運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1971-02-23 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月二十三日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 斉藤 正男君    理事 松本 忠助君 理事 河村  勝君      小此木彦三郎君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    關谷 勝利君       谷垣 專一君    長谷川 峻君       古屋  亨君    井岡 大治君       井野 正揮君    金丸 徳重君       内藤 良平君    田中 昭二君       宮井 泰良君    和田 春生君       田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         水産庁次長   藤村 弘毅君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         海上保安庁長官 手塚 良成君  委員外出席者         防衛施設庁施設         部連絡調整官  平井 啓一君         中小企業庁計画         部計画課長   牧野 隆守君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         建設省都市局技         術参事官    三宅 正夫君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     原   茂君   佐々木良作君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   原   茂君     久保 三郎君   和田 春生君     佐々木良作君     ――――――――――――― 二月二十二日  外航船舶建造融資利子補給臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出第六八号)(予) 同日  自動車有毒排気ガス除去装置取付け義務化等  に関する請願石橋政嗣君紹介)(第九二二号)  同(田中恒利紹介)(第九二三号)  同(田中恒利紹介)(第一〇五五号)  新湘南港の建設計画反対に関する請願平林剛  君紹介)(第九二四号)  同(平林剛紹介)(第一〇五六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十日  国鉄ローカル線確保等に関する陳情書  (第  四一号)  東北、北海道新幹線建設促進に関する陳情書  外一件(第  四二号)  同外七件  (第一〇四号)  国鉄伯備線の小駅無人化等反対に関する陳情書  (第四三号)  第二次空港整備五カ年計画の推進に関する陳情  書  (第四四号)  過疎地帯バス輸送確保に関する陳情書  (第四五号)  国鉄駅無人化反対等に関する陳情書  (第一〇二号)  福岡市及び北九州市に地下鉄、モノレール建設  等に関する陳情書  (第一〇三号)  東北新幹線の建設促進に関する陳情書外三件  (第一〇五号)  国鉄ローカル線確保に関する陳情書  (第一〇六号)  国鉄日南線廃止反対に関する陳情書  (第一  〇七号)  国鉄妻線廃止反対に関する陳情書  (第一〇  八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法  の一部を改正する法律案内閣提出第三号)  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
  3. 田中昭二

    田中(昭)委員 前回から引き続き質問をさしていただきます。時間がたいへん短いようでございますので、短い時間で限られておりますから、私にもよく理解でき、またこの法案問題点を明らかにしていきながら審議を進めたい、このように思います。きょうはまだ大臣がお見えになっておりませんから、まず、事務的なことから先にやらしていただきます。  今度の法案の中で一つ重要な項目は、自動車修理工場のいわゆる認証工場というのがあるわけでございますが、この認証工場から直ちに指定車検場とする道が開かれておるわけでございますが、現在の既存の認証工場は、零細企業がたいへん多いようであります。十人前後の従業員をかかえた零細企業がほとんどでありまして、その零細企業内容を見てみますと、事業をやっていく上に一番大事な整備工員充足がたいへん悪い。整備工員がそろわない。これは全体的な問題もございますが、特に資格を必要とする検査主任等も少ないようでございます。さらに、検査設備を設置するためには多額な資金を要するので、これまた簡単にできない。三番目に、この検査施設作業場等を考えますと、膨大なる敷地を確保しなければならぬ。これまた現在の認証工場の周囲を見てみますと、土地確保というのがたいへん困難である。このような現状は認めざるを得ないと思うのです。  そこで、この現状認識して、その立場からこのたびの法改正を見ますと、その効果も危ぶまれる。いま言うたような三つの困難な条件があるために逆効果が出てきて、そうしてこの車検行政に対する混乱が起こりはしないか、こう心配するわけですが、いま私が申し上げましたことにつきまして、心配ないという確証がありましたら、そういう面からお答え願いたいと思います。
  4. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  まず第一番に工員技術者、これの養成確保でございますが、この点につきましては、前回先生から御質問がございましたディーラー工場のほうに力が入って、専業なり自主独立のほうの工場前途、特に小規模の工場前途を御心配の趣でございますが、私ども統計的に調べてみますと、たとえば三十九年から四十四年あたりの専業工場、それからディーラー工場、これはもちろん中小零細企業を含む平均でございますが、こういうものの工員数推移を見ますと、一工場当たり工員数につきましては、むしろ専業工場のほうが、三十九年から四十四年まで、合理化による人数の減りはございますが、具体的に申し上げますと、三十九年一工場当たり六・四人でありましたのが、四十四年には専業工場は四・九人ということ、これは機械化進行等もあってこういうことになっておりますが、ディーラー工場は、三十九年十五・五人でありましたのが、四十四年は八・二人というふうで、平均的に申しますと、専業工場、この中には中小工場もございますが、こういう比率になっておりまして、私どもとしては、そういう中小零細企業工場工員確保ということについては、この傾向をさらに維持すると申しますか、レベルダウンしないように努力をしたいということで、養成等にもつとめたいと思います。  それから第二点の、施設が貧弱であって非常に土地等に金がかかるし、小企業にとってはたいへんではないかというお説、ごもっともでございます。したがいまして、私どもは今度の改正でお願いしておりますのは、協業化協同組合化、これは直接この法律に基づくものではございませんが、かねてから推進しております中小企業近代化促進法に基づく協業化共同化ということを今後とも精力的に進めまして、それによってなるべく共同化協業化を進めることによって、零細企業施設の不備というものをお互いに補い合うというような方向をとることによって、企業基盤を強化していくということを考えたいと思います。  それから、資金確保につきましては、これも同じく近促法に基づきまして近代化五カ年計画をいままでやってきたわけでございますが、今後さらにこれに構造改善事業指定業種指定を受けるべく、目下努力中でございまして、これによりまして、さらに税制、金融の面につきまして、いままでよりもさらに精力的に中小零細企業育成、レベルアップということにつとめたい。こういうことでございますので、なかなか今後の努力は要すると思いますが、先生の御期待のような線に向かって、いま私が申し上げましたような方向努力をすれば、この前途は開けてくる、かように存じております。
  5. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまのいわゆる業態別状況は、この説明で一応了としますが、いまおっしゃったことは、それでは現実整備工場でどうなっておるかということの認識がもう少し足りない、こう私は思うのです。前回からも指摘しているとおりであります。お答え願わなくても、私のほうで調べたものを申し上げますと、整備工員も一工場当たり昭和三十九年で八・六人おったのがずっと毎年減りまして、昨年は五・七人に減っておる。検査員も、検査員というのは相当資格がある人ですが、これが四十一年には一・七人だったのが一・六人に減っております。さらに、整備工場工員の採用がたいへん困難であるという訴え、そういう声はもう各工場一〇〇%そういうことを言う。いかに工員が不足しておるかという現実の声であります。さらに、規定によれば、整備工員四人に対して一人の整備士が義務づけられておりますが、現実にこの充足が満たされていない。いわゆる不足の工場が大半であり、残念なことでございますが、これが完全に満たされていないのが現実でございます。  そういう認識に立ちますと、先ほど一点、二点、三点と私が申し上げましたことは、第一点の整備工、いわゆる従事員の問題については、いま申し上げたことから見ましてもたいへん困難である。並びに設備土地等の問題も、ただそれはいろいろな援助をすればいいと言いますけれども、この人たち援助を受けるということが、たいへんいままでもできない人たちであります。でありますから、まずその設備をつくるにも土地を買うにも、国のほうとしては融資の道も開いておられるようでございますが、ひとつ通産当局のほうから、いわゆる近代化資金等が、各地の整備工場にどのように融資されておるのか、その状況をお聞きしたいと思います。
  6. 牧野隆守

    牧野説明員 御説明いたします。  現在、自動車整備業に対する貸し付け方法といたしましては、政府金融機関、つまり中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金等から資金融資がなされておりますが、その実績を申し上げますと、四十五年の四月から十二月まで設備資金につきまして約七十八億円、長期運転資金につきまして五十三億円、短期運転資金につきまして四十三億円、計百七十四億円が融資されております。ちなみに、四十四年度は二百十四億円、四十三年度は約百七十九億円が融資されております。それからなお、設備資金のうち中小企業金融公庫近代化促進貸し付けワクから、四十年から四十五年の九月までの累計をとりますと百八十一件、約三十億円融資されております。これが第一でございます。  それから第二に、御承知のように中小企業振興事業団から融資いたします高度化資金でございますが、これは四人以上の方が集まりまして協同組合等を設置いたしまして、そして共同施設として設置する場合、それから零細企業の方が十名以上集まられまして共同工場を設立される場合、こういう場合等に、共同施設につきましては二歩七厘、所要資金の六五%を十二年間にわたりまして、共同工場につきましては所要資金の八〇%を十二年間にわたりまして、無利子貸し付けるという制度がございますが、これを見ますと、四十二年から四十五年まで約五十七件、約四億円の資金貸し付けが行なわれております。  それから三番目といたしまして、都道府県から設備近代化資金というものが所要資金の半額まで、最高限度五百万円まで無利子貸し付けるという制度がございますが、実績を見ますと、四十年から四十四年まで約八百九十件、十一億円の資金が供給されております。  以上、御説明いたします。
  7. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま総体的な説明でございましたが、私は、現在全国に六万近く整備工場がございまして、その零細企業が、具体的にどういうような一件当たり融資額になっておるかということをお聞きしたかったわけでありますが、これは時間もございませんから、またあと資料で提出願いたいと思いますが、できますか。
  8. 牧野隆守

    牧野説明員 早急に資料整備いたしまして、御報告をさせていただきたいと思います。
  9. 田中昭二

    田中(昭)委員 次に移ります。  いま大臣がお見えになりましたから申し上げますが、私が当初申し上げましたことは、零細な整備工場がたくさんある、これを何とか資格を上げて、そうして優秀なものは車検業務をやらせていきたい、こういうことが今度の法案内容にあるわけでありますが、実際零細業者は、たとえば民間車検場になるためには、申し上げましたが、整備士をきちんと集めなければならぬ。ところが、五、六年間ずっと整備士推移を見ておりますと、三十九年に一工場当たり平均八・六人であったのが四十四年には五・七人、こういうふうにずっと工員を集めることがたいへんになっておることが、この数字を見てもわかるわけです。いま事務当局からも確認をいたしましたわけですけれども、今度は検査設備なりそれから作業場をつくるためには、町の中でも相当広い土地を持たなければならない。そういうことが実際問題としてたいへんである、こういうことを問題にしたわけでございます。  そこで、そういう認識をしていただいておきまして、現実に今度の法改正で、いわゆる検査員それから施設共同使用、こういうことで私は前回質問いたしました。なかなかはっきりしない答弁だったもんですから、事務当局と折衝いたしまして、ここに図に書いてあるような御説明を受けました。なるほど、ここに書いてあることはこれなりに私もよくわかりました。そこで、今度はまずこれの説明のことを事務当局のほうと詰めていきますから、大臣、ちょっとおわかりにくいかと思いますけれども、聞いておっていただきたいと思います。これで私、簡単に申し上げますから、答弁も、大体打ち合わせもできておりますから、簡単に三十秒くらいでやっていただきたいと思います。  まず、一番上の絵の左側のAを、Aの左と呼びます。こちらをAの右と呼びます。そしてAの左の工場検査能力は少し余力があって、さらにそのAの右の工場検査主任がおって、その両方工場が地理的に近く位置しておらなければ実際問題としてできない、このようになっておりますが、そのような条件のそろった工場現実全国にどのくらいあるか。これは大体常識で考えてもあまりないというように思われるのですが、その辺の説明を加えて簡単に答えてください。
  10. 隅田豊

    隅田説明員 私からお答えさせていただきます。  ただいまのケースの場合は、私たち一応実数としては正確にはつかんでおりませんが、地方の担当の課長会議その他を通じて聞いておるところでは、今後の指導いかんでは、こういうものはある程度活用されるだろうというふうに聞いております。
  11. 田中昭二

    田中(昭)委員 一々反駁するのもあれですけれども、実際地方でも、お役所の命令ですることも、こういう企業ですからできませんし、問題です。現実にいまこれにすぐ当てはまるようなことはあまりない、こういう感じが大体普通じゃないかと思うのです。  そこで、今度はBの場合ですが、Bの場合は、左右の工場まん中検査施設をつくるという、こういう簡単な例をもって示せばわかるわけですが、このBの左、Bの右の工場に、それぞれ検査主任を持っていなければならない。その条件の人がまたさらに地理的にも近くにおらなければ、そのまん中検査場を利用できませんから、共同で使っていく、そういう施設をつくるような環境のところがあるのかどうか。またこの場合は、両方とも協同組合員でなければなりません。現在協同組合というのはないのです。今後つくっていくという、そういうことで具体性、いわゆる今後行政指導によって、どういう具体的な指導をして実現可能なのか、これも簡単でけっこうですからお願いします。
  12. 隅田豊

    隅田説明員 Bの場合を具体的に申し上げますと、たとえば出張車検場というような場合がございます。そういう場合に、検査のコースだけがすでにできておりまして、従来は、これが協同組合組織になっていないケースがほとんどかと思いますが、それは同じ地域の整備工場協同組合という形に切りかえていけば、かなりこういうものは活用されるだろう、こういうふうに考えております。
  13. 田中昭二

    田中(昭)委員 私、このBの場合も、実は昨日ある地方に行って、百軒くらいの整備工場がある町でございますけれども、聞いてみました。ところが、実際にこの協同組合をつくることについてものすごく反発があるのです。ですから、やっぱりそういう現状の、実際の業者の気持ちというものをくんで、そういうことを考えて法律改正がなされなければ、そこに法を犯す者も出てくるし、いろんな問題が出てくる。国会でもそういう問題だけにきゅうきゅうとして議論を戦わさなければならないということは、本法律趣旨じゃないと思うのです。  そこで、いま大臣もお聞きのとおり、当局から御説明を聞いてみましても、現在のこの認証工場現状を見ますと、いまのA、Bの場合の可能性といいますか、そういう現実性がはなはだ少ない。これはたいへん疑問を持たれるところでありますが、今度の改正の九十四条の二で、いわゆる先ほど言いましたように、検査員の兼任と事業場の共用ということは、いまのような事情から実現性が乏しい。そういうことに対して、私もいろいろ何回も説明を聞きました。理論的には、形式的にはそういうことが可能でございますが、これを実際に育成実現さしていくということについては、これはたいへんなことであり、その実現ができないのではないか、このように思いますが、これはひとつ大臣から、概略の程度でけっこうですからお答え願いたいと思います。
  14. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 田中さんの御意見はごもっともでありますが、それでいま近くに工場という点は、御承知のように、これは歩いていくわけではありません。車検事務でありますから、みんな車を持っていますから、そう距離を限定することはないのじゃないか。ある程度の距離、たとえば五百メートルくらいありましても——仙台から札幌へ行ってきたのですけれども、必ずしも車検場は近いところにない。第二工場等から二キロも離れたところにあります。したがって、必ずしも距離的に近くを無理に統合させるというのではなくて、ある程度離れてもいいと思います。問題は、一つ工場にはちゃんとしたいわゆる検査員がいる、工場設備がある、余力があるということが必要ですから、他の認証工場が多少離れてましても、車で動くのですからして、そう厳格にはとらわれないようにやってまいりたい。  もう一つは、共同作業場をつくる場合に、問題は金がかかることでありますから、その車検場になるべき共同作業場をつくるについては、やはり金の面を積極的に国があっせんをしてやる、開銀資金あるいは中小企業金融公庫の金とか、こういうものを積極的に進めてやる、こういうことによって、この法案趣旨零細企業者認証工場等をちゃんとした工場にさせたいというのが目的ですから、今後その大目的に合致するように行政指導を十分にやっていきたい、かように考えております。
  15. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの大臣答弁は大事なことでございますから、もう少しあとで詰めたいと思うのですが、その前にもう一つのCの場合の例があるわけです。それの説明を聞きながら、いまの大臣のお答えをまたお聞きしたいと思います。  このCの場合は、現実的には一番可能性があるのです。たとえば、いままで同じ系列会社の中にりっぱな車検場があった。そこがいろいろな面で狭くなったとか、いろいろな問題で不便が出てきたから、別にわきに分工場をつくった。その分工場ができたことによって車の整備が早くできて、その整備できたものを親工場のもとの車検場のほうに持ってきて、それで検査をする、こういうことですから、それならば一番可能性があるわけですが、この場合、いわゆる車を整備して検査するその親工場といいますか、それと子の、いわゆる新しくつくる工場のほうの関連性を見てみますと、Cのいわゆる右の分工場のほうから見れば、親の工場のほうは車の検査をするだけです。これはちょうどいま、現実認証工場自分のうちで整備をしまして、その車を国の車検場に持っていく、こういう形と同じなんですね。ただ問題は、Cの場合は、その両方工場経営者が同一でなければならない、直営でなければならない、こういうことですけれども、国の車検場に持っていきます現在の状況を見てみますと、これは国の車検場に持っていくということと同じ立場でできるんじゃなかろうか。  ですから、こういう立場で考えていきますと、いわゆる国の車検場に相当するものを政府援助によって、先ほど通産省のほうから話がありました資金を、共同作業場といいますか、共同検査場といいますか、そういうものをつくってやると、そこに周辺の整備業者は持っていくことができる。先ほどの融資状況を聞きましても、整備工場一つ一つについてはなかなか融資を受けにくい、そういうこともありますから、その何軒かに融資する、資金を国がつくってあげる——と言うとおかしゅうございますけれども、いわゆる共同作業場共同検査場というものをつくって、そして現在の整備工場から、いままでは国の車検場に、遠いところへ行きおったわけですが、それを国の援助でつくった近くの車検場に持っていくことができる、こういうふうなことが一番いいんじゃなかろうか。この条文からいきますと、これができないという事務当局のお話です。ただ、いろいろな共同化とか、そういうようなことではできるようでございますが、これを簡単にひとつ事務当局のほうから説明を、ただ自分たちの考えていることだけじゃなくて、いまの国の車検場と別に共同車検場をつくるということは、形の上ではどうなのかということを御説明願いたい。
  16. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいましたような共同検査場あるいは共同整備工場というものは、それを依頼するほうと依頼をされるほうが同じ法人格のもとに、協同組合あるいは株式会社あるいは有限会社、何でも企業の形態はけっこうでございますが、そういうものの中に包含されれば可能なものでございまして、まさにそれが私ども今回御審議をお願いしている法案趣旨でございます。そういうことで幾つかの工場がありまして、そこで整備をして、整備をしたものをある集中されたその検査場に持っていって検査をする、そこの検査員検査をするということは、それらのグループが  一つ法人格の中に包含されるということになれば可能でございます。それがこの法案のねらいでございまして、先生の御質問趣旨は、協同組合化なり何なりによりましてそういうものができれば達成できる、こういうことでございます。
  17. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの局長説明もわかるのですけれども、Cの場合は、いま現実にこういうことがある。いわゆる分工場を設けまして、その分工場も、いままでも同じような取り扱いを受けている。そういう現状は、これは大きないわゆるメーカーの経営しております車検場、それからディーラーの経営しております車検場、こういうものが当てはまるわけですね。そうしますと、いわゆるそういう資本をたくさん持った、大企業とまでは言いませんけれども、大企業系列車検場の分工場だけは認めていかざるを得ない、こういう現状になっておる。これでは、先ほど大臣がおっしゃった、いわゆる零細整備工場に何とか車検をさせたいという趣旨が生かされてこない。もう一回申しますと、現実にこの法案改正で一番すぐ適用になる、すぐ実現可能なものは、いま言いましたような大企業系列ディーラーとかメーカーがつくっております車検場の分工場だけが、そちらのほうだけはどんどんできている。そうしますと、六万近い、五万何千かの二人か三人、五人か六人でやっている整備工場は、そういうところに入れません。現状でもお客がつかない。特定なお客しかついておりませんし、いわゆる系列会社車検場だけに集中されていく。  これでは実際問題として、今後の自動車の保有台数の推移から見ましても、将来はその車検場を、四十八年ですか七割までしていきたい、こういう構想等を考えていきますと、全然不可能ではないか、こういうふうな気がするのでありますが、大臣、この辺もう一回お答えいただきたい。
  18. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 あるいは事務当局説明が不十分なのかもしれませんが、田中さんの御理解になっておるのとは少し違うように思います。  たとえばA、B、C、D、Eという認証工場がありますと、これが協同組合をつくって、その協同組合が、いわゆる今度は車検場工場を別個につくる。その場合に対しては、国はできるだけ開銀その他で融資をしてあげるということですからね。一人一人が、何百万かかるか知りませんけれども、二、三百万かかるような車検場をつくることは無理であろう。しかし、五軒とか六軒とかの認証工場が、お互いに五十万とか三十万出し合って、それで工場をつくる、足らぬ金は開銀その他から融資を受ける、こういうことは可能であろうという意味から、これはやはり零細整備工場を助けるということで、ディーラーがつくった工場を助けるということなら法律改正は必要がない。この法律改正ができましたのは、そういうような認証工場が四つなり五つなり六つなり集まって、そこで共同工場をつくって、そこでもって自分たち車検を行なう、こういう趣旨でありますから、あるいは田中さんに対する事務当局説明が不十分で、御理解になっておらないのかと思いまするが、これは趣旨は、田中さんのおっしゃるような趣旨でやっていこう、こういうことでございます。
  19. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうおっしゃいますが、くどいようでございますがもう一ぺん……。かりにこの法律改正になりまして、実際運用されたとします。そうしますと、現実には零細整備業者は、やはりいま申しましたように圧迫を受けるのです。Cの場合が一番手っとり早くて、一番現実性に合っているのですから、そっちの分工場だけできていきますと、既存の一匹オオカミみたいな整備工場というものは、どうしても圧迫を受けます。そういうことが関係いたしまして、新しくできた民間車検場が、いままでの規定からいえば、一工場にちゃんと条件が整わなければならないのが、今度はそろわなくても、いわゆる親工場のほうにそろえればいいというようなことを考えてみますと、どうしても車の整備技術の質のダウンを来たすのではなかろうか。そういうことによって、整備不良車が町を走って事故がたいへん起こってきた、こういう問題が起こった場合、当局はこの一切の責任を持ちますと断言できるでしょうか。これは将来のことを予測してでございますけれども、予測の可能性がある。そういうことで責任を持つ、そういうことがないようにしますという簡単な答弁でけっこうでございますから、お願いします。
  20. 野村一彦

    野村政府委員 民間指定工場整備いたしました結果につきましては、当然国が監督責任を負うべきものでございます。
  21. 田中昭二

    田中(昭)委員 私がこのような議論をしておりますことは、自動車の保有台数も、現在千五百万台から二千万台をこえようというときであります。この現状を見てみますといろいろな問題がございます。全国民五人に一台の車でございます。これはたいへんなことが予測される。それに対して車検の事務もたいへん多くなっていくから今度の法律改正をした、こういうことも言われますけれども、いわゆるこの車検行政の体制整備ということを、政府が誤ったんではたいへんなことになる。政府の態度いかんにかかわると思うわけです。そのことによって車検行政が混乱し、そうしていま以上にいわゆる車の使用者、所有者に不便をかける、混乱、遅延等による損失被害はたいへんなことになる、こういう心配をするわけですが、大臣いかがですか。
  22. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御心配になるようなことの起きないように、運輸省は監督指導の責任がありますので、最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  23. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこで、私がさっき申し上げました今後の車検の状態を考えてみますと、四十五年度が、まだ確実な数字が出ておりませんが、大体継続検査、いわゆる車検を行なう車の数というものも大体見通しがつくようでございます。これでいきますと、昨年よりも九十万台近い、八十万台ですか、そのくらい検査をやった車がふえております。四十六年にはさらにこれが、政府の見通しどおりいけば、四十五年に八十万ぐらい、これは増加した分だけですから、あと四十六年度を見てみますと、四十五年よりさらに百何十万台という、いわゆる民間車検場にお願いする車の台数がふえていきます。これをずっと四十八年まで伸ばしてみますと、四十七年、四十八年から問題になっております軽自動車検査が入ります。そうしますと一千万台は優にこす。その民間車検場を置かなければならない。これをとってみますと、大体車の台数で、四十四年当時の十倍近い台数を民間車検場でやらなければならない。さらにその民間車検場工場の数ですけれども、これもやはり、四十四年よりもちょうど十倍近い工場が必要になってくる。検査員もまたそれに符合したように十倍の検査員を必要とするわけでございます。  こういうことを考えてみますと、こういうことは実現できないのではないか、そういうことは実際できないのではないか、こういう感じがするわけですが、事務当局のほうから簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  24. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘の数字は、大体私どもの予想しております数字のとおりでございます。したがいまして、これに対処するには非常に努力が要ります。  ただいま御発言のございました軽自動車を、将来検査対象に取り入れることについての受け入れ体制でございますが、軽の検査につきましては、どういうふうな機関で検査をし、どういうふうにこれを受け入れていくかということにつきましては、今度の法改正とは別個に別の検査体制を——別になるかどうかわかりませんが、別個の問題として目下検討中でございまして、それには、軽の受け入れは受け入れで別の法律を提出いたしまして御審議をお願いし、予算措置、人員措置もまた別個に考える、こういうことでございます。
  25. 田中昭二

    田中(昭)委員 軽自動車の問題につきましては、前回もちょっと大臣にお聞きしまして、私、事務当局大臣のお話を聞いておりまして少し心配があるわけです。先日私のほうの同僚議員が質問したときに、軽自動車についても、四十七年度中に実施したいという大臣答弁をいただきました。前回委員会事務当局にお聞きしましたところが、四十七年度には無理だ、四十八年度になるんじゃなかろうか、こういうふうに大臣の意見と食い違っております。これが第一点。  それと、いま言いましたように、この軽自動車についての車検は別途考える、こういうことですけれども、もう四十六年に入っておりまして、ことしの終わりには、四十七年度の軽自動車車検を考えますと法案の準備をしなければいけないと思うのです。そういうことから考えますと、たいへん困難もあると思いますけれども、その辺の見通しを大臣からお答え願いたいと思います。
  26. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 事務当局としては、手がたく四十八年度から実施をしていきたいという、この方針は変わりがないわけでありますけれども、私が一年でも早めたいというのは、昨年の暮れの公害国会で排気ガスの問題がやかましく言われております。そこで、正式の全体の車検が四十八年度になるといたしましても、一年でも幾らでも早くから、少なくとも排気ガスの規制は、一部やっておりますけれども、これだけでも、あるいは行政指導のもとでやっていって、そうして排気ガスの問題に対する何らかの貢献をしたいというのが私の趣旨であります。車検は、全体の車の安全性まで含めますから、かなり具体的な規定が必要だと思いますけれども、その前でも、いわゆるガスの規制というものを行政指導か何らかの方法でやってまいりたい、こう考えておるわけであります。その点は必ずしも食い違いがあるわけではなく、内容の面においては、多少私の考え方が先に進んでおりますけれども、せめて排気ガスの問題は、一年でも早くやっていきたい、こういう趣旨であります。
  27. 田中昭二

    田中(昭)委員 時間が参りましたから、最後にお願いを申し上げて終わりたいと思いますが、先ほどからずっと説明しておりますように、私もきのうも実際の整備工場に当たってきまして、実際の零細企業整備工場がたいへんな問題を——いまここでお話しになるように、そうやりたいと言うのだけれども、その現実を受け入れる工場はたいへんな心配をしておりますし、いま申し上げたように、膨大な車検行政が今後もスムーズにいくようにするためには、いまの法案について、行政指導等についても十分内容を考えなければいけないのじゃないか。いまの九十四条の二の改正なんか見てみますと、「二以上の事業場」云々というようなことがございますけれども、これはいま言うようにたいへんわかりにくい。そういうわかりにくいのを、もう少し何とか修正でもしてはどうか。そういうような考えがありますかどうか。その目的とするところは、国の車検行政業務がりっぱにできることと、それを受け入れる、それを応援する立場民間車検場を保護していかなければならない、保護というよりも、その体制を与えていかなければならない、こういうことを私は申し上げておきたかったわけであります。  以上の点をよく考えていただいて、今後の法改正を運用の面においてりっぱにやっていただきたい、こうお願いしまして終わります。
  28. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  29. 和田春生

    和田(春)委員 この法律改正につきましては、政府が何もかも責任をとって一手引き受けでやるんではなくて、民間の能力を活用していくという方向には、私は原則的に賛成でありますし、当初法案内容説明を聞いて私が理解をしておったところでは、原則的にあまり問題がないのではないか、ただ車検に対する責任制度について、二、三政府にただしておきたい、こう考えておったわけです。そこで、質問時間もせいぜい十分か十五分でよかろうと思っておったのですけれども前回に引き続き本日の審議にかけまして政府側の答弁をお聞きいたしておりますと、私が理解しておったのと政府の考えていることとだいぶ食い違いがあるようで、かなり重要な問題を含んでいるように考えます。  そこで、まず最初に基本的な問題について運輸大臣にお聞きしたいのですけれども、この法を改正する趣旨は、今後いわゆる車検というのは民間がやるのがたてまえで、政府はチェックするという立場に立っていくという方向を目ざしているのか、依然車検政府が主体となってやるのだけれども、増大する車の数に応じて、政府だけではなかなか処理し切れないので、民間の能力も活用しながらやっていく、そういう考えなのか。つまり、車検の主体は政府が持つという考え方か、民間に持たして政府がチェックするという立場に立つのか、これはどちらの方向を目ざしている法改正かということを、運輸大臣にお伺いしたいのです。
  30. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 この民間車検制度といいますか、当初これを考える——この法律はかりじゃありませんが、民間に車検を移すという基本的方針は、この種の仕事は、原則として民間にやらしてよいのではなかろうか。そして政府はこれに対して監督指導を行なう。しからば、三割ないし四割を国がやっていくのはどういうことかといえば、監督行政及び質のレベルアップをする上においては、やはりこれは政府で一部持っておったほうが指導する上においても便利である。しかし御質問の、原則はどうかといえば、民間を中心にしてやっていきたい、それが今後の新しい行政である、こういうぐあいにも考えておるわけであります。
  31. 野村一彦

    野村政府委員 ただいまの大臣答弁を補足いたしたいと思います。  今後の問題につきましては、いわゆる広い意味の検査の中に型式指定というものがございます。これは当然政府がやるわけでございます。それから新規検査についても政府がやるわけでございます。実際に日常使われている自動車、使用過程車の検査につきましては、たとえば大臣が申し上げましたように、その整備及び検査の実施は極力民間の能力を活用する、そしてその安全性についてのチェックは政府の監督責任のもとにおいてやっていく、こういう体制を考えております。
  32. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、政府は四十七年までですか、七割を民間車検に持っていくつもりだと言っておりますけれども、この七割というのは、使用中の自動車検査についてはそのほとんどすべてを民間の検査にまかせて、政府は監督の立場に立つ、政府としては型式認定とか新車の検査、そういうものをみずからやるだけである、そういう方向に持っていくということが、基本的なねらいであるというふうに確認してよろしゅうございますか。
  33. 野村一彦

