○加瀬完君 これは財政局長のおことばとも思えない。いままで地方財政計画等で一番問題になったのは超過負担でしょう。しかも委任事務の超過負担が非常に地方で問題になっている。これを解消するということが
一つの財政計画のねらいであった。今度はこのまま
一つの基準をつけないで公害事業というものをみんな地方が背負ったら、私は超過負担はもっと増大しますよ。なぜならば、農業会の
職員の問題とか何とかいうのは、足りないところが幾らの部分でもないからいいけれ
ども、公害事業というのは住民の要求が非常に大きいでしょう。地方としてどうしてもたくさんやらなければならない。そうすると、それを地方でまかなうという面を野方図にしておくと、地方の負担というものは、これはほかの委任事務とは違った幅で伸びてきますよ。そのときになって足りないとか足りると言ったってしかたがないわけですから。しかも公害基本法の二十三条には、地方の公害
防止事業であっても財源的には国がめんどうを見なきゃならないという規定があるんですから、これは取るとか、やるということでなくて、ほんとうの公害事業というものを完成するためにはもっと財源の裏づけというものがなければどうにもならないわけですから、
自治省としては、これだけのことは財源の裏づけを十分してくれなければ困るという主張をこの際しなければおかしい。それで、地方の責任の事務は当然地方の財源でまかなうべきだというその
一つの例に、あなたがさっき公共下水道をあげた。公共下水道がどういう形でかぶさってきているかということをおそらく
御存じないんじゃないかと私は疑った。なぜならば、公共下水道などをやらなきやならない——大都市は別ですよ——東京近郊の人口急増地域というのは、まず公共下水道よりも上水道をやらなきゃならないわけですよ。
道路も直さなきやならない、学校も建てなければならない。ですから、学校を建てるといっても土地から求めなきゃならないけれ
ども、その用地費、費用の負担というものはいまのところ出ておらない。その上に下水道をやるということになりますと、私の
調べたところでは、年間の総予算が七億くらいのところで、最小限見ても現行法では十億くらいの負担を背負わなければ公共下水道はできないわけですよ。住民にとれば、おれたちだけいたときには公共下水道も何も必要なかった。たくさん人口が急増して公共下水道をやらなければ井戸水も飲めないという状態になった、この責任は地方の住民が負うべきなのか、国が、公共下水道の財源というものは、いわゆる公害
防止事業としてもっと負担をしなければならないものなのかということには、どうしたって疑問を生じてくる。それを大都市のような財源豊かなところのように、公共下水道は五割政府が、国が持つんだから、
あと都道府県が二割五分持って地元の市町村が二割五分持ったって、まだ前から見れば補助率が高くなったんだから簡単にできるじゃないかというおつもりかもしれませんが、なかなかそういうわけにいかない。そこで、現状のままでは公共下水道というものは——都道府県がしょえば別ですよ、市町村はしょい切れない。ですから、こういう公害
防止事業という中に公共下水道があるならば、公共下水道の補助金のかさ上げというのは当然主張してくれなければ困る。成田空港はかさ上げしましたよね、出さなくてもいい交付税まで出している。若干地元に犠牲を払わせたからという前提でかさ上げしたのです。そうすると、この公共下水道を必要とする地域は、結局国の国土計画というか、あるいは産業計画というか、そこに若干のそごを来たしたから、
一つの地域に過密が出、別の地域に過疎ができるという状態になったのですから、これは行政公害の面だってないわけではないわけですから、もう地方に公害
防止事業をやらせるなら、その財源というのはやはりいままでのとおりでやりますということでは私はないと思います。その点、
自治省は当然主張してもいいことをだいぶ御遠慮がちでございますが、それは本心でございますか。どうもはっきり受け取れない、財政局長の御意見としては。