を、不正をする人を野放しにしておる気がしてならない。こういう点は前にもって強調しておきます。  そこで、先ほど言いましたように整備業者のモラルの低下の問題、それから整備行政に不備と欠陥があるという問題、こういう問題を分けて、第一番にいわゆる質の、モラルの低下という問題についてお聞きしていくわけですが、これにどう対処するかということは、それは行政官庁としてはたいへんむずかしい問題があろうということは私も心得ております。しかしまた、この問題がこの地域だけで起こっておる問題とも思われない。これは全国的な整備業者の問題であるといわざるを得ないわけです。それじゃ、そういう原因はどこに起因をしておるかと考えていきますと、いろいろ問題があると思いますが、これは何といいましても急激なるモータリゼーションの増加、そういう状態に整備業者が甘えた、甘えるといいますか、ことばが適当でないかもしれませんが、そういう実態。それから、いろいろな整備業者の仕事が多くなった、それについていけないような、いわゆる整備業者に対する運輸行政の欠陥と思わざるを得ないのです。これは当然自動車の増加に従って整備業者をどういうふうに——これは認可制になっておりますから、どういうふうに整備していくかという、そういう環境の整備といいますか、そういうものを誤った。聞くところによると、四十年に自動車の増加と今後整備業者の状態というものを試算した目標があったそうでございますけれども、それが五年後の四十四年までの実績で見てみますと自動車の増加に比べて整備業者の従業員数が少しふえたというようなことも聞いております。  こういういわゆる運輸行政の欠陥と思われるその一つの例が、モラルの向上についてはどういうふうに運輸行政の中でやっておられるかと聞いてみますと、大体これは業界にまかせている。業者間でモラルを向上していこうというような方向にいっている。こういうようなことでは、モラルの向上が不可能な環境ではなかろうか。そのままでおるということはそれはたいへんな問題だ。たいへんというよりも放置されておる。こういう事実を考えてみますと、モラルを向上さしていくということは、私は自動車行政の中ではたいへんな重要なことではないかと思いますが、重要であると思っておるのかどうか、その認識だけをお聞きしておきたいと思います。
  140. 野村一彦

    ○野村政府委員 御指摘のとおり、モラルの向上ということはまことに重要なことであると考えております。
  141. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、それではそのモラルをどうして向上していこうか、そういう気持ちだけでもありますか。
  142. 野村一彦

    ○野村政府委員 御指摘のように、私どもいろいろと業界の整備、業界のモラルの向上ということにつきまして努力してまいったつもりでございますが、きわめて不十分であるということをいま痛感いたしておるわけでございますので、いろいろくふうをいたしまして、とにかく整備業の業種はもちろん、従業員の末端に至るまで、技術の向上とモラルの向上というようなことを並行してやるような、何かいい手をこの際考えないと、ただかけ声だけではいけないということをいま痛感いたしております。
  143. 田中昭二

    田中(昭)委員 しろうとの私が、そういう局長のお考えをもとにして、ひとつここで提案申し上げておきたいと思います。  何といいましても、検査関係に携わる人の問題もございましょうし、またそういうものをきちっとしておけば、整備業者もそのチェック機関が確立されておるということになれば、ある程度不正も行なわれないのではないか、そう思いますから、そういう検査官とか整備をする資格を持った人、そういうものを含めて研修センターといいますか、全国に各陸運事務所がございますし、その陸運事務所ごとでもけっこうでございますし、それはそちらのほうでお考えになっていただくとして、研修センターを設置するという一つの方向。もう一つは、何といいましても業界、業者間の問題でございますから、この際、振興会等もございますし、業界にもきびしくモラル向上のための具体策をひとつ考えなさい、そしてあなたたちもひとつ努力してくれ、こういうような二つの方向を出したらどうだろうか、しろうとなりにこう私は考えるわけでございますが、これに対して局長と大臣の御所見をお聞きしたい。
  144. 野村一彦

    ○野村政府委員 ただいま先生の御提案になりました研修センターというのは、おそらく国の恒常的な機関としてそういう技術教育とモラルの向上というようなことをやる研修所を設けろという御趣旨だと思いますが、私どもそういうことができればもちろん非常にけっこうなことだと思います。いまの行政機構の簡素化の現時点において、これができるかどうかということは、私きわめて困難だと思いますが、先生のねらいの基本的な考え方、そういう常設の機関を設けて、モラルの向上、技術の向上というようなことをあわせてやるようにという方策を考えろ、機構を考えろという御趣旨には全く賛成でございますので、それを具体的に実施する方策を、ひとつ掘り下げて検討したいと思います。  なお、自動車整備振興会等、業界団体を利用する方法につきましても、さらに検討したいと思います。
  145. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 いま自動車局長の答弁で尽きておるようでありますが、とりあえず自動車整備振興会ですか、これをひとつ大いに活用したい。研修センターというものをつくるということは、国がつくるならば予算的な措置も必要でありますから急にはできませんが、振興会がそれにかわるような臨時的な措置でもいいですから、年に何回かやはりそうした関係者のいわゆる研修というものをやることが、これはその意思さえあれば可能だろうと思いますので、極力そういうことで、ひとつ振興会の努力にまつことにしたいと思います。  それからまた運輸省としましても、どうもせんだってお話のあったような事件のありましたことはまことに申しわけない次第でありまして、おそらくこれは全国的に見ますとやはりあるのではなかろうかということで、せんだって自動車局長に対しましては、各陸運局を通じて一斉に検査をしてみる、そうしてそういう点があれば、これはもう極力改善しなければいかぬという指示を与えて、目下、そのことをやらせておる状態であります。今後ともこのようなことがないように、交通事故につながる問題でありますから、厳重にかつ慎重に事を進めてまいりたい、こう考えております。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は大臣のことばじりをとるわけじゃございませんけれども、そういうことをやらせておるならば、そういうことをやらせておることが先にわかって、そして今度のような行管の調査があったというならば、私は納得がいくのですよ。いま局長も、一つの提案に対して困難だ。困難だというものに向かっては、あなたが先頭を切って行かなければ開けないじゃないですか。そういう姿勢がほんとうにけしからぬのです。けしからぬと言うてしまえばあれですけれども、困難なものに向かってでも自分の責任において努力します、これが行政官庁の中になければ、いつまでたっても同じですよ。私は、大事な整備行政のこの問題について、いまからやっていこうと思うのですけれども、そういう考え方では初めから話にならぬのですよ。そうかといって言わないわけにいきませんが、ただ立入り検査をやって全国的な問題をどうしますというようなことだけではいけない。いままで大臣も、この前の法案審議のときにも、全部お答えになっているのですよ、これに類したことを。業界にまかせると言うが、業界にまかせておって、いままでのような事情で、たいへんな不正が起こっておるのですよ。私は根本的にそういう問題をひとつ変えてもらわなければいけないと思います。  次の問題に入っていきますが、行管の調査されました内容を見てみますと、たいへんな行政の不備ではないかと思えるようなことがあからさまに指摘してあるようです。まず、時間がありませんから私のほうから申し上げますが、この認証工場とか整備指定工場に対して許可をして、一ペン許可を与えたら、許可を与えるときには検査をやるそうでございますが、そのあとの処理がたいへん不親切といいますか、やりっぱなしといいますか、そういう問題がこういう不正を引き起こしているという問題があるわけです。これはいま大臣がおっしゃるように監督をきちっとしておれば、監察というようなものをしょっちゅう行なっておれば、こういう問題は未然に防げる問題です。にもかかわらず、ここに行管が調査されました中で、大臣もあまりよく御存じないかと思いますから、ひとつ取り上げて申し上げておきますと、無届けで認証工場が作業場を増築して、そしてまたどんどんやってはならない仕事をやっておった。こういうのは、整備業者の仲間同士でも話は出るでしょうし、陸運事務所なり陸運局がちゃんと目を光らせれば当然わかってくる問題です。こまかい内容の問題は省きまして、幾つもあるわけです。一番ひどいのなんかは、自動車の分解整備なら分解整備をやる場合に、分解整備記録簿というものに記載されるようになっております。その分解整備記録簿に全然書かれずに、未使用のものに検査主任の認め印がちゃんと押してある。そしてこの分解整備簿が、いわゆる検査をしたというパスする場合の基礎になる書類が他人に譲渡されておる。これは、この前大臣に私がステッカーの問題でいろいろ申し上げましたけれども、あんな問題とは本質的に違う問題ですよ。法定された記録簿が検査員の判が押してあるばかりに——これが無料で譲渡されて善意に使われればいいのですけれども、悪意に使われていったらたいへんなことです。それがそのままで、パスするだけでいるならいいのですよ。それによって整備不良の車が事故を起こしたという問題に発展してきた場合、たいへんな問題になる。  いま指摘された中の一つだけの例をあげましたが、こういうものはまだたくさんありますよ。これは運輸省が本気になって自動車行政に取り組んで、少ない人員の中でもいいでしょう。少ない予算の中でも努力していくならば、私はこういうものはある程度防げると思う。たとえば監査する場合にも、ただ抜き打ち的に行って監査しなければならない場合もありましょうけれども、その指導監督ということを考えるならば、監査なんかに行った場合にももう少しあったかく見守ってやるとか、親切に指導も兼ねて監査をやるというようなことが必要ではないかと思うのですが、こういう私のあれに対していかように思われますか、野村局長並びに大臣から御答弁いただきたい。時間がございませんから簡単に……。
  147. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、人手が少なくとも最善を尽くして監督指導に当たるべきものであり、今後そのような点については努力いたしたいと考えます。
  148. 田中昭二

    田中(昭)委員 全国的にこういう問題があるというようなことは、私は今度の問題を通して陸運局にはそれなりの一応の準備体制もあると思うのです。今度の行管の調査なんか、投書とかなんとかということでなくて、いわゆる交通事故を防ぐというようなことでやられたということ、またうわさとしていろいろお聞きになったというようなことですが、こういううわさ的な風評的なことも、私は当然陸運事務所あたりにもわかっておる問題だと思う。わかっておらないとすればなおさらこれは問題です。それをわかっておったのか、わかっていなかったのかということだけを論争するのじゃなくて、わかっておってそれを握りつぶしたといいますか、これはまたいけないことでございますが、そういうものを知られない環境といいますか、そういう情報収集が悪いといいますか、先ほどのタクシー問題でも情報の収集が悪い。そういうことは、何も人をふやすとか予算をふやすというようなことでなければできない問題ではない。これは、あまりにも運輸省内の自動車行政に対する無関心さといいますか、神経のず太さといいますか、何かそういうようにしか考えられない。こういうことを考えてみますと、私はもう少し陸運事務所なり陸運局の中に、そういう不満、要望等を聞いてくれるような窓口をつくっていくべきじゃないか、こう思いますが、それに対する御所見をお伺いしたいと思います。
  149. 野村一彦