    野村政府委員 七割というのは、使用過程車の七割を民間の車検にゆだねる方向計画をしておる、こういうことでございます。
  34. 和田春生

    和田(春)委員 時間的に一挙にできないので、漸進的にやっていくという意味はわかるのです一が、そういたしますと、使用中の車についての検査も、三割は政府が持ち続けていかねばならぬ、検査を担当しなくてはならぬという理由は何ですか。
  35. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  全国至るところに、民間指定整備工場にふさわしい技術のレベルを持った工場指定できるような体制になれば、これは民間に全面的にまかせることも可能でございますが、山間の僻遠の地もございますし、いろいろな点から、その指定工場の網というものが必ずしも全国に行きわたらないということは考えられるわけでございます。そういうことで、国としてやはり必要最小限はそういうところのカバーできるような体制をとって、そしてやるということは必要であろうと考えまして、国で三割を持つという見当をつけてやっておるわけでございます。
  36. 和田春生

    和田(春)委員 大体政府の意図しているところがわかったのですけれども、私も車にはかなり長い経験がありますし、いろいろ関係を持っている面もあるわけですけれども、これほど車がふえてまいり、またドライバーのほうも非常に数がふえてくるものですから、ドライバーみずからが自分で点検をしながら、車を常に最良の状態に保持していくということはなかなかむずかしくなってくる。そうすると交通安全、こういう面から考えましても、検査というもののレベルはやはり高い水準で維持していかなければならない。粗雑になってはいけないと思う。そういたしますと、政府の役割りとしては、民間車検に全面的に行く行くは委託するという場合に、民間車検で合格をした検査済みの車を、ときに抜き取り検査をするとか、あるいはときにはどこかでこれをチェックして、正常に行なわれているかどうかという機能を発揮していかなくてはいけないと思うのですが、そういうことについての計画はあるのでしょうか。
  37. 野村一彦

    野村政府委員 昭和三十九年から今日まで、民間の指定整備事業場を監督いたしますために、指定整備事業場の監督要員というのが各陸運局に配置されておりまして、それが少しずつ増員をいたしております。で、この監査、監督要員というものが、その管内にあります指定整備事業場を監査いたしまして、そして必要に応じていろいろ指導していくという体制をとっておりますが、この体制は、当然民間車検の拡大とともに、質的にも量的にも向上、拡大していかなければならない、このように考えております。
  38. 和田春生

    和田(春)委員 それも一つ指導として大事かもしれませんけれども、適確に行なわれているかどうかということについては、こういうことを言っては悪いのですけれども、高速道路の、たとえば入り口とか出口とかあるいはどこか適当なところに関門を設けて、ステッカーを張っていますから、そういう車検の済んだばかりの車をぱっぱっとつかまえて、そして要点を見ていく、いいかどうかというようなことをチェックしないと、今後ほとんど民間に全部委託してしまうというわけですから、それを全部巡回しながら一々指導するなんていったら、べらぼうな人数と金がかかるわけで、せっかくの民間に委託していくということの意味がなくなって、屋上屋を架することになり、またそこにいろいろ問題も起こりかねないと思うのですが、そういうふうな適正に行なわれているかということを、随時チェックするというような方法も考えてみなければいけないと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  39. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま、私ども先生のおっしゃいましたチェックの方法としてやっておりますのは、定期点検整備と申しまして、これは自動車のユーザーが、自分が使用しております車を一カ月とか三カ月とか六カ月とか、法律に基づく省令で定めましたチェックポイントを整備してチェックする、そしてその定期点検整備が行なわれましたならば、これを整備工場の定期点検記録簿にチェックしてもらって記録をする、そしてそれの済んだものはステッカーを張るというようなことを、一つの運動として励行をさせております。したがいまして、街頭等におきましては、警察等にも御協力をお願いしまして、そういう定期点検整備の済んだ車とそうでない車とを、これは行政指導でございますけれども、定期点検整備の励行ということをステッカー運動を通じてやっております。  それからもう一つは、交通安全国会議でございますか、ああいう会議のいろいろ御決定によりまして、警察等の御協力も得まして、いまおっしゃいました高速道路出入口における交通多発期における、何といいますか、街頭のチェックというようなことにつきましても極力やっておりますが、まだこれは私ども必ずしも十分とは思っておりませんので、先生御指摘のように、この点につきましては、さらにこれを強化をしていくというふうに努力いたしたいと思っております。
  40. 和田春生

    和田(春)委員 私の質問のポイントとちょっと違うのですよ。私もオーナードライバーを十年ぐらいやりまして、自慢するわけじゃないのですけれども、無事故なんです。自分でも車の整備を少しぐらいやりますよ。そういうあなたの言っておることではチェックにならない。車検の済んだすぐ直後に、その車検が適正であったかどうかということを点検するというか、チェックするという機能を持たないと、全体の車検のレベルを高く維持することは私はむずかしいと思う。車検の済んだ車でもずいぶんいいかげんなところがあって、私自身も経験しておるのです。それは大かたの工場はまじめにやっているでしょう。しかし、中にはずいぶんいいかげんなところもありますし、工場自体はちゃんとしておるけれども、担当した者がいいかげんなことをやると、車検の済んだ車がすぐあとで、プラグがおかしくなったりする例もないとはいえない。私は民間に全面的にまかすということはいいと思うのですよ。何もかも政府がやらなければならないというものではない。しかし、その場合政府は監督者の立場に立つべきだ。それは車検の済んだ直後の車が、適正に車検が行なわれたかどうかを全部やる必要はないので、随時抜き取り的にチェックするという能力を持たないと、ほんとうの意味の監督はできないのではないですかということを聞いているわけです。定期点検整備のことを聞いているわけじゃないのです。
  41. 野村一彦

    野村政府委員 先生の御指摘のように、検査の済んだ直後、いわば抜き取り検査といいますか、そういうことをやる必要性については、御説のとおりでございます。で、現在ある程度これをやっておりますけれども、きわめて不十分でございますので、この点はさらに強化をするように努力いたしたいと思います。
  42. 和田春生

    和田(春)委員 これから全面的に民間にやらせていくというのが今後の方向でございますと、問題は、一つ整備士一つ検査員、これの養成だと思うのです。現在におきまして、たいへん整備士が不足しているということは御承知のとおりであります。そういうような整備士とか検査員の養成、訓練、そういうものについて政府はどういう計画をお持ちですか。
  43. 野村一彦

    野村政府委員 整備士の養成につきましては、一般の工業大学とかあるいは専門学校等を指定いたしまして、そしてその中で自動車関係の工学を修めた人、そういう人々に一つの大きなソースを求めておりますとともに、今度は工場において実地にいろいろと技能を修練された人々に対しまして、これも第二のソースと考えております。そういう方々を合わせまして、各陸運局ごとに技能検定試験をやりますが、その前に整備振興会等の協力を得まして、研修を各陸運局を中心にやっております。そうしてそこで技能検定試験という国家試験をやりまして、そうしてそういう方々に資格をやるというような計画をしておりまして、大体現在年間検定試験の合格者が十万、二十万ぐらい受けまして十万ぐらいの方が合格をしております。これらの方々が全部整備工場に入っているわけではございませんが、そういう学校による養成、それから実地で習得された方、こういう方々を合わせて、技能検定試験によって技術者確保をはかっておりますが、さらにこれを今後強化をしていきたいと考えております。
  44. 和田春生

    和田(春)委員 最近報ぜられるところによりますと、一部の石油会社等ではみずから整備士資格をとらせまして、ガソリンストンドに全部配備をするとか、あるいはメーカーでも整備士の教育をやろうということを考えておるのでありますけれども、この自動車時代というものは、将来はどうなるかは別として、当分続くと思う。そういう点で、こういう力のあるところが自分でやるのはけっこうでございますけれども、六万近くある事業場、その中から政府車検をやられるような工場をピックアップして全面的に委託をしていくという場合に、やはり整備士検査員の質と量というものが大事だと思う。そういう点で現状では非常に不足をしておると思います。  そこで、そういう養成に対して政府みずからがもっと積極的に乗り出すべきではないか。というのは、いままで政府のやっていた仕事を民間に委託をしてそれを活用するということであるなら、政府としてその監督をして、それからそういう民間の技能を向上させていくために、教育、指導、訓練という点に重点を置いていかなくてはいけないと思うのですけれども、どうもそういう点がちょっとあいまいになっておる。どういう具体的な計画をお持ちになっておるか、お聞きしたいと思う。もしないとすれば、ここでひとつ運輸大臣から、積極的にやるということをお約束願いたい。
  45. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま自動車局長からお答え申し上げましたように、学校が一つと、それから職業訓練所等で年間十万人くらいの整備士ができておるわけです。もちろんこれでも十分ではないと思いますので、積極的に各高等学校なり、工業学校なり、あるいは職業訓練所なりにお願いをして、より人員についての養成をいたしたいと考えております。
  46. 和田春生

    和田(春)委員 それから次に、その監督や、また民間車検というものを有効にやっていくというためには、やはり信賞必罰、ということばが適当かどうかわかりませんけれども、いいところはどんどん育ててやるかわりに、インチキなことをやったり、いいかげんなことをやったところは、どんどん指定事業場でも取り消していくというぐらいの強い行政指導がなければならぬと思う。今日まで、そういうふうに取り消したという事実はあまり聞いていないのですけれども、何件ぐらい、これまでの実積で取り消したものがございますか。   〔委員長退席、村山委員長代理着席〕
  47. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  検査員につきましては、罰則の適用については、法令により公務に従事する者とみなされるという規定になっております。したがいまして、その検査について違法なことがあれば、公務員と同じような処罰の対象になっております。  それから、指定整備事業につきまして、いままで監査あるいは聞き込みその他によりまして処分をしましたものが、昭和四十二年から四十四年まで十八件行政処分をいたしております。
  48. 和田春生

    和田(春)委員 そうなっているというのじゃなくて、どういう実績があるかということをお聞きしたのですけれども、四十二年から四十四年までに十八件ということになると、これはまあやったもやらぬも同じようなもので、全然やらなかったと言ってもいいので、よほどこれは悪質というか、目に余ってどうにもならぬものがそうなったのじゃないかと思う。事実上ほとんど野放しというのがこれまでの実情ではないかと思います。中小企業育成するということはけっこうなんです。それはいい企業をいい方向育成するということであって、いいかげんなものをなれ合いで見のがしておくというようなことでは、政府がせっかく民間に全面的に車検を移していこうということが、大きなやはり行政の穴になるという危険性があるわけです。評したがって、今後そういう方向に持っていく以上、だめなものはやはり取り消す、そういうきびしいことがなければいけないと私は思う。そしていい方向に持っていくためには、積極的に資金の面でも、教育訓練の面でも、行政面でも、いわゆる助成をしてやる。それが必要だと思う。そういう点につきまして、ひとつ運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  49. 野村一彦

    野村政府委員 大臣の御答弁をいただきます前に、数字を御報告申し上げます。  先ほど私、十八件と申しましたが、これは業務停止等を命じた最高の処分でございまして、是正命令といたしましては、四十四年度全国で百六十八件、それから警告件数が同じく四十四年度六百八十八件でございます。
  50. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、徹底した信賞必罰が行なわれておらないかもしれませんが、御承知のように、いま自動車が激増しておる時代でありますから、頭から事業をやめてしまうということはできるだけ避けていきたい。したがって、いま申しましたように改善命令、警告等を合わせますと相当の数にのぼっておるわけであります。何とかしてやはり事業をよくしてあげたいというのが、当然の零細企業に対する指導方針であります。しかし、どうしても改善のできないものは、これはもう停止を命ずる以外に道はありません。したがって、今後ともその点は強く、かつまた愛情を持って一方においては指導していきたい。  実は、この整備工場に対するいわゆる財政的裏づけとして、四十六年度に運輸省としては二十億円の投融資の金額を要求したのでありましたが、残念ながら全体の投融資のワクが少ないために、これがゼロになってしまった。しかし、この問題はそう金額も多いわけでもありませんので、できれば四十六年度中でもこれを復活していきたい。四十七年度には相当金額を、いわゆる投融資の面でめんどうを見まして、この法律に伴う財政的な裏づけの面を固めていきたい、かように考えております。
  51. 和田春生

    和田(春)委員 その点は、積極的に進めていくように重ねて要望いたします。  最後の質問点は、この法の九十四条の二の三項の改正につきまして、先ほど田中委員のほうからかなり質問をされておったのですけれども、私も少し確認をしたいことがあるのですが、どうもいままでの質問に対する当局答弁を聞いておりますと、実情を全然知らぬと言うと言い過ぎですけれども、実情がわかってはいないのじゃないかという気がするのです。  問題なのは、何か協同組合をつくって、この前の委員会でも答弁されておりましたけれども、ある工場にはAという検査設備がある、ある工場にはBという検査設備がある、そういうようなものをまとめてやれば、そこのところで車検の能力があればやらすというようなことをおっしゃってみたり、あるいは何社かずっと集まって協同組合をつくってと言いますけれども、それは織機のメーカーとか、あるいは部品の下請とか、あるいは紡織であるとか、家具の製造であるとか、いろいろ業種によりましては一地域にたくさんの小さい工場がずっと固まっておって、そしてそこのところで協同組合ができるということはありますけれども自動車の分解整備をやる工場というのは、実態をごらんになったらわかるように、そういうふうになりにくいのですよ。なぜかといえば、非常に地域性というものがあるわけですから、自分の近くのところへ持っていくわけで、一カ所に集まっておったのではあまり商売になりませんから、やはり一カ所にたくさんあると競争になるわけです。そういう点で非常に分散をしているのですね。そういう中で協同組合をつくらしてどうのこうのとか言ったって、結局それは妙なことになってしまって問題があるのではないか。私は最初説明を聞いたときに、これはもっと非常に狭い範囲を考えておられて、あるいは二つの工場とか三つの工場とか、それを協力工場として一つの系統にやれるという場合に、いい設備があればそれを使わして車検をするというふうに考えておったところ、どうも質疑応答のやりとりを聞いておりますと、何か中小企業育成とかね合わして、集めて何かやらせるというようなことを考えておられるようなんですけれども、私はそれは効果がないばかりか——できるものも部分的にはあるでしょう。しかし、実際はいいかげんなことになって、おかしなことになるのじゃないか。  そうすると、むしろこれは逆で、政府が全面的に民間に車検を移していくというたてまえならば、結局政府車検は、整備はやらずに検査だけやっておったのですね、簡単に言うと。民間にも検査専門の工場検査専門の事業を認めていくのだ、むしろ積極的にそれを養成していくのだ。そこに幾つかの工場が登録をすれば、その工場については検査能力がなくても、そこのところの車をAならAという整備工場に車を入れた、それ自体は車検能力はないけれども、別に登録をしている車検専門の事業場がある、そこで検査をしてもらってくるのだ、そうすれば政府はその車検専門のところをチェックし、そこのレベルを上げていく、そういうふうに考えたほうがむしろ将来の方向としては自然なのであって、中途はんぱなものを一ばい集めて協同組合をつくらせると言ったって、うまくいかないし、それは結局責任の分散、無責任体制になって、いいかげんなことが行なわれるということになると私は思うのです。その点いかがでしょうか。
  52. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま先生の御質問は、あるいは説明が不十分のために、私どもの考えていることを正確に御理解いただけなかったかと思いますが、一つは、協同組合等の事例を申し上げましたのは、中小企業育成方向として従来やっておりました融資とかあるいは近代化、構造改善というようなことのほかに、今度の共同使用あるいは検査員の兼務ということも、これを活用されれば一つ育成の柱になるということを申し上げたわけでございますが、問題は、その地理的な関係でございまして、もちろん一番便利なのは、地理的に近い近隣の事業者が相寄って共同施設を持つということが一番便利でございます。しかし、ある程度地理的に離れておりましても、それが同一法人の傘下にある場合は、それをもその地理的な状況を考慮しながら対象に考えるということでございます。  それから、第二点として先生がおっしゃいました、いわゆる検査を主体とすると申しますか、専門とするそういう工場育成ということでございますが、私ども現在までとってまいりました制度は、いわゆる検査だけをやる専門の事業、たとえば公認会計士とかあるいは税理士とか、そういう独立して他人の依頼に応じて——この場合でいいますと検査だけをやるということは、今度の法改正では考えておりませんが、いま先生のおっしゃいました趣旨にある程度即応すると思いますのは、幾つかのそういう事業場があって、その中で整備能力もすぐれ、あわせて検査能力もすぐれておる、そういう既存の事業者に、新しいもよりの事業者が、その検査場共同使用、あるいは同一人格の中であれば検査員の併任というようなことを認めるということになって、それが中心になって自分の地理的に近い、あるいはいろいろな面で関係の深い事業場と提携をしていく、そして検査能率を進めるということは、仰せのとおりでございます。ただ私どもとしては、検査だけを専門にする事業ということは、従来もそうでございましたが、今度の改正でも考えておりませんが、先生の御趣旨は、私が後段に申し上げましたようなことである程度取り入れておるつもりでございます。
  53. 和田春生

    和田(春)委員 ある程度事業場が集まってやればいいとおっしゃいますけれども、これは地理的な条件というのが一つの制約、もう一つ工場のスペースなんですよ。一通りの検査施設をやろうとすれば、かなり大きなスペースがないとだめなんです。小さな工場が三つや四つあったからといって、一緒にしたって、そのスペースは生まれてこない。工場が十ぐらい全部くっついておって、かきねを取っ払って一つの敷地にするというのならできますけれども、そんなに二十メートルや五十メートル離れて幾つもあることはないのですよ。チューンアップのできるガソリンスタンドがある、横っちょに板金工場がある、片方に修理工場がある、三つあったって検査能力なんかできっこないですよ、そんなものは。それが実情だと思う。どうもこれに対して政府が考えていることは、実情を業者などからもお聞きになるとか、実際足で見ていないという感じを、いままでの質問を通じてもぼくは痛感するわけなんです。  ですから、そういうことよりも、やはり政府がみずからいままでは車検をやっておった、数がふえたりして民間の機能を活用しよう、そして政府は監督の立場に立つというのなら、民間自体でそういう検査を専門にやる、そういう事業場というのが成り立っていくような方法を考えてやる、それのほうが政策の筋としてはやはり正しい方向を向いておるのであって、中小企業協同組合か何かをやって、そして検査設備を持たすということは、あまり効果がない、こういうふうに私は考えるわけなんです。これはあまりうまくいかぬように思うのですが、うまくいくとお考えですか。いくならいく、いかぬならいかぬと、はっきり答えてください。
  54. 野村一彦

    野村政府委員 努力すればうまくいくと考えております。
  55. 和田春生

    和田(春)委員 最後に、運輸大臣にお伺いしますが、いま自動車局長は、努力すればうまくいくと断言されておるわけです。いかなかった場合には、ひとつ責任をとっていただけますでしょうね。その点、ひとつ運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  56. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 法律運用にあたっては、いろいろお話がありまして、たいへんいいアドバイスを受けておりますので、法律の範囲内で、いま和田さんのおっしゃったような共同検査場がやれるのかどうなのか、この法律内容で。いま事務当局としては、そこまでは考えておらぬようでありますけれども、しかし法律の読みようによっては、そういうことが可能なのかどうなのか。ただ、こういうことは私は専門家じゃありませんからわかりませんけれども、たとえば自動車の修理の中には、大別するとA、Bに分けられるのじゃないか。Bのほうはいろいろ板金のようなものがある、Aのほうは大きい修理ですね、オーバーホールとかいうものが必要になってきましょうが、そういう面と、いわゆる検査というものと併用するという形も考えられるのじゃなかろうか。いずれにせよ。お話の点はこれは法律とは直接関係があるのではありますけれども、行政の指導面において、かなりこれは実施できる問題もあるように承りますので、この点は積極的に処理して、そうして監督行政の責任を果たしていきたい、かように考えております。
  57. 和田春生

    和田(春)委員 じゃ、最後に重ねてこれは望んでおきたいのですけれども、結局省令に委任をされているわけでございまして、管理の方法、位置その他について省令をどうきめるかということが、この問題をどういうふうに運んでいくかということについてかなり重要な位置を占めると思うのです。この省令案について、この運輸委員会にあらかじめ御報告していただきたいと思いますが、その点お約束できますか。
  58. 野村一彦

    野村政府委員 省令案につきましては、私ども現在まだ条文の形にはなっておりませんが、内容にはできておりますので、御報告できることをお約束できます。
  59. 和田春生

    和田(春)委員 じゃ質問を終わります。
  60. 村山達雄

    ○村山委員長代理 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。      ————◇—————
  61. 村山達雄

    ○村山委員長代理 次に、港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小此木彦三郎
  62. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 まず、防衛施設庁の方が、ちょっとほかの会議の都合で時間がないそうですから、順序を別にいたしまして、そのほうから質問させていただきます。  防衛施設庁の方、これも港湾整備五カ年計画の一環の問題でございますけれども、現在全国の主要港湾における米軍による接収状況、その解除の見通しをまず聞きたいのでございます。
  63. 平井啓一

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  現在、日米安保条約に基づく地位協定によって在日米軍に提供しております港湾施設は、全部で八カ所ございます。ただ、港湾施設と申しますのは、われわれのほうが一応、米軍が使用しております用途別の分類に従って分けたわけでございますので、港湾行政上の港湾施設と概念的に一致するかどうかは、若干疑問なところがあろうかと思います。  まず、その港湾施設状況、返還の見通し等について、西のほうから申し上げますと、九州では、佐世保に三カ所ございます。佐世保海軍施設とドライドック施設と立神港区というのがございます。これらはいずれも現在、在日米海軍が非常にひんぱんに使用しておりまして、特に昨年の十二月二十一日の第十二回日米安全保障協議委員会で米軍の再編計画が発表されました際に、第七艦隊の旗艦、その他の部隊が佐世保に移駐するという方針が出ておりますので、今後佐世保ではむしろ使用度が若干増加するのではなかろうかと思われます。   〔村山委員長代理退席、委員長着席〕  それから、同じく九州で門司港及び倉庫地区というのがございます。これは現在やはり海軍が使用しております。これにつきましては、現在使用の頻度は必ずしもそう多くはございません。しかし、依然として米軍はこれの必要性を強調しておりますので、返還の見通しについては、いまのところむずかしいのじゃなかろうかと思います。ただ、米軍の使用度に応じまして、現在第二岸壁のほうを民間の使用に共同使用するという方法を講じております。さらに第一岸壁につきましても、目下米軍と、民間の共同使用の範囲を広げるように折衝中でございます。  次に、広島県呉に港湾施設が二カ所ございます。呉の艀碇泊地区と申しますのが呉港の北のほうにございます。これにつきましては、非常に小さい施設でございますが、米軍が小型の上陸用舟艇をそこに乗り入れて物資の積みおろしをやっている場所でございます。この前面を呉市が埋め立てをして流通センターをつくりたいという御計画があるものでございますから、この施設を呉港の南のほうにあります第六突堤、これも提供施設でございます。そちらのほうに施設を移設することによって呉の施設は一カ所は日本側に返還させたい、そういうことで、近くこれも実現の見通しが出ております。  次に神奈川県に移りまして、横須賀海軍施設がございます。この横須賀海軍施設につきましては、先ほど申し上げました十二月二十一日の安全保障協議委員会におきまして、横須賀海軍施設の将来の米軍の使用については、縮小された在日米海軍指令部とその他の兵たん支援部隊等を残し、第七艦隊の旗艦及び第七潜水艦その他の部隊を佐世保に移駐するという方針が出ております。したがって、これに基づきまして、横須賀にありますところのいわゆる艦船修理部、この中で第六乾ドックを除きまして、第一ドックから第五ドックまでは日本側に返還されるという方針が出ております。ただし、返還された後も、一部米艦船の修理の必要があった場合には、ひとつ計画ベースでこれを受けてもらいたいという一応条件的なものがついておるわけでございます。その他の横須賀海軍施設の一部につきましても、今後日米間で協議をして、一部分の返還をはかっていこうという方針が出ておりまして、現在具体的に作業を開始しようとしているところでございます。  それから最後に、横浜港にありますところの横浜ノースドッグでございます。これは現在軍事海上輸送部の極東指令部がここにございまして、海上輸送してきましたところの補給物資等の積みおろし、そういったものの作業をやっているいわゆる兵たん輸送関係の中枢機能でございます。これにつきましても、年末の安保協議委員会におきまして、横浜地区における米軍施設につきましては、海上輸送指令部の機能は若干縮小された形で引き続き保持していきたい、そういうことを申しておりますので、この施設そのものは、今後も引き続き保持していきたいという意向であろうとわれわれは考えております。ただ、今後米軍の使用の状況、ここにおいて果たすところの機能の推移等をながめながら、十分日米間で施設の取り扱いについて協議を進めていきたいと思っております。
  64. 福井勇

    福井委員長 平井調整官その他の方に申し上げますが、もう少し要領よく、短く答弁してください。
  65. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 もう一つ防衛施設庁に伺いますけれども、防衛施設庁としては、そういう港湾施設の中で、その港湾にとってどこの場合が一番重要であるか、そういう認識を持っておられるか、そしてまた、そういうものに対して接収解除の熱意と申しますか、そういうような熱意をどういう方法でやっておるか、その点ちょっと聞きたいのですが……。
  66. 平井啓一

