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1970-12-17 第64回国会 参議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十二月十七日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  十二月十七日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     占部 秀男君      村尾 重雄君     中沢伊登子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         佐野 芳雄君     理 事                 上原 正吉君                 鹿島 俊雄君                 吉田忠三郎君                 渋谷 邦彦君     委 員                 黒木 利克君                 塩見 俊二君                 高田 浩運君                 山崎 五郎君                 山下 春江君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 中村 英男君                 和田 静夫君                 小平 芳平君                 中沢伊登子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        厚 生 大 臣  内田 常雄君        労 働 大 臣  野原 正勝君    政府委員         大蔵政務次官  藤田 正明君         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生省環境衛生         局庁      浦田 純一君         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         労働省労働基準         局長      岡部 實夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        建設省都市局参        事官       石川 邦夫君        日本国有鉄道常        務理事      原岡 幸吉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○廃棄物処理法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、占部秀男君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。  また、本日、村尾重雄君が委員を辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。     —————————————
  3. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 廃棄物処理法案を議題とし、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 和田静夫

    和田静夫君 実は、本法案に対する衆議院段階での議事録がまだできておりませんので、そういう意味では若干重複するかもしれませんが、逐条にわたって質問をいたします。  本法案衆議院においてその名称を含めて修正をされましたことは、市町村清掃事業立場から見れば当を得たことであると思います。しかし、それでもなお多くの不安が残りますのでお聞きをしたいわけでありますが、この法律によっても、清掃という仕事地方自治法上の市町村固有事務だということ、このことは変わらないと思うのですが、大臣答弁を願います。
  5. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 最初にまことに恐縮でございますが、実は、私、きのうあたりからかぜを引きまして、鬼の霍乱みたいなものでございますが、熱があったり、声を出しますと非常に痛いわけでございますが、それで肝心のところは私は逃げも隠れもいたしませんが、でき得る限り政府委員のほうに答弁を譲る場合が多いと思いますが、どうぞひとつきょうだけはお許しをいただきたいと思います。  お尋ねの件はそのとおりでございまして、そういう市町村固有事務としての清掃体制の上に、最近顕著になってまいりました廃棄物公害実態に即した新しい仕組みを積み上げた、こういうことでございます。何ら市町村体制におきましては、特別の変更を加えたつもりはございません。
  6. 和田静夫

    和田静夫君 従来、清掃法議論をいたしますと、公害という問題が出てくる。したがって三月二十五日の参議院決算委員会でも、私は、幾つかの問題について厚生省側に希望を申し上げておいた。そういう場合も政府厚生省の態度というのは、公害防止公害関係法律でやる、こういうことでした。当時、橋本政務次官も明確にそう答えています。  しかるに、このたび公害対策の一環としてこの法律が出されてきたところから、どうしても産業廃棄物重点を置かざるを得なかったのであろう、そのことによって、清掃事業のように、住民に密着した行政は、住民と最も近い市町村が、いまの答弁にありましたように、これを固有事務として行なうという、地方自治法の条項あるいは精神に照応した形での清掃法という性格がきわめて私は希薄になってきていると思います。むしろ清掃法としてのこの性格を純化をさせて、そこからはみ出した産業廃棄物処理については、公害防止法体系の中で処理するという方向、そういう方向のほうが私は法案を検討してみてよかったと実は思うのです。そういうことのほうが厚生省立場としても一貫しているのではないか。そういうふうに分離をしてしまうと、何か通産省と厚生省との間の仕事の分取り合いなどというものがどうもおもんぱかられてこういうような形になってきたんじゃないかというふうに考えられる節がありますが、そんなことはありませんか。
  7. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そんなことはございません。実はこれも何もかもありていに申してしまいますと、私どもが持ち出しました法律案は、実は初めから清掃及び産業廃棄物処理法、こういうことにして持ち出しまして、いまも和田さんからお話がありましたように、産業廃棄物の問題が非常に大きくなってきておる。これはまた一つ公害の原因ともいわれるようになってきておりますので、先ほども私が御答弁申し上げましたように、清掃体系の上に新しい公害対策としての仕組みを積み上げた、こういうことも理解をいただくような意味で、法律タイトルもいま申し述べたようなことにいたしたようなわけでございます。しかし法制局等意見、また公害対策中央本部というようなものもございまして、折衝の過程におきまして、中身を変えたわけではございませんが、タイトルからして清掃の字を取り除いて産業廃棄物処理法というようなことで国会に出しましたがゆえに、あるいは和田さんが申されたようなそういう御懸念も生じたのではないかと思っておりましたところが、これは衆議院で、いま御発言もございましたような修正が行なわれまして、元の姿といいますか、元のタイトルに戻りましたので、一そう私ども考え方もそのことが、たとえば地方自治体等にいたしましても認識をいただける結果になったものと、私は、この点に関する限りは修正に満足をいたしております。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 これは事務当局でけっこうですが、第一条の「廃棄物を適正に処理し、及び生活環境を清潔にすることにより、生活環境保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」、この目的はまあわかるわけですが、この目的、思想に基づく義務規定が一体どこにあるのか。それがないままに処理手続の方法に入っていってしまっている法律になっている。これもまた私はこの法律の致命的な欠陥だと実は思うのですが、いかがですか。
  9. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 先生が御指摘のように、第一条の目的におきましては、従来の表現が少し変わりまして「生活環境保全」という目的一つ変わったわけでございます。それから、いわゆるそれに応じてのいろいろな義務規定と申しますか、責務と申しますか、これがどうなっているか、多少それに応ずるような形にはなっていないのではないかという御懸念でございますが、まず従来のいわゆるいま先生指摘市町村固有事務として行なわれております一般清掃事業でございますが、これは従来と比べまして、まず一つは、いわゆる特別清掃地域というものを今回はなくしまして、そして市町村の収集にかかる義務というものの範囲が広がってきたということで、私申し上げますのは、従来の市町村固有事務としての市町村にかかっている義務というものは、むしろその意味では強化されているということを一つ申し上げたいと思います。しかしながら、全般的に申しまして、従来の固有事務として市町村が行なっております清掃事業は、今回は従来の体制をできればそのまま踏襲するという形でもって今回の条文の整理というものがなされているわけでございます。全般的な構成から、その辺が現行清掃法構成と違いましてあと先したというようなことで、その点が非常に比較しにくいという点はあろうと思いますが、全般を流れております考え方としては、ただいま申しましたように、従来の市町村で行なっております清掃事業については、特別清掃地域を広げるということによって市町村義務としての清掃事業範囲が広まったということは言えるかと思います。  それから今回の改正一つの大きな柱でありました産業廃棄物の点でございますが、これにつきましては、いわば新しくつけ加えたということでございますが、ここで一番問題となっておりますのは、この産業廃棄物処理の場合の責任は一体どこにかかるか、責任とうらはらになる義務というものは一体どのような形になっておるかということであろうかと思いますが、これにつきましては、まず第一に、原則として排出者事業者責任である、したがってその処理処分というものは事業者義務として行なわなくちゃならないというのが今回のこの改正の中の一番重要な点であろうかと思います。それに伴いまして、おのおの市町村あるいは都道府県段階でもって、応分の範囲でもって産業廃棄物処理というものに一役買って出るという、できるという規定はございますが、何と申しましても新しく問題となりました産業廃棄物処理について事業者責務というものを原則として強く打ち出したという点でもって、第一条でうたっている目的を十分に遂行できるように考慮したつもりでございます。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 いまの答弁非常に疑問ですから、あとから具体的に各条を追って見解を述べますが、第二条の定義ですが、それでは「「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物」、こういうふうになっているわけですね。それはどんな範囲をお考えになっていますか。
  11. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) この第二条におきまして、この法律にかかります定義が述べてあるわけでございますが、第二条第三項まで全般をお読みいただきたいわけでございますが、この法律では、一番問題になります産業廃棄物というもの、これはいろいろと事業者責務とかあるいは罰則といったような問題ともかかわりが出てまいりますので、この点をまず明らかにする必要があるということから、第三項におきましてはっきりとその点を限定して定義づけているわけでございます。その定義づけた限定したもの以外につきまして、これらは一般廃棄物とするというふうにして分けたわけでございますが、現行清掃法との関連から申しますと、従来市町村で扱っておりました家庭から出ます一般的なごみ、あるいはいままでの市町村で行なっておりました清掃体系によって処理されておりました、たとえば八百屋さんの店先から出るような野菜切りくずとか、事業活動に伴って出るものでございますから、厳密な意味では産業廃棄物といった範疇に入れたほうがよろしいものもあるかもしれませんが、いままで現行市町村でもって清掃事業体系で取り扱っておるようなものが入ってくるというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 くどいようですが、これは家庭から出るごみとは違うわけでしょう。
  13. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 家庭から出るごみが大部分でございます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、いまもちょっとありましたが、商店街から出るごみというのは、どちらに入りますか。
  15. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 第三項で限定してありますものを除きましては一般廃棄物に入るのでございます。もっと具体的な例で申しますと、いままでも現行清掃法で、その体系でもって、一般商店街から出ておるいわゆるごみといったようなものは、大部分処理されておったのではないかと思います。そういったようなものにつきましては、やはり従来どおり市町村のほうでお願いするということで、つまり一般廃棄物ということの取り扱いになるかと思います。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 さっきから、その三項まで読んでくれと言うのですが、三項で限定をされておれば質問が出ないのですよ。ところが、三項は御存じのとおり「その他政令で定める廃棄物」と、こうなっておりますから、読んだだけではわからないのです。もし限定をされておるというのなら、ここで政令で定める廃棄物を全部並べてもらいたいです。それをいまできるならやってもらいたいのですがね。それでは、たとえばビルから出るごみはどちらに入るのですか。
  17. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 政令で定めるものの内容でございますが、現在、まだもちろん固まったわけではございませんが、この考え方といたしましては、たとえば家畜のふん尿類、それから土砂瓦れき、あるいはスラッジ、汚泥でございますね。−失礼いたしました。汚泥はすでに限定列記されておる、法律の中に書いてありますので、それは取り消します。タールピッチ、それから繊維くずとか、木くずとかあるいは金属くずとか、そういったようなものが入るかと思います。またビルの建築などに伴います土砂、あるいはこわしたような場合に出てまいります瓦れき、こういったようなものも三項の産業廃棄物政令の中で定めるものの中としていま考慮中でございます。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 いま言われたもの限りですか。考慮中ということになると、まだ加わわるということですか。
  19. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) その他いろいろの物質、それぞれその物質分類を、たとえば製造業によって分けるとか、いろいろと分類のしかたがあると思いますが、全部当たりまして、できるだけそこでもって物質名として明記いたしていきたいという考え方でございます。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 現行清掃法では、産業廃棄物家庭廃棄物一緒にした汚物ということで扱われて、わずかに特別清掃地域という形での特別扱いはありましたけれども、実際には七条、八条に基づいて、企業みずからの力でみずから産業廃棄物処理していたとしても、それを統括するはずの市町村が、企業がどのような廃棄物をどのくらいの量排出をしているものやら、市町村長は実は知らないんですね。あるいはそれを援助する立場にある都道府県知事も知らない。実際上市町村処理し得た汚物というのは、せいぜい家庭廃棄物という名称で呼ばれるほどのものでしかなかった。この法律一般廃棄物というような呼び方になると、それによって実質的には従来より市町村処理する事務量がふえるということがこの法律の文言からは感じとれるわけですが、そういうことはありませんか。
  21. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 一般廃棄物と従来の汚物ということばを廃棄物に改め、さらに一般廃棄物産業廃棄汚物というふうに改めたことでいろいろと従来と異なった取り扱いがなされるのじゃないか、ことに市町村のほうに過分の負担がかかってくるんじゃないかという御懸念のようでございますが、むしろ現行清掃法の中で、先生いま御指摘の七条、八条にかかる特殊の汚物あるいは多量の汚物といったようなものの処分が、従来までの量であり質であった場合には、これは問題がなかったわけでございますけれども、それがむしろ家庭から出る廃棄物よりも、量においても、それの二十倍にも及ぼうといったような産業廃棄物実態でございまして、これらに対して、いつまでも従来の体系だけでもって処理できるものではございませんので、その点を明確にして、市町村にかかる責務というものと、産業廃棄物事業者責務であるという点を明確にすることによってその点をはっきりとさせたということで、考えようによっては、私は、むしろ従来あいまいに取り扱われていた点が明らかになったわけでございますので、市町村責務もその点は従来とは変わらない、むしろその点ではやりやすいというふうに考えておるものでございます。
  22. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど大臣答弁にもありましたように、現に法律作成段階では、第二項の一般廃棄物家廃廃棄物等にする考え方も明確にされていたわけでしょう、あなた方のほうでは。いま、より明確にするんだという言われ方を盛んにされますから、それならば、原案作成過程でもってあったような形のほうがより明確だと思うんです。なぜそうされなかったのですか。
  23. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 確かに、御指摘のように、家庭廃棄物あるいは産業廃棄物というふうに分けるとか、あるいはむしろ家庭廃棄物重点を置きまして、その他の廃棄物というふうに分けるとか、いろいろとお考えはあろうかと思います。私どもも、一時、家庭廃棄物とかあるいは生活系廃棄物といったような名称考えたことも事実ございます。しかしながら、いろいろと今回の改正一つの大きな眼目である産業廃棄物処理体制というものを明確にする、排出者責務というものを明確にしていくということに目をそそぎますと、どうしてもそれを確実に実行していくためには、ある程度の義務と、それから場合によってはさらに罰則といったものをかけなくてはならないということになろうかと思います。そうしますと、まことにこれは逆の発想になったわけでございますけれども、そういったものについては、非常に事業者あるいは国民の権利と義務にかかわるわけでございますので、それにかかわる産業廃棄物というものをはっきりとまず明定いたしたい。そしてそのほかのものというものを一般廃棄物というふうに処理しても、いままで行なっております市町村清掃事業で取り扱っておる家庭廃棄物、事実上は家庭廃棄物になるのであるから、そのような分け方ではどうであろうかということでございます。また実態といたしまして、これはくどいようでございますが、いわゆる家庭廃棄物といたしました場合に、従来も扱っておりましたし、またこれからもそのようになろうかと思います、いわば食べもの屋さん、商店街、そういったような裏口から出てきます廃棄物につきましては、家庭生活系廃棄物というものと、まあいわば商売用廃棄物というものが混然として出てくるといったようなこともございますので、家庭廃棄物というよりも一般廃棄物というほうがよろしいのではないかという意見になってきたわけでございます。
  24. 和田静夫

    和田静夫君 やっぱりその辺本音が出たようなんですね。混然として入ってくるから問題なんですよ。したがって、法律の中でははっきりと家庭棄物としたほうが、いま御答弁になってる精神からいって、そのほうがいいわけです。どうもそこでは、ごまかしが結果的にある、そう思うのです。これは私はそう思う。  したがって、もしそうでないと言われるのなら、大臣、どうしてもこの法律によって実質的に従来より市町村負担が重くなる、そのことがたいへんな不安です。そうすると、これを解消するためには最終的にはまだ固まっていない二条三項の「政令で定める廃棄物」、この政令策定段階でどうしても関係者意見を聞く、そういう措置が必要になってくると思いますが、その用意はございますか。
  25. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私、実はこの法律作成段階、また国会審議段階におきまして、ほんとうにわからない点が実はございます。それは市町村清掃業務のいまのたてまえというものをさらに広くしたほうがいいのか、あるいはもう市町村はやり切れないのだからなるべく狭くしたほうがいいのかという問題をどう私ども考えていったらいいのかということで、いまだに実はその方向づけが——これは皆さん方の御意見を伺った上できめるべきことでありまして、私自身がその方向を確立いたしておりません。それがいまの定義による産業廃棄物範囲政令等によって広げていくか、あるいはあまり広げないで事業から出る廃棄物であっても一般廃棄物のほうにいくようにするべきか、その辺のことにも関連をいたす問題だと思います。そこで、これは和田さんよく御研究のようでありますが、市町村が一体この法律によってどういうことをやるのかということになりますと、まあ定義の問題は別といたしまして、一般廃棄物処理と、それから産業廃棄物であっても一般廃棄物一緒処理したほうがいいと市町村がみずから考えられる、そういうものを一般廃棄物一緒処理することと、それから第三番目には、これはもう全く純粋の産業廃棄物である、企業責任に属するものであるけれども、もちろん企業から銭を取るわけでありますけれども市町村が自分のほうでやってやろうというものがありますならば、市町村はその産業廃棄物の一部を——これは広域ではありません、その市町村の区域内のものになるだろうと思いますが、そういうものも市町村処理できる、そういう実はたてまえになっているわけでございます。それは第九条をごらんになるとわかります。しかし最後に残るところは、いわゆる一般廃棄物とは何ぞやということになると、この定義産業廃棄物として定義づけられるもの以外のものでありますから、産業廃棄物範囲を広くしますと、一般廃棄物範囲も狭くなりますし、産業廃棄物定義による政令規定するものを広くいたしますと、今度は一般廃棄物は狭くなります。いまのところでは魚屋さんとか八百屋さんとかという業者、これはお店から野菜くず、魚のくずも出てまいりましょうし、あるいはまた市場とかあるいはビルとかというようなものから出てくるごみも、これもその事業に伴って排出する廃棄物でありますので、それも産業廃棄物として政令の中に入れたほうがいいのか、あるいはそれは政令では規定しないで一般廃棄物のほうに入れたほうがいいのか、つまり八百屋ごみでも魚屋ごみでもビルごみでも、家庭から出るごみと態様が似ているし、いままでせっかく市町村というものが清掃法によって清掃体制というものをつくっておる、あるいは場合によっては市町村ばかりではなしに市町村業者に委託なんかして体制ができておりますから、それはやっぱり一般廃棄物として市町村業務のほうに入れておいたほうがいいという考えが強ければ、いま局長も述べましたように、そういうものは産業廃棄物のほうの定義づけにしないで、一般廃棄物として、そして当然市町村業務に入れると、こういうことになると思うわけでございますので、きょうの御議論の中においても、その辺が私どもの進むべき方向がわかるようにひとつ御意見も承りたいと思います。  それから、なお、また政令などつくります場合には、環境衛生調査会というようなものがございまして、各方面の専門家もおられることでございますので、おそらく厚生省原案のようなものを、ある程度つくりましたものをそういうところにもかけて、そして御意見を伺うようなことにしたらいいのではないかとも私は思っております。
  26. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) いまの衛生調査会ということですが、これは正確に申しますと、生活環境審議会ということでございますので、訂正させていただきます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 いまの生活環境審議会などと、まあ言われたわけですが、その「など」のほうで、たとえば自治体関係者であるとか、さらにワクを広げて意見を徴されていく、そういう形が今度の場合たいへん好ましいと思いますが、よろしいですか。
  28. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 実は今回の清掃法改正作業を進めるにあたりまして、あらかじめ一年ぐらいかかりまして、生活環境審議会の中で特別の分科会をつくっていただいて、関係自治体の代表の方にもあるいは学識経験者の方にも、また関係の方々にお入りいただきまして十分に御意見を賜りまして、その結果の答申に基づいて作業にかかったということがいままでの経過でございます。またたとえば自治体のほうの関係の代表の方、あるいは清掃事業に直接現場で当たられておられる方々の代表の方、そういった方々、あるいは業者の代表の方々、そういった方々等の御意見も十分に伺いまして作業を進めたわけであります。したがいまして、今後この法案が幸いにして成立いたしました暁、当然政令の中身に入ってくるわけでございますが、これらの経過から考えましても、私どもとしては、今後十分に関係方面の御意見もとりながら作業を進めていきたいと、か  ように考えております。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 次に進みますが、第三条二項の「物の製造、加工、販売等」、この「等」ですね、これはどのようなことが想定をされていますか。
  30. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 物がつくられましてから、最終段階にそれが消費者の手に渡りまして、そして消費者の方の御判断で廃棄物になっていくという一連の過程考えますと、物をまず製造する、それから加工する、あるいは販売したり、あるいは輸入とかですね、そういったようないろいろな経路が考えられますので、別に特別の段階ということを考えて「等」としたわけじゃございませんで、一連の系列を考えまして、漏れなく例示的に製造、加工、販売とやったわけで、もしも漏れておればということで「等」という字が入ったわけでございます。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 この三条にこそ、私、冒頭、原則で申し上げました、いわゆる義務規定などという発想に基づいての罰則ですね、これが要るのではないかと思うんですがね。
