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1971-02-19 第65回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十六年二月十九日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 斉藤 正男君    理事 松本 忠助君      小此木彦三郎君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    關谷 勝利君       西村 英一君    古屋  亨君       井岡 大治君    金丸 徳重君       久保 三郎君    田中 昭二君       宮井 泰良君    和田 春生君       田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸省自動車局         長       野村 一彦君  委員外出席者         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         自治省財政局指         導課長     篠原 幹雄君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   佐々木良作君     和田 春生君 同日  辞任         補欠選任   和田 春生君     佐々木良作君     ————————————— 二月十七日  自動車有毒排気ガス除去装置取付け義務化等  に関する請願田中武夫紹介)(第七七六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第七七七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第八五三号)  新湘南港の建設計画反対に関する請願平林剛  君紹介)(第七七八号)  同(平林剛紹介)(第八五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法  の一部を改正する法律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  道路運送車両法及び自動車検査登録特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 まず、私は大臣にお尋ねをいたしたいのでございます。  運輸省法律というのは、むやみやたらに省令とか政令とかいうことが書いてあって、六法を読んでも全くどこにも出てこないわけです。少なくとも運輸省という仕事の性質上、国民の生命、財産にかかわる問題でございますから、一読をしてわかるようにしなければいけないのじゃないか、そしてそのことのほうが指導がしやすいのではないか、こういうように思うわけですが、こういう点について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思うのです。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 一つには、運輸省というところは、何といいますか、国民大衆一般に直接関連する仕事が非常に多いわけでありまして、しかも、内容についてはなかなか繁雑といいますか、好ましくない繁雑は整理しなければいけませんけれども、人命尊重とか、あるいはサービス面が多いものでありますから、そこで、最終的に法律できめるに至るまでの間の準備期間としてある種の監督行政をして、そうして法律に定めるところにうまく乗っけていきたいというような、懇切ていねいなところが一つはあると思います。しかし、懇切ていねいが過ぎれば、過ぎたるは及ばざりけりということがありまして、できるだけ整理をしてまいるということを私は強く指示しておりますけれども、一つには、そういうような直接国民関係があるために、その準備段階として省令指導監督をしていきたいという面もあることも、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  5. 井岡大治

    井岡委員 たとえば、今回の法律改正で、「指定自動車整備事業指定申請にあたっては、優良自動車整備事業者認定を受けておく必要はないものとする。」と、こう書いてあるわけですね。たとえば優良自動車整備工場とはどういうものをさしていうのか、これなどはあえて政令なり省令できめなくともいいのではないか。こういう設備をし、こういう面積が必要だ、これが優良整備工場だ、こういうように一目でわかるようにしてやる、そのほうが、監督というよりは指導という立場からやりやすいのではないか、私はこういうように思うわけなんです。こういうような点を改める必要があるのではないか。なるほど大臣の言われるようなこともわからぬことではありませんけれども、あまりに省令省令ということで、一生懸命この六法を読んでみたわけですが、何にも載っていないわけです。聞いてみると自動車六法には載っている、こういうことらしいのです。これではかえって過ぎたるは及ばざるがごとしではなくて、過ぎないのではないか、こういうように思うのですが、この点いかがです。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話の件ももっともではありますけれども、一つには、たとえば中小企業近代化資金の適用の場合、これは実は運輸省のほうの所管ではなくして通産省所管になっておる。その場合に、通産省としては一定基準があるわけであります。運輸省は、必ずしも通産省一定基準でなければならぬというものでもない。たとえばいま言ったような自動車整備事業の場合、こういう場合、通産省話し合いをつける場合に、通産省は大体何十人以上をもって一つの目安にしておるのだということがあった場合に、いや、運輸省としてはこの種の事業については必ずしもそういう考え方でなく、やはり——もちろんこれは規模が大きいほうがいいに違いないが、しかし、利用者の便を考えれば、多数が散在することがまた利用者にとっては好ましい。したがって、自分のほうとしては六人なら六人というものを一つ基準にして考えておる、こういうようなものの考え方を主張する場合にまた都合のいいときもあるわけです。こういうぐあいにやっておるのだから、したがって通産省運輸省特殊性を考慮してもらいたいというときの主張の一つの根拠にもなる。  もう一つは、そういうことをきめておらない場合に、人によって認定の差があっても困る。これは口頭であるいは局長命令で出してもいいわけでありますが、しかし、局長命令ですとまた変わる場合もありますから、したがって、やはり大体における基準を設定する場合に、省令である程度きめておくほうが不公平な措置にならない。こういう点もあるわけでありますから、したがって、なるべく繁文縟礼はやめたいのでありますけれども、最小限度のものはやむを得ない、かように考えておるわけであります。
  7. 井岡大治

    井岡委員 言われることはわからないことはないですよ。わからないことはないのですけれども、もう少し簡易にするということのほうが親切じゃないのか、こういうことなんですね。たとえば、指定工場申請を出そうと思ったら、指定工場とはどういうものだといってまた役所へ行かなければならぬ。そして役所から聞いてこなければいかぬ。そして大体これならいけると思っても、そこにまた足りないものがある。こういうことではなくて、こういうものは半永久的なものですから、機械の性能とかそういうものを変えることはあったとしても、たとえば面積というものはこれだけ必要なんだ、同時にこういう機械が必要なんだ、こういう器具が必要なんだ、こういうように、これはもう明らかなものですね。ですから、そういうことは何も省令できめなくとも、いわゆる大臣の言うように、近代化資金を借りる場合における問題、そういうものはあるでしょうが、同時にまた、整備工場というのは遠いところまで行ったのでは、これはまたお客さんが来ないというようなこともあるし、あるいはお客さんが来ないだけでなしに、修理その他の問題で不便なこともありますから、できるだけ手近なところに置いておくということ、これも必要だろうと思うのです。  そこで、そういうことはわからぬことではないけれども、一定の固定したものについては、やはりもっと親切な指導という立場から、私は変えていったほうがいいんじゃないか、こういうように考えるわけです。したがって、こういう点をお改めになったほうがいいんじゃないか、こういうように申し上げているわけで、この点ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  8. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのような点で、利用者といいますか、関係業者が不便な点がありますれば、これはひとつ改正するにはやぶさかではありません。ただ、申しましたように、かえって局によって意見が違うのでも困ると思います。そういう意味合いで、省令といいますか、どこにも通用するようなものは最小限度あってもいいのではないかと思いますが、お話しの件は十分もっともな御意見でもありますので、この点は検討させてもらいたいと思います。
  9. 井岡大治

    井岡委員 大臣、この点は特にやはり検討してみてください。そうでないと、私は何も各府県ごとにやれというのでなくて、せめて政令ぐらいでなにしておいたほうがいいんじゃないか、こう思うのです。これを見ればすぐわかるようにしておいてやらないと、幾ら見てもわからぬということでは、これはやはり業者に対して不親切だということが言えるし、これだけ運輸行政というものが国民と不可分な関係にあるわけですから、この点は特にお願いしておきたい、こう思うのです。  そこで、自動車局長にお伺いするわけですが、最近の自動車の激増で、交通戦争とかあるいは交通公害とかいろいろな表現で、いわゆる自動車から受ける国民の危害というか損害といいいますか、こういうものが非常に多いと思うのですね。そこで、新車でも欠陥車があるようですが、私は、整備工場の中でこれらの問題がおろそかにされるとたいへんだと思うのです。  そこで、まずお伺いしておきたいことは、その整備をした自動車のうち自動車事故を発生しているのは、全体の自動車事故の何%くらいか。これはたいへん大事なことだと思うのです。
  10. 隅田豊

    隅田説明員 私からお答えさせていただきます。  自動車事故の中で、整備不良に起因する事故がどのくらいだという御質問だと思いますが、ちょっと手元に正確にこまかくは持っておりませんが、概算で申し上げますと、一%ないし二%くらいの間の数字でございます。この整備不良事故と申しますのは、直接的に整備欠陥とはっきり判断されたものでございまして、一般的な事故の中で、車の状態がどういうふうに影響したかということは、ちょっと数字的につかむことはむずかしいと思いますが、以上のとおりでございます。
  11. 井岡大治

    井岡委員 かりに一%ないし二%であったとしても、やはりそれだけに整備工場というものはもっと行き届いたものでなければならぬと思うのです。そういう意味で今回の改正というものをお考えになったのでしょう。  そこで、優良認定認証ですか、その認証工場というのは一体どういうのをさしていうのか、認定工場というのはどういうのをさしていうのか。指定工場は、今度は認証と一緒になるわけですから、この二つを大別してお聞かせ願いたいと思うのです。
  12. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  認証工場と申しますのは、分解整備事業を営もうとするものが一定条件を具備いたしまして、その要件に合致しているものを役所認証をして事業開始することを認める制度でございまして、それによって、いま全国で六万ほどの工場がございますが、認証という非常に特殊なことばを使っておりますけれども、他の産業の分野におきましては、たとえば一定要件に合致しているものは、登録をしてその事業開始を認めるというような制度と実質的には同じようなものでございまして、いやしくも分解整備事業を営もうとするものは、全部認証を受けなければならないので、そういう制度の一番骨幹をなすものでございます。  それから認定工場は、これは優良認定するわけでございまして、認証工場の中から、そこに従事しております人間の数、それからその保有しております機械設備等が、ある一定水準以上に達しているものは、これは認証工場の中でも比較的技術レベルの高い工場である、つまり優良工場で、その中にも一級と二級と二つございますが、これを認定いたしまして、いわゆる技術的な水準の格づけをして、相当優秀なレベル工場であるということを認定をして、いわば優良マーク役所の名前において与える、こういうものが認定工場でございます。  それから指定工場は、御案内のとおりいわゆる民間車検をやることを認められた工場でございます。
  13. 井岡大治

    井岡委員 そこで、先ほど私は大臣に聞いたことなんですが、一定条件を具備しておるものをもってというわけですね。その一定条件の具備というのは、あなたにはおわかりになっているのですが、ここの議員さんに聞いてごらんなさい、ほとんど知らないです。ここにやはり私は問題が明らかでないところがあると思うのですね。だから、私はその点についてお願いをする、こういうことを言ったのですが、ついにきのうまで持っておいでになりませんでした。そして私が要綱どうなったのですかと聞いたら、それが要綱ですと言うものですから、ああそうですかと言って、私がこれ以上言ってみたってどうせできないことですからやめましたけれども、そこに、私たち自身審議をしようとしても審議のできないような条件がある。これでは、あなた方だけが満足している、こういうことになるわけなんです。ここに私は欠阻があると思うのです。だからそういうことのないように、もっと明らかにしていただきたいと思うのです。この点をひとつお願いをしておきたいと思うのです。  そこでお伺いするわけですが、改正の九十四条の四項のところで、「陸運局長は、第一項の認定を受けた者が同項の運輸省令で定める基準に適合する設備技術及び管理組織を有しなくなったと認めるときは、認定を取り消すことができる。」こう書いてあって、そうして九十四条の三で、「同項の設備自動車検査設備を含む。次項において同じ。)、技術及び管理組織を同条第一項に規定する基準に適合するように維持しなければならない。」それからその次に、ずっと下がって二項のしまいに、基準に達してないものは、「是正のために必要な措置をとることを命ずることができる。」とある。先ほど言っておいでになりますことを聞きますと、一定条件を具備しておるものに認定なり指定をする、こういうことになる。ところが、これをしなければならない、適合したものでなければならない、こうやっているわけです。一方で、それになにしてないものは是正を命ずることができる。若干そこに矛盾があるように思うのですが、この点はどうなんですか。
  14. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  その工場認定をいたします場合には、それが一定条件を具備しているということを審査いたしまして、それに認定をして、認定事業としての営業を認めることになるわけでございますが、一たん営業開始したものが、その後何らかの理由によりまして、たとえば工員が減ったとか、あるいは機械が古くなって摩滅して、何といいますか、そのあと機械のリプレースが行なわれなかった、こういうことになりますと、営業開始の当初認めておりました条件がなくなるわけでございます。そういうことがあってはならないので、もし一たん営業開始した後にその条件が満たされなくなった場合には、条件に合致するような人員なり機械なり、そういうものを整えなさいという是正措置を命ずることができる、こういう趣旨でございまして、営業開始条件になっておりますところの設備なり人員というものが、ずっと継続して基準以上のものを持っておらなければならない、こういうことを担保するための規定でございます。
  15. 井岡大治

