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橋本国務大臣 お話しのように、確かに
中小造船業者及び内
航海運業者は、船の
建造については苦労をしておるようであります。これはかつては、いわゆる
中小企業業者もよかったのでありますが、この十年この方、
一つは
道路等陸上交通が非常によくなった。したがって、
トラックの非常な激増を来たしてお客さんを取られたために、なかなか自力で、いわゆる
代替建造とか整備をするということは非常にむずかしくなりました。
それで、
長期展望を申し上げて恐縮でありますが、本州、北海道、四国、九州の
海岸線は大体二万七千キロあります。将来は、
昭和六十年の
時点で考えますというと、
貨物の総
出入トン数は大体現在の四倍
程度になるのじゃないか、こういうことがいわれております。そこで
陸上交通、いわゆる
道路等トラックのキャパシティーというものが、はたしてこの四倍に激増するものを引き受ける能力があるかどうかというと、私は非常にむずかしいのではないかと思います。三分の一を内
航海運で引き受けるか、あるいはそれ以上になるかは別にいたしまして、少なくとも
総合交通体系という点から考えると、こういう点を研究をしていかなければならない。
そういう
一つの前提に立って考えますというと、いわゆる内
航海運、これは
港湾計画と
関係があるわけですが、現在五千
トン級以上の、
タンカーを含めていわゆる
貨物船の入る港は、
全国で大体百十港ぐらいです。これは
日本の
港湾政策がまだ途中でありますから、ある個所には集中しておる。たとえば、
東京湾とか
大阪湾とか伊勢湾とか瀬戸内海。しかし
全国的に見ますというと、いわゆる中長距離をいわゆる内
航海運にまつという
政策をとるなれば、当然
港湾の
全国普及化ということを考えなければいかぬ。本
年度から始まるいわゆる新
港湾五カ年
計画で二兆一千億円、従来の倍以上のものを
計画の中に組み入れたわけでございますけれ
ども、それにいたしましてもまだ少ない。少なくとも
昭和六十
年度の
時点においては、現在百十港
程度の、五千
トン以上の港は
最小限度二百港くらいつくる必要があろう。同時にまた、いわゆる
貨物船の
トン数は従来少し小さ過ぎたのじゃないか。したがって、三千
トンが大体
標準貨物船になると思いますが、少なくともそれ以上にする。結局は、小さな船であってもある
程度の
中型船であっても、
人件費はあまり変わらない。少なくとも
省力化ということを考えるなれば、やはり五百
トン、千
トンの船は少なくとも三千
トンもしくは五千
トンにだんだん格上げされてくるのではないか、全部とは言いませんけれ
ども。それには、やはり流通
港湾というものが整備されなければならない。私は、大体平均しまして
海岸線百キロに
一つの流通
港湾、五千
トン以上の船が入るこういう港をつくって、同時にまた、つくられるところの
貨物船も三千
トンもしくは五千
トンが中心になっていかなければ、
昭和六十
年度の
時点における
貨物の総量をこなし得ない実情になるであろうと思います。
こういうような想定のもとに、従来
外航船舶に与えておったいろいろな特典があります。
一つは
利子補給の問題があり、あるいは開銀
資金、今回これは下げておりますけれ
ども、それにしても六割強の開銀
資金でまかなっておる。それに対して
船舶整備
公団がありますけれ
ども、先ほど答弁がありましたように一割そこそこである。こういうのが、将来の
総合交通体系の上から見てもいわゆる不十分である。そういう意味から考えて、これは積極的な思い切った措置をとらなければ、将来のいわゆる
海運政策といいますか、内
航海運政策には追いつかない
状態になるのではないか。
こういう点で、いまお話があったように、あえて外
航海運の問題と比較するだけではなく、
一つの
国内の輸送体系の上から考えて、内
航海運をどうすべきか、体質改善等も考慮に入れながら積極的な対策を考えてまいりたい、こう考えております。