    ○野村政府委員 御指摘のように、いわゆる行政相談所と申しますか、そういう一般の声あるいは業界の声を聞くような窓口を設けてやるということは、実は私どももいろいろとそういうことをやるように勧奨しておりますけれども、中には開店休業みたいなかっこうになって、必ずしも十分やっていない事例があると思いますし、この場合においてはそういうことが、実際において行なわれていなかったということだと思います。  それから、そういう情報とかいろいろ外部の批判とかなんとかいうものが耳に入らないのか、まことにおかしいではないかという御指摘、ごもっともだと思います。ことに私は、私が報告を受けていろいろ調べました範囲においては、整備不良に基づく事故というような批判がかなりあるということは聞いております。ところが、その整備不良に基づく事故であるのかあるいは運転が悪いのか、事故となると、すぐ整備不良と言われるのはおかしいという、これは理由になりませんけれども、そういう専門家といいますか、とにかく整備に従事している者の間には、整備不良ときめつけられることに対する相当抵抗もあります。そういうことは別として、いやしくもそういうことがあれば十分実態を究明すべきであったのに、そういう点について手抜かりがあったということは、率直に現地の機関も自己批判をせざるを得ませんし、私どもも、今後そういうことがないように指導したいと思います。
  150. 福井勇

    ○福井委員長 田中さん、本会議の時間まで非常に少ないようでございますから、あとのときに延長して……。
  151. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの発言も大事な問題でございますが、ほかの人にも来てもらっておりますから……。
  152. 福井勇

    ○福井委員長 あとでやるというふうに御了解願えませんか。
  153. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、一応これで終わります。
  154. 福井勇

    ○福井委員長 この際、午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後三時十分開議
  155. 福井勇

    ○福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭二君。
  156. 田中昭二

    田中(昭)委員 先ほどから、自動車に関する陸運行政のいろいろな問題点を指摘してまいりましたが、陸運行政の中で窓口事務をもう少し改善しなきゃいけないという問題は、もう少し詰めたいわけですけれども、時間がございませんから、まとめて、結局陸運行政の指導確立をはかってもらいたい。その場合に、処罰だけをやるというようなことではイタチごっこになるし、そのため整備業者に対して経営指導とかコンサルタントというようなことも必要かと思われますから、そういう面もあわせてやっていただく。私は何もそれは業者との癒着ではないと思います。結局、密着してそういう問題をやらなければ問題解決ができないということをまず指摘しておきます。  次に、今度の事実に対しまして内容を見てみますと、私が前から言っておりましたように、検査主任がいなくているようになっておる工場が認証されておったり、それからまた、真実と相違する申請によって許可を与えておったり、それからまた、車検の手抜きをした状態で車が車検をパスしておる、こういうこともあるかと思いますが、ここで法務省にお尋ねしたいわけですが、そのように整備工場が手抜きをして、はなはだしいのは全然何もしないのだということがあるそうでございます。そういう場合に整備料金を取っておった場合、これは詐欺行為ということになるのでしょうか、どうでしょうか。
  157. 飛田清弘

    ○飛田説明員 お尋ねのことにつきましては、具体的にはいろいろなケースが含まれていると思われますので、一がいには申しかねるのでございますけれども、一般的に申しまして、点検整備をしていないのにしたように装って、相手をだまして、請求できない金を料金として取ったということになれば、当然に詐欺罪の成立が考えられるかと思います。ただ、書類などの手続の上では完全な整備をしたようになっておりまして、その整備料として一定の金額を請求し、受領した形になっておりましても、実際に整備した分に相当する金額だけを請求して受領しているというような場合もあるかと思いまして、そのような場合におきましては、詐欺罪の成立を認めることに問題が出てくる場合もあるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  158. 田中昭二

    田中(昭)委員 警察庁のほうにお尋ねしておきますが、この整備不良の車が事故を起こしたというような場合に、実際事故を起こした場合には、そうなのかどうかということがわからないと思うのですね。そういうことでドライバーも相手も死に至るというようなことが起こって、これはたいへんな問題でございますから、取り締まりの段階において、そういう整備不良であったというようなことが考えられる場合に、警察庁としてはどのように思われるものか。こういうものについては、運輸省にこういうことがありました、こういうものは少し整備の行政を変えなきゃならないというようなことの協議もしたことがあるのかないのか。また、そういう場合どういうふうに思われるのか、御発言いただきたいと思います。
  159. 池田速雄

    ○池田説明員 御案内のとおり、事故につきましては、人、車それから道路、そういったいろいろな要素がかみ合って起こるわけでございます。したがいまして、事故が起きました場合に、人の面からしました事故原因の追及、これはもちろん刑事責任を追及されるわけでございますけれども、それだけでなくて、特に車等との関係についても力を入れる、こういうことにいたしまして、一昨年の六月に通達をいたしまして、運転者の過失の有無にかかわりませず、何らかの形で車の構造なり整備なりに原因があったであろうと考えられるものについては徹底的に究明するように、こういったような通達を出しております。  現在まで、運転者に全然過失がなくて、はっきり車体だけというものにつきましては、非常に数が少のうございますけれども、そういったものにつきましては、それぞれの責任がある者につきましては責任を追及する、こういうことで臨んでおります。  なお、一般に走っております車の中で、昨年の例をとりますと、整備不良その他車のほうに欠陥があったであろうと思われるものが二千二百件ほどございます。なお、取り調べの面につきましては、六万七千件ほどを整備不良車その他で取り締まっておりますが、そのほかに整備通告をいたしました車が二十一万七千件ほどございます。  こういったようなことで、やはり車につきましては十分整備していただく。もちろん、その前の構造等につきましても十分安全なものでなければいけない、こういうふうに考えております。したがいまして、現実にそういう車が走ることのないように、個々の事業についても運輸省のほうにも要望いたしておりますし、それから、先ほどお話のございました整備のほうに手抜かりがあるのじゃなかろうかというような点の場合につきましても、現実にそういう車が走っているのではなかろうか。こういう点を、十分究明していただくように要望しておる次第でございます。
  160. 田中昭二

    田中(昭)委員 取り締まりのほうにおきましてもそのような問題があったというようなことでございますから、これは別に当委員会で論議してみみたいと思います。  最後に私は、自分の意見を交えながらこちらから申し上げて終わりたいと思いますが、こういうことがございますと、何らか立ち入り検査なり等をやっていかなければならないと思いますが、民間車検制度そのもの、それから車の事故との関係等総点検でも行なうというようなことができるならば、そのようにでもやって総合的な施策を立てるべきでないだろうか、こういうことが一点でございます。  それから、今度の事件は、民間車検場等における非常にむずかしい問題が浮き彫りにされたようにも思いますし、先ほどから言いますように、こういうものは処罰したから直るというものではございませんし、私がこの問題を取り上げたのは、今後の民間車検場の健全な発展の一策にもこれをしていかなければならない、こういう意味で申し上げたことでございます。  以上で、一応車関係のことを終わりまして、次に空港の問題でお尋ねしたいと思います。  空港の中に一種、二種というような区別があって空港が整備されておるわけでございますが、さしあたって沖繩の返還等も行なわれますし、それから福岡の板付米軍基地の返還もきまっておるようでございます。この場合、返還される基地が、それぞれの態様に応じてその航空局の一種、二種という区分にどういう種類のものになっていくものか、教えていただきたいと思います。
  161. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました一種、二種の問題でございますが、これは空港整備法という法律がございまして、第一種空港は、「新東京国際空港及び国際航空路線に必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、第二種空港は、「主要な国内航空路線に必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、第三種空港は、「地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、こういうふうになっておるわけでございます。  そこで、この一種ないし二種につきましては、一種については国が全額負担する。二種については、国が設置、管理するのだけれども、基本施設の七五%は国が負担する。これが一種と二種との差になっております。したがいまして、国際性が入るか入らないかということは、必ずしも一種と二種の区別になっていないということでございます。  そこで、今度移管になります板付ないし沖繩問題でございますが、板付につきましては、移管の形態がほぼ明らかになっておりますが、那覇の場合につきましては、まだ正式な意向は明らかにされておらないのでございます。かりにこれが返還になりまして民間空港として使用いたすということになった場合に、私ども現在のところは二種というふうに考えておるわけでございます。  それはなぜかと申しますと、この一種、二種の区別は、一般の税金の負担によるのかあるいは公共団体にも負担していただくかということが差でございまして、やはり国全体としてこれを負担すべきものであろうというふうな、東京とかそういうふうなところについては、これは一種になっております。東京の国際空港でございますと一種になってまいりますけれども、国際線が飛んでおっても、やはりその地方の方々の利益にも相当関係があるのじゃないかといふううなところについては、二種というふうなことがいままでの考え方でございます。  そこで、ちなみに現在の一種、東京及び大阪、これは何便くらい入っているかと申しますと、東京については二十八社で八百便、週間でございます。それから大阪につきましては、十四社で二百二十便、それから板付についてかりに考えますと、これが四社で三十八便、それから那覇の場合は、これは現在本土とそれから那覇の間の便が国際線として扱われておりますが、沖繩が返ってきますと当然これは国内線というふうなことになってまいります。したがいまして、国際線として残るのはそのときの状況にもよりましょうけれども、まあ数十便程度ではなかろうかというふうな感じであります。したがいまして、現段階においては先ほど申し上げたような考えでありますが、今後どうするかという問題については、今後の、将来の国際線の需要がどうなるかというふうなことも勘案しながら検討してみなければならぬだろうというふうに考えております。
  162. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまのお答えで大体わかったようでございますが、たとえば板付をとりました場合には、実際に国際線の航路が就航しておりまして、この実態は民間空港としての実態を備えておると思うわけでございます。そのような場合に、今後返還されます空港が、どういう設備を整えれば一種とか二種とかいうそういう区分の問題については、先日から大臣のお話にも、大体板付を例にとれば、民間空港として整備されていくならば、当然国際空港という方向で考えなければならない、こういうような御発言も聞いておりますが、これは大体そういう考え方でようございますか。
  163. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、一種、二種という観念と国際線が入るか入らないかという観念とは、やや違うわけでございます。したがいまして、現在でも国際線が入っておっても二種であるというところはあるわけでございます。たとえば名古屋のようなものはそうでございまして、したがいまして板付につきまして、これが移管されてまいった場合に、国際線でなくするという考え方は毛頭ございません。たとえば、CIQの施設もいまございますし、それはもちろんまだ存続しているわけでございますし、それも需要がふえてくれば、それなりに国際線の取り扱いに対する活動はまたふえていくということになってまいりますので、これをいままでよりも、国際線で縮小しようというふうな考え方は毛頭ございません。  ただ、直ちにそれだからといってそれが一種になるのかと申しますと、先ほど申し上げたような考え方から、これが国全般の費用で負担すべきかあるいは地方の公共団体にも負担していただくかということになりますと、直ちに国際線が就航しているから一種というわけにはまいらないというふうな実情でございます。
  164. 田中昭二

