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国務大臣(
佐藤榮作君)
日本の場合もしばしばいわれることですが、いわゆる自由貿易、自由経済、そういうもとでやはり経済は成長すべきだ、だからこそ
日本の場合も資本の自由化まで大幅に、いわゆる貿易の自由化はもう全部でもやれと、こういう
要請が強いんです。私はこれが
一つの行き方だと思っております。また、
アメリカ自身もかつてはケネディ・ラウンド等で関税まで引き下げ、そうして積極的な自由貿易体制をとっております。ところが、どうもそればかりでもいかないんですね。やはり
日本でもある部門においてはぜひとも保護しなければまだ一人立ちならないのだ。こういう議論がありますように、経済大国である
アメリカでも、やっぱり何といっても保護主義が何とかすると頭を持ち上げてくる、今回の繊維交渉などはそのいい例であります。私は、そういうことを考えますと、自由貿易主義、そういう原則をやっぱり打ち立てていく。それは
アメリカ、
日本、EEC、三つの勢力でそういうものを打ち立てていくことが望ましいのではないか、そのルールがまだはっきりしない。そのためにやはりこういうような摩擦
状況が起こる。まあひとつ原料の面から見ましても、最近は羊毛などは国際価格が非常に下がって困っておる、かように言われる。しかし、自由貿易主義の立場に立って原料が安く入るならりっぱな製品ができるのであります。豪州やニュージーランドには気の毒だが、これはやっぱりあまり下がらない程度に下がって安く入手できるという、そういうところにも
一つの経済の発展の基礎があるように思うのであります。私は、どちらかといえば自由貿易論者で、
日本でもなかなか抵抗はございますけれども、相当の範囲にわたっての資本の自由化、それにすらいま踏み切った、大体の計画、
スケジュールを立てておる。そういう際でありますだけに、この種の問題がGNP第一位経済大国の
アメリカに起こったこと、そうして一と二がこの問題で争うこと、これはたいへんな問題だと実は思うのです。私がこういう問題をできるだけ早く解決したいというのも、
お尋ねがあったから申すわけでございますが、その一と二の間で話がつかないようなことで国際経済が拡大されるとはどうしても思えないんです。国際経済を拡大するためにもこういうものはやっぱり早く話をつけるべきじゃないだろうか。また、そういう
意味においては一方だけが譲るんではこれは押しつけになりますから、そこで互恵互譲ということを申してお互いに譲り合わなければならないと、こういうことを言っておるわけです。しかし、譲るということ自身に
関係業者からはどうしても納得ができないと必ず言うだろう。
日本の
政府はわれわれに譲歩した案を押しつけるのか、また
アメリカの業者もきっと言うだろうと思う。
アメリカの
政府は
アメリカの業者に対して譲る案を業界に押しつけるのか、ここらに問題のむずかしさがあるわけです。互譲というそのことばは、たいへん私どもにはわかりやすいけれども、当該業界にとってはそんな簡単に互譲の精神で片づいたという、そういうことじゃ困ると——これは必ず残ると思います。
いま見通し等については、一体どういうことだと、こういうお話がありましたが、これは通産大臣からお答えいたしましたように、業界の理解と
協力がなければ幾ら
政府が約束いたしましても実施できるものではございません。業界自身から申せば、その譲り方が少し多かったとか、あるいは向こうの譲り方が少ないじゃないか、こういうような批判が出て、なかなか納得がいかないものがこの種の交渉事にはあるのではないだろうかと思います。だから時間も相当かかっておりますし、私としては気を短くしないで、長く持って交渉していると、かように御理解をいただきたいと思います。これはやはり業界の、業者の身にもなってわれわれは交渉しなければならない、そういう立場であるからただいまたいへんむずかしいことを、各方面から注文をつけられております。皆さん方からも注文をつけられている——これは
国会の決議である。しかし、それより以上にやはり業者自身に何のためにこういう話をするんだ、納得ができないと、こういうような気持ちがありはしないかと、かように思います。ただ私が思いますのにオーダリーマーケティングというのがやはり平静な経済成長の歩む道じゃないだろうか、かように思います。だからそういう
意味で話を取り上げることも
意味があるんではないだろうかと思います。ことに
日本の場合の経済成長は、他国に比して比べものにならないほど大きく、早い速度で成長しておりますから、おそらく
アメリカ等から見れば、そんなに成長するところと自分たちのところと一緒にして考えてもらっては困る。だから
日本に多くを譲れと
要求するのは、これはあたりまえじゃないかと案外言うかもわかりませ。ただいまそこまで言っておらないんですが——けれども、そういうことも考えながら業界の身にもなって交渉事を進めておる。かように御理解をいただきたいし、またそういう
意味で皆さん方からも御鞭撻をいただいている。かように私ども考えておるので、別に私どもの党から出かけたことにつきましても私が頼んだわけではありません。総裁が頼んで、行ってくれろと言ったわけではない。業界から頼まれたわけでもないんですが、やはりこういう事柄については議会人同士が話すところにも
一つの案外解決策があるかもわからない、こういうことで実は飛び出したわけであります。経過を一通り話をし、いまの展望についても一言触れた次第でございます。