  32. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 第二項のほうでございますか、これはいろいろとお考え方があろうかと思います。原案では、これがいわゆるつとめなければならないということで、何と申しますか、努力規定と申しますか、そういったような表現になっておるわけでございますが、確かに「(事業者責務)」という形でもって表現されておるわけでございますが、実態というものを考えてみますと、物をつくる段階あるいは加工販売する段階でもって、あらかじめ廃棄物となった場合に適正な処理が困難にならないようにおもんぱかってやれということでございまして、しかし、この廃棄物になるかならないかというのは、最終的には、これは実は消費者の方々の御意見が、意思が入ってくる。最終所有者の方の意思が入ってくる。そこで、最終所有者の消費者の方が、これはもう少し花びんなどにしてでも、たとえば花びんにでもしてもとっておこうといったようなことでございますと、そいつはまだ有用物として残るわけであります。ところが、これはどうも捨てちゃえというようなことになりますと、初めてその段階でもって廃棄物ということになるというような実態もございます。したがいまして、あらかじめそういったことを想定してまで事業者の方に罰則をかけてまでやるのはいかがかといったような懸念もあるわけでございます。また、私どものこの条項を設けました趣旨は、この条項によりまして、私ども、これをよりどころといたしまして、強力に事業者の方々の行政指導を行なっていくそのよりどころになる。現に、たとえば——あるいはあとでいろいろと御質問もあろうかと思いますが、たとえばポリエチレンの容器、これをワンウェイで使うといったような場合に、現在では、あれはまさに厚生大臣の御裁量による行政指導でやっておるわけでございますが、この条項ができますと、それがたとえ罰則がなくても、もう少し明確な態度で行政指導というものができるのではないかと、かように考えておるわけであります。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん事業者責務を明らかにしている条項で、いま答弁にありますように、消費者が判断をしなければ廃棄物になるかならないかわからないのだというような言い方の答弁というものは、私は筋が通らないと思うのです。明確に、いまひとつ例がありましたが、その例なんかでも初めから廃棄物になるにきまっているような種類のものはたくさんあるわけですよ。それらのことがある。この法律に基づいて行政指導を強化すると、こう言われるけれども、その行政指導が生きてきていないから、問題はいろいろの公害が起こっているわけですね、この部面においては。そうすると、それに対する罰則が、せっかく公害国会と言われるこの国会法律をつくりながら、全然予定をされないというのは、だれが考えても不自然じゃないかと思うのですが、これは、大臣いかがですか。
  34. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 三条は実は私が言い出した規定かもしれません。少し表現がオーバーかもしれませんが、私が主張しなければ、この条文は入らないままになったかもしれません。それはどういうことかと言いますと、これは和田さんいろいろ御承知だと思いますが、この一項と二項はまるで趣旨が違います。一項のほうは、自分の作業中に出てきた廃棄物は自分で始末しなさい、それをはおったらかして市町村のお世話になるべからず、またお世話になるときには金を取られますよという意味の根拠規定でございますが、二項のほうはそうではないので、国民の消費資材等になるものを事業者がつくる場合の心がまえでございます。たとえばこのめがね、プラスチックでございます。和田さん罰則をかけろと言われますが、このめがねがこわれますと、おそらくこの節では修繕に出すよりも捨てて新しい物を買いに行くということになりますから、このめがねの製造者は、捨てた際に世間に迷惑をかけないように、たとえばこれを燃やした場合に塩素ガスが出てこないように、あるいは非常に高熱を発して炉がこわれるような、そういうことがないような素材の研究開発につとめなさい、こういうことでございますので、罰則をかけるにも、その際めがねつくったやつは罰則だ、プラスチックのめがねっくったやつは罰則だ、それなら鉄のめがねっくったらどうだ、鉄のめがねでもこわれた場合は捨てます。捨てた際にはその鉄が始末がしやすいようなものをつくりなさい、これはめがねはなかなか捨てませんけれども、それが牛乳びんとか何かになりますと毎日要りますから、その際に、それは事業の用に使いますけれども廃棄物になって出てくるときは消費者の家庭から実は出てきます。おそらくヤクルトでも——これは例にとって恐縮なんですが、ヤクルト会社がこの容器をつくっているのではなくて、別の会社に容器をつくらして、ヤクルト会社はそれを買って、自分がつくった乳酸菌飲料を入れまして、そうして消費者の家にワンウェイで売り渡すと、そういう際にびんのメーカーも、またヤクルトさん自身も、これを容器として販売するのですから、ヤクルトさん自身もそれを消費者の家に配り放しで、あとは知らんよという顔はしないように、できる限り自分で回収するなり、あるいは処理されやすいような資材を開発するなり、何らかのひとつ努力をすべきであると、こういうことをやらすべきではないか。これは販売なんという字は最後まで入らなかったのですが、実は私ががんばって、販売というものを入れておかないと、百貨店の袋でもビニールの袋がたくさんございますので、あれは百貨店は販売の用として出すものですから、ああいうものをむちゃくちゃに出すべからずというような、ひとつこちらから、ああいうものをやたらに出してもらったら困るということを言えるようにしておこうじゃないかということで入れました。したがって、罰則をかけるとしますと、そういうものをつくるべからず、べからずに反したときは罰則だと、こういうことならともかく、これはプラスチックに限りません。その他のいろいろの素材、資材につきまして、自動車にしてもそうでございます。あるいは電気冷蔵庫にしてもそうでございますので、メーカーにひとつの倫理的義務を与え、場合によっては適当な始末がしやすいようなことをしないと、それが許可にかかる製造などの場合には許可しないとこういうことの根拠にもすると、こういうつもりでこの規定を実は、多少の抵抗がございましたし、法理論的にも問題がございましたが、実は入れたと、こういうわけでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 これだけではやっぱりつくられ続ける危険性というものがある。たとえば、まあ卑近な例で牛乳が出ましたが、牛乳の容器に行政指導で禁止をされているものが使われる条件が全くなくなる、全くなくするためには、もっとやっぱりこれに対して罰則適用等が考慮される必要があるのではないだろうか。子供たちの何ですか、一口に飲むジュース類、これなんかも、あのプラスチックの容器なんというのは、初めから一輪差しにするなんということは想定できません。飲めば店の前で捨ててしまう。こういう形のものですね、そういうものはもういけないにきまっている。それに対して行政指導でもっていけません、許可しませんなどというような形のことを用意をされながらここをつくられた、いまの大臣答弁では、この三条を入れられた、そういうことですか。
  36. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ちょっと補足します。  それがいまのジュースの一口飲みの容器であれ、これは好ましくないものなんですが、それをつくるべからずという規定がないと罰則かけられないのじゃないでしょうか。ところが、それをつくるべからずという規定は、廃棄物処理法の中ではもちろんのこと、いろんなこれから物質が出てまいりますので、こういうものをつくっちゃいかぬ、ワンウェイの牛乳容器でも、ヤクルトの容器でもつくっちゃいかぬということは私は言えないんじゃないかと思いますが、たまたまきわめて幸いなことに、乳製品の容器については、これは全く衛生上の見地から、透明なガラスびん以外ものを使おうとする場合には、許可ですか、承認ですかを得なければならないという規定がたまたま食品衛生的見地からあるわけなんでございます。それはおそらくこういう趣旨だと思います。プラスチック類などに可塑剤というものが入ります。その可塑剤が中の乳酸飲料その他のジュースでもいいのですが、そういうものに溶け込む危険があるので、それらを分析した結果、その心配がないというものでない限りは許可しないという、全く食品衛生的な見地から許可主義が置いてございます。でありますから、そういう危険がない限りは、本来からいうと、ここまで言うと行き過ぎになりますが、しかし事をはっきりするために申しますと、許可をしなければならないものかもしれませんが、可塑剤が浸透しないのだ、毒物劇物も入ってないのだということになりますと、食品衛生法上の目的からいうと許可しなければならないかもしれませんが、しかし、一方、そういうものがワンウエイではんらんしますと、廃棄物処理上非常に困ることになりますので、そこで、ここでこういう規定処理しやすいようにしようという今度法律ができたのだ、だからあわせて処理しやすいものでなければ許可しないよ、こういうこれは一つの手段にもなる、こういうわけなんです。しかし、めがねとか、万年筆につきましては、あるいは歯ブラシなんかもそうでございますが、これについては、これはあくまでもどうもやはり協力要請規定でございまして、罰則の適用というようなことは、あるいはめがねの製造許可にかけるとかあるいは万年筆の製造許可にかけるとかいうことは、これはできないんではないかと思います。思いますが、しかし、世間では、そういうものが一般の廃棄物の中へまざってくるものですから、焼却装置が焼けてしまったり、空気が足りなくてばい煙が出たりするわけですから、皆で、こういうものがあるないにかかわらず、あれはいかぬのだというふうにだんだん世間も持っていってきているので、そういう面からいまのところでは締め上げていく以外にはないのじゃないか、罰則というわけにはいかないのじゃないかと私は考えるわけで、決して業者を私は弁護すると、こういうことではございません。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 時間の関係もありますから進みますが、第四条の一項「職員の資質の向上」についてというやつがありますね。「資質の向上」、各自治体の長というものは、御存じのとおり、自治法や地公法に基づいて当然やっていることなんです。それなのにあえて清掃法でこれをうたったこと、これはどういう意味があるのですか。
  38. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) これは、実は現行清掃法の中にも同様の表現があるわけでございます。したがって、今回特にその「資質の向上」云云について配慮したわけではございませんが、これが入ったいきさつを考えますというと、やはりだんだんに廃棄物処理ということに科学的な知識というものが要求されてきているわけでございまして、ことに、どういったような廃棄物が出てくるかわからない、爆発の危険があるとか、あるいは皮膚がおかされる危険があるとか、いろいろなそういったものがあるわけでございます。それで科学技術の向上と、またそれに即応いたしました知識、手技といったことが強く要請されてきております。このような見地から、国あるいは県におきましてもいろいろな研修会を行なっておったり、あるいはまた、こちら側から国としても予算を計上いたしまして、一般廃棄物処理施設の技術管理者の研修会をやるといったこともやっておりまして、そういった意味合いで、もちろん公務員としての一般的な資質ということはもちろんこれは公務員法その他でもってやるのは申すまでもありませんが、私どもは、近代清掃法はやはり技術的な裏づけがほしいという意味で、特にこの文句は入ったわけでございます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 これは技術的な裏づけなども含んで当然これは自治法、地公法に基づいて自治体の長がやっていることなんです。前の清掃法にあったからおそらくそのまま写されたと思うのだが、私は、清掃法ができたときに、いってみればこの「職員の資質の向上」を特に清掃法だけが——他の個別法にはないのですから、入れた筋合いというものは、いまここで言わなくったって、わかっているのです。それがいまの状態の中で、今日の現況の中でもこういう考え方が残っておるというのは、これはたいへんな問題だと思うのですよ、実は。いま科学的な資質などというようなことを言われたことは、あとからつけたこれは理由です。最初に法をつくられたときの立法のいわゆる論議がずっと残っていますが、そういうような事情というものはもうないわけです。それは一部ではまだ差別待遇なんというのは行なわれている。行なわれているけれども、そういう事情というものはなくなっているということをやはり基本的に考えて、第四条のこの部分については、当然自治体の長の責任においてやっていることなんですから、他の個別法にないのに、これだけが持っているという意味合いはないと思う。削っていただきたいと思いますね。
  40. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 従来、厚生省といたしましても、いわゆる清掃事業全般の運営の改善向上というようなことで、市長会あるいは都市センターあたりの御協力も得ましてそれぞれ関係者学識経験者の方にお集まりいただきまして、いろいろと技術全般のことから職員の方々の待遇の改善、作業方法の改善といったようなことまで万般にわたりまして論議を重ね、御意見を賜わってきたところでございます。したがいまして、私ども考えの中に、いま先生の御指摘のようなことは万々ないのでございますが、今般も、法改正につきましては、従来の条文はできるだけそのまま表現を変えずに、こちらに移しかえるといったような一つの方針がございましたので、全面的な法律改正のていさいはとっておりますけれども現行清掃法規定はそのまま実は中身においては残っておったといういきさつもございました。それらの点については、今後誤解のないように私どもの行政指導上の面で十分に配慮してまいりたいと思います。
  41. 和田静夫

    和田静夫君 時間の制約がありますからあれですが、ここの部分については理事会で一ぺん取り扱ってもらいたいと思うのです。他の個別法にないのに、いま答弁があったように、従来のいきさつからここの部分は残っているのです。その従来のいきさつというものが問題なんです。したがって、これはもう私がここで何べんやっていても時間を食うだけですから、取り扱いを一ぺんゆだねておきます。  第二項に、都道府県は、「当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況をはあくし、」、こうあります。たとえば昨年の八月十九日の生活環境審議会清掃部会都市廃棄物分科会、ここで安田委員が、先ほど廃棄物の行くえ調査の話があったが、廃棄物は、いうならば業界の恥部であり、公表をはばかりたい気持ちはわかるが、このために正確な実態をつかみにくいうらみがある、こう発言をされております。この状況がある限り、第二項のこの「産業廃棄物の状況はあく」は実は不可能なんです。それとも、この新法のもとではこの状況が改善をされる見通しがありますか。
  42. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) お尋ねの第四条の第二項の「産業廃棄物の状況のはあく」ということでございますが、これらにつきましては、都道府県のほうで計画を策定するにあたりまして、当該廃棄物を排出する事業者、施設からいろいろと報告を徴収するということが一方でできるわけでございます。それから私どもは、来年度の予算要求の中におきまして、都道府県でもってこの産業廃棄物処理計画、これは恐縮ですが、後ほどの第九条、第十条で「都道府県知事は、当該都道府県の区域内の産業廃棄物の適正な処理を図るため、産業廃棄物に関する処理計画を定めなければならない。」という規定がございますが、この規定の中身を遂行するために必要な調査費というものの予算要求も実はしているところでございます。その両両相まちまして、従来は、確かに先生の御指摘のようないろいろと実態を把握しにくい状況であったかと思いますけれども、今回のこのような法改正によりまして、私どもは、できるだけ産業廃棄物の状況を、一〇〇%までといきませんでも、できるだけそれに近いような把握を期待していきたいと考えておるわけでございます。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 当然のお答えだと思うのですが、問題は、その業界に向かって、業界の恥部としての産業廃棄物の公表というものを指導上やっぱり強く迫っていかないとこの条項は死文化する、そういうことが考えられますから、それは意見として強く述べておきます。  五条二項の大掃除です。こんなことまで法律に書く必要が私はあるのだろうかと思うのです。これこそ地方自治の内容に属する問題なんですが、こんなものは削られたらいいんじゃないですか。
  44. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 確かにそういったお考えもあろうかと思います。市町村のいわゆる固有事務としての清掃事業、これは当然の市町村責務ということでございますので、一々こまかく国が法律でその中身をいろいろときめていくといったような考え方は、あるいはおかしい点もあるかもしれません。しかしながら、現行清掃法のできましたいきさつあるいは今回の産業廃棄物を入れましての法改正案を作成いたしましたまでのいろいろな各方面からの御意見というものを総合いたしますと、必ずしも市町村によりましてはその固有事務である清掃事業というものがなかなか十分に行なわれていない、かような実態もあるのではないか。ここしばらくの間は、やはり国の段階で、進んでいる地方自治体の実情というものをも勘案しながら、いろいろと最低限の条件については、できれば法律の中でもって明定していくということが現段階としてはやむを得ないのじゃないかといったような考えもあるわけでございます。もう少しきつくいろいろと条件をつけろといったような御意見も一方あるわけでございます。私どもといたしましては、第二項のこの程度のことは、現在においてはやはり国全体のレベルを考えて、おくれている市町村といったようなことまでも考慮に入れました場合には、必要やむを得ざるくらいの条項ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 時間ばかり気にしているものだからあれですが、いまの前段のお答え、それがほんとうのところだと思うのです。あとのところずいぶん苦しそうなんですが、旧法で悪いことは悪いから、今度新しく法律をつくるのですから、その辺のことをやはりはっきりされたほうが私はいいと思うのです。やはりそういう立場に立ってもらいたいと思います。  それで第六条の四項の可燃物と不燃物の区別です。これは一体住民はどういうふうに区分しろというのですか。
  46. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) これは、たとえば。プラスチック類とかあるいは台所から出ます厨芥といったようなものを別の容器に入れて集積場までひとつお運びいただきたい、こういった趣旨でございますが、従来のいきさつを申しますと、戦後、このように可燃物と不燃物、台所の厨芥あるいはその他のいわゆる雑ごみといったようなものを分けて収集していったという歴史はございます。いわゆるこれを分別収集と申しておったのでございます。それから現に、現在でも多くの市町村でもって分別収集ということは行なわれておるわけでございます。一部大都市におきまして、だんだんにこれは都市の生活が複雑化してきたということもございましょうし、また収集する側の利点を考えまして、混合収集ということが取り入れられたわけでございます。その段階においては、混合収集は非常に清掃事業の能率化ということで利点があったと思います。ところがだんだんに、いわゆるプラスチック類等をはじめとするいろいろな複雑なむずかしいものがごみとして出るようになりまして、これらが都市の清掃施設に対して非常に重大な影響、損害を与えておるという事態になってまいりますと、これは単にいままでの混合収集だけの利点というものを考えるわけにはいかないのじゃないかということで、混合収集を再び分別収集に御協力願うというふうな点をこちらとしてはお願いせざるを得ない、このようなことかと思います。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 可燃物と不燃物を各別の容器に収納をし、粗大ごみを所定の場所に集める等、このことは市町村住民との具体的協力関係の内容ですよ。ここでは抽象的な義務規定にとどめられる、そういうことが私は至当なんだと思うのですがね、いかがです。
  48. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) その点は、先ほどの五条の二項で、和田先生が申し上げられたと同じような御趣旨の考えかと思いますが、やはり現状におきましては、第四項に規定しているような事柄をやはり法律として、いわばナショナル・ミニマムと申しますか、そういったようなところに焦点を合わして考えていかざるを得ない状況じゃないか、このように存じておる次第であります。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 第五項の「事業活動に伴い多量の一般廃棄物を生ずる」場合、この場合とはどんな場合ですか。
  50. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) いろいろの場合があると思いますが、たとえばマーケットみたいな場所、それから特別な専門のお店がずらっと、小さいお店でございまするが、並んでおるといったような状態が考えられるかと思います。また大きなビルディングあたりで、それぞれの事務室から出てくるごみの量は少なくても、全体として集まった場合にかなりな量になるといったようなことも想定されるわけでございます。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 ビル、商店、そうすると、この五項にかかわらず、三条の一項がある以上は、いわゆる事業活動に伴い生ずる一般廃棄物、基本的には事業者がその責任において処理しなければならないものなんですから、その処理はむしろ例外的に市町村が協力をしてやる、そういう場合の規定ですね。すると、いまの趣旨から、この六項にいうところの一般廃棄物とは、事業活動などに伴い生ずる特殊に大量な一般廃棄物を指す、こういうことではないですか。
  52. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) ここで第三条の第一項では、まことにことばだけの問題でこういうことを申すのは恐縮でありますが、第三条の第一項は「事業活動に伴って生じた廃棄物」という表現でございます。それから、第五条の第五項では、「事業活動に伴い」、「多量の」が入っておりますが、「一般廃棄物」という表現になっておりまして、第三条では、つまり全般的に廃棄物という、第二条で規定しております廃棄物というものについての事業者責務ということをうたっておるのでございます。第五条の第五項で言っておりますのは、第二条の第三項で限定する産業廃棄物以外の廃棄物ということに相なるわけでございますが、そういったような区分があるわけでございまして、実際的にどうなりますかと申しますと、これは一つの例で申しますと、一般家庭から出てまいります廃棄物については一定の料金を取る、あるいは場合によっては取らないと、ところが多量に出てくる、たとえば八百屋さんあるいはマーケットから出てくるこういった廃棄物は、一般廃棄物であっても場合によっては従量制の料金を取るとか、さらにはもっとそれこそコストまでも見込んだ料金を取るといったようなことになり、また産業廃棄物としてはっきりと限定された場合には、それこそこの処理施設からまたそれを維持するためのいわゆるランニングコストといったようなものも、これは事業者責務になるといったような分かれ方も考えられるわけでございます。ことにまん中で申しました従量制の料金を取る云々といったようなことは、従来の清掃体系でもそういったような扱いをしておるということもございまして、そういった実態に即しての説明を申し上げますとあるいはおわかりいただけるかと思うわけでございます。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 この第六項は、条例で定めて初めて手数料が取れるという条項でありますから、そうすると自治法の二百二十七条二項の別の法律の定めとは思われないわけです。とすれば、自治法の二百二十八条がある以上この条項の必要は全然ないということに私はなると思いますね、いかがですか。
  54. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 地方自治法の手数料条項、御指摘の二百二十七条の規定は「普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料」を取ることができるということで、これで十分ではないかという御趣旨だと思いますが、「特定の者のためにする」ということ、さらにここで、清掃法でもってこの法律を受けてまた特別のこの定めをした、いわばこの二百二十七条を受けて清掃法でもってはっきりと定めをしたと、こういう関係になるわけでございます。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 これはもう一ぺんあとで返りますが、ちょっと進みますけれども、第七条一項の「その他厚生省令で定める場合」は、たとえばどういう場合ですか。
  56. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) これは、下水道のほうから出ます汚泥とか、それから浄化槽の掃除の場合に出てまいります液状のものとか、こういったようなものが入ってくるわけでございまして——失礼いたしました。下水道の終末処理場から出てまいります汚泥がございますので、それを除くという意味でございます。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 第二項の当該市町村による一般廃棄物の収集運搬及び処分が困難、この場合はどうなるのでございますか。
  58. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) たとえば急に市街地が広がりまして、いままでの計画処理能力をもってしては急の間に合わない、あるいは急に新しくそこに団地ができまして人口が非常にふえてきたと、そういったようなことで急の間に合わないといったような場合でございます。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 第四十八国会において清掃法の一部が改正をされた際に、厚生省は、現行清掃法の十五条の二につきまして、「汚物の収集及び処分が困難であり、」という場合は、当該汚物が工場等の生産活動に伴って排出される多量の汚物、または通常の施設において処理することが困難な特殊な汚物である場合、年度の途中において予期しなかった急激かつ大幅な人口の増加があったため市町村の作業体制の整備が間に合わない場合であると答弁されているのですね。今度の法改正によって、当該汚物が工場等の生産活動に伴って排出される多量の汚物、または通常の施設において処理することが困難な特殊な汚物とある場合は、産業廃棄物処理ということで別扱いになったわけですから、この七条の二項の困難な場合とは、年度の途中において予期しなかった急激かつ大幅な人口の増加があったため、市町村の作業体制の整備に間に合わない場合、それだけということになろうと思うのですが、よろしいですか。