    ○平井説明員 施設庁のほうは、港湾行政については専門的な立場でございませんので、自主的な判断はできませんが、絶えず運輸省あるいは港湾管理者等からのいろいろな御意見、御要望を承りながら、米軍の使用と日本側の使用との両方が共存できるような調整を、絶えずはかっていっております。
  67. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 じゃ、防衛施設庁のほうはけっこうです。  最初の質問に返りまして、先般閣議了解されました総額二兆一千億円の新港湾整備五カ年計画が、いま私たちが審査に入りました本法案の成立の施行によりまして、第四次の港湾整備五カ年計画として策定実施されまして、戦後恒常的に不足がちでございましたわが国の港湾施設整備に、強力に寄与するものと考えるわけでありますけれども、その今回の新港湾整備五カ年計画の完全実施をするためには、まず第一に十分な資金手当て、あるいは予算措置を、各年度について配慮することが何といっても必要欠くべからざることと思うわけでございますが、この点につきまして、大臣の決意をまずお聞かせ願いたいのであります。
  68. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 今度の新しい五カ年計画目的一つは、御承知のように港湾整備がおくれておるということが一つと、もう一つは、やはり新全総という昭和六十年の将来を長期計画の上で考えて、どうしても港湾の全国総合的な開発を行なう必要がある。したがって、前の五カ年計画は一兆三百億円でありましたが、今度は二兆一千億円という倍以上の額に広げたわけであります。そのうちの一部分が、先ほど申したように昭和六十年の将来を考えるというと、かなり全国的に大規模港湾のいわゆる開発を行なわなければならぬ、その費用がある程度入っておるわけであります。  したがって、膨大な金額になりましたので、いま御質問がありましたように、その財政的裏づけがあるのかどうかという問題があるわけであります。この計画は、従来中期経済計画といいますか、政府が立てましたその範囲内の一応のわれわれの計画でありますので、いわゆる従来考えておったものにべらぼうな数字を乗せたわけではありません。したがって、運輸省といたしましては、このいわゆる新五カ年計画は妥当である。また閣議もこれを了承したということは、当然大蔵省当局においてももちろん、これは毎年における予算の増額の点についての差はありましても、最終的にはこれだけのものは大蔵当局も認めるという前提に立っておるのでありまして、私もこれに対しては最善の努力をして、裏づけは実施してまいりたい、かように考えております。
  69. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 それでは、過去第一次から第三次までの港湾整備計画、これの資金の投入量あるいは進捗率の実績、そしてまたその数字あるいは事実に対して、当局はどういう考え方を持っておられるか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
  70. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いままで第一次、第二次、第三次というふうにかりに名前をつけますと、今度は四回目でございますけれども、第一次につきましては、港湾整備事業は二千三百三十億円でございましたが、これは昭和三十六年から四十年までの計画でございまして、四カ年間実施いたしまして千八百三十一億円投入実績がございまして、達成率は七九%に相なっておるわけであります。  次に、四年間で第二次に移ったわけでございますが、昭和四十年から四十四年までの間に、港湾整備事業の投資規模を四千八百五十億円という予定で進めまして三年間進みましたが、その間二千三百六十五億円投資いたしまして、四九%の達成率に相なっております。  次に、第三次につきましては、四十三年から四十七年までに改定いたしまして、港湾整備事業八千億に対しまして、三カ年間で三千八百七十一億円、進捗率は四八%ということでございます。これを四十六年から新しい五カ年計画に改定いたしたいというふうに思っております。
  71. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 いまもちょっとお聞きしたのですが、その数字、事実に対して政府当局はどういう考え方を持っておられるか、この点ちょっとお聞きしたいのです。
  72. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 各五カ年計画を策定した時点につきまして、おのおのいろいろ名前がついてございますが、国の経済計画ができまして、その経済計画の経済指数に基づきまして、港湾の貨物量というのは、比較的というよりも非常に経済指数、鉱工業生産指数であるとか、そういうものによく合うものでございまして、生産が伸びれば港湾の貨物が非常にふえるという傾向がございまして、過去数回ばかりにわたりまして、いずれも予定よりも上回っておりまして、これが経済計画改定に合わせまして、新しい取り扱い目標を想定いたしまして実施してまいった次第でございます。
  73. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 要するに、貨物の伸びが想定量を大きく上回った。そうしますと、三年間約五〇%弱の進捗率ということになるわけでございますが、それはあまり十分でなかったような気がするわけであります。もっともこのことは、経済成長のテンポが予想外に早かった、こういう事実を考えれば、当局だけを責めるわけにもいかないと思うのでございますけれども、それでは四十六年度港湾予算の規模、また事業費の伸び率はどのくらいになるか。また、四十七年度以降において、どのような伸びで一兆五千五百億円を消化していくのか、一応最初の質問と多少重複いたしますけれども、今後の予算手当てについて、当局の基本方針というものを具体的にちょっと伺いたいのです。
  74. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま予算の御審議を願っておりますが、私ども港湾のほうで一般会計で計上しております予算は、約九百十二億円でございます。これは一般会計のベースでございますので、これを事業費で私のほうで換算してみますと、約千九百二十億円と相なろうというふうに見込んでございます。前年度、四十五年度の当初予算と比較いたしますと、約二四%、正確には二三・六%の伸びに相なっておるわけでございます。これは将来のことは毎年の予算できまるわけでございますけれども、今後の四十六年の事業量、先ほど申し上げました現在見込んでおります千九百二十億円をベースにいたしまして、一兆五千五百億円を等比で逆算してみますと、約二四・二%程度の伸び率で進めば達成できるというふうに考えておりますので、大体、先ほども大臣からのお話がございましたように、額がふえればむずかしくなりますけれども、率からいけば、等比を達成できそうであるというふうに考えております。
  75. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 それでは次にお聞きしたいことがあります。この計画の万全を期するために必要なことは、もちろん法の施行後、当局が作業する整備計画の閣議決定に至るまでのいろいろな、いわゆる詰めの作業の内容のいがんだろうと考えるわけでありますが、今後の計画の実施を円滑にやっていく、あるいは効率的にやっていくということは言うまでもないわけでございますが、その詰めの作業として当局はどういう点に配慮して、どういう点に重点を置いてやっていくのか、その概要を、簡単でいいですから説明していただきたいと思います。
  76. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 今後のスケジュールを簡単に申し上げますと、本法案を御審議いただいてございますが、この法案が成立いたしますと、これを受けまして、具体的には、各管理者の計画と私どもが考えております重点項目と十分すり合わせいたしまして、管理者からあがってくる計画を整理いたしまして一応案をつくりまして、これは経済企画庁と当然協議しなければいけませんけれども、あるいは北海道の開発庁その他関係各省と十分相談いたしまして、港湾審議会の審議をいただきまして、閣議決定へ持ち込むという手続に相なろうと思っております。  私どもが現在考えております五カ年計画で重点事項と申しますと、大きくあげますと二点ございまして、一つは輸送需要に対応する港のつくり方、端的に言いますと、貨物が非常にふえてまいりますので、そういうふえた貨物、輸送需要をどういうふうに受けとめるかということと、内容的には船が大きくなってきた、あるいはコンテナ船であるとかフェリーであるとかというふうに、従来なかったような新しい輸送体系が生まれてまいっております。これにどうこたえるかという点でございます。  それから次に、最近いろいろと議論が出てございますように、港の安全性の確保と申しますか、これは港そのものの台風時その他の安全性、あるいは港内の船舶交通の安全という点もございますし、あるいは港以外の航路の整備、狭いところや浅いところの整備もいたしたい。なお、先般の国会でも御審議いただきましたように、海水の油濁防止施設、これも従来考えたよりも急速に広範囲にやらなければいかぬ。そういうふうに、いわゆる公害防止という意味の施設も取り込んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 そういう中で、私は特に今後大きなポイントとして留意してもらわなければならないと思う点があるわけでございますが、それは港湾施設整備と陸上交通網の整備、その調整のことです。つまり港と道路あるいは鉄道の連係をどうやって考えていくか、これを特に強調しておきたいのであります。この問題の重要性についてとやかく言うことは非常にあれですけれども、いまお話のありました港湾と道路との関係で、特に必要度の高い外貿コンテナあるいは内貿フェリーについて、この五カ年計画の中での内容をちょっと知りたいのですが、まず外貿コンテナについては、三湾におけるコンテナ貨物量の推移と見通し、今回の計画内でのコンテナ整備内容あるいは方針を、具体的にお答えいただきたいと思うのです。  それから、一緒に聞いてしまいますけれども、中長距離カーフェリー輸送の増大が予想されるときに、その見通し並びに本計画によるフェリー埠頭の施設整備計画について、ついでに伺っておきたいと思います。
  78. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 外貿コンテナにつきましては、先般海運造船合理化審議会の答申にもございまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾で主として使うというふうな答申が出てまいっております。外貿コンテナの推移について簡単に申し上げますと、昭和四十三年に発足いたしまして、当時は五十万トン程度でございましたが、昭和四十四年には二百五十万トンにふえております。昭和五十年になりますと、いまのところ約二千八百万トン程度にふえるだろうというふうに予想しております。  なお、フェリーにつきましては、これはフェリー貨物の港湾トンでございますので、トラックそのものが貨物になりますけれども、要するにフェリーで運んだ車を港湾トンに換算いたしますと、昭和四十三年に二億四千万トンでございましたのが、一年たった四十四年には三億三千万トンというふうにふえてございます。今後の傾向を推定いたしますと、一応私ども昭和五十年には、七億七千万トン程度にはふえるのじゃないかというふうに考えてございます。  なお、先生から御質問ございました、では今後フェリー埠頭をどれくらいふやすのだというお話でございますが、実はトン数の計算はマクロ的にいたしたわけでございますが、これは海運局とも十分相談いたしまして、いまの整備方針といたしましては、近距離フェリーは住民の足でございますから従来の方法でやりますが、中長距離フェリーその他につきましては、昨年港湾法を一部改正いただきましたので、そういう会社あるいは公社と申しますか、そういうふうな民間資金を利用できるような埠頭の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。具体的には、今後五カ年計画の策定の間に、海運局の見通しあるいは各管理者の御希望、御意見等をいれまして考えたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、中長距離フェリーは伸びるという前提で対処したいと思っております。
  79. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 そこで、いま言われた外貿コンテナにしたところでカーフェリーにしたところで、重大な関連を持つのが、何回も申し上げるように陸上交通網との連係にあるわけですが、それでは、今回の港湾整備五カ年計画の作成、実施にあたって、予想を上回る貨物量であった、そういうことを見比べながら、当局は港湾施設の中の道路と外の道路との連係といいますか、そういうことを一体どう配慮して作業していくのか。たとえば、重要港湾以上の港湾には事業計画の提出を求める、そしてまた中央における審査の過程で、もちろんこの港湾整備の問題と同時に道路の整備の問題が取り上げられると思うのでございますが、これをどうやって具体的に詰めていくのか、またどうやって監督していくのか、あるいは取りまとめていくのか、その点を特に聞いておきたいです。
  80. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生御指摘ございましたように、港湾法の四十八条で、港湾の長期計画につきまして、港湾審議会というのがございまして、これは運輸大臣が重要港湾以上の計画につきましては計画審議会に審査していただくのですが、その審議会の構成メンバーの中に関係各省の方が入っていらっしゃいますので、相談して、長い目で見た場合の港湾と道路その他の斉合性をはかっていくというように進めておるわけでございます。  なお、五カ年計画を具体的に各港で積み上げていく場合には、先ほどまず管理者と相談すると申しましたが、管理者が計画をつくる段階で、管理者というのは御承知のように地方公共団体の長でございますが、地方の段階で道路管理者その他と道路計画とも十分斉合性を保つようにというふうに、こちらからも指導いたしまして合わせていただく。それがあがってまいりまして、私のほうでもチェックいたしますし、特に大きな問題があれば、建設省とも事前に十分相談して計画をまとめていきたいというふうに考えております。
  81. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 港湾と道路といっても、むしろ港湾と高速道路のほうの関係が十分整備されていないんじゃないか。これは港湾施設整備に比べてこれに連絡する道路整備がおくれている。だから日本じゅう至るところにネックができ上がってしまっている。あげれば切りのないほどそういうネックがあるわけでございますけれども、私はそういう具体的なところの例として、日本の代表的な港湾である横浜、そして横浜の中でも東洋一と称されるところの本牧埠頭、これを一つの例として取り上げまして、この法案審議の参考にしたいと思うのでございます。  つまり本牧埠頭は、国の要請に基づきましてあれだけ大きな規模のものを建設しながら、今日この地域から円滑に流れる道路網の整備がまことにお粗末だ、極端にいえばないにひとしいわけであります。こういうことになってしまったことは、当初港湾審議会の答申の中に背後地の道路のことに関して何か付せられた意見がなかったか、あるいはまた地元横浜市に将来の計画に対して配慮が足りなかったか、あるいはまた政府当局にそういうような指導が欠けていたか、あるいはまたみんながみんなそろってこれに関してそんなに貨物がふえるとは思わなかった、そういう見込み違いをしてしまったのか、このいずれかと思うのでございますけれども、それらのどれであったかということをちょっと聞かせてください。
  82. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いろいろとあげられまして、端的に私の感じを申し上げますと、当初予想した貨物の動きが、予想以上に非常に早かったという点じゃなかろうかと思います。したがいまして、むしろ道路管理者のほうにも御迷惑をかけたという感じがいたします。港湾施設のほうは、横浜は御承知のように非常に船ごみの激しいところでございますので、どんどん使ってございますが、それに背後地との連絡が不十分であったというふうに思います。
  83. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 港湾審議会の答申に、そういうものが別に意見として書かれてなかったということですか。
  84. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 当時の港湾審議会の記録を見ますと、議論にはございましたけれども、付帯意見とか附帯決議というところまでいきませんで、当時の私どものはじいておる予想貨物量に対しては、当時の都市計画なりあるいは道路計画なり、大体そろっているのじゃないかというふうに存じておるような次第でございます。
  85. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 私はこの本牧埠頭の場合は、当初の港湾審議会の答申そのものの考え方というか、あり方に多少の問題があるのじゃないかというような気がするわけですが、単に港のことだけ考えていればいいということではまずいと思いますし、どだい今日の港湾というものは、外国から来る道路と日本の中の道路との一つのインターチェンジだというようなことを考えるべきであるし、またいまお答えのように、貨物の量に対する見込み違いという部面が非常に多い。こういうことは、過去のことだからしかたがないと言って見過ごしてしまうには、ちょっと大きな問題じゃないかという気がするわけです。  そこで、そういうことになれば、もちろん新しい五カ年計画あるいは年度予算、さらには各省との連絡の中で今後十分考えてもらわなければ困るということなんですが、現実にこのマンモス埠頭の荷物のさばきが困難をきわめておる。そうしてこれを取り巻く主要な道路計画というか、そういうものが二、三年のうちにはできる可能性が全然ない。とすれば、今度は私は実は建設省の方に伺いたいのですけれども、現在二、三年のうちにこの本牧埠頭を中心とする道路計画というものが実現の見込みがない。だけれども、五、六年先にはたぶんできるであろうという計画が三つあるわけです。その第一は、東京湾の海のほうから来るところの例の橋、ベイブリッジ、そしていま一つは、臨港地区から磯子のほうの国道へ向けてつくられるという新山下バイパス、三番目は、この本牧埠頭の入り口に近いところの山下橋まで昭和四十六年に完成する予定だったが、これは大幅におくれてしまって、五年おくれて五十一年に完成するもの、この三つあるわけです。  そこで、最初の問題から建設省に伺いたいのですけれども、一体いま申し上げたベイブリッジの建設というものは技術的に可能であるのかどうか、かりにもし技術的に可能であってもお金がいっぱいかかるとすれば、もっと簡単にできる方法で、要するに海のほうからつくった道路計画でいい方法があるのかどうか、その点ちょっと伺いたいと思います。
  86. 井上孝

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  御質問のベイブリッジは、東京湾の湾岸道路の一部でございます。湾岸道路は、最近の東京湾の周辺の港湾の広域化と申しますか、そういうものに対処いたしまして、建設省としては非常に重点的に実施をし、また調査を進めておるところでございます。御質問のベイブリッジの部分は、大黒埠頭と本牧埠頭の間、すなわち現在の横浜港の出入口がございます、あそこに実は横浜市の計画として大規模な橋梁をかける、いわゆるベイブリッジをかけるという計画が提出をされまして、現在はこの湾岸道路は建設省が直轄で調査をいたしております。したがいまして、このベイブリッジの部分も、現在は建設省が担当して調査をいたしております。現在の段階では、橋にするかあるいは水底トンネルにするか、この二案がございまして、それをいろいろと比較をしておりまして、まだ結論を得るに至っておりません。  ただ、現在までの検討段階を若干申し上げますと、ベイブリッジ、いわゆる橋梁にいたしますと、横浜港に出入りする大型の船舶がこの下をくぐらなければなりませんので、おそらく路面の高さが海面から六十メートル以上という非常に高い橋になります。したがいして、その橋まで上がります取りつけ道路が非常に長くなりまして、せっかくの大黒埠頭あるいは本牧埠頭に取りつけが非常にむずかしくなる、そういった難点がございます。一方水底トンネルにいたしますと、いわゆる沈埋式のトンネルでございますが、海底に路面の深さが二十メートルくらいで済みそうでございまして、現在のところ水底トンネルのほうが技術的な問題点が少ないという程度のことはわかっております。これも早急に計画を固めなければなりませんので、ただいま概略設計中でございまして、今年中くらいに橋にするか水底トンネルにするかの結論を得たいというふうに考えております。
  87. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 われわれ心配するのは、ベイブリッジにしたところでいまおっしゃったトンネルにしたところで、こういうものはどっちも大工事には違いないのですから。既存の公団埠頭やあるいは港の施設を破壊したりするのではないか、あるいはそういうような場合がかなり方々で起きてくるのではないかということを心配するわけですが、それはそれといたしまして、ベイブリッジにしたところでいまのトンネルにしたところで港の中に入ってくる。  そこで、われわれはこういう疑問を持つのです。要するに港の中のことだから、この工事というものは運輸省があれするのかあるいは建設省があれするのか、いま直轄だということだったが、一体これはどういう形になっていくのか、ちょっと……。
  88. 井上孝

    ○井上説明員 先ほど申し上げましたように、東京湾の湾岸道路につきましては、千葉県、東京都、横浜あるいは神奈川県ですか。それぞれかつていろいろな計画をお持ちだったわけでございますが、すべて一括して建設省の直轄でやるということにいたしております。ただ、直轄と申しますと若干語弊がございますが、高速道路の入ります場合は公団が乗り出してくるということも予想されますけれども、現在の段階では、建設省が直轄でやっております。
  89. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 そうしますと、先ほど二番目に申し上げた例の新山下バイパスですけれども、この新山下バイパスの場合は、今度は臨港地域から国道のほうに抜けて、磯子、金沢、横須賀、三浦方面に将来抜けていく、すなわち港の施設の中から国道のほうへ抜ける、こういう場合はやはり建設省がやるのですか、それとも運輸省がやるのですか。
  90. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 臨港地区の道路の問題につきましては、建設省と相談いたしまして、これは地元の港湾管理者、あるいは公共団体といってもよろしゅうございますが、この案が出てまいりまして、それを受けまして相談いたしまして、建設省のほうでやったほうがいいといった場合は、たとえばいまのバイパスの話でございますと国道と関連性が出てまいりますので、建設省のほうがおやりになったほうがよろしかろうというふうになった場合に、私のほうでお願いしてやっていただく。それから港湾の中だけで片づく問題であるということになれば、運輸省のほうでやる。これは具体的に計画が出れば、建設省とよく相談してそごのないようにいたしたいというふうに考えております。
  91. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 ベイブリッジにしたところで沈埋トンネルにしたところで、これからどっちにきめる、いまの新山下バイパスもそのような状態だということだと、まだ相当時間がかかるだろうと思いますが、できるだけ早くお願いしたいと思います。  それでは三番目の、さっき申し上げました例の羽横線の延長について伺いたいのですが、もちろんこれは港湾施設の外の道路のことなのですが、一体私たちが考えるのに、本牧埠頭があれだけ大きなものができ上がった、これと一体どうして羽横線の高速道路の完成というものがタイミングが合わなかったか。これは非常に残念でならないわけであります。しかもこれは多少のズレは、一年やそこらのズレはしかたがないとしても、このままだと、五十一年の完成ということになってしまうと十年もズレができてしまうということになるわけですね。この十年のズレができた原因と五年おくれたということについてちょっと聞きたいのですが、当初例の山下橋のところまで四十六年度末までにできる。それがいろいろな推移をたどって五年おくれて五十一年になった。この間横浜市会の常任委員会では野党の人が——野党といっても横浜市の場合は自民党ですけれども、なぜこんなに大幅におくれてしまったのだ、こんなに荷物がたくさんになって交通渋滞の激しいときに、なぜこんなにおくれてしまったのだと言って市長に迫ったら、市長が、それはすべて国の財政の都合でありますと、こう答えたというのです。それが妥当であるかどうかについてはいろいろあれはありますけれども、それを言うほうも言うほうだけれども、私はやはり言われるほうも言われるほうじゃないか。言うほうもかなりひどいことを言うものだと思いますけれども、しかし、言われるからにはやはりどこかに連絡上のミスがあったのではないかという気がするわけであります。  そこで、前に申し上げたこの二つの道路というものが相当先だということになれば、一番可能性のあるのは羽横線の延長ではないかということを考えるわけで、これはぜひ促進してもらいたい。その考え方を建設省に聞きたいし、同時に、私は運輸大臣にも決意のほどを伺いたいわけでございますが、いま申し上げたとおり、この本牧埠頭の例でもおわかりのように、国の要請に基づいてせっかくこれだけ大きな規模と設備を持つものをこしらえた、しかしその動脈ともいうべき道路がお粗末であるために、貨物が出し入れが非常に困難をきわめている。どうかこれに対して、関係各省庁と連絡をされまして、この整備を一日も早く実現をしていただきたい。同時に、今後このような問題は日本じゅう至るところに出てくるのじゃないか。こういうことのないように、ひとつ十分計画性をもって対処されたいということを要望するわけでございますが、これに関する決意をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように重要港湾、これに関連する道路の整備がおくれておることはまことに遺憾でございます。ただ、新しい大規模港湾等につきましては、先ほど来小比木君からの話もありましたが、それに伴うところの道路計画はあわせて行なうわけではありますけれども、ただ道路の場合は、御承知のように買収問題等がからみましてなかなか——港湾のほうは、みな埋めたり掘ったりしておりますからわりあい進捗するのですが、道路の場合はややともすればおくれがちでございますが、しかしお話しのように、せっかく埠頭ができそうしてコンテナができたにもかかわらず、その荷物が運ばれない状態というのは不経済な話でありますから、これは関係各省とも十分連絡をとりまして積極的な対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  93. 三宅正夫

    ○三宅説明員 羽横延伸計画は、先ほど先生御指摘のように、当初四十六年度の予定が五十一年になった。まことに私ども遺憾に思っておりますが、その間のいきさつは、ごく簡単に申し上げますけれども、当初の計画では、全線高架方式でもって通す予定でございました。それで、四十二年度新規に採択が認められまして工事にかかるはずでございました。その後、その高架の一部を半地下式に構造変更をいたしまして、その構造変更に伴いまして横浜市の地下鉄の問題あるいは河川改修計画の問題、そういったいろいろな関係の調整に手間がかかりまして、結局高島町と山下町の間の着工がおくれておるわけでございます。この区間につきましては四十五年度から用地買収を始めまして、来年度から工事にかかる予定になっております。  先生御指摘のように、非常におくれたということははなはだ申しわけない次第でございますが、私どもといたしましては一日も早くこれを完成いたしまして、この港湾からのいろいろな交通に対して支障のないようにいたしていきたい、さように考えております。
  94. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 この事情を知っておる者にとりましては、あの渋滞はたいへんなものでありますから、ひとつ昭和五十一年度ということでなしに、何らかの対策を施してもらいたいということを要望いたしておきます。建設省のほうはこれでけっこうでございます。  先ほど防衛施設庁の例の接収の問題について説明があったわけですけれども、そのときたとえば、たびたび横浜の場合が出て恐縮なんですけれども、横浜のノースピアの施設などというものは、いま申し上げておる例の高速道路あるいは主要幹線道路との連係ということを考えますと、非常に位置がいいわけですね。位置がいいためにノースピアの活用ということは非常に重大だと思うのでございますけれども全国的に八つ接収されておるところがある。そういう場合に、国際情勢が非常に流動的で、たとえばどんなことからうまいぐあいに早急に接収解除ということが行なわれないとも限らない。そういうような場合に、接収されたその地域、施設に対して、それをどうやって運輸省としては活用していくつもりでいるのか。また運輸省自体でなしにその地元、地元に何か妥当ないい方法がある。たとえばノースピアならノースピアにこういう方法があるということがあれば、運輸当局としてはどういう方法でこれをやっていくのか。地元の妥当な方法をそのまま生かして使っていくのか、それをちょっと聞いておきたい。
  95. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ノースピア、先ほどの防衛施設庁のお話がございまして、まだはっきりした返還の見通しがございませんので、具体的な計画がございませんけれども、仮定の事実でございますけれども、かりに返った場合は、先ほど申し上げましたように港湾管理者が横浜市でございますので、横浜市で案をつくっていただいて、これを港湾審議会にやはり重要な問題でございますからかけまして審議いたしまして、支障なければ大臣のほうで承認するというふうに考えております。大切な場所でございますから、できるだけ大事に使いたいと思っております。
  96. 小此木彦三郎

    ○小此木委員 時間が参りましたので、要するに、今日、港湾と陸上交通網の交通体系の確立というものは、一日もゆるがせにできないと思います。ですから、大臣におかれてもあるいは当局におかれましても、この点を常に認識されて、今後こういう計画の上で粗漏のないように要望いたしまして、私質問を終わります。
  97. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  98. 内藤良平

    ○内藤委員 港湾の整備の緊急を要することは私たちも同感でございまして、今度の法案につきましても、基本的には賛意を表するものであります。  そこで、大臣が途中で中座されるようですから、前に大臣にいろいろお聞きしたいと思います。  第一に、また計画を早めて今日の貨物の増大、船舶の大型化に対応していこう、こういう御趣旨で今度の法文の改正計画の修正、こういうことだと思います。膨大な金をつぎ込んでやられるわけですし、成果を大いにあげなくちゃならぬ、こう思います。ただ、私、心配するのは港湾の管理者、おもに地方自治体ですね、これにやはり力の強弱が相当あるんじゃないか。全国で幾多の港湾がありますけれども、強いところはうんと強く、弱いところは弱い。これをどういうぐあいにうまく調整しながらこの計画を成功せしめるか、そういう問題もやはりあるのじゃないか。端的にいいますと、太平洋岸のいわゆるベルトラインといわれる地域は、それぞれ過去の実績がありまするからそれぞれの力があると思う。ところが、こういうぐあいにどんどん経済社会が発展しまして、六十年を目途にいろいろ計画が立てられるわけであります。これから発展するところは、どうもまだ自力がないですね。  そこで計画を進められる場合、私は全国一律にいろいろなランクを設けてやっておると思います。特定港湾であるとか重要港湾であるとかいろいろな港湾のランクを設けて、それに対して国では一定の率を考えておる。ところが、このことをいままでどおり今度の新しい計画でも踏襲してそうして港湾を整備していく、こういうぐあいにお考えだとすれば、やはり私は地方の自治体、いわゆる港湾管理者の負担というものは相当なものだと思うわけです。最近はいろいろな形で、交通関係は大臣おわかりのとおり、港湾だけじゃありません、国鉄でもあるいは地方交通でも、地方に期待するといいますか、いろいろな形で地方自治体に期待されておる。したがって、財政的な支出も多方面から要望が多いわけですね。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 そういう点をいろいろ考えますと、いままでのようないろいろな格づけをして、それに対して一定の率を考えて国で金を出し、地方の港湾管理者も出す、関係者も出すというやり方でこれを進めるにしては、若干問題が出てくるのじゃないかという感じを持つわけです。  そこで私が言いたいのは、いままでと変わった思い切った国の協力体制といいますか、場合によっては港湾管理者の力のぐあいをケース・バイ・ケースで見ながら行なう、こういう方法なりお考えになれないものかどうか。国でもっともっと力をかけて、そうして地方の自治体の負担をできるだけ軽減する、こういう方法をとる。さらにまたケース・バイ・ケースで、一定率だけじゃなくしていろいろ事情を考えてやる、こういうことをやらなくちゃならぬじゃないか。  なぜこんなことを言うかといいますと、外国の港湾の場合は港湾管理者が案外力があるのでございますね。この場合は取る料金が相当高いらしいですね。十分取る。だから独立採算的に、港を持っておる管理者のほうに力があるからそれなりに、逆に国でお世話にならないでやっていける港湾が多いらしい。だからいま日本の場合、港湾管理者が料金その他収入を多くしようとしても、なかなか一足飛びにいかないでしょう。国内の経緯がありますから、やはり外国のようなぐあいにいかないで、料金もあまり高くすることができないということになりますと、結局は国で新しくこういう計画を、しかもずっと港湾関係の計画を繰り上げて繰り上げてきているわけで、それほど貨物の状態なり船の状態が変わってきているから、そういう急速に変わる状態に対して地方自治体そのものがなかなかついていけない面がある。だから思い切った、いままでと変わった地方自治体の管理者に対する応援の体制あるいは財政的な措置、こういうものをやらなければ——やはりやれるところはやれるかもしれません。横浜のようなところとか東京あるいは大阪のような力のあるところはこれはやれるかもしらぬけれども、それ以外の貧弱な自治体の港湾管理者は非常に苦しい状態にあるんじゃないか、計画のそごを来たすようなことがあるんじゃないか、こういう見地から大臣の御所見を少しくお聞きしたいと思うのです。
  99. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先に事務的に、ちょっと大臣のお話しの前に申し上げたいと思います。  ただいま先生御指摘のように……。
  100. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣が十二時ごろちょっと欠席されるというのですから、先に大臣の話を聞いて、あなたはお残りになってください。
  101. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しの点、技術問題については港湾局長からお答えを申し上げますが、今度の予算の策定にあたりましては、地方港湾に対して補助率の計算のしかたを変えまして、地方港湾に対しては多少補助率がよくなってまいっております。そこで大規模港湾はこれは従来どおりで、補助率はだんだんと下がっていくわけでありますが、ただ大規模港湾というのは、ある意味においては、今度は工場地帯の設定等を伴ういわゆる開発的効果があるわけでございます。その場合におきまして、国の補助以外に地方公共団体が起債等の面でめんどうを見てやっていくわけでございますが、一方、これが起債をした場合においても、あるいは地方公共団体においても、土木関係の事業でありますから、貧弱県に対する交付税の一部の対象にもなるわけであります。  そこで、外国のように着船料といいますか港湾使用料というものを上げるということは、これはお話しのようにいろいろむずかしい事情があります。一つは、日本は御承知のように世界第一の海運国ですから、報復的措置として引き上げられますと、結果において日本のほうが損をするという場合もあります。適正な料金はちょうだいしなければなりませんから、国際的な状況をにらみ合わした上で、もちろんこれは是正してまいりますが、ただ地方県のそうした公共負担が多いという  ことのために将来大きなマイナスになるのではあるまいか、そういう御意見については必ずしもそうではない。たとえば大規模港湾、重要港湾等が設置されますと、やはりいろいろな付帯設備が行なわれますので、数年後にはかえってその県の所得がふえてまいる、こういう状況があります。これは茨城県の例でもそうでありますが、そういう意味からいえば、必ずしも地方公共団体に特別な——な直接には、短期的には負担はかけますけれども、長期的展望の上からいうならば、県の財政の建て直しの役にも立つ、こういうような効果もあるわけであります。
  102. 内藤良平

    ○内藤委員 そこなんです。おっしゃるとおりだと思います。将来は楽しみになるわけですね。いまは苦しいけれども、やっておくと将来はいろんな面で波及効果もある。ところが、金の問題になると現在の問題なんですね。そこで私の言いたいのは、率直にいって、今度こういう五カ年計画をやる場合に、おくれている地域——日本海側なんというと語弊があるかもしれないが、これからどんどん急速によくしなければならぬ港湾に対しては、先行的な性格の金をつけて出す必要がないか。地元でそれは先行的にといいますか、将来の楽しみがあるから、いろいろ無理してもやるけれども、国としても一定の金を出すわけでしょう、港湾が何十何百とあるわけですから。そのおくれているところに、一割か二割くらい先行的なものをつけ足してやる、こういう措置をやれないかどうか、いかがですか、大臣
  103. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内藤さんのおっしゃる意味は、港湾それ自体の開発に要する費用というよりは、背後地における、たとえば工場地域の設定等に要する問題が主になると思います。これは御承知のように各県ともに起債を中心にして、そして計画的に買い上げる。企業に分配する場合に、それまでかかった費用を中に含めて、地方公共団体としては損をしない状態でこれの分配を行なう。この点はマイナスは少ないのではないか。港湾につきましては、そういうような未開発地域に対しては、補助率のアップの方法があります。大体二割ぐらいアップしてやっておりますので、したがって先行投資は県自身が起債によって行ないましても、おそらくそれだけマイナスにはならないわけです。今度工場地帯その他に分ける場合において、当然それを含めて配分いたしますから、結果的には損はない。問題は、要するに起債をどれだけ国が思い切って認めて——秋田といいましょうか、大規模港湾も運輸省では四十六年に調査を進めてまいりたい。そうなりますと、おそらく少くとも五千万坪ぐらいのものを考えなくちゃいかぬ。この場合はもちろん起債で県のほうで、いわゆる先行投資といいますか、先行取得してもらいたい。こういう場合におきましても、その意味では起債に対する配分がありますけれども、支払いが要りますけれども、結果的には、これが企業誘致等によって分配することで必ずしもマイナスにはなってない。港湾自身についてはもちろん地方公共団体が持ちますが、これに対しては補助率のアップ等も現行制度にもありますので、全体としてはそう心配はないのではなかろうか。ただ問題は、地方港湾の小さな港湾については全額を国が持ちませんから、補助率は高いのですけれども、やはり地方が持たなくちゃならぬ。この点のほうが、金額は少ないが、結果的にはかえって苦しい場合があり得る、こういうふうに考えております。
  104. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣は全体をくるめた先行投資まで御発言になりましたが、私はそれなりの理解をいたしますけれども、きょうのこの議題の港湾の問題につきましても、日本海側あるいは九州あるいは四国、こういうおくれた、これからどんどん発展してもらわなければならぬという地域に対しましては、ぜひひとついまのようなお考え方を強力にやっていただきたい、こういうことを申し上げて、この点は終わります。  次は、さっきの発言者からもございましたが、関連した施設ですね。港湾はこういうぐあいにどんどん進む。ところが、臨港鉄道あるいは幹線鉄道あるいは道路、先ほどの質問者の方もお話しございましたから重複するようですけれども、これはやはり運輸大臣として実施の段階で集約チェックして、せっかく港はどんどんできても、道路が弱かったり、あるいは内陸に対する国鉄が単線であったり、臨港鉄道も必ずしもまだ行かなかったり、そういったところが実際問題として各地にあるわけです。これは各省十八も分かれておりますから、いろいろな問題でもなかなかそれを集約できないということで、ぼくらもいつも言っているわけですが、交通問題でも総合的なものをやろうということで、いま省内でも御研究でしょう。ぼくらなりにまた考えておりますが、そういう流れから見ると、今度の港湾の新しい五カ年計画に、道路なり国鉄なりこういう問題を実施の段階で確実にチェックして、そして一斉にこの成果があがるというぐあいにぜひやりたいのですが、こういう点につきましては大臣としていかがでございますか、強力な執行の力を出されるお考え、ぜひやってもらいたいと私は思うのです。これらにつきまして御所見を伺いたいと思います。
  105. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、私の地元で鹿島港の建設をやりましたが、いろいろな問題で、結果的に見ますと、この点についての十分な調整がつかない場合があります。ただ問題は、いわゆる大規模の新しい港湾の設定の場合には、県当局が港湾、都市計画、道路計画を含めてマスタープランをつくります。これは新産都市の法律の中にもありますけれども、そこでいわゆるマスタープランができまして、それに認承を与える。その中で港湾は運輸省が扱う、こういう形になるわけです。ですからスタートは一緒なんです。港湾も都市計画も道路もスタートは一緒なんですが、いろいろな事情、財政的な事情もありましょうし、ほかとの背後関係といいましょうか、それの問題もありまして、そこで港湾のほうが先に進んで道路がおくれるというのが、新しい港湾開発の場合においても起きてまいります。しかし、せっかくできても全体の機能が十分に活用されないということは好ましいことではありませんから、運輸省、運輸大臣といたしましても、これは積極的な経済効果をあげなくてはなりませんから、指導的な立場において、建設省あるいは関係方面と十分打ち合わせをして所期の目的を達成していきたい、かように考えております。
  106. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣、せっかくですから、セクトじゃないけれども、ちょっとこまかいことをお聞きしますが、私のほうの秋田港の場合などはいろいろ政府の施策が進みまして、貨物の量なりあるいは施設なり非常によくなっていますが、国鉄は四十七年になっても複線が四割なんです。秋田−新潟間、秋田−青森間ですね。四十七年になって四割。六割は単線です。こういうことがやはりいま申し上げた具体的な一つの例になると私は思うのですよ。そういう点を、少なくとも大臣の所管の中にあるわけでありますから、港湾が五十年までですから、そうすると、今度は五十年までに国鉄も複線にはなるというようなことをあわせて御指示をしてもらわなければ、地方自治体の連中にとっては、これはせっかく港に力を入れても国鉄がこのとおりだと、力の入れ方も非常に弱くなるわけです。例を秋田にとってぐあいが悪いですけれども、こういうところは多々あると思うのです。徳安先生の鳥取方面だって鉄道はまだ単線です。同様です。秋田だけじゃないのです。九州のほう、鹿児島の宇田先生の場合だって同じです。そういう点などをひとつぜひ大臣の強力な政治的な御指導のもとにやってもらわなければ、この法案なり計画なりが画竜点睛を欠く、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。もう大臣の時間もないようですから、ひとつ御決意のほどを……。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  107. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるとおりであります。四十六年度の予算でも、複線電化につきましてわずかばかりでも一般会計から入れていただきましたが、私はこれは突破口だと思うのですね。実は国鉄事業予算も四千億ぐらいなんかでやっていたのでは複線電化はなかなかできない、早く完成はしない。かってなことを申し上げるようですが、できれば少なくとも六千億ぐらいの事業費を組んでいくようにならないとだめだ。ところが、近ごろ赤字問題とかなんとかでだいぶ議論がありますために、政府も少し憶病であり、国鉄も憶病になってきておる。しかし、これでは先ほど来お話がありますように、旅客の量が非常に激増してくるのですから、それに対応できない。ですから、赤字問題はそれとして、そういう複線電化の問題は積極的にやらなくてはならぬ。これが私の持論なんです。その私の持論がなかなか大蔵省を説得できない。これはまことに申しわけないのですが、おっしゃるように、これは積極的にやる私の決意でもあるし、運輸省もその方針でやってまいりたい、かように考えております。
  108. 内藤良平