    田中(昭)委員 以上で終わります。
  165. 福井勇

    ○福井委員長 次に松本忠助君。
  166. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、本年の二月の十六日に当運輸委員会におきまして、質問時間がなくなりまして後日に質問を保留してございます、ボーイング727型の羽田沖の事故について、若干の質問をいたしたいと思うわけでございます。  質問の第一は、大臣からことしの一月二十三日付で回答書が出ております。これはここに持っておりますが、全日空機羽田沖事故遺族会代表者石田喜雄殿といたしまして、運輸大臣橋本登美三郎ということで公文書が出ているわけでございます。この点につきまして、私、二、三お伺いしてみたい点があります。これは石田さんあての公文書に、何も私がよけいな口を出す必要はないじゃないかというような議論が成り立つかとも思いますけれども、とにかく大臣からこのような公文書が出ておりますし、私どももこの問題については、いろいろ疑問点を持っておりますのでお尋ねをしてみたい、こう思うわけでございます。  この中に、第三のところでございますが、「溺死者数について。」というのがございます。「溺死者が大勢いたという木村秀政氏の発言の趣旨は、溺死者が二、三名にとどまらなかったということで、同氏の事故状況についての認識に重大なくるいがあったとは考えていない。」これは大臣のお答えです。  そこで、一体溺死者が何人いたのか。私が調べたところによりますと、当時の検視報告によりますと溺死者は五名になっておりますが、この点確認をしてみたいと思うわけでございます。いかがでしょう。
  167. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私どもの調査によりますと、死因は、損傷によるもの百二十二名、溺死によるものが十名、うち著しい損傷を伴うもの五名というふうになっております。
  168. 松本忠助

    松本(忠)委員 それじゃ一応五名。私は、当時溺死者を五名というふうに検視報告で見たわけでありますけれども、十名と訂正されるなら十名でもけっこうであります。  そこで、この「溺死者が大勢いたというこの木村秀政氏の発言の趣旨は、溺死者が二、三名にとどまらなかったということで、」云々、こうあるのですね。いまお答えのように、純然たる溺死者は、私の計算では、私の調べたところでは五名でありますが、十名と言われるならば、これは百三十三分の十ということですね。大体八%くらいになるだろうと思います。これが大ぜいだということになるとするならば、これは私、非常にふしぎだと思うのです。ひとつ身近な例で申し上げてみますと、衆議院の定員がいま四百九十一名ございます。この中にかりに無所属が三名いたとします。この三名というのが大ぜいだという人があったならば、自由民主党の三百三名は何と表現するのか。普通大ぜいというのは過半数以上、これを私どもは大ぜいというのじゃなかろうかと常識的には判断をしております。自民党の三百三名こそ四百九十一名の中においてはこれは大ぜいであって、二、三名が大ぜいという表現は日本ではしないように思いますけれども、いかがでしょうか。これは木村団長の発言であって、これを大臣は引用しただけだと言われるかもしれないが、公式のこの公文書は運輸大臣橋本登美三郎、こういう名前で出されているのですから、大臣はこれをお認めになったのじゃなかろうかと私も思うのですね。  そこで後段の問題、要するにいまここでいわれるところの「同氏の事故状況についての認識に重大なくるいがあったとは考えていない」。ここのところは大臣のお考えだと私は思うのですよ。私は木村団長が大ぜいというのは、二、三名にとどまらなかったという解釈に大きな疑問を持っています。さらに私は、二、三名をもって大ぜいというような認識をしている木村団長の考え方こそ重大な狂いがある、こう申し上げたい。この事故調査に対する木村団長の取り組み方、また後ほど申し上げたいと思いますが、国会で参考人として述べられたその際の発言等々、私は事故技術調査団の団長としての木村さんの資格に大きな疑問を持つ、また木村さんを調査団長に選ばれた当時の運輸大臣の責任、これも追及されていかなければなりますまい、このように思うわけです。大臣がおりませんので局長にお答え願いたいわけでありますが、この百三十三名中二、三名ないし五名は、あるいは十名でもけっこうですが、大ぜいなのかどうなのか、百三十三名の中に十名は大ぜいなのか、その表現についてひとつ大臣にかわって局長お答え願いたい。
  169. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは表現の問題で、非常にむずかしい問題でございましょうけれども、問題は、木村先生がどこかの席で大ぜいいたというふうに表現されたということが問題のようでございますけれども、やはりものごとの本質は、ここにある十名の溺死という事実を、いかに受け取っていかに解釈したかということが問題であろうと思います。  したがいまして、この大ぜいという表現がいいか悪いかということは、おっしゃるようにございますけれども、それは別といたしまして、それではこの事故調査の結論がどうであったかという点に立ちますと、先ほど申し上げましたような溺死者十名うち五名の死体の損傷があったのでというふうな事実をもちまして、これを大ぜいと表現するか少数と表現するか別といたしまして、そういう事実を委員会の皆さま方が判断し——もちろんそれだけではございません。ほかのもろもろの要素を判断した結果結論を出したわけでございますから、その結論については誤りはないというふうに私は考えております。
  170. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、結論の原因不明の問題はもちろん重大な問題と思うけれども、それを言っているのではないのです。いまここで言っていることは、要するに二、三名ないし五名、あるいは十名でもけっこうですが、それがはたして大ぜいなのかというこの根拠なのですよ。そういう言い方をする点が、私はそもそも木村団長の言い方に、考え方に、取り組み方に問題がある、こう申し上げたいのです。
  171. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 木村先生がそうおっしゃったのは、いわゆる事故調査における内部の発言ではないかと思いますが、どこでどういうふうなことを発言されたか私もつまびらかではございませんけれども、少なくとも、そういうふうな大ぜいという表現は適当ではなかったのではないかと思います。
  172. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま局長が答えたように、大ぜいという表現は適当ではなかったとすれば、私は一応了承します。  時間もないから次に移りますが、この回答書の第五番目、「第三エンジンについての疑問」。この点につきましては、四十五年の十一月九日、衆議院の交通安全特別委員会において木村参考人に来ていただきまして、このときお話を伺ったわけですが、このときの発言は、「一般の方に理解しやすいように行なったと考えられる。」こういうところがあるのです。この委員会が開催されたのは、国権の最高機関であるところの国会の中で行なわれたものです。一体この一般の方というのはだれをさしたのかと私は思うのです。これは、現実にそのようにお話しになったのですから私、承知しておりますが、委員会において発言をした。委員会の席にいたその主体になっているのは、あの場合委員長以下全議員だと思うのです。一般の方という表現は、議員に対することばではないかと私は思うのです。あの委員会の中にいたところの一般の人をさしていたというならば、これまたおかしな話だと私は思うのですよ。質疑をしていたのは、あのとき、御承知と思いますが、自民党では加藤君ですよ。それから社会党の横路君、民社党の河村君、それから公明党の私でございます。対象は議員なんだ。これに対して一般の方という言い方はどうも適当ではない、このように私、思うのです。この点については木村団長の言ったことで、私は深くそれを追及しようとは思いませんけれども、この点は、どうも木村さんの非常にまずい一面が端的にあらわれていると私は思うわけです。  そこで、この最後の二行の点です。「その結果カウリングが離脱して風や潮流により流れたと考えられるが、その詳細は明確でない。」こういうふうに回答書にも書いてあるのです。これは、当日私が質問したことに対する木村参考人が述べられた部分なんです。普通、空中で機体から離脱した物件が、前へいくのか、一体うしろのほうへ流されるのか。こう進んでいきますね、そこから離脱した物は、放物線にやはり前のほうへ飛んでいくのではなかろうか、私はこう思うのですけれども、一体前にいくものなのかうしろにいくものなのか。金井技術部長、前へいくのかうしろに飛んでいくのか、どっちなのか、この点だけ簡単でけっこうですけれども、ちょっと答えてください。
  173. 金井洋

    ○金井説明員 それは高空の場合についての御質問かと思いますので、お答えしますけれども、飛んでいる高度によっても飛んでいく距離は違うと思いますけれども、はずれた物が落ちて飛ぶときには、はずれた近辺に落ちるだろうということは想像されます。離脱した地点の近くということでございます。
  174. 松本忠助

    松本(忠)委員 離脱した地点の近くとおっしゃいますけれども、それは前かうしろかということですよ。近くということは、前かうしろかということですよ。
  175. 金井洋