  60. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 人口が急増した場合、そこに新しく団地ができた場合、それから区域が広まったと、そういったような先ほど答弁いたしたとおりでございますが、ただし、市町村自身が行ないます事業活動といったようなことがあるわけでございます。それはたとえば下水道の終末処理場から出る非常に多量な汚泥、あるいは焼却施設などから出てまいりますいろんな燃えがらその他、場合によって市町村事業活動等に伴う廃棄物のうちで、いわば産業廃棄物と同種のような性格のものも場合によってはあり得るわけでございますけれども、一般的には、先生のおっしゃった人口の急増、あるいは団地の新造といったような場合が大部分であろうかと思います。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 私は、決算委員会でも、またきょうの委員会でも何度も言ってきましたが、清掃事業、つまりごみ処理というのは、地方自治体住民へのサービス行政の中ではかなり基本的なものなんです。大臣にお聞きをしたいんですが、それでなくても、欧米などに比べて日本では民主主義の基礎といわれるいわゆる住民の地方自治への帰属意識が薄いわけですね。まあ、最近はそうでもなくてたいへんな勢いで全国で住民運動が起こっていますから、非常な盛り上がりがある。そういう意味では住民の地方自治への帰属意識というものが非常な勢いで近代的なものに確立されるという状態になってきているとも思いますが、この清掃事業くらいは無料直営ということにならないと、住民にとってますます地方自治体は遠いものになってしまいます。大臣の政治力でこの清掃事業の無料直営原則をもっともっと私は強く押し出していただきたい、そういうふうに思いますが、ここはおかぜをお召しでしょうけれども、ひとつ明確に、いつものようにはっきりした答弁をいただきたいと思います。
  62. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 公共団体の固有事務でありますし、また公共団体は住民税その他の税金もとっているわけでございますから、私はそういうものでカバーできれば、それにこしたことはないと思います。しかし現行清掃法にも同様の規定もあるというようなこと、また、ことに一般廃棄物の中には家庭廃棄物と種類は同じようなものでありましても、やはりさっきもたびたび話が出ていますように、業者である八百屋さんのお店ですか、あるいは市場から出てくるような市場ごみのようなものも一般廃棄物として市町村処理せられるような場合に、そういうものを市町村が手数料を取る必要がある、取ったほうがいいと考えられる場合には、条例で取り得るようなことにしておいたほうがいい場合もあるのではないかとも私は思うわけでありまして、最初にお互いの論議の中で触れました一般廃棄物の中の、広い意味か狭い意味かによりましてもここは違ってくることでございますが、やはり事業者責任意味から、この法律一般廃棄物とされるものの中でも手数料を出させたほうがいいものもあるかもしれないとも、私は、恐縮でございますが、漫然と考えます。  それから、これは所管でございませんから、私もはっきりわかりませんが、下水の処理などにつきましてもそれは同じでありますが、これらも水道料金に上乗せして下水道料金を取っている公共団体もあるというようなことから、この点等も考えますと、必ず取るということではなしに、それぞれ地方公共団体のお考えで条例をつくるわけでありますから、市民の意向を十分に反映をした上でおきめになるようなことでいいのではないかとも私は思います。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 直営のほうはどうですか。
  64. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私がいま申しましたのは市町村直営。市町村で直営されます場合に、各家庭から出てくる家庭ごみ、お勝手ごみもございますし、それから市町村直営であってもやはり市場とかあるいは八百屋さんとか、魚屋さん、ああいう業者から出てくるものもあるわけでありますから、そういう際に市町村直営の場合でも、それは魚屋さん、八百屋さんから取ったほうがいいというわけじゃありませんが、業者なんだから、やはり取ったほうがいいというような状況にあります場合には、国が必ず取れというわけじゃないのですが、条例できめられる余地を残したら、こういう気がいたすわけでございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 これはいつもの大臣らしくない答弁になりましたね。前段で切れておればみごとなものだと思ったのですが、あとのほうが余分じゃないですか。さっきからずっと論議をしてきましたように、そこで、私は最初に言ったように、一般の廃棄物という、こういう規定のしかたの中にどうもごまかしがある、じゃ家庭廃棄物という形にして、それは直営無料、そういうふうに明確にされたほうがこの立法の精神からいってたいへん正しいのじゃないか、こう思うのですよ。そこにどうも混濁がある。
  66. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、先ほど論議の最初のときに申し上げまして、私はよくわからぬ点がある、こういうことを申し上げましたのは、地方自治体の直営の場合、清掃をやられております範囲を一体いまの事態のもとにおいて広いほうがいいのか、狭いほうがいいのかということが私にはわからない。しかし、たとえばこれはあたっていませんかもしれませんが、自治体にそういう職務を持っておられる職員の方々の団体もございましょうし、また、直営の仕組みもあるわけでありますから、各家庭から出るごみだけに局限をするよりも、似たようなものは市場から出るものとか、商店街魚屋さんあるいは八百屋さん等から出るごみにつきましても、やはり私は自治体のこれらの組織の方が自分の仕事としておやりになるほうがいいのではないか、そういう考え方も強いのではないかと思います。したがって、これらの自治体がやるのは家庭ごみに限ってしまって、それは無料だということ、そういう行き方もございましょうが、より広く手に負えない、また、当然それは事業者がみずからの責任においてやるなり、あるいは銭を出してやるべきもの、この法律でいう産業廃棄物は別といたしまして、事業者事業過程から出てくるものでも、一般廃棄物といわれるものは、自治体、自治労などの組織でやるようにしておいてあげるほうが私は親切じゃないかという気が、これはよくわからないのですが、いたすわけであります。そういう際に私は決してほかした、普段の厚生大臣らしくない答弁をするわけじゃございませんが、そういうお金を取ってもいい事業者から出るものもあるんじゃなかろうかと、こういうふうに思いまして、それを必ず取れというわけじゃありません。親切な公共団体があって、市場から出るごみにしても、あるいは百貨店から出るごみにしても、八百屋魚屋さんから出るごみにしても、みんなただでやってやるということももちろんけっこうなんでございましょうが、取ったほうがいいと思う場合には取り得る道を残したほうがいいのではないか、こういうふうに私は思います。これが間違いだということでありますならば、またひとつお教えをいただきたいと思います。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 基本のところでまだ分れていますが、したがってそのことはもう一ぺん整理しますと、政令で定めるところの部分、定める条件、物について、言ってみれば関係者意見も聴するということは先ほどお約束願ったとおりですが、そこでもってきまっていく。そうすると、たとえば魚屋さん、八百屋さんというものが事業活動という形でそこから出す、いわゆる廃棄物というものは、その産業廃棄物という概念の中に入っていくかもしれぬわけですね、政令をつくるときの関係者意見を聴することによっては。それを除く部分について、私は、もう当然それは直営、そして無料というのが当然ではないか、こう言っているわけです。その前段の部分がまだ大臣と最終的に意思統一ができていませんからあとの注釈が加わるんでしょうが、したがって注釈の部分は別にしておけばいいんじゃないですか。
  68. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、ただほどけっこうなものはないと思います。でありますから、この規定も取りなさいという、家庭ごみについて取りなさいというわけじゃありません。それで決してことばを濁すわけではありませんが、ごみの種類にもいろいろありまして、家庭から出るごみでもいわゆる粗大ごみというようなものがございます。この節は皆さんの生活水準が高くなって、テレビをほったらかす、電気洗たく機もほったらかす、冷蔵庫もほったらかすというような、家庭から出るごみ、これは事業活動から出るものじゃありませんから、狭い意味においても一般の廃棄物になると、家庭廃棄物になるわけでありますが、そういうものは目下の規定は、御注意をいただいたような規定で、別に積み上げてしかるべきところまで運びなさいというような、親切過ぎるような規定もあるわけでありますが、ああいうところから見ましても、最近そういうものが非常に多くなっております場合に、ただほどけっこうなことはございませんが、そういうものについて料金を取らなきゃならぬというような場合には、それも取っちゃいかぬということにしてしまっていいのかどうかということがございますので、その辺は条例で市町村におまかせすると、こういうつもりでいかがかと思います。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 原則は、言ってみれば考え方としては無料であるという、前段で大臣答弁をされた考え方というのは、それはそれでいいわけですね。
  70. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ここには書いてありませんけれども、そういう考えのもとに取ることができると、こういうことだけにいたしてあります。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 四十三特別国会で、政府は今後請負については規制をすると御答弁された。広範かつ強力な行政指導と、そういうまあ約束をされた。その後、自治体における清掃事業の民間委託は、御存じのとおり、拡大をされているのですね。厚生省はどういう行政指導をされたわけですか。
  72. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 前国会で、いわゆる清掃事業の直営という問題についていろいろと御意見が出たわけでございますが、その際、直営というものの考え方につきまして、市町村がその職員を便ってやるという場合が一つ考えられるということでございます。それから業者が現実の問題として、いわゆる許可業者でございますが、いろいろと清掃事業については分担をいたしまして、全体的な作業の進捗に寄与しているわけでございます。これらにつきまして、そのときの実態でどうかと申しますと、どうも市町村のほうで漫然と業者に許可を与えて、そして収集あるいは運搬、あるいは処分といったようなことまで当たらしておる。この中身についてはほとんど掌握していないといったような実態が当時は非常に多かったわけでございます。これらは市町村長義務を十分に遂行していないのではないかというような強い御指摘があったわけでございます。私どもも、現行清掃法、あるいは現行清掃法が前回国会に提出されるまでのいきさつを考えてみますと、御指摘の点は多々あったかと思います。それでそのような場合に、市町村長義務としても、また許可業者がせっかくいろいろと清掃事業について分担しておられるその実情から見ましても、これらをひとつきちっとする必要があるということで、委託というものの考え方を取り入れたわけでございます。この委託と申しますのは、中身を政令できちっときめまして、そして市町村長がみずからの職員を使うと、少なくとも同等に、あるいはそれ以上に十分に市町村長業者の中身を把握いたしまして、そして事実上の市町村長さんの手足となって動けるといったような、そういった実態があらわれるように政令にいろいろと取りきめてやってきたわけでございます。当時、むしろこのような清掃事業については業者にいわゆる請負という形でまかしてもいいんではないかという極端な議論もあったわけでございますが、それらについてはやはり市町村長義務が明確な形で遂行できるようにということで、委託は、つまり例で申しますと、東京都で行なっておりますような委託というものは東京都直営という考え方で、そこの範疇に入れてよろしいではないかというふうにしたのでございます。また、これによりまして、むしろたとえば委託の中にいろいろと予算的な問題もぴしっとこの中できめることによりまして円滑な事業の進行を期待することも同時にできるのではないかというふうに考えまして、自今、私どもはこのような野放しな形での許可業者というものについては、そういったことが絶無になるように強く指導してきたつもりでおりますし、また市町村によっていろいろと事情はございましょうけれども、いわゆる直営という形でもって漸次整理していくように団体その他を通じましていろいろと指導してきたところでございます。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 第七条第六項、処理業者のこれは事業が進行してしまっているあとのことなんですね、実際上これは不可能ではないかと思うのです。このような条項よりはむしろ許可基準をきびしくする、そのほうが必要じゃありませんか。
  74. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) まさに和田先生指摘のとおりだと思います。したがいまして、ここにあります許可を取り消すとか何とかといったようなのは、すでに許可の段階でもってそういったことがあらかじめ起こらないようにぴしっとしておく。しかし、これでもなおかっこういった問題が万一起こることもあります。その場合には許可を取り消す。それからさらに背景と申しますか、基礎、ベースと申しますか、市町村長さんはいろいろな一般廃棄物処理についての当然の義務がございますので、市町村長さん方が許可するときにはそういったことを十分念頭に置いてやると思いますし、もしもこれによって許可業者の分担しておりました範囲内の清掃事業が停滞するというようなことになりますと、これは直接に市町村長さんの責任になるわけでございますから、どのような手段を講じてでもこれには対抗していただかなくちゃならないというふうに考えておるわけでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 この第八条の第三項の場合も、いまの第七条第六項の場合と同様に不可能であって、むしろこれも私は基準をきびしくすべきではないかと思います。新しい、何といいますか、いわゆる修正後の法律案の八条三。
  76. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 確かに御指摘の点があろうかと思いますが、一般廃棄物処理施設、その他廃棄物処理施設をつくるときには、あらかじめその届け出をさせまして、基準に適合しているかしていないかということをこちらでチェックするという段階があるわけでございます。それから、それで施設が運転を開始するわけでございますが、それが途中でどうも思わしく維持管理が行なわれていないというようなことでいろいろと問題が生じたということで、その場合に使用の停止をかけるというけれども、あるいは改善命令をかけるというけれども全般的ないま清掃事業の非常に窮迫した事態からいって、そういったことは無理じゃないか、こういうような御趣旨じゃないかと思いますが、もちろん、私ども、まず届け出の段階で、そういった施設が将来十分に維持管理できるという見通しをひとつはっきりとここで確認しておきたいと思います。  それから根底になります処理施設の能力の問題ですが、これらはいまの清掃施設整備計画にのっとりまして、いろいろとその早急な整備をはかっているところでございますが、さらにその最も根本になっております一般的な廃棄物処理施設の能力をふやすということが根底になくてはならないのでございますが、いずれにいたしましても、法律でいろいろな処理施設の適正な維持管理というものを期待する以上は、それが少しでもはずれた場合にはその施設の修理、改善、あるいは場合によってはさらに停止をかける、それによって起こるもろもろの、たとえば廃棄物からの悪臭とか、あるいは不衛生な状態、あるいはさらに焼却施設の故障によって起こる大気汚染、こういった問題を防ぐということのほうが先になるというような場合もあろうかと思いますので、このような条項を設けておくということは必要であろうと思います。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと清掃法施行規則第十一条第七項「市町村は、その設置に係る施設の維持管理をみずから行なうこと。」、これとの関連は一体どうなりますか。
  78. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 現行の「市町村は、その設置に係る施設の維持管理をみずから行なう」ということは、これはこういう考え方で設けた規定でございます。すなわち、市町村清掃事業に対する責任のうち一番重大な点は、最後の究極において衛生的に処分できるかどうかということでございます。したがいまして、たとえそこが委託業者に対する委託、あるいは場合によりましては一部許可業者にやらせるといったような場合におきましても、この最終処分の、たとえばごみ焼却炉あるいは屎尿の処理施設といったようなものの施設の維持管理ということについては直接責任を持って万遺漏ないようにやってくれという意味の趣旨でございます。  それから本改正法案の中におきまする一般廃棄物処理施設の維持管理の規定でございますが、これはまことにおかしなことを申し上げるようですが、実態といたしましては、この一般廃棄物処理施設のほとんど大部分市町村の設置するものであろうと思います。一部いろいろと考えましたが、たとえばポンコツ車とか、先ほど大臣も申しましたように、冷蔵庫のほうり出したものとか、テレビとか、そういった粗大ごみといった場合に、場合によっては特別の手数料を取ってでもこういった廃棄物処理施設でもって処理しようといったことも考えられないわけではないわけです。そういったようなごく特殊な場合についての処理施設、これは一般処理施設としての、場合によっては市町村長の手を離れていくといったようなことも考えられないこともございませんので、それらの点を予想いたしまして、このような改善命令並びに場合によっては使用停止命令が発せられるというようなことを特に担保しておるわけでございます。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 質問をまとめて言いますから御答弁願いたいと思います。十条関係を全部質問しますが、十条の第二項に「市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村処理することが必要であると認める産業廃棄物処理をその事務として行なうことができる。」、こうあるわけですね。共同してやる場合自治法二百八十四条に基づく許可は要るかどうか。  それから二つ目、市町村一般廃棄物とあわせ処理する産業廃棄物あるいは処理することができる産業廃棄物について、一体その具体的な基準は何ですか。  それから第二項がこのように規定している半面、費用の負担については、第十三条二項のように、「条例で定めるところにより、徴収するもの」となっています。これでは、それでなくても企業に弱い市町村でありますから、産業廃棄物処理市町村の一般財源が使われることになるのではないか、こういう規定を入れるのならば、事業者の費用負担原則にもっときちっと原則というものを定める、そうしませんと第十条一項の、みずから処理する事業者責任が骨抜きになると思うのですが、いかがですか。
  80. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 市町村が共同で行ないます場合には、いわゆる一部事務組合として、都道府県知事の許可が要ることになります。  それから「一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物」というのは、まことにばく然とした言い方になるかもしれませんが、市町村の能力に応じて、現にある処理施設、受け入れ態勢といったようなも一のに応じて受け入れられる産業廃棄物ということになるわけでございまして、たとえば市町村でもってプラスチック類の専焼炉を施設として設けておるといったような場合に、そこに中小企業でプラスチック加工業なりをやっている業態がかなりある、しかし単独でもって施設を設置するといったようなことはなかなかむずかしい、共同でやるという場合に、事業体だけの共同の施設としてつくって運用する、あるいは市町村のほうでやっております清掃事業の中で、やはり家庭から出ますごみの中に廃プラスチック類もかなり含まれているわけでございますので、できれば市町村としても専焼炉を設けて処理するほうが望ましいということで専焼炉が設置されるという場合も考えられます。そういったような場合には、むしろ手数料を払っても市町村のせっかく持っておる既設のプラスチックの焼却炉を使ったほうがよろしいというようなことになろうかと思いますが、そういったような場合でございます。  それから費用をどうするかということでございますが、「条例に定めるところにより」と申しますのは、これは費用の中身の問題よりも、費用の徴収の方法ということになることだと思います。そして事業主のいわゆる排出者責務という原則考えますと、最も産業廃棄物としてはっきりしておる、たとえばその工場内でいろいろな生産過程でもって出てきます原料くず、こういったようなものを工場内でもって処理施設を設けて処理するということは、すなわち施設の設置の費用も、その運用にかかる費用も、もちろん全部その工場、事業場が出していることで、問題はないかと思います。  それから問題は、先ほど例として申し上げましたような、中小企業におきまして、そのおのおのの事業者では処分するのがなかなかむずかしいといったような場合、たまたま市町村処理施設を使わしてもらうといったような場合、これは応分の費用を定めまして取るということに相なろうかと思います。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 十一条ですね、この第十条の第一項に事業者処理責任を明確にされている以上、この処理計画を知事がつくるというのはどうもおかしいんじゃないかと思うのですね。事業者処理計画をつくって、そして知事がその事業者の計画を基準に沿って許可する許可しないなどというような形にするのが、私はほんとうじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  82. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) この十一条で書いてありますことは、都道府県が都道府県の区域内において産業廃棄物処理するという場合においてどうするかということで、市町村段階で行ないます場合には、市町村のほうで適正な処理計画を立てるわけでございますが、都道府県で行ないます場合はどういう場合かと申しますと、第十条の三項で、修正案のほうでございますが、「主として広域的に処理することが適当であると認める」ということで、それを「事務として行なうことができる」という規定がございまして、これを受けまして、その場合に処理計画を立てろ、こういうことでございまして、したがいまして、それぞれたとえば廃棄物処理につきましては、事業者市町村、それから市町村の連合体、それから都道府県というふうな各段階があるわけでございます。その最後の段階における都道府県の計画、こういうことでございます。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 十一条の三項の「都道府県公害対策審議会」に、現実に清掃業務に携わっている職員の代表を入れるべきだと思うのですが、いかがですか。
  84. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 現実に公害対策審議会の構成メンバーというものの中に、いわゆる関係団体の代表の方とかあるいは自治体の代表の方とか、それから学識経験者、こういったような構成で運営されておるわけでございますが、別にそれにだれだれを入れちゃいかぬとか、これこれをぜひ入れろといったような、そういったようなきめでもございませんので、実際の運用については、それぞれの自治体の、都道府県の実態に応じてやっていくことと思います。私ども厚生省といたしましては、いろいろと施策をきめるときに、十分にそれぞれの関係団体の意見をお聞きし、また場合によっては審議会にはかってやっているということでございますので、御趣旨は尊重いたしまして、それぞれ指導してまいりたいと思います。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 蛇足かもしれませんが、この法律では、主語が都道府県知事となっている場合と都道府県になっている場合とがあるのです。これはどう違うのか、あとからちょっと説明もらいたいのですが、第十五条、第一項は工事に着手するにあたっての制限規定にすぎません。ところで、一般廃棄物処理施設を規定した第八条第一項を見ますと、これは工事に着手するにあたっての手続規定であります。どうしてこのように一般廃棄物産業廃棄物とで違わなきゃならないのですか。
  86. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 産業廃棄物処理施設につきましては、むしろ一般の廃棄物処理施設よりもいろいろ態様も多うございますし、また技術的な難点も多かろうと思います。したがいまして、産業廃棄物処理施設につきましては、私どもは、たとえばその施設の種類、名前を申しますと廃油処理施設とか、廃アルカリ処理施設とかあるいは廃プラスチックの処理施設というようなことでもって、廃棄物の種類によって分けて考えていかなくちゃならない。それに伴ういろいろな技術的な問題もあろうかと思います。したがいまして、その種類を書き分けなくてはならないということで政令で定めるという一項が入っておるわけでございます。第八条の「一般廃棄物処理施設」は、これは実態として現行あります屎尿処理施設、またはごみ処理施設ということがほとんど大部分でございますので、これは現在どおりすでに基準その他については、たとえば五トン以下のごみの焼却炉はここでいうごみ処理施設として取り扱わない、こういったようなきめが政令でございまして、あとは要するにその設置の手続関係だけでよろしいということで厚生省令にゆだねる、こういった違いが起きておるのでございます。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 都道府県と都道府県知事のほうは。
  88. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) ちょっと失礼ですが、質問の御趣旨が……。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 さっき申しましたように、この法律の中では「都道府県は」とあったり、「都道府県知事は」とあったりするわけですが、その違いは。
  90. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) どうも私法律のほうの専門家でございませんので、その辺の区分けを明確に答弁いたしかねますが、「都道府県」と書いた場合には団体全体としてとらえた場合、それから「都道府県知事」と申しますと、それの長としてのいろんな権能に着目して表現した、こういったようなことだと思っております。場合によりましては説明員のほうから説明さしていただきたいと思います。