    ○内藤委員 大臣の関係はよろしゅうございます。  そこで今度は、大臣おいでになりませんので、局長さんにいろいろお聞きしたいと思います。  たくさんお聞きしたいことがありますが、今度の計画の中での特徴は、非常に意欲的な面があると思っていますが、時間もあまりないようですからしぼって、大規模の工業地帯、これは全国六カ所ですか、まずこの場所の名前を、くどいようですが聞いておきたいと思います。
  109. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 一応私どもで検討しておりますいわゆる大規模工業地帯と申しますか、新全総を受けました予定地は、苫小牧、いわゆる第二苫小牧であります。それから秋田臨海と称しておりますが、秋田から船川にかけて、それから陸奥小川原、それから中南勢地区、それから周防灘、それから志布志湾、そういう六カ所をいま検討しております。
  110. 内藤良平

    ○内藤委員 その地域を四十六年度には調査をされる御計画でございますか。調査をされる調査事項は、概略でいいのですけれども、どういうことを調査されるのか、これをお知らせ願いたい。
  111. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 一般的に申しまして、大規模と申しますと約三千万坪単位というふうなものになりますし、これは運輸省だけで計画をきめるわけではございません。関係各省あるいは経済企画庁その他を中心に総合的な計画が必要だと思いますけれども、港湾の側から考えた場合に、現在御承知のようにタンカーは二十万トンクラスが動いておりますし、さらに大きくなってきております。これはわかりませんけれども、将来三十万トン、五十万トンの船が入れるかどうかということは水深がどうだということであります。それから風、波がどういうふうに起こってくるか、まず第一歩はそういう自然条件の調査、港湾をつくってはたして妥当かどうか、あるいは自然条件によってどういう形の港湾が妥当であるかというような調査を進めたい。あわせまして、港湾に関連する背後地の経済調査というものをも進めていきたいというふうに考えております。
  112. 内藤良平

    ○内藤委員 これを実施する際には地方自治体ですね、県とか市との関係はどういうぐあいにお考えになっていますか。運輸省だけで単独に行なわれる、あるいは経済企画庁、政府の機関が総合的に行なって、地方自治体にはあまり関係しないのか、それとも県、市町村との関連も考えているのか、そこら辺をひとつ。
  113. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほど大臣も触れられましたけれども、やはり地元県、市町村でいろいろな案をお持ちだと思います。その案を基礎にして調査を進めるわけでございます。それで技術的に修正しなければいかぬようなものがあるかもしれないというように考えます。  なお、調査につきましては、運輸省独自の調査費も多少ございますし、それから御承知のように経済企画庁に調査調整費という事項がございますので、それなどとあわせて、企画庁とも相談しながら進めたいということを考えてございます。なお、地元のほうとも相談いたしまして、必要に応じまして、地元県なり市町村なりのほうで調査費を出していただきまして、合同で調査するということも考えております。
  114. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ、地元でもやはり開発の問題ですから、たいへん希望に燃えているわけでありましょう。金も出す。あまり地方から金をとるというお考えはないでしょうね。いま運輸省として予算は、私、ちょっと記憶ありませんが、十分に調査予算をとっておりますか。
  115. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 地元からとるということは考えてございませんで、必要なものは国が出す。ただそれにあわせまして、国の立場でなくて、地元の立場でいろいろと調査されるべき事項もたくさんあろうと思います。そういうものをあわせて一緒に進めるというふうに考えてございます。
  116. 内藤良平

    ○内藤委員 この点もわかりました。  次は、前の公害国会でもいろいろ議論しました海水の汚濁問題。今度の計画の中には、いわゆる施設をやろうというわけですが、これは公害国会で発表されました年次計画がございましたね。一覧表がありましたね。何年まではこういうぐあいにいくという、ありましたね。
  117. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先般の国会では、海水汚濁防止法に基づきます計画はございますけれども、今度御承知のように範囲が非常に広がりましたので、新しく起こった事態に対応いたしまして、従来の港でも過不足はどうだということと、それ以外に、いままで考えていなかった港でどのくらいの施設が必要であるか、要るか要らないか、あるいは必要があればどうすればいいかということを、いま鋭意検討している最中でございます。
  118. 内藤良平

    ○内藤委員 そうしますと、これは具体的に四十六年度はどことどこをやる、どことどこに施設する、こういうところまではいってませんか。あるいは一応予定地といいますか、それはもう計画になっておりますか、御発表願いたい。
  119. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いまの考え方は、先ほど申し上げましたように、当初の油濁防止法当時に計画いたしました施設が残っておったわけでございますが、これをまず四十六年度はできるだけ繰り上げて実施する。それで四十七年はその残ったものと、新しく起こった需要があると思いますので、それをあわせて整備するというふうに考えてございます。
  120. 内藤良平

    ○内藤委員 次は、今度の計画にもございまするが、さっき大臣にもちょっとお話をしました中で、もう少しこまかく局長に聞きたいと思っていますが、さっきの国の応援のしかたですね、助成といいますか、これは一定の率がございますね。特定港湾であるとかあるいは重要港湾、地方港湾、この率は一応申し上げませんが、実際問題としてこの基準のもとに全国一律にやっているわけでしょう。これを基準にしていろいろ港湾に国として手当てをしているわけです。私の言いたいのは、日本海側は、さっきの先行投資の要望もありますが、なお一つの具体的なことを知りたいことは気候の関係なんです。太平洋岸は冬季間はこのとおり晴天続きで、そうして潮の干満も非常にあって、多いところは二メートルもある。干潮の機会に港の工事もどんどん行なえる。効率がどんどんあがるらしいです。日本海側は、冬季間はやはり荒海でございます。潮の干満、この関係も非常に少ない。そこで四月から三月まで会計年度中に工事をやれる期間は、四月から八月ころなんです、実際に。局長、おわかりでしょうがね。ところが国で予算がきまって、そしてそれが各現場におろされていろいろ準備をしてやると、六月ころからかかる。いいところ六、七、八くらい。それで三カ月くらいでおもなる工事をやらなくちゃならぬ。そこでいろいろな面で無理が出て、予算は予算で使うけれども、港の整備は必ずしも計画どおりいかない。形はできても内容的に弱いとか、こういう問題がある。これは港湾だけの問題でなく、いろいろの公共事業には関係があるわけだが、雪の害もありまして、道路関係もそういう声がございます。きょうは港湾の問題ですから、港湾関係であなたにお聞きしなければならないのは、現場の皆さんは、これを四月から直ちに工事を執行できる場合には、いままでの五〇%くらいは効率をあげられる、こういう声がある。  ここら辺は、せっかく国なり地方自治体で苦労して金を出して港をよくしていこう、こういう目的から見た場合に、いまの会計年度なり気候なりの関係で目的を達するようにしてもらいたい。形は年間予算を消費しておるわけでありますが、実際にできる港の設備ですね、防波堤でも岸壁でも、やはり太平洋岸から見ると内容的には弱いのじゃないか。したがって、年次計画の場合でもだんだんおくれるような実態が出てくる。太平洋と日本海ではますます差が出てくるようなきらいがある、こういうことなんです。これを何とか善処、打開する道がないか。なかなかむずかしいかもしれない、法律なり規則なりがあって。運輸省の中でも、予算の使い方といいますか、あるいは現場と本省の連絡のしかたとか、創意くふうをやった場合にはできないこともないような気もする。ちょっと話がこまかくなりましたけれども、この点、ひとついかがでしょうか。
  121. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、日本海沿岸あるいは北海道といったところは、冬季、特に港湾の関係は風が強くて波が荒いという特殊事情がございます。したがいまして、御指摘のように四月早々にかからなくちゃ、いい天候の日は少ないのが事実でございます。現在会計年度が御承知のとおりでございますので、なかなかむずかしゅうございます。創意くふうということがございましたが、当たるかどうか知りませんけれども、私どものほうといたしましては、できるだけ北海道あるいは東北、日本海沿岸、そういう地域の、新しく手をつける個所はちょっとむずかしゅうございますけれども、継続してやっておる仕事につきましては、もう設計がきまっておるわけでございますし、予算が大体御承認いただければ、それにある程度見当をつけると申しますか、あらかじめ予定しておきまして、四月早々には直営工事なりあるいは外注で極力早くするように、事前に出先と相談しておくとか、あるいは県もそういう予算を組んでおいてもらって、早く審査して進める、そういうことは可能かと存じますし、現在もできるだけ実施したいというふうに考えております。  ただ、たとえば港湾の予算が大体各四半期ごとのワクというものがきまってございます。その場合に、春先から夏にかけてはそういう地域にたくさん持っていく。それで冬、仕事をやれる個所は少しずらすとか、そういう操作もいたしまして、なるべく実態に合っておくれないようにという努力はできるだけやりたいというふうに考えております。
  122. 内藤良平

    ○内藤委員 局長、現地の皆さんの声を聞くとそういうのがあります。国の場合だって、地方自治体の場合も、あり余る金をやるのじゃないのですから、いろいろ苦労して金を出している。だから出した金でいいものを、しかも設計どおりやりたいということになるのですから、みすみす日本海側はそういうことがわかっておるのに、会計年度で締められてしまって、せっかく一億円使っても実態は七千万円ということになって、つまらぬわけですね。五カ年計画といっても、五カ年やったけれども、実際は内容的には三カ年程度のことにしかならぬということになりますと、これからの要望にこたえることができないわけです。これはぜひひとついろいろな面でやっていただきたいと思うわけです。  それから、日本海側の工事は太平洋岸に比べて非常に不利なわけです。たとえば防波堤の場合、五十メートル、五十メートルという割合は、これは数字の上においては変わりないわけですね。しかし実態においては、いま申し上げたように必ずしも五十、五十じゃない場合が多いのじゃないか。日本海側のほうを五十やる場合は、実際は半分くらいよりやれないのじゃないか、設計の面では五十でも。それだけ気候その他で差があるということですね。私はそういうことを言いたいわけです。そこら辺を予算の配分の場合でも、こまかい話になりますけれども、一定の単価と一定の数量で予算を出すわけだが、いまのような気候の問題あるいは会計年度の問題もいろいろ考えた予算の配分のようなこともあっていいのじゃないか、私はこういう感じもするわけです。  それから、さっきも大臣に言いましたが、おくれておる地域の港湾の開発の場合には、やはり運輸省としての予算のつけ方に、先行的な面も加味される必要があるのじゃないか。大臣は、地方自治体のほうでもいろいろ起債その他でやれるじゃないか、こういうお話でしたけれども、実情はなかなかどこの地方自治体も、まあ富裕県ならあれだけれども、貧乏県が多いから、そうしますとなかなかやりくり算段になってしまう。そこで国として、全国で何も一本調子でなくて、これから開発して整備しようといういろいろな港湾につきましては、先行的な面がプラスアルファされたものをやるようなことも必要じゃないか、こう思うのですが、この点なども局長の御所見をお聞きしたいと思います。
  123. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 前半の御質問でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、むしろ予算の執行の問題に御質疑がございました。これは極力早めたい。現行の法規が許す範囲で早くやるようなくふうをやっておりますし、今後も進めたいと思います。  それからなお、もう一点御指摘がありましたのは、ほかの地域と比べて不利だというのは、作業日数が限られておりますので、施工期間が短いので、そうすれば、ほかの地域なら年間を通じてかりに百メートルやれるものが、日本海側沿岸では八十メートルしかやれない、そういう御指摘だろうと思います。これにつきましてもできるだけ、たとえば冬の間は陸上で、専門になりますがケーソンなりブロックをつくって用意しておいて、春先になったらほうり込むというような二年にまたがったような計画は、これは会計法上は疑義があるかもしれませんけれども、五カ年計画という長い計画で継続事業でございましたら許されようかと思いますので、そういう点もくふうしたいと考えております。  それから、なお先行投資の問題でございますが、やはり何もないところに港をつくって地域を開発する、あるいは小さなスケールの港を大きくして開発する、実際の船の出入りがなくても、というよりも、船が出入りする前にできれば、また十分な防波堤その他をつくっておかなければ非常に危険でございますから、そういう意味で先行投資ということもございますけれども、そういう御趣旨にのっとって進めたいというふうに考えます。
  124. 内藤良平

    ○内藤委員 もう少しやらしてください。これは港湾局長の守備範囲ではないと思いますけれども、あなたよりいないから、あなた答弁してください。  港が整備されて貨物が多く入ってくる。船も多くなる。いまやはり困るのは、港湾の荷役の段階でのいろいろな問題です。機械整備もありますけれども、労働力の問題ですね。これは各港湾でいろいろ問題が出ている。これはまた特殊な労働法がありますけれども、実情として地方の港湾の関係でもどんどんふえるものですから、なかなか荷役労働力が少ないということですが、これらを五カ年計画の中では——これはあなたの守備範囲ではないかもしれないけれども、省内ではどんなふうに御論議され、あるいはこれは何かの対策を持たざるを得ないと思うのです、実情から見ると。やってないとすれば、やはり手落ちだと思う。これはあなたの守備範囲でないけれども、省内で論議されておるでしょう。そういう点、少し聞きたい。
  125. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 実は港湾荷役は私の守備範囲でございます。それでお説のとおり貨物がふえますし、現在六大港と申しますか、大きな港でいろいろな荷役形態がございますけれども、各地方の港でもやはり貨物がふえまして、労働力の確保の問題いろいろあろうかと存じます。ただ、労働力の問題につきましてはこれは労働省の所管でございますが、私のほうで、たとえば先ほどの二兆一千億の閣議了解をいただきました中で港湾機能の施設設備、これは荷役機械であるとか上屋をつくる起債の関係でありますが、そういうもので極力港湾荷役の機械化をはかっていく。これは業者がつくるのは別な金融の道がございますけれども、公共団体がつくる場合はそういう起債をあっせんするという事業でございます。そういうようなことで極力省力化と申しますか機械化を進めていくと同時に、港湾労働者の福利施設と申しますか、そういうものも着々進めていっている段階でございます。ただ、労働者の訓練、再教育というふうな問題になりますと、あるいは確保の問題、そういう点になりますと、労働省の所管でございますので、よりより協議しながらいろいろな施策を進めてまいりたいというふうに考えます。
  126. 内藤良平

    ○内藤委員 もう終わりますけれども、もうちょっと御協力願います。  いまのお話でごもっともな御答弁を得たのですけれども、ぼくらのほうの地域のあれを見ましても、端的にいいますと未熟練労働者が港湾にうんと入っているのです。それで思わざる死傷が起こるのですね。農家のお百姓さんが農閑期に港湾荷役あるいは木材の積みおろしなんかやる。これはあなたがお話しになったように熟練を要する仕事なんですね。そういう面がこれからの港湾のいろいろな面での計画を進める中で、やはり重要なポイントになるような気がするわけです。マイナスになるのですよ。これがうまくいかなければ、せっかくほかは整備しても、この面で詰まるようなマイナスになる。その点、労働省の関係かもしれないが、もう少し突っ込んで、やはり運輸省内でも何か対策を持たなければならぬという気がしますけれども、そういう点はどうお考えでしょうか。
  127. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 御指摘のとおりでございまして、ただ港湾作業といいましてもいろいろ種類がございまして、非常に熟練を要する職場もございますし、それから未熟練労働者でも済む場所もございますけれども、御指摘のように非常にむずかしい作業をしなければならぬというところにつきましては、労働省とも相談いたしまして、そういう訓練機関その他を検討してまいりたいと思います。実は規模は小そうございますけれども現実に名古屋でもそういうことをやっておるようでございますし、それから近く横浜でもそういう施設ができるというふうに聞いてございます。
  128. 内藤良平

    ○内藤委員 それから端的にいいたいことは、案外賃金が安いのです。これは港湾の会社の、通運関係の会社のあれによるだろうけれども、だからあそこにあまりいい方が、いい労働力がこないようですね。賃金問題もやはりこれは一応私は御検討をして、運輸省としてもある程度の指導をしてもいいんじゃないかしら、こう思うのです。これは私の希望になりますけれども、やはりそういう面までもお考えになられて初めてこの五カ年計画がうまくいくんじゃないか、こう思いますので、あるいは要らざることかもしれませんが、どうも実態を見てみますとそういう面があるわけですね。その点、ひとつ港湾局長大臣いませんけれども、あなた大臣にかわったつもりでひとつ私の希望を聞いておいていただき、省内で何かひとつ取り上げていただきたい、かように思います。
  129. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾荷役の賃金の問題は労働省かもしれませんけれども、実際に荷役作業をやっておる業者を監督しておるのは私どものほうでありますが、地域によっておそらく非常に格差があるのではないかというふうに考えまして、むしろ港運事業というのは、六割かあるいは八割近くまでが、作業によりましては人力に依存するという労働集約型の極端な、典型的な状態でございます。逆に六大港なんかは、賃金のベースアップはかなりきついというふうにも聞いてございます。そういう点、御指摘の点ございましたら、港湾整備だけではなくて荷役のほうも、幸い私のほうに港政課という課がございますので、つくるほうと動かすほうと常に連絡をとらせながら進めたいというふうに考えております。
  130. 内藤良平