    井岡委員 その基準に達したもの、それを持続するのが原則であって、いまおっしゃるように、摩滅したとか人員が足らなくなったということは、条件を欠いていることになるのですよ。だから、それは常時指導でいいのじゃないですか。それを、一たんここに項を改めているということはどういうことなのですか、私には少しわからない。これはもう当然条件がなにしているわけですから。
  16. 野村一彦

    野村政府委員 その条件が持続しなければならないことはお説のとおりでございます。しかし、万一といいますか、何らかの調査あるいはその他の理由によって、条件が持続されてないということが発見された場合には、その条件を満たさせるということでございまして、条件は引き続いて維持されていなければならないということは、先生お説のとおりでございます。
  17. 井岡大治

    井岡委員 そうだったらこんなことを書く必要ないんじゃないですか、条件が具備しているということが条件なんですから。それを何のために、「是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」と書くのですか。こんなことは書かなくったって、具備しているということが条件なんですから、あかなければ直しなさいと、こんなことを書かなくたって、口で言ったっていいことです。そうでなかったらあなたのところを取り消しますよ、そういうことを言ったらいいでしょう。何のために書いているのですか。これはどうしてもわからない。
  18. 野村一彦

    野村政府委員 考え方としては先生のおっしゃるとおりでございます。これは法律書き方の問題といたしまして、ほかの法案にもこれと似たような規定のしかたがあるかと思いますが、趣旨としては、考え方としては先生指摘のように、その一定条件を常時維持しなければならない、それが維持されなければ事業を継続してはならないということは、お説のとおりでございます。
  19. 井岡大治

    井岡委員 それだったら、項を起こして書くのでなくて、初めのところに、「取り消すことができる。」と書いてあるのですからね。何のために「取り消すことができる。」と四項でうたっているのですか。これは条件を具備してないとすれば、当然取り消すことになるのじゃないですか。それを項を起こして是正をするということになると、何かしら私はここにわからないところが出てくるのです。あなた幾ら説明をしてくれても、何のためにこれを項を起こしたかということです。それじゃ項を起こす必要がないのじゃないか、こういうように思うのですがね。取り消しの項があるわけですから。
  20. 野村一彦

    野村政府委員 この辺は私、法律専門家でございませんのでよくわかりませんが、すべての法律を見ますと、大体ある一つ業務開始する一つの件がございまして、そしてそれが満たされない場合に、改善の命令なり指示ということを第二段としてやって、そしてなおこれに応じない場合に、その業務をやめさせるというようなやり方をやっているケースが、こういう種類の法律には非常に多いわけでございまして、この法の制定にあたりましても、おそらくそういう一般的な組み立て方に従ったものと思われますが、その基本的な考え方は、先生指摘のように、条件を具備しなくなったら、それは事業をやってはいけないという考え方には変わりはないと思います。
  21. 井岡大治

    井岡委員 そういうことだとすると、あなたのほうが見つけるまでは条件を整えていない営業だ、こういうことになるわけです。  だから、私が先ほど大臣に言ったように、これだけは必ずやりなさいよということを明記しておきなさいというのはそこなんです。省令できめておくと、だれも見たってわからないのです。たとえばお客さんが、私なら私が自分自動車を直しに行って、法律を見て、これは具備してない、だからこれはいかぬじゃないか、あなたこれをやっておかぬとたいへんですよ、そういうことが言えるわけです。ところが、省令できめておくとわからないわけです。しかも、その間は不法営業というかっこうになるでしょう。  だから私は、こうした項をことさらに起こしたことによって不法営業を認めてもいいということになる。こういう項は起こさぬほうがいいと思うのです。そういうように思いませんか。
  22. 野村一彦

    野村政府委員 さっきからたびたびお答え申し上げておりますように、趣旨といたしましては、先生指摘のように、条件を具備しないものの営業を認める趣旨ではございませんが、法律規定のしかたで、先生のお考えにそぐわないかとも思いますが、この点さらに法律的に検討はいたしますが、趣旨は申し上げているとおりでございます。
  23. 井岡大治

    井岡委員 時間がきましたからやめますけれども、大臣、これは法律的に検討するといったて、この法律通すのでしょう。次の国会でなければこのなにはできないのですよ。もしそういうことではなくて、今度の場合こういうことだけれども、しかたがないからひとつ了解してくれというならば話はわかるけれども、直します、検討しますなんて言い出したら、これは通されぬことになりますよ。
  24. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 どうも多少局長の答弁が不足しておるようですから……。  法律のものの考え方ですが、刑法のような場合にはそういうような書き方ができないわけであります。行政法といいますか、ことにこのような法律業者指導法といってもよろしいと思うのです。法律の性格が多少違っております。そこで、ただいま井岡さんがおっしゃるように、条件を具備しないならば取り消したらいいじゃないか、これはそのままでいけば刑法的なものの解釈になってしまいます。そこで、現状がそういうような条件が保たれていない場合に、それは法律論的にいえば取り消してもいいのですけれども、そのような措置の間にもう一つ行政指導としては考えていきたいということで、これはおかしいから直したらどうだという余地を与えておくという意味での、やはり一般サービス行政上の法律というものは、そのような規定がないと、また、実は役人というものは固苦しいものでありまして、そういう規定がないと、今度はいろいろと話し合いができないという点もあろうと思います。  したがって、一種のこうしたようなサービス行政に関する法律には、さような意味での親切、懇切ていねいな面が入ってきておる。こういうことを御理解願って、この項目の必要であることも御理解願いたいと思います。
  25. 井岡大治

    井岡委員 大臣の言われることはわからぬことはないのですよ。私は取り消せと言っているのじゃないのですよ。「取り消すことができる。」と、こう書いて起こしておくものだからね。書かなくたって行政指導として当然やるべき問題なんです。それをあえてここに起こしたことによって、何か抜け道があるのかなという疑が出てくるわけなんです。だから、それは大臣の言われるように指導ということから考えて、考えれば考えるほどこんなものは書かぬほうが懇切ていねいだと私は思うのですよ。ところが書いているから、何かしら私も引っかかるわけで、この点はひとつ十分今後やり方考えていただきたい、こう思うのです。  そこで、もう時間がありませんから、あと五分ですからその次にいきますが、指定工場にしていくことによって、二級整備士が足らなくなってくるんじゃないか。これによると、いま大体三〇%程度だけれども、七〇%程度まで引き上げていきたい、こういうようにいっているわけですね。そこで、先ほどお尋ねいたしましたように、たとえ一%として整備工場による事故、こういうものがあるとすると、もうどういうのでしょうか、二級整備士のなにをとったからそのまま放置をするのではなくて、やはりこれだけ機械その他が進歩してくるわけですから、これに対する研修制度を設けたらどうか、こういうことが一つ。それから、足らなくなってくるから、やはり研修制度を設けて、そしてその中から二級整備士を養成していく、こういうようなことを考えられたらどうか、こういうように思うのですが、この点はいかがですか。
  26. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ごもっともな御意見でございまして、実はこの予算の決定に際しましても、七〇%まで将来民間に委譲するというのであれば、現状ではいまおっしゃったように整備士が不足はしないか。そこで、いまお話しのように研修制度あるいはまた各県でやっております再教育の制度がありますが、運輸省なりあるいは運輸省関係の機関なりで直接に研修制度考えろ、こういう指示をいたしておりますが、たいへん適切な御提案を得ましたので、これは積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
  27. 井岡大治

    井岡委員 以上、私の時間が参りましたからこれで終わります。
  28. 福井勇

    福井委員長 次に久保三郎君。     〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕
  29. 久保三郎

    ○久保委員 提案されている法案に関連して、二、三お尋ねをしたいのですが、一つ欠陥車の問題であります。  最近、欠陥車の問題はあまり政治課題にはならないようでありますが、この欠陥車の問題は、これで終わったわけではないように思うのであります。ついては、保安基準というか、そういうものについてさらに一そうきびしく点検する必要があるとわれわれは思っているのであります。そこで、この欠陥車対策について運輸省はどういうふうに思っているか、あるいは自動車工業に対していかなる対策をしているのか。通産省はきょう来ておりませんからなんでありますが、いわゆる技術面での改良ですね、これは通産の所管だと思うのでありますが、これまでの間に運輸省としては通産当局を通してなり業者に対して、そういう改善命令というか改善の指導、そういうものをなさっているのかどうか、大ざっぱな話でありますが、お答えをいただきたい。
  30. 野村一彦

    野村政府委員 自動車の安全につきましては、道路運送車両法に基づく保安基準でこれを実施いたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、最近非常に自動車の激増と交通渋滞等の問題で交通の環境も変わっております。したがいまして、いまの保安基準が必ずしも十分でないということでございまして、特に乗用車等によります衝突時の被害軽減とか、あるいは対歩行者に対する安全対策という面については、まだまだ不十分でございますので、現在抜本的な対策といたしましては、運輸技術審議会の自動車部会におきまして、衝突時における被害の軽減とか、あるいはそもそも事故が起こらないように事故発生を防止する処置、あるいは歩行者の安全対策というような大きな三本の柱を求めまして、これに対する対応策を早急に出すように、目下審議をしております。  また、軽自動車につきましては、最近いろいろと調査研究をいたしまして、高速道路安全のための最高速度を八十キロ以内に制限するようにメーカーを指導し、メーカーもこれによって処置するということを約束をいたしましたし、八十キロを越えた場合にはぴいぴいと警音を出すという装置を取りつけるというようなことをいたしまして、少しずつ現状に即したような手を打っている次第でございます。
  31. 久保三郎

    ○久保委員 突然のお尋ねでありますから、多少お答えいただく点が足りないように思うのでありますが、私の聞きたいのは、いまのお話だと早急に対策を立ててというように、何か少し心もとないお話なんであります。これは従来もいろいろな面から指摘されているわけなんでありまして、そういうものがすでに出払ったような感じを受けているのではなかろうかと思っているのです。ところが、実際はちっとも改善されていないといっても過言ではないと思うのです。  ついては、いまのような大ざっぱではやむを得ませんけれども、何月何日とは言いませんけれども、もう少し詰めたお話にしてもらえないだろうかと思っているんですが、早急に対策を立ててどうこうというんじゃなくて、きちんとそういうものは一定の目標をおつけになってやっているんだろうと思うのですが、どうです。
  32. 野村一彦

    野村政府委員 昨年の十二月でございましたか、道路運送車両法の保安基準改正いたしまして、たとえば二重ブレーキを適用する範囲を拡大する、それから自動車のタイヤの規制を強化する、その他トレーラー、大型トラック等の保安措置の強化というようなことを実施いたしました。それから、先ほど私が申し上げました軽自動車の走行速度の制限、これは行政措置でございますが、すでに本年の一月末でございましたか、業界に通達をいたしました。そういうことをいたしておりますとともに、保安基準を洗いまして、制定以来約二十年になりますが、大体一年に一回程度の保安基準改正をいたしまして、少しずつ実情に合うようなことをやっております。  抜本的な対策としては、先ほど私が申し上げました自動車部会に審議お願いしておる、こういうことでございます。
  33. 久保三郎

