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山口(真)
政府委員 先生の御
指摘の五点は、
事故の全般にわたりまして、問題を非常に深く掘り下げたお申し入れでございますので、私
どもの一応の考え方を、総括的にずっと申し上げさせていただきます。
まず、
先生が第一点に御
指摘なさいました点は、乗務員の使命に徹するような指導というものを
中心とした問題でございまして、これは鉄道の
事故防止につきまして、何といいましても国鉄全体が安全確保がその第一の使命であるという使命感を持って事業に従事するということは必要であるわけでございますが、そのためには、人的な面、物的な面、両方の措置が必要であるわけであります。
その第一点の人的な面におきましては、まず、運転
関係従事員というものが、安全確保を第一の使命であるという自覚、責任を持って従事するということを第一義といたしますように、これに対しまする指導あるいは
教育、訓練というものをいたさなければならぬわけでございますが、具体的には、列車の運転その他につきまして、運転
関係従事員に対する
教育、訓練を行なわせるというようなこと、あるいは運転士に対する国家試験制度というようなものによる資質の
向上をはかっているわけでございます。さらに、適性検査などというような方法によりまして、そういう面の適材適所の配置ということにつとめておるわけでございまして、そういう面で、そういう人的な指導の面というものをさらに強化をしてまいるということが必要であろうと思うのでございます。
それから第二点の問題は、ブレーキの問題その他安全装置の問題でございまして、これは物的の面でございますが、物的の面は、私
ども三つあると実は考えておりまして、その第一点は、鉄道自体の物的の面とでも申し上げましょうか、たとえば線路なり車両なりというようなものが、安全に運転ができるようなものでなければならないという
意味でございまして、そのための施設、車両の整備、あるいは点検の強化、あるいは技術的な進歩改善というようなことでございまして、たとえば、従来車両火災等がございましたことに対応いたしまするところの不燃化措置というようなものも、こういう面で実施したわけでございますが、今回の
事故は、そのキーポイントの
一つは、やはりブレーキの損傷というところにあるわけでございますから、先ほどか
らいろいろ御
質疑がございましたように、ブレーキの
根本的な防護の問題、あるいは車両全体の構造の中において、ブレーキをどういうふうな位置づけをするかというような問題を、さらに詰めたいと存じております。これにつきましては、先ほ
どもお答え申し上げましたが、国鉄の技術研究所の技術員、あるいは国鉄の技術開発室の技術員、それから
運輸省の研究所の技術員、あるいは鉄監局の技師等を派遣いたしまして、精細な
調査をいたしておるわけでございますが、そういったような
調査研究をさらに進めて、今後そういう整備を促進してまいるということにいたしてまいりたいと思います。
それから、物的の面の第二点は、これは列車と列車との
関係における
事故防止でございまして、これは列車の追突、衝突等でございますが、こういう点につきまして、従来閉塞あるいは信号といようなことで、主としてこの
関係の安全は保ってきたわけでございますが、数年来、特にATSあるいはATCの設備というようなものを整備いたしまして、この種の
事故がないようにというふうなことに努力をいたしております。
それから、物的な面のいま
一つは、今度は列車と他の交通機関との
関係でございまして、これが特に端的にあらわれておりまするものが踏切
関係でございまして、これは
先生の御
指摘の中の、踏切
事故の問題についての踏切改良、立体交差の整備促進等の問題でございますが、これは、何と申しましても踏切
事故がいまの鉄道の
事故の最も大きな問題でございますので、この
事故防止に努力をしてまいる。先般、政府におきましても、踏切道緊急対策というものを交通対策本部決定をいたしまして、踏切の整備促進を進めておるわけでございます。立体交差を促進いたしますとともに、踏切道の改良をさらに促進をしてまいりたい。なお、踏切道改良促進法の延長というものともからみまして、この点はさらに努力をしてまいりたいと思います。
以上が、
事故の人的、物的な面でございますが、緊急事態の発生のときの連絡体制あるいは訓練というような問題でございますが、これは従来とも私
ども、鉄道事
業者に対しましてこれを強化するように申しておるところでございますが、これは従来、たとえば各種の安全運動の場合、あるいは点検、監査というふうな
機会をつかまえまして、こういう訓練等をやっておりますが、今後ともこの面は強化をしてまいりたいと思います。
それから、最後の御意見の、被害者に対する補償問題につきましては、先ほど
大臣から申し上げましたように、なかなか責任の所在等むずかしい問題がございますが、被害者に対しましては万全を期するよう措置をしてまいりたい、このように考えております。
以上が、申し入れに対するお答えでございます。