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政府委員(長野士郎君) 大要をそれでは御
説明申し上げますが、人口急増市町村というふうなケースをどういうふうに考えるかという問題もあります。これにつきましては、過去三年間におきまして人口が急増しているところを一応
対象にいたしておりますが、そしてその増加しているケースというものはいろいろございますが、私
どもは一応人口の増加が一〇%ぐらい、しかし生徒児童数が五百人以上、あるいは人口の増加は五%ぐらいだけれ
ども、生徒児童数の絶対量が千人以上もふえているような団体、こういうようなかっこうで、一応そういう町村についての調査をいたしておるわけでございます。これはそう思われます町村が百九十六団体くらいございますが、私
どもが発表いたしましたものの中には、一部未報告がありますので百九十一団体になっております。
これらの人口の増加はそういうことでございまして、急増市町村とかりに申しますと、その急増市町村におきましては、結局急増する原因が、大規模な集団的な住宅の建設というようなものが行なわれているということが人口の急増の
一つの大きな原因になるわけでありますが、そういう場合には、短期間に、またそれに応じて集中的に公共施設を
整備しなければならないというようなことになるわけであります。しかも、それらの公共施設の
整備の中で一番
措置をゆるがせにすることができないものは、いろいろございますけれ
ども、その中でも特に義務教育については、その点での対策に追われるというのが
現状だというふうに思われます。
これらを調べますというと、教育費のそういう市町村に対する歳出決算額に占めますところの割合が、四十三年度において見ますと二四%に達しておりますが、それは普通の都市の平均から比べますと、一八%ぐらいでありますから、非常にそういう
意味で教育費の占める割合が大きくなっております。しかもそういう急増市町村におきましてなお教室の不足数等を調べますというと、大体七千二百教室あるいは七千三百教室に近い教室が不足をしております。これにつきましては、いわゆるプレハブ住宅でございますとか屋内運動場を間仕切りをいたしますとか、あるいは特別教室を転用するとかいうようなことで、非常に教育環境も悪くなっておるというような実態でございます。これらのものをまず正常にいたしますためにも、どれだけぐらい財源的なものが必要であるかということを計算いたしますと、現在教室を直しますためにも約八百億円以上のものが必要になるというようなことが想定されるわけであります。
それからまた、普通建設事業に占める義務教育施設
整備の経費を見てみますというと、急増市町村とほかの市町村とでは割合が非常に違っております。普通の都市におきましては、義務教育施設
整備費の普通建設事業費の中に占める割合は大体一七%でございます。町村では二〇%強でございますが、人口急増市町村といわれるものでは、都市において二四%強であります。町村におきましては三八%強、こういうふうに非常に高い割合を示しております。
それから急増市町村での最近における非常な悩みは、教室不足ということもございますが、その前提としての学校用地の取得に非常に悩んでおります。それは地価の高騰が非常に反映をしておりまして、義務教育施設
整備費の三分の一が学校用地取得費になっておりますが、しかもそれだけでは十分でございませんので、実態といたしましては、開発公社でありますとかいろんなところに肩がわりをさせまして用地の取得につとめておるというようなかっこうが出ておりまして、そういう
意味で債務負担行為も相当な額に、つまり三百六十億以上にのぼっておるということが出ております。そういうことがございまして、その点では非常な重い負担になっておりますが、だんだんと地価の高騰もありますし、今後のことを考えますと、用地取得費はどんどん地価の高騰に伴いまして上がってまいりまして、義務教育施設
整備費に占める用地取得費の割合は、三割をこえ四割に近づいていく。あるいはもう半分ぐらいになっていやしないかというような
状況があるようでございます。そういうことを考えますというと、やはり義務教育施設
整備というものにつきましても、用地についてのひとつそこに施策というものもこれは考えていかなければ、義務教育施設の
整備というものが進められないというところにぶつかってきておるというふうに考えまして、その点についての問題をひとつ考えていくべきではないだろうかと思います。
それと同時に、実態といたしましては、いわゆる国庫負担の
対象とならない施設事業というものが、非常に割合が多くなっております。その
関係は義務教育施設
整備費に占める補助事業費の割合が一般の市町村では七二%になっておりますが、人口急増市町村では四五%となっております。そして国庫負担率は、現在、御案内のように、小学校の施設
整備につきまして三分の一、中学校が二分の一となっておりますけれ
ども、人口急増市町村におきますところの補助事業費に占める国庫支出金の割合は三〇%に満たないという実態でありまして、そこでさらにそれを、補助、単独を合わした建物
整備費に占める国庫支出金の割合ということで、いわゆるつぎ足し単独を含めまして国庫支出金の割合を調べますというと、一七%にも達しないというような結果が出ております。単独つぎ足しというもので非常に自己負担を増大させておる。同時にこれは補助
対象事業としての補助
対象の事業のとり方、それから事業費の積算の基礎というものが実態に合わないということを非常に示しているものと思うのでございますが、そういうこと。それからさらに義務教育施設にかかる公債費の割合というものが、だんだんとそういう
意味でも学校
整備に追われておりますために、公債費がだんだんふえてくるという傾向も出ておるわけでございます。
地方債の現在高にいたしましても、現在すでに約二千億近いものが義務教育施設
整備の
地方債の現在高としてあるわけでございます。そのほかに、いまさっき申し上げました債務負担行為でありますとか、あるいは開発公社等に対する肩がわりとかというようなことで、実際は起債にかわるような形での
措置、つまり後年度に負担を大きく残した
措置というものが行なわれておるというかっこうでございます。
これらの
現状が実態調査の上でも明らかになってきておるわけでございますが、私
どもといたしましては、この人口急増市町村の教育施設の
整備については、こういう市町村につきましては、学校だけでございませんで、ほかにも道路でございますとか、上下水道の
整備でありますとか、衛生施設、民生福祉施設などに追われている
状況でありますが、特に事実もう放てきできない急増市町村におけるところの義務教育施設
整備というものの
現状もそういう
状態であるということにかんがみまして、ぜひともこれについての新しい対策
措置を進めていくべきではないかということで、
関係各省ともいろいろ協議をいたしまして、現在予算その他の
措置についての折衝を重ねておるという
状況でございます。