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小林武君 いま、せっかくやられたところですから、私もひとつそういう質問をするわけですけれ
ども、先ほどからやっているから、もう質問についても聞かれるところ、問題になるところは済んだと思います。
ただ、この
法律の起案者としてあるいは起草者としてお尋ねしたいのは、少なくとも日本の工業地帯というようなものを頭の中に置いてやられたものかどうかという問題、私は、やられてないのではないかと思う。いわゆる
法律家、
法律専門家の頭の中で抽象化された
法律を、
文章をつくったという感じがするのですね。私はどうしてそういうことを言うかというと、いまの工業地帯というものは、いまあなたに
説明するまでもなく、太平洋ベルト地帯と言われるようなものがだんだん延長していって、もういまや茨城県、さらに福島県にまで広がりつつある。そこには
工場がたくさん乱立するくらいになっているのですよ。そういう場所であれば、いずれも公害にものすごく恐怖心を持つわけです。たとえば、鹿島工業地帯というものができた場合に、千葉県の私がよく行くいなか、利根川べりのいなかですが、あの鹿島工業地帯ができたということによって、そこに公害とまでは、ひどい公害だとは言われないけれ
ども、非常なやっぱりその前ぶれのような状況が出ている。まだあそこは完成していないけれ
ども、そういう状況が出ている。こういうふうに、
工場がもう非常に密集すると、また企業としてはそういう形の中に分散させないで置くということが
——企業としては必要に迫られてやるわけですけれ
ども、当然それは起こり得る。そういう問題があるから、私は、公害の問題というのは、少なくともいまの日本で重大な問題だと、それは刑事罰をもって臨まなければならないほどの現状にとにかく到達した。到達したから、いわば伝家の宝刀か何か知らぬけれ
ども、抜こうかという決意を出しておる。またこれをこのまま放置するということになれば、国民の健康、
生命にまで及ぼすというはっきりした事実も日ごとに逼迫しているわけです。
そういう場合に、先ほど来の御
答弁聞いていると、対策としての
一つの、政府のこれはもうどうしても避けて通ることのできないような公害防止という問題を避けている、複合的な公害に対しては、複合公害に対してはとにかくどうにもしようがないのだというようなことを先ほどから強調しているわけですよ。こういうことで一体どうなんですか、起案なされた方としてはほんとうに効果ある
法律であるかどうかということをお考えになりますかどうですか。これでもってどんな実効をあげられるのですかということを、私はもう聞いているうちに、実際質問する意欲がなくなって、こんな
法律に一生懸命反対、賛成やっても、結局きのうの参考人のように、ざる法で、できるなら通らぬほうがいいというような極端なあれも出てきた。
それを私は、ここで少なくとも議論するというからには、各党が準備をして一生懸命やるというからには、少なくともこれはあなたにあれするわけじゃないけれ
ども、
法務大臣に言わしてもらえば、私は少なくとも知恵を出し合って最もりっぱな
法律にするんだということの励みがなかったら、われわれ何もやる気はしなくなりますよ。国民の声を代表してこの場でよい
法律をつくるんだという、欠陥があったらその欠陥を是正するんだ、そういうことがなかったら
——そういう機能はもう国会というものは持っているわけですから、それなしにはこれはこれっきりですよ。先ほどから非常に微に入り細をうがった質問で、私は人の質問でも聞いているうちになるほどなるほどと思って聞いておった、実際問題として、あなたの終始一貫、
答弁としては、まことにうまい
答弁だと私も考えておったんですけれ
ども、うまい、へたの問題ではないと思うんですよ。
だから私は、あなたに聞きたいのは、案文を、この
法律案を起草したあなたとしては、一体この複合異種の公害というものに対してほおかぶりしておっても公害問題は処理できると、こうお考えになっておるんですか どうですか。