    ○内藤委員 終わります。
  131. 福井勇

    福井委員長 この際、午後四時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      ————◇—————    午後四時三十七分開議
  132. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  133. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 港湾関係の質問に入る前に、ちょっと大臣にお尋ねしたいことがございます。  それはほかでもございませんが、本会議が終わりまして部屋に帰りまして四時のニュースを見ますと、きょうの国際新空港の建設用地に関する強制代執行の問題がニュースで取り上げられておりました。きょうは十一時五十五分に第一地点が始まって、十三時ごろ終了した。その際に、学生の投石で五人の公団職員がけがをしたというニュースが出ておりました。私これを見ておりまして、非常に残念に思うわけでございますけれども、今日までこの強制収用の問題についてはずいぶん論議をされてまいりました。相当の期間がございました。しかるに、今回のこのようなことは、農民の心をほんとうに理解しているのかどうか、土に親しんでいる農民の方々の気持ちをほんとうに為政者がわかってくださった上でのこの強制代執行になったのかどうか。いずれにいたしましても、何か私こう見ておりますと、一方的ににしきの御旗をしょって進んでいるような感じが見受けられます。非常に残念に思うわけでございますけれども、きょうのところは終わったようでありますけれども、これから明日以降まだ引き続いてやるようであります。一日一日と緊迫の度を増してくる、日本人同士が血を流さなければならない、こういうことにならなければいいがと私はほんとうに心配をするわけであります。こういうことはどうかないように私たちはいたしたい。  こういう点から、大臣はこのことに対して十分御承知だったとは思いますけれども、保利官房長官のところに千葉県知事が来てこの問題が取り上げられ、昨日から執行が始まる、このことについては、官房長官から当然総理の耳にも入っておるし、また直接関係のある橋本運輸大臣の耳にも入っておることでございますので、その辺のいきさつについて、簡単でけっこうでありますが、ちょっとお話を願いたいと思います。
  134. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 きのうに引き続いてのきょうの代執行に対して、はるかに離れた地域の立ち木を代執行によって伐採するにあたって、学生が投石をして、公団関係者といいますか、人がけがをしたようであります。まことに遺憾千万であると思います。公団にいたしましても、われわれにいたしましても、ひとつできるだけ問題を少なくして、そうして話し合いでこれができれば一番幸いではありますけれども、長い間、何年間という間話を続けてまいりましたが、解決がつかないということで、最終的にはやはり法の命ずるところに従って、いわゆる代執行せざるを得ない。その代執行をするにあたりましても、私からは、県知事並びに公団総裁に対しては、最善の注意を払ってけが人が出ないような措置を講じてもらいたい、なお一方においては、話し合いの余地はないかもしれぬけれども政府のあるいは公団の意のあるところを十分伝えて、そうして話し合いの端緒をつくってもらいたい、かような指示をいたしておるわけであります。  今後も、代執行にあたっては、できるだけ最善の措置をとれという指示をしておるわけでありまして、公団当局もまた県当局も、その方針に従ってできるだけの話し合いと、またけが人が出ないような方法によって処理を進めることと考えております。
  135. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 万が一死傷事故が発生をした場合の責任は、どこがお持ちになるのか、この点だけをお答え願えば、この問題はこの一点だけで終わります。
  136. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 責任の所在と申しますと、四角四面で答えるといろいろなことが出ようと思いますけれども、一応代執行は県当局がやりますからして、公団にかわってやるわけであり、また公団側もこれに対して手伝いをしております。いろいろな問題があると思いまするが、その場合、場合によって、調査の結果が出ないと、いずれが責任があるとかないとかいう問題は決定しかねる場合があると思います。
  137. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣からお答えをいただきまして、たいへん了といたします。  続いて港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案質問に入るわけでございます。  局長にお尋ねをいたしますが、第三次の五カ年計画の主要港湾施設整備につきまして資料をちょうだいいたしました。調べてみました。まあ大まかに防波堤が百三十五キロ、千九百三十七億に対して、進捗率が事業量では五一%、事業費では五三%、こういうふうに書かれております。一方岸壁のほうはどうかといいますと、二百六十五キロに対しまして、進捗率が事業量では四一%、事業費では五四%、こういうことになっております。そこで、このアンバランスはどういうことを意味するのか、この点をひとつ最初に聞かせていただきたいわけです。  それから、しゅんせつのほうですが、しゅんせつの事業量が四億百万立米、これに対しまして六〇%の進捗率、大まかにいいますと、二億四千万立米のしゅんせつしたどろなりヘドロなりがあるわけでありますが、これは海上投棄かあるいは埋め立てにでも使ったものか、そのヘドロの行き先を尋ねたいわけです。この二点。
  138. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 第一点の岸壁の件でございますが、やはり船型の大型化に伴いまして、岸壁といいましてもいろいろございますので、大きな岸壁から手をつけるというのが食い違った原因の一番大きな理由であると思います。  それからしゅんせつの点でございますが、いま詳細な資料は手元にございませんけれども、大部分は埋め立てとあわせまして、どろがむだにならないように使っていると思います。ただ、場所によりましては、一部公海投棄をせざるを得ない場所もございますので、その点、割合が幾らかという点につきましては、明確な数字はいま手元にございませんけれども、大体極力埋め立て地に使っておるというふうに御理解いただいたらと思います。
  139. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 防波堤とか岸壁とかいうようなものは、長さだけでこれは表示してありますけれども、もちろん幅があると思うのですよ。大きな岸壁、小さな岸壁というお話がいまありましたから、その岸壁の長さだけでなくて、どれくらいの面積かというような表示はできないものかどうか。こういうことがいままでやれなかったものでしょうか。これは全部キロメートルで、防波堤は百三十五とか岸壁は二百六十五とか、幅の問題を忘れているわけでしょうか。どういうわけでしょう。
  140. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 実は、岸壁は先生御指摘のとおり幅があるわけでございます。普通の岸壁でございますと、水深によって多少違いますけれども、奥行きは五十メートルから百メートル前後が大体常識でございます。なぜ面積で表示しないかと申しますと、むしろ何バースということばを使いますように、普通の岸壁でございますと、岸壁があって、背後にエプロンがあって、上屋があるというのが普通の形態でございます。ただ、コンテナ埠頭になりますと全然様相が変わるのでございますが、一般には水深幾らの岸壁何バースといえば、背後地の距離は大体きまってくるのが常識でございます。  なお、ついでに申し上げますと、緊急措置法の第三条の対象になっております国の負担あるいは補助対象と申しますか、そういう事業は岸壁とエプロンでございまして、背後地の埋め立てにつきましては起債事業で管理者がやっております。
  141. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 じゃ、先を急ぎますから次にまいります。  局長にお尋ねしますが、四十三年度を初年度としたところの第三次五カ年計画を四十五年度で打ち切って、四十六年度を初年度とするところの新第四次五カ年計画に変更せざるを得なくなった。この理由は、何といっても港湾取り扱い貨物量の増大ということがまず第一原因であろうと思うわけであります。四十四年の、予定した十一億七千万トンを大幅に上回ったところの十六億五百万トン、この実績は、第三次五カ年計画の最終年度の四十七年度に計画していたところの十五億三千万トンをはるかにオーバーすることになって、たいへんけっこうなことだと私も思うのですけれども、そこで、この一翼をになったのが新しい輸送方法であるところの海上コンテナ輸送、これに負うところが非常に大であろうと私は考えるわけであります。  そこで、四十四年度の実績の十六億五百万トンの中で、海上コンテナ輸送の実績はどれくらいに当たっているか、この点をお聞かせ願いたい。
  142. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 十六億五百万トンは、御指摘のとおり四十四年度の実績でございますけれども、これは外国貿易と内国貿易とございます。で、コンテナ輸送の実績は二百五十万トンでございます。コンテナ輸送は御承知のように、雑貨荷役と申しますか、港湾で申します荷役でありますが、雑貨輸送の革命とでもいわれておりますように雑貨に対するものでありまして、その他にバラ荷その他の貨物がいろいろとございます。したがって、その比率は非常に低うございますけれども、雑貨に対する意義は大きいというふうに御理解願いたいと思います。
  143. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 実績としてはパーセンテージでは低い。しかし昔と違って、コンテナ輸送ということになって非常に能率もあがるようになったし、滞船時間も少ないということで、新しい輸送方法がここにできたわけで、たいへんけっこうなことであると思うわけです。  そこでお伺いしたいのは、外貿埠頭公団の問題であります。大臣にお尋ねいたしたいわけでありますが、外貿埠頭公団が発足したのは四十二年の十月でございます。その発足のとき法案審議をいたしましたときにも私、質問した記憶がございますが、武家の商法にならなければいいがなということを非常に心配しておりました。この三月三十一日の決算で第四期目の決算を迎えることになるわけでございますが、営業日数からいえば、最初の年は十月一日ですから三年半ということになるわけでございます。この間に、海上コンテナ輸送の取り扱いのための諸施設の増強に鋭意つとめたことは、私も了といたします。しかし、相当な赤字が出ているということであります。京浜外貿埠頭公団のほうを見ますと、初年度が千七百七十万円の赤字です。第二年度が三千五百九十九万九千円、これも赤字です。三年度に初めて収入が一億七千六百七十六万八千円ありましたが、差し引き三千五百二十八万四千円の赤字です。合計いたしまして京浜のほうは八千八百九十八万四千円の累計赤字になっております。一方、阪神外貿埠頭公団のほうも同じ傾向でございまして、初年度は千九百九十四万三千円の赤字、二年度が四千二百八十二万八千円の赤字、三年度で初めて収入がありまして二億八百二十七万三千円、こういう収入がありましたので、差し引き二千二百七十九万二千円の赤字で、結局こちらも、累計いたしますと八千五百五十六万四千円の欠損になっています。この東西二つの公団を合算してみますと、欠損が一億七千四百五十四万八千円にのぼっております。  そこで、この三月三十一日をもって締め切られる第四年度、これの概算収支は一体どんなふうになっているのだろうか。われわれ常識的にいいますと、上半期で、九月の決算で一応締めてみる。株式会社の場合でございますと二期決算で、十一月までに当然のこと報告もしなければならない。そうしますと、結局その年の十一月にはあらかじめ予想がわかる。そこで暮れのボーナスもはじき出す。こういうふうなことをいままで普通の商店ではやっていると思うわけであります。そこで、上半期の状態がどんなふうになっているか。またこの三月三十一日で締め切られるこの第四年度の収支は一体どのようになるのだろうか。はたして赤であろうか黒であろうか、その辺のところをひとつお話を願いたいと思うわけであります。
  144. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 四十五年度末で両公団、大体約四千万円くらいの赤字になると思います。
  145. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長、念を押しますが、四千万というのは両方でですか。
  146. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 それぞれです。
  147. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それぞれ四千万ずつの赤字が出る、こういうわけですね。そういたしますと、先ほど申し上げました一億七千四百五十四万八千円、これに八千万プラスすると、二億六千万くらいの赤字になるということでありますね。そういうことになりますと、大臣聞いていただきたいんですが、ことわざにも、石の上にも三年ということがあります。この辺で好転しなければならないと思うわけでありますが、いまの御説明によりますと、欠損だというわけです。建設の当初は、収入をあげるために施設の増強に大わらわであったこともわかりますし、そのために最初の二年というものは利息は出さないでよろしい、払わないでよろしい、こういうふうになっていたと思うわけであります。その三期目から両公団から支払った利息が幾らあるかといいますと、利息が一億九千六十八万三千円ある。これは両公団の合計欠損一億七千四百五十四万八千円、これをオーバーしている額であります。ということは、利息分だけ赤字になっているということなんですね。こういう点に、さらに四十五年度において八千万の赤字が出るということを考えますと、この辺で公団の問題、京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団のこの将来の問題に対して、大臣はどのように対策をとられようとするか、そこをひとつ大臣から御方針を伺っておきたいわけであります。
  148. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 数字上の問題については港湾局長から申し述べたいと思います。ただ御承知のように、京浜にしても阪神にいたしましても建設途上でありますので、どうしても借入金が相当の金額にのぼるわけでありまして、それらがフルに使われておりませんために、いわゆる利払いというものが相当多額になってくることはやむを得ない。いつごろこれが計算上収支が相償うかということは、港湾局長からお答えさせることにいたします。
  149. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、赤字が決算で出ているわけでございますが、これは主として管理費に対する赤字でございます。建設期間中でございましたので赤字が累積したわけでございますが、実は四十四年の、早いのは九月から、現在京浜で三バース、阪神で三バース供用してございますし、いま鋭意工事中でございますので、さらにだんだんできてまいります。御承知かとも思いますが、公団バースは使用料の算定に、民間資金といいますか借入金を入れてやっております。公団が収益をあげる必要はないということで、収支とんとんの使用料をきめるという形で進んでまいっておりますので、建設の途上の段階では管理費の赤がたまってまいりますが、ある程度までいきますとキャンセルできるというふうに考えられます。
  150. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 公団がばく大な利益をあげる必要はない、収支とんとんにいけばよろしいのだ。お説としてはたいへんいいと思いますけれども、しかし、私は非常にふしぎに思いますのは、要するにこのバースの貸し賃ですよ。大阪の南港の第一バースが年間に二億六千百万だというわけです。それから本牧の第二バースが二億一千九百万という、この年間の貸し賃なんですね。年々取り扱い量がふえてくるということはもう予想されると思うのです。少なくなるということはあるまいと思うのです。そういうことを考え、しかも第四年度までも完全な赤字である。収支とんとんというのは、赤があっては困るわけですよ。あまりばく大な黒が出なくていいけれども、赤があっては困るし、赤が二億七千万も出てくるようでは、これはまことに困るわけです。  そこで、一バース幾らという貸し賃ではなくて、コンテナー個につき幾らという貸し賃をきめておけば、そうすると取り扱い量がふえるに従って収入がふえるということになって、いまの赤字の解消にも役立つのじゃなかろうかと思うのです。そういうことを考えないで、いつになっても、きめられた一バース幾らというようなやり方でやっていていいものかどうか。これではたして何年後にごの赤字が消えるのか。この辺の見通しはどうでしょう。
  151. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生御指摘のように、コンテナ貨物は増大することは事実でございますけれども、コンテナバースの特徴——普通の岸壁でもそうでございますけれども、やはり限度がございまして、フルに使った場合にどうだ、それから貨物によってどうだと、いろいろと計算のしかたはあろうかと思いますけれども、フルコンテナ船を対象といたしまして、御承知のように、クレーンでつりましてじかに積んでためておく、あるいは持っていって荷物を積みかえるという方法がありますし、シャシーを使う方法もございます。私どもの感覚では、まだいろいろと開発されている途上ではないかということが一点。それから、これはアメリカから始まった輸送方法でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、大きく分けて二通りの輸送方法がある。そういたしますと、船の大きさにもよります、幾ら積むか。初めは七百五十個積みの計画が、いま千二百個くらいになっております。それからバースの大きさも変わってまいります。そういうふうにコンテナの開発といいますか、そういうものの扱い方もいろいろと変わって幸いる時点でございますし、やはりバース幾らということで、使い方もいろいろと変わるごとに対応して様子を見ていくというほうが現実的ではなかろうかというふうに考えております。
  152. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 唯一の収入源はそこにあるわけでありますから、これからあがってくる金額のいかんによって収支が成り立つといいますか、収支とんとんという局長のお話のようにいけばいいわけです。そういう面で、あと何年たったら、このいまの赤字が解消できるのかというお答えはどうですか。
  153. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいまの建設計画、これはバースができて、たくさん貸せば利益があがるわけでございます。大体四年程度でとんとん、平衡状態になるのじゃないかというふうに考えております。
  154. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 四年でいまの赤字が解消できるというお見込みだというわけですが、私も四年間待つわけにもいきません。ひとつ大臣もこの問題について少し研究してみたらどうかと思うのです。こういう考え方を何とか改善していかないと、きめられてしまったやり方そのままでいいかどうか、もっといい方法がないかどうか、こういう面を検討してみて、この赤字というものを——やはり地方の公共団体も参加しておりますし、国からも出資されている。そういう面からも考えまして、何とかこの方法について大臣の前向きの考え方をひとつ聞かせてもらいたいと思う。
  155. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、国鉄の二の舞いを踏んだのでは困りますから、何かいい方法——いまのお話も一つの考え方だろうと思うのであります。ただ、外国との関係もございますので、日本だけがということもなかなかむずかしい場合もあろうかと思いますが、とにかく積極的な収入方法をとるということにつきましては、いまのお話の御提案等も含めて検討してまいりたいと考えております。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、大臣のそのお答えを私も了といたします。  次にまいりますが、この両公団の役員の方々でございます。理事長、副理事長おのおの一名、理事が四名、監事一名、こういうふうになっております。調べてみますと、これはどなたさまも全部お役所の御出身でございまして、要するにお役人さんの退職後の落ち着き先をつくってあげたようなものとしか思えないのですね、事実を申しますと。阪神のほうの理事長は地方公共団体の重要なポストについていらっしゃる方、副理事長は大蔵系統の銀行の方、理事は二人が運輸省、一人が大蔵省、こういうことですね。それからまた京浜のほうはどうかといいますと、理事長は御承知の官僚であり、後にまた代議士もやられ、運輸大臣もやられた方です。副理事長は地方公共団体の財務のほうの担当をしておられた方、理事も運輸省あるいは警察官僚、こういうぐあいなわけですよ。  私は、これが悪いと言うのじゃない。悪いと言うのじゃないですけれども、この人たちに差し上げている給料というものを考えてみたときに、国民感情として許せるかどうかと思うのですね。こういったきめられたことについて、大臣は先刻御承知なんで、あらためて私が言うことはないと思うのですが、四十二年の十月に発足した当初、理事長が三十一万、副理事長が二十八万、それから中間で一ぺん昇給いたしまして、四十三年の四月に理事長が三十六万、副理事長が三十二万五千、現在は、四十五年の四月から改正されて、理事長が四十二万、副理事長が三十七万、こういう金額ですよ。もう一応功なり名遂げた方ですね。退職されたその後の方です。その人が十分優秀な手腕力量を持っておることは私も信じて疑いませんけれども、あまりにもこれでは、赤字を出している、会社とは言いませんけれども、赤字を出している公団がこういうふうにベースアップを続けてきて、それでもいいものかどうか。それからまた賞与が、これは発足当初から四・四カ月ときまっておるのです。ですから四十五年以降の賞与というものは、理事長が百九十七万四千円、副は百七十三万四千円賞与をもらうわけです。  こういうことを考えますと、赤字が出てないのなら私はいいですよ。赤字が出ているのだから、もう少しこれは考えるべきじゃないか、また指導監督を運輸大臣がすべきじゃないか、こんなふうに思うのですが、この点はどうでしょうか。
  157. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 人を得るのには、やはり収入の点も考えなければなりませんので、民間から人を得る場合においても相当の給与がないとむずかしい状態であります。前に阪神の理事長は民間からお願いしておったのですが、せんだってやめられましたので、今度なかなか人が得られませんので、官庁関係の先輩、あるいは地方公共団体の先輩ですか、採用した。問題は、松本さんは黒字であればいいのだけれども、と申しますけれども、現在は建設途上でありますから、なかなか実際上の仕事としては、完成して収入があがって黒字といいましょうか、とんとんとなってきたときよりも、いまのほうが容易ではないだろうと思うのですね。金額が高い、安いという問題もありましょうけれども、この程度のものはやはり差し上げないと、なかなか人を、もし必要があって外部からとる場合でもむずかしい。こういうこともありますので、もちろんこれは、一般公務員が上がったから直ちに比例して上げていくということではありませんけれども、まあできるだけの——いわゆる緊縮財政といいますか、それは今後ともやっていかなければならぬと思っておりますが、あまり安い給料ではきてくれませんので、やはり民間からとる場合も考えて、この程度の給料はやむを得ない、こういうふうな方針でやっておるわけでございます。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣は、民間から登用するという考えを示されましたけれども、これはぜひ実現してもらいたいと思います。やはり官僚出身の方の考えというものと民間の人の考えというものを両方ミックスして、そしてこの赤字の克服をして、せめてとんとんまで持っていく、こういう方策を講じていただくのが最良ではなかろうか。先ほど大臣からお話がありましたように、国鉄の二の舞いになってはたいへんだ、こういうことであります。どうかひとつこの点についても、十分指導監督をしていただきたいことを要望いたしておきます。  次に、狭水道の航路の整備の問題でありますが、航行船舶の大型化、それからそのふくそうぶりというものは実に目ざましいものがあるわけでありますが、それだけに瀬戸内、関門あるいは東京湾口、こういうものの航路の整備は緊急を要するものがあると思います。  そこで、海上保安庁の長官にお尋ねいたしたいわけでありますが、瀬戸内では本四の連絡架橋というものがこれから始まるわけであります。建設が始まってくる、これを目前にいたしまして、各種の調査も行なわれておるでございましょうし、また将来、海中に橋脚を建てる、こういうことも予想されると思います。そうなってきますと、当然潮の流れも変わってきますし、船舶の航行にも重大な影響が出てくるというふうに思います。また、工事が始まれば当然のこと資材の運搬船もふえてくるわけでしょうし、工事のために通航が禁止されるということも起こり得るのではなかろうか。それらを踏まえましてその対策が練られていることとは思いますけれども、海上保安庁としてはどのような対策をあらあら考えているか。まだまだこれから始まることでありますから、当面、本年度に着手するということではございませんけれども、やはりこれらの点については十分対策を練っておく必要があるのではなかろうか、こう思います。なおまた、海上保安庁長官と同時に、港湾局長にもそれに対する考え方、対策等もお話を願いたいと思います。
  159. 手塚良成

    ○手塚政府委員 狭水道の船舶通航につきましては、その数量並びに型というものが年々だんだんふえてきておりまして、私どもは現在におきましても、これらのものに対する安全確保という面についていろいろ対策を練っております。  昨年十月三十日、浦賀水道におきまして第一新風丸とリベリアのコリントス号というのが衝突事故を起こしております。幸い被害はたいしたことはございませんでしたが、それを契機にいたしまして、従来行なっておりましたところの対策をさらに強化をいたしております。船自体に対する対策あるいは航法上の対策、いろいろ実施をいたしておりますが、これらの浦賀において実施をいたしております内容は、瀬戸内あるいはその他のいわゆる狭水道といわれるところ一般にもこれを適用し、準用するように指導し、強化をしてきております。  いま御質問のございました、新しい橋ができるということに伴う対策になりますと、現在の対策以上にそれらのものを強化し、あるいはさらに改善されたものを付加していくという必要があるかと思っております。そういうもののために、新たな法的な措置が必要かと思う面もないわけではございませんので、そういった面も含めまして、そういう場合についても寄り寄りの検討を目下進めておる最中でございます。
  160. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 私どものほうといたしましては、狭水道といいますか、水路の、水深の浅い場合とか障害物のある場合に除去するという航路の改良を担当してございますので、海上保安庁とも船型その他相談しながら、必要に応じまして逐次改良を進めてまいっております。現在瀬戸内海航路の改良を進めておるところでございます。
  161. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先に進みます。  局長にひとつ伺いますが、東京湾口の航路の整備の問題でございます。御承知のように浦賀水道の問題といたしましては、再三私も当委員会質問をいたしまして、問題の提起を試みておりますが、依然手がつけられないでいるという状態でございます。大事故が発生するというようなことになりますとたいへんでございますので、ぜひとも従来の主張であるところの第三海堡の撤去の問題、そして航路のしゅんせつ、これはもう早急に着手すべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この第四次の計画においては、浦賀水道のことについてはどのように対処されるおつもりであるか、その骨組みをひとつ聞かせてもらいたいと思います。
  162. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、東京湾口、非常に危険でございまして、第三海堡の撤去の問題もずいぶん前から議論されておりますし、われわれも技術的な調査をやってきております。それからなお、第一海堡、第二海堡の間の開削の問題もあるわけでございます。新しい五カ年計画の発足とともに、できればこの改良に着手したいというふうに考えております。  ただ、着手する前に、漁業者その他の関係者とのいろいろの調整の問題が多々あろうかと思います。その点を十分済ませまして、早急に実施したいというふうに思っております。
  163. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまも局長からお話がありましたように、第三海堡が撤去されるというふうなことが将来あるだろうと思います。そういうことになりますと、当然のこと、この漁業における補償の問題、こういう問題が出てくると思うわけでありますけれども、これらについては、水産庁としては何か手を打っているか、まだ何も考えていないのかどうか、この辺のところをひとつはっきりしておいてもらいたいと思います。
  164. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 運輸省のほうから具体的な話を聞いているわけでございませんので、私どもとしては正式に検討はまだいたしておりません。  ただ、非公式な意見として、前々から航路整備の一環として第三海堡撤去の計画があるということを聞いておりますが、それに対する漁民の反応といたしまして、正式の意見でございませんけれども、漁業者の反対意見というものがございますが、それを聞いている範囲でお答えいたしますと、漁業者は、現在あります海堡が魚礁の役目をしているのがなくなるということが一つ。それからもう一つは、あそこがなくなりまして、海流が変わるようになった場合に、中のほうの水族にどういう影響があるのかわからないという不安でございます。それから、工事中のいろいろな土砂等のよごれによる被害というものがございますし、なおさらにそれに加えまして、漁業者としては、現在でも船の航行が多いところが、航行しやすくなるとさらに大きな船、あるいは数がふえて漁業の一そうの障害となるのではないかというような、潜在的な反対意見もあるように聞いております。  以上でございます。
  165. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 重ねて次長に尋ねますが、あの辺で、神奈川県の漁民といいますか、または千葉県のほうから出漁する者もあろうと思いますが、大体何人ぐらい漁業に携わっているものなのか。またその年間の漁獲高といいますか。水揚げといいますか、そういうものは幾らくらいになっているのであろうか、その辺のところ、あなたおわかりでしょうか。
  166. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 第三海堡だけというのがございませんで、第一、第二、第三海堡を含めましたあの付近のものを見ますと、操業隻数にしまして、千葉県が約二千隻、神奈川県が千五百隻。漁獲高にいたしまして、千葉県が一万二千トン、神奈川県が四千トン。金額にいたしますと、千葉県側が十六億、神奈川県側が約七億というふうに聞いております。
  167. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いずれにいたしましても、将来起こってくる問題でございますが、漁業補償の問題、漁民にとりましては、漁民の生活に直接かかわる問題でありますから、慎重な配慮をひとつしていただきたいということをお願いしておくと同時に、何としても航行の安全という面から、何とかこの危険な浦賀水道を船舶が通りやすくするということについては、どうか運輸当局としても十分の御配慮を願いたいと思うわけであります。  それから、保安庁長官にひとつお尋ねしますが、浦賀水道のしゅんせつの問題でありますけれども、二十三メートルぐらいしゅんせつをすると、大型タンカーとしては、どれくらいのタンカーが入れることになるのでしょうか。
  168. 手塚良成

    ○手塚政府委員 二十五万トンでございます。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで現在は、二十万トンぐらいが一つの基準として通っているわけでありますけれども、二十五万トンぐらいのタンカーが入れるということになる。そうした大型タンカーが入ってくる場合には、海上保安庁としても相当厳戒体制をとらなければ、万が一の場合にはたいへんなことになると思うのでありますけれども、これについて現在どのような方法がとられているのか、お尋ねをいたします。
  170. 手塚良成

    ○手塚政府委員 現在やっておりますのは、先ほど一部触れましたけれども、特に大型の船につきましては、航路警戒と称しまして、私どもの消防船を先導させる、あるいは船会社自体でタグボートをもってその周辺を警戒させる、それからその他前進の哨戒をさせまして一般の船を誘導させる、これに航法指導、いわゆる航行分離という航行指導を行なっておりますが、そういった面、それから灯標等について、灯浮標等のカンテラ等を強化いたしまして、そういうものに対する危険を防止するというようなことを現在とっておりますが、二十五万トンというようなことになりますと、いま言いましたような十万トン以上、現行の巨大船の入っておりますのに対応してというか、それ以上の強化策が必要かと思います。しかしながら、これは将来の油の需給と見合いましたそういう船の隻数、大型化等を考えますときに、将来ともにそういうようなやり方がいいかどうか、もう少し根本的な対策を考えるべきではないかというようなことで、これは省内全体の問題といたしまして、いわゆる湾内に入らないで、CTS等を設置いたしまして、パイプライン等を活用して油の荷役をやるというようなことに進んではいかがかということが、寄り寄り検討されております。
  171. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで長官、消防船艇の増強の問題、これはやはり必要欠くべからざることだと私は思うわけでありますけれども、四十六年度の予算では一体幾らだったのか。この消防の関係はどうなのか。運輸省のこの予算の説明によりますと、おたくのほうの関係は、「次に海上保安関係について申し上げます。」とありまして、「第一に、海上における交通安全、救難、防災、治安維持及び公害監視の体制を整備するため、巡視船艇二十三隻の代替建造並びにYS−11A型航空機一機及び小型ヘリコプター四機の増強を行なうのに必要な経費」とありまして、防災のほう、要するに消防船艇のほうは、ここには何にもありませんけれども、ことしは何の計画もないのでしょうか。
  172. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どもの船の消防体制でございますが、現在二百九十九隻の船艇につきまして、これをA級、B級、C級という消防力に区画をしておりますが、A級消防船といいますのが、東京湾内でいきますとひりゅうという、これ専門の船に当たります。B級という船が放水量毎時百五十トン以上、あわの放水量は毎時百トン以上という船でございますが、これが七十一隻全体の中にございます。来年度の予算におきましては、このB級の中に該当いたします船、つまり二十二隻、二十三メートル型三隻と十五メートル型十九隻でございますが、この二十二隻を代替建造するという予算がついております。この二十二隻につきましては、消防能力でいいますとB級に該当する消防能力をこれに付加するということにいたしまして、一方公害の対策の船としてももちろん使用いたしますけれども、これはいざという場合にはいま申し上げましたような能力で消防にももちろん活用できる。こういうような両用兼ねた対策を考えておるわけで、そういった予算がついております。
  173. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 けっこうでありますけれども、大型タンカーになってくると、やはり小さな消防船艇がわきのほうからやってもなかなか届かないわけですね。やはりひりゅうというような双胴のああいう消防艇が私は必要だと思うのですが、ああいうものについてはことしは計画はないわけでありますか。
  174. 手塚良成

    ○手塚政府委員 四十六年度の予算としては、ああいった船はございません。
  175. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、これはいかがでしょう。もう予算が何でもかんでもきまってしまったばかりだから動かせないということでなくて、やはり大型タンカーの火災事故というものは起きてはならぬのでありますけれども、万が一起きた場合に、特に東京湾あるいは伊勢湾あるいは瀬戸内、そういうところで起きた場合に、たいへんな被害がかかってくるということは当然過ぎるほど当然だと思うわけであります。そういう点からして、やはり私は大型消防船、これを増強しておかなければ、いざ来いといっても、十五ノットや二十ノットの速力でかけつけたとしても、これはたいへん時間がかかるわけです。実際問題として役に立たなくなる。やはり十分の数を配置しておくというのが一番いいのじゃなかろうか、こう思うわけでありますが、この点について、何とか消防の船をもう少し増強してもらいたいと思うわけでありますけれども、この点、大臣、お考えをお聞かせいただきたい。
  176. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、だんだんとタンカーその他大型化してまいりますので、やはり大型化学消防船の必要は痛感いたしております。四十六年度には、どうも残念ながらほかのほうに予算がだいぶとられましたので間に合いませんでしたけれども、近い将来積極的にそのような方向でやってまいりたいと思います。
  177. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 今年度はどうしてもだめだとおっしゃるのならやむを得ませんけれども、これは何とかできるものならばやってあげるほうが、私は防災上いいのじゃなかろうか、こう思うわけでありますが、重ねてお願いをしておきます。  次に、東京湾口の整備でございます。これが進展いたしませんと、貨物の取り扱い量はますます増大してくる、ところが、御承知のように、大臣もいまお手元に地図があるようでごらんになっていらっしゃるように、S字型になっている非常に狭隘なところを通って入らなければならぬ。結局、首根っこを押えられているようなものだと思うのですね。そうしてまた、手足をじたばたさせているようなかっこう、どうもそういうふうに私は思うわけであります。そこで、特にいま海上保安庁長官にも説明を聞いたわけでありますが、巨大なタンカーの出入港に対しては十分な体制はとっているようでありますけれども、やはり湾の中へ入れてしまうよりも湾外でという、特に油送船の場合は湾外でやろう、そういうところから、富津あたりにシーバースを設置する考えがあるというふうに聞いております。この法案が通過して第四次の計画が策定される段階では、これに対してもどのように取り組まれていくのか、この点をひとつ伺いたい。  それから、たとえば富津にできたとして、内陸部に対する輸送でありますけれども、御承知のように、千葉県側と神奈川側とこういうふうに大きく石油基地があるわけです。そうなりますと、どうしてもパイプラインで富津から対岸の神奈川県のほうにも渡すようにしなければならぬのじゃなかろうかというふうにしろうと考えでも思うわけであります。その際には、やはり海底に敷設することになろうと思うのでありますが、そういう問題については十分研究はなされているとは思いますけれども、これらの点については、技術的な面は別として、大臣の大きな構想の面から、どういうふうにやっていくかという点を、ひとつお答え願いたいわけであります。
  178. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 松本さんも私も、せんだって東京湾の中を船でぐるぐる回りまして、ことに浦賀狭水道も見てまいったわけですが、先ほど来から港湾局長海上保安庁長官から説明しておりますが、ここで私はひとつ問題を提起しようと思うのですが、これは皆さんに御検討を願う、また、ことに和田さんなんか専門家だから、特にお聞きおきを願いたいと思うのです。  私は前から、この港湾の機能別配置ということを言っております。そこで、たとえば浦賀の狭水道、これを二十三メートルに掘るためには、大体六百億円の金がかかります。もしこれを、これからパイプラインの話もあとでいたしますが、パイプライン等によって大型タンカーを中に入れないという前提に立ちますと、必ずしも二十三メートルのいわゆる水路は要らぬわけになります。十万トンなら十万トンで——なぜ十万トンと言いますかというと、将来コンテナあるいは鉄鉱船でもっと大きいのが出るかもしれませんけれども、しかしながら、十万トン以上の鉱石船とかあるいはコンテナ船というものは、湾内でなく、湾外にそのような機能別港湾をつくればよろしい。したがって、東京湾とか、瀬戸内海とかあるいは大阪湾のような湾内の航路は大体、タンカーはもちろんこれは将来は一隻も入れないという方針ですが、とにかく将来ともに入れるのは十万トンを最高の限度にしたらどうだろうか。そうなりますと、いま現在の東京湾の浦賀水道の狭水路、これを二十三メートルを十六メートルでとめるということは、十万トンでとめるということです。そのようになりますと、このしゅんせつ費だけで約六百億かかるやつが、大体四百億ぐらいで済みます。二百億円倹約ができる。もしこれが将来ともに二十三メートルを維持するとなれば、維持費も相当の金がかかるわけであります。あるいは東京湾内は、それ以外のところは相当深いところもありますけれども、これもだだんと埋まってくることは間違いない。したがって、将来ともに二十三メートルを長距離維持することは、費用の上でも私は大きな問題があると思います。ことに瀬戸内海においても同様であります。  そういう意味において、いわゆる港湾というものは原則として十万トン程度で、鉱石船であろうと、あるいは、当分の間はタンカーも入れますけれども、これもそういうぐあいに処理していく。いわゆる水路の面からこれを整理していく。そういうものの考え方、これは私は機能別港湾の分散配置、こう言っておるのです。十万トン以上のものは、要するに、先ほど松本さんからもお話がありましたように、外海に港を新しくつくったらよろしい。あるいはタンカーの場合においては、富津沖にシーバースをつくりまして、そしていまの計画では、そこに三十万トンの船も入れる。そしてそこから、いわゆるパイプラインで東京湾内に入れまして、その中継所からして木更津方面、東京及び横浜方面にやはりパイプラインで流す、こういう計画なんです。  従来、これは調査を進めてまいりましたが、四十六年度に本格的な調査を進めてまいりまして、そこでどういう企業体にするかもあわせて検討させて、私はできれば四十七年度からでももう工事に入るような、といってもその前にシーバースをつくらなければなりませんけれども、シーバースの面におきましては、これはまた漁業補償の問題もやっかいなんです。最近また反対の空気もあります。  さような意味で、直ちに四十七年度にパイプラインをつくるわけにはまいりませんけれども、少なくともそういう構想のもとで富津沖なり——富津沖が一番いい候補地なんですが、そこでやはりシーバースをつくっていくという考え方で、四十六年度にはそういうような構想を明確にしたい。できれば四十七年度から全体的な計画を進めて、五カ年以内に——私は三年くらいでできるかと考えているのですが、なかなか三年ではむずかしいようですが、おそくとも五年以内にはパイプラインの方式は東京湾内で決定をして、そしていわゆるタンカーは原則として中に入れない、こういう方針をとっていく。同時に、一方において、いわゆる二十万トンの船は、鉱石船もできますけれども、そういう鉱石船の二十万トンの船が入ってこなければならぬ工場は、必ずしも湾内につくらなくてもよろしいのです。私はそう思います。これから新しく工場ができるのですから。ですからして、そういうようなことをすれば、全体的な計画の上においてもこれは能力を発揮することができる、かように考えておるわけです。たとえばコンテナにしても、将来二十万トンのコンテナができましょう。だが、何も二十万トンのコンテナができましても、それを横浜とかあるいは中まで持ってこなくても、おそらく東京首都圏の構想というものは、その環状線として湾岸道路を中心にした大きな輸送高速道路ができなければいかぬわけですね。だんだんと東京はドーナツ型になっていって、すなわち効外に人口が集まっている。すなわち三十キロから五十キロの間に人口がだんだん過密してまいります。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 そうなれば、当然そこに首都圏の環状高速道路という、これは五十メートルか百メートルくらいの大きな道路ができなければなりませんから、そこへ持って行くためには、必ずしも横浜まで二十万トン、三十万トンのコンテナが入る必要がない。その環状線の末端においてそれだけの流通港湾をつくればよろしい、こういうことになると思うのです。  そういう意味からも、この問題は運輸委員会で御議論を願うと同時に、超党派でひとつ御研究を願って、やっぱり日本の将来の発展のために英知と衆知を集める、かようなことに進んでいったら、これは幸いであると考えております。
  179. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大構想をお伺いしまして、なお事のついでですから大臣に伺っておきたいのですが、簡単でけっこうです。  陸上のパイプラインの輸送の問題、これは通産側がいち早く外部に発表されておりまして、どうも運輸省のほうは一歩も二歩もおくれてしまったような気がしまして、私どもも歯がゆくてしようがないのです。これは早くから国鉄中心でやっておりましたし、輸送はやはり運輸省管轄でやるべきだというふうに私どもは思っているわけであります。  そこで、言うならば国鉄、私鉄の線路敷きを使用すればどんな内陸部へも持っていけるわけです。そういう点について、これは簡単でけっこうであります、海のことじゃない、陸のことですから簡単でけっこうですが、なぜ通産でそこまでやらなければならないのか、運輸省でもっとリードしていくべきではないか、こう思うものですから、事のついでに私は伺っておきます。
  180. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御質問の点は、おそらく川崎から八王子、そして群馬に行くいわゆるパイプラインの問題が中心だろうと思います。その点に関しては、すでに国鉄において調査完了でありまして、すでに工事に入るだけのいわゆる設計ができておるわけでありますから、私は本年度の予算が通過次第通産大臣とも話し合った上で、直ちに国鉄が工事を施行できるようにしてまいりたいと思います。  ただ、全国の問題になりますと、おそらく通産省なり運輸省がパイプラインの調査費を計上しておりますが、これはこの点に限るのではなくして、全国の場合にどうすべきか、三十年先、五十年先、そういう場合になりますと、これは全国の調査網になりますと、必ずしも国鉄線路敷きでなくてもよろしい場合もありますから、したがって、通産省及び運輸省に計上してあります調査費というものは、これは全国パイプラインをどういうような状態で敷くかという将来計画の調査費であって、少なくとも川崎から八王子、群馬に行くところのパイプラインは国鉄がやるべきものと、かように考えております。
  181. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後でございます。  公害の問題でありますけれども、昨年末の臨時国会で問題になりました海洋汚染法、防止法じゃなくて汚染法ですよ。現実の問題としてざる法ですから、海がますますよごれていってしまうんです。この海洋汚染防止法の中で問題になったのが政令で定めるという、その政令で定めるというのが幾つも幾つもありまして、關谷先生が勘定して国会で質問されたことがありますけれども、その政令の内容が幾らかはっきりしてきたかどうか、この点をひとつ聞かしてもらいたいわけであります。
  182. 手塚良成