  91. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これは、私も詳しいほうではございませんが、私どもが理解をいたしておりますところによりますと、この法律ばかりでなしに、今回提案をいたしてございます他の公害関係立法においても同じような書き分けがございます。その場合に都道府県とか市町村と書きました場合には、当該公共団体の固有事務あるいは団体事務としての権能に触れる場合はそういう書き方をいたしておりますし、それから国の機関としての都道府県知事あるいは市町村長というようなものを規定いたします場合には知事とか市町村長とか、こういうふうに書き分けていると私は理解いたしております。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 これは先ほど理事会に預けた問題と一緒にあとから整理されるときに、一ぺん、これでいいのかということを法制局その他で明確にしてもらいたいと思います。いまの御説明ではどうもちょっと納得できないというふうな感じがありますから。  それでこの十九条の「立入検査」ですが、これは御存じのとおり、消防法の十六条の四で、市町村長等は、それに従事する職員に検査、質問をさせて、そして試験のために必要最小限度の数量に限って危険物もしくは危険物であることの疑いのあるものを云々という、そういう規定があるんですよ。この法律案の十九条の第一項の「立入検査」も消防法の十六条四項と同様の権限と考えていいんですか。
  93. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) お説のとおり、同様と考えてよろしいと思います。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 また第一項の「帳簿書類その他の物件」、こうありますね、「その他の物件」というのは、一体どういうものなのか。単なる書類的なものではないのか。しかも三項があるとなると、現実にどのような形で処理されているかというところまで立ち入って検査できないのではないかと思うのですが、この辺はどうですか。
  95. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 具体的な例で考えてみますと、都道府県知事、場合によりましては市長という場合もあろうかと思いますが、必要と認めます場合に第十九条の規定によって現実に入ってまいりますのは環境衛生指導員ということになろうと思いますが、どういうふうな物件を検査できるか、あるいは場合によっては「帳簿書類その他」ということですけれども、書類類だけに限るのかということでございますが、これはやはり事業者廃棄物の保管の場所あるいは処分する場所とか、あるいはその処理施設のあるその土地、建物、そういったものに入ることができることになりますし、また帳簿書類だけでなくて、その他必要な物件というものについての検査ということもできるのでございます。それから立入検査を拒否いたしますと、御案内のとおり、罰則の適用を受けるということになりますし、また処理基準の違反ということになりますと、今度は改善命令を出しまして、その命令に違反すると体刑を含む罰則がかかるといったようなことでもございますので、第三項で「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」というのは、これはほかの法律にもこのような立ち入り権限に対する不当な権利の行使ということがないように定められておることもございます。それに合わせたということでございまして、必要な限りという表現は、これはこの廃棄物処理、ことに産業廃棄物処理に関するこの法律目的遂行上、つまり衛生的にこれが行なわれておるか、あるいは環境の保全上影響を与えていないかといったような、こういった目的に沿うようにいっておるかどうかという意味合いで行なうことでございますので、決してこの限りでは立入検査に対して支障がある、あるいは不当にそれが使われるといったようなおそれはないと思います。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 二十条と二十一条を一緒にやりますが、この「環境衛生指導員」というのは、多くの方が保健所にいて他の保健業務一緒にやっていらっしゃるわけですよ。したがって保健所の人という感覚はありますが、清掃事業に携わっておる人という形には実はなっていない、御承知のとおり。しかるに新法のもとでは、この人はきわめて重要な任務を持っていますね。当然それにふさわしい職務が全うできるような予算措置というものが私は講じられなければならないと思うが、二十一条の「技術管理者」の予算措置も含んでどのようにされるつもりですか。
  97. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 御案内かと思いますが、現在、環境衛生指導員は地方交付税の対象の職員ということになっておるわけでございます。それで、御承知のように、大部分は県あるいは実体的には保健所といったようなところで働いておりまして、清掃部局そのものずばりで働いておるという例はほとんどないのでございます。どちらへどのように人員を配置すればよろしいか、ことに環境衛生指導員の身分をどこに置けばよいかということはいろいろ議論があろうかと思いますが、従来から、そういったような形で、実際上の問題として、たとえば食品衛生監視員などと同じように、保健所でもって働いておるという状況でございます。それで、交付税の中でどのように配置されておるかと申しますと、一標準団体当たり五名ということでございます。  それから、ついでに申しますと、清掃部局で働いております職員につきましても同様で、地方交付税の対象職員として措置されているところでございまして、私どもといたしましては、全般的にこれらの増員の要求をはかっておる。地方交付税の中における算定基礎の内訳を増大さしていくということで努力いたしておるところでございます。  環境衛生指導員の研修といたしましては、私どものほうで、四十六年度の予算要求にその実施方を要求中でございます。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 答弁残っているのですがね、二十一条の技術管理者。それから、増員を要求されるというならば、どのくらいですか、具体的には。
  99. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 清掃部局の清掃職員のことでございますが、現四十五年の段階では、たしか全体で標準団体当たり九十九人という数字になっておるかと思います。これを少なくとも私どもといたしましては、近い将来におきまして百二、三十名の増員をはかる必要があるということで、現在折衝中でございます。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 技術管理者の予算措置は。
  101. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 技術管理者の人数につきましては、御承知のように、技術管理者全般といたしましては、技術者全般が非常に手薄でございます。したがいまして、現に市町村その他で廃棄物処理施設で働いておる方々に研修会あるいは通信教育その他でもって御勉強いただきまして、そうして逐次資格を取っていただくといったことでまかなっておるのでございますが、最終的にはやはり全国的には約四千人程度は養成しなくちゃならないという計画を持っております。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 二十五条から三十条までのいわゆる罰則ですね。二十五条は業者に対する罰則、それから事業者罰則を受ける場合は二十六条以下。事業者罰則業者よりも軽くなっている。そもそも産業廃棄物については、事業者排出者責任原則とする以上、罰則についても事業者責任がきびしくあってしかるべきではないだろうか。そうでないと、第十八条の徴収の関係、十九条の立入検査の関係、そういう権限についての実効は期しがたいのではないですか。
  103. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) いろいろとお考えはあろうかと思いますが、産業廃棄物処理に関しましては、まず事業者責任ということでいろいろと義務を課し、罰則も設けられているところでございますが、いま順に申しますと、たとえば産業廃棄物処理業者につきましては、まずこれは産業廃棄物処理を業とする者といたしまして、都道府県知事の許可が要るようになっておるのでございます。この処理業者処理基準に違反する場合には、当然これはまず第一に営業停止の命令が出されると思います。それから、この命令に違反した場合になおもぐりで営業を継続したといったような場合には、一年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金ということで、体刑が科せられるということでございます。  それから事業者でございますが、事業者がみずからの責任廃棄物をみずから処理するという場合、処理基準に違反いたしました場合には、これはまず、やはり当然に、そういった場合の行為に対する改善命令というものが出されるわけでございます。その命令に従わなかった場合には六カ月以下の懲役または五万円以下の罰金といったようなことで、体刑まで——そういった改善命令を出す、命令に違反するというようなところまで行きまして体刑まで科せられるという仕組みになっておりますので、一つ問題は、許可業者のほうと比べて、事業主みずからやる場合のほうが軽いといったような点はあろうかと思います。これはいわゆる業として行なうかどうかということによりますので、その点は適正なものではなかろうかと思います。  それから、一般の方々が、たとえば今度の改正によりますと、廃棄物そのものをどこに投げ捨てても投棄禁止ということになりますので、これに対しまして罰則、罰金がかかってくると。その場合に事業者産業廃棄物といったような場合には、そちらのほうの罰金のほうが一般の方の罰金と比べて高いかというと、それは同じでございますが、しかしその場合には、その行為自体に対して改善命令なり、あるいは施設の場合にはそれの停止と、さらにはその命令に反しました場合の罰則といったようなことでかかってくることになりますので、その点、全般としては私は罰則は適正ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 どうも何か事業者に弱いようなことに、大臣、なっているように思われてしかたがないのですがね。昭和四十二年度を初年度とするあのごみ処理施設五カ年計画の進みぐあいというのはどうですか。
  105. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 昭和四十二年度を初年度といたしまして昭和四十六年度を最終年度とするいわゆる清掃施設整備五カ年計画の第二次の五カ年計画が現在進行中でございますのは御案内のとおりでございます。当初、四十六年の目標といたしまして、屎尿処理施設につきましては、その処理能力は、四十六年、七万二千七百キロリットル毎日と、これは五千二百九万人分に当たります。七万二千七百キロリットル日という目標能力に対しまして、四十四年では六万二千八百五十八キロリットルということで、ほぼまあ順調に進捗していると思います。それからごみ処理施設でございますが、六万一千七百トン毎日というのが目標値でございまして、これに対しまして四十四年では四万七千百八十二トン毎日ということで、これも、いまの進捗状況では、ほぼ四十六年に目標値に達成することは間違いないと、このような状況でございます。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 なお引き続き整備計画を検討されているわけですが、それはおおよそどのようなものですか。
  107. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) その後——その後と申しますのは、第二次五ヵ年計画を策定いたしましてから、いろいろとまた新しい状況、たとえば、ただいま御審議いただいております中の一つの問題としての産業廃棄物といったような問題、それから、さらにまた都市化が進むといったような状況もございまして、現在の五カ年計画の完遂を待たずに、できれば昭和四十六年を初年次とする新しい五カ年計画に組みかえるべきである、新しく設定すべきであるということで、まず目標といたしましては、昭和五十年を最終年次といたしまして、昭和五十年度末の目標を——国民の総人口がそのときは一億九百九十三万人と推定されますが、処理対象人口を一億四百四十三万人、つまり総人口の約九五%というのを対象人口として設定いたします。それから、その中でし尿処理にかかる部分でございますが、これは建設省の所管されております公共下水道、ことに終末処理場の建設の進捗状況とも調整をいたしまして、公共下水道で約二千万人分、それから屎尿浄化槽、これは個人の家庭でお使いになっておられるものでございますが、これが約千六百万人分、それからそのほかに団地などでもってやっておられる集中的な地域の屎尿処理施設、これが約四百四十万人分ということで、残りが依然としてくみ取り便所で残るということになりますが、このくみ取り便所からくみ取られる量は、人数で申しますと五千七百九十五万人分くらいだろうと予想されます。これらを全部ことごとく衛生的に処理する施設をつくり、一〇〇%の処理をするということが屎尿処理施設についての考え方で、その間の事業量といたしましては、約日量三万二千キロリットルの処理能力をその間に整備すればそれが可能であるという計算でございます。  それからごみ処理施設につきましては、やはり予想されます昭和五十年度末の総人口の九五%をカバーすることといたしまして、施設能力といたしましては、十万七千百四十六トン毎日、一日の処理能力が十万七千百四十六トンということで、このために新たに五万七千八百九十六トンの毎日の処理能力を設置していく。大体このような計画で、目下こまかいところは作業中でございます。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 一般廃棄物の国庫補助について若干お尋ねをしておきますが、ごみ処理施設に関する国庫補助は一応四分の一となっていますがね。実際の国庫補助はまことに微々たるもので、はなはだしいものになると百分の一にも満たないものとなっているわけですね。たとえば東京都下の武蔵野市、三鷹市のいわゆる共同ごみ処理施設、これは二億三百万円に対して国庫補助はわずかに一千三百万円、川崎市の六百トンの機械炉は、建設費が二十三億円に対して国庫補助はわずかに二千三百万円、用地費九億円余を加えてみた場合に、百分の一にも満たないまことに少ない金額なんです。清掃施設の近代化は目下最も緊急を要する問題でありますし、全国の市町村実態を見た場合にまことにお粗末であることは、これは周知の事実であります。多様化する一般廃棄物処理問題というのは市町村の最大緊急課題であるわけですね。これの整備のための国庫補助が百分の一の実態を国は一体どういうふうにお考えになってるのか。せめて屎尿処理施設並みに一般廃棄物処理施設に対して国庫補助を義務補助として規定づける考え方を打ち出さない限りは、清掃施設の近代化というのは私は困難だと思う。これに対してどのような対策をお考えになるか。さらに清掃施設の近代化、とりわけ公害の出ない終末処理施設の建設のためには、国庫補助率を四分の一から二分の一に引き上げる必要が私はあると思うが、これに対して大臣はどのように対処をされますか。
  109. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 補助の実際がまあ表面上四分の一ということになっておっても、補助対象のほうをまん中の焼却設備だけというようなことになってきておりますようでございまして、したがって、総事業費と対比すると、いまのお話の百分の一でもないようでございますが、十分の一とかなんとかになってしまうこともしばしばあるというようなことも私どもの耳に入っておりますので、これはごみ処理ばかりでなしに、屎尿処理のほうについてもやはり同じことが言えるわけでございますけれども、急速にこの廃棄物公害と言われるほどによごれてきておりまして、市町村はもちろん、関係の機関の施設の急速な充実が必要でございますので、もうお話を承るまでもなく、私どもも、何とかしてこの補助の引き上げ、充実と、それから年金等の還元融資の充足というようなことをできるだけやってまいるように実は微力ながら努力をいたしております。補助金は少ないが、ごらんくださるように、これらの処理施設等につきましては「厚生年金還元融資施設」というようなたいがい看板をつけてやっているところでございますので、そのほうも充実させ、補助金のほうもできる限りひとつ厚くするように大いに大蔵省に交渉するつもりでおります。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 いま大臣述べられましたこの補助対象もごみの焼却工場だけだというようなことでなくて、言われるように、多様化する廃棄物処理対策のために、この耐久消費財あるいは処理施設、そういうものに対するところの補助対象を広めていくというような努力というものも私は十分に求めておきたいと思うんです。それは期待してよろしいんですか。
  111. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これから予算折衝期に入ります。ことにまあ一般廃棄物を狭くきめるか広くきめるかということで、まだこれ和田さんと解決には達しておりませんが、家庭廃棄物の中にプラスチック等のものが多い。それを仕分けをするとか、また仕分けをしても市町村等が処理の機能を持たなければならないような場合もしばしばあるわけでございまして、そういう際にはいまのその設備だけではとうていこれに耐えられない、すぐ焼き切れてしまう。焼き切れてしまうとほんとうの家庭ごみみたいなものの処理がその間お休みになってしまうということで、そのほうが困る。そういうことも考えますと、さっきお話のように、手数料の話もあって、これは市町村固有事務だ、こういうお話もございますが、やはりそれは国民全体のきれいな生活環境保全するためには全く必要なものでございますので、そういう見地からも大いに説き伏せて前進をさせたい、こういうふうな、数字は申し上げませんけれども、気持ちでおります。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 あと三問くらいですから……。  たとえば工場から出る汚水にしてもあるいはタンクローリーに積まれて運ばれていけば、これは廃棄物処理及び清掃に関する法律処理対象になると思うのですね。で、下水道を通せば下水道法の対象になる。そのままたれ流せば水質汚濁防止法なり、海洋汚染防止法の処理対象になるわけでしょう。またポンコツ自動車にしたって、工場から出てくれば産業廃棄物になる。野っ原に捨てられていれば一般廃棄物、道路に捨てられていれば道交法で処理される、こういうぐあいになりますね。その場合、当然各法律あるいは一つ法律のうちにおいて、一般廃棄物あるいは産業廃棄物といった規定のしかたによって立入検査なり罰則に重い軽いがあるのではありませんか。要領のいいのはその辺をねらって野原に置いてみたり、道路に置いてみたりなどということになる。十四法案眺めてみるとどうもそういうことになるのですね。とすれば、企業というのはその中で立入検査なり罰則の最も軽い法律を選択をして、そしてその法律対象になるようなしかたで処理することが考えられるのです。これは本来ならば総理府でしょうけれども、どうですか、政府の見解は。
  113. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 今般の法改正を行なうに当たりまして、罰則の点につきましては十分内閣法制局のほうでその辺の調整ははかってあるのでございます。それからこの廃棄物処理法は全部にかかるのでございますから、その辺は全然私どもとしては抜け穴がないのではないか。たとえば今回投棄禁止という規定で、恐縮ですが、いまの十六条の条文を読んでみますと、「何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。」ということで「第五条第一項に規定する区域内又はその地先海面において廃棄物を捨てること。」ということで、事実上非収集地域の地先、領海内は全域投棄禁止ということで、これはその意味では間然するところがないのではないか。それから第二項におきましては「第五条第一項に規定する区域以外の区域内」、すなわち全国ということになりますが、そこにおける「下水道又は河川、運河、湖沼その他の公共の水域に一般廃棄物を捨てること。」、これも全面的にかかってきておりますので御懸念がないのじゃないか。第三項におきましてもしかりというふうに考えますので、罰則とのからみ合いにおいては全般的な調整がとられておる。それから廃棄物処理法案全般的にかかっておる法律案でございますので、御懸念のようなことはない、かように考えます。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 おそれ入りますが、建設省にお尋ねいたしますが、下水道法の一部改正法律案第十三条のただし書きですね、このただし書きで言われている「人の住居に使用する建築物」というのは一般民家、そういうことですね。
  115. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) さようでございます。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、たとえば工場やビルなどで管理人がそこに居住している場合、これはどうなるのですか。
  117. 石川邦夫

    説明員(石川邦夫君) この規定は、下水道が利用強制といいますか、必ず、排水につきまして、工場、事業場あるいは住居、これから出ます下水は下水道に連結しなければならないという規定になっておるわけでございまして、その結果、下水道の機能なり構造なりを保全する立場、あるいは水質を保全するという立場から、必要に応じまして立ち入りができるという規定でございます。したがいまして主たるねらいは工場、事業場が多いわけでございますが、場合によりましては住居等にも立ち入る場合があります。したがいまして、一般の住居はもちろんでございますが、その管理人がおります住居につきましても、その住居部分に、必要があれば立ち入ることができるという規定になっておるわけでございます。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 最後に、大臣に所見を伺いますが、討議をしてきましたように、この法律案の肝要な部分がすべて政令並びに省令にまかされておるようであります。で、策定の時期等において、先ほどもお約束を願いましたが、いろいろ関係自治体の代表なり、国民の代表なりの意見を徴することはお約束願ったとおりでありますが、さらに衆議院段階を経てきた修正の趣旨あるいは附帯決議の趣旨というものを十分に尊重していくことはもとより、くどいようですが、関係自治体関係者等とも十分に協議をして、地方自治の意義を、福祉行政の趣旨を生かすという、そういう意味をほんとうに十分に徹底させていただく、そういうところに着目をし、重点を置かなければこの法律目的を私は果たすことができない、そう実は思います。そういう意味において強く要望しておきたいと思うのですが、大臣の最終的な所見をひとつ。
  119. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 冒頭に申しますように、私どもは、現在ある清掃法体制、これは市町村等の処理機構、あるいは自治労の組織というようなものをこれ有効に活用し得るものという前提のもとに、しかし世の中がここまで来ておって、処理対象やまた廃棄物の態様なども複雑になってきておりますから、その上に必要なものを積み上げたわけでございまして、したがって、だんだんお話がございましたような、市町村の固有の処理についての機能あるいは責任というようなものは、ますますこれは私は充実させていかなければならないものであると思います。したがってその運用等につきましても、あるいはまた政令や基準などをつくり方につきましても、そういう方面の意見が十分反映されますように、生活環境審議会の中のその方面の部会というようなものもありますが、部会の委員の方々をお願いするに当たりましても十分配慮をいたしてまいりたいと思います。  それから、都道府県の新しい処理計画を定めるための都道府県公害対策審議会についてでございますが、これも先ほどお尋ねがございましたが、それは御承知のように、公害対策基本法で今回必置義務にされたわけでございます。従来は任意設置ということでございます。必置義務になりましたが、その構成とか運営につきましてはそれぞれの都道府県の条例できめると、こういうことになっておりますので、このほうにつきましても、お話の筋が生きるように私どももその指導もいたしますが、また和田さんや皆さま方の関係におかれましても、都道府県にもそういう御要望をなさっていただいて、そして地方の審議会が必要な方面の意向を反映するようにしていただけるようにお願いをいたしたいと思います。
  120. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  121. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 速記を起こして。  本案に対する午前中の質疑はこの程度にいたします。午後二時まで休憩いたします。    午後一時十一分休憩      —————・—————    午後二時二十七分開会
  122. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として占部秀男君が選任されました。     —————————————
  123. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 午前に引き続き、廃棄物処理法案質疑を続行いたします。
  124. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 質疑に先立ち、理事会の要求を委員長に出しておきたいと思います。  それは午前の和田君の質問中に法律修正点が述べられました。具体的に申し上げますれば、第四条の一項の削除であります。文案は時間がかかりますから読み上げません。したがいまして、第四条の一項削除の修正点は、当然理事会にはからなければいけない事項だと思うのです。和田君自体もそのことを要請したようであります。それと、午後の関係で私も質問いたしますけれども、条文はあとの理事会に具体的に成案をしてはかる扱いをいたしますが、第五条の六項の一部を修正、それから第六条第六項の修正、第七条第一項のただし書きの削除、いずれも修正であります。でありますから、この件を合わせて委員会の適当な時期を見はからって、委員長のほうとしては理事会に移していただきたい。このことを要求いたしたいと思います。
  125. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) ただいまの吉田君の要望につきましては、午前の会議における和田君の要望もございましたので、それも合わせて理事会において検討いたします。  それでは順次御発言願います。
