○河田賢治君 時間がきわめて制約されておりますので、できるだけ簡単に質問し、また簡単に明瞭に御答弁願いたいと思うのですが、一つは
農薬が
販売禁止される、あるいは
使用禁止されるという場合に、回収ということが問題で、一応このことは衆議院でもだいぶ問題になりました。しかし
販売してはならないようなものはもう廃棄すべきであると大体
考えられるわけですから、これについてやはり廃棄をする、
農林省の職員なり何かが立ち会って廃棄をしてしまうというようにしませんと、いろいろな形で残留——まだ売れ残りがあったり、あるいは回収ができなかったりするというようなことがあると思います。この点が一つでございます。
それから、一度に聞きますが、次は
農薬の検査ですが、
局長は
農薬検査所の能力というものは十分間に合うようにおっしゃっておりましたけれども、実際ここの人々に聞きますと、再
登録というようなものはほとんど検査が省略されておる。たくさんになって、一年間、新しい
登録もありそれから再
登録もあるということで、これに追われて十分な検査もできない。特に新規
登録なんかでも追
試験なんということはほとんどやられていないんで、ただ添付された
試験成績などを勘案して許可をするというようなやり方になっているわけです。こういうやはり
状態であるならば、決して安全な
農薬をつくり出す、またそういう
規制をするということにもこと欠くと思うのです。したがいまして
農薬検査所の機能なり、またそこの人員は多少ともこのほうに重点を回して、そうして今日の
農薬公害を早く防いでいくことが必要だと
考えます。その点が一つ。
それから
農薬の検査については、大体三カ月ぐらいの実験でラット、マウスぐらいの小動物しか使っておりません。これは御承知のとおりアメリカあたりになりますと、非常に大動物なんかを使って、一つの新しい新薬を開発するにしても六年、七年かかるというふうに、大規模な民間自体がそういう設備を持っているようでありますがなかなか日本ではそういうことがない。しかしながら
試験のあり方というものは、やはり大動物などを使って、たとえば犬とかサルとかというものを使って、しかも品種をたくさんそろえて検査をしませんと、十分な、
農薬が安全であるということは保証できないと思うんです。ある専門学者によりますと、たとえばいま日本の学界では神経系統などについて、
毒性の
農薬ですね、神経の問題についてはまだ学界でも討論されていないほど、今日まだこの分野が未発達であります。しかし一方学者としては、たとえば
人間に非常に似ておるのは鶏の神経と
人間の神経、それから豚の皮膚と
人間の皮膚とは非常にまた似ておる。それから馬の肺と
人間の肺も、これもよく似ておる。形体、外見ですね、こういうものはサルが一番よく似ておる。したがって残留
毒性やあるいはまたその他毒物性の
農薬を
研究する場合には、こういうふうに多種多様な動物を実験してみることが必要ではないか、こういう意見を今日持っておる方々もおります。これはまだそういう一般の検査内容がそこまでは来ておりませんけれども、きわめてわずかな動物で、しかも小動物だけでやるということは、
農薬を検査するには非常に不十分だと思うのです。こういう点について、今後新しくこういうような問題を取り入れて、検査能力を拡充する
考えはおありかどうかという問題が一つ。
それからもう一つは、残留
農薬研究所、これは私もこまかい設立趣意書をいただきました。これは大体日本の学術
会議が昭和四十三年ですか、総理
大臣に報告しておりますが、これに基づいてこれができたようでありますが、やはり財団ですけれども、この出資金が多くはやはり
農薬をつくる工業会等々がかなり中心になっておるようであります。しかし
趣旨に沿う中立性を保つためには、できるだけこういう、いわゆる
製造業者を中心にする業界からの金は少なくして、できる限りこういう
試験研究機関に対しては、国が大体保障するという方向が私は必要でないかと思うのです。どうしても、こういう財界にある程度でも干渉されたりくちばしを入れられるような結果になりますと、中立公正な
研究機関というものはできないと思うのです。これが一つ。
それからもう一つは、
研究所の能力について若干ここに
説明がございますけれども、主として農産物の
残留性を
研究するように書かれております。しかし、いま
農薬の中には、かなり土壌
残留性というものも必要なわけです。たとえば権威のある若月俊一さん、佐久病院の院長さんが、水銀剤、これは米のほうの防除のために最近これが禁止されてからはずっと米の水銀含有量が非常に減ってきた、しかしながらいまなお畑作の中で土壌を消毒するためにこういうものが使われて、高原地では御承知のとおりレタスなんかに相当これが残留しておるということで、若月さん自身がこういう報告をされております。したがいまして、この水銀などの
使用についても、即刻こういうものの
使用をできるだけ制約することと、新しくできる
農薬研究所ですね、残留
農薬の
研究所などには、単に作物だけでなく、土壌、水質
汚染、こういう今日非常に
毒性のあるすべての
農薬の
残留性などを広範にしかも大規模に早くこれを
研究する必要があると私たちは
考えるわけです。したがいましてここの資金などももっと政府がどんどん出して、そうしてこの方向で拡充されて、安全な
農薬を供給するという
趣旨に沿っていただくということを私たちは要求するものでありますが、これに対する御所見を承って質問を終わりたいと思います。