    ○金井説明員 それはスピードによって、スピードが速くて離脱した物が重い場合に、ある程度の重量を持っている場合には、若干前にいきます。
  176. 松本忠助

    松本(忠)委員 あの場合、私は前にいっているという解釈なんですよ。これはいろいろな人に聞いてみましても、前にいくというのが常識だと思うのです。カウリングが一番千葉寄りのほうから発見されているわけですね。それが木村さんの表現によると、薄いぺらぺらの板だ、海の流れによって移動することも考えられるから、このあたりにあるのが当然だと言われているのですけれども、これもおかしいと思うのです。カウリングはよほど前に機体から離脱していた、私たちはそう考えているわけです。それで、報告書の巻末に機体破片の分布の状況が出ていますが、この分布の状況について金井さんから私は説明を受けたことがあります。この一番右の端のほうの「NO3発動機カウリングの一部その他」としてずっと棒が引っぱってあって、まるがあって、さらにそのまるの下に棒が引っぱってあって矢じるしがある。このことを金井さんから私は説明を聞いたのですが、もっと右手のほうにこの物件があったのだけれども、この図面の大きさの関係上そこに書けないのでここに書いた、こういうふうに私は金井さんから説明を聞いているのですよ。  そういうことを考えますと、木村参考人の当日の発言に、カウリングというのは薄いぺらぺらな板だと言っていますけれども、この表現もまことに私はおかしいと思うのです。そんな薄いものが一番大事な発動機の上部にくっついているというようなことはおかしい。ぺらぺらといったら、常識いって紙のようなものならべらべらともいえるでしょう。あるいはは普通の模造紙程度のものならべらべらともいえるでしょうけれども、少なくとも金属じゃないかと私は思うのです。それだったら、薄いぺらぺらという表現はまことに穏当じゃないと私は思うのです。それが空中を吹き飛ばされまして水の中に落ちると、軽いものだから海の流れによって移動するということも考えられると言い、この辺に落ちていたということは十分考えられると木村さんは言っているのです。問題の第三エンジンの落下点とこのカウリングのあったところは、図上によっても三百メートル以上も離れていると私は思うのです。確かに第三エンジンは、その落ちた地点よりも、重いのですから前へ飛んでいるということも想像されます。しかし、その距離が三百メートルでしょう。ぺらぺらのほうが非常に移動して、千葉寄りの後方に海の流れによって移動したと言うのですけれども、ぺらぺらなら薄いものだから、やはり海の中に落っこちたものが流れによって移動した、そういうことが普通の状態だという、私はこの木村さんのお話は理解できない、こう思うのです。  そこで、当日私、発言のおりにいろいろお伺いしているうちに、木村さんの話や楢林さんの話についてもいろいろ疑問点がありました。しかし、時間が非常に制約されておりましたから、あとでこの問題については速記録を十分に調べた上でまた再質問いたしたいというふうに言ってあるわけです。十分に検討したい、このように言ってあるわけです。  そこで、当日の木村参考人のいろいろの陳述というものを今日振り返ってよくまた調べてみますと、いろいろな疑問点がわき上ってくるのですね。木村参考人は、事故機の第三エンジンが接水前に何らかの異常を発生したという具体的な証拠は発見されなかった、こう言っていますが、これはお認めになるでしょう、木村さん言ったとおり。第三エンジンのカウリングがなぜ離脱したのか。第一エンジンは機体についたままで遠くに飛んでいないのに、なぜ第三エンジンだけが右前方へ飛んだのか。また木村参考人は、第三エンジンの前、上のボルトは水面に接水したときに切れたものに違いないと言うが、コーンボルトの破断面と機体に残っている傷とぴったり合うという点からしても、これは第三エンジンが接水前にぶらぶらの状態、それは時間的にはほんとうに短い時間でしょうけれども、とにかく第三エンジンが機体から離れた——完全に離れたら落っこっちゃうのですから、ぶらぶらの状態だったとしかわれわれには考えられないわけです。  さらに、胴体に残っている傷、胴体部分のしわですが、これは楢林参考人からの話でいろいろな説明もありましたし、写真にとったものも拝見もいたしましたし、そういう点。それから、あるいはグランドスポイラーの件など、全くこれは疑問だらけです。  なおもう一点、第四の「ロザリオの疑問。」というのがあります。ここに「山村夫人から事情を聴取したが、たとえ山村氏の遺体の首にロザリオがかかっていたとしても、それをもって航空機に異常事態が発生したと断定する証拠にはならないと考えている。」このような回答が大臣から出ているのですが、そこでこのことについても私はずいぶん、死人口なしといえばそれまでですけれども、山村さんの奥さんにお伺いしましても、ずいぶん憤慨していらっしゃる。普通、そういうロザリオがどういう状態で持たれておるかということはわかっている。何か異常事態がなければ首にかけることはない、これは私はそのとおりだと思うのですよ。  そこでもとに戻りますが、この問題にしましても、航空機に異常事態が発生した証拠にはならないと断定しているけれども、なぜ証拠にならないのか、その理由さえあげてないのです。これはやはり大臣の回答の中にその理由を明記すべきだと思うのです。航空機に異常事態が発生したと断定する理由にはならない、ではその理由は何かと私ども聞きたいわけですよ。ところが一切それには触れていない。こういう点ですね。私は、大臣がこの事故遺族会の石田喜雄さんあてに出した回答書をずっと読んでみまして、百三十三名の御遺族の御意思というものをあまりにも無視したところの、何の思いやりもない作文だとしか考えられない、言いようもない。これは役所の慣用語でつづったのだからしようがない、形式だからしようがない、こういうのでしたら、これもお役人かたぎを一歩も出ていない。これはお役人としては、この作文は優秀かもしれない。しかし、少なくとも大臣が遺族の代表である石田喜雄さんあてに出す文書としては、まことに思いやりもない、人情味もない、まことに通り一ぺんの作文だとしか私は考えられない。おそらくこれをおつくりになったのは金井さんあたりだろうと私は思うのですが、大臣はそれにぱたんと判こを押したにすぎないと思うのだけれども、どうもこの回答書は私は非常に不満に思うのです。  御遺族の御意見を伺ってみますと、この回答に対して再質問したいと言っています。いずれ機会を見て再質問を御遺族もなさることと思うのですけれども、再質問をなさいましたときには、当然それに対して再回答ということがなされなければならないと私は思うのです。再質問しても再回答しない、こう言われれば別ですけれども、私は人間の立場上、再質問すればそれを受けて、また再び再質問に対する懇切丁寧な再回答があるのが当然だと思うのですが、そういう事態が起きたときには、この作文でなく、もう少し人情味のある作文をして、そうしてこの遺族の方々にお渡しするというのが当然ではなかろうかと私は思うのですよ。  時間の関係もございますので次へ進めますけれども、私自身、第三エンジンの問題にしましても、あるいはカウリングの落下地点についても、またグランドスポイラーの問題にしてみても、この問題の疑問点というものは氷解しておりませんですけれども、やむを得ませんから次に移ります。  第一番目の異常な低高度、こう書いてあります。異常な低高度、これは一体どういうことかということなんです。これは少し報告書によって調べてみましても、報告書の一七ページのところに載っていますよ。その第一番は、調査団は、事故機が東京湾に差しかかったときの高度については、三年前には、千葉上空を約三千メートルで通過後の急激な降下に問題があるとしていたわけです。ところが最終報告書では、六名の証言から東京湾に差しかかったころの飛行高度は約二千フィートといいますから六百メートル前後でしょう、またはそれ以下と推定されるとしているわけですね。これは報告書にそのとおりちゃんと書いてある。また、四十五年一月二十五日の読売新聞、これは手元にありますから何でしたらごらんください。この読売新聞にもこういうことが書いてある。「目撃者の証言を電子計算機で分析した結果、千葉市上空を約三千メートルで飛行したとの当初の推定飛行経路を、三年もたって六百メートルまで降下していたと大幅に変更せざるを得なくなった」云々と読売新聞に書いてあります。このように、最初の報告と最終報告ではえらい違いがある。  そこで、その目撃者の証言というものを電子計算機にかければ信頼性が出るのか。電子計算機にかけるその前の目撃者のその証言なるものが、ほんとうに信憑性があったかどうか。これを少し詰めていえば、時間的に見ても二月四日の午後七時というと、一体明るいのですか暗いのですか。これはどうなんですか。
  177. 金井洋

    ○金井説明員 二月ですから暗いです。
  178. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうなりますと、言うならば夜間ですよ。夜間目撃した者が六名いるということだが、一体どこのだれが目撃したのか、これを明らかにしてもらいたいと私、思うのですよ。どこにいる人間か、何という人か。大体千葉の人です。これはわかりますけれども、千葉県在住の方でしょうけれども、この六名の方の住所、氏名というものを後ほどでけっこうですが、文書で一応お示しを願いたい、私はこう思うのです。これは委員長、お願いいたします。
  179. 金井洋

    ○金井説明員 まず、証言を電子計算機云々ということについてお答えしますけれども、証言を電子計算機にというのは新聞の誤報ではないかと思います。われれわ事故調査団といたしましては、そのころ何十名という証人がおったのでございますけれども、その中から最も信憑性があると思われる者六名の証言を取り上げまして、そうして推定飛行経路というものを計算したわけでありますけれども、その計算をする過程においていろいろな組み合わせがあるわけであります。どういうスピードで、どういう角度で落ちたときはどこへ行く、その計算を電子計算機でやったということでありまして、証言自体とは直接の関係はございません。  それから、その最も信憑性があると思われる六名の証言者の住所、氏名はどういうことなのかということでございますけれども、これにつきましては、証言をとる前に、このことは事故調査だけに関係あることであり、一切公表はいたしませんという了解のもとに証言をとっておりますので、いまその住所、氏名をお知らせするということは、残念ながらいたしかねます。
  180. 松本忠助