    ○久保委員 詳細は、後ほどまた関係の省庁もおいでいただきましてお聞きすることにしまして、次は排気ガスの問題でありますが、一酸化炭素の許容基準というか、これはどういうことになっておりますか。
  34. 隅田豊

    隅田説明員 専門的でございますので、私からお答えさしていただきます。  一酸化炭素の排出基準には、メーカーの段階での新車に対する基準と、それから使用車段階に入りましたいわゆる車検のときの基準と二種類ございます。メーカーの段階におきましては、特別な非常に詳細なはかり方をいたしますが、そのはかり方をした結果で、現在二・五%で押えております。それから使用車の段階に入りました車検で押えますものは、いわゆるアイドリングという状態のときだけをはかっております。これは車検場で五・五%で押えております。
  35. 久保三郎

    ○久保委員 これを守らせる装置を含めて、そういうものについての基準はどういうふうになっておりますか。この二・五%なり五・五%の基準が、はたして現状に合うだろうかという問題が一つあると思うのです。すでにアメリカ等では、段階的にでありましょうが、もっときびしく改善しようという方針になっているようであります。メーカーはこれに応じて輸出車をきめているんじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう問題についてはどういうふうに考えておりますか。
  36. 隅田豊

    隅田説明員 前段のお話でございますが、それの対策として、どういう装置の基準を持っているかというお話だと思いますが、規制のやり方といたしましては、一酸化炭素の、何と申しますか、出る量を押えて、それがどういう装置で開発されていくかということは、技術開発にまったほうがいいと思いますので、どういう構造とか、どういう装置をつけなければならぬとか、そういうような規制のしかたはいたしておりません。  しかし、もちろん規制の強化ということで考えました場合には、先ほど申し上げました、たとえば二・五%という数字はまだまだ甘い数字でございまして、これらにつきましては、昨年七月に運輸技術審議会の自動車部会から答申をいただきまして、五十年までの目標を一応ワクとしては定めてあるわけでございます。この目標を、一酸化炭素を例にとって申し上げますと、ちょっと表現は違うのでございますが、技術的には別の表現をいたしておりますが、前のと比較しやすいためにパーセントで申し上げますと、大体〇・九くらいになる数字でございます。  アメリカにおきましては、またさらにきびしいような規制が最近において出たということが出ておりますが、これも具体的にどのくらいの数字になるかということは、実はまだよくわかっておりません。日本におきましての〇・九%程度というこの基準は、メーカーも十分承知しておりますし、現在の段階では、技術開発が完全にここまでめどがついたというところまではまだいっておりません。原理的には一応いけるであろうということを、一部のメーカーは発表いたしておりますが、われわれとしても、できるだけメーカーの技術進歩をハッパをかげながら、この段階にまで到達できるように努力していきたいと考えております。
  37. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話だと、言うならばこれからの技術開発、そういうものをたよりにしているというお話のようにとれますが、そうですか。
  38. 隅田豊

    隅田説明員 いま御説明申し上げました五十年の目標値というものは、わが国でも、一応ある程度技術開発ができませんと、いますでにここまでできるという完全な見通しが立っているものではございません。そういう意味では、まだまだメーカーにとっては相当シビアな規制の方法になるだろうと思います。
  39. 久保三郎

    ○久保委員 こういう技術開発、もちろんこれをまつほかありませんけれども、たとえばいまの五・五%の使用中のものですね、それはそういう基準があるそうでありますが、私が聞く範囲では、どこかの装置を、ネジか何かちょっと操作すれば、その基準以下になるそうですね。ただし、これは走るのにはたいへんぐあいが悪いんだそうでありまして、そういうのが公開されているさなかに、たとえば五・五%が正しいといたしましても、これは守り得ないものだと私は思っています。だから、装置をどうするか、あるいは構造をどうするかという問題は、もっと早急に対策を立てなければならぬと思うのです。しかも、そういう装置以外に、そういう操作でとにかく排気口の前に出てくるものが五・五%であれば、中身はどうでもいいというものであっては、絶対に効果はあがらぬと思うのです。  そういうものについて、もう少し具体的に方策を進めなければだめだろうと私は思います。どういう装置がいいとか、どういう構造がいいということは、私は専門家じゃありませんからわかりません。しかし、ここまで大気汚染の問題がきておるということになりますれば、単に排気口の外のところではかったものが許容量の範囲であるからいいということだけではもう防ぎようがない。だから、そういうものに対してもっと明確な御答弁をいただきたい、こういうように思います。
  40. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま久保先生から御指摘のような点につきまして、私どももいろいろ検討いたしておりますが、特に自動車メーカーの一般技術開発を担当しております通産省、ここには工業技術院もございますし、私のほうの交通公害安全研究所にも若干の技術員がおり、また民間機械学会という学識経験者の団体もございます。こういうところとタイアップいたしまして、若干の予算をいただいておりますので、十分研究を進めまして、ただいまの先生の御指摘の御趣旨に沿うように、さらに努力したいと思っております。
  41. 久保三郎

    ○久保委員 誠意のほどはうかがわれますが、努力したいということではどうもわれわれ納得しないのです。ある目標をきめて、そういう作業は進めるべきだと思っているのです。ことしの予算に組んであるそうでありますが、運輸省所管としては、研究所に研究テーマとしてそれはおろしてあるのかどうか。通産省のことは所管外だからおわかりにならぬと思うのでありますが、運輸省のほうはどうなんですか。
  42. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  公害関係の予算といたしましては、四十六年度、まず要員の増員を六人ほど政府原案でお願いいたしております。それから研究の予算といたしましては公害安全研究所に、研究体制の整備強化、排出ガスの拡散の汚染の調査その他を含めまして、六千万円ほどの研究予算がついております。
  43. 久保三郎

    ○久保委員 いまのお話では、要員六名をどういうふうにお使いになるのかわかりませんが、ふえたことはわかります。この六千万円も、いわゆる大気汚染のガスの拡散の問題をいまおっしゃっているが、拡散のことを聞いているのじゃないのです。その許容基準をもっとシビアに守らせる装置あるいは構造についての研究はどうなっているのか、こういうことを聞いているのです。
  44. 隅田豊

    隅田説明員 実際上の、メーカーの行なう技術の開発の面につきましては、主として通産省のほうで所管をいたしておりますが、われわれとして直接やっておりますことは、たとえば規制をするための測定技術の研究とか、そういうような規制をするほうにウエートを置いてあるわけでございます。先ほど先生から御承知のように、どういうような技術開発をさせていくことによって規制を守らせるかという御趣旨だと思いますが、規制のやり方といたしましては、先ほど五十年の目標の数字だけを申し上げましたが、やはり四十八年どのくらい、四十九年どのくらい、こういうふうな段階的な規制のやり方というものをわれわれやっていくつもりでございまして、そのつどそれをメーカーに指示しながら引っぱっていきたい、こういうように考えております。
  45. 久保三郎

    ○久保委員 事前によくお話をしないでこういう質問をするのは、たいへん失礼なんですが、事の成り行き上お話をしなければいけないのでありますが、いまの御答弁は私が聞いていることとちょっと違うのでありまして、なるほどあなたのほうの所管事項は、排気口から出る一酸化炭素の許容量をきめて、それに合うかどうかを検査するということでしょう。しかし、それは守れなければ何にもならないのですよ。守らせるためにはどうしたらいいかということが、やはりあなたのほうの職務権限じゃないですか。規則はきめた、はかってはみた、だけれども、守れないということになれば、守れないのはどこが原因か、守れるように装置とか構造を改善させるという方向に持っていくのだと思います。だから、いま申された公害安全研究所に六千万円あるそうでありますが、その中では大気汚染というか、排気ガスの拡散状態をテーマにしているようでありますが、私が聞いているのは、くどいようでありますが、一酸化炭素の許容基準を守らせるための構造なり装置というものが問題だから、これを研究しておりますか、そういう研究テーマはおろしてありますかと聞いているのですよ。そういうものがなければ、何にもやっていないということになるでしょう、はっきり言って。回りくどいことを聞いているのじゃないのです。そういうことを聞いているのです。
  46. 隅田豊

    隅田説明員 どうも御説明が不得手で申しわけございません。先生の御趣旨のようなことは、結局私たち規制をやる立場と、それから自動車メーカーの技術指導する立場と、通産省運輸省というものが合体してやっておるわけでございます。たとえば、通産省が研究補助金を出していくような内容につきましても、われわれも一応参画をいたしまして、それでこの程度の内容のものをここまで引っぱっていくということに対しまして、通産省に相当強い要求を出しながらレベルを上げるような努力をさせる、そういうものをわれわれも判断の資料に入れて、たとえば五十年目標とか、こういうものをつくってやっておる、こういうことでございます。
  47. 久保三郎

    ○久保委員 これはあとで通産も連れてきて話を聞かなければよくわからぬようでありますが、どうも政府というところはヤマタノオロチみたいで、ちっともわからぬところなんです。これはわれわれとしては困るので、運輸大臣、あなたもお聞きで一もっとも技術的なことはお互いによくわかりませんから、戸惑いするのでありますが、いずれにしてもこういう問題についてどう思います。いままでやかましくいって、排気口から出る基準は、使用中のものは五・五%で押える、こういっておる。そこまできめたけれども、実際は守れないのです。はっきり言って守っていないのです。検査のときだけネジか何かちょっとゆるめたり締めれば、この五・五%よりもっときつくできるというのです。それも知っていらっしゃる。ただ、しかしそのままでは走らないものだから、検査が終えればまたもとに戻して走るという、そういうのが日本の政治と現実の離れだろうと私は思っておるので、この一つの問題だけでこだわっておるわけではありませんけれども、もう少し真剣に取り組んでいただきたい。  なるほど運輸省とすれば、おまえの言うようによそのほうまで口出しはできないのだということになるかもしれませんが、少なくともこういう問題をやはり一つ一つチェックして、着実にこれをやっていかなければ、どこまでいったってできませんよ。これはいずれ通産を呼んで聞きますが、これは大臣に聞くまでもないでしょう。御答弁いただいてもしようがないでしょう、まさに排気ガスがとめられないのと同じような答弁になると思いますから。これはもう少し——もっとも整備部長、何か私の言い分に対して言い分がありますか。あったらお聞きしましょう。そうでないと民主的でないからね。
  48. 隅田豊

    隅田説明員 ただいまの先生のお話の、いわゆる使用中の車の五・五%の問題でございますが、これは実際上、確かにエンジンのアイドルスクリューというもののネジの締め方でもってこの数字は変わってまいります。そこで、御指摘のようにこれを操作することによって濃くもなれば薄くもなるわけでございまして、五・五%以内にさせるという線をきめる場合に、われわれは、実際上車がどうなるかということにつきましては十分な調査をいたしまして、その結果、一応五・五%という数字をきめたわけでございます。しかし、同時にユーザーがそう簡単にいじるようなことでなってしまうとすれば、先生指摘のような弊害が出るわけでございますので、メーカーの段階につきましては、これはもっと低い四・五%という段階で基準が定められておりまして、設計の段階からこれに適合するようにしてございます。  それからもう一つは、古い車はちょっと全部直せないのでございますが、そのアイドルスクリューという調整のネジがそう簡単に調整ができないように、結局ストッパーをつけるということなんでございますが、調整範囲がむやみやたらに広くならないように、非常に狭い範囲の調整しかできないように、現在メーカーの設計を全部変えさせております。そういう意味で、規制の行なわれ始めた直後におきましては、確かに先生のおっしゃるような事実があるいはあったかと思いますが、最近につきましてはそういう点は改められて、比較的少なくなってきておると思います。
  49. 久保三郎

    ○久保委員 いま、新しい車については四・五%とおっしゃいましたね、アイドルの場合。アイドルではなくて、小さな場合は、いまの基準は二・五ですね。
  50. 隅田豊

