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佐藤隆君 地球は三十五億の乗り組み員を乗せて太陽系を回る
人間宇宙船にすぎない、そして酸素も水も食糧も、その船内で自給自足をしなければならない、こういうことが、実は先般、毎日新聞の論説で出ておりましたが、これは、今日私どもが取り組んでおりまする
公害問題に対する一つの警鐘、警告であると私は思います。
ことしは、
公害に始まって
公害に終ろうといたしておりますが、従来、
衆参両院を通じて、しばしば、
総理は、
公害に取り組む
姿勢を答弁をしてこられました。表明してこられました。私は、きょう、別な
観点から、と申し上げますのは、先般行なわれた
NHKの
公害対策委員会で
世論調査をいたしました、その結果に基づいて、それを含めて、
総理は
公害対策にいかが取り組もうとしておられるのか、
所信をお聞きいたしたいのであります。
まず、
NHKの
世論調査の結果は、あるいは
御存じかと思いますが、一部
上場企業百社、そしてまた、
都道府県知事、
公害に
関係のある市長、それら百人の
方々、あるいはまた、
企業百社と、総評、同盟の
勢力分野、あるいは
公害企業の
組合、
労働界での
オピニオンリーダー、そうした者を含めての百の
組合の
幹部の
方々に
意識調査をしておられます。そしてまた、
首都圏二千人の
住民に対し、さらにまた、あまり例はないようでありますが、
衆議院議員に対して
意識調査をいたしておるのであります。
実は、
企業百社の社長に対する
質問調査の結果は、この七十年代では
公害問題というのをおざなりにして通るわけにはまいらぬということが圧倒的に多い
回答となっております。しかも、
設備投資の
相当程度のものを
公害対策につぎ込まなければならないのではないか、また、
公害問題をお
ざなりにしたのでは労働力の確保という
観点からも憂慮すべき事態になるのではないか——その反面、
社会資本の充実に対して、国に対しても、あるいは
地方自治体に対しても、法的にも
財政的にも強い
要望があらわれておるのであります。
また、
行政責任者に対する
調査の結果は、権限の委譲をそれぞれが相当強く望んでおられる。しかし、その反面、
財政面と
公害問題のエキスパートの
不足、つまり、金と人との
不足に
悩みがあるということの結果が実は出ておるのであります。
また、百の
労働組合の
幹部の
方々に対する
意識調査の結果は、きわめて
企業擁護の
意識が強いという結果も出ており、あわせて、特定の
イデオロギー、そうしたものにとらわれてはならぬのではないか、特に
公害問題をネタとしての
スト権の
確立等の賛否につきましては、そうすべきではないというのが六七%、
スト権の
確立をしてでもというのが二六%、こういう結果があらわれております。これを要するに、私は、こうした
公害問題は、政治問題あるいは
政治闘争という形よりも、むしろ、
住民と密着した
生活問題として、とらえようとしておるのではないかと私は解釈をいたすのであります。
さらに、
首都圏二千人の
住民に対する
調査の結果は、
御存じのように、三
大関心事、物価、
公害、
交通事故、これがあらわれておりますが、特に
公害問題については、
公害でとてもやりきれませんというのと、まあ困っておりますというのを合わせまして七六%の
方々が、そう
答えておるのであります。その反面、あなたの
生活は快適でありますかという
質問に対して、快適でありますというのは、わずか六%でありますが、まあまあだというのが七五%もあるのであります。こうした
うらはらの感情が、
意識調査の結果、出ておる。これを考えますと、
首都圏二千人の
住民の
公害に対する
意識というものは、最近急速に
公害問題が取り上げられてまいりましたけれども、いまだ定着した
意見は持っていないのではないかと私は判断するのであります。
さらに、
衆議院議員に対する
調査の結果は、八五・三%の
回収率、
回答率という、たいへんな数字であったそうであります。しかも、七九・四%の
方々が、
超党派でこれに取り組むべきであるという
答えを出しておるのであります。
こうしたことを考えると、結論としては、
わが国においては、各界、各層通じて、とにかく
公害に対する
関心はきわめて高いと、こういうことが言えると思います。しかし、その
うらはらに、残念なことには、
公害先進国と言われるのではないかという懸念も、また出てくるのであります。しかし、いずれにいたしましても、全
国民共通あるいは
国家的課題である、あるいは
経営者も
勤労者も超
イデオロギー、
超党派で、こうした考え方があることがうかがわれるのであります。こうした
世論の動向というものを
総理は含めて、
公害対策に取り組む
所信というものはこうだというようなことについて、ここでひとつ明らかにしていただきたい、かように思います。