    松本(忠)委員 ここで証言の中身につきまして、私、金井部長と論争しようとは思いませんけれども、別に私が外部に行ってこの六名の人を吹聴して歩くわけではないのですから、六名の人の住所、氏名くらいのものは私に知らせてくれても一向差しつかえないのではないか、私はこう思うわけです。  そこで、時間の関係がありますので次の問題に移りますけれども、たまたまこの町の問題につきまして、私いろいろと調べてまいりましたうちに、昨年、四十五年二月十五日の週刊現代、これに航空気象台の青山なる人物が、事故調査団の一員で気象のほうの調査を担当されました北岡団員、きょう本席に来ていただいております気象庁の気象研究所の北岡所長の御意見と全く反対の意見を述べられておりますので、非常に疑問に思いまして、議員会館に青山行良氏に来てもらいまして事情を伺ってみた。ところがいろいろなことが判明したわけですけれども、青山行良氏は現在東京航空地方気象台予報課に勤務する技術専門官です。気象庁長官の監督下にある者でございます。この青山氏が一九六六年三月四日に発生したカナダ航空機の着陸時の事故についても、当時の気象状況について重大なる誤判断があったとして具体的に説明され、そうして再検討されるべきである、こう私に告げられました。ですけれども、この問題はしばらくおくといたしまして、ただいま私が問題にしておるところの全日空の羽田沖の事故についても、数々の疑問を青山氏から私は伺ったわけであります。その中心の主題になっておるのが晴天乱気流ということなんですが、この晴天乱気流の可能性に関して青山氏から述べられた。この晴天乱気流が727の事故に結びついている可能性について、青山氏は上司に自己の学問的良心に従ってしばしば訴えたそうでございますが、取り上げられなかった。  そこで、当時の気象庁長官吉武素二氏に対しまして、昭和四十四年の十一月二十九日に内容証明郵便で回答を求めた。しかし返事がなかった。そこで、さらに昭和四十五年十月十五日再度内容証明郵便で回答を求めた。ここにその内容証明の写しがあるんですが、この中で重要な部分を若干読んでみると、非常に参考になると思うのです。ちょっと申し上げてみますと、これは青山氏の書いておるとおりに読みますので、理解しにくい点もあろうかと思いますが、一応原文のままで読んでみます。若干関係のないところを取りまして要点だけ言います。「一九六六年二月四日の全日空機遭難についてですが、これについては、航空気象学文献抄中十一巻第五号に、「晴天乱気流についての一考察」として私の考えを発表しました。」そのことの原文は私も見せていただきました。それはここにも持ってきておりますが、非常に学問的なむずかしいことが書いてございます。そこで中間の関係のないところを除きまして、「これについて、私の考えは順次また機会あるごとにのべて来ているのでありますが、きわめて不可解な上部当事者の反応より得られておりません。」このことについてしばしば青山氏が発言するけれども何の反応もない、こういうことだと思うのです。このあと非常に問題点があると思うのです。これは局長よく聞いておいてください。「これはどのようなことかと二、三例をあげますと、上司の言うことに反対するような説を唱えたりしたら、とんでもない事になりますよ、と言われたことがあります。」上司に反対の説を唱えたりしたらとんでもないことになりますよ、こういうふうな脅迫とまではいかぬでしょうけれども、こういう言辞が弄されているわけですね。「その意味かどうか、私は昨年十二月中旬に、全く希望した覚えもないにかかわらず、ある民間会社に転職を希望しているということで、出向くように言われた事実があります。また、この問題は解決ずみであり、命ぜられもしないで余計なことをやらなくても良いと言われたこともあり、」命ぜられないのによけいなことをする必要がない、こうも言われた、こういうのですね。そのあとに、最もこれは重大な問題なんだと思うのですが、私は憤慨にたえないのですが、こういうことを関係者の中に発言する人があったら、ゆゆしい問題です。「航空機が落ちて多くの人が死んでも、人間にも機体にも保険がかかっており、だれも損をする者はないと言われた事もあります。これらについて、一々強く反駁したわけではありませんが、私としては決してそれで良いと考えているわけではありません。羽田沖事故調査団は、私の主張している晴天乱気流を事故原因とする可能性について、全く考慮をしたように見られない事は、まことに不思議なことであります。」中間を飛ばしまして、「近年、航空気象上の問題として、晴天乱気流と風の鉛直シャーの関連について、これを否定出来る人は殆どあるまいと思われます。」そうして、さらに中間を飛ばしますが、「気象上は晴天下の下降気流による影響を考えられるとしているようですが、」これは最終報告書にあることですね。「このような際の下降気流は、恐らくは最大に見つもっても毎秒数十糎位のもので、例えば三十秒間ではどうかとみても、二十米をこえることはない程度のものであります。世界的にもこのような現象による航空機の墜落事故は、皆無であろうと思われます。これに反し、強い晴天乱気流によって機体を損傷する程のものが、強い風の鉛直シャーをともなった気象状況下に起っている例は枚挙にいとまがない程度と申せましょう。しかるに、このような気象状況下に起った全日空機の墜落について、晴天乱気流の可能性に関する記述がこれまで全く見られないのは、この事故調査団のこの点の認識不足によるものではあるまいかと思われるので、再調査を申し入れるべきであるというものであります。」中間を除きまして最後の段階になりますが、「これらの事故の貴重な経験により、航空気象において世界をリードする新しい理論あるいは実験の展開も可能となると言える位に思われるものが、実際には大事な事実を何とか言わないで、極端に言えば秘しとおして、一つはパイロットの責任、一つは原因不明のままおし通そうとするかに見えることは、将来私の主張するような点で原因が明らかにされた場合に、我々は世界の人々の物笑いの種になり、国内においては国民の非難、怨嗟の的となるものと思われます。」そうして最後のところに、「極めて重大な問題に関しているものでありますので、なるべくは速かに御回答下さる事を期待しております。昭和四十五年十月十五日横浜市緑区長津田町一六一二 東京航空地方気象台予報課技術専門官青山行良」として判こが押してあります。「東京都千代田区大手町一丁目 気象庁長官吉武素二様」こうして内容証明の郵便で出してあるわけですね。  こういうお話を私、伺いまして、いろいろまた問いただしましたところ、青山氏が、吉武前気象庁長官の指図によって、事故調査団員であり気象研究所の所長さんであるところの北岡龍海氏に二回にわたって面会して、十分に自己の主張を述べられたようでありますけれども、ついに北岡氏からは晴天乱気流については、ただ否定されただけである。青山氏も晴天乱気流による墜落だと確定的には言っていませんが、晴天乱気流によって操縦が不能になったか、または機体の弱い部分とか欠陥があった部分が破壊されて空中分解を起こした、その結果墜落したのではないかということが十分推定される、このように青山氏は言っているわけです。青山氏は学問の自由を守るためにも、また将来再びあのような大事故の発生を防止するためにも、この問題はゆるがせにできないことだ、こう言っております。  この件については、先ほども申し述べましたとおり、前気象庁長官から北岡氏に、その回答をするようにという指示があって、お二人でお会いになったんですから、その指示があったことを北岡氏もお認めになって二人で会ったんでしょう。そこで、二人で二回にわたって対談をしているけれども、ただ晴天乱気流を否定するにとどまって、学問的根拠も示されず、二年以上にわたってその回答を出さない、反論もしない、そうして放置しておくということは、私はまことに無責任じゃないか、こう思うのです。この点非常に遺憾だと思うのです。  そこで、きょうおいでいただいております北岡所長にお尋ねするわけでございますが、どうして回答をしないのか。青山氏が要するに文書で回答を求めている以上、文書で回答するのが当然のことだと私は思いますが、なぜ回答をしないのか、回答しない理由、それだけでけっこうです。技術的なむずかしい問題でなくして、なぜ回答をなさらないのか、回答をなさらない理由だけをここでひとつ北岡さんから伺っておきたい。
  181. 北岡龍海

    ○北岡説明員 お答えいたします。  いまの問題につきましては、先生の言われたとおり、気象庁長官から私に対しまして検討するように命ぜられましたのが去年でございます。それでその文書を見まして、さっそく青山君に来ていただきまして、二回にわたりまして意見を交換しております。その結果、いろいろ主張がありましたから、その根拠を出すようにということで根拠の資料もいただきました。それで検討しましたけれども、どうも、その後の提出の文書にもありますように、実際具体的にそれがあった証拠をなかなか証明することができないということを本人も認めております。したがって、実際にそういう乱気流が発生したという証拠がない以上は、それを単なる想像でもってそうであるという結論は出すことはできない。これは調査団としても当然そのような方向で考えなければならないので、想像ではものは言えません。  そこで、もう一つの問題といたしましては、その当時の727は降下途中から墜落の直前の、オン・ロング・ベース・ナウという寸前の連絡まで、航空機とタワーでは絶えず交信しておったが、何の異常も認められなかった。異常を認められるような報告が全然なかった。したがって、その過程に何らシビアタービュランスを経験したようなものは、少なくともその段階では認められなかったということで、そのあとで起こったという証拠はどこにもない。証拠は、少なくとも科学的に立証する資料はないということは本人も認めました。それから、それまでの段階にも、それを認めるような資料はどこからも得られないということでございますので、本人も、その認めておるということから、これはそれで主張するということはできないということで、再三お話ししたけれども最後にそういう資料をもらっておりますし、その後、青山君のつかえておる上司からだいぶ話をしていただいて、本人もかなりよくわかったように思うというような連絡もありましたので、それで、まだ文書による回答はしておりませんが、まだ本人が了承してないんだといたしますと、近く文書として報告を出してけっこうだと思います。
  182. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまの北岡さんの答弁を私お伺いしまして、この点は青山氏にも伝えたいし、また速記録を読んでもらって、よく疑問点を晴らしてもらいたい。また、いま北岡さんからも文書で回答するというお話がありましたので、ぜひともその点はすみやかにやっていただきたい、こう思います。  最後に、一つつけ加えたいのは、非常に技術的な問題、この点については技術家同士が話し合うべきだ、私はこう思います。しかも、二回にわたって話し合ったわけでありますけれども、どうも理解点に達していないというような点から考えまして、今後公開の席を設けて、第三者の立ち会いのもとに行なうべきではないか、こう思うわけであります。そして第三者の判断にゆだねるべきじゃないか。青山氏には青山氏の意見があるでしょう。また北岡さんには北岡さんの御意見もあるでしょう。こういう点をいろいろじっくり話し合って、日本の将来の航空気象問題に関して十分納得いくまで論争する。学問の自由の上からいっても、また、要するに言論の自由の上からいっても、発言を押えたり何かすることなく、十二分に公開の場所でできる、そのようにしたい、こう思うわけであります。  そこで、きょうは気象庁長官が来ておられませんので、次長さんと、それから、この点については研究所長さんのお立場から、公開の席でやるということについてどうお考えになるか。また、きょう大臣がお見えになっておりませんので、局長から、こういう問題に対してはどう対処すべきかということを、ひとつ伺っておきたいわけであります。
  183. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生御指摘になりました具体的な気象問題につきましては、私どももよくわかりませんので、どういう結論か存じませんけれども、私どもといたしましては、やはり航空事故調査全般をどういうふうにしたらいいか、その体制をどういうふうにしたらいいかということが非常に問題でございます。そこで従来からも、なるべくいろいろな方々、学識経験のあるいろいろな方々にお集まりいただいて、決して独断にわたらないようにする。そこで、皆さまの意見をフルにディスカッションしていただいて、いろいろな角度からいろいろな意見がございましょう、自由な意見を言っていただいて、その上で皆さんに御納得の上、一つの結論を出すというふうな方法が好ましいということから、委員会制度というふうなもの、あるいは事故調査団と申しますか、そういうふうなものをつくって御検討いただいておる、こういうわけでございます。  ただ、この前はいわば常設のものでございませんで、そのときに、大きな事故になったときにつくられるというふうなものでございまして、その点でいろいろな、あるいは食い足りないというふうな点もあるのではないかと存じます。そこで、私どもといたしましては、常時事故調査というものにタッチをする人がやはりいなければならない。それは役所の人間もそうでございます。役所の人間も常時事故調査というものを専門に研究いたしまして、外国の制度もございましょうし、そういうものも十分取り入れて身につける。そして、その役所の人間だけがやったのでは、これは独断におちいることもあるかもしれません。特に航空機の進歩というものはスピードが速うございますから、われわれの知らない技術革新も出てまいります。したがいまして、そういうようなアップ・ツー・デートな知識を持っている多くの専門の方々に、できれば常時事故調査というものに目を向けていただきながら、公正にこれをさばいていただくというふうなものが望ましいという考え方を持っておりますので、この点につきましては、事故調査体制につきまして航空審議会のほうにもはかりまして、その方策について検討いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  184. 福井勇

    ○福井委員長 次の質問者の時間が切迫しておりますので、政府委員の答弁はなるべく簡単に願います。
  185. 岡田茂秀

    岡田(茂)政府委員 青山君からの御質問に関し、あるいはまた松本先生からのお話もございますが、実は青山君は気象庁の職員でございまして、長官に対して文書で照会し回答を求めるということについては、若干疑問なしといたしませんが、心情を考慮いたしまして、前長官は回答を出そうということになっておるわけであります。したがって、そういう点をまず加味さしていただきたい。  それから、学問上の問題について学会で議論を戦わすことは、これは大いに戦わすべきじゃないかと思います。また、本件については具体的な調査団というふうなものが構成されて、そこで議論をされたものと思うのでございますので、それらの三点を加味しながら検討さしていただきたい、かように思います。
  186. 北岡龍海