    隅田説明員 先ほど規制のお話をしたときに、実はちょっと省略をした部分がございまして、新車につきましては、特別のフォアモードという詳細なはかり方をした場合、すなわち標準運転状態における全部のガスをとったような場合でございます。この場合は二・五%でございます。  それから同時に、使用中の車に対して五・五%という規制をやりましたときに、先ほど先生お話しのように、自動車の性能をもとからちゃんとできるようにしておきませんと、ユーザー段階で非常に迷惑しますので、新車につきましては、メーカーの段階で四・五%という低い数字で押えてあります。そういう意味で、最近は設計がすでに変わってきておるというふうに御理解を願いたいと思います。
  51. 久保三郎

    ○久保委員 外国の話で恐縮でありますが、アメリカではどうなっておりますか。
  52. 隅田豊

    隅田説明員 アメリカでは、全州で統一的な車両検査というものが行なわれておりませんものですから、ただいまお話しのアイドル規制という形のものはまだ現在行なわれておりません。メーカーの段階における問題は、日本で申しますと二・五%。これははかり方が実はアメリカのやり方と日本のやり方とちょっと違うので、直接の比較はしにくいのでございますが、大体似たようなレベルの数字できめられております。
  53. 久保三郎

    ○久保委員 たとえば、カリフォルニアあたりでは二・三%ということになっておりますね。将来は、何か一・〇%ということになっておりますね。日本の車はその基準に合わせて向こうに輸出しておるのでしょうね。これはやればできるものだと思うのです。そういうものについてどういうように考えておりますか。もちろんはかり方にはいろいろ違いがあると思うのですが、ただ何%といった場合には、出てくるところのそのものですから、はかり方いかんによらず、おそらくこれは結果でしょうね。だからわれわれは、何かアメリカのほうが非常にきびしくて日本のほうはまだゆるやかだ、こういうふうに思うのですが、そういうふうにとってよろしいのでありますか。
  54. 隅田豊

    隅田説明員 一酸化炭素で比較をいたす場合は、はかり方、すなわち標準の走り方の設定がアメリカと日本とは違います。アメリカの場合は、やはり相当高速ということを条件にしておりますので、はかるときにも、高速運転をさせた結果ではかっております。日本の場合には、四十キロというような都市内速度を標準にしておりますので、いわば低速型の測定条件になっております。そういう意味で、直接的に比較することは一応むずかしいのでございます。しかし、大体大ざっぱに申しまして、一酸化炭素につきましては、日本の車はそのまま向こうに行って合格しております。国内のものと変わっておりません。違いますところは、日本の車につきましては炭化水素規制が、現在においてまだブローバイ関係の装置をつける部分だけでございまして、排気ガス濃度のほうはまだ規制になっておりません。ロスアンゼルスのありますカリフォルニア州においては、炭化水素がすでに規制になっております。そういう意味で、炭化水素規制で若干の差異がございます。これも技術的に申しますと、高速状態の測定モードで行なわれた状態に対しての炭化水素対策と、それから日本のような中速と申しますか、低速関係でもって測定された場合の炭化水素対策とは、技術的に実は違ったところが出てまいります。アメリカで合格させようとするやり方を日本に持ってきても、必ずしも得策でないという場合が出てまいります。  そういう意味で、炭化水素対策が日本と若干違っております。そういうような日本からの輸出車で、日本では合格しないというものも出てきておるわけであります。
  55. 久保三郎

    ○久保委員 話のついででありますからお聞きするのですが、何で日本では四十キロを標準にして測定をなさるのでしょうか。この速度と排気ガスとの関係はもちろん大いにありますが、四十キロというのは、いまの日本の状態からいって、非常に適切だとやはりいまでも思っていらっしゃるかどうか。
  56. 隅田豊

    隅田説明員 これは世界的に大体共通の考え方でございますが、排気ガス規制をやるための標準走行状態というのが、大体都市内走行をベースにしてものを考えてまいります。わが国の四十キロという線を考えたフォアモードという測定方法は、規制を始めますときに、運輸省の研究所が新宿と東京との間を運行するという実際の運行状況というものを何べんとなくやりまして、その際の平均的な自動車の走り方、加速がどのくらい、減速がどのくらい、定常走行が何キロぐらいでどのくらい、信号でとまる状態がどのくらい、これを全部やりまして、それを標準のモデルとしてつくり上げたのが、現在のフォアモードシステムでございます。ですから、最高速度が四十キロになっているのは、交通制限等から考えて当然のことになるわけでございます。  アメリカの場合も、ロスアンゼルスの市内でカリフォルニア州が規制をきめましたときには、やはり代表的なロスアンゼルス市内の道路を何べんとなく走って、この場合にはセブンモードをきめております。このセブンモードの場合には、先ほど申し上げたとおり、日本で申しますと八十キロぐらいの最高のところが採用されております。
  57. 久保三郎

    ○久保委員 この許容基準をきめたのは、たしか四十三年かと思うのです。その後、四十四年にこれを改正していると思うのです。これは、最近の自動車と道路の関係では、たいへん短い時間の間に変わってくると思うのです。だからこれはもう少し、私は数字や技術的なことはよくわかりませんけれども、感じとして、こういうものは年々検討を加えていくことが必要だろうと思います。そうでないと、何か一つきめたらそのままでずっといく、それでは進歩もないしまた実情にも合わなくなるので、これはぜひそういうように考えていくべきものだと思います。     〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つ、この問題で一応結論的にお話を申し上げたいのは、どうも排気ガス基準を守る問題については、運輸省サイドでは完全でない。これを守らせるというサイドでは、運輸省はどうもかなり力がなさそうに思いました。これは通産省に権限があることでありますが、少なくとも守らせる責任は運輸省にあるということを忘れてはならないと思うのです。ところが、どうもあなたのほうは、保安基準検査のときだけ通過すればいいんだということで、そんなのは形式的な、官僚的なと言ってはたいへん失礼かもしれませんが、そういう考え方がありまして、国民的には何の利益にもなりません。だからどうしたらそれを日常ずっと守らせるかの問題が大きな問題なんでありまして、検査が問題じゃないのであります。そんなことは、私から説教がましく申し上げる必要はないと思うのです。この次の機会までに通産とも打ち合わせをして、あるいはこれは警察もあるでしょうが、そういうほうとも打ち合わせをして、これは結論的にどうするか、お答えをいただきたいと思うのです。きょう結論をもらうわけにまいりませんから、これは運輸大臣にも特に申し上げておきます。  次は、整備のほうではないのでありますが、地方におけるバスの運行についてであります。過疎地帯における交通、これは鉄軌道も含めてでありますが、かなり深刻な問題があります。いま過疎を食いとめる手段が適切なものがないときでありますから、交通のみを単独で維持するわけにはなかなかいかない面があることも重々われわれは承知しております。しかしながら、国民生活上一番土台であるべき国民の足が、企業サイドの見方、考え方から運行がやめられていくということ自体問題だと思うのです。もっとも政府では、何がしかの助成を過疎地帯対策というか、運輸省も助成をしているわけでありますが、これは実情からいって完全でないことは御承知のとおりであります。  そこで、この問題はあとにしまして、現実にそういう地方に参りますと、現行の道路運送法なり何なりというものが、大きな企業によってじゅうりんされている事実がたくさんあります。実情を聞いてみれば、やむを得ぬというか、非常に気の毒だというか、これもあるわけでございますが、しかし、公共的な輸送機関として、かってに運転を休廃止しているのもあるのですね。たとえば、岡山県の中鉄バスのごときは、長い間ストライキをやったあげく、いま平常に戻ったのでありますが、バスの運行はいまだに平常に戻らぬ。戻らぬままで、実を言うと陸運局に対して休廃止の申請が、現状を追認する形で提出されているのですね。なるほどそういう手順は手順でありますから、一応理解することもやぶさかじゃありませんけれども、現状はかってに休廃止しているのですね。そして何カ月も休廃止している。しかも、これは少しばかりではなくて、全車のうちの大体二割五分くらいは休廃止しているのです。その現状を追認させるような形で休廃止の申請が出てきている。陸運局は、法律のたてまえ上受け付けないわけにはいきませんから受け付けていますというのです。片方では、法律を守らぬで休廃止する。これは運輸大臣の認可が必要なんです。だが、これは認可を受けないで現実に休廃止している片方では、法律に基づいてきたから書類だけは受け付けておるのです。  これは、なるほど陸運局長の身になれば、たいへんハムレットみたいで容易でないとは思うけれども、そういう守れない法律というのはどこからきているのかという問題です。これについては、すでに自動車局長も御承知のとおりだと思うのであります。運輸大臣にお聞きしたいが、そういう法律を守らぬような企業に対して、いまの法律は何の処罰の手段方法もないにひとしいのですね。これは単に中鉄バスばかりじゃありません。各所にこういう問題が出てきつつあります。言うならば、政府の施策の貧困からくるところの法律無視だというふうに私は見ているのであります。これに対してどう思いますか。  それからもう一つは、これも自動車局長はすでに御承知だと思うのでありますが、高知県交通バスの問題があります。私は両方の地域に昨年行っていまりました。一応軌道に乗ったかに思ったのでありますが、御承知のように、高知県交通バスは株主総会を開いて会社解散の手続をしようとした。しかし、これはもちろん効力発生には運輸大臣の認可が必要でありますから、効力は発生しないにしても、いまや政府のそういう認可、許可というものに何の威力があるものかというものが片方に出ている。だとするならば、実際上企業としては次の手段に移るだろうと思うのです。これに対して運輸大臣はどう思いますか。
  58. 野村一彦

