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橋本国務大臣 松本さんも私も、せんだって東京湾の中を船でぐるぐる回りまして、ことに浦賀狭水道も見てまいったわけですが、先ほど来から港湾
局長、
海上保安庁長官から
説明しておりますが、ここで私はひとつ問題を提起しようと思うのですが、これは皆さんに御検討を願う、また、ことに
和田さんなんか専門家だから、特にお聞きおきを願いたいと思うのです。
私は前から、この港湾の機能別配置ということを言っております。そこで、たとえば浦賀の狭水道、これを二十三メートルに掘るためには、大体六百億円の金がかかります。もしこれを、これからパイプラインの話も
あとでいたしますが、パイプライン等によって大型タンカーを中に入れないという前提に立ちますと、必ずしも二十三メートルのいわゆる水路は要らぬわけになります。十万トンなら十万トンで
——なぜ十万トンと言いますかというと、将来コンテナあるいは鉄鉱船でもっと大きいのが出るかもしれませんけれ
ども、しかしながら、十万トン以上の鉱石船とかあるいはコンテナ船というものは、湾内でなく、湾外にそのような機能別港湾をつくればよろしい。したがって、東京湾とか、瀬戸内海とかあるいは大阪湾のような湾内の航路は大体、タンカーはもちろんこれは将来は一隻も入れないという方針ですが、とにかく将来ともに入れるのは十万トンを最高の限度にしたらどうだろうか。そうなりますと、いま現在の東京湾の浦賀水道の狭水路、これを二十三メートルを十六メートルでとめるということは、十万トンでとめるということです。そのようになりますと、このしゅんせつ費だけで約六百億かかるやつが、大体四百億ぐらいで済みます。二百億円倹約ができる。もしこれが将来ともに二十三メートルを維持するとなれば、維持費も相当の金がかかるわけであります。あるいは東京湾内は、それ以外のところは相当深いところもありますけれ
ども、これもだだんと埋まってくることは間違いない。したがって、将来ともに二十三メートルを長
距離維持することは、費用の上でも私は大きな問題があると思います。ことに瀬戸内海においても同様であります。
そういう意味において、いわゆる港湾というものは原則として十万トン程度で、鉱石船であろうと、あるいは、当分の間はタンカーも入れますけれ
ども、これもそういうぐあいに処理していく。いわゆる水路の面からこれを整理していく。そういうものの考え方、これは私は機能別港湾の分散配置、こう言っておるのです。十万トン以上のものは、要するに、先ほど松本さんからもお話がありましたように、外海に港を新しくつくったらよろしい。あるいはタンカーの場合においては、富津沖にシーバースをつくりまして、そしていまの
計画では、そこに三十万トンの船も入れる。そしてそこから、いわゆるパイプラインで東京湾内に入れまして、その中継所からして木更津方面、東京及び横浜方面にやはりパイプラインで流す、こういう
計画なんです。
従来、これは調査を進めてまいりましたが、四十六年度に本格的な調査を進めてまいりまして、そこでどういう
企業体にするかもあわせて検討させて、私はできれば四十七年度からでももう工事に入るような、といってもその前にシーバースをつくらなければなりませんけれ
ども、シーバースの面におきましては、これはまた漁業補償の問題もやっかいなんです。最近また反対の空気もあります。
さような意味で、直ちに四十七年度にパイプラインをつくるわけにはまいりませんけれ
ども、少なくともそういう構想のもとで富津沖なり
——富津沖が一番いい候補地なんですが、そこでやはりシーバースをつくっていくという考え方で、四十六年度にはそういうような構想を明確にしたい。できれば四十七年度から全体的な
計画を進めて、五カ年以内に
——私は三年くらいでできるかと考えているのですが、なかなか三年ではむずかしいようですが、おそくとも五年以内にはパイプラインの方式は東京湾内で決定をして、そしていわゆるタンカーは原則として中に入れない、こういう方針をとっていく。同時に、一方において、いわゆる二十万トンの船は、鉱石船もできますけれ
ども、そういう鉱石船の二十万トンの船が入ってこなければならぬ
工場は、必ずしも湾内につくらなくてもよろしいのです。私はそう思います。これから新しく
工場ができるのですから。ですからして、そういうようなことをすれば、全体的な
計画の上においてもこれは能力を発揮することができる、かように考えておるわけです。たとえばコンテナにしても、将来二十万トンのコンテナができましょう。だが、何も二十万トンのコンテナができましても、それを横浜とかあるいは中まで持ってこなくても、おそらく東京首都圏の構想というものは、その環状線として湾岸道路を中心にした大きな輸送高速道路ができなければいかぬわけですね。だんだんと東京はドーナツ型になっていって、すなわち効外に人口が集まっている。すなわち三十キロから五十キロの間に人口がだんだん過密してまいります。
〔
委員長退席、加藤(六)
委員長代理着席〕
そうなれば、当然そこに首都圏の環状高速道路という、これは五十メートルか百メートルくらいの大きな道路ができなければなりませんから、そこへ持って行くためには、必ずしも横浜まで二十万トン、三十万トンのコンテナが入る必要がない。その環状線の末端においてそれだけの流通港湾をつくればよろしい、こういうことになると思うのです。
そういう意味からも、この問題は運輸
委員会で御議論を願うと同時に、超党派でひとつ御研究を願って、やっぱり日本の将来の発展のために英知と衆知を集める、かようなことに進んでいったら、これは幸いであると考えております。