○渡辺武君 私がしつこくこの
水質汚濁防止法案そのものの中に
——その辺の原則ですよ
——環境基準の達成ということと
排水基準の
設定、これをはっきりリンクさせるような項目を盛り込むべきじゃないかというふうに申しますのは、やはり法にそのように盛り込むことによって、私は
政府そのものも今後の
行政をそういう点で法でワクをかけることができる。もちろん
知事が
上乗せする場合もそれと同じことが言えると思う。なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、これはたとえばいま
環境基準を達成するために
排水基準をまあ
設定するということを原則とすべきだということを言っていますが、その
環境基準そのものの
設定ですね、これが私は従来の
政府の
設定は非常に甘いものだったんじゃないかというふうに思うんです、言ってみれば。
国民が望んでいるような
環境の急速な改善ということから、かなりほど遠い、いわば
現状追認的な
設定のしかたをやってきたんじゃなかろうかというふうに思うからなんです。たとえば例をあげてみますと、東京の隅田川ですね、これはもう皆さん御存じだと思いますけれども、この
水域の類型、これはEということになっておりましてそうして達成期間はハということになっております。Eというのはどういうことかといえば、これはBOD一〇
PPMというのがいわば達成
目標ということになろうかと思うんですね。そしてハというのはそれがまあ五年以上で可及的すみやかな期間ということになっていると思うんです。昔は隅田川といえばこれは都鳥も飛び白魚も泳ぐ、もちろん人間も泳ぐことができるというようなきれいな川だったと思うんですね。ところが
政府の
環境基準の達成
目標が一〇
PPMということになりますと、水からにおいがちょっと取れるぐらいのところです。いまの隅田川は、これはBOD一八
PPMといわれている。これは大体どぶと同じことです。悪臭立ちのぼるどぶと同じような状態、これがいまの隅田川の状態だと思うんです。それが五年以上もかかってやっと一〇
PPM、つまりやっとにおいが取れる程度の
汚染度まで改善していくんだと、こういう努力
目標になっているわけですね、しかも五年目はどのくらいかといえば五年目は一二
PPMということで、
建設省の資料で調べてみますと、努力
目標が達成されるには大体さらに十五年、したがって合計二十年はかかるだろうということになっているんです。
国民の、特に都民が要望しているのは隅田川はもっともっときれいになってほしいということだと思うんですよ。少なくとも人が泳げる程度の状態にしてほしいということだと思うんです。それが二十年かかってしかもやっと川からにおいが取れる程度だという
環境基準の
設定のしかたをしているんです。もう
一つ例をあげましょう。たとえば福岡県の大牟田、あそこは御承知のように三井の町といわれている。そしてあの大牟田川、あれは五色の川といわれるように
工場の廃液によってどろどろになっているんです。私も行ってみましたけれども。そして特に三井製錬所が出す廃液で有明海全体が
汚染されているという生ような事態がいま生まれてきているわけですね。三井の
工場がこれが廃液について十分な防止装置をさえするならば、これはたちまちのうちに私は浄化できると思うんです。ところが大牟田川の
目標は何か、五年以内に一〇
PPMにすればいいと、こういう
環境基準の
設定になっている。こんな甘い
基準を
設定している。ここに
政府の態度の甘さが私はあると思うんです。ですから
環境全体の急速な改善、あるいはまた維持、そうしてまたこの
環境基準の確保という点を原則として
排水基準をきめなきゃならぬという趣旨のことを、この本法そのものに盛り込むことは、私はどうしても必要だと思うんです。その点どうでしょうか。