  126. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 午前中に和田委員がずいぶんいろいろ御質問になられました。私は簡潔に二、三の点について御質問申し上げたいと思います。  先ほどもお話がありましたように、最近はどの地方公共団体でも、ごみの量の増大と質の変化に頭を悩ましております。清掃事業が最大の仕事となりつつございます。このような中で粗大のごみというようなことばや、あるいはかさが大きくなって捨て場所に困る新しい種類のごみがどんどんふえております。これは生活様式の洋風化、あるいは消費は美徳といわれたような、そのことばの中で使い捨て時代が重なってまいりました。その中で急膨張してきたことは御承知のとおりでございますが、地方公共団体では、これまで春と秋の大掃除の際に集中的に粗大ごみの回収を行なってきましたけれども、山積みにされたまま放置される状態がふえる一方で、あるいは衛生面、あるいは交通上からも放置できなくなってきつつございます。そこで、市町村は一般家庭廃棄物処理において、先ほどもありましたように、条例の定めるところにより手数料を徴収することができるようになっておりますが、これは処理という名をかりて実際は一般住民に実質的に負担をかけることになるのではないか、このことを私どもは非常に心配をいたしております。先ほども和田委員からこのことについて御質問があり、大臣からもお答えがありましたが、この手数料の額についてどの程度が適当なのか、そこら辺をお考えになっていらっしゃればお答えをいただきたいと思います。
  127. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 御指摘のように、現行清掃法では、市町村が必要な場合には条例を定めて手数料を徴収することができる、また改正法案の中にも同様の規定があるわけでございます。私ども、この手数料のあり方については、いろいろと研究会を設けたり、資料を取り寄せたりして検討しているところでございますが、まず第一の問題として、手数料を徴収している状況はどうかということがあろうかと思います。それにつきまして、これは全国的な調査はちょっといたしておりませんが、主要都市六十数カ所で調査いたしました結果、無料というところが約一二、三%でございます。それから一般家庭から出る廃棄物については無料でございますが、御指摘の大型のごみあるいは非常に粗大なごみ、こういったようなものにつきまして、あるいは大口排出者でございますか、こういったようなものにつきまして、手数料といいますか、有料にしておるというところが約四三、四%でございます。それから一般的に手数料をかけておると申しますのがちょうど同数ぐらいで、やっぱり四三、四%と、こういったような状況でございます。  したがいまして、いま申し上げました後段の、何らかの形でもって手数料を取っておるということについての額だと思いますが、これは、ことにごみにつきましては、なかなか地方財政との勘案もございますし、それぞれ地方の議会でもってお定めになるといったようなことで、幾らが適当だといったような結論は出にくいものかと思います。したがいまして、ただ、どういうふうないま実情であるかと申しますと、大体一般家庭につきましては、場合によって人頭割りあるいは世帯割りといったような別はございますが、一人につきまして大体三十円くらい、これは月でございます。それから一世帯といったような世帯割りで考えました場合には大体五十円ぐらい。多量排出の場合でございますが、これはいろいろございますが、普通行なわれておりますのはいわゆる従量制ということで、たとえば一キログラムについて一円とか、そういったようなところがおおむねの見当であろうかと思います。  屎尿につきましては、これは大体やはり定額制、人頭割りの場合は大体六十円、あるいは世帯の場合には百円。また、これは全然ごみとは考え方は違いますが、いわゆる従量制ということで取っているのもございまして、これは一荷と申しますか、いわゆる三十六リットルというところでもって大体六十円見当、このような状況でございます。
  128. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いろいろな廃棄物家庭でわれわれ個人でも出すわけですけれども、最近は個人個人が加害者であるといわれますけれども、加害者であると同時に私どもも被害者なわけですね。たとえばプラスチックだけではなく、最近いろいろなものを買ってまいります。その箱が、昔ならば全部紙の箱でしたね、ボール箱。ところが、このごろは下が全部発泡スチロールといいますか、ああいうものでできております。そういうものをあまりためますと、くくって出してもごみ屋さんがなかなか持っていってくれない。それならうちでこれを処理するのはどうするかといったって、手でたたいたり足で踏んだってどうしたってあまりこわれるものではございません。かさも小さくなりません。紙ならばすぐ燃やせますけれども、そういう点でもってずいぶんこれは家庭でも迷惑をこうむっているわけです。発泡スチロールみたいなものも非常な有害な煙を出します。自分の地元のことを申し上げてたいへん恐縮なんですけれども、宝塚市におきましても、この間、光化学スモッグだとか何とかいうことで学童が校庭で倒れた事件がございました。ところが、これはいわゆる光化学スモッグではなくて、ごみの野焼きをまだしておりましたが、その野焼きのごみの煙害だった、こういうような話もあるわけですが、いまようやく焼却炉ができましたから、もうこれからはそういうことはなかろうかと思いますけれども、新幹線で通ってみても、いろいろなところで野焼きをしているところがたくさんございます。こういうことですから、私は発泡スチロールがいけないとか何とかいうことではなくて、つまり過大包装、こういうものから家庭を一ぺん救ってほしいというようなことを申し上げてみたいと思うわけです。何か一つの贈りものをいただきましても、もう皮をむいてむいたあげくにあとから出てきて、それもそういう発泡スチロールの中に入っておりますと、かさは少ないわけです。ところがいろいろな形につくってありますから、こんな大きなもので来るわけですね。そんなのが二つ三つきたらほんとうに悲鳴を上げそうになる。それから中には昔ならもみがらやいろいろなもので詰めてあったものまでが、このごろ発泡スチロールだかポリエチレンだか何だかしりませんが、そんなもののくずみたいなものが一ばい詰まっておるわけです。ほんとうにそういうようなごみ家庭こそいい迷惑をしておる。こういうことですから、ひとつ過大包装、こういうものも同時に考えてみていただけないものだろうかどうだろうか。  それからもう一つの問題はビニールでございますね。家庭ごみも、台所で出るごみはこのごろ大体ビニールに入れて捨てるわけです。ところがこれをビニールの袋に入れて捨てますと、今度これが焼却炉でなかなか燃えない。つまりごみがかわかないわけです。だから何とか紙に包んで捨ててくれないかという話もありました。なかなかかわかないわけです、家庭も非常に混乱をします。先ほども出てまいりました可燃物と不可燃物、これを分ける、こういうことをもっともっとPRすれば、家庭の人もみんな協力をすると思いますね。それですから、そこら辺の行政指導といいますか、PRといいますか、その点の過大包装というものをもう少し規制をしてもらうようなことが考えられないかどうか。特に物価対策の面からも、あまりたくさんのいろいろな過大包装あるいはその包装がだんだんデラックスになってきて、そうしてわれわれに向かっては、それは奥さん方がこういうデラックスな包装を好むんです、こういうふうに言われるわけですが、私どもはそうではなくて、業者のほうがだんだんデラックスにして見ばえだけをよくして、むしろ消費者のほうは被害者であるのではなかろうか、こんな感じがしますが、そこら辺の御見解も承らせていただきたい。
  129. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 御指摘のように、確かに近来のプラスチック類でございますね、プラスチック類の処分ということについては、これはひとり市町村のみならず、国全体の立場から考えましても、重大な問題であると思います。従来、私どもはすでに廃プラスチック類の清掃事業に及ぼす影響というものを憂慮いたしまして、それぞれの関係、あるいは省庁関係団体のほうに、いま御指摘の過大包装ということについても自粛願うように申し入れたこともございます。  それから、もっと根本的な問題といたしまして、あとの処理処分というものを考えて、製品そのものの開発というものをひとつ促進してほしいという点も関係の省庁に申し入れているところでございます。今般、そのような趣旨も受けまして、改正第三条におきまして、第二項にそれらの規定を整備しようと、こうしているわけでございます。  それから、ビニール類をめぐりまする市町村における清掃処理方針の変化と申しますか、方針が一定していないという御指摘でございますが、確かにそういったような印象もお受けになられたかと思いますけれども、いきさつを申しますと、かってビニール類、あるいは廃プラスチック類が都市清掃の中に占める比重が今日よりずっと軽かった時代に出たことでございます。そして、このときは清掃に従事しておられる方々の清潔という点も考えましたし、御家庭における主婦の方々のその辺の御協力も得まして、そして現行のようなビニールに入れて台所の厨芥を出していただくというような御協力をお願いしているところでございます。その後、一般的に申しまして、御指摘のように、非常にプラスチック類が一般のごみの中にもふえてまいりました。限界と考えられますのは、おそらくは重量比で申しましても、一般のごみの中の一〇%あるいは一五%と申す人もございますけれども、その限界点をもうこしつつあるということでございますので、全般的な問題として、何とかプラスチック類の廃棄物に出ていく量そのものも減らしたい、あるいは事業者責任でもって処分できるものについては、ひとつ事業者のほうでもってやっていただきたいといったような考えでもっておるわけでございまして、ビニール類のいままで占めておった役割りということは御理解いただきたいと思います。
  130. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 せんだって、厚生省は牛乳のポリ容器の禁止を通達いたしましたね。現実にはプラスチックの廃棄量というのは二百八十万トンと言われておりますが、牛乳のプラスチックはわずかにその中で二%だと言われております。この禁止でどのぐらいの効果があるとお考えでございますか、これが第一点。  それからまた牛乳のプラスチックの容器を禁止されるなら、なぜ他の容器、たとえばマヨネーズの入れものもプラスチックです。あるいはおしょうゆもびんからプラスチックにかわっております。あるいは化粧品もびんからプラスチックにかわっております。こう数えてみますといろいろございます。こういうものについてはなぜ放置をしていらっしゃるのか、これが第二点でございます。  そういうものが放置されてきたから今日のような状況になったのではないかと私思いますが、そこで、第三番目に処理方法について伺いますが、具体的にどのように処理方法を考えていらっしゃるのか。  それから技術開発の問題もこの法案の中に出てまいりますけれども、技術開発もいま、まだしていないのに、この法律案が通ったからといってどれだけ処理させることができるかどうか。そのごみの量は五年間に倍増するといま言われておりますけれども、技術開発が、どれくらいのめどできちんと開発されるようなめどを立てておられるか。もしも五、六年かかるとすれば、またいまのごみも倍増するわけですから、そこら辺のお考えを伺わせていただきたいと思います。  以上三点。
  131. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 確かに御指摘のように、全体的に出てまいりますいわゆるプラスチックの廃棄物の量は、すでにおそらくは二百万トンあるいは二百五十万トンをこしておるというふうに言われておるわけでございます。ただいま全国で年間に出ます一般廃棄物の量は、およそ二千万トンあるいは二千百万トン前後というふうに推定されるわけでございますが、先ほど私が申しましたように、すでに全体的な数字から計算いたしましても、これですと一〇%をこしてる量ということが指摘できるかと思います。したがいまして、過去、確かにプラスチック類に対する処理体制というものが必ずしも十分に進められていなかったという御指摘はあろうかと思いますけれども、一方、プラスチック類の生産量の増というものも、おそらくは昭和五十年になりますと、重量でもって一千万トン、おそらくはこれは鉄に比べました場合には、同じ鉄でございますと一億トンといったものにも匹敵するかと思いますが、このような非常な急激な伸びでございます。したがいまして、ただいまの時点でもって何らかの根本的なこれに対する解決策ということをいまから用意しなければ、御指摘の事態は非常に悪化するばかりであるということでございまして、そのためにできる施策はこの際どしどし取り入れて、実施に移していくという姿勢が大事ではなかろうかと思うわけでございます。  牛乳確かに一日六千万本と申しておりますが、この全体に占めているウエートから申しますと、二%あるいは三%の微々たるものかもしれませんけれども一つは、これはすでに牛乳のポリエチレン——ワンウェイ方式というのは、初めから廃棄物としてもう使い捨てという形でもってこの方式が取り入れられるということで、この点は、いまのような事態ではやはり問題があるんではなかろうかと思うわけでございます。それからほかはどうかと申すわけでございますが、ほかの食品類の包装容器あるいは化粧品類の包装容器、そういったようなものにつきましても、これに準じましていろいろと御自粛願うように、いまのところは法律的な規定はございませんけれども、それらについても強力にお願いを申し上げているところでございます。  それから処理方法でございますが、これはすでに二、三年前から通産省、ことに工業技術院のほうでいろいろと御検討を願っているのでございまして、一つは完全な焼却方式、あるいはこのブラスチックの性格に着目いたしまして、むしろこれの再利用、あるいはことにエネルギー面からの再利用といったような点、さらにもう一つ根本的には、そもそもプラスチックそのものの性格というものを変えまして、何と申しますか、あとでもって十分に処理できる、問題を起こさないといったような性格のプラスチックに変えていくといったようなことについてもお願いしているところでございます。
  132. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの中で食品や化粧品の入れものですね、こういうものは、それこそ御自粛願うぐらいのことではとってもだめだと思いますね。こういうものが非常に大量に出回ってるんです。たとえばスーパーマーケットでもデパートでも、行ってみますと、マヨネーズとかしょうゆとか、そういうもののプラスチック容器というのは非常にたくさんなものです。これやっぱり相当強くこれを変えてもらうようにしなければ、とても御自粛願うぐらいのことでは、私はやっぱりプラスチックの容器というのはどんどんたまっていくと思いますね。その辺をもう少しきちんとした行政指導をやっていただきたいと思います。
  133. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いま中沢さんのお話ですね、よくそういうことが言われます。むろん私も、入りては厚生大臣をやっておりますが、出ては一人の市井の人でございまして、そういうおっしゃるような物品にぶつかるんでございますが、さて市民として考えてみて、それの使用を一体禁止されるであろうかということ、私は、いつもそういうことを考えさせられるのでございますが、いま中沢さんがいじっていらっしゃるそのペンもプラスチック、あなたのめがねもプラスチック、べっこうでなければ。そういうものはやっぱりこわれますと捨てるわけでございます。これは牛乳ビンあるいは化粧品の容器や、あるいはこのごろ一番大きな障害になっておりますのは、農村で促成野菜などをつくっておりますビニールハウス、簡単な白いビニールのきれでございますが、これは汽車の窓から見ましてもよく見えます。あれなんかも同じで、非常に処理に困るのですが、それを一体禁止できるかというと、この法律の中へ、何びとも事後処理の困難なプラスチック類の製造加工を行なってはいけない、あるいは包装を行なってはいけないと、違反した者は処罰できると、こう書けるかというと、私は書けないと思います。私はこのめがねもこわれると捨てるわけです。そうすると、これをつくった人が引っぱられて、そうして何びともつくっちゃいかぬというものを、おまえ、めがねをつくって、使った人が捨てたから処罰だ、こういうことはできないのです。牛乳のビンでもそのとおりでございます。ところが、ここまで言うなら私は言いますが、私は訴えられるかもしれません、訴訟を起こされるかもしれない、それは法律違反だと。牛乳ビンについては、たまたまこれは乳製品に関する食品衛生法上の規定がございまして、中の乳製品等に有害な物質を流すような、そういうような容器に入れてはいけない。つまり可塑剤みたいなものが入っていると、牛乳の中に溶け込みます。あるいはヨーグルトの中に溶け込みます。そういう衛生上の見地から、食品衛生法でこれは許可にかけているわけでございまして、その他の化粧品の入れものとか、いまのビニールハウスのビニール等については、そういう法律はないわけでございます。そこで、本来からいうと、そういう衛生上の障害がない限り許可をせざるを得ないわけでございますが、牛乳ビンもそうでございますが、それをワンウェイでどんどん許可をいたしますと、全く廃棄物処理上どうにもならぬということで、ここに三条を入れまして、これ自身は強行規定でも罰則規定でもないけれども、そういうメーカーや販売者に義務を課したものでありますから、こちらの満足できない限り、食品衛生法上だけの字句を満足しても、そういうやはり牛乳ビンは許可しないということで、半ば強行してやろう、こういうことでやっておるわけでございますから、そこまでいきますけれども、その他の物品に至りますと、そういうものをつくってはいけないということに踏み切れるか。私はこの間スーパーマーケットに行きましたところが、何か買い物がございまして。ほとんどのスーパーマーケットで売っておりますものがビニール容器に入っておるわけでありますが、あれをまた禁止してしまいますと、廃棄物処理上はいい点もございますけれども、今度はまた国民の日常生活の実態からいって非常な不便が起こる。こういうことも考えざるを得ない。またこの問題は、衛生省としての厚生省廃棄物処理省としての厚生省だけではなしに、むしろ国民生活を担当する経済企画庁でございますとか、あるいは公正取引委員会あるいは通産省、そういう方面もそのつもりで踏み切るということでないと、実際はいろいろ御注意を承ったり、私も感ずるのでありますが、そこにいくことの限界があるということで悩んでいるということも、この際私は告白しておきたいと思います。
  134. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 じゃあ、もう一つお伺いしたいと思いますが、もしこの法律が通ったといたしまして、来年度の廃棄物処理法に、この法律にのっとって、何から着手されますか。そうして、その予算要求の具体的な内容をお知らせいただきたい。
  135. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) まず一般の廃棄物、現在の市町村系統でやっております事業につきましては、先ほど先生指摘の大型のごみ、あるいはその他特殊のプラスチックといったようなごみ、これらにつきましては、やはり従来の清掃施設の整備体系の中で整備していかなくちゃいけないということで、その施設整備のための費用を要求いたすつもりでございます。いま大蔵省のほうに提出しておるところでございます。  それから全般的な市町村の系統で行なっております、持っております清掃施設の整備拡充につきましては、ただいま第二次五カ年計画でもって整備を進めておるところでございますけれども、さらにこれを新しい角度から、できれば来年度——来年度が実は最終年度になっておりますけれども、それを初年度に切りかえまして、新しい五カ年計画でもってさらにその促進をはかってまいりたいという考えを持っております。なお関連いたしまして、たとえば環境衛生指導員の技術講習を受けるとか、その他、国の立場でできますいろいろな施設の促進につとめてまいりたいと思っております。  それから一般廃棄物に別しまして、今度は産業廃棄物のことでございますが、これらにつきましては、一部自治体でもって広域処理計画を立てまして、事業の実施に移る段階のところもございます。この施設につきましては、実は全般的には事業者側の負担に係るという面もございますけれども部分的には、たとえば下水道から出てまいります汚泥、あるいは焼却施設そのものから出てまいります最終的な燃えがら、こういったものはいずれも都市機能から出るわけでございますが、これらにつきましても、場合によってはやはり広域的に処理しなければならないということで、施設の一部分についてはやはり自治体でもってやらなければならないという部分もございますので、それらにつきましては、施設の整備費につきまして何らかの補助をしたいということで、それの要求をしておるところでございますし、またさらに、この法律が通りましたならば、おそらくは問題のあります都道府県におきましては、さっそく広域化の処理計画を立てると思いますが、それを立てるにあたりまして、いろいろと準備の費用がかかるわけでございます。これらにつきましても助成をしてまいりたい。  以上、大体そういったような中身でもって来年度の実施を期待しておるところでございます。
  136. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最後に、粗大ごみの対策ですね。先ほどからお話ありましたように、私どもも実はテレビが要らなくなって、ちょっと困っているのです。洗濯機や何かですね。しょうがないから、庭の隅に置いてあるんですね、こういうものの処理対策。それからいまお話のありましたように、今後の廃棄物処理をするための広域化の計画、こういうふうなことで、もうどんどん進めていらっしゃるかどうか。その辺をお聞きして私は終わりたいと思います。
  137. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 粗大ごみ処理事業でございますが、それはたとえば川崎市とか、東京都も部分的には含んでいると思いますが、といったようなところで、あるいは大阪府といったようなところで、すでに事業として実施しているところもございます。今後どのようにするかと申しますと、やはり粗大ごみの根本的な問題は、運搬ということが一つ大きな問題だと思いますので、できるだけそういった機能を持った収集車にするとか、あるいはさらに特別の施設を設けまして、そこでもって圧縮するあるいは破砕する、そういった処理施設を設けていくといったようなことは、すでにやっておるところもございますが、来年度からは、ひとつ積極的にこちらのほうとしましてもそれらの事業について助成してまいりたい。  それから広域処理の計画でございますが、実施状況は、いまのところ計画を持っているというのが数都道府県ございまして、この法律が成立しました暁には、具体的にそういったものに取り組みたいという段階でございます。現に持っておりますところはまだわずか一、二ヵ所の自治体でございます。
  138. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの粗大ごみですけれども圧縮して固めるばかりではなくて、何かそういうものの専用焼却炉の開発、こういうふうなことは考えておられますか。
  139. 浦田純一

    政府委員浦田純一君) 粗大ごみ処理施設でございますが、これの最終的な処分と申しますと、まあ、いろいろとあろうかと思います。粗大ごみでありましても、それの組成によりまして違ってくるわけでございますが、おそらくは最終的にはやはり完全に焼却する、あるいはさらにそれから出ましたものをいわゆる埋め立てと申しましょうか、衛生的な埋め立て処分するということになろうかと思います。したがいまして、専用の炉をつくる云々ということもあるいは一つの方策かとも思いますけれども、先ほど私が申し上げましたように、まず第一は圧縮、破砕、そしてその上で一般の焼却炉で燃すものは燃すというふうな体系でもって考えているわけでございます。もちろん、特殊なものにつきましては、さらに一般焼却炉と別にこういった処理の施設をつくる、場合によりましては特別の焼却炉を、場合によりましては別の特別の科学的あるいは物理的な処理方法ということにも相なろうかと思います。
  140. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 きょうは大蔵、運輸、労働各大臣並びに国鉄の総裁の出席を求めましたら所用で来られない、こういうことでありますが、いずれにいたしましてもそれらの関係者おいで願えませんで、あきらめて総括的な質問をいたしたいと考えておったんでありますが、たまたま本会議が予定されておりますから、あまり時間がございません。でありますから総括的な質問は私は明日にいたしたいと思いますので、この際は多少、先ほど来の同僚の和田君の質問と若干関連をいたしまして、冒頭に二、三質問しておきたいと思うんであります。  その第一点は、厚生大臣であります。本法律案の第七条三項、この項には一般廃棄物処理業者に対する許可について規定をしております。この許可は期限を付す、こうなっておりますが、一体、その期限とは何年間か、その点が明らかにされていません。これが第一点であります。
  141. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 一年ごとに更新すると、こういうたてまえでございます。
  142. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、期限というのは一年以内、こういう理解でいいんじゃないかと思いますが、その場合に、問題のある事業者に対してはどうするのか、こういうことであります。
  143. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この許可は市町村長が行なうたてまえになっておりますので、市町村長の判断によるわけでございますが、問題のある業者につきましては設備の改善を命ずるというようなことをいたして、さらに期限を更新する場合もあるかとも思いますし、また、とうていその処理能力の実力も誠意もないと思われる場合には、市町村長が許可の更新をしないという場合もあり得るのではないかと私は思います。
  144. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、これに関連いたしまして、つけ加えてお尋ねしますが、すでに現在、このいかがわしいと思われる団体に関係のある業者、こういう業者があるやに聞いております。したがいまして、そういう団体だけに住民との間に問題も惹起いたしておりますことは御承知のとおりであります。特にいま大臣が、市町村長の許可権によるものだから改善命令その他等々申されましたが、特にこういう団体に関係のあるような業者自治体の指導等に従わないというものがあるやに、これまたわれわれは伺っているのであります。一体、厚生省といたしますれば、この法律を提案した立場から、そういうものについては今後どういう指導をなさるつもりでありますか。
  145. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この法律目的を達成するために適当でない業者には市町村長がそれに見合った措置をすることが望ましいと考えますので、そういう指導を市町村長にもいたしたいと私は思います。
