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国務大臣(愛知揆一君) 毒ガス問題につきましては、ただいま
お話しになりましたことは、まことにごもっともで、
政府といたしましても、ただいま対策等について対米折衝といいますか、話し合いに全力をあげているところでございます。そもそもこの問題が起こりまして以来、私自身といたしましても、何回と数を勘定できないぐらい折衝に折衝を続けておったわけでありまして、その間アメリカの国務長官はじめ積極的に沖繩県民の心情も理解して、なるべくすみやかに撤去をするということを
政府としては言明しておったわけであります。同時に、まう詳しくは省略いたしますが、御案内のように、初めはアメリカとしてもオレゴン州その他を予定しておって、それがうまくいけば、いついつごろにという計画を持っておったわけでありますけれ
ども、それが結局うまくいかないで、ジョンストン島ということに相なりました。ジョンストン島へいよいよ移送が決定したのが十二月四日に公表されたわけですが、そこで、ジョンストン島は、御承知のように、アメリカの憲法の
関係から申しましても、各ステートのどこにも属しない、いわば無人島に近いところですが、毒ガスを貯蔵する、保管するというようなことについては予想しなかったところでございますから、これに受け入れ態勢を整備するのにある程度の時間がかかる、また相当の金もかかるというようなこともありまして、その事実の上に立って現在移送計画が進んでいるわけであります。
政府としては、十二月四日の通告に接すると同時に、対米折衝を始めまして、御承知のように十二月十一日には、米側の第二兵たん指令官ヘイズ少将一行を東京に招致いたしました。そして今後の移送に対する計画、考え方、それから特に大切ことは第一回の輸送でございますが、これはあとでもいろいろ御議論があるかと思いますけれ
ども、まず絶対沖繩の方々に心配をかけずに、安全に運び出して、かつ船積みをするということにつきまして、いま
お話もありましたように、十二分にわれわれの納得のいくような計画を実行してもらわなければなりません。で、これについてヘイズ少将を中心にして、いろいろ説明も聞き、質疑もし、いままでのところ、現在の時点におきまして実行されることとしては、撤去にあたってはアメリカ側としては、軍
関係の専門家を動員して、米国内における安全基準を上回る厳格な基準を
適用して、万全を期するということがまず第一。それから、所在の弾薬庫から天願港までの輸送にあたっては、人家のできるだけ少ない最短距離、約十一キロでありますが、この距離における道路を利用する。
それから、輸送警護隊形は、憲兵車、ヘリコプターによって前方警戒をやり、それに続いて輸送指揮官、毒ガス輸送トレーラー五台、技術要員を乗せる車、化学消毒車、それから予備車、救急車、後尾憲兵車並びに報道
関係者用バス、こういう編成でコンボイを組みまして、百五十トンは二回の輸送で搬出をする。
それから、なお、この輸送のルートにおいては、アメリカ憲兵及び琉球警察の協力によって交通
整理等に当たる。それから、輸送の総指揮官にはランパート司令官がみずから当たる。それから、撤去自体の作業についての指揮には、ヘイズ第二兵たん司令官が直接当たる。それから、
所要の指令は、在沖繩米軍司令部、弾薬庫に特設するコントロール本部及び天願岸壁の三カ所を通じて発出する。
それから、毒ガスの輸送途上における事故は絶対にあり得ないように、万全の
措置を講ずる。万一
——万々一と向こうは説明をいたしておりますが、容器が破れて液体となってこぼれるよう九な場合があっても、これが拡散することは絶対にない。直ちに技術専門家によって中和剤をもってこの液体を無毒化する。したがって、沖繩の付近住民の避難あるいは防護器具配給ということは必要はないと考えている。これは米国国内における毒ガス輸送に際して、事故が発生したということはいままで全然ないそうでありますけれ
ども、特に沿道の住民には絶対にそういう
意味でいささかたりともおそれのないようにする。
それから、撤去作業に要する
期間は、輸送する船の船倉整備に二日間、積み込み作業に二日間、計四日間。それからジョンストン島までの海上輸送に約十日間を要する。
それから、撤去の時期については、すみやかにきまるはずでございますけれ
ども、いま申しましたような安全
措置についての十全の準備と相待ちまして、最終的に決定をされる。
政府といたしましては、この第一回の撤去時期については、もちろんきわめてすみやかに決定し、実行するように申し入れておりますが、全体の一万三千トンにつきましても、可能な限り前広に決定して、前広に沖繩
関係の方々にお知らせをするようにするということに話がついておりますが、なお、いま申しました中では、こちらとしてまだ十分納得のできない点もございますから、技術的並びに政策的、その他の点を考え合わせまして、全体が早期にかつ何よりも安全に撤去されるということについてこれからも十分話し合いを続けていきたい、かように考えておるわけでございます。
それから、すでに沖繩の現地におきましても、十二日には東京におけるこの会議に並行いたしまして、現地では
関係の町村長を含めて住民の方々にも御説明をし、また報道
関係者に対しましても移送経路等については米側が案内をして、理解を深めることにつとめたようでございますが、これもまだ十分な納得を得られておらぬようでございますから、さらに、たとえば適当な文書、解説書等を作成して、
関係者あるいは報道
関係の方に配るとか、説明をするとか、納得が十分できるように、この上ともに米側において
措置することも話し合っておるような次第でございます。