    ○手塚政府委員 防止法の内容で、それぞれ省内各部局が担当をして検討しておりますが、私ども海上保安庁の関係部署、たとえば防除措置等の中におきます政省令等は、相当に内容をいま固めております。ほかの部局につきましても、寄り寄り合同でそういう検討会をやっておりますが、聞き及びますと、同様に進捗しておるように聞いております。
  183. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 じゃ、その問題はいずれ機会を改めまして、また見坊審議官から聞くことにいたしますが、廃油処理施設のほうは、港湾局長わかるわけですね。そこで、第四次五カ年計画の初年度では、廃油処理施設の建設をどのくらい見込んでおるかということであります。先ほども内藤委員質問のときにあったわけでありますけれども、なかなかどうも内容についてはっきりしたものが出なかったようでありますが、これはぜひともひとつはっきりしておいたほうがいいんじゃないかと思うわけであります。一体どこにおつくりになる予定なのか、一カ所どれくらいの予定でつくっていくのか。聞くところによると、十一港十二カ所というような説も聞いておりますけれども、具体的に予定される範囲で局長に伺っておきたいわけであります。  私は、川崎の廃油処理施設を見てまいりました。現実の問題として開店休業ですよ。少し言い過ぎかもしれませんけれども、開店休業に近いわけですね。川崎の施設実績、こういう処理をしたという実績はまことに微々たるものです。処理能力というものはまことに優秀に思うわけであります。こういうふうに川崎に入るタンカーが、内航タンカーの場合でありますけれども、当然処理施設のやっかいにならなければならないのがやってこないわけですね。そういうことを考えますと、これでは海の処理施設ができても汚染するばかりだと思うのです。とにかくこの五カ年計画によって、初年度においてどれだけつくるのか、そしてまた、この防止体制に対してはどれだけ真剣に取り組んでいくのか、こういうところを最後に伺って質問を終了したいと思います。
  184. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 廃油処理施設につきましては、御指摘ございましたように、従来の油濁防止法に従って進めてきましたものを、現在御審議いただいております四十六年度予算で一応私どもが考えておりますのは、六億六千万で五港五カ所でございますが、一応計上してございます。これは実は、当初の予定よりもかなり繰り上げて早くやりたいということで考えてございます。と申しますのは、四十七年になりまして残りが、一応いま考えておりますのは五億程度残っておるのでございます。これ以外に規模は小そうございますけれども、非常に広範囲に必要なものが出てくるということを予測いたしまして、これを早急にいま調査をやっておりますが、必要に応じて四十六年度でも、場合によったら一部できるかもしれませんけれども、四十六年度中にはとにかくつくらなければいかぬということでございますので、一生懸命やりたいと思います。
  185. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣、この廃油の処理施設の問題については早急にこれを実施をしていただきたい。海の汚染を防止するということが法をつくったたてまえだろうと思います。せっかく法はつくりましても、仏つくって魂入れずじゃどうにもなりませんので、この点について大臣の確たる見通しをひとつ聞かせてもらって、質問を終わりたいと思います。
  186. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、公害問題は大問題でありますから、本年度においても積極的に取り組みますが、来年度以降の予算においても、全力を尽くしてこれが所期の目的を達成したい、かように考えております。
  187. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  188. 加藤六月

    ○加藤(六)委員長代理 和田春生君。
  189. 和田春生

    和田(春)委員 この港湾整備緊急措置法というのは、たいへん横着な法律でございまして、今回出ている法案改正に関する限り文句の余地がないようなものですけれども、最初にお伺いしたいのは、第一次の港湾整備五カ年計画が閣議決定をされまして三十六年に出発をいたしております。本年が昭和四十六年で、この間十年でございますけれども、十年間に五カ年計画が三次まで三つ入ってまいりまして、これから四次になるわけですから、五カ年計画といってもどうも勘定が合わない。そのつど見通しが大幅に狂っているわけですけれども、今度新たに閣議決定をされようとする改正に基づいて、昭和四十六年度を基準年次とする港湾整備の五カ年計画については、もうそういう狂いがないように、多少の狂いはしかたがないと思うのですけれども、いままでのは、計画とはいえないくらい大きな狂いを生じているのですが、そういう見通しを立てておつくりになるのかどうか、その点ひとつ基本的なお考えについて、大臣にお伺いしておきたいのです。
  190. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 まあ形の上からいくと、和田さんのおっしゃるとおりであります。ただ、学者の間ではこういう考え方を持っております。五カ年計画とか十カ年計画とかは一応の目標であるから、そのときにおける経済成長の度合い等によって増減をしたほうがかえって能率的である。したがって、今度の場合は、御承知のようにちょうど経済成長の激しかった時代であります。その時点で五カ年計画を立てます場合には、そのときにおける状態で一応財政見通しを立てますものですから、したがって、将来はこうなるであろうというような意味で財源の確保ができませんために、将来伸びていくであろうということがあっても、いわゆる確たる財源の検討ができない。そういうことからして、まだ三年はたたぬけれども、その時点で大いに狂ってきたときには、そこで思い切って新計画を立てるというやり方でやってきました。  今度の場合は、多少の狂いはありましょうが、この辺が日本の経済成長の一つの目安でありましょうから、将来においてそう大きな狂いがあるとは思いません。ただ問題は、その五カ年計画に沿うた財源的な裏づけを持ってくるということのほうが大事なように考えております。
  191. 和田春生

    和田(春)委員 この点につきまして、私もそういう関係の仕事に長く従事をいたしておりましたけれども、直接現場でやっている業者ないしは利用者の人たちの意見を聞いてみますと、見通しがどんどん狂っているということは、事実のほうが先に進んでいくということで、計画あとから追っかけている。計画を立てたけれども、なかなかその計画が達成できなかったというのではなくて、もう計画を立てた翌年から計画のほうがずれていっている。そのためにずいぶんむだも多いし、港湾の整備内容、岸壁の長さとか喫水とか、そこにつける船の見通しとか、そういうものもどんどん手おくれになって、非常に現実と離れていくというのは困る。したがって、かなり先を見通してやってもらわないと、いろいろな面で便利が悪いばかりでなく、むだが多い、こういう声が現場では非常に強いわけであります。  そういう点で見ますと、いま大臣は、今度の計画については間違いがない、こういうふうにおっしゃいますけれども、国会冒頭の佐藤総理の施政方針演説その他から見ますと、この程度の見通しでは、またもや狂ってくるという危険性があるのではないか。全体として成長をかなり強く押え、総需要を引き締めるというような政策が基調になっているのなら別でございますけれども、あの調子でいきますとどんどん狂っていく。また資金対策についても、いまのように物価の上昇が激しく、ややこれはインフレと言ってもいいような状態になっているわけでございますが、四十五年次の価格で一兆九千億円ですか、新経済社会発展計画では資金量が見込まれている。今回出されてまいりました資料によりますと、四十六年度大体二兆一千億円、こういう形になっているわけですけれども、その資金量そのものについても、現実の貨幣価値では非常に資金量が不足する、足りなくなるという危険性がありはしないかと思うのです。見通しの問題ですけれども、その辺もう一度関連して大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  192. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 なかなか見通しはむずかしい幾つかの要素があります。たとえば昭和六十年度の新全総の見通しにしましても、国のほうでは大体百三十兆円から百五十兆円ぐらいを一つの国民総生産と見ております。これに対して民間の研究所では、もっと大きいものになりますと、三百五十兆なんということを言っている人もあります。三百兆円と言っている人もあります。こういうぐあいにものの見方によって非常に狂ってきますが、まあ一応われわれは新全総で政府がきめました百三十兆円ないし百五十兆円という前提において物価の動きを計算して、昭和六十年でありますから、今後その三分の一の五カ年間に今回のようないわゆる新五カ年計画をやっていけば、そうたいしたマイナス面はないのじゃないか、こういうことで、従来から見ると倍以上でありますが、二兆一千億円というところで押えておるわけであります。
  193. 和田春生

    和田(春)委員 これは、確かに大臣のおっしゃるように見通しの問題でありまして、そのとおりなるかならぬかと言っておっても水かけ論になると思うのでありますが、特に強く希望いたしたいのは、そういう点でまた二、三年たって改定をしなくてはならぬということがないように、具体的な計画をつくるときには、十分慎重な配慮と見通しのもとにやっていただきたいということを希望いたしまして、具体的な質問に移りたいと思います。  いままでに各委員からかなり質問が出ておりますので、用意した質問の中からできるだけ重複する点は避けまして、伺っていきたいと考えるのですけれども、ついせんだって、二月十九日の新聞に、横浜港の計画について横浜市の港湾局が、横浜港におけるコンテナ化の急速な進展に伴いまして、全国でも初めての本格的なインランドデポをつくるように計画をしたい、そういうことが考えられているという報道があったわけでございます。政府のほうは、この港湾整備の新しい五カ年計画によって全般的にこれを整備したいと考えているわけですけれども、横浜市の港湾局のインランドデポ、つまり従来の港頭における施設の充備ではなくて、内陸部に荷さばき場をつくるという考え方が出ておるのですが、政府計画とのかみ合わせといいますか、それはどういうふうになっているでしょうか。あるいは事前に政府と打ち合わせをやっているのか、あるいは政府が考えようとしておる計画とは無関係に、横浜市の港湾局の独自の発想であるのか、その点をお伺いしたい。これは港湾局長
  194. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 横浜市のインランドデポの計画、的確なものはまだ聞いてございませんけれども、構想程度のものは伺ってございます。私どもが港湾整備法で考えてございますのは、コンテナヤードのフレートステーション程度でございまして、御承知のようにインターチェンジにいろいろなトラックターミナル、そういうものがございますし、いま私が承知しておりますのは、たとえば相模原付近の工場群がございますので、それの貨物のサービスと申しますか、そういうところにデポをつくって港頭部に持ってくるというふうに存じてございますが、市のほうで計画されまして、これが港のほうにかかってくる場合に、けさほども議論がございましたように、道路の問題も入ってこようと思いますが、そういうことも荷主に対する、あるいは船のほうに対するサービスになるならば、大いにけっこうだろうというふうに思っております。
  195. 和田春生

    和田(春)委員 大いにけっこうだろうという港湾局長答弁ですけれども、私は全体の計画という形からいくと、けっこうだ、けっこうだというふうに言っているわけにいかないかなり重大な問題を含んでいると思うのです。いま政府の考え方は、いままでの質疑を通じましても、大体コンテナの場合には、港頭におけるコンテナヤードを整備するという計画に立っていると思うのですね。しかし、インランドデポを整備していく、そういう計画が進むという形になると、コンテナヤードのいわゆる港におけるあり方というものも違ってくる面が出てくるのではないか。確かに出てくると思いますね。内陸部に荷さばき所をつくっていく、そうしてそれを港頭に運んでくるという考え方と、コンテナヤードにおいてそういう機能を総合的にやっていこうという場合と、いろいろ食い違いが出てくるのではないか。政府計画とそういう地方の港湾管理者との間にかみ合わせというものが十分でないと、計画がそごを来たしましして、せっかくお金を投入しながらむだなことになるということにもなるわけであります。特にこの新五カ年計画というのは、総合的に港湾機能を整備していこうということをまつ正面から打ち出しているわけなんですね。そういう点で、もっと政府地方の自治体、港湾管理者との間に十分な連絡をとって、むだがないようにしておく必要があるのではなかろうか、こういうように考えるわけなんです。何もこれはインランドデポの計画がいいとか悪いとかいう批判をしているのではなくて、どうもその点ちぐはぐではないかという気がしているんですが、いかがですか。
  196. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 大いにけっこうでしょうと申し上げましたのは、ちょっとことばが足りませんのでおわび申し上げます。けっこうと申し上げましたのは、御承知のように、現在小さなトラックあるいは小口貨物もございますし、あるいは大口貨物は工場から直送して持ってくる。小口貨物はフレートステーションで積みかえて持ってくる。そういたしますと、道路容量との関連もあると思いますけれども、それほど大規模なもので、港湾のフレートステーションの機能を全部持ってくるというふうに承知してございませんので、適当な機能分担ができればという意味で申し上げたわけでございます。先生の御指摘のように、やはり総合的に見ていいか悪いかは判断すべきであろうというふうに存じます。
  197. 和田春生

    和田(春)委員 この点につきましては、やはりいろいろな情報が乱れ飛んだり、計画が幾つもそごをしているようなものが出てきますと、関係業者の将来の経営計画といいますか、方針の設計という面においても不安を与えたり、なかなか見通しが立たないということもありまして、政府だけではこれはできない。やはりそこで機能している民間の業者の協力というものも必要なわけですから、ひとつ政府としてはそういう点について十分な連絡をとりながら慎重に対処して、そしてよい方向に持っていくように希望したい、こういうふうに思います。  なおそれと関連しまして、こういうものが出てきたということには、私はやはり一つの背景があると思うのです。それは日本の計画全部についていえると思うのですけれども、たとえば多摩ニュータウン、ニュータウンなんというけっこうな名前をつけておりますけれども、あれはマッチ箱のような家をつくっただけで、道路とか通勤対策というものはさっぱり伴っていない。そこで、港湾の設備はどんどん整備をしていきますけれども、その港湾に荷物を持ってくる、運び出す道路とかあるいは鉄道とか、そういうような背後地との連絡という面についてばらばらになっていると思うのです。それは県がやる、それは市がやるとか、国道の部分は建設省がやるのだ、港湾のほうは運輸省だ、あるいは港湾管理者だというような形でやっておるものですから、せっかくりっぱな港ができても、あとの背後地との連絡というものが非常にだめになる。そこのところが非常に渋滞を起こす。そのためにたいへん非能率なことになっておるというような事情がからんでおると思う。そこで、港湾の機能というものを飛躍的に高めていくという場合には、当然その港湾と背後地との交通というものにまで計画を進めまして、がっちり内閣で調整して確立をしておかなくてはいけない、こういうふうに考えるわけですが、これはひとつ運輸大臣に、今後そういう点どういうふうに考えて対処されるのか、お伺いいたしたいと思います。
  198. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 計画は総合的にやるんですがね。ちょうどいま和田さんから多摩ニュータウンの鉄道交通の問題のお話がありましたが、たいへん弱っておるわけです。ニュータウンがだいぶできたけれども、鉄道はできる見込みがない。そこで、単なる机上でもって鉄道をああ敷くのだ、こう敷くのだということだけではなく、その建設をどうするかということを多摩ニュータウンを計画する際に考えてもらわなくてはいかぬ。たとえば、多摩ニュータウンは東京都とか何かがやったのでしょうけれども、その場合に交通路線を私鉄なりあるいは国鉄にやらす。いまのところ多摩ニュータウンは私鉄がやることになっておりますけれども、開発利益というものを全然見込まないで、そこで私鉄にこれだけの鉄道を敷けといえば、現在の運賃の三倍以上出さなければこれはできないわけですね。したがって数十万とか、要するに鉄道一本引っぱらなければいかぬような大きなニュータウンをやる場合には、少なくともその分譲地の中に建設資金が入って、そのニュータウン自身が鉄道を敷設するという考え方をしませんと、これはできない。万博もそうでありまして、私がちょうど万博対策特別委員長をしておりましたが、そこで地下鉄を先に延ばす問題で、とても大阪市営はできない。こういうことから私は中に入りまして、市と府とそれから私鉄を入れまして、この建設資金の一部を万博が持つということでやったのですが、そういう建設面まで考えてのマスタープランでないとナンセンスだ。  そういう意味において、港湾の場合においても、港湾の造成が行なわれる場合に、背後地との道路の問題等を考えて、国がやるべきものは国でけっこうですけれども、国ができないものに対しては財政措置で建設資金を助成してやるか、そこまで考えないと絵にかいたもちになってしまう危険があります。今後その点についてはやり方を考えていかなくちゃいかぬのではなかろうか、私はかように考えております。
  199. 和田春生

    和田(春)委員 確かに計画だけはりっぱにできましても、実施の段階でズレがきますとどうにもならなくなるわけなんです。そういう場合、考えてみますと、せっかく港の施設はよくできた、ところがそことつなぐ道路を拡張しなければならない、用地の買収がひっかかってくる、しかも港の近くでいろいろ密集地帯という形になりますと、非常に地価も高い、なかなかむずかしいという面もありまして、地図の上に線は引かれておっても、実施計画が進まない。いろいろな面でそういう点が出てくると思う。全般的な国土の総合開発についても言えるわけですけれども、特にここにうたわれているような新しい港湾の整備五カ年計画を、日本の経済社会の発展に合わしてやっていこうという形になりますと、港という環境を見た場合に、私は土地政策が非常に重要になってくると思うのです。これなくしてやろうと思っても、プラン倒れに終わるということがあるのではないかと思います。  そこで、これは内閣全体の問題ですけれども、自民党内閣の中でも切っての実力大臣といわれる運輸大臣ですからお伺いするのですが、やはり土地の私権の制限とかあるいは収用法の改正とか、そういう点で公共のためにはかなり強い政治的権力が行使できるという体制を整えないと、どうもうまくいかないのではないかという気がするのですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  200. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 全く同感であります。ただ、横浜港のような場合になりますと、既設港湾でありますから、そういうようなものを適用する場合に非常に困難があります。これからの新しい大規模港湾の場合は、やはり背後地における陸上の道路の問題その他は全体の中で考えていけば、これはかなりやりやすいという問題が起きてまいります。おっしゃるように総合的な見地からこれはやっていくべきものであり、その方針で今後具体的なことを進めていきたい、かように考えております。
  201. 和田春生

    和田(春)委員 そういう点で、先ほど松本委員質問に対して運輸大臣説明をされました、港湾を機能別に活用することを考えようという構想には、私どもも原則的に賛成でございます。何もかも内湾部あるいは内海に大きな船を持ってこよう、そういたしますと、やたらに港の規模を大きくしなくてはならない。当然そこに集中してまいりますから、背後地との連絡についてもいろいろそごを来たす。したがって分散する、こういうことは非常にけっこうだと思います。  そういう点で先ほどの大臣の言明というものを引用いたしますと、たとえば東京湾であるとかあるいは瀬戸内海であるとか、そういう内海部あるいは湾内に対しましては、十万トン以上の船は原則として入れない。そうすると、そういうところについては十万トン以下の船を対象としての港湾計画を考えていくというふうに、政府の政策の方向を持っていこうとしているというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  202. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これはまだ私の私案であり、皆さんの御意見を聞いて与野党一致でもって、ひとつそういう新しい方向を考えてみてはどうかということでありますから、まだ政府が方針としてきめたわけではありませんが、私はそうすることが経済効果の上においていいのではなかろうか。たとえば、瀬戸内海の場合におきましても今度三つの橋がかかります。あそこに二十万トン、三十万トンの船を入れていくということになれば、たいへんな影響が出てまいります。そういう意味において、やはり瀬戸内海の西部の周防灘ですか、あの辺まではけっこうでありますが、中へ大きな船を入れる問題については考える必要がありはしないか。これは私見でありますから、まだ政府の方針として決定したものではない、かように御了解願います。
  203. 和田春生

    和田(春)委員 この点は、政府の方針として決定したものではないということで一応了解いたしますけれども、確かに大臣がおっしゃいますように、瀬戸内海にも本州四国の連絡橋が三つ全部できるかどうかわかりませんが、かりに一つできましても、あのときの連合審査で私は質問したのですけれども、スパンが千メールないし二千メートルとしますと、後方閉塞を考えると、とてもじゃないが大きな船がすれ違うだけのレーンがとれないという問題が起きてくると思う。やはりこれからは船が大型化し高性能化していくということになると、何といっても安全が第一でございまして、一ぺん事故を起こしてしまうとどうにもならぬという問題があると思う。そういう面で安全対策という見地から、港湾、内海、狭水道、そういうような特に内湾部あるいは内海部に対しましては、船舶の入港等を大きさの面で制限をするとか、そしてそれに見合う別個の外洋に面した面に対する計画等もまだきまっておりませんけれども、十分ひとつそういう点を検討していただきたいということを、いまの段階では希望をいたしておきたいと思います。  さらに、これは港湾局長に伺いますが、少し具体的な問題になるのです。先ほど廃油処理施設についての質問がございました。ところが、一部新聞にも報道されましたけれども、私どもの実際につかんだ例でも、ついせんだってですが、邦洋海運の明邦丸という船舶が横浜の廃油処理施設で廃油の陸揚げを拒否された、こういう事実があるわけです。断わられたのはどういう理由かというと、油の質が悪いから、こういう形で断わられております。そこで、千葉、横浜の港の廃油処理につきましていろいろ調べてみましたところ、千葉県のごときは、県のほうから悪い油は廃油処理をしないように内々に指示を受けている、こういうことを聞き出してきたわけでございます。それはなぜかというと、この機械がこわれるからである。ところが、一方陸上の公害対策という点で低硫黄重油の使用というものが非常に進んでまいりまして、これは引っぱりだこになっているわけです。これは御承知のように凝固点が非常に高いものですから、現在の処理施設ではたいへんぐあいの悪い面ができる。ですから、機械の安全を保つということだけから考えますと、そういうあぶなっかしいものは引き受けるなというのは一面の理由があるように見えるわけです。  しかし、すでに昨年海洋汚染防止法ができまして、廃油は捨ててはいかぬということになっている。そこでどうしたことをやっているかというと、ざっくばらんに言いますけれども、結局ないしょでどんどん海に捨てているのです。捨てるなといわれても、引き取ってくれなければ困るわけです。外航タンカーの場合は別ですけれども、内航タンカーの場合、そういうところで引き取りを断わられたら、かかえ込んだままうろうろしているわけにいきませんから、海上保安庁の目でも盗んでどんどん捨ててしまうという形にしないと話にならぬ。見つかると罰せられる。これはとんでもない話です。現実にそういう話を聞いておりますし、断わられた船というものを実際私どもはっかんできたわけなんです。そういう事実がある。こういう点について、港湾局長は一体どういうふうにお考えですか。
  204. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 横浜のただいま御指摘の事実はちょっと私、存じませんけれども、一、二、千葉あるいは横浜の廃油処理施設につきましては、たとえば計画当初は、ミナスの油であるとかビルジの非常にどろどろした油に対しましては、当初考えないで、むしろバラスト水を中心に考えて一応設計したという点は、率直に私ども認めざるを得ないと思います。実は千葉でも、聞きますと二、三そういう例がありまして、詰まって機械が故障を起こした、したがって一カ月ぐらい修繕にかかったという例も聞いております。さっそく実は相談いたしまして、予算措置のとれるものはとるし、県でやれるものはやっていただいて、そういうことのないように、特に大港湾といいますか、東京湾とか大阪湾とかそういう大切な場所は、そういうものが来ましても受け入れるようにということで、せっかく施設を改造さしているところでございます。  なお、私の聞いている範囲では、根岸の日本石油の処理施設はそれはやれるというふうに聞いておりまして、千葉に行って実は断わられたそうでございますが、たまたま新聞で見ましたもので、呼んで聞きましたら、自分のほうでは処理できないから、あちらに行ってくれと言ったことはあると言っております。この点はおわび申し上げなければなりませんが、早急に現在の施設をもう一ぺん再点検いたしまして、できるものからどんどん改造してまいりたいというふうに考えております。
  205. 和田春生

    和田(春)委員 そういう点で、どうも私は海洋汚染防止が先か、機械を大事にすることが先かよくわからなくなったのですけれども、廃油の処理を断わられてそれを海に捨てた場合に、海上保安庁長官、それは法律の免責を受けるのでしょうかどうでしょうか、お答えしにくいかもわからぬけれども、伺っておきたい、切実な問題なんですから。
  206. 手塚良成

    ○手塚政府委員 実は、私どものほうでもいま御指摘のような内容を把握しておりまして、やはりもとになります廃油処理施設自体をいまのような問題で解決をしていただきませんと、いたずらに取り締まるだけでも問題の解決になりません。先般の省議におきまして、私はそういうことを強く港湾局長にもお願いをした次第でございます。  現在のところ、そういうものが見つかったらどうするかということについては、ひとつケース・バイ・ケースで措置いたしたいと思います。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 和田春生

    和田(春)委員 そういうふうに答えられるのは一番名答だと思うのですけれども、五カ年計画もけっこうですが、海洋汚染防止法というのはもうすでに法律が制定されまして、また政令にゆだねられている分もたくさんございますが、やはり海洋汚染防止はたいへん大事だと思います。また公害対策から、ミナス原油その他低硫黄重油というものが非常に求められているということも事実であります。そういう点になりますと、とりあえず捨てちゃいかぬという以上、処理するところの廃油の便所を整備するということでなければ、全くちぐはぐの行政という形になって、しわ寄せを受けるのは弱い業者やあるいは船の乗り組み員だということになるわけであります。したがって、まず今後策定する計画の中でも、先ほど六億五千万円ほどで五港整備するというお話もございましたが、ともかくそういう船舶から廃油を引き取ってほしいという要請があれば、それに応ずるだけの体制を緊急につくるということがこの際どうしても必要だと思います。そういう点について、この席上で責任をもって緊急に措置をするということをお約束願います。
  208. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾管理者につきましては極力そのように指導しておりますし、それから港によりましては、民間の施設でもそういうものがあるところもございますので、全部が全部そろうということでなしに、当面の需要に合わせまして、必要なものはどうしてもやらなければいかぬということで進めてまいりたいというふうに存じております。
  209. 和田春生

    和田(春)委員 こういう港の場合には、整備をするといっても各般にわたっているわけでありまして、さらにまた前の六十三特別国会ですか、私のほうから質問をいたしまして、港湾の安全対策についてのチェックポイント、こういう点についても政府に善処をお願いいたしました。本省からは通達も出ているようです。しかし現場へ行きますと、それは一片の紙きれとして全然行なわれていない。港の名前は遠慮いたしますけれども、あるところへ行って聞いてみますと、港湾管理者自体がそういう通達が出ていることを全然知らない。あわててさがしてみたら書類があったというような事実もあるわけです。これでは私は何にもならないと思うのです。そういう意味で、ひとつ今後積極的な行政指導と、この安全対策のみならず、設備の面においてもチェックしてもらって、そして言ったこと、きめたことと、実際に行なわれることが一致するということが必要だと思います。そういう点について、特に運輸大臣の強い行政指導を要望いたしたいと思います。これは大臣うなずいておられますので、承知を願ったことにいたしまして、次に進みたいと思います。  いままでの港湾整備計画ということについて、何が不満かということを現場にいろいろ聞いたわけです。それについて一番大きな、どこへ行っても出てきた不満は、全体の計画というものについて、簡単に言うと、運輸省がある程度のものをつくってしまう。それをお仕着せで持ってくる。そういう点で、かりにそれは実際上まずいというような意見があっても、もうすでにある程度の計画をつくってきているものですから、なかなか直りにくいし、港湾を利用しあるいはそこで業を営んでいる者にとってははなはだ困ることもある。これから非常に大がかりな計画を進めるという場合に、いろいろ審議会とか委員会はありますけれども、少なくとも主要港湾、この整備の対象になるところには、現場の業者とか利用者とか、そういう者の意見を計画を立てる前にまず十分聞いてもらう、そういうものを各港湾ごとに積み上げる、それをさらに全体として積み上げて調整をして、おろしてきてもう一ぺん聞いてもらう、言うなれば計画のフィードバック、そういうことをぜひやってもらわぬと、いままでの繰り返しでは困るのだ。いろいろな要望がございましたけれども、この要望が一番強かったように思います。  そういう点について、今後確かに審議会の意見を聞いたり、あるいは一部民間の意見を聞かれることになろうと思うのですけれども、港運業界団体もございますし、ある場合には集めていろいろ聞くとかいう形で、実際に適合した意見を吸い上げて、的確な計画をつくっていただきたい、こういうふうに考えるのですが、その点ひとつ運輸大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  210. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ごもっともでありますからして、港湾局長も聞いておりますから、港湾局長も下部の業者あるいは地方団体の意見を十分にくみ上げた上で、原案を決定するようにいたしたいと思います。
  211. 和田春生

    和田(春)委員 今度はちょっと角度が変わるのですけれども、港湾関係にいろいろな仕事があるわけです。タグボート、引き船は、港湾関係の法律でいきますと、いまはどの法律でチェックをされることになっているのでしょうか。
  212. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 これは和田先生のほうが詳しいかと思いますけれども、タグボートは港によって種々ございますが、タグボート業として監督する規定がございませんで、各港によりまして、あるいは港湾管理者が自分整備する、持っておるというところもございますし、民間企業が持っていてサービスするケースもございます。港湾管理者が整備したいという場合は、港湾整備促進法という法律に従いまして、これは起債をあっせんする法律でございますけれども、港湾法にも、港湾管理者の業務の一部に入っておりますので、起債をあっせんして整備していくというふうになっております。
  213. 和田春生

    和田(春)委員 こういう点につきまして、港運業については免許制がとられているわけなんですけれども、タグボートだけの専門業者というのはないにいたしましても、引き船というのは、今後の港湾の状況を考えますと、船も大型化していき、かなり重要な役割りを占めるようになると思いますし、もちろん岸壁ですぐ積みおろしをするという形になりますけれども、こういう点で、もっとこれの利用の方法があるのではないか。  先ほど松本委員質問にも出ておりましたが、防災対策との関連で海上保安庁で消火艇をつくる。確かにこれをつくるということは必要だと思うのです。しかし、火災がないときにはじっと遊んでいる。そういう船を、かなり高性能の船を、あまりたくさんつくって遊ばせておくわけにもいかないと私は思います。それからまた数が少なければ、事故が起こったところに到達するまでにかなりの時間がかかるわけでありまして、この前川崎港で起きた場合も、ひりゅうが現場に到達するまでに一時間ぐらいかかっているわけであります。  そういう点を考えた場合に、タグボートというものはかなり出力の高いエンジンを備えており、高馬力なのであります。これをある程度業者について——それは免許制にするのがいいかどうか別として、ある程度責任を持たせ、タグボートに政府が補助して、一定の消火設備というものをつけさせて、そして訓練する。それに従事する人が要るわけですから、当然助成をしなければいけません。一定数以上のタグボートを持つものについては、免許制かそういう形にいたしまして、そのかわり消火、防災の設備をそれに持たせる、政府はそれに助成する、こういうような方法を考えて、民間の能力をベースに、そういうエンジンがあるわけですから、活用するという形にすれば、消火艇を一隻つくってまるまる遊ばしておくよりも経済的な効率も非常にいい。それから、そういう業者の秩序の確立という面につきましても、両々プラスするところがあるというような意見があるわけなんです。そういう点について、どういうふうにお考えですか。
  214. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 御指摘のように、特に最近は高馬力のタグボートが出てまいりました。三千馬力、四千馬力というようなタグボートがございます。新しいタグボートは、先生御指摘のような消火設備はみなほとんど備えていると思います。特に港湾管理者の持っているものは、逆に私のほうからもつけるようにということで準備さしてございます。それから民間のタグボートでございますけれども、一部、私のほうが窓口になってございますけれども、開発銀行の融資その他があっせんしてございます。小さいものは別といたしまして、かなりの高出力のタグボートは、大体みなそういう準備をして申請してまいってございます。  なお、先生御指摘のような、一定規模以上の団体に対してどうするかという問題は、今後の私どもの研究課題にさしていただきまして、関係各局ほかにございますので、十分相談してまいりたいと思います。
  215. 和田春生