    野村政府委員 岡山県の中鉄バス及び高知県の高知県交通につきまして、ただいま先生指摘のような過疎地域における一つの事例といたしまして、非常に問題が残っていることは御指摘のとおりでございます。その中でも特に休廃止の問題につきまして、私どもは岡山県におきましても、また最近の高知県におきましても、地元の陸運局長といたしましては、申請が出てきたものは一応受け付けてはおりますけれども、それをそのまま処理をいたしませんで、地元の県知事さんと、住民の足を確保するための必要最小限度の路線というものはいかにあるべきかということを、関係の町村長、そういう方を加えてひとつ十分協議をして、そしてその結果やむを得ざるものは廃止をするあるいは休止をするということもやむを得ないが、住民の足の確保のために必要なものは、何らかの措置を講じてこれは維持しなければならないということで現地を指導してまいったわけでございますが、不幸にして岡山県の場合まだ結論を得ておらないわけでございまして、私どもとしては地元の知事と町村長をまじえて、陸運局長が十分その足の確保という観点から、いわば再建計画と申しますか、そういうものを立てるように指導をいたしているわけでございます。  高知県につきましては、お尋ねのように、私どもも、近く会社を解散して全線廃止をするという動きがあることは情報として得ておりますし、そういうことのないようにという地元の方の陳情も、先般受けたわけでございます。この点につきましても、私どもは住民の足の確保でございますから、ただ会社の採算あるいはその他の都合だけで、これを安易に廃止するということはもとより許されることではございませんので、これも高松の陸運局長に再三連絡をいたしまして、地元の足の確保という立場から、県知事ともよく連絡をして至急再建計画を立てるようにさせたい。高知県交通バスにつきましては、実は一応の再建計画が立って、民間に一部譲渡する、一部は町村に譲渡する、一部は退職者の方が新たな組織をつくってそこで運営をするというようなこともやられまして、ある程度軌道に乗りかけておったわけでございますけれども、何ぶん借り入れ金が非常に多くて、金融面の点から、主として債権者サイドにおきまして、解散もやむを得ないというような御意見が出ておるやに聞いておりますが、私どもとしてはあくまでも住民の足の確保という立場から、両件とも県知事その他関係町村長と十分協議して、再建計画を立てるように指導を現にやっておりますし、また今後もそれを続けたいと思っております。
  59. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 事実問題については自動車局長からお答え申し上げましたが、基本的な問題でありますが、御承知のようにこれは岡山県、高知県だけではなく、各地において地方交通線、いわゆるバス及び軌道等について、これは国鉄も含めて問題がたくさん出てまいっておるわけであります。これは去年から当委員会におきましても、この地方交通線が国民生活に密着しており、かつまた存続を必要とする場合は、その企業だけが責任を負うということはなかなかむずかしくなってきたのではないか。やはり企業としては、とにかく企業自体が存続し得なければならぬのでありますからして、したがって、親方日の丸のようなやり方ではやっていけないというところに、一つの悩みが私企業においてはあるわけであります。  そういう意味において、御承知のように四十五年度から実施されました、これは交通だけではありませんけれども、その他の問題を含めて、過疎地帯に関する特別立法がなされましたが、もちろんこれを拡充していくことも必要でありますが、同時に、一般交付税にいたしましても特別交付税にいたしましても、そのような地方の地域の、これはもちろん交通だけではありません、一般の地方住民の生活を維持し改善するための一般会計からの交付金の制度でありますが、ただ中身が、従来の規定に従っていろいろな積算の根拠がありますけれども、そこでただいまもお話がありましたように、最近はこのような社会情勢の変化に従って、地方交通線問題が非常に問題になってきたおりから、やはりこういう問題が過疎地帯振興法だけではなく、交付税全体の中でも考えらるべき性質のものではなかろうか。もちろん、この交付税は社会資本等にも使われるわけでありますが、その地域における住民の利益増進その他にも使われておる。  こういう意味において、もっと根本的な問題を解決いたしませんと、許認可をしたからして、したがって、それは損害がいかにあってもやらなければならぬというわけにもいきますまいし、もちろん運輸省としては地方交通線を確保するためには、ただいま自動車局長からお話を申し上げましたように、地方の関係者に対してできるだけ地方の交通確保のためには協力してもらいたい、何らかの方法で再建を講じてもらいたい、こういうようなお願いはできますけれども、積極的にどうするということは、なかなかむずかしい問題があります。そういう意味において、これはもっと根本的な問題として考えていかないと、随所にこのような問題が出てくる。かように考えまして、この地帯に対しては、十分われわれは前向きでもって検討していかなければならぬ問題である、かように考えておるわけであります。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 いろいろお話がありましたが、即効薬的なものはお答えの中からはあまり出てこないのであります。私はいまの時点でまずはっきりしていきたいのは、法律がじゅうりんされておる現実をどうするかという問題、それから、たとえば高知県交通バスがきのう解散決議をしたというような事態は、単なる地方陸運局長の権限にまかせておくというような事態ではなくて、大臣の答弁されているように、これは政府自体の問題に引き上げなければ解決の方法がないのだろうと私は思うのです。この地方交通をどうするかという問題は、早急にというか、あすにでもやらなければならぬ問題です。その中には一つ、自治省からも来ていますが、あとから自治省にもお尋ねしますけれども、地方自治と交通の問題はどうあるべきかという問題がある。いずれにしても法律を無視して休廃止されている地区の住民はどうするのか、解散決議をされた地域の交通はあしたどうなるかわからぬという不安におののいておる、この現実をどうしたらいいのかという問題を、ぜひ考えてもらいたいと思うのです。それには、お話にもありましたように、融資がとまってぐあいが悪いのなら、融資の方法は政府として何かあるのかどうか、金融の道がつけられるものかどうか、これはどうですか。
  61. 野村一彦

    野村政府委員 金融関係の融資の問題については、私どもといたしましては、たとえば高知県交通の例で申し上げますと、四国の主たる銀行というものがありまして、ここが相当の債権を持っておられるということでございます。ただ、政府といたしましてこれに対して何らかの緊急融資でできるかどうかということにつきましては、私ども、やはり政府の融資の条件というものがあろうかと思いますので、これはこの会社の財務内容等を十分調べませんと、いまここではっきりした結論は申しかねるわけでございますが、緊急融資というようなことにつきましては、十分そういう財務面等を検討して、直ちに至急研究をいたしたいと思っております。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 じゃ、中鉄バスの許可なくして休廃止する問題について、陸運局長からたびたび注意はしているそうでありますけれども、運輸大臣としてこれは警告を発して、行政指導を強力に行なう必要があると思うのですが、これはどうですか。
  63. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、これは運輸省認証がなければ休止はできないわけであります。理屈はそのとおりでありますけれども、企業家側からしますれば、じんぜんとして役所が何らの策も持たずしてそうして半年にもなるということになれば、借金がただふえるだけということになるわけですから、決していいことではありませんが、さようなことをやったのでありましょうが、これに対しては十分私のほうからも警告をいたしたいと思います。  ただこの際、これは運輸省だけじゃなく自治省にも考えてもらわなくちゃならぬことは、このようなことは一、二の例ではありません。これからはかなり全国的に出てくるのではなかろうか。そこで、地方の交通線はだれが確保するのか。国鉄の場合はもちろん国の関係でありますから別でありますが、私企業がやっているバスもしくは軌道に対してはどうしてやればいいんだ。たとえば、高知県の場合においては大体約十億をこえるような借金ができてきておるわけであります。したがって、単なる金融措置をやったからといってこれは改善されるものじゃありません。借金と利子がふえていくだけであります。これは企業としてはなかなか踏み切れないところだろうと思う。であるから、最小限度これだけの交通線は必要なんだという、その地域のいわゆる自治関係者がこれをやる場合には、何とかしてやれるような道を考えてやらなければいかぬ。たとえば四十五年度におきましては、この高知県鉄道ですか、バスですか、これに対して町村は、四百八十万を交付税の中から助成金を出してるるようであります。けれども、四百八十万程度のものでこれが抜本的にできるなら問題はありませんけれども、できないからこのような結果になってきた。したがって自治省としても、これはもちろん福祉事業その他に対しても重要ではありますけれども、こういう国民生活を維持していくという交通問題に対しても、もっと本格的に積極的に考えなければ、だんだんこういう問題が重大化してくる。もちろん政府も運輸省としましても、過疎地帯におけるところのバスに対しての助成をやっておりますが、これだけではもちろん十分ではない。国、地方がお互いに考えて、また企業関係者も十分にこれは調和の精神によって考えて、そうして何とか地方の交通線を確保する、こういう基本的精神に立ちませんと、この問題はだんだんむずかしくなってくることを、私は心から心配をしておるものであります。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 自治省にお尋ねしますが、いまお話が出てまいりました地方における交通対策として、何がしかの助成等もそれぞれの自治体が企業にしている、あるいは企業自体をやっていることも御承知のとおりでありますが、いまやっている対策は特別交付税で見るだけでありますか。それとも何かもっとほかに特別な融資もあるかもしれませんけれども、いま運輸大臣からもいろいろとお話がありましたが、将来の地方交通のあり方について、自治省はどう思っていらっしゃるか。——あなたは課長さんですか。課長さんで答弁できますか、いまの方針は。できますね、自治省の代表だから。
  65. 篠原幹雄