  146. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、この点は強力に指導監督をしていただかなければならない問題だと思いますから、特に法施行にあたっては励行していただきたいということを要望して、私は、とりあえずこの条文については質疑を終わりたいと思います。  次に、先ほど開会冒頭、委員長のほうに修正点を申し上げながら、理事会を実は要求いたしておったわけでありますが、この辺について若干厚生大臣あるいは運輸大臣、労働大臣、そしてまた国鉄当局に質問をいたしてまいりたいと思います。  そのことは何かというと、さいぜん申し上げましたように、衆議院でこの法律修正をされてきております。したがいまして、修正された条文の第五条の六項に関して、私は、この際さらに一部修正すべきであるという考え方に立って質問をいたすつもりであります。それは、何といたしましても、国鉄の黄害——黄色い公害とも世間では言われている問題を中心に質疑をいたしたいと思うのです。  そこで、御承知のように、この法改正は、清掃法の五条の四項に規定されているものであります。同条文では、特別清掃地域における車両便所等については、環境衛生上の支障が生じないように処理につとめなければならないとしていたものであります。今回の提案されたものは、廃棄物処理法案そのものでは、その適用範囲を全国的な適用と定めたことは、私は、この限りではそれなりにたいへんな前進をいたした部分ではないかと高く実は評価をいたしているのであります。しかし、厚生大臣、ここまで評価されるという段階まで進めてきたならば、せっかくの改正であるだけに、もう一歩進めて、冒頭申し上げたように「環境衛生上支障が生じないように処理することに努めなければならない。」ということは、この規定は、いわゆる努力目標を示した規定部分であるわけでありますから、いま申し上げたように、せっかく今回本法案を提出したという経緯は何かということをまずひとつ考えるというと、同じこの法そのものの精神からしてみても、私は、この際はこの条文の一部を処理しなければならないと、改めるべきだという考えを強く実は主張したいのであります。当然あとあとこれは理事会で議論をいたしますけれども、その前に厚生大臣のこれに対する考えをひとつただしておきたいと思います。
  147. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 考え方精神は、吉田委員がおっしゃるとおりでございます。私ども立場からいたしますと、鉄道の御都合もあるんでございましょうけれども、いつまでも現状のような進め方で車中便所の処理がつかないということでは、それは国民の衛生を守るゆえんでございませんので、もう強くこれは求めなければならないところでありますが、幸い国鉄当局におきましても、現行法にも同じ趣旨の規定がございますし、また今度これを改正するにつきましても、運輸省ともまた公害対策中央本部とも打ち合わせて、こういう改正をいたしたわけでございますが、運輸省並びに国鉄も、その心がけを大いに改められて、年次計画で便所つき車両のふん尿の処理を進められると、こういうことでございますので、私どもも、そのことに強く期待をいたしながら、現行のようなその文章にいたしたわけでございます。
  148. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもいままで非常にこの国会での答弁がきわめて歯切れがよくて、ときには、たまには一言多いなどと、きのうあたり言われるくらい答弁しておった大臣にしては、どうもいまの答弁は何か釈然としませんね。何か牛がものをもたもた食べている感じのする答弁ですが、これは従前から見ますと、これはたいへんな前進であることは間違いない。それは適用範囲だけなんですね。しかし、ここまできまして、いま大臣が言ったように、いつまでも現状のままで放置するわけにはまいらぬだろう。しかし、国鉄もそこのところはっきりとしなかったけれども、国鉄、何かもやもやした関係でやるらしいから、何か期待している、期待感で答えられている。私はそれではいけないと、あくまでこの法律で今度規定したのは努力目標で、従前もあったわけですから、適用範囲は地域ごとに違っておりましたけれども、従前あった法律ですから、この条項は。それが今日放置されておって、大臣が答えられたとおり、たいへんな状態になっているわけですから、せっかくそこまで改正するなら思い切って規定づけをしたらいいんじゃないですか。私が言ったように、一部修正をして規定づけをしたらいいんじゃないですか。そうでなければ、この問題いかに厚生大臣が期待してもなかなか期待に応ずるような、あとあと私具体的に指摘しますよ。指摘しますが、国鉄の現状ではできないものと思います。大臣どうですか、もうちょっと歯切れよく答弁してください。
  149. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) おっしゃるとおり、まことに歯切れの悪い実は答弁をいたしておるわけでございまして、これをぴしゃっと書くと鉄道のほうもぴしゃっとやっていただけるというようなわけにすぐ物理的にいくものではございません。と同時に国鉄も運輸省も責任を感じて、従来からしばしば国会で取り上げられている問題でもございますので、文章が「努めなければならない。」と書いてあるから、つとめる程度であまり一生懸命にやらなくてもいいというふうにはとっていらっしゃらないで、何年計画、年次計画のもとにできる限りの処理を進めていらっしゃると、こういう言明がございますので、私どもも、それに信頼して従来と同じ表現にいたしておるわけで、ことば使いのことにつきましては、私も、まことに歯切れの悪い答弁をせざるを得ない状態であることは遺憾しごくでございます。
  150. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 最後の遺憾しごくであるということだけはっきりしました。そこで黄害なるものは、非常に悪臭の伴うものでありますから、くさいものにふたをしなくちゃいかぬという答弁じゃいけない、これからの答弁は。あえてくさいものを具体的にこれから申し上げてみますが、現在、大臣が遺憾しごくであると言うように、国鉄の黄害問題というのは何ら具体的な解決というものをしていません。はっきり申し上げますよ、くさいものにふたをしない。であるとするならば、国鉄の営業常務理事が来ておりますから、具体的にこの点は答えていただければ、これに対する反論も具体的に——こういう資料をたくさん用意しておりまするから、この資料で反論して明らかにいたしたいと思うのであります。とにかく具体的な解決はみていない。それは何によってそういうことになっておるかというと、厚生大臣、ちゃんと聞いておきなさいよ。あくまでもこの法律は努力目標であるというところに問題が存在をしておるのであります。ですから、何かの場合には、努力をしていますよということで、本日、国鉄当局も、厚生省などは期待感で、期待をいたしておりまするけれども、さっぱり実効はあがっていません。こういうことになっているのが現状なんであります。しかも大臣あるいは大蔵省もおいでですからおわかりですが、運輸省もおわかりですが、今日国鉄は公共負担というきわめてえたいの知れない状態で、国が国鉄に財政的な負担をかけておりますものがございます。したがって、これはたいへんなものであります。今日国鉄の赤字財政の最たる原因だと私は思います、ある意味においては。ですから今年のごときは、新聞紙上ただいま御承知のように、予算編成期であります。その段階でも償却前赤字八百億があるなどというように報道されておるのであります。こういう資金事情に置かれて、財政事情に置かれている国鉄が、いまのような努力目標の規定で一体どうして——いわゆる直接収入にならないわけですよ、くさいものの対策は、黄害対策というのは。ですから国鉄はそういう対策のための投資をどうして積極的にやれますか。今日この国鉄の対策というものは残念ながらきわめて消極的な態度であります。でありまするから、本日ただいまも、そういうことについては具体的に何らなされていないんです。これからの国鉄の黄害の問題の解消ということは、私は見通しはきわめて困難だと思う。これに対して、私はこの法律を改めなさいと言っている。今日ただいまこういう状況を改めなければ、また努力目標を出す——とてもじゃないけれども、この黄害の問題解決というこの見通しはきわめて困難である、こう私は判断をするのですが、厚生大臣、どうですか。並びに運輸省の山村次官も来ておりますが、運輸省の立場でもこれについての見解をひとつ、だんだんこれから中身に入っていきますが、所見を開かせていただきたいと思うのであります。
  151. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 先ほど来申し上げているとおりでございまして、厚生省といたしましても、国鉄あるいはその直接の監督官庁である運輸省のこの問題についての姿勢をまことに遺憾しごくに思っております。しかし、これはこの廃棄物処理法の条文の書き方いかんというようなことではなしに、国鉄といえば、ついこの間まで政府が直営をしてやっていた鉄道でございます。こんな条文がなくてもやるのが当然で、ここで「努めなければならない。」というのをさらに強い文章に直すならば国鉄が初めて目がさめるというようなことの次第のものではなかろうと思いますので、これ以上は、どうか運輸次官も国鉄もいらっしゃるので、その覚悟のほどをぜひひとつ表明していただきたいと思います。
  152. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 今度のこのいわゆる国鉄の黄害問題につきまして、運輸省といたしましては、国鉄に対しましては、基本的には、現在、新幹線で採用しているようなタンク式の処理装置を現在線にも全部つけるようにということで指導いたしているわけでございますが、しかし、これは先生御存じのとおりに、便所つきの車両一万七千両、そしてこれにかかるいわゆる車両の改造費から地上設備を含めると八百億円という巨大な金額、これを必要とするわけでございまして、現在の国鉄の財政は、先生御存じのとおりに、これは大赤字でございます。これをどうするかといって夢中になって飛び回っているというのが国鉄また運輸省自体の実態でございますが、そして早急に八百億円かけてそれをぶち込めと言われましても、いわゆる地上設備その他につきましては、やはり地元の公共団体その他の協力というものが必要でございます。しかし、それを全然やらないということではございませんので、現在でもいわゆるいままで問題になっておりました品川が都市下水に入れるのがなかなかむずかしかった、今度は都のほうでオーケーだということでこれが四十五年度、また大阪の宮原、これも四十五年度から、そして京都向日町、また南福岡とか、これも都市下水へ繰り入れるということが、下水がないわけですからこれができない。そういうことになりますと、周辺の田んぼへ流す、そういうふうな問題も出てきまして、なかなかむずかしい問題でございます。いま、これは国鉄側の報告によりますと、これは向日町の周辺の桂川、または小畑川へ流す、そういう方向でこれを進めているということでございます。しかし、それにしましても、運輸省から国鉄に対しましては、これはできる限り積極的にいま取り組んでいくというぐあいに督励していくというのが現在の運輸省の方向でございます。先生おっしゃいましたように、確かにいわゆる公共負担という問題がたくさんございました。大体本年度も五百二十三億というような予定だそうでございますが、しかし、こういうようなものも徐々に少なくともこの次の国鉄の予算を組みますときには、こういうようないわゆる公共負担というものを軽減させてもらいたい。そういうようなぐあいで、いまいろいろ予算の折衝中でございますが、何はともあれ運輸省としては、国鉄に対しましては積極的に取り組めということで督励してまいっておるつもりでございます。
  153. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸委員会じゃありませんから、運輸交通の政策論争はできるだけ避けるようにして、問題の本質に触れていきたいと思うのですが、運輸省の関係は別として、厚生大臣並びに労働大臣、この問題が国会で問題になったのは、たしか私の記憶では昭和四十三年だと思う。それから今日までに至っておるのですが、この具体的な経緯を御存じですか。それぞれの大臣から答えていただきたいと思います。これは知っておれば知っておるでよろしいです。全く知らないなんというようなことは、いやしくも閣僚としてそれぞれ議員ですから言えないと思うのですが、詳細にわたって知らないなら知らないでけっこうです。そこらのところはたいした問題にしようとしておるのじゃありませんから、これは厚生大臣からひとつ先に答えてください。
  154. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は、従来は知りませんでしたが、私が厚生大臣に就任いたしましてからこの一年間、これはもう各方面で、国会内でもこの問題が取り上げられまして、その進み方については、私は先ほど来申しますように、まことに遺憾な状態である、何とかしてこれを改善するような努力を払ってもらわなければ、これは国鉄当局並びにその直接の監督官庁である運輸省に払ってもらわなければという気持ちで今日までおります。
  155. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) 詳しいことは伺っておりませんが、ちらほらと耳にいたしております。ここであらためて認識を得たわけでございます。
  156. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 両大臣とも率直な答弁で、きわめて好感を持っております。したがいましてこの際、委員長並びに各出席の委員の皆さんにも御了解を得ながら、多少この問題について長くはなりますけれども、今日までの経過というものを申し上げなければならないと思うのであります。  いままでの経過はこういうことであります。国鉄の経過、現状は、御承知のように、便所の場合は、これはことばはきたないようでありますけれども、大体きたないものでありますから、あえてこういうことを言うのでありますが、これはたれ流し状態であります。これは皆さんもその程度の認識はあると思う。すべてたれ流しです。いいですか、厚生省よく聞いてくださいよ。それからこれは労働省のほうに聞いてもらわなければならぬのですが、このたれ流しの直接の被害を受けるのは大体その職場に従事をいたしておりまする、働いておりまする国鉄の従業員です。線路を日夜を分かたず守ってまいらなければならない従業員であります。ですから、こういう人々を、さいぜん申し上げたように、四十三年などという問題ではなくて、国鉄が発足以来、長い間、古い時期からこの問題を問題にしておったのであります。皆さんも御承知のように、戦前はしからばどうかということになります。あるいは戦中はどうかという、おそらくやこれからの質問に対して、あるいは外国でどうかなどというこの答弁が返ってくるのじゃないかというように想定いたしますが、ここのところ一応はっきりさしておかなければならぬと思うが、どうですか。厚生大臣あるいは国鉄においても、あるいは運輸省でも、労働大臣においても、これは戦中、戦前は、大体においてこのふん尿というものは、わが国の農業生産のための、簡単なことばで申し上げますと、肥やしとして見る社会的な背景があった、これは否定できないと思います。ところが戦後はどうなったかというと、わが国の復興というものと、特に最近急激な産業経済の発展に伴いまして、農産物の肥料、肥やしであるというような見方というものは一変したと思うのであります。ですから、当然のことであるけれども、国鉄の線路上で働いておりまする人々はもとより、沿線の住民、国鉄を利用いただく国民の大多数の人々は、おおよそこの問題を考えない人はないと思うんであります。憲法ではたいへんりっぱな文章がございます。国民はすべて健康にして文化的な生活を営む権利がある、こう書かれていますけれども、この憲法も戦後の憲法でしょう。この関係を私いまここでどうこう言おうとしていませんが、国鉄の現在この問題を扱っている状態、厚生省のこれに対するかまえ、線路上で働らいております直接の被害者である労働問題を扱う労働省におきましても、この憲法の精神から見てもまことにかけ離れていると言わなければならないのであります。この点に関する限りは原始的だと言わざるを得ない。全部の省庁に関係がありますが、それぞれこの見解をひとつ私は求めておきたいと思います。第一に厚生大臣、第二に労働大臣、第三に運輸大臣、第四に国鉄当局、それぞれ答弁を求めたいと思います。
  157. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 全くお話のとおりでございます。
  158. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) ふん尿が戦前並びに戦後においては農産物の肥料として重要視されました。むしろ日本の農業はふん尿を中心とした農業であったとも言えるわけでございます。かっては、吉田松陰先生が「ふん尿を掬せずんば良農とならず」と言われたことがありますが、私ども、実は、うちの肥やしをくんでまいりました農民が、年末になりますと、お米をついてお礼にまいりました。おかげさまでこのとおりの米がとれましたので、きょうはお礼にまいりましたと言っておった時代もございます。しかるに最近は農村におきましても終末処理場が設けられ、日本の農業の姿は一変いたしました。すでに日本の農業の中心はふん尿中心の農業ではない、新しい近代的な科学的な農業に変わった、この意味でも大きな前進でございます。最近における日本の大きな経済の成長の結果、戦前と戦後においては想像もできない大きな変革を来たしました。ところが、国鉄におけるふん尿の処理は依然として、どうも近代化がおくれておるように感じられます。したがいまして、多数の従業員諸君、特に保線の仕事に当たっておられる方々はまさしく昔と変わらない非常に苦しい作業もしておられる。これは一日も早くふん尿の問題は合理的に近代化をする必要があろうと感じます。したがいまして、そういう努力を積み重ねておると思いますけれども、この際やはり思い切って公害対策一つとしてこの問題が大きく前進することが望ましいことだと考えております。
  159. 山村新治郎

    政府委員(山村新治郎君) 事実、先生おっしゃいましたように、このふん尿につきまして、戦前というよりも戦後でさえ——まあ、私のところは千葉県の二区でございます。われわれのところでは、便所のくみ取りをやらせますと、年末に正月用のおもちを持ってまいりまして、それを「うんこもち」と言いましたけれども、それくらいいろいろ役に立ったという面もございます。しかし、先生おっしゃられるとおりでありまして、このいわゆる保線関係の労働者六万四千人、また沿線の住民、また国鉄利用の国民の皆さん方、これらのことを考えた場合に、運輸省といたしましては、できるだけ積極的にこの問題に取り組むように、国鉄を督励してまいるつもりでございます。
  160. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 国鉄のふん尿処理の非近代性は、吉田先生指摘のとおりでございまして、これを改善していかなければならないんでございますけれども、問題点は、ちょうど吉田先生指摘のとおり、現在の資金の逼迫状況のもとで近代化ができないということで非常に苦慮しておるわけでございます。改善の基本的な方向につきましては、先ほど山村政務次官からお話がございましたとおりでございまして、基本的な方向は新幹線が採用しておるタンク式、循環式というものできわめて近代的なものに整備していく、基本的なものを整備していくということでございます。しかし、それを促進するための資金が十分でないということで、きわめてこそく、さしあたりの措置といたしまして、人口の非常に多い地域については、お客さんの協力を得て、使用を抑制していただく。この辺で言いますと、東海道では横浜まで、あるいは赤羽あるいは松戸、市川等々、人口の多いところでは使用を遠慮していただくという方途を、あるいはまた排せつ物が飛散しないように、流す管に特殊なおおいをつくりまして、これは全部の車両におおいをつくりまして、かなりの成果をあげておるわけでございまして、飛散の程度を抑制する成果をあげておるわけでございますけれども、さしあたりのところとしては、そのようなことで対処していきたい。しこうして基本的な整備の方向はタンク式、循環式、それと地上設備の処理施設というものを整備していく、こういうことでございます。
  161. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 各省庁からそれぞれの答弁がありましたが、簡単に申し上げますと、私が経過を述べたところを認めたと思う。こういうことですから、全国的にたれ流しに対してたいへんな抗議が起きて、今日なおたいへんな勢いになって起きておるわけですね。あとで、国鉄がそれに対して約束したことについてもここに持っておりますから、読み上げて、これがなされているか、いないかということについてもお伺いしますがね。とにもかくにも、これは当然のことでありますけれども、直接には被害をこうむっているのは国鉄の職員でありますから、国鉄には国鉄労働組合というのが一番大きな組合で、労働団体として団体を組織しています。当然取り上げているんであります。これは私の記憶ですが、昭和四十三年の四月ごろだと思いますが、国鉄の直接の被害をこうむっております施設の方であるとか、電気の方、その中にも線路を保守いたします保線の方々が施設協議会という機関を持っておりますが、その全国委員会では、労働大臣、国鉄にはたれ流しの黄害のほかに触車傷害、これはちょっと誤って逃げおくれをいたしますと引き殺されるという傷害を起こしますが、専門語では触車傷害、こう言っているんです。こういう問題を取り上げたと同時に、作業をしておりますると頭からふん尿がおおいかぶさってくるという、きわめてこれは非人間的ですね、非科学的、こういう問題、これは当然もうもはやがまんがならぬ、こういうことでいろいろこの問題解決のための具体的な協議をし、決議をしております。たしか当時は三十二、三万じゃないかと思いますけれども、全国的な国鉄の職員にそのことを指示をしておる。それをまた確認をいたしているようでありますが、こういうことについては間違いだと思いますか。まず第一、これをいまのように順序よく、こういうことをきめ合ったことは間違いであるか、これが一つ。  それから二つ目には、そういってみても、やはり国民全体に対してもこの種問題についての衛生知識とでも申しましょうか、いわゆる環境衛生の思想の普及とでも申しましょうか、このことも皆さんの手元にすでにまいっていると思いますが、「糞尿譚」という冊子を編集して配られて、懸命な啓蒙を行なっております。こういう行為が一体よいのか悪いのか。厚生大臣のやることをこれはやっていると私は思いますよ。これが二つ目。  それからもう一つは、先ほど申し上げたように、沿線住民がたいへんな被害をこうむる。さて列車に乗っておる方々は被害をこうむらないかというと、利用者もまた被害をこうむる。大体皆さん方大臣とか何とか優等列車に乗っておりまするから、最近窓などはあきません。しかし、一般国民大多数が乗っておる、特にローカルの汽車は夏は暑くてしようがありませんから窓をあけます。常時あの長い列車に乗っておられる利用者というのは、この便所、トイレというものを使用するんです。ですから間断なくふん尿というのは飛散しているんです。窓から全部ばい菌が入ってくるんですよ。ですから利用者といえども、知らない間に、目に見えない間にふん尿を、たまたま子供さんが弁当でも食べておったとするならば、弁当に飛散したものをそのまま食べている。ですから利用者もこのたれ流しについては激しい抗議を示しているんです。その実態は、御承知のように、四十三年のたしか八月ごろじゃなかったかと思いますが、関東におきましては日比谷公会堂に数千人の方々が集まってこの問題を検討して、先ほど申し上げたような国鉄労働組合と同じような事柄をきめ合っておるのです。じゃ関東だけかというとそうではない。関西におきましてもこの問題が取り上げられて、大阪の中ノ島公会堂においてやはりたれ流し問題を取り上げ、これが改善のために努力をしていただかなければならぬという活発な活動が展開されておりますることは、当時の新聞紙上に明らかであります。同時に、わが国の産業医学界とでも申しましょうか、その権威者じゃないでしょうか、鯉沼という医学博士がみずからその会長になっておりますね、局長あなたも御存じでしょう。あなたも医者だと思いますが、この方をはじめとして日本のこういう問題の権威者が数十名集まりまして、これがための具体的な調査活動をしておるのであります。その調査を具体的に東海道の尼ケ崎の駅構内で澱粉を使用して調査をしたことがございます。その結果はわれわれの手元に資料がまいっておる。厚生省にもいっておると思う。国鉄にもまいっておると思います。労働省だってそうですよ、いっておる。おそらく大蔵省のほうにもいっておると思う。こういうことはすでになされておるのですよ。こういうことが現在それぞれの段階でなされていますけれども、こういうことは一体間違いであるかどうか、間違っておるのかどうか。これも簡単でいいですからそれぞれお答えを願いたいと思います。
  162. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 間違っておるどころじゃなしに、きわめてごもっともなことだと私は考えます。
  163. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) ただいまの内田厚生大臣の所見と全く同様でございます。
  164. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) ただいまの両大臣の御答弁と全く同様に感じております。
  165. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 両大臣のお説のとおりでございます。
  166. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいままでのお話、そのとおりでございます。
  167. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いずれも肯定をいたしましたね、そこでこれから具体的に申し上げます。いままでの経過を肯定したわけですから、具体的に。もちろんこういう状態ですから、国鉄には労使というものがございます。つまり国鉄当局という経営者、管理者、それと労働組合が、さいぜんから申し上げておりますように、国鉄にはございます。ですからこの問題を皆さんが肯定した立場で解決するように労使双方で何回もお会いをして交渉を進めておるのであります。これは国鉄当局のメモがここにございますが、昭和四十三年九月の三日にこの問題についての基本的な改善について話し合いがなされまして回答いたしておるのであります。そのときの国鉄の態度というのは、原岡さん、あなたはまだ常務理事じゃなかったと思いますが、先ほどもちょっと答えられたようでありますが、改善の方向としてはタンク処理方式という方式をとって、当面の措置は、大都市周辺で家屋の密集地域を通過する列車の便所の使用を制限する、制限いたします。あわせてそのおおいなどを取りつけて飛散防止につとめますと、こういう回答を国鉄の当局側が出しているんであります。その後、皆さんが先ほど肯定したように、全国的な地域住民あるいは利用客等々のこれに対する考え方というものが全国的に広まってきた私は段階だと思いますが、四十四年の三月に、これについて当局の処理をいたすためのメモというものを新聞紙上を形式的に通して発表いたしているんであります。そのメモをちょっと読んでみますと、こういうことであります。国鉄のこのメモは、大体において地上設備計画においては品川、それから宮原、それから向日町、この三つについて、汚物処理方式として洗浄台を改築をして云々等々、これ読んでおりますとたいへんな時間経過しますから私は読みませんが、幾つかのこの問題解決のために、国鉄側が答えられたものがここにある。このことは、ただ単に対応機関の国鉄の労働組合に答えたということではないと思う。新聞紙上に記者会見をして発表して国民の前に明らかにしたわけですから、ある意味において、国民に国鉄が公約をしたことだと思うのですが、この点は当然運輸省とも相談をしてやったことでありますから、運輸省はどう考えてるか、国鉄は一体どう考えてるか、公約をしたことと私は理解しておりますが、この点はどうですか。