    和田(春)委員 大型化してまいりますと、消火設備といっても、先ほどのやりとりにありましたけれども、ただ消火設備を持っているというだけでは役に立たぬわけでございまして、陸上でも高層ビルの消火については、特殊なはしご車が必要であるというような点で、マストの構造とか、あるいはそういう高所から放水できるような施設とかいうようなものをつけておくということが必要になると思うのです。そういう点でも、いまお話しのように高出力のエンジンを持っているタグボートにやるという場合には、そうたいした費用じゃなくてつけられる。ただ、もちろんそういう災害防止に出るわけですから、防災した場合のいろいろ従事する人の補償とか、そういう問題はからんでくると思うのです。  そういう意味で、何もかも政府ないしは港湾管理者だけでやるのではなくて、幸いにそういうところにあるのなら、むしろ積極的に基準をつくる、そうしてある意味でいけばそれを助成していくということをお考えになることも、これからは非常にいいのじゃないか。午前中の車検でも、民間車検を活用するというのですけれども、できるだけそういう方向にいくべきだと思うのです。そういう点について、ひとつ運輸大臣、積極的に前向きで検討していただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  216. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 有意義な提案ですから、前向きに検討してまいりたいと思います。
  217. 和田春生

    和田(春)委員 前向きに検討するという一言ですけれども、これはたいへん価値ある問題だと思いますので、海上保安庁のほうも関係がありますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。  なお、これは最後の質問になりまして、たいへん待たせて恐縮でございますが、海上保安庁長官並びに水産庁長官にお伺いをいたしたいわけであります。  東京湾の安全対策ということに関連して、先ほど水産庁長官からのお答えもございまして、漁業に従事している者の生活ないしは反対ということが、いろいろな面で問題になるということでございました。あの東京湾の湾口における水路というものを安全にするために、海堡の撤去作業とかあるいはしゅんせつであるとかということも必要でございますが、同時に、だんだん船舶が大型化し、たくさんの船が出てくるようになりますと、これは海上の交通規制、言うなれば海の道交法が必要だと思うのです。この海上交通法、今後海上交通安全法とか名前を変えるそうでありますけれども、長年の懸案であるにかかわらず、一向に日の目を見ない。この点について海上保安庁長官、今国会にお出しになるつもりがあるのかないのか、またどういう状況にあるのか、ちょっとお伺いをしたい。
  218. 手塚良成

    ○手塚政府委員 海上交通のふくそうの解決、その安全の確保という面におきまして、特に狭水道の将来のふくそうを勘案いたしますときに、いま御質問のございました通称海上安全交通法といわれます法律によって、通航分離を必要とするところの諸種の交通整理の淵源と申しますか、そういう機能を持ち得るような法律、これが必要であるということは、われわれは十分承知をいたしております。  それで、内々ドラフトをつくりまして、関係方面等との折衝を続けてきておるわけでございますが、特にいま御指摘あったかと思いますが、水産庁との関係がやはり一番重大な問題になってくる。そういうことで、前々から水産庁とはお話を申してきておりますが、なかなかこの範囲あるいはお金の額、あるいはだれがどういうふうな方法でやるかというようなことで、まだその間の十分なる調整がつきかねております。  そのために、まあ今国会には——一応私どもはできるだけ早く提案したいと思って努力をいたしましたけれども、率直に申し上げまして、今国会には間に合いかねるという気がいたします。引き続きまして、ひとつ今後努力を傾注することにいたしまして、まず来国会等を一つの目途として関係方面等の御協力を十分得まして、早急に法案策定に努力をいたしたい、かように考えております。
  219. 和田春生

    和田(春)委員 ずばり水産庁長官にお伺いいたしますけれども、漁民、その沿岸漁業関係の反対が非常に強いということがネックになっておるようなんですけれども、そういう漁業に従事している方たちの反対というものに、水産庁はバックする立場をとっているんですか、それとも海上安全のためにそれは押えていかなくちゃいかぬという立場をとっているのですか、どちらなんですか。
  220. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私どもといたしましては、海上を安全にするということについては、海上交通法について積極的に協力していきたいと考えておりますが、漁業者の側から見ますと、先祖代々平穏無事に操業しておったのが、船が大きくなってできなくなるということで、一方的に漁場を排除されるというのでは困るということを主張しておるようでございますので、そこをどういうふうに調和させるかという点で、私ども努力いたしておるところでございます。
  221. 和田春生

    和田(春)委員 それは農業の場合でも、林業の場合でも、水産業の場合でも、先祖代々ということを言い出しますといろんなことがあるわけです。いま長官がお見えにならず、次長がお答えになったようですけれども、この船の問題については非常に重要な問題があるのは、十万トン、二十万トンという大きな船でなくても、数万トン程度の船でも、タンカーが一隻事故を起こすと油が流れ出る。これはまあフェンスを張ってもなかなか食いとめられないという形で、どんどん潮に乗って流れていきますと、もう漁場そのものが全滅に瀕するような災害を受けるわけです。  したがって、そういう沿岸漁業者の、いま東京湾の中ではだんだん範囲が狭くなっているわけですけれども、残っている部分を守るという意味で、絶対に東京湾の中ではそういう悲惨な事故を起こさないということが大前提でなければ、先祖伝来も何もなくなっちまうと思うのです。そういう点で、新しい時代に向かっていくという場合に、水産庁は、東京湾の中をやはり先祖伝来の伝統的漁場として、今後の産業化社会の中で、東京湾について残していくべきであるという政策をおとりになっているのですかどうですか、お伺いしたい。
  222. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 東京湾の中でも、漁業を成り立たせたいということを現在考えております。
  223. 和田春生

    和田(春)委員 どうもあまりはっきりしないのですがね。ある程度やはり残していきたいと考えれば考えるほど、いま言ったように安全対策が必要である。そうなれば、多少の補償をやるにしても、海上交通法あるいは海上交通安全法というものを早期に制定をして事故を起こさないようにするということが、正しい行政の態度だと私は思うのです。そういう点、あまりにも抵抗のほうに心を引かれているうちにもしものことが起きたという形になれば、たいへんなことになるわけであります。  そういう点において、この問題については省庁が違うからということではなくて、これだけ大型化をして、しかも港湾整備計画をどんどん進めていくというのは、それだけたくさんの船が入るようになるということでありますから、運輸省、水産庁も協力して、海上交通安全の法基準をすみやかに制定するということを希望いたしたいと思います。この点について、水産庁と海上保安庁長官に一言ずつお伺いをいたします。
  224. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 先ほども申しましたように、海上交通法につきましては、私どもといたしましても積極的に協力して、なるたけ早い機会に交通規制ができることを努力いたしたいと思っております。
  225. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私どもは、ただいま先生の御趣旨と全く同様なことを考えておりますので、今後とも水産庁の強力な御支援、御指導を得まして、目的達成に努力いたしたいと思います。
  226. 福井勇

    福井委員長 和田君、そろそろ時間が近づいております。
  227. 和田春生

    和田(春)委員 あと質問一つであります。  運輸大臣に最後にお伺いいたしたいと思います。といいますのは、いままでのやりとりは、もっぱら港湾の施設とかいうもののほうが中心であったと思います。しかし、最近非常に困っているのは、港湾における労働者の確保という点、しかもその港湾労働者の確保が、昔はニコヨンとかいろいろなことがいわれておりましたけれども、単に単純労働力、人手を確保して、人間を使ってやるという面に重点が置かれておりましたけれども、コンテナヤードをはじめ、最近におきましては港湾の施設というものは著しく機械化をされてまいりました。そしてクレーンであるにしてもリフトであるにいたしましても、その他いろいろな施設を使うにしても、かなりの技術ないしはこれに対する訓練が必要である。ところが、そういう労働者を確保するということがたいへん困難になっておる。ようやくなれたころになると、かっこうがいい重機械工場なんかに引っこ抜かれていくというようなことで悩んでおるわけであります。  そこでこの際、日本は海の国として港湾の作業というものは非常に必要でございますけれども、そういう技術水準をある程度持った港湾労働者を確保していくという点で、この際たとえば、これは仮の名前でありますが、港湾技術専門学校とかあるいは港湾労働学校とか、そういうようなものをつくりまして政府が積極的にそれに助成をして、そういうところである程度いわゆる給費生として訓練をして、港湾でそういう人たちが働いていく、そういう学校を出た者についてはある一定の資格を与えて、賃金その他についても保証をするし、社会的にも敬意を表される、そういうような方向を見て、今後の労働者確保の政策を前向きに考えていく必要があるように思うのです。ただ人集めは業者にまかせておいて、札束でなでるようなことで臨時に人をどんどん集めてくるというのではなくて、計画的にそういう技術水準、また誇りを持って働けるような職場をつくるということのためのいわゆる教育というもの、そういう面の施設がぜひ必要だと思うのですが、これは運輸大臣、あなたはいろいろ新しいアイデアをお考えになるわけですけれども、この際これを積極的に取り上げてそういう方向を進めていただきたい、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  228. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは船会社等も、労務者の問題についてはたいへん関心を持っておるようであります。最近は常用雇用者といいますか、これが大体六割ぐらいを占めてきたということは、一つ機械化をどうしても行なわざるを得ないということからそうなっていると思います。いま御提案の問題は、たいへん興味がある問題でもありますからして、十分業者の間でも考えざるを得ない問題ですから、積極的に港湾局長をして業者とも相談をして、いわゆる各種学校の例でやればよろしいのですから、そういう面で検討してまいりたい、かように考えております。
  229. 和田春生

    和田(春)委員 終わります。
  230. 福井勇

    福井委員長 次に井野正揮君。
  231. 井野正揮

    ○井野委員 夜分でもございますので、簡単にお尋ねをしたいと思うわけであります。  まず最初に大臣にお尋ねをしたいのは、この法案は四十三年度から四十七年度までの計画を、その実態が非常に変わってきたからまたその想定額を上げて、法律を今度は四十六年度を初年度にして五年計画でやろう、こういうことですから、別にそのことに関する限りはとやかく議論するところがないと思うのです。ただしかし、計画性の問題からいきますと、政府のやっておる計画というのは全く見通しが甘いというのか、不正確で、計画を立てても、二年か三年たったらやめて、また次の計画を途中でやり直さなければならぬというような計画で、私これで一年前の質疑を思い出すのですよ、大臣。あの国鉄財政再建計画についてお尋ねしたら、いや、あれは原君のときにやったので、おれも賛成でなかったんだけれども、しようがないから閣議へ出したんだというような話を聞いて、これはなかなか度胸のある大臣だと思って感心したのです。そうすると、次々こういうふうに計画がぞろっと変わるわけですね。私どもやはり運輸委員となりますと、内輪的感情があるのですね。身びいきというものがどうしてもできるのですよ。そこでまたぞろ計画が二年ぐらいすると変わるということになりますと、後世恥ずかしいことにもなります。  そこで、なぜ変わったのか、原案はどうだったのか、一体この二兆一千億というものは将来にとってどういうふうな確定性があるのか、こういうこと等を考えてみる場合に、輸送手段も変わった、輸送量もふえた、船も大きくなった、そういう事情は観念的にはわかるわけです。そこで外国貿易の港、内貿の港等々について、たとえばこの港については三十五万トンのタンカーが今度は六十万トン、百万トンになるから、水路を何ぼ深く掘らなければならぬのだとか、やれ防波堤を何ぼ直さなければならぬのだとか、そういうような、ここにも書いてありますけれども、積算の根拠というものが明らかになって、そして二兆一千億になって五カ年なんだと言われると、これは何ぼしろうとでも常識的にわかるわけです、この議論だったら。ところが、資料を出してくださいと言っても、閣議決定するまでは出せないとおっしゃるのです。これでは何を審議せいというのだかわけがわからぬことになる。その四十七年までの計画を、この法律でどうしても変えなければならぬという根拠と、その変える根拠になる、今日の輸送体系に不適合の要因ですね、これをひとつ大臣、ほんとうにおわかりになっていらっしゃるのですか。どうも失礼な質問ですけれども、私はわからぬから、やはり大臣ほんとうにわかっておるのかどうか聞いてみたい。まず第一間、これなんです。
  232. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 正確に答えろということになるとなかなかむずかしい問題ですが、必ずしも比喩は当たらぬかもしれませんけれども、Aという少年が十二、三歳から急に伸び上がって、そうして五年間着れる服がとうてい着られなくなったという例が、これは学校によくある例であります。ちょうど港湾の計画にしましても、当初考えておりました経済成長からいえば一つの問題はあります。国の財政の措置の問題がありますが、その方面で少しチェックされたのでしょうが、そういう点から考えて、いわゆる急にからだが大きくなってきた、成長率が二二%、一四%というのが従来の、ここ二、三年間の伸びでありますから、そういうことから考えて、やはり従来の一兆三百億円では間に合わない。今度も、実は運輸省としましては二兆五千億くらいの計画で進めたいという考えもありましたけれども、いろいろ私自身から考えるというと、まあ国の経済成長といっても限度があります、各国の例から考えても。そこでいろいろ勘案した結果、まあ二兆一千億であれば従来の計画の倍以上でありますから、この五年間に倍以上の計画を持っておれば、あるいはそこまでを多少突破することがあっても、大きく突破しないのではなかろうかというところで、今度は五年間ぐらいはもつ案として私としては策定をした。  そこで、大蔵省はなかなか承知しませんでしたけれども、将来ちょいちょい変わったんでは、これは運輸委員会に申しわけないから、五年間変えないというためにはどうしても最小限度これだけのものは要る、こういうことを突っぱりましてそこできめた案でありますから、まあ五年間は変えずに済むであろう、一応私たちはそういう推測のもとにこの案を皆さんに御審議願っておるわけであります。
  233. 井野正揮

    ○井野委員 全然わからぬわけじゃない、大まかなところはわかっておるというような御返事のようでございますから、少々安心をするわけでありますが、しかし、事務当局が積算した案は二兆五千億だったのだけれども、大蔵省のほうから四千億ほど削られて二兆一千億になったというわけでありますが、大体これは一八%ぐらい削られたわけであります。やはり、よもやと思っておったのに月の世界へも行ったというようなこと、それから子供に例をとってごらんになれば、確かに戦前の子供は大きくなかったのですが、戦後急に伸びてしまって、このごろの子供はたいてい親よりも大きい。女の子でも大きいわけであります。そういうような異常成長、予想を越えた、常識を越えた成長、これは大臣、私ども観念的にはわかるのです。しかし、それにしても国政審議の上にあたって、ことにこういう経済変更が起こり、それらに対応するといっても、もうこれは一つ一つの港を積み重ねて何ぼになった、その場合の重ねた根拠というものは、金額は別としても、水深を何ぼ深くしなければならぬとか、防波堤を何ぼ延ばさなければならぬとか、港湾に関する限り格別なものはないわけです。最近は公害とかいろいろな問題があって、排水の管理だとか、そういうものが出てきておりますけれども、それにしても、二兆一千億の全体的な数字がこういう形で割り振られたんだというような、あるいは二兆五千億が査定を受けた根拠はここだったんだというぐらいの資料は、これは常任委員会ぐらいに出さないでめくらめっぽうの審議をしろというやり方は、国政というもの、予算の信憑性というもの、計画の確実性というものから考えて、立法府の権威、予算の審議というものから考えると、大臣答弁には楽かもしれませんけれども、実は国政運営上はあまり適当ではないと思いますが、これは大臣としてではなくて、同じ国会議員、代議士としてどうお考えになりますか、この点ひとつ……。
  234. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 この港湾五カ年計画を決定するまでには、いろいろ皆さんのほうにも事務当局から、内容の積み上げ等のお話は非公式にはいたしたと思います。  ただ問題は、二兆五千億がなぜ二兆一千億になったんだ、こういう問題が一つあります。今度の新五カ年計画の中には、将来の大規模港湾のいわゆる建設というものが含まれております。それが総額どれくらいになりますか、うろ覚えで申し上げては恐縮ですが、おそらく三千五百億円ぐらいが入っておると思います。これは二兆五千億円の中でやる場合は、それの進捗率がもう少し大きくなる。したがって二兆一千億円に下がれば、大規模港湾数カ所を考えておりますが、それの進捗率が少し、一、二年おくれる、こういうことになると思います。もちろん、これは一ぺんに五カ所も始めるわけでありませんから、順次始めていくわけでありますが、私がなぜこういう二兆一千億円という、大蔵省の反対を押し切って大きな額をきめたかといいますと、これは、たとえば先ほど機能別港湾の問題が出ました。この場合においても、従来の港湾の整備が中心でありますと、過密にまた過密を重ねるだけなんであります。でありますからして、こういうような機能別港湾といいますか、港湾をある一定のところで整備していく。  それにいたしましても、たとえば東京湾の貨物で申しますと、現在三億トンでありますから、これが昭和六十年度では、大体最低限に見ていわゆる首都圏で使うべきものは八億トンになる、少し大きく見る人は十一億トンになる、こういう計算であります。私は、大体予算の関係もありますが、できるだけ首都圏の扱うべき貨物量というものを、最小限度といいますか、八億トン程度におさめていきたい。それにしましても、東京湾内の三億トンをどれくらいまで整備すればよろしいか。そうなりますと、おそらく、どう計算しましても、六億トンもしくは六億五千万トンくらいまでは昭和六十年度までに整備しなければならぬ。残りの一億五千万トンないし二億トンを東京湾外の首都圏のところで整備していく。たとえば千葉房州方面から茨城県の太平洋岸あるいは神奈川県から静岡県方面、こういうところになお一億五千万トンないし二億トンの流通港湾を整備しなければいけないわけであります。そうなりますと、従来の港湾の整備というだけじゃなく、そういう新規港湾というものを入れて、両方一緒にやってまいらなければ整備ができない。  そういう意味において、今度の予算が二兆一千億円という金額になったのは、一つは、従来の港湾の整備だけじゃ全国の開発はできない。相当思い切った金額を出せばいいのですが、どうしても一部は新しく流通港湾もしくは大規模工業港湾を設定していく、これで初めて全国の総合開発になる、こういう観点からこのような案になったのであります。内容は十分に皆さんに御説明してなかったかもしれませんけれども、大体のところは事務当局で皆さんに御相談もしておるであろう、こう私は考えておったわけでありますが、十分に説明してなければまことに申しわけないのでありまして、この委員会を通じて私からも御了解を願いたいと思います。
  235. 井野正揮

    ○井野委員 大臣、やはりなかなかうまいもんですよ。何も聞かないことばかり言って、大事な点は答えないわけですから。そうじゃないんですよ。そういうような大臣がいろいろ御苦心なさったものは、積み重ね計画の中にあるわけですから、そういう資料をお出しになって、そして彼此検討して、なお求めるべきものは求める、そして初めてこの法案が生命が入ってくると思うのですよ。ところが事務当局は、運輸省だけじゃないです、これは全体みなそうですが、大臣委員会で詰めろとおっしゃるけれども、もう三十分以上になるとみないらいらしてくるんです、非常に審議時間が少ないわけですからね。だから私はきょう初めから覚悟したんです、そういうこまかいことはやめようと。  そこで大臣に、今後、一ぱつばっと大事なところを質問していくと、ばっと大事なことを答弁して理解させる、こういう審議をほんとうに国民のためにするという姿勢が橋本大臣ならあるんじゃなかろうか。それなら、せめて運輸省だけは、閣議決定せぬうちは積算の資料を出してはいかぬぞというような箝口令をしかないでほしい。あるいは大臣の意思をそんたくしてやったかもしれませんが、幾らお願いしても出さないのですよ。大蔵省なんかもっときびしいですよ。脱税があると言ったって、証拠をあげてくるまで、そんなことないと、大阪のことばで言いはるんですから。こういうことではほんとうに国会の審議というものは空疎なものになってしまうと思うのです。イデオロギーの出る問題は別として、こういうふうに、だれが考えたって港はよくせんならぬ、大きくせんならぬ、早く走るようにせんならぬ、安全にせんならぬ、これは共産党の田代さんから自民党の皆さんに至るまで、ちっとも思想は変わらぬと思うのです。こういうような問題についてまで、ひたすら資料を隠して審議を阻害することは、行政官なら別ですが、国会議員としてはどうかと聞いておるのです。大臣、ちょっと答えてください。
  236. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、こういう問題は隠す必要もありません。ただおそらく、二兆五千億円の予算と二兆一千億円の予算では多少内容の違いがありますがために、あるいは皆さんにあとのほうの案が十分説明ができておらないのかもしれませんけれども、もちろんこういうような問題は、当然国民の皆さんに直接関係のあることでありますから、資料を出すことには全くやぶさかでもございませんし、今後これにつきましては、十分注意をしてやってまいりたいと思います。
  237. 井野正揮

    ○井野委員 少し大臣休んでおってください。今度は局長にお尋ねしたいと思います。  この計画をやり直すことについて、四つの柱が立てられておるわけです。その中で、特に公害国会までやったわけですから、公害にどんな重点がおわれているのか。この予算の中身としては、港湾整備の上で特に公害防止について払われた考慮、具体的な予算の積み上げ、こういうものが、たとえば東京湾でもよろしいし、一、二の例をあげて、今度の改正はこういうところに問題があったんだと私どもが国民に説明できるように、ひとつ懇切丁寧に教えてください。
  238. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 公害につきましては、懇切丁寧にというおことばに沿えるかどうかわかりませんけれども、御承知のように、実は港湾がよごれるのは上流から出てくるものが大部分でございます。これをとめていただかなければならないわけであります。ただ、先ほども議論が出ましたように、海のほうから出ますものにつきましては港で受けとめる。たとえば、海水油濁防止の設備をつくるとか、その他のいろんな施策をしなければいかぬと考えております。ただ、どの港をどうだとおっしゃられますと、これは管理者と相談して、もう一ぺん組み直さなければならないという事務的なことがありまして、御期待に沿えないと思いますけれども、私ども現在考えてございますのは、防災という立場から見ますと、防波堤を十分完備いたしまして波を防いで、港内を静穏に保ちたいということで、防災という見地で港の防波堤を整備するわけでございますけれども、あまり囲ってしまいますと、今度は潮の流れがとまってしまうという点で、むしろ港が汚染するというよりもよどんでしまうというおそれがございます。率直に私ども現在反省してございますけれども、やはりそういううらみが現在ございます。非常にむずかしいのは、これを流しつばなしにしてしまいますと、せっかくいままできれいなところがまたよごれるということもございますので、具体的にどの程度にどうしたらどうなるという勉強をしなければいけません。  しかし、方向といたしましては、防災という面と、それから港をよごさないという面と、両立は非常にむずかしいわけでございますけれども、積極的に取り組んでいきたいと考えてございますし、新しい五カ年計画では一つの柱に書いてあるわけでございますけれども、表裏一体に考えてまいりたいというふうに考えております。
  239. 井野正揮

    ○井野委員 港湾には工業がつきもので、何といってもその工業は、また港湾を中心にして経済圏を形成しておる。その地域を一つでもって、その町を制するような工場が多いわけです。これは私のほうの苫小牧でいえば王子製紙、今度は日軽金が参りました。室蘭でいえば新日鉄、日鋼。市会議員もここから三分の一ぐらい出て、会社だか労働組合だかわからないようなのばかりそろっておる。とにかく企業を大事にしなければこの町は立っていかぬぞ、こういうことで恐喝するわけです。  いままでの例を見ますと、大学だとか市当局とか都道府県が検査する。水は基準よりきれいだ、空は澄んでおる、こういうことになるのですが、生活実態からいうとなかなかそうじゃない。いままで港のところに——室蘭なんか、特に北海道ただ一つの養殖地だったのが全然育たなくなって、いまではありません。魚が来なくなった。人間は文句言って来るけれども、魚は黙っていてもいっとはなしに来なくなる。水産庁の試験場あたりでは、海流が変わったからだ。海流の変化とは何かというと、これはまたたいへんな議論でわからない。魚が来なくなったことだけは間違いない。  それからもう一つ工場から出る廃液については、これは基準に達しておりませんのでいいんですと言う。しかし、朝起きてみたらうちの屋根がまっかになっておる。夏洗濯ものを干すと洗わぬときより悪くなる。基準に達しておらぬと言われても、ぜんそくは出るわ、特に空に出る煙などはよく目につきますが、海に流される工場排水という問題、ところが、これは局長承知のとおり、港湾岸壁はその企業が専有していますから、何人もそばには近づけない。特に今度の公害防止の中で、工場から港湾に流し込まれる排水処理について普遍的に予算を見なければならぬ。あるいは工場にやらせれば、工場は採算がとれぬからということで、通産局となれ合いをして別な基準をつくったりしてしまいますから、こういう点について港湾管理者として特に一項目立てられたんだから、格段の予算措置があるんじゃないかと思ってお尋ねしたのです。そういうことはないのですか。
  240. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 工場排水につきましては、残念ながら、港湾のほうでは常時とめてもらうということを期待しておるわけでございます。
  241. 井野正揮

    ○井野委員 直接の施設費その他はそうであるにしても、やめてもらう、そういうことをせぬように企業施設をしなさいといっても、感じで言うわけにはいかないでしょう。港湾管理者としてはある一定の、何をやるといったって金がかかるのですから、調査するといっても金がかかるし、常時監視するといっても金がかかる。そういうような配慮をなさいましたか、こう聞いている。
  242. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 五カ年計画で現在御審議をお願いしておりますのは、港湾施設整備の関係でございますが、これは港湾法のいわゆる公物管理と申しますか、港湾管理をする港湾管理者の立場からいきますと、そういう排出規制はできるわけでございますが、ただ御指摘のように、港湾管理者としては手数もかかりますし、そういうものに対する助成措置というものは現在ございませんけれども、港湾管理者としてできる限りのことは、そういうものを調べて、困るものは規制するようにというふうにお願いしておる次第でございます。
  243. 井野正揮

    ○井野委員 これは、私は海上保安庁にだけまかせておいて、港湾管理者が無関心であったことが今日まで問題があったと思うのですよ。ですから、新しい時代に対応してこの港湾整備計画を立て直すというのであれば、やはり新しい時代の課題を取り入れておらなければ、ここに柱を一本立てたことは、はやりのはんてん着ろで、公害国会を持たれて十四本の法律もつくったのだから、この辺にひとつ柱を立てておかぬと何を言われるかわからぬわいということで立てておったら——防波堤は昔から必要だからつくるので、防波堤をじょうぶにしよう、高くしよう高くしょうということはあたりまえの話です。格別とりたてて言う性格のものでもない。やはり公害防止ということになれば、海水汚濁について港湾内のこういう工業施設等から出る工場排水については非常に問題になっておる。これはただ海上保安庁の仕事だという形でおくのであれば、この柱は要らぬわけです。この点もっと配慮をなさるべきだと私は思います。しかし、積極性があまりないようです。関心がないわけじゃない、積極性がない、そういう気がします。  もう一つお尋ねしますが、港が現下の経済情勢、輸送事情に適応しない。これは港ばかりじゃなくて、都市も対応してないわけですね。カーフェリーの埠頭等をつくられると、今度はすぐ上がったわ、都市のほうはのめないという結果になる。これは建設省と、都市計画と非常に関連が出てまいります。そうしますと、二兆一千億の港湾整備予算というものはすぐはね返って都市建設につながってくるし、従来の地形利用の港は、特に背面が山ででこぼこで道路はくっつかない、したがって港利用も非常に非能率になる。あるいは今度は大型トラックがフェリー等で来るわけですから、そのために排気ガス等の問題がまたぞろ出てくる、こういうことになるわけですが、この辺の詰めば建設省とは十分できておるのですか。
  244. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 それは約千ある港全部詰めるわけにはいきませんけれども、重要港湾については、約百十五ばかりございますけれども、この計画につきましては、港湾審議会の場で各者集まって御審議いただきますが、審議会に出す前に十分御相談申し上げまして、港湾の全体計画はつくって審議していただいておるわけでございます。  ただ、現実には、先ほど来議論に出ましたように、実施の段階でどうだということだろうと思います。実は弁解になるかもしれませんけれども、各港の計画はただいま御提示できないというのも、やはり二兆一千億という中で一兆五千五百億港湾整備費を使っていただく場合に、もう一ぺん管理者に返しまして、管理者のほうで公共団体相互間で、あるいは公共団体そのものの中で、都市計画なり道路計画なりそういうものとすり合わせをしてもらって、これならだいじょうぶだというものを出していただきたいというつもりでございます。
  245. 井野正揮

    ○井野委員 もう一度大臣にお尋ねをしますが、この予算制約による計画というやつは、科学的な発展性、見通しをきわめてゆがめるのです。それから大蔵省の予算をつける基準というのが、コンピューター時代にいまだそろばんの観念が抜けてない。時代に適応してない。私、きょう午前中も農業予算で詰めてみましたけれども、実態と全然合わない開発計画がつくられている。私が質問を重ねていくと、ある特定の地域の農家の負債額というものと生産額と償還と全然合わない。だからしたかがないから農林省は、いまある農家の負債を隠してしまって、全くの白紙のようなものにしてやるような計画を立てているのですが、現実はいまある借金を払っていかなければならない。それを積み重ねると、生産額はその三倍にもならぬと返せぬという経済指数が出てきます。そういうものを隠して開発計画の予算さえ通せばいいということになる。そんなばかなことはあるか、おれはそんなことは閣議できめぬぞとおっしゃられるけれども、閣僚だって運輸省のことには目をさらのようにして見ておられるけれども、そんな開発計画や何かはおれのほうじゃないということになって、閣議でも案外エゴイズムなものじゃないだろうかという気がします。  そういうことで、たびたび審議会の話が出ますけれども、この審議会というのがまたたいへんなものです。有名な人なら八つも九つも会長をやっているんです。行ったこともなくてどんどんきめている。結局はそこにお並びの局長さんや課長さん方がつくったもので、あれはおれの後輩でめんどうを見てあげなければならぬから、今度の審議会通してやるかということで通っている。それがまた大蔵省で、全体計画に入ってないから削るということになりますと、港をつくってもすぐ船が入らぬものができてしまう。これは大臣非常に責任が重いですよ。そこで国会論議の信憑性が非常に大切だということを言っておる。  これで、あと三分ほどになりましたからやめますが、繰り返して申し上げたいと思うんです。積算をした数字を見て、国の全体の収入も考えなければ計画を立てるわけにはいきませんから、通産省や運輸省や建設省がつくった計画が、実際現地に行ってみると、この港も防波堤半分、この港も防波堤半分、このままでいったら計画の三倍もたたなかったら実際に投下したものが使えない。しかし、それをつけないと何々先生が落選するからということで、効率のない予算を使っている。この現実は、私は港湾だけでなしに、至るところにあらわれていると思うのです。こういう点について、われわれも自戒をしなければなりませんし、ほんとうに国民の側に立った予算を編成して、国民生活にすぐはね返る予算の執行をしなければならぬと思うのです。  こういう姿勢について重ねて——国会審議には真実のある資料提出を願って、その上に立って、イデオロギーの問題でなく、マルクスがどうしたということになったらあなたと私と意見合うわけはないのですから、これは一生やっておってもだめです。どの橋をどうして、どの川をどうするという話なら、すぐに意見が合う。国会の審議をそういうものにしていただきたい。少なくともこの運輸委員会におきましては、そういうものにしていただきたい、こう考えております。きょう私が何を言おうとしたか、おくみ取り願ったと思うのです。次の予算のときには、あるいは法律改正のときには、こういうことにならぬようにひとつ、これは答弁要りませんから、実行の上で示していただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
  246. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  247. 田代文久