    ○北岡説明員 こういう学問的な問題を、青山君も含めまして検討することは、私としては少しもやぶさかではありません。
  187. 松本忠助

    松本(忠)委員 三者三様のお答えについては、私もまた十分に検討してみます。局長が言われました事故の調査体制の問題、これはわれわれがかねがね申し上げていることで、一日も早く体制をつくってもらいたい。  それから岡田次長が言われました、青山君が長官に手紙を出すということについてお話がありましたが、青山君自身もこの手紙にこう書いていますよ。「私がこの手紙を差出す宛名が気象庁長官であるのは、あるいは正確には筋違いなのかも知れません。しかし、長官が私の意見に全面的ではなくとも同意される重大な点があるとすれば、この問題について正しく解決をはかることが出来る立場の人であると私は考えます。」こういうことで、青山氏自身も長官に手紙を出すことのいいか悪いかについては、非常に判断に迷ったように思います。ですから、その点は青山氏自身も非常に良心的に考えているんじゃなかろうかと思います。その点もひとつ申し上げておきます。  最後に、ことしの四月四日の日本法医学会の総会の席上で、東邦大学の教授の上野正吉先生が、全日空の羽田沖の墜落事故の原因を、遺体の解剖によって究明した結果を発表している。この問題については当時新聞にいろいろ出ております。これはまだまだ調査の段階である、このように言われております。山名先生の説もまたこの上野先生の説もいろいろ問題点があろうとは思います。しかし私は、このような疑問点、そしてまた青山君も、学問的に何とか自分の意見もひとつ皆さんに批評してもらいたい、検討してもらいたい、こういう立場から言われているのだと私は思うわけであります。こういうふうな点を考えまして、この問題はまだまだ解決したと言えない、尾を引いている問題だ、こう思いますので、この点については、世間一般の人の疑惑を晴らす意味からも、なるべく早く再調査をするのがしかるべきではないかと思いますので、この点に関してのみ局長のお答えを聞いて終わりにいたします。
  188. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの上野教授の所説でございますけれども、この解剖所見は事故調査報告書に記載されておりますが、その内容については、調査団会議におきまして十分審議されたものでございます。その結果、接水後の機体の破壊過程を推定するものとはなるけれども、機体欠陥説を裏づけるものには必ずしもならないという結論を得ております。それで、皆さまそれぞれのお立場からいろいろな御意向もあるということは、そのお気持ちもよくわかるわけでありますが、ともかくこの件につきましては、数年にわたってそれぞれの権威の方々にお集まりいただいていろいろと議論を重ねた上での結論でございますので、これからの再調査ということは、私どもとしては考えておりませんので、御了承願いたいと思います。
  189. 松本忠助

    松本(忠)委員 以上で終わります。
  190. 福井勇

    ○福井委員長 田代文久君。
  191. 田代文久

    田代委員 国鉄当局にお尋ねしますが、国鉄というのは国民のものであるし、国民の福祉増進ということを目的としてできておるわけで、したがって、輸送の安全については万全を期さなければならない。そういう安全輸送を確保するためには、当然その基本的な条件として、労使関係の正常化ということが常に保たれておらなければ、これは非常に危険だと思います。そういう点で、国鉄当局がこの労使関係の正常化について、特に十分努力をしておられるかどうか、簡潔に御答弁願いたいと思います。
  192. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 先生のお話のように、国鉄は重要な輸送業務を担当いたしておりまして、正常な業務の運営ということを一番の大事な使命として、職員にもそういった意味での指導をいたしております。  労使関係におきましても、そういう意味で正しい労使関係の樹立ということが大切なことだと思いまして、労使協力いたしまして輸送の確保につとめておる次第でございます。
  193. 田代文久

    田代委員 いま抽象的に、正常化に国鉄当局は十分努力をしておるという御答弁ですけれども、具体的な事実は正常化に反する、むしろ正常化を破壊することが行なわれているんじゃないかという点を私は危惧するわけなんです。その具体的な実例につきましてはたくさんございますが、一、二質問したいと思います。社会労働委員会の共産党の寺前委員が、一昨日調査に行った事件について聞くのですけれども、これは一例にすぎません。  たとえば、東神奈川車掌区の山本聖代君は、区達三号を書いたガリ版刷りの印刷物、「春の全国交通安全運動の実施について」というのを助役から手渡された。山本君はこの内容はちゃんと知っておるし、また机の上にたくさん置いてあるような文書で、したがって、助役にもそういうものは要らないのだというようなことを言い、そうしてどうしても受け取れというので、一応それに目を通して後これをくずかごに入れたというようなことがあったわけですね。これはもう十分御承知と思います。  ところが、これに対して、この東神奈川車掌区の区長はどういう措置をとったかと申しますと、公文書殴棄によって刑法二百五十八条に該当するということを書いて、これを組合員全体に対する見せしめみたいな形で区の掲示板に張り出した。そうして本人に対しては、お前は首だ、首だ、首だというふうに騒ぎ立てて、軟禁状態で四十日間規程類を強制的に読ませ、ほかのものには手をつけさせずに、もちろん仕事もさせずにほっておく。軟禁状態というのは、具体的に言うと、この山本君は組合員、労働者ですから、ちゃんと自分の持っている仕事があるわけですね。ところがそういう仕事は全部やめさせて、そうして机にちゃんとすわらして規程類の書類をずっと読ませる。しかも、四十日間これをやらせるというようなことをしたために、本人は精神的にも肉体的にも耐えかねて、現にからだの調子を悪くして、脈搏が早くなるというようなことで医者通いをするというような結果になっておるわけです。  ところが、この局の懲戒委員会は、おそらく区長の上申によって行なわれたものと思われますけれども、職員として不適格だという判定を下し、本人にそう言っています。そうして五月十五日には停職三カ月の処分を通告しております。  そこで、これらの処分についてお尋ねしますが、大体区長が張ったという刑法二百五十八条にいう公文書毀棄ということは、事実山本君が捨てたというその文書は、私たちから見まして公文書でも何でもない。公文書がそんなに机の上にたくさんガリ版刷りみたいな形で置いてあるはずもないし、これは正規の公文書でも何でもないことは明白なんです。国鉄は、そういう区長のサインもなければ判も押されてない単なる連絡用の文書を公文書という形にしておるのだけれども、大体こういうことを実際公文書として、そうしてそこの従業員なり労働者がそれをちゃんと保管して保持していなければならないのか、そうしてこれが刑法違反ということになるかどうか、その点をはっきりお答え願いたいと思います。
  194. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 ただいまお話の四月五日の山本聖代君の事件でございますが、私どものほうで調査いたしております事実は、こういうことでございます。  四月五日、本人が乗務いたします前に、区長から乗務中に放送します文案、これは交通安全の趣旨を徹底するという意味で、交通安全運動についての放送内容でございますけれども、これを乗務中に放送するようにということで、文案を書いたものを区達、区長の指示として本人に渡したところ、本人はそれを見ることもなく、助役の前でくずかごに投げ捨てたという事実があるわけでございます。それで、区長から交通安全運動についての放送文案を、区長の指示として出しております文書は、私どもは当然公文書であるというふうに見ておりまして、公文書を見ることなくくずかごに投げたということは、重大なことであると考えておるわけであります。特に、この内容が放送の内容でございますので、それは乗務中本人が持ちましてそのことを放送する義務があるわけです。そういう意味で、くずかごに投げ捨てたということは、業務を指示どおりやっていないということになるわけでございます。そういう意味におきましての処分をいたしたということになります。  それから、その後、こういったことを今後起こさないようにということで、本人に十分教育をし、指導をしていこうということで、区長から本人にこのことにつきましての反省を求めたということで、いろいろの規程類、業務の規程あるいは日鉄法、そういったものについての教育をいたしておりました。これにつきましては、本人が最終誓約書を出しまして、いままでの反省と、その期間中にいろいろ話し合ったことについてはたいへん勉強になったという意味での誓約書を提出いたしております。  それから、身体の調子がよくないということで、病院に検査に行きたいということの申し出があったということは聞いておりますけれども、その結果は、特段の異常な状態はないというふうに聞いております。
  195. 田代文久

    田代委員 私が聞いておるのは、これは刑法の二百五十八条にいうところの公文書毀棄だ、こういうふうに掲示板に張ったというのですね。これをあなたはいま公文書とおっしゃいましたけれども、公文書というのはどういうものですか。公文書というのは、十枚も二十枚も同じものがたくさんガリ版か何か刷ったようなものがありますか。そういうものは公文書でも何でもないのです。はっきり刑法の二百五十八条とかなんとかいうむずかしいそういうことを書くことによって、全体の労働者に対する威圧を加えるというような目的でなされたことはこれは明らかです。しかも四十日間にわたって——それは教育するという意図は、そのまま私は認めることは一応認めます。しかし四十日間も、実際に正規に持っている、労働者の持っている仕事を全部剥奪して、この文書を読め、これは全く警察がやる、これは戦前のやり方ですよ。全くこれはあれじゃないですか、一種の体刑じゃないですか。労働者に対してこういうことが実際許されますか。これは教育を逸脱していますよ。これがかりに違反であったとしても、違反したのであっても、ちゃんとこうこうこういうわけですからどうですかと言う以上にはないじゃないですか。四十日間にわたってちゃんと上司の前にすわらして、一定の文書を読まされる、からだが破壊されることは当然じゃないですか。かりにからだが破壊されないとしても、精神的に受ける打撃は非常に激しいのです。あなたたち、そういうことをやられてがまんできますか。私どもは、こういうことがやられるところに、いわゆる労使間の正常化というものは全く当局自身の手によって破壊されているといわなきゃならない。なぜもう少しあたたかい心でこれは対処しないのですか。もしそういうことが間違っておるというふうにかりに主観的にお考えになるとしても、そういうことの起こる禍根は一体どこにあるのだということを、当局が高い観点からしなければならぬ。これは子供のけんかみたいな形にするということになるから、私はこういうことになると思うのです。  なお、その点で、私は時間の関係から申し上げますけれども、区長がとった四十日間にもわたってそういう体刑みたいな——一つの体刑ですね。体刑にひとしいことをやって、そうして刑法の第何条とかいうことをやったことでおまえ首だ首だと言って、労働者の失業に対する不安につけ込んでおどすようなことを、労使の正常化を云々する上司がとった、そういう区長の態度あるいは処置を正しいと思われるかどうか。これが第一点。  もしこの処置が正しくないと思われるならば、こういう非常識な区長に対してどういう処置をとられるのか、お答え願いたいと思います。
  196. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 いま先生のお話がございましたような、いわゆる体刑的なことは考えておりませんで、私どもの調べましたところによりますと、本人に対しましていろいろの面での指導をしておったということでございます。特にこういった面での問題につきましては、単に処分を重くしてそれでそういった問題を絶滅しようというようなことでなくて、できるだけ本人のそういった誤った考え方を直していくということに主眼を置いておりまして、そういう意味では、この教育期間中は本人と一緒に茶菓子を食べ、助役も一緒に話をするという中で本人の反省を求めたということでございます。そういう意味では、区長の処置は十分に効果をあげたというふうに考えておりますし、誓約書にも、本人はそのようなことを申しのべておるわけであります。
  197. 田代文久