  168. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) ただいま先生指摘の事実でございますが、これは国鉄側が当時考えまして、私どもも相談にあずかりまして、そしてそれによって、国鉄として公に出して、そのようにやりたいということを申したわけでございます。
  169. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま先生お話のとおりの計画になっております。
  170. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのことも認めたわけですが、その次に四十四年度から、これがさらに懸案事項の解決という点で、施設協議会という国鉄労組内の一機関でありますが、そこと団体交渉を行なってきめ合っているのがございます。これは大体労使間では協約と言っておりますが、簡単にこれも説明してみますると、これは協約ができ上がりましたから了解したということになると思いますが、了解事項の中で、列車便所の改装と汚物処理改善整備計画については、さしあたり新製車両に貯溜タンクを設備できるようにするとともに、昭和四十四年度から——四十四年ということは去年ですね。東海道線、山陽本線を対象に清潔化に着手するようにする、具体的計画については確定次第、そのつど説明をし、関連する労働条件等については協議する、こういうことで労働協約がなされているのだけれども、四十四年からです。もうすでに二年になるわけですから、かなり時間が経過しておりますが、この協約に基づいて旦一体的にどの程度の問題を解決したのか。それからこの協約に基づいて対応機関にその都度労働条件等についも説明をすると、こう記載されていますから、何回ぐらい説明が行なわれたのか、この際明らかにしていただきたい。  それからその次に、こうした労使関係の問題は別にいたしまして、先ほどから再三繰り返し申し上げておりますように、沿線住民、利用者、つまり国民のほうも具体的な運動を行なってまいりまして、国鉄側にいろいろな要求をしたり、国会に陳情したり、あるいはそれぞれの関係大臣に陳情、請願を行なったりしているのでありますが、皆さんこのことは御承知だと思いますけれども、そのときにたれ流しに反対でありますという署名活動を行なったときに、当時署名をいたした人は十二万人に達しているのであります。しかも関係の沿線の県、市町村長、いずれも署名をいたしております。関係の県、市町村議会はこのことについて議決をいたしております。時間がありませんから申し上げませんが、ここにも議決の資料が全部ございます。それから、これについて国鉄労働組合は労働大臣質問書を出しております。これは読み上げてあとあと参考までに供したいと思いますが、とにもかくにも、地方議会で議決をいたして、ここに資料がございます。冒頭に和歌山県議会あるいは田辺市議会あるいは山梨県議会などまで読み上げていきますとたいへんなことになりますから、このとおり、いいですか大臣、議会で議決をしているのです。私は、まさにこれこそ国鉄の黄害、たれ流しに対する国民世論だと、こう思っているのです。この点の理解どうですか、この理解に対して皆さんがどういう考えを持っているか、まずそれを一つ所見を求めたいと思います。
  171. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) ごもっともの当然の動きであると私は思います。
  172. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) しごくごもっともだと考えております。
  173. 藤田正明

    政府委員(藤田政明君) 同様でございます。
  174. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 施設協議会と国鉄との関係の労働協約の問題は、これは労使双方の問題でございますから、私どもとしては直接にはそれに関与するということは適当ではないと考えております。なお陳情その他につきまして、これにつきましては、先生おっしゃいますように、十分私どもとしては、これを尊重して考えなければいかぬ、このように考えております。
  175. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 一般利用者の声はもっともと思います。
  176. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 労働協約については運輸省はその答えでけっこうです。その他の方々もそのとおりである、そのとおりであると全部これを認めている。しかるに、冒頭申し上げたように、厚生大臣、さっぱりこの問題は解決していません。何が原因だと思いますか。あとでお答えを聞かせていただきたいと思いますが、さすがの国鉄当局も財政事情が窮迫しているとか何とかいう問題とは別に、国民の世論というものと、直接にはまともにこのふん尿の被害をこうむる国鉄職員の要求に抗しきれずして、ついに——あえて私はついにということばを使いますが、ついに四十四年十月末に常務理事会を招集いたしまして、その対策を決定して内外に明らかにいたしたのであります。ざっとその内容を申し上げますと、簡単にでございますが、列車便所たれ流し黄害対策として列車便所の改善の方針をひとつ決定しようじゃないかということを理事会できめております。ここに理事会のきめた資料も私は持ってきております。読み上げません。それからもう一つは、そのことについて対応機関の国鉄労働組合に提案をいたしております。このことについてのやりとりも省略をいたします。それと国民、被害者に向けて、これも報道関係を通したという形でお約束をいたしたのであります。四十四年度に具体的に十億円計上いたしまして所要の措置をとる、四十五年度四十五億円の予算を充てて車両の改造、地上処理設備の建設を進める、四十五年度末には東海道、山陽本線の優等列車から使用を開始する、今後は順次被害の集中個所から計画的に解消をはかるというものであります。その内容はここに私は持ってきております。国鉄当局は十月の二十七日に理事会を開催されまして、これもかなり長い文面になっておりますから、これを一々私は読み上げません。簡単に申し上げますれば、先ほどの集約をいたしまして読み上げたことになっているのであります。  さて、この対応機関に、金額は別として、具体的な案を提示をして了解を求め、国民にはそういう約束をいたしているのでありますが、国鉄は——原岡さん、これが大事なことですよ。今年に入ってからこのお約束した国民並びに対応機関の労働組合に対してこれらの問題の進捗状態の説明を求められたところが、予算が不確定でありますという理由で具体的な解明を拒んでいるというこの実情は一体何なんでしょうか。結果、これが公害国会といわれるこの国会で、ただいま審議中のこうした法律等々を審議するにあたって関係がございますから、先般、衆議院で十二月七日に、わが社会党の同僚議員である後藤君の質問にかろうじて答えるというのが国鉄のいまの現状じゃないでしょうか。しかも具体的にその内容というのは、東京では品川、大阪では向日町、宮原、九州の南福岡の処理基地のうち、本年十月に宮原で五千百万円で着工したにとどまっているのであります。そうして年内完工の見通しがあるだけでありまして、車両についても、先ほど来お答えしておりまするが、改造は四十五年度末にわずかに二百六十両じゃありませんか、原岡さん。新造車両で設備し得る準備の整っております車両というのは八百十一両ではありませんか。四十五年度末使用開始ができないことは明らかであります。国鉄には一体車両は何両あると思いますか。あなたは当の理事でありますから、私はあえて申し上げません。私もその出身でありますからあえてここで申し上げませんが、二千数百両という車両があるじゃないですか。わずかに行なっているのはこんな程度、これで一体厚生大臣、あなたは、先ほど、国鉄がやりますと、こう言ったから、そのことによって期待しますと、こういうことで冒頭に申し上げたような努力目標の規定というものはいいと思いますか。ここに問題がある。同時に私は、国鉄は国民に対して約束したことに反しておる、このことを言わざるを得ません。それぞれの答弁を求めます。
  177. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 国鉄というのは、日本国有鉄道で、代表的な公共企業体であります。したがって、それがそういうたれ流し便所の改良とかあるいは衛生的処理なりということをやるかやらぬかということは、法律に書く以前の問題で私はあると思うものでございまして、書き方をきつくすればそれで済むという問題ではない。ほんとうに国鉄当局なり、たびたび申すように、それの直接の監督官庁である運輸省が知りませんでしたということならば、これから計画立てますとか、考え直しますということでございましょうけれども、吉田さんが述べられておりますように、もう長い経緯もあって、もう知り尽くしている問題でありますから、要はいま国鉄なり運輸省の実行体制そのものにある、こういうふうに私は考えます。
  178. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 国鉄の改善の実績、吉田先生から大体御指摘ございましたけれども、四十四年度と四十五年度、四十四年度から始めましたので、このトータルの実績をはっきり申し上げたいと思います。車両設備は百五十八両、工費二億三千八百万円でございます。それから地上設備は、先ほど吉田先生申されましたとおり、宮原に五千万円、一ヵ所でございます。したがって工事費の合計はその分につきましては二億八千八百万円、その他、将来地上設備ができたらタンクを取りつけてすぐ使用できるという準備工事でございますが、そのための施工車両数は九百十三両となっております。そして計画につきましては、国鉄労働組合のほうにも事前に説明をいたしております。  なお、先ほどの御質問の中に、何回ほど交渉したかと、こういうお話でございますけれども、一般団体交渉の中でやっておりますので、このことだけで何回交渉をしたかということははっきりしておりませんので、あとではっきりし次第、はっきりして御報告申し上げます。
  179. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 労働大臣どうですか、こういう実情は。
  180. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) 先ほど来お伺いいたしまして、どうもまことに遺憾であると残念に考えております。
  181. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いま原岡常務理事から何回程度交渉したかということの実績、手元にないということですから、それはあとでけっこうです。けっこうですが、ちょっと私も長くおしゃべりしておりましたからぼやっとしておりますが、多少計数的に訂正するのは、二千数百両じゃなくて国鉄の車両は二万五千両ぐらいあります。二万五千に対して、答えられたのは百数十両ですね。それから、これからそういう設備改善しようというものが八百十一両でありますから、二万五千両に対してその程度ですよ。それはあとで大蔵省にも関係がありますから、私は聞くのですが、よく頭に入れておきなさい。いいですか。そうして当時は、再三申し上げるようだけれども、これは原岡さん、国民に公約したのですからね、国民に公約をした。それから一つには国鉄労働組合と労働協約、協定を結んだ。これは協約、協定を結んだということは、直接の被害をこうむるのは、あなた御承知のように、線路の保守をいたす人々を中心に約六万人ぐらいの人がこの被害を直接こうむるのですよ。厚生大臣、あなたは、ただ単にこの期待感だけで答えられているようなものじゃないのですよ。六万人というたらどっかの、かなりの——今度法律改正になりましたから三万で市になっていますね。二つぐらいの市ですね、やや中都市ぐらいじゃないですか、その人々が全部このたれ流しによってこの黄害にあっている。この中には大腸菌とか、私ども医者じゃありませんからようそういうことはわかりませんが、たいへんな幾つかのばい菌をこうむっているのですな。そういう状態を少しでも早く改善をしなきゃならぬということで、国鉄は財政上たいへん苦しいのでありますけれども、しかしそのことはそのこととしてお約束をしたわけですよ。それが一ぺんの断わりもなしに実行に移していないということですから、公約を破棄したということになるのじゃないでしょうか、一般論的に申し上げてみますれば。しかも地方公共団体とも十分このことについては話し合いをしようではないかという幾つかのこともなされているのであります。しかし、今日的な段階で申し上げますれば、これももう全く言いのがれの方便と私は言わざるを得ないのであります。これに対して、今後国鉄並びに監督官庁であります運輸省はどう一体この多くの沿線住民あるいは利用者、先ほど申し上げたように、関係の県、市町村の議会決議、そうした市町村の自治団体の議長におわびしようとしているのか、この際聞かせていただきたいと思うのであります。  それから厚生大臣と大蔵省にお伺いしますが、この問題は、私はひとり国鉄の責任じゃないと思う。決して私は国鉄をかばう気はありません。しかし、国鉄というのはどうですか。企業体でありますけれども、民間産業ではありません。国家企業であります。ですから国鉄だけに責任を負わしてはいけないと思います。現在、国鉄では、お客さんを乗せます客車は、先ほど申しましたように、EC、DC、PC、いろいろ種類があります。こういうものを合わせまして二万五千両あるのであります。その車両の中に、この便所がつけられております車両というのは約半数くらいではないでしょうか。厳密に申しますと一万七千両くらいではないですか、原岡さん。こまかにあなたから答えてもらいますが、私の記憶ではそんな程度であります。程度だと思っているんであります。この車両が毎日のように夜となく昼となく過密ダイヤと称されるような、世界で類例のない密度の高いダイヤによって、北は北海道、南は九州と走っておるのであります。そこで一体、日本全国で国鉄の車両、つまり列車を利用してどの程度のふん尿がたれ流しになっているのであろうかということを厚生大臣、あなた検討してみたことありますか。厚生省、そういうことはありますか。労働省だってないと思いますよ。大きいほうで、いいですか、よく覚えてください。大きいほうで二千トンありますですよ。一日に大きいほうで。たいへんなものですよ、二千トン。二千トンということになりますと、どうですか、労働大臣。あなた笑っておりますけれども、国鉄には三十トンの貨車があります。二千トンといったらどの程度の車両が必要であるか。小さいほうで百四十五万リットルでありますよ。百四十五万リットル、それくらいの量のふん尿というものが一日に全国にばらまかれる。ばらまかれるのですよ。そういう状態をいまのままで厚生大臣が、ただ単に国鉄にその改善を期待するというような期待感でいいものかどうか、厚生省として。被害を受けております国民は数千万人なんですよ、一日に。これは国鉄はよその企業と違いまして、お盆とか正月を休むわけにはいかぬ、三百六十五日走っているのですから。延べの国民の被害というのは、これはもう想像以上のものだと思う。さて、これが一挙に改善するということになりますと、先ほど言われたように、八百億くらいかかると言われております。さなきだに国鉄の財政というのはたいへんであります。これは幾つかの問題がありますですよ、政府としても。しかし私は、ここは運輸委員会ではありませんから言いませんけれども、とにかくこれを解決するためには、財政的な、具体的な施策を持たなければ、私は解決できないと思う。藤田さん、私はここで大蔵省の皆さんに要求します。その一つは、今日の国鉄の公共負担というものを軽減するように大蔵省は考えなさい。もう一つはですね、そのこととあわせて、いまのような借金だらけになった国鉄にすべてを負わすのではなくして、ほんの一部であろうけれども市町村の納付金をやめなさい、その制度を。当然これは国家として負担しなければならないものだと私は思うものであります、等々の財政措置を大蔵省が考え、なおかつ当然国鉄がやらねばならぬというその施策については当然国鉄で負担をしなければならないものだと思うんです。しかし、いま国鉄には金がない、現実に。幸い予算編成期だけに、国鉄の財政全体の再建問題を含めまして、特段の大蔵省として、この問題はただ単に国鉄の問題である、これでは済まされない。いま申し上げたように、具体的にぼくは言ってるんです。たいへんな被害なんですから。本来的に言えば一つの災害といっても私は大げさではないと思うんですよ。さて、災害が起きたら、これまた国鉄に押しつけだ。そうして、こういう問題が起きてくると、われ関せずというのはいままでの大蔵省の態度じゃないですか。これをひとつ具体的にこれから大蔵省としてはどうするのか答えていただきたいと思うんです。厚生大臣、どうですか。びっくりしたでしょう。一日に大きいので二千トン。小さいほうが優に百四十五万リットルですよ。この問題先ほど来聞いていてどうですか。ですから私は冒頭に言ったように、努力目標の法律規定ではいけない。だからここで法そのものの精神からいっても、これを一部改めるべきだと言っているのは、ここにあるんです、ここに。まだ皆さんは私の言っている意味がわかりませんか。厚生省、これ提案しているんですが、明快な答えをしていただきたい。
  182. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たびたび申しておるわけでありますが、私のほうでは遺憾千万、また国民としても迷惑千万でありまして、国鉄は民間の一企業ではなくて、日本国有鉄道と言われておりますような公共企業体の最右翼にある。また比較的最近までは運輸省自身がみずから運営しておった機関でありますので、法律の文言そのものよりも、一体その国鉄がおやりになるのかおやりにならないのか、また監督官庁である運輸省はやらせるつもりがおありになるのか、おありにならないのか、こういうことになることと思うわけでありましてこの話は、私はいま初めて聞く話ではございませんで、一年前まではよく知りませんでしたけれども、この一年間、先ほどお名前をあげられました後藤さん、あるいは小林進さん等々からも、たびたび国会の議場で私どものみならず国鉄の当局、また運輸省の当局等も御一緒にこれらの話を承っておりまして、ほんとうに国鉄なり運輸省なりがその気になってもらわないと困ったことだと、こういうふうに遺憾千万に存じておるわけでございます。
  183. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) おことばを返すようでございますが、先ほどの吉田委員のおっしゃいました大便約二千トン、そして小便約百四十五万リットルの数字は、われわれの聞いている数字とはだいぶへだたりがあります。大便は約二十トン、そして小便は約百トンというふうにわれわれは聞かされております。一言それを最初に申し上げておきます。  それから、大蔵省といたしまして、国鉄財政をいかにするか、そしてその中におけるこの公害の問題をどう考えているかというふうな御質問かと思いますが、吉田先生御存じのとおりでございまして、国鉄財政は3Kの一つでございます。まことに総合的にこれに対処しなきゃならぬというふうな事態でございます。もちろん公共負担の問題、納付金の問題もございますが、また、赤字線の問題とか、そうして余裕財産の処分の問題であるとか、いろいろ問題がこれはございます。それらを中に含めまして、ただいまおっしゃいましたようなことを解決していきたいと思います。この黄害の問題に関しましては、特に一つのポイントであろうかと思います。先ほど来吉田委員から、いままでの経過なり何なりずっとおっしゃっていただきまして、まことにそのとおりだと思うのであります。大蔵当局といたしましても、財政的にできるだけ御期待にこたえるように、今後十分に配慮するつもりでおります。
  184. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そのあとですが、次官ね、次官の答えはそういうことで、この計数のとり方というのは、あなたのほうは国鉄当局からとったのだと思う。私は、これは実際に働いている人々の、それぞれ全国の保線区、線路の保線区がありますね、これを全部集めてきて、トータルした計数ですから、多少食い違いがあろうと思うのでありますが、その計数の数字の食い違いの問題ではないと思う。ですから、いまあなた答えられたこのことも含めて、財政当局としては考える、こう言っているのでありますが、特に私はお願いをしておきたいのは、国鉄といたしますれば、この種投資は、決して投資効率の高まる投資じゃないですね。それだけにまだまだやらなくてはならない問題があるわけでしょう、赤字解消のためにね。ですから、どうしてもこれは消極的になる。だから、大蔵省が、予算をきめる場合に、たいへんな問題なんですから、これはまあ国民の側から見れば。ですから、こういう問題を解決するためには、かくかくしかじかの金で、これでやるから、これで具体的にやってくださいよ、こうやらないと国鉄は投資しませんよ。このことも十分配慮をする、財政当局として。私はお願いしておきたいと思う。  それから、厚生大臣ですが、厚生大臣何回立っても、あなたは迷惑千万であると言っている。それくらい迷惑千万であるならば、このいわゆる五条六項、ほんの一部分ですよ。このくらい迷惑千万だったら、直ちに直したらいいじゃないですか。どこに影響があるのですか、そのくらい迷惑千万であるならば。ただ単に迷惑千万、迷惑千万では解決しない、物事は。しかし、たとえば五条六項、多少修正したからといって問題がすべて解決するとは私は思っていませんよ。しかし、そのためには、いささかでもいまのような努力目標の規定よりは、そのほうが改善の道に役立つと思うから、私は言っているのです。ただ迷惑千万だ、迷惑千万だといって問題さっぱり解決する具体的な厚生大臣答えがないじゃないですか。もう一回答えてください。それから、運輸省、国鉄当局。
  185. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たびたび申し上げているとおりでございます。
  186. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そんなあんた、たびたび申し上げておりますとおりでありますで、問題解決しますか。たびたび申し上げておりますとおりということは、この法を改正する必要がないということですか。私は変えたほうがいいという主張をしている。当然これはあとあとの理事会で成文をして、私ども議論することでありますが、具体的に私は言っているのですよ、冒頭から。どういうことですか。改正する必要はないということですか。
  187. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) たびたび申しておりますように、法律改正のこともさることながら、国鉄当局なりあるいは運輸省当局がやるつもり、やらせるつもりをもっていただかないと、私は、そのことは一番肝心なことだというふうに考えます。法律修正のことにつきましては、これはもう私のほうは原案を出しましたので、法律の立法をなさるのは国会でございますので、私がここで修正のことに触れることは適当でないと、かように考えます。
  188. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 国鉄の仕事は、先生ただいま御指摘のように、非常に多くの旅客貨物を運送して、しかもこれが安全に行なわれるというような必要があり、また、その仕事をやっていきますのに関連いたしまして非常に関係するところが多いというのは御指摘のとおりでございます。したがって、国鉄の投資は各般の面にわたるわけでございますが、特にこの列車便所の汚物処理の問題は非常に重要な問題でございまして、これはやはり重点を置いて処理をしなければならぬ、このように私ども考えております。特に、私どもは、やはり国鉄というのは、先ほども指摘がございましたように、国が全額出資する法人でございまして、いわば国の分身でございます。したがって、その仕事自体が公共的な性格を帯びているだけでなく、その仕事のやり方も公共的なやり方でもってやっていかなければならぬという意味から申しまして、これにつきましては大いに努力をしなければならぬというふうに考えております。  なお、これに関連いたしまして、先生指摘のように、国鉄に対しましては多くの公共負担もあり、そしてまた、財政的な悪化の事情というものは最近著しいものがございます。これにつきまして、来年度予算の関連におきましても、これについて国の財政措置その他の問題につきまして十分に関係当局とも相談をいたしまして善処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  189. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 国鉄の資金事情は、しばしば御指摘のとおりでございまして、非常に苦しい中であってもこの工事は進めていかなきゃならないと、かように考えております。  なお、先ほど先生から御指摘ございました在来線の便所の数でございますけれども、客車の総数は二万五千二百両で、便所つきの車両が一万七千三百両でございます。そしてタンクつきは、先ほど申し上げましたように、準備工事の済んだものを含めまして約九百両ございます。準備工事でございますので、まだこれはタンクとしては使用できておりません。そのほか、特急用の客車、それから電車約千両に、単純なたれ流しじゃなくて消毒して流す、粉砕してたれ流しする、そういう設備をつけておるいわゆる消毒式の車が約千両ございます。  それからもう一点、組合に対してどのような交渉をしたかという点でございますが、昭和四十二年以降、団体交渉の回数が十二回、四十四年、協定を締結して以来、現在までに団体交渉は六回いたしております。
  190. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 原岡常務理事、参考までですがね、その面の所要経費はどの程度でございますか。
  191. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 現在、第一次的に東海道、山陽、これを一番第一次的にやっていくという計画になっておりますが、その所要経費は約五十五億円、こういうふうに想定されております。