    ○田代委員 第四次五カ年計画が閣議決定して示されましたが、いま井野委員のいろいろの質問に対する御当局の御答弁を聞いておりまして、一向すっきり頭にこないのですね。  そこで、実際にこれはその一例としてお尋ねしますが、周防灘の大規模工業開発計画、これが地元の構想によると三万五千ヘクタールというような実に膨大な地域を対象にしておる。これは実際はどうなっておるか知りませんけれども、とにかくこういう膨大なプランですね。したがって、こういう周防灘計画について、なぜまたこういう大計画を必要とするのか、これは一応大臣も御答弁されておりましたけれども、その点。それから、実際においてこういう計画実現可能かどうかという問題ですね。いまの井野委員質問もそういう点に非常に触れておったと思うのですが、たとえばこういう計画全国で六カ所も大計画をやるというようなときに、当然現在問題になっておる公害は絶対に起こさない、無公害ということを第一の条件としてこれはプランを立てなければならぬ、こういうことだと思うのですがね。そうするとこういう大計画の中で、しかも三十万トンから五十万トンのタンカーが入ってくると、それに伴って大企業がそこに進出するというような中で、その無公害を保証される根拠。先ほどちょっと私、聞き漏らしかどうか知りませんが、そういう公害を出すような煙にしろあるいは汚水なんかというものは、出さないようになるのだとかするのだとかいうことでしたが、実際そういうことが保証されるのかされないのか。実際これを実現するについてはそういう公害の問題。それから、こういう大計画の中ではばく大な水が必要だと思うのですが、水が十分保証されるのかという点。それから、関係地方の漁民の漁業補償、こういうことが当然この計画の中に入って、漁民に対しては全然迷惑をかけない、納得のいくような形でちゃんと補償計画も立っているのだというようなことになっているのかどうか、そういう点について御説明願いたいと思うのです。
  248. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 周防灘という地名をあげまして、大規模開発の工事の予定地でございますと申し上げてございますのは、地理的に見まして、これは非常に平面的な話でございますけれども、開発の可能性はあるであろうというふうにわれわれ感じておるわけでございますけれども、ただいま御指摘の問題も非常に大事でございます。ただ、それ以前に、あの辺の波がどうであろうかとか、海の深さがほんとうにどのくらいある、それから海底の土質はどうだとかいうことは、いろいろな計画がございますけれども、現在われわれがかいておる——かいたと申しますか、自分で持っておる構想ではございません。これは各県なり地元でいろいろと研究されておりますし、そういう計画を承っておるわけでございますけれども、そういう基本計画に従いまして、実現可能かどうかという基礎調査をやりたいということでございます。
  249. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、第四次の二兆一千億円の予算が具体的に出ていますね。その根拠の中には、周防灘のその地帯の開発について、あるいはそういう膨大な施設をするについての予算の基礎になるわけでしょう。それがとにかく計算されて、そうして二兆一千億ということが全国的に出ているわけでしょう。ですから地方が、地元がどう言おうがそれは別問題にしまして、少なくともその広さあるいは狭さはありましょうけれども、実際においてはこういう周防灘の大計画をやるのだということで、別にいまから下げるとか上げるとかいうことではないでしょう。はっきりこれはやるという立場で進められるわけでしょう。それは二兆一千億円の中にも入っておるわけでしょう。その点はどうですか。
  250. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 具体的に幾ら入っておるかという点は別にいたしまして、調査が終わって、実施の可能性があれば実施するというつもりで調査しておるわけでございます。
  251. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと全国で六カ所、それからいまの周防灘計画というものは、何らはっきり具体性のある方向としてではなく、調査の結果、これができる可能性があるし、ふさわしければやるのだ、でなければやらないのだということですか。私の考えと非常に違っておるようですけれども……。
  252. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 できればやろうかというよりも、可能性がありまして、それから地元——先ほど先生御指摘がございましたように、いろいろな隘路があろうかと思います。そういうものが解決できれば、今後開発する重要な拠点であろうというふうに考えております。
  253. 田代文久

    ○田代委員 どうもその点がわれわれの感覚ではわかりませんが、そうすると二兆一千億円の中には、二兆一千億という大きなこの予算は、すでに周防灘計画というものがこれはできるのだという、その内容としてそうなっておるのとは違いますか。できるかできないかはわからぬが、周防灘というものは——ほかの六カ所も結局そういうことになると思いますが、とにかく予算だけ二兆一千億組んでおくのだ。どうもそういう点わかりませんけれども、二兆一千億という具体的な数字がある限り、しかも六カ所というようなことになっておる限りは、この地域においては何千何億、これはこうだ、でかすのだ、だからこれだけの二兆一千億、だから御審議願いたい、こういうことではないですか。何か幽霊みたいなものですね。
  254. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 これは先ほどからお話ございますように、過去におきまして何回かの計画を持っておったわけでございますけれども、この中で、たとえば現在御審議の対象になりますのは二兆一千億の中の一兆五千五百億でございますけれども、この中で、いわゆる調整項目という一種の予備費的な調整財源をこの中にとっておくのが慣例でございまして、先ほどはっきりしなかったということはおわび申し上げますけれども、経済計画からいきますとそういう大きなプロジェクトが必要だということに相なっておるわけでございまして、その可能性をさぐって、どの範囲までやれるかという問題があろうかと思います。  ただ、それは調査いたしまして、いろいろな調査結果によりまして具体化するという場合は、先ほど申し上げましたように、現在の二兆一千億の中で周防灘幾らということではなくて、こういう大開発をやる場合は、一兆五千五百億の中の調整項目を設定しておきまして、その中から、今後何カ年間にこれをやるのだというふうにきめてまいるというものでございます。
  255. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと調査の結果、あるいはこれは不適当になるかもしれぬという可能性はありますね。そうしますと、いわゆる周防灘計画なるものは消えるということになりますね。これはほかの場合においてもそういうことになりますね。
  256. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 完全に不適当だということになれば、お説のとおりだと思いますけれども、地域的に見まして、やはり全部のいろいろな計画がございますので、どれを見てどうだという議論は別にいたしましても、ただ規模の大小はあろうと思いますけれども、開発の必要性は起こってこようというふうに考えてございます。
  257. 田代文久

    ○田代委員 二兆一千億というのでございますけれども、二兆一千何百何十億というように実際の数字はなっておるのでしょう。どうです、その点は。
  258. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 二兆一千億でございます。
  259. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、大体これはどんぶり勘定ということですね。これは国民の税金やら地方公共団体のそういう血税でやる事業ですね。それをもうとにかく初めだけ先取りして、ぼかっと二兆だけ要るのだ、取るのだといって、しかも、具体的な内容はこうなってこうなってこうするのだというようなことではなくて、初めから取っておいて、調査の結果、場合によってはこれは消える場合もあるというのでは、こういう計画では、これは国民は納得しませんよ。  なお、これと関連して私は質問いたしますが、周防灘の場合においては福岡、大分、山口と、こう三つの県、三つの地方自治体が関係しますが、そうすると、そこの管理権というものはどうなりますか。
  260. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 二兆一千億の中で、一兆五千五百億は港湾整備事業費でございます。そのほかに千億の予備費をとってございます。というのは、計画が具体化したときにどうしても取り込まなければいかぬというものがございます。先ほど申し上げましたように、調整項目という項目も出てまいると思いますし、予備費というものも必要になってくるというふうに御理解いただきたいと思います。  それからなお、ただいま御質問ございました管理権でございますが、これは各県の地先水面がございます。現在、山口県側にも宇部港とか小野田港という港もございますし、福岡県側にもいろいろ港がございます。これを開発して非常に大きな規模の港にしなければいかぬという場合は、港湾の区域を拡張して実施するということに相なろうかと思います。  ただ、管理権につきましては、これは水面の管理権か港湾の管理権かどちらかわかりませんけれども、港湾の管理権でございましたら、管理者が設立されまして港湾区域を決定すれば、その港湾管理者がその水域を管理するということに相なります。
  261. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いわゆる周防灘の一大工業地帯ができると仮定しますね。私の考えとしては、これは統一した一つの管理者なり何かがいなければうまくいかないと思うのですよ。そうすると、いまのお話では、福岡は福岡、大分は大分、山口は山口と別々の管理権を持ってやり得る、そういう条件が考えられるということのような気がしますが、どうです、その点は。
  262. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 これはもう御承知かと思いますけれども、港湾の管理は、御指摘のように各県ごとに管理者を設立するということもできますけれども、実際にくっついた場所で非常に不便だという場合は、地方自治法によります一部事務組合という制度もございまして、たとえば大きな港湾で申しますと、名古屋港であるとかあるいは北九州の管理組合であるとかいうふうな一部事務組合をつくりまして、共同で管理するということもございますし、あるいは港務局、これはその地域の公共団体が構成する港務局でございますが、そういう特殊法人を設立することも可能でございます。
  263. 田代文久

    ○田代委員 新聞などでは、公社化で一つにまとめたようなあれを考えているようです。そういうことが新聞に報道された記憶がありますが、何か一体となった公社みたいなものをつくってするというような構想がありますか。
  264. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 いま、私の聞き及んだ範囲では、公社で云々ということはまだ聞いてございません。
  265. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、この建設の費用は自治体、国だけではやはり足りないのじゃないかというような気がしますが、その場合には、大手の企業とかあるいは船会社というものをバックにした民間資金というものが導入されるというようなことが考えられますか。また考えておられますか。
  266. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほどから申し上げておりますように、全体の計画を固める前のまだ調査をやっておる段階でございますので、規模その他によっても違うと思いますが、従来の港湾の開発の方式は公共事業、いわゆる港湾整備事業で基礎施設をやりまして、別に港湾管理者が起債をいたしまして、起債で土地造成をやっていって、できたものを企業に分割するというのが普通の方式でございますが、最近第三セクターとかいろいろな議論がございます。そういう民間資金の導入方式につきましては、われわれとしては勉強中でございますけれども、周防灘開発につきましてどれでやるのだというところまでは、まだ至ってございません。
  267. 田代文久

    ○田代委員 だんだんお尋ねしますと、そういう点でも非常にばくたるものである。私どもはそういう点でも、国家資金だけでは足りない、地方自治体の金でも足りない、だから民間資金を入れるとかなんとか、少なくともそれくらいの具体的な方向なり出ぬかと思ったのですけれども、まだ調査中で、そういうことはまだきまらぬというふうなことで、これは非常にばくたるものだという印象を受けるわけです。  とにかく、先ほど申し上げましたように、管理権が圧迫されるというようなことは絶対にないように、それからまた、地方自治体の財政負担がこういう膨大な計画実現するについて非常に圧迫されて、その地方自治体が、港ができたがにっちもさっちもいかなくなるという危惧を私たちは非常に感ずるわけなんですが、そういう点についても、これが地方自治体を圧迫することはないか、また圧迫しないためには、あるいは債券の償還期限を大幅に延ばすとかいうような、そういう具体的な計画なり考え方というものをしておられるのかどうか、またそういう点までいっていないということになるのかどうか、その点ひとつお尋ねしたいと思うのです。
  268. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾の管理権につきまして、現在御承知のように港湾法は、地方公共団体が港湾の管理者でございまして、これの連合体が、一部事務組合でございますとか、それ以外に港務局というふうな、先ほど申し上げましたように、地方公共団体が構成する管理者というものがございますが、この形態をくずす必要はないというふうに私は存じております。  なお、具体的に開発する場合に、従来とってきた方法につきまして、先ほど先生御指摘のように、規模が非常に大きくなれば資金の問題その他いろいろあろうと思いますが、具体的に計画がきまった段階で、先生御指摘の地方公共団体の財政を圧迫するということは、極力避ける方向で研究してまいりたいというふうに考えます。
  269. 田代文久

    ○田代委員 では次に、公害対策についてお尋ねしますが、例の洞海湾ですね、これはもう全国第一級の死の海になっていることは御承知のとおりです。これを非常にきれいにする、魚が住めるようなそういう港湾にするという義務が、政府にしろ地方自治体にしろあるわけなんですが、これについて、どういう計画でこれを浄化するという計画を立てておられるか、その見通し。当面、これは相当長期を要するとすれば、緊急対策としてはどういうふうに手を打っておられるか、また打とうとしておられるか、その点御答弁願いたいと思うのです。
  270. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 洞海湾につきましては、当面の問題は、周辺の工場排水なり都市排水、これをきたないものをきれいにして出していただくということが、まず肝要かと思います。  ただ、洞海湾について、われわれが今後何をなすべきかという問題がございます。本年度一千一万六千円、ちょっとはんぱでございますが、そういう調査費を計上いたしまして国が調査することにいたしておりますし、別に港湾管理者でございます北九州の管理組合が、約一千万円予算を計上して調査をしようということで進めてございまして、具体的には、これは北九州の港湾管理者でございます管理組合が中心になりまして、あの地方の専門家が、これは各方面の専門家十二名の方々にお願いいたしまして、どういうふうな洞海湾の対策をやったらいいかということで、まずそういう専門家の方々によりまして、具体的にどういうことを調査しなければいかぬか、それから調査する項目は何をやるかということを現地で検討しておりまして、ことしの一月の十一日でございますか、一月の初めでございますが、第一回の浄化調査研究会というものを発足いたしまして調査項目をきめたようでございますし、一カ月おいて二月の十九日に、国なり管理者で調査の分担のしかたあるいはその進め方というものを報告して、各委員の御意見を承りながら調査を進めていくというふうにやっているような次第でございます。
  271. 田代文久

    ○田代委員 本年度とおっしゃるのは、つまりあの公害法が通りましたが、これは三月一ぱいというのでしょう。そうすると、あと一カ月とちょっとしかありませんね。そうしますと、これはこの前のときにも私は橋本運輸大臣からだったと思うのですけれども、大体全国で三千万余りの調査費を出して、洞海湾については国家が一千万それがしと、いまのお話では地方自治体、管理組合のほうで一千万円の調査費を組んでいるということですが、一月の段階で研究項目をきめたというようなことも、実にこれはのんびりしていると思うのですね。これは三月段階で調査が終わるとすれば、もうあと幾らもないですから、そうであれば、大体こういうふうに汚染されている、これに対してはこういう手を打たなければならぬという点が出なければならぬと思いますが、そういう点はまだ全然ないのですか。
  272. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 別にそれは国が四十万円出しまして、それに管理者も何がしか、約百万円だと思いますが、これで洞海湾の水質あるいは底質の実態調査はすでに進めております。ただいま申し上げましたのは、手を打つと申しましても、技術的にも非常にむずかしい問題がございますし、学問的にもいろいろな、たとえば潮流の問題とか潮汐の問題、あるいは化学処理の問題、そういうふうないろいろな方面の専門家によりまして具体的に奥洞海を浄化するために、基礎データを、さらにどういうものが必要だというふうなことで整理してまいって進めておるわけでございまして、現に先ほど申し上げました国の約一千万円の調査費は、現在奥洞海の潮流、それから潮汐、潮の満ち干の状態、それから流れによる拡散といいますか、潮が流れますと浮遊物が散らばります、その散らばる状態を調べます。それからもう一つは、シミュレーションモデルといっておりますが、コンピューターにかけまして計算するわけでございますが、それの基礎データなりあるいはコンピューターにかけます計算式、そういうものを現在検討して進めておる最中でございます。
  273. 田代文久

    ○田代委員 現地の住民にとりましては、これは実にのんびりしたあれで、とてもがまんできない状態なんですよ。ですからその点では、よほどきびしく政府としては速度を早めていただかぬと困ると思うのです。大体あそこにはヘドロにしましても汚水にしましても、実に長年月間にわたってたまって、そうして新聞なんかでは、北九州の管理組合の主張などは、田子の浦のヘドロを河川敷に上げるとかなんとかいう問題とからんで、このヘドロを上げて公園をつくるのだというようなことでごまかしているみたいですけれども、そういう既存の堆積ヘドロなんかについて、何らか政府としては、大体の方向として対策なり考え方なりがあると思うのですが、それを示していただきたいと思います。
  274. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先生御指摘のように、多年にわたる堆積でよごれておるのは事実かと思います。これをどういうふうに処理するか。たとえばヘドロにいたしましても、やたらに掘りますと、むしろ泥土をひっかき回すという現象が起こりますので、どういうふうに掘るか、あるいはおそらく処理するのに、埋め立て地に持っていって埋めるということもあろうかと思いますが、埋め立て地に持っていき方、あるいは埋め立て地に入れ方、いろいろと技術的にも問題がございます。ただ、いろいろな実態調査をしていると申し上げておりますのは、水質汚濁防止法でおそらく工場排水の規制があろうと思いますけれども、これがきれいになりませんと、さいの川原といっては語弊がございますけれども、せっかく取りましてもまたたまるおそれがあるかないかというようなことも含めて、基礎的な調査をやっているという段階でございます。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  275. 田代文久

    ○田代委員 基礎的な調査というのは、政府がやっているわけですね。そうしますと、例の四日市の石原産業の事件を思い出すのですが、あれについては、海上保安庁の水質の検査というやつは非常に有効に働いて、あれは歓迎すべき活動であったと思いますが、洞海湾のあの地帯から出ている、大企業がいま排水している汚水というのは、私も見に行きましたけれども、たいへんですよ。チョコレートのようなまつ黒いやつがどんどん流れ込んでいるわけです。私たちが管理組合から船を出してもらって見に行くと、工場のほうは何か危険人物でも来たように、写真をとるなとか、できるだけその辺は見てくれるなというような動きをやっているのです。全くこれはけしからぬと思うのです。この検査がずっと済んで、二カ月も三カ月もたってやっと動くというのではまどろっこしいということを地元の人が言っているし、それからまた、あまりに政府なり地方公共団体が腰を入れないものだから、民間の地元の人やら労働組合の人たちが、自費を出してある程度調査をやっている。私は見せてもらいましたけれども、新鮮な魚なんかを海からとってそこの汚水の中に入れますと、一分足らずのうちに死んでしまうのです。五分足らずのうちに死ぬのもおるし、十分で死ぬのもおる。とにかく汚水の濃度によってそういう状態が現実にあるのですよ。  そういうことがあるんだから、それは早くキャッチして、とにかく保安庁なんかが、これは四日市の石原産業でやったように、飛んでいって船を出して調べて、そしてこれは危険だということを、なぜそういう手を打たないか。いますぐ私はこういう手を打つべきであると考えるのですが、どうですか、打たれるのですか打たれませんか。実際民間がそういうふうに動いてる状態なんですね。
  276. 手塚良成

    ○手塚政府委員 洞海湾の水質汚濁の問題につきましては、四日市の事件のように、アエロジル会社あるいは石原産業というような明白な会社が現時点で廃硫酸を流して、それによって船の安全がそこなわれる、魚が死ぬというような現状です。それがさらに事態が進展しておりまして、先ほどもお話しのように、長年にわたっていろんな原因が錯綜し、またその原因者になるものも九百三十の事業場からの工場排水その他が流れ込んでいるといるというような事態で、ただいま承ったような現時点であるように思います。ほかの例をとれば、田子の浦の現状のような状態下にあるのです。  こういう状態になりました現時点におきましては、やはり行政措置がここで十分とられるべきではないか。港湾管理者あるいはそれ以外の関係行政機関の措置が先行していくべきではなかろうか。先般ようやく、御承知のとおり十一月の二十日に、経済企画庁から水質基準が告示されました。それもまた、ことしの五月から鉄鋼業をはじめとして、十一月には有機化学といったものが逐次適用されるといったような状態であるわけであります。そういうものの先行きも私どもは大いに期待をして、まず行政措置でしかるべき措置をとっていただく。私どものほうでは、現場におきましては汚濁防止協議会というものを現地に持っておりまして、現時点よりは悪くならないようにというようなことで、北九州管理組合関係の皆さん方もメンバーに入っていただいて、港内清掃なり廃船あるいは廃油、あるいはそういった工場の汚水のさらに一そうひどくなるというようなものを、現時点で食いとめるような努力をしておる。こういう努力で、先ほどの一般行政措置と相まって将来きれいにしていく、こういうような方針で進んでいるわけでございます。
  277. 田代文久

    ○田代委員 時間がございませんから、要望を言いたいのですが、管理者側は、大体北九州の場合なんか特に企業に対しては甘いのですね。その飛ばっちりが地域住民にもきておるわけですから、そういう場合こそ海上保安庁や政府機関がきびしく、こういう公害列島日本になっている場合、やっていただきたいということ。  それから、漁業補償というのが非常に問題になるわけですけれども、この場合に政府としては、補助事業については、最後的な個人的な補償額まで確かめておられるかどうか。またこういう場合には、漁業補償というものは、そういう補助事業についてはもうやらないということに大体政府はなっておるわけでしょうか。
  278. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 国が管理者に補助金を出して行なう場合には、漁業補償に対しましても対象にしてございます。その場合には国の補償基準がございまして、その基準に従って補償額を算定していただくということになっております。  なお、管理者だけが自分で、国の補助金をもらわないでやる場合は、国のほうには連絡なしに管理者が自分で補償金を払うということでございます。
  279. 田代文久

    ○田代委員 最後に、資料をお願いして質問を終わりたいと思うのですが、昭和四十二年六月に、北九州市の洞海湾の一部にある洞海地区土砂処理場確保のためという理由で、二億一千万円の漁業補償金が支払われております。そこで第一に、この補償を受けた漁業協同組合の正式の名称。第二に、このときの補償基準、つまりこの区域の漁獲量、金額、事業に参加していた者の数などの判定についての資料、またこの資料を作成した機関の名前。第三に、このときの補償金の事業者別の配分金額について、至急調査されてお知らせ願いたい。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕  さらに、昭和四十五年の五月十二日に、補償対象区域として運輸省が認められたといわれる土砂処分場の隣にある、通称B地区には筑共第二十号という名の漁区が入っておるかどうか、この件についてもひとつ調べて、正確な資料をお届け願いたい。  以上で終わります。
  280. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいまの御要求の件は、早急に調べまして御報告させていただきます。
  281. 福井勇

    福井委員長 次に斉藤正男君。
  282. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 まず局長に伺いますけれども、わが国で初めての内陸コンテナ基地が高速道路の沿線につくられていると聞いております。この内陸コンテナ基地は、陸運行政の中に入るのか海運行政に入るのか、承りたい。
  283. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 御指摘の点は浜松にあります、あの……。
  284. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 高速道路の沿線に……。
  285. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 その場合は、海運と申しますか、港湾の関係でなくて、陸運行政になろうかと思います。
  286. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 これはどこへできるということを私は言っておるのではないのです。たまたま日本で初めてのものが、東名高速道路浜松インターチェンジの付近に建設されているわけなんです。いまの御答弁で陸運行政だろうということなんですが、実はこれは港湾の補完施設としてつくられるものであります。したがって、税関等は、すでに大蔵省は昭和四十六年度の予算で措置が済んでいるわけなんです。しかし、この機能が働き出すのが四十六年になるのか七年になるのか、いろいろ工事の進捗等と関連をして違ってくると思いますけれども、いずれにしても関係地元は、港湾の補完施設としての内陸コンテナ基地だということで申請が行なわれるというように思うのですが、お答え間違っておりませんか、海運行政だと私は思いますけれども。あくまでも陸運行政でございますか。
  287. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 一般には陸運行政だと思います。  ただ、先生御指摘のように、港湾という場合は、港湾法によりまして臨港地区と地区指定してございますが、この臨港地区外の施設認定を港湾法によって行なった場合は、港湾施設として考えるというふうに理解しておるわけです。
  288. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほども申し上げましたように、港湾の補完施設として内陸コンテナ基地ができ、これを特定な港湾の施設としての申請が出されたという場合には、運輸省としては、多分港湾施設として扱ってほしいという申請になると思いますけれども、その場合の扱いはいかがにされますか。
  289. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾施設として申請が出た場合、港湾法に照らしまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  290. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 あまり認識をされていないようでありますけれども、すでに運輸省とは十分連絡調整の上、たとえば税関施設については大蔵省が四十六年度予算の中で措置をされているし、近々申請をするので、特定の港湾の補完施設として認可をいただきたいということになるのですから、陸上にできれば陸運だということでなくて、たとえばこの施設はこれからどこへもできると思いますけれども、コンテナヤードができまして、簡単な上屋ができる、税関が来て検査をし、コンテナに積んでシャーシーに乗せて港湾まで運ぶ、港湾がふくそうして港湾業務が停滞しているのを、内陸コンテナ基地で補完をしようということでございますから、これは申請が出た場合には、どことどことかいうことでなくて、すみやかにひとつ御認定をいただいて、円滑な業務ができるように御協力をお願いいたしたいと思うわけであります。  次に、港湾を機能別に分けると、私はしろうとでわかりませんけれども、よく商港というのがありますが、そのほかにどのようなものがございましょうか。
  291. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 学問的にいろいろな議論はあろうかと思います。俗に申しますのは商港あるいは工業港あるいは漁港であるとか、最近ございませんけれども、昔は軍港もございました。またその中で、遊覧観光港という名前がふさわしいかどうかは別にいたしまして、そういう機能を持った施設もございます。
  292. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 漁港はわが省の管轄ではございませんので、運輸省の管轄といたしますと商港、工業港、観光港といったようなものがあることが明らかになったのですが、商港と思って構築を始め、ばく大な金を投入したけれども、いろいろな条件から商港の役目を果たさない。しかし岸壁はできた、背後地は造成が終わったというにもかかわらず、船一隻入ってこないという港があるかと思えば、次から次へ計画を変更し、岸壁もふやさなければならない港も多いというように思うのです。かなりの金をかけて、相変わらず商業港あるいは工業港として使えないという港がもしあって、しかしこれは観光港としては、使いようによっては非常な機能を持っているし適地というような場合は、商業港を観光港に変えるというようなことは、いかなる手続をやったらよろしいのでございましょうか、教えてください。
  293. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 港湾法に従いますと、そういう工業港はこうしなければいかぬとか、商港はこうしなければいかぬという特別な規定がございませんので、同じような扱いができると思います。ただ施設といいますか、陸上施設に関連する施設につきまして多少異なってくると思います。それに沿うような、ふさわしいような施設をつくっていけば、転用は可能であるということです。
  294. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、本日の質疑を終始拝聴いたしておりまして、二兆一千億の巨額な金を使用する新五カ年計画を検討したわけでありますけれども、この中に、もう今日以後の海洋レクリエーション基地としての観光港といったようなものを、思い切って織り込むことが必要だというように考えるのであります。ばかに工業港、商業港といったものに重点が置かれておりますけれども、観光港が占める新五カ年計画内の地位といいますか、立場といいますか、どのようにお考えでございましょうか。
  295. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 小規模な、まあ観光港といったら語弊がございますけれども、いわゆるレクリエーション基地としての、ヨットハーバーであるとか、こういうものは非常に必要だと存じておりますし、いままでも非常に小規模ながらやってきております。現在運輸省内部でも、いわゆる海洋性レクリエーション・リゾートということばでいわれておりますものを具体的に検討しておりますし、調査費もいただいておるという段階でございまして、計画がまとまれば、新しくこの港湾計画の中で、港湾に関係するものは取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  296. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 商業港、工業港等は、ばく大な投資をしなければ機能が十分発揮できないというような性格のところが多いわけでありますけれども、観光港というものはそれほど大規模ではない。したがって、民間資本等が産業開発してもできるような可能性のところに多い。たとえば湘南一帯を見てみますと、何と種々雑多な港らしき、岸壁らしき、桟橋らしきものが乱立をいたしております。これは放任をするならばどうにもならない状態になるという心配も私はしている一人でありますけれども、そういう点から考えてまいりますと、当初の額は少なくても、それが立体化され、あるいは高度化され、特に海洋化の進んでいるレクリエーション観光港といったようなものに対処するには、非常に大事な時期ではなかろうかというように思うわけでありますので、この点は用意おさおさ怠りないとは思いますけれども、せっかく御勉強をいただきたい。同時に、自治体や国がその観光港整備のために投資をしてくだされば、自治体や国の投資に比例をして国民大衆のほんとうのレクリエーション港になることができる。これに民間資本を導入すればするほど——まあ導入のしかたもありますけれども、大衆から離れていくものになりはしないかということを心配する一人であります。この辺のバランスはどのようにお考えでございましょうか。
  297. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 全くお説のとおりだと私、存じます。国民一般が使えるような港、いわゆる観光港、レクリエーションの場というものを、国なり地方公共団体等が相当程度推進するということは必要であろうというふうに存じております。
  298. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 大臣に最後に伺いますけれども、先ほど私がお尋ねいたしました内陸コンテナ基地は、これは海運行政として海運局の所管が妥当だと思います。欧米諸国にはすでに大規模なものがありますけれども、わが国で初めての内陸コンテナ基地が間もなくでき上がろうとしている地域も実はあるわけでございまして、海運行政の一環としてのお願いもあるだろうし、また御協力もいただかなければならぬと思いますけれども、初のケースだと思いますので、これらに対する——局長はかわったばかりであまり知ってないかとも思うのでありますけれども大臣のほうが知っていると思うのです。すでに関係者はかなりお願いに行っているはずでありますが、御見解を伺いたい。  同時に、レクリエーション港の新五カ年計画への位置づけといったようなものについても、大臣から所見を伺いたいと思うわけであります。
  299. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内陸地帯のコンテナのいわゆる基地のようなものでありますが、これは静岡県から聞いております。そこで港湾局に対しましては、何か問題点があるようでありますけれども、新例であるという点だけでなく、その他一、二の問題があるようでありますが、これはしかし大事な仕事ですから、また高速道路が今後発達していくに従ってそのような基地は必要でありますから、これは積極的に、前向きに検討するようにという指示を与えておりますので、近いうちその方針は決定すると思います。  それから観光地帯の設定、これは運輸省が大規模にやろうということで、昭和四十四年度には若狭湾の地帯、九十九里の地帯に大規模なレクリエーション地帯の調査を進めてまいっております。斉藤さんから観光港という新しいことばを出してもらいまして、私たちも非常に参考になりました。なるほどこれからはこういうような港がたいへん必要でありまして、ことに神奈川県、静岡県、わがほうの茨城県、千葉県等いろいろありますからして、積極的に港湾のワクの中で考えて、やはりこれは思い切った措置を考えていくべきであろう。また金もそうたくさんかかりませんから、国民の保健のためにもこれはやっていきたい、かように考えております。
  300. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。
  301. 福井勇

    福井委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時五十二分散会