    ○篠原説明員 過疎対策のバスにつきましては、ただいま大臣からもお話がございましたように、この問題は国、地方が協力して措置しなければならないものだと思っております。  現在自治省として措置いたしておりますのは、先生からお話がありましたように、特別交付税で一部措置したものもございます。大体これは運輸省所管で、路線維持費の補助費が二分の一の国庫補助金がございますが、その裏負担につきまして、特別交付税で考慮いたしております。  それから、民間がバスを廃止いたしました際には何らかの足を確保しなければならないという観点から、自家用自動車を共同使用するという方式とかあるいは有償運送するとかいう、現行の運輸省の法規の範囲内において自動車を活用いたしておるわけでありますが、その車両取得費のために、四十五年度からその財源に充てるための過疎債が認められるようになりました。で、四十五年度の実績として、実際に町村でいわゆる過疎バスという車両を購入いたしましたのは十七台ございますが、これは過疎債ですので一応借金にはなりますけれども、将来の元利償還金は五七%交付税で措置されるようになっております。この算入率のことにつきましても、現在国会で審議中でありますが、交付税法の一部を改正いたしまして、この五七%を七〇%に引き上げる法案を現在検討中でございます。  そういたしますと、過疎債で車両を購入いたしました場合に、そういった元利償還金について相当財源措置がされるという問題も出てまいります。それ以外に、別途問題は、車両購入とかいう施設費の調達以外に、やはり地方団体を最も圧迫しておるのは運行費かと思いますので、四十六年度の予算要求におきまして、そういった過疎地帯における市町村が行ないますバスに対して、定額で百万円を補助するという要求を自治省からいたしたのでありますが、残念ながらこれは認められませんでしたので、今後ともこのような過疎バスにつきましては、国、地方が協力してやっていかなければならない。そういう観点からいたしますと、やはりそういった過疎バスの運行費に対しても、民間については路線維持費が出ておりますが、地方公共団体が直接やるものについては何の助成もできておりませんので、今後こういったものについても、国庫補助の支出をぜひ実現するように努力したいとともに、その裏負担については、また路線維持費と同様に交付税等で考えるとかいうような方法も考えられると思います。  現時点において、そういった国庫補助の状況がまだきまらない段階においては、交付税でどうするかということまでは入り得ないような状態になっております。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 時間でありますからそろそろ終わりにしますが、いずれにしましても、いま起きておる地方における交通の問題ですが、さしあたり、いま私があげたようなものについてどう処置するかということは現実的な問題でありますから、陸運局あたりにある地方陸上交通審議会、こういうものに対してもっと強力な権限というかあるいは体制をつけて、その中で具体的にケース・バイ・ケースで処理されていくというふうなことが必要だと思うのですが、この問題については、こういうものを活用することを考えていないのかどうか。これでは開店休業にひとしいのではなかろうかと私は見ているのです。予算的にもそうだと思うのですね。これは単に政策を議論するところじゃない。政策は運輸政策審議会というものができております。そこでやってもらえばいいのでありまして、地方陸上交通審議会というのはそういう問題をどう処理するか、地方におけるケース・バイ・ケースの具体策を練ってもらうところだというふうにわれわれは了解しておる。この点についてはどう思うのか。  それから、もう一つは金の問題になりますが、たとえば自動車新税、自動車重量税法案が提案になっております。これなどは、私どもは結論的には自動車新税には反対であります。いまのような取り方と分け方について私どもは反対なのであります。特に、これはあらためて申し上げなければいけませんが、自動車から金を取って道路につぎ込むという、そういう矛盾した悪循環みたいなものをこれからどんどんやっていくこと自体に、私は問題が一つあると思う。その問題は別として、少なくとも地方における国民の足をどうするかというところのほうにこの資金を回すというのであれば、多少救われると思うのです。こういう問題については全然考えておらないかどうか。二点目ですね。  三点目は、大臣もおっしゃるように、地方交通はどうあるべきかの問題を基本的にやはり解決しなければならぬ時点だと思うのです。いま私企業でやっていけなくなったから、まあ町村でもひとつ何とかせいという話が出てきているのでありますが、その前に、地方交通を確保する最終的な責任者というのはだれか。地方自治体であるのかどうか。そうだとするならば、いまある運輸行政の中で、地方自治体は何らの発言権も持っていない。この事態を解決する必要がありはしないか、こういうふうにも思うのであります。  さらにもう一つは、総合的な地方交通というのをやはりケース・バイ・ケースできめていく、そういう制度を今後考えていくべきだと思う。運輸省が、単に私企業では限界がある、これはおっしゃるとおりです。限界があるから、公企業として最終的にはそういう交通を守るのかどうか。そういうものをやはりきちんと整理しなければ、政策が具体的に出てこぬではないかと私は思うのでありますが、この点は運輸大臣から御答弁いただきたいと思います。全体的な地方交通をどうするか、こういう問題だと思うのですね。それにはやはり基本的に地方交通と自治体との関係はどうあるべきか。いまこれは何にも権限もございませんからくちばしもいれられませんから、そういう権限——たとえばタクシーをある市町村で許可するにしても、その市町村長は何らのくちばしもいれることはできません。これは一つの例でありますよ。バスの運行についてもそのとおりなんですね。そういうことでこの企業がやれなくなったときに初めて市町村階段、地方自治体で持てといっても、これはちょっと話が違うのです。その辺の整理をどうするかということがやはり一番大きな問題でもあろうと思うのですね。  それからもう一つは、単に私企業としてやる限界はお話のとおりあります。現実にそのとおりです。公の企業というものは国鉄を含めてどうあるべきか、これも整理しなければならぬと思う。そういった点についてぜひ早急に方向をつけるべきだろうと私は思っている。いかがでしょうか。これで質問を終わりますが、お答えをいただきたいと思うのです。
  67. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど申し上げましたように、いまわれわれは交通というものに対して、一応根幹交通機関と地方交通線というものを考えております。これは国鉄だけではありません。全体についてそれは考えざるを得ない。もちろん運輸省が許認可を与えましたが、それは許認可を与えた一つの基本的な方針は、過当競争におちいらぬようにというのが一つ理由でもあります。あるいはまた交通安全といいますか、運行上の安全を保持する、こういうことも許認可の一つの事項であります。もう一つは、もちろんその会社なりあるいは公的機関なりが適正な企業を行なえるような状態に指導するということも一つの方針ではあります。  しかしながら、先ほど申しましたように、最近の情勢は非常に変わってきておる。自動車が増加したこと、道路がよくなってまいりましたために、地方鉄道あるいは地方バスが負うべき地位がだんだんと低下してきておる。それを利用する者がゼロになったら、これは問題はない。しかしながら、やはり一般的には、通勤あるいは通学の場合にはこれは利用されておるわけであります。したがって、やはりこの地方交通機関の必要性はあるわけでありますが、しかしながら、ただいま申しましたように、かなり情勢の変化によって企業状態は悪くなってきておる。たとえば高知県の場合は、おそらく六年間もしくは七年間は無配の状態で、そうして借金をしながら現在まで続けてまいった。もちろんこれは経営上の不手ぎわもないとはいえますまい。しかしいずれにせよ、その交通機関がその地域住民にとってどうしても必要であるならば、最小限度のものは残らざるを得ないその残すためにはどうしてやればいいのか。たとえば先ほど申しましたように、十億円の借金があれば、その利払いだけでも六、七千万円の金がかかるわけであります。ところが四百八十万円を、市町村がない金をしぼってそうして市町村から出してあげるということも、これはありがたい話ではありまするが、これじゃとうてい再建はできない。  であるから、自治体自身も、いわゆる交付税の内容が、たとえば道路の助成金、あるいは福祉事業、あるいは災害等というものを含めてやっておるのですが、この地方交通線も国民生活に密着しておるのですから、そういう状態は、一種の道路に対する助成あるいは災害に対する助成と何ら異ならないと私は思う。しかしながら、そこまで突っ込んで考えておらぬわけでありますが、政府全体といたしましても、運輸省あるいは大蔵省、自治省を含め、この問題は真剣に取り組まなければ、だんだん大きな問題になってくるのじゃないか。単なるいわゆる過疎地帯の山村の問題じゃないのであります。先ほどは山村の過疎地帯のことを言っておりますが、そうじゃない。全体の地方交通線を考えなければ大問題になってくる、かように私は申し上げたので、この点はわれわれも真剣に討議を進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  68. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま大臣から基本的な御答弁がございました。私、事務的な問題を補足させていただきます。  地方陸上交通審議会のほかに、実は今年度の予算の原案で、さらにきめこまかい過疎バス対策をやりますための過疎バス対策協議会というものを、できれば県ごとに設置したいという要求をいたしておりまして、それを政府原案では認められておりますので、これを活用して、地方陸上交通審議会よりももう少しきめのこまかい、市町村住民を入れた協議団体をつくっていきたい、そしてそういう廃止すべきものと残すべきものを区分けしていくというようなことをやりたいと思っております。  それから、新税の問題につきましては、これは私ども運輸省の職員といたしましていろいろ検討いたしましたが、ああいう新税というものが設けられれば、当然これについては過疎バス等の補助金もお願いをしたい、それからバスターミナル、トラックターミナルというような交通機能施設の投資のほうにも回してもらいたいというお願いを申し上げたわけでありますが、これは残念ながら現在の案には入っておりません。  それから、地方自治体の長の道路運送事業に対する権限と申しますか、これにつきましては、現在私ども、自治省これから行政管理庁との間でいろいろ話を進めております中に、今後の法律の改定、道路運送の改正にあたりましては、都道府県知事の意見を聴取する、あるいは一定のバス事業等につきましては都道府県知事を経由する、そしてその申請書を出させるあるいは処分をするというような方向で検討を進めておりまして、そういうことによりまして、住民の声を都道府県知事を通じて反映させるという施策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  69. 福井勇

    福井委員長 次に田中昭二君。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 わが国の交通事情も年々たいへんな混乱を来たしております。さらに交通事故の件数もたいへんな増加でありまして、車両の状態も飽和状態ではないか。そこに起こってくる問題は欠陥車問題排気ガスの公害問題等が起こってきて、アメリカでもマスキー法案のようにきびしい規制を考えております。モータリゼイションに対する警告になっておるわけでございますが、ここに自動車整備事業の重要さというものが新たに認識されなければならない。この整備のための車検制度は、イギリスとわが国がやっておるわけでございまして、この状態を見ますと、この車検制度を定着して確保たる車検制度をつくらなければならない、こう思っておりますが、そこで、ただいま提案になっております法案について二、三お伺いしたいと思います。  現在民間車検で、いわゆる検査を三割程度行なっておる。これを四十八年度までに七割近くまで拡大したい、そういう計画でありますが、この民間車検場の拡大政策をこの法律によって進める根拠は一体何なのか、お伺いしたい。
  71. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  御承知のように、最近における自動車需要の伸びというものは非常にスピーディーで、かつ広範なものがございます。また一方、民間整備事業者の技術水準等につきましても、逐次これを整備いたしております。したがいまして、膨大になっていきます自動車の需要と、これを分解整備をいたします整備関係事業とのバランスということを考えますと、私どもは、これだけ施設及び技術者がそろった民間整備事業を活用して検査を行なうということは、非常に有効な措置であると思いまして、技術水準を高めつつこれは活用していくということをとりたいと思っております。  いま先生がおっしゃいました四十八年における七〇%を民間の手にゆだねるというのは、もちろん私どもの努力目標と申しますか、計画でございまして、これは所要の設備及び技術者の整備と相まって実施していくということで、これは一応の努力目標ということで考えておりますが、その目標を目当てにいたしまして、極力民間技術、能力を活用したい、こういうのがこの趣旨でございます。
  72. 田中昭二

    田中(昭)委員 車検の状態が一歩前進であることは認めますが、四十八年度までに七割近くに拡大することは努力目標だ。私は言っておきますけれども、たまたま、いままでの政府のいろんな発表が努力目標で、それに合うような現実の状態かどうか。その努力目標も、一年経過すればあやふやになってしまう。例の排気ガスの検査についても、私、指摘しましたように、ステッカー作戦がとられたときには、全部の経過車についてやりたいといったものが実際できない。そういう問題がございますから、私は努力目標にしてみても、その計画目標がどのように進められていくものか、事務当局の考え大臣の所見を伺いたい。
  73. 野村一彦

    野村政府委員 私どもといたしましては、七〇%民間に車検拡大を目標にいたしまして、これにはやはり整備技術の向上ということでございますから、総合的には施設、民間における整備業者の方々がそれだけの施設を確保するということと、それから、それに応ずるところの技術者、整備に従事する技術者の養成の確保ということでございまして、これは私ども、今度の法案でお願いいたしておりますように、施設の共同使用とかあるいはある程度検査員の兼任というようなことをやりまして、私ども、あげて努力をすれば達成できるというふうに考えております。
  74. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 民間車検工場等のいわゆる指定工場を増大していくためには、いま自動車局長から話があった点もありますが、同時に、一つ工場で働くいわゆる従業員といいますか、整備士を含めてこれらの待遇改善の問題、いわゆる労働条件等が改善されませんと、やっぱり人が集まらない点もあろうと思います。それらについては、一つは、現在指定工場に対しては、正規の資格を持った者が一名もしくは二名という制度になっておるようでありますが、これは自動車の安全及び整備の充実から考えますと、もっと強化していく必要がありましょう。しかし、それにはまず前提として、いわゆる整備士の養成ということ、これをひとつ先ほど来申し上げましたような方法で積極的に進めてまいる、こういうことによって、やっぱりしっかりした指定工場を増大していくというところに基本的な考え方を置きたい、かようにに考えております。
  75. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一回お答え願いたいと思いますけれども、この法律をつくってそういう方向に持っていくという目的の根本的なものは何ですか。それが一つですね。それを簡単に言ってください。  これからさらに、いまの拡大するという方向がわかったわけですから、当然車の増加、保有台数の増加といいますか、そういうものとの関係上軽自動車、これも車検の対象に入れる考えであるかどうか。私、簡単に質問しますから、簡単にお答え願いたい。
  76. 野村一彦

    野村政府委員 お答え申し上げます。  中小整備事業者の能力の増進をはかって、そういう方々が共同化を推し進めることによって指定を受けられるような体制にしやすくするということが、この一つの大きなねらいでございます。  それが第一点でございます。これから、第二点の軽自動車につきましては、これは近く検査対象に取り入れることは考えておりますが、それは今回の法改正とは直接の関係はございません。
  77. 田中昭二

    田中(昭)委員 軽自動車検査は、いつを目標にしておりますか。
  78. 野村一彦

    野村政府委員 これは先般大臣からお答え申し上げましたが、私どもとしましては、現在四十八年度を目標に検査の対象に取り入れるということで、これも施設と人員の確保ということが先決でございますので、そういうことを考えながら準備を進めておりますが、大臣には、これをできるだけ早く繰り上げてやるようにしろという御指導をいただいておりまして、私どもそれを体して努力をしたいと考えております。
  79. 田中昭二

    田中(昭)委員 四十七年にやりたいというようないまの大臣のお話、私、直接聞いておりませんものですからいまのような質問を繰り返すわけですけれども、事務当局としては四十八年を目標にやる、こういう食い違いがあってはいけないと思うのです。大臣のその確固たる時期をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  80. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 四十八年というのは、審議会を通じまして、せんだって計画をする際に四十八年度を目途とする、こういうように段階的な方針をきめたわけでありますが、昨年の暮れの公害国会等にかんがみまして、できるだけ早くこれを実施できれば、少なくとも排気ガスに対する処置もある程度可能である、こういう意味において、もちろんこれは半年縮められるか一年縮められるかは別問題ですが、何としても幾らかでも早く実施したい。  そこで目標でありまするが、四十七年度目標でやってみろ、そのためには整備士あるいはその他の問題もあろうけれども、それらを十分に検討して、積極的な姿勢をもってやりなさい、こういう指示をしたわけであります。
  81. 田中昭二