    田代委員 区長は効果をあげて正しかった。とんでもないですよ。体刑、体罰じゃないとおっしゃいましたが、あなたはそういう場合に、もし私が上司としてあなたを前にすわらせておって、六法全書でもずっと読んでおけ。体刑と考えられませんか。  そこではっきり申しますが、国鉄当局は、こういうことがあったならば、依然として区長がやったようなそういうことを支持し、今後もやり続けるという結論ですね。そのように理解して異議ないですね。もう一度はっきりしてください。
  198. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 ケース・バイ・ケースでございますので、どういうことが最も本人のためにいいかということは、一がいに申し上げられませんけれども、本人の考え方と起こった事例によりまして、ぞれそれ適当な方法をとるように私どもも指導しておるわけであります。
  199. 田代文久

    田代委員 それは答弁にはならないのです。あなたが逃げたにすぎない。私は、具体的にこの山本君にとった当局のこういう態度に対して、正しいしこれを支持するということを国鉄当局が言っているのだから、今後それをするかどうかということを言っているわけです。正しいと言っているわけでしょう。正しいから、こういうことがあった場合には依然として続けるということですね。これでは国鉄の正常化ということは全然期待できない。現在の国鉄当局のそういう姿勢は、その正常化に全く相反する立場を堅持しておるというふうに、国民は理解する以外にはないということを私ははっきり申し上げまして、時間がありませんから次に行きますが、国鉄の正常化の問題につきましては、こういう問題はこれ一件じゃないですよ。まだたくさんあるのです。その他あるのですけれども、時間の関係で前に進みます。  五月二十日付の毎日新聞に、見出しで、今度のストライキで、「労使正常化をかけて 昇進したけりゃ鉄労へ」こういうふうに新聞は書いているのです。えらくなったり格上げになりたければ、国労や動労を抜けて鉄労に入れ、こういっている。労働問題評論家の孫田良平氏は、「組合が二つも三つもあって、互いに勢力争いをさせ、特定のグループにだけ、給与と地位を保証すれば、差別された組合は意地になって反抗する。」と、はっきりそういうことを指摘しておるのです。それから国労の酒井書記長は、「国鉄当局が昨年夏ごろから、意識的に鉄労育成策に乗出した。われわれの組合、組合員をひぼうし、昇給や昇職で不当に差別し、生産性向上運動を通して、偏向教育を進めている。明らかに不当労働行為だ、そのために、国労、動労の組合員がどんなにみじめな思いをしているか」ということを、これは書記長が感想を言っているわけですね。それからまた、これは上野駅で起こっているのですけれども、「全員が鉄労組合員だ。昨年十月の昇職試験を前に鉄労の職制が国労組合員の家庭訪問をして回った。「国労をやめて試験を受けたらどうだ。オレが面倒を見て、受かるようにしてやるから」」というようなことをい言って、盛んに国労を抜けるように勧誘し、そうして十五人が国労から鉄労に変わった。そうしてその中の二人が運転係試験に合格した。こういうような事件が、これは毎日新聞にちゃんと書いてあるのですよ。  まだたくさんそのほかにあるのですけれども、このような差別政策を国鉄当局が認めておるのか。これでは国鉄当局自身が、さっきから繰り返して言っている労使の正常化ということではなくて、全く労使の敵視破壊政策をやっておる。安全輸送などということは、こういう労使の不正常な関係が国鉄当局側からなされる場合においては、できないというふうに考えられるのですけれども、こういう問題についてどのように国鉄当局は反省しているのかどうか。こういうことをやって、そうして国労を出ろ出ろというようなことをやって、差別的な処置をしていることを正しいと思うかどうか、御答弁願いたいと思います。
  200. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 国鉄当局といたしまして、組合別に差別待遇をいたしたりあるいは不当労働行為をやったりというようなことで指導しておることは毛頭ございません。そういったことにつきましては、不当労働行為については、十分注意するようにということを機会あるごとに現場の管理者まで注意をしておるわけでございます。
  201. 田代文久

    田代委員 これは全く対外的なうそっぱちですよ、あなたのおっしゃっていることは。現実の事実は幾らでもあるのです。事実をあげろといえば二時間でも三時間でも言うほどたくさんあるのです、差別待遇やあるいは分裂工作をとっていることは。  では、時間の関係で申しましょう。これは昭和四十五年十月二十日現在、国労の京都の向日町の運転十分会の署名で、昭和四十五年四月期昇給抜てき適格者調査表というのがあります。これによりますと、百九名の抜てきが行なわれております。ところが、この百九名の抜てきは国労は一人もおらぬ。動労も一人もおらぬ。いわゆる国鉄当局が盛んに分裂をやっておるそういう鉄労の諸君だけが、百九人まるまる全部抜てきされている。数字の上ではっきり出ているのですよ。何ぼ常識的に考えたって、百九人も抜てきされていれば、かりにまま子扱いされても、普通ならば国労や動労が二十人や三十人おってもいいのじゃないですか。一人もいないのですよ。これが差別じゃないですか。この事実を知っておられますか。御答弁願いたいと思います。
  202. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 抜てき昇給につきましては、年間の本人の勤務成績等も十分に評価いたしまして、それに基づいて抜てき昇給をいたしております。組合別に差別をするということは全くございません。いまお話にございましたような、結果として組合別に見ると、そういうことだというお話だと思いますけれども、抜てき昇給の基本的な考え方は、先ほど申し上げましたように、組合別に差別するというような指導をいたしておりませんし、現場でもそのようなことではやっていないと思います。
  203. 田代文久

    田代委員 じょうだんじゃないですよ、そんなことは。全くそんな非常識なことが言えますか。国労と動労といま何人組合員がおるか私、知りませんけれども、国労と動労合わせて圧倒的な多数じゃないですか。圧倒的な多数が、とにかく一人も抜てきが得られない。ほんのわずかな少ないのが、抜てきの場合に全部抜てきされる。異常だと思いませんか。  それで、あなたたちそんな強弁されるなら、たとえば大阪の吹田で起こった問題ですが、居住の問題でも、動労に入っているあるいは国労に入っている諸君は、国鉄の官舎を渡さない。おまえら、動労や国労を脱退していくならば、とにかく官舎の割り当てもあるのだ、それに対しては責任を持つというような形。そうしていま昇給してなければ、回復昇給させるのだということを、主席の助役やあるいは指導助役の命令でやられている。こういうことがたくさんあるのですよ。私は、時間がないから言いたいけれども省かなければならぬが、こういう国鉄の住宅に入る問題についても、このような差別が次々に行なわれているじゃないですか。それがさっき言った抜てきのときに響いてきている。これが不当と思われませんか。また、こういうことで、さっき言ったように正常化がなされますか。これでとにかく運輸の安全が保証されますか。反対じゃないですか。これはどうなんです、この居住に対する差別問題は。
  204. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 国鉄の宿舎への居住の条件につきましても、組合別に差別をしてやっておるということはございませんで、それぞれ現場長が必要と思われる者を入れておるということでございます。
  205. 田代文久

    田代委員 実は、私は当局はけしからぬと思うのです、実際のところ。そういう場合になぜ現場長をはっきり調べないのですか。こういう異常事態であるというようなことについて。  私はまだたくさん言いたいことがある。たとえば京都の向日町の運転士の暴行事件。もと国労におった幹部が、これはずっと当局のほうで働きかけたのでしょう。国労を出ていって、それが国労の諸君に、とにかく国労や動労出たらどうやということを盛んにやられる。したがって、動労や国労の諸君が腹を立てて、あなた何を言っているか、もと私たちの組合におって、そういう行為が正しいかどうかということを言っていろいろやっているうちに、手がさわったりしたとか何かした。その先生は、自分は暴行を受けたのだとかなんとか言って警察当局に訴えた。この人物は堤という人物ですけれども、この人物は、しかも警察に言うときにうその供述をやっている。動労や何かの組合員から暴行を受けたとかなんとかいうことを一つも言わぬ。電車のところかどこか知らぬけれども、そこにおったら、手をねじ上げられて脱臼したとかなんとかうそっぱちを言って訴えている。警察も刑事事件にしょうがない。これを不起訴にしてしまっておる。不起訴にしたのに、実際にこの堤という人物は、これは運転士では最高の職務だといわれる技術職に特昇しておる。特別な昇給と栄転をしておる。ところが反対に、そこでからだが触れたとかなんとかという人は、減給三カ月十五日という処分を逆に受けている。こういう事実、これはどうなんですか。こういうことも奨励しているのじゃないですか。実際の国鉄の昇給基準というようなものは何に基づいてやっているのかどうか。こういうことは知っておるのでしょう。こういう処置が正しいと思われるかどうか、はっきり答弁してください。
  206. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 いまこまかくお話しになりました事件につきまして、私ども報告を受けておりません。
  207. 田代文久

    田代委員 報告を受けてないっておかしいじゃないですか。それは全くとぼけている。たいへんですよ、もし報告を受けてないというなら。寺前代議士が行っているのですよ。神奈川にしましても、この吹田あるいは京都の向日町についても、ちゃんと調査に行ったじゃないですか。ですから当局は、これはとにかく社労の代議士が来るんだというので大あわてして、内容は百も知っているのじゃないですか。報告を受けてないというのは、そういうことをもし事実受けていなければ、あなたたちは大体何でもって労務政策をやっておるのか。こういう重要な問題、あなたたちは首切りについて何とも思わないかもしれませんけれども、一般の労務者は首を切られるということは、家族と本人が路頭に迷うというこれは生命と生活の全体の問題ですよ。しかもこの事前に、一昨日ちゃんと寺前代議士が行ってやっている。その事実を知らないとは何ですか。そして、ここにどういう顔をしてあなたは答弁に来ていますか。知っているけれどもあなたは言わぬのじゃないですか。どうですか、そういう点ははっきりしてください。
  208. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 そういった事件についての報告を受けていませんということは、先ほど申し上げたとおりで知りませんが、もしそういう事実があれば、私どもも調査をいたしまして、私どもとしての考え方を申し上げなければいけないと思います。もっとも、昨日、一昨日と春闘で各現場も混乱をいたしておりまして、先生方が行かれたことについての事こまかい報告はまだ受けてないわけでありますけれども、そういうことが御調査の中で非常に重要な事件であったといたしますならば、私どもも調査をいたしたいと思います。
  209. 田代文久