  192. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あんまりそこで議論をする気はありませんが、約八百億かかるとすると、これは何十年もかかりますな、いまのような五十何億程度でやっていくということになりますと。それはここでこの法律関係しての主要な議論じゃありませんから、ぼくはあらためてやりますがね。  次に、労働大臣に、おもに安全衛生規則というものと関連して所見を伺っておきたいと思うのでありますが、何回も申し上げておりますように、直接の被害をこうむるのは、何といたしましても国鉄の従事員であります。ざっと大例しますと、施設関係三万五千人ぐらい、それから踏み切り関係の人々が四千人ぐらい、それから構内で作業をいたしております運輸関係の職員もございますが、ざっと一万人ぐらいでしょう、全国で。それに、運転をしなければ列車というものは走れませんから、運転関係の職員がこれまたざっと一万人ぐらいだと思いますが、大体合わせますと約七万人近い人々が直接の被害をこうむる。まあ再三言うようですがね、労働大臣。あなたもこの間、どこかのテレビでそのようなことは言っておったが、わが国の国民生産というのは世界で第二位であるとか、えらい誇らしいものだと——これはあなたばかりじゃない、総理大臣も言っていますわね。また、われわれも計数をとる場合には、そうなっていることは間違いないことですから、そういうことをたまたま言うことはあります。ありますが、生産が世界で第二位に伸びた、たいへんな日本になったわけですがね。その中で、いままで私が申し上げてきたように、国鉄というのは私企業じゃないですね、公共企業ですから。言ってみれば国家企業ですよ。コーポレーションということにしておいて、日本国有鉄道ということにしておりますが、これは国家企業ですわ。この国家企業の中に、いま言ったような実態を許しておいていいものかどうかということね。そこに働く労働者の状態を——一回労働大臣、国鉄の構内で、決して先ほど言ったように、接触事故など起こさせませんから、半日でけっこうですから、実態調査してみたらどうですかね。あなたみずから一緒に行って経験してみればいいと思う。まあそれはそれとして、全くこれはいっときも私は放置しておくべきものではないと思う。それだけに、去年の十月だと思いますが——これは労働省じゃ毎年やりますわな。安全衛生週間というものを設けて、それぞれ安全衛生についての啓蒙宣伝、指導監督などを行なっていますね。たまたまそのときにこの問題、その働いておりまする団体の国鉄労働組合から質問書を労働大臣に出されておりますよ。それに対して労働省としてまことに奇妙な回答をメモというかっこうで答えているんでありますが、これもまた妙な話ですわね。これは、労働大臣への質問書は、昭和四十四年九月二十四日に——そのときはあなたは大臣ではなかった。これは原健三郎さんが労働大臣質問書を受けているのです。それを受けて、十月の二十七日ですから、約一カ月ぐらいこれを労働省検討したのだと思うんですな、これは、その面から見れば。そうして労働省のメモでは、こうなっていますよ。「労働基準法第四十二条では、設備又はガス、蒸気、粉じん等が関係労働者の清潔又は健康に危害を及ぼすおそれがある場合には、必要な措置を講じなければならないとし、具体的には、労働安全衛生規則にその基準が規定されているが、列車黄害を直接の対象として規制しているものは現在存在しない。しかしながら、列車便所の構造が開放的になっていることは関係労働者にとっても好ましいことではなく、その改善に努めるべきことは云うまでもないと考えている。二、屋外労働者の安全衛生については、規則等を逐次整備してきているところであるが、技術的に困難な事項もあるので、今後とも慎重に検討を加えてまいりたいと考えている。」という回答のこれはメモです。片や公文書で質問書を出しているのでありますが、片やこういうメモ。大臣がこの国会答弁するときにうしろのほうからメモをもらうようなものですね。これはメモはメモでも一応こういうものを出しておりますが、一体、労働省でいう「技術的に困難な事項もあるので」というのは、どういう技術的に困難な事項であるかということをここで明らかにしてもらいたい。それから「今後とも慎重に検討を加えてまいりたい」と、こう言っているんですが、慎重に検討を加えてまいりたいと言うて、今日かなりの年数たっているのでありますが、一年間もこれは慎重に検討を加えるというほどのものではないと思うが、先ほどから私が質問している内容を皆さん肯定したんだから、この二つについて、とりあえず労働大臣の見解、それから基準局長も当時は局長じゃなかったわけだね。ですから、これは労働省の行政官ということで一貫して続いていると思うから、補足をする意味で一基準局長のお答えもこのメモに関して伺っておきたい。
  193. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) ただいまの御質問については私存じませんでしたが、基準局長から答弁させたほうがいいと思いますから、岡部基準局長がかわって答弁をさせます。
  194. 岡部實夫

    政府委員(岡部實夫君) ただいま吉田委員から御指摘のメモという点で触れました二点につきましてお答えを申し上げたいと思います。  第一点は、いま労働基準法でどういう規制をしているかということでございまして、これは労働基準法は基本的に労働者の安全と健康を守る、そのためにいま申しましたような基準法に基本的な規定を置きまして、さらにそれを具体化するために安全衛生規則と、一般的な規則と、そのほか特に有害物の取り扱い等に関しましては、その物質ごとにいろいろな規定を設けるというようなことで、その規定については、まだいろいろな有害物についての防止等考えますと完全ではございませんので、今後それは拡充強化してまいりたい。特にこのふん尿の問題につきましては、実はこれは一般の事業場におきます安全衛生の問題を取り扱った一般的な規則では具体的に律し得ない面もございますので、いま現在のところこれを直接対象とした規定が置かれておらないということでございます。  第二点の屋外労働全体の問題については、いまの安全衛生の規則が有害物質とか、あるいはその作業の態様に応ずるいろいろな危険、あるいは非衛生というのを具体的な面からいろいろ取り上げていくということでやっておりまして、屋外労働全体についてやはり屋外労働のいろいろな態様のものがございますので、その態様ごとにつかんでいくしか技術的にはなかなか困難ではないかということで、いまの技術的に困難な面もありと申しますのは、全般的なこれを屋外労働という形で取り上げていくことが法令の形としては困難であるという趣旨で申し上げていると思っております。その点につきましての答えは以上でございます。
  195. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 基準局長ね、労働基準法そのものは、あくまでもあの全体を流れておるものを一般的に理解すると、非常に労働者を保護するための法律として、私は、国際的な水準から見ても、本質的にはすばらしい法律だと思う。まさった法律だと、こう理解しておるのです。しかしその中でも、いまあなたが答えられたように、こういう問題がその規則の制度上の対象になっていない、こういうことですね。では必要があるかないかというと、必要がないということにならない、必要があるのですね。対象になっていないとすれば、いま私は優秀な法律であるということを認めざるを得ないし、そう認めておるが、認めておってもこういう欠陥がありますね。それから私が前の通常国会で問題を取り上げました職業病の問題、特にレイノー氏現象等の問題についても法律的に問題がありますね。ですから、あのときにも、いわゆる次の国会までにそういう不備欠陥というものを改廃するように検討すべきだということで、検討いたしましょうということになっておったはずですよ。この臨時国会はそういうことで間に合いませんから、そのことを私は言いません。言いませんが、ぜひひとつこの規則改廃は断じて必要だと思うのです。いま規定の対象にはなっていないからといって、この場所で働く人は頭から全身ふん尿をかぶっておって、この法律の安全衛生規則から見て、よいとは何人も私は思わないと思うのですよ。ですから、これは明らかに法律上、規則上の不備欠陥だと思いますから、ぜひそういうことをやっていただきたいと思うのであります。これは専門家に申し上げて釈迦に説法ですけれども、安全衛生規則というのは、大体において、この種の問題にかかわるような当時は規定のしかたをしていなくて、おもに屋内のつまり安全衛生というところにその主要の部分を置いてつくられた規則だと、こう理解しておるのです。さて、最近の産業経済の伸展しつつある段階で、もはや古くなっておるのです。この面ではおくれておるのですね。ですから、せっかくこの法の精神全体が、冒頭申したように、労働者を保護していくということによって貫かれておるわけでしょう、労働基準法の中では。ですからやはり労働省もそういう問題を先取りをしていくという意味での法律改正あるいは規則の改廃というものを取り急いでまいらなければならないのじゃないかと、こう思うのです。このことを放置をしておくということになれば、私は、いまたまたま国鉄のふん尿たれ流しの問題から言っておりますから、国鉄ということばが多く出てきますけれども、御承知のように、国鉄だけではない、屋外事業というのは。これはもう土木の問題があるでありましょう。建設、建築あるいは電力、あるいはそれを保守作業に従事する人々、これらを総称して最近では移動作業と言っていますわね。こういう人々に対して、これもやはりないのです。  それから、きのう毒物と劇物の法律をここで議論しましたが、これも運搬規制をする法律だから、この運搬業に対して、あるいは屋外荷役作業に従事する人々、労働者に対してもですね、国鉄のふん尿を頭からかぶることと同じような問題がたくさんあるわけであります。これが、いまの労働省のメモからいきますと、メモの答えからいきますと、私は口が悪いほうで定評ですがね、まさにこれは野放し状態にみずから労働省がやっているんじゃないか。こう言われても、労働大臣、あなた答弁に私は困ると思うのですよ。なぜあえて私こういうことを言うかというと、現実に屋外で働いておる人々は現在便所がないのですよ。手洗いもない。こういう状態がいまなお当然のことであるという今日的企業者のものの考え方に私は問題があると思う。ですから、こういう職場環境がいつまでたっても改善されないで存在をしておる。こういうことじゃないですか、大臣。それがたまたまいわゆるふん尿たれ流しということで、国鉄の職場がたまたまこれが最たるものだということで、私が言っているようなことになっていると思う。大臣、どうですか。それから局長、私のいま申し上げたことは間違っていますか。
  196. 岡部實夫

    政府委員(岡部實夫君) 吉田先生のいまの御指摘の点について、基本的にはまことにそのとおりで、私ども、いま問題になっておりますこの国鉄の列車からのふん尿のたれ流しという問題につきましては、具体的にこれを対象にした規定はございません。と申しましても、だからといって、たれ流していいという立場に立って言っているのではないのでございまして、基準上は、事業主はそういう労働者の衛生上に害を及ぼすようなことについては必要な措置を講じなければならぬという大前提に立っておるわけでございますが、それを具体化する規則がいまない。したがいまして、一般の場合のように法令に基づいての改善命令等の具体的措置を講ずることができないう趣旨でございます。  なお、いま御指摘のいろんな問題につきまして、安全衛生規則あるいはそのほかの単独のいろんな規則を徐々に整備してまいっておりますが、御指摘のように、必ずしも十分ではない。そこで、私ども、総合的に安全衛生規則の総洗いに手をつけてまいりたい。特に、先般の公害関連いたしましての、各事業場のいろいろ有害物質の廃棄状況等に対します総点検の結果等を見ましても、規則的にもまだ不十分な面がございますし、御指摘の職業病の問題につきましても、各職業病がいろんな形で関心を呼んでおりますので、これらについては、専門の医者の方々の御意見等も聞きながら取りまとめた結果、必要により規則等の法令の整備に取り組んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。御指摘のような点につきましては、今後、現在の安全衛生規則その他の規則の不備を補完いたしまして、できるだけ労働者の安全と衛生の保護のために前向きに努力をしてまいりたいと思っております。
  197. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 だんだん質問してまいりましたが、本会議の時間が追ってまいりましたから、一挙に労働省に二つほど伺ってみます。  それは、いままで述べてまいりましたことは、決して好条件だというふうには言えないでしょう、これは。まことに、まれに見る極端な悪条件と言わざるを得ませんね、基準局長ね。こういうことを続けておりますとどういうことになるかというと、これはおたくさん出しております労働白書、これを見ても、若年労働者の問題、たいへん問題になっていますね。労働大臣、あなたもテレビで放送していましたな。問題になっていますね。この若年労働力を確保するということについてもたいへんな影響を与えると思う。一つには人間疎外、一つには人権を無視したような、先ほどまれに見ると言ったのはここにあるのだが、悪条件が重なっているのですね。ですから、労働省がいかに雇用政策上、職業の安定、職業の訓練、雇用促進の政策をとってみても、こういう条件を取り除かない限り、いま申し上げたような結果が出てくると思う。  現に、この国鉄を例にとってみますると、これはいろいろアンケートの形で調査した結果は、若い青年諸君は一〇〇%、労働大臣いいですか、ここが大切です。接触事故ですね、逃げおくれてひかれて殺されるという災害と同じに、このたれ流しの被害をこうむっていることについて非常に彼たちは、これを解消しなければこの職に定着できない、こういう答えが返ってきているのです。ですから、いま言った、前に申し上げたような、そのために屋外労働者に対する安全衛生についての法律的な不備欠陥等々がいわれるゆえんは、ここに私は一つ求めたわけです。これはぜひやってもらいたい。  それからもう一つは、衆議院段階において、これまた社会党の後藤議員の質問に答えて、労働基準局長は、「的確に対応する規則が十分整備されておらない」が、「いろいろな面」——これはいろいろありますがね。さっぱり抽象的でこれはわかりませんわ。これは、いろいろということはいろいろあるわけですから。ここが奇妙な国会答弁なんです。どうもこれは岡部基準局長ともあろう人の答弁でないような気がする。やっぱり役人答弁だね、これは。こういう「いろいろな面」、さっぱりわれわれにはわからないようなことでないように、いろいろな面で健康上の処置をすべきだと思う。もう少しこれははっきりしてもらいたい。必要があれば規制についても将来考えたいと述べました。具体性がないのです。先ほど必要があるかないかと言ったら、これは必要がないと言う人はだれもいない。現実それだけ被害をこうむっているわけですから、必要があるのですよ。そこで、必要があるということは、あなたうなずいているわけですから、具体的に、必要があるとすれば将来どういうことを考えているのか。もう少し明確にここのところは答弁をしていただきたいと思うのであります。  それから、厚生大臣、向こう側に質問がいっていますから少しのんびりしておいでですがね、最後にかためてお伺いをしますが、この法律の二十二条、二十三条、これは「国庫補助」、それから「特別な助成」についてであります。法の二十二条は市町村に対する所要の補助を定めているのであります。しかし、いま私がだんだん述べてきておりまするように、国鉄のこの黄害状況というものは、もう皆さんおわかりのとおりになったんですね。原岡理事も今後懸命に努力する、そう言ってみても、これは依然として微々たる金ですね、資金ですよ。そして、さなきだに非常に財政資金事情はよくない。しかし、この法律によってこれからやらなければならない施設がたくさんありますよ。同時に市町村自治体との関係も出てくる。あるいは清掃法等々、法律関係してまいりますよ。これは厚生省すべて関係してまいりますよ。その場合の施設についての国庫補助が必要である。こういうことは、この二十二条では、それぞれの市町村自治団体を私は指しているんだと思いますが、公共企業である、国家的な企業である、国鉄というのは。これは含むことになっているのかどうかね、これ。私は当然含むべきだと理解しているんです、この法律では。この点を明らかにしてもらいたい。  それから二十三条のほうは、その関係から見てまいりますれば、必要な資金の、これまた厚生省の得意とするところでありますが、資金のあっせん、融通等々の対象を規定しているものであります。この場合、たとえば国鉄の場合も財政投融資なんというものは、これは借金ですよ。国家的な財投のいわゆる融資ですわね。こういうものは法律をつくった所管大臣としてどう積極的に、もとより財政当局の大蔵省は中枢になるんでありますけれども、一体厚生大臣というのはどうお考えになっているのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。  先般、衆議院において運輸省の——いま山村君が帰っておりませんが、部長おりまするけれども、山村政務次官は、このことについてこういうことを答えているんです。工事経費のやりくりでやれると答えているんですね。しかし、この答えはあまりにも運輸次官として、国鉄の今日的な財政の事情、経営というものをあまり——私はとうかと思いまするけれども、内容をよう御存じになっている方の当面監督すべき、指導すべき運輸政務次官としての答えにしては、何となくもの足りないような気がしてなりません。なぜかと申し上げますと、現実に、国鉄は工事経費の当初予算は三千八百億円あったんです。それが三千二百億円に削減され、しかも実行の段階では三千三百九十八億円に現在なっているんであります。しかも施行中の工事で現在七百億円、年度末には千三百億円の債務負担工事というものがありまするから——債務負担工事というのは、御承知のように明年度予算から食えというんであります。こういう工事経費のやりくりの中で、どうしていまの黄害の問題の対策の経費というものがやりくりできますか。  これなどはまさに、あえて申し上げますけれども、国民を小ばかにした国会答弁であると私は言わざるを得ない。いま山村君がおれば、私は山村君に言おうと思った、これを。おりませんが、専門の担当官がおりまするから、この点をひとつ説明をしてもらいたい。特に国鉄は、いま常務もおりますが、山陽新幹線にこの工事経費というのはほとんど食われている、山陽新幹線に。でありまするから、全国的な線増改良工事あるいは東京駅の総武線乗り入れの延長等の予算はすべて削減されているというのは、運輸省さん、現状ですよ。しかも、そのほかに経費の節減ということでお客さんを大切に扱わなければならないホームのこの上屋の短縮、これは問題起きるんじゃないかと思いますよ。だんだんレジャー産業などといって、乗客がふえてきておりますからね。そのときにあえてホームの上屋を短縮するなどという苦肉の工事経費のやりくりをやっております。それからきわめて世の中は明るくなっておりますが、国鉄だけは世の中暗くなったんじゃないかと思う。なぜかならば照明、ルクスを減少しておりますね。これもたいへんなことですよ。照明を少くするんですからね。暗くするんですからね。こういうことをやっておる。あるいは各それぞれの連絡通路等についても、これは東京などあたりは近代化されたといっても、いまそれぞれ国鉄もエスカレーターなどの工事を計画しておりますが、すべて取り消したんじゃないですか。取り消しておるでしょう。こういう状態なんだ。もとよりエヤコンの工事などはとっくに取り消しているのであります。こういうときに、衆議院で山村政務次官が答えたような、工事経費のやりくりでやりますと言ったって、だれがこれほんとうにしますか。この辺を国民が納得、理解のできるような答えを私は求めておきたいと思うのであります。  同時に、最後でありまするけれども、大蔵省にこういう実態を踏まえながら、国鉄の予算編成にあたっては十分考慮してもらいたいと思います。なぜかならば、これも当時、大蔵省の金子主計官が答えておりまするが、その経費等々については受益者負担考え方というものもあるのではないか、こう言っておるんですね。私、このことのよいか悪いかは別問題として、対策の一つだと考えています、次官。よいとか悪いとかという問題は別ですが、一つの対策の手段である、対策の策であるということは考えていい問題だと思います。思いますよ。しかし問題は非常に論理的な問題じゃないですよ。緊急を要する問題なんだ、この問題は。ですから、そういう角度から見てまいりますならば、この金子主計官の答えも必ずしも的を射た答えになっていません、残念ながら。でありまするから、いま第一には厚生大臣、二十二条、二十三条の方向を聞いたんでありますが、当然金が伴ってまいりますから、大蔵省としても、二十二条あるいは二十三条の特別補助、あるいは特別の融資等々の措置については、こういうことも踏まえながら検討される用意があるかどうか。このことをお尋ねをして、私の本日の質問を終わりたいと思いますが、答弁いかんによってはまた質問をいたします。
  198. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この法律二十二条によりまする補助は、ここに書いてございますように、また現行法もそうなっているんでございますが、市町村に対してしか補助ができない。国鉄は市町村とは違うわけでございますので、補助の対象になりません。  それから二十三条は、補助ではなしにその融資あるいはあっせんでございますが、どういう金をこれは融資するかというと、これは御承知のように、厚生省の厚生年金あるいは国民年金の積み立て金の還元融資をすると、こういうことになりますので国鉄など公共企業体に融資ができないと、かように私は考えております。
  199. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) 先刻来の吉田委員の該博な黄害の問題に関する御意見、あらためて事の重大性を十分認識をしました。今後の労働政策の面にそれらの点を十分に取り入れまして、これからひとつ御期待に沿うようにあらゆる対策を講じたいと考えております。
  200. 藤田正明

    政府委員(藤田正明君) 二十二条につきまして、直接に国鉄とは関係ないわけでございますけれども、しかしその市町村に対するこの二十二条の精神を体しまして、国鉄当局にも今後の財政処置をいたしていきたい、かように思います。  それからまた工事費予算云々の件がございましたが、この黄害に関しましては、四十六年度の工事費予算の編成の際には十分に考慮していきたい、かように考えております。
  201. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 汚物処理に関する工事につきましては、一つには国鉄自体の工事、同時に、いま国鉄に関連する市町村等の工事があるわけでございますが、後者につきましては、この法律等によりまして大いに助成をはかっていただくということをお願いしたいと思います。  なお、国鉄の工事経費の問題につきましては、先般の委員会におきまして運輸政務次官が述べました、国鉄の工事経費のやりくりをしていくつもりだという趣旨でございますが、これは国鉄の工事経費の全体のそのワクの中でやりくりをしていくという意味でございまして、特にこのことについて特別の金を別個に、たとえばこの法律によって助成をするというような形ではないと、こういう趣旨だろうと思うわけでございます。ただ、先ほど先生指摘のように、国鉄の財政事情は非常に悪化をしておりまして、現在のままでは工事の実施が非常に困難であるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、これは本件のような問題をも含め、あるいは国鉄の事故防止等の問題も含め、その他各般の問題も含めて国の大きな助成を受けてこれをやっていかなければならぬということであろうかと思いますので、その方面で大いに努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。
  202. 岡部實夫

    政府委員(岡部實夫君) 先ほど私の衆議院委員会におきまする答弁関連いたしまして御指摘がございました。御指摘のように、私も「いろいろ」というような歯切れの悪い答弁をいたしましたが、実は的確な確信の持てる案がいま私としても提案できる段階でございません。そこで黄害から守るためには、どうしてもいま国鉄が御計画になっているようなことを積極的に推進していっていただくほかないんじゃないか。ただ、伺いますと、財政的に非常に問題があるようでございますし、一挙になかなかそれまでいかない。じゃその間放置してもいいのかというようなこともあるのじゃないか。そこで、そういったような場合に、何かその間にでも黄害から守るような具体的かつ有効な施策があるかどうかということについても、今後国鉄の御当局ともいろいろ相談をしてみて、何かそういう方法があれば、そういうことについて具体的に進めていったらどうかというようなことを考えつつ答弁をいたした次第でございます。いまも具体的にまだどうするということを申し上げる段階ではございませんが、今後、よく関係者と話をしてまいりたいと思っております。
  203. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも、答えがすかっとしたらこれでやめますと言ったのだが、すかっとしていませんよ。黙って聞いておると、すべて国鉄のほうがこの問題やればいいのだということで、それはそのとおり。そのとおりだが、それでは問題は解決しないのだよ。特に基準局長に聞いたのは、現実に七万余の人々はもう毎日黄害に直面しているわけです。被害をこうむっているのです。それを法律的に見ると、安全衛生規則の適用に当てはまるようなことになっていないところにあるのだ。これくらいは、いま直ちにということではないけれども、職業病等々の問題もあるわけですから、当然規則を手直しをしてみるということにならなければ、この限りでは、そこの部面の問題解決にならない。そのことを聞いているのです。そういう用意があるのかないのか。  それから、いま大蔵省の答えが一番すかっとしていましたな。さわやかでした。ですから、これはよろしい。問題はやはり厚生大臣ですな。厚生大臣は、迷惑千万だということばを何回も使っている。で、二十二条、二十三条の関係は、あなたの答えでわかりました。わかりましたけれども、あなたは閣僚の一人でありますから——特に今度は閣僚は自動延長したわけですからね。ですから、おそらくや予算編成についてもその閣議があると思います。幸いきょうは厚生大臣と労働大臣、いずれも優秀な閣僚で、佐藤内閣の一員であります。こういう重要な問題がこの法案を審議するにあたって出ました。皆さんもわかったのですから、ぜひひとつ閣議でそういう発言をいたし、財投でもけっこうであろうが、本来的には公共負担等との関係もありますから、そういう予算編成の技術的なことは申し上げませんが、大蔵大臣は閣議に出ていますから、そういう中でひとつ発言を求めて、これが国民が期待するような実りのある方向に、努力をしてもらいたいことを申し上げて、私の質問をこれで終わりますが、その点の両大臣の決意を私は伺っておきたいと思います。
  204. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私も、まことにこれは困ったものであると思います。きょうは運輸大臣は出ておりませんが、この前のこういう会合のときは運輸大臣もおりました。運輸大臣もとくとその気持ちになっていただいて、運輸大臣にあらためて何とかしないと、これはいまの関係の職員がおるばかりでなしに、沿線の国民みなが迷惑をするし、衛生福祉国家とも言えないようなたれ流しの汽車が何万キロと走っているようなことはまことに困ることだということを運輸大臣にもきつく申し入れをいたしまして、ともどもこの事態の解決にできる限りの努力をいたすつもりでございます。
  205. 野原正勝

    国務大臣(野原正勝君) お話はとくと伺いましたので、機会をみて十分に私のほうでも微力ながら御協力を申し上げたいと考えております。
  206. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  207. 佐野芳雄

    委員長佐野芳雄君) 速記をつけて。  それでは、本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————