    田中(昭)委員 そのことだけここで問答しておっても始まりませんから次に移りますが、私がいままで聞きました中で軽自動車の問題を聞きましたのは、軽自動車が入ることによって車検の事務が増大する、こういう問題を具体的にどう計画の中に盛り込んであるか、これが一点なんです。これは先のほうでまた時間があればすることにします。  ここで私は、先ほどからの同僚議員の話を聞いておりますと、いま局長がお答えになった中で、整備工場指定工場のいわゆる車検上の立場だけでこういう整備をしていきたい、こういうユーザーサービスをやっていきたい、こういうように私は聞こえるのですが、実際ユーザーはその状態にどう応じていくか、それで満足なのかどうかというような問題に一つもお答えがあっておらない。車の所有者は、その車検制度にどうついていけるか、こういう問題が一つ残りますが、今度の法案によりますと、当然認証工場から指定工場にどんどんふやしていくわけですが、ふやすことによって整備レベルのダウンといいますか、そういうものが起こってきやしないか、それが交通事故等につながっていくんではないか、そういう点を心配するわけですが、その指定工場条件基準を、いまのままでできるのかどうか、そういう点についての見通しはいかがですか。
  82. 野村一彦

    野村政府委員 指定工場基準といたしましては、いまのままの条件レベルをダウンしないようにしてこれを実現していきたいということが、私どものねらいでございます。ただ、これを実現するためには、中小業者等につきましてはなかなか困難な面があるかと思いますので、そういうことで共同化を進めることによって事業の適正規模化をはかり、企業の基盤の強化をはかり、同時に技術水準を落とさないようにしていくという施策を講じていけば、実現できるものと考えております。また、指定整備事業以外の一般認証工場につきましては、もちろんこれに依存される業者の方が非常に多いわけでございますから、こういう方の指導についても十分遺憾のないようにして、こういう方の整備を受けたものについては国が検査をしていくという体制で、両方建てでやって、伸び行く自動車の需要に応じたいというふうに考えております。
  83. 田中昭二

    田中(昭)委員 実際問題といたしまして、いま事務局で考えておるような三割程度の状態を七割ぐらいまで持っていく、そうしますと、大体指定工場だけでも一万二、三千ぐらいの工場指定しなければいけない。そうすると、いま約六万認証工場がある。その中の一万二、三千ですか、四、五千くらいの工場指定工場ということになりますが、ここで一つ指摘しておきたいことは、いわゆる残った四万何千かの認証工場はどうなるかということです。  大臣、私が聞いていただきたいのは、現在の認証工場並びに優良工場指定工場——優良工場指定工場とは同じような状態だと聞いておりますが、このような民間車検を行なう指定工場が、どういう状態で実際やっておるのか。現実は、先ほどから問題になっておりましたが、人も足らない、設備も借りものである。具体的に申し上げますと、指定工場指定を受けるために申請が出た場合、そこに備えつけられた設備機械、器具、これは自分の系列会社、本店と言ったほうがよくわかるかもれませんが、本店の指定工場から借りてくる。検査を通ってしまえばその設備は本店に引き揚げてしまう。さらに従業員に至っては、いまの指定工場検査をやったならば、当然、条件を備えなければならない従業員が実際いない。検査員がいない。器具もない。現場に行ってみますと、指定工場になることなんかもうごめんこうむる、金が要って、そして実際問題としてできないのだ、そういう声も聞くわけです。  そういう状態の中で、一万五、六千ですか、その半分程度といたしましても七、八千の認証工場からの指定工場というものを考えておる。こういうことはどういうことになりますか。私は九州でも東京でも、その整備工場に行って事情を聞いてみると、現在の段階でも民間車検場になりたくない、またできないと言うのです。人もそろわない。私はこの問題は、まあそういうことになれば脱法行為でそういうことはありませんというようなことも聞きますけれども、それでは、私は取り締まる行政官庁としてあまりにも実態を知らないことだと言わざるを得ないのですが、どうですか。
  84. 野村一彦

    野村政府委員 指定整備事業の拡大に伴いまして、その監督をする体制の強化が必要なことはお説のとおりでございます。したがいまして、私どもも逐年指定整備事業監督要員の増員をお願いいたしまして、ある程度の増が認められております。四十六年度の原案におきましても六十人程度になるような状況でございまして、これではもちろん非常に不十分でございますが、監督体制を強化していきたいと思います。  先生の御指摘のような、もし検査時にそういう不正な行為があったというようなことがありますれば、これは私どももちろん厳重に処分をして、指定を取り消すというようなことをしなければなりませんが、もしそういう事実があったとすれば、まことに遺憾なことだと思います。
  85. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、よく聞いてもらいたいのですよ。そういう検査のときに取り消した実際の例も聞いてきたのですよ。あくまでもそういうことを知らないと言うのなら、あなたは毎日、新聞雑誌なんかのどこを見ているかと言いたいのです。雑誌、新聞の投書欄等にもそういうことが出ておる。  大臣、私がお聞きしたいのは、現在の指定車検場が不備である、また実際問題として行なわれていない、そういう不当行為を正当化するために今度の法律を一応つくったのじゃないか。それも大企業の系列会社の工場しか実際できない。二以上の事業場について今度の法案に認めるようになっておりますけれども、全国に六万のうちの五万何千とある認証工場の人たちは、ほんとうに赤字できゅうきゅうとしている。ここでいろいろな計画とかこうすべきであるとか、そういうことを言うよりも、現実の整備工場認証工場、車検ができる指定工場、そういうものの状況はどうあるか、それを踏まえてでなければ法律がどういうことになりますか。先ほど設備の悪いところは改善命令を出すとか出さないとか法案の上の質問があっておりましたけれども、それでは、そういう改善命令を出すまでの期間に不備な設備で不備な整備をして起こった事故はどうなりますか。また、その事故が起こらないようにするために、その整備ができるような現場の整備工場に実態がありますか。ないのに改善命令を出してもできるはずがない。それじゃ不良整備のまま車が走るということになるじゃないですか。そういう点についてひとつ大臣、私がこう言っておることはうそじゃないのですから、その上に立ってお答えいただきたいと思います。
  86. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 田中さんのお話、私もうそだと思いません。そういう事実があろうと思います、これは監督行政としてまことに恐縮ではありまするが。  そこで、今度の法律では協業化あるいは共同化ということを新たに加えておるわけであります。これはどういう効果があるかと申しますれば、たとえば、それが一方において二つを合わせればしっかりした工場になり得るという形が出てくるわけでありますから、そこで、こっちのAの工場にはこれだけの十分な施設がないかもしれませんが、Bのほうにあるということになれば、それを協業化して実質的には一つとしてつくられるというような、決して素質をダウンさせる意味ではなくして、そういう協業化によって質を上げていこうという、中小企業の諸君が進んでいくためにはできるだけの指導的な、助成的な措置をやってやりたい。しかし、これだけではもちろん足りません。やはりもっと根本的に考えなくてはならぬことは、今日のように人の命の安全といいますか車の安全、あるいは排気ガスの問題等考えますと、国としてももっと積極的にそれらの機械化に対する措置考えていく。その点不十分であります。  そこで、情勢の変化に伴ってやはり行政の上でも、従来通産省だけが近代化資金の適用をやっておりますけれども、私の個人的見解でありますが、そういう特殊な省、特殊な業種を持っておるところは、自分自身である程度のものを考えていくというような財政的措置考えていかなければ、本式にこれが徹底化することはなかなかできない。かように考えて、本年度につきましてもこれらについては努力をいたしましたが、残念ながら目的を十分達することができなかった。しかし、これは当然将来の問題としても処置をしていかなければなりませんので、いわゆる質的向上をはかるためには、いま言った法律改正を必要とすると同時に、また機械設備に対して国がどういうめんどうを見てやるか、金融措置もありましょう、あるいは近代化資金のようなある程度安いものをもってこれを行わしめるということもありましょうが、そういう総合対策によって、この激増してまいる車検制度に対しては万全を期してまいりたい、かように考えております。
  87. 田中昭二

    田中(昭)委員 やはりまだ大臣のお考えの中にも、この場であなたが私の言うことはうそでないと思うという認識では、この法案の審議はほんとうにたいへんなことになりますよ。ここにある週刊誌ににこういう投書が載っておりますから、読んでおきます。「昨年暮、中古車を月賦で買い入れた。一週間日からジョイント回りから、走行中に妙な音がさかんに出はじめた。買い入れたこの中古車、陸運局で車検を受けたものとばかり考えていた。しかし、そうではなく、民間車検であった。修理工場へ持っていったらこれで、よく車検が通ったものだと皮肉をいわれた。なるほど、どこの陸運局も整備工などの人手不足で忙しいことは分かっている。そのために、民間の修理工場や、ディーラーに車検を委託しているのであろうが、ディーラーなどは一日も早く、一台でも多く売り、早くお客の手に渡すのもサービスかも知れぬが、こんないい加減な車検があるとは買う方もいい迷惑である。」この辺ですね、ディーラーの問題も一つあるわけですね。「まして、車は走る凶器とまでいわれているのにもかかわらず、こういうことが堂々とまかり通っているということは考えただけでも、ゾッとする。このような状態で、陸運局へもっていって、文句の一つくらいはと考えたけれども、あえてそれをしなかったのは、事後対策についての、その時のセールスマンの態度に好感がもてたからである。売りさえすればいいというのが商売でもあるまい。民間車検制度にモニター制度でも、運輸省は取り入れてみたらどうかと思うのだが。」こういうような投書です。これは私は内容が、ただためにせんがための投書じゃないと思うのです。そこでその問題事実はこういうことがあるという認識の上に立って答えていただきたいと思います。  そこで、条文のほうで聞いておきますが、今度の改正で、いわゆる検査施設については、運輸省令で定める場合には、二以上の事業場のために共同で使用することができるものとするという第九十四条の二ですね。これは大体どういうことですか。
  88. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいたします。  その具体的な要件につきましては省令できめるわけでございますが、その省令の内容としてただいま考えておりますのは、第一に、自動車検査設備について、共同使用をいたします当事者間における利用の関係が明確である、つまり甲と乙とが相互に利用するんだというような関係が明確であって、管理の責任者が定められているというようなふうに、相互の関係が明確である、維持、管理体制が明確であるというような利用関係になっていることを一つ要件考えております。  それから第二の要件は、共同使用にかかわるすべての事業場がある一定の地理的な範囲、これは距離、それから交通等に時間を要するわけでございますが、そういう地理的な範囲にあって、そしてそれが無理なく共用されるような関係にあるということが第二点でございます。  それから第三点は、その設備の能力でございますが、共同使用に供せられます設備が、AとBとが共同使用しても十分それがこなせるだけの設備の能力があるということが、設備を共用するための第三の要件というふうに考えております。  管理体制と距離の問題と、それから設備としての使用にたえ得る能力、この三点で判断をしたい、かように考えております。
  89. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことになりますと、具体的に、たとえばAという工場がいままで指定されておった。そこに能力がもう少しあるとかいろいろな条件でBという工場をつくった。そのBの工場がAの工場を使って条件が満たされれば、そのBの工場も車検ができるようにしたい、こういうことですね。
  90. 野村一彦

    野村政府委員 AとBとの関係でございますが、私どもといたしましては、たとえば一つの協同組合、その協同組合の中で共用される事業場というようなものを考えておるわけでございまして、全然企業的に関係のない、管理上関係のないAとBというものではございません。そういう一つの管理体制の中に入っている協同組合の組合員であるところのAとBというようなことを考えているわけでございます。
  91. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう少し私は現実に即して、いま局長がおっしゃったことをもう一回確認する意味で申し上げますと、そういう協同組合で新しく民間車検場ができる、車検の条件に合うような工場をつくって、そこに組合員——組合員というのは、整備工場でしょうから、その整備工場整備を行なったものをその共同の車検場に持ってこらせて車検の事務を終わらせる、こういうことですか。
  92. 野村一彦