    田代委員 全くそれこそ官僚まる出しで無責任きわまりない。われわれ国民の代表でここにおるのですからね、ちゃんと。そういう官僚的な答弁では許されませんよ。私は国民の前に行ってから顔向けができない、そういうことを言われて黙って引っ込んでおったのでは。(「国民代表はあなただけではない」と呼ぶ者あり)みなそうでしょう。ですから申しますけれども、実に国鉄がやっているやり方というのは——私は時間がないからこれは省きますけれども、もしそういう点資料をあげてやれといったら、幾らでもあるのですよ。全国的にあるのです。  たとえば、これはまた別の問題ですけれども、九州では門鉄関係。門鉄関係では、とにかく五十五歳になった、もうあなたやめぬかと言って肩をたたいて、そして家族のうちにまで行って、奥さんにまで、もう主人はやめたらどうか、やめなければためにならぬぞとかなんとかおどかしている。本人はやめる意思はないのに、また五十五歳になったらやめねばならぬという協約も規定も何にもないのに、一方的にいわゆる威嚇やおどしや、というようなことをかけて、そして家族全体を神経衰弱、ノイローゼにさせるような行為を加えておるというようなことがひんぴんとして起こっております。  そこで、最後の質問をして終わりますが、こういう明白な差別、分裂を当局は続けるのかどうか。また、今後こういう不当労働行為に対しては、これをやはりやらせるのかどうか。  それから最後に、これは今度のストライキで処分という問題ですけれども、処分のための処分、報復的な処分というようなことをするかどうか。この三点を伺って私の質問を終わります。
  210. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 不当労働行為あるいは組合別の差別扱いというようなことは、やるつもりはございませんし、そういうことにつきましては、そういうことのないようにということは従来とも注意いたしておりますけれども、今後とも注意したいと思います。  それから、昨日の闘争につきまして、かなりの混乱を起こしました。これにつきましてはまだ調査が十分できておりませんけれども、これにつきましては、法に照らしましてやはり慎重に処分を考えるべきであると思っております。ただ、報復的なというお話でございましたけれども、報復的な処分ということは考えておりません。あるいは処分するための処分はいたしませんということは、総裁からも言明しておるとおりでございます。
  211. 田代文久

    田代委員 ただいまそういう言明されたことを、具体的に、忠実にはっきり守っていただきたいと思います。  終わります。
  212. 福井勇

    ○福井委員長 関連して加藤六月君。
  213. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 先ほど来の問題で、当委員会としてはっきりしておかなくてはならない問題、また田代委員が御質問になりましたときにも、国民の代表ということばがございましたが、二点お伺いしたいと思います。  真鍋常務理事おいでですが、労使の正常化というのは、どういう姿を労使の正常化というのであるか。この二十日のストライキは、労使正常化をかけての戦いであるということが非常にいわれましたが、労使正常化とは、どういう状態になっておるのを労使の正常化した姿というように国鉄当局はお考えになっておるかというのが一点。  また先ほど、当日の二十日の新聞に、全国いろいろな新聞に出ましたが、組合の所属によって給与と地位が確保されたりされなかったりするというような事態が、ほんとうに国鉄の内部にあるとするならば非常に重大なる問題でありまして、今日これほど国鉄再建問題で国民の関心を集めておるときに、内部において、所属する組合の相違によって給与と身分が、片一方は地位が確保され、片一方は確保されないということがかりに行なわれておるとすれば重大な問題です。これはもう政党、党派を超越してやらなくちゃならない問題でございますので、この労使の正常化ということはどういうことをいうのであるかということと、所属する組合によって給与と地位が差別されるということがあるのかないのかということを、ひとつはっきり国鉄当局並びに鉄監局長から承っておきたいと思います。
  214. 山口真弘

    ○山口(真)政府委員 日本国有鉄道は、先生御指摘のように国民のいわば財産、国の変身といいますか代身のような性格を持っておるわけでございまして、その意味で、その運営は国民にかわって行なわれなければならぬ、またその運営は公共的な行なわれ方をしなければならぬというわけでございます。したがいまして、そういう国鉄経営の円滑化ということは、国民の最も望むところでもあるわけであります。さらに、現在の状態におきましては、国鉄は非常な財政上の危機にも当面しておるわけでございますから、そういう現段階におきましては、さらに一そうそういう面の努力をしなければならぬわけでございまして、これにつきまして労使一体となって努力しなければならぬ。そのためには、両者の関係が友好的かつ平和的な関係でなければならないということが必要であろうと思うわけでございます。労使の正常化とはまさにそういうような意味で、労使一体となって力を合わせて国鉄経営を行ない、そしてそれが友好的かつ平和的に行なわれるということが、労使の正常化の意味であろうと思います。  それから第二の、組合の所属によりまして給与、身分その他の差別取り扱いがあるかということにつきましては、私ども、これはないとかたく信じておるものでございます。あるようなことがあってはたいへんなことであると考えます。
  215. 真鍋洋

    ○真鍋説明員 労使の正常化につきましては、私どもも常日ごろ心がけておるわけでございますけれども、国鉄におきましては公共企業体労働関係法によります規制を受けております。そういう意味におきましては、正常な業務の運営ということを中心にしました労使の正常化、労使の明るい一体感というものが一番大事ではないかということで、これを心がけておる次第でございます。  また組合別にも、国鉄職員はどのような組合を結成しようがあるいは加入することは自由でございまして、組合別に身分あるいは給与を差別するというようなことは全くございません。
  216. 福井勇

    ○福井委員長 関連して内藤君。
  217. 内藤良平

    内藤委員 関連して時間をいただきましたが、私もちょっとだけ職員局長にお尋ねし、またお願いしたいことがあります。  先般、私も所用がありまして東神奈川車掌区に参りまして、いまの田代委員のお話のようなお話を聞いてまいりました。そこで私、聞きたいのは、これは公労法もありまして、労働条件その他は公労法で労使の間にいろいろやるようになっております。あるいは不当労働行為、そういう点はさておきまして、いま国鉄委員会をわが委員会で設けて、国鉄の財政再建問題を論議しているわけですが、やはりこの国鉄の運営管理といういわゆる公労法では除外されておるこの面、やはりこれは投げておかれぬ問題であろう、こういうぐあいに考えまして伺うわけです。  いろいろ例はあるようでありますけれども、東神奈川の車掌区の車掌の山本聖代、この方がガリ版のいわゆる区の通達、それは内容は、すでに乗務員の詰め所に前々から積み重なっておりましたから、前々から内容を知っておった。そこでえらい方から、助役でしたか、えらい方から持っていけと言われた際に、この内容は知っておるから、特に必要がないということでそれを破棄した。それが刑法二百五十八条云々ということでいわゆるおしかりを受けて、上司の命令を聞かないというわけでしょう。そういうことは間々あることでしょう。ところが、そのあと乗務をおろされて、そして指導を受けるということで四十日間事務室勤務を命じられて、事務室で諸規程あるいは日鉄法等の勉強を助役のもとにさせられた、その上に停職三カ月を受けた、こういうことなんですね。  私はこれを聞いて、これは不当労働行為とかそういう問題じゃなく、基本的人権問題じゃないかと思ったわけなんです。憲法をここへ大上段に出すわけじゃないけれども、憲法の第十四条には法のもとに平等ということばがある。差別禁止ということがある。第十八条には奴隷的拘束及び苦役からの自由ということがある。三十四条には抑留、不法拘禁に対する保障、こういうことで人身保護法あるいは人権擁護委員法があるわけです。法律があるわけですね。それでわれわれの基本的人権は守られておるわけだ。ところが、国鉄のこの東神奈川車掌区の山本君に対する四十日間の乗務をおろして事務室に勤務せしめて、そして規程その他を助役が監督しながら勉強せしめた、これは私はやはり公労法あるいは国鉄の労使の運営管理、これから見ると行き過ぎじゃないかと思うのですね。やはりこの方の人権を無視して、じゅうりんしておるのじゃないかと思ったわけだ。特にこれは精神的な苦役に該当するものじゃないかと思う。四十日間も上役が十人もおった事務室に一つの机を与えられて、そこで規程なり法規なりを読まされておる。だから十何人の上役の監視のもとに、いわば精神的な苦役を受けているかっこうになると思うわけだ。しかも、その本来の仕事の乗務をおろされて四十日間ですよ。これは精神薄弱の方とか、そういう方であればこういうことがあるかもしらぬけれども、りっぱな国鉄の採用試験を受けてそして仕事をやっておる方が、公文書か何か知らぬがガリ版のものをむしって投げた、そういうことからこういう苦役を受けるということは、今日日本の世の中じゃちょっと私は許されぬことじゃないかと思うのですね。これは明らかに人権じゅうりんじゃないかと私は思う。国鉄の労使の関係なり運営管理が、いわゆる現場長、区長と職員の関係が、人権じゅうりんまでいったらたいへんですよ。こうなりますとこれはもう奴隷でしょう。職員を奴隷にしてまで国鉄の合理化なり再建をしなければならぬというなら、これはたいへんなことですよ。私はそう感じたわけだ。しかし、これは一方の方のお話だけですから、そこで私は私なりのいま見解を申し上げましたが、職員局長にいまここに答えを求めません。この事実があったかどうか、一方の方の話ですから、職員側の話ですから、これはあなたのほうの角度から、この東神奈川車掌区の車掌山本聖代という方に対する現場長の行なった措置、これをあなたのほうの角度で調べていただきたいと思うのです。そしてこの種の問題たくさんあるようだけれども、これは一つのケースにして、このあとの国鉄委員会等で少し議論をしてみたい。  以上、私の所見をちょっと述べて、資料を要求しまして関連質問を終わります。      ————◇—————
  218. 福井勇

    ○福井委員長 次に、閉会中審査に関する件についておはかりいたします。  すなわち、  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  観光に関する件  気象に関する件 以上各件について、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 福井勇

    ○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣承認申請についておはかりいたします。  ただいま議長に対し申し出ることに決しました閉会中審査案件が付託になり、その調査等のため委員を派遣する必要が生じた場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 福井勇

    ○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次におはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております日本国有鉄道に関する小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置し、調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 福井勇

    ○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任補欠選任並びに小委員会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、その人選等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 福井勇

    ○福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会