    野村政府委員 協同組合を構成いたしております場合の例で申し上げますと、現在は事業場ごとに指定整備事業というものを指定するわけでございますが、今度それを共同で認めようといたしますのは、その協同組合を構成している各組合員の持っております事業場が幾つかあるわけでございますが、それを共同で一つの協同組合として使用するということで、指定されてない他の施設を使うことはできないわけでございます。協同組合員の持っておる複数の施設を複数の施設として指定をして、それを相互に利用する、こういうことでございます。
  93. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうもはっきりこないですね。私がこの法案の説明を聞いたときに聞いた範囲では、初めに申し上げましたように、現在の指定工場が、自分工場では事業場の土地等が狭くなったとかいろんな事情で別に支店の工場というか、そういうものをつくったときに、その工場は結局親の本店のほうの施設を使う、そういうような説明を受けたのです。そうなりますと、ここで問題は、先ほどから言っておりますように、いまの車の販売会社、ディーラー等が車検場を持っております。そういうところだけがふえていって、いわゆる認証工場で細々とやっている人たちはいつまでも救われないじゃないかという、こういう考え方が私の中にあるわけです。  そこでいま質問したのは、そういう認証工場の小さい企業の人たちも仕事ができるようにするためには、協同組合なら協同組合で一つの車検工場をつくって、そこで車検の事務を行なうというようなことができるのか、こう聞いておるわけです。その点どうですか。
  94. 野村一彦

    野村政府委員 こういうふうに御理解いただきたいと思います。ある整備施設がございます。その整備施設をAとBとが共同で使うということにして、その施設をAとBとがともに指定工場として指定を受けるということができるわけでございます。そのAとBは普通の法人であっても協同組合であってもいいわけでございますが、施設そのものを複数の者が共同して使うということを今回の措置で認めようという施設の共同でございます。したがいまして、先生がおっしゃっております認証工場等でございましても、そういうものの施設の内容というものが充実をされてきますと、それを共同で使うということでございまして、むしろ私どもは、一般認証工場レベルアップされて指定工場の対象になり得るようにしたいということも、この一つの大きなねらいでございます。
  95. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、あなたがさっき協同組合の何のかんのと言ったことはどうなるのですか。先ほど私が言ったように、認証工場なんかは、それだけの土地と設備人員をそろえるなんて、実際問題としてできないのです。それができるのは、大きな資本のある、いわゆる大企業系列のディーラーしかできないのです。だから、政府はこういう法律をつくって、これでそのままいきましたら、零細企業はもう死んでしまえ、早く倒産してしまえというような結果になるのですよ。そういう点を私は心配しておるのです。ですから、協同組合で車検場をつくってという、その辺の話をもう少しわかるようにしてください。
  96. 隅田豊

    隅田説明員 指定工場になる場合に協同組合をどう使うかというお話だと思いますが、協同組合という形で皆さま方が組織をつくられて検査施設を共有されまして、その検査施設が協同組合のものでありながら、それぞれの方が自分たちの検査施設としてこれを使っていく、こういうことが可能になるということでございます。
  97. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうもはっきりしませんね。私がいま言っているのは、ずっと背景から言っているわけでしょう。指定工場を実際に七割までふやすとするならば、それに応じた整備業者がおらなければいけない。おらないなら、どうしてやっていけますか。それでできるまでは、大企業の販売会社系列のディーラーが別に工場をつくる以外にないじゃないですか。わかりますか。——じゃ答えてください。
  98. 野村一彦

    野村政府委員 たとえば、ある程度地域的に分散しておる認証工場があるといたします。それが、先ほど私が申し上げましたように、地理的な範囲がそう遠いものではなく、そして管理体制が明確であって、こなせる能力があるというものであれば、ある程度地理的に分散しているものでも、一まとめにして指定工場の施設、たとえばAが五割持っており、Bが二割持っており、Cは三割持っておる。それを足すと初めて指定工場の対象たる資格になるものが現にあるといたします場合、現在はそういう分散されたものは指定の対象にならないわけでございますから、三つなら三つに分散されているものを、一つのグループとして協同組合をつくって、そして組合員が指定を受ける資格を取って利用するということが可能でございます。したがいまして、指定を受けたいという方についてそういう道を開こうということでございます。一般認証工場の方で指定を受けたくないという方は、そういうところで整備をして、それを国の検査場で検査をするという従来の余地は三〇%残るわけでございますから、指定業者になりたくない方をも無理にするというものでもございません。共同化することによってそういう指定を受けられるような資格ができる、また共同化したいという方があれば、そういう方に道を開こう、そういうのがねらいでございます。
  99. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは、その共同化を進めていくための具体的な方法ですね。どういうことを考え、どういうことをしたいと思っておるのか。  それから、いまの話でいけば、実際は認証工場というものは車検ができるような体制に全然ならない。そうしたならば、先ほどから言いますように、七割まで数をふやしていくためには、いわゆるディラーが持っておる車検場というものを現実にふやさざるを得ないということですね。
  100. 野村一彦

    野村政府委員 最近におきましては、ディーラー系列の整備事業者よりも、ある程度独立しました整備事業者の、何といいますか、充実が目立っております。したがいまして、私どものねらいといたしますのは、そういうディーラーから独立した分解整備事業者というものが育成されることを非常に歓迎しておるわけでございます。  それから、一般認証工場につきましては、先ほど申し上げましたように、指定工場をだんだん拡大していって——指定工場は、自分で分解整備を行ない、自分検査をして、そして車の合否を判定するわけでございますが、あとの三〇%程度は、指定工場になるに至らない一般の分解整備業者がおるわけでございます。こういう方々が自分で分解整備を行なう。ただ、それを検査するのは国の検査場へ持っていってするということでございますから、一般認証工場の方々の今後というものは、そういう面で活用されていくものだと考えております。
  101. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは次に移りますが、あくまでも現実に立って言ってくださいよ。  現在、民間車検場で整備をやる整備士というのはどういうふうになっておりますか。条件がそろったように配置されて仕事をやっておりますか。
  102. 野村一彦

    野村政府委員 整備士の養成につきましては、一般の高等学校を出た者あるいは短期大学を出た者、それから実地に訓練を積んだ者、そういういろいろな方があるわけでございますが、私どもは各陸運局を中心に技能検定試験というものを行ないまして、それらの方々が各工場で従事しておられるわけでございます。しかし、先ほど大臣がおっしゃいましたように、待遇条件とか将来の希望というようなことがありまして、必ずしも満足な状態ではないと思いますが、この整備士の養成ということは非常に重要でございますので、いま申し上げました養成機関の充実、研修の充実、技能検定の強化というようなことを、この措置を実現するために今後ともさらに一そう強化していきたい、かように考えております。
  103. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま私、そういうことを聞いているのじゃないのですよ。それは整備士をふやさなければ実際問題としてできないことはわかっておる。いま実際に車検場で整備をする二級、三級の人が、条件に合うように充足されておりますか言うのです。いま私がここで一つの投書を読んだように、世間の整備業者の中ではもう常識になっているのですよ。名前だけの整備士工場なんかに相当おるのです。そういう者をどうするんですかと聞いているのです。
  104. 野村一彦

    野村政府委員 先生の御指摘のように、条件にかなわないという者がありますれば、それはその事業者に対しまして処分をするというような措置を講じて、事業をやめさせるように指導しなければならないと考えております。
  105. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことをやれば、いまの指定民間車検場はどうなりますか。いまここにもいっているように、実際問題として陸運局もわかっておるじゃないですか。整備士が足らなくて、整備ができなくてあぶない車が走っておるということもわかっておるじゃないですか。そういうことでは、どんなに整備士を養成しますといったって——また実際問題として運輸省がそれをやるんじゃないでしょう。聞くところによりますと、自動車整備振興会が実際の仕事をやっておる。この整備振興会にしてみても、実際にそのような、運輸省考えておるような講習とか研修とかはやれないような立場になっているのです。ほんとうにやらせるならば、もう少しきちっと権限を委譲してやらせなければできないと思うのですが、そういう点はどうですか。
  106. 野村一彦

    野村政府委員 整備士の養成につきましては、国家検定による整備士の技能検定というのを実施いたしておりまして、大体この四、五年、受験者が十七万から二十一万くらいございまして、合格者がその約半分でございますが、四十四年の例で申し上げますと、二十一万人受験をして九万人が合格をしているという状況でございます。  したがいまして、この方々に対する待遇その他のことが考えられますならば、私はもっと定着と申しますか、そういうことが可能であると思いますので、今後ともそういう方々の待遇改善等を強力に民間指導いたしまして、定着をして整備事業の内容が充実するようにやっていきたいと思っております一方、充足していないものについては取り締まりを強化していきたい、かように考えております。
  107. 田中昭二

    田中(昭)委員 整備士の足らないところは取り締まりを強化すると言いますが、実際問題として、取り締まりを強化して整備士がそろいますか。大臣、この点いかがでしょうか。大臣はさっき、こういう問題は整備士の能力といいますか待遇といいますか、そういうものをしっかりやっていけばできるんじゃなかろうか、そういうようなお答えだったのです。現実はそうじゃないのですね。それがはっきりしなければ、実際問題として、この法律ができた場合に実際の整備に携わり、また車検によって車が安全に働くということが保証できないと思うのです。いかがでしょうか。
  108. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 だんだんのお話のように、この法律はできるだけ零細企業の小さな整備事業者を積極的に救済——というと変でありますが、質的に向上させていきたい。たとえば、先ほど申しましたように共同化もしくは協業化、組合ができる場合に、その認証工場指定工場になるためにはある程度機械的な設備が必要であります。そのためには相当、AならAという機械に、私こまかいことはわかりませんけれども、百万とか二百万とかを出すことはなかなか容易じゃない。そこで、三つなら三つの認証工場が一緒になって協同組合をつくれば、そこで共同出資して一つのAならAという機械を買って、それをそのAの、B、C工場のうちのAという工場設備をすれば、お互いに三分の一の金を出し合えばできる。そうすると、あとのB、Cはどうするんだ。B、Cにも、いわゆる整備工場的な仕事はできないにしても、その他の簡易な自動車の修繕の仕事はあるわけでございます。かつまた、A、B、Cは指定工場でなかったものを、今度はA、B、Cの組合に対して指定という名をくれますから、そのA、B、Cという工場というものの、いわゆる一般のユーザに対する信用度が高まるということになりましょう。この組合は、たとえば橋本あるいは田中、そうして井岡という三人が組合をつくって、そしてそれが指定工場になったという場合に、それぞれに指定工場のいわゆる看板が出せるわけですね。しかし、実際その検査に必要な高度の修理といいましょうか、整備は、そのAというところにお互い出し合ってつくった機械のところでやらなければならぬ。けれども、B、Cもなおいわゆる自動車一般的な修理は行なえる。こういう意味において、私はこの法律というものは零細企業を助けるための一つの手段でもある。  同時にまた、一方において、いままで認証工場指定できなかったわけですが、そういうことによって指定ができれば、それだけ指定工場をふやすことができる。こういう意味でありまして、私はこの法律によって——もちろんこれは整備士の養成にも努力しなければなりませんけれども、先ほど来お話があったように、そんな金をかけてまで自分たちが指定工場になることはいやなんだ、こういいましても、そうしますといつも小規模の修繕だけにとどまる。こういうことではその認証工場というものは進歩向上ができませんが、こうなれば進歩向上していく。こういう意味においては、やはり十分なる改善をすべき一つの前提条件がこの法律によってつくられる、こういうふうに積極的に私たちは考えているわけであります。
  109. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょうの質問については、ちゃんと事務当局に質問要項の通告もしておりますが、その答弁がなかなか要求どおりではありません。全然違っておりますが、ただ議論するだけではいけませんから、一応質問をここで保留しまして、次の機会にやらしていただくことをお